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JP2018111233A - 液体吐出装置、画像形成セット、インク及び画像形成方法 - Google Patents

液体吐出装置、画像形成セット、インク及び画像形成方法 Download PDF

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JP2018111233A JP2017001998A JP2017001998A JP2018111233A JP 2018111233 A JP2018111233 A JP 2018111233A JP 2017001998 A JP2017001998 A JP 2017001998A JP 2017001998 A JP2017001998 A JP 2017001998A JP 2018111233 A JP2018111233 A JP 2018111233A
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智之 小島
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弘規 萩原
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Abstract

【課題】高い画像濃度及び画像乾燥性と、優れたメンテナンス性とを両立する液体吐出装置を提供する。【解決手段】色材、有機溶剤及び水を含有するインクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備えた液体吐出装置であって、前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出装置、画像形成セット、インク及び画像形成方法に関する。
インクの小滴をインクジェットやスプレーで媒体に吹き付けて媒体表面にインク画像を形成したり、インク塗装を施したりすることは従来から行われている。
特に、インクジェット記録方法は、容易にカラー画像の記録が可能であり、しかもランニングコストが低いなどの理由から、近年、急速に普及してきている。インクジェット記録用インクとしては、水性媒体中に染料を溶解させた水性染料インクや、有機溶剤中に油溶性染料を溶解した溶剤系インクが使用されている。一般に環境、安全面からオフィスや家庭では、水溶性染料を水又は水と水溶性有機溶剤とに溶解させたものが使用されている。
しかし、このような水溶性染料を含むインクにより形成された記録画像は耐水性や耐光性に劣ることが問題とされている。
これに対して、顔料を微粒子状にして水に分散させた水性顔料インクが注目されている。水分散性顔料を使用したインクジェット記録用インクは耐水性、耐光性に優れることが知られている。
しかし、インクジェット記録用インクに着色剤として顔料を用いた場合、通常の炭化水素系界面活性剤を使用すると、画像ベタ部の均一性、カラー画像の発色性などにおいて染料インクと同等レベルを達成することが困難である。このため、フッ素系界面活性剤を用いることで、インクの表面張力を下げ、画像ベタ部の均一性を上げ、発色性改善が図れることが既に知られている(特許文献1)。
また、着色剤を分散ポリマーで包含した顔料水分散体をインク中に添加することで、裏抜けを抑制し、画像濃度の向上が図れることも知られている(特許文献2)。
しかし、このように画像濃度を向上させる方式は、顔料や樹脂粒子といった固形分を分散させたインクでは固形分の沈降によって、インクが不均一化して濃度ムラが生じることや、沈降して凝集した固形分がノズルの目詰まりによる吐出不安定性やメンテナンス性の悪化につながることがある。
このようなメンテナンス性の問題に対して、高沸点溶剤を含むことで向上させていることが知られている(特許文献3)。
しかし、高沸点溶剤を含むことで、画像濃度の低下や画像乾燥性の低下などの問題が発生している。
また、従来技術では、主に液体吐出装置におけるノズル面クリーニングの際に、ノズル面に拭き残されたインクが付着することで、ノズル孔を固着インクが覆い不吐出につながるといった障害が発生している。さらに、クリーニングの際に、ノズル端部にふき取られたインクが堆積し、ノズルからインク堆積物が伸びることで、印刷時に非画像部に付着し汚れとして画像異常が生じることがある。
本発明は、高い画像濃度及び画像乾燥性と、優れたメンテナンス性とを両立する液体吐出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、色材、有機溶剤及び水を含有するインクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備えた液体吐出装置であって、
前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、
前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、
前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする。
本発明によれば、高い画像濃度及び画像乾燥性と、優れたメンテナンス性とを両立する液体吐出装置を提供することができる。
本発明の液体吐出装置の一例を示す概略説明図である。 本発明の液体吐出装置の他の例を示す斜視概略説明図である。 本発明の液体吐出装置の他の例を示す側面概略説明図である。
以下、本発明に係る液体吐出装置、画像形成セット、インク及び画像形成方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、色材、有機溶剤及び水を含有するインクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備えた液体吐出装置であって、前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする。
また、本発明は、色材、有機溶剤及び水を含有するインクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備えた液体吐出装置及び前記インクを付着させる記録媒体を有する画像形成セットであって、前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まず、前記記録媒体が、普通紙又は坪量50g/m時におけるステキヒト・サイズ度が10秒以上の低吸液性印刷用紙であることを特徴とする。
また、本発明は、循環手段を有する液体吐出装置の液体吐出部に設けられたノズルから吐出されるインクであって、前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、前記インクは、色材、有機溶剤及び水を含有し、前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする。
また、本発明は、液体吐出装置の液体吐出部に設けられたノズルからインクを吐出する吐出工程と、前記インクを前記液体吐出装置内で循環させる循環工程と、を有する画像形成方法であって、前記循環工程は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有する前記液体吐出部により、前記インクを前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出させ、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環を行い、前記インクは色材、有機溶剤及び水を含有し、前記有機溶剤は沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする。
以下、本実施形態の詳細を説明する。
(インク)
まず、本発明のインクについて説明する。本発明のインクは、色材、有機溶剤及び水を含有し、必要に応じてその他の成分を含んでもいてもよい。また、前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まない。
本発明においては、このような有機溶剤を用いることにより、高い画像濃度と画像乾燥性の両立を可能としている。これは、インク中有機溶剤に沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことにより、印字の際、普通紙等に着弾した後、水を含むインク中の溶媒の乾燥速度が速くなる。そのため、着弾した後のインク滴では急激な顔料の凝集が起こり、普通紙繊維間への浸透が抑制され、普通紙等の記録媒体の表面上により多く顔料が残る。これにより高い画像濃度が実現可能となる。
また、低吸収性媒体上に印字の際も、インク中溶媒の乾燥速度が速くなるため印字後擦過によるインクの転写や延びを抑制することができる。さらに沸点が230℃以下のジオール化合物を含むことで、吐出安定性及び保存安定性の担保が可能である。
しかし、上記のような沸点の高い有機溶剤をインク中に含まず、乾燥性の高いインクを用いることで、維持信頼性が不十分となることがある。具体的には、外気と接するノズル面やクリーニング機構において、空吐出及びクリーニングのために排出されたインクの乾燥・増粘が早まることで、ノズル面やクリーニング機構へ固着・堆積してしまう。このようなノズル面及びクリーニング機構への固着・堆積が不吐出や印字動作中にメディアに接触することで汚れが発生するなどの問題を引き起こす可能性がある。
本発明では、乾燥性の高いインクをノズルと連通する液室経由で循環させることにより、外気と接することにより生じる乾燥を抑制し、上記のような問題を防ぐことができる。
このように、乾燥性が高く良好な画像品質を満たすインクに組み合わせて、液体吐出装置に循環機構を備えることにより、液体吐出装置内でのインクの乾燥を抑制し、優れたメンテナンス性との両立が可能である。
<有機溶剤>
本発明におけるインクには、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことにより、高い画像濃度と画像乾燥性の両立を可能としている。なお、インク中、沸点が230℃より大きい有機溶剤が含まれていたとしても、合計で3質量%以下である場合は本発明の効果が得られるため、この場合は本発明に含まれるものである。
また、本発明における有機溶剤は、全て、沸点が230℃以下のジオール化合物であることが好ましく、この場合、より高い吐出安定性と保存安定性を担保することが可能である。
また、本発明における有機溶剤は、有機溶剤の全質量に対して50質量%以上が沸点200℃以下のジオール化合物であることが好ましい。この場合、乾燥速度が速まり、乾燥速度を速めることでより高い画像濃度が実現可能である。
ジオール化合物とは、アルコールの一種(ポリオール)で、鎖式脂肪族炭化水素または環式脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつヒドロキシ基が置換している構造を持つ化合物であり、グリコールとも呼ばれる。230℃以下のジオール化合物の具体例としては例えば、1,2−エタンジオール、エチレングリコール、2,5−トルエンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−ブトキシ−1,2−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチレン−1,3−プロパンジオール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオールなどが挙げられる。
ジオール化合物の測定は以下の方法で測定可能である。
−ジオール化合物のGC−MS測定方法−
プライマーを100倍のTHF溶液に薄め、遠心分離を行った後に、2マイクロの上澄み溶液を用いて以下の方法で測定する。熱分解温度600℃においてジオール化合物を有するピークから定量が可能である。
[装置]
GC分析装置(Agilent社製7890B)
MS分析装置(JEOL社製Q1500)
熱分析装置(フロンティア・ラボ製Py−3030D)
[測定条件]
加熱温度:180℃
熱分解温度:600℃
ファイロライザーとGCのIF温度:280℃
カラム:UltraALLOY+5 L=30.0m LD=0.25mm Film=0.25μm
GC注入口温度:280℃
カラム昇温:50℃(保持2分)〜20℃/min〜280℃(保持11.5分)
キャリアガス温度:49.38kpa一定
カラム流量:1.00ml/min
イオン化法:EI法(70eV)
質量範囲:m/z20〜800
データ解析ソフト(NIST社製)
その他の有機溶剤としては、沸点が230℃より大きい有機溶剤を除けば、特に制限されず、水溶性有機溶剤等も用いることができる。
その他の有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
また、以下のものも挙げられる。炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
また、沸点230℃以上の有機溶剤の検出は以下の方法で測定可能である。
−沸点230℃以上の有機溶剤の検出方法−
インク10mgに対して、以下の測定条件でTG−DTAによる重量変化を測定した際、以下の式が成り立つことで、230℃以上の溶剤を含んでいないことが確認できる。
残重量<(インク中固形分質量%+3質量%)
[装置]
TG−DTA熱分析装置(リガク社製Thermo plus EVO)
[測定条件]
昇温速度10℃/minで250℃まで昇温
250℃で30分ホールド
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましく、30質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。
また、インク中に含まれる水及び有機溶剤の合計SP値が12以下であることが好ましい。これにより普通紙に対する紙面接触角が低下し、着弾後ドット径が大きくなることにより、さらに高い画像濃度が得られる。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
本発明のインク中に含まれる色材としては、普通紙上画像濃度およびメンテナンス性の観点から、官能基を有する自己分散型着色剤であることが好ましい。自己分散型着色剤であることにより、普通紙上画像濃度が向上し、さらに高い再分散性を有することからクリーニング時にフレッシュなインクに接することで粘度が低下し、高いメンテナンス性を実現することができる。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、浸透剤、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<浸透剤>
浸透剤としては、炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。
ここで、非湿潤剤性とは、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有することを意味する。これらの浸透剤の中でも、下記一般式(I)で表される1,3−ジオール化合物が好ましく、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
Figure 2018111233
[式中、Rはメチル基又はエチル基であり、Rは水素又はメチル基であり、Rはエチル基又はプロピル基である。]
その他の非湿潤剤性ポリオール化合物として、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどが挙げられる。
浸透剤のインク全体に含有する範囲量としては、0.5〜5質量%の範囲が好ましく、1〜3質量%の範囲がより好ましい。含有量0.5質量%未満と少ない場合、インクの浸透性効果が得られず、画像品質に効果が得られないことがある。5質量%を超えるとインクに溶解せずに分離したり、インク初期粘度が高くなる等の不具合が生じてしまうことがある。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2018111233
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2018111233
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)−Y 一般式(F−2)
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Du Pont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<前処理液>
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
<後処理液>
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
<インクを付着させる記録媒体>
本発明は、普通紙、専用紙、および低吸液性印刷用紙において良好な画像を実現することができるインクの提供をその目的としている。
そして、本発明によるインクは、低吸液性印刷用紙にも高画像品質で印字可能なインクである。
前記低吸液性印刷用紙にはトレーシングペーパ、パーチメント紙、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、またはろう紙の群から選択されるものがある。
本発明において、「普通紙」とは、広範な市販の紙、とりわけ静電コピーに用いられる紙であって、インクジェット記録方法の用途に最適化された構造、組成、または特性を意図して製造されていない紙を意味する。このような記録媒体の例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙などが挙げられる。
本発明において、「専用紙」とは、インクジェット記録方法の用途に最適化された構造、組成、または特性を意図して製造された紙を意味する。
本発明において、「低吸液性印刷用紙」とは、「普通紙」や「専用紙」と比較して、吸液性が低くサイズが高いのでインクの浸透が極めて困難な用紙を意味する。具体的には、坪量50g/cm時におけるステキヒト・サイズ度(JIS−P−8122「紙のステキヒト・サイズ度試験方法」)が10秒以上の用紙を意味する。
このような記録媒体の例としては、第2原図用紙(例えば、トレーシングペーパ)、パーチメント紙(羊皮紙)、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、ろう紙等が挙げられる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
(液体吐出装置)
本発明の液体吐出装置は、前記インクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備え、前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有している。そして、液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有している。
図1は、本発明の液体吐出装置の一例における構成を説明するための概略図である。液体吐出装置としてインクジェット装置が挙げられるがこれに限られるものではない。
図1では、ノズル3及びヘッド2(ノズル3に連通する液室と、第一の供給口5及び第二の供給口6とを有する)、4つの経路(第1のインク供給経路100、第2のインク供給経路110、循環経路120、洗浄液供給経路130)、2つの液体供給部(第1の液体供給部20、第2の液体供給部40)、4つのバルブ(バルブA〜D)、またその他に、脱気装置121、液体循環手段(ポンプ)122等が図示されている。
これを詳述すると、以下のようになる。液体吐出装置1は、インク等の液滴を吐出するノズル3及び吐出機構を有するヘッド(液体吐出部)2と、ヘッド2に液体(第1の液体、第2の液体)を供給するための第1のインク供給経路(第1の経路)100を有している。
また、ヘッド2に液体(第1の液体、第2の液体)を供給するための第2のインク供給経路(第2の経路)110を有している。また、第1のインク供給経路100を介してヘッド2にインク(第1の液体)22を供給するインクタンク(第1の液体貯留部)21を備えた第1の液体供給部20を有している。
また、第1のインク供給経路100、及び第2のインク供給経路110に対してバルブA(第1の切り替え弁101)及びバルブB(第2の切り替え弁111)を介して夫々つながり、かつ、ヘッド2を迂回する循環経路(第3の経路)120を有している。また、循環経路120上に配置された脱気装置121(脱気手段121a+真空発生装置(ポンプ)121b)、及び液体循環手段(ポンプ)122を有している。
また、第1のインク供給経路100、若しくは第2のインク供給経路110に対してバルブC(第3の切り替え弁102)を介してつながる洗浄液供給経路(第4の経路)130を有しており、洗浄液供給経路(第4の経路)130を介してヘッドに洗浄液(第2の液体)42を供給する洗浄液タンク41を備えた第2の液体供給部40を有している。
また、第1のインク供給経路100、若しくは第2のインク供給経路110中の液体をヘッドへ流すために第1のインク供給経路100、若しくは第2のインク供給経路110上に設置されたバルブD(経路開閉手段112)を有している。
以下、さらに詳細を説明する。
ヘッド(液体吐出部)2は、先端面にインク(第1の液体)22を吐出する微細なノズル3を複数備え、その内部にはノズルと連通し、かつ、インクを保持する図示しない液室を備えている。また、ヘッド2の異なった部位には、液室にインクや洗浄液を流入又は流出させるための第1の供給口5と第2の供給口6が夫々配置されている。第1の供給口5は第1のインク供給経路100の一端と連通接続され、第2の供給口6は第2のインク供給経路110の一端と連通接続されている。
ノズル3からインクを液滴として吐出する方式(液体吐出機構)として、インクを加熱して押し出す方式や、ヘッド内部に配置したピエゾ素子に電圧を加えて変形させることでインクを押し出す方式などが挙げられる。これにより、印刷対象に対してインクを吐出することで印刷することができる。印刷対象として、例えば紙などシート状のものが挙げられる。
第1のインク供給経路(第1の経路)100は、一端がヘッドの第1の供給口5につながり、他端がインクタンク21内のインク22に通じており、3つの流路r1、r2、r3から構成されている。
洗浄液供給経路(第4の経路)130は、一端がバルブCにつながり、他端が洗浄液タンク41内の洗浄液42に通じている流路r4から構成されている。
バルブA(第1の切り替え弁101)、バルブB(第2の切り替え弁111)、バルブC(第3の切り替え弁102)は、それぞれ3方の経路に連通接続され、3方の経路のうちのいずれか2方を同時に導通(連通)させる機能を有する。
すなわち、バルブAは第1のインク供給経路100の途中に配置されるとともに、循環経路120の一端と接続されている。バルブBは第2のインク供給経路110の途中に配置されるとともに、循環経路120の他端と接続されている。バルブCは、バルブAよりもインクタンク21寄りの第1のインク供給経路100の途中に配置されるとともに、洗浄液供給経路130の一端(下流側端部)と接続されている。
バルブD(経路開閉手段112)は、バルブBよりも廃液タンク50寄りの第2のインク供給経路110の途中に配置されており、第2のインク供給経路110を開閉させて大気との連通状態を断接(遮断、接続)する機能を有する。
バルブA、バルブB、バルブC、バルブDによる経路間の接続パターン(開閉パターン)を切り替える方式として、手動式、空圧式、電磁式が挙げられる。ただし、制御回路でこれらを制御する場合には電磁式が望ましい。
次に、インクタンク21とその周辺部(第1の液体供給部20)について説明する。
インクタンク21は、ヘッド2のノズルから吐出するインクを蓄える容器である。
第1の加圧装置(第1の加圧手段)23、及び減圧装置(減圧手段)24が、インクタンク内の上部にある気相と通じている。
また、第1のインク供給経路100の一端部(開口部)がインクタンク内に入り込んでその下部まで達しており、インクタンク内部のインク22と連通するように配置されている。
第1のインク供給経路100は、インクタンク21内から、バルブC、バルブAを通じて第1の供給口5へつながっている。
第1の加圧装置23は、圧縮空気を送り出す空圧式の加圧装置であり、制御回路からの制御信号を受けて任意に駆動、停止を制御される。第1の加圧装置23としては、コンプレッサーと、コンプレッサーで発生させた圧縮空気を送り出す経路を開閉する電磁弁と、を組み合わせた構成を一例として挙げることができる。第1の加圧装置23を駆動すると、密閉されたインクタンク内の気相が加圧され、インクが第1のインク供給経路100の方向に押し出される。
減圧装置24は、空気を減圧する装置であり、制御回路により駆動、停止、及び減圧量の大小を制御される。減圧装置24は、第1の液体供給部20と第2のインク供給経路110との間に圧力差を発生させてヘッドから第1の液体供給部20へインク(第1の液体)を回収する第1の液体回収機構を構成している。
減圧装置24としては、真空ポンプと、真空ポンプにつながった経路に流れる空気の流量を制限することで減圧量の大小を調節する調節装置と、を組み合わせた構成が考えられる。減圧装置24を駆動してインクタンク21内の気相を減圧すると、第1のインク供給経路100内のインクがインクタンク21側へ引き戻される。
液体吐出装置1では、ヘッド2内のインク圧力が大気圧より大きい場合、ノズル3から意図せずにインクが漏れ出すことが起こる。これを防ぐためには減圧装置24を駆動することが有効である。密閉されたインクタンク内の気相を減圧することにより、インクタンク内のインクを減圧する。それにより、第1のインク供給経路100を通じて負圧がヘッドの液室内に供給され、ヘッド内のインクを減圧することができる。このため、ヘッド内のインクの圧力を適正な負圧に維持できる。また、減圧装置で発生させる減圧量を大きくすることにより、ヘッド内のインクを、第1のインク供給経路100を通じてインクタンクに回収することができる。
次に、洗浄液タンク41とその周辺部(第2の液体供給部40)の構成について説明する。
洗浄液タンク41は、ヘッド2、及びその周辺経路(第1のインク供給経路100、第2のインク供給経路110)を洗浄するための洗浄液42を蓄える密閉された容器である。第2の加圧装置(第2の加圧手段)43が、洗浄液タンク41内の上部にある気相と通じている。
また、洗浄液供給経路130の端部(開口部)が洗浄液タンク内に入り込んでその下部まで延在しており、洗浄液タンク内部の洗浄液に連通するように配置されている。洗浄液供給経路130は、洗浄液タンク41からバルブCにつながっている。
第2の加圧装置43の内部構成は第1の加圧装置23と同様である。第2の加圧装置43を駆動すると、洗浄液タンク内の気相が加圧され、洗浄液が洗浄液供給経路130の方向に押し出される。
次に、廃液タンク50、及びその周辺の構成について説明する。
廃液タンク50は、ヘッドの液室内を洗浄した洗浄液42の一部を排出するための容器である。ヘッドから第2のインク供給経路110へ排出された液を、廃液タンク50で受け取る構造になっている。
廃液タンク中の廃液と第2のインク供給経路110の端部とは接しておらず、第2のインク供給経路110の廃液タンク50側の端部は大気と接している。これにより、インクタンク21側の減圧装置24を駆動したときに、第2のインク供給経路110からヘッド2へ大気を吸入することができる構成になっている。
廃液タンク50は、後述する洗浄工程において、ヘッド周辺経路を洗浄するために用いられる。
次に、液体をヘッドを回避した経路を経て循環させる循環経路120について説明する。
循環経路120は一端がバルブAにつながり、他端がバルブBにつながっている。循環流路上には脱気装置121aとポンプ122、フィルタ123が配置されている。
脱気装置121aはインク中の溶存気体を除去する装置である。脱気装置の内部は、インク室121a−1と気体室121a−2とに分かれた構造になっている。インク室と気体室の間は、液体を通さず気体を透過させる部材121a−3で仕切られている。インク室121a−1にインクを流し、気体室121a−2を減圧すると、インク室内のインクに溶け込んだ気体が、気体を透過する部材121a−3を経由して気体室に移動し、インク内を脱気できる。液体を通さず気体を透過する部材として、中空糸膜が挙げられる。
また、脱気装置としては、インクを通過させる性質を有した材質、例えばテフロン(登録商標)チューブやシリコンチューブからなる中空繊維束を脱気室内に配置し、その周囲を真空ポンプにより減圧脱気処理することでインク内に溶存している気体を分離させて除去するものを利用することもできる。更に、脱気装置におけるインクの脱気方式としては、超音波振動方式や遠心分離方式などの様々な他の手法を採用することができる。
フィルタ123は、循環経路120中を流れるインクを通過させ、インク中に混ざっているゴミ、異物、固形物等を取り除くことができる。フィルタの素材として、グラスファイバーなど、繊維状のものがあげられる。
ポンプ122は、循環経路120とヘッド2内のインクを一定流量で循環させる手段である。制御回路を用いて、ポンプの駆動と停止を任意に制御できる。
脱気装置の気体室121a−2は、チューブ121cを介して真空発生装置121bと連通接続されている。真空発生装置121bを駆動して脱気装置121a内の気体室121a−2を減圧することによりインクからの脱気を実施できる。
真空発生装置121bとして、真空ポンプなどが挙げられる。真空発生装置は、制御回路により任意に駆動と停止を制御できる。それにより、脱気装置による脱気と停止を任意に制御できる。
ポンプ122と脱気装置121a、フィルタ123を循環経路途中に配置する順序は、順不同で差し支えない。
次に、循環経路120内にインクを充填する手順について説明する。
まず、バルブAを操作し、インクタンク21から脱気装置121aへの流路(r1、r2、r8)が通じるようにセットする。一方、バルブAにより流路r3を遮断し、バルブCにより流路r4も遮断する。また、バルブBを操作し、循環経路内のポンプ122から廃液タンク50(大気)までが通じるようにセットする。ポンプ122を駆動し、インクタンク21から廃液タンク50の方向にインクを移動させる。つまり、バルブBにより流路r5を遮断して流路r11(流路r10、r9、r8)と流路r6とを連通させ、バルブDを開放して流路r6とr7とを連通させる。バルブAから脱気装置121a、ポンプ122、バルブBまでの循環経路120(r8、r9、r10、r11)がインクで満たされるまでポンプを駆動する。循環経路120がインクで満たされた時に、ポンプを停止させる。
これにより、バルブA〜脱気装置121〜ポンプ122〜フィルタ123〜バルブBの循環経路にインクが充填される。
次に、ヘッド2にインクを充填する方法について説明する。
バルブA、及びバルブCを操作して、インクタンク21から第1の供給口5への流路(r1、r2、r3)を連通状態にセットする。バルブAを操作して流路r8は開放しておく。また、バルブCを操作して流路r4を遮断する。更に、バルブBを操作して、流路r5、r6、r11を連通させ、第2の供給口6から廃液タンク50へ流路が通じるようにセットする。この際、バルブDを操作して流路r7を開放させる。
これにより、流路r1、r2、r3、ヘッド内の液室、流路r5、r6、r7が連通した状態となる。循環経路120も第1のインク供給経路100、バルブBと連通した状態となる。
次に、第1の加圧装置23を用いてインクタンク21内を加圧し、第1のインク供給経路100を経てインク22をヘッド2内へ移動させる。第1のインク供給経路100、ヘッド内の液室、及び第2の供給口6からバルブDまでの流路r1〜r3、r5、r6がインクで満たされた時点でインクタンク21の加圧を停止する。次にバルブDを閉じる。
これにより、インクタンク21〜脱気装置121a〜ポンプ122〜フィルタ123〜バルブBの循環経路と、ヘッド内にインクが充填される。この状態でヘッド2を駆動することにより、ノズル3からインク液滴を吐出することが可能となる。
また、ポンプ122により循環経路内のインクを循環させながら、真空発生装置121bを駆動することにより、脱気装置121aを用いたインクからの脱気を実施することができる。
このようにポンプを用いてインクを循環経路内に循環、及び脱気させる構成を採るため、インクを脱気することができる。本実施形態によれば、インクを循環経路内で循環させることにより、外気と接することにより生じる乾燥を抑制し、液体吐出装置内でインクが乾燥することを防ぐことができる。また、脱気することで外気と接することにより生じる乾燥をさらに抑制することができ、インクの乾燥をより抑制することができる。
また、後述するように、洗浄液42を空圧で加圧してノズル3から押し出すことによりヘッド2内を洗浄することが可能となり、ノズルの目詰まりによる吐出安定性を防ぐことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
次に、ヘッドのノズルからインク(液滴)を吐出する方法について説明する。
バルブA、及びバルブCを操作して、インクタンク21から第1の供給口5への第1のインク供給経路100が通じるようにセットする。バルブBを操作して流路r5、r6を連通させ、第2の供給口6から廃液タンク(大気)へ流路が通じるようにセットし、バルブDを操作して流路r7が開くようにセットする。
このとき、ヘッド2内の液室がインクで満たされ、かつ、インクタンク21からヘッド2への第1のインク供給経路100が開通している。
次にヘッド駆動回路を用いてヘッドを駆動し、ノズルからインクを吐出する。インクを吐出してヘッド内の液室中のインクを消費すると、浸透圧によりインクタンクからヘッドへインクが供給される。また、減圧装置24を駆動してインクタンク内の減圧量を調節することにより、インクタンク内の気相と第1のインク供給経路100を通じ、ヘッド内のインク圧力を適正な負圧に維持する。
ここで、ヘッド2内のインク圧力を適正に維持するための負圧量について説明する。インクタンク21がヘッド2よりも相対的に高い位置に設置され、ヘッドにインクが充填されているとき、ベルヌーイの定理に従いヘッド2内のインクに圧力が加わる。
ここで、インクタンク内の気相の圧力をP1とする。また、ヘッド内のノズル部のインク圧力をP2とする。また、ノズル部から見たインクタンク底面の高さをh0とする。
このとき、ノズル部のインク圧力P2は以下の式で与えられる。
P2=P1+ρ*h0*g (式1)
ここで、ρはインクの密度、gは重力加速度である。
仮にインクタンク内の気相の圧力P1が大気圧と等しい場合、式1に従い、ノズル部のインク圧力P2は大気圧より大きい圧力になる。このとき、ノズル外部の空気の圧力は大気圧であるため、ノズル部内の圧力P2の方がノズル外部の空気より圧力が高くなり、ノズル部から外部へインクが垂れ出す現象が起こる。ノズル部から外部へインクが垂れ出さないようにするためには、ノズル部のインク圧力P2が大気圧と同程度である必要がある。また、ノズル部から外部へインクが垂れ出さないようにするためには、式1の関係より、インクタンク内の気相の圧力P1を大気圧より小さくすることが有効である。
ノズル部のインク圧力P2が大気圧と等しいときの、インクタンク内の気相の気体の圧力をP1’とすると、P1’は式1より、以下の式で与えられる。
P1’=P0−ρ*h0*g (式2)
ここで、P0は大気圧である。
インクをヘッドから吐出する際は、インクタンクの気相の圧力が式2で与えられるP1’と同程度になるように、減圧装置を駆動する。ヘッドからインクを吐出しつつ、印刷対象とヘッドを相対的に移動させることにより、印刷を行うことができる。
次に、循環経路120内のインクを循環、及び脱気する方法(循環、及び脱気のタイミング、インクを流す方向と流れる流路)について説明する。
一例として、液体吐出装置1において、循環経路(第3の経路)120内にインク(第1の液体)を循環させつつ脱気する脱気方法を提供する。
この循環させつつ脱気する脱気方法では、バルブA(第1の切り替え弁101)と循環経路120とバルブB(第2の切り替え弁111)とヘッド2(液体吐出部)とを通る閉鎖された経路(流路r3、r8、r9、r10、r11、r5、ヘッド)中にインクを充填させた状態で、ポンプ122(液体循環手段)によってインクを循環させるとともに、脱気装置121a(脱気手段)を用いてインク中から脱気を行うようにした構成が特徴的である。
すなわち、本例では、バルブA〜第1の供給口5〜ヘッド2〜第2の供給口6〜バルブB、及び循環経路120内にインクが充填されている状態で循環、及び脱気を行う。
まず、バルブA〜脱気装置121a〜ポンプ122〜フィルタ123〜バルブB〜第2の供給口6〜ヘッド2〜第1の供給口5〜バルブAの閉鎖された経路中のインクをポンプで循環する。
このとき、バルブAを第1の供給口5から脱気装置121aへ至る流路r3、r8が連通するようにセットする(流路r2は遮断)。バルブBはポンプ122から第2の供給口6へ至る流路r10、r11、r5が連通するようにセットする(流路r6は遮断)。
次にポンプ122を駆動して上記経路内にインクを循環させている間に、脱気装置121aを用いてインクを脱気する。すなわち、真空発生装置121bを駆動し、脱気装置内部の気体室121a−2を減圧する。これにより、脱気装置121aのインク室121a−1内部を流れるインク中の溶存空気を、脱気装置121aを通して真空発生装置側へ吸引しインクを脱気する。
このとき、循環経路中のフィルタ123の中をインクが通過するため、インク中に混ざったゴミなどの微粒子を取り除くことができる。
インクの循環、及び脱気は所定時間実施する。循環、及び脱気を始めてから所定時間経過後に、真空発生装置121bを停止して脱気操作を停止する。次にポンプを停止してインク循環を停止する。
ポンプ122により上記閉鎖経路内でインクを循環させる方向は、図1における時計まわり、及び反時計まわりのいずれによっても、循環及び脱気をすることができる。
<本発明の液体吐出装置の一実施形態>
次に、本発明に係る液体吐出装置の一実施形態としては、例えばインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)などの画像形成装置が挙げられる。その例を図2、図3を用いて説明する。図2は、インクジェット記録装置の斜視概略説明図、図3は同記録装置の側面概略説明図である。
図2、図3に示すインクジェット記録装置は、記録装置本体201の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部202等を収納する。装置本体201の下方部には前方側から多数枚の用紙Pを積載可能な給紙カセット(あるいは給紙トレイでもよい)204を抜き差し自在に装着することができる。
また、用紙Pを手差しで給紙するための手差しトレイ205を開倒することができ、給紙カセット204あるいは手差しトレイ205から給送される用紙Pを取り込み、印字機構部202によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ206に排紙する。
印字機構部202は、左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド207と従ガイドロッド208とでキャリッジ209を主走査方向に摺動自在に保持する。このキャリッジ209にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなるヘッド210を複数のインク吐出口(ノズル孔)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ209にはヘッド210に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ211を交換可能に装着している。
インクカートリッジ211は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド210を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズル孔を有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ209は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド207に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド208に摺動自在に載置している。このキャリッジ209を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ212で回転駆動される駆動プーリ213と従動プーリ214との間にタイミングベルト215を張装する。このタイミングベルト215をキャリッジ209に固定しており、主走査モータ212の正逆回転によりキャリッジ209が往復駆動される。
一方、給紙カセット204にセットした用紙Pをヘッド210の下方側に搬送するために、給紙カセット204から用紙Pを分離給装する給紙ローラ216及びフリクションパッド217と、用紙Pを案内するガイド部材218と、給紙された用紙Pを反転させて搬送する搬送ローラ219と、この搬送ローラ219の周面に押し付けられる搬送コロ220及び搬送ローラ219からの用紙Pの送り出し角度を規定する先端コロ221とを設けている。搬送ローラ219は副走査モータ222によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ209の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ219から送り出された用紙Pを記録ヘッド210の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材223を設けている。この印写受け部材223の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ224、拍車225を設け、更に用紙Pを排紙トレイ206に送り出す排紙ローラ226及び拍車227と、排紙経路を形成するガイド部材228、229とを配設している。
記録時には、キャリッジ209を移動させながら画像信号に応じてヘッド210を駆動することにより、停止している用紙Pにインクを吐出して1行分を記録し、用紙Pを所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙Pを排紙する。
また、キャリッジ209の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド210の吐出不良を回復するための回復装置230を配置している。回復装置230はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ209は印字待機中にはこの回復装置230側に移動されてキャッピング手段でヘッド210をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド210の吐出口(ノズル孔)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
<Bk自己分散型顔料分散液の調製>
Cabot Corporation製Black Pearls(登録商標)1000(BET表面積343m/g及びDBPA105mL/100gを有するカーボンブラック)100gとスルファニル酸100ミリモル及びイオン交換高純水1Lを室温環境下Silversonミキサー(6000rpm)で混合した。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸100ミリモルを添加する。30分後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(100ミリモル)を上記混合物にゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。カーボンブラックにスルファニル酸を付加した改質顔料が生成できた。次いで、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分後に改質顔料分散体が得られた。少なくとも1つのスルファニル酸基、又は、スルファニル酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含んだ分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%に濃縮した改質顔料分散体を得た。表面処理レベルは0.75mmol/gであり、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定された粒子径(D50)は120nmであった。
(調製例2)
<Bk樹脂被覆型顔料分散液の調製>
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
−カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製−
ポリマー溶液Aを28gと、C.I.カーボンブラック(デグサ社製、FW100)を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料固形分15質量%、固形分濃度20質量%のカーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液が得られた。カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液におけるポリマー微粒子について、粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ104nmであった。
(調製例3)
<Bk界面活性剤分散型顔料分散液の調製>
カーボンブラック 175質量部
(NIPEX160、degussa社製、BET比表面積150m/g、
平均一次粒径20nm、pH4.0、DBP吸油量620g/100g)
ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物 175質量部
(竹本油脂株式会社製パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、
3量体、及び4量体の合計含有量=50質量%)
蒸留水 650質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(a)を作製した。これをディスクタイ
プのメディアミル(アシザワ・ファインテック株式会社製、DMR型)で0.05mmジルコニアビーズ、充填率55%を用いて周速10m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、顔料濃度が13質量%となる界面活性剤分散型の顔料分散液を得た。
(調製例4)
<樹脂水分散体1の調製>
撹拌機及び加熱器を備えた簡易加圧反応装置に、Mn2,000の結晶性ポリカーボネートジオール[デュラノールT6002、旭化成ケミカルズ株式会社製]287.9部、1,4ブタンジオール3.6部、DMPA(ジメチロールプロピオン酸)8.9部、水添MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)98.3部及びアセトン326.2部を、窒素を導入しながら仕込んだ。その後90℃に加熱し、8時間かけてウレタン化反応を行い、プレポリマーを製造した。
反応混合物を40℃に冷却後、トリエチルアミン7.9部を添加・混合し、更に水568.8部を加え回転子−固定子式方式の機械乳化機で乳化することで水性分散体を得た。得られた水性分散体に撹拌下、10%のエチレンジアミン水溶液を28.1部加え、50℃で5時間撹拌し、鎖伸長反応を行った。
その後、減圧下に65℃でアセトンを除去し、水分調節をして、固形分40質量%のポリウレタン樹脂の樹脂水分散体1を得た。ポリウレタン樹脂の樹脂水分散体1について、粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ34nmであった。
(調製例5)
<樹脂水分散体2の調製>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、ラテムルS−180を17.5g、イオン交換水350gを加え混合し、65℃に昇温した。
昇温後、反応開始剤であるt−ブチルパーオキソベンゾエート3.0g、イソアスコルビン酸ナトリウム1.0gを加え、5分後にメタクリル酸メチル45g、メタクリル酸−2−エチルヘキシル160g、アクリル酸5g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸シクロヘキシル30g、ビニルトリエトキシシラン15g、ラテムルS−180を8.0g、及びイオン交換水340gを混合し、3時間かけて滴下を行った。その後、80℃で2時間加熱熟成を行った後、常温まで冷却し水酸化ナトリウムでpHを7〜8に調整した。エバポレータ用いてエタノールを留去し、水分調節をして、固形分40質量%のアクリルシリコーン樹脂の樹脂水分散体2溶液730gを作製した。アクリルシリコーン樹脂の樹脂水分散体2について、粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ43nmであった。
(インクの作製)
次に、インクの作製について説明する。なお、以下に示す樹脂粒子の含有量は全て固形分のみとする。
<インク1>
攪拌機を備えた容器にプロピレングリコール20質量部と、1,3−ブタンジオール10質量部と、3−メチル−1,3−ブタンジオール5質量部と、浸透剤として2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2部と、界面活性剤としてCapstoneFS−300(デュポン社製)0.5質量部を入れ、30分程度攪拌して均一にする。次いで、調製例1で得られた自己分散型顔料分散液を固形分換算で6質量部及び高純水を加え、60分程度攪拌して均一にする。さらに調製例4で得られた樹脂水分散体1を3質量部加え、30分攪拌してインクを均一にする。このインクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して実施例1のインクを作製した。高純水は、全体の量が100質量部となるように加えた。
<インク2〜15>
インク1と同様に、下記表1に示した水溶性有機溶剤、界面活性剤を混合攪拌し、水分散性着色剤(顔料分散体)、高純水を加えて混合攪拌し、さらには水分散性樹脂を混合攪拌しインクを均一にする。このインクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去してインク2〜15を作製した。
Figure 2018111233
(評価)
<インクの評価>
得られたインクについて、下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
<<インク粘度測定>>
インクの粘度は、粘度計(RE−550L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定した。
<<インクpH測定>>
インクのpHは、pHメーター計(HM−30R型、TOA−DKK株式会社製)を使用して、25℃で測定した。
<<粒子径(D50)>>
粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いて、固形分濃度が0.01質量%になるように純水で希釈し、顔料粒子径(D50)を測定した。
<<インク保存安定性>>
各インクをポリエチレン容器に入れ密封し、70℃で2週間保存した後の、顔料粒子径(D50)、粘度を測定し、初期物性との変化率により下記のように評価した。
〔評価基準〕
A:顔料粒子径及び粘度のどちらの変化率も5%以内
B:顔料粒子径及び粘度のどちらの変化率も10%未満
C:顔料粒子径及び粘度のどちらの変化率も10%以上
<<水分蒸発時流動性>>
実施例及び比較例のインクを、33mm口径のガラス製シャーレに、小数点4桁まで測定可能な精密上皿電子天秤で2.5g秤量採取した。次いで、温度32±0.5℃、湿度30±5%のESPEC製恒温恒湿器(ModelPL−3KP)に常圧にて保管し、24時間後に個々のサンプルを取り出して質量を測定した。次に、シャーレ内のインクをシャーレの底が見えるようにスパチュラで引っかき、インクの流動性を確認した。
〔評価基準〕
A:引っかき後、5秒以内にシャーレの底がインクで埋まり見えなくなる。
B:引っかき後、60秒以内にシャーレの底がインクで埋まり見えなくなる。
C:引っかき後、2分以上経過しても、シャーレの底が見えている。
Figure 2018111233
<画像形成工程の評価>
次に、以下の画像形成工程を行い、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
<<印字装置の設定>>
23±0.5℃、50±5%RHに調整された環境条件下、下記印字装置1(図1で示した循環型ヘッドを搭載したインクジェット記録装置)及び印字装置2(循環型ヘッドを搭載しないインクジェット記録装置)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録用メディアに同じ付着量のインクが付くように設定した。次に、インクジェット記録装置の印字モードを「普通紙はやい」及び「光沢紙はやい」に設定し、画像を形成した。インクと記録装置の組み合わせ及び画像形成工程の評価結果を表3に示す。
印字装置1:図1で示した循環型ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(株式会社リコー製IPSiO GXe−5500改造機)
印字装置2:循環型ヘッドを搭載しないインクジェット記録装置(株式会社リコー製IPSiO GXe−5500改造機)
<<画像濃度測定>>
下記のチャートで、ブラックのべた画像の濃度を反射分光濃度計(Xrite株式会社製 Model:939)でブラック濃度を測定した。
〔印字条件〕
評価紙 : My Paper(株式会社リコー製) (普通紙)
チャート : ブラック単色 べたパッチ
印刷モード : きれいモード
〔評価基準〕
A:1.3以上
B:1.1以上
C:1.1未満
<<トレーシングペーパ乾燥性>>
下記のチャートで、印字1分後にブラックのベタ画像部を同評価紙で500gの荷重をかけて擦り、転写された汚れの濃度を反射分光濃度計(Xrite株式会社製 Model:939)でブラック濃度を測定した。
〔印字条件〕
評価紙 : RJT(株式会社リコー製) (トレーシングペーパ)
チャート : ブラック単色 べたパッチ
印刷モード : きれいモード
〔評価基準〕
A:0.1未満
B:0.3未満
C:0.3以上
<<吐出安定性>>
下記の条件で印字及び吐出安定性評価を行った。
〔印字条件〕
Microsoft Word2000にて作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像にて塗りつぶすチャートを連続200枚、My Paper(株式会社リコー製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れから評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
A:吐出乱れなし
B:若干吐出乱れあり
C:吐出乱れあり、又は、吐出しない部分あり
<<メンテナンス性1−ノズル面汚れ−>>
下記の条件でメンテナンス性1の評価を行い、評価後にノズルチェックパターンを印刷し、ノズル抜け数のカウントを行った。
〔評価条件〕
環境:32℃30%RH
メンテナンス:30分に1回ヘッドクリーニング
サイクル時間:200時間
〔評価基準〕
A:ノズル面にインク付着なし、又は、若干あり
B:ノズル面にインク付着があるが、ノズル抜けは20ch以下
C:ノズル面にインク付着があり、ノズル抜けが20ch以上
<<メンテナンス性2−インク堆積−>>
下記の条件でメンテナンス性2の評価を行い、評価後にノズルチェックパターンを印刷し、画像部にかすれがないか評価を行った。
〔評価条件〕
環境:32℃30%RH
メンテナンス:30分に1回ヘッドクリーニング
サイクル時間:200時間
〔評価基準〕
A:ノズルカバーのインク付着物が0.5mm以下であり、画像部にかすれなし
B:ノズルカバーのインク付着物が0.5mm以上1mm未満であり、画像部にかすれなし
C:ノズルカバーのインク付着物が1mm以上、又は、画像部にかすれが発生
Figure 2018111233
1 液体吐出装置
2 ヘッド(液体吐出部)
3 ノズル
5 第1の供給口
6 第2の供給口
20 第1の液体供給部
21 インクタンク(第1の液体貯留部)
22 インク(第1の液体)
23 第1の加圧装置(加圧手段)
24 減圧装置(減圧手段)
40 第2の液体供給部
41 洗浄液タンク
42 洗浄液(第2の液体)
43 第2の加圧装置(加圧手段)
50 廃液タンク
100 第1のインク供給経路(第1の経路)
101 第1の切り替え弁
102 第3の切り替え弁
110 第2のインク供給経路(第2の経路)
111 第2の切り替え弁
112 経路開閉手段
120 循環経路(第3の経路)
121 脱気手段
121a 脱気装置
121a−1 インク室
121a−2 気体室
121a−3 部材
121b 真空発生装置
121c チューブ
122 液体循環手段(ポンプ)
123 フィルタ
130 洗浄液供給経路(第4の経路)
201 記録装置本体
202 印字機構部
204 給紙カセット
205 トレイ
206 排紙トレイ
207 主ガイドロッド
208 従ガイドロッド
209 キャリッジ
210 ヘッド
211 インクカートリッジ
212 主走査モータ
213 駆動プーリ
214 従動プーリ
215 タイミングベルト
216 給紙ローラ
217 フリクションパッド
218 ガイド部材
219 搬送ローラ
220 搬送コロ
221 先端コロ
222 副走査モータ
223 印写受け部材
224 搬送コロ
225 拍車
226 排紙ローラ
227 拍車
228、229 ガイド部材
230 回復装置
特開2003−335987号公報 特開2006−199888号公報 特開2016−56287号公報

Claims (9)

  1. 色材、有機溶剤及び水を含有するインクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備えた液体吐出装置であって、
    前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、
    前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、
    前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記有機溶剤は、全て、沸点が230℃以下のジオール化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記有機溶剤は、前記有機溶剤の全質量に対して50質量%以上が沸点200℃以下のジオール化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記有機溶剤は、前記インクに対して30質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記色材は、官能基を有する自己分散型着色剤であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体吐出装置。
  6. 前記インクは、普通紙又は坪量50g/m時におけるステキヒト・サイズ度が10秒以上の低吸液性印刷用紙に対して用いられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体吐出装置。
  7. 色材、有機溶剤及び水を含有するインクを吐出するノズルを有する液体吐出部を備えた液体吐出装置及び前記インクを付着させる記録媒体を有する画像形成セットであって、
    前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、
    前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、
    前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まず、
    前記記録媒体が、普通紙又は坪量50g/m時におけるステキヒト・サイズ度が10秒以上の低吸液性印刷用紙であることを特徴とする画像形成セット。
  8. 循環手段を有する液体吐出装置の液体吐出部に設けられたノズルから吐出されるインクであって、
    前記液体吐出部は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有し、
    前記液体吐出装置は、前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、
    前記インクは、色材、有機溶剤及び水を含有し、
    前記有機溶剤は、沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とするインク。
  9. 液体吐出装置の液体吐出部に設けられたノズルからインクを吐出する吐出工程と、
    前記インクを前記液体吐出装置内で循環させる循環工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記循環工程は、前記ノズルと連通する液室と、前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口と、を有する前記液体吐出部により、前記インクを前記第一の供給口又は前記第二の供給口の一方から流出させ、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環を行い、
    前記インクは色材、有機溶剤及び水を含有し、前記有機溶剤は沸点が230℃以下のジオール化合物を含み、かつ、沸点が230℃より大きい有機溶剤を含まないことを特徴とする画像形成方法。
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