JP2018054731A - ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018054731A JP2018054731A JP2016188203A JP2016188203A JP2018054731A JP 2018054731 A JP2018054731 A JP 2018054731A JP 2016188203 A JP2016188203 A JP 2016188203A JP 2016188203 A JP2016188203 A JP 2016188203A JP 2018054731 A JP2018054731 A JP 2018054731A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- belt
- layer
- elastic layer
- belt member
- elastic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Fixing For Electrophotography (AREA)
- Electrophotography Configuration And Component (AREA)
- Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
Abstract
【課題】蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれを抑制したベルト部材の提供。
【解決手段】円筒状の基材110Aと、基材110Aの外周面上に配置され、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、条件A及び条件Bを満たす弾性層110Bと、を有するベルト部材62A。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。
【選択図】図1
【解決手段】円筒状の基材110Aと、基材110Aの外周面上に配置され、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、条件A及び条件Bを満たす弾性層110Bと、を有するベルト部材62A。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状の感光体を帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体上から用紙等の記録媒体に転写した後、定着装置によって記録媒体に定着することで、画像を形成している。
定着装置としては、例えば、回転駆動する加圧部材と、この加圧部材に接触して回転駆動するベルト部材と、ベルト部材の内周面から加圧部材に向けて押圧し、ベルト部材と加圧部材との間に用紙等の記録媒体を通過させるニップ部を形成する押圧部材と、を備え、このニップ部に記録媒体を通過させることで、記録媒体上にトナー像を定着させる定着装置が知られている。
例えば、特許文献1には、「回転する円柱状の芯金の周面に、相対的に移動するノズルを使用し樹脂層形成用塗布液を塗布して樹脂層形成用塗膜を形成し、前記樹脂層形成用塗膜の硬化処理を行い樹脂層を形成した後、前記芯金を抜き取り管状物を製造する管状物の製造方法において、前記樹脂層の幅方向の両端部に、前記樹脂層形成用塗布液により補強部を形成する管状物の製造方法」が開示されている。
また、特許文献2には、「複数のローラに張架されて循環移動する無端ベルトであって、無端状の基層と、前記基層の外周面において周方向に亘って形成された弾性層と、を備え、前記弾性層は、前記基層の前記外周面における幅方向の両端部以外の部分上に形成された弾性層本体と、前記基層の前記外周面における前記両端部上に形成され、前記弾性層本体の硬度よりも高い硬度を有する弾性層端部と、を有する無端ベルト」が開示されている。
また、特許文献3には、「基層上に弾性層が積層された、画像形成装置に用いられるベルト部材において、ベルト幅方向両端部の弾性層表面に、少なくとも金属を含む被膜で該弾性層を保護する保護層を形成したベルト部材」が開示されている。
従来から、回転駆動させて用いられるベルト部材においては、ベルト軸方向への蛇行を抑制する観点でベルト部材の端面と接触してそれ以上のベルト軸方向への移動を抑制する蛇行抑制部材を設けた状態で、回転駆動させることが行われている。しかし、この蛇行抑制部材を備えたまま回転駆動が繰り返されると、ベルト部材の端面において弾性層の剥がれが生じることがあった。
本発明の課題は、ベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕と、最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕とが等しい弾性層を備える場合に比べ、蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれを抑制したベルト部材を提供することにある。
本発明の課題は、ベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕と、最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕とが等しい弾性層を備える場合に比べ、蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれを抑制したベルト部材を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
円筒状の基材と、
前記基材の外周面上に配置され、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、下記条件A及び下記条件Bを満たす弾性層と、
を有するベルト部材。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。
請求項1に係る発明は、
円筒状の基材と、
前記基材の外周面上に配置され、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、下記条件A及び下記条件Bを満たす弾性層と、
を有するベルト部材。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。
請求項2に係る発明は、
前記弾性層が、ビニル基含有シリコーンゴムを含有する請求項1に記載のベルト部材。
前記弾性層が、ビニル基含有シリコーンゴムを含有する請求項1に記載のベルト部材。
請求項3に係る発明は、
下記条件1を満たす下側接着層及び下記条件2を満たす上側接着層の少なくとも一方の接着層を有する請求項1又は請求項2に記載のベルト部材。
条件1:前記下側接着層は、前記基材と前記弾性層との間において前記弾性層に接触して配置され、かつケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤を含有する。
条件2:前記弾性層の外周面上にさらに表面層を有し、前記上側接着層は、前記弾性層と前記表面層との間において前記弾性層に接触して配置され、かつケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤を含有する。
下記条件1を満たす下側接着層及び下記条件2を満たす上側接着層の少なくとも一方の接着層を有する請求項1又は請求項2に記載のベルト部材。
条件1:前記下側接着層は、前記基材と前記弾性層との間において前記弾性層に接触して配置され、かつケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤を含有する。
条件2:前記弾性層の外周面上にさらに表面層を有し、前記上側接着層は、前記弾性層と前記表面層との間において前記弾性層に接触して配置され、かつケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤を含有する。
請求項4に係る発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のベルト部材と、
前記ベルト部材の内周面に接触して押圧する押圧部材と、
前記ベルト部材を挟んで前記押圧部材に対向して配置され、前記ベルト部材の外周面を加圧する加圧部材と、
前記ベルト部材に対しベルト軸方向の少なくとも一方の端部側に配置され、前記ベルト部材がベルト軸方向に蛇行したときに前記ベルト部材の端面と接触することで前記蛇行を抑制する蛇行抑制部材と、
を有し、
未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記ベルト部材と前記加圧部材とで挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のベルト部材と、
前記ベルト部材の内周面に接触して押圧する押圧部材と、
前記ベルト部材を挟んで前記押圧部材に対向して配置され、前記ベルト部材の外周面を加圧する加圧部材と、
前記ベルト部材に対しベルト軸方向の少なくとも一方の端部側に配置され、前記ベルト部材がベルト軸方向に蛇行したときに前記ベルト部材の端面と接触することで前記蛇行を抑制する蛇行抑制部材と、
を有し、
未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記ベルト部材と前記加圧部材とで挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置。
請求項5に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項4に記載の定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項4に記載の定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1、2、又は3に係る発明によれば、ベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕と、最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕とが等しい弾性層を備える場合に比べ、蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれを抑制したベルト部材が提供される。
請求項4、又は5に係る発明によれば、ベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕と、最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕とが等しい弾性層を有するベルト部材のみを備える場合に比べ、蛇行抑制部材を備えた状態であっても、繰り返し回転駆動させたときにベルト部材の端面で生じる弾性層の剥がれを抑制した定着装置、又は画像形成装置が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
[ベルト部材]
本実施形態に係るベルト部材は、円筒状の基材と、前記基材の外周面上に配置される弾性層と、を少なくとも有する。
そして弾性層は、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、下記条件A及び下記条件Bを満たす。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。
本実施形態に係るベルト部材は、円筒状の基材と、前記基材の外周面上に配置される弾性層と、を少なくとも有する。
そして弾性層は、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、下記条件A及び下記条件Bを満たす。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。
ここで、「ベルト軸方向」とは、円筒状のベルト部材の周方向に直交する方向を指し、つまり無端状である本実施形態に係るベルト部材を円筒の形状に保った状態としたときにおける円筒の軸方向を指す。
本実施形態に係るベルト部材は、上記の構成を有することにより、ベルト部材がベルト軸方向に蛇行した際にこのベルト部材の端面と接触して蛇行を抑制する蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれが抑制される。
その理由は以下の通り推察される。
その理由は以下の通り推察される。
ベルト部材を、内周側から支持部材(例えばベルト走行ガイドや押圧パッド)等によって支持しながら回転駆動させると、ベルト軸方向に力が働いてベルト部材が端部に片寄って蛇行する、いわゆるベルトウォークが起こることがある。そのため、このベルトウォークの発生を定められた範囲内で抑制する観点で、ベルト部材の端面と接触することで前記の蛇行を抑制する蛇行抑制用の端部ガイド部材(蛇行抑制部材)が設けられている。
ここで、この蛇行抑制部材を備えたベルト部材の回転駆動機構について、一例を挙げて説明する。
図4は、画像形成装置用の定着装置における定着部材としてベルト部材を用いた例を示すベルト軸方向側から見た概略断面図である。また、図5は、図4に示す定着装置を、ベルト軸方向と直交する側(記録媒体が搬送される方向)から見た概略断面図である。
図4は、画像形成装置用の定着装置における定着部材としてベルト部材を用いた例を示すベルト軸方向側から見た概略断面図である。また、図5は、図4に示す定着装置を、ベルト軸方向と直交する側(記録媒体が搬送される方向)から見た概略断面図である。
本実施形態に係る定着装置60は、図4に示すように、回転駆動する加圧ロール61(加圧部材の一例)と、加熱ベルト62(ベルト部材の一例)と、加熱ベルト62を介して加圧ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)と、を有する。また、加熱ベルト62の内側には、ベルト走行ガイド63と、ベルト走行補助ガイド66と、が設けられ、加熱ベルト62がベルト走行ガイド63、ベルト走行補助ガイド66、及び押圧パッド64の外周面に沿って周回移動するよう構成されている。さらに、図5に示すように、加熱ベルト62のベルト軸方向の両端部には、加熱ベルト62の内周面と接触して支持するベルト走行端部ガイド72と、加熱ベルト62がベルト軸方向の片側に片寄った際に加熱ベルト62の端面と突き当たる位置に配置される蛇行抑制ガイド73(蛇行抑制部材の一例)と、を有する端部ガイド部材71を備える。
この定着装置60では、例えば各部品の寸法精度の影響や、加圧ロール61と加熱ベルト62との接触部(ニップ部)を通過する用紙Kの影響等を受けて、加圧ロール61から受ける摩擦力にベルト軸方向で差が生じ、加熱ベルト(ベルト部材)62をベルト軸方向に移動させる力が働くことがある。また、加熱ベルト(ベルト部材)62自体の寸法精度や加圧ロール61の寸法精度等の影響によっても、ベルト軸方向に移動させる力が働くことがある。そして、こうした力の作用により加熱ベルト(ベルト部材)62がベルト軸方向の端部に片寄って蛇行する、いわゆるベルトウォークが起こることがある。そのため、定着装置60には、加熱ベルト(ベルト部材)62のベルト軸方向の両端の外側に、蛇行抑制ガイド(蛇行抑制部材)73が設けられ、この蛇行抑制ガイド73が加熱ベルト(ベルト部材)62の端面と接触することによって、加熱ベルト(ベルト部材)62がそれ以上蛇行することが抑制される。
しかし、加熱ベルト(ベルト部材)62の回転駆動が繰り返されるほど、蛇行(ベルトウォーク)の発生も繰り返し起き、蛇行が生じた際には加熱ベルト62が蛇行抑制ガイド(蛇行抑制部材)73に押し当てられて加熱ベルト62の端面と蛇行抑制ガイド73とが摺擦した状態で回転される。こうして加熱ベルト62の端面において摺擦が繰り返されると、特に加熱ベルト(ベルト部材)62の中でも相対的に摺擦に対する強度が低い弾性層において、磨滅が生じることがあった。さらにこの磨滅が進行すると、加熱ベルト(ベルト部材)62が蛇行抑制ガイド73に接触した際に、端面が径方向の外側に開くように変形し、加熱ベルト(ベルト部材)62の端面での弾性層の剥がれが発生して、破損することがあった。
なお、こうしたベルト部材の端面における弾性層の剥がれの発生は、上記の構成を有する定着装置に用いた場合に限られるものではない。つまり、ベルト部材がベルト軸方向に蛇行した際にこのベルト部材の端面と接触して蛇行を抑制する蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させて用いられる態様であれば、ベルト部材の端面と蛇行抑制部材との摺擦によって弾性層の磨滅が生じ、さらにベルト部材の端面での弾性層の剥がれが発生することがあった。
ここで、ベルト部材において、弾性層が他の層に比べて摺擦に対する強度が相対的に低いのは、弾性層がベルト部材への外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、通常はベルト部材中の他の層に比べて弾性率が低く設定されるためと考えられる。例えば、図4及び図5に示されるような定着装置に用いられる場合であれば、ベルト部材には、加圧部材との間でニップ部を形成しベルト部材の表面が記録媒体上のトナー像に密着する役割が求められる。そのため弾性層では、加圧部材からの圧力に対して撓む役割を担わせる観点で他の層に比べて弾性率が低く設定される。
さらには、一般的に弾性層は全体が同じ材質で構成されるため、ベルト軸方向のいずれの箇所においても同程度の弾性率を有している。したがって、ベルト部材の軸方向の端から中央側に幅2mmの間隔で20mmの範囲まで各領域の弾性層の弾性率を測定した場合、例えば図7に概念的に示される「B」の例のように、中央側においても端部においても同程度であってかつ低い弾性率となる。そのため、他の層に比べて弾性層は摺擦に対する強度が相対的に低く、その結果ベルト部材を蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面において弾性層の剥がれが生じるものと考えられる。
さらには、一般的に弾性層は全体が同じ材質で構成されるため、ベルト軸方向のいずれの箇所においても同程度の弾性率を有している。したがって、ベルト部材の軸方向の端から中央側に幅2mmの間隔で20mmの範囲まで各領域の弾性層の弾性率を測定した場合、例えば図7に概念的に示される「B」の例のように、中央側においても端部においても同程度であってかつ低い弾性率となる。そのため、他の層に比べて弾性層は摺擦に対する強度が相対的に低く、その結果ベルト部材を蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面において弾性層の剥がれが生じるものと考えられる。
これに対し、本実施形態に係るベルト部材は前記条件Aを満たし、つまりベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が前記範囲であるとの要件を満たす。
これは、例えば図7に概念的に示される「A」の例のように、中央側においては低い弾性率でありながら、端部側では弾性率が高くなっており、つまり端面においては弾性層の耐摺動性が高められていることを表す。これにより、ベルト部材が蛇行してベルト部材の端面が蛇行抑制部材に押し当てられ両者が摺擦した状態であっても、ベルト部材の端面における弾性層の磨滅が抑制される。そのため、磨滅の進行に伴うベルト部材の端面での径方向外側へ広がるような変形も抑制され、その結果ベルト部材端面での弾性層の剥がれが抑制される。
これは、例えば図7に概念的に示される「A」の例のように、中央側においては低い弾性率でありながら、端部側では弾性率が高くなっており、つまり端面においては弾性層の耐摺動性が高められていることを表す。これにより、ベルト部材が蛇行してベルト部材の端面が蛇行抑制部材に押し当てられ両者が摺擦した状態であっても、ベルト部材の端面における弾性層の磨滅が抑制される。そのため、磨滅の進行に伴うベルト部材の端面での径方向外側へ広がるような変形も抑制され、その結果ベルト部材端面での弾性層の剥がれが抑制される。
一方で、弾性層のベルト軸方向の中央部での弾性率を低くしかつ端部での弾性率を高くすれば、端面での磨滅による上記の亀裂(弾性層の剥がれ)は抑制されるものと考えられる。しかし、弾性層におけるベルト軸方向の中央部から端部方向への弾性率の変化が急峻であると、その局部的に弾性率が変化する箇所において弾性層に亀裂が発生することがあり、また弾性層と基材との界面で剥がれが生じることがある。なお、これは例えば図7に概念的に示される「C」の例のように、中央側においては低い弾性率でありかつ端部では高い弾性率である一方で、端部に近づくある範囲(図7ではベルト部材の端からの距離が8mmから10mmの領域から10mmから12mmの領域にかけての範囲)で、弾性率の変化が急峻になっている状態を指す。このように、弾性率の変化が急峻な箇所を有していると、ベルト部材を繰り返し回転駆動させたときにこの箇所に応力の集中が発生し、その結果弾性層内において弾性率の変化が急峻な上記箇所を境界にして亀裂が発生するものと考えられる。また、上記の応力の集中に伴って、弾性率の変化が急峻な上記箇所のベルト軸方向中央側と端側とで、基材との界面におけるズレが生じ、その結果弾性層と基材との界面で剥がれが生じるものと考えられる。
なお、特に近年においては、定着装置に用いられるベルト部材に対し、定着の効率を高める観点でニップ部の幅を広くする傾向があり、ニップ部の幅を広くするためベルト部材の回転に伴う曲率変化が大きく設定されることがある。そして、この場合ベルト部材に対し回転に伴って掛かる屈曲ストレスはより高くなるため、前述の応力の集中による弾性層での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれもより発生し易くなる。
また、定着装置に用いられるベルト部材には、一般的にベルト部材の外周面に接して外周面側から加圧する加圧部材が設けられるが、この加圧部材の軸方向長さがベルト部材の軸方向長さよりも短い場合、ベルト部材のベルト軸方向中央部が加圧ロールによって加圧されている一方で、両端部には加圧されていない部分が生じる。そして、この加圧ロールによって加圧されている部分と加圧されていない部分との境目と、前述の弾性層における弾性率の変化が急峻な箇所と、がいずれもベルト軸方向の端部に存在することで、前述の応力の集中による弾性層での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれは、さらに発生し易くなる。
また、定着装置に用いられるベルト部材には、一般的にベルト部材の外周面に接して外周面側から加圧する加圧部材が設けられるが、この加圧部材の軸方向長さがベルト部材の軸方向長さよりも短い場合、ベルト部材のベルト軸方向中央部が加圧ロールによって加圧されている一方で、両端部には加圧されていない部分が生じる。そして、この加圧ロールによって加圧されている部分と加圧されていない部分との境目と、前述の弾性層における弾性率の変化が急峻な箇所と、がいずれもベルト軸方向の端部に存在することで、前述の応力の集中による弾性層での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれは、さらに発生し易くなる。
これに対し、本実施形態に係るベルト部材は前記条件Bを満たし、つまりベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が前記範囲であるとの要件を満たす。
これは、例えば図7に概念的に示される「A」の例のように、中央側においては低い弾性率でありながら端部に向かって弾性率が高くなっており、つまり弾性層におけるベルト軸方向の中央部から端部方向への弾性率の変化が急峻ではなく徐々に高くなっていることを表す。これにより、ベルト部材を繰り返し回転駆動させた場合でも、弾性層中において応力が一部に集中することが抑制され、その結果この応力の集中に伴う弾性層内での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれの発生が抑制される。
これは、例えば図7に概念的に示される「A」の例のように、中央側においては低い弾性率でありながら端部に向かって弾性率が高くなっており、つまり弾性層におけるベルト軸方向の中央部から端部方向への弾性率の変化が急峻ではなく徐々に高くなっていることを表す。これにより、ベルト部材を繰り返し回転駆動させた場合でも、弾性層中において応力が一部に集中することが抑制され、その結果この応力の集中に伴う弾性層内での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれの発生が抑制される。
以上のとおり、本実施形態に係るベルト部材によれば、ベルト部材がベルト軸方向に蛇行した際にこのベルト部材の端面と接触して蛇行を抑制する蛇行抑制部材を備えた状態で繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれが抑制される。
・弾性層の弾性率
本実施形態では、ベルト部材について、ベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕と、最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕と、の差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。なお、上記差〔Eed−Ein〕は、好ましくは1MPa以上3MPa以下であり、より好ましくは1.5MPa以上2.5MPa以下である。
差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上であることで、ベルト部材への外周側からの加圧に対する弾性を良好に得つつ、かつ蛇行抑制部材を備えた状態でベルト部材を繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれを抑制し得る。
一方、差〔Eed−Ein〕が3.5MPa以下であることで、弾性層のベルト軸方向での弾性率の変化が一部で急峻となることが抑制され、弾性層内での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれの発生が抑制される。
本実施形態では、ベルト部材について、ベルト軸方向の端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕と、最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕と、の差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。なお、上記差〔Eed−Ein〕は、好ましくは1MPa以上3MPa以下であり、より好ましくは1.5MPa以上2.5MPa以下である。
差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上であることで、ベルト部材への外周側からの加圧に対する弾性を良好に得つつ、かつ蛇行抑制部材を備えた状態でベルト部材を繰り返し回転駆動させたときに端面で生じる弾性層の剥がれを抑制し得る。
一方、差〔Eed−Ein〕が3.5MPa以下であることで、弾性層のベルト軸方向での弾性率の変化が一部で急峻となることが抑制され、弾性層内での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれの発生が抑制される。
また本実施形態では、前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。この隣り合う領域での弾性率の差は、好ましくは0.7MPa以下である。
隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下であることで、弾性層のベルト軸方向での弾性率の変化が一部で急峻となることが抑制され、弾性層内での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれの発生が抑制される。
隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下であることで、弾性層のベルト軸方向での弾性率の変化が一部で急峻となることが抑制され、弾性層内での亀裂の発生や、弾性層と基材との界面での剥がれの発生が抑制される。
なお、弾性層のベルト軸方向端部の弾性率がより高くなっている領域は、特にベルト部材が画像形成装置における定着装置に用いられる場合であれば、画像の形成(定着)に寄与しない領域(所謂、非画像部)に備えられていることがより好ましい。
また、ベルト軸方向の中央部での弾性層の弾性率(つまり弾性率がより高くなっている端部以外の領域での弾性率)は、弾性層の膜厚にも影響されるものの、2MPa未満が好ましく、1.5MPa以下がより好ましい。
一方、ベルト軸方向の端部において最も弾性率が高い領域では、弾性率が2MPa以上であることが好ましく、2.5MPa以上であることがより好ましく、3MPa以上であることがさらに好ましく、5MPa以上であってもよい。
一方、ベルト軸方向の端部において最も弾性率が高い領域では、弾性率が2MPa以上であることが好ましく、2.5MPa以上であることがより好ましく、3MPa以上であることがさらに好ましく、5MPa以上であってもよい。
ここで、弾性層における弾性率の測定は、次のようにして行なわれる。
ベルト部材を、ベルト軸方向の端から2mm刻みで20mmまでの範囲の計10個の領域について円周方向に輪切り状に切り出したのち、基材等の他の層を引き剥がし、弾性層を幅2mmのシート状に切り出す。その後、動的粘弾性試験装置(株式会社エー・アンド・デイ製、DDV−01FP)を使用してJIS K7244−4に準拠し、160℃での弾性率の測定を行う。
また、ベルト軸方向の端から20mmまでの範囲よりも中央側の領域に関しても、幅2mmのシート状に切り出したのちに上記方法に従うことで、測定し得る。
ベルト部材を、ベルト軸方向の端から2mm刻みで20mmまでの範囲の計10個の領域について円周方向に輪切り状に切り出したのち、基材等の他の層を引き剥がし、弾性層を幅2mmのシート状に切り出す。その後、動的粘弾性試験装置(株式会社エー・アンド・デイ製、DDV−01FP)を使用してJIS K7244−4に準拠し、160℃での弾性率の測定を行う。
また、ベルト軸方向の端から20mmまでの範囲よりも中央側の領域に関しても、幅2mmのシート状に切り出したのちに上記方法に従うことで、測定し得る。
・達成方法
前記条件A及び条件Bを満たすベルト部材を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、弾性層と基材との間において弾性層に接触して配置される接着層(下側接着層)を設けるか、又は弾性層の外周面上にさらに表面層を設けかつこの表面層と弾性層との間において弾性層に接触して配置される接着層(上側接着層)を設ける。なお、下側接着層と上側接着層との両方を設けてもよい。その上で、弾性層の弾性率をより高くしたい端部付近において、下側接着層用の接着剤及び上側接着層用の接着剤の少なくとも一方の塗布密度をベルト軸方向の端部に向かって徐々に増加させることで、前記条件A及び条件Bを満たすベルト部材が得られる。接着剤の塗布密度を端部に向かって徐々に高くすることで、塗布密度が高い箇所ほど弾性層中へ浸透する接着剤量が増え、弾性層中の過架橋密度が高まるものと考えられる。そのため、弾性層の過架橋密度が高い領域ほど弾性率も高くなり、例えば図7に概念的に示される「A」の例のように、ベルト軸方向の端部に向かって弾性率が高くなる傾斜構造が得られるものと考えられる。
なお、下側接着層及び上側接着層の両方を備え、かつこの両者における接着剤の塗布密度をいずれも端部に向かって徐々に高くすることで、前記条件A及び条件Bを満たすよう制御することが、弾性層の膜厚方向における弾性率の差を低減する観点から、より好ましい。
前記条件A及び条件Bを満たすベルト部材を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、弾性層と基材との間において弾性層に接触して配置される接着層(下側接着層)を設けるか、又は弾性層の外周面上にさらに表面層を設けかつこの表面層と弾性層との間において弾性層に接触して配置される接着層(上側接着層)を設ける。なお、下側接着層と上側接着層との両方を設けてもよい。その上で、弾性層の弾性率をより高くしたい端部付近において、下側接着層用の接着剤及び上側接着層用の接着剤の少なくとも一方の塗布密度をベルト軸方向の端部に向かって徐々に増加させることで、前記条件A及び条件Bを満たすベルト部材が得られる。接着剤の塗布密度を端部に向かって徐々に高くすることで、塗布密度が高い箇所ほど弾性層中へ浸透する接着剤量が増え、弾性層中の過架橋密度が高まるものと考えられる。そのため、弾性層の過架橋密度が高い領域ほど弾性率も高くなり、例えば図7に概念的に示される「A」の例のように、ベルト軸方向の端部に向かって弾性率が高くなる傾斜構造が得られるものと考えられる。
なお、下側接着層及び上側接着層の両方を備え、かつこの両者における接着剤の塗布密度をいずれも端部に向かって徐々に高くすることで、前記条件A及び条件Bを満たすよう制御することが、弾性層の膜厚方向における弾性率の差を低減する観点から、より好ましい。
次いで、本実施形態に係るベルト部材の構成について、図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るベルト部材の一例を示す概略断面図である。また、図2及び図3は、それぞれ本実施形態に係るベルト部材の他の一例を示す概略断面図である。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
本実施形態に係るベルト部材の態様としては、例えば、まず図1に示すベルト部材62Aのように、基材110Aと、基材110A上に設けられた下側接着層112と、下側接着層112に接触するよう設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bとの間に接着層を介さずに設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
また、図2に示すベルト部材62Bのように、基材110Aと、基材110A上に接着層を介さずに設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bに接触するよう設けられた上側接着層114と、上側接着層114上に設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
さらに、図3に示すベルト部材62Cのように、基材110Aと、基材110A上に設けられた下側接着層112と、下側接着層112に接触するよう設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bに接触するよう設けられた上側接着層114と、上側接着層114上に設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
また、図2に示すベルト部材62Bのように、基材110Aと、基材110A上に接着層を介さずに設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bに接触するよう設けられた上側接着層114と、上側接着層114上に設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
さらに、図3に示すベルト部材62Cのように、基材110Aと、基材110A上に設けられた下側接着層112と、下側接着層112に接触するよう設けられた弾性層110Bと、弾性層110Bに接触するよう設けられた上側接着層114と、上側接着層114上に設けられた表面層110Cと、を有する態様が挙げられる。
なお、図1に示す態様、つまり基材110Aと弾性層110Bとの間に下側接着層112が設けられ、かつ弾性層110Bの外周側に接着層(上側接着層)が設けられていない態様の場合、表面層はなくてもよい。
ここで、本実施形態に係るベルト部材の構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(基材)
基材としては、例えば樹脂材料や、金属材料を用いたものが挙げられる。なお、定着装置におけるベルト部材として用いる場合であれば、機械的強度、柔軟性等を有する材料が好ましく、この観点からも樹脂材料、金属材料が好ましい。
基材としては、例えば樹脂材料や、金属材料を用いたものが挙げられる。なお、定着装置におけるベルト部材として用いる場合であれば、機械的強度、柔軟性等を有する材料が好ましく、この観点からも樹脂材料、金属材料が好ましい。
基材を構成し得る樹脂材料としては、一般的に、エンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂が挙げられる。
基材を構成するエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリイミド(PI、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド)、フッ化ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等が挙げられる。これらの中でも、ポリイミド、フッ化ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等は、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等の点で好ましい。
基材を構成するエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリイミド(PI、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド)、フッ化ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等が挙げられる。これらの中でも、ポリイミド、フッ化ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等は、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等の点で好ましい。
なお、樹脂材料を用いた場合、ベルト部材には導電剤(カーボンブラック等)を添加分散して体積抵抗率を制御してもよい。
基材を構成し得る金属材料としては、例えば、SUS、ニッケル、銅、アルミ等の各種金属が挙げられる。
なお、樹脂材料と金属材料とを積層して基材としてもよい。
なお、樹脂材料と金属材料とを積層して基材としてもよい。
基材の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば定着ベルトとして用いる場合であれば、機械的強度を有するとともに柔軟性を確保する観点から、20μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは40μm以上130μm以下である。
(弾性層)
弾性層は、ベルト部材への外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、例えば画像形成装置において定着ベルトとして用いられる場合であれば、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、ベルト部材の表面がトナー像に密着する役割を担う層である。
また本実施形態では、弾性層は前述の条件A及び条件Bを満たす。
弾性層は、ベルト部材への外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、例えば画像形成装置において定着ベルトとして用いられる場合であれば、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、ベルト部材の表面がトナー像に密着する役割を担う層である。
また本実施形態では、弾性層は前述の条件A及び条件Bを満たす。
ベルト軸方向の中央部での弾性層の弾性率(つまり弾性率がより高くなっている端部以外の領域での弾性率)は、弾性層の膜厚にも影響されるものの、2MPa未満が好ましく、1.5MPa以下がより好ましい。
特に定着装置におけるベルト部材として用いる場合であれば、上記の弾性率が2MPa未満であることで、用紙等の記録媒体やトナー等による微細な凹凸への追従性が得られ、画像における光沢ムラの発生が抑制されやすくなる。
特に定着装置におけるベルト部材として用いる場合であれば、上記の弾性率が2MPa未満であることで、用紙等の記録媒体やトナー等による微細な凹凸への追従性が得られ、画像における光沢ムラの発生が抑制されやすくなる。
一方、ベルト軸方向の端部において最も弾性率が高い領域においては、弾性率が2MPa以上であることが好ましく、2.5MPa以上であることがより好ましく、3MPa以上であることがさらに好ましく、5MPa以上であってもよい。
弾性層の材質としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられ、耐熱性、熱伝導性、絶縁性等の観点から、例えば、シリコーンゴムが好ましい。また、弾性層にシリコーンゴムを用いることで、弾性層におけるベルト軸方向での弾性率の差を前述の通り接着剤の塗布密度によって制御する際に、より弾性率の差を制御し易くなる。
シリコーンゴムとしては、架橋形態として付加反応型を主とするものが好ましい。また、シリコーンゴムは様々な種類の官能基が知られており、メチル基を有するジメチルシリコーンゴム、メチル基とフェニル基を有するメチルフェニルシリコーンゴム、ビニル基を有するビニルシリコーンゴム(ビニル基含有シリコーンゴム)などが好ましい。なお、ビニル基を有するビニルシリコーンゴムがより好ましく、さらにビニル基を有するオルガノポリシロキサン構造とケイ素原子に結合する水素原子(SiH)を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造とを有するシリコーンゴムが好ましい。
なお、本実施形態では、弾性層に含まれる弾性材料中において、シリコーンゴムが主成分である(つまり質量比で50%以上含む)ことが好ましく、さらにその含有率は90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
弾性層には、さらに充填剤を配合してもよい。特に定着装置におけるベルト部材として用いる場合、補強、耐熱、及び伝熱等の観点から、充填剤を配合することがよい。無機系の充填剤としては、公知のものが使用され、例えば煙霧状シリカ、結晶性シリカ、酸化鉄、アルミナ、金属珪素、炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)などが挙げられる。
弾性層の厚さは、例えば、50μm以上600μm以下の範囲が好ましく、100μm以上400μm以下の範囲がより好ましい。
(下側接着層及び上側接着層)
基材と弾性層との間、及び弾性層と表面層との間には、両層の接着性を向上させる観点で、接着層(下側接着層及び上側接着層)を介在させてもよい。
基材と弾性層との間、及び弾性層と表面層との間には、両層の接着性を向上させる観点で、接着層(下側接着層及び上側接着層)を介在させてもよい。
接着層(下側接着層及び上側接着層)に用いられる接着剤としては、例えば、シランカップリング剤系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、及びウレタン樹脂系接着剤等が挙げられる。
これらの中でも、シランカップリング剤系接着剤がより好ましい。接着層(下側接着層及び上側接着層)にシランカップリング剤系接着剤を用いることで、弾性層におけるベルト軸方向での弾性率の差を前述の通り接着剤の塗布密度によって制御する際に、より弾性率の差を制御し易くなる。
シランカップリング剤系接着剤としては、例えばビニル基系シランカップリング剤、エポキシ基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、メタクリル基系シランカップリング剤、スチリル基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、及びケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤等が挙げられ、この中でもケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤系接着剤がより好ましい。
シランカップリング剤系接着剤としては、例えばビニル基系シランカップリング剤、エポキシ基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、メタクリル基系シランカップリング剤、スチリル基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、及びケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤等が挙げられ、この中でもケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤系接着剤がより好ましい。
接着層(下側接着層及び上側接着層)の厚みは、ベルト軸方向の中央部において、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上50μm以下の範囲であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
(表面層)
本実施形態では、ベルト部材が表面層を有していてもよい。
表面層には、例えば耐熱性や離型性が求められる。この観点から、表面層を構成する材料には耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的にはフッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
本実施形態では、ベルト部材が表面層を有していてもよい。
表面層には、例えば耐熱性や離型性が求められる。この観点から、表面層を構成する材料には耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的にはフッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
このようなフッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層の弾性層側の面には表面処理を施してもよい。表面処理としては、湿式処理であっても乾式処理であってもよく、例えば、液体アンモニア処理、エキシマレーザ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
表面層の厚さとしては、例えば20μm以上100μm以下の範囲が好ましい。
(ベルト部材の製造方法)
次に、ベルト部材の製造方法について説明する。なお、ここでは弾性層上にさらに表面層を有し、かつ基材と弾性層との間に下側接着層を有し、弾性層と表面層との間に上側接着層を有する態様を例にする。また、弾性層がベルト軸方向の端部において弾性率がより高くなっている構成を達成する手段として、前述の方法を採用した態様を例にする。
次に、ベルト部材の製造方法について説明する。なお、ここでは弾性層上にさらに表面層を有し、かつ基材と弾性層との間に下側接着層を有し、弾性層と表面層との間に上側接着層を有する態様を例にする。また、弾性層がベルト軸方向の端部において弾性率がより高くなっている構成を達成する手段として、前述の方法を採用した態様を例にする。
・弾性層形成用塗布液の準備
弾性層を形成するための塗布液として、液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物を例に説明する。まず、ビニル基などの不飽和結合を有するオルガノポリシロキサンと、Si−H結合を有するオルガノポリシロキサンと、を混合することで未架橋のシリコーンゴムとする。この未架橋のシリコーンゴムでは、加熱などによりビニル基等の不飽和結合に対してSi−Hが付加反応することで架橋が進行する。なお、反応を促進させる白金化合物等の架橋触媒を含有してもよく、また表面にOH基を有する補強用フィラーを含んでもよい。
弾性層を形成するための塗布液として、液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物を例に説明する。まず、ビニル基などの不飽和結合を有するオルガノポリシロキサンと、Si−H結合を有するオルガノポリシロキサンと、を混合することで未架橋のシリコーンゴムとする。この未架橋のシリコーンゴムでは、加熱などによりビニル基等の不飽和結合に対してSi−Hが付加反応することで架橋が進行する。なお、反応を促進させる白金化合物等の架橋触媒を含有してもよく、また表面にOH基を有する補強用フィラーを含んでもよい。
・接着剤の準備
接着剤(プライマー)としては、公知の接着剤が用いられるが、たとえばA液:アルコキシシランと、B液:Si−Hポリマーとを含有するプライマー混合液を例に説明する。このプライマー混合液を、基材上又は弾性層上に塗布することで、加水分解反応、縮合反応によりプライマー層が形成される。
接着剤(プライマー)としては、公知の接着剤が用いられるが、たとえばA液:アルコキシシランと、B液:Si−Hポリマーとを含有するプライマー混合液を例に説明する。このプライマー混合液を、基材上又は弾性層上に塗布することで、加水分解反応、縮合反応によりプライマー層が形成される。
・各層の形成
金属製等の芯金に挿入した基材の表面に、基材と弾性層とを接着するための接着剤(プライマー)を、フローコート法(螺旋巻き塗布)により定められた密度分布となるように塗布し、乾燥する。つまり、ベルト軸方向端部におけるプライマーの塗布密度を徐々に端部に向かって高くする。次に、溶媒で希釈した液状の弾性層形成用塗布液(付加硬化型シリコーンゴム混合物)をフローコート法により均一に近い膜厚となるよう塗布し、乾燥した後に一次加硫を実施する。
なお、未架橋の付加硬化型シリコーンゴム混合物を塗布して積層すると、フィラー表面のOH基とプライマーのOH基との間の水素結合又は縮合反応、及びシリコーンゴム中のビニル基とプライマー中のSi−H基との間の付加反応により接着反応が起きる。この際、前記プライマー成分の塗布密度をより高めた端部では、プライマー成分の一部が弾性層中に浸透するとともに、架橋密度が増加し弾性率が高くなる。
金属製等の芯金に挿入した基材の表面に、基材と弾性層とを接着するための接着剤(プライマー)を、フローコート法(螺旋巻き塗布)により定められた密度分布となるように塗布し、乾燥する。つまり、ベルト軸方向端部におけるプライマーの塗布密度を徐々に端部に向かって高くする。次に、溶媒で希釈した液状の弾性層形成用塗布液(付加硬化型シリコーンゴム混合物)をフローコート法により均一に近い膜厚となるよう塗布し、乾燥した後に一次加硫を実施する。
なお、未架橋の付加硬化型シリコーンゴム混合物を塗布して積層すると、フィラー表面のOH基とプライマーのOH基との間の水素結合又は縮合反応、及びシリコーンゴム中のビニル基とプライマー中のSi−H基との間の付加反応により接着反応が起きる。この際、前記プライマー成分の塗布密度をより高めた端部では、プライマー成分の一部が弾性層中に浸透するとともに、架橋密度が増加し弾性率が高くなる。
次に、弾性層と表面層とを接着するための接着剤(プライマー)を、フローコート法(螺旋巻き塗布)により定められた密度分布となるように塗布し、乾燥する。つまり、ベルト軸方向端部におけるプライマーの塗布密度を徐々に端部に向かって高くする。
なお、この弾性層と表面層との接着用のプライマーに関しても、塗布密度を高くすることによって弾性率を高くすることができる。ただし、弾性層と表面層との接着用のプライマーの場合には、シリコーンゴムに対して浸透性のある溶媒でプライマーを希釈した上で塗布することがより好ましい。
なお、この弾性層と表面層との接着用のプライマーに関しても、塗布密度を高くすることによって弾性率を高くすることができる。ただし、弾性層と表面層との接着用のプライマーの場合には、シリコーンゴムに対して浸透性のある溶媒でプライマーを希釈した上で塗布することがより好ましい。
次いで、表面層となる離型性のチューブ(例えばPFAチューブ)を、内径が前記弾性層を塗布した円筒体の外径よりも大きい内径を有する中空金属管(外金型)の内面に沿って真空吸引により貼りつくよう拡張させる。そして、離型性のチューブを内面に貼りつけた金型の内側に、弾性層を塗布しかつプライマーを塗布した芯金を挿入したのち、外金型の真空吸引を解除して離型性のチューブを弾性層の上に被覆する。さらに前記芯金を積層体とともに取り出し、二次加硫を行って弾性層のシリコーンゴムと離型性のチューブ(PFAチューブ)とを接着すると共に、シリコーンゴムの架橋を完了させる。次に、ベルトを金型から取り出し、定められた長さとなるよう両端部を切断してベルト部材とする。
(ベルト部材の用途)
本実施形態に係るベルト部材は、例えば、画像形成装置用の定着装置において、加熱ベルト、及び加圧ベルト等に適用される。なお、加熱ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導方式等が挙げられる。
本実施形態に係るベルト部材は、例えば、画像形成装置用の定着装置において、加熱ベルト、及び加圧ベルト等に適用される。なお、加熱ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導方式等が挙げられる。
[定着装置]
次いで、本実施形態に係る定着装置について説明する。
本実施形態に係る定着装置は、前述の本実施形態に係るベルト部材と、前記ベルト部材の内周面に接触して押圧する押圧部材と、前記ベルト部材を挟んで前記押圧部材に対向して配置され、前記ベルト部材の外周面を加圧する加圧部材と、前記ベルト部材に対しベルト軸方向の少なくとも一方の端部側に配置され、前記ベルト部材がベルト軸方向に蛇行したときに前記ベルト部材の端面と接触することで前記蛇行を抑制する蛇行抑制部材と、を有し、未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記ベルト部材と前記加圧部材とで挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置である。
次いで、本実施形態に係る定着装置について説明する。
本実施形態に係る定着装置は、前述の本実施形態に係るベルト部材と、前記ベルト部材の内周面に接触して押圧する押圧部材と、前記ベルト部材を挟んで前記押圧部材に対向して配置され、前記ベルト部材の外周面を加圧する加圧部材と、前記ベルト部材に対しベルト軸方向の少なくとも一方の端部側に配置され、前記ベルト部材がベルト軸方向に蛇行したときに前記ベルト部材の端面と接触することで前記蛇行を抑制する蛇行抑制部材と、を有し、未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記ベルト部材と前記加圧部材とで挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置である。
以下に、本実施形態に係る定着装置の一例として、加熱ベルト(ベルト部材の一例)と加圧ロール(加圧部材の一例)とを備えた定着装置を説明する。なお、下記に示す一実施形態に係る定着装置では、本実施形態に係るベルト部材を加熱ベルトとして適用する。
なお、本実施形態に係る定着装置は、下記に示す一実施形態には限られず、加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた態様や、加熱ロールと加圧ベルトとを備えた態様等であってよい。そして、本実施形態に係るベルト部材は、加熱ベルト及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、下記に示す一実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
なお、本実施形態に係る定着装置は、下記に示す一実施形態には限られず、加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた態様や、加熱ロールと加圧ベルトとを備えた態様等であってよい。そして、本実施形態に係るベルト部材は、加熱ベルト及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、下記に示す一実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
図4は、本実施形態に係る定着装置の一例を示すベルト軸方向側から見た概略断面図である。また、図5は、図4に示す定着装置を、記録媒体が搬送される方向から見た概略断面図である。
本実施形態に係る定着装置60は、図4に示すように、例えば、回転駆動する加圧ロール61(加圧部材の一例)と、加熱ベルト62(ベルト部材の一例)と、を備える。また、加熱ベルト62を介して加圧ロール61を押圧し、加熱ベルト62と加圧ロール61との間に用紙K(記録媒体の一例)が通過するニップ部を形成する押圧パッド64(押圧部材の一例)を、加熱ベルト62の内側に備えて構成されている。さらに、加熱ベルト62の内側には、ベルト走行ガイド63と、ベルト走行補助ガイド66とが設けられ、加熱ベルト62がベルト走行ガイド63、ベルト走行補助ガイド66、及び押圧パッド64の外周面に沿って周回移動するよう構成されている。なお、ベルト走行ガイド63と押圧パッド64とは、加熱ベルト62の内側においてホルダ65に取り付けられている。また、ベルト走行ガイド63と加熱ベルト62との間には、加熱ベルト62の加熱源として発熱体69が設けられている。
さらに、図5に示すように、加熱ベルト62のベルト軸方向の両端部には、端部ガイド部材71が設けられている。端部ガイド部材71は、ベルト走行端部ガイド72、及び蛇行抑制ガイド73(蛇行抑制部材の一例)を有する。ベルト走行端部ガイド72は、加熱ベルト62の両端部から挿入された状態で配置され、ホルダ65の両端部に固定されている。そして、ベルト走行端部ガイド72の外周面と加熱ベルト62の内周面とが接触しており、ベルト走行端部ガイド72は加熱ベルト62の両端部を内周面側から支持している。蛇行抑制ガイド73は、加熱ベルト62の蛇行(ベルトウォーク)の際に加熱ベルト62の端面と突き当たるように、互いに距離を置いて配置されている。
なお、定着装置60では、加圧ロール61が、例えば図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加熱ベルト62は、加圧ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加圧ロール61が図4における反時計方向へ回転するのに対して、加熱ベルト62は時計方向へ回転する。
ここで、各部材についてより詳細に説明する。
・加圧ロール
加圧ロール61は、例えば、中実の金属製等のコア(円柱状芯金)61A、コア61Aの周囲に配置される耐熱性弾性体層61B、及び耐熱性弾性体層61Bの周囲に配置される表面層61Cを備える円筒状ロールである。加圧ロール61は、その形状、構造、大きさ等につき制限はなく、目的に応じて公知の加圧ロールが使用される。
加圧ロール61は、例えば、中実の金属製等のコア(円柱状芯金)61A、コア61Aの周囲に配置される耐熱性弾性体層61B、及び耐熱性弾性体層61Bの周囲に配置される表面層61Cを備える円筒状ロールである。加圧ロール61は、その形状、構造、大きさ等につき制限はなく、目的に応じて公知の加圧ロールが使用される。
コア61Aの両端部は、例えば、不図示の軸受け部材によって回転自在に支持されていると共に、コア61Aの両端部に配置されたコイルバネ等の付勢部材により定着ベルトに対して予め定められた圧力で圧接されている。
加圧ロール61のコア61Aの材質は、例えば、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、繊維強化金属(FRM)等が挙げられる。
加圧ロール61の耐熱性弾性体層61Bの材質は、例えば、硬度(JIS−A:JIS−KA型試験機により測定される硬度)が15°以上60°以下のゴム、エラストマー、発泡状の樹脂等が挙げられ、より具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、中空ガラスビーズを充填した液状シリコーンゴム等が挙げられる。耐熱性弾性体層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、2mm以上20mm以下の範囲が好ましく、3mm以上10mm以下の範囲がより好ましい。
また、加圧ロール61の表面層61Cの材質は、樹脂等が挙げられる。表面層61Cを形成する樹脂としては、例えば、耐熱性、離型性等の点から、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ化ポリイミド等が挙げられる。
表面層61Cは導電性を有していることが好ましく、体積抵抗率で1×104Ωcm以下の層であることが好ましい。導電性を有する表面層を形成する材料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性を有する粒子を含有する樹脂等が挙げられる。表面層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、20μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。
・押圧パッド
押圧パッド64は、例えば、加熱ベルト62の内側において金属製等のホルダ65に支持されている。押圧パッド64は、加熱ベルト62を介して加圧ロール61と対向するよう配置され、加熱ベルト62の内周面から加熱ベルト62を加圧ロール61へ押圧して、加熱ベルト62と加圧ロール61との間に、用紙が通過するニップ部を形成している。
押圧パッド64は、例えば、加熱ベルト62の内側において金属製等のホルダ65に支持されている。押圧パッド64は、加熱ベルト62を介して加圧ロール61と対向するよう配置され、加熱ベルト62の内周面から加熱ベルト62を加圧ロール61へ押圧して、加熱ベルト62と加圧ロール61との間に、用紙が通過するニップ部を形成している。
なお、加熱ベルト62と加圧ロール61とは相対的に加圧されていればよく、従って、加熱ベルト62が押圧パッド64によって加圧ロール61側に向けて加圧されていてもよく、加圧ロール61が加熱ベルト62側に向けてに加圧されていてもよい。
押圧パッド64の材質は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、PES樹脂(ポリエーテルサルフォン)、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂や、鉄、アルミニウム等の金属等が挙げられる。なお、前記樹脂に対してさらにカーボンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性を有する粒子を含有してもよい。
加熱ベルト62の内側には、加熱ベルト62と押圧パッド64等の加熱ベルト62内周面に接する各部材との摩擦抵抗を低下させるため、潤滑剤塗布部材を備えてもよい。潤滑剤塗布部材により、潤滑剤(例えばアミノ変性シリコーンオイル)が加熱ベルト62の内周面に供給される。
また、加熱ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするため、加熱ベルト62と押圧パッド64との間に摺動部材(不図示)を設けてもよい。摺動部材は、単一層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。摺動部材の材質は、例えば、シンタード成型したPTFE樹脂シート、フッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート、ガラス繊維にフッ素樹脂のフィルムシートを加熱融着して挟み込んだ積層シート等が挙げられる。
また、摺動部材には、潤滑剤の枯渇を抑制する潤滑剤透過防止層が配置されることが好ましい。潤滑剤透過防止層の材質としては、例えば、耐熱性があり、潤滑剤を透過させない耐熱性樹脂フィルムや金属フィルム等が挙げられる。
なお、摺動部材を設置しない場合には、押圧パッド64は、加熱ベルト62の内周面に接触する表面が導電性を有するよう、例えば導電性を付与し得る粒子を含有した樹脂や金属等で構成されることが好ましい。
また、摺動部材には、潤滑剤の枯渇を抑制する潤滑剤透過防止層が配置されることが好ましい。潤滑剤透過防止層の材質としては、例えば、耐熱性があり、潤滑剤を透過させない耐熱性樹脂フィルムや金属フィルム等が挙げられる。
なお、摺動部材を設置しない場合には、押圧パッド64は、加熱ベルト62の内周面に接触する表面が導電性を有するよう、例えば導電性を付与し得る粒子を含有した樹脂や金属等で構成されることが好ましい。
・ベルト走行ガイド及び発熱体
ベルト走行ガイド63及びベルト走行補助ガイド66は、加熱ベルト62の内側において加熱ベルト62の形状に沿うよう円弧状に設けられ、加熱ベルト62が周回移動し得るよう支持する。
ベルト走行ガイド63及びベルト走行補助ガイド66の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
ベルト走行ガイド63及びベルト走行補助ガイド66は、加熱ベルト62の内側において加熱ベルト62の形状に沿うよう円弧状に設けられ、加熱ベルト62が周回移動し得るよう支持する。
ベルト走行ガイド63及びベルト走行補助ガイド66の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
また、加熱ベルト62に熱を付与する加熱源として、ベルト走行ガイド63と加熱ベルト62との間に発熱体69が設けられている。
発熱体69は、例えば、加熱ベルト62の形状に沿うように円弧状となっている。発熱体としては、例えば、電力を供給することでジュール発熱する抵抗発熱体を一対の支持板で挟み込んだ構成となっており、抵抗発熱体から発生する熱が支持板を介して加熱ベルト62に伝達される態様が挙げられる。支持板の材質は、伝熱性の観点等から、アルミニウム、ステンレス等の金属が望ましい。なお、定着装置60の加熱源としては、発熱体に制限されず、例えば、ハロゲンランプ等の公知の加熱源を使用してもよい。
発熱体69は、例えば、加熱ベルト62の形状に沿うように円弧状となっている。発熱体としては、例えば、電力を供給することでジュール発熱する抵抗発熱体を一対の支持板で挟み込んだ構成となっており、抵抗発熱体から発生する熱が支持板を介して加熱ベルト62に伝達される態様が挙げられる。支持板の材質は、伝熱性の観点等から、アルミニウム、ステンレス等の金属が望ましい。なお、定着装置60の加熱源としては、発熱体に制限されず、例えば、ハロゲンランプ等の公知の加熱源を使用してもよい。
・端部ガイド部材
端部ガイド部材71は、加熱ベルト62のベルト軸方向の両端部に設けられ、ホルダ65の両端部に固定され、加熱ベルト62の内周面の両端部と接触して支持するベルト走行端部ガイド72と、加熱ベルト62が蛇行(ベルトウォーク)した際に加熱ベルト62の端面と突き当たる位置に配置される蛇行抑制ガイド73(蛇行抑制部材の一例)と、を有する。また、蛇行抑制ガイド73に対してベルト走行端部ガイド72と反対側には保持部74が設けられ、保持部74が定着装置60に保持されることにより、端部ガイド部材71が固定されている。
端部ガイド部材71(ベルト走行端部ガイド72、蛇行抑制ガイド73、及び保持部74)の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
端部ガイド部材71は、加熱ベルト62のベルト軸方向の両端部に設けられ、ホルダ65の両端部に固定され、加熱ベルト62の内周面の両端部と接触して支持するベルト走行端部ガイド72と、加熱ベルト62が蛇行(ベルトウォーク)した際に加熱ベルト62の端面と突き当たる位置に配置される蛇行抑制ガイド73(蛇行抑制部材の一例)と、を有する。また、蛇行抑制ガイド73に対してベルト走行端部ガイド72と反対側には保持部74が設けられ、保持部74が定着装置60に保持されることにより、端部ガイド部材71が固定されている。
端部ガイド部材71(ベルト走行端部ガイド72、蛇行抑制ガイド73、及び保持部74)の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂や、更に耐久性や摩擦係数を下げるためのフィラーを前記耐熱性樹脂に加えたもの等が挙げられる。
次いで、定着装置60の動作について説明する。
定着装置60では、加圧ロール61が、例えば図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加熱ベルト62は、加圧ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加圧ロール61が図4における反時計方向へ回転するのに対して、加熱ベルト62は時計方向へ回転する。回転速度は特に限定されず、例えば表面速度250mm/秒に設定される。
そして、未定着トナー像Gが表面に形成された用紙K(記録媒体の一例)が、定着入口ガイド56Aによって導かれて、加熱ベルト62と加圧ロール61とによって形成されるニップ部に搬送される。用紙Kがニップ部を通過する際に、用紙K上のトナー像Gはニップ部に作用する圧力及び熱が加えられ、さらに定着出口ガイド56Bによって導かれて排出されて、用紙Kの表面にトナー像Gが定着される。
・変形例
なお、図4及び図5に示す定着装置60では、加熱ベルト62が用紙(記録媒体)K上のトナー像Gと接する構成、即ちベルト部材を記録媒体上のトナー像と接する加熱側に配置された加熱ベルト62として用い、かつ加圧部材を記録媒体の裏面側と接する加圧ロール61として用いた構成を説明した。しかし、本実施形態に係る定着装置におけるベルト部材及び加圧部材はこれらに制限されるものではない。例えば、ベルト部材を記録媒体上のトナー像と接しない加圧ベルトとして用い、かつ加圧部材として加熱源(例えばハロゲンヒータ等)を内側に有する加熱加圧ロールを用いた構成としてもよい。
なお、図4及び図5に示す定着装置60では、加熱ベルト62が用紙(記録媒体)K上のトナー像Gと接する構成、即ちベルト部材を記録媒体上のトナー像と接する加熱側に配置された加熱ベルト62として用い、かつ加圧部材を記録媒体の裏面側と接する加圧ロール61として用いた構成を説明した。しかし、本実施形態に係る定着装置におけるベルト部材及び加圧部材はこれらに制限されるものではない。例えば、ベルト部材を記録媒体上のトナー像と接しない加圧ベルトとして用い、かつ加圧部材として加熱源(例えばハロゲンヒータ等)を内側に有する加熱加圧ロールを用いた構成としてもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図6に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の本実施形態に係る定着装置60である。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図6に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が107Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例においては、A4用紙横送りに対応した定着器用の定着ベルトを作製した。
本実施例においては、A4用紙横送りに対応した定着器用の定着ベルトを作製した。
・基材
φ30mmで厚み60μm、長さ400mmの円筒状のポリイミド製基材を用意し、表面を粗面化処理後に、ステンレス製の芯金に挿入した。
φ30mmで厚み60μm、長さ400mmの円筒状のポリイミド製基材を用意し、表面を粗面化処理後に、ステンレス製の芯金に挿入した。
・下側プライマー層
ここに、シリコーンプライマー(ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤、商品名:DY35−051、東レ・ダウコーニング株式会社)のA剤とB剤の等量混合液をフローコーティングにより0.6g塗布した。なお、この塗布の際、ベルト軸方向の両端部側の速度を遅くして端部12mmの領域での塗布膜厚が、中央部から端部に向かって厚くなるように制御し、かつベルト軸方向の中央部に対して最端部での塗布量が2.5倍となるよう設定した。
ここに、シリコーンプライマー(ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤、商品名:DY35−051、東レ・ダウコーニング株式会社)のA剤とB剤の等量混合液をフローコーティングにより0.6g塗布した。なお、この塗布の際、ベルト軸方向の両端部側の速度を遅くして端部12mmの領域での塗布膜厚が、中央部から端部に向かって厚くなるように制御し、かつベルト軸方向の中央部に対して最端部での塗布量が2.5倍となるよう設定した。
・弾性層
前記シリコーンプライマーを乾燥した後、液状シリコーンゴム(ビニル基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、を含んでなるシリコーンゴム原料、商品名:DY35−1310、東レ・ダウコーニング株式会社)のA剤とB剤を等量で混合し、更に酢酸ブチルを添加して粘度を調整した後に、フローコーティングにより塗布した。次いで溶媒を乾燥した後に、150℃で一次加硫を行った。
前記シリコーンプライマーを乾燥した後、液状シリコーンゴム(ビニル基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、を含んでなるシリコーンゴム原料、商品名:DY35−1310、東レ・ダウコーニング株式会社)のA剤とB剤を等量で混合し、更に酢酸ブチルを添加して粘度を調整した後に、フローコーティングにより塗布した。次いで溶媒を乾燥した後に、150℃で一次加硫を行った。
・上側プライマー層
次に、PFAチューブ接着用としてのプライマー(ビニル基に対してハイドロジェンオルガノポリシロキサンの比率を高くした(つまりSiH基を過剰にした液状シリコーンゴム、商品名:SE1714、東レ・ダウコーニング株式会社)をヘプタンで希釈したのち、フローコーティングにより塗布した。この塗布の際、ベルト軸方向の両端部側の速度を遅くして端部12mmの領域での塗布膜厚が、中央部から端部に向かって厚くなるように制御し、かつベルト軸方向の中央部(通紙相当領域)での塗布厚が10μm、最端部での塗布厚が15μmとなるように設定し、その後乾燥を実施した。
次に、PFAチューブ接着用としてのプライマー(ビニル基に対してハイドロジェンオルガノポリシロキサンの比率を高くした(つまりSiH基を過剰にした液状シリコーンゴム、商品名:SE1714、東レ・ダウコーニング株式会社)をヘプタンで希釈したのち、フローコーティングにより塗布した。この塗布の際、ベルト軸方向の両端部側の速度を遅くして端部12mmの領域での塗布膜厚が、中央部から端部に向かって厚くなるように制御し、かつベルト軸方向の中央部(通紙相当領域)での塗布厚が10μm、最端部での塗布厚が15μmとなるように設定し、その後乾燥を実施した。
・表面層
次に、表面層となるPFAチューブ(内面活性化処理済)を、内径が前記基材、下側プライマー層、弾性層、及び上側プライマー層を形成した芯金の外径より、わずかに大きい内径を有する中空金属管(外金型)の内面に沿って真空吸引により貼りつくよう拡張させた。
次に、前記PFAチューブを内面に貼りつけた外金型の内側に、前記弾性層を被覆しかつ上側プライマー層を塗布した芯金を挿入したのち、外金型の真空吸引を解除して前記PFAチューブを弾性層の上に被覆した。さらに前記芯金を積層体とともに取り出し、200℃で4時間加熱して二次加硫を行って、弾性層のシリコーンゴムとPFAチューブとを接着すると共に、シリコーンゴムの架橋を完了させた。
次いで、ベルトを金型から取り出したのち、長さ366mmとなるように両端部を切断して、定着ベルトとした。
次に、表面層となるPFAチューブ(内面活性化処理済)を、内径が前記基材、下側プライマー層、弾性層、及び上側プライマー層を形成した芯金の外径より、わずかに大きい内径を有する中空金属管(外金型)の内面に沿って真空吸引により貼りつくよう拡張させた。
次に、前記PFAチューブを内面に貼りつけた外金型の内側に、前記弾性層を被覆しかつ上側プライマー層を塗布した芯金を挿入したのち、外金型の真空吸引を解除して前記PFAチューブを弾性層の上に被覆した。さらに前記芯金を積層体とともに取り出し、200℃で4時間加熱して二次加硫を行って、弾性層のシリコーンゴムとPFAチューブとを接着すると共に、シリコーンゴムの架橋を完了させた。
次いで、ベルトを金型から取り出したのち、長さ366mmとなるように両端部を切断して、定着ベルトとした。
定着ベルトの弾性層の厚さは200μmであった。
・弾性率の測定
前記定着ベルトに関し、ベルト軸方向の片方の端から中央側に20mmまでの範囲について幅2mmの間隔で10個の領域をリング状に切断し、各領域の弾性率を前述の方法により測定した。結果を下記表1及び図8に示す。
なお弾性率の測定は破壊試験となるため、下記評価試験用の定着ベルトは同条件で作製したものを別途準備した。
前記定着ベルトに関し、ベルト軸方向の片方の端から中央側に20mmまでの範囲について幅2mmの間隔で10個の領域をリング状に切断し、各領域の弾性率を前述の方法により測定した。結果を下記表1及び図8に示す。
なお弾性率の測定は破壊試験となるため、下記評価試験用の定着ベルトは同条件で作製したものを別途準備した。
<比較例1>
実施例1の定着ベルトの作製において、下側プライマー層及び上側プライマー層の塗布を、いずれも全面で均一に近い状態となるよう行った以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを得た。
実施例1と同様に測定した弾性率の結果を下記表1及び図8に示す。
実施例1の定着ベルトの作製において、下側プライマー層及び上側プライマー層の塗布を、いずれも全面で均一に近い状態となるよう行った以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを得た。
実施例1と同様に測定した弾性率の結果を下記表1及び図8に示す。
<比較例2>
実施例1の定着ベルトの作製において、下側プライマー層及び上側プライマー層の塗布を、いずれもベルト軸方向の両端部12mmの領域で、厚くかつ均一に近い状態とし、一方両端部12mmよりも中央側の領域で、薄くかつ均一に近い状態となるよう行った以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを得た。弾性層の弾性率は、プライマーの塗布膜厚が変化する箇所を境にして高弾性率部と低弾性率部とに分かれた。
実施例1と同様に測定した弾性率の結果を下記表1及び図8に示す。
実施例1の定着ベルトの作製において、下側プライマー層及び上側プライマー層の塗布を、いずれもベルト軸方向の両端部12mmの領域で、厚くかつ均一に近い状態とし、一方両端部12mmよりも中央側の領域で、薄くかつ均一に近い状態となるよう行った以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを得た。弾性層の弾性率は、プライマーの塗布膜厚が変化する箇所を境にして高弾性率部と低弾性率部とに分かれた。
実施例1と同様に測定した弾性率の結果を下記表1及び図8に示す。
〔評価試験〕
実施例及び比較例で得られた定着ベルトを、図4及び図5に示す定着装置に組み込み、前記定着装置を回転駆動するベンチ装置により試験を実施した。なお、定着装置には外径がφ30mm加圧ロールを使用した。前記ベンチ装置には、加圧ロールを回転駆動するモータと、定着ベルト(加圧ベルト)内部のヒータを加熱する電源と、定着ベルトの表面温度を検知する温度センサと、温度制御装置と、が備えられ、定着ベルトの表面温度が170℃となるように制御するとともに、定着ベルトの表面速度が250mm/sとなるよう設定した。
この装置を用いて定着ベルトを連続回転させ、経時で目視により定着ベルト端面の状態を観察した。ただし、ベルトウォークが発生し易いストレス環境とするため、ベルトの軸方向の片側にだけ冷却ファンにて風を吹きつけて冷却することでベルトの温度に差を設け、定着ベルトの片側がベルト走行ガイド等に押しつけられるようした。またニップ部での荷重は通常の1.5倍となる350Nとした。
実施例及び比較例で得られた定着ベルトを、図4及び図5に示す定着装置に組み込み、前記定着装置を回転駆動するベンチ装置により試験を実施した。なお、定着装置には外径がφ30mm加圧ロールを使用した。前記ベンチ装置には、加圧ロールを回転駆動するモータと、定着ベルト(加圧ベルト)内部のヒータを加熱する電源と、定着ベルトの表面温度を検知する温度センサと、温度制御装置と、が備えられ、定着ベルトの表面温度が170℃となるように制御するとともに、定着ベルトの表面速度が250mm/sとなるよう設定した。
この装置を用いて定着ベルトを連続回転させ、経時で目視により定着ベルト端面の状態を観察した。ただし、ベルトウォークが発生し易いストレス環境とするため、ベルトの軸方向の片側にだけ冷却ファンにて風を吹きつけて冷却することでベルトの温度に差を設け、定着ベルトの片側がベルト走行ガイド等に押しつけられるようした。またニップ部での荷重は通常の1.5倍となる350Nとした。
−評価結果−
比較例1では、評価試験開始から弾性層が摩耗粉を発生しながら磨滅し始め、100時間で基材にラッパ状の変形が発生し始め、200時間でベルト端面に亀裂が発生し始めた。
比較例2では、弾性層の摩耗は少なく、200時間経過時でもベルト端面の基材に変形は見られなかった。しかし、300時間でベルト軸方向端部における弾性層の弾性率が高い部分と低い部分との境目で弾性層剥がれによる表面層の浮きが発生した。
実施例1では、弾性層の摩耗は少なく、延べ500時間を経過してもベルト端面の弾性層の一部が僅かに摩耗しただけであった。また、基材での亀裂や弾性層の剥がれによる表面層の浮きは見られなかった。
比較例1では、評価試験開始から弾性層が摩耗粉を発生しながら磨滅し始め、100時間で基材にラッパ状の変形が発生し始め、200時間でベルト端面に亀裂が発生し始めた。
比較例2では、弾性層の摩耗は少なく、200時間経過時でもベルト端面の基材に変形は見られなかった。しかし、300時間でベルト軸方向端部における弾性層の弾性率が高い部分と低い部分との境目で弾性層剥がれによる表面層の浮きが発生した。
実施例1では、弾性層の摩耗は少なく、延べ500時間を経過してもベルト端面の弾性層の一部が僅かに摩耗しただけであった。また、基材での亀裂や弾性層の剥がれによる表面層の浮きは見られなかった。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット
10 一次転写部
11 感光体
12 帯電器
13 レーザ露光器
14 現像器
15 中間転写ベルト
16 一次転写ロール
17 感光体クリーナ
20 二次転写部
22 二次転写ロール
25 背面ロール
26 給電ロール
31 駆動ロール
32 支持ロール
33 張力付与ロール
34 クリーニング背面ロール
35 中間転写ベルトクリーナ
40 制御部
42 基準センサ
43 画像濃度センサ
50 用紙収容部
51 給紙ロール
52 搬送ロール
53 搬送ガイド
55 搬送ベルト
56 定着入口ガイド
56A 定着入口ガイド
56B 定着出口ガイド
60 定着装置
61 加圧ロール
61A コア
61B 耐熱性弾性体層
61C 表面層
62 加熱ベルト
62A、62B、62C ベルト部材
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
65 ホルダ
66 ベルト走行補助ガイド
69 発熱体
71 端部ガイド部材
72 ベルト走行端部ガイド
73 蛇行抑制ガイド
74 保持部
100 画像形成装置
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
112 下側接着層
114 上側接着層
G 未定着トナー像
K 用紙
10 一次転写部
11 感光体
12 帯電器
13 レーザ露光器
14 現像器
15 中間転写ベルト
16 一次転写ロール
17 感光体クリーナ
20 二次転写部
22 二次転写ロール
25 背面ロール
26 給電ロール
31 駆動ロール
32 支持ロール
33 張力付与ロール
34 クリーニング背面ロール
35 中間転写ベルトクリーナ
40 制御部
42 基準センサ
43 画像濃度センサ
50 用紙収容部
51 給紙ロール
52 搬送ロール
53 搬送ガイド
55 搬送ベルト
56 定着入口ガイド
56A 定着入口ガイド
56B 定着出口ガイド
60 定着装置
61 加圧ロール
61A コア
61B 耐熱性弾性体層
61C 表面層
62 加熱ベルト
62A、62B、62C ベルト部材
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
65 ホルダ
66 ベルト走行補助ガイド
69 発熱体
71 端部ガイド部材
72 ベルト走行端部ガイド
73 蛇行抑制ガイド
74 保持部
100 画像形成装置
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
112 下側接着層
114 上側接着層
G 未定着トナー像
K 用紙
Claims (5)
- 円筒状の基材と、
前記基材の外周面上に配置され、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部について、端から中央側に20mmまでの範囲を幅2mmの間隔で10個の領域に区切ったとき、下記条件A及び下記条件Bを満たす弾性層と、
を有するベルト部材。
条件A:前記10個に区切った各領域のうち、最もベルト軸方向端側の領域における弾性率〔Eed〕が最もベルト軸方向中央側の領域における弾性率〔Ein〕よりも高く、かつその差〔Eed−Ein〕が0.5MPa以上3.5MPa以下である。
条件B:前記10個に区切った各領域において、隣り合う領域での弾性率の差が1MPa以下である。 - 前記弾性層が、ビニル基含有シリコーンゴムを含有する請求項1に記載のベルト部材。
- 下記条件1を満たす下側接着層及び下記条件2を満たす上側接着層の少なくとも一方の接着層を有する請求項1又は請求項2に記載のベルト部材。
条件1:前記下側接着層は、前記基材と前記弾性層との間において前記弾性層に接触して配置され、かつケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤を含有する。
条件2:前記弾性層の外周面上にさらに表面層を有し、前記上側接着層は、前記弾性層と前記表面層との間において前記弾性層に接触して配置され、かつケイ素原子に結合する水素原子を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤を含有する。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のベルト部材と、
前記ベルト部材の内周面に接触して押圧する押圧部材と、
前記ベルト部材を挟んで前記押圧部材に対向して配置され、前記ベルト部材の外周面を加圧する加圧部材と、
前記ベルト部材に対しベルト軸方向の少なくとも一方の端部側に配置され、前記ベルト部材がベルト軸方向に蛇行したときに前記ベルト部材の端面と接触することで前記蛇行を抑制する蛇行抑制部材と、
を有し、
未定着のトナー像が表面に形成された記録媒体を前記ベルト部材と前記加圧部材とで挟み込んで前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
請求項4に記載の定着装置を有し、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016188203A JP2018054731A (ja) | 2016-09-27 | 2016-09-27 | ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016188203A JP2018054731A (ja) | 2016-09-27 | 2016-09-27 | ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018054731A true JP2018054731A (ja) | 2018-04-05 |
Family
ID=61834184
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016188203A Pending JP2018054731A (ja) | 2016-09-27 | 2016-09-27 | ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018054731A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020052158A (ja) * | 2018-09-26 | 2020-04-02 | 富士ゼロックス株式会社 | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
-
2016
- 2016-09-27 JP JP2016188203A patent/JP2018054731A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020052158A (ja) * | 2018-09-26 | 2020-04-02 | 富士ゼロックス株式会社 | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
CN110955132A (zh) * | 2018-09-26 | 2020-04-03 | 富士施乐株式会社 | 定影构件、定影装置、处理盒及图像形成装置 |
JP7206746B2 (ja) | 2018-09-26 | 2023-01-18 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
CN110955132B (zh) * | 2018-09-26 | 2023-10-10 | 富士胶片商业创新有限公司 | 定影构件、定影装置、处理盒及图像形成装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20160091841A1 (en) | Member for electrophotography, image heating apparatus, image forming apparatus, and method for manufacturing member for electrophotography | |
JP4597641B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2013068788A (ja) | 定着ベルト、定着ベルトの製造方法、定着装置および画像形成装置 | |
JP2017161738A (ja) | 定着部材の接着層用接着剤、定着部材、定着装置および画像形成装置 | |
JP2020106561A (ja) | 定着部材、加熱定着装置、及び定着部材の製造方法 | |
JP2010078863A (ja) | 無端ベルト、定着装置及び画像形成装置 | |
JP6634946B2 (ja) | 定着ベルト、定着装置および画像形成装置 | |
JP2015129797A (ja) | 画像定着用管状体、定着装置、および画像形成装置 | |
JP6884996B2 (ja) | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2018151473A (ja) | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2018054731A (ja) | ベルト部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP6790476B2 (ja) | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP2011175189A (ja) | 定着部材、定着装置及び画像形成装置 | |
JP4244837B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP5365249B2 (ja) | 無端ベルト | |
JP5966806B2 (ja) | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP7155551B2 (ja) | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP6965583B2 (ja) | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP2017161776A (ja) | 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 | |
JP6361136B2 (ja) | 定着ベルト、定着装置及び画像形成装置 | |
JP6398528B2 (ja) | 定着装置および画像形成装置 | |
JP7180239B2 (ja) | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP2012150270A (ja) | 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP2019215454A (ja) | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP6488801B2 (ja) | 管状体、定着装置および画像形成装置 |