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JP2018175601A - 複合成形体、その製造方法、車両用シートクッション芯材 - Google Patents

複合成形体、その製造方法、車両用シートクッション芯材 Download PDF

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JP2018175601A JP2017082305A JP2017082305A JP2018175601A JP 2018175601 A JP2018175601 A JP 2018175601A JP 2017082305 A JP2017082305 A JP 2017082305A JP 2017082305 A JP2017082305 A JP 2017082305A JP 2018175601 A JP2018175601 A JP 2018175601A
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敦夫 高山
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Abstract

【課題】反りが少なく優れた寸法精度を発揮できる、合成樹脂発泡粒子成形体と、その中にインサート成形によって埋設された補強部材とからなる複合成形体、その製造方法、複合成形体からなる車両用シートクッション芯材を提供する。【解決手段】合成樹脂発泡粒子成形体2と、その中にインサート成形により埋設された補強部材3とからなる複合成形体10、その製造方法、複合成形体10からなる車両用シートクッション芯材1である。合成樹脂発泡粒子成形体2を構成する合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂である。複合樹脂が、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合でスチレン系単量体に由来する成分を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、合成樹脂発泡粒子成形体と、該成形体内に埋設された補強部材とからなる複合成形体、その製造方法、複合成形体からなる車両用シートクッション芯材に関する。
近年、車両用シートクッション、シートバックなどの車両用シート部材に用いるシート芯材として、合成樹脂発泡粒子成形体とその内部に埋設された補強部材とからなる複合成形体が用いられている。補強部材は、例えば、金属製の環状フレーム部材であり、車両本体への取り付けや衝突時の補強のために埋め込まれる。
このような複合成形体は、例えばインサート成形により製造される。具体的には、まず、金型内の所定の位置に補強部材を配設し、次いで合成樹脂発泡粒子を金型内に充填し、加熱する。これにより、発泡粒子が相互に融着して合成樹脂発泡粒子成形体が得られると共に、この成形体内に補強部材が埋め込まれて一体化する。
合成樹脂発泡粒子成形体は、一般的に、型内成形後に成形収縮を起こすため、金型寸法よりも収縮した寸法で形状が安定する。したがって、発泡粒子成形体と補強部材とがインサート成形などにより一体的に成形された場合には、発泡粒子成形体と補強部材との収縮率の相違等に起因して、成形後、複合成形体に反りが発生する場合があった。このような反りを有する複合成形体をシート芯材として用いると、車体への取り付け精度が悪くなるおそれや、所望の性能が得られなくなるおそれがあった。
これらの問題を解決するための対策として、環状フレーム部材が露出するように発泡粒子成形体に分割空間を設け、該分割空間により、それぞれ独立して発泡粒子成形体を収縮させて寸法を安定させる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
国際公開WO2016/152530号公報
しかしながら、特許文献1の提案によれば、発泡粒子成形体が完全に分割された構造であるため、それぞれが独立して収縮できる一方、シート芯材としての全体的な一体感に欠け、取り扱い時にシート芯材が撓んだり、変形するという問題があった。そこで、全く異なるアプローチから、発泡粒子成形体と補強部材との収縮率の差を小さくする手段の開発が望まれる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、インサート成形によって製造しても反りが少なく優れた寸法精度を発揮できる複合成形体、その製造方法、複合成形体からなる車両用シートクッション芯材を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、合成樹脂発泡粒子成形体と、該成形体内にインサート成形により埋設された補強部材とからなる複合成形体であって、
上記合成樹脂発泡粒子成形体を構成する合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂であり、
該複合樹脂が、上記ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合で上記スチレン系単量体に由来する成分を含む、複合成形体にある。
本発明の他の態様は、上記複合成形体からなる車両用シートクッション芯材にある。
本発明の更に他の態様は、合成樹脂発泡粒子成形体と、該成形体内に埋設された補強部材とからなる複合成形体の製造方法であって、
ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子を発泡させることにより、合成樹脂発泡粒子を得る発泡工程と、
上記補強部材が配置された成形型内で上記合成樹脂発泡粒子を加熱することにより、上記合成樹脂発泡粒子を相互に融着させて上記複合成形体を得るインサート成形工程と、を有し、
上記合成樹脂粒子の上記複合樹脂が、上記ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合で上記スチレン系単量体に由来する成分を含む、複合成形体の製造方法にある。
上記複合成形体は、合成樹脂発泡粒子成形体と、この成形体内にインサート成形により埋設された補強部材とからなる。合成樹脂発泡粒子成形体のことを以下、適宜「発泡粒子成形体」という。発泡粒子成形体は、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂から構成されている。つまり、発泡粒子の基材樹脂が上記複合樹脂からなる。そして、複合樹脂におけるポリオレフィン系樹脂に由来にする成分とスチレン系単量体に由来する成分とが上記のごとく所定範囲に調整されている。
このような複合成形体は、型内成形後の反りが少なく、優れた寸法精度を示すことができる。したがって、複合成形体からなる車両用シートクッション芯材は、所望の寸法精度が得られ、車体への取り付け精度がよく、シートクッションとしての所望の性能が得られる。
上記複合成形体は、上記のごとく、発泡工程とインサート成形工程とを行うことにより得られる。ポリオレフィン系樹脂に含浸、重合させるスチレン系単量体の添加量を調整することにより、上記のごとく所定範囲のポリオレフィン系樹脂に由来する成分とスチレン系単量体が重合してなる成分とを含む複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子を用いて、発泡工程、インサート成形工程を行うことより、上記のように、成形後の複合成形体の反りの発生を十分に抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、反りが少なく優れた寸法精度を発揮できる、合成樹脂発泡粒子成形体と、この成形体内にインサート成形によって埋設された補強部材とからなる複合成形体、その製造方法、複合成形体からなる車両用シートクッション芯材を提供することができる。
実験例における、試料Eの製造に用いた発泡性合成樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。 実験例における、試料C1の製造に用いた発泡性合成樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。 実験例における、試料C2の製造に用いた発泡性合成樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。 実施例1における、車両用シートクッション芯材を模式的に示す斜視図。 実施例1における、車両用シートクッション芯材の発泡粒子成形体内への補強部材の埋設状態を平面図にて示す説明図。 図5におけるVI−VI線矢視断面図。 実施例1における、車両用シートクッション芯材における変位量の測定位置を平面図にて示す説明図 実施例2における、車両用シートクッション芯材におけるスリットの位置を平面図にて示す説明図。 実施例3における、車両用シートクッション芯材の貫通型のスリットの位置を平面図にて示す説明図(a)、(a)におけるb1−b1線矢視断面図。 実施例3における、車両用シートクッション芯材における非貫通型のスリット位置を平面図にて示す説明図(a)、(a)におけるb2−b2線矢視断面図。 実施例3における、車両用シートクッション芯材におけるスリット位置の各変形例を平面図にて示す説明図(a)〜(e)。
次に、複合成形体、その製造方法、車両用シートクッション芯材の好ましい実施形態について説明する。
複合成形体は、発泡粒子成形体と補強部材とを有する。合成樹脂を基材樹脂とする発泡粒子成形体は、通常、成形後に略均等に収縮して、成形型の寸法よりも寸法が小さくなる成形収縮を生じる。この成形収縮は、結晶性の熱可塑性樹脂を基材樹脂とする場合に、顕著に現れる。補強部材は、通常、発泡粒子成形体とは異種素材からなり、金属や繊維強化プラスチックなどの剛性が高く、成形収縮が相対的に小さな素材からなる。このような補強部材が発泡粒子成形体内にインサート成形された場合には、補強部材が埋設されている部分の発泡粒子成形体は収縮が阻害され、補強部材が埋設されていない部分の発泡粒子成形体は通常の成形収縮率にしたがって収縮しようとするため、成形収縮時に発泡粒子成形体に不等収縮が生じる。不等収縮は、例えば補強部材を有していない成形体が収縮する際の均等収縮とは相対的に不等な収縮である。例えば従来の構成の発泡粒子成形体の収縮力は非常に強いため、発泡粒子成形体の収縮力が補強部材の剛性を上回ると、不等収縮により補強部材自体も変形し、複合成形体に反りが発生する。これに対し、本開示は、このような反りが少なく優れた寸法精度を発揮できる複合成形体等に関し、以下の発泡粒子成形体を備える。
発泡粒子成形体は、多数の発泡粒子が相互に融着してなり、発泡粒子は、合成樹脂を基材樹脂とする粒子状の発泡体である。そして、発泡粒子成形体を構成する合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂である。このことは、発泡粒子成形体を構成する各発泡粒子が複合樹脂を基材樹脂とすることを意味する。
本明細書において、複合樹脂は、上述のようにポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体が含浸、重合された樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂由来の成分と、スチレン系単量体由来の成分とを含有する樹脂である。通常、スチレン系単量体由来の成分の主成分は、スチレン系単量体が重合してなるスチレン系樹脂である。
スチレン系単量体の重合時には、スチレン系単量体同士の重合だけでなく、オレフィン系樹脂を構成するポリマー鎖にスチレン系単量体のグラフト重合が起こることがある。この場合、複合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂成分と、スチレン系単量体が重合してなるポリスチレン系樹脂成分とを含有するだけでなく、さらにスチレン系単量体がグラフト重合したポリオレフィン系樹脂成分(すなわち、PO−g−PS成分)を含有する。また、スチレン系単量体の重合時には、ポリオレフィン系樹脂の架橋が起こる場合がある。この場合には、複合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂成分として、架橋していないポリオレフィン系樹脂と架橋したポリオレフィン系樹脂を含む。したがって、複合樹脂は重合済みのポリオレフィン系樹脂と重合済みのポリスチレン系樹脂とを溶融混練してなる混合樹脂とは異なる概念である
複合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合でスチレン系単量体に由来する成分を含む。この範囲を上回っても、下回っても、成形後の複合成形体の反りが大きくなってしまう。
複合成形体の反りをより抑制できるという観点から、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対するスチレン系単量体に由来する成分の含有量は、250〜400質量であることが好ましく、250質量部以上かつ350質量部未満であることがさらにより好ましい。
また、発泡粒子成形体が上記のように所定の組成割合に調整された複合樹脂を含有するため、複合成形体は、オレフィン系樹脂の優れた靱性、復元性と、スチレン系樹脂の優れた剛性を兼ね備えることができる。したがって、複合成形体は、車両用部材に好適である。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等のエチレン系樹脂を用いることができる。また、オレフィン系樹脂としては、例えばプロピレンホモ重合体(つまり、ポリプロピレン)、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等のプロピレン系樹脂を用いることもできる。また、ポリオレフィン系樹脂としては、1種の重合体でもよいが又は2種以上の重合体の混合物を用いることもできる。
発泡性を向上でき、発泡粒子が優れた型内成形性を示すという観点、発泡前における複合樹脂が後述する両連続構造のモルフォロジーになりやすいという観点から、ポリオレフィン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とすることが好ましい。これらの効果をより高めるという観点から、ポリオレフィン系樹脂中の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が5質量%以下(ただし0を含む)であることが好ましい。この場合には、複合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂成分とスチレン系単量体が重合してなる成分との両方が連続相となる両連続構造となり易くなる。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、通常、0.88〜0.945g/cm3であるが、好ましくは0.88〜0.94g/cm3、より好ましくは0.88〜0.93g/cm3であることがよい。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと1−ブテンや1−ヘキセン等のα−オレフィンとの共重合体であり、上述のように低密度のものである。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のメルトマスフローレート(MFR:190℃、荷重2.16kg)は、発泡性の観点から0.5〜4.0g/10分が好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂のMFRは、JIS K7210−1:2014に基づいて測定される、温度190℃、荷重2.16kgの条件における値である。また、測定装置としては、例えば宝工業(株)製の型式L203などのメルトインデクサーを用いることができる。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、メタロセン重合触媒を用いたものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の融点Tmが95℃〜115℃であることが好ましい。この場合には、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。より好ましくはポリオレフィン系樹脂のTmは100〜110℃であることがよい。
複合樹脂は、スチレン系単量体由来の成分を含有する。スチレン系単量体は、スチレンだけでなく、スチレンと共重合可能なモノマーを含むことができる。スチレンと共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン誘導体、その他のビニルモノマー等が挙げられる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
また、その他のビニルモノマーとしては、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基を含有するビニル化合物、アクリロニトリル等のニトリル基を含有するビニル化合物、酢酸ビニル等の有機酸ビニル化合物、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物、ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン化合物、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物などが挙げられる。これらのビニルモノマーは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。
発泡性を高めるという観点から、スチレン系単量体としてはスチレンを単独で用いるか、スチレンとアクリル系単量体とを併用することが好ましい。さらに発泡性を高めるという観点からは、スチレン系単量体としては、スチレンとアクリル酸ブチルとを用いることがより好ましい。この場合には、複合樹脂中のアクリル酸ブチル成分の含有量が0.5〜10質量%になるように調整することが好ましく、1〜8質量%になるように調整することがより好ましく、2〜5質量%になるように調整することがさらに好ましい。また、複合成形体の耐熱を高めるという観点から、スチレンとメタクリル酸や、スチレンとαメチルスチレンとを併用することが好ましい。この場合には、スチレン系単量体中のメタクリル酸及び/又はαメチルスチレンの含有量を0.5〜20質量%とすることが好ましい。
合成樹脂発泡粒子成形体を構成する合成樹脂発泡粒子が、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分と、スチレン系単量体が重合してなる成分との両方を連続相とするモルフォロジーを有する複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子を発泡させて得られた発泡粒子からなることが好ましい。このような両連続構造のモルフォロジーを有する複合樹脂は、一次発泡時や、型内成形の際の二次発泡時に十分に塑性変形すると考えられる。そのため、発泡、成形後に、発泡粒子成形体にかかる収縮力が小さくなり、収縮率が十分に小さくなると考えられる。その結果、成形後の複合成形体の反りの発生をより効果的に抑制することができるようになると考えられる。
また、複合樹脂は、分散径拡大剤を含有することが好ましい。この場合には、発泡前の複合樹脂が両連続構造になりやすくなる。分散径拡大剤としては、たとえば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル―スチレン共重合体等を用いることができる。好ましくは、複合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分とスチレン系単量体に由来する成分との合計量100質量部に対して、アクリロニトリル−スチレン共重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル−スチンレン共重合体の少なくとも一方を1〜10質量部含有することがよい。この場合には、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合でスチレン系単量体に由来する成分を含有する複合樹脂が、発泡前においてより両連続構造になりやすくなる。そのため、このような複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子を用いることにより、複合成形体の成形後における反りをより小さくすることができる。アクリロニトリル−スチレン共重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル−スチンレン共重合体の少なくとも一方の含有量は、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分とスチレン系単量体に由来する成分との合計量100質量部に対して5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
複合成形体は、発泡工程とインサート成形工程とを行うことにより得られる。発泡工程においては、まず、例えば100質量部のポリオレフィン系樹脂粒子に250〜500質量部のスチレン系単量体を含浸、重合させる。これにより、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分とスチレン系単量体が重合してなる成分とを含む複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子を得ることができる。ポリオレフィン系樹脂粒子のことを、以下適宜「核粒子」という。また、複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子は、複合樹脂粒子ということもできる。
合成樹脂粒子を得るにあたっては、例えば、まず、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする核粒子を水性媒体などの液体中に分散させて分散液を作製する。核粒子は、ポリオレフィン系樹脂の他に、気泡調整剤、着色剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、耐候剤、分散径拡大剤等の添加剤をさらに含有することができる。核粒子は、必要に応じて添加される上述の添加剤をポリオレフィン系樹脂に配合し、配合物を押出機などにより溶融混練してから造粒することにより製造することができる。
核粒子の造粒は、例えばストランドカット方式、アンダーウォーターカット方式、ホットカット方式等によって行うことができる。
水性媒体としては、例えば脱イオン水を用いることができる。核粒子は、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。この場合には、スチレン系単量体を水性媒体中に均一に懸濁させることができる。懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルアルコール等の有機懸濁剤を用いることもできる。好ましくは、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムがよい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体(具体的には、反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して、固形分量で0.05〜10質量部が好ましい。より好ましくは0.3〜5質量部がよい。
水性媒体には、界面活性剤からなる分散剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
好ましくは、界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤を用いることがよい。より好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩がよく、ナトリウム塩がよい。
また、靭性、機械的強度により優れた成形体を得るためには、水性媒体に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、クエン酸等を用いることができる。複合樹脂からなる合成樹脂粒子の最表面付近におけるスチレン系樹脂成分の量を低減する観点から、水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(具体的には、反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.06質量部がよい。
合成樹脂粒子を得るために、次いで、水性媒体中でスチレン系単量体を核粒子に含浸、重合させる。なお、スチレン系単量体等の重合は、重合開始剤の存在下で行うことができる。この場合には、スチレン系単量体等の重合と共に、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂の架橋が生じることがある。また、必要に応じて別途架橋剤を併用することができる。重合開始剤、架橋剤を使用する際には、予めスチレン系単量体に重合開始剤、架橋剤を溶解させておくことが好ましい。
重合開始剤としては、スチレン系単量体の懸濁重合法に用いられるものを用いることができる。例えばスチレン系単量体に可溶で、1時間半減期温度が70〜140℃である重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えばラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることができる。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物等を用いることができる。これらの重合開始剤は1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、スチレン系単量体を核粒子内部まで含浸させやすいという観点から1時間半減期温度が100〜140℃である重合開始剤が好ましく、ジクミルパーオキサイドを用いることが好ましい。重合開始剤は、スチレン系単量体100質量部に対して0.01〜3質量部で使用することが好ましい。
また、架橋剤としては、1時間半減期温度が110〜160℃の架橋剤を用いることが好ましい。具体的には、例えばt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジt−ブチルパーオキサイド等の過酸化物を用いることができる。架橋剤は、単独または2種類以上併用して用いることができる。架橋剤の配合量は、スチレン系単量体100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。なお、重合開始剤及び架橋剤としては、同じ化合物を採用することもできる。
核粒子にスチレン系単量体を含浸させて重合させるにあたって、核粒子を分散させた水性媒体中に、配合予定のスチレン系単量体の全量を例えば2以上に分割し、これらのモノマーを異なるタイミングで添加することが好ましい。具体的には、配合予定のスチレン系単量体の全量のうちの一部を、核粒子が分散された水性媒体中に添加して、スチレン系単量体を含浸、重合させつつ、次いで、さらに配合予定のスチレン系単量体の残部を1回又は2回以上に分けて水性媒体中に添加することができる。
また、重合開始剤は、スチレン系単量体に溶解させた状態で、水性媒体中に添加することができる。上述のごとく、配合予定のスチレン系単量体を2回以上に分割して異なるタイミングで添加する場合には、いずれのタイミングで添加されるスチレン系単量体にも重合開始剤を溶解させることができ、異なるタイミングで添加される各スチレン系単量体に重合開始剤を添加することもできる。スチレン系単量体を分割して添加する場合には、少なくとも最初に添加されるスチレン系単量体(以下、「第1モノマー」という)には重合開始剤を溶解させておくことが好ましい。
なお、第1モノマーとして添加するスチレン系単量体のシード比(すなわち、核粒子に対する第1モノマーの質量比)は、0.5以上であることが好ましい。この場合には、複合樹脂中のスチレン系樹脂成分の割合が高い場合であっても、第2モノマーの添加量が多くなりすぎることを抑制できるため、スチレン系単量体の含浸性を高めることができ、粒子表面のスチレン系樹脂成分を低減することができる。また、複合樹脂からなる合成樹脂粒子の形状をより球状に近づけることが容易になる。同様の観点から、シード比は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。また、シード比は、1.5以下であることが好ましい。この場合には、複合樹脂中のスチレン系単量体由来の成分の割合が高い場合であっても、スチレン系単量体の含浸性を高めることができ、スチレン系単量体を核粒子に十分に含浸させることができる。また、スチレン系単量体が核粒子に充分に含浸される前に重合することをより防止することができ、樹脂の塊状物の発生をより防止することができる。同様の観点から、第1モノマーのシード比は、1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
含浸温度、重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃であることが好ましく、70〜105℃であることがより好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃であることが好ましい。スチレン系単量体の含浸温度は、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸させる温度である。また、重合温度は、ポリオレフィン系樹脂に含浸したスチレン系単量体の重合を進行させる温度である。
また、スチレン系単量体には、気泡調整剤、可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、着色剤、連鎖移動剤等を添加することができる。
発泡工程においては、合成樹脂粒子を発泡させる。これにより、合成樹脂発泡粒子を得る。合成樹脂発泡粒子のことを、本明細書においては適宜「発泡粒子」という。発泡には、従来公知の発泡方法を適用することができる。具体的には、例えば、合成樹脂粒子を発泡剤と共に耐圧容器内で水等の分散媒に分散させ、加熱して樹脂粒子を軟化させるとともに合成樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、合成樹脂粒子の軟化温度以上の温度で容器内より低圧下(例えば、通常大気圧下)に分散媒と共に合成樹脂粒子を放出して発泡させる方法(以下、ダイレクト発泡方法ともいう。)を用いることができる。また、例えば、発泡剤を含んだ発泡性合成樹脂粒子を密閉容器から取り出し、スチームなどの加熱媒体で発泡性合成樹脂粒子を加熱して発泡させる方法を用いることもできる。発泡粒子の嵩密度は10〜50kg/m3が好ましく、20〜40kg/m3であることがより好ましい。
インサート成形工程においては、補強部材が配置された成形型内で発泡粒子を加熱する。これにより、多数の発泡粒子が相互に融着し、発泡粒子成形体が得られると共に、発泡粒子成形体と補強部材とが一体化し、発泡粒子成形体に補強部材が埋め込まれた複合成形体を得ることができる。発泡粒子の加熱は、成形型内に例えばスチームを導入することにより行われる。
発泡粒子成形体の見掛け密度は、10〜50kg/m3が好ましい。強度と軽量性とのバランスに優れた車両用シートクッション芯材とする観点からは、発泡粒子成形体の見掛け密度は20〜40kg/m3であることがより好ましい。なお、発泡粒子成形体の見掛け密度が低いほど、一般に、複合成形体の反りは大きくなる傾向にあるので、上述の反り抑制の効果が発揮され易くなる。また、異なる見掛け密度を有する発泡粒子成形体を複数組み合わせて、一つの発泡粒子成形体とすることもできる。この場合には、発泡粒子成形体全体の平均の見掛け密度が上記の数値範囲内にあればよい。なお、ここで用いる見掛け密度は、発泡粒子成形体を水没させて測定する水没法により求めることができる。
補強部材は、例えば車両用シートクッション芯材の補強部材として用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅等からなる金属製補強部材や、エンジニアリングプラスチック、ガラス繊維強化樹脂等からなる樹脂製補強部材等を挙げることができる。これらの中でも、強度等の観点から金属製のものが好ましい。また、その形状は、線状、管状、または棒状のものが好ましく、直径が2〜20mmのものが好ましい。
また、補強部材の形状は、車両本体への取り付けや、衝突時の補強として機能する形状であれば特に制限はないが、発泡粒子成形体の少なくとも一辺に沿って埋め込まれていることが好ましく、発泡粒子成形体の少なくとも長手方向の辺に沿って埋め込まれていることがさらに好ましい。また、補強部材の長さは、補強部材が埋め込まれている部分の辺の長さを100%としたときに、30%以上の長さであることが好ましく、50%以上の長さであることがより好ましい。
また、補強部材は、例えばフロントフレーム部と、リアフレーム部と、上記フロントフレーム部及び上記リアフレーム部を連結する2つのサイドフレーム部とを有する環状ワイヤフレーム部材であることが好ましい。この場合には、例えばフロントフレーム部において車両用シートクッション芯材を車両本体に取り付け、リアフレーム部により車両用シートクッション芯材をバックシートに取り付けることができる。また、環状ワイヤフレーム部材により、車両用シートクッション芯材を補強することができる。補強効果を高めるためには、環状ワイヤフレーム部材が合成樹脂発泡粒子成形体の周縁部に埋設されていることが好ましい。
補強部材は、発泡粒子成形体から露出する露出部分を有していてもよい。補強部材が環状ワイヤフレーム部材であり、環状ワイヤフレーム部材が合成樹脂発泡粒子成形体の周縁部に埋設されている場合、補強部材の全長を100%としたとき、その50%以上にわたる範囲が埋設されていることが好ましく、70%以上にわたる範囲で埋設されていることがより好ましく、90%以上にわたる範囲で埋設されていることがさらに好ましい。
なお、上記埋設とは、補強部材の形状が線状、管状または棒状である場合、補強部材が、補強部材の軸方向に直交する方向から発泡粒子成形によりその周囲を囲われている状態を意味する。この場合、発泡粒子成形体と補強部材との間に、わずかな隙間があってもよい。また、露出とは、補強部材の少なくとも一部が外方から視認できる状態を意味する。
複合成形体からなる車両用シートクッション芯材は、合成樹脂発泡粒子成形体の成形収縮時の不等収縮を緩和するように形成されたスリットを有することが好ましい。つまり、不等収縮を緩和できるスリットを有することが好ましい。この場合には、複合成形体の反りをより一層抑制できる。そのため。車両用シートクッション芯材は、車体への取り付け精度がより一層良好になり、所望の性能をより確実に発揮することができる。
スリットの形成パターンは、上述のように不等収縮を緩和できれば特に限定されるものではないが、後述の実施例において例示する。スリットは、車両用シートクッション芯材を厚み方向に貫通していてもよいし、非貫通の凹欠溝(つまり有底溝)であってもよい。
[実験例]
本例においては、複合成形体に用いられる複数の発泡粒子成形体(試料E、試料C1、試料C2)を製造し、収縮率などの特性を評価する。各発泡粒子成形体は、複合樹脂を基材樹脂とする多数の発泡粒子が相互に融着してなる。複合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を所定割合で含浸重合してなる。以下、各発泡粒子成形体の製造方法について説明する。
[1]試料Eの製造
(1−1)核粒子の作製
ポリオレフィン系樹脂として、メタロセン重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ 9P51A」を準備した。また、分散径拡大剤として、アクリロニトリル−スチレン共重合体(電気化学工業(株)製「AS−XGS、重量平均分子量:10.9万、アクリロニトリル成分量:28質量%、MFR(200℃、荷重5kg):2.8g/10min)を準備した。そして、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂20kgと、分散径拡大剤1kgとをヘンシェルミキサーに投入し、5分間混合して樹脂混合物を得た。この樹脂混合物を樹脂aとする。樹脂aの温度190℃、荷重2.16kgのMFRを表1に示す。なお、ヘンシェルミキサーとしては、三井三池化工機社製の型式FM−75Eを用いた。
次いで、この樹脂混合物を押出機にて温度230〜250℃で溶融混練し、水中カット方式により平均0.5mg/個に切断し、ポリオレフィン系樹脂を含む核粒子を得た。押出機としては、内径50mmの単軸押出機を用いた。
(1−2)発泡性合成樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えた後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.5g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.5g、及び核粒子125gを投入した。
次いで、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル1.29gとt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート2.58g、及び架橋剤としてのジクミルパーオキサイド0.86gを、モノマーとしてのスチレン245g及びアクリル酸ブチル15gに溶解させ、撹拌速度500rpmで撹拌しながら溶解物をオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。過酸化ベンゾイルとしては、日本油脂(株)製「ナイパーBW」の水希釈粉体品を用いた。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートとしては、日本油脂社製「パーブチルE」を用いた。ジクミルパーオキサイドとしては、日本油脂社製の「パークミルD」を用いた。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度88℃まで昇温させた。昇温後、この温度88℃で30分間保持した後、撹拌速度を450rpmに下げた。30分かけて88℃から80℃まで冷却し、この重合温度80℃で8時間保持した。尚、80℃到達時にモノマーとしてのスチレン115gを、3時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、温度125℃まで4時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で2時間30分保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてシクロヘキサン20gとブタン(具体的には、ノルマルブタン約20体積%、イソブタン約80体積%の混合物)65gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径d63が約1.6mmの発泡性合成樹脂粒子を得た。
得られた発泡性合成樹脂粒子を、篩いにかけて直径が0.7〜2.0mmの粒子を取り出し、発泡性合成樹脂粒子100質量部に対して、帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.008質量部を添加し、さらにステアリン酸亜鉛0.12質量部、グリセリンモノステアレート0.04質量部、グリセリンジステアレート0.04質量部の混合物で被覆した。
次に、上記のようにして得られた発泡性合成樹脂粒子について、モルフォロジー、ゲル量、ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)、及びポリスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)を以下のようにして調べた。その結果を後述の表2に示す。なお、表2においては、上述のポリオレフィン系樹脂のことをポリエチレン系樹脂と表記する。
「モルフォロジー」
発泡性合成樹脂粒子中心部から観察用のサンプルを切り出した。観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウム染色を行った後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製した。この超薄切片をグリッドに載せ、発泡性合成樹脂粒子の中心部断面のモルフォロジーを倍率10000倍の透過型電子顕微鏡で観察し、断面写真(つまりTEM写真)を撮影した。透過型電子顕微鏡としては日本電子社製のJEM1010を用いた。その結果を図1に示す。同図において、濃い灰色部分がポリオレフィン系樹脂であり、薄い灰色部分がポリスチレン系樹脂である。後述の図2及び図3においても同様である。図1に示すごとく、本例の発泡性合成樹脂粒子においては、複合樹脂のポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との両方が連続相となる両連続構造(つまり、海海構造)となるモルフォロジーを示していた。なお、同図において、ポリスチレン系樹脂の相(薄い灰色の相)内に存在するサラミ状の部位は、アクリロニトリル−スチレン共重合体からなる分散径拡大剤である。
「キシレン不溶分(ゲル量)」
まず、150メッシュの金網袋中に、精秤した発泡性合成樹脂粒子約1.0gを入れた。次に、丸型フラスコ200mlにキシレン約200mlを入れ、上記金網袋に入れた発泡性合成樹脂粒子のサンプルをソックスレー抽出管にセットした。マントルヒーターで8時間加熱することによりソックスレー抽出を行い、抽出終了後に空冷で冷却した。次に1000mlのビーカーにアセトン約600mlを入れ、このアセトンにより、抽出終了後に抽出管からとりだした金網内のサンプルを洗浄した。次いで、アセトンを揮発させてから温度120℃の乾燥器内でサンプルを4時間乾燥させた。残留分をゲル分とし、初期の発泡性合成樹脂粒子量(質量)に対するゲル分量(質量)の割合を百分率で表し、これをキシレンに不溶なゲル量(質量%)とした。
「ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)」
まず、150メッシュの金網袋中に発泡性合成樹脂粒子約1.0gを入れた。次に、丸型フラスコ200mlにキシレン約200mlを入れ、上記金網袋に入れた発泡性合成樹脂粒子のサンプルをソックスレー抽出管にセットした。マントルヒーターで8時間加熱することによりソックスレー抽出を行った。ここで抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション及び減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてポリスチレン系樹脂を得た。得られたポリスチレン系樹脂2〜4mgについて、熱流束示差走査熱量測定を行った。熱流束示差走査熱量の測定は、ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型DSC測定器を用い、JIS K7121(1987年)に従って行った。そして、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度を求め、これをポリスチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)とした。
「ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)」
まず、上述の方法と同様にして、発泡性合成樹脂粒子からアセトン可溶分として、ポリスチレン系樹脂を得た。得られたポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法(高分子測定用ミックスゲルカラム)により測定した。具体的には、東ソー(株)製の測定装置(GPC−8020
ModelII)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:2ml/分、カラム:東ソー(株)製のTSK−GEL GMHという測定条件で測定を行うことができる。重量平均分子量は、ポリスチレン系樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで校正して求めた。
(1−3)発泡粒子の作製
次に、上記のようにして得られた発泡性合成樹脂粒子を用いて発泡粒子を作製した。具体的には、まず、上記のようにして得られた発泡性合成樹脂粒子を30L常圧バッチ発泡機内に入れ、この発泡機内にスチームを供給した。これにより、発泡性合成樹脂粒子を嵩密度約25kg/m3まで発泡させ、複合樹脂発泡粒子を得た。
なお、複合樹脂発泡粒子の嵩密度(kg/m3)は、1Lのメスシリンダーを用意し、空のメスシリンダー中に複合樹脂発泡粒子を1Lの標線まで入れ、メスシリンダー中に入れた発泡粒子の重量を測定することにより求めた。この操作にて求められた嵩体積1Lあたりの発泡粒子の重量を単位換算して複合樹脂発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を算出した。
(1−4)発泡粒子成形体の作製
上記で得られた発泡粒子を室温で1日間熟成した後、型物成形機で、300mm×75mm×25mmの直方体状に成形して成形体を得た。型物成形機としては、ダイセン工業社製VS−500を用いた。金型寸法は成形体と同様の300mm×75mm×25mmである。このようにして、発泡粒子をそれぞれ成形し、見掛け密度25kg/mの発泡粒子成形体を得た。なお、発泡粒子成形体の見掛け密度(単位:kg/m3)は、成形体の質量を、水没法で求めた成形体の体積で除することにより算出した。その結果を表2に示す。
次に、発泡粒子成形体について、圧縮応力、成形後7日経過後の収縮率を測定した。その結果を表2に示す。
「圧縮応力」
複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み25mmの試験片を切出し、該試験片を用いてJIS K 7220(2006年)に準じて圧縮試験を行った。圧縮歪みが50%の時の圧縮応力を50%圧縮応力(MPa)とした。
「成形後の収縮率」
成形直後の発泡粒子成形体を温度60℃で3時間乾燥後、温度23℃で7日間放置した。その後、寸法収縮率を以下の式から算出した。Lは、金型寸法における300mmの長さに相当する発泡粒子成形体における長さである。
寸法収縮率=(300−L)×100/300
[2]試料C1の製造
試料C1は、複合樹脂の組成が試料Eとは異なる発泡粒子成形体の例である。
(2−1)核粒子の作製
ポリオレフィン系樹脂としてメタロセン系触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ 9P51A」15kgと、エチレン−酢酸ビニル共重合体である東ソー社製「ウルトラン626」5kgとをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製;型式FM−75E)に投入し、5分間混合した。ここで用いた配合の樹脂混合物を樹脂bとする。樹脂bのMFR(190℃、荷重2.16kg)を後述の表1に示す。この樹脂混合物を用いて試料Eと同様にして核粒子を作製した。
(2−2)発泡性合成樹脂粒子の作製
まず、試料Eの場合と同様にして、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブにおいて、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.5g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.15g、及び核粒子150gを投入した。
次いで、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル1.72g(日本油脂(株)製「ナイパーBW」、水希釈粉体品)とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.29g(日本油脂社製「パーブチルE」)、及び架橋剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルD」)0.43gを、モノマーとしてのスチレン335g及びアクリル酸ブチル15gに溶解させ、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度87℃まで昇温させた。昇温後、この温度87℃で30分間保持した後、撹拌速度を450rpmに下げた。この重合温度87℃で6時間保持した。
次いで、温度125℃まで4時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で2時間30分保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてシクロヘキサン20gとブタン(ノルマルブタン約20体積%、イソブタン約80体積%の混合物)65gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、試料Eと同様に脱水、洗浄を行い、平均粒径(d63)が約1.6mmの発泡性合成樹脂粒子を得た。本例で得られた発泡性合成樹脂粒子の中心部断面のモルフォロジーを試料Eと同様に倍率10000倍の透過型電子顕微鏡で観察し、断面写真を撮影した。その結果を図2に示す。図2に示すごとく、本例の発泡性合成樹脂粒子においては、複合樹脂のポリオレフィン系樹脂からなる連続相中にポリスチレン系樹脂からなる非連続相が分散した海島構造となるモルフォロジーを示していた。非連続相は分散相ともいう。
得られた発泡性合成樹脂粒子を、試料Eと同様に篩いにかけて直径が0.7〜2.0mmの粒子を取り出した。さらに試料Eと同様に帯電防止剤で被覆すると共に、ステアリン酸亜鉛、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレートの混合物で被覆した。
上記のようにして得られた発泡性合成樹脂粒子を用いて、試料Eと同様にして発泡粒子を作製し、この発泡粒子を用いて発泡粒子成形体を作製した。発泡粒子、発泡粒子成形体について、試料Eと同様の物性の測定、評価を行った。その結果を表2に示す。
[3]試料C2の製造
試料C2は、試料E、試料C1とは複合樹脂の組成が異なる発泡粒子成形体である。
具体的には、まず、試料Eと同様にして、樹脂aを用いた核粒子を作製した。また、試料Eと同様にして、撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブにおいて、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。
次いで、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.25g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.15g、及び核粒子75gを投入した。
次いで、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.715g(日油社製「パーブチルE」)を、第1モノマー(スチレン系モノマー)に溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン60gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを用いた。
次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、1時間30分かけて温度100℃まで昇温させた。昇温後、この温度100℃で60分間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、重合温度100℃で7時間30分間保持した。尚、温度100℃に到達してから60分経過時に第2モノマー(スチレン系モノマー)としてのスチレン350gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、温度125℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、有機系物理発泡剤として、シクロヘキサン20g、ペンタン(ノルマルペンタン約80質量%、イソペンタン約20質量%の混合物)15g、及びブタン(ノルマルブタン約20質量%、イソブタン約80質量%の混合物)50gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加して樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径(d63)が約1.7mmの発泡性合成樹脂粒子を得た。本例で得られた発泡性合成樹脂粒子の中心部断面のモルフォロジーを試料Eと同様に倍率10000倍の透過型電子顕微鏡で観察し、断面写真を撮影した。その結果を図3に示す。図3に示すごとく、本例の発泡性合成樹脂粒子においては、複合樹脂のポリオレフィン系樹脂からなる連続相中にポリスチレン系樹脂からなる非連続相が分散した海島構造となるモルフォロジーを示していた。なお、同図において、ポリスチレン系樹脂の相(薄い灰色の相)内に存在するサラミ状の部位は、アクリロニトリル−スチレン共重合体からなる分散径拡大剤である。
また、試料Eと同様にして、得られた発泡性合成樹脂粒子に帯電防止剤(N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン)を添加し、さらにステアリン酸亜鉛、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンジステアレートの混合物で被覆した。このようにして、発泡性合成樹脂粒子を作製した。
本例で得られた発泡性合成樹脂粒子を用いて試料Eと同様にして発泡粒子、発泡粒子成形体を作製した。発泡粒子、発泡粒子成形体について、試料Eと同様の物性の測定、評価を行った。その結果を表2に示す。
表2より知られるように、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合でスチレン系単量体に由来する成分を含む複合樹脂を基材樹脂とする試料Eは、スチレン系単量体が上記範囲を外れる試料C1及び試料C2に比べて収縮率が大幅小さくなっていることがわかる。つまり、試料Eの発泡粒子成形体は、成形後、時間が経過しても寸法が変化しにくい。
ところで、試料C1と試料C2とを比較すると、スチレン系単量体由来の成分の含有量が多い程、寸法収縮率が小さくなっているため、スチレン系単量体由来の成分が多い程収縮率が小さくなると予想される。ところが、試料C2と試料Eとを比較すると、今度はスチレン系単量体由来の成分が少ない程、寸法収縮率が小さくなっており、それも大幅に小さくなっている。このことは、発泡粒子成形体を大幅に小さくするための特異的な組成範囲が存在することを意味している。そして、試料Eのように、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合でスチレン系単量体に由来する成分を含む複合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子成形体が、表2より知られるように、寸法収縮率を大幅に小さくできる。
したがって、後述の実施例1及び実施例2に示すように、インサート成形により試料Eの発泡粒子成形体に補強部材を埋設させて複合成形体とすることにより、反りの発生を抑制でき、寸法精度の高い複合成形体を得ることができる。このような複合成形体は、例えば車両用シートクッション芯材に好適になり、取り付け精度よく車体やシートバックなどに取り付けることが可能になる。
[実施例及び比較例]
(実施例1)
本例は、複合成形体からなる車両用のクッション芯材の例である。まず、実施例1にかかる芯材について説明する。図4〜図6に例示されるように、車両用シートクッション芯材1は、発泡粒子成形体2と、この中にインサート成形により埋設された補強部材3とを有する複合成形体10からなる。発泡粒子成形体2は、形状を除き、実験例1において作製した試料Eと実質的には同様のものである。なお、発泡粒子成形体2内に埋設された環状の補強部材3は、図5において本来表記されるべきではないが、説明の便宜のため表記している。実際には、補強部材3は図6に例示されるように発泡粒子成形体2内に埋設されている。
本例における車両用シートクッション芯材1は、自動車の後部座席シートのクッション芯材として用いることができる。以降の説明において、「前方」とは、シートクッション芯材を車両に取り付けた状態において、車両の前方向にあたるシートクッション芯材の方向を意味する。「後方」とは、上述の「前方」とは反対の方向を意味する。また、「側方」とは、車両の幅方向にあたるシートクッション芯材の方向を意味する。また、上面とは、車両用シートクッション芯材のける座面側の面を意味し、「下面」とは、上面の反対側の面を意味する。
車両用シートクッション芯材1における発泡粒子成形体2は、長手と短手とを有し、上面視において矩形状である。この矩形状とは、上面視において全体が外観上矩形状であることを意味し、部分的に窪んだ部分や突出した部分を有していてもよい。
発泡粒子成形体2の周縁部には、補強部材3が埋設されている。補強部材3は、環状ワイヤフレーム部材であることが好ましい。この場合には、図5に示すように、車両用シートクッション芯材1を上からみた場合において、車両用シートクッション芯材1の各辺及び四隅を補強することができる。また、環状の補強部材3は、全体が発泡粒子成形体2内に埋設されていてもよいが、補強部材3の一部が発泡粒子成形体2から露出していてもよい。
図5に例示した補強部材3は、太さ4.5mm程度の金属製のワイヤ部材からなり、略四角形の環状である。その長手方向の最大長さは1200mm、短手方向の最大長さ550mmである。補強部材3は、前方半分と後方半分とで形状が異なる前後非対称である。補強部材3の形状が前後非対称であると、成形後に発泡粒子成形体に不等収縮が生じやすくなる。以下、環状フレーム3の前方側の部分をフロントフレーム部31、後方側の部分をリアフレーム部32、側方側の部分をサイドフレーム部33ともいう。
補強部材3のフロントフレーム部31の両側端付近には、車体に取り付けるための金属製のフック3aが2個結合している。補強部材3のリアフレーム部32には、バックシートと連結するための金属製のフック3bが2個結合している。フック3a、3bの数は、特に限定されるものではない。
発泡粒子成形体2の寸法は、搭載する車両に応じて適宜変更可能であるが、概ね、長手方向の長さは1000〜1500mm、短手方向の長さは400〜700mm程度に調整される。また、厚みは、5〜200mmの範囲とすることができ、必ずしも均一な厚みでなくてもよく、発泡粒子成形体2は、周囲よりも厚みの大きな肉厚部、周囲よりも厚みの小さな肉薄部を有してもよい。最大厚みは200mm以下、好ましくは150mm以下がよい。なお、「厚み」とは、車両にシートクッション芯材を取り付けた状体における発泡粒子成形体の上下方向の長さを意味する。
次に、本例の複合成形体からなる車両用シートクッション芯材の製造方法について、説明する。車両用シートクッション芯材は、以下のようにインサート成形により製造される。
まず、上述の実験例における試料Eと同様にして得られた嵩密度25kg/mの発泡粒子を準備した。次いで、車両用シートクッション芯材を成形するための金型を準備し、この金型内に図5に示す補強部材を配置した。次いで、金型内に発泡粒子を充填し、さらにスチームを供給することにより発泡粒子を加熱した。これにより、発泡粒子を相互に融着させて発泡粒子成形体を形成すると共に、発泡粒子成形体と補強部材を一体化させた。この成形体を金型から離型した後、60℃の雰囲気で24時間養生して、複合成形体からなる車両用シートクッション芯材を得た。この芯材が実施例1である。得られた芯材は、その長手方向の最大長さ1250mm、短手方向の最大長さ580mm、最大厚み80mmであった。また、発泡粒子成形体部分の見掛け密度は25kg/mであった。
図4〜図6に例示されるように、本例の車両用シートクッション芯材1は、上述の試料Eと同様の複合樹脂を基材樹脂とする発泡粒子が相互に融着してなる発泡粒子成形体2を有しており、この発泡粒子成形体2の周縁部内に補強部材3が埋設されている。また、補強部材3は発泡粒子成形体2の下面側の部分に埋設されている。通常、このように、補強部材3の埋設位置が発泡粒子成形体2の厚み方向の中央から下面側にずれている場合、発泡粒子成形体2の下面側は収縮を阻害され、上面側は成形収縮率どおりに収縮しようとするので、不等収縮が顕著に現れる。それに対して、試料Eと同様の発泡粒子成形体2は、上述の実験例において示した通り、成形後の収縮率が非常に小さい。よって、本例のシートクッション芯材1における発泡粒子成形体2は、成形後収縮しにくく、発泡粒子成形体2と補強部材3との収縮率の差が小さくなる。そのため、車両用シートクッション芯材に反りが発生し難く、精度よく車体やシートバックなどに取り付けることができる。その結果、車両用シートクッション芯材が、所望の性能を発揮できるようになる。
以上説明した車両用シートクッション芯材は、車体に取り付けられるものであるが、車両用シートクッション芯材の上面や側面には、ウレタンフォームなどの軟質合成樹脂発泡体が積層される。さらに、その積層体の前面、側面、及び上部などの外周面を織編物、ビニールレザー、皮革等の表皮材で被覆することにより、車両用座席が形成される。
なお、軟質合成樹脂発泡体とは、シートクッションの材質として主に使用されている軟質発泡ウレタン、又は軟質発泡ウレタンとは異なる樹脂材料で発泡率を高くして発泡させて軟質にした樹脂発泡体を意味する。本例のような複合成形体からなる車両用シートクッション芯材を用いることによって、軟質合成樹脂発泡体の使用量を削減することができる。その結果、軽量性に優れる車両用座席を形成することができる。
次に、養生後23℃の雰囲気下に7日間放置した車両用シートクッション芯材の変位量を測定した。変位量は、図7に示す4点の測定部位A〜Dを計測した。測定には、測定治具を用い、図7における3点Rpで芯材を支持し、測定部位A〜Dにおいて、基準位置からの変位量をそれぞれ測定した。具体的には、成形直後の車両用シートクッション芯材における各測定部位に対する養生後7日経過後の各測定部位の変位量(つまり反り幅)を求めた。その結果を表3に示す。なお、測定部位が基準位置から上方向に変位していた場合「+」、下方向に変位していた場合「−」と表記した。
(実施例2)
次に、図8に例示されるように、発泡粒子成形体2及び補強部材3の形状が実施例1とは同じである複合成形体10からなり、発泡粒子成形体2にその成形収縮時の不等収縮を緩和するために形成されたスリット4を有する車両用シートクッション芯材1の例について説明する。なお、以下の説明において、既出の実施例などにおいて用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施例におけるものと同様の構成要素等を表す。
本例の芯材1は、実施例1と同様にして複合成形体10を得て、複合成形体10を金型から離型した後直ちに、カッターナイフを用いて、図8に例示されるように複数のスリット4を形成した。スリット4a、4bは、車両用シートクッション芯材1の上面から下面までを厚み方向に貫通すると共に車両の前後方向に伸びる。スリット4a、4bは、サイドフレーム部33の後方部分から内方側に距離d1=20mmを空けてサイドフレーム部33の伸長方向に沿って形成されている。スリット4a、4bの伸長方向の両端は、それぞれフロントフレーム部31、リアフレーム部32から内方側に距離d2=20mmを空けた位置に設けられている。また、図8に示されるように、スリット4cは、車両用シートクッション芯材1の上面から下面までを厚み方向に貫通すると共に車両の幅方向に伸びる。スリット4cは、リアフレーム部32の中央部分から内方側に距離d3=100mmを空けてリアフレーム部32の伸長方向に沿って形成されている。スリット4cの伸長方向の両端は、それぞれスリット4a、4bよりも50mm内方側の位置に設けられている。
上述の各スリット4a、4b、4cの形成後、60℃で24時間養生し、複合成形体10からなる車両用シートクッション芯材1を得た。本例の車両用シートクッション芯材についても、実施例1と同様に、各測定部位における養生後7日間経過後の変位量を測定した。その結果を表3に示す。
(比較例1)
実験例における試料C1と同様にして得られた嵩密度25kg/mの発泡粒子を用い、その他は上述の実施例1と同様の車両用シートクッション芯材を作製した。この芯材が比較例1である。本例の芯材についても、実施例1と同様に、各測定部位における養生後7日間経過後の変位量を測定した。その結果を表3に示す。
(比較例2)
実験例における試料C2と同様にして得られた嵩密度25kg/mの発泡粒子を用い、その他は上述の実施例1と同様の車両用シートクッション芯材を作製した。本例の芯材についても、実施例1と同様に、各測定部位における養生後7日間経過後の変位量を測定した。その結果を表3に示す。
(比較例3)
ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする嵩密度30kg/mの発泡粒子を用い、その他は、上述の実施例1と同様の車両用シートクッション芯材を作製した。ポリピロレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子としては、市販品を用いた。具体的には、株式会社JSP製のピーブロックを用いた。本例の芯材についても、実施例1と同様に、各測定部位における養生後7日間経過後の変位量を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例と比較例との比較)
実施例1、実施例2、比較例1〜3の比較結果は次の通りである。
表3より知られるように、実施例1及び2の車両用シートクッション芯材は、比較例1〜3に比べて反り幅が小さい。これは、実施例1及び2が、実験例における試料Eと同様に、成形後の収縮率が小さい発泡粒子成形体を備えているためである。したがって、車両用シートクッション芯材の発泡粒子成形体として、ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合でスチレン系単量体に由来する成分を含む複合樹脂を基材樹脂とするものを用いることが好適であることがわかる。この場合には、車体などへの組み付け精度を向上させ、車両用シートクッション芯材として所望の性能を発揮できる。
また、実施例2の車両用シートクッション芯材は、実施例1に比べてさらに反り幅が小さい。これは、実施例2が、発泡粒子成形体の成形収縮時の不等収縮を緩和するために形成されたスリットを有しているためである。つまり、発泡粒子成形体にスリットを形成することにより、車両用シートクッション芯材の反りをさらに抑制することができる。
(実施例3)
本例は、図9〜図11に例示されるように、発泡粒子成形体2に形成可能なスリット4のバリエーションを示す例である。スリット4は、発泡粒子成形体2の成形収縮時の不等収縮を緩和するように形成されている。スリット4は、例えば発泡粒子成形体2の収縮力が大きくなりやすい部分に形成することができる。
具体的には、例えば、収縮力が大きくなりやすい発泡粒子成形体2の厚みが大きい部分にスリット4を形成することができる。また、補強部材3に近接する領域にスリット4を形成することができ、補強部材3の伸長方向と平行に補強部材3の近傍にスリット4を形成することができる。また、補強部材3の伸長方向と直交方向にスリット4を形成することもできる。補強部材に交差するスリット4を形成することもできる。なお、ここでいう平行や直交は、外観上全体として平行や直交であればよく、厳密な平行や直交から多少の傾きを有するものも含む概念である。
好ましくは、車両の幅方向に伸びるスリット4や、車両の前後方向に伸びるスリット4を形成することができる。また、複数のスリット4を組み合わせることも可能である。
スリット4の長さ、幅、深さなどの寸法は、適宜調整することができる。スリット4の長さとは、車両用シートクッション芯材1の座面内におけるスリット4の伸長方向の長さのことであり、例えば50mm以上とすることが好ましく、100mm以上とすることがより好ましい。その上限は特に限定されず、例えば図9(a)、図10(a)、図11(e)に例示されるように、発泡粒子成形体2の端から端まで着座面を完全に分断する長さのスリット4d、4e、4m、4nを形成することも可能である。
スリット4の幅とは、伸長方向と直交方向の長さのことであり、50mm以下とすることが好ましい。通常、スリットの幅は伸長方向の長さに比べて十分に小さくなる。型内成形後にカッターナイフ等によりスリットを形成する場合には、スリット4の幅の下限は0.1mm程度であり、型内成形時にスリット4を形成する場合には、スリット4の幅を10mm以上とすることが好ましい。
スリット4は、発泡粒子成形体2の厚み方向を貫通していてもよい。つまり、スリット4は、車両用シートクッション芯材1の発泡粒子成形体2の上面から下面までを厚み方向に貫通していてもよい。また、スリット4は、発泡粒子成形体2を厚み方向に貫通しておらず、有底溝であってもよい。つまり、スリットは、貫通溝、有底溝を含む概念である。
収縮を十分に緩和して、車両用シートクッション芯材1の変形を十分抑制するという観点から、スリット4は、上面から発泡粒子成形体2の厚み方向に向かって、発泡粒子成形体3の厚みの50%程度以上まで設けられていることが好ましく、80%以上まで設けられていることがより好ましい。変形をさらに抑制するという観点からは、スリット4は、発泡粒子成形体1を貫通していることがさらに好ましい。
以下、図9〜図11に示すスリット4の例についてさらに詳細に説明する。なお、図9〜図11においては、発泡粒子成形体2に埋設された環状の補強部材3は、本来表記されるべきではないが、スリット4との位置関係を説明する便宜のために破線にて示している。また、図9(a)、図10(a)、図11(a)〜(e)においては、図の紙面における上部が後方側に相当し、下部が前方側に相当する。
図9(a)及び(b)には、車両用シートクッション芯材の前後方向に伸びるスリット4dの例が示されている。図9(a)に例示されるように、スリット4dは、発泡粒子成形体2の前方から後方に向けて形成されており、発泡粒子成形体2を分断している。つまり、スリット4dは、発泡粒子成形体2の前方端から後方端まで形成されている。このようなスリット4dは、環状の補強部材3のうち車幅方向と平行に伸びる一対の辺(つまり、フロントフレーム部31、リアフレーム部32)と交差する。また、図9(b)に例示されるように、スリット4は、発泡粒子成形体2を厚み方向に貫通する。
図10(a)及び(b)には、車両用シートクッション芯材1の前後方向に伸びるスリット4eの例を示す。スリット4eは、前後方向に伸びる点においては、上述のスリット4dと同様であるが、図10(b)に例示されるように発泡粒子成形体2を厚み方向に貫通していない。つまり、スリット4eは、上面から所定の深さまで形成された有底溝である。図10(a)及び図10(b)に例示されるように、スリット4eは、発泡粒子成形体2を厚み方向に貫通する貫通溝であっても、非貫通型の有底溝であってもよい。
図9(a)及び図10(a)に例示されるように、車両用シートクッション芯材1の前後方向に伸びるスリット4d、4eは、発泡粒子成形体2の収縮力が幅方向に伝達することを緩和できる。これにより、車両用シートクッション芯材1の反りの発生をより抑制することができる。また、図10(b)に例示されるスリット4eのように、スリット4が有底溝の場合には、発泡粒子成形体2がスリット4によって分断されないため、芯材1としての一体感を失わずに芯材1の反りを抑制することができる。
図11(a)〜(e)にさらに異なるスリットのバリエーションを示す。なお、図11(a)〜(e)に示す形状のスリット4は、発泡粒子成形体2を貫通する貫通型であってもよいし、非貫通型であってもよい。
図11(a)には、車幅方向に伸びるスリット4fの例を示す。このスリット4fの伸長方向の両端は、発泡粒子成形体2の側方の両端には至っておらず、両端よりも内側に形成されている。さらには、発泡粒子成形体2に埋設された環状の補強部材3の内側に形成されている。つまり、スリット4fの伸長方向の両端は、それぞれ補強部材3のサイドフレーム部33よりも内方の位置に形成されている。スリット4は、発泡粒子成形体2の後方側の領域に形成されている。
スリット4は、環状の補強部材3における車幅方向に伸びる後方の辺(つまり、リアフレーム部32)に沿って形成されており、この辺の近傍で、かつこの辺よりも内側(前方側)に形成されている。
図11(b)には、車幅方向に伸びる複数のスリット4g、4h、4iの例を示す。このように、スリット4を複数形成することも可能である。スリット4g、4h、4iは、互いに平行であり、いずれも発泡粒子成形体2に埋設された環状の補強部材3の内側に形成されている。また、スリット4g、4h、4iは、いずれも車両用シートクッション芯材1の後方側の領域に形成されている。スリット4g、4hは、車幅方向に並列に形成されており、スリット4iは、スリット4g、4hよりもさらに内側(つまり前方側)に形成されている。スリット4iは、これよりも後方に位置する2つのスリット4g、4hの間にスリット4iの中心が配置するように形成されている。
図11(c)には、車幅方向に伸びると共に、両端が環状の補強部材3の外側まで到達したスリット4jの例を示す。このスリット4jの伸長方向の両端は、発泡粒子成形体2の側方の両端には至っておらず、両端よりも内側に形成されている。しかし、図11(a)に例示されるスリット4fに比べて、スリット4jは、両端が車幅方向に延長されており、発泡粒子成形体2に埋設された環状の補強部材3の外側に至る。スリット4jは、発泡粒子成形体2の後方側の領域に形成されており、前後方向については環状の補強部材3の内側に形成されている。
車両用シートクッション芯材1は、衝突時のサブマリン現象を抑制するために、発泡粒子成形体2の前方側の厚みが大きくなっており、後方側の厚みが相対的に小さくなっている形状を有することがある。発泡粒子成形体2の厚みの厚い部分は、その収縮力が相対的に大きいため、補強部材3が環状ワイヤフレーム部材であると、補強部材3のリアフレーム部32の中央部分が、厚みの厚い部分の収縮により前方に引張られることにより、補強部材3が歪んでしまい、その結果、複合成形体10が反りやすくなる。図11(a)〜図11(c)に例示されるように、幅方向に伸びるスリット4を発泡粒子成形体2の後方の領域に形成すると、発泡粒子成形体2の収縮が前後方向に伝達することを緩和できる。これにより、車両用シートクッション芯材1の反りの発生をより抑制することができる。
図11(d)には、車両用シートクッション芯材1の前後方向に伸びる2のスリット4k、4lの例を示す。これらのスリット4k、4lの伸長方向の両端は、発泡粒子成形体2の前後方向の両端には至っておらず、両端よりも内側に形成されている。さらには、発泡粒子成形体2に埋設された環状の補強部材3の内側に形成されている。つまり、スリット4k、4lの伸長方向の両端は、それぞれフロントフレーム部31、リアフレーム部32よりも内方の位置に形成されている。環状の補強部材3の内側において、スリット4k4lは、補強部材3の前後方向に伸びる側方の辺(つまり、サイドフレーム部33)に沿って形成されている。
また、発泡粒子成形体2の収縮により、発泡粒子成形体2でサイドフレーム部33の中央部分が内方に引張られて、補強部材3が歪んでしまい、その結果、複合成形体10が反りやすくなる。図11(d)に例示されるように、前後方向に伸びるスリット4k、4lを側方に形成すると、発泡粒子成形体2の収縮力のサイドフレーム部33への影響を緩和できる。これにより、車両用シートクッション芯材1の反りの発生をより抑制することができる。
図11(e)には、前後方向及び車幅方向にそれぞれ伸びると共に互いに交差する2つのスリット4m、4nの例を示す。スリット4mは、図9(a)及び図10(a)に示すスリットと同様に発泡粒子成形体2の前方から後方に向けて形成されており、発泡粒子成形体2を分断している。つまり、スリット4mは、発泡粒子成形体2の前方の端部から後方の端部まで形成されている。スリット4nは、発泡粒子成形体2の車幅方向に伸びるように形成されている。スリット4nの両端は、発泡粒子成形体2の側方の両端に到達し、発泡粒子成形体2を分断している。スリット4nは、前後方向における後方寄りに形成されている。スリット4mとスリット4nとは互いに交差する。
図11(e)に例示されるように、前後方向及び車幅方向にそれぞれ伸びると共に互いに交差する2つのスリット4を形成すると、発泡粒子成形体2の収縮力が前後方向及び車幅方向に伝達することを緩和できる。これにより、車両用シートクッション芯材1の反りの発生をより抑制することができる。
以上のように、実施例について説明したが、本発明は、上記の各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えばスリットの形成パターンは、実施例2、実施例3に示したものに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。また、発泡粒子成形体及びこれに埋設された補強部材を有する複合成形体は、実施例1及び実施例2に示すように、車両用シートクッション芯材に特に好適ではあるが、例えばシートバック、車両用外装部材、車両用内装部材等にも用いることができる。
1 車両用シートクッション芯材
10 複合成形体
2 合成樹脂発泡粒子成形体
3 補強部材
4 スリット

Claims (8)

  1. 合成樹脂発泡粒子成形体と、該成形体内にインサート成形により埋設された補強部材とからなる複合成形体であって、
    上記合成樹脂発泡粒子成形体を構成する合成樹脂が、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂であり、
    該複合樹脂が、上記ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合で上記スチレン系単量体に由来する成分を含む、複合成形体。
  2. 上記複合樹脂が、上記ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250質量部以上350質量部未満の割合で上記スチレン系単量体に由来する成分を含む、請求項1に記載の複合成形体。
  3. 上記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の複合成形体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合成形体からなる車両用シートクッション芯材。
  5. 上記補強部材が環状ワイヤフレーム部材であり、該環状ワイヤフレーム部材が上記合成樹脂発泡粒子成形体の周縁部に埋設されている、請求項4に記載の車両用シートクッション芯材。
  6. さらに、上記合成樹脂発泡粒子成形体の不等収縮を緩和するために形成されたスリットを有する、請求項5に記載の車両用シートクッション芯材。
  7. 合成樹脂発泡粒子成形体と、該成形体内に埋設された補強部材とからなる複合成形体の製造方法であって、
    ポリオレフィン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂を基材樹脂とする合成樹脂粒子を発泡させることにより、合成樹脂発泡粒子を得る発泡工程と、
    上記補強部材が配置された成形型内で上記合成樹脂発泡粒子を加熱することにより、上記合成樹脂発泡粒子を相互に融着させて上記複合成形体を得るインサート成形工程と、を有し、
    上記合成樹脂粒子の上記複合樹脂が、上記ポリオレフィン系樹脂に由来する成分100質量部に対して、250〜500質量部の割合で上記スチレン系単量体に由来する成分を含む、複合成形体の製造方法。
  8. 上記合成樹脂粒子の上記複合樹脂が、上記ポリオレフィン系樹脂に由来する成分と、上記スチレン系単量体が重合してなる成分との両方を連続相とするモルフォロジーを有する、請求項7に記載の複合成形体の製造方法。
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