JP2018146684A - 定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018146684A JP2018146684A JP2017039791A JP2017039791A JP2018146684A JP 2018146684 A JP2018146684 A JP 2018146684A JP 2017039791 A JP2017039791 A JP 2017039791A JP 2017039791 A JP2017039791 A JP 2017039791A JP 2018146684 A JP2018146684 A JP 2018146684A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fixing belt
- solvent
- fixing
- group
- belt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Fixing For Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトの提供。【解決手段】ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aを含み、内周表面を構成する円筒状の基材110Aと、基材110Aの外周上に配置される表面層110Cと、を有する定着用ベルト。【選択図】図1
Description
本発明は、定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状の感光体を帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体上から用紙等の記録媒体に転写した後、定着装置によって記録媒体に定着することで、画像を形成している。
定着装置としては、例えば、回転駆動する加圧部材と、この加圧部材に接触して回転駆動するベルト部材と、ベルト部材の内周面から加圧部材に向けて押圧し、ベルト部材と加圧部材との間に用紙等の記録媒体を通過させるニップ部を形成する押圧部材と、を備え、このニップ部に記録媒体を通過させることで、記録媒体上にトナー像を定着させる定着装置が知られている。
定着装置としては、例えば、回転駆動する加圧部材と、この加圧部材に接触して回転駆動するベルト部材と、ベルト部材の内周面から加圧部材に向けて押圧し、ベルト部材と加圧部材との間に用紙等の記録媒体を通過させるニップ部を形成する押圧部材と、を備え、このニップ部に記録媒体を通過させることで、記録媒体上にトナー像を定着させる定着装置が知られている。
例えば、特許文献1には、金属又は耐熱性樹脂からなる基体と、前記基体の内周面に形成され、摺擦部材に摺擦される摺擦層とを有し、定められた温度に加熱されることで、その外周面に接触する記録材を加熱する無端状の加熱ベルトであって、前記摺擦層は、第一ポリイミド前駆体と、前記第一ポリイミド前駆体よりも損失弾性率が大きい第二ポリイミド前駆体とを混合して形成されたポリイミド樹脂層である、加熱ベルトが開示されている。
画像形成装置における定着手段として、対になって接触しニップを形成する二つの回転体を備えた定着装置が用いられている。そして、この二つの回転体のうちの少なくとも一方として定着用ベルトが用いられ、かつこの定着用ベルトの内周表面側には、定着用ベルトをニップ方向に押し付けながら、回転駆動する定着用ベルトと摺動する摺動部材が設けられる。
なお、この定着用ベルトでは、摺動部材との摺動による摩擦に伴って摩耗粉が発生することがあり、この摩耗粉の発生を抑制するため、耐摩耗性が求められている。
なお、この定着用ベルトでは、摺動部材との摺動による摩擦に伴って摩耗粉が発生することがあり、この摩耗粉の発生を抑制するため、耐摩耗性が求められている。
よって、本発明の課題は、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含み、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材、並びに前記基材の外周上に配置される表面層を有する態様において、基材が溶媒としてN−メチルピロリドン又はN,N−ジアセトアミドのみを含有する場合に比べ、優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトを提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aを含み、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材と、
前記基材の外周上に配置される表面層と、
を有する定着用ベルト。
請求項1に係る発明は、
ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aを含み、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材と、
前記基材の外周上に配置される表面層と、
を有する定着用ベルト。
請求項2に係る発明は、
前記溶媒aが、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒である請求項1に記載の定着用ベルト。
前記溶媒aが、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒である請求項1に記載の定着用ベルト。
請求項3に係る発明は、
前記溶媒aが、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである請求項1又は請求項2に記載の定着用ベルト。
前記溶媒aが、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである請求項1又は請求項2に記載の定着用ベルト。
請求項4に係る発明は、
前記基材の内周表面は、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
前記基材の内周表面は、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
請求項5に係る発明は、
前記基材が、潤滑性粒子をさらに含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
前記基材が、潤滑性粒子をさらに含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着用ベルトと、
前記定着用ベルトの内周表面に接触して、回転駆動する前記定着用ベルトと摺動する摺動部材と、
前記定着用ベルトを挟んで前記摺動部材に対向して配置され、前記定着用ベルトの外周面を加圧する定着用回転体と、
を有し、
未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記定着用ベルト及び前記定着用回転体で挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着用ベルトと、
前記定着用ベルトの内周表面に接触して、回転駆動する前記定着用ベルトと摺動する摺動部材と、
前記定着用ベルトを挟んで前記摺動部材に対向して配置され、前記定着用ベルトの外周面を加圧する定着用回転体と、
を有し、
未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記定着用ベルト及び前記定着用回転体で挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置。
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項6に記載の定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項6に記載の定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1、又は2に係る発明によれば、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含み、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材、並びに前記基材の外周上に配置される表面層を有する態様において、基材が溶媒としてN−メチルピロリドン又はN,N−ジアセトアミドのみを含有する場合に比べ、優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトが提供される。
請求項3に係る発明によれば、基材が溶媒としてテトラメチル尿素、又は3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドのみを含有する場合に比べ、さらに耐摩耗性に優れた定着用ベルトが提供される。
請求項4に係る発明によれば、基材の内周表面における、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3超えである場合に比べ、優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によれば、基材が潤滑性粒子を含有しない場合に比べ、優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトが提供される。
請求項3に係る発明によれば、基材が溶媒としてテトラメチル尿素、又は3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドのみを含有する場合に比べ、さらに耐摩耗性に優れた定着用ベルトが提供される。
請求項4に係る発明によれば、基材の内周表面における、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3超えである場合に比べ、優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によれば、基材が潤滑性粒子を含有しない場合に比べ、優れた耐摩耗性を有する定着用ベルトが提供される。
請求項6、又は7に係る発明によれば、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含み、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材、並びに前記基材の外周上に配置される表面層を有する定着用ベルトを備えた態様において、基材が溶媒としてN−メチルピロリドンのみを含有する場合に比べ、定着用ベルトの摩耗粉の発生が抑制された定着装置、又は画像形成装置が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
[定着用ベルト]
本実施形態に係る定着用ベルトは、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材と、前記基材の外周上に配置される表面層と、を有する。
そして、前記基材は、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aと、を含む。
本実施形態に係る定着用ベルトは、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材と、前記基材の外周上に配置される表面層と、を有する。
そして、前記基材は、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aと、を含む。
従来から、画像形成装置における定着手段として、対になって接触しニップを形成する二つの回転体を有し、かつこの両回転体のうち少なくとも一方の回転体を加熱する加熱手段を備えた定着装置が用いられている。こうした定着装置では、未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を、前記ニップに通過させて加熱及び加圧を施すことでトナー像の定着が行なわれる。そして、この定着装置において定着用ベルトは、前記加熱手段を備えた回転体(いわゆる加熱定着ベルト)として用いたり、前記加熱手段を有さずニップに向けて加圧することを担う回転体(いわゆる加圧定着ベルト)として用いられる。
なお、定着用ベルトのニップを形成する領域には、回転駆動する定着用ベルトと摺動する摺動部材が内周表面側に設けられ、この摺動部材によって定着用ベルトが押し付けられることでニップが形成されている。
この定着用ベルトは、一般的に基材とこの基材の外周上に配置される表面層とを有する構成とされ、例えば基材、及び表面層としての離型層をこの順に備えた構成や、基材、弾性層、及び表面層としての離型層をこの順に備えた構成のものが用いられる。そして、内周表面側を構成する基材にはポリイミドやポリアミドイミド等の樹脂を含む樹脂層が用いられている。
なお、定着用ベルトのニップを形成する領域には、回転駆動する定着用ベルトと摺動する摺動部材が内周表面側に設けられ、この摺動部材によって定着用ベルトが押し付けられることでニップが形成されている。
この定着用ベルトは、一般的に基材とこの基材の外周上に配置される表面層とを有する構成とされ、例えば基材、及び表面層としての離型層をこの順に備えた構成や、基材、弾性層、及び表面層としての離型層をこの順に備えた構成のものが用いられる。そして、内周表面側を構成する基材にはポリイミドやポリアミドイミド等の樹脂を含む樹脂層が用いられている。
ここで、定着用ベルトの基材では、摺動部材との摩擦によって摩耗し摩耗粉が発生することがある。こうして発生した摩耗粉は定着装置内の汚染にも繋がるため、その抑制が求められ、つまり基材には摺動による摩耗への耐性(耐摩耗性)が求められる。
なお、従来においては、摺動部材との摩擦力を低減させる目的で、基材中にフッ素系樹脂粒子等の潤滑性粒子を含有させて用いることが試されている。しかし、潤滑性粒子を含有する基材では、摺動部材との摺動を繰り返すうちに、基材表面に露出した潤滑性粒子が基材から外れ、外れた後の穴周辺において摩耗が進み、その結果やはり摩耗粉が発生することがあった。
また、摺動部材との摩擦力を低減させる目的で、基材の内周表面に潤滑性オイルを付与して用いることも試されている。しかし、潤滑性オイルを用いた場合であっても摩耗粉の発生を抑制し切ることは容易でなく、かつ発生した摩耗粉によって潤滑性オイルの粘度が上昇することがあった。潤滑性オイルの粘度が上昇すると摺動部材と定着ベルトとの摩擦抵抗が変化する(上昇する)ため、ニップを通過する記録媒体にシワ(紙しわ)を発生させることがあった。
このように、定着用ベルトの基材には、いずれの態様で用いられる場合であっても、摩耗粉の発生を抑制することが求められており、したがって摺動部材との摺動による摩耗への耐性(耐摩耗性)が求められている。
なお、従来においては、摺動部材との摩擦力を低減させる目的で、基材中にフッ素系樹脂粒子等の潤滑性粒子を含有させて用いることが試されている。しかし、潤滑性粒子を含有する基材では、摺動部材との摺動を繰り返すうちに、基材表面に露出した潤滑性粒子が基材から外れ、外れた後の穴周辺において摩耗が進み、その結果やはり摩耗粉が発生することがあった。
また、摺動部材との摩擦力を低減させる目的で、基材の内周表面に潤滑性オイルを付与して用いることも試されている。しかし、潤滑性オイルを用いた場合であっても摩耗粉の発生を抑制し切ることは容易でなく、かつ発生した摩耗粉によって潤滑性オイルの粘度が上昇することがあった。潤滑性オイルの粘度が上昇すると摺動部材と定着ベルトとの摩擦抵抗が変化する(上昇する)ため、ニップを通過する記録媒体にシワ(紙しわ)を発生させることがあった。
このように、定着用ベルトの基材には、いずれの態様で用いられる場合であっても、摩耗粉の発生を抑制することが求められており、したがって摺動部材との摺動による摩耗への耐性(耐摩耗性)が求められている。
これに対し、本実施形態に係る定着ベルトは、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aと、を含む基材を有しており、これにより内周表面の耐摩耗性に優れる。
その理由は、以下のように推察される。
その理由は、以下のように推察される。
定着用ベルトの基材は、例えば、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂又はその前駆体(例えばポリイミドの前駆体であるポリアミック酸、ポリアミドイミド前駆体、ポリアミドイミド樹脂等)が溶媒aに溶解した組成物を塗布して塗布層(塗膜)を形成し、この塗布層を加熱して硬化させることで得られる。なお、この組成物を加熱し硬化させる過程において溶媒aは揮発していくが、溶媒aの一部は基材中に残存溶媒として残る。そして、溶媒aが残存した基材中では、その溶媒aが有する極性基が、樹脂(ポリイミド又はポリアミドイミド)が有する極性基との間で相互作用を生じさせるものと考えられる。
ここで、溶媒aは、従来からポリイミドやポリアミドイミド又はその前駆体を溶解させる溶媒として広く用いられているN−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジアセトアミド等の溶媒に比べて、極性基(例えば−O−、3級窒素原子(−N<))を多く持つ構造である。そのため、溶媒aと樹脂との相互作用は、N−メチルピロリドン(NMP)と樹脂との相互作用に比べ、より強く生じると考えられる。そして、この相互作用に起因して、基材では溶媒aの分子と樹脂の分子鎖とで、分子鎖が密に充填された状態(以下、「パッキング状態」と称する)が形成されると考えられる。
このパッキング状態によって、基材の硬度が高められ、その結果優れた耐摩耗性が得られるものと考えられる。
ここで、溶媒aは、従来からポリイミドやポリアミドイミド又はその前駆体を溶解させる溶媒として広く用いられているN−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジアセトアミド等の溶媒に比べて、極性基(例えば−O−、3級窒素原子(−N<))を多く持つ構造である。そのため、溶媒aと樹脂との相互作用は、N−メチルピロリドン(NMP)と樹脂との相互作用に比べ、より強く生じると考えられる。そして、この相互作用に起因して、基材では溶媒aの分子と樹脂の分子鎖とで、分子鎖が密に充填された状態(以下、「パッキング状態」と称する)が形成されると考えられる。
このパッキング状態によって、基材の硬度が高められ、その結果優れた耐摩耗性が得られるものと考えられる。
以上のとおり、本実施形態の定着用ベルトによれば、内周表面における優れた耐摩耗性が実現される。
なお、溶媒aの極性基は、溶媒aがウレア系溶媒である場合、ウレア基が該当する。また、溶媒aがアルコキシ基含有アミド系溶媒である場合、アルコキシ基及びアミド基が該当し、溶媒aがエステル基含有アミド系溶媒である場合、エステル基及びアミド基が該当する。
また、ポリイミド前駆体及びポリイミド樹脂の極性基は、アミド基又はカルボキシル基が該当し、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂の極性基は、アミド基又はイミド基が該当する。
また、ポリイミド前駆体及びポリイミド樹脂の極性基は、アミド基又はカルボキシル基が該当し、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂の極性基は、アミド基又はイミド基が該当する。
−圧子押し込み体積−
本実施形態に係る定着用ベルトは、基材の内周表面における、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3以下であることが好ましい。さらには、0.058μm3以下が好ましい。
圧子押し込み体積が0.06μm3以下であることで、内周表面における耐摩耗性がより高められる。
本実施形態に係る定着用ベルトは、基材の内周表面における、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3以下であることが好ましい。さらには、0.058μm3以下が好ましい。
圧子押し込み体積が0.06μm3以下であることで、内周表面における耐摩耗性がより高められる。
一方、圧子押し込み体積の下限値としては、脆性の観点から、0.04μm3以上が好ましく、0.05μm3以上がより好ましい。
定着用ベルトの内周表面における圧子押し込み体積は、ナノインデンター(フィッシャー・インストルメンツ社製、製品名:PICODENTOR HM500)を用い、試験荷重:0.5mN、圧子種:115°三角錐圧子、Berkovich型ダイヤモンド圧子にて測定される。
なお、測定条件は、温度23℃、湿度65%RH、日本工業規格で定める標準状態に設定される。
なお、測定条件は、温度23℃、湿度65%RH、日本工業規格で定める標準状態に設定される。
−ヤング率−
本実施形態に係る定着用ベルトは、基材のヤング率が8000MPa以下であることが好ましく、7000MPa以下がより好ましく、6000MPa以下がさらに好ましい。基材のヤング率が8000MPa以下であることで、柔軟性が高められ、定着用ベルトを回転駆動させるときの屈曲に対する追従性が得られる。
一方、基材のヤング率の下限値としては、定着装置で張力がかけられた際の伸びを抑制するとの観点から、3000MPa以上が好ましく、3500MPa以上がより好ましく、4000MPa以上がさらに好ましい。
本実施形態に係る定着用ベルトは、基材のヤング率が8000MPa以下であることが好ましく、7000MPa以下がより好ましく、6000MPa以下がさらに好ましい。基材のヤング率が8000MPa以下であることで、柔軟性が高められ、定着用ベルトを回転駆動させるときの屈曲に対する追従性が得られる。
一方、基材のヤング率の下限値としては、定着装置で張力がかけられた際の伸びを抑制するとの観点から、3000MPa以上が好ましく、3500MPa以上がより好ましく、4000MPa以上がさらに好ましい。
定着用ベルトの基材のヤング率は、ナノインデンテーション法により求められる。ナノインデンター(フィッシャー・インストルメンツ社製、製品名:PICODENTOR HM500)を用い、圧子種:115°三角錐圧子、Berkovich型ダイヤモンド圧子にて押込み深さ−荷重曲線を測定し、負荷を最大押込み深さ500nmで与え、続いて除荷をした場合の除荷曲線の傾きをヤング率として求める。
なお、測定条件は、温度23℃、湿度65%RH、日本工業規格で定める標準状態に設定される。
なお、測定条件は、温度23℃、湿度65%RH、日本工業規格で定める標準状態に設定される。
基材の内周表面における圧子押し込み体積や、基材のヤング率は、基材を構成する樹脂の選択、基材に含まれる(残存する)溶媒の選択、基材形成時の条件(乾燥工程や焼成工程等の条件)等によって制御し得る。
次いで、本実施形態に係る定着用ベルトの構成について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る定着用ベルトの一例を示す概略断面図である。
本実施形態に係る定着用ベルトの態様としては、例えば、図1に示す定着用ベルト110のように、基材110Aと、基材110A上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110B上に設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
なお、図1には弾性層110Bを有する態様を示すが、本実施形態の定着用ベルトは、弾性層110Bを備えず、基材110Aと、基材110A上に設けられた表面層110Cと、を有する態様であってもよい。
本実施形態に係る定着用ベルトの態様としては、例えば、図1に示す定着用ベルト110のように、基材110Aと、基材110A上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110B上に設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
なお、図1には弾性層110Bを有する態様を示すが、本実施形態の定着用ベルトは、弾性層110Bを備えず、基材110Aと、基材110A上に設けられた表面層110Cと、を有する態様であってもよい。
また、基材110Aと弾性層110Bとの間、弾性層110Bと表面層110Cとの間、及び基材110Aと表面層110Cとの間に、接着層を介する態様であってもよい。
ここで、本実施形態に係る定着用ベルトの構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(基材)
基材は、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aと、を含む。
基材は、ポリイミド前駆体が溶媒aに溶解されたポリイミド前駆体組成物、ポリアミドイミド前駆体が溶媒aに溶解されたポリアミドイミド前駆体組成物、及びポリアミドイミド樹脂が溶媒aに溶解されたポリアミドイミド樹脂組成物の少なくとも一種を用いることで、形成することができる。
以下、ポリイミド前駆体組成物、並びに、ポリアミドイミド前駆体組成物及びポリアミドイミド樹脂組成物について順に説明する。
基材は、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aと、を含む。
基材は、ポリイミド前駆体が溶媒aに溶解されたポリイミド前駆体組成物、ポリアミドイミド前駆体が溶媒aに溶解されたポリアミドイミド前駆体組成物、及びポリアミドイミド樹脂が溶媒aに溶解されたポリアミドイミド樹脂組成物の少なくとも一種を用いることで、形成することができる。
以下、ポリイミド前駆体組成物、並びに、ポリアミドイミド前駆体組成物及びポリアミドイミド樹脂組成物について順に説明する。
〔ポリイミド前駆体組成物〕
ポリイミド前駆体組成物としては、例えば、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有する樹脂(以下「特定ポリイミド前駆体」と称する)と、溶媒aと、を含むものが挙げられる。なお、ポリイミド前駆体組成物には、後述する添加剤を含んでもよい。
ポリイミド前駆体組成物としては、例えば、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有する樹脂(以下「特定ポリイミド前駆体」と称する)と、溶媒aと、を含むものが挙げられる。なお、ポリイミド前駆体組成物には、後述する添加剤を含んでもよい。
−ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)−
ポリイミド前駆体としては、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(特定ポリイミド前駆体)が挙げられる。
ポリイミド前駆体としては、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(特定ポリイミド前駆体)が挙げられる。
(一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。)
ここで、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基としては、原料となるテトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
つまり、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する特定ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体である。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基は、芳香族系有機基であることがよい。
芳香族系テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物がよく、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がよい。
なお、テトラカルボン酸二無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
一方、ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Bが表す2価の有機基は、芳香族系有機基であることがよい。
ジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、ジアミン化合物としては、芳香族系ジアミン化合物がよく、具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンがよく、特に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンがよい。
なお、ジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族ジアミン化合物、又は脂肪族ジアミン化合物を各々併用しても、芳香族ジアミン化合物と脂肪族ジアミン化合物とを組み合わせてもよい。
特定ポリイミド前駆体は、一部がイミド化された樹脂であってもよい。
具体的には、特定ポリイミド前駆体としては、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
具体的には、特定ポリイミド前駆体としては、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。なお、A及びBは、一般式(I)中のA及びBと同義である。
lは1以上の整数を示し、m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示す。
lは1以上の整数を示し、m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示す。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量は、5000以上100000以下であることがよく、より好ましくは7000以上50000以下、更に好ましくは10000以上30000以下である。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、組成物中のポリイミド前駆体の溶解性と製膜後の膜の機械特性が良好になる。
なお、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とのモル当量の比を、調整することで、目的とする数平均分子量の特定ポリイミド前駆体が得られる。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、組成物中のポリイミド前駆体の溶解性と製膜後の膜の機械特性が良好になる。
なお、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とのモル当量の比を、調整することで、目的とする数平均分子量の特定ポリイミド前駆体が得られる。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法で測定される。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
特定ポリイミド前駆体の含有量(濃度)は、ポリイミド前駆体組成物の全量に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることがよく、好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
〔ポリアミドイミド前駆体組成物及びポリアミドイミド樹脂組成物〕
ポリアミドイミド前駆体組成物は、ポリアミドイミド前駆体と、溶媒aと、を含む。また、ポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂と、溶媒aと、を含む。なお、ポリアミドイミド前駆体組成物及びポリアミドイミド樹脂組成物には、後述する添加剤を含んでもよい。
ポリアミドイミド前駆体組成物は、ポリアミドイミド前駆体と、溶媒aと、を含む。また、ポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂と、溶媒aと、を含む。なお、ポリアミドイミド前駆体組成物及びポリアミドイミド樹脂組成物には、後述する添加剤を含んでもよい。
−ポリアミドイミド前駆体(ポリアミドイミド樹脂)−
ポリアミドイミド前駆体としては、トリカルボン酸とジアミン化合物との縮合物であるポリアミド−ポリアミック酸が挙げられる。このポリアミドイミド前駆体であるポリアミド−ポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させると、ポリアミドイミド樹脂が得られる。
具体的に、ポリアミドイミド前駆体としては、例えば、(1)トリカルボン酸無水物とジアミンとの等モル量を溶媒中、脱水触媒存在下、高温で重縮合する方法、(2)無水トリカルボン酸モノクロリドとジアミンとの等モル量を溶媒中、低温で重縮合及びイミド化反応させる方法、(3)トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを溶媒中、高温で重縮合させる方法、等によって得られるポリアミド−ポリアミック酸が挙げられる。そして、得られたポリアミドイミド前駆体であるポリアミド−ポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させると、ポリアミドイミド樹脂が得られる。
ポリアミドイミド前駆体としては、トリカルボン酸とジアミン化合物との縮合物であるポリアミド−ポリアミック酸が挙げられる。このポリアミドイミド前駆体であるポリアミド−ポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させると、ポリアミドイミド樹脂が得られる。
具体的に、ポリアミドイミド前駆体としては、例えば、(1)トリカルボン酸無水物とジアミンとの等モル量を溶媒中、脱水触媒存在下、高温で重縮合する方法、(2)無水トリカルボン酸モノクロリドとジアミンとの等モル量を溶媒中、低温で重縮合及びイミド化反応させる方法、(3)トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを溶媒中、高温で重縮合させる方法、等によって得られるポリアミド−ポリアミック酸が挙げられる。そして、得られたポリアミドイミド前駆体であるポリアミド−ポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させると、ポリアミドイミド樹脂が得られる。
トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物又は無水トリメリット酸モノクロリドが挙げられる。
ジアミン化合物としては、前述のポリイミド前駆体の説明において、ポリアミック酸の合成に用いられるジアミン化合物として例示したものと同様のものが挙げられる。
また、ジアミン化合物としては、以下に示す芳香族ジアミン化合物も挙げられる。
芳香族ジアミン化合物としては、3,3’−ジアミノベンゾフエノン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルアミド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−{3−(4−アミノフエノキシ)ベンゾイル}フェニル]エーテル、4,4’−ビス(3−アミノフエノキシ)ビフェニル、及びビス[4−(3−アミノフエノキシ)フェニル]スルホン2,2’−ビス[4−(3−アミノフエノキシ)フェニル]プロパン(これらを「芳香族ジアミン化合物群(DA)」とも称す)が挙げられる。
芳香族ジアミン化合物としては、3,3’−ジアミノベンゾフエノン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルアミド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−{3−(4−アミノフエノキシ)ベンゾイル}フェニル]エーテル、4,4’−ビス(3−アミノフエノキシ)ビフェニル、及びビス[4−(3−アミノフエノキシ)フェニル]スルホン2,2’−ビス[4−(3−アミノフエノキシ)フェニル]プロパン(これらを「芳香族ジアミン化合物群(DA)」とも称す)が挙げられる。
中でも、芳香族ジアミン化合物が好適であり、特に上記に列挙した芳香族ジアミン化合物群(DA)がより好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、前述のポリイミド前駆体の説明において、ポリアミック酸の合成に用いられるジアミン化合物として例示したものにおいて、2つのアミノ基がイソシアネート基に置換されたものが挙げられる。
また、ジイソシアネート化合物としては、以下に示すジイソシアネート化合物も挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、及び2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(これらを「ジイソシアネート化合物群(DI)」とも称す)が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、及び2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(これらを「ジイソシアネート化合物群(DI)」とも称す)が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、ブロック剤でイソシアナト基を安定化したものも挙げられる。ブロック剤としてはアルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
中でも、上記に列挙したジイソシアネート化合物群(DI)がより好ましい。
〔溶媒a〕
基材に含まれる溶媒aは、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒、及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種である。
以下、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒、エステル基含有アミド系溶媒について順に説明する。
基材に含まれる溶媒aは、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒、及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種である。
以下、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒、エステル基含有アミド系溶媒について順に説明する。
−ウレア系溶媒−
ウレア系溶媒とは、ウレア基(N−C(=O)−N)を有する溶媒である。具体的には、ウレア系溶媒は、「*−N(Ra1)−C(=O)−N(Ra2)−*」構造を有する溶媒がよい。ここで、Ra1、及びRa2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はフェニルアルキル基を示す。2つのN原子の両末端*は、前記構造の他の原子団との結合部位を示す。ウレア系溶媒は、2つのN原子の両末端*同士が、例えば、アルキレン、−O−、−C(=O)−、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して連結した環構造を有する溶媒であってもよい。
ウレア系溶媒とは、ウレア基(N−C(=O)−N)を有する溶媒である。具体的には、ウレア系溶媒は、「*−N(Ra1)−C(=O)−N(Ra2)−*」構造を有する溶媒がよい。ここで、Ra1、及びRa2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はフェニルアルキル基を示す。2つのN原子の両末端*は、前記構造の他の原子団との結合部位を示す。ウレア系溶媒は、2つのN原子の両末端*同士が、例えば、アルキレン、−O−、−C(=O)−、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して連結した環構造を有する溶媒であってもよい。
Ra1、及びRa2を示すアルキル基は、鎖状、分岐状、及び環状いずれでもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基の具体例としては、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上4以下)のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基など)が挙げられる。
アルキル基の置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、水酸基、ケトン基、エステル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
ケトン基の具体例としては、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基などが挙げられる。エステル基の具体例としては、メトキシカルボニル基(−COOMe)、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、アセトキシ基(−OC(=O)Me)などが挙げられる。アルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、メチルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ基)、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基などが挙げられる。
アルキル基の置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、水酸基、ケトン基、エステル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
ケトン基の具体例としては、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基などが挙げられる。エステル基の具体例としては、メトキシカルボニル基(−COOMe)、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、アセトキシ基(−OC(=O)Me)などが挙げられる。アルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、メチルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ基)、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基などが挙げられる。
Ra1、及びRa2を示すフェニル基及びフェニルアルキル基のフェニル骨格には、置換基を有していてもよい。フェニル骨格の置換基としては、上記アルキル基の置換基と同じものが挙げられる。
なお、ウレア系溶媒が上記2つのN原子の両末端*が連結した環構造を有する場合、その環員数としては5または6がよい。
ウレア系溶媒としては、例えば、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジフェニル尿素、1,3−ジシクロへキシル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、2−イミダゾリジノン、プロピレン尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素などが挙げられる。
−アルコキシ基含有アミド系溶媒、エステル基含有アミド系溶媒−
アルコキシ基含有アミド系溶媒は、アルコキシ基とアミド基とを有する溶媒である。一方、エステル基含有アミド系溶媒は、エステル基とアミド基とを有する溶媒である。アルコキシ基、エステル基としては、ウレア系溶媒の説明において、「Ra1、及びRa2を示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同様な基が挙げられる。なお、アルコキシ基含有アミド系溶媒がエステル基を有していてもよいし、エステル基含有アミド系溶媒はアルコキシ基を有していてもよい。
アルコキシ基含有アミド系溶媒は、アルコキシ基とアミド基とを有する溶媒である。一方、エステル基含有アミド系溶媒は、エステル基とアミド基とを有する溶媒である。アルコキシ基、エステル基としては、ウレア系溶媒の説明において、「Ra1、及びRa2を示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同様な基が挙げられる。なお、アルコキシ基含有アミド系溶媒がエステル基を有していてもよいし、エステル基含有アミド系溶媒はアルコキシ基を有していてもよい。
以下、アルコキシ基含有アミド系溶媒、及びエステル基含有アミド系溶媒の双方を「アルコキシ基又はエステル基含有アミド系溶媒」と称して説明する。
アルコキシ基又はエステル基含有アミド系溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、下記一般式(Am1)で示されるアミド系溶媒、下記一般式(Am2)で示されるアミド系溶媒等が好適に挙げられる。
一般式(Am1)中、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4、Rb5、及びRb6は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を示す。Rb7は、アルコキシ基、又はエステル基を示す。
Rb1〜Rb6を示すアルキル基は、ウレア系溶媒の説明で記載した「Ra1、及びRa2を示すアルキル基」と同義である。
Rb7を示すアルコキシ基及びエステル基は、ウレア系溶媒の説明において、「Ra1、及びRa2を示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同義である。
Rb1〜Rb6を示すアルキル基は、ウレア系溶媒の説明で記載した「Ra1、及びRa2を示すアルキル基」と同義である。
Rb7を示すアルコキシ基及びエステル基は、ウレア系溶媒の説明において、「Ra1、及びRa2を示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同義である。
以下、一般式(Am1)で示されるアミド系溶媒の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。
なお、一般式(Am1)で示されるアミド系溶媒の具体例において、Me=メチル基、Et=エチル基、nPr=n−プロピル基、nBu=n−ブチル基である。
一般式(Am2)中、Rc1、Rc2、Rc3、Rc4、Rc5、Rc6、Rc7、及びRc8は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を示す。Rc9は、アルコキシ基、又はエステル基を示す。
Rc1〜Rc8を示すアルキル基は、ウレア系溶媒の説明で記載した「Ra1、及びRa2を示すアルキル基」と同義である。
Rc9を示すアルコキシ基及びエステル基は、ウレア系溶媒の説明において、「Ra1、及びRa2を示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同義である。
Rc1〜Rc8を示すアルキル基は、ウレア系溶媒の説明で記載した「Ra1、及びRa2を示すアルキル基」と同義である。
Rc9を示すアルコキシ基及びエステル基は、ウレア系溶媒の説明において、「Ra1、及びRa2を示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同義である。
以下、一般式(Am2)で示されるアミド系溶媒の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
なお、一般式(Am2)で示されるアミド系溶媒の具体例において、Me=メチル基、Et=エチル基、nPr=n−プロピル基である。
−溶媒aの含有量−
溶媒aの含有量は、基材全体に対して、好ましくは0.005質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下である。
溶媒aの含有量が3質量%以下であることで、基材において分子鎖が密に充填された状態(パッキング状態)が形成され易く、優れた耐摩耗性が得られ易い。
溶媒aの含有量が0.005質量%以上であることで、定着用ベルトの基材を作製する際の乾燥工程や焼成工程での温度(乾燥温度、焼成温度)や時間(乾燥時間、焼成時間)が過剰となり過ぎず、基材の割れが抑制される。
溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aの含有量は、溶媒aの合計量を表し、基材全体に対する含有量である。
溶媒aの含有量は、基材全体に対して、好ましくは0.005質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下である。
溶媒aの含有量が3質量%以下であることで、基材において分子鎖が密に充填された状態(パッキング状態)が形成され易く、優れた耐摩耗性が得られ易い。
溶媒aの含有量が0.005質量%以上であることで、定着用ベルトの基材を作製する際の乾燥工程や焼成工程での温度(乾燥温度、焼成温度)や時間(乾燥時間、焼成時間)が過剰となり過ぎず、基材の割れが抑制される。
溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aの含有量は、溶媒aの合計量を表し、基材全体に対する含有量である。
溶媒aの含有量を上記範囲に制御する方法としては、例えば、後述する定着用ベルトの基材の製造方法において、塗膜を乾燥させる際の乾燥条件(温度、時間)を調整する方法;塗膜を乾燥させた後の乾燥膜を更に加熱する際(焼成工程)の焼成条件(温度、時間)を調整する方法;塗膜を送風乾燥させる場合は送風速度を調整する方法;金型上に塗膜を形成する際の金型の回転速度を調整する方法;金型の温度、厚さを調整する方法;基材の形成に用いられるポリイミド前駆体組成物、ポリアミドイミド前駆体組成物、及びポリアミドイミド樹脂組成物における全溶媒の含有量、及びその中に占める溶媒aの含有量を調整する方法;その他真空乾燥によって調整する方法;等が挙げられる。
基材に含まれる溶媒aの含有量(残留溶媒の含有量)の測定はガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて行う。
具体的には、測定対象となる定着用ベルトの基材から測定用試料0.40mgを精確に秤量し、落下型の熱分解装置(フロンティアラボ社製:PY−2020D)を設置したガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所社製:GCMS QP−2010)により、下記の条件で測定を行う。
熱分解温度:400℃
ガスクロマト導入温度: 280℃
Inject方法: スプリット比1:50
カラム: フロンティアラボ社製 Ultra ALLOY−5 0.25μm、0.25μm ID、30m
ガスクロマト温度プログラム: 40℃⇒20℃/min⇒280℃−10min保持
マスレンジ: EI、m/z=29−600
具体的には、測定対象となる定着用ベルトの基材から測定用試料0.40mgを精確に秤量し、落下型の熱分解装置(フロンティアラボ社製:PY−2020D)を設置したガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所社製:GCMS QP−2010)により、下記の条件で測定を行う。
熱分解温度:400℃
ガスクロマト導入温度: 280℃
Inject方法: スプリット比1:50
カラム: フロンティアラボ社製 Ultra ALLOY−5 0.25μm、0.25μm ID、30m
ガスクロマト温度プログラム: 40℃⇒20℃/min⇒280℃−10min保持
マスレンジ: EI、m/z=29−600
−溶媒aの沸点−
溶媒a(上記溶媒群Aの各溶媒)の沸点は、例えば、100℃以上350℃以下が好ましく、120℃以上300℃以下がより好ましく、150℃以上250℃以下が更に好ましい。
溶媒aの沸点が100℃以上であると、基材に含まれる溶媒aが、定着用ベルトの使用中に低減していくことが抑制される。
一方、溶媒aの沸点を350℃以下(特に250℃以下)にすると、定着用ベルト作製後の基材中に含まれる溶媒aの含有量が、基材の全体に対して、前記範囲に制御されやすくなる。
溶媒a(上記溶媒群Aの各溶媒)の沸点は、例えば、100℃以上350℃以下が好ましく、120℃以上300℃以下がより好ましく、150℃以上250℃以下が更に好ましい。
溶媒aの沸点が100℃以上であると、基材に含まれる溶媒aが、定着用ベルトの使用中に低減していくことが抑制される。
一方、溶媒aの沸点を350℃以下(特に250℃以下)にすると、定着用ベルト作製後の基材中に含まれる溶媒aの含有量が、基材の全体に対して、前記範囲に制御されやすくなる。
基材は、本実施形態の効果を損なわない範囲において溶媒a以外の有機溶媒を含有してもよい。溶媒a以外の有機溶媒としては、公知の溶媒が挙げられる。
基材が溶媒a以外の有機溶媒を含有する場合、その中に占める溶媒aの含有量は、基材に含まれる(残存する)全溶媒のうち溶媒aの含有量が50質量%を超える(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)ことが好ましい。
基材が溶媒a以外の有機溶媒を含有する場合、その中に占める溶媒aの含有量は、基材に含まれる(残存する)全溶媒のうち溶媒aの含有量が50質量%を超える(より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上)ことが好ましい。
〔添加剤〕
・潤滑性粒子
基材には、摺動部材との摩擦力を低減させる目的で、潤滑性粒子を含有させてもよい。潤滑性粒子としては、例えばフッ素系樹脂粒子(樹脂粒子を構成する構成単位中にフッ素原子を有する樹脂粒子)が挙げられる。
基材に含有されるフッ素系樹脂粒子の材質としては、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、及びフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらの中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましい。
これらの潤滑性粒子は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
・潤滑性粒子
基材には、摺動部材との摩擦力を低減させる目的で、潤滑性粒子を含有させてもよい。潤滑性粒子としては、例えばフッ素系樹脂粒子(樹脂粒子を構成する構成単位中にフッ素原子を有する樹脂粒子)が挙げられる。
基材に含有されるフッ素系樹脂粒子の材質としては、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、及びフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらの中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましい。
これらの潤滑性粒子は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
潤滑性粒子の粒子径(平均一次粒子径)は、0.05μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.7μm以下であることがより好ましい。
なお、潤滑性粒子の平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)又はSEM(走査型電子顕微鏡)などのnmオーダーからμmオーダーの物質を観察可能な顕微鏡を用い、その顕微鏡写真から、100個の潤滑性粒子の粒子径(一次粒子径)を測定し、その平均値により算出する。
なお、潤滑性粒子の平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)又はSEM(走査型電子顕微鏡)などのnmオーダーからμmオーダーの物質を観察可能な顕微鏡を用い、その顕微鏡写真から、100個の潤滑性粒子の粒子径(一次粒子径)を測定し、その平均値により算出する。
潤滑性粒子の含有量は、基材全体に対して、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以上2質量%以下である。
潤滑性粒子の含有量が0.01質量%以上であることで、摺動部材との摩擦力をより低減し易くなる。潤滑性粒子の含有量が5質量%以下であることで、基材の強度が保たれ易い。
潤滑性粒子の含有量が0.01質量%以上であることで、摺動部材との摩擦力をより低減し易くなる。潤滑性粒子の含有量が5質量%以下であることで、基材の強度が保たれ易い。
・その他の添加剤
基材は、機械強度などの各種機能を付与することを目的として、各種フィラーなどを含んでもよい。また、イミド化反応促進のための触媒、製膜品質向上のためのレベリング剤、定着用ベルトの熱劣化を防止するための酸化防止剤、流動性を向上させるための界面活性剤などを含んでもよい。
また、定着用ベルトの基材には、導電剤(カーボンブラック等)を添加分散して、体積抵抗率を制御してもよい。
その他の添加剤の含有量は、上記基材の目的とする特性に応じて選択すればよい。なお、その他の添加剤は、上記基材を得るための前駆体組成物に含ませればよい。
基材は、機械強度などの各種機能を付与することを目的として、各種フィラーなどを含んでもよい。また、イミド化反応促進のための触媒、製膜品質向上のためのレベリング剤、定着用ベルトの熱劣化を防止するための酸化防止剤、流動性を向上させるための界面活性剤などを含んでもよい。
また、定着用ベルトの基材には、導電剤(カーボンブラック等)を添加分散して、体積抵抗率を制御してもよい。
その他の添加剤の含有量は、上記基材の目的とする特性に応じて選択すればよい。なお、その他の添加剤は、上記基材を得るための前駆体組成物に含ませればよい。
基材の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば機械的強度と柔軟性の確保の観点から、20μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは40μm以上130μm以下である。
(弾性層)
本実施形態では、定着用ベルトが弾性層を有していてもよい。
弾性層は、定着用ベルトへの外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、例えば画像形成装置において加熱定着ベルトとして用いられる場合であれば、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、加熱定着ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う層である。
本実施形態では、定着用ベルトが弾性層を有していてもよい。
弾性層は、定着用ベルトへの外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、例えば画像形成装置において加熱定着ベルトとして用いられる場合であれば、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、加熱定着ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う層である。
弾性層の材質としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられ、耐熱性、熱伝導性、絶縁性等の観点から、例えば、シリコーンゴムが好ましい。
弾性層には、補強、耐熱、及び伝熱等の観点から、さらに充填剤を配合してもよい。充填剤としては、公知のものが使用され、例えば煙霧状シリカ、結晶性シリカ、酸化鉄、アルミナ、金属珪素、炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)などが挙げられる。
弾性層の厚さは、例えば、50μm以上1000μm以下の範囲が好ましく、100μm以上600μm以下の範囲がより好ましい。
(表面層)
本実施形態では、定着用ベルトの外周表面に表面層を有している。
表面層には、例えば耐熱性や離型性が求められる。この観点から、表面層を構成する材料には耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的にはフッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
また、表面層の材料には、フッ素樹脂以外にも、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ化ポリイミド等も挙げられる。
本実施形態では、定着用ベルトの外周表面に表面層を有している。
表面層には、例えば耐熱性や離型性が求められる。この観点から、表面層を構成する材料には耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的にはフッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
また、表面層の材料には、フッ素樹脂以外にも、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ化ポリイミド等も挙げられる。
表面層の内周側の面には表面処理を施してもよい。表面処理としては、湿式処理であっても乾式処理であってもよく、例えば、液体アンモニア処理、エキシマレーザ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
表面層の厚さとしては、例えば20μm以上100μm以下の範囲が好ましい。
(定着用ベルトの製造方法)
まず、定着用ベルトにおける基材の形成方法について説明する。
基材の形成は、ポリイミド前駆体組成物、ポリアミドイミド前駆体組成物、及びポリアミドイミド樹脂組成物の少なくとも一種を調製する工程(前駆体組成物の調製工程)と、前記の前駆体組成物を円筒状の金型上に塗布して塗膜を形成する工程(塗膜の形成工程)と、金型上に形成された塗膜を乾燥させる工程(乾燥工程)と、乾燥した塗膜(乾燥膜)を更に加熱して樹脂皮膜を形成する工程(樹脂皮膜の形成工程(焼成工程))と、を有する方法が挙げられる。
以下では、基材がポリイミド樹脂を含む場合について説明する。なお、基材がポリアミドイミド樹脂を含む場合も以下の方法に準じて形成することができる。
まず、定着用ベルトにおける基材の形成方法について説明する。
基材の形成は、ポリイミド前駆体組成物、ポリアミドイミド前駆体組成物、及びポリアミドイミド樹脂組成物の少なくとも一種を調製する工程(前駆体組成物の調製工程)と、前記の前駆体組成物を円筒状の金型上に塗布して塗膜を形成する工程(塗膜の形成工程)と、金型上に形成された塗膜を乾燥させる工程(乾燥工程)と、乾燥した塗膜(乾燥膜)を更に加熱して樹脂皮膜を形成する工程(樹脂皮膜の形成工程(焼成工程))と、を有する方法が挙げられる。
以下では、基材がポリイミド樹脂を含む場合について説明する。なお、基材がポリアミドイミド樹脂を含む場合も以下の方法に準じて形成することができる。
−前駆体組成物の調製工程−
前駆体組成物の調製工程では、基材を形成するためのポリイミド前駆体組成物を調製する。前駆体組成物には、潤滑性粒子や、カーボンブラック等の導電剤、その他の添加剤等を分散させてもよい。これらを前駆体組成物中に分散する方法としては、例えば、セラミックビーズ、ボール等のメディアの衝突力を利用して粉砕するメディアミル、高圧でオリフィスを通過させ高せん断力をかけるとともに衝突させたときの衝撃力を利用する湿式ジェットミル、ホモジナイザ等の一般的に用いられる分散方法が挙げられる。
前駆体組成物の調製工程では、基材を形成するためのポリイミド前駆体組成物を調製する。前駆体組成物には、潤滑性粒子や、カーボンブラック等の導電剤、その他の添加剤等を分散させてもよい。これらを前駆体組成物中に分散する方法としては、例えば、セラミックビーズ、ボール等のメディアの衝突力を利用して粉砕するメディアミル、高圧でオリフィスを通過させ高せん断力をかけるとともに衝突させたときの衝撃力を利用する湿式ジェットミル、ホモジナイザ等の一般的に用いられる分散方法が挙げられる。
−塗膜の形成工程−
次に、前駆体組成物を円筒状の金型の外面に塗布して、塗膜を形成する。円筒状の金型としては、例えば金属製のものが好適に用いられる。なお、金属製の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、他の素材のものを用いてもよい。また、金型の表面にガラスコート、セラミックコート等を設けてもよく、シリコーン系、フッ素系等の剥離剤を塗布してもよい。
次に、前駆体組成物を円筒状の金型の外面に塗布して、塗膜を形成する。円筒状の金型としては、例えば金属製のものが好適に用いられる。なお、金属製の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、他の素材のものを用いてもよい。また、金型の表面にガラスコート、セラミックコート等を設けてもよく、シリコーン系、フッ素系等の剥離剤を塗布してもよい。
ここで、前駆体組成物を精度よく塗布するには、塗布する前に、前駆体組成物を脱泡する工程を実施することがよい。前駆体組成物を脱泡することで、塗布時の泡かみ及び塗膜の欠陥発生が抑制される。前駆体組成物を脱泡する方法としては、減圧状態にする方法、遠心分離する方法などが挙げられるが、減圧状態とする脱泡が簡便で脱泡能が大きいため適している。
円筒状の金型の表面に前駆体組成物を塗布する方法としては、例えば、前駆体組成物をノズルから吐出させながら、回転する円筒状の金型を回転軸方向に移動させることによって、円筒状の金型の外周面にらせん状に前駆体組成物を塗布する方法(らせん塗布方法)や、該らせん塗布方法の際に金型表面に吐出された前駆体組成物に対しブレードを押し当てながら回転軸方向に移動させる方法(ブレード塗布方法)、円筒状の金型を前駆体組成物に浸漬して引き上げる浸漬塗布法が挙げられる。
また、金型の内面側に塗膜を形成してもよく、その場合の塗布方法としては、前駆体組成物を円筒状の金型の内周面に軸方向に流し込む方法等が挙げられる。
また、金型の内面側に塗膜を形成してもよく、その場合の塗布方法としては、前駆体組成物を円筒状の金型の内周面に軸方向に流し込む方法等が挙げられる。
−乾燥工程−
続いて、形成した塗膜を乾燥させ、乾燥膜を形成する。
塗膜の乾燥は、例えば金型を回転させながら加熱して溶媒を揮発させることにより行う。金型を回転させなくても前駆体組成物が垂れ流れない状態になるまで塗膜を乾燥させることがよい。
乾燥条件としては、例えば50℃以上180℃以下(好ましくは60℃以上150℃以下)の範囲の乾燥温度で15分間以上60分間以下(好ましくは20分間以上40分間以下)の範囲の乾燥時間とすることがより好ましい。
なお、乾燥膜中の溶媒含有量は、乾燥膜の全質量に対して、60質量%以下(より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下)であることが好ましい。
続いて、形成した塗膜を乾燥させ、乾燥膜を形成する。
塗膜の乾燥は、例えば金型を回転させながら加熱して溶媒を揮発させることにより行う。金型を回転させなくても前駆体組成物が垂れ流れない状態になるまで塗膜を乾燥させることがよい。
乾燥条件としては、例えば50℃以上180℃以下(好ましくは60℃以上150℃以下)の範囲の乾燥温度で15分間以上60分間以下(好ましくは20分間以上40分間以下)の範囲の乾燥時間とすることがより好ましい。
なお、乾燥膜中の溶媒含有量は、乾燥膜の全質量に対して、60質量%以下(より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下)であることが好ましい。
−樹脂皮膜の形成工程(焼成工程)−
続いて、形成された乾燥膜を更に高い温度で加熱して、焼成する(本実施形態ではイミド化処理を行う)工程を設けてもよい。更に高い温度で加熱することにより、乾燥膜は、更に溶媒が揮発されて、ポリイミド樹脂を含む樹脂皮膜が形成される。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上400℃以下(好ましくは200℃以上350℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。イミド化の温度は、例えば原料として用いたテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって異なり、機械的特性及び電気的特性の観点から、イミド化が完結する温度に設定することが好ましい。
以上の工程を経ることによって、基材が形成される。
続いて、形成された乾燥膜を更に高い温度で加熱して、焼成する(本実施形態ではイミド化処理を行う)工程を設けてもよい。更に高い温度で加熱することにより、乾燥膜は、更に溶媒が揮発されて、ポリイミド樹脂を含む樹脂皮膜が形成される。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上400℃以下(好ましくは200℃以上350℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。イミド化の温度は、例えば原料として用いたテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって異なり、機械的特性及び電気的特性の観点から、イミド化が完結する温度に設定することが好ましい。
以上の工程を経ることによって、基材が形成される。
−表面層の形成工程、又は弾性層及び表面層の形成工程−
こうして得られた基材の外周表面上に弾性層や表面層を形成することで、本実施形態に係る定着用ベルトが得られる。
こうして得られた基材の外周表面上に弾性層や表面層を形成することで、本実施形態に係る定着用ベルトが得られる。
弾性層及び表面層の形成は公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって基材上に順次形成すればよい。
基材上に、弾性層と表面層とを塗布法により形成する場合には、これらの層を塗布形成する前に、基材表面や弾性層表面に適切なプライマー材料による前処理を行い、接着層を形成してもよい。
また、弾性層及び表面層を塗布法により形成する場合には、塗布形成された塗膜を加熱処理する工程を経て、弾性層及び表面層が形成される。この塗膜の加熱処理に際しては、不活性ガス(窒素ガス・アルゴンガス等)雰囲気下で行ってもよい。
また、これらの加熱処理は、前述の「樹脂被膜の形成工程」における焼成を兼ねた工程としてもよい。つまり、前記基材の形成方法における乾燥工程までを経た後に、表面層、又は弾性層と表面層を塗布して塗布膜を形成し、その後加熱する工程(表面層、又は弾性層と表面層の加熱処理と、樹脂被膜の形成工程(焼成して基材を形成する工程)と、を兼ねた工程)を経ることで、定着用ベルトを作製してもよい。
基材上に、弾性層と表面層とを塗布法により形成する場合には、これらの層を塗布形成する前に、基材表面や弾性層表面に適切なプライマー材料による前処理を行い、接着層を形成してもよい。
また、弾性層及び表面層を塗布法により形成する場合には、塗布形成された塗膜を加熱処理する工程を経て、弾性層及び表面層が形成される。この塗膜の加熱処理に際しては、不活性ガス(窒素ガス・アルゴンガス等)雰囲気下で行ってもよい。
また、これらの加熱処理は、前述の「樹脂被膜の形成工程」における焼成を兼ねた工程としてもよい。つまり、前記基材の形成方法における乾燥工程までを経た後に、表面層、又は弾性層と表面層を塗布して塗布膜を形成し、その後加熱する工程(表面層、又は弾性層と表面層の加熱処理と、樹脂被膜の形成工程(焼成して基材を形成する工程)と、を兼ねた工程)を経ることで、定着用ベルトを作製してもよい。
(定着用ベルトの用途)
本実施形態に係る定着用ベルトは、例えば、画像形成装置用の定着装置において、加熱定着ベルト、及び加圧定着ベルト等に適用される。なお、加熱定着ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導方式等が挙げられる。
本実施形態に係る定着用ベルトは、例えば、画像形成装置用の定着装置において、加熱定着ベルト、及び加圧定着ベルト等に適用される。なお、加熱定着ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導方式等が挙げられる。
[定着装置]
次いで、本実施形態に係る定着装置について説明する。
本実施形態に係る定着装置は、前述の本実施形態に係る定着用ベルトと、前記定着用ベルトの内周表面に接触して、回転駆動する前記定着用ベルトと摺動する摺動部材と、前記定着用ベルトを挟んで前記摺動部材に対向して配置され、前記定着用ベルトの外周面を加圧する定着用回転体と、を有する。そして、未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記定着用ベルト及び前記定着用回転体で挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる。
次いで、本実施形態に係る定着装置について説明する。
本実施形態に係る定着装置は、前述の本実施形態に係る定着用ベルトと、前記定着用ベルトの内周表面に接触して、回転駆動する前記定着用ベルトと摺動する摺動部材と、前記定着用ベルトを挟んで前記摺動部材に対向して配置され、前記定着用ベルトの外周面を加圧する定着用回転体と、を有する。そして、未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記定着用ベルト及び前記定着用回転体で挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる。
以下に、定着装置の態様として、加熱ロールと加圧定着ベルトとを備えた態様(第1の態様)、及び加熱定着ベルトと加圧ロールとを備えた態様(第2の態様)を説明する。
なお、定着装置は、第1及び第2の態様に限られず、加熱定着ベルトと加圧定着ベルトとを備えた定着装置であってよく、その場合、本実施形態に係る定着用ベルトは加熱定着ベルト及び加圧定着ベルトのいずれにも適用され得る。
また、定着装置は、第1及び第2の態様に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
なお、定着装置は、第1及び第2の態様に限られず、加熱定着ベルトと加圧定着ベルトとを備えた定着装置であってよく、その場合、本実施形態に係る定着用ベルトは加熱定着ベルト及び加圧定着ベルトのいずれにも適用され得る。
また、定着装置は、第1及び第2の態様に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
・定着装置の第1の態様
第1の態様に係る定着装置について説明する。図2は、第1の態様に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第1の態様に係る定着装置について説明する。図2は、第1の態様に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第1の態様に係る定着装置60は、図2に示すように、例えば、回転駆動する加熱ロール61(定着用回転体の一例)と、加圧定着ベルト62(定着用ベルトの一例)と、加圧定着ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材)とを備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧定着ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧定着ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加圧定着ベルト62に加圧されてもよい。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧定着ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧定着ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加圧定着ベルト62に加圧されてもよい。
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)を維持される。
加圧定着ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域(ニップ)Nにおいて押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧定着ベルト62の内側において、加圧定着ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域(ニップ)Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域(ニップ)Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧定着ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗(摩擦)を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧定着ベルト62と接する面にシート状の低摩擦部材68(摺動部材の一例)が設けられている。そして、押圧パッド64と低摩擦部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、低摩擦部材68は、例えば、その摺動面が加圧定着ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧定着ベルト62との間に存在する潤滑性オイルの保持、供給に関与する。
ここで、潤滑性オイルとしては、例えばシリコーンオイル(例えば未変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等)、フッ素オイル(例えばパーフルオロポリエーテルオイル、変性パーフルオロポリエーテルオイル等)、固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリス(例えばシリコーングリス、フッ素グリス等)、及びこれらのオイルに有機金属塩、ヒンダードアミン等を添加したオイル、などが挙げられる。
なお、低摩擦部材68は、例えば、その摺動面が加圧定着ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧定着ベルト62との間に存在する潤滑性オイルの保持、供給に関与する。
ここで、潤滑性オイルとしては、例えばシリコーンオイル(例えば未変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等)、フッ素オイル(例えばパーフルオロポリエーテルオイル、変性パーフルオロポリエーテルオイル等)、固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリス(例えばシリコーングリス、フッ素グリス等)、及びこれらのオイルに有機金属塩、ヒンダードアミン等を添加したオイル、などが挙げられる。
なお、図2に示す定着装置では、この低摩擦部材68が加圧定着ベルト62の内周表面と摺動する摺動部材を構成するが、低摩擦部材68を有しない態様の場合、押圧パッド64が加圧定着ベルト62の内周表面と摺動する摺動部材となる。
押圧パッド64の材質、及び低摩擦部材68の材質については、後述の第2の態様における押圧パッド164の材質、及び低摩擦部材と同様のものが挙げられる。
押圧パッド64の材質、及び低摩擦部材68の材質については、後述の第2の態様における押圧パッド164の材質、及び低摩擦部材と同様のものが挙げられる。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧定着ベルト62が回転する構成となっている。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧定着ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧定着ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域(ニップ)Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域(ニップ)Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域(ニップ)Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1の態様に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1の態様に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70が配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
・定着装置の第2の態様
次いで、第2の態様に係る定着装置について説明する。
図3は、第2の態様に係る定着装置の一例を示す概略図である。
次いで、第2の態様に係る定着装置について説明する。
図3は、第2の態様に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第2の態様に係る定着装置160は、図3に示すように、回転駆動する加圧ロール161(定着用回転体の一例)と、加熱定着ベルト162(定着用ベルトの一例)と、を備える。また、加熱定着ベルト162を介して加圧ロール161を押圧し、加熱定着ベルト162と加圧ロール161との間に用紙K(記録媒体の一例)が通過するニップ部を形成する押圧パッド164(摺動部材の一例)を、加熱定着ベルト162の内側に備えて構成されている。さらに、加熱定着ベルト162の内側には、ベルト走行ガイド163と、ベルト走行補助ガイド166とが設けられ、加熱定着ベルト162がベルト走行ガイド163、ベルト走行補助ガイド166、及び押圧パッド164(摺動部材)の外周面に沿って周回移動するよう構成されている。なお、ベルト走行ガイド163と押圧パッド164とは、加熱定着ベルト162の内側においてホルダ165に取り付けられている。また、ベルト走行ガイド163と加熱定着ベルト162との間には、加熱定着ベルト162の加熱源として発熱体169が設けられている。
なお、定着装置160では、加圧ロール161が、例えば図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加熱定着ベルト162は、加圧ロール161の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加圧ロール161が図3における反時計方向へ回転するのに対して、加熱定着ベルト162は時計方向へ回転する。
ここで、各部材についてより詳細に説明する。
・加圧ロール
加圧ロール161は、例えば、中実の金属製等のコア(円柱状芯金)161A、コア161Aの周囲に配置される耐熱性弾性体層161B、及び耐熱性弾性体層161Bの周囲に配置される表面層161Cを備える円筒状ロールである。加圧ロール161は、その形状、構造、大きさ等につき制限はなく、目的に応じて公知の加圧ロールが使用される。
加圧ロール161は、例えば、中実の金属製等のコア(円柱状芯金)161A、コア161Aの周囲に配置される耐熱性弾性体層161B、及び耐熱性弾性体層161Bの周囲に配置される表面層161Cを備える円筒状ロールである。加圧ロール161は、その形状、構造、大きさ等につき制限はなく、目的に応じて公知の加圧ロールが使用される。
コア161Aの両端部は、例えば、不図示の軸受け部材によって回転自在に支持されていると共に、コア161Aの両端部に配置されたコイルバネ等の付勢部材により加熱定着ベルト162に対して予め定められた圧力で圧接されている。
加圧ロール161のコア161Aの材質は、例えば、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、繊維強化金属(FRM)等が挙げられる。
加圧ロール161の耐熱性弾性体層161Bの材質は、例えば、硬度(JIS−A:JIS−KA型試験機により測定される硬度)が15°以上160°以下のゴム、エラストマー、発泡状の樹脂等が挙げられ、より具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、中空ガラスビーズを充填した液状シリコーンゴム等が挙げられる。耐熱性弾性体層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、2mm以上20mm以下の範囲が好ましく、3mm以上10mm以下の範囲がより好ましい。
また、加圧ロール161の表面層161Cの材質は、樹脂等が挙げられる。表面層161Cを形成する樹脂としては、例えば、耐熱性、離型性等の点から、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ化ポリイミド等が挙げられる。
表面層161Cは導電性を有していてもよく、体積抵抗率で1×104Ωcm以下の層であってもよい。導電性を有する表面層を形成する材料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性を有する粒子を含有する樹脂等が挙げられる。表面層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、20μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。
・押圧パッド
押圧パッド164は、例えば、加熱定着ベルト162の内側において金属製等のホルダ165に支持されている。押圧パッド164は、加熱定着ベルト162を介して加圧ロール161と対向するよう配置され、加熱定着ベルト162の内周面から加熱定着ベルト162を加圧ロール161へ押圧して、加熱定着ベルト162と加圧ロール161との間に、用紙が通過するニップ部を形成している。
なお、図3に示す定着装置では、この押圧パッド164が加熱定着ベルト162の内周表面と摺動する摺動部材を構成する。
押圧パッド164は、例えば、加熱定着ベルト162の内側において金属製等のホルダ165に支持されている。押圧パッド164は、加熱定着ベルト162を介して加圧ロール161と対向するよう配置され、加熱定着ベルト162の内周面から加熱定着ベルト162を加圧ロール161へ押圧して、加熱定着ベルト162と加圧ロール161との間に、用紙が通過するニップ部を形成している。
なお、図3に示す定着装置では、この押圧パッド164が加熱定着ベルト162の内周表面と摺動する摺動部材を構成する。
なお、加熱定着ベルト162と加圧ロール161とは相対的に加圧されていればよく、従って、加熱定着ベルト162が押圧パッド164によって加圧ロール161側に向けて加圧されていてもよく、加圧ロール161が加熱定着ベルト162側に向けてに加圧されていてもよい。
押圧パッド164の材質は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、PES樹脂(ポリエーテルサルフォン)、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂や、鉄、アルミニウム等の金属等が挙げられる。なお、前記樹脂に対してさらにカーボンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性を有する粒子を含有してもよい。
また、加熱定着ベルト162の内周面と押圧パッド164との摺動抵抗(摩擦)を小さくするため、加熱定着ベルト162と押圧パッド164との間に低摩擦部材(不図示)を設けてもよい。なお、この場合、低摩擦部材が加熱定着ベルト162の内周表面と摺動する摺動部材を構成する。
低摩擦部材は、単一層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。低摩擦部材の材質は、例えば、シンタード成型したPTFE樹脂シート、フッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート、ガラス繊維にフッ素樹脂のフィルムシートを加熱融着して挟み込んだ積層シート等が挙げられる。
また、低摩擦部材には、潤滑性オイルの枯渇を抑制する潤滑性オイル透過防止層が配置されることが好ましい。潤滑性オイル透過防止層の材質としては、例えば、耐熱性があり、潤滑性オイルを透過させない耐熱性樹脂フィルムや金属フィルム等が挙げられる。
なお、低摩擦部材を設置しない場合には、押圧パッド164は、加熱定着ベルト162の内周面に接触する表面が導電性を有するよう、例えば導電性を付与し得る粒子を含有した樹脂や金属等で構成されることが好ましい。
低摩擦部材は、単一層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。低摩擦部材の材質は、例えば、シンタード成型したPTFE樹脂シート、フッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート、ガラス繊維にフッ素樹脂のフィルムシートを加熱融着して挟み込んだ積層シート等が挙げられる。
また、低摩擦部材には、潤滑性オイルの枯渇を抑制する潤滑性オイル透過防止層が配置されることが好ましい。潤滑性オイル透過防止層の材質としては、例えば、耐熱性があり、潤滑性オイルを透過させない耐熱性樹脂フィルムや金属フィルム等が挙げられる。
なお、低摩擦部材を設置しない場合には、押圧パッド164は、加熱定着ベルト162の内周面に接触する表面が導電性を有するよう、例えば導電性を付与し得る粒子を含有した樹脂や金属等で構成されることが好ましい。
加熱定着ベルト162の内側には、加熱定着ベルト162と押圧パッド164等の加熱定着ベルト162内周面に接する各部材との摩擦抵抗を低下させるため、潤滑性オイル塗布部材を備えてもよい。潤滑性オイル塗布部材により、潤滑性オイル(例えば前述の第1の態様において列挙した潤滑性オイル)が加熱定着ベルト162の内周面に供給される。
・ベルト走行ガイド及び発熱体
ベルト走行ガイド163及びベルト走行補助ガイド166は、加熱定着ベルト162の内側において加熱定着ベルト162の形状に沿うよう円弧状に設けられ、加熱定着ベルト162が周回移動し得るよう支持する。
ベルト走行ガイド163及びベルト走行補助ガイド166の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
ベルト走行ガイド163及びベルト走行補助ガイド166は、加熱定着ベルト162の内側において加熱定着ベルト162の形状に沿うよう円弧状に設けられ、加熱定着ベルト162が周回移動し得るよう支持する。
ベルト走行ガイド163及びベルト走行補助ガイド166の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
また、加熱定着ベルト162に熱を付与する加熱源として、ベルト走行ガイド163と加熱定着ベルト162との間に発熱体169が設けられている。
発熱体169は、例えば、加熱定着ベルト162の形状に沿うように円弧状となっている。発熱体としては、例えば、電力を供給することでジュール発熱する抵抗発熱体を一対の支持板で挟み込んだ構成となっており、抵抗発熱体から発生する熱が支持板を介して加熱定着ベルト162に伝達される態様が挙げられる。支持板の材質は、伝熱性の観点等から、アルミニウム、ステンレス等の金属が望ましい。なお、定着装置160の加熱源としては、発熱体に制限されず、例えば、ハロゲンランプ等の公知の加熱源を使用してもよい。
発熱体169は、例えば、加熱定着ベルト162の形状に沿うように円弧状となっている。発熱体としては、例えば、電力を供給することでジュール発熱する抵抗発熱体を一対の支持板で挟み込んだ構成となっており、抵抗発熱体から発生する熱が支持板を介して加熱定着ベルト162に伝達される態様が挙げられる。支持板の材質は、伝熱性の観点等から、アルミニウム、ステンレス等の金属が望ましい。なお、定着装置160の加熱源としては、発熱体に制限されず、例えば、ハロゲンランプ等の公知の加熱源を使用してもよい。
次いで、定着装置160の動作について説明する。
定着装置160では、加圧ロール161が、例えば図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加熱定着ベルト162は、加圧ロール161の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加圧ロール161が図3における反時計方向へ回転するのに対して、加熱定着ベルト162は時計方向へ回転する。回転速度は特に限定されず、例えば表面速度250mm/秒に設定される。
定着装置160では、加圧ロール161が、例えば図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加熱定着ベルト162は、加圧ロール161の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加圧ロール161が図3における反時計方向へ回転するのに対して、加熱定着ベルト162は時計方向へ回転する。回転速度は特に限定されず、例えば表面速度250mm/秒に設定される。
そして、未定着トナー像Gが表面に形成された用紙K(記録媒体の一例)が、定着入口ガイド156Aによって導かれて、加熱定着ベルト162と加圧ロール161とによって形成されるニップ部に搬送される。用紙Kがニップ部を通過する際に、用紙K上のトナー像Gはニップ部に作用する圧力及び熱が加えられ、さらに定着出口ガイド156Bによって導かれて排出されて、用紙Kの表面にトナー像Gが定着される。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、本実施形態に係る定着装置を有する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、本実施形態に係る定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置は、本実施形態に係る定着装置を有する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、本実施形態に係る定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー画像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図4に示す画像形成装置は、上記本実施形態に係る定着装置に適用した画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107が、支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により張力を付与しつつ支持され、無端ベルトユニット107bを形成している。これらの支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a〜101dの表面に接触しながら各像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとを矢印Aの方向に移動し得る。一次転写ロール105a〜105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a〜101dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
二次転写装置として、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。二次転写ベルト116は、二次転写ロール109と支持ロール106eとによって支持されている。紙等の記録媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109とで挟まれる領域を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール109と対向ロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112および113が配置されている。
この構成の多色の画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザ光等の露光装置114aにより第1色目の静電荷像が形成される。形成された静電荷像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーを含む現像剤で現像(顕像化)されてトナー画像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電荷像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー画像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー画像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー画像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的に多色の多重トナー画像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー画像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー画像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱および加圧、又は加熱、若しくは加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112および113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
・像保持体
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状またはプレート状等、公知の形状が採用される。
・帯電装置
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ωcm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ωcm以上1013Ωcm以下を意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ωcm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ωcm以上1013Ωcm以下を意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a〜102dは、像保持体101a〜101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
・露光装置
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、またはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、またはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
・現像装置
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触または非接触で現像する公知の現像器などが挙げられる。
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触または非接触で現像する公知の現像器などが挙げられる。
・中間転写ベルト
中間転写ベルト107は、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト107は、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
・一次転写ロール
一次転写ロール105a〜105dは単層または多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
一次転写ロール105a〜105dは単層または多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
・像保持体クリーニング装置
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
・二次転写ロール
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆する塗布層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。塗布層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は107Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆する塗布層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。塗布層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は107Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
・対向ロール
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層または多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層または多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108と二次転写ロール109の芯体とには、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。対向ロール108の芯体への電圧印加に代えて、対向ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109とに電圧を印加してもよい。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
・中間転写ベルトクリーニング装置
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度とした1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で40分乾燥させて、残留溶媒量を50質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は1.5質量%であった。
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度とした1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で40分乾燥させて、残留溶媒量を50質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は1.5質量%であった。
<実施例2>
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度としたテトラメチル尿素溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で100℃で20分乾燥させて、残留溶媒量を35質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は0.07質量%であった。
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度としたテトラメチル尿素溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で100℃で20分乾燥させて、残留溶媒量を35質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は0.07質量%であった。
<実施例3>
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度とした3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で50分乾燥させて、残留溶媒量を60質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は3.0質量%であった。
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度とした3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で50分乾燥させて、残留溶媒量を60質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は3.0質量%であった。
<比較例1>
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度としたN−メチルピロリドン(NMP)溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で35分乾燥させて、残留溶媒量を48質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は1.1質量%であった。
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度としたN−メチルピロリドン(NMP)溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で35分乾燥させて、残留溶媒量を48質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は1.1質量%であった。
<比較例2>
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度としたN,N−ジアセトアミド溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で35分乾燥させて、残留溶媒量を48質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は1.5質量%であった。
ポリイミド前駆体組成物として、3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)と、が重合されてなるポリアミック酸を、20質量%の固形分濃度としたN,N−ジアセトアミド溶液を準備した。
この溶液をΦ30mmのアルミパイプ(表面Raが0.3mmにブラスト処理されたもの)に、成膜後の厚さ80μmになるようにブレード塗布し、次いで回転させた状態で130℃で35分乾燥させて、残留溶媒量を48質量%とした。その後、PFAディスパージョンをスプレー塗布して80℃で15分乾燥させた。次いで、焼成工程として330℃で30分保持し、室温(25℃)に2時間かけて戻し、脱型した後に定められた長さに両端を切断して、加圧定着ベルトを作製した。得られた加圧定着ベルトにおける残留溶媒量は1.5質量%であった。
なお、上記実施例及び比較例では、PFAディスパージョンとして、三井・デュポンフロロケミカル社製、製品名:EJ−CL700を用いた。
[評価]
−圧子押し込み体積の測定−
各実施例及び比較例で得られた加圧定着ベルトの内周表面について、硬さの指標としてナノインデンテーション法による圧子の押し込み体積(115°三角錐圧子、荷重0.5mN)を、前述の方法により測定した。
−圧子押し込み体積の測定−
各実施例及び比較例で得られた加圧定着ベルトの内周表面について、硬さの指標としてナノインデンテーション法による圧子の押し込み体積(115°三角錐圧子、荷重0.5mN)を、前述の方法により測定した。
−ヤング率の測定−
各実施例及び比較例で得られた加圧定着ベルトについて、柔軟性の指標としてヤング率を、前述の方法により測定した。
各実施例及び比較例で得られた加圧定着ベルトについて、柔軟性の指標としてヤング率を、前述の方法により測定した。
−100kPVプリント前後でのトルクの測定−
各実施例及び比較例で得られた加圧定着ベルトを、富士ゼロックス社製画像形成装置(DocuPrintCP400ps)の定着ユニットにおいて、加熱定着ロール(ヒートロール)に対向して配置される加圧定着ベルトとして装着した。なお、この加圧定着ベルトのニップにおける内周表面には、ニップ方向に向けて押し付けられるよう摺動部材が配置されており、かつ加圧定着ベルトの内周表面には潤滑性オイル(信越化学工業社製、製品名:KF−877)が塗布されている。
この画像形成装置にて100kPV(=100,000枚)のプリントを実施し、その前後において、定着ユニットを外しヒートロールのトルクを測定した。
プリント開始前のトルクは0.30N・mであった。プリント開始後のトルク、及びプリント開始前後でのトルクの差を、下記表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた加圧定着ベルトを、富士ゼロックス社製画像形成装置(DocuPrintCP400ps)の定着ユニットにおいて、加熱定着ロール(ヒートロール)に対向して配置される加圧定着ベルトとして装着した。なお、この加圧定着ベルトのニップにおける内周表面には、ニップ方向に向けて押し付けられるよう摺動部材が配置されており、かつ加圧定着ベルトの内周表面には潤滑性オイル(信越化学工業社製、製品名:KF−877)が塗布されている。
この画像形成装置にて100kPV(=100,000枚)のプリントを実施し、その前後において、定着ユニットを外しヒートロールのトルクを測定した。
プリント開始前のトルクは0.30N・mであった。プリント開始後のトルク、及びプリント開始前後でのトルクの差を、下記表1に示す。
表1に示される通り、溶媒として前述の溶媒群Aに含まれる溶媒を含有する実施例1〜3では、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)又はN,N−ジアセトアミドのみを含有する比較例1、2に比べ、ナノインデンテーション法による圧子の押し込み体積が小さくなっており、内周表面が硬いことが分かる。そして、実施例1〜3では比較例1、2に比べ、100kPV(=100,000枚)のプリント前後でのトルクの上昇が、抑制されていることが分かる。
なお、実施例1〜3及び比較例1、2の加圧定着ベルトについて、100kPVのプリント後におけるの内周表面を観察したところ、比較例1、2では摩耗が進行していたのに対し、実施例1〜3では摩耗の発生が観察されないか、又は摩耗が僅かしか発生していなかった。
なお、実施例1〜3及び比較例1、2の加圧定着ベルトについて、100kPVのプリント後におけるの内周表面を観察したところ、比較例1、2では摩耗が進行していたのに対し、実施例1〜3では摩耗の発生が観察されないか、又は摩耗が僅かしか発生していなかった。
56 定着入口ガイド
60 定着装置
61 加熱ロール
62 加圧定着ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 低摩擦部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
100 画像形成装置
101a、101b、101c、101d 像保持体
102a、102b、102c、102d 帯電装置
103a、103b、103c、103d 現像装置
104a、104b、104c、104d 像保持体クリーニング装置
105a、105b、105c、105d 一次転写ロール
106a、106b、106c、106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b 無端ベルトユニット
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニング装置
114a、114b、114c、114d 露光装置
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
156A 定着入口ガイド
156B 定着出口ガイド
160 定着装置
161 加圧ロール
161A コア
161B 耐熱性弾性体層
161C 表面層
162 加熱定着ベルト
163 ベルト走行ガイド
164 押圧パッド
165 ホルダ
166 ベルト走行補助ガイド
169 発熱体
K 用紙
N 挟込領域(ニップ)
60 定着装置
61 加熱ロール
62 加圧定着ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 低摩擦部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
100 画像形成装置
101a、101b、101c、101d 像保持体
102a、102b、102c、102d 帯電装置
103a、103b、103c、103d 現像装置
104a、104b、104c、104d 像保持体クリーニング装置
105a、105b、105c、105d 一次転写ロール
106a、106b、106c、106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b 無端ベルトユニット
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニング装置
114a、114b、114c、114d 露光装置
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
156A 定着入口ガイド
156B 定着出口ガイド
160 定着装置
161 加圧ロール
161A コア
161B 耐熱性弾性体層
161C 表面層
162 加熱定着ベルト
163 ベルト走行ガイド
164 押圧パッド
165 ホルダ
166 ベルト走行補助ガイド
169 発熱体
K 用紙
N 挟込領域(ニップ)
Claims (7)
- ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒aを含み、ベルト内周表面を構成する円筒状の基材と、
前記基材の外周上に配置される表面層と、
を有する定着用ベルト。 - 前記溶媒aが、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒である請求項1に記載の定着用ベルト。
- 前記溶媒aが、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである請求項1又は請求項2に記載の定着用ベルト。
- 前記基材の内周表面は、ナノインデンテーション法により115°の三角錐圧子を0.5mNの荷重で押し込んだときの深さ(圧子の押し込み体積)が0.06μm3以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
- 前記基材が、潤滑性粒子をさらに含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着用ベルトと、
前記定着用ベルトの内周表面に接触して、回転駆動する前記定着用ベルトと摺動する摺動部材と、
前記定着用ベルトを挟んで前記摺動部材に対向して配置され、前記定着用ベルトの外周面を加圧する定着用回転体と、
を有し、
未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記定着用ベルト及び前記定着用回転体で挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項6に記載の定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017039791A JP2018146684A (ja) | 2017-03-02 | 2017-03-02 | 定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017039791A JP2018146684A (ja) | 2017-03-02 | 2017-03-02 | 定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018146684A true JP2018146684A (ja) | 2018-09-20 |
Family
ID=63591103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017039791A Pending JP2018146684A (ja) | 2017-03-02 | 2017-03-02 | 定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018146684A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020250967A1 (ja) * | 2019-06-14 | 2020-12-17 | サンデン・アドバンストテクノロジー株式会社 | 摺動皮膜の形成方法及び斜板式圧縮機 |
-
2017
- 2017-03-02 JP JP2017039791A patent/JP2018146684A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020250967A1 (ja) * | 2019-06-14 | 2020-12-17 | サンデン・アドバンストテクノロジー株式会社 | 摺動皮膜の形成方法及び斜板式圧縮機 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2010224229A (ja) | 管状体、管状体支持装置、画像定着装置、画像形成装置、及び管状体の製造方法 | |
CN107526264B (zh) | 环带、图像形成装置和环带单元 | |
JP2017146504A (ja) | 管状体、転写ベルト、転写ユニット、及び、画像形成装置 | |
JP2017223838A (ja) | 無端ベルト、画像形成装置、及び無端ベルトユニット | |
JP6900844B2 (ja) | 無端ベルト、画像形成装置、無端ベルトユニット、及びポリイミド樹脂成形体 | |
JP2019200318A (ja) | ベルト、無端ベルト、中間転写ベルト、及び画像形成装置 | |
JP6996090B2 (ja) | 電子写真装置用転写ベルト、画像形成装置及び転写ベルトユニット | |
JP7263722B2 (ja) | 定着ベルト、定着装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び定着ベルト用基材 | |
JP2017146503A (ja) | 管状体、転写ベルト、転写ユニット、及び、画像形成装置 | |
JP4840913B2 (ja) | 無端ベルト及び画像形成装置 | |
JP2018146684A (ja) | 定着用ベルト、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP7613270B2 (ja) | 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP6828504B2 (ja) | 画像形成装置用の円筒状部材、画像形成装置、及び円筒状部材ユニット | |
JP7613271B2 (ja) | 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2023116278A (ja) | 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2023059123A (ja) | 無端ベルト、定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2017026820A (ja) | 無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 | |
JP6798364B2 (ja) | 転写ベルト、転写ベルトユニット、画像形成装置及び転写ベルトの製造方法 | |
JP5157330B2 (ja) | 成形用芯体、シームレス管状物の製造方法 | |
JP2018146635A (ja) | 電子写真装置用無端ベルト、画像形成装置、及び、無端ベルトユニット | |
JP5910223B2 (ja) | ポリアミック酸組成物、無端ベルト及びその製造方法、画像形成装置 | |
US12259671B2 (en) | Resin belt, fixing belt, fixing device, and image forming apparatus | |
JP2023006751A (ja) | ゴム成形体、定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2022185860A (ja) | ベルト、定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP6834641B2 (ja) | 無端ベルトユニット、及び画像形成装置 |