<本実施形態が適用される情報処理システムの構成>
図1は、本実施形態が適用される情報処理システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態による情報処理システム10は、情報処理装置100と、端末装置200とを備える。情報処理装置100と端末装置200とは、ネットワーク20を介して接続されている。本実施形態において、端末装置200は、情報処理装置100の遠隔操作手段として用いられる。なお、図1には、端末装置200が1台のみ記載されているが、実際のシステムにおいては複数台の端末装置200が設けられてもよい。また、情報処理装置100は、ネットワーク20を介してユーザ情報データベース300および認証情報データベース400に接続している。ユーザ情報データベース300には、情報処理装置100の操作者についての情報が格納されている。認証情報データベース400には、ユーザ情報データベース300に登録された操作者における情報処理装置100の使用権限に関する認証情報が格納されている。
ネットワーク20は、情報処理装置100と端末装置200との間で情報通信を行えるものであれば特に限定されず、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等としてよい。情報通信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であっても良い。また、複数のネットワークや通信回線を介して情報処理装置100と端末装置200とを接続しても良い。特に図示しないが、ネットワーク20には、ネットワークや通信回線を接続するためのゲートウェイやハブ、無線LANにおけるアクセスポイント等の中継装置が適宜設けられる。
図2は、情報処理装置100の構成例を示す図である。本実施形態では、一例として、情報処理装置100が画像処理装置である場合について説明する。図2に示すように、情報処理装置100は、例えば、画像形成部110と、画像読み取り部120と、用紙搬送部130と、ファクス送受信制御部140と、送受信部150とを備える。また、情報処理装置100は、データ処理部160と、ユーザ・インターフェイス部(以下、UI部と記す)170、制御部180と、記憶部190とを備える。
画像形成部110は、記録材の一例である用紙に対して、画像形成材を用いて画像データに基づく画像を形成する。記録材に画像を形成する方式としては、例えば、感光体に付着させたトナーを記録材に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録材上に吐出して像を形成するインクジェット方式等が用いられる。
画像読み取り部120は、いわゆるスキャナー装置により構成され、セットされた原稿上の画像を光学的に読み取り、読み取り画像(画像データ)を生成する。画像の読み取り方式としては、例えば、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED(Light Emitting Diode)光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式が用いられる。
用紙搬送部130は、図示しない用紙トレイに予め格納されている用紙を画像形成部110による画像形成が行われる位置へ搬送し、画像形成が行われた用紙を情報処理装置100の外部へ排出する。
ファクス送受信制御部140は、ファクシミリ機能による画像データの送受信を制御する。具体的には、電話回線を介して外部機器と接続し、画像読み取り部120により読み取られた画像を外部機器へ送信したり、外部機器から画像を受信したりする。
送受信部150は、外部機器とデータの送受信を行う。特に区別しないが、送受信部150としては、ネットワーク20にアクセスするためのデジタル通信回線用の送受信手段と、ファクシミリによる画像の送受信を行うための電話回線用の送受信手段とが、それぞれ設けられる。また、bluetooth(登録商標)や近距離無線通信等の無線通信による送受信手段を設けても良い。
データ処理部160は、例えばコンピュータのCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現され、画像形成部110により用紙に形成される画像や画像読み取り部120により読み取られた画像に対するデータ処理を行う。
UI部170は、操作画面を表示する表示手段と、操作者による入力操作が行われる入力手段とを備える。表示手段としては、例えば液晶ディスプレイが用いられる。入力手段としては、例えばハードウェア・キーやタッチセンサが用いられる。本実施形態では、一例として、表示手段である液晶ディスプレイと入力手段であるタッチセンサとを組み合わせたタッチパネルをUI部170として用いることとする。UI部170は、遠隔操作手段としての端末装置200に対して、情報処理装置100に搭載されて情報処理装置100を直接操作するための直接操作手段として用いられる。
制御部180は、例えばコンピュータのCPUがプログラムを実行することにより実現され、画像形成部110、画像読み取り部120、用紙搬送部130、ファクス送受信制御部140、送受信部150およびUI部170を制御する。また、制御部180は、情報処理装置100に対する操作手段(UI部170および端末装置200)へのログイン情報を管理し、情報処理装置100における特定の機能に対する排他制御を行う。
記憶部190は、例えばROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。不揮発性のメモリであるROMには、CPUが制御部180およびデータ処理部160として機能するためのプログラムが格納されている。RAMは、制御部180による制御やデータ処理部160によるデータ処理において、作業メモリとして用いられる。
図3は、端末装置200の構成例を示す図である。端末装置200としては、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末やスマートフォン等の情報端末等が用いられる。図3に示すように、端末装置200は、CPU210と、記憶部220と、送受信部230と、表示部240と、入力部250とを備える。
CPU210は、プログラムを実行して演算手段および制御手段として機能する。記憶部220は、CPU210により実行されるプログラムを記憶するROMおよび作業メモリとして用いられるRAMを含む。送受信部230は、ネットワーク20にアクセスするためのデジタル通信回線用の送受信手段を含み、ネットワーク20を介して情報処理装置100に接続し、データの送受信を行う。
表示部240は、制御手段として機能するCPU210に制御されて、情報処理装置100を遠隔操作するための操作画面を表示する。表示部240としては、例えば液晶ディスプレイが用いられる。入力部250は、情報処理装置100を遠隔操作するための操作者の入力操作を受け付ける入力手段である。入力部250としては、例えばキーボードやマウス、タッチセンサ等の入力デバイスが用いられる。一例として、端末装置200がタブレット端末やスマートフォン等である場合は、液晶ディスプレイとタッチセンサとが組み合わされたタッチパネルが表示部240および入力部250として機能する。
<情報処理装置100の操作手段>
本実施形態では、情報処理装置100の操作手段(操作装置)として、情報処理装置100に設けられた直接操作手段としてのUI部170と、情報処理装置100に対する外部装置である遠隔操作手段としての端末装置200とが用いられる。以下、UI部170と端末装置200とを区別せずに、操作手段と呼ぶ場合がある。
<情報処理装置100における制御部180の機能構成>
図4は、情報処理装置100の制御部180の機能構成を示す図である。図4に示すように、本実施形態の制御部180は、表示制御部181と、操作受け付け部182と、認証処理部183と、排他制御部184と、ログイン情報管理部185と、機能実行部186とを備える。
表示制御部181は、操作画面を生成し、UI部170の表示手段に表示させる。詳しくは後述するが、本実施形態では、操作画面として、操作者のログイン操作を受け付けるログイン画面と、各種の機能を使用するための操作を受け付けるメニュー画面とが生成される。また、表示制御部181は、UI部170による操作と共に端末装置200による操作が行われている場合に、他の操作手段により操作が行われていることを示す表示を行う。さらに、表示制御部181は、後述する排他制御の対象となる機能に関して、端末装置200との間で機能を使用する権限を委譲したり共有したりするための画面の表示を行う。
操作受け付け部182は、表示された操作画面に応じて操作者がUI部170を用いて行った入力操作を受け付ける。具体的には、例えば、認証情報の入力操作、操作画面の切り替え指示や各種機能による動作の実行指示の入力操作、各種機能における設定情報の入力操作などを受け付ける。また、操作受け付け部182は、後述する排他制御の対象となる機能に関して、端末装置200との間で機能を使用する権限を委譲したり共有したりするための操作などを受け付ける。
認証処理部183は、操作受け付け部182が受け付けた入力操作により取得された認証情報に基づき、操作者の認証処理を行い、情報処理システム10へのログインを許可するか否かを決定する。認証情報としては、例えば、操作者を特定する操作者情報と、操作者ごとに設定された認証コードとを含む。認証処理部183は、認証情報を取得すると、認証情報データベース400にアクセスし、認証情報に含まれる操作者情報および認証コードを照合して、ログインを許可するか否かを判断する。
排他制御部184は、情報処理装置100における特定の機能に関して、排他制御を行う。すなわち、排他制御部184は、複数の操作手段の一つに対して、情報処理装置100の機能のうち排他制御の対象となっている機能を使用する権限を与えた場合、他の操作手段からその機能の使用が要求されても、その他の操作手段によるその機能の使用を禁止する。具体的には、排他制御の対象となっている機能に関して、UI部170により使用されているときには、原則として、その機能を使用するための端末装置200からの操作を受け付けない。また、排他制御の対象となっている機能に関して、端末装置200により使用されているときには、原則として、その機能を使用するためのUI部170や端末装置200からの操作を受け付けない。
本実施形態の排他制御部184は、排他制御の対象であり、いずれかの操作手段(情報処理装置100のUI部170または端末装置200)で使用されている機能に関して、一定の条件を満足すると、その機能を使用する権限の主体を変更する(権限を移動させる)。すなわち、一の操作手段において排他制御の対象である機能を使用する権限が保有している場合に、他の操作手段からその機能の使用を要求されたとき、一定の条件を満足すると、その機能を使用する権限を一の操作手段から他の操作手段へ移動させる。そして、この権限の移動を行った後、さらに一定の条件を満足すると、その機能を使用する権限を他の操作手段から一の操作手段へ復帰させる。
具体的には、一の操作手段において排他制御の対象である機能を使用する権限が保有されており、他の操作手段がその機能の使用を要求した場合、排他制御部184は、機能を使用する権限を保有する操作手段(以下、保有側操作手段)に対して権限を委譲するか否かを問い合わせる。保有側操作手段から権限を委譲する旨の応答を得た場合、排他制御部184は、機能の使用を要求した操作手段(以下、要求側操作手段)に権限の主体を変更する。また、保有側操作手段から、一定時間、何らの応答も得られなかった場合は、強制的に、要求側操作手段に権限の主体を変更する。そして、権限を委譲された要求側操作手段において、機能の使用が完了した後、および、機能の使用が一定時間行われなかった場合は、要求側操作手段に権限を委譲した保有側操作手段からの操作に応じて、権限の主体を保有側操作手段に戻す。
また、本実施形態の排他制御部184は、複数の操作手段にログインしている操作者が同一である場合、あるいは、予め定められた特定の関係を有する操作者どうしである場合、排他制御の対象である機能を使用する権限を、これらの操作者がログインしている複数の操作手段で共有することを認める。すなわち、排他制御の対象である機能を複数の操作手段で共用することを許容する。この場合、共有を認められた操作手段の操作者以外の操作者がログインした操作手段に対しては、排他制御が行われる。また、排他制御部184は、複数の操作手段にログインしている操作者が同一である場合と、特定の関係を有する複数の操作者である場合とで、共有する権限の内容を異ならせてもよい。特定の関係とは、例えば、同じ業務グループ等に所属する操作者どうしや、予め排他制御の対象となる機能の共用を許容する相手としてユーザ情報データベース300等に登録した操作者どうし等の関係とすることができる。
ログイン情報管理部185は、情報処理装置100および端末装置200においてログインしている操作者の情報を記憶部190に格納して管理する。排他制御の対象である機能に対して複数の操作手段による操作の要求が行われた場合、この管理情報に基づいて、機能を使用する権限の共有が認められる操作者か否かが判断される。具体的には、排他制御の対象である機能に対して複数の操作手段による操作の要求が行われると、排他制御部184が、各操作手段にログインしている操作者の情報をログイン情報管理部185から読み出す。そして、排他制御部184は、ユーザ情報データベース300にアクセスし、ログイン情報管理部185から読み出した操作者の情報を照合し、機能を使用する権限の共有が認められる特定の関係を有する操作者か否かを判定する。
また、ログイン情報管理部185は、排他制御の対象である機能ごとに、いずれの操作者がその機能を使用する権限を保有しているかの情報を管理する。具体的には、いずれかの操作手段にログインしている操作者が排他制御の対象である機能を使用している場合に、その操作者および操作手段の情報に、使用している機能の情報が関連付けられて保持される。
機能実行部186は、操作受け付け部182により受け付けた指示および送受信部150を介して端末装置200から受信した指示に基づき、情報処理装置100が備える各種の機能による動作を実行させる。
<端末装置200の機能構成>
図5は、端末装置200の機能構成を示す図である。図5に示すように、本実施形態の端末装置200は、表示制御部201と、操作受け付け部202と、送受信制御部203とを備える。
表示制御部201は、操作受け付け部202で受け付けた操作および情報処理装置100から受信した情報に基づいて操作画面を生成し、表示部240に表示させる。本実施形態では、遠隔操作手段である端末装置200においても、情報処理装置100のUI部170と同様の操作を行えるように操作画面が構成される。したがって、表示制御部201では、操作画面として、情報処理装置100の制御部180における表示制御部181と同様に、ログイン画面とメニュー画面とが生成される。また、表示制御部201は、情報処理装置100から受信した情報に基づいて、排他制御に基づく機能の使用制限に関する情報や機能を使用する権限を委譲したり取得したりするための操作に関する情報を表示部240に表示させる。
操作受け付け部202は、表示部240に表示された操作画面に応じて操作者が入力部250を用いて行った入力操作を受け付ける。具体的には、例えば、認証情報の入力操作、操作画面の切り替え指示や各種機能による動作の実行指示の入力操作、各種機能における設定情報の入力操作などを受け付ける。また、操作受け付け部202は、情報処理装置100の排他制御部184による排他制御の対象である機能に関して、情報処理装置100のUI部170または他の端末装置200との間で機能を使用する権限を委譲したり共有したりするための操作などを受け付ける。
送受信制御部203は、送受信部230を制御して、操作受け付け部202により受け付けられた操作に基づく各種の命令やデータを情報処理装置100へ送信させる。また、送受信制御部203は、情報処理装置100から排他制御に関する情報(排他制御の対象である機能が他の操作手段において使用されていることを示す情報等)を受信し、表示制御部201に送る。
<情報処理装置100の操作画面の構成例>
図6〜図8は、情報処理装置100の操作画面の構成例を示す図である。図6はログイン画面を、図7はホーム・メニュー画面を、図8はコピー・メニュー画面を、それぞれ示す。これらの操作画面は、例えばHTMLで作成してもよいし、その他の既存の種々の方式で作成してもよい。本実施形態では、情報処理装置100のUI部170の表示手段に表示される操作画面(直接操作画面)と、端末装置200の表示部240に表示される操作画面(遠隔操作画面)とは同一の構成であるものとする。各操作画面を同一の構成とすることにより、操作者は、情報処理装置100のUI部170により直接操作を行う場合と端末装置200により遠隔操作を行う場合とで同じ操作画面を使用することができる。ただし、UI部170の直接操作画面と端末装置200の遠隔操作画面とは、同様の操作を行うことができるものであればよく、構成が完全に同一である必要はない。
図6は、ログイン画面の構成例を示す図である。図6に示すログイン画面310には、情報処理システム10へのログインに必要となる情報の入力に用いられるオブジェクトが表示されている。具体的には、ログインする操作者を特定する操作者情報を入力するためのアイコン311と、認証コードを入力するための入力フォーム312が表示されている。また、図6に示すログイン画面310には、必要な入力を行った後に情報処理システム10へのログインを実行するためのボタン・オブジェクトであるログイン・ボタン313と、ログイン操作を中止するためのボタン・オブジェクトであるキャンセル・ボタン314とが表示されている。
操作者のアイコン311は、本実施形態の情報処理システム10にログインして操作することが可能な操作者ごとに用意される。図6に示す例では、「Adam」、「Ben」、「Chris」、「David」の名前が記された4つのアイコン311が表示されている。また、図6に示す例において、入力フォーム312は、認証コードとしてPIN(Personal Identification Number)を入力するように表示されている。操作者は、キー操作やタッチパネルへのタッチ操作により、ログイン画面310に表示されているアイコン311から自身のアイコン311を選択し、入力フォーム312にPINを入力して、ログイン・ボタン313を選択することにより、情報処理システム10にログインする。なお、情報処理システム10へのログイン方法は、上述の方法に限定されない。例えば、入力フォーム312に認証コードを入力する代わりに、専用の読み取り装置によりICカードの認証コードを読み取ってログインを実行するカード認証のような方式を用いてもよい。
図7は、ホーム・メニュー画面の構成例を示す図である。操作者は、ホーム・メニュー画面320を操作することにより、情報処理装置100である画像処理装置の機能を使用するための機能ごとの操作画面を表示させる。図7に示すホーム・メニュー画面320には、操作者が使用する機能を選択するためのボタン・オブジェクトである機能ボタン321が表示されている。また、ホーム・メニュー画面320を含むメニュー画面には、画面情報欄301と、操作者情報欄302と、ログオフするためのボタン・オブジェクトであるログオフ・ボタン303と、メニュー画面を切り替えるために用いられるタブ304とが表示される。
機能ボタン321は、情報処理装置100の機能を使用するための操作画面や、種々の情報を表示させるためのボタンである。図7に示す例では、「COPY」、「FAX」、「SCAN」、「Job List」、「Address Book」、「Others…」の6個の機能ボタン321が表示されている。「COPY」は複写機能を使用するための操作画面を表示させるボタンであり、「FAX」はファクシミリ機能を使用するための操作画面を表示させるボタンであり、「SCAN」は画像読み取り機能を使用するための操作画面を表示させるボタンである。また、「Job List」は、操作画面ではなく、過去に実行されたジョブのリストを表示させるボタンである。「Address Book」は、登録されている送信先アドレスの一覧を表示させるボタンである。「Others…」は、ホーム・メニュー画面320に一度に表示しきれなかった機能ボタン321を表示させるためのボタンである。
画面情報欄301には、表示されているメニュー画面の種類と、ログインしている操作者の数およびログインした順番を示す情報が表示される。図7に示す例では、ホーム・メニュー画面320が表示されていることを示す「HOME MENU」の文字と、ログインされている操作手段(情報処理装置100のUI部170または端末装置200)が1台であって、1番目にログインされた操作手段であることを示す「1st UI of 1」の文字が表示されている。操作者情報欄302には、ログインした操作者の識別情報が表示される。図7に示す例では、ログインした操作者がAdamであることを示す「Adam」の文字が表示されている。メニュー画面の切り替えおよびタブ304の詳細については後述する。
図8は、コピー・メニュー画面330の構成例を示す図である。例えば図7に示したホーム・メニュー画面320において、「COPY」と表示された機能ボタン321が選択されると、複写機能を使用するための操作画面であるコピー・メニュー画面330に表示が切り替わる。図8に示すコピー・メニュー画面330には、複写処理の設定を行うためのボタン・オブジェクトである設定ボタン331と、複写処理を実行させるためのボタン・オブジェクトである実行ボタン332とが表示されている。図8に示す例では、5個の設定ボタン331が表示されている。「Tray」と表示された設定ボタン331は、用紙を選択するボタンである。「Simplex/Duplex」と表示された設定ボタン331は、片面印刷か両面印刷かを選択するボタンである。「Mag」と表示された設定ボタン331は、画像の拡縮倍率を指定するボタンである。「Volume」と表示された設定ボタン331は、印刷部数を指定するボタンである。「Other Settings」と表示された設定ボタン331は、コピー・メニュー画面330に一度に表示しきれなかった設定ボタン331を表示させるためのボタンである。また、図8に示す例において、実行ボタン332には、「COPY START」の文字が表示されている。
また、図8に示すコピー・メニュー画面330において、画面情報欄301には、コピー・メニュー画面330が表示されていることを示す「COPY MENU」の文字と、ログインされている操作手段が1台であって、1番目にログインされた操作手段であることを示す「1st UI of 1」の文字が表示されている。操作者情報欄302には、ログインした操作者の識別情報が表示される。図8に示す例では、ログインした操作者がAdamであることを示す「Adam」の文字が表示されている。
なお、ここでは、図7に示したホーム・メニュー画面320で「COPY」の機能ボタン321が選択された場合を例として、コピー・メニュー画面330について説明した。同様に、ホーム・メニュー画面320で「FAX」の機能ボタン321が選択された場合は、ファクシミリ機能を使用するための操作画面であるファクス・メニュー画面(図示せず)が表示される。また、ホーム・メニュー画面320で「SCAN」の機能ボタン321が選択された場合は、画像読み取り機能を使用するための操作画面であるスキャン・メニュー画面(図示せず)が表示される。各メニュー画面には、各機能における処理の設定を行うための設定ボタン(図示せず)と、各機能による処理を実行させるための実行ボタン(図示せず)が表示される。
ここで、図7および図8に示したメニュー画面(図示の例では、ホーム・メニュー画面320およびコピー・メニュー画面330)に表示されているタブ304について説明する。図7に示す例では、ホーム・メニュー画面320が表示されていることを示す「HOME」の文字がタブ304に表示されている。また、図8に示す例では、コピー・メニュー画面330が表示されていることを示す「COPY」の文字がタブ304に表示されている。
タブ304は、操作画面を切り替える操作に使用される表示部品である。本実施形態では、特定の条件の下、表示したメニュー画面の履歴を保存して他のメニュー画面を表示させる。そして、保存されたメニュー画面を含む表示画面の切り替えを行うためにタブ304が用いられる。具体的には、複数のメニュー画面が保存または表示されている場合に、各メニュー画面に対応する複数のタブ304が表示される。そして、操作者が一つのタブ304を選択すると、選択されたタブ304に対応するメニュー画面が表示される。また、図7および図8においてタブ304の右端に、ホーム・メニュー画面320に遷移するための特殊タブ304aが表示されている。この特殊タブ304aが選択されると、それまで表示されていたメニュー画面(履歴)が保存され、新たにホーム・メニュー画面320が表示される。
図9は、図8に示したコピー・メニュー画面330において特殊タブ304aが選択され、新たにホーム・メニュー画面320が表示された様子を示す図である。新たなホーム・メニュー画面320が表示されると、それまで表示されていたメニュー画面(この例ではコピー・メニュー画面330)は非表示となるが、そのメニュー画面の情報(設定内容等)は履歴情報として保存される。そして、タブ304を用いた画面の切り替えによって直ちに表示される。図9に示すホーム・メニュー画面320では、図7に示したホーム・メニュー画面320とは異なり、コピー・メニュー画面330の履歴情報が保存されていることを示す「COPY」の文字のあるタブ304が表示されている。したがって、この「COPY」のタブ304が選択されると、操作画面は、ホーム・メニュー画面320から、ホーム・メニュー画面320が表示される前の設定状態のままのコピー・メニュー画面330へ直ちに戻る。
<複数の操作手段による操作の受け付け>
本実施形態の情報処理装置100は、情報処理装置100が備えるUI部170による操作の他に、端末装置200による遠隔操作を受け付ける。そのため、情報処理装置100のUI部170と端末装置200あるいは複数の端末装置200というように、複数の操作手段から情報処理装置100に対する操作が行われる場合がある。ここで、例えば、ホーム・メニュー画面320を表示したりジョブのリストを表示したりする場合、複数の操作手段で同時に行われても、一方の操作手段における表示や操作が他方の操作手段における表示や操作に影響を与えない。したがって、本実施形態の情報処理装置100は、このような操作に関しては、複数の操作手段により同時に操作することを許容する。
一方、情報処理装置100が実行する処理や制御には、複数の操作手段により同時に行われる操作に対応できない場合がある。この場合、一の操作手段による操作が行われているときは他の操作手段による操作を受け付けない排他制御が必要となる。例えば、複写機能は、複数の操作手段から同時に異なる設定が行われたり実行指示が行われたりしても対応できない。したがって、一の操作手段により複写機能の設定や実行指示が行われているときは、他の操作手段による複写機能に関する操作を制限する。本実施形態では、この排他制御を操作画面単位で行う。
すなわち、複写機能等の排他制御の対象となる機能を使用することができる(権限がある)ときは、その機能に対応するメニュー画面を操作手段に表示することができる。一方、その機能を使用することができない(権限がない)ときは、その機能に対応するメニュー画面を操作手段に表示することができない。また、一の操作手段において排他制御の対象である機能に対応するメニュー画面が表示されている間は、その操作手段においてそのメニュー画面に対応する機能を使用する排他的な権限が維持されるため、他の操作手段においてその機能を使用することができない。そして、一の操作手段において排他制御の対象である機能に対応するメニュー画面が非表示になると、そのメニュー画面に対応する機能を使用する排他的な権限が解除され、他の操作手段においてそのメニュー画面を表示し、その機能を使用することが可能となる。具体例を挙げると、一の操作手段によりコピー・メニュー画面330が表示されているときは、原則として、他の操作手段ではコピー・メニュー画面330を表示しないように制御される。そして、その一の操作手段においてコピー・メニュー画面330を非表示とすることにより、排他制御の対象となっている機能を使用する権限が解除され、他の操作手段においてコピー・メニュー画面330を表示することが可能となる。
図10は、複数の操作手段により情報処理装置100の操作が行われた場合の操作画面の例を示す図である。図10(A)は一の操作手段の操作画面を示し、図10(B)は他の一の操作手段の操作画面を示す。一例として、図10(A)に示す操作画面は情報処理装置100のUI部170に表示された直接操作画面とし、図10(B)に示す操作画面は端末装置200の表示部240に表示された遠隔操作画面とする。図10に示す例では、各操作画面においてログインした操作者が同一(図示の例ではAdam)である場合を示している。例えば、一人の操作者が情報処理装置100のUI部170を操作し、そのまま情報処理装置100から離れて端末装置200で操作を行うような場合である。また、図10(A)に示す操作画面ではホーム・メニュー画面320とコピー・メニュー画面330とが表示されたものとし、図10(B)に示す操作画面ではホーム・メニュー画面320が表示されたものとする。
図10(A)には、操作画面としてホーム・メニュー画面320が表示されている。この操作画面において、画面情報欄301には、ホーム・メニュー画面320が表示されていることを示す「HOME MENU」の文字と、ログインされている操作手段が2台であって、1番目にログインされた操作手段であることを示す「1st UI of 2」の文字が表示されている。また、操作者情報欄302には、ログインした操作者がAdamであることを示す「Adam」の文字が表示されている。タブ304は、図10(A)の操作手段で表示されたホーム・メニュー画面320およびコピー・メニュー画面330に対応する「HOME」、「COPY」と、図10(B)の操作手段で表示されたホーム・メニュー画面320に対応する「HOME2」の3つのタブ304が表示されている。そして、「HOME2」のタブ304は、他の操作手段により表示されたメニュー画面であることを示す表示態様(図示の例では黒塗りの逆三角形のマーク「▼」が付されている)で表示されている。
図10(B)には、操作画面としてホーム・メニュー画面320が表示されている。この操作画面において、画面情報欄301には、遠隔操作画面であることおよびホーム・メニュー画面320が表示されていることを示す「Remote HOME」の文字と、ログインされている操作手段が2台であって、2番目にログインされた操作手段であることを示す「2nd UI of 2」の文字が表示されている。また、操作者情報欄302には、ログインした操作者がAdamであることを示す「Adam」の文字が表示されている。タブ304は、図10(B)の操作手段で表示されたホーム・メニュー画面320に対応する「HOME2」と、図10(A)の操作手段で表示されたホーム・メニュー画面320およびコピー・メニュー画面330に対応する「HOME」、「COPY」の3つのタブ304が表示されている。また、「HOME」のタブ304は、他の操作手段により表示されているメニュー画面であることを示す表示態様(黒塗りの逆三角形のマーク「▼」が付されている)で表示されている。
図11は、複数の操作手段により情報処理装置100の操作が行われた場合の操作画面の他の例を示す図である。図11(A)は一の操作手段の操作画面を示し、図11(B)は他の一の操作手段の操作画面を示す。一例として、図11(A)に示す操作画面は情報処理装置100のUI部170に表示された直接操作画面とし、図11(B)に示す操作画面は端末装置200の表示部240に表示された遠隔操作画面とする。図11に示す例では、各操作画面においてログインした操作者が異なる場合を示している。図示の例では、図11(A)に示す操作画面はAdamがログインし、図11(B)に示す操作画面はBenがログインしている。また、図11(A)に示す操作画面ではホーム・メニュー画面320とコピー・メニュー画面330とが表示されたものとし、図11(B)に示す操作画面ではホーム・メニュー画面320が表示されたものとする。
ここで、同一の操作者が複数の操作手段でログインした場合、図10に示したように、他の操作手段でログインが行われていることを示す情報が操作画面に表示された。これに対し、複数の操作手段において相異なる操作者がログインした場合、各操作手段の操作画面において、他の操作者によりログインされた操作手段の情報は表示しない。したがって、各操作手段の操作者は、他の操作者がログインしていることを操作画面から知ることはできない。
図11(A)には、操作画面としてホーム・メニュー画面320が表示されている。この操作画面において、画面情報欄301には、ホーム・メニュー画面320が表示されていることを示す「HOME MENU」の文字と、ログインされている操作手段が1台であって、1番目にログインされた操作手段であることを示す「1st UI of 1」の文字が表示されている。また、操作者情報欄302には、ログインした操作者がAdamであることを示す「Adam」の文字が表示されている。タブ304は、図11(A)の操作手段で表示されたホーム・メニュー画面320およびコピー・メニュー画面330に対応する「HOME」、「COPY」の2つのタブ304が表示されている。
図11(B)には、操作画面としてホーム・メニュー画面320が表示されている。この操作画面において、画面情報欄301には、遠隔操作画面であることおよびホーム・メニュー画面320が表示されていることを示す「Remote HOME」の文字と、ログインされている操作手段が1台であって、1番目にログインされた操作手段であることを示す「1st UI of 1」の文字が表示されている。また、操作者情報欄302には、ログインした操作者がBenであることを示す「Ben」の文字が表示されている。タブ304は、図11(B)の操作手段で表示されたホーム・メニュー画面320に対応する「HOME」のみが表示されている。
以上のように、図11(A)(B)に示す各操作画面では、いずれも、画面情報欄301においてログインされている操作手段が1台となっており(「1st UI of 1」の表示)、ログインされている他の操作手段があることが示されていない。また、いずれも、他の操作手段で表示されたメニュー画面のタブ304が表示されていない。上述したように、本実施形態では操作画面単位で排他制御が行われる。したがって、図10および図11に示す例において、一方の操作画面で排他制御されるメニュー画面が表示されている場合、原則として、他方の操作画面で同じメニュー画面を表示することはできない。具体例を挙げると、コピー・メニュー画面330が排他制御されるメニュー画面である場合、一方の操作画面でコピー・メニュー画面330が表示されているときは、他方の操作画面でホーム・メニュー画面320の「COPY」の機能ボタン321を選択しても、コピー・メニュー画面330は表示されない。
<本実施形態における排他制御>
ところで、排他制御において、一の操作手段による操作のみを受け付ける状態が継続されることにより、不都合が生じる場合がある。例えば、一の操作手段により操作が許可されている操作者が操作を行う権限(他の操作者に対する排他権)を解除し忘れた場合、他の操作手段から操作しようとする操作者は、不必要に操作の実行を待たされることになるため、情報処理装置100の使用効率の低下を招くことになる。本実施形態では、このような場合に、特に定められた手順を経ることにより、排他制御において、操作を行う権限を占有する操作者(操作手段)を切り替える。具体的には、排他制御の対象となる機能に関して、その機能の使用を欲する側から機能を使用する権限の委譲を受けるための操作を行えるようにした。
具体的な動作例として、図11(A)(B)に示した状態から図11(B)の遠隔操作画面でコピー・メニュー画面330を表示させた後、図11(A)の操作画面でホーム・メニュー画面320の「COPY」の機能ボタン321が選択された場合を考える。以下、図11(A)に示した操作者Adamによりログインされている操作手段の操作画面を第1操作画面と呼び、図11(B)に示した操作者Benによりログインされている操作手段の操作画面を第2操作画面と呼ぶ。上述したように、コピー・メニュー画面330は排他制御される画面なので、第2操作画面でコピー・メニュー画面330が表示されている場合、第1操作画面でホーム・メニュー画面320の「COPY」の機能ボタン321を選択しただけでは、コピー・メニュー画面330は表示されない。本実施形態では、このような場合、第1操作画面および第2操作画面において、操作者に対し、操作を行う権限の切り替えについての問い合わせを行う。
図12は、操作を行う権限を有する操作者の切り替え画面の例を示す図である。図12(A)は第1操作画面を示し、図12(B)は第2操作画面を示す。ここで、図12(A)の第1操作画面を表示する操作手段(情報処理装置100のUI部170または端末装置200)は、複写機能を使用する権限(言い換えれば、コピー・メニュー画面330を表示する権限)を要求する操作手段(要求側操作手段)である。一方、図12(B)の第2操作画面を表示する操作手段は、コピー・メニュー画面330を表示しており、複写機能を使用する権限を保有している操作手段(保有側操作手段)である。図12に示す例において、操作を行う権限の切り替えについての問い合わせは、各操作画面にダイアログボックスを表示することにより行う。
図12(A)に示す要求側操作手段の第1操作画面では、複写機能を使用する権限の要求操作用のダイアログボックス305が表示される。図12(A)に示す例では、ダイアログボックス305には、他の操作者が複写機能を使用中であることを示す「COPY MENUはユーザーBenが起動中です」というメッセージが表示される。また、「強制遷移しますか?」という権限を切り替えるための操作を行うか否かの問い合わせメッセージと共に、操作を行うことを指示するための「OK」ボタン305aと、操作を行わずに終了するための「戻る」ボタン305bとが表示される。
第1操作画面の操作者が「OK」ボタン305aを選択すると、図12(B)に示す保有側操作手段の第2操作画面に、複写機能を使用する権限の要求に対する応答操作用のダイアログボックス306が表示される。図12(B)に示す例では、ダイアログボックス306には、使用中の複写機能(コピー・メニュー画面330)に関して他の操作者から使用権限の委譲の要求を受け付けたことを示す「ユーザーAdamからコピーの使用が要求されました」というメッセージが表示される。そして、複写機能を使用する権限の委譲を許可するための「許可」ボタン306aと、拒否するための「拒否」ボタン306bとが表示される。
第2操作画面の操作者が「許可」ボタン306aを選択すると、第1操作画面においてコピー・メニュー画面330が表示され、要求側操作手段において複写機能の使用が可能となる。一方、第2操作画面の操作者が「拒否」ボタン306bを選択すると、保有側操作手段において複写機能の操作を行う権限が維持される。したがって、第1操作画面においてコピー・メニュー画面330は表示されず、要求側操作手段において複写機能を使用できない状態が継続する。また、本実施形態では、第2操作画面において「許可」ボタン306aおよび「拒否」ボタン306bのどちらも選択されない場合、一定時間が経過すると、保有側操作手段から要求側操作手段へ複写機能の操作を行う権限が強制的に委譲される。これにより、保有側操作手段の操作者がコピー・メニュー画面330を表示したまま操作手段から離れた場合のように、操作者の操作により複写機能の操作を行う権限が解除されない場合であっても、権限を委譲することができる。そのため、第1操作画面の操作者が不必要に操作の実行を待たされることが回避される。
図13は、図12に示した操作画面において、複写機能の操作を行う権限が委譲された様子を示す図である。図13(A)は第1操作画面を示し、図13(B)は第2操作画面を示す。図13(A)に示す要求側操作手段の第1操作画面では、複写機能の操作を行う権限が委譲されたことにより、コピー・メニュー画面330が表示されている。一方、図13(B)に示す保有側操作手段の第2操作画面では、複写機能の操作を行う権限を委譲したことにより、コピー・メニュー画面330で操作を行うことができなくなっている。図13(B)に示す例では、コピー・メニュー画面330で操作を行うことができないことを報知する「ロックされています」というメッセージが表示されると共に、コピー・メニュー画面330のタブ304に画面の操作ができない(ロックされている)ことを示す錠前のマークが表示されている。この場合、第2操作画面においてコピー・メニュー画面330は表示されたままであるが、この第2操作画面の操作手段は、複写機能の操作を行う権限を保有しておらず、この機能を使用することができない。
上記のようにして複写機能の操作を行う権限が委譲された後、第1操作画面の操作手段において複写機能の使用が終了し、権限が解除された場合を考える。この場合、第1操作画面の操作手段では、コピー・メニュー画面330が非表示とされる。一方、第2操作画面の操作手段では、図13(B)に示したように、コピー・メニュー画面330が表示されたままで複写機能の操作を行う権限を解除されていたため、第1操作画面の操作手段で権限が解除されたことにより、再び権限を保有することとなる。そして、第2操作画面では、コピー・メニュー画面330で操作を行うことができないことを示すメッセージおよびタブ304の錠前マークが消え、コピー・メニュー画面330で操作を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、複写機能の操作を行う権限の委譲を受けた第1操作画面の操作手段において、コピー・メニュー画面330での操作が行われずに一定時間が経過すると、複写機能の操作を行う権限を委譲した第2操作画面の操作手段において、強制的に権限を取り戻すことが認められる。これにより、第1操作画面の操作手段の操作者がコピー・メニュー画面330を表示したまま操作手段から離れた場合のように、操作者の操作により複写機能の操作を行う権限が解除されない場合であっても、第2操作画面の操作手段において権限を再獲得することができる。
図14は、第2操作画面の操作手段において複写機能の操作を行う権限の再獲得が可能となった状態を示す図である。図14に示す例では、図13(B)に示した第2操作画面の表示に、コピー・メニュー画面330での操作を可能とするための表示(操作を再開するための操作を受け付ける表示)が追加されている。具体的には、「ロック解除可能です」というメッセージと共に、ロック(第1操作画面の操作手段における複写機能の排他的な使用権限)を解除するための「ロック解除」ボタン307aが新たに表示されている。
第2操作画面の操作手段において「ロック解除」ボタン307aが選択されると、第2操作画面のメッセージおよびタブ304の錠前マークが消え、コピー・メニュー画面330で操作を行うことが可能となる。そして、第1操作画面においては、コピー・メニュー画面330がロックされ、操作できない状態になる。また、第1操作画面においては、コピー・メニュー画面330がロックされた際に、ホーム・メニュー画面320に遷移させてもよい。
なお、図13(B)に示した例では、複写機能の操作を行う権限を譲渡した操作手段は、権限を委譲された操作手段においてコピー・メニュー画面330を非表示とするか、一定時間操作が行われずに放置された場合に権限を取り戻すことが可能となっている。これに対し、権限を譲渡した操作手段からの働きかけにより、積極的に権限を取り戻す手段を設けてもよい。例えば、図13(B)のコピー・メニュー画面330で特定の操作(例えば「Other Settings」の設定ボタン331を選択する等)を行うことにより、図12(A)に示したようなメッセージおよび権限を有する主体の切り替えを指示するための操作ボタンを表示し、権限を委譲された操作者の承認を待つようにしてもよい。
<排他制御の対象である機能の操作画面の共有>
上記のように、本実施形態では、複数の操作手段による操作に対して排他制御を行う。しかしながら、複数の操作手段の操作者が同一人物である場合、排他制御を行わないことにより利便性を高め得る。例えば、情報処理装置100のUI部170で操作していた操作者が、情報処理装置100の傍を離れ、端末装置200により操作を継続する場合を考える。この場合、UI部170において排他制御の対象となる機能のメニュー画面を表示中であっても、端末装置200において、UI部170で行われた操作を引き継ぐことができれば利便性が高い。本実施形態では、複数の操作手段のログインした操作者が同一人物である場合には、排他制御を抑制し、排他制御の対象となる機能のメニュー画面を複数の操作手段で共有することを許可する。ここで、共有されるメニュー画面の機能は排他制御の対象であるので、メニュー画面が共有された場合は、メニュー画面に対応する機能を使用する排他的な権限とともに共有されることになる。
図15は、複数の操作手段においてホーム・メニュー画面320を共有した状態を示す図である。図10において、同一の操作者(図示の例ではAdam)が情報処理装置100のUI部170と端末装置200とを操作している場合の操作画面の例を示した。図15に示す例は、図10の状態から、UI部170において、端末装置200で表示されたホーム・メニュー画面320が選択されて表示された様子を示している。したがって、図15(A)に示す操作画面は情報処理装置100のUI部170に表示された直接操作画面であり、図15(B)に示す操作画面は端末装置200の表示部240に表示された遠隔操作画面である。なお、端末装置200で表示されたホーム・メニュー画面320は、「HOME2」というタブ304に対応するメニュー画面である。
図15に示す例において、図15(A)に示す直接操作画面と図15(B)に示す遠隔操作画面には、同一の操作画面である、「HOME2」のタブ304に対応するホーム・メニュー画面320が表示されている。また、図15(A)(B)に示すように、各操作画面において、「HOME2」のタブ304は、タブ304に対応するメニュー画面が複数の操作手段により共有されていることを示す表示態様(図示の例ではハート形のマークが付されている)で表示されている。
次に、同一人物がログインしている複数の操作手段において、排他制御の対象となる機能のメニュー画面を表示する場合について説明する。まず、設定状況として、同一の操作者(ここではAdamとする)が情報処理装置100のUI部170と端末装置200でログインし、UI部170においてコピー・メニュー画面330を表示し、端末装置200でホーム・メニュー画面320を表示しているものとする。そして、操作者が、端末装置200において複写機能を使用するため、ホーム・メニュー画面320における「COPY」の機能ボタン321を選択する場合を考える。
図16は、同一人物がログインした複数の操作手段で排他制御の対象である機能のメニュー画面が表示される様子を示す図である。図16(A)は端末装置200の表示部240にホーム・メニュー画面320が表示された状態を示し、図16(B)はコピー・メニュー画面330を表示するための操作が行われた状態を示す。図16(A)に示す例において、タブ304は、端末装置200で表示したホーム・メニュー画面320の「HOME2」のタブ304と、情報処理装置100のUI部170で表示されているコピー・メニュー画面330の「COPY」のタブ304が表示されている。「COPY」のタブ304は、端末装置200ではない操作手段により表示されているメニュー画面であることを示す表示態様(黒塗りの逆三角形「▼」付き)で表示されている。
図16(A)に示す状態で、ホーム・メニュー画面320の「COPY]の機能ボタン321が選択されると、既に情報処理装置100のUI部170で表示されているコピー・メニュー画面330を共有するか否かの問い合わせが行われる。図16(B)に示す例では、複写機能が情報処理装置100で使用されていることを示す「COPY MENUはローカルパネルで起動中です」というメッセージが表示されている。また、「共有しますか?」という問い合わせメッセージと共に、共有することを指示するための「OK」ボタン308aと、共有せずに終了するための「Cancel」ボタン308bとが表示されている。そして、「OK」ボタン308aが選択されると、端末装置200の表示部240において、情報処理装置100のUI部170に表示されているものと同様のコピー・メニュー画面330が表示され、二つの操作手段においてコピー・メニュー画面330が共有される。
この後、同じメニュー画面を共有している操作手段のうち一方でそのメニュー画面が非表示となると、このメニュー画面の共有が解消される。図16に示した例では、情報処理装置100のUI部170と端末装置200の一方でコピー・メニュー画面330が非表示となると、コピー・メニュー画面330の共有が解消される。そして、他方の操作手段では、共有が解消された状態のコピー・メニュー画面330が表示された状態となる。
上記の例では、同一の操作者がログインした複数の操作手段における排他制御の対象である機能の共有について説明した。ここで、複数の操作手段にログインした操作者が異なる人物であったとしても、特定の関係を有する操作者である場合には、同一の操作者の場合と同様に排他制御の対象である機能の共有を認めるようにしてもよい。なお、上記の例では、コピー・メニュー画面330を表示しようとした操作手段においてのみ、共有するか否かを選択するためのメッセージおよびボタン308a、308bを表示することを説明した。これに対し、既にコピー・メニュー画面330を表示している操作手段においても、特定の関係を有する操作者の操作手段がコピー・メニュー画面330を表示しようとした際に、共有を認めるか否かの問い合わせメッセージと選択ボタンとを表示し、操作者が選択できるように構成してもよい。
図17は、本実施形態の排他制御による操作画面間の遷移について説明する状態遷移図である。図17に示す例において、排他制御の対象である機能のメニュー画面を排他画面と記載し、排他制御の対象でない機能のメニュー画面を通常画面と記載している。また、同じ排他画面を表示している(または表示しようとする)他の操作者を競合操作者と記載している。すなわち、競合操作者には、操作者が自装置で排他画面を表示しようとしたときにすでに、その排他画面を表示している他の操作手段の操作者である場合と、操作者自装置で排他画面を表示しているときに、新たにその排他画面を表示しようとする他の操作手段の操作者である場合とがある。図17に示す例では、操作者と競合操作者とが、特定の関係を有しない(すなわち、排他制御の対象である機能の共有が認められていない)場合の状態遷移を示す。
図17を参照すると、まず、操作者が、ホーム・メニュー画面320等の通常画面を表示した状態からコピー・メニュー画面330等の排他画面に遷移しようとする場合、競合操作者がいない場合は、排他画面に自由に遷移できる。一方、競合操作者がいる場合は、その競合操作者の承認待ちの状態となる。そして、競合操作者が承認すれば、排他画面へ遷移できるが、承認を拒否した場合は、排他画面に遷移できず、通常画面に戻る。また、排他画面から通常画面へはいつでも自由に遷移することができる。
排他画面が表示されているときの操作手段の基本的な状態は、排他状態での操作が行われている状態(操作中)と、一定時間操作が行われない状態(放置中)である。操作者が排他状態での操作中に競合操作者による排他画面への遷移が要求された場合、排他画面の機能を使用する権限を委譲するか否かについての確認状態(図12(B)参照)となる。そして、操作者が権限の委譲を承認した場合および承認も拒否もせずに一定時間が経過した場合は、権限が競合操作者に委譲され、操作者自身は排他画面で操作することができないロック状態(図13(B)参照)となる。また、排他状態で一定時間操作が行われていない放置中に競合操作者から排他画面への遷移が要求された場合は、操作者への確認状態を経ずに権限が競合操作者に委譲され、操作者の排他画面はロック状態となる。なお、ロック状態の排他画面から通常画面へはいつでも自由に遷移することができる。
ロック状態の排他画面のとき、競合操作者が排他画面での操作を一定時間行わずに放置状態となると、操作者の排他画面はロック解除可能な状態(図14参照)となる。この状態で、操作者がロック解除を指示すると、排他画面の機能を使用する権限が競合操作者から操作者に戻り、操作者の操作手段の状態は、排他状態での操作中となる。一方、ロック解除可能な状態で操作者がロック解除を指示しないうちに競合操作者が自身の排他画面での操作を再開すると、操作者の操作手段は、解除できないロック状態に戻る。なお、ロック解除可能な状態の排他画面から通常画面へはいつでも自由に遷移することができる。
また、ロック状態の排他画面のとき、競合操作者に対し、排他画面の機能を使用する権限の委譲を要求する操作を行ってもよい。この場合、要求操作が行われた後、操作手段の状態は、競合操作者の承認待ちの状態となる。そして、競合操作者が承認した場合、操作者の操作手段の状態は、排他状態での操作中となる。一方、競合操作者が承認を拒否した場合、ロック状態が継続される。
図18は、本実施形態の排他制御による操作画面間の遷移の他の例について説明する状態遷移図である。図18に示す例において、排他画面および通常画面の記載は、図17に示した例と同様である。また、図18に示す例では、操作者と同じ排他画面を表示する競合操作者が、操作者と特定の関係を有する(すなわち、排他制御の対象である機能の共有が認められている)場合の状態遷移を示す。
図18を参照すると、まず、操作者が、ホーム・メニュー画面320等の通常画面を表示した状態からコピー・メニュー画面330等の排他画面に遷移しようとする場合、競合操作者がいない場合は、排他画面に自由に遷移できる。一方、操作者に対して特定の関係を有する競合操作者がいる場合は、排他画面を共有するか否かを選択するための保留(確認)状態となる。そして、排他画面の共有を選択(OK)した場合は排他画面へ遷移し、排他画面の共有をキャンセルした場合は通常画面に戻る。共有を伴うか否かに関わらず排他画面から通常画面へはいつでも自由に遷移することができる。
排他画面が表示されているとき、操作手段の状態は、その排他画面が他の操作手段と共有されていなければ、排他状態を占有している状態であり、その排他画面が他の操作手段と共有されている場合は、排他状態を共有している状態である。ここで、排他状態を占有しているときに、操作者と特定の関係を有する競合操作者が同じ排他画面を表示(共有を要求)した場合、操作者の操作手段および競合操作者の操作手段の各々が、排他状態を共有している状態に遷移する。また、排他状態を共有しているときに、操作者の操作手段および競合操作者の操作手段の一方が排他画面を非表示として共有状態を解消した場合、他方の操作手段の状態は、排他状態を占有している状態に遷移する。
図19は、図17および図18を参照して説明した状態遷移の主要な態様をまとめた図である。図19に示すように、状態遷移の遷移先に応じて、遷移が可能となる条件や遷移の態様が異なる。図19を参照すると、例えば、遷移先が通常画面であるときは、特に何らの条件もなく遷移可能である。
遷移先が排他画面である場合、その排他画面を使用中の競合操作者がいなければ、遷移可能である。また、その排他画面を使用中の競合操作者がある場合であって、その競合操作者が自分自身である場合(すなわち、同一の操作者が複数の操作手段で同じ排他画面に遷移する場合)、複数の操作手段で排他画面を共有することにより遷移可能である。
遷移先が排他画面であって、その排他画面を使用中の競合操作者があり、その競合操作者が特定の関係を有する操作者である場合、その競合操作者が排他画面を放置中であれば、複数の操作手段で排他画面を共有することにより遷移可能である。また、競合操作者が排他画面で操作中である場合、排他画面の共有を要求し、要求が承認されれば、複数の操作手段で排他画面を共有することにより遷移可能である。一方、排他画面の共有の要求が拒絶されると、排他画面への遷移はできない。
遷移先が排他画面であって、その排他画面を使用中の競合操作者があり、その競合操作者が特定の関係を有しない操作者である場合、その競合操作者が排他画面を放置中であれば、競合操作者の排他画面をロックして(操作不能にして)、排他画面へ遷移することが可能である。また、競合操作者が排他画面で操作中である場合、排他画面の機能を使用する権限の譲渡を要求し、要求が承認されれば、排他画面へ遷移することが可能である。一方、権限の譲渡の要求が拒絶されると、排他画面への遷移はできない。
上記の例では、複数の操作者の間に特定の関係がある場合と、同一の操作者が複数の操作手段で同じ排他制御の対象である機能を使用する場合とで、付与される権限(使用できる機能の内容)については特に区別していない。これに対し、特定の関係を有する複数の操作者が排他制御の対象である機能を使用するとき、機能の共有は認めるが、同一の操作者の場合と比較してある程度の制限を与えるようにしてもよい。以下、異なる操作者のときに制限を課す場合について、具体的な例を挙げて説明する。
前提として、複数の操作手段の操作者が同一の操作者である場合、各操作手段において自分の扱う文書ファイル(デジタル・データ)のプレビュー画面を見ることができるものとする。一方、複数の操作手段の操作者が特定の関係を有する複数の操作者である場合、一の操作者は、複写機能等の操作を行う権限は有しても、他の操作者が扱う文書ファイルのプレビュー画面を見ることはできないものとする。
一例として、ジョブの操作に関連する操作画面の遷移が行われる場面を想定し、各操作者の権限について説明する。操作画面として、「A1:ホーム・メニュー画面」、「A2:ジョブリストの表示画面」、「A3:ジョブの操作画面」、「A4:ジョブのプレビュー画像の表示画面」の4つの画面の表示(遷移)が行われるものとする。ここで、上記の操作画面のうち、A1およびA2は通常画面(排他制御の対象でない機能に対応する画面)であり、A3およびA4は排他画面(排他制御の対象である機能に対応する画面)であるものとする。また、操作者α、操作者β、操作者γの3人の操作者が操作手段にこれらの画面を表示させようとするものとする。ここで、操作者αと操作者βとは特定の関係を有し、操作者αと操作者γとは特定の関係を有しないものとする。
まず、A1およびA2の画面は、通常画面なので、操作者α、β、γの誰でも表示することができ、操作者αが複数の操作手段で表示する場合や、操作者αと操作者βとが複数の操作手段で表示する場合は、画面を共有することができる。A3の画面は、排他画面なので、操作者αが複数の操作手段で表示する場合や、操作者αと操作者βとが複数の操作手段で表示する場合は、画面を共有することができる。なお、操作者γは、特定の関係を有していないので、A3の画面の表示を操作者αと共有することはできない。操作者γがA3の画面を表示する必要があるときは、A3の画面の機能を使用する権限を操作者αから譲渡してもらう必要がある。
A4の画面は、排他画面であり、操作者αが複数の操作手段で表示する場合は、画面を共有することができる。しかし、A4の画面は、操作者αと特定の関係を有する操作者βにも表示する権限がないため、操作者βは画面を共有することができない。したがって、操作者αは、A4の画面に表示されるプレビュー画像を確認してからジョブに対する操作を行うことができるが、操作者βは、ジョブに対する操作を行うことはできるものの、プレビュー画像を確認することはできない。また、操作者γは、A3の画面を操作者αと共有できないので、A4の画面も共有できない。
また、別の例として、画像の読み取り操作に関連する操作画面の遷移が行われる場面を想定し、各操作者の権限について説明する。操作画面として、「B1:ホーム・メニュー画面」、「B2:スキャン・メニュー画面」、「B3:読み取り画像の表示画面」の3つの画面の表示(遷移)が行われるものとする。B3の読み取り画像の表示は、上述のプレビュー画像の表示と同様の機能であるものとする。ここで、上記の操作画面のうち、B1は通常画面であり、B2およびB3は排他画面であるものとする。また、上記のジョブの操作の例と同様に、操作者α、操作者αと特定の関係を有する操作者β、操作者αと特定の関係を有しない操作者γの3人の操作者が操作手段にこれらの画面を表示させようとするものとする。
まず、B1の画面は、通常画面なので、操作者α、β、γの誰でも表示することができ、操作者αが複数の操作手段で表示する場合や、操作者αと操作者βとが複数の操作手段で表示する場合は、画面を共有することができる。B2の画面は、排他画面なので、操作者αが複数の操作手段で表示する場合や、操作者αと操作者βとが複数の操作手段で表示する場合は、画面を共有することができる。なお、操作者γは、特定の関係を有していないので、B2の画面の表示を操作者αと共有することはできない。操作者γがB2の画面を表示する必要があるときは、B2の画面の機能を使用する権限を操作者αから譲渡してもらう必要がある。
B3の画面は、排他画面であり、操作者αが複数の操作手段で表示する場合は、画面を共有することができる。しかし、B3の画面は、操作者αと特定の関係を有する操作者βにも表示する権限がないため、操作者βは画面を共有することができない。したがって、操作者αは、画像読み取りにより得られた読み取り画像をB3の画面で表示することができるが、操作者βは、画像の読み取りの操作を行うことはできるものの、読み取った画像を表示して確認することはできない。また、操作者γは、B2の画面を操作者αと共有できないので、B3の画面も共有できない。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上述した具体的な構成例および動作例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、情報処理装置100が画像形成機能や画像読み取り機能を有する画像処理装置である場合を例として説明したが、遠隔操作手段を含む複数の操作手段により操作を行うことが可能な様々な情報処理装置100に対して本発明を適用してよい。また、上記の実施形態では、操作手段として情報処理装置100のUI部170と一または複数の端末装置200とを想定したが、情報処理装置100が複数のUI部170を備える構成に対して本発明を適用しても良い。