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JP2018145095A - エルロチニブ塩酸塩含有医薬組成物 - Google Patents

エルロチニブ塩酸塩含有医薬組成物 Download PDF

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健児 野沢
Kenji Nozawa
健児 野沢
浩平 生野
Kohei Ikuno
浩平 生野
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Sawai Pharmaceutical Co Ltd
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Sawai Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】エルロチニブ塩酸塩のA型結晶を含有し、B型結晶を含まないか、又はB型結晶の含有率が極めて低い医薬組成物を提供する。【解決手段】エルロチニブ塩酸塩のA型結晶と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する医薬組成物。ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの合計含有量は、医薬組成物の全量に対して、0.5〜5重量%とすることができる、また、医薬組成物は、代表的には錠剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶を含有する医薬組成物に関する。
エルロチニブ塩酸塩は、上皮増殖因子受容体−チロシンキナーゼを選択的に阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示す薬剤である。エルロチニブ塩酸塩の結晶形としては、A型結晶、B型結晶、及びE型結晶が知られている。B型結晶は安定であるため、エルロチニブ塩酸塩のB型結晶を含み、A型結晶を含まない医薬組成物が提案されている(特許文献1)。また、エルロチニブ塩酸塩を含有する医薬製剤としては、タルセバ錠(中外製薬株式会社)が知られているが(非特許文献1)、タルセバ錠はエルロチニブ塩酸塩のB型結晶を有効成分としており、A型結晶を含まない。
ここで、エルロチニブ塩酸塩は水難溶性であることから、バイオアベイラビリティを向上させるためには、できるだけ水への溶解性が高い結晶形を使用することが求められる。この点、A型結晶はB型結晶より水への溶解性が高いため、バイオアベイラビリティを向上させる観点からは、A型結晶を使用することが望ましい。
特許第4689916号公報
タルセバ錠 医薬品インタビューフォーム
上記の背景技術に加えて、本発明者らの検討により、A型結晶は不安定であるため製剤の製造時や保管時などにB型結晶に転移し易いことが判明した。バイオアベイラビリティ向上の観点から、患者に投与する際までA型結晶を維持する必要があるため、製剤の製造時や保管時などにおけるB型結晶への転移は抑制しなければならない。そこで、本発明は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶を含有し、B型結晶を含まないか、又はB型結晶の含有率が極めて低い医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースとを配合した医薬組成物は、製造中及び保管時にA型結晶からB型結晶への転移が起こり難いことを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の(1)〜(3)を提供する。
(1) エルロチニブ塩酸塩のA型結晶と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する医薬組成物。
(2) ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの合計含有量が、医薬組成物の全量に対して、0.5〜5重量%である、(1)に記載の医薬組成物。
(3) 医薬組成物が錠剤である、(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
本発明の医薬組成物は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶に加えて、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)を含有するため、A型結晶からB型結晶への転移が抑制されている。従って、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶を含み、B型結晶を含まないか、実質的に含まない、又はB型結晶の比率が極めて少ないものである。また、本発明の医薬組成物は、保管中のB型結晶の生成も抑制されている。
ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースは、少量でも結晶転移を抑制することができる。また、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースを配合する場合は、製造条件や、その他の添加物の種類及び量に拘わらず、結晶転移が効果的に抑制されるため、医薬組成物の設計の自由度が高くなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)医薬組成物
本発明の医薬組成物は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースとを含有する医薬組成物である。
エルロチニブ塩酸塩
エルロチニブ塩酸塩は、化学名が、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン モノヒドロクロリドである化合物である。エルロチニブ塩酸塩は、例えば、粉体のものを使用することができる。
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶は、X線粉末回折パターンにおいて反射角度2θで表した際の特徴的なピークが5.6°±0.2°である。また概ね、5.6°±0.2°、9.8°±0.2°、18.9°±0.2°、22.7°±0.2°、及び23.5°±0.2°にピークを有する。また、さらに概ね、5.6°±0.2°、9.8°±0.2°、11.3°±0.2°、18.9°±0.2°、22.7°±0.2°、23.5°±0.2°、24.2°±0.2°、24.6°±0.2°、25.4°±0.2°、26.2°±0.2°、及び29.3°±0.2°にピークを有する。
本発明の医薬組成物は、エルロチニブ塩酸塩のB型結晶を含まないものとすることができるが、B型結晶を少量含む場合も包含する。エルロチニブ塩酸塩のB型結晶は、X線粉末回折パターンにおいて反射角度2θで表した際の特徴的なピークが6.2°±0.2°である。また概ね、6.2°±0.2°、20.2°±0.2°、21.1°±0.2°、25.1°±0.2°、及び26.9°±0.2°にピークを有する。さらに概ね、6.2°±0.2°、12.5°±0.2°、13.4°±0.2°、17.0°±0.2°、20.2°±0.2°、21.1°±0.2°、23.0°±0.2°、24.5°±0.2°、25.1°±0.2°、及び26.9°±0.2°にピークを有する。
本発明において、A型結晶に対するB型結晶のピーク比(B型/A型)は、X線粉末回折パターンから、A型結晶に特徴的な2θ=5.6°±0.2°のピークの強度と、B型結晶に特徴的な2θ=6.2°±0.2°のピークの強度を測定し、これらの強度から計算されるピーク強度比(B型/A型)をいう。
本発明の医薬組成物がB型結晶を含む場合、包装せずに温度40℃、相対湿度75%の下で1か月静置した後のA型結晶に対するB型結晶のピーク強度比(B型/A型)は、例えば1.8以下であり、また好ましくは1以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。
エルロチニブ塩酸塩の含有量は、医薬組成物が錠剤である場合、1錠中に1〜1000mg程度とすることができ、特に、1錠中に25mg、100mg、又は150mgとすることができる。
添加物
本発明の医薬組成物は、有効成分のエルロチニブ塩酸塩と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースに加えて、種々の添加物を含むことができる。添加物としては、賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒプロメロース以外の結合剤、崩壊剤、甘味剤、矯味剤、流動化剤、滑沢剤、界面活性剤、香料、着色料などが挙げられる。添加物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、各添加物は、それぞれ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(結合剤)
本発明の医薬組成物は、添加物として、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースを含む。
ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースの合計含有量は、錠剤の全量(医薬組成物がコーティングを有する錠剤である場合は素錠の全量、医薬組成物がコーティングを有する顆粒剤である場合はコーティングで被覆する前の顆粒の全量、医薬組成物がカプセル剤である場合はカプセルに充填された顆粒の全量(但し、コーティングを有する顆粒が充填されている場合は、コーティングで被覆する前の顆粒の全量))に対して、約0.5〜5重量%とすることができ、約1〜4重量%が好ましく、さらに約1.5〜3.5重量%がより好ましい。これによりB型結晶の生成が効果的に抑制される。
ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒプロメロースは、一般に結合剤として配合される成分であるが、少量でもB型結晶の生成を抑制できる。
本発明の医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒプロメロース以外の結合剤を含んでいてよい。その他の結合剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロースのようなセルロース類;ポリビニルピロリドン(ポビドン);デンプン;ゼラチン;ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
(賦形剤)
賦形剤としては、例えば、乳糖、乳糖水和物、白糖、マルトース、果糖、ブドウ糖(デキストロース)、トレハロースのような糖類;マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールのような糖アルコール;デンプン、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプンのようなデンプン類;結晶セルロースのようなセルロース類;デキストリン;プルラン;アラビアゴム;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムのような無機賦形剤などが挙げられる。
(崩壊剤)
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン;カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースのようなセルロース類;デンプン、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、ヒドロキシプロピルスターチのようなデンプン類;デキストリン;ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
(滑沢剤)
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、酒石酸ナトリウムカリウム、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロック共重合体、ポリオキシル35ヒマシ油などが挙げられる。
(甘味剤)
甘味剤としては、例えば、マンニトール、デンプン糖、還元麦芽糖水あめ、ソルビット、砂糖、果糖、乳糖、蜂蜜、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、サッカリン、甘草およびその抽出物、グリチルリチン酸、甘茶、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、アセスルファムカリウム、クエン酸ナトリウム、スクラロースなどが挙げられる。
(矯味剤)
矯味剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、DL−リンゴ酸、グリシン、DL−アラニンなどが挙げられる。
(流動化剤)
流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、乾燥水酸化アルミニウムゲル、カオリン、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルクなどが挙げられる。
(香料)
香料としては、例えば、ストロベリー、レモン、レモンライム、オレンジ、l−メントール、ハッカ油などが挙げられる。
(着色料)
着色料としては、例えば、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、食用タール色素、天然色素などが挙げられる。
医薬組成物
本発明において、医薬組成物は、固形のものであればよいが、中でも、造粒物を用いて製造され得る、錠剤、顆粒剤、カプセル剤(特に、硬カプセル剤)などが好適である。錠剤は、通常の錠剤の他、口腔内崩壊錠、チュアブル錠などであってもよい。また、口腔内から吸収される舌下錠、バッカル錠、トローチ錠などであってもよい。
(2)医薬組成物の製造方法
本発明の医薬組成物の製造方法は特に限定されない。医薬組成物が錠剤である場合、例えば、常法に従い、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶を含む原料を湿式又は乾式で造粒し、必要に応じて乾燥、整粒の後、得られた造粒物を打錠するか、又は得られた造粒物と添加物(例えば、滑沢剤など)とを混合して打錠する方法により製造することができる。湿式造粒法としては、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、練合造粒法などが挙げられ、乾式造粒法としては、圧片造粒法、ブリケット造粒法、溶融造粒法などが挙げられる。
ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースは、造粒に供する原料に配合してもよく、造粒物と混合される添加物として配合してもよく、両方に配合してもよい。中でも、造粒に供する原料に配合するか、又は両方に配合することが望ましく、それにより、B型への結晶転移を一層効果的に抑制できる。
また、錠剤は、エルロチニブ塩酸塩と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースと、必要に応じて配合されるその他の全ての添加物とを混合し打錠する直接打錠法により製造することもできる。
また、エルロチニブ塩酸塩と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースを含む原料を上記のようにして造粒し、得られた造粒物を、そのまま、又は必要に応じてコーティングを施して、顆粒剤として使用することができる。
また、この造粒物を、そのまま、又は必要に応じて添加物と混合して、カプセル(硬カプセル)に充填することにより、カプセル剤を製造することができる。
このように、本発明は、エルロチニブ塩酸塩と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒプロメロースを含む造粒物を用いて医薬組成物を製造する方法を包含する。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)結合剤の種類の検討
実施例1(ヒドロキシプロピルセルロース)
流動層造粒装置MP―01(パウレック株式会社製)にて、A型結晶のエルロチニブ塩酸塩81.96g、乳糖水和物(200M、DMV)134.04g、結晶セルロース(101、旭化成ケミカルズ株式会社)45.0gを混合後、ラウリル硫酸ナトリウム(Sigma)6.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gを精製水242.5gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーし流動層造粒を行った。流動層造粒工程で得られた造粒物を、70℃で乾燥した。乾燥した造粒物を篩22号で整粒した後、整粒品にデンプンクリコール酸ナトリウム(プリモジェル、DMV)21.0g、ステアリン酸マグネシウム(植物性、太平化学)4.5gを加えポリ袋で手混合し、A型結晶のエルロチニブ塩酸塩を含む打錠前粉末を得た。打錠機(vela5、株式会社菊水製作所)を用い、1錠100mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
比較例1(結合剤なし)
実施例1において、乳糖水和物の量を141.54gとし、またラウリル硫酸ナトリウム(Sigma)6.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gを精製水242.5gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーする代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム6.0gを精製水194.0gに溶解させた水溶液(結合剤なし)をスプレーし流動層造粒を行った以外は実施例1と同様の製造法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
実施例2(ヒドロキシプロピルセルロース)
実施例1において、液速約9g/分を約7g/分に変更してスプレーし流動層造粒を行ったこと以外は、実施例1と同様の製造法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
実施例3(ヒプロメロース)
実施例2において、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gの代わりに、ヒプロメロース(R、信越化学工業株式会社)7.5gを用いたこと以外は、実施例2と同様の製造方法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
比較例2(ポリビニルピロリドン)
実施例2において、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gの代わりに、ポリビニルピロリドン(K−30、株式会社日本触媒)7.5gを用いたこと以外は、実施例2と同様の製造方法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
比較例3(ポリビニルアルコール)
実施例2において、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gの代わりに、ポリビニルアルコール(EG−05、日本合成化学株式会社)7.5gを用いたこと以外は、実施例2と同様の製造方法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
(結晶転移率の測定)
実施例1〜3、比較例1〜3で得た各錠剤をアルミ袋内に密封し、温度60℃、相対湿度60%の下で1か月静置した。その後、錠剤中のエルロチニブ塩酸塩の結晶形を、CuKαを用いた粉末X線回折装置(D8 ADVANCE、ブルカー・エイエックス株式会社)により測定した。測定サンプルをメノウ乳鉢で軽く粉砕後、サンプルカップにパッキングし、当該装置にセットした。管電圧と管電流をそれぞれ40kVと40mVに設定し、走査軸2θの2°から40°の範囲でスキャニングを行った。得られたX線粉末回折パターンから、A型結晶に特徴的な2θ=5.6°±0.2°のピークの強度と、B型結晶に特徴的な2θ=6.2°±0.2のピークの強度を測定し、ピーク強度比(B型/A型)を算出した。
別途、実施例1〜3、比較例1〜3で得た各錠剤を、包装せずに、温度40℃、相対湿度75%の下で1か月静置した。1か月静置後に、同様に、X線粉末回折を行い、ピーク強度比(B型/A型)を算出した。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2018145095
結合剤を配合しない錠剤は(比較例1)、B型への結晶転移が認められ、特に、温度40℃、相対湿度75%の下で1か月静置という過酷な条件下で静置すると、A型結晶のピーク強度の2.85倍のピーク強度を有するB型結晶が検出され、B型結晶への相転移が進行していることが確認された。これに対して、ヒドロキシプロピルセルロースを配合することにより(実施例1)、何れの保管条件でも、B型への結晶転移が強く抑制された。
また、ヒプロメロースは、ヒドロキシプロピルセルロースと同程度にB型への結晶転移を顕著に抑制した(実施例2と実施例3との対比)。一方、結合剤として、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルアルコールを配合した錠剤は(比較例2、3)、結合剤を使用しない錠剤(比較例1)と同様にB型結晶への転移が認められた。
(2)結合剤の使用量などの検討
実施例4(HPC4mg・SDSなし・液速5g/分)
実施例1において、乳糖水和物の量を135.54gとし、またラウリル硫酸ナトリウム(Sigma)6.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gを精製水242.5gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーする代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)12.0gを精製水238.0gに溶解させた水溶液を約5g/分の速度でスプレーし流動層造粒を行ったこと以外は実施例1と同様の製造法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
実施例5(HPC1mg・SDSあり・液速5g/分)
実施例1において、乳糖水和物の量を129.54gとし、またラウリル硫酸ナトリウム(Sigma)6.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gを精製水242.5gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーする代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム15.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)3.0gを精製水247.0gに溶解させた水溶液を約5g/分の速度でスプレーし流動層造粒を行ったこと以外は実施例1と同様の製造法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
実施例6(HPC1mg・SDSなし・液速9g/分)
実施例1において、乳糖水和物の量を144.54gとし、またラウリル硫酸ナトリウム(Sigma)6.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gを精製水242.5gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーする代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)3.0gを精製水247.0gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーし流動層造粒を行ったこと以外は実施例1と同様の製造法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
実施例7(HPC4mg・SDSあり・液速9g/分)
実施例1において、乳糖水和物の量を120.54gとし、またラウリル硫酸ナトリウム(Sigma)6.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)7.5gを精製水242.5gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーする代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム15.0g、ヒドロキシプロピルセルロース(L、日本曹達株式会社)12.0gを精製水238.0gに溶解させた水溶液を約9g/分の速度でスプレーし流動層造粒を行ったこと以外は実施例1と同様の製造法により、A型結晶エルロチニブ塩酸塩含有錠を得た。
(結晶転移率の測定)
実施例4〜7、比較例1で得た各錠剤をアルミ袋内に密封し、温度60℃、相対湿度60%の下で1か月静置した。1か月静置後に、段落0038と同様の測定条件にてX線粉末回折を行い、X線粉末回折パターンから、A型結晶に特徴的な2θ=5.6°±0.2°のピークの強度と、B型結晶に特徴的な2θ=6.2°±0.2°のピークの強度を測定し、ピーク強度比(B型/A型)を算出した。
別途、実施例4〜7、比較例1で得た各錠剤を、包装せずに、温度40℃、相対湿度75%の下で1か月静置した。1か月静置後に、同様に、X線粉末回折を行い、ピーク強度比(B型/A型)を算出した。
結果を以下の表2に示す。
Figure 2018145095
錠剤全量に対して1重量%という少量のヒドロキシプロピルセルロースを配合することによって、B型結晶の生成が抑制された。また、ヒドロキシプロピルセルロースによる結晶転移抑制効果は用量依存性がなく、少量配合すれば効果が得られることが分かる。
また、ヒドロキシプロピルセルロースを配合することにより、その他の配合成分や湿式造粒時の液体供給速度に拘わらず、B型結晶の生成が抑制された。
本発明の医薬組成物は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含み、エルロチニブ塩酸塩のB型結晶の含有量が抑えられている。B型結晶はA型結晶と比較すると水溶性が低いため、B型結晶を含有するとバイオアベイラビリティの低下が懸念される。この点、本発明の医薬組成物はB型結晶の含有量を抑えることで、バイオアベイラビリティ低下の懸念を解消した点において非常に有用なものである。

Claims (3)

  1. エルロチニブ塩酸塩のA型結晶と、ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する医薬組成物。
  2. ヒドロキシプロピルセルロース、及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの合計含有量が、医薬組成物の全量に対して、0.5〜5重量%である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 医薬組成物が錠剤である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。

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