JP2017170735A - 導体層付樹脂フィルム、及びプリント配線基板 - Google Patents
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Abstract
プリント配線基板材料として好適に用いられる導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板を提供する。
【解決手段】
結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム(A)」ということがある。)と金属箔とを熱プレスしてプリント配線基板材料を製造する場合、以下の問題があった。
すなわち、樹脂フィルム(A)と金属箔とを熱プレスして貼り合わせる際の加熱工程や冷却工程において、樹脂フィルム(A)や金属箔は、それぞれ異なる変化量で膨張したり収縮したりするため、得られるプリント配線基板材料中の絶縁樹脂層内に残留応力が発生する。
この結果、多層基板製造時に寸法精度が出せず、結晶性の脂環式構造含有樹脂が有する誘電特性を十分に生かせないという問題があった。
〔1〕結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする導体層付樹脂フィルム。
〔2〕前記脂環式構造含有樹脂がジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である、〔1〕に記載の導体層付樹脂フィルム。
〔3〕前記導体層が銅を含有するものである、〔1〕又は〔2〕に記載の導体層付樹脂フィルム。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板。
本発明の導体層付樹脂フィルムは、結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする。
本発明の導体層付樹脂フィルムを構成する樹脂層は、結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルム〔樹脂フィルム(A)〕であって、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のもの〔樹脂フィルム(A’)〕で構成される。
融点がこの範囲にある重合体(α)は、成形性と耐熱性とのバランスが良好なものとなる。
具体的には、ジシクロペンタジエンを開環重合して、次いで水素化して得られる繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、51%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
ラセモ・ダイアッドの割合が高いものほど、すなわち、シンジオタクチック立体規則性の高いものほど、高い融点を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物となる。
ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定し、定量することができる。具体的には、オルトジクロロベンゼン−d4を溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比からラセモ・ダイアッドの割合を決定することができる。
他の単量体を用いる場合、その使用量は、単量体全量中、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
重合体(α1)を合成する際に用いる開環重合触媒は、ジシクロペンタジエンを開環重合させ、シンジオタクチック立体規則性を有する開環重合体が得られるものであれば、特に限定されない。好ましい開環重合触媒としては、下記式(1)で示される金属化合物を含有するものが挙げられる。
前記置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
また、3,4,5位の少なくとも2つの位置に存在する置換基が互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基としては、無置換フェニル基;4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の一置換フェニル基;3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基等の二置換フェニル基;3,4,5−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基等の三置換フェニル基;2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基等の置換基を有していてもよい2−ナフチル基;等が挙げられる。
R3の、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜10である。このアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
前記置換基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;等が挙げられる。
R3の、置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ベンジル基、ネオフィル基等が挙げられる。
前記置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
R3の、置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、R3で表される基としては、炭素数が1〜20のアルキル基が好ましい。
Xの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、それぞれ、R3の、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基として示したものと同様のものが挙げられる。
Xのアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
また、式(1)で示される金属化合物が、2以上のXを有するとき、これらは互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
有機金属還元剤としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期律表第1、2、12、13、14族の有機金属化合物が挙げられる。
前記有機金属化合物としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム;ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド等の有機マグネシウム;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジイソブトキシド等の有機アルミニウム;テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ;等が挙げられる。
これらの中でも、有機アルミニウム又は有機スズが好ましい。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素類;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類;これらを組み合わせた混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒としては、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類、エーテル類が好ましい。
ジシクロペンタジエン開環重合体の重量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値である。
不活性有機溶媒は、開環重合反応に用いた溶媒と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、開環重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して、水素化反応を行ってもよい。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、水素圧力が高すぎると高耐圧反応装置等の特別な装置が必要になる。
反応時間は、所望の水素化率が達成されるのであれば特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。
水素化反応後は、常法に従って、目的の重合体(α1)を回収すればよい。
他の成分としては、重合体(α)以外の樹脂、酸化防止剤、結晶核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)4,4’−ビフェニルジホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
前記他の成分の含有量は、目的に合わせて適宜決定することができるが、樹脂フィルム(A’)に対して、通常、50重量%未満、好ましくは40重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。
また、酸化防止剤の含有量は、樹脂フィルム(A’)に対して、通常、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
この収縮率は、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下の樹脂フィルム(A)で構成された樹脂層を有する導体層付樹脂フィルムは、多層基板製造時に十分な寸法精度を示す。
なお、上記の収縮率やTg点以下熱膨張係数は、異方性を有する樹脂フィルムにおいては、いずれもその最大値を、「樹脂フィルムの200℃から60℃まで降温したときの収縮率」又は「樹脂フィルムのTg点以下熱膨張係数」とする。
延伸方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法、斜め延伸法等が挙げられる。
一軸延伸法としては、フィルム搬送用のロールの周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法;等が挙げられる。
二軸延伸法としては、固定するクリップの間隔を開いて、縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法;フィルム搬送用のロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップで把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法;等が挙げられる。
斜め延伸法は、例えば、縦方向又は横方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いて、樹脂フィルム(A)の幅方向に対して任意の角度θ(0°<θ<90°)をなす方向に連続的に斜めに延伸することにより行うことができる。
熱処理方法に格別な制限はない。例えば、熱処理オーブンや赤外線ヒーター等を用いて熱処理を行うことができる。
加熱温度は、通常、150〜220℃、好ましくは160〜210℃であり、加熱時間は、通常、1〜600分間、好ましくは3〜300分間である。
本発明の導体層付樹脂フィルムを構成する導体層は、導電性を有する層であって、前記樹脂層に隣接するものである。
導体層としては、銅、金、銀、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属を含有する層が挙げられる。これらの中でも、基板材料として有用な導体層付樹脂フィルムが得られることから、銅が好ましい。
本発明の導体層付樹脂フィルムは、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有するものである。
「導体層が樹脂層に隣接する」とは、導体層が樹脂層と直接又は接着層を介して接していることをいう。すなわち、本発明の導体層付樹脂フィルムにおいては、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層と導体層との間に他の層が存在していなくてもよいし、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層と導体層との間に接着層が存在していてもよい。
接着層を形成する際に用いる接着剤としては、フェノールブチラール系接着剤、ポリアミドエポキシ系接着剤、ポリアミドフェノール系接着剤、NBRエポキシ系接着剤、熱可塑性ポリイミド系接着剤等が挙げられる。
接着層の厚みは特に限定されない。接着層の厚みは、通常、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。
金属箔としては、銅箔、金箔、銀箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、クロム箔等が挙げられる。これらの中でも、基板材料として有用な導体層付樹脂フィルムが得られることから、銅箔が好ましい。
例えば、本発明の導体層付樹脂フィルムを用いることで、プリント配線基板の高速信号伝送線路、電源層、グランド層や、フラットケーブルのシールド層を効率よく形成することができる。
本発明の導体層付樹脂フィルムを用いてプリント配線基板を形成する場合、導体層付樹脂フィルムの導体層に配線パターンを形成することでフレキシブルプリント基板を得ることができる。また、別途用意したプリント配線基板上に本発明の導体層付樹脂フィルムを貼り合わせることで、配線層を複数有するフレキシブルプリント基板やリジッドプリント基板を得ることができる。
本発明のプリント配線基板は、本発明の導体層付樹脂フィルムを使用したものである。
このため、本発明のプリント配線基板は、配線パターンが精度よく形成されたものである。また、本発明のプリント配線基板は、冷熱衝撃試験耐性、伝送特性のバランスに優れており、高周波信号の伝送用に特に好適に用いられる。
各例における測定は、以下の方法により行った。
示差走査熱量計(製品名「DSC6220」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、重合体のガラス転移温度及び融点を測定した。
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC−8220」(東ソー社製)
カラム:「Hタイプカラム」(東ソー社製)
1H−NMR測定に基づいて、重合体中の不飽和結合の水素化率を求めた。
熱機械分析装置(製品名「TMA/SS6100」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、製造例2〜13で得られた樹脂フィルムを、昇温速度5℃/分で220℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で45℃まで降温した。この降温過程における200℃から60℃までの間の収縮率を測定した。
熱機械分析装置(製品名「TMA/SS6100」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、製造例2〜13で得られた樹脂フィルムを、昇温速度5℃/分で50℃から90℃まで昇温し、このときのTg点以下熱膨張係数を測定した。
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1−ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn−ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,100、数平均分子量(Mn)は8,750、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物28.5部を得た。
水素化反応における不飽和結合の水素化率は99%以上、ガラス転移温度は98℃、融点は262℃であった。
製造例1で得たジシクロペンタジエン開環重合体水素化物100部に、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、BASFジャパン社製)0.8部を混合した後、混合物を二軸押出し機(TEM−37B、東芝機械社製)に投入し、熱溶融押出し成形によりストランド状の成形体を得た後、これをストランドカッターにて細断し、ペレットを得た。
二軸押出し機の運転条件を以下に示す。
・バレル設定温度:270〜280℃
・ダイ設定温度:250℃
・スクリュー回転数:145rpm
・フィーダー回転数:50rpm
・成形機:Tダイを備える熱溶融押出しフィルム成形機(製品名「Measuring Extruder Type Me−20/2800V3」、Optical Control Systems社製)
・バレル温度設定:280℃〜290℃
・ダイ温度:270℃
・スクリュー回転数:30rpm
・フィルム巻き取り速度:1m/分
小型延伸機の運転条件を、以下に示す。
・延伸速度:10000mm/min
・延伸温度:100℃
・延伸倍率:MD方向(Machine Direction)2.0倍
TD方向(Transverse Direction)2.0倍
製造例2において、延伸倍率を、MD方向2.5倍、TD方向2.5倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(2)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(3)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.5倍、TD方向3.5倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(4)を得た。
製造例2において、延伸温度を130℃に変更し、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(5)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の温度を150℃に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(6)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の処理時間を5分に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(7)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向1.5倍、TD方向1.5倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(8)を得た。
製造例2において、延伸処理を、MD方向3.0倍の一軸延伸に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(9)を得た。
製造例2において、延伸温度を140℃に変更し、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(10)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の温度を140℃に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(11)を得た。
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の処理時間を1分に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(12)を得た。
製造例2で得た樹脂フィルム(1)の両面に、それぞれ、接着フィルム(製品名 SATY25μm、ニッカン工業社製)、及び銅箔(製品名CF−T4X−SV−18、福田金属箔粉工業社製、Rz1.0μm)を重ね、このものに、油圧真空感熱プレス(IMC−182F、井元製作所製)を用いて、温度200℃、圧力1MPaで10分間プレス処理を行い、樹脂フィルム(A1)で構成された樹脂層と、この樹脂層の両側にそれぞれ隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルム(1)を得た。
実施例1において、製造例2で得た樹脂フィルム(1)に代えて、製造例2〜13で得た樹脂フィルム(2)〜(12)を使用したことを除き、実施例1と同様にして導体層付樹脂フィルム(2)〜(12)を得た。
実施例、比較例で得られた導体層付樹脂フィルムを、100mm×80mmの大きさに切り出した後、キリ径φ0.30mmのスルーホールを10個×4列設けた。次いで、これに、デスミア処理、還元処理を行った後、無電解銅めっき、電気銅めっきを行い、スルーホールの側壁に厚さ約15μmの導体層を形成し、スルーホールめっき済み基板を得た。
得られた基板の両面に、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社製 RY3215)をロールラミネターにて熱ラミネートし、所定の導体回路パターン印刷されたフィルムマスクを基板の両面に配置した後、両面プリンターで露光を行った。さらに、露光後のレジストを1%炭酸ナトリウム水溶液で現像して、所定の部位を開口させた後、塩化第二鉄でエッチングを行い、5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してレジストを剥離し、40個のスルーホールからなるデイジーチェーン回路を作製した。
デイジーチェーン回路に、接続信頼性評価システム(MLR21、楠本化成社製)のケーブルを接続した後、試験片を、気槽式熱衝撃試験機(WINTECH NT1200W、楠本化成社製)中に投入し、低温槽−45℃、高温槽125℃、さらし時間15分の条件にて、冷熱衝撃試験を500サイクル及び1000サイクルまで行った。評価は以下の基準に従って行った。
○:1000サイクル迄、断線が1つも無い。
△:500サイクル迄、断線が1つも無いが、1000サイクルまでに断線が発生。
×:500サイクル迄に、断線が発生。
実施例、比較例で得られた導体付き絶縁フィルムを300mm×300mmに切り出し、4角に所定の穴を形成し、これを試験片として、エッチング後の寸法変化率及び加熱処理(150℃2時間)後の寸法変化率を測定し、以下の基準で評価した。
○:加熱処理後の寸法変化率が0.1%以下
△:エッチング後の寸法変化率は0.1%以下だが、加熱処理後の寸法変化率は超過
×:エッチング後の寸法変化率が0.1%を超過
なお、上記試験において、エッチング後の寸法変化率は、JIS C6481に準拠し、加熱処理後の寸法変化率は、IPC−TM−650に準拠して行った。
実施例1〜7で得られた導体層付樹脂フィルム(1)〜(7)は、冷熱衝撃試験において良好な結果を示し、また、寸法変化率が小さく、パターン精度に優れる。
一方、比較例1〜5で得られた導体層付樹脂フィルム(8)〜(12)は、樹脂層を構成する樹脂フィルムは、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃を超えるものであり、冷熱衝撃試験において良好な結果が得られず、また、寸法変化率が大きい。
Claims (4)
- 結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、
前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする導体層付樹脂フィルム。 - 前記脂環式構造含有樹脂がジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である、請求項1に記載の導体層付樹脂フィルム。
- 前記導体層が銅を含有するものである、請求項1又は2に記載の導体層付樹脂フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板。
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JP2016058672A Pending JP2017170735A (ja) | 2016-03-23 | 2016-03-23 | 導体層付樹脂フィルム、及びプリント配線基板 |
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Cited By (2)
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WO2020017219A1 (ja) | 2018-07-19 | 2020-01-23 | 日本ゼオン株式会社 | 成形材料および成形体 |
WO2023053927A1 (ja) | 2021-09-30 | 2023-04-06 | 日本ゼオン株式会社 | 難燃性熱可塑性樹脂組成物、成形体および延伸フィルム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015002019A1 (ja) * | 2013-07-01 | 2015-01-08 | 日本ゼオン株式会社 | 延伸フィルムの製造方法 |
JP2016008283A (ja) * | 2014-06-26 | 2016-01-18 | 日本ゼオン株式会社 | 表面改質フィルムの製造方法、樹脂層の改質方法、積層体、フレキシブルプリント基板、及び積層体の製造方法 |
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2016
- 2016-03-23 JP JP2016058672A patent/JP2017170735A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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