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JP2017210638A - 水電解用炭素触媒及びその製造方法、及び該炭素触媒を用いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置 - Google Patents

水電解用炭素触媒及びその製造方法、及び該炭素触媒を用いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置 Download PDF

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JP2017210638A
JP2017210638A JP2016103257A JP2016103257A JP2017210638A JP 2017210638 A JP2017210638 A JP 2017210638A JP 2016103257 A JP2016103257 A JP 2016103257A JP 2016103257 A JP2016103257 A JP 2016103257A JP 2017210638 A JP2017210638 A JP 2017210638A
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有花 宮房
Yuka Miyafusa
有花 宮房
寛人 渡部
Hiroto Watabe
寛人 渡部
彰彦 八手又
Akihiko Yatemata
彰彦 八手又
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Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
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Abstract

【課題】コスト、資源量などの観点より使用量低減が求められる貴金属触媒の代替として、高い電子伝導性及び比表面積の大きい炭素担体を含む安価な水電解用炭素触媒、及び該炭素触媒を用いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置を提供すること。【解決手段】前記課題は、窒素を含有し、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、触媒表面の全元素に対する窒素原子のモル比をNとし、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN1型窒素原子量の割合とN2型窒素原子量の割合の合計(%)を(N1+N2)としたときの、表面末端窒素量{N×(N1+N2)}が1.0〜13.0であることを特徴とする水電解用炭素触媒よって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、白金や白金合金などの貴金属を全く担持しない水電解用炭素触媒、及び該炭素触媒を用いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置に関する。
多様なエネルギー源を利用できるエネルギーキャリアとして、近年、水素が注目されている。水素の製造方法の一つに水電解が挙げられ、余剰電力を水素に変換することによる二酸化炭素排出量削減への貢献が期待される。とりわけ、再生可能エネルギー由来の電力を用いて水素を製造する技術は、二酸化炭素の排出を伴わないため、POWER TO GASとして注目されている。
水電解の方法としては、一般に、アルカリ水電解と固体高分子水電解が知られている。アルカリ水電解ではアルカリ水溶液を電解質とし、固体高分子水電解ではイオン交換膜を電解質として、水電解を行う。固体高分子水電解は、アルカリ水電解と比べて電流密度を上げられ、高い効率が得られるという特長がある。
固体高分子水電解装置の構成としては、固体高分子電解質膜の両側に触媒層を設け、さらにその外側に給電体と通電板を有する構成が代表的である。
イオン交換膜としては、主として、デュポン社製Nafion(登録商標)などのスルホ基を有するフッ素系高分子が用いられている。
また、触媒層は電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極用の触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
このような電極用の触媒には、従来、白金やイリジウムなどの貴金属微粒子、カーボンブラックなどの炭素担体上に貴金属微粒子を担持したもの、電解質膜表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜などが用いられている。
しかし、白金などの貴金属は、高い触媒活性(プロトン還元活性)とその活性安定性を示すが、非常に高価であり、資源的にも限られている。そのため、コストを高くする一因となっている。
上記のような課題を解決させるために、これまでに様々な対策が取られてきた。白金などの貴金属を用いないものとして、例えば、大環状化合物をカーボンブラックなどの電子伝導性炭素担体表面に担持し、炭化させた炭素触媒(非特許文献1)、大環状化合物を含まない有機高分子材料を炭化させた炭素触媒(非特許文献2)などが報告されている。
しかし、電池性能を考慮すると、比表面積の大きさや電子伝導性が重要であるのに対し、これらの有機高分子材料を原料とした炭素触媒は、電子伝導性が低い、または比表面積が小さいといった問題があり、充分な触媒活性を有する触媒の提案には至っていない。
ChemCatChem 2014,6,2197−2200頁 第41回炭素材料学会年会要旨集 101頁
本発明が解決しようとする課題は、コスト、資源量などの観点より使用量低減が求められる貴金属触媒の代替として、高い電子伝導性及び比表面積の大きい炭素担体を含む安価な水電解用炭素触媒、及び該炭素触媒を用いた水電解用触媒インキ並びに水電解装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、表面末端窒素量、親水度、結晶性または比表面積が適切な範囲に調整された窒素含有炭素材料であれば、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、窒素を含有し、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、触媒表面の全元素に対する窒素原子のモル比をNとし、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN1型窒素原子量の割合とN2型窒素原子量の割合の合計(%)を(N1+N2)としたときの、表面末端窒素量{N×(N+N)}が1.0〜13.0であることを特徴とする水電解用炭素触媒に関する。
また本発明は、水を吸着種としたBET比表面積(BETH2O)と、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)の比(BETH2O /BETN2)で示される親水度が、0.1〜2.5であることを特徴とする前記水電解用炭素触媒に関する。
また本発明は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が24.0〜27.0°の位置にピークを有し、該ピークの半値幅が7°以下であることを特徴とする前記水電解用炭素触媒に関する。
また本発明は、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)が、100〜500m/gであることを特徴とする前記水電解用炭素触媒に関する。
また本発明は、Co及び/またはFeを含有することを特徴とする前記水電解用炭素触媒に関する。
また本発明は、グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンとを混合する工程と、前記混合により得られる混合物を不活性ガス雰囲気中、500〜1000℃で熱処理し、炭素化する工程とを含む前記炭素触媒の製造方法に関する。
また本発明は、グラフェンナノプレートレットに対する金属フタロシアニンの質量比(金属フタロシアニン/グラフェンナノプレートレット)が、0.3/1〜2/1であり、前記熱処理は、700〜1000℃で行われることを特徴とする前記水電解用炭素触媒の製造方法に関する。
また本発明は、前記金属フタロシアニンが、鉄フタロシアニンまたはコバルトフタロシアニンである前記水電解用炭素触媒の製造方法に関する。
また本発明は、前記鉄フタロシアニンは、平均一次粒子径が10〜100nm、且つ平均二次粒子径が0.1〜10μmであり、前記コバルトフタロシアニンは、平均一次粒子径が10〜500nm、且つ平均二次粒子径が0.1〜10μmである前記水電解用炭素触媒の製造方法に関する。
また本発明は、前記水電解用炭素触媒と、バインダーと、溶剤とを含有する水電解用触媒インキに関する。
また本発明は、前記水電解用炭素触媒を、固体高分子電解質膜の一方、又は双方の面に配置させた電極膜接合体を有する水電解装置に関する。
本発明により、貴金属元素を含有することなく、高いプロトン還元活性を有する水電解用炭素触媒を得ることができた。また、同炭素触媒を用いることで、高い水素発生能を有する水電解装置が得られた。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
<水電解用炭素触媒>
本発明に係る水電解用炭素触媒は、以下のような特徴を持っている。
第一に、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、触媒表面の全元素に対する窒素原子のモル比をNとし、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN1型窒素原子量の割合とN2型窒素原子量の割合の合計(%)を(N1+N2)としたときの、表面末端窒素量{N×(N+N)}が1.0〜13.0であることが好ましい。
下記構造式に示すように、水電解用炭素触媒中の窒素原子は様々な状態で炭素骨格の中に存在する。本発明において、N1型窒素原子とは、N1s電子の結合エネルギーが398.5±0.5eVであり、ピリジン類似の構造をしているものである。N2型窒素原子とは、N1s電子の結合エネルギーが400±0.5eVであり、ピロール類似の構造をしているものである。これらのピークが重なっている場合には、各成分をガウス関数としてピーク強度、ピーク位置、ピーク半値全幅をパラメーターとして最適化することにより、フィッティングを行ってピークを分離する。これらはそれぞれピリジン窒素、ピロール窒素と呼ばれ、本発明ではこれらを合わせ末端窒素と呼称する。ここで、ピリドン類似の構造をしているものはピークの分離が困難なため、便宜上、末端窒素に含まれていてよいものとする。
上記以外の窒素原子は、N3型窒素原子(主に炭素環の内部に存在する、3つの炭素原子と結合している4級のもの)、N4型窒素原子(酸化された状態で、酸素のような異種元素が結合しているもの)に分類される。
Figure 2017210638

上記末端窒素は、非共有電子対を有しており、金属に窒素原子が配位する金属−N4構造形成に有利に働く。一方、N3型窒素原子や、N4型窒素原子では、窒素が正電荷を帯びているため金属イオンと反発しやすく、金属−N4構造の形成は難しいと考えられる。そのため、活性の高い触媒表面には末端窒素が多く存在していると考えられ、表面末端窒素量は、表面に存在する末端窒素の量を表す指標となる。
表面末端窒素量が、1.0以上であると、表面における活性点の絶対数が多いため、高い触媒活性が得られ、好ましい。また、13.0以下であると、表面の炭素濃度が高いため、高い電子伝導性や強度が得られ、好ましい。
第二に、水を吸着種としたBET比表面積(BETH2O)と、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)の比(BETH2O /BETN2)で示される親水度が、0.1〜2.5であることが好ましい。親水度が、0.8〜2.0であることはさらに好ましい。
親水度(BETH2O /BETN2)は、触媒全表面の親水性の指標である。窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)を触媒の全表面積とし、水を吸着質としたBET比表面積(BETH2O)を求めることで、触媒全表面に対する親水面の割合を出すことができる。
触媒表面の親水度が上記範囲内にあると、プロトン伝導体として使われる多くの親水性バインダーとの濡れ性が良くなり、分散安定性の良い水電解用触媒インキが作製でき、さらには均一な電極膜の作製が可能となる。
親水度が0.1以上である場合には、プロトン伝導体として使われる多くの親水性バインダーとの濡れ性が良いため、均一な電極膜が作製でき、電解効率や耐久性が向上するほか、電極膜のプロトン伝導性が高くなる。また、2.5以下である場合には、反応によって生成した水素ガスの拡散性が高いため、優れた電解効率が得られる。
また、親水度が0.8以上である場合には、反応物であるプロトン(オキソニウムイオン)に対する親和性が高くなり、反応場への供給速度が向上するため、電解効率がより向上する。また、親水度が2.0以下である場合には、水電解用触媒インキ中の分散剤や溶剤成分との濡れ性が良好となるため、より分散安定性が高く塗工性に優れた水電解用触媒インキを作製することができる。
第三に、CuKα線をX線源として得られるX線回折(XRD)図において、回折角(2θ)が24.0〜27.0°の位置にピークを有し、該ピークの半値幅が7°以下であることが好ましい。
CuKα線をX線源として得られる水電解用炭素触媒のX線回折線図においては、24.0〜27.0°付近に炭素の(002)面回折ピークが現れる。炭素の(002)回折ピーク位置は、炭素網面の面間距離によって変化し、ピーク位置が高角側であるほど炭素網面の距離が近いことから、構造の黒鉛的規則性が高いことが示される。また、上記ピークがシャープであるほど、結晶子サイズが大きく、結晶構造が発達していることを示すものである。
上記ピークの半値幅が7°以下である場合には、水電解用炭素触媒の結晶性が高く、電子伝導性が高い。これにより、電極中におけるプロトン還元反応に必要な電子を前記反応場に供給することができるため、電流の増加に繋がり、好ましい。
また、上記ピークの半値幅が1°以下であることは、さらに好ましい
第四に、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)が、100〜500m/gであることが好ましい。
プロトン還元反応は水電解用炭素触媒の表面で起こるため、比表面積が大きいほど反応場が多くなり、触媒活性の向上に繋がる。このため、BET比表面積が100m/g以上であることが好ましい。
一方、比表面積が小さいほど、水電解用炭素触媒の分散は容易であり、均一な電極膜が作製しやすいため、電解効率や耐久性が良好となる。また、均一な電極膜を作成するために必要な分散剤やバインダーの量が少なくなり、反応物であるプロトン(オキソニウムイオン)の供給や生成物である水素ガスの拡散が阻害しにくくなるため、良好な電解効率が得られる。さらに、触媒層の密度が高くなるため、体積あたりにおける電解性能も向上する。このため、BETN2が500m/g以下であることが好ましい。
従来の炭素触媒においては、触媒活性の観点から、BETN2が1000m/g程度以上のものが好適とされていたが、炭素触媒の分散が困難であるだけでなく、触媒層の密度が低下するため、体積あたりにおける電解性能が低下する課題があった。これに対し、上述のような表面末端窒素量、親水度、または結晶性を備える炭素触媒は、BETN2が500m/g以下であっても十分高い触媒活性を示すことができる。
これらの特徴を、全て満たす水電解用炭素触媒であるとより好ましい。
貴金属を含む触媒が酸素還元反応とプロトン還元反応の両方を触媒することから、水電解用炭素触媒においても燃料電池等に用いられる酸素還元触媒をプロトン還元反応に転用することが着想される。
しかし、酸素還元反応において触媒上では、基質である酸素の吸着、電子やプロトンの授受、結合の切断および生成、反応生成物である水の脱着が起こるが、プロトン還元反応では、プロトンの吸着、電子の授受、結合の生成、水素ガスの脱着が起こる。このように起こる反応が異なることから、要求される触媒性能は全く異なるものである。また、電位やpH等の触媒が置かれる環境が異なるため、それぞれ異なる耐性も要求される。
このように、両反応の機構が異なるものであるため、一般には、酸素還元反応用の触媒は、プロトン還元反応に対しては充分な触媒活性を示すものではない。
<原料>
本発明における水電解用炭素触媒は、炭素源、窒素源及び遷移金属源を混合した後、熱処理することで得られる。
炭素源、窒素源、遷移金属源は、それぞれ異なる原料を用いてもよく、一つの原料が二つ以上の元素を含んでいてもよい。
炭素源としては、炭素を含み、熱処理により揮発し難い材料が用いられ、具体的には、炭素材料、樹脂成分、有機顔料、大環状化合物、又は天然材料などが使用できる。
窒素源としては、窒素を含む化合物が用いられ、好ましくは窒素を含む炭素源が用いられる。具体的には、窒素含有樹脂、窒素含有有機顔料、窒素含有大環状化合物、窒素含有天然材料等が挙げられる。
遷移金属源としては、遷移金属を含む無機塩のほか、遷移金属を含む炭素源を用いることができ、具体的には、遷移金属を含む有機顔料、遷移金属を含む大環状化合物等が挙げられる。
炭素源として、炭素材料を使用することは、得られる炭素触媒の電子伝導性が高くなるほか、熱処理工程において収率が高くなるため、好ましい。
また、炭素、窒素及び遷移金属を含む原料として、窒素および遷移金属を含む大環状化合物を用いることは、炭素材料表面に効率的に触媒活性要因となる金属元素や窒素元素を導入しやすくなるため、好ましい。
炭素材料と、窒素および遷移金属を含む大環状化合物とを組み合わせて用いることはさらに好ましい。
<樹脂成分>
樹脂成分としては、ポリアクリロニトリル、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等が挙げられる。又、これらの樹脂の変性体、混合物、又は共重合体であっても良い。また、樹脂成分は、微粒化処理や加熱処理をされていてもよい。樹脂成分として、ポリアクリロニトリル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の窒素を含む樹脂を用いることは好ましい。
<天然材料>
天然材料としては、未変性又は変性の、多糖類、天然ワックス、天然樹脂、および植物油からなる群から選ばれる天然材料等が挙げられる。
<有機顔料>
有機顔料としては、印刷インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用レジストインキ等に使用される種々の顔料が挙げられる。このような顔料としては溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、上記貴金属元素を含有しない大環状化合物としてはフタロシアニン顔料が該当する。
中でも、窒素元素を含んだ複素環を1分子中に多数持つフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ジオキサジン顔料等は、炭素材料表面に効率的に触媒活性要因となる金属元素や窒素元素を導入しやすくなるためより好ましい。
<大環状化合物>
大環状化合物とは、9又はそれ以上の原子(全てが異原子である場合を含む)、及び、3又はそれ以上の結合原子を有する化合物と定義されている(Coordination Chemistry of Macrocyclic Compounds, G.A.Melson, Plenum Pres, New York & London, 1979)。
大環状化合物としては、基本骨格の中に4個の窒素原子が平面上に並んだN4構造を有するものが好ましく、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物などが該当する。
中でも、金属フタロシアニンは、炭素材料表面に効率的に触媒活性要因となる金属元素や窒素元素を導入しやすくなるため、好ましい。
<金属フタロシアニン>
金属フタロシアニンは、大環状金属錯体の一種であり、フタロシアニン構造の中心に金属イオンが配位した分子構造である。中心の金属イオンには、窒素原子が平面上に4配位しており、この構造は一般的に「金属−N4構造」と呼ばれる。同構造はプロトン還元触媒の活性点として作用すると考えられ、本発明における炭素触媒においても、担体となる炭素材料の表面上に金属−N4構造が高密度に存在することが、高い触媒活性の発現に有利となる。そのため、炭素触媒の合成における熱処理工程においては、金属−N4構造が分解しない温度以下で行う必要がある。
前記フタロシアニンの中心金属としては、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられ、中心金属が鉄またはコバルトで形成される「Fe−N4構造またはCo−N4構造」は、熱に対する構造安定性や高い触媒活性を示すため好ましい。
中心金属がコバルトである場合、より高い触媒活性を示すため、さらに好ましい。
<炭素材料>
炭素材料としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、グラフェンナノプレートレットは、欠陥の少ない平面構造を有し、高い電子伝導性や高い機械的強度を示すため、好ましい。
<グラフェンナノプレートレット>
グラフェンナノプレートレットとは、炭素原子が6角形をなす平面構造を有するグラフェンシートが、ファンデルワールス力により弱く結合した複層構造を有している。グラフェンナノプレートレットは、欠陥の少ない平面構造を有しているため、高い電子伝導性、高い熱伝導性や高い機械的強度を示す。
複層構造のグラフェンナノプレートレットの厚みは特に限定されないが0.335nm(単層)以上、20nm以下であることが好ましい。20nm以下であると、電子伝導性や比表面積などが高く好ましい。
本明細書において、厚みとは積層されたグラフェンシート面に対し垂直方向の大きさのことである。具体的には、原子間力顕微鏡(AFM:SII社製SPA−300)によって求めることができる。
同様に、グラフェンナノプレートレットの平均一次粒子径とは炭素平面方向の大きさ(長径)のことであり、具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM:JEOL社製JEM1010)により、測定した粒子50個の平均値によって求めることができる。
グラフェンナノプレートレットの平均一次粒子径は、特に限定されないが、0.3〜10μmであると、比表面積が大きくなり、また平滑な面に比べ活性なエッジ面の割合が多くなるため好ましい。
グラフェンナノプレートレットのBET比表面積(BETN2)は、260〜2000m/gであると原料である金属フタロシアニン、例えば鉄フタロシアニンまたはコバルトフタロシアニンとの反応場(炭素触媒の活性点と考えられるFe−N4構造またはCo−N4構造の形成場)が多くなりやすく、好ましい。
本明細書において、比表面積とは試料単位あたりの表面積のことであり、ガス(N又はHO)吸着法によって求めることができる。解析法はBET法を用い、相対圧(P/P0=0.05〜0.3)とガス吸着量のプロットより得られる直線の切片と勾配から、単分子吸着量を求めることで、BET比表面積を算出できる。
市販のグラフェンナノプレートレットとしては、例えば、XGSciences社製xGnP−C−グレード、xGnP−T−グレード、xGnP−M−グレード、xGnP−H−グレードなどが挙げられる。その中では特に、最も層が薄く、粒子が小さく、大きい比表面積を有するxGnP−C−750を原料に使用すると、大きい比表面積且つ高い電子伝導性を有する炭素触媒を得られやすく、好ましい場合が多い。
<水電解用炭素触媒の製造方法>
炭素触媒の製造方法としては、グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンとを混合する工程と、前記混合により得られる混合物を不活性ガス雰囲気中で熱処理し、炭素化する工程が好ましい。
<混合する工程>
グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンとを混合する混合装置としては、以下のような乾式処理機及び湿式処理機が使用できる。
乾式処理機としては、例えば、
2本ロールや3本ロールなどのロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーなどの高速撹拌機、遊星ボールミル、マイクロナイザーやジェットミルなどの流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」などが挙げられる。
又、乾式処理機を使用する際、母体となる原料粉体に、他の原料を粉体のまま直接添加しても良いが、より均一な混合物を作製するために、前もって他の原料を少量の溶媒に溶解、又、分散させておき、母体となる原料粉体の凝集粒子を解しながら添加する方法が好ましい。更に、処理効率を上げるために、加温することが好ましい場合もある。
湿式処理機としては、例えば、
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機;
又は、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式処理機としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
又、各原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、一般的な顔料分散剤を一緒に添加し、分散、混合することができる。
又、湿式混合の場合、湿式処理機を用いて作製した分散体を乾燥させる工程が必要となる。この場合、用いる乾燥装置としては、棚式乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機、撹拌乾燥機、凍結乾燥機などが挙げられる。
又、グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンを混合する前に、金属フタロシアニン粒子に粉砕処理を施し、粒子を微細化した方が好ましく、鉄フタロシアニンは平均一次粒子径が10〜100nm且つ、平均二次粒子径が0.1〜10μmがより好ましく、コバルトフタロシアニンは平均一次粒子径が10〜500nm且つ平均二次粒子径が0.1〜10μmがより好ましい。
金属フタロシアニン平均一次粒子径は粒子の長径のことであり、走査型電子顕微鏡で測定した粒子50個の平均値によって求めることができる。
鉄フタロシアニンまたはコバルトフタロシアニンの平均一次粒子径が、500nm以下である場合、比表面積が大きいため、グラフェンナノプレートレットとの接触面積が大きく、反応点が増加するため、活性点の多い触媒表面となり、好ましい。又、10nm以上である場合は、単位体積あたりの表面積が小さくなり、表面自由エネルギーが減少するため、粒子の凝集力が弱くなり、平均二次粒子径が小さくなりやすく、好ましい。
鉄フタロシアニンまたはコバルトフタロシアニンの平均二次粒子径が、10μm以下である場合、混合物が均一となりやすく、活性点が均一に創製されるため、好ましい。また、0.1μm以上である場合は、鉄フタロシアニンまたはコバルトフタロシアニンの嵩密度が低くなるため、混合処理における効率が高くなり、好ましい。
金属フタロシアニンの粉砕処理をする粉砕装置としては、以下のような、湿式・乾式の粉砕処理機が使用できる。
湿式の粉砕処理機としては、例えば、
ペイントコンディショナー(「レッドデビル」や「スキャンデックス」の商品名で市販されているもの)などのメディア型の粉砕・分散機、又、自転に加えて公転による遠心力を利用する遊星ボールミルやシンキー社製のナノ型粉砕機「NP-100」や、ボールミル、アトライター、湿式ジェットミルなどが挙げられる。
乾式の粉砕処理機としては、例えば、
ボールミル、ビーズミル、乾式ジェットミル、自転に加えて公転による遠心力を利用する遊星ボールミルなどが挙げられる。
又、粉砕処理装置の中には、粉砕と混合の両効果を同時に果たすものも有り、金属フタロシアニンの粉砕と、グラフェンナノプレートレットとの混合を同時に行っても、実質的に粉砕工程と混合工程を分けて行った場合と同様の効果が得られるものに関しては、1工程で行っても問題はない。
次に、グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンとを含有する混合物は、グラフェンナノプレートレットに対する金属フタロシアニンの質量比(金属フタロシアニン/グラフェンナノプレートレット)が、0.3/1〜2/1の範囲であることが好ましい。
グラフェンナノプレートレットに対する金属フタロシアニンの質量比(金属フタロシアニン/グラフェンナノプレートレット)が、0.3/1以上である場合、炭素触媒の活性点となる金属N−4構造の絶対数が十分多いため、高い触媒活性を発現することができる。また、2/1以下である場合、担持体となるグラフェンナノプレートレットが金属フタロシアニンに対して十分多く、両者が接触する面積が増加するため、金属フタロシアニン単独での分解・昇華が進行し難くなり、炭素触媒の活性点となる金属−N4構造の形成が起こりやすくなる。更に、電子伝導体であるグラフェンナノプレートレットが十分多いことで、炭素触媒の電子伝導性が高くなり、触媒活性が向上する。
本発明における水電解用炭素触媒の製造方法では、グラフェンナノプレートレット及び金属フタロシアニンを含有する混合物に対して、最適な質量比、混合装置、焼成装置を選択することにより、触媒活性の優れた水電解用炭素触媒を得ることができる。
<熱処理し炭素化する工程>
グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンとを含有する材料の混合物を熱処理する方法においては、加熱温度はグラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンの質量比によって異なるものであるが、500〜1000℃が好ましく、700〜1000℃であることがより好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、通常は1時間から5時間であることが好ましい。
熱処理工程における加熱温度が500℃以上である場合、金属フタロシアニンの熱分解が生じ、高い触媒活性が得られるため、好ましい。また、700℃以上である場合、触媒表面の活性点が安定な構造となり、過酷な条件下で使用しても、構造の分解による性能低下が起こりにくく、好ましい。
一方、加熱温度が1000℃以下である場合、金属フタロシアニンの熱分解や昇華が抑制され、グラフェンナノプレートレット表面に触媒活性サイトとして考えられている金属−N4構造部位が残存するため、良好な触媒活性が得られ、好ましい。
更に、熱処理工程における雰囲気に関しては、金属フタロシアニンをできるだけ不完全燃焼により炭化させ、窒素元素や鉄元素またはコバルト元素などをグラフェンナノプレートレット表面に残存させる必要性があるため、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、窒素やアルゴンに水素が混合された還元性ガス雰囲気などが好ましい。また、熱処理時の炭素触媒中の窒素元素量低減を抑制するために、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下で熱処理を行なうことも可能である。
また、熱処理工程に関しては、一定の雰囲気及び温度下で、1段階で処理を行う方法だけでなく、一度、不活性ガス雰囲気下、500℃程度の比較的低温で熱処理し、その後、還元雰囲気下で、1段階目を超える温度で熱処理することも可能である。そうすることで、触媒活性サイトとして考えられている金属−N4構造部位を、より効率的に多量に残存させられることがある。
更に、本発明における水電解用炭素触媒の製造方法において、前記熱処理品を酸で洗浄、及び乾燥し、酸洗浄品を得る工程を含む方法が挙げられる。ここで用いる酸に関しては、少なくとも熱処理品表面に存在する金属鉄または金属コバルト成分を溶出させることができれば、どのような酸でも問題ないが、熱処理品との反応性が低く、金属鉄または金属コバルト成分の溶解力が強い濃塩酸や希硫酸などが好ましい。具体的な洗浄方法としては、ガラス容器内に酸を加え、熱処理品を添加し、分散させながら数時間撹拌させた後、静置させ上澄みを除去する方法を取る。そして、上澄み液の着色が確認されなくなるまで上記方法を繰り返し行い、最後に、ろ過、水洗により酸を除去し、乾燥する方法が挙げられる。
ちなみに、酸洗浄により表面の金属成分が除去されることで、質量あたりの触媒活性が向上する場合があるが、これは、活性点と考えられる金属−N4構造の絶対数が増加するためではなく本質的に触媒活性が増加しているわけではない。
更に、本発明における水電解用炭素触媒の製造方法において、前記酸洗浄品を再度熱処理し、熱処理品を得る工程を含む方法が挙げられる。ここでの熱処理に関しても、先に行った熱処理条件と大きく変わるものではなく、加熱温度は500〜1000℃、好ましくは700〜1000℃であることが好ましい。また、雰囲気に関しても、分解により表面の窒素元素などが大幅に低減しないように、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、窒素やアルゴンに水素が混合された還元性ガス雰囲気、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下などが好ましい。
<水電解用触媒インキ>
次に、本発明における水電解用炭素触媒を用いた水電解用触媒インキについて説明する。
本発明の水電解用触媒インキは、水電解用炭素触媒、バインダー、溶剤を最低限含むものである。バインダー成分は、プロトン伝導性があり、耐酸化性のある材料が好ましい。炭素触媒、バインダー、溶剤の割合は、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択される。
更に、本発明における水電解用触媒インキでは、水電解用炭素触媒の溶剤中への濡れ性、分散性を向上させるために、分散剤を用いても良い。
分散剤の含有量は、水電解用触媒インキ中の炭素触媒に対し、0.01〜5質量%、好ましくは0.02〜3質量%である。この範囲の含有量とすることにより、水電解用炭素触媒の分散安定性を十分に達成できると同時に、炭素触媒の凝集を効果的に防止でき、かつ触媒層表面への分散剤の析出を防止できる。
水電解用触媒インキの調製方法も特に制限はない。調製は、各成分を同時に分散しても良いし、水電解用炭素触媒を分散剤のみで分散後、バインダーを添加してもよく、使用する炭素触媒、バインダー、溶剤種により最適化することができる。
溶剤中で水電解用炭素触媒とバインダーを分散混合する装置に関しては、特に限定するものではない。
<バインダー>
バインダーとしては、水性樹脂微粒子やプロトン伝導性を有する樹脂が好ましい。
水性樹脂微粒子は、樹脂が水中で溶解せずに微粒子の状態で存在するもので、その水分散体は一般的に水性エマルションとも呼ばれる。
使用できるエマルションとしては、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ジエン系エマルション(SBRなど)、フッ素系エマルション(PVDFやPTFEなど)等が挙げられる。粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れるエマルションは、より好ましい。
プロトン伝導性樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などスルホ基を導入したオレフィン系樹脂、スルホ基を導入したポリイミド系樹脂、スルホ基を導入したフェノール樹脂、スルホ基を導入したポリエーテルケトン系樹脂、スルホ基が導入されたポリベンズイミダゾール系樹脂、酸とイミダゾール部分で塩形成したポリベンズイミダゾール系樹脂、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体のスルホン酸ドープ品、パーフルオロスルホン酸系樹脂などが挙げられる。
特に、電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に安定性が高く、スルホ基の解離度が高く、高いイオン電子伝導性が実現可能なパーフルオロスルホン酸系樹脂は、実用性が高く好ましい。このようなプロトン伝導性を有する樹脂の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」、旭硝子社製の「Flemion」、旭化成社製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」などが挙げられる。通常、プロトン伝導性を有する樹脂は、固形分として5〜30質量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテルなどが使用される。
<溶剤>
溶剤としては、特に限定されるものではない。主溶剤としては、水または水と親和性が高い溶剤が好ましく、特にアルコールが好適に使用できる。このようなアルコールとしては、例えば、沸点80〜200℃程度の1価のアルコールないし多価アルコールが利用でき、好ましくは炭素数が4以下のアルコール系溶剤が挙げられる。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどが挙げられる。アルコールは、1種単独で又は2種以上混合して使用される。これらの1価のアルコールの中でも、2−プロパノール、1−ブタノール及びt−ブタノールが好ましい。多価アルコールとしては具体的には、プロトン伝導性を有する樹脂との相溶性、及び触媒インキとした場合の乾燥効率の問題から、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコールなどが好ましく、中でもプロピレングリコールが特に好ましい。
<水電解用触媒層>
水電解用触媒層は、上記触媒インキを給電体(カーボンペーパーなど)や固体高分子電解質膜に直接塗布及び乾燥することにより形成されてもよく、また触媒インキをテフロン(登録商標)シート等の剥離可能な転写シート(基材)に塗布乾燥して形成した触媒層転写シートを作製し、その後、固体高分子電解質膜に転写し、同様に給電体(カーボンペーパーなど)に密着することにより形成されてもよい。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。乾燥温度は、通常40〜120℃程度、好ましくは75〜95℃程度である。また、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。塗布乾燥後の水電解用触媒層の厚みは、10〜80μm程度がよい。
上記の水電解用触媒層を固体高分子電解質膜に転写する場合の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5〜20MPa程度、好ましくは1〜10MPa程度がよい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、プロトン伝導性固体電高分子解質膜の破損、変性等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは120〜150℃程度がよい。
<水電解用電極膜接合体>
水電解用電極膜接合体とは、上記のような方法により、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の片面もしくは両面に、水電解用触媒層が密着して形成されたものであり、さらにその片面もしくは両面に、カーボンペーパー等の給電体が密着されていてもよい。
<固体高分子電解質膜>
固体高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホ基の解離度が高く、高いイオン導電性が実現できる。このようなプロトン伝導性高分子電解質の具体例としてはデュポン社製の「Nafion」、旭硝子(株)製の「Flemion」、旭化成(株)製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等を用いて形成した膜が挙げられる。電解質膜の膜厚は、通常20〜250μm程度、好ましくは20〜80μm程度である。
<給電体>
給電体は導電性を有し、気体が通過および拡散できる材料であれば良いが、好ましくは炭素繊維からなるカーボンペーパーなどがよい。
<転写基材>
転写基材は触媒インキを塗布することで水電解用触媒層を形成し、転写基材上にある触媒層をナフィオンなどの固体高分子電解質膜に転写するためのフィルム基材である。転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度、より好ましくは15〜30μm程度とするのがよい。
<水電解装置>
以下に、水電解装置の構成の一例を示す。上記の水電解用電極膜接合体を角型の試料とし、その両側からチタン製の通電板を2枚装着して作製する。通電板に設けた流路を通して両極へ水を供給し、電圧を印加することで、水電解を行う。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は質量部、%は質量%を表す。
水電解用炭素触媒及び金属フタロシアニンの分析は、以下の測定機器を使用した。
・表面末端窒素量、結合状態の検出;X線分光分析(XPS)(島津/KRATOS社製 AXIS−HS)
・親水度、BET比表面積の測定;ガス吸着量測定(日本ベル社製 BELSORP−max)
・X線回折ピークの位置、半値幅;X線回折(XRD)測定(リガク社製 SmartLab)
・平均一次粒子径の観察;透過型電子顕微鏡(TEM:JEOL社製JEM1010)、走査型電子顕微鏡SEM:日立製作所社製S−4300)
・平均二次粒子径の測定;レーザー回折法による粒度分布計(Malvern Instruments社製 マスターサイザー2000)
本明細書において、グラフェンナノプレートレットの平均一次粒子径とは炭素平面方向の大きさ(長径)であり、金属フタロシアニンの平均一次粒子径は粒子の長径のことである。それぞれ、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡で測定した粒子50個の平均値によって求めることができる。
同様に、金属フタロシアニンの平均二次粒子径とは、上記粒度分布計にて求めたd−50の値である。具体的な測定方法は、金属フタロシアニンの粉末を測定セル内へ投入、信号レベルが最適値を示したところで測定した。
使用した炭素材料、樹脂成分、グラフェンナノプレートレットおよび金属フタロシアニンの性状を以下に示す。
・グラフェンナノプレートレット(GNP):xGnP−C−750(XGscience社製:平均一次粒子径0.3μm、厚み2nm、比表面積670m/g)
・ケッチェンブラック(KB):EC−600JD(アクゾ社製)
・ポリアクリロニトリル(PAN):(シグマアルドリッチ社製)
・鉄フタロシアニン(FePc):P−26(山陽色素社製:平均一次粒子径80nm、平均二次粒子径20μm)
・コバルトフタロシアニン(CoPc):フタロシアニンコバルト(II)(東京化成社製:平均一次粒子径300nm、平均二次粒子径5.0μm)
<金属フタロシアニン微粒子の作製>
[製造例1]
コバルトフタロシアニンをスパイラルジェットミル(ホソカワミクロン社製「AS50」)で乾式粉砕し、コバルトフタロシアニン微粒子(1)を得た。コバルトフタロシアニン微粒子(1)の平均一次粒子径が200nm、平均二次粒子径が3μmであった。
[製造例2]
鉄フタロシアニン20部とエタノール80部を秤量し、分散溶液を作製後、メディアとしてジルコニアビーズを添加した後、自転に加えて公転による遠心力を利用するナノ型粉砕機(シンキー社製「NP−100」)で、湿式粉砕し、得られたスラリーを乾燥させ、鉄フタロシアニン微粒子(1)を得た。鉄フタロシアニン微粒子(1)の平均一次粒子径が50nm、平均二次粒子径が40μmであった。
鉄フタロシアニン微粒子(1)をスパイラルジェットミル(ホソカワミクロン社製「AS50」)で乾式粉砕し、鉄フタロシアニン微粒子(2)を得た。鉄フタロシアニン微粒子(2)の平均一次粒子径が50nm、平均二次粒子径が5μmであった。
[実施例1;水電解用炭素触媒(1)]
グラフェンナノプレートレットとコバルトフタロシアニンを、質量比1/0.5(グラフェンナノプレートレット/コバルトフタロシアニン)で秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、水電解用炭素触媒(1)を得た。
[実施例2;水電解用炭素触媒(2)]
コバルトフタロシアニンの代わりに、コバルトフタロシアニン微粒子(1)を使用した他は、実施例1と同様にして、水電解用炭素触媒(2)を得た。
[実施例3;水電解用炭素触媒(3)]
グラフェンナノプレートレットとコバルトフタロシアニンを、質量比1/0.5(グラフェンナノプレートレット/コバルトフタロシアニン)で秤量し、メディアとしてジルコニアビーズを添加した後、スキャンデックスを用いて湿式混合し、スラリーを得た。得られたスラリーからジルコニアビーズを除去した後、乾燥させ、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、水電解用炭素触媒(3)を得た。
[実施例4;水電解用炭素触媒(4)]
コバルトフタロシアニンの代わりに、鉄フタロシアニンを使用した他は、実施例1と同様にして、水電解用炭素触媒(4)を得た。
[実施例5;水電解用炭素触媒(5)]
コバルトフタロシアニンの代わりに、鉄フタロシアニン微粒子(2)を使用した他は、実施例1と同様にして、水電解用炭素触媒(5)を得た。
[実施例6;水電解用炭素触媒(6)]
グラフェンナノプレートレットの代わりに、ケッチェンブラックを使用した他は、実施例1と同様にして、水電解用炭素触媒(6)を得た。
[実施例7;水電解用炭素触媒(7)]
ポリアクリロニトリルを、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて空気雰囲気下、230℃で1時間熱処理を行い、不融化ポリアクリロニトリルを得た。
グラフェンナノプレートレットの代わりに、上記不融化ポリアクリロニトリルを使用した他は、実施例1と同様にして、水電解用炭素触媒(7)を得た。
[比較例1;水電解用炭素触媒(8)]
グラフェンナノプレートレットとコバルトフタロシアニンを、質量比1/0.5(グラフェンナノプレートレット/コバルトフタロシアニン)で秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)にて乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、400℃で2時間熱処理を行い、水電解用炭素触媒(8)を得た。
[比較例2;水電解用炭素触媒(9)]
コバルトフタロシアニンの代わりに、鉄フタロシアニンを使用した他は、比較例1と同様にして、水電解用炭素触媒(9)を得た。
<水電解用炭素触媒の物性評価>
実施例1〜7及び、比較例1〜2で得た水電解用炭素触媒(1)〜(9)の表面末端窒素量、BET比表面積、親水度、半値幅を測定した。
結果を表1に示す。
[表面末端窒素量]
島津/KRATOS社製AXIS−HSを用いて、X線光電子分光法(XPS)により材料表面の全元素に対する窒素原子のモル比(N)を測定した。続いて、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により、材料表面の全窒素量に対する、N1型窒素原子量の割合(N1)(%)とN2型窒素原子量の割合(N2)(%)を求めた。これらの値から、表面末端窒素量{N×(N1+N2)}を算出した。
ピーク分離は、各成分をガウス関数としてピーク強度、ピーク位置、ピーク半値全幅をパラメーターとして最適化することにより行った。
なお、N1型窒素原子とは、N1s電子の結合エネルギーが398.5±0.5eVであり、ピリジン類似の構造をしているものである。また、N2型窒素原子とは、N1s電子の結合エネルギーが400±0.5eVであり、ピロール類似の構造をしているものである。
[BET比表面積]
日本ベル社製BELSORP−maxを用いて、窒素を吸着種としたガス吸着測定(定容法)を実施した。吸着温度は−196℃とした。BET法に基づいて、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)を算出した。
[親水度]
BETN2と同様にして、吸着温度40℃において、水を吸着種としたBET比表面積(BETH2O)を測定した。BETH2Oと、BETN2から、親水度(BETH2O/BETN2)を算出した。
[半値幅]
試料をガラス試料板の凹部に入れ、試料表面と試料板の基準面の高さが一致するように均一に充填し、リガク社製SmartLabにてCuKα線をX線源とするX線回折図を測定した。X線管球への印加電圧は40kV、電流は40mA、測定範囲(2θ)は5〜100°とした。回折角(2θ)15〜20°付近と30〜35°付近を結んだ直線をバックグラウンドとして差し引いてバックグラウンド補正を行った。回折角(2θ)が24.0〜27.0°の位置にあるピークを検出し、プロファイルフィッティングにより該ピークの半値幅を算出した。
<水電解用炭素触媒のプロトン還元活性評価>
実施例1〜7及び、比較例1〜2で得た水電解用炭素触媒(1)〜(9)をそれぞれグラッシーカーボン上に分散させた電極を作製し、RRDE−3A回転リーディング電極装置を用いて、リニアスイープボルタンメトリー測定でプロトン還元活性評価を行なった。評価方法は以下の通りである。
(1)インキ化方法
水電解用炭素触媒8部を秤量し、固体高分子電解質としてナフィオン分散液(デュポン社製;固形分5%、水15〜20%、プロパノール75〜80%)500部に添加したあと、超音波(45kHz)で60分間分散処理を行ない水電解用触媒インキとした。
(2)作用電極作製方法
水電解用触媒インキを1.5μL採取し、回転電極のガラス状炭素上に塗付し、乾燥させた。
(3)LSV(リニアスイープボルタンメトリー)測定
乾燥させた回転電極を作用極、可逆水素電極(RHE)を参照極、白金線を対極とし、電解液である0.1M−過塩素酸水溶液中、25℃において、窒素ガスで30分間脱気した。掃引速度10mV/s、回転速度3600rpmで、0.0V vs RHEから−0.5V vs RHEの範囲で測定を行った。尚、プロトン還元電位は、プロトン還元電流密度−1.59mA/cmの時のデータを読み取り、プロトン還元電流密度はプロトン還元電位−0.5Vの時のデータを読み取った。プロトン還元電位が高く、プロトン還元電流密度の絶対値が高いものほど、プロトン還元触媒能(活性)が優れていることを示す。
プロトン還元活性評価の結果を表1に示す。
Figure 2017210638
表1から分かるように、実施例の製造方法で合成した水電解用炭素触媒(1)〜(7)は、比較例の製造方法で合成した水電解用炭素触媒(8)〜(9)に比べ、いずれも高いプロトン還元活性を有するものであった。
次に、水電解用触媒インキ及び水電解用触媒層の作製を行い、水電解性能評価を行った。
<水電解用触媒インキの調製>
実施例1の水電解用炭素触媒(1)5.4部を秤量し、1−ブタノール58.6部とナフィオン分散液(デュポン社製;固形分5%、水15〜20%、プロパノール75〜80%)36質量部の混合溶液中に添加後、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて撹拌混合することで水電解用触媒インキ(1)(固形分濃度9質量%、触媒インキ100質量%としたときの水電解用炭素触媒とバインダーを合計した割合)を調製した。
また、水電解用炭素触媒(1)の代わりに比較例1の水電解用炭素触媒(8)を用いて、水電解用触媒インキ(2)を調製した。
<水電解用触媒層1の作製>
水電解用触媒インキ(1)及び(2)を、ドクターブレードにより、乾燥後のプロトン還元触媒の目付け量が10mg/cm2になるように給電体(炭素繊維からなるカーボンペーパー、TGP−H−090、東レ(株)製)上に塗布し、大気雰囲気下、95℃で15分間乾燥することにより、水電解用触媒層1(1)及び(2)を作製した。
<水電解用触媒層2の作製>
白金黒17部(ジョンソンマッセイ社製)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液2部(ダイキン社製)とを混合し、窒素雰囲気中350℃の条件で1時間加熱することにより、白金黒―PTFE複合体を作製した。白金黒―PTFE複合体19部と、イリジウムブラック8部(ジョンソンマッセイ社製)、5質量%ナフィオン(Nafion)溶液(プロトン伝導性ポリマー、デュポン社製、溶剤:水及び1−プロパノール)20部を添加し、ミキサーに入れて混合した。次いで、サンドミルに入れて分散し、スラリーを作製した。得られたスラリーをイリジウムブラックの目付け量が0.8mg/cm2になるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気中95℃の条件で15分間乾燥することにより、水電解用触媒層2を作製した。
<水電解用電極膜接合体の作製>
水電解用触媒層1(1)または(2)と、水電解用触媒層2とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製、膜厚50μm)の両面に密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、テフロン(登録商標)フィルムを剥離することにより、水電解用電極膜接合体を作製した。
<水電解装置の作製>
水電解用電極膜接合体の両側に給電体を設け、その外側に流路を設けたチタン製の通電板を2枚装着し、水電解装置を作製した。
<電解試験>
大気圧80℃で水の電気分解を行い、電流および電圧を測定した。電解性能として、セル電圧1.6Vにおける電流密度を求めたところ、実施例1の水電解用触媒インキ(1)から得られた水電解装置では、比較例1の水電解用触媒インキ(2)から得られた水電解装置と比較して10倍の優れた電流密度が得られた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims (11)

  1. 窒素を含有し、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、触媒表面の全元素に対する窒素原子のモル比をNとし、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN1型窒素原子量の割合とN2型窒素原子量の割合の合計(%)を(N1+N2)としたときの、表面末端窒素量{N×(N+N)}が1.0〜13.0であることを特徴とする水電解用炭素触媒。
  2. 水を吸着種としたBET比表面積(BETH2O)と、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)の比(BETH2O /BETN2)で示される親水度が、0.1〜2.5であることを特徴とする請求項1記載の水電解用炭素触媒。
  3. CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が24.0〜27.0°の位置にピークを有し、該ピークの半値幅が7°以下であることを特徴とする請求項1または2記載の水電解用炭素触媒。
  4. 窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)が、100〜500m/gであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水電解用炭素触媒。
  5. Co及び/またはFeを含有することを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の水電解用炭素触媒。
  6. グラフェンナノプレートレットと、金属フタロシアニンとを混合する工程と、前記混合により得られた混合物を不活性ガス雰囲気中、500〜1000℃で熱処理し、炭素化する工程とを含む請求項1〜5いずれか記載の水電解用炭素触媒の製造方法。
  7. グラフェンナノプレートレットに対する金属フタロシアニンの質量比が、0.3/1〜2/1であり、前記熱処理は、700〜1000℃で行われることを特徴とする請求項6記載の水電解用炭素触媒の製造方法。
  8. 前記金属フタロシアニンが、鉄フタロシアニンまたはコバルトフタロシアニンである請求項6または7記載の水電解用炭素触媒の製造方法。
  9. 前記鉄フタロシアニンは、平均一次粒子径が10〜100nm、且つ平均二次粒子径が0.1〜10μmであり、前記コバルトフタロシアニンは、平均一次粒子径が10〜500nm、且つ平均二次粒子径が0.1〜10μmである請求項8記載の水電解用炭素触媒の製造方法。
  10. 請求項1〜5いずれか記載の水電解用炭素触媒と、バインダーと、溶剤とを含有する水電解用触媒インキ。
  11. 請求項1〜5いずれか記載の水電解用炭素触媒を、固体高分子電解質膜の一方、又は双方の面に配置させた電極膜接合体を有する水電解装置。

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