以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープカートリッジにつき、これが装着されるテープ印刷装置と共に説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。
[テープ印刷装置の概要]
図1は、テープ印刷装置およびこれに装着されるテープカートリッジの外観斜視図である。同図に示すように、テープ印刷装置1は、外殻を構成する装置ケース3と、テープカートリッジ100が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部5と、カートリッジ装着部5を開閉する開閉蓋7と、を備えている。装置ケース3の上面には、奥側にカートリッジ装着部5が設けられ、中央にディスプレイ11が設けられ、手前側にキーボード13が設けられている。開閉蓋7の近傍には、指掛け用の窪入部15が設けられており、開閉蓋7は、この窪入部15を介して跳ね上げるように開放される。そして、装置ケース3の側面(左側面)には、印刷テープ102が排出される縦長のテープ排出口17が設けられている。
また、テープ印刷装置1は、カートリッジ装着部5に立設された印刷ヘッド21を有する印刷機構部23と、カートリッジ装着部5の裏側空間に内蔵したテープ送り機構部25と、テープ排出口17の近傍に内蔵したテープ切断機構部27と、を備えている。
ユーザーは、キーボード13から印刷情報を入力し、ディスプレイ11で印刷情報を確認した後、キー操作により印刷を実行する。印刷が指令されると、テープ送り機構部25が駆動して、印刷テープ102とインクリボン110とを並走させ、これに印刷機構部23で熱転写による印刷が行われる。この印刷送りにより、印刷テープ102はテープ排出口17から排出されてゆき、印刷が完了すると、テープ切断機構部27が駆動して、印刷テープ102の印刷済み部分が切り離される。
[テープカートリッジの概要]
図2および図9に示すように、テープカートリッジ100は、印刷テープ102をテープコア104に巻回したテープロール106と、インクリボン110を繰出しコア112に巻回したリボンロール114と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、使用後のインクリボン110を巻き取る巻取りコア116と、印刷ヘッド21がインクリボン110および印刷テープ102を介して当接すると共に印刷テープ102およびインクリボン110を送るプラテンローラー120(プラテン)と、を備えている。さらに、テープカートリッジ100は、これらテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120を収容したカートリッジケース130を備えている。このように、本実施形態のテープカートリッジ100は、外殻をカートリッジケース130で覆われた、いわゆるシェル構造を有している。
また、テープカートリッジ100には、テープ印刷装置1に装着されるときに、印刷ヘッド21が挿入される挿入開口134が、カートリッジケース130に形成されている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され、印刷テープ102が送り出されるテープ送出口138を備えている。なお、詳細は後述するが、テープロール106は、カートリッジケース130の内側に突設した円筒状のコア軸部192に回転自在に支持されている(図4参照)。
上記のテープ送り機構部25により、プラテンローラー120および巻取りコア116が駆動されると、印刷テープ102はテープコア104から繰り出され、インクリボン110は繰出しコア112から繰り出される。繰り出された印刷テープ102およびインクリボン110は、プラテンローラー120の部分で並走し、印刷ヘッド21により印刷に供される。印刷が行われた印刷テープ102の繰出し端部(印刷済部分)は、テープ送出口138からテープ排出口17に向かって送り出される。一方、インクリボン110は、挿入開口134の周壁部分を周回し、巻取りコア116に巻き取られる。なお、テープカートリッジ100には、印刷テープ102のテープ幅に応じて、厚みの異なる複数種のものが用意されている。
[テープ印刷装置の詳細]
図1および図5に示すように、カートリッジ装着部5は、テープカートリッジ100の平面形状と相補的な平面形状に形成されると共に、装着可能な複数種のテープカートリッジ100うち、最大厚のテープカートリッジ100に対応する深さを有して、窪入形成されている。この場合、カートリッジ装着部5の底板部を構成する装着ベース31と側板部33とは、樹脂等で一体に形成(成形)されている。カートリッジ装着部5と上記のテープ排出口17との間には、スリット状のテープ排出経路35が形成されており、この部分に、上記のテープ切断機構部27が内蔵されている。
カートリッジ装着部5の装着ベース31には、テープカートリッジ100が装着されたときにそのテープカートリッジ100のコア軸部192(図4参照)の内周部が嵌合する、識別手段としてのベース凸部40が立設されている。詳細は後述するが、ベース凸部40は、装着ベース31上に立設した円形の台座部41と、台座部41上に立設した識別凸部42と、を有している。
また、装着ベース31には、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21と、プラテンローラー120を回転駆動するプラテン駆動軸45と、巻取りコア116を回転駆動する巻取り駆動軸47と、が立設されている。また、巻取り駆動軸47の近傍に位置して装着ベース31には、印刷テープ102の種別(属性情報)を検出するテープ検出部51と、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めを解除するコア解除部53と、が設けられている。
さらに、装着ベース31には、対角位置に一対の小突起55が設けられ、加えて装着したテープカートリッジ100の中間部を掛け止めする一対の掛止め片57が設けられている。一方、装着ベース31の裏側空間には、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を回転させるモーターおよびギヤ列(いずれも、図示省略)を有する上記のテープ送り機構部25が内蔵されている。テープ送り機構部25は、ギヤ列で動力分岐し、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を同期回転させる。
一方、カートリッジ装着部5の側板部33(手前側)には、テープカートリッジ100の側面に設けられた被検出部としての種別読取シール143のビットパターン(種別読取パターン)を読み取る検出部としてのパターン読取部59が配設されている。本実施形態では、上記テープ検出部51が、テープカートリッジ100に収容された印刷テープ102のテープ幅を検出(認識)し、当該パターン読取部59が、テープ幅を除く、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ色や材質、収容されたインクリボン110のリボン色等)を認識する。パターン読取部59および種別読取シール143のビットパターン(種別読取パターン)の詳細については、後述する。
印刷機構部23は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21を支持すると共に回動させるヘッド支持フレーム61と、ヘッド支持フレーム61を介して印刷ヘッド21を印刷位置と退避位置との間で回動させるヘッドリリース機構(図示省略)と、印刷ヘッド21(およびヘッド支持フレーム61)を覆うヘッドカバー43と、を有している。
ヘッドリリース機構は、上記の開閉蓋7の開閉に連動して作動し、開閉蓋7の閉塞動作に連動して印刷ヘッド21を印刷位置に移動(回動)させ、開放動作に連動して印刷ヘッド21を退避位置に移動(回動)させる。印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120に、インクリボン110および印刷テープ102を介して当接し、退避位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120から離間する。これにより、テープカートリッジ100を着脱する際に、印刷テープ102やインクリボン110の印刷ヘッド21への干渉が防止される。
印刷ヘッド21には、複数の発熱素子が設けられ、複数の発熱素子は、プラテンローラー120の軸方向と同方向に列設されている。そして、印刷テープ102およびインクリボン110の送りと、複数の発熱素子の選択的駆動と、により印刷が行われる。ヘッドカバー43は、平面視で略矩形に形成されおり、上記の装着ベース31(カートリッジ装着部5)と一体に形成(成形)されている。また、ヘッドカバー43は、装着ベース31から垂直に突出しており、その内側において印刷ヘッド21の回動を許容する。
テープ検出部51は、複数のマイクロスイッチ51aで構成されており、後述するテープカートリッジ100の被検出部180(図3参照)に対し選択的に係合し、印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等の種別を検出する。そして、この検出結果に基づいて、印刷ヘッド21やテープ送り機構部25の駆動が制御される。
コア解除部53は、繰出しコア112用および巻取りコア116用の2つの解除ピン53aで構成されている。詳細は後述するが、カートリッジケース130には、繰出しコア112および巻取りコア116にそれぞれ掛け止めされる回転止めフック206が設けられている(図9参照)。テープカートリッジ100を装着すると、これら回転止めフック206に解除ピン53aが係合し、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めが解除される。
プラテン駆動軸45は、プラテンローラー120を挿通するように設けられた固定支軸48と、固定支軸48の基部に回転自在に軸支されたスプライン形状のスプライン駆動軸49(駆動軸)と、を有している(図5および図10参照)。テープ送り機構部25の回転動力は、このスプライン駆動軸49に伝達され、更にスプライン駆動軸49からプラテンローラー120に伝達される(詳細は、後述する)。
同様に、巻取り駆動軸47は、固定軸47aと、固定軸47aに回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸47bとを有している。この場合も、テープ送り機構部25の回転動力は、可動軸47bに伝達され、更に可動軸47bから巻取りコア116に伝達される。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、ベース凸部40にコア軸部192(後述するコア凹部260)が係合し(図13参照)、プラテン駆動軸45にプラテンローラー120が係合し、更に巻取り駆動軸47に巻取りコア116が係合する。そして、開閉蓋7を閉塞すると、印刷ヘッド21が回動し、印刷テープ102およびインクリボン110を挟んでプラテンローラー120に当接して、テープ印刷装置1は印刷待機状態となる。
図1、図5および図8に示すように、開閉蓋7は、奥側に設けたヒンジ部71を介して、装置ケース3に回動自在に、すなわち開閉自在に取り付けられている。開閉蓋7は、開閉蓋本体73と、開閉蓋本体73の中央に設けた覗き窓75と、を有している。また、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されヒンジ部71に回動自在に軸支された一対の軸支片77と、開閉蓋本体73の裏面に突設され印刷ヘッド21を回動させる作動レバー79と、を有している。さらに、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されテープカートリッジ100を押し込む2つの押込み突起81と、開閉蓋本体73の裏面に突設され、内蔵する蓋閉塞検出スイッチ(図示省略)を作動(ON)させる押下突起83と、を有している。
覗き窓75は、横長に形成され、開閉蓋本体73とは別体となる透明(可視光に対し透明)な樹脂で構成されている。この覗き窓75越しに、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100が、視認(印刷テープ102の種別やテープ残量)できるようになっている。また、一対の軸支片77、作動レバー79、2つの押込み突起81および押下突起83と、開閉蓋本体73とは、樹脂で一体に形成(成形)されている。
作動レバー79は、開閉蓋本体73の裏面から大きく突出しており、開閉蓋7の閉塞に伴って、カートリッジ装着部5の側方に設けたスリット開口87に挿入される。スリット開口87に挿入された作動レバー79は、上記のヘッドリリース機構を作動させ、印刷ヘッド21をプラテンローラー120に向かって回動させる。同様に、押下突起83は、開閉蓋7の閉塞に伴って、スリット開口87に隣接する矩形開口91に挿入され、蓋閉塞検出スイッチをONさせる。
一方の押込み突起81は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120の近傍位置に対応しており、他方の押込み突起81は、上記のテープ検出部51の直上位置に対応している。開閉蓋7を閉塞すると、2つの押込み突起81は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5の装着ベース31に着座するようにこれを押し込むと共に、テープカートリッジ100の浮き上がりを防止する。
[テープカートリッジの詳細]
次に、図2ないし図4、および図9を参照して、テープカートリッジ100について詳細に説明する。なお、テープカートリッジ100の説明では、図1を例に、テープカートリッジ100の上正面である装着方向手前の面を「表面」と、逆側の装着方向奥側の面を「裏面」と、左側の側面を「左側面」と、右側の側面を「右側面」と、上側の円弧状の側面を「先端面」と、下側の側面を「基端面」と、称呼するものとする。
テープカートリッジ100は、上述のように、カートリッジケース130と、これに収容したテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120と、を備えている(図9参照)。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され挿入開口134と、プラテンローラー120の近傍において左側面に形成したテープ送出口138と、テープロール106が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された識別シール141(図1参照)と、を備えている。識別シール141には、収容された印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等(属性情報の一部)が、表面および左側面の2箇所に表示されている。
カートリッジケース130は、テープカートリッジ100の外郭を構成するものであり(シェル構造)、右側面の基端側が幾分突出した、平面視「L」字状の外観を呈している。表裏方向においてカートリッジケース130は、カートリッジ装着部5に装着したときに奥側となる下ケース150と、手前側となる上ケース152と、を有している。実施形態のカートリッジケース130は、上ケース152が透明な樹脂の成型品で構成され、下ケース150が不透明な樹脂の成型品で構成されている。
上ケース152は、カートリッジケース130の表面を構成する天壁部156と、天壁部156の周縁部に垂設された上周壁部158と、で一体に形成(成形)されている。また、下ケース150は、カートリッジケース130の裏面を構成する底壁部160と、底壁部160の周縁部に立設された下周壁162と、上記の挿入開口134を画成すべく底壁部160に立設された開口周壁部164と、で一体に形成(成形)されている。
上ケース152における上周壁部158の下端面には、適宜の間隔で複数の接合ピン170が設けられる一方、下ケース150の下周壁162には、この複数の接合ピン170に対応して複数の接合孔172が設けられている(図9参照)。下ケース150に、テープロール106やリボンロール114等の構成部品をセットした後、複数の接合孔172に複数の接合ピン170を圧入するように上ケース152を接合することにより、テープカートリッジ100が組み立てられる。なお、各接合孔172は、成形の容易性を考慮し貫通孔となっている。
一方、下ケース150の左側面および右側面には、上記の一対の掛止め片57に掛け止めされる一対の掛止受け部174が設けられている(図2(e),(f)および図3(b)参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の掛止受け部174に、カートリッジ装着部5側の一対の掛止め片57が掛け止めされることにより、テープカートリッジ100の浮き上がりが防止される。また、下ケース150の裏面には、上記の一対の小突起55が幾分余裕をもって嵌合する嵌合小穴176が設けられている(図3(b)参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の嵌合小穴176に、カートリッジ装着部5側の一対の小突起55が嵌合することにより、装着ベース31上におけるテープカートリッジ100の簡単な位置決めが為される。
さらに、下ケース150の裏面には、基端面側の左隅部(表面側から見て右隅部)に位置して、上記のテープ検出部51に対応するテープ被検出部180が設けられている(図3(b)参照)。テープ被検出部180は、テープ検出部51の複数のマイクロスイッチ51aに対応する部分に構成され、この部分に設けた受け孔180aの有無により、複数のビットパターンを得るようにしている。すなわち、このビットパターンが、上記した印刷テープ102の種別に対応している。
さらに、テープカートリッジ100は、テープロール106が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された種別表示シール141(図1参照)と、カートリッジケース130の下ケース150の基端面150aに貼着された被検出部としての種別読取シール143(図2(c)および図3参照)と、を備えている。
種別表示シール141には、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ幅、テープ色、材質等)が表示されている。
一方、被検出部としての種別読取シール143には、ビット構成部145が設けられ、このビット構成部145に、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ色、材質、収容されたインクリボン110のリボン色等)を示すビットパターン(種別読取パターン)を構成する識別部147が配置されている(図16参照)。なお、ビット構成部145、およびビットパターン(種別読取パターン)を構成する識別部147の詳細については、後述する。
なお、図2(c)および図3に示すように、下ケース150の基端面150aには、上記種別読取シール143を貼着するための読取シール貼着部175が形成されていてもよい。読取シール貼着部175は、長方形形状の凹部を、種別読取シール143の厚さ分(もしくは厚さ以上)の深さとなるように、基端面150aに対し凹設したものである。読取シール貼着部175により、種別読取シール143が、基端面150aから突出しないようになっている。
また、図9に示すように、カートリッジケース130内の上側空間(先端面側)には、広くテープロール106が収容されるテープ収容エリア190が構成されている。テープ収容エリア190の中央には、下ケース150に一体に形成(成形)されたコア軸部192が立設されている。コア軸部192は、段付き円筒状に形成されており、その外周面192bにはテープロール106(テープコア104)が回転自在に軸支されている(図4参照)。
詳細は後述するが、段付き円筒状に形成されコア軸部192には、その内周側に上記のベース凸部40が嵌合するコア凹部260が形成されている。コア凹部260は、ベース凸部40の台座部41が嵌合する陥没部262と、識別凸部42が嵌合する、嵌合手段としての識別凹部264と、を有している。また、コア凹部260の上部には、コイルスプリングで構成されたテープロール106の逆転止め用ばね193が組み込まれている。
また、図9に示すように、プラテンローラー120の近傍に位置してテープ収容エリア190には、繰り出された印刷テープ102をプラテンローラー120に導くテープガイド194が、下ケース150に一体に立設されている。すなわち、カートリッジケース130の内部には、テープロール106を起点とし、テープガイド194およびプラテンローラー120を経てテープ送出口138に至るテープ送り経路196が構成されている。テープロール106から繰り出された印刷テープ102は、テープガイド194を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120からテープ送出口138に導かれる。
テープロール106は、印刷テープ102およびテープコア104を有すると共に、ロール状の印刷テープ102の両端面に貼着された2枚の円形フィルム198を有している。この2枚の円形フィルム198は、テープコア104に巻回した印刷テープ102のバラケを防止している。
図4および図9に示すように、テープコア104は、印刷テープ102が巻装されたリール部104aと、リール部104aの内側に複数の内向きリブ104bを介して設けた転接部104cと、を有し、この転接部104cにより、上記のコア軸部192に回転自在に軸支されている。また、転接部104cの端面には、放射状の複数の端面溝104dが形成され、この端面溝104dに、上記の逆転止め用ばね193が係脱するようになっている。すなわち、コア軸部192の上部には、軸方向に延びる縦スリット192aが形成され、この縦スリット192aから、逆転止め用ばね193の線材端部が突出し、転接部104cの端面溝104dに係合している。
テープカートリッジ100を持ち運びするときには、この逆転止め用ばね193により、テープロール106(印刷テープ102)の逆転が防止される。一方、テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、上記のベース凸部40により逆転止め用ばね193が圧縮され、その線材端部が転接部104cの端面溝104dから離脱し逆転止めが解除される(いずれも図13参照)。これにより、印刷テープ102の送りが可能になる。
図9に示すように、カートリッジケース130内の基部右側には、挿入開口134に隣接してリボン収容エリア200が構成されている。リボン収容エリア200の右寄りには、リボンロール114(繰出しコア112)を回転自在に支持する繰出し側軸受部202が、また左寄りには、巻取りコア116を回転自在に支持する巻取り側軸受部204が、それぞれカートリッジケース130に一体に形成されている。すなわち、上ケース152および下ケース150に、それぞれ繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204が形成されている。
下ケース150に形成された繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204の切欠き部分には、先端部をこれら繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204に臨ませた回転止めフック206が、それぞれ一体に形成されている。そして、一方の回転止めフック206は繰出しコア112に、他方の回転止めフック206は巻取りコア116に、それぞれ回転止め状態に係合している。
繰出し側軸受部202の近傍に位置してリボン収容エリア200には、繰り出されたインクリボン110をプラテンローラー120に導く第1リボンガイド210が、下ケース150に一体に立設されている。また、上記の開口周壁部164の外周側には、インクリボン110の周回をガイドする複数の第2リボンガイド212が一体に形成されている。
すなわち、カートリッジケース130の内部には、リボンロール114を起点とし、第1リボンガイド210、プラテンローラー120および複数の第2リボンガイド212を経て巻取りコア116に至るリボン送り経路214が構成されている。リボンロール114から繰り出されたインクリボン110は、第1リボンガイド210を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120から開口周壁部164(複数の第2リボンガイド212)を周回して巻取りコア116に巻き取られる。
リボンロール114は、インクリボン110および繰出しコア112を有すると共に、繰出しコア112に制動負荷を付与する円環状の板ばね220を有している(図9(b)参照)。板ばね220は、周方向において波状に形成されており、軸方向において上ケース152の天壁部156と繰出しコア112との間に介設されている。すなわち、繰出しコア112には、この板ばね220の弾発力により回転制動負荷が付与される。これにより、巻取りコア116により繰り出されてゆくインクリボン110には、バックテンションが付与されその弛みが防止される。
繰出しコア112は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き222が形成されている(図3(b)参照)。そして、複数の切欠き222には、上記の回転止めフック206が係脱するようになっている。なお、繰出しコア112を支持する下ケース150側の繰出し側軸受部202は円形の開口で構成されているが、上ケース152側の繰出し側軸受部202は、円筒状の突出部分で構成されている。そして、この突出部分に上記の板ばね220が装着されている(いずれも、図9(b)参照)。
同様に、巻取りコア116は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き224が形成されている(図3(b)参照)。そして、複数の切欠き224には、上記の回転止めフック206が係脱する。また、巻取りコア116の内周面にはスプライン様のスリット溝226が形成され、上記の巻取り駆動軸47にスプライン係合する。これにより、巻取り駆動軸47の回転力が巻取りコア116に伝達され、インクリボン110が巻き取られる。
カートリッジケース130内の基部左側には、挿入開口134に隣接してプラテン収容エリア230が構成されている。プラテン収容エリア230の中央には、下ケース150に形成した楕円状開口の下軸受部234と(図3(b)参照)、上ケース152に形成した楕円状開口の上軸受部232と(図9(b)参照)が設けられている。そして、上軸受部232および下軸受部234には、プラテンローラー120が回転自在且つ僅かに横移動可能に支持されている。すなわち、楕円状の上軸受部232および下軸受部234に支持されたプラテンローラー120は、プラテン駆動軸45に係合するホーム位置と、印刷テープ102を挟み込んでテープガイド194に接する挟持位置との間で、横移動(微小移動)可能に構成されている。
ところで、このテープカートリッジ100は、印刷テープ102の繰出し端部を、テープ送出口138から外部に僅かに突出させた状態で持ち運びされる(図1参照)。その際、誤って印刷テープ102の繰出し端部に押込み力や引込み力が作用すると、これに引きずられたプラテンローラー120が上記の挟持位置に移動する。これにより、印刷テープ102の繰出し端部が、テープ送出口138からカートリッジケース130内に引き込まれることが防止される。
プラテンローラー120は、円筒状のローラー基体240と、ローラー基体240の外周面に装着したゴムローラー242と、を有している(図10参照)。ゴムローラー242は、軸方向において印刷ヘッド21に対応する長さを有しており、印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、印刷テープ102およびインクリボン110を挟み込んでこのゴムローラー242に接触する。
また、ローラー基体240の基部には、嵌合部としてのスプラインボス部244が形成され、スプラインボス部244には、上記のプラテン駆動軸45のスプライン駆動軸49(駆動軸)がスプライン係合する(図10参照)。これにより、プラテン駆動軸45の回転力がプラテンローラー120に伝達され、印刷テープ102(およびインクリボン110)が印刷送りされる。
[コア凹部およびプラテンローラーの構造]
次に、図10ないし図13を参照して、テープカートリッジ100のコア凹部260およびプラテンローラー120の構造について、カートリッジ装着部5のベース凸部40およびプラテン駆動軸45と共に詳細に説明する。上述のように、カートリッジ装着部5には、相互に離間してプラテン駆動軸45およびベース凸部40が設けられ、これに対応して、テープカートリッジ100にはプラテンローラー120およびコア凹部260が設けられている。
図10(a)に示すように、プラテン駆動軸45は、装着ベース31の下方に位置する装置フレーム270に立設された固定支軸48と、固定支軸48の下部に回転自在に支持されたスプライン駆動軸49とを有している。固定支軸48は、装置フレーム270に片持ちで固定され、装着ベース31を貫通してテープカートリッジ100の着脱方向に延在している。スプライン駆動軸49は、基部の歯車部272と、歯車部272から延びるスプライン軸部274とを有し、歯車部272に、上記のテープ送り機構部25のギヤ列が連結されている。
一方、プラテンローラー120は、上述のようにローラー基体240とゴムローラー242とを有し、ローラー基体240の基部にスプラインボス部244が形成されている。すなわち、ローラー基体240には、上記のスプライン軸部274にスプライン係合するスプラインボス部244が形成されている。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、プラテンローラー120のローラー基体240にプラテン駆動軸45の固定支軸48が挿通する。また、プラテンローラー120のスプラインボス部244にプラテン駆動軸45のスプライン軸部274が係合する。
図10(b)に示すように、スプライン軸部274には、周方向に複数のスプライン歯274aが形成され、スプラインボス部244には、複数のスプライン歯274aに対応する複数のスプライン溝244aが形成されている。この場合、一般的なスプラインの構造と異なり、スプライン溝244aの溝数は、スプライン歯274aの歯数よりも多いものとなっている。また、複数のスプライン溝244aの周方向の間隔は、複数のスプライン歯274aの周方向の間隔より大きく形成されている。具体的には、スプライン溝244aの溝数が6つで、スプライン歯274aの歯数が3つとなっており、スプライン歯274aは、スプライン溝244aに1つおきに噛み合うようになっている。また、スプラインボス部244の内周面基部は、面取りされており、いわゆる誘い形状となっている(図10(a)参照)。
このように、スプライン係合における溝数と歯数の相違、およびスプラインボス部244の誘い形状により、スプライン軸部274のスプラインボス部244への嵌合(係合)が円滑に行われる。すなわち、テープカートリッジ100のカートリッジ装着部5への装着が円滑に行われるようになっている。
図11および図13に示すように、ベース凸部40は、装着ベース31上に立設した台座部41と、台座部41上に立設した識別凸部42と、で一体に形成されている。台座部41は、円形に形成され、その周方向の一部に切欠き開口部280を有している。また、識別凸部42は、円柱状(中空)の凸部本体282と、凸部本体282の外周面に十字状を為すように設けた4つの突条部284と、凸部本体282から台座部41の上面に添うように径方向に突出した舌片286と、を有している。
一方、図12および図13に示すように、コア凹部260は、ベース凸部40の台座部41が嵌合する陥没部262と、識別凸部42が嵌合する識別凹部264と、を有している。陥没部262と識別凹部264とは、一体の空間を構成している。そして、識別凹部264には、この空間に向かって軸方向に突出するように、切欠き開口部280に対応する嵌合凸部290(突起部)が設けられている。また、識別凹部264には、この空間から没入するように、識別凸部42の舌片286に対応する嵌合凹部292が設けられている。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、ベース凸部40の台座部41がコア凹部260の陥没部262に嵌合すると同時に、ベース凸部40の識別凸部42が、コア凹部260の識別凹部264に嵌合する(図13参照)。また、この嵌合に合わせて、嵌合凸部290が切欠き開口部280に嵌合し、嵌合凹部292に舌片286が嵌合する。
ところで、本実施形態のテープカートリッジ100では、構成部品の中でテープロール106が極端に重く、平面視においてテープコア104の近傍に重心が存在する。このため、装着に際しテープカートリッジ100を把持すると、特に意識しない限り、テープカートリッジ100が先下がり斜めに傾く傾向が強い。かかる場合に、識別凹部264に識別凸部42が嵌合する前に、識別凸部42が陥没部262に突き当たり易く、これにより傾いたテープカートリッジ100の姿勢が矯正される。すなわち、装着に際し、テープカートリッジ100が水平姿勢に矯正されるため、装着を円滑に行うことができる(詳細は後述する)。
また、本実施形態では、コア凹部260とベース凸部40との協働により、カートリッジ種別の識別を行えるようにしている。この場合のカートリッジ種別は、印刷テープ102の種別ではなく(テープ種別は、テープ検出部51による)、例えば用途(工業用や家庭用)、仕向け地域(米国向けやヨーロッパ向け)等の識別を行う。
このため、特に図示しないが、コア凹部260における嵌合凹部292の位置を、周方向に例えば90°ピッチでずらした(位相をずらした)、仕向け地域別(用途別)の複数種のテープカートリッジ100を用意するようにしている。また、これに対応して、ベース凸部40における舌片286の位相をずらした、仕向け地域別(用途別)の複数種のテープ印刷装置1を用意するようにしている(第1識別パターン)。
また、カートリッジ種別の多数化を図るべく、コア凹部260における嵌合凸部290の位相をずらしたパターン(ベース凸部40における切欠き開口部280の位相をずらしたパターン)も加えるようにしている(第2識別パターン)。なお、位相をずらすこと(第1識別パターンおよび/または第2識別パターン)に代えて、或いは位相をずらすことに加えて、嵌合凹部292(舌片286)や嵌合凸部290(切欠き開口部280)の形状を変えるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態のテープカートリッジ100によれば、識別凹部264が陥没部262に配設されているため、装着に際して、ベース凸部40の識別凸部42に対し識別凹部264が嵌合を開始する前に、識別凸部42がいったん陥没部262に突き当たりテープカートリッジ100の姿勢が矯正される。このため、識別凸部42に識別凹部264が嵌合を開始する前に、スプライン駆動軸49(スプライン軸部274)にスプラインボス部244が嵌合を開始する可能性を高めることができる。すなわち、テープカートリッジ100の装着に際して、傾いた姿勢で装着が開始されても、スプラインボス部244から嵌合を開始することができる。
これにより、スプラインボス部244がスプライン駆動軸49につかえる等の不具合を抑制することができる。また、識別凹部264に対しスプラインボス部244の嵌合が先行することで、装着開始時に、テープカートリッジ100の傾きや位置を矯正することができる。さらに、スプラインボス部244の嵌合開始と識別凹部264の嵌合開始との間でタイミングの差を設けることで、装着時の衝撃力を分散させることもできる。したがって、テープカートリッジ100のテープ印刷装置1の装着部への装着を円滑に行うことができる。
また、識別凹部264が陥没部262に設けられているため、識別凹部264(コア軸部192)を実質的に短くすることができ、適度な強度を持たせることができる。しかも、識別凹部264は、落下衝撃等に対し直接の衝撃力を受ける可能性が低い。したがって、識別凹部264を破損し難い構造とすることができる。さらに、陥没部262により、識別凹部264に嵌合凸部290等の突起があってもこれがテープカートリッジ100の外表面から突出することがなく、テープカートリッジ100を重ねて保管する場合に、嵌合凸部290等が邪魔になることがない。
[第1変形例]
次に、図14を参照して、上記実施形態の第1変形例について説明する。同図に示すように、この第1変形例では、ベース凸部40の内部にカートリッジ検出部300(被作動部)を組み込むようにしている。このカートリッジ検出部300は、上記コア凹部260の嵌合凸部290を作動部として作動され、上記のカートリッジ種別における適正なテープカートリッジ100の装着を検出する。したがって、第1変形例における嵌合凸部290は、テープカートリッジ100側の被検出部としても機能する。
カートリッジ検出部300は、ベース凸部40における台座部41の内部に組み込まれており、作動部である嵌合凸部290より下動する被作動部材302と、被作動部材302に下側から接触するスイッチ本体304と、を有している。スイッチ本体304は、固定的に設けられたマイクロスイッチ等で構成されている。また、被作動部材302は、キャップ状に形成され、台座部41の内周面に上下動自在に設けられている。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、コア凹部260の嵌合凸部290が、ベース凸部40の切欠き開口部280を介して被作動部材302に当接し、これを下動させる。この被作動部材302の下動によりスイッチ本体304が作動(ON)し、テープカートリッジ100の装着が検出される。
このように、第1変形例によれば、ベース凸部40内にカートリッジ検出部300を設けることにより、仕向け地域別(用途別)のテープカートリッジ100が適正に装着されたことを、検出することができる。また、カートリッジ検出部300は、被作動部材302を介してスイッチ本体304を作動させる構造であり、且つ被作動部材302がキャップ状に形成されているため、カートリッジ識別のために切欠き開口部280の位置や形状を変更しても、カートリッジ検出部300側に変更を加える必要がない。
なお、テープカートリッジ100に、寒冷地用等の仕向け地域(用途)が存在する場合には、カートリッジ検出部300の検出結果に基づいて、テープ印刷装置1を寒冷地モードに切り替える等の動作を行ってもよい。
[第2変形例]
次に、図15を参照して、上記実施形態の第2変形例について説明する。同図に示すように、この第2変形例では、ベース凸部40の内部に組み込まれたカートリッジ検出部300において、被作動部材302Aが舌片286を兼ねる構造を有している。したがって、第2変形例では、舌片286に対応するコア凹部260の嵌合凹部292が、テープカートリッジ100側の被検出部として機能する。
このカートリッジ検出部300では、被作動部材302Aが、軸状部310と、舌片286を兼ねる舌状部312とで一体に形成されている。軸状部310は、ベース凸部40における凸部本体282の内周面に上下動自在に設けられている。また、舌状部312は、凸部本体282の側面から台座部41の上面に亘って設けたL字スリット部316に上下動自在に設けられている。この場合、舌状部312は、作動ストロークを考慮し、初期位置が上記の舌片286より幾分高い位置に設定されている。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、コア凹部260の嵌合凹部292(の天面)が、被作動部材302Aの舌状部312に当接し、被作動部材302Aを下動させる。この被作動部材302Aの下動によりスイッチ本体304が作動(ON)し、テープカートリッジ100の装着が検出される。
このように、第2変形例によれば、ベース凸部40内にカートリッジ検出部300を設けることにより、仕向け地域別(用途別)のテープカートリッジ100が適正に装着されたことを、検出することができる。また、被作動部材302Aが舌片286を兼ねる構造であるため、部品点数を削減することができる。
[パターン読取部の詳細]
次に、図5ないし図7を参照して、検出部としてのパターン読取部59について説明する。図5および図6に示すように、検出部としてのパターン読取部59は、カートリッジ装着部5の側板部33の手前側に設けられ、カートリッジ装着部5の内側を向いて配設されている。すなわち、パターン読取部59は、テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着したときに、テープカートリッジ100の基端面(下ケース150の基端面150a)に対向する位置に配設されている。パターン読取部59は、カートリッジ装着部5の内側に向いて配設されたセンサーユニット400と、センサーユニット400を移動自在に支持するユニット支持部402と、センサーユニット400をカートリッジ装着部5の内側に付勢するユニット付勢部404と、を備えている。
ユニット支持部402は、カートリッジ装着部5の側板部33に開口された開口部分33aに設けられ、センサーユニット400をカートリッジ装着部5の内側および外側に移動自在に支持している。
ユニット付勢部404は、左右一対のコイルばね406を有し、当該一対のコイルばね406により、センサーユニット400に設けられた一対のばね受け部424(後述する)を付勢する。すなわち、ユニット付勢部404は、一対のコイルばね406により、一対のばね受け部424を介して、センサーユニット400をカートリッジ装着部5の内側に付勢する。当該付勢によって、テープカートリッジ100が装着されていない状態では、センサーユニット400が、カートリッジ装着部5の内側に突き出した状態となる。また、テープカートリッジ100が装着されている状態では、センサーユニット400が、テープカートリッジ100側に付勢され、センサーユニット400が、テープカートリッジ100の基端面に押圧された状態となる。
図7に示すように、センサーユニット400は、センサー基板408に複数の光学センサー409を実装したセンサー部410(検出部)と、センサー部410を搭載したセンサーホルダー412(ホルダー)と、を備えている。センサー基板408は、鉛直姿勢で、センサーホルダー412の基端部に取り付けられている。このように、センサー基板408がセンサーホルダー412に取り付けられることで、センサーホルダー412がセンサー部410を保持した状態となっている。
複数の光学センサー409は、センサー基板408上において、上記ビット構成部145(図3参照)と同様に、2行4列でマトリックス状に配設されている(図7(b)参照)。また、複数の光学センサー409は、それぞれ光反射型の光学式非接触センサーで構成されており、各ビット構成部145(識別部147)に対し検出光を照射すると共に、各ビット構成部145(識別部147)からの反射光を受光する。上記したように、各ビット構成部145における識別部147は、白地の印刷領域に、黒インクが印刷されているか否かによって、ビット情報を示すものであり、各光学センサー409は、当該各ビット構成部145(識別部147)からの反射光の有無(厳密には光量が一定量以上であるか否か)によって、ビット構成部145に識別部147の黒インクが印刷されているか否か(識別部147が設けられているか否か)を検出し、この検出結果に基づいて、ビット構成部145が示すビット情報を読み取る。センサー部410は、複数の光学センサー409により、各ビット構成部145のビット情報を読み取ることで、上記ビットパターンを読み取り、これに対応するテープカートリッジ100の種別情報を読み取る。
センサーホルダー412は、側面視台形状のホルダー本体420と、ホルダー本体420から基端側に突出する上下一対の基板取付フック422と、ホルダー本体420の基端部から左右に突出する左右一対のばね受け部424と、ホルダー本体420の右前方に設けられた位置決めピン426(被係合部)と、位置決めピン426とホルダー本体420とを連結する連結部428と、を備えている。なお、ホルダー本体420、一対の基板取付フック422、一対のばね受け部424、位置決めピン426および連結部428は、樹脂等で一体に形成(成形)されている。
一対の基板取付フック422は、センサー基板408をセンサーホルダー412に取り付けるためのものである。すなわち、この一対の基板取付フック422によって、センサー基板408が、センサーホルダー412に取り付けられている。
一対のばね受け部424は、上記一対のコイルばね406の一端が当接され、一対のコイルばね406の付勢力を受ける部分である。当該一対のばね受け部424は、カートリッジ装着部5の側板部33に突き当たり、センサーユニット400の移動における前端規制を行う前端規制部としても機能する。
ホルダー本体420は、複数の光学センサー409全体を覆うホルダーカバー430と、各光学センサー409を個々に囲う仕切り部材432と、から成る。ホルダーカバー430の先端部には、複数の光学センサー409に対応する複数のセンサー孔434が形成されている。各光学センサー409は、この各センサー孔434から検出光を照射し、また、この各センサー孔434から、ビット構成部145からの反射光を受光する。
ホルダーカバー430は、各光学センサー409への外光を遮光する外光遮光部として機能する。一方、仕切り部材432は、隣接する光学センサー409からの検出光を遮光し、光学センサー409同士の干渉を防ぐ干渉防止部として機能する。
また、ホルダーカバー430は、外光遮光部として機能するだけでなく、テープカートリッジ100の基端面に当接して、センサー部410(各光学センサー409)とビット構成部145との間のクリアランスを所定のクリアランスにするスペーサーとしても機能する。すなわち、ホルダーカバー430の先端面430aが、テープカートリッジ100の基端面に対する当接面となっている。そして、ユニット付勢部404(一対のコイルばね406)の付勢により、一対のばね受け部424を介して、ホルダーカバー430がテープカートリッジ100に押圧されると、当該先端面430aが、テープカートリッジ100の基端面に当接し密着することで、センサー部410とビット構成部145との間に上記所定のクリアランスを形成する。なお、ホルダーカバー430の先端面430aは、テープカートリッジ100の基端面に倣うように、若干前下がりに傾斜して形成されている。
また、ホルダーカバー430の前方上端部には、前方側に下り傾斜となる誘い斜面430bが形成されている。当該誘い斜面430bは、テープカートリッジ100を装着するときに、テープカートリッジ100の裏面側端部に当接し、テープカートリッジ100を装着する力の一部(分力)を、センサーユニット400をカートリッジ装着部5の外側に押し戻す力として作用させるものである。当該誘い斜面430bにより、テープカートリッジ100の装着に伴って、センサーユニット400が、ユニット付勢部404に抗して押し戻される。これによって、テープカートリッジ100の装着が完了したとき、センサーユニット400がテープカートリッジ100に押圧された状態となる。
[種別読取パターン(ビット構成部)の詳細]
次に、図16ないし図24を参照して、被検出部としての種別読取シール143に設けられたビット構成部145、およびビット構成部145に形成されるビットパターン(種別読取パターン)を構成する識別部147について説明する。
図16に示すように、種別読取シール143には、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ色、材質、収容されたインクリボン110のリボン色等)を示す種別読取パターンを形成する領域としてビット構成部145が形成されている。ビット構成部145は、2行4列でマトリックス状に配置された8つの領域bit1〜領域bit8を有している。そして、領域bit1〜領域bit8には、識別部147が配置されたビットパターン(種別読取パターン)が構成されている。識別部147は、白地の印刷領域に、黒インクが印刷(べた印刷)されているか否かによって、各1ビットのビット情報を示すものである。換言すれば、ビット構成部145の各領域bit1〜領域bit8それぞれの、無地/塗りつぶしによる2進数で表すビット情報となる。すなわち、計8つの識別部147によって、8ビットのビットパターン(種別読取パターン)を示している。
このように、8ビットのビットパターン(種別読取パターン)を備えたビット構成部145と、前述した検出部としてのパターン読取部59(図5、図6参照)とにより、走査読み込みを行うことなく、テープカートリッジ100の各種種別情報を読み取ることができる。即ち、簡便に短時間で、且つ装着者(利用者)の手を煩わせることなくテープカートリッジ100の各種種別情報を読み取ることができる。
ビットパターン(種別読取パターン)の構成の一例としては、次のような構成を例示することができる。その構成例は、bit1とbit5とを第1列、bit2とbit6とを第2列、bit3とbit7とを第3列、およびbit4とbit8とを第4列とする。そして、第1列のビットパターンにより4通りのリボン色を識別し、第2列および第4列のビットパターンにより16通りのテープ色を識別し、第3列のビットパターンにより4通りのテープ幅を識別する。このように、当該8ビットのビットパターン(種別読取パターン)が、上記各種種別情報に対応しており、当該ビットパターンによって、上記各種種別情報を示している。
なお、上記構成例のように、第1列と第2列、第2列と第3列などのように隣り合う列を同じ種別情報として用いることを避けることにより、パターン読取部59の位置ずれなどが起きても、それぞれが異なる種別情報であるため、誤判定を減少させることが可能となり、種別情報の判定をより正確なものとすることができる。
ビット構成部145における、識別部147の配置の組み合わせ例(ビットパターン)としては、上述のように8ビットのビットパターン(種別読取パターン)を有することができる。ここで、図17ないし図24に、識別部147の配置の組み合わせ例(ビットパターン)を具体的に羅列する。パターンA0(図17参照)からパターンP15(図24参照)までの256通りのパターンを供することができる。このような256通りのパターンの中から任意のパターンを選択し、テープカートリッジ100の種別情報として用いることができる。
なお、図16のビット構成部145の外縁を示す破線は、説明の便宜上、ビット構成部145の領域を示すべく図示したものであり、実際に形成されていなくてもよいし、破線に代わって実線とするなど、他の線種を用いてもよい。
[識別部の変形例]
次に、図25を参照して、識別部の変形例について説明する。上述では、識別部147として、それぞれのビット構成部145の領域(領域bit1〜領域bit8)全体に黒インクが印刷(べた印刷)された構成を例示して説明したが、この構成に限るものではない。識別部147としては、図25に示すように、例えば、黒インクで印刷(べた印刷)された円形の識別部147a、黒インクで印刷(べた印刷)された三角形の識別部147b、黒インクで印刷(べた印刷)された四角形の識別部147c、黒インクで印刷(べた印刷)された五角形の識別部147d、黒インクで印刷(べた印刷)された六角形の識別部147e、もしくは黒インクで印刷(べた印刷)された長円形状(トラック形状)の識別部147fのように、白地のビット構成部145との判別が可能な構成であればよい。なお、識別部147としては、前述の変形例に限らず、他の多角形、楕円、もしくは直線部と曲線部とを組み合わせた外形を有する形状など、識別部147が設けられていないビット構成部145との判別が可能な構成を適用することできる。また、識別部147の他の構成例としては、図25に示すように、例えば、交差する複数の直線で構成された格子模様の識別部147hや黒字に白抜きの円形が設けられた識別部147gなど、識別部147が設けられていないビット構成部145との判別が可能な構成であれば適用することが可能である。
上述の形態によれば、テープカートリッジ100の嵌合部としてのスプラインボス部244と、テープ印刷装置1のプラテン駆動軸45のスプライン駆動軸49(駆動軸)と、がスプライン係合することによって、テープカートリッジ100が装着されている。このようなテープカートリッジ100の装着により、テープカートリッジ100とホルダー(カートリッジ装着部5)とを一体化し、被検出部としての種別読取シール143(ビット構成部145)の位置に対し、検出部としてのパターン読取部59の位置が位置決めされる。これにより、パターン読取部59と種別読取シール143(ビット構成部145)との位置関係を、最適な位置関係にすることができる。
また、テープカートリッジ100が装着された場合に、該テープカートリッジ100の装着方向に倣う壁面に配設された被検出部としての種別読取シール143(ビット構成部145)と対峙するように検出部としてのパターン読取部59が配設されているため、パターン読取部59と種別読取シール143(ビット構成部145)との距離を短縮することができ、テープカートリッジとホルダーとの位置ずれの影響を受け難くすることができる。すなわち、パターン読取部59と種別読取シール143(ビット構成部145)との最適な位置関係を維持することができる。このように、パターン読取部59と種別読取シール143(ビット構成部145)との位置関係を最適な位置関係にすることができると共に、当該最適な位置関係を維持することができることで、パターン読取部59による検出能力を向上させることができ、テープカートリッジの種別情報を正確に読み取らせることができる。
なお、上記実施形態においては、ビット構成部145および光学センサー409を、2行4列の8個ずつ備える構成であったが、これらの個数および配置(行数および列数)については、これに限定されるものではない。例えば、1行6列の6個のように、横並びに配設する構成であっても良いし、6行1列の6個のように縦並びに配設する構成であっても良い。また、4行4列の16個のように、行数と列数とが同数であっても良い。
また、上記実施形態においては、ビット構成部145が、白地の印刷領域に、黒インクが印刷(べた印刷)されているか否かによって、1ビットのビット情報を示すものであったが、印刷領域の色や、印刷するインクの色は、光学センサー409によりビット情報が検出できれば(検出光を照射したときの反射光の有無や強弱が検出できれば)、これに限るものではない。例えば、黒地の印刷領域に白インクが印刷されているか否かによって、1ビットのビット情報を示すものであっても良い。また、例えば、印刷領域の色およびインクの色の一方を、青、紺、緑系統の色にし、他方を、赤、黄、橙系統の色にする構成であっても良い。
さらに、上記実施形態においては、ビット構成部145に識別部147が配置されたビットパターン(種別読取パターン)が形成された被検出部としての種別読取シール143を、テープカートリッジ100の側面(底面150a)に貼り付けて、テープカートリッジ100の側面(底面150a)にビット構成部145を設ける構成であったが、テープカートリッジ100の側面(底面150a)に、直接、ビット構成部145を形成する構成であっても良い。かかる場合、当該側面に識別部147が配置されたビット構成部145によるビットパターン(種別読取パターン)を印刷(描画)する構成であっても良いし、当該側面に識別部147が配置されたビット構成部145によるビットパターン(種別読取パターン)をレーザー等で刻設(描画)する構成であっても良い。ひいては、各識別部147に対し選択的に開口を形成することで、識別部147が配置されたビット構成部145によるビットパターン(種別読取パターン)を形成(描画)する構成であっても良い。