以下、実施形態の一例として記録システムについて図を参照して説明する。図1は、本実施形態における記録システム1000の外観を示す正面図である。記録システム1000は、記録媒体としての用紙Pに画像を記録する記録装置の一例であるプリンター100と、プリンター100により画像が記録された用紙Pに所定の第1の後処理を行う第1の後処理装置200と、第1の後処理装置200により第1の後処理が行われた用紙Pに対し、所定の第2の後処理を行う第2の後処理装置300と、を含んで構成される。
記録システム1000は、図1における左右方向Xの右側から左側へ順に、プリンター100、第1の後処理装置200、第2の後処理装置300が並んで配置される。すなわち、左右方向Xを並び方向として、プリンター100と第1の後処理装置200とが互いに隣接するとともに、第1の後処理装置200と第2の後処理装置300とが互いに隣接し、プリンター100と第2の後処理装置300との間に第1の後処理装置200が配置される。
プリンター100は、用紙Pに液体としてのインクを付着させることで文字や写真などの画像を記録するインクジェット式プリンターである。装置本体101は、外装カバー105、正面に設けられた前板カバー104、図面左側の側面に設けられた引き出しカバー106によって覆われる。装置本体101の図面右側の側面、背面も図示しない外装カバーによって覆われ、装置本体101の外観形状は略直方体である。
鉛直方向Zにおいて、装置本体101の上部には、プリンター100の各種操作を行うための操作部102が備えられる。以降、上部、下部、上方、下方、上側、下側の記載は、鉛直方向Zにおける部位や方向をいう。
プリンター100には、プリンター100の鉛直方向Zにおける中央部から下部に亘って用紙カセット103が設けられる。用紙カセット103は、鉛直方向Zに4つ並んで配置され、それぞれにプリンター100が記録を行う用紙Pを積層状態で収容する。
用紙カセット103における左右方向Xの中央部には、ユーザーが把持可能な把持部103aがそれぞれ形成される。用紙カセット103は、左右方向X及び鉛直方向Zの双方と交差する前後方向Yにおいて装置本体101に対して挿抜可能に構成される。それぞれの用紙カセット103に収容される用紙Pは、それぞれ異なる種別のものでもよいし、同じ種別のものであってもよい。
第1の後処理装置200は、プリンター100により記録された用紙Pに対して第1の後処理を行う。本実施形態における第1の後処理では、用紙Pの乾燥処理を行う。第1の後処理装置200は、用紙Pに対して所定の期間以上に亘り搬送を行うことにより、用紙Pを乾燥させる。このため、用紙Pの搬送時間を稼ぐことで、記録部110(図2参照)による記録に起因して用紙Pに生じるカールの程度を抑えることができる。
第1の後処理装置200は、上方の一部が開放された箱状の本体部201aと、本体部201aの上向き開口部に開閉自在に設けられた第1の板状部材201c及び第2の板状部材201dを含む上面部201bと、を有している。
本体部201aは、プリンター100により記録された用紙Pが導入される導入部202と、導入部202よりも左右方向Xにおける図面左側に位置して第2の後処理装置300へ用紙Pを導出する導出部203とを含んで構成されている。
導出部203は、第2の後処理装置300と隣接する部分において上面部201bよりも上方に突出した延長部203aをさらに備える。延長部203aは、プリンター100側の面であって、鉛直方向Zの下方側の部分に第2の後処理装置300側に凹んだ凹部203bを備える。上面部201bの一部は、凹部203bの内部に配置される。上面部201bの第2の後処理装置300側の端部である第2の板状部材201dは、凹部203bの下端部に位置している。
第2の後処理装置300は、プリンター100により記録され、第1の後処理装置200により搬送された用紙Pに対して第2の後処理を行う。第2の後処理としては、例えば、裁断や紙折り、パンチ穴あけやステープル、ソートなどがある。そして、第2の後処理が行われた用紙Pは、第2の後処理装置300の左側面から左向きに延びる排紙部302に載置される。
次に、プリンター100の構造について説明する。図2は、プリンター100の概略構造図である。装置本体101の内部には、用紙Pに対して鉛直方向Zの上側から記録を行う記録部110と、用紙Pを搬送経路120に沿って搬送する搬送部130とが設けられている。搬送経路120は、前後方向Yに沿う方向を用紙Pの幅方向としたときに、この幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Pが搬送されるように形成される。
記録部110は、用紙Pの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を下部に備えている。記録部110は、記録ヘッド111から吐出されるインクが用紙Pにおいて記録ヘッド111と対向する記録面(画像を印刷される面)に付着されることで、用紙Pに画像を形成する。
搬送部130は、搬送経路120に沿って配置されている複数の搬送ローラー対131と、記録部110の直下に設けられるベルト搬送部132とを有している。ベルト搬送部132によって搬送されている用紙Pに対して、記録ヘッド111からインクが吐出され、記録が行われる。
ベルト搬送部132は、記録ヘッド111よりも搬送方向上流側(左右方向Xにおける図面右側)に配置されている駆動ローラー133と、記録ヘッド111よりも搬送方向下流側(左右方向Xにおける図面左側)に配置されている従動ローラー134と、これらの各ローラー133,134に掛けられた無端状をなす環状のベルト135とを有している。駆動ローラー133が駆動回転することによりベルト135が周回し、その周回するベルト135によって用紙Pが下流側へ搬送される。すなわち、ベルト135の外周面が、記録が行われる用紙Pを支持する支持面として機能する。
搬送経路120は、記録部110へ向けて用紙Pが搬送される供給経路140と、記録部110により記録が行われ、記録済とされた用紙Pが搬送される排出経路150と、排出経路150から分岐する分岐経路160とを有している。
供給経路140は、第1の供給経路141と、第2の供給経路142と、第3の供給経路143とを有している。第1の供給経路141では、装置本体101の右側面に備えられたカバー141aを開けることによって露出する挿入口141bから挿入される用紙Pが記録部110へ搬送される。第1の供給経路141には第1駆動ローラー対144が設けられており、挿入口141bから挿入された用紙Pは、第1駆動ローラー対144の回転駆動によって記録部110へ向かって直線的に搬送される。
第2の供給経路142では、鉛直方向Zにおいて、装置本体101の下部に備えられた用紙カセット103にそれぞれ収容された用紙Pが、記録部110へ搬送される。第2の供給経路142のうちの各用紙カセット103付近にはピックアップローラー142a及び分離ローラー対145が設けられている。用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Pは、最上位の用紙Pがピックアップローラー142aにより送り出され、分離ローラー対145で一枚ずつに分離された後、鉛直方向Zにおける姿勢が反転されながら、第2の供給経路142に設けられた第2駆動ローラー対146の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。
第3の供給経路143では、用紙Pに対して両面に画像を記録する両面印刷を行う場合に、記録部110によって片面が記録済とされた用紙Pが、再び記録部110へ搬送される。すなわち、記録部110よりも搬送方向下流側には、排出経路150から分岐する分岐経路160が設けられている。両面印刷を行う際、用紙Pは、排出経路150の途中に設けられた分岐機構147の動作によって分岐経路160へ搬送される。また、分岐経路160には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐経路ローラー対161が分岐機構147よりも下流側に設けられる。
両面印刷に際して、一面が印刷された用紙Pは、分岐機構147により一旦この分岐経路160へ案内され、正転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側に搬送される。その後、分岐経路160へ搬送された用紙Pは、逆転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側から上流側へ逆搬送される。
分岐経路160から逆搬送される用紙Pは第3の供給経路143へ搬送され、複数の搬送ローラー対131によって記録部110へ向かって搬送される。第3の供給経路143は、記録部110を回して、記録部110よりも上流側において第1の供給経路141及び第2の供給経路142と合流する。このため、第3の供給経路143を搬送されることによって、用紙Pは印刷されていない他面が記録部110と対向するように反転され、第3駆動ローラー対148の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。すなわち、第3の供給経路143は、鉛直方向Zにおける用紙Pの姿勢を反転させながら搬送する反転搬送経路として機能する。
各供給経路141,142,143のうち、第2の供給経路142及び第3の供給経路143は、鉛直方向Zにおいて用紙Pの姿勢が湾曲されながら記録部110へ向けて用紙Pが搬送される。その一方で、第1の供給経路141は、第2の供給経路142及び第3の供給経路143と比較して、用紙Pの姿勢が大きく湾曲されることなく記録部110へ向けて用紙Pが搬送される。
各供給経路141,142,143を搬送される用紙Pは、記録部110よりも搬送方向の上流側に配設された整列ローラー対149まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対149にその先端が突き当たる。そして、用紙Pは、このような整列ローラー対149へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正(スキュー取り)される。そして傾きが補正された用紙Pは、その後の整列ローラー対149の回転駆動によって、整列状態となって記録部110へ搬送される。
記録部110により片面又は両面に記録が行われ、記録が完了された用紙Pは、搬送ローラー対131により搬送経路120の下流部を構成する排出経路150に沿って搬送される。排出経路150は、分岐経路160と分岐する位置よりも下流となる位置で、第1の排出経路151、第2の排出経路152、及び、第3の排出経路153に分岐している。すなわち、記録が完了された用紙Pは、排出経路150の上流部を構成する共通排出経路154を搬送された後、共通排出経路154の下流端に設けられた案内機構180により、排出経路150の下流部を構成する第1〜第3の各排出経路151,152,153のうち何れかの経路へ案内される。
第1の排出経路151は、装置本体101の上方へ向かうとともに、分岐経路160に沿うように湾曲して延びて設けられる。第1の排出経路151を搬送される用紙Pは、第1の排出経路151の終端となるように装置本体101の一部に開口する排出口155から排出される。そして、排出口155から排出された用紙Pは、鉛直方向Z下側へ落下し、図2において二点鎖線で示すように、積層された状態で載置台156に排紙される。なお、排出経路150の複数箇所に配置された搬送ローラー対131により、用紙Pは、排出口155から片面印刷時における記録面が鉛直方向Zにおいて下を向く姿勢にて載置台156に排紙される。
載置台156は、左右方向Xにおける右方向に向かうにつれて、鉛直方向Z上側に上昇する先上がりの傾斜した形状を有し、この載置台156に用紙Pが積層状態で載置される。このとき、載置台156に載置された各用紙Pは、載置台156の傾斜に沿って左方向に移動し、装置本体101の排出口155の下側に設けられた縦側壁157に接近して載置される。
また、第1の排出経路151は、記録部110により記録された用紙Pが排出口155まで搬送される間において、その用紙Pの表裏を反転させる湾曲反転経路151aを有している。すなわち、湾曲反転経路151aは、記録部110により記録された用紙Pの記録面を内側にして湾曲させるとともに、その用紙Pの記録面が鉛直方向Zにおいて鉛直方向Z上側に向く状態から鉛直方向Z下側に向く状態に用紙Pを反転させる。したがって、用紙Pは、この湾曲反転経路151aを通ることによって片面印刷時における記録面が載置台156と対峙する状態となって排出口155から排出される。
第2の排出経路152は、第1の排出経路151よりも下側に分岐し、記録部110から第1の後処理装置200側に向かって直線的に延びている。そのため、第2の排出経路152を搬送される用紙Pは、第1の排出経路151のように湾曲した姿勢で搬送されず、その姿勢が記録部110を通過したときと同様に一定に保たれたまま直線的に搬送され、排出口108から第1の後処理装置200の上面部201bに向かって排出される。すなわち、第2の排出経路152は、鉛直方向における用紙Pの姿勢を反転させることなく上面部201bへ向けて用紙Pを搬送する非反転排出経路として機能する。第2の排出経路152を順次通過した複数の用紙Pは、排出口108から排出されて落下することにより、上面部201b上に積み重ねられる。
第3の排出経路153は、第2の排出経路152よりも下側に分岐し、装置本体101の下方へ向かうように、斜め下側に向かって延在し、下流端は、第1の後処理装置200が有する導入経路211の上流端と装置本体101内にて接続されている。
第3の排出経路153には、排出ローラー対136が設けられ、第3の排出経路153を搬送される用紙Pは、排出ローラー対136によって導入経路211側へ搬送される。
図1の前板カバー104は、最上段の用紙カセット103と隣り合う長辺を基端として回動可能に設けられる。前板カバー104を開くことにより、図2の搬送経路120の一部が露出する。これにより、搬送経路120において用紙Pの搬送不良が生じた際に、用紙Pを除去することができる。
図2の引き出しカバー106は、ユーザーが手を掛けるための手掛部107を有し、装置本体101から引き出し可能に設けられる。引き出しカバー106が、装置本体101から図面左側に引き出されると、これと連動し、引出ユニット170が装置本体101から引き出される。
引出ユニット170を装置本体101から引き出した状態で、引出ユニット170に取り付けられた第1経路形成部171及び第2経路形成部172を、軸173を中心に時計回り方向に回動させると、第1の排出経路151を構成する湾曲反転経路151aの内側のガイド面が外側のガイド面から離間し、また分岐経路160の外側のガイド面と内側のガイド面とが離間する。
これにより、湾曲反転経路151a及び分岐経路160の外側のガイド面と内側のガイド面とがそれぞれ離間することで、経路内が開放され、経路内で紙詰まりを起こした用紙Pを取り出し可能な状態となる。
図3、図4、図5は、案内機構180の状態を示す拡大図である。図3〜図5に示すように、案内機構180は、第1案内部181と第2案内部182とを有している。各案内部181,182は、共通排出経路154の下流端から第1〜第3の各排出経路151,152,153に分岐する分岐位置190に設けられ、記録部110からの用紙Pの搬送方向となる左右方向Xにおいて、第1案内部181が上流側となる右側、第2案内部182が下流側となる左側に位置するように、ずれて配置されている。また、鉛直方向Zにおいても、第1案内部181が下側、第2案内部182が上側に位置するように、ずれて配置される。
各案内部181,182は、搬送方向となる左右方向Xにおいて下流側となる左側の部分である基端部183,184にそれぞれ軸185,186を有し、それぞれの軸185,186を中心に回動可能に設けられている。各案内部181,182は、それぞれが有する軸185,186を中心に回動することで、搬送方向となる左右方向Xにおいて上流側となる右側の部分であって、基端部183,184とは反対側となる先端部187,188の位置が鉛直方向Zにおいて上下に変位する。
各案内部181,182は、それぞれ上位置又は下位置に選択的に切り替えられ、共通排出経路154を搬送される用紙Pに対して接触することで、用紙Pを第1〜第3の各排出経路151,152,153の何れかへ案内する。ちなみに、各案内部181,182は、互いの回動動作を阻害しないように、例えば基端部183,184から先端部187,188にかけて歯状に形成されることで、互いに干渉しないように構成されている。各案内部181,182におけるこの回動動作は、プリンター100が備える図示しない制御部により制御される。
図3は、第1案内部181の先端部187及び第2案内部182の先端部188の両方が下位置に位置するときの状態を示す。このとき、第1案内部181の先端部187は、第3の排出経路153の上流端を塞ぐように位置し、第2案内部182の先端部188は、第2の排出経路152の上流端を塞ぐように位置する。このため、図3の状態において、案内機構180は、共通排出経路154を搬送される用紙Pを第1の排出経路151へ案内する。
図4は、第1案内部181の先端部187が下位置で、第2案内部182の先端部188が上位置に位置するときの状態を示す。このとき、第1案内部181の先端部187は、第3の排出経路153の上流端を塞ぐように位置し、第2案内部182の先端部188は、第1の排出経路151の上流端を塞ぐように位置する。このため、図4の状態において、案内機構180は、共通排出経路154を搬送される用紙Pを第2の排出経路152へ案内する。
図5は、第1案内部181の先端部187及び第2案内部182の先端部188の両方が上位置に位置するときの状態を示す。このとき、第1案内部181の先端部187は、第1の排出経路151の上流端及び第2の排出経路152の上流端を塞ぐように位置し、第2案内部182の先端部188は、第1の排出経路151の上流端を塞ぐように位置する。このため、図5の状態において、案内機構180は、共通排出経路154を搬送される用紙Pを第3の排出経路153へ案内する。
次に、第1の後処理装置200について説明する。
図6は、第1の後処理装置200の概略構造図である。第1の後処理装置200内には、用紙Pを中間搬送経路210に沿って搬送する中間搬送部220が設けられている。中間搬送経路210は、前後方向Yに沿う方向である媒体の幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Pが湾曲しながら搬送されるように形成される。
中間搬送部220は、中間搬送経路210に沿って設けられた複数の中間搬送ローラー対221を有している。中間搬送ローラー対221が、用紙Pを表裏両側から挟み込んで支持した状態で回転駆動することにより、用紙Pは中間搬送経路210に沿って搬送される。中間搬送ローラー対221は、用紙Pに噴射されたインクの付着を抑制するため、外周に凹凸が形成されていることが好ましい。
導入部202における鉛直方向Zの上方位置となる中間搬送経路210の上流端には、プリンター100の第3の排出経路153の下流端と接続され、第1の後処理装置200内に用紙Pを導入する導入経路211が設けられる。導入経路211は、プリンター100の装置本体101の図面左側の側壁及び第1の後処理装置200の図面右側の側壁を貫通し、装置本体101から第1の後処理装置200の内部に向かって鉛直方向Zと交差する斜め下向きにまっすぐ延びている。
導入経路211には、第3の排出経路153から排出される用紙Pをガイドする案内板206と、下流側に搬送する搬送ローラー対204,205が設けられる。搬送ローラー対204は、搬送方向において搬送ローラー対205より上流側に設けられる。
排出ローラー対136を通過した用紙Pの先端部は、搬送ローラー対204のニップ位置で挟持され、下流側に移動する。すなわち、排出ローラー対136によって排出される用紙Pは、搬送ローラー対204に受け渡されて下流側に搬送される。
中間搬送経路210は、導入経路211、第1の分岐経路212、第2の分岐経路213、第1のスイッチバック経路214、第2のスイッチバック経路215、第1の合流経路216、第2の合流経路217及び導出経路218を有している。
中間搬送経路210は、導入経路211の下流端である分岐点Aから第1の分岐経路212及び第2の分岐経路213に分岐する。導入経路211には、導入経路211を搬送される用紙Pを検出するセンサー222が設けられる。
案内フラップ223は、分岐点Aに設けられ、センサー222が用紙Pを検出した際に送信する信号に基づいて駆動し、導入経路211を搬送される用紙Pを第1の分岐経路212へ案内する位置と、第2の分岐経路213へ案内する位置との間で位置が切り替えられる。導入経路211を次々と搬送される用紙Pは、案内フラップ223の動作によって、第1の分岐経路212、第2の分岐経路213へ交互に案内される。
第1の分岐経路212の下流端には、第1のスイッチバック経路214の上流端が接続されている。第1のスイッチバック経路214は、その途中から図面左向きにやや湾曲した後、下向きに延びている。第1のスイッチバック経路214において、湾曲箇所よりも下流となる下流には、搬送される用紙Pを鉛直方向Z下側から支持するガイド214aが設けられる。
第1のスイッチバック経路214において、湾曲箇所よりも上流となる上流部には、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙Pを検出するセンサー224が1つと、正転方向及び逆転方向に回転可能な第1反転ローラー対225が2対設けられている。2対の第1反転ローラー対225は、センサー224が用紙Pを検出した際に送信する信号に基づいて、正転駆動又は逆転駆動を行う。これにより、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙Pは、第1反転ローラー対225によって用紙Pの搬送される向きが反転されたうえで搬送(スイッチバック)される。
第1の分岐経路212の下流端には、第1の分岐経路212から第1のスイッチバック経路214への用紙Pの移動を許容する一方、第1のスイッチバック経路214から第1の分岐経路212への用紙Pの移動を規制する第1規制フラップ226が設けられている。第1規制フラップ226は、図示しない付勢部材による付勢力によって第1の分岐経路212の下流端を塞ぐように付勢されている。
第2の分岐経路213の下流端には、第2のスイッチバック経路215の上流端が接続されている。第2のスイッチバック経路215は、鉛直方向Zにおいて下向きに延びるように設けられている。第2のスイッチバック経路215において、湾曲箇所を含む上流部の下流端は、第1の後処理装置200の図面右側の側面に向かって開放される。
この下流端と対向する位置には、第1の後処理装置200の図面右側の側面から底面215aに亘って湾曲して延びるガイド部215bが設けられる。第2のスイッチバック経路215を用紙Pが搬送されると、用紙Pの先端は、その開放された下流端から突出し、突出した用紙Pの先端はガイド部215bにより案内され、底面215aへと第1のスイッチバック経路214の下流端の下方へ潜り込むように導かれる。
第2のスイッチバック経路215は、ガイド部215bと底面215aとを含んで構成されている。搬送方向における第2のスイッチバック経路215の経路長は、第1のスイッチバック経路214の場合と同様に、プリンター100が記録可能な用紙Pの搬送方向における媒体長以上となるように構成されている。
第2のスイッチバック経路215の上流部において、湾曲箇所よりも上流となる位置には、第2のスイッチバック経路215を搬送される用紙Pを検出するセンサー227が1つと、正転方向及び逆転方向に回転可能な第2反転ローラー対228が2対設けられている。
2対の第2反転ローラー対228は、センサー227から送信される信号に基づいて、正転駆動又は逆転駆動を行う。これにより、第2のスイッチバック経路215を搬送される用紙Pは、第2反転ローラー対228によって用紙Pの搬送される向きが反転されたうえで搬送(スイッチバック)される。
第2の分岐経路213の下流端には、第2の分岐経路213から第2のスイッチバック経路215への用紙Pの移動を許容する一方、第2のスイッチバック経路215から第2の分岐経路213への用紙Pの移動を規制する第2規制フラップ229が設けられている。第2規制フラップ229は、図示しない付勢部材による付勢力によって第2の分岐経路213の下流端を塞ぐように付勢されている。
第1の分岐経路212の下流端と第1のスイッチバック経路214の上流端とが接続される第1接続点Bから第1の合流経路216が図面右側へ湾曲しながら下向きに延びている。第2の分岐経路213の下流端と第2のスイッチバック経路215の上流端とが接続される第2接続点Cから第2の合流経路217が図面左側へ湾曲しながら延びている。
第1のスイッチバック経路214と第2のスイッチバック経路215との間に位置する合流点Dにて第1の合流経路216及び第2の合流経路217が合流している。
第1の分岐経路212から第1のスイッチバック経路214へ用紙Pが搬送される際には、用紙Pの先端が接触することで第1規制フラップ226が第1の分岐経路212の下流端を開くように変位される。一方、第1のスイッチバック経路214から用紙Pが反転搬送(スイッチバック)される際には、第1規制フラップ226により第1の分岐経路212へ搬送されることが規制され、用紙Pは第1の合流経路216へ案内される。
第2の分岐経路213から第2のスイッチバック経路215へ用紙Pが搬送される際には、用紙Pの先端が接触することで第2規制フラップ229が第2の分岐経路213の下流端を開くように変位される。一方、第2のスイッチバック経路215から用紙Pが反転搬送(スイッチバック)される際には、第2規制フラップ229により第2の分岐経路213へ搬送されることが規制され、用紙Pは第2の合流経路217へ案内される。
第1の合流経路216の下流端と第2の合流経路217の下流端とが接続される合流点Dには、導出経路218の上流端が接続されている。導出経路218は、第2の後処理装置300へ向けて第1のスイッチバック経路214と第2のスイッチバック経路215の間を通過するように湾曲しながら下向きに延びた後、第1のスイッチバック経路214の下流端の下側を回り込むように回して、導出部203の上部へと延びている。
導出経路218の下流端は、第1の後処理装置200における図面左側の側壁を貫通し、第2の後処理装置300に向けて延びる。導出経路218に設けられる中間搬送ローラー対221であって、第1のスイッチバック経路214と対向する中間搬送ローラー対221は、第1のスイッチバック経路214側にカバー221aが設けられている。これにより、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙Pが導出経路218の中間搬送ローラー対221に接触することが抑制される。
導出経路218は、延長部203aの内部に配置され、第2の後処理装置300と連結される連結経路219を含む。連結経路219は、凹部203bよりも上方においてプリンター100側に湾曲する第1の部分219aと、第1の部分219aよりも下流かつ上方において第2の後処理装置300側に湾曲する第2の部分219bと、を備える。第2の部分219bの下流端は、第2の後処理装置300内の搬送経路(図示略)に接続されている。上面部201bの一部は、第1の部分219aの下方に位置している。
このようにして、プリンター100にて記録が行われた用紙Pは、第1の後処理装置200によってその姿勢を反転され、片面印刷時における記録面が鉛直方向Z下側を向いた状態で第2の後処理装置300へと搬送される。また、その際に、用紙Pにカールが生じた状態で第2の後処理装置300へ搬送されることは好ましくないため、第1の後処理装置200内において中間搬送経路210は、湾曲し、蛇行するように延びる経路形状とすることで用紙Pの搬送方向における経路長を確保している。
ここで、記録ヘッド111から吐出されたインクが用紙Pに付着することで生じた用紙Pのカールは、時間の経過とともに徐々に収まっていくことが知られている。そのため、第1の後処理装置200は、中間搬送経路210の経路長を確保することで、用紙Pに生じるカールの程度が所定以下となるまでに要する時間を、用紙Pが中間搬送経路210を搬送されるために要する時間として確保している。
特にラインヘッド型の記録ヘッド111により用紙Pに高速印字をして高速搬送をするものであるから、用紙Pは十分に乾燥されることなく搬送される可能性がある。すなわちカールが十分に収まらない状態で第2の後処理装置300へと搬送されてしまい、後処理を正しくできない虞がある。しかしながら、乾燥時間を確保するために中間搬送経路210における搬送速度を落としてしまうと、記録時には高速で搬送された用紙Pが中間搬送経路210にて先行する用紙Pと衝突することのないように用紙間距離をとることになってしまうため全体的なスループットが落ちてしまう。特に先行する用紙Pが後処理を行っている最中に後続の用紙Pが先行する用紙Pと衝突する可能性がある。
そこで、第1の後処理装置200においては、上述した第1のスイッチバック経路214及び第2のスイッチバック経路215といった複数のスイッチバック経路を設けることにより、第1の後処理装置200内の大型化を抑制しつつ中間搬送経路210の経路長を確保して乾燥時間を設けることができる。また、用紙Pの記録時においても用紙間距離を不必要に広げずに済み、スループットを低下させないことと、を両立することが可能である。また、上記した通り、湾曲し、蛇行するように延びる経路形状を中間搬送経路210に用いることで、より一層、乾燥時間を稼ぐこともできる。
次に、プリンター100と第1の後処理装置200とが連結される構成について説明する。図7は、第1の後処理装置200の外観斜視図である。筐体600の底部201eにおける第2の後処理装置300(図1参照)と連結される側の正面側には、キャスター250が設けられる。筐体600の底部201eにおける第2の後処理装置300と連結される側の背面側には、キャスター250と同じ構成の不図示のキャスターが設けられる。
底部201eにおけるプリンター100と連結される側の正面側及び背面側には、キャスター251が設けられる。キャスター250,251は、軸方向が鉛直方向Zの軸部に支持されて、水平方向において回動可能なローラーである。
筐体600の底部201eにおけるプリンター100と連結される側の正面側には、第2の当接部材610が設けられる。第2の当接部材610は、筐体500(図11参照)と筐体600とが並ぶ方向である左右方向Xの位置を規定するものである。
図8は、第1の後処理装置200のプリンター100と連結される側の側面の拡大図である。第1の後処理装置200の上部には、前述した案内板206(図6参照)を備えた導入経路211が設けられる。案内板206の下方には、カバー207が設けられる。
図9は、図8のカバー207を取り外した状態での第1の後処理装置200のプリンター100と連結される側の側面の拡大図である。カバー207を取り外すと、前述した搬送ローラー対204,205(図6参照)が露出する。
図10は、第1の後処理装置200のプリンター100と連結される側の側面の拡大図であり、図7の側面カバー201fを取り外した状態を示す。筐体600は、前後方向Yに延在するフレーム231を含む複数のフレームによって構成される。
フレーム231における前後方向Yの正面側(図面左側)には、穴部820が形成される。フレーム231における前後方向Yの背面側(図面右側)には、穴部821が形成された板状部材822がネジ823によって固定される。
板状部材822に形成された3個の長穴824にフレーム231に形成された3個の凸部232がそれぞれ嵌合することにより、板状部材822は、フレーム231に対する鉛直方向Zおよび前後方向Yの位置が規制される。
フレーム231の上方には、前後方向Yに延在する棒状部材811の両側に固定され、回動方向D2に回動可能な一対のフック810が設けられる。フック810は、先端側が回動方向D2に突出する突出部810aと、円弧状に切り欠かれた凹部810bとを有する。
棒状部材811は、筐体600に固定された前後方向Yの背面側の支持部815と正面側の支持部(不図示)に回動自由に支持される。棒状部材811の正面側(図面左側)の端部には、把持部814が形成されたレバー812が固定される。
レバー812には、円弧状に長く形成された長穴813が形成され、フレーム230に設けられた凸部233が長穴813に挿入した状態で、レバー812は棒状部材811を支点として回動可能である。
ユーザーが把持部814を把持し、レバー812を回動方向D1に回動させると、棒状部材811が回動し、フック810が連動して回動方向D2に回動する。
図11は、図1のプリンター100の筐体400,500の斜視図である。図11は、筐体400が筐体500の上方に載置された状態を示す。筐体400,500は、複数の金属製フレームが結合されて構成された箱形状の構造体である。
筐体400,500の外側には、図1の外装カバー105、前板カバー104、引き出しカバー106、操作部102などが装着される。
また、筐体500の下方で、第1の後処理装置200と連結される側の正面側の金属製フレームには、第1の当接部材510が設けられる。第1の当接部材510と、上述した第1の後処理装置200の筐体600に設けられた第2の当接部材610と、を当接することで、筐体500と筐体600とが並ぶ方向である左右方向Xの位置が規定される。
図11の筐体400に設けられた開口部401には、図1の4個のうちの最上段の用紙カセット103が装着される。筐体500に設けられて前後方向Yに延在するフレーム501には、図1の残りの3個の用紙カセット103が装着される。
記録部110は、複数のフレームが結合されて構成されるフレーム構造体112に保持される。フレーム構造体112は、筐体400の内側に保持される。
筐体400に収容された記録部110、フレーム構造体112、搬送部130などの荷重及び筐体400自体の荷重は、筐体500に掛かる。
図12は、フレーム構造体112および筐体500の斜視図であり、図11から筐体400および記録部110を取り除いた状態を示す。筐体400および筐体500は、独立してそれぞれ構成されており、分離可能である。
図13は、図11の第1の連結部700および第2の連結部800を構成する部材が取り付けられた部分(図11の破線Aで囲まれた部分)を拡大した斜視図である。フレーム402,403は、筐体400を構成する複数のフレームに含まれる。フレーム402とフレーム403は、ネジ404などによって結合される。フレーム502は、筐体500を構成する複数のフレームに含まれる。
一対のネジ702は、板状部材701を貫通し、筐体400を構成するフレーム402に螺合する。一対のネジ703は、板状部材701を貫通し、筐体500を構成するフレーム502に螺合する。
板状部材701、ネジ702,703によって第1の連結部700が構成される。第1の連結部700は、筐体400に対する筐体500の位置を規定し、筐体400と筐体500とを連結する。
板状部材804は、板状部材701を貫通する4個のネジ805によって筐体500に固定される。板状部材804は、筐体400に固定されない。板状部材804には、板状部材804から左右方向Xに突出した一対の支持部802が設けられ、一対の支持部802には、円柱状部材801の両端部が固定される。円柱状部材801の中心軸の方向は前後方向Yである。
円柱状部材801の下方には、円柱形状を有して左右方向Xに突出する突出部803が、板状部材804に固定される。
図11の前後方向Yにおける図面左側(破線Bで囲まれた部分)においても、上述したように、板状部材701によって筐体400と筐体500とを連結する第1の連結部700、筐体500に固定された板状部材804、板状部材804に固定された支持部802及び突出部803、支持部802に固定された円柱状部材801が、それぞれ同様に構成される。
図14は、第2の連結部800によって筐体500と筐体600とが連結された状態を、前後方向Yから見た断面図である。フック810は、凹部810bに円柱状部材801の上側半分が侵入し、突出部810aが円柱状部材801の外周面に当接した回動位置にある。この状態では、円柱状部材801がフック810によって左右方向Xの移動が規制される。すなわち、筐体600が第2の連結部800によって連結され、左右方向Xの移動が規制される状態となる。
図10のレバー812を回動方向D1における反時計回りの方向に回動させると、図14のフック810は、棒状部材811を支点として回動方向D2における反時計回りの方向に回動し、フック810は円柱状部材801と被係合の状態になる。
図14に示すように、突出部803は、穴部820,821にそれぞれ嵌合する。穴部820,821から離れた状態にある突出部803が、穴部820,821に挿入する際には、円錐状に形成された先端部803aによってガイドされる。突出部803が穴部820,821に嵌合した状態において、筐体500に対する筐体600の位置が規定される。
第2の連結部800は、図10の筐体600に設けられたフック810及び穴部820,821と、図13の筐体500に設けられた円柱状部材801及び突出部803とによって構成される。
図14の突出部803が穴部820,821に嵌合することにより、筐体500に対する筐体600の位置を規定するとともに、筐体600から受ける荷重は、突出部803及び穴部820,821を介して筐体500に掛かる。
図6に示すように、第1の連結部700及び第2の連結部800は、導入経路211の下方の位置に設けられる。
図14の突出部803が穴部820,821に嵌合した状態において、図6のキャスター250は設置面Sに接し、キャスター251と設置面Sとの間には隙間Gが形成され、キャスター251は、設置面Sに当接しない。これにより、図14の突出部803が穴部820,821に嵌合した状態において、第1の後処理装置200は、キャスター250と突出部803が挿入した穴部820,821とによって支持される。
従って、中間搬送部220や筐体600を含む第1の後処理装置200の自重が、筐体600から受ける荷重として、キャスター250に掛かるとともに、穴部820,821に挿入した突出部803を介して筐体500に掛かる。
また、前後方向Yから見ると、キャスター250を支点として、筐体500側に倒れようとする第1の後処理装置200を、突出部803が嵌合する穴部820,821の位置で止めた姿勢状態となる。従って、筐体600の筐体500に対する位置は、突出部803が嵌合する穴部820,821の位置によって規定される。
次に、筐体500と筐体600とが当接する当接部1100について、図15〜図17を参照して説明する。
図15は、図11の第1の当接部材510が取り付けられた部分(図11の破線Dで囲まれた部分)を拡大した斜視図である。第1の当接部材510は、筐体500の第1の連結部700および第2の連結部800よりも下方で、第1の後処理装置200の筐体600と対向する位置で、筐体500の金属製フレームに取付部材520を介して取り付けられている。つまり、筐体500の金属製フレームと取付部材520とは、また、取付部材520と第1の当接部材510とは、複数のネジ等によって固定されている。
第1の当接部材510は、筐体400を構成するフレーム402や筐体500を構成するフレーム502と平行な当接面512を有する当接部511と、当接部511から筐体600側に張り出す、つまり、左右方向Xに延出する張出部513と、を有している。
張出部513には、張出部513の当接面512側の面(上面側)に導通部材514が接合ネジ等により固定又は溶接等により接合されている。
導通部材514は、張出部513上で筐体600側に延在した後、当接部511側に鋭角的に折り返され、先端部が張出部513とは離間した状態で張出部513の面と略平行となるように、成形されている。導通部材514が当接部511側に鋭角的に折り返して成形されているため、張出部513の面と交差する方向である鉛直方向Zの弾性(ばね性)を有している。
筐体500のフレーム、第1の当接部材510、取付部材520、および導通部材514は、導電性部材で構成されている。そのため、筐体500のフレームと第1の当接部材510および導通部材514とは、電気的に導通する。
図16は、図7の第2の当接部材610が取り付けられた部分(図7の破線Cで囲まれた部分)を拡大した斜視図である。第2の当接部材610は、筐体600の下方で、プリンター100の筐体500に取り付けられた第1の当接部材510に対向する位置で、筐体600の底部201eに取付部材620を介して取り付けられている。つまり、底部201eと取付部材620とは、また、取付部材620と第2の当接部材610とは、複数のネジ等によって固定されている。
第2の当接部材610は、筐体600側からプリンター100側に延出する当接部611を有している。当接部611には、第1の当接部材510の当接面512に対向する当接面612が設けられており、プリンター100と第1の後処理装置200とが連結された際に、第1の当接部材510の当接面512と第2の当接部材610の当接面612とが当接する。
第2の当接部材610の前後方向Yの両端は、それぞれ筐体600側である鉛直方向Z(鉛直方向Zにおける上方)に略垂直に折り返された形状に成形されている。このような形状とすることで、平板な形状に比べ、左右方向Xの強度を高めることができ、第2の当接部材610の左右方向Xからの外力による変形を低減することができる。
また、第2の当接部材610は、筐体600側が開口し、連結されるプリンター100側に開口部を有する箱状のカバー621に、当接部611とは反対側の一部を覆われている。なお、カバー621は、取付部材620に複数のネジ等によって固定されている。
筐体600のフレーム、底部201e、第2の当接部材610、取付部材620、およびカバー621は、導電性部材で構成されている。そのため、筐体600のフレームと第2の当接部材610およびカバー621とは、電気的に導通する。
図17は、当接部1100によって筐体500と筐体600とが当接された状態を、前後方向Yから見た断面の斜視図である。当接部1100は、プリンター100の筐体500に設けられた第1の当接部材510と第1の後処理装置200の筐体600に設けられた第2の当接部材610とによって構成される。
第2の連結部800によって、筐体500と筐体600とが連結された状態で、筐体500に設けられた第1の当接部材510の当接面512に筐体600に設けられた第2の当接部材610の当接面612が当接する。第1の当接部材510と第2の当接部材610とが当接することで、筐体500と筐体600とが並ぶ方向である左右方向Xの位置が規定される。
また、第1の当接部材510と第2の当接部材610とが当接することで、第1の当接部材510に設けられた張出部513が筐体600の下方に挿入され、張出部513に配置された導通部材514が第2の当接部材610を覆っているカバー621の下方に配置される。ここで、導通部材514の高さである鉛直方向Zの長さは、張出部513とカバー621との間隔である鉛直方向Zの長さより長くなる(高くなる)ように設計されている。
そのため、カバー621の下方に導通部材514が挿入されると導通部材514は、カバー621によって、下方に押し込まれる。しかし、導通部材514は、鉛直方向Zの弾性を有しているので、上方への反発力により、導通部材514の先端部がカバー621に接触することとなり、導通部材514およびカバー621が導電性部材であるため、電気的に導通し、筐体500と筐体600とを導通することができ、電気的なノイズ等の影響を低減することができる。
なお、本実施形態では、導通部材514がカバー621に接触する構成として電気的に導通を図ったが、これに限定されることはなく、導通部材514が第2の当接部材610や取付部材620や底部201eに接触することで電気的に導通を図る構成でも構わない。
また、導通部材514の弾性を利用して、カバー621との電気的に導通を図ったが、これに限定されることはなく、導通部材514の先端部を金属製のネジでカバー621に固定することで電気的に導通を図る構成でも構わない。
図18は、本実施形態の記録システム1000において、各筐体の配置を模式的に示す図である。記録システム1000は、左右方向Xにおいて図面右側より左側に向かって、プリンター100、第1の後処理装置200、第2の後処理装置300の順に並ぶ。
プリンター100は、記録部110を内部に保持した筐体400と、筐体500とを備え、筐体500は、筐体400の外側である下方に位置する。第1の後処理装置200は、第1の後処理部としての中間搬送部220を内部に保持した筐体600を備える。第2の後処理装置300は、第2の後処理を行う第2の後処理部310を内部に保持した筐体900を備える。筐体400と筐体500とは、第1の連結部700によって連結され、筐体600と筐体500とは、第2の連結部800によって連結される。
以上、本実施形態で説明した図1の記録システム1000は、記録媒体としての用紙Pに記録を行う図2の記録部110を内部に保持し、記録部110によって記録された用紙Pを排出する排出ローラー対136を支持する第1の筐体としての図11の筐体400と、筐体400の外側である下方に配置される第2の筐体としての筐体500と、所定の第1の後処理を行う第1の後処理部としての中間搬送部220を内部に保持し、排出ローラー対136によって排出される用紙Pを受け取り中間搬送部220側に搬送する図6の搬送ローラー対204を支持する第3の筐体としての図10の筐体600と、を備える。
そして、図13の筐体400に対する筐体500の位置を規定し、筐体400と筐体500とを連結する第1の連結部700と、図14の筐体500に対する筐体600の位置を規定するとともに、筐体600から受ける荷重を筐体500に掛けて、筐体500と筐体600とを連結する第2の連結部800と、を備える。
この構成によれば、筐体600(第3の筐体)から受ける荷重が筐体400(第1の筐体)に掛からないため、筐体400には、歪みが生じない。そのため、筐体400に支持される排出ローラー対136は、用紙Pを受渡可能な高さ方向の位置に設けられ、排出ローラー対136と搬送ローラー対204のそれぞれの回転軸は平行に配置される。従って、排出ローラー対136から排出された用紙Pが搬送ローラー対204によって挟持されて受け渡される際に、用紙Pが搬送方向に対して傾斜することが抑制される。
また、筐体600(第3の筐体)から受ける荷重が筐体400(第1の筐体)に掛からないため、筐体400に歪みが生じないことにより、搬送される用紙Pと記録部110との相対位置は適正に保持され、用紙Pに噴射されるインクの位置精度は確保される。従って、用紙Pに記録される画像品質の劣化を抑制できる。
また、中間搬送部220(第1の後処理部)から排出される用紙Pを受け取り、用紙Pに対する所定の第2の後処理を行う図18の第2の後処理部310を内部に保持する筐体900(第4の筐体)を備える。第2の後処理の内容は、前述したように、例えば、裁断や紙折り、パンチ穴あけやステープル、ソートなどの処理である。
この構成によれば、中間搬送部220を通過した用紙Pは、搬送方向に対する傾斜角度が小さい状態で、第2の後処理部310に搬送される。これにより、第2の後処理部310において適正な処理が行われる。
また、図14の第2の連結部800は、筐体500(第2の筐体)に設けられて他方側に突出する突出部803と、筐体600(第3の筐体)に設けられて筐体500側に開口する穴部820,821と、によって構成され、突出部803が穴部820,821に嵌合することによって、筐体500に対する筐体600の位置が規定される。
この構成によれば、突出部803が穴部820,821に嵌合した状態で、筐体500と筐体600が並ぶ左右方向Xと交わる前後方向Y及び鉛直方向Zの位置が規定される。また、筐体500と筐体600が並ぶ左右方向Xにおいて、筐体500と筐体600との距離が変動可能なので、筐体600を筐体500に取り付けたり、取り外したりすることが容易にできる。尚、穴部を筐体500に設け、突出部を筐体600に設けてもよい。
また、筐体600(第3の筐体)の底部201eにおける筐体500(第2の筐体)側と反対側には、設置面に接し、筐体600から受ける荷重の一部を受ける荷重受け部としてのキャスター250が設けられ、筐体600の底部における筐体500側は、設置面に当接しない。
この構成によれば、中間搬送部220を含む筐体600の自重は、筐体600からの荷重として、キャスター250と、穴部820,821に挿入した突出部803とに掛かる。また、筐体600の筐体500に対する位置は、突出部803が嵌合する穴部820,821の位置によって規定される。すなわち、筐体600の筐体500に対する位置は、第2の連結部800によって連結される位置によって規定されるとともに、筐体600から受ける荷重は、キャスター250と、第2の連結部800とに掛かる。
また、図14の第2の連結部800は、筐体600(第3の筐体)に設けられて回動可能な係合部としてのフック810と、筐体500(第2の筐体)に設けられてフック810と係合可能な被係合部としての円柱状部材801とによって構成され、フック810は、回動方向D2における一方の方向に回動させると円柱状部材801と係合する状態になり、回動方向D2における他方の方向に回動させると円柱状部材801と係合しない状態になる。
この構成によれば、第2の連結部800を連結状態にする作業や、第2の連結部800の連結状態を解除する際の作業性がよい。
また、図17の当接部1100は、プリンター100の筐体500(第2の筐体)の第1の連結部700及び第2の連結部800よりも下方で第1の後処理装置200の筐体600(第3の筐体)に対向する位置に設けられた第1の当接部材510と、第1の後処理装置200の筐体600(第3の筐体)の第1の当接部材510に対向する位置に設けられた第2の当接部材610とによって構成する。
この構成によれば、第2の連結部800によって、プリンター100の筐体500と第1の後処理装置200の筐体600とが連結された状態で、筐体500に設けられた第1の当接部材510と筐体600に設けられた第2の当接部材610とを当接することで、筐体500と筐体600とが並ぶ方向である左右方向Xの位置が規定される。
また、図15の第1の当接部材510は、導電性部材で構成され、筐体600(第3の筐体)側である左右方向Xに張り出す張出部513に鉛直方向Zに弾性を有する導通部材514を配置する。筐体500(第2の筐体)と筐体600(第3の筐体)とが連結すると、第1の当接部材510と第2の当接部材610とが当接し、導通部材514は第2の当接部材610の一部を覆っているカバー621の下方に配置される。
この構成によれば、鉛直方向Zに弾性を有する導通部材514が配置された張出部513を筐体600の下方に挿入することで、導通部材514の筐体600に固定されたカバー621側への弾性を利用し、導通部材514をカバー621に安定して接触させることができる。そのため、筐体500と筐体600とを電気的に導通することができ、電気的なノイズ等による記録システム1000の誤作動を低減することができる。
本実施形態では、第2の筐体としての筐体500は、第1の筐体としての筐体400の鉛直方向Zにおける下方の外側の位置に配置されたが、第2の筐体を第1の筐体の左右方向Xの外側に配置してもよい。図19は、他の実施形態における記録システム1000aの各筐体の配置を模式的に示す図である。
記録システム1000aは、左右方向Xにおいて図面右側より左側に向かって、プリンター100a、第1の後処理装置200、第2の後処理装置300の順に並ぶ。第1の筐体としての筐体400aと第2の筐体としての筐体500aとは、第1の連結部700aによって連結され、筐体600と筐体500aとは、第2の連結部800aによって連結される。
プリンター100aは、記録部110aを内部に保持した筐体400aと、筐体500aとを備える。筐体400a内は、記録部110aが収容される領域R1と、記録部110aによって記録された用紙Pが搬送される領域R2が形成される。筐体500aは、筐体400aの領域R1より左右方向Xにおける図面左側に位置するとともに、筐体400aの領域R2より鉛直方向Zにおける下方に位置する。すなわち、第2の筐体としての筐体500aは、第1の筐体としての筐体400aの外側に配置される。
また、第2の筐体を第1の筐体の外側に配置する例として、第1の筐体を第2の筐体の内部に配置してもよい。図20は、他の実施形態における記録システム1000bの各筐体の配置を模式的に示す図である。
記録システム1000bは、左右方向Xにおいて図面右側より左側に向かって、プリンター100b、第1の後処理装置200、第2の後処理装置300の順に並ぶ。第1の筐体としての筐体400bと第2の筐体としての筐体500bとは、第1の連結部700bによって連結され、筐体600と筐体500bとは、第2の連結部800bによって連結される。
プリンター100bは、記録部110bを内部に保持した筐体400bと、筐体500bとを備える。筐体400bを筐体500bの内部に配置する。
上記実施形態において、記録装置は、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を)噴射したり吐出したりして記録を行う流体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う液状体噴射装置であってもよい。また、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。