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JP2017222907A - めっき装置 - Google Patents

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JP2017222907A
JP2017222907A JP2016119392A JP2016119392A JP2017222907A JP 2017222907 A JP2017222907 A JP 2017222907A JP 2016119392 A JP2016119392 A JP 2016119392A JP 2016119392 A JP2016119392 A JP 2016119392A JP 2017222907 A JP2017222907 A JP 2017222907A
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匠 下地
富雄 島村
Tomio Shimamura
富雄 島村
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Abstract

【課題】外観上のムラを抑制した、めっき膜を成膜することができるめっき装置を提供することを目的とする。
【解決手段】フィルム基材上にめっき膜を形成するめっき装置であって、
電解めっき槽を有し、
前記電解めっき槽内において、
アノードと、前記フィルム基材の前記めっき膜を形成する面とが対向するように配置し、
前記アノードと、前記フィルム基材との間に、前記アノード側から、撹拌手段と、遮蔽板とが順に配置され、
前記アノードが不溶性のアノードであるめっき装置を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、めっき装置に関する。
従来から各種金属膜を成膜する際に、湿式めっき法が用いられている。そして、湿式めっき法により金属膜を成膜するためのめっき装置についても従来から各種検討がなされている。
例えば特許文献1には、メッキ液が満たされるメッキ槽、該メッキ槽内に配置された陽極電極、及び該陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される被メッキ材料を、該陽極電極に対向して配置するための固定手段、さらに陽極電極と被メッキ材料との間に且つこれらと略並行となるように配置された遮蔽板を備え、該被メッキ材料に電気メッキを施すことにより電磁波シールド性光透過窓材を製造するためのメッキ装置であって、
前記被メッキ材料が透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とするメッキ装置が開示されている。
ところで、金属膜を有する製品として、例えば基材上に金属膜を成膜した導電性基板等が知られている。
導電性基板の一種である、静電容量式タッチパネルは、パネル表面に近接する物体により引き起こされる静電容量の変化を検出することにより、パネル表面上での近接する物体の位置情報を電気信号に変換する。静電容量式タッチパネルに用いられる導電性基板は、ディスプレイの表面に設置されるため、導電性基板の導電層の材料には反射率が低く、視認されにくいことが要求されている。
このため、タッチパネル用導電性基板に用いられる導電層の材料としては反射率が低く、視認されにくい材料が用いられ、透明基材上に形成されている。
例えば特許文献2に開示されているように、高分子フィルム上に透明導電膜としてITO(酸化インジウム−スズ)膜を形成したタッチパネル用の透明導電性フィルムが従来から用いられている。
ところが、近年タッチパネルを備えたディスプレイの大画面化が進んでおり、これに対応してタッチパネル用の透明導電性フィルム等の導電性基板についても大面積化が求められている。しかし、ITOは電気抵抗値が高いため、導電性基板の大面積化に対応できないという問題があった。
そこで、導電性基板の電気抵抗を抑制するため、導電層の材料として、ITOに替えて銅等の金属を用いることが検討されている。ただし、導電層の材料として金属を用いた場合、該導電層や、該導電層から形成した配線は金属光沢を有しているため、反射によりディスプレイの視認性が低下するという問題がある。
そこで、金属により構成される導電層と共に、黒色の材料により構成される黒化層を形成した導電性基板が検討されている。
本発明の発明者らは、係る黒化層の形成方法として、スパッタリング法などの乾式めっき法や、電解めっき法などの湿式めっき法等を検討してきた。特に湿式めっき法により黒化層を形成する場合、スパッタリング法で要求されるような真空環境を必要とせず、設備が簡略化できる利点がある。
特開2006−144120号公報 特開2003−151358号公報
しかしながら、黒化層を備えたタッチパネル用の導電性基板は、ディスプレイの表面に配置されるため、特に人の目に触れやすく、外観上のムラを抑制した、均一なめっき膜とすることが求められる。
そこで、例えば特許文献1に開示されているように、陽極電極と、被めっき材料であるフィルム基材との間に遮蔽板を設けためっき装置を用いることを検討したが、外観上のムラを抑制した、均一なめっき膜を形成することは困難であった。
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では、外観上のムラを抑制した、めっき膜を成膜することができるめっき装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一側面では、
フィルム基材上にめっき膜を形成するめっき装置であって、
電解めっき槽を有し、
前記電解めっき槽内において、
アノードと、前記フィルム基材の前記めっき膜を形成する面とが対向するように配置し、
前記アノードと、前記フィルム基材との間に、前記アノード側から、撹拌手段と、遮蔽板とが順に配置され、
前記アノードが不溶性のアノードであるめっき装置を提供する。
本発明の一側面によれば、外観上のムラを抑制した、めっき膜を成膜することができるめっき装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るめっき装置の断面模式図。 図1の領域Aの拡大図。 遮蔽板の説明図。 本発明の実施形態に係るめっき装置の他の構成例の上面模式図。 本発明の実施形態に係る導電性基板の製造方法で得られる導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係る導電性基板の製造方法で得られる導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係るメッシュ状の配線を備えた導電性基板の上面図。 図7のA−A´線における断面図。 比較例1のめっき装置の説明図。
以下、本発明のめっき装置の一実施形態について説明する。
(めっき装置)
本実施形態のめっき装置は、フィルム基材上にめっき膜を形成するめっき装置とすることができる。そして、電解めっき槽を有し、電解めっき槽内において、アノードと、フィルム基材のめっき膜を形成する面とが対向するように配置し、さらに、アノードと、フィルム基材との間に、アノード側から、撹拌手段と、遮蔽板とを順に配置することができる。また、アノードを不溶性のアノードとすることができる。
本発明の発明者らは、従来のめっき装置において、めっき膜を成膜した場合に、成膜しためっき膜に外観上のムラが生じる原因について鋭意検討を行った。
係る検討に当たってまず、アノードと、カソードとなるフィルム基材との間に、特許文献1のメッキ装置において開示された遮蔽板を配置し、めっき膜の成膜を実施した。その結果、フィルム基材の端部においては、成膜しためっき膜の外観ムラは解消されたが、めっき有効領域内、すなわちフィルム基材の中央部等における成膜しためっき膜については外観ムラの発生を抑制できていなかった。
そこでさらに検討を行ったところ、アノードでのめっき液の電気分解により発生する水素イオンにより、アノード近傍のめっき液のpHが局所的に低下することが確認された。そして、係る低pHのめっき液がカソード側に流れることで、めっきの外観ムラを発生させていることが確認できた。
上記検討結果に基づいて、本発明の発明者らは、本実施形態に係るめっき装置を完成させた。本実施形態のめっき装置の構成例について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のめっき装置10の断面模式図を示しており、搬送しているフィルム基材13の幅方向と垂直な面での断面模式図を示している。なお、搬送しているフィルム基材13の幅方向とは、図1における紙面と垂直な方向を意味している。
本実施形態のめっき装置において、フィルム基材を搬送する方式は特に限定されないが、例えば、ロール・トゥ・ロール方式によりフィルム基材を搬送することができる。具体的には図1に示したように、供給ロール11にめっき膜を形成するフィルム基材13をセットし、該供給ロール11から供給したフィルム基材13を巻取ロール12で巻き取ることでフィルム基材13を、図1中の矢印に沿って搬送することができる。なお、図1に示しためっき装置10では、搬送しているフィルム基材13の幅方向(紙面と垂直な方向)が、地面と略水平になるように搬送した例を示しているが、係る形態に限定されるものではない。例えば後述する図4に示しためっき装置のように、フィルム基材の幅方向が、地面と垂直な方向に沿うように支持して搬送することもできる。
本実施形態のめっき装置に供給するフィルム基材13の材料やサイズ等については特に限定されるものではなく、製造する製品の構成等に応じて任意に選択することができる。例えばタッチパネル用の導電性基板を製造する場合であれば、後述するようにフィルム基材13として透明基材を好ましく用いることができる。
ただし、上述のようにロール・トゥー・ロール方式によりフィルム基材をめっき装置に供給、搬送する場合には、長尺状のフィルム基材を用いることが好ましい。
また、製造する製品に応じて、フィルム基材13はその表面に各種金属膜等を予め形成しておくこともできる。例えば、導電性基板を製造する場合であって、本実施形態のめっき装置により成膜する黒化層の下に、金属材料を用いた導電層である金属層等の黒化層以外の層を有する場合には、係る層を予めフィルム基材13上に形成しておくことが好ましい。このため、例えば少なくとも一方の面上に金属層が形成されたフィルム基材等をめっき装置に供給するフィルム基材として用いることができる。
そして、めっき装置10は、供給ロール11と、巻取ロール12との間の、フィルム基材13の搬送経路上に、電解めっき槽14を有することができる。電解めっき槽14内にはめっき液が入れられており、例えば電解式により該電解めっき槽14内でフィルム基材13の表面上にめっき膜を成膜することができる。なお、フィルム基材上に、例えば上述のように金属層等が設けられている場合には、フィルム基材13上に、該金属層等を介してめっき膜を成膜することができる。
供給ロール11から供給され、搬送しているフィルム基材13を電解めっき槽14内に導入し、かつフィルム基材13に通電するため、めっき装置10は、例えば図1に示したように、給電ロール151〜154を有することができる。また、電解めっき槽14内でフィルム基材13の搬送方向の向きを反転させるため、反転ロール16を有することができる。なお、図1に示した例では、給電ロール151〜154、反転ロール16により、フィルム基材13をめっき液に1回浸漬させ、取出した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、さらに多くの給電ロール、反転ロールを設け、複数回に渡ってめっき液への浸漬、取り出しを繰り返し実施し、所望の厚さのめっき膜を成膜することもできる。
さらに、電解めっき槽14内のフィルム基材13の搬送経路に沿って、フィルム基材13のめっき膜を成膜する面と対向するようにアノード(陽極)171〜174が配置されている。そして、給電ロール151とアノード171、給電ロール152とアノード172、給電ロール153とアノード173、給電ロール154とアノード174との間にはそれぞれ電源(図示せず)を接続しておくことができる。給電ロール151〜154、アノード171〜174、めっき液141、フィルム基材13および電源により、電解めっき回路を構成できる。
なお、図1では、搬送されているフィルム基材13の両方の面に対向するように、アノード171〜174を設けた例を挙げたが、係る形態に限定されるものではない。フィルム基材13の一方の面にのみめっき膜を形成する場合、フィルム基材の一方の面のみに対向するようにアノード171、174のみを設ける構成とすることもできる。
また、図1では、4つのアノード171〜174を設けた例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、電解めっき槽14内のフィルム基材13の搬送経路の長さ等に応じて、任意の数設けることができる。
アノード171〜174の構成は特に限定されるものではないが、既述のように不溶性のアノードを用いることが好ましい。これは、不溶性のアノードの場合、成膜しためっき膜の外観上のムラが生じる原因となる、アノードでのめっき液の電気分解による水素イオンの発生と、それに伴うアノード近傍のめっき液のpHの局所的な低下が生じやすく、本実施形態のめっき装置の効果が顕著に表れるからである。
一方、可溶性のアノードの場合は、アノードが溶解するため、めっき液中の水の電気分解による水素イオンの発生や、それに伴うめっき液のpHの低下は生じにくく、不溶性のアノードの場合と比較して、成膜しためっき膜について、めっき液のpHの低下に伴う外観上のムラが生じにくいからである。なお、可溶性のアノードを用いた場合には、上述のように、水素イオンの発生は生じにくくなるものの、アノードが溶解するため、可溶性のアノード由来の特定の金属イオンの濃度が高くなり、めっき液の組成を安定させることが困難である。特に可溶性のアノードが複数種の金属を含有する場合、金属により溶解速度が異なるため、電解条件に応じてめっき液の組成を調整する必要があり、係る観点からもめっき液の組成を安定させることが困難である。さらには、めっき液の組成を調整するためにめっき液を希釈等する必要があるため、大量の排液が発生する等の問題もある。このため、アノードとしては、上述のように不溶性のアノードを用いることが好ましい。
アノードとしては、例えば導電性セラミックで表面をコーティングした電極等を用いることができる。
そして、めっき膜を湿式めっき法の一種である電解めっき法により成膜した場合、従来は例えば酸素等の成分や、析出した結晶の形や大きさについて膜内でわずかにムラが生じることで、外観上のムラが生じていた。係る外観上のムラは、既述のように、本発明の発明者らの検討によれば、めっきを行う際のアノード近傍でのめっき液のpHの局所的な低下に起因するものであった。そこで、本実施形態のめっき装置においては、アノードと、カソード(陰極)となるフィルム基材のめっき膜を形成する面とが対向するように配置し、アノードとフィルム基材との間に、所定の配置となるように、撹拌手段と、遮蔽板を設けることにした。これにより、外観上のムラを抑制した、めっき膜を成膜することができるように構成した。
図2を用いて、電解めっき槽14内の各部材の配置について説明する。図2は、図1の点線で示した領域Aを拡大して示した図であり、図1と同じ部材については同じ番号を付し、説明を省略する。なお、図1では以下に説明する遮蔽板、及び撹拌手段について記載を省略している。
図2に示したように、本実施形態のめっき装置においては、アノード171と、カソードとなるフィルム基材13のめっき膜を形成する面とが対向するように配置されている。そして、アノード171と、カソードとなるフィルム基材13との間に、アノード171側から、撹拌手段211と、遮蔽板221とを順に配置できる。
ここではアノード171と、カソードとなるフィルム基材13との間の配置を例に説明したが、他の部分でも図2に示したように、アノード172〜174と、カソードとなるフィルム基材13のめっき膜を形成する面とが対向するように配置することができる。そして、アノード172〜174と、カソードとなるフィルム基材13との間に、アノード172〜174側から、撹拌手段212〜214、遮蔽板222〜224、の順に配置できる。
既述のようにめっき膜の成膜中、アノード171〜174の近辺にめっき液のpHの局所的な低下がみられることから、アノード171〜174の近辺に撹拌手段211〜214を設け、電解めっきを行っている間、めっき液を撹拌できるように構成することで、めっき液を均一化させることが可能になる。なお、撹拌手段211〜214としてはアノード近傍のめっき液を撹拌できる手段であれば特に限定されるものではなく、例えばめっき液の循環ノズルとすることができる。また、撹拌手段として回転手段を備えた撹拌翼等を用いることもできる。図2ではアノード171〜174の近傍にそれぞれ2個ずつ撹拌手段211〜214を設けた例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、撹拌手段の撹拌能力等に応じて、任意の数の撹拌手段を設けることができる。
そして、撹拌手段211〜214と、カソードとなるフィルム基材13との間には、遮蔽板221〜224を設けることができる。遮蔽板221〜224を設けることで、遮蔽板221〜224とフィルム基材13との間におけるめっき液の流れを抑制しつつ、アノード171〜174と遮蔽板221〜224との間のめっき液を効率よく撹拌することが可能になる。このため、アノード171〜174でのめっき液の電気分解により水素イオンが発生した場合に、アノード171〜174近傍のめっき液を撹拌手段211〜214により撹拌することで、フィルム基材13側にpHの低いめっき液が到達することを抑制しつつ、アノード171〜174近傍のめっき液のpHの均一化を図ることができる。従って、フィルム基材13上に外観ムラを抑制した均一なめっき膜を成膜することが可能になる。
なお、アノード171〜174と、撹拌手段211〜214との間に遮蔽板221〜224を設けた場合、遮蔽板221〜224により、アノード171〜174近傍のめっき液の撹拌を阻害される。このため、撹拌手段211〜214による、アノード171〜174近傍のめっき液を撹拌する効果が十分に発揮できなくなるため好ましくない。従って、上述のように、撹拌手段211〜214と、カソードとなるフィルム基材13との間に遮蔽板221〜224を配置することが好ましい。
ここで、図3に遮蔽板31の一方の面と垂直方向から、遮蔽板31を見た図を示す。図3に示すように、遮蔽板31は、例えば板状形状を有することができる。また、例えば図3に示すように、遮蔽板31は、複数の開口部32を有することができる。
なお、該複数の開口部32は、遮蔽板の板厚方向に沿って形成した複数の貫通孔の、一方の面における開口部とすることができる。このため、遮蔽板の一方の面とは反対側に位置する他方の面にも同様に複数の開口部を有することになる。複数の開口部32の形状、サイズ、数等については特に限定されるものではなく、アノード171〜174近傍を撹拌手段211〜214により撹拌した際に、フィルム基材13側へのpHの低いめっき液の流入を抑制できるようにその形状、サイズ、数等を選択することが好ましい。
具体的には例えば、開口部32は一つ当たりの平視野面積を10mm以下とすることが好ましい。これは、開口部32の一つ当たりの平視野面積を10mm以下とすることで、撹拌手段211〜214によりアノード171〜174近傍のめっき液を撹拌した際に、pHの低いめっき液がフィルム基材13側へ流入することを抑制し、成膜しためっき膜の外観上のムラを特に抑制できるからである。なお、開口部32の1つ当たりの平視野面積の下限値については特に限定されず、0mmより大きければ良い。
さらに、複数の開口部32の平視野面積の合計が、遮蔽板31の平視野面積の20%以下であることが好ましい。これも複数の開口部32の平視野面積の合計を遮蔽板31の平視野面積の20%以下とすることで、撹拌手段211〜214によりアノード171〜174近傍のめっき液を撹拌した際に、pHの低いめっき液がフィルム基材13側へ流入することを抑制し、成膜しためっき膜の外観上のムラを特に抑制できるからである。なお、複数の開口部32の平視野面積の合計が、遮蔽板31の平視野面積に占める割合の下限値についても特に限定されないが、例えば0%より大きければ良い。
なお、遮蔽板31の平視野面積とは、図3に示したように、複数の開口部32を設けた遮蔽板31の一方の面の面積を意味する。また、複数の開口部32の平視野面積の合計とは、図3に示した、遮蔽板31の、開口部32を設けた一方の面における複数の開口部32の面積の合計を示している。
本実施形態のめっき装置において遮蔽板は、図2に示すように、アノード171〜174や、カソードとなるフィルム基材13と略平行に配置することが好ましい。この際、遮蔽板221〜224と、カソードとなるフィルム基材13との間の距離Lは特に限定されないが、例えば20mm以上であることが好ましい。上述のように、遮蔽板221〜224は、撹拌手段211〜214によりアノード171〜174近傍のめっき液を撹拌した場合に、pHの低いめっき液がフィルム基材13側へ流入することを抑制する機能を有する。ただし、遮蔽板221〜224には、上述のように複数の開口部を設けているため、該開口部を通して、アノード171〜174側からフィルム基材13側にpHの低いめっき液が多少は流入する。そこで、上述のように遮蔽板221〜224と、フィルム基材13との間の距離を20mm以上とすることで、アノード171〜174側から、遮蔽板221〜224に設けられた複数の開口部を通して、フィルム基材13側に流入するpHの低いめっき液による影響を特に低減し、成膜しためっき膜の外観上のムラを特に抑制できるからである。遮蔽板221〜224と、フィルム基材13との間の距離Lの上限値は特に限定されないが、めっき装置が必要以上に大きくなることや、アノードとカソードとの間隔が広くなることによるめっきの析出効率が低下することを避けるため、例えば400mm以下であることが好ましい。
遮蔽板の材料は特に限定されないが、めっき液に対して耐性があって、不導体の材料で構成されていることが好ましく、遮蔽板の材料として、例えばポリプロピレンや、ポリ塩化ビニル(PVC)等を用いることができる。遮蔽板の厚さは特に限定されないが、例えば1mm以上20mm以下であることが好ましい。
そして、図1に示すように、電解めっき槽14には、成膜するめっき膜に対応しためっき液141を入れ、用いることができる。
本実施形態のめっき装置によれば、外観上のムラを抑制した均一なめっき膜を成膜することができる。このため、特に外観上のムラを抑制することが要求されるめっき膜を成膜するために用いることが好ましく、めっき液としては、係るめっき膜に対応しためっき液を選択することが好ましい。
そして、既述のようにタッチパネル用の導電性基板の黒化層については、特に外観上のムラを抑制することが求められていたことから、本実施形態のめっき装置は、例えば係る黒化層のめっき膜(めっき層)を成膜する際に好適に用いることができる。
本実施形態のめっき装置では、例えばニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、鉄イオン、錫イオンから選択される1種以上を含むめっき液を好ましく用いることができる。なお、上記めっき液は、導電性基板の黒化層を成膜する場合に限定されるものではなく、各種めっき膜を成膜するためにも用いることができる。
本発明の発明者らの検討によれば、導電性基板の黒化層として、例えばニッケルと、銅とを含有するめっき膜(黒化層)が、導電層である金属層表面での光の反射を抑制する観点から特に好ましい。そして、該黒化層については、特に外観上のムラを抑制することが求められているため、めっき液141としては、例えばニッケルイオン、及び銅イオンを含むめっき液(黒化めっき液)をより好ましく用いることができる。
めっき液を調製する際、ニッケルイオン等の金属イオンの供給方法は特に限定されるものではなく、イオン源を例えば塩の状態で供給することができる。例えばスルファミン酸塩や、硫酸塩を好適に用いることができる。なお、めっき液が複数の金属イオンを含有する場合、塩の種類は各金属について全て同じ種類の塩でもよく、異なる種類の塩を同時に用いることもできる。具体的には例えば硫酸ニッケルと、硫酸銅とのように同じ種類の塩を用いてめっき液を調製することもできる。また、例えば硫酸ニッケルと、スルファミン酸銅と、のように異なる種類の塩を同時に用いてめっき液を調製することもできる。
めっき液は、金属イオン以外に任意の成分を含有することができる。例えばめっき液はpH調整剤を含有することができる。
pH調整剤としては特に限定されるものではなく、成膜するめっき膜に要求される特性等に応じて任意に選択できる。例えば黒化層となるめっき膜を成膜するためのめっき液の場合、アルカリ金属水酸化物を好ましく用いることができる。これは、pH調整剤としてアルカリ金属水酸化物を用いることで、該めっき液を用いて成膜した黒化層を有する導電性基板の反射率を特に低くすることができるからである。pH調整剤であるアルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムから選択された1種以上を用いることができる。特に、pH調整剤であるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選択された1種以上であることがより好ましい。
めっき液のpHについても特に限定されるものではなく、成膜するめっき膜に要求される特性等に応じて任意に選択できる。例えば黒化層となるめっき膜を成膜するためのめっき液の場合、4.0以上5.2以下であることが好ましく、4.5以上5.0以下であることがより好ましい。
これは、めっき液のpHを4.0以上とすることで、係るめっき液を用いて黒化層を形成した際に、より反射率の低い黒化層を形成することができるからである。また、めっき液のpHを5.2以下とすることで、めっき液の成分の一部が析出することを抑制することができるからである。
また、めっき液は、錯化剤を含有することもできる。錯化剤についても特に限定されないが、例えばアミド硫酸を用いることができる。例えば、黒化層となるめっき膜を成膜するためのめっき液がアミド硫酸を含有することで、金属層表面での光の反射を抑制するのに特に適した色の黒化層とすることができる。
なお、ここでは主にニッケルイオン、及び銅イオンを含むめっき液を例に用いて説明したが、ニッケルイオン、及び銅イオンを含むめっき液以外のめっき液を用いる場合であっても、上述のように、目的のめっき液組成となるように、金属イオンを塩の状態で供給することができる。また、めっき液は、pH調整剤や、錯化剤等任意の成分を含有することもできる。
以上に、本実施形態のめっき装置の構成について説明したが、係る形態に限定されるものではなく、他の構成とすることもできる。
例えば、ここまではフィルム基材の幅方向を、地面と略水平になるようにして搬送した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、フィルム基材の幅方向を上下方向として、すなわち、地面と垂直方向に沿って保持し、搬送するめっき装置とすることもできる。係る本実施形態のめっき装置の他の構成例について図4を用いて説明する。
図4は、フィルム基材の幅方向を垂直に沿って保持し、搬送するめっき装置とした場合の該めっき装置の上面図を示している。
図4に示しためっき装置40においても、フィルム基材43は、供給ロール41から供給され、巻取ロール42に巻き取って回収されることで搬送されている。すなわち、ロール・トゥー・ロール方式により搬送されている。
そしてこの際、フィルム基材43は、上下の端部を図示しない把持手段により把持し、上下方向に引っ張りながら搬送することができる。把持手段は、例えばフィルム基材の少なくとも一方の面上に形成された金属層等に対して、電流を供給するように構成できる。
そして、フィルム基材43の搬送経路には、電解めっき槽44が設けられており、電解めっき槽44内には、アノード451〜456と、撹拌手段46A〜46Lと、遮蔽板471、472とを設けておくことができる。この場合も、アノード451〜456と、カソードとなるフィルム基材43のめっき膜を形成する面とを対向するように配置することができる。そして、アノード451〜456と、フィルム基材43との間に、アノード451〜456側から、撹拌手段46A〜46Lと、遮蔽板471、472とを順に配置することで、フィルム基材上に外観ムラを抑制した、均一な黒化層を成膜することができる。
なお、図4に示しためっき装置40は、フィルム基材43の幅方向を、地面と垂直な方向に沿って保持し、搬送している点以外は、図1〜図3を用いて説明しためっき装置10と同様に構成することができる。例えば、アノード451〜456、撹拌手段46A〜46L、遮蔽板471、472については、既述のアノード171〜174、撹拌手段211〜214、遮蔽板221〜224の場合と同様に構成することができる。このため、ここでは説明を省略する。
また、電解めっき槽44内に設けるアノード451〜456や、撹拌手段46A〜46Lの数は特に限定されるものではなく、フィルム基材43の搬送経路の長さ等に応じて任意に選択できる。
ここまで、フィルム基材の搬送経路上に電解めっき槽のみを設けた例を示したが係る形態に限定されるものではない。
例えば電解めっき槽と、巻取ロールとの間に、電解めっき槽内で付着しためっき液を洗い流す水洗手段や、水洗の際に付着した水を除去する水切り手段、水洗の際に付着した水を乾燥させる乾燥手段等を設けることもできる。
また、供給ロールと、電解めっき槽との間の、フィルム基材の搬送経路上に、黒化層の下層、例えば金属層を形成する、金属層形成手段等を設けることもできる。また、フィルム基材や、フィルム基材上に形成した金属層の表面を処理する、前処理手段等を設けることもできる。前処理手段としては、例えば酸溶液により洗浄、処理する洗浄手段や、水により洗浄する水洗手段等が挙げられる。なお、前処理手段を複数個設けることもできる。
このように、本実施形態のめっき装置と、他の層を形成する手段や、前処理手段等を組み合せることで導電性基板の製造装置とすることもできる。
以上に説明した本実施形態のめっき装置によれば、アノード近傍のめっき液を均一にすることができるため、外観上のムラを抑制した、めっき膜を成膜することができる。
また、本実施形態のめっき装置によれば、外観上のムラを抑制することが特に求められるめっき膜、例えば導電性基板の黒化層を、外観上のムラを抑制し、成膜することができるため、特に係る用途において好適に用いることができる。ただし、導電性基板の黒化層の成膜の用途のみに限定されるものではなく、各種めっき膜を成膜するめっき装置としても用いることができる。
[導電性基板の製造方法]
次に、本実施形態の導電性基板の製造方法の一構成例について説明する。
なお、本実施形態における導電性基板とは、黒化層等をパターニングする前の、フィルム基材の表面に黒化層等を有する基板と、黒化層等をパターニングした基板、すなわち、配線基板と、を含む。
本実施形態の導電性基板の製造方法では、後述のようにフィルム基材として透明基材を用いることができる。このため、黒化層等をパターニングした後の導電性基板は、フィルム基材である透明基材が黒化層等により覆われていない領域を含むため光を透過することができ、透明導電性基板となっている。
ここでまず、図5、図6を用いて本実施形態の導電性基板の製造方法により製造する導電性基板の構成例について説明する。
図5は、本実施形態の導電性基板の、フィルム基材、黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
本実施形態の導電性基板の製造方法により製造する導電性基板は、例えばフィルム基材の少なくとも一方の面上に、フィルム基材側から金属層と、黒化層とがその順に積層された構造を有することができる。
具体的には例えば、図5(a)に示した導電性基板50Aのように、フィルム基材51の一方の面51a側に金属層52と、黒化層53と、を一層ずつその順に積層することができる。また、図5(b)に示した導電性基板50Bのように、フィルム基材51の一方の面51a側と、もう一方の面(他方の面)51b側と、にそれぞれ金属層52A、52Bと、黒化層53A、53Bと、を一層ずつその順に積層することができる。
なお、後述のように、フィルム基材51と、金属層52(52A、52B)との間には密着層を設けることもできる。この場合例えば、フィルム基材の少なくとも一方の面上に、フィルム基材側から密着層と、金属層と、黒化層とがその順に形成された構造とすることができる。
具体的には例えば図6(a)に示した導電性基板60Aのように、フィルム基材51の一方の面51a側に、密着層54と、金属層52と、黒化層53とをその順に積層することができる。
この場合もフィルム基材51の両面に密着層、金属層、黒化層を積層した構成とすることもできる。具体的には図6(b)に示した導電性基板60Bのように、フィルム基材51の一方の面51a側と、他方の面51b側と、にそれぞれ密着層54A、54Bと、金属層52A、52Bと、黒化層53A、53Bとをその順に積層できる。
なお、図5(b)、図6(b)において、フィルム基材の両面に金属層、黒化層等を積層した場合において、フィルム基材51を対称面としてフィルム基材51の上下に積層した層が対称になるように配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、図6(b)において、フィルム基材51の一方の面51a側の構成を図5(b)の構成と同様に、密着層54Aを設けずに金属層52Aと、黒化層53Aとをその順に積層した形態とし、フィルム基材51の上下に積層した層を非対称な構成としてもよい。
次に、本実施形態の導電性基板の製造方法で製造する導電性基板に含まれる各層の構成例について説明する。
本実施形態の導電性基板の製造方法に供するフィルム基材の材料等は特に限定されるものではないが、例えばタッチパネル用の導電性基板を製造する場合、フィルム基材としては、可視光を透過するフィルム基材、すなわち透明基材等を好ましく用いることができる。
可視光を透過するフィルム基材としては例えば、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の樹脂フィルム等から選択された1種以上を好ましく用いることができる。特に、可視光を透過するフィルム基材の材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート等から選択された1種以上をより好ましく用いることができる。
フィルム基材の厚さについては特に限定されず、導電性基板とした場合に要求される強度や、静電容量、光の透過率等に応じて任意に選択することができる。フィルム基材の厚さとしては例えば10μm以上200μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、フィルム基材の厚さは20μm以上120μm以下とすることが好ましく、20μm以上100μm以下とすることがより好ましい。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、フィルム基材の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましい。
フィルム基材の全光線透過率は高い方が好ましく、例えば全光線透過率は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。フィルム基材の全光線透過率が上記範囲であることにより、例えばタッチパネルの用途に用いた場合にディスプレイの視認性を十分に確保することができる。
なお、フィルム基材の全光線透過率はJIS K 7361−1に規定される方法により評価することができる。
次に、金属層について説明する。
金属層を構成する材料は特に限定されず用途にあった電気伝導率を有する材料を選択できるが、例えば、金属層を構成する材料は、Cuと、Ni,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Mn,Co,Wから選択される少なくとも1種の以上の金属との銅合金、または銅を含む材料であることが好ましい。また、金属層は銅から構成される銅層とすることもできる。
フィルム基材上に金属層を形成する方法は特に限定されないが、光の透過率を低減させないため、フィルム基材と金属層との間に接着剤を配置しないことが好ましい。すなわち金属層は、フィルム基材の少なくとも一方の面上に直接形成されていることが好ましい。なお、フィルム基材と金属層との間に密着層を配置する場合には、密着層の上面に直接形成されていることが好ましい。
フィルム基材等の上面に金属層を直接形成するため、金属層は金属薄膜層を有することが好ましい。また、金属層は金属薄膜層と金属めっき層とを有していてもよい。
例えばフィルム基材上に、乾式めっき法により金属薄膜層を形成し該金属薄膜層を金属層とすることができる。これにより、フィルム基材上に接着剤を介さずに直接金属層を形成できる。
また、金属層の膜厚を厚くする場合には、金属薄膜層を給電層として湿式めっき法の一種である電解めっき法により金属めっき層を形成することにより、金属薄膜層と金属めっき層とを有する金属層とすることもできる。金属層が金属薄膜層と金属めっき層とを有することにより、この場合もフィルム基材上に接着剤を介さずに直接金属層を形成できる。
金属層の厚さは特に限定されるものではなく、金属層を配線として用いた場合に、該配線に供給する電流の大きさや配線幅等に応じて任意に選択することができる。
ただし、金属層が厚くなると、配線パターンを形成するためにエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチが生じ易くなり、細線が形成しにくくなる等の問題を生じる場合がある。このため、金属層の厚さは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
また、特に導電性基板の抵抗値を低くし、十分に電流を供給できるようにする観点から、例えば金属層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
なお、金属層が上述のように金属薄膜層と、金属めっき層を有する場合には、金属薄膜層の厚さと、金属めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
金属層が金属薄膜層により構成される場合、または金属薄膜層と金属めっき層とにより構成される場合のいずれの場合でも、金属薄膜層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば50nm以上500nm以下とすることが好ましい。
金属層は後述するように例えば所望の配線パターンにパターニングすることにより配線として用いることができる。そして、金属層は従来透明導電膜として用いられていたITOよりも電気抵抗値を低くすることができるから、金属層を設けることにより導電性基板の電気抵抗値を小さくできる。
次に黒化層について説明する。
黒化層は、例えばニッケル、銅、亜鉛、鉄、錫から選択される1種以上を含有する層とすることができる。特に、ニッケルと、銅とを含むめっき膜(黒化層)であることが好ましい。
黒化層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば15nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましい。これは、黒化層の厚さが薄い場合には、金属層表面における光の反射を十分に抑制できない場合があるため、上述のように黒化層の厚さを15nm以上とすることにより金属層表面における光の反射を特に抑制できるように構成することが好ましいためである。
黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、黒化層の厚さは70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
また、導電性基板は上述のフィルム基材、金属層、黒化層以外に任意の層を設けることもできる。例えば密着層を設けることができる。
上述のように金属層はフィルム基材上に形成することができるが、フィルム基材上に金属層を直接形成した場合に、フィルム基材と金属層との密着性は十分ではない場合がある。このため、フィルム基材の上面に直接金属層を形成した場合、製造途中、または、使用時にフィルム基材から金属層が剥離する場合がある。
そこで、本実施形態の導電性基板においては、フィルム基材と金属層との密着性を高めるため、フィルム基材上に密着層を配置することができる。
フィルム基材と金属層との間に密着層を配置することにより、フィルム基材と金属層との密着性を高め、フィルム基材から金属層が剥離することを抑制できる。
また、密着層は黒化層としても機能させることができる。このため、金属層の下面側、すなわちフィルム基材側からの光による金属層の光の反射も抑制することが可能になる。
密着層を構成する材料は特に限定されるものではなく、フィルム基材及び金属層との密着力や、要求される金属層表面での光の反射の抑制の程度、また、導電性基板を使用する環境(例えば湿度や、温度)に対する安定性の程度等に応じて任意に選択することができる。
密着層は例えば、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選択される少なくとも1種以上の金属を含むことが好ましい。また、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選択される1種以上の元素をさらに含むこともできる。
なお、密着層は、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選択される少なくとも2種以上の金属を含む金属合金を含むこともできる。この場合についても、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選択される1種以上の元素をさらに含むこともできる。この際、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選択される少なくとも2種以上の金属を含む金属合金としては、Cu−Ti−Fe合金や、Cu−Ni−Fe合金、Ni−Cu合金、Ni−Zn合金、Ni−Ti合金、Ni−W合金、Ni−Cr合金、Ni−Cu−Cr合金等から選択された1種以上を好ましく用いることができる。
密着層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば3nm以上50nm以下とすることが好ましく、3nm以上35nm以下とすることがより好ましく、3nm以上33nm以下とすることがさらに好ましい。
密着層についても黒化層として機能させる場合、すなわち金属層における光の反射を抑制する場合、密着層の厚さを上述のように3nm以上とすることが好ましい。
密着層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、密着層の厚さは上述のように50nm以下とすることが好ましく、35nm以下とすることがより好ましく、33nm以下とすることがさらに好ましい。
ここで、本実施形態の導電性基板の製造方法は、既述のめっき装置を用いて、フィルム基材の少なくとも一方の面上に、黒化層を成膜する黒化層成膜工程を有することができる。なお、黒化層としては、既述のように、例えばニッケル、銅、亜鉛、鉄、錫から選択される1種以上を含有する層とすることができる。特に、ニッケルと、銅とを含む層(黒化層)であることが好ましい。
また、ここまで説明したように、本実施形態の導電性基板は、黒化層以外に、金属層や、密着層等を有することができる。このため、本実施形態の導電性基板の製造方法は、金属層形成工程や、密着層形成工程を有することもできる。
具体的には、例えばフィルム基材の少なくとも一方の面上に金属層を形成する金属層形成工程を有することもできる。なお、黒化層は、図5、図6を用いて説明したように金属層上に形成することができることから、金属層形成工程を実施する場合、金属層形成工程の後に黒化層成膜工程を実施することができる。
金属層は既述のように、金属薄膜層を有することが好ましい。また、金属層は金属薄膜層と金属めっき層とを有することもできる。
このため、金属層形成工程は、例えば乾式めっき法により金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成工程を有することができる。
また、金属層形成工程は、乾式めっき法により金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成工程と、該金属薄膜層を給電層として、湿式めっき法の一種である電解めっき法により金属めっき層を形成する金属めっき層形成工程と、を有していてもよい。
金属薄膜層を形成する工程で用いる乾式めっき法としては、特に限定されるものではなく、例えば、蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法等を用いることができる。なお、蒸着法としては真空蒸着法を好ましく用いることができる。金属薄膜層を形成する工程で用いる乾式めっき法としては、特に膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。
次に金属めっき層を形成する工程について説明する。湿式めっき法により金属めっき層を形成する工程における条件、すなわち、電解めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、金属めっき液を入れためっき槽に金属薄膜層を形成した基材を供給し、電流密度や、基材の搬送速度を制御することによって、金属めっき層を形成できる。なお、金属めっき層を形成する際に、既述のめっき装置を用いることもできる。
さらに、フィルム基材と金属層との間に密着層を形成する場合、フィルム基材の金属層を形成する面上に密着層を形成する密着層形成工程を実施することができる。密着層形成工程を実施する場合、金属層形成工程は、密着層形成工程の後に実施することができ、金属層形成工程では、本工程で密着層を形成したフィルム基材に金属薄膜層等を形成することができる。
密着層は例えば図6(A)において、フィルム基材51の一方の面51a上に形成することができる。また、図6(B)に示した導電性基板60Bの場合、フィルム基材51の一方の面51aおよび他方の面51b上に密着層を形成することもできる。フィルム基材51の一方の面51a及び他方の面51bの両方に密着層を形成する場合には、両面に同時に密着層を形成してもよい。また、いずれか一方の面に密着層を形成後に他方の面に密着層を形成してもよい。
密着層を構成する材料として好適に用いることができる材料については既述のため、ここでは説明を省略する。
密着層の成膜方法は特に限定されないが、乾式めっき法により成膜することができる。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には上述のように炭素、酸素、水素、窒素から選択される1種以上の元素も添加することができ、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
なお、密着層が炭素、酸素、水素、窒素から選択される1種以上の元素を含む場合には、密着層を成膜する際の雰囲気中に炭素、酸素、水素、窒素から選択される1種以上の元素を含有するガスを添加しておくことにより、密着層中に添加することができる。例えば、密着層に炭素を添加する場合には一酸化炭素ガスおよび/または二酸化炭素ガスを、酸素を添加する場合には酸素ガスを、水素を添加する場合には水素ガスおよび/または水を、窒素を添加する場合には窒素ガスを、乾式めっきを行う際の雰囲気中に添加しておくことができる。
炭素、酸素、水素、窒素から選択される1種以上の元素を含有するガスは、不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
反応性スパッタリング法により密着層を成膜する場合、ターゲットとしては、密着層を構成する金属種を含むターゲットを用いることができる。密着層が合金を含む場合には、密着層に含まれる金属種毎にターゲットを用い、フィルム基材の表面で合金を形成してもよく、予め密着層に含まれる金属を合金化したターゲットを用いることもできる。
密着層を上述のように乾式めっき法により成膜することにより、フィルム基材と密着層との密着性を高めることができる。そして、密着層は例えば金属を主成分として含むことができるため金属層との密着性も高い。このため、フィルム基材と金属層との間に密着層を配置することにより、金属層の剥離を特に抑制することができる。
既述の金属層形成工程、及び黒化層成膜工程等を実施することで、フィルム基材上に金属層、及び黒化層を備えた導電性基板を形成することができるが、係る導電性基板は、例えばタッチパネル用の導電性基板として用いることができる。この場合、導電性基板はメッシュ状の配線を備えた構成とすることが好ましい。
メッシュ状の配線を備えた導電性基板は、ここまで説明した本実施形態の導電性基板の金属層、及び黒化層をエッチングし、パターニングすることで得ることができる。なお、密着層を設ける場合は、密着層についても同様にエッチングし、パターニングすることができる。
このため、メッシュ状の配線を備えた導電性基板とする場合、本実施形態の導電性基板の製造方法は、金属層、及び黒化層をパターニングするパターニング工程を有することができる。なお、密着層を形成した場合には、パターニング工程は、密着層、金属層、黒化層をパターニングする工程とすることができる。
ここで、パターニング工程を実施する場合に形成するメッシュ状の配線の構成例について説明する。
メッシュ状の配線は例えば二層の配線を用いることで形成できる。具体的な構成例を図7に示す。図7はメッシュ状の配線を備えた導電性基板70を金属層等の積層方向の上面側から見た図を示しており、配線パターンが分かり易いように、フィルム基材51、及び金属層をパターニングして形成した配線71A、71B以外の層は記載を省略している。
図7に示した導電性基板70は、フィルム基材51と、図中Y軸方向に平行な複数の配線71Aと、X軸方向に平行な配線71Bとを有している。なお、配線71A、71Bは金属層をエッチングして形成されており、該配線71A、71Bの上面または下面には図示しない黒化層を配置できる。また、黒化層はフィルム基材51の配線71Aを配置した面(以下、単に「フィルム基材51の主平面」とも記載する)と平行な面における断面が、配線71A、71Bと同じ形状となるようにエッチングできる。
フィルム基材51と配線71A、71Bとの配置は特に限定されない。フィルム基材51と配線との配置の構成例を図8(a)、図8(b)に示す。図8(a)、図8(b)は図7のA−A´線での断面図に当たる。
まず、図8(a)に示したように、フィルム基材51の上下面にそれぞれ配線71A、71Bが配置されていてもよい。なお、図8(a)では配線71Aの上面、及び71Bの下面には、フィルム基材51の主平面と平行な面における断面が、それぞれ配線71A、71Bと同じ形状にエッチングされた黒化層72A、72Bが配置されている。
また、図8(b)に示したように、1組のフィルム基材51A、51Bを用い、一方のフィルム基材51Aを挟んで上下面に配線71A、71Bを配置し、かつ、一方の配線71Bはフィルム基材51A、51B間に配置されてもよい。この場合も、配線71A、71Bの上面には、フィルム基材51A、51Bの主平面と平行な面における断面が、それぞれ配線71A、71Bと同じ形状にエッチングされた黒化層72A、72Bを配置できる。なお、既述のように、金属層、黒化層以外に密着層を設けることもできる。このため、図8(a)、(b)いずれの場合でも、例えば配線71Aおよび/または配線71Bとフィルム基材51(51A、51B)との間に密着層を設けることもできる。密着層を設ける場合、密着層も、フィルム基材51(51A、51B)の主平面と平行な面における断面が、それぞれ配線71A、71Bと同じ形状にエッチングされていることが好ましい。
図7及び図8(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は例えば、図5(b)のようにフィルム基材51の両面に金属層52A、52Bと、黒化層53A、53Bとを備えた導電性基板から形成することができる。
図5(b)の導電性基板を用いて形成した場合を例に説明すると、まず、フィルム基材51の一方の面51a側の金属層52A、黒化層53Aを、図5(b)中Y軸方向に平行な複数の線状のパターンがX軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行うことができる。なお、図5(b)中のX軸方向は、各層の幅方向と平行な方向を意味している。また、図5(b)中のY軸方向とは、図5(b)中の紙面と垂直な方向を意味している。
そして、フィルム基材51の他方の面51b側の金属層52B、黒化層53Bを図5(b)中X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置されるようにエッチングを行うことができる。
図5(b)に示した導電性基板について、上述の様にパターニング工程を実施する場合、例えばまず黒化層53A、53B上の表面A、及び表面Bに所望のパターンを有するレジストを配置するレジスト配置ステップを実施できる。次いで、黒化層53A、53B上の表面A、及び表面B、すなわち、レジストを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップにおいて用いるエッチング液は特に限定されるものではなく、エッチングを行う層を構成する材料に応じて任意に選択することができる。例えば、層毎にエッチング液を変えることもでき、また、同じエッチング液により同時に金属層、黒化層をエッチングすることもできる。
以上の操作により図7、図8(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板を形成することができる。
なお、フィルム基材51の両面のエッチングは同時に行ってもよく、一方の面ずつ実施してもよい。
図8(a)において、配線71A、71Bと、フィルム基材51との間にさらに配線71A、71Bと同じ形状にパターニングされた密着層を有する導電性基板は、図6(b)に示した導電性基板を用いて同様にエッチングを行うことで作製できる。
図7に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は、図5(a)または図6(a)に示した導電性基板を2枚用いることにより形成することもできる。図5(a)の導電性基板を2枚用いて形成した場合を例に説明すると、図5(a)に示した導電性基板2枚についてそれぞれ、金属層52、黒化層53を、X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置されるようにエッチングを行う。そして、上記エッチング処理により各導電性基板に形成した線状のパターンが互いに交差するように向きをあわせて2枚の導電性基板を積層し、貼り合せる積層工程を実施することによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることができる。2枚の導電性基板を貼り合せる際に貼り合せる面は特に限定されるものではない。例えば、金属層52等が積層された図5(a)における表面Aと、金属層52等が積層されていない図5(a)における他方の面51bとを貼り合せて、図8(b)に示した構造となるようにすることもできる。
また、例えばフィルム基材51の金属層52等が積層されていない図5(a)における他方の面51b同士を貼り合せて断面が図8(a)に示した構造となるようにすることもできる。
積層した導電性基板を固定する方法は特に限定されるものではないが、例えば接着剤等により固定することができる。
なお、図8(a)、図8(b)において、配線71A、71Bと、フィルム基材51との間にさらに配線71A、71Bと同じ形状にパターニングされた密着層を有する導電性基板は、図5(a)に示した導電性基板に替えて図6(a)に示した導電性基板を用いることで作製できる。
図7、図8(a)、図8(b)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板における配線の幅や、配線間の距離は特に限定されるものではなく、例えば、配線に流す電流量等に応じて選択することができる。
また、図7、図8(a)、図8(b)においては、直線形状の配線を組み合わせてメッシュ状の配線(配線パターン)を形成した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、配線パターンを構成する配線は任意の形状とすることができる。例えばディスプレイの画像との間でモアレ(干渉縞)が発生しないようメッシュ状の配線パターンを構成する配線の形状をそれぞれ、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)等の各種形状にすることもできる。
このように2層の配線から構成されるメッシュ状の配線を有する導電性基板は、例えば投影型静電容量方式のタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。
本実施形態の導電性基板の製造方法においては、黒化層を既述のめっき装置を用いて成膜しているため、外観上のムラを抑制した黒化層を備えた導電性基板を得ることができる。
なお、ここでは既述のめっき装置を用いて、導電性基板を製造した例を示したが、係る形態に限定されるものではなく、既述のめっき装置は各種めっき膜の成膜や、各種めっき膜を有する製品の製造に用いることができる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(実施例1−1)
以下の手順により導電性基板を作製した。
まず、幅500mm、長さ100m、厚さ100μmの長尺状のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製のフィルム基材を準備した。なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム基材について、全光線透過率をJIS K 7361−1に規定された方法により評価を行ったところ97%であった。
次いで、係るフィルム基材の一方の面、及び一方の面と反対側に位置する他方の面の両方の面上に以下の手順により金属層を成膜した(金属層形成工程(金属薄膜層形成工程))。
予め60℃まで加熱して水分を除去した上述のフィルム基材を、スパッタリング装置のチャンバー内に設置した。なお、スパッタリング装置には、予め銅のターゲットを装着しておいた。
そして、チャンバー内を1×10−3Paまで排気した後、アルゴンガスを導入し、チャンバー内の圧力を1.3Paとした。
係る雰囲気下でターゲットに電力を供給し、フィルム基材の一方の面、及び他方の面上に金属層(金属薄膜層)として銅層(銅薄膜層)を厚さが0.5μmになるように成膜した。
次いで、図1に示しためっき装置10を用いて、金属層として銅層を成膜したフィルム基材の銅層上に、黒化層を形成した(黒化層成膜工程)。
なお、図1に示しためっき装置10において、供給ロール11と電解めっき槽14との間に20g/lの硫酸水溶液が入った前処理槽を設けておき、該前処理槽において、フィルム基材を30秒間浸漬処理をできるように構成した。
電解めっき槽14内については、図1の領域Aを拡大した図2に示したように、アノード171〜174と、カソードとなるフィルム基材13の黒化層を成膜する面とを対向するように配置した。そして、アノード171〜174と、フィルム基材13との間に、アノード171〜174側から、撹拌手段211〜214、遮蔽板221〜224の順に配置した。
そして、アノード171〜174としては、酸化イリジウムがコーティングされた不溶性アノードを使用した。
撹拌手段211〜214としては、循環ノズルを用い、電解めっき槽14内のオーバーフローしためっき液を、該循環ノズルから供給するように構成した。循環ノズルからめっき液を供給することで、アノード171〜174近傍のめっき液を撹拌することができる。
遮蔽板221〜224としては、厚さが3mmでその面内に複数の開口部(貫通孔)が形成されたPVC製の板状体を用いた。なお、本実施例では、表1に示すように、開口部一つ当たりの平視野面積を10mm、複数の開口部32の平視野面積の合計が、遮蔽板31の平視野面積に占める割合(以下、開口率とも記載する。なお、表1でも開口率として示す)を10%とした。
また、遮蔽板221〜224と、カソードとなるフィルム基材13との間隔である距離Lは80mmとした。
そして、電解めっき槽14内には、ニッケルイオン8g/l、銅イオン0.01g/l、アミド硫酸11g/lを含む水溶液を水酸化ナトリウムによりpH4.5に調整しためっき液を予め入れておいた。ニッケルイオン、銅イオンは硫酸塩を用いてめっき液に供給した。なお、黒化層を成膜する間、めっき液の温度は40℃に保持している。
そして、供給ロール11から、上述の銅層を形成したフィルム基材13を供給し、前処理槽で前処理を実施した後、電解めっき槽14に搬送し、電流密度0.2A/dm、時間100secの条件で、黒化層を成膜した。
得られた導電性基板の黒化層表面について、色温度5000Kの三波長蛍光灯の下、5人で目視で評価を行い、5人が外観ムラがないと判定した場合には〇、3人以上4人以下が外観ムラがないと判定した場合には△、外観ムラがないと判定したのが2人以下の場合には×として評価した。なお、評価が△、または〇の場合には、成膜した黒化層について、注視しているにも関わらず、過半数の人が外観ムラを認識できないことから、外観上のムラを抑制した黒化層であるといえる。
その結果、本実施例で得られた導電性基板の黒化層は5人が外観ムラがないと判定し、評価は〇となった。すなわち、外観ムラを抑制し、均一な、ニッケルと、銅とを含む黒化層を成膜できていることを確認できた。
(実施例1−2〜実施例1−6)
電解めっき槽14内に設置した遮蔽板に設けた開口部について、開口部一つ当たりの平視野面積、開口率を、表1に示したように変化させた点以外は、実施例1−1と同様にして導電性基板を作製し、黒化層の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017222907
[実施例2−1〜実施例2−4]
遮蔽板221〜224と、フィルム基材13との間の距離Lを、表2に示すように変更した点以外は、実施例1−1と同様にして、導電性基板を作製し、黒化層の外観ムラの評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2017222907
[比較例1]
図1に示しためっき装置の領域A内の構成について、図9に示すように、図2の場合と、遮蔽板221〜224と、撹拌手段211〜214との位置を入れ替え、アノード171〜174側から、遮蔽板221〜224、撹拌手段211〜214の順に配置した点以外は実施例1−1と同様にして導電性基板を作製し、黒化層の評価を行った。なお、図9では部材の位置を入れ替えたのみであり、同じ部材を用いているため、各部材の番号は図2と同じ番号を用いている。
得られた導電性基板の黒化層の外観ムラの評価結果は×となった。
以上に説明した実施例1−1〜実施例1−6、実施例2−1〜実施例2−4と、比較例1との結果の比較から、電解めっき槽内において、アノードと、フィルム基材のめっき膜を形成する面とが対向するように配置し、アノードと、フィルム基材との間に、アノード側から、撹拌手段と、遮蔽板とを順に配置しためっき装置とすることで、外観上のムラを抑制した、めっき膜を成膜できることを確認できた。
また、実施例1−1〜実施例1−6の結果を比較すると、遮蔽板の開口率を20%以下とすることで、黒化層の外観上のムラを特に抑制できることを確認できた。
さらに、実施例2−1〜実施例2−4の比較から、電解めっき槽内において、遮蔽板と、フィルム基材との間の距離を20mm以上とすることで、成膜した黒化層の外観上のムラを特に抑制できることを確認できた。
14、44 電解めっき槽
171〜174、451〜456 アノード
211〜214、46A〜46L 撹拌手段
221〜224、471、472 遮蔽板
13、43 カソード
10、40 めっき装置
32 開口部

Claims (4)

  1. フィルム基材上にめっき膜を形成するめっき装置であって、
    電解めっき槽を有し、
    前記電解めっき槽内において、
    アノードと、前記フィルム基材の前記めっき膜を形成する面とが対向するように配置し、
    前記アノードと、前記フィルム基材との間に、前記アノード側から、撹拌手段と、遮蔽板とが順に配置され、
    前記アノードが不溶性のアノードであるめっき装置。
  2. 遮蔽板は、複数の開口部を有し、
    前記開口部は一つ当たりの平視野面積が10mm以下であり、
    複数の前記開口部の平視野面積の合計が、前記遮蔽板の平視野面積の20%以下である請求項1に記載のめっき装置。
  3. 前記遮蔽板と、前記フィルム基材との間の距離が20mm以上である、請求項1または2に記載のめっき装置。
  4. めっき液として、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、鉄イオン、錫イオンから選択される1種以上を含むめっき液を用いる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のめっき装置。
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