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JP2018080938A - レーダ装置および物標検知方法 - Google Patents

レーダ装置および物標検知方法 Download PDF

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JP2018080938A JP2016221732A JP2016221732A JP2018080938A JP 2018080938 A JP2018080938 A JP 2018080938A JP 2016221732 A JP2016221732 A JP 2016221732A JP 2016221732 A JP2016221732 A JP 2016221732A JP 2018080938 A JP2018080938 A JP 2018080938A
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弘貴 石川
Hiroki Ishikawa
弘貴 石川
大介 西尾
Daisuke Nishio
大介 西尾
裕之 石森
Hiroyuki Ishimori
裕之 石森
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Denso Ten Ltd
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Abstract

【課題】歩行者の可能性がある物標を継続的に追跡することができるレーダ装置および物標検知方法を提供すること。【解決手段】実施形態に係るレーダ装置は、検知部と、外挿部と、判定部と、候補設定部とを備える。検知部は、自車両に接近する物標を検知する検知処理を繰り返し行う。外挿部は、今回の検知処理で検知されなくなった物標の仮想位置を前回の検知処理の結果に基づいて予測する外挿処理を行う。判定部は、検知処理または外挿処理の対象となった同一の物標について、自車両に衝突する可能性がある歩行者か否かを時系列的に判定する判定処理を行う。候補設定部は、外挿処理の対象となった物標が、前回の判定処理で歩行者と判定されていた場合に、物標を歩行者としての追跡対象候補から除外することなく、引き続き歩行者としての追跡対象候補に設定する。【選択図】図1

Description

開示の実施形態は、レーダ装置および物標検知方法に関する。
従来、自車両よりも前方に存在する物標に対して送信した送信波の反射波を受信し、信号強度が閾値を超える反射波に基づいて物標の検知を行うレーダ装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような車載用のレーダ装置は、これまで、先行車両や対向車両の検知に使用されてきたが、近年、歩行者の検知にまで用途が広がっている。
レーダ装置は、歩行者を検知する場合、歩行者からの反射波の信号強度が他車両等からの反射波の信号強度よりも低いため、他車両等を検出する場合に比べて、物標の検知に使用する閾値を低く設定する必要がある。
特開2012−013484号公報
しかしながら、レーダ装置は、自車両に搭載される他の電子機器から発せられるノイズによって、実在しない物標を誤検知することがあり、かかるノイズを排除するため、ノイズを物標と誤検知する恐れがある領域については閾値を低く設定することができなかった。このため、従来のレーダ装置は、歩行者と自車両との距離がある距離の場合に、歩行者の可能性がある物標を継続的に追跡することが困難であった。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、歩行者の可能性がある物標を継続的に追跡することができるレーダ装置および物標検知方法を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係るレーダ装置は、検知部と、外挿部と、判定部と、候補設定部とを備える。検知部は、自車両に接近する物標を検知する検知処理を繰り返し行う。外挿部は、今回の前記検知処理で検知されなくなった前記物標の仮想位置を前回の前記検知処理の結果に基づいて予測する外挿処理を行う。判定部は、前記検知処理または前記外挿処理の対象となった同一の前記物標について、前記自車両に衝突する可能性がある歩行者か否かを時系列的に判定する判定処理を行う。候補設定部は、前記外挿処理の対象となった物標が、前回の前記判定処理で前記歩行者と判定されていた場合に、当該物標を前記歩行者としての追跡対象候補から除外することなく、引き続き前記歩行者としての追跡対象候補に設定する。
実施形態の一態様に係るレーダ装置および物標検知方法によれば、歩行者の可能性がある物標を継続的に追跡することができる。
図1は、実施形態に係る物標検知方法を示す説明図である。 図2は、実施形態に係るレーダ装置を示すブロック図である。 図3Aは、実施形態に係る信号処理装置の前段処理から信号処理装置におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。 図3Bは、実施形態に係る信号処理装置の前段処理から信号処理装置におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。 図3Cは、実施形態に係る信号処理装置の前段処理から信号処理装置におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。 図4Aは、実施形態に係る方位演算処理の処理説明図である。 図4Bは、実施形態に係るペアリング処理の処理説明図(その1)である。 図4Cは、実施形態に係るペアリング処理の処理説明図(その2)である。 図5は、実施形態に係るピークの抽出処理に使用する閾値を示す説明図である。 図6は、実施形態に係る物標分類部を示すブロック図である。 図7Aは、実施形態に係る移動条件の一例を示す説明図である。 図7Bは、実施形態に係る移動条件の一例を示す説明図である。 図8は、実施形態に係る物標分類部の動作説明図である。 図9は、実施形態に係るピーク抽出部を示すブロック図である。 図10は、実施形態に係るノイズ条件の一例を示す説明図である。 図11は、実施形態に係るカウント処理部を示すブロック図である。 図12は、実施形態に係るカウンタ操作条件の一例を示す説明図である。 図13は、実施形態に係るレーダ装置のデータ処理部が実行するメイン処理を示すフローチャートである。 図14は、実施形態に係るメイン処理中のピーク抽出処理を示すフローチャートである。 図15は、実施形態に係るメイン処理中の物標分類処理を示すフローチャートである。 図16は、実施形態に係るメイン処理中のカウント処理を示すフローチャートである。 図17は、実施形態に係るレーダ装置による処理結果の一例を示す説明図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示するレーダ装置および物標検知方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、図1を参照し、実施形態に係るレーダ装置が行う物標検知方法について説明する。図1は、実施形態に係る物標検知方法を示す説明図である。ここでは、レーダ装置が自車両Cのフロントグリルの中央に設けられる場合について説明する。
なお、レーダ装置が設けられる位置は、これに限定されるものではなく、自車両Cの後部、側面、ルームミラー等、任意の位置であってもよい。また、以下では、自車両Cの進行方向を縦方向と称し、自車両Cの進行方向と交差する方向を横方向と称することがある。
図1に示すように、レーダ装置は、例えば、レーダ装置を扇の要として自車両Cの前方から左右へ扇状に所定角度広がる検知領域A内の物標を検知する装置である。かかるレーダ装置は、検知領域Aへ向けて送信した送信波が物標に反射した反射波を受信し、信号強度が閾値を超える反射波に基づいて物標を検知する検知処理を繰り返すことにより、物標を時系列的に継続して検知する。
また、レーダ装置は、物標が検知領域A外になった場合や、物標が検知領域A内であっても反射波の信号強度が閾値以下の場合、検知処理による物標の検知が不可能になることがある。かかる場合、レーダ装置は、今回の前記検知処理で検知されなくなった物標の仮想位置を前回の検知処理の結果に基づいて予測する外挿処理を行う。
また、レーダ装置1は、検知処理や外挿処理の対象となった物標が実際に存在する可能性の高さを示すカウント値を物標毎にカウントするカウンタ(以下、「生存カウンタ」と記載する)を備える。生存カウンタは、検知処理によって前記物標が検知される毎に、カウント値に所定値を加算し、外挿処理によって物標の仮想位置が予測される毎に、カウント値から所定値を減算するカウンタ部の一例である。
例えば、図1に示すように、レーダ装置は、時刻t1で検知領域A内の歩行者Pを検知すると、歩行者Pのカウント値に所定値を加算する。その後、レーダ装置は、時刻t2で歩行者Pが検知領域Aから出た場合には、外挿処理を行うので歩行者Pのカウント値から所定値を減算する。
レーダ装置は、生存カウンタのカウント値が所定の閾値(例えば、0)より大きい物標を、自車両Cに衝突する可能性のある歩行者としての追跡対象候補にする。そして、レーダ装置は、生存カウンタのカウント値が所定の閾値(例えば、0)以下になった物標を、自車両Cに衝突する可能性のある歩行者としての追跡対象候補から除外する。
また、レーダ装置は、時刻t2で歩行者Pが検知領域Aに存在し、検知処理によって検知できている場合には、カウント値に所定値をさらに加算する。このとき、時刻t1から時刻t2までの間に歩行者Pが静止している場合、自車両Cが前進すると、歩行者Pと自車両Cとの縦方向の距離が短くなるが、歩行者Pと自車両Cとの横方向の距離は変化しない。このため、レーダ装置は、歩行者Pを自車両Cに衝突する可能性が低い物標と判定する判定処理を行う。
その後、時刻t2からt3までの間に歩行者Pが自車両Cの進行方向を横切る横方向へ移動すると、歩行者Pと自車両Cとの縦方向および横方向の距離が短くなる。レーダ装置は、このように、自車両Cの進行方向を横切る歩行者Pの横方向の動きを検知した場合、歩行者Pを自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pと判定する判定処理を行う。なお、レーダ装置は、時刻t3の時点で歩行者が検知領域A内に存在し、検知処理によって検知できている場合、カウント値に所定値をさらに加算する。
その後、歩行者Pが自車両Cの進行方向を横切る横方向へ移動を続け、自車両Cが走行を継続すると、時刻t4で歩行者Pが検知領域Aから離脱することがある。この場合、一般的なレーダ装置は、外挿処理を行うのでカウント値から所定値を減算する。これにより、一般的なレーダ装置は、歩行者Pを自車両Cに衝突する可能性のある歩行者としての追跡対象候補から除外してしまい、継続的に追跡することができなくなることがある。
そこで、実施形態に係るレーダ装置は、時刻t4で外挿処理の対象となった歩行者Pが、前回の判定処理で自車両Cに衝突する可能性が歩行者あると判定されていた場合に、歩行者Pについては、カウント値の減算に替えて現状のカウント値を生存カウンタに保持させる。
こうして、レーダ装置は、歩行者Pを自車両Cに衝突する可能性のある歩行者としての追跡対象候補から除外することなく、引き続き自車両Cに衝突する可能性のある歩行者としての追跡対象候補に設定する。これにより、実施形態に係るレーダ装置は、歩行者の可能性がある物標を継続的に追跡することができる。
次に、図2を参照し、実施形態に係るレーダ装置1の構成について説明する。図2は、実施形態に係るレーダ装置1を示すブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図2に示すように、レーダ装置1は、送信系を構成する構成要素として、送信部2と、送信アンテナ4とを備える。送信部2は、信号生成部21と、発振器22とを備える。
また、レーダ装置1は、受信系を構成する構成要素として、受信アンテナ5−1〜5−nと、受信部6−1〜6−nとを備える。受信部6−1〜6−nはそれぞれ、ミキサ61と、A/D変換部62とを備える。また、レーダ装置1は、信号処理系を構成する構成要素として、信号処理装置7を備える。
なお、以下では、説明の簡略化のため、単に「受信アンテナ5」と記載した場合には、受信アンテナ5−1〜5−nを総称するものとする。かかる点は、「受信部6」についても同様とする。
送信部2は、送信信号を生成する処理を行う。信号生成部21は、後述する信号処理装置7が備える送受信制御部71の制御により、三角波で周波数変調されたミリ波を送信するための変調信号を生成する。発振器22は、かかる信号生成部21によって生成された変調信号に基づいて送信信号を生成する。
送信アンテナ4は、発振器22によって生成された送信信号を、自車両Cの前方へ送信波として送出する。なお、図2に示すように、発振器22によって生成された送信信号は、後述するミキサ61に対しても分配される。
受信アンテナ5は、送信アンテナ4から送出された送信波が物標において反射することで、かかる物標から到来する反射波を受信信号として受信する。受信部6のそれぞれは、受信した各受信信号を信号処理装置7へ渡すまでの前段処理を行う。
具体的には、ミキサ61のそれぞれは、上述のように分配された送信信号と、受信アンテナ5のそれぞれにおいて受信された受信信号とを混合してビート信号を生成する。なお、受信アンテナ5とミキサ61との間にはそれぞれ対応する増幅器を配してもよい。
A/D変換部62は、ミキサ61において生成されたビート信号をデジタル変換し、信号処理装置7に対して出力する。信号処理装置7は、送受信制御部71と、FFT(Fast Fourier Transform)部72と、データ処理部73と、記憶部74とを備える。
データ処理部73は、ピーク抽出部73a、方位演算部73b、ペアリング部73c、連続性判定部73d、フィルタ処理部73e、カウント処理部73f、物標分類部73g、不要物標判定部73h、結合処理部73i、および出力物標選択部73jを備える。
記憶部74は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであって、ノイズ条件74a、カウンタ操作条件74b、カウント値74c、移動条件74d、および物標履歴情報74eを記憶する。
ノイズ条件74aは、ピーク抽出部73aが後述のノイズ判定処理を行う場合に使用する情報である。カウンタ操作条件74bは、カウント処理部73fが後述のカウント処理を行う場合に参照する情報である。カウント値74cは、前述の生存カウンタによって物標毎にカウントされた値である。移動条件74dは、物標分類部73gが後述の移動判定を行う場合に参照する情報である。
物標履歴情報74eは、物標分類部73gが後述の物標分類処理によって分類した物標の位置等に関する履歴を示す情報である。言い換えると、同一物標が時間的に連続して移動した軌跡等を示す情報である。なお、履歴に含まれる物標の位置以外の情報とは、例えば、レーダ装置1と物標との相対速度や、後述するビート信号のピーク周波数における信号レベルを示す情報等である。
送受信制御部71は、上述の信号生成部21を含む送信部2を制御する。また、図示していないが、受信部6それぞれの制御もあわせて行う。FFT部72は、各A/D変換部62から入力したビート信号に対して高速フーリエ変換を施して、データ処理部73のピーク抽出部73aへ出力する。
ピーク抽出部73aは、FFT部72による高速フーリエ変換結果においてピークとなるピーク周波数を抽出して方位演算部73bへ出力する。なお、ピーク抽出部73aは、後述するビート信号の「UP区間」および「DN区間」のそれぞれについてピーク周波数を抽出する。
また、ピーク抽出部73aは、抽出したピーク周波数がEMC(Electro Magnetic Compatibility)ノイズか否かのノイズ判定処理判定を行い、EMCノイズであると判定した場合に、EMCノイズ判定フラグをONする。そして、ピーク抽出部73aは、EMCノイズ判定フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力する。なお、かかるピーク抽出部73aについては、図9および図10を参照して後に詳述する。
方位演算部73bは、ピーク抽出部73aにおいて抽出されたピーク周波数のそれぞれに対応する反射波の到来角度とその信号強度(受信レベル)を算出する。この時点で、到来角度は、位相折り返しされた場合を含み、物標が存在すると推定される角度であることから、以下、「推定角度」と記載する。また、方位演算部73bは、算出した推定角度と受信レベルとを、ペアリング部73cへ出力する。
ペアリング部73cは、方位演算部73bの算出結果に基づいて「UP区間」および「DN区間」それぞれのピーク周波数の正しい組み合わせを判定し、組み合わせ結果から各物標の距離および相対速度を算出する。また、ペアリング部73cは、各物標の推定角度、距離および相対速度を含む情報を、連続性判定部73dへ出力する。
ここで、信号処理装置7におけるここまでの一連の処理の流れについて、図3A、図3B、図3C、図4A、図4B、および図4Cを用いて説明する。図3A、図3B、および図3Cは、実施形態に係る信号処理装置7の前段処理から信号処理装置7におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。
また、図4Aは、実施形態に係る方位演算処理の処理説明図である。また、図4Bは、実施形態に係るペアリング処理の処理説明図(その1)である。また、図4Cは、実施形態に係るペアリング処理の処理説明図(その2)である。
図3Aに示すように、送信信号fs(t)は、送信アンテナ4から送信波として送出された後、物標において反射されて反射波として到来し、受信アンテナ5において受信信号fr(t)として受信される。
このとき、図3Aに示すように、受信信号fr(t)は、自車両Cと物標との距離に応じて、送信信号fs(t)に対して時間差τだけ遅延している。この時間差τと、自車両Cおよび物標の相対速度に基づくドップラー効果とにより、受信信号fr(t)と送信信号fs(t)とが混合されて得られる出力信号においては、周波数が上昇する「UP区間」の周波数fupと、周波数が下降する「DN区間」の周波数fdnとが繰り返されるビート信号が得られる。
図3Bには、「UP区間」側について、かかるビート信号をFFT部72において高速フーリエ変換した結果を模式的に示している。また、図3Cには、「DN区間」側について、かかるビート信号をFFT部72において高速フーリエ変換した結果を模式的に示している。
図3Bおよび図3Cに示すように、高速フーリエ変換後には、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれの周波数領域における波形が得られる。ピーク抽出部73aは、かかる波形において信号強度が最大の極大値(ピーク)となるピーク周波数を抽出する。
たとえば、図3Bに示した例の場合、ピーク抽出閾値が用いられ、「UP区間」側においては、ピークPu1〜Pu3がそれぞれピークとして判定され、ピーク周波数fu1〜fu3がそれぞれ抽出される。
また、図3Cに示すように、「DN区間」側においては、同じくピーク抽出閾値により、ピークPd1,Pd2,Pd3がそれぞれピークとして判定され、ピーク周波数fd1,fd2,fd3がそれぞれ抽出される。
ここで、ピーク抽出部73aが抽出した各ピーク周波数の周波数成分には、複数の物標からの反射波が混成している場合がある。そこで、方位演算部73bは、各ピーク周波数のそれぞれについて方位演算を行い、ピーク周波数毎に対応する物標の存在を解析する。
なお、方位演算部73bにおける方位演算は、たとえばESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)などの所定の到来方向推定手法を用いて行われるが、これに限定されるものではない。
図4Aは、方位演算部73bが行った方位演算結果を模式的に示すものである。方位演算部73bは、かかる方位演算結果の各ピークPu1〜Pu3から、これらピークPu1〜Pu3にそれぞれ対応する各物標の推定角度を算出する。また、各ピークPu1〜Pu3の大きさが受信レベルとなる。方位演算部73bは、かかる方位演算処理を、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれについて行う。
ペアリング部73cは、図4Bに示すように、方位演算部73bの方位演算結果において、推定角度および受信レベルの近い各ピークを組み合わせるペアリングを行う。また、その組み合わせ結果から、ペアリング部73cは、各ピークの組み合わせに対応する各物標の距離および相対速度を算出する。距離は、「距離∝(fup+fdn)」の関係に基づいて算出される。相対速度は、「速度∝(fup−fdn)」の関係に基づいて算出される。
こうして、ペアリング部73cは、図4Cに示すように、自車両Cに対する、各物標TGの推定角度、距離、および相対速度を示すペアリング処理結果を得ることによって、各物標TGの検知処理を行う検知部として機能する。そして、ペアリング部73cは、検知処理結果となるペアリング処理結果を連続性判定部73dへ出力する。
図2の説明に戻り、続いて連続性判定部73dについて説明する。連続性判定部73dは、今回のスキャンにより判定中の物標の瞬時値に、前回のスキャンまでに検知していた物標と連続性があるか否かを判定する。具体的には、前回のスキャンまでの物標の位置から今回の予測位置を算出し、今回のスキャンにおいて予測位置に近い瞬時値があれば、かかる瞬時値に連続性があると判定する。そして、連続性判定部73dは、連続性判定後の物標に関する情報をフィルタ処理部73eへ出力する。
フィルタ処理部73eは、各物標について、時系列に処理される複数回分の瞬時値を平均化するフィルタ処理によって、瞬時値のばらつきを補正する処理部である。フィルタ処理部73eは、フィルタ処理後の物標に関する情報を物標分類部73gへ出力する。
また、フィルタ処理部73eは、連続性判定の結果、今回の検知処理において予測位置に近い瞬時値がない場合、前回の検知処理で検知された同一物標の瞬時値に基づいて、今回の検知処理で検知されなくなった物標の仮想位置を予測する外挿処理を行う。
そして、フィルタ処理部73eは、外挿処理を行った場合、外挿処理によって仮想位置を予測した物標の外挿フラグをONにする。また、フィルタ処理部73eは、外挿処理を行わなかった場合に、外挿フラグをOFFにする。
そして、フィルタ処理部73eは、外挿フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力する。このように、フィルタ処理部73eは、今回の検知処理で検知されなくなった物標の仮想位置を前回の検知処理で検知された物標に基づいて予測する外挿処理を行う外挿部として機能する。
カウント処理部73fは、フィルタ処理部73eから外挿フラグがOFFであることを示す情報が入力される場合に、内部に備える前述の生存カウンタのカウント値74cに所定値を加算させて記憶部74に記憶させる。また、カウント処理部73fは、フィルタ処理部73eから外挿フラグがONであることを示す情報が入力される場合に、生存カウンタのカウント値74cから所定値を減算させて記憶部74に記憶させる。
物標分類部73gは、フィルタ処理部73eのフィルタ処理結果に基づき、各物標を移動物(たとえば先行車、対向車、歩行者P等)および静止物に分類する。また、物標分類部73gは、分類した分類結果を不要物標判定部73hへ出力する。
不要物標判定部73hは、システム制御上、不要となる物標であるか否かを判定する。不要となる物標は、構造物、壁反射等である。なお、不要とされた物標は、基本的に外部装置への出力対象としないが、内部的には保持されていてよい。
また、不要物標判定部73hは、記憶部74に記憶された物標毎のカウント値74cを参照し、カウント値74cが「0」となった物標についても不要と判定する。そして、不要物標判定部73hは、不要と判定しなかった物標に関する情報を結合処理部73iへ出力する。
結合処理部73iは、実在するとして検知されている複数の物標のうち、同一物からの反射点であると推定されるものについて、1つの物標にまとめるグルーピングを行う。
出力物標選択部73jは、システム制御上、外部装置へ出力することが必要となる物標を選択する。また、出力物標選択部73jは、選択した物標に関する物標情報(実在角度や距離、相対速度等を含む)を外部装置へ出力する。
ここで、外部装置は、たとえば車両制御装置10である。車両制御装置10は、自車両Cの各装置を制御するECU(Electronic Control Unit)である。車両制御装置10は、たとえば、車速センサ11と、舵角センサ12と、スロットル13と、ブレーキ14と、電気的に接続されている。
車両制御装置10は、レーダ装置1から取得した物標情報に基づき、たとえばACC(Adaptive Cruise Control)やPCS(Pre-Crash Safety System)等の車両制御を行う。
たとえば、車両制御装置10は、ACCを行う場合、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、先行車との車間距離を一定距離に保ちつつ、自車両Cが先行車に追従するように、スロットル13やブレーキ14を制御する。また、車両制御装置10は、随時変化する自車両Cの走行状況、すなわち車速や舵角等を、車速センサ11や舵角センサ12等から都度取得し、レーダ装置1へフィードバックする。
また、たとえば、車両制御装置10は、PCSを行う場合、レーダ装置1から取得した物標情報を使用し、自車両Cの進行方向に衝突の危険性がある先行車や静止物等が存在することが検知される場合には、ブレーキ14を制御して自車両Cを減速させる。また、たとえば、自車両Cの搭乗者に対して図示略の警報器を用いて警告したり、車室内のシートベルトを引き込んで搭乗者を座席に固定したりする。
かかるレーダ装置1は、自車両Cに搭載されるナビゲーション装置等の他の電子機器から発せられるノイズによって、自車両Cの近傍に実在しない物標を誤検知することがあるため、自車両C近傍の領域については、ピーク抽出閾値を高く設定する。
ここで、図5を参照し、実施形態に係るピーク抽出閾値について説明する。図5は、実施形態に係るピーク抽出閾値を示す説明図である。図5に示すように、レーダ装置1は、EMCノイズが発生する周波数領域に応じて、例えば、5[BIN]以下の周波数領域のピーク抽出閾値を高く設定する。ここで、各BINの間隔は、FFT部72の周波数分解能に応じた周波数間隔である。
これにより、レーダ装置1は、自車両Cに搭載される他の電子機器から発せられるEMCノイズに起因して、自車両Cの近傍に実在しない物標を誤検知することを防止することができる。
しかしながら、レーダ装置1は、ピーク抽出閾値を比較的高く設定している領域、つまり、自車両Cから近い領域内に歩行者Pが存在する場合、他車両等に比べて信号強度が低い歩行者Pからの反射波のピークを抽出することができない場合がある。
なお、これまで説明したノイズの周波数領域は一例である。そのため、レーダ装置1は、他の電子機器から出力されるノイズの周波数に応じて、自車両Cに近い領域以外の特定の領域でピーク抽出閾値を高く設定できる。これにより、レーダ装置1は、特定の領域に対応する距離に実在しない物標を誤検知することを防止できる。
そこで、レーダ装置1は、自車両Cに搭載される他の電子機器から発せられるノイズと、自車両Cから近い位置に存在する歩行者Pとを区別することによって、自車両Cと衝突する可能性のある歩行者Pを継続的に追跡する構成を備える。
具体的には、物標分類部73gは、ペアリング部73cによって検知された物標、およびフィルタ処理部73eによる外挿処理によって仮想位置が予測された物標が、自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pか否かを判定する構成を備える。
また、ピーク抽出部73aは、今回検出したピークが自車両Cに搭載される他の電子機器から発せられるノイズか否かを判定する構成を備える。また、カウント処理部73fは、今回外挿処理の対象となった物標が、前回の判定処理で歩行者Pと判定されていた場合に、生存カウンタのカウント値74cを保持させる構成を備える。
以下、これら物標分類部73g、ピーク抽出部73a、およびカウント処理部73fの構成と動作と合わせて、ノイズ条件74a、カウンタ操作条件74b、移動条件74d、および物標履歴情報74eについて説明する。
図6は、実施形態に係る物標分類部73gを示すブロック図である。図7Aおよび図7Bは、実施形態に係る移動条件74dの一例を示す説明図である。また、図8は、実施形態に係る物標分類部73gの動作説明図である。
図6に示すように、物標分類部73gは、分類部75aと判定部75bとを備える。分類部75aは、フィルタ処理部73eから入力される物標に関する情報に基づき、各物標を移動物および静止物に分類する処理部である。
移動物は、例えば、先行車や、対向車、歩行中の歩行者P等である。また、静止物は、例えば、ガードレールや標識等の路側物や、建物等の構造物、立ち止っている歩行者P等である。分類部75aは、物標の分類結果を不要物標判定部73hへ出力し、歩行者Pに分類した物標の位置等を含む情報を判定部75bへ出力する。
判定部75bは、歩行者Pの特徴を利用して、自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pか否かを判定する処理部である。具体的には、自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pは、自車両Cの進行方向と交差する横方向に移動する特徴がある。
そこで、判定部75bは、分類部75aから物標に関する情報が入力された場合に、まず、その情報に含まれる物標の位置等を示す情報(以下、「物標位置」と記載する)を物標履歴情報74eに追加する。
続いて、判定部75bは、物標位置を追加した物標について、今回より以前に追加された物標位置が既に物標履歴情報74eに存在するか否かを判定する。そして、判定部75bは、今回より以前に追加された物標位置が既に存在する場合に、今回より以前に追加された物標位置と、今回追加した物標位置と、移動条件74dとに基づいて、物標が自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pか否かを判定する。
移動条件74dは、例えば、図7Aに示す横位置移動量仮判定用の移動条件と、図7Bに示す横位置移動量判定用の移動条件とを含む。図7Aに示す歩行者エリア判定フラグは、物標履歴情報74eに今回追加された物標位置が歩行者エリア内である場合に、判定部75bがONにし、今回追加された物標位置が歩行者エリア内でない場合に、判定部75bがOFFにするフラグである。
ここでの歩行者エリアは、例えば、自車両Cの前方40[m]以内で自車両Cの左右2.5[m]以内のエリアである。なお、かかる歩行者エリアの広さは一例であり、これに限定されるものではない。
また、図7Aに示すカーブRは、自車両Cが走行中の道路が描く円弧の半径である。本実施形態では、道路が右カーブの場合のカーブRを正とし、道路が左カーブの場合のカーブRを負とする。
また、図7Aに示す移動開始横位置は、物標が自車両Cの進行方向と交差する方向へ移動を開始した時点における物標位置のレーダ装置1に対する横方向の座標である。また、図7Aおよび図7Bに示す今回横位置は、物標履歴情報74eに今回追加された物標位置のレーダ装置1に対する横方向の座標である。
また、図7Bに示す移動開始横位置は、横位置移動量仮判定用の移動条件が成立した時点における物標位置のレーダ装置1に対する横方向の座標である。なお、本実施形態では、レーダ装置1よりも右側の横方向の座標を正とし、レーダ装置1よりも左側の横方向の座標を負とする。
また、図7Bに示す移動開始縦位置は、横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立した時点における物標のレーダ装置1に対する縦方向(自車両Cの進行方向と平行な方向)の座標である。また、今回縦位置は、今回物標履歴情報74eに追加された物標位置のレーダ装置1に対する縦方向(自車両Cの進行方向と並行な方向)の座標である。
判定部75bは、図7Aに示す横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立した場合に、図7Bに示す横位置移動量仮判定フラグをONにし、図7Aに示す横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立しない場合に、図7Bに示す横位置移動量仮判定フラグをOFFにする。
図7Aに示す条件は、レーダ装置1が車両Cの進行方向と交差する方向に移動する物標を検出する条件である。具体的には、判定部75bは、歩行者エリア判定フラグがONであり、カーブRの絶対値が1000[m]以上である場合に、以下の2つの条件のいずれか一方が成立した場合に、横位置移動量仮判定フラグをONにする。
一つ目の条件は、移動開始横位置が0[m]以上であり、且つ移動開始横位置から今回横位置を減算した値が第1閾値の一例である0.5[m]以上という条件である。つまり、一つ目の条件は、レーダ装置1の右側に存在する物標が、横方向について0.5[m]以上レーダ装置1に近付いたという条件である。
また、2つ目の条件は、移動開始横位置が0[m]より小さく、且つ今回横位置から移動開始横位置を減算した値が第1閾値の一例である0.5[m]以上という条件である。つまり、2つ目の条件は、レーダ装置1の左側に存在する物標が、横方向について0.5[m]以上レーダ装置1に近付いたという条件である。
このように、判定部75bは、物標が自車両Cの進行方向と交差する方向へ移動する場合に、物標を歩行者Pと仮判定する。これにより、判定部75bは、物標が自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pか否かを的確に仮判定することができる。
また、判定部75bは、所定の移動条件74dが成立した場合に、物標を自車両Cに衝突する可能性がある歩行者(以下、単に「歩行者」と記載する)と判定する。そして、移動条件74dは、物標が自車両Cの進行方向と交差する方向へ移動した距離が第1閾値以上であることを含む。これにより、判定部75bは、物標が自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pか否かを正確に仮判定することができる。
さらに、判定部75bは、図7Bに示す横位置移動量判定用の移動条件74dが成立した場合に、物標を自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pと判定して、横位置移動量判定フラグをONにする。また、判定部75bは、図7Bに示す横位置移動量判定用の移動条件74dが成立しない場合に、物標を自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pでないと判定して、横位置移動量判定フラグをOFFにする。
図7Bに示す条件は、自車両Cと衝突する可能性のある歩行者の物標を検出する条件である。具体的には、判定部75bは、横位置移動量仮判定フラグがONであり、カーブRの絶対値が1000[m]以上である場合に、以下の2つの条件のいずれか一方が成立した場合、横位置移動量仮判定フラグをONにする。
1つ目の条件は、移動開始横位置が0[m]以上であり、且つ移動開始横位置から今回横位置を減算した値が第2閾値の一例である0.7[m]以上であり、移動開始縦位置から今回縦位置までの距離が第3閾値の一例であるY[m]以下という条件である。
つまり、1つ目の条件は、レーダ装置1の右側に存在する物標が、横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立した時点から横方向について0.7[m]以上レーダ装置1に近づき、その間に自車両Cが走行した距離がY[m]以下という条件である。
また、2つ目の条件は、移動開始横位置が0[m]より小さく、且つ今回横位置から移動開始横位置を減算した値が第2閾値の一例である0.7[m]以上であり、且つ移動開始縦位置から今回縦位置までの距離が第3閾値の一例であるY[m]以下という条件である。
つまり、2つ目の条件は、レーダ装置1の左側に存在する物標が、横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立した時点から横方向について0.7[m]以上レーダ装置1に近づき、その間に自車両Cが走行した距離がY[m]以下という条件である。なお、ここでのY[m]は、自車両Cの速度によって変動する距離であり、自車両Cの速度が遅くなるほど短くする。例えば、車両Cの速度が60[km/h]の場合、Yは20[m]となる。
そして、判定部75bは、かかる移動条件74dと、今回より以前に追加された物標位置と、今回追加した物標位置とに基づいて、物標が自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pか否かを判定する。
例えば、図8に示すように、判定部75bは、時刻t11で物標TGが自車両Cよりも左側の歩行者エリアに存在し、その後、物標TGが時刻t12から時刻t13までの間に、右側へ0.5[m]移動すると、横位置移動量仮判定フラグをONにする。
さらに、判定部75bは、その後、物標TGが時刻t13から時刻t14までの間に、右側へ0.7[m]移動し、その間に、自車両Cが走行した距離がY[m]であった場合、時刻t14の時点で横位置移動量判定フラグをONにする。
つまり、判定部75bは、時刻t14の時点で、物標TGを自車両Cに衝突する可能性のある歩行者Pと判定する。そして、判定部75bは、横位置移動量判定フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力する。
このように、移動条件74dは、物標が自車両Cの進行方向と交差する方向へ移動した距離が第2閾値以上であり、且つ物標が自車両Cの進行方向と交差する方向へ第2閾値以上の距離を移動する期間の自車両Cの走行距離が第3閾値以下であることをさらに含む。これにより、判定部75bは、物標の横位置のばらつきではなく、実際に横方向に移動した物標を歩行者Pとしてより正確に判定することができる。
物標が歩行者の場合は、比較的短い時間(例えば、1秒)で自車両Cの進行方向に交差する方向に0.7m以上移動する。これに対して、歩行者ではない場合(例えば、停止車両等の静止物の場合)は、比較的長い時間(例えば、5秒)で1台の停止車両の反射点が物標の検出処理ごとに異なる反射点(例えば、左のブレーキランプの反射点と、右のブレーキランプの反射点)となるいわゆる反射点のばらつきによって、停止車両であるにもかかわらず、0.7m以上移動したと判定することがある。このように本来静止物である物標がばらつきにより移動したものと誤判定した場合でも、時間の経過に対する移動距離が短いので、歩行者の可能性は低くなる。
そこで、比較的短い時間に相当する場合、言い換えると自車両Cの走行距離がY[m]以下の場合に条件を満して、その物標は歩行者の可能性が高い物標であると判定し、比較的長い時間に相当する場合、言い換えるとY[m]を超える場合は条件を満たさずに、その物標は歩行者の可能性が低い物標でえあると判定することとした。
このように、移動条件74dは、物標が自車両Cの進行方向と交差する方向へ第2閾値以上の距離を移動する期間の自車両Cの走行距離が第3閾値以下という更なる条件を含む。これにより、実際に横方向に移動した物標を歩行者Pとしてより正確に判定することができる。
次に、図9および図10を参照し、ピーク抽出部73aの構成およびノイズ条件74aの一例について説明する。図9は、実施形態に係るピーク抽出部73aを示すブロック図である。また、図10は、実施形態に係るノイズ条件74aの一例を示す説明図である。
図9に示すように、ピーク抽出部73aは、抽出部75cと、ノイズ判定部75dとを備える。抽出部75cは、FFT部72から入力される高速フーリエ変換後のビート信号から「UP区間」および「DN区間」のピーク周波数を抽出する処理部である。抽出部75cは、抽出したピーク周波数およびピークを方位演算部73bと、ノイズ判定部75dへ出力する。
ノイズ判定部75dは、EMCノイズの特徴を利用して、EMCノイズを判定する処理部である。具体的には、EMCノイズは、「UP区間」側のピーク周波数と、「DN区間」側のピーク周波数が略同一であるという特徴がある。これに対して、自車両Cが走行中の場合、路側物の「UP区間」側のピークと、「DN区間」側のピークとは異なる。
さらに、EMCノイズは、レーダ装置1が物標を検知可能な領域のなかで、レーダ装置1に比較的近い位置で発生し、「UP区間」側のピークおよび「DN区間」側のピークの差も小さく、信号強度の大きさもEMCノイズの発生源となる装置によって定まる。
このため、抽出部75cは、基本的にはピークがピーク抽出閾値を超えるピーク周波数を抽出する。ただし、抽出部75cは、例えば、周波数が5[BIN]の周波数領域については、ピークがピーク抽出閾値以下であっても、上記したEMCノイズの発生源となる装置によって定まる所定の信号強度のレベルがあれば抽出する。
そして、ノイズ判定部75dは、抽出部75cから入力される「UP区間」側および「DN区間」側のピーク周波数およびピークについて、記憶部74に記憶されたノイズ条件74aが成立する場合に、EMCノイズであると判定する。
ノイズ条件74aは、例えば、図10に示すように、5つの条件を含む。1つ目の条件は、「UP区間」側のピーク周波数が5[BIN]以下であること。ここで、「UP区間」側および「DN区間」側のピーク周波数は、レーダ装置1から物標までの距離に対応する値である。
また、BINは、周波数スペクトラムグラフの周波数軸における周波数を示す単位である。このため、「UP区間」側ピーク周波数が5[BIN]以下という条件は、「UP区間」側のピーク周波数がレーダ装置1の前方1.8[m]から8.5[m]までの距離に対応する周波数であるということになる。
2つ目の条件は、「UP区間」側のピーク周波数と「DN区間」側のピーク周波数とが等しいこと。なお、2つ目の条件は、「UP区間」側のピーク周波数と「DN区間」側のピーク周波数とが略同一であれば、必ずしも完全に一致していなくてもよい。例えば、2つ目の条件は、「UP区間」側のピーク周波数と「DN区間」側のピーク周波数との差分が3[BIN]以下であることとしてもよい。
3つ目の条件は、「UP区間」側のピークから「DN区間」側のピークを減算した値の絶対値が2[dB]以下であること。4つ目の条件は、「UP区間」側のピークが−60[dB]より大きく−40[dB]以下であること。5つ目の条件は、「DN区間」側のピークが−60[dB]より大きく−40[dB]以下であること。
そして、ノイズ判定部75dは、抽出部75cから入力される「UP区間」側および「DN区間」側のピーク周波数およびピークについて、ノイズ条件74aが成立した場合に、EMCノイズと判定し、EMCノイズ判定フラグをONにする。
また、ノイズ判定部75dは、抽出部75cから入力される「UP区間」側および「DN区間」側のピーク周波数およびピークについて、ノイズ条件74aが成立しない場合に、EMCノイズと判定し、EMCノイズ判定フラグをOFFにする。そして、ノイズ判定部75dは、抽出部75cによって抽出されたピーク周波数およびピークと合わせて、EMCノイズ判定フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力する。
上記したように、ノイズ条件74aは、「UP区間」側のピーク周波数と「DN区間」側のピーク周波数とが略同一であることを含む。これにより、ノイズ判定部75dは、正確にEMCノイズを判定することができる。
また、ノイズ条件74aは、「UP区間」側のピーク(信号強度)と「DN区間」側のピーク(信号強度)との差分の絶対値が所定値(例えば、2[dB])以下であることを含む。これにより、ノイズ判定部75dは、より正確にEMCノイズを判定することができる。
次に、図11および図12を参照し、カウント処理部73fの構成およびカウンタ操作条件74bの一例について説明する。図11は、実施形態に係るカウント処理部73fを示すブロック図である。また、図12は、実施形態に係るカウンタ操作条件74bの一例を示す説明図である。
図11に示すように、カウント処理部73fは、操作部75eと生存カウンタ75fとを備える。操作部75eは、フィルタ処理部73e、物標分類部73gおよびピーク抽出部73aから入力される情報に基づいて、生存カウンタ75fに対して、カウント値74cの加算や減算、保持などを行わせる指令を出力する処理部である。
生存カウンタ75fは、操作部75eから入力される指示に従って、物標が存在する可能性の高さを示すカウント値74cの加算や減算、保持などを行うカウンタである。なお、本実施形態では、カウント値74cの下限値を「0」とし、カウント値74cの上限値を「35」とする。
レーダ装置1は、カウント値が「0」よりも大きい物標を歩行者としての追跡対象候補とし、その物標のカウント値74cが「0」になった場合に、歩行者としての追跡対象候補から除外する。
操作部75eは、フィルタ処理部73eから外挿フラグがOFFであることを示す情報が入力される場合に、生存カウンタ75fへカウント値74cを加算させる指令を出力する。生存カウンタ75fは、操作部75eからの指令に従って、生存カウンタ75fのカウント値74cを加算して記憶部74に記憶させる。
また、操作部75eは、フィルタ処理部73eから外挿フラグがONであることを示す情報が入力される場合に、物標分類部73gおよびピーク抽出部73aから入力される情報と、カウンタ操作条件74bとに基づき、カウント値74cの操作量を決定する。
例えば、操作部75eは、外挿フラグがONの状態で、カウンタ操作条件74bが成立しない場合に、生存カウンタ75fへカウント値74cから所定値を減算させる指令を出力する。また、操作部75eは、外挿フラグがONの状態で、カウンタ操作条件74bが成立した場合には、生存カウンタ75fへカウント値74cから所定値を減算させずに現状のまま保持させる指令を出力する。
カウンタ操作条件74bは、例えば、図12に示すように、7つの条件を含む。1つ目の条件は、物標分類部73gから前回の横位置移動量判定フラグの状態がONであったことを示す情報が入力されていたこと。これにより、操作部75eは、下方物等の不要物標について、カウント値74cを保持させる処理を禁止することができる。
2つ目の条件は、ピーク抽出部73aから今回のEMCノイズ判定フラグの状態がOFFであることを示す情報が入力されたこと。これにより、操作部75eは、EMCノイズ発生中に、物標のカウント値74cを保持させる処理を禁止することができる。すなわち、EMCノイズを誤って歩行者の物標として検出し、生存カウンタを操作することを防止できる。
3つ目の条件は、ピーク抽出部73aから入力される「UP区間」側のピーク周波数が5[BIN]以下であること。これは、前述したように、「UP区間」側のピーク周波数がレーダ装置1の前方1.8[m]から8.5[m]までのエリアに対応する周波数ということである。かかるエリアは、EMCノイズ対策のために、ピーク抽出閾値を高めている領域である。
これにより、操作部75eは、EMCノイズに起因して、実在しない物標を誤検知しうるエリア内で検知される物標について、カウント値74cを保持させる操作を行うことになる。したがって、レーダ装置1は、EMCノイズ対策のために、ピーク抽出閾値を高めている領域に存在する歩行者Pを継続的に検知することができる。
4つ目の条件は、「UP区間」側のピークが−60[dB]より大きいこと。かかる−60[dB]という値は、EMCノイズではなく、レーダ装置1自体が発するフロアノイズの信号強度である。これにより、操作部75eは、「UP区間」側のピークがフロアノイズの信号強度よりも高い物標について、カウント値74cを保持させる操作を行うことになる。したがって、操作部75eは、信号強度がフロアノイズ以下の物標についての不要な処理を行わずに済む。
5つ目の条件は、「UP区間」側のピーク周波数から予測「UP区間」側のピーク周波数を減算した値の絶対値が3[BIN]以下であること。5つ目の条件における「UP区間」側のピーク周波数は、前回抽出された「UP区間」側のピーク周波数であり、予測「UP区間」側のピーク周波数は、前回抽出された「UP区間」側のピーク周波数から予測した今回の「UP区間」側のピーク周波数である。
つまり、5つ目の条件は、前回抽出された「UP区間」側のピーク周波数に対応する位置と、今回予測した「UP区間」側のピーク周波数に対応する位置との距離が第4閾値の一例である1.1[m]以下ということである。
6つ目の条件は、「DN区間」側のピーク周波数から予測「DN区間」側のピーク周波数を減算した値の絶対値が3[BIN]以下であること。6つ目の条件における「DN区間」側のピーク周波数は、前回抽出された「DN区間」側のピーク周波数であり、予測「DN区間」側のピーク周波数は、前回抽出された「DN区間」側のピーク周波数から予測した今回の「DN区間」側のピーク周波数である。
つまり、6つ目の条件は、前回抽出された「DN区間」側のピーク周波数に対応する位置と、今回予測した「DN区間」側のピーク周波数に対応する位置との距離が第4閾値の一例である1.1[m]以下ということである。7つ目の条件は、「UP区間」側のピークから「DN区間」側のピークを減算した値の絶対値が5[dB]以下であること。
これにより、操作部75eは、前回の検知処理の処理結果に基づいて今回予測した物標から、前回の検知処理で検知された物標までの距離が第4閾値以下の物標について、カウント値74cを保持させる操作を行う。
このように、操作部75eは、前回検知された歩行者Pの可能性が高い物標に限定して、カウント値74cを保持させる操作を行う。これにより、レーダ装置1は、歩行者Pの可能性が高い物標を継続的に検知することができる。
そして、操作部75eは、外挿フラグがONの状態で、これら7つの条件が全て成立した場合に、生存カウンタ75fへカウント値74cの保持を行わせる指令を出力する。また、操作部75eは、これら7つの条件のうちの何れかの条件が成立しない場合には、生存カウンタ75fへカウント値74cから所定値を減算させる指令を出力する。
生存カウンタ75fは、操作部75eからカウント値74cの保持を行わせる指令が入力される場合に、カウント値74cを減算せずに記憶部74に保持する。また、生存カウンタ75fは、操作部75eからカウント値74cから所定値を減算させる指令が入力される場合に、カウント値74cから所定値を減算して記憶部74に記憶させる。
かかるカウント値74cは、前述したように、不要物標判定部73hによって参照され、不要物標判定処理に使用される。例えば、不要物標判定部73hは、カウント値74cが「0」よりも大きい物標を、例えば、歩行者等のシステム制御上、必要となる物標と判定する。また、不要物標判定部73hは、カウント値74cが「0」になった物標を、システム制御上、不要な物標と判定する。
つまり、カウント処理部73fは、物標のカウント値74cに所定値を加算することで、その物標を歩行者としての追跡対象候補として設定する候補設定部として機能する。
また、カウント処理部73fは、物標のカウント値74cを「0」にすることで、その物標を歩行者としての追跡対象候補から除外する候補設定部として機能する。
さらに、カウント処理部73fは、外挿処理の対象となった物標が、前回の判定処理で歩行者であると判定されていた場合に、その物標のカウント値74cを減算することなく保持させることで、その物標を歩行者としての追跡対象候補から除外することなく、引き続き歩行者としての追跡対象候補に設定する候補設定部として機能する。
次に、本実施形態に係るレーダ装置1のデータ処理部73が実行する処理手順について、図13、図14、図15、および図16を参照して説明する。図13は、実施形態に係るレーダ装置1のデータ処理部73が実行するメイン処理を示すフローチャートである。
また、図14は、実施形態に係るメイン処理中のピーク抽出処理を示すフローチャートである。図15は、実施形態に係るメイン処理中の物標分類処理を示すフローチャートである。図16は、実施形態に係るメイン処理中のカウント処理を示すフローチャートである。
図13に示すように、まずピーク抽出部73aが、FFT部72から入力される高速フーリエ変換処理後のビート信号と、ノイズ条件74aに基づき、ピーク抽出処理を行う(ステップS101)。なお、ピーク抽出処理の詳細については、図13を参照して後述する。続いて、方位演算部73bが、ピーク抽出処理の処理結果に基づき、方位演算処理を行う(ステップS102)。
その後、ペアリング部73cが、方位演算処理の処理結果に基づき、ペアリング処理を行う(ステップS103)。続いて、連続性判定部73dがペアリング処理の処理結果に基づき、連続性判定処理を行う(ステップS104)。その後、フィルタ処理部73eが、連続性判定処理の処理結果に基づき、フィルタ処理を行う(ステップS105)。
このとき、フィルタ処理部73eは、今回の検知処理で検知されなくなった物標の仮想位置を予測する外挿処理を行った場合、その物標の外挿フラグをONにする。また、フィルタ処理部73eは、外挿処理を行わなかった場合に、その物標の外挿フラグをOFFにする。そして、フィルタ処理部73eは、外挿フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力する。
続いて、カウント処理部73fが、今回のピーク抽出処理の処理結果、今回のフィルタ処理の処理結果、今回以前の物標分類処理の処理結果、およびカウンタ操作条件74bに基づき、カウント処理を行う(ステップS106)。カウント処理の詳細については、図15を参照して後述する。
続いて、物標分類部73gが、フィルタ処理の処理結果に基づき、物標分類処理を行う(ステップS107)。物標分類処理の詳細については、図16を参照して後述する。その後、不要物標判定部73hが、物標分類処理の処理結果に基づき、不要物標判定処理を行う(ステップS108)。そして、結合処理部73iが、不要物標判定処理の処理結果に基づき、結合処理を行う(ステップS109)。
そして、出力物標選択部73jが、結合処理の処理結果に基づき、出力物標選択処理を行い(ステップS110)、出力対象として選択された物標の物標情報を外部装置へ出力して、処理を終了する。
次に、図14を参照し、ピーク抽出処理について説明する。なお、図14に記載したUPピーク・DNピークは、「UP区間」側および「UN区間」側の各ピーク周波数と各ピークのことである。ピーク抽出部73aは、図14に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。
具体的には、ピーク抽出部73aは、図14に示すように、まず、UPピーク・DNピークの抽出を行い(ステップS201)、続いて、抽出したUPピーク・DNピークについて、ノイズ条件74aが成立したか否かを判定する(ステップS202)。
そして、ピーク抽出部73aは、ノイズ条件74aが成立したと判定した場合(ステップS202,Yes)、EMCノイズ判定フラグをONにして(ステップS203)、処理をステップS204へ移す。
また、ピーク抽出部73aは、ノイズ条件74aが成立しないと判定した場合(ステップS202,No)、EMCノイズ判定フラグをOFFにして(ステップS206)、処理をステップS204へ移す。
ステップS204において、ピーク抽出部73aは、EMCノイズ判定フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力し、UPピーク・DNピークを方位演算部73bおよびカウント処理部73fへ出力して(ステップS205)、処理を終了する。
次に、図15を参照し、物標分類処理について説明する。なお、図15のステップS301に記載した物標情報とは、フィルタ処理が施された各物標の推定角度、距離、相対速度、および物標位置を含む情報のことである。物標分類部73gは、図15に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。
具体的には、物標分類部73gは、図15に示すように、まず、フィルタ処理部73eから各物標の物標情報が入力されたか否かを判定する(ステップS301)。そして、物標分類部73gは、物標情報が入力されないと判定した場合(ステップS301,No)、処理を終了する。
また、物標分類部73gは、物標情報が入力されたと判定した場合(ステップS301,Yes)、入力された物標情報に基づいて、物標を移動物と静止物とに分類する物標分類を行う(ステップS302)。続いて、物標分類部73gは、物標分類の結果を不要物標判定部73hへ出力し(ステップS303)、物標情報に含まれる物標位置を物標履歴情報74eに追加する(ステップS304)。
その後、物標分類部73gは、今回、物標情報が入力された物標について、今回より以前に追加された物標位置が物標履歴情報74eにあるか否かを判定する(ステップS305)。そして、物標分類部73gは、今回より以前に追加された物標位置がないと判定した場合(ステップS305,No)、対象の物標についての最初(新規)の物標位置を設定し(ステップS313)、処理を終了する。
また、物標分類部73gは、今回より以前に追加された物標位置があると判定した場合(ステップS305,Yes)、今回の物標位置と、今回より以前に追加された物標位置とに基づき、横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立したか否かの判定を行う(ステップS306)。
そして、物標分類部73gは、横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立したと判定した場合(ステップS306,Yes)、横位置移動量仮判定フラグをONにして(ステップS307)、処理をステップS308へ移す。
また、物標分類部73gは、横位置移動量仮判定用の移動条件74dが成立しないと判定した場合(ステップS306,No)、横位置移動量仮判定フラグをOFFにして(ステップS311)、処理をステップS308へ移す。
ステップS308において、物標分類部73gは、横位置移動量判定用の移動条件74dが成立したか否かの判定を行う。そして、物標分類部73gは、横位置移動量判定用の移動条件74dが成立したと判定した場合(ステップS308,Yes)、横位置移動量判定フラグをONにして(ステップS309)、処理をステップS310へ移す。
また、物標分類部73gは、横位置移動量判定用の移動条件74dが成立しないと判定した場合(ステップS308,No)、横位置移動量判定フラグをOFFにして(ステップS312)、処理をステップS310へ移す。
ステップS310において、物標分類部73gは、横位置移動量判定フラグの状態を示す情報をカウント処理部73fへ出力し、処理を終了する。
次に、図16を参照し、カウント処理について説明する。カウント処理部73fは、図16に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。具体的には、カウント処理部73fは、図16に示すように、まず、フィルタ処理部73eから外挿フラグの状態を示す情報の入力があるか否かを判定する(ステップS401)。
そして、カウント処理部73fは、外挿フラグの状態を示す情報の入力がないと判定した場合(ステップS401,No)、処理を終了する。また、カウント処理部73fは、外挿フラグの状態を示す情報の入力があると判定した場合(ステップS401,Yes)、外挿フラグの状態がOFFか否かを判定する(ステップS402)。
そして、カウント処理部73fは、外挿フラグの状態がOFFであると判定した場合(ステップS402,Yes)、生存カウンタ75fにカウント値74cへ所定値を加算させて(ステップS403)、処理を終了する。
また、カウント処理部73fは、外挿フラグの状態がOFFでない、つまり外挿フラグの状態がONであると判定した場合(ステップS402,No)、カウンタ操作条件74bが成立したか否かの判定を行う(ステップS404)。
そして、カウント処理部73fは、カウンタ操作条件74bが成立したと判定した場合(ステップS404,Yes)、生存カウンタ75fにカウント値74cを保持させ(ステップS405)、処理を終了する。
また、カウント処理部73fは、カウンタ操作条件74bが成立しないと判定した場合(ステップS404,No)、生存カウンタ75fにカウント値74cから所定値を減算させて(ステップS406)、処理を終了する。
次に、図17を参照し、実施形態に係るレーダ装置1による処理結果の一例について説明する。図17は、実施形態に係るレーダ装置1による処理結果の一例を示す説明図である。なお、図17に示す横軸は、時間を示している。時間の単位は、内部クロックのカウント数[CNT]である。
また、図17に示す左側の縦軸は、生存カウンタ75fのカウント値74cを示している。また、図17に示す右側の縦軸は、外挿フラグの状態と、レーダ装置1から物標の縦位置までの距離[m]を示している。
また、図17に三角の凡例で示すグラフは、カウント値74cの推移を示している。図17に×印の凡例で示すグラフは、物標の縦位置の推移を示している。図17に四角の凡例で示すグラフは、外挿フラグの状態の推移を示している。
図17に示すように、実施形態に係る物標の検知処理の処理結果では、例えば、時間430[CNT]から440[CNT]の間、自車両Cの走行に伴って、物標がレーダ装置1に徐々に近付いてきている。なお、ここでは図示されていないが、物標は、自車両Cの進行方向と交差する方向へ移動中の歩行者Pである。
そして、図17に示す処理結果では、時間が434[CNT]の時点で、外挿フラグが一度ONになっている。このため、レーダ装置1は、時間が434[CNT]の時点でカウント値74cを減算している。
その後、図17に示す処理結果では、時間が435[CNT]の時点で外挿フラグがOFFになり、続く時間が436[CNT]から440[CNT]まで外挿フラグがONになっている。かかる場合、一般的なレーダ装置であれば、物標までの距離が短くなると、時間が436[CNT]の時点からカウント値74cを減算し続ける。
これに対して、実施形態に係るレーダ装置1は、図17に示すように、物標までの距離が短くなったとしても、時間が435[CNT]から438[CNT]までの期間に、カウンタ操作条件74bが成立すると、カウント値74cを保持させることができる。
これにより、実施形態に係るレーダ装置1によれば、歩行者Pの可能性が高い物標を継続的に検知することができる。なお、図17で時間439[CNT]および440[CNT]の時点でカウント値74cが減算されたのは、自車両Cの走行に伴って、物標が自車両Cの後方へ移動したからである。
なお、上述した実施形態では、レーダ装置1が5[BIN]以下の周波数領域でのピーク抽出閾値を高く設定したが、ノイズ判定フラグがOFFの場合には、5[BIN]よりも高い周波数領域でのピーク抽出閾値と同程度まで下げることもできる。これにより、レーダ装置1は、EMCノイズが発生していない場合に、5[BIN]以下の周波数領域にピークが存在する歩行者Pをより正確に検知し続けることができる。
また、上述した実施形態では、外挿フラグをONにしたまま、カウント値74cを保持させたが、レーダ装置1は、カウント値74cを保持させた場合、歩行者Pが存在していると判断して、外挿フラグがOFFであることを示す情報を外部装置へ出力してもよい。
また、上述した実施形態では、レーダ装置1がノイズ判定部75dをピーク抽出部73aに備える構成とし、フィルタ処理前の信号に基づいてノイズ判定を行ったが、レーダ装置1は、ノイズ判定部75dをフィルタ処理部73eより後段に備えてもよい。
これにより、ノイズ判定部75dは、フィルタ処理後の信号に基づいてノイズ判定を行うことができるので、より正確なノイズ判定が可能になる。
また、上述した実施形態では、カウント処理部73fが物標のカウント値74cを加減算または保持させることで、その物標を歩行者としての追跡対象候補としたり、追跡対象候補から除外する候補設定部として機能する場合を説明したが、これは一例である。
実施形態に係るレーダ装置1は、カウント値74cを使用せずに、任意の手順で物標を歩行者としての追跡対象候補としたり、追跡対象候補から除外する候補設定部を備える構成であってもよい。
例えば、レーダ装置1は、物標が検知処理によって検知され、歩行者と判定された場合に追跡対象候補フラグをONにし、その物標が外挿処理の対象になった場合に、追跡対象候補フラグをOFFにする候補設定部を備える構成であってもよい。
かかる構成の場合、候補設定部は、外挿処理の対象となった物標が前回の判定処理で歩行者と判定されていた場合に、追跡対象候補フラグをOFFにすることなく、引き続きONとする。これにより、候補設定部は、その物標を歩行者としての検知多少候補から除外することなく、引き続き歩行者としての追跡対象候補に設定することができる。
また、上述した実施形態では、レーダ装置1の送信アンテナ4の本数を1本、受信アンテナ5の本数を4本としたが、これは一例であって、複数の物標を検出可能であれば他の本数であってもよい。
また、上述した実施形態では、レーダ装置1の用いる到来方向推定手法の例にESPRITを挙げたが、これに限られるものではない。たとえばDBF(Digital Beam Forming)や、PRISM(Propagator method based on an Improved Spatial-smoothing Matrix)、MUSIC(Multiple Signal Classification)等を用いてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 レーダ装置
2 送信部
4 送信アンテナ
5 受信アンテナ
6 受信部
7 信号処理装置
71 送受信制御部
72 FFT部
73 データ処理部
73a ピーク抽出部
73b 方位演算部
73c ペアリング部
73d 連続性判定部
73e フィルタ処理部
73f カウント処理部
73g 物標分類部
73h 不要物標判定部
73i 結合処理部
73j 出力物標選択部
74 記憶部
74a ノイズ条件
74b カウンタ操作条件
74c カウント値
74d 移動条件
74e 物標履歴情報
75a 分類部
75b 判定部
75c 抽出部
75d ノイズ判定部
75e 操作部
75f 生存カウンタ
A 検知領域
C 自車両
P 歩行者
TG 物標

Claims (11)

  1. 自車両に接近する物標を検知する検知処理を繰り返し行う検知部と、
    今回の前記検知処理で検知されなくなった前記物標の仮想位置を前回の前記検知処理の結果に基づいて予測する外挿処理を行う外挿部と、
    前記検知処理または前記外挿処理の対象となった同一の前記物標について、前記自車両に衝突する可能性がある歩行者か否かを時系列的に判定する判定処理を行う判定部と、
    前記外挿処理の対象となった物標が、前回の前記判定処理で前記歩行者と判定されていた場合に、当該物標を前記歩行者としての追跡対象候補から除外することなく、引き続き前記歩行者としての追跡対象候補に設定する候補設定部と
    を備えることを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記判定部は、
    前記物標が前記自車両の進行方向と交差する方向へ移動する場合に、当該物標を前記歩行者と判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 前記判定部は、
    所定の移動条件が成立した場合に、当該物標を前記自車両の進行方向と交差する方向へ移動する物標であると判定し、
    前記移動条件は、
    前記物標が前記自車両の進行方向と交差する方向へ移動した距離が第1閾値以上であることを含む
    ことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
  4. 前記移動条件は、
    前記物標が前記自車両の進行方向と交差する方向へ移動した距離が第1閾値よりも高い第2閾値以上であり、且つ前記物標が前記自車両の進行方向と交差する方向へ前記第2閾値以上の距離を移動する期間に、前記自車両が走行した距離が第3閾値以下であることをさらに含む
    ことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
  5. 前記候補設定部は、
    前記検知処理によって前記物標が検知される毎に、当該物標が存在する可能性の高さを示すカウント値に所定値を加算し、前記外挿処理によって前記物標の仮想位置が予測される毎に、当該物標の前記カウント値から所定値を減算するカウンタ部と、
    前記外挿処理の対象となった物標が、前回の前記判定処理で前記歩行者と判定されていた場合に、前記カウンタ部に前記カウント値の減算に替えて、前記カウント値の保持を行わせる操作部と
    を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のレーダ装置。
  6. 周波数が上昇する上昇区間と周波数が下降する下降区間とを繰り返す送信波を前記物標へ向けて送信する送信部と
    前記物標によって反射された前記送信波の反射波を受信し、前記送信波と前記反射波とのビート信号を生成する受信部と、
    前記ビート信号を高速フーリエ変換し、高速フーリエ変換後の前記ビート信号における前記上昇区間および前記下降区間のそれぞれについて、前記ビート信号の信号強度が最大の極大値となる周波数をピーク周波数として抽出するピーク抽出部と
    前記ピーク周波数に基づいて、当該ピーク周波数がノイズか否かを判定するノイズ判定部と
    を備え、
    前記検知部は、
    前記上昇区間におけるピーク周波数と、前記下降区間におけるピーク周波数とをペアリングして前記物標を検知し、
    前記操作部は、
    前記ノイズ判定部によってノイズと判定された前記ピーク周波数がペアリングされて検知された物標について、前記カウンタ部に前記カウント値の減算に替えて、前記カウント値の保持を行わせる対象から除外する
    ことを特徴とする請求項5に記載のレーダ装置。
  7. 前記ノイズ判定部は、
    所定のノイズ条件が成立した場合に、前記ピーク周波数をノイズであると判定し、
    前記ノイズ条件は、
    前記物標の前記上昇区間におけるピーク周波数と、前記下降区間におけるピーク周波数とが略同一であることを含む
    ことを特徴とする請求項6に記載のレーダ装置。
  8. 前記ノイズ条件は、
    前記物標の前記上昇区間におけるピーク周波数での前記信号強度と、前記下降区間におけるピーク周波数での前記信号強度との差分の絶対値が所定値以下であることをさらに含む
    ことを特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
  9. 前記操作部は、
    前記上昇区間におけるピーク周波数での前記信号強度がフロアノイズの信号強度より高い物標について、前記カウンタ部に前記カウント値の減算に替えて、前記カウント値の保持を行わせる
    ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のレーダ装置。
  10. 前記操作部は、
    他の電子機器から発せられる電磁波によって、実在しない前記物標を誤検知しうるエリア内で前記検知部が検知する物標について、前記カウンタ部に前記カウント値の減算に替えて、前記カウント値の保持を行わせる
    ことを特徴とする請求項5〜9のいずれか一つに記載のレーダ装置。
  11. コンピュータが実行する物標検知方法であって、
    自車両に接近する物標を検知する検知処理を繰り返し行う工程と、
    今回の前記検知処理で検知されなくなった前記物標の仮想位置を前回の前記検知処理の結果に基づいて予測する外挿処理を行う工程と、
    前記検知処理または前記外挿処理の対象となった同一の前記物標について、前記自車両に衝突する可能性がある歩行者か否かを時系列的に判定する判定処理を行う工程と、
    前記外挿処理の対象となった物標が、前回の前記判定処理で前記歩行者と判定されていた場合に、当該物標を前記歩行者としての追跡対象候補から除外することなく、引き続き前記歩行者としての追跡対象候補に設定する工程と
    を含むことを特徴とする物標検知方法。
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