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JP2017166911A - 生体分子の検出又は定量方法、及び生体分子の検出又は定量用試験キット - Google Patents

生体分子の検出又は定量方法、及び生体分子の検出又は定量用試験キット Download PDF

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JP2017166911A JP2016051034A JP2016051034A JP2017166911A JP 2017166911 A JP2017166911 A JP 2017166911A JP 2016051034 A JP2016051034 A JP 2016051034A JP 2016051034 A JP2016051034 A JP 2016051034A JP 2017166911 A JP2017166911 A JP 2017166911A
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彩香 滑川
Ayaka Namekawa
彩香 滑川
一富 三好
Kazutomi Miyoshi
一富 三好
將行 福嶋
Masayuki Fukushima
將行 福嶋
典雄 大久保
Norio Okubo
典雄 大久保
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきによることなく、高感度及び高精度で生体分子を検出又は定量する、生体分子の検出又は定量方法を提供する。【解決手段】生体分子と標識試薬粒子との複合体を捕捉する試験領域と、試験領域に結合しなかった標識試薬粒子を捕捉する参照領域を有する、イムノクロマト法用の試験片と、標識試薬粒子を有する、試験キットを用いた生体分子の検出又は定量方法であって、生体分子を含む試料と標識試薬粒子との混合物を試験片中で移動させ、試験領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を、参照領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値で補正し、補正した数値に基づいて生体分子を検出又は定量する、生体分子の検出又は定量方法。【選択図】なし

Description

本発明は、生体分子の検出又は定量方法、及び生体分子の検出又は定量用試験キットに関する。
生体中の抗原などの生体分子を標的物質として検出する手法として、生体分子を捕捉する捕捉物質(抗体など)を担体に固定化させた多孔質の試験片と、標識試薬粒子を用いた検出法がある。この方法では、検体に含まれる生体分子を標識試薬粒子に捕捉し、毛細管現象により試験片の多孔質支持体を移動させる。そして、多孔質支持体に例えばライン状に固定された捕捉物質と生体分子とを接触させることによって標識試薬粒子を濃縮し、捕捉物質が固定されたラインを標識試薬粒子により発色させる。この発色によって生体分子の有無を判定することができる。
かかる生体分子の検出法の特徴として下記の3点が挙げられる。
(1)判定までに要する時間が短く迅速な検査が可能である。
(2)検体を滴下するだけで測定でき操作が簡便である。
(3)特別な検出装置を必要とせず判定が容易である。
これらの特徴を利用して、前記の検出法はインフルエンザ検査薬、口腔内常在菌の検査薬などに用いられており、新たなPOCT(Point Of Care Testing)の手法として利用されている。また、食品検査においても、例えば食物アレルゲンの検査試薬等として広く利用され益々注目を集めている。
生体分子検出用試験キットを用いた生体分子の検出方法において、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきなどによって、定量した生体分子濃度に誤差が生じ、定量測定の精度が低下することがある。そこで、構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきの影響を軽減させるために、これまで種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、試験片に較正ゾーンが設けられ、較正ゾーンに予め投与された標識の量の測定値と既定値とを比較し、生体分子を検出する方法が記載されている。特許文献2には、1回の試験で複数項目を測定する際、基準項目を準備し、測定値を較正する方法が記載されている。特許文献3には、サンプル液中の既知濃度の較正用検体を混合し、生体分子の検出を行う方法が記載されている。特許文献4には、試験片に設けた対象捕捉ゾーンの測定結果から、試験片に設けた試料捕捉ゾーンの測定値を補正する方法が記載されている。
国際公開第2007/149043号パンフレット 国際公開第2003/058244号パンフレット 国際公開第2005/119201号パンフレット 国際公開第2003/087822号パンフレット
しかしながら、前述の方法では、検出対象物の定量性に様々な問題が生じている。例えば特許文献4に記載の方法において、対象捕捉ゾーンでは、試料捕捉ゾーンに吸着しなかった粒子が吸着する。つまり、検体液中に含まれる標的物質量が多ければ多くの粒子が試料捕捉ゾーンで留まり対象捕捉ゾーンへは少量しか粒子が到達しない。一方、検体液中に含まれる標的物質量が少なければ試料捕捉ゾーンで留まる粒子が少ないため対象捕捉ゾーンへは多くの粒子が到達することになる。そのため、対象捕捉ゾーンで捕捉される粒子量は、標的物質量に依存する。よって、対象捕捉ゾーンの粒子量は試験毎に違った量になるため基準として用いるには不安定である。
このように安定的な定量免疫測定を迅速に行うには課題があった。
そこで、本発明は、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきによることなく、高感度及び高精度で生体分子を検出又は定量する、生体分子の検出又は定量方法を提供することを課題とする。
さらに本発明は、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきによることなく、高感度及び高精度で生体分子を検出又は定量する、生体分子の検出又は定量用試験キットを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、生体分子検出又は定量用の試験片と生体分子検出又は定量用の標識試薬粒子を有する生体分子検出又は定量用試験キットを用いた生体分子の検出又は定量方法において、前記試験片の試験領域に結合し、生体分子と複合体を形成した第1の標識試薬粒子量を示す測定値を、前記試験片を移動する第2の標識試薬粒子量を示す測定値で補正することで、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきの影響を排除できることを見出した。その結果、高感度及び高精度で生体分子を検出又は定量できることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
(1)生体分子検出又は定量用試験キットを用いた生体分子の検出又は定量方法であって、
前記生体分子検出又は定量用試験キットは、イムノクロマト法用の試験片と、生体分子検出又は定量用の標識試薬粒子を有し、
前記試験片は、生体分子と標識試薬粒子との複合体を捕捉する試験領域と、前記試験領域に結合しなかった標識試薬粒子を捕捉する参照領域を有し、
前記標識試薬粒子が、検出対象である生体分子を捕捉する第1の捕捉物質が粒子表面に導入されている第1の標識試薬粒子と、前記第1の捕捉物質とは交差反応を起こさず、前記参照領域に特異的に結合させるための第2の捕捉物質が粒子表面に導入されている第2の標識試薬粒子、の少なくとも2種からなり、
生体分子を含む試料と前記標識試薬粒子との混合物を前記試験片中で移動させ、
前記試験領域に結合した、生体分子と複合体を形成した標識試薬粒子量を示す測定値と、前記参照領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を測定し、
前記試験領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を、前記参照領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値で補正し、
補正した数値に基づいて生体分子を検出又は定量する、
生体分子の検出又は定量方法。
(2)前記第1の標識試薬粒子と、第2の標識試薬粒子がそれぞれ、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子である、前記(1)項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
(3)前記の第1の捕捉物質と第2の捕捉物質がそれぞれ、親水性リンカーを介して蛍光シリカナノ粒子の表面に導入されている、前記(2)項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
(4)前記親水性リンカーがポリエチレングリコール-マレイミドである、前記(3)項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
(5)前記標識試薬粒子の平均粒径が30nm以上1000nm未満である、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
(6)前記の第1の標識試薬粒子と、前記の第2の標識試薬粒子の混合液を前記試験片に滴下し、前記試験片中を同時に移動させる、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
(7)生体分子の検出又は定量方法に用いる生体分子検出又は定量用試験キットであって、
イムノクロマト法用の試験片と、生体分子検出又は定量用の標識試薬粒子を有し、
前記試験片は、生体分子と標識試薬粒子との複合体を捕捉する試験領域と、前記試験領域に結合しなかった標識試薬粒子を捕捉する参照領域を有し、
前記標識試薬粒子が、検出対象である生体分子を捕捉する第1の捕捉物質が粒子表面に導入されている第1の標識試薬粒子と、前記第1の捕捉物質とは交差反応を起こさず、前記参照領域に特異的に結合させるための第2の捕捉物質が粒子表面に導入されている第2の標識試薬粒子、の少なくとも2種からなり、
生体分子を含む試料と前記標識試薬粒子との混合物を前記試験片中で移動させた際、前記の第1の標識試薬粒子は前記試験領域に結合し、前記の第2の標識試薬粒子は前記参照領域に結合する、
生体分子検出又は定量用試験キット。
(8)前記第1の標識試薬粒子と、第2の標識試薬粒子がそれぞれ、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子である、前記(7)項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
(9)前記の第1の捕捉物質と第2の捕捉物質がそれぞれ、親水性リンカーを介して蛍光シリカナノ粒子の表面に導入されている、前記(8)項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
(10)前記親水性リンカーがポリエチレングリコール-マレイミドである、前記(9)項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
(11)前記標識試薬粒子の平均粒径が30nm以上1000nm未満である、前記(7)〜(10)のいずれか1項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
(12)前記の第1の標識試薬粒子と、前記の第2の標識試薬粒子の混合液を前記試験片に滴下し、前記試験片中を同時に移動させる、前記(7)〜(11)のいずれか1項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
本発明の生体分子の検出又は定量方法は、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきによることなく、高感度及び高精度で生体分子を検出又は定量することができる。
さらに本発明の生体分子の検出又は定量用試験キットは、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきによることなく、高感度及び高精度で生体分子を検出又は定量することができる。
本発明で用いることができる生体分子検出又は定量用試験片の好ましい実施形態を模式的に示す図あり、図1(a)が平面図であり、図1(b)が断面図である。 本発明で用いることができる生体分子検出又は定量用試験片の別の好ましい実施形態を模式的に示す図あり、図2(a)が平面図であり、図2(b)が断面図である。 実施例で行った、生体分子の検出試験の結果(リコビナントhCG濃度の常用対数と、生体分子検出又は定量用の試験片の試験領域の発光強度の相関性)を示すグラフである。 実施例で行った、生体分子の検出試験の結果(リコビナントhCG濃度の常用対数と、生体分子検出又は定量用の試験片における、試験領域の発光強度と参照領域の発光強度との比、との相関性)を示すグラフである。 試験例2で用いた試験片を模式的に示す図あり、図5(a)が平面図であり、図5(b)が断面図である。
本明細書において「物質」とは、化合物又は化学合成された分子の他、生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸等)を包含する。これらは人工起源のものであっても、天然起源のものであってもよい。
また、本明細書において「結合」又は「連結」とは、複数のものが分離した状態から連続して一体となることを全般的に指し、共有結合やイオン結合、水素結合といった化学的な結合のほか、化学吸着や物理吸着、そのほか嵌合、螺合、咬合した物理的な連結状態等も含む意味である。ここで、「結合」又は「連結」とは、直接複数のものが結合しても、別のものを介して間接的に結合してもよい意味である。
さらに、本明細書において「検出」とは、定性的な検出や定量的な検出のみならず、その他の各種の測定や同定、分析、評価等を含む概念である。
本発明の生体分子の検出又は定量方法は、生体分子検出又は定量用試験キット(以下、単に「試験キット」ともいう)を用いて、生体分子の検出を行う。生体分子検出又は定量用試験キットは、イムノクロマト法用の試験片(以下、「テストストリップ」ともいう)と、生体分子検出又は定量用の標識試薬粒子(以下単に、「標識試薬粒子」ともいう)を有する。
以下、本発明の構成についてその好ましい実施形態を中心に詳述する。
[生体分子]
本発明において、検出対象物質(標的物質)としての生体分子に特に制限はなく、抗原、抗体、核酸、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチド、その他生体活性を有する化学物質等が挙げられる。
本発明において、生体分子を含む試料としては特に制限はないが、臨床検体(例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、膵液、胃液、喀痰、鼻や咽等の粘膜から採取したぬぐい液等の体液や便等)、食品検体(例えば、液体飲料、半固形食品、固形食品等)、環境サンプリング検体(例えば、土壌、河川、海水等の自然界のサンプル、工場内の生産ラインやクリーンルームに設置されたエアーサンプラーによるサンプリング検体、ふき取り検体等)等が挙げられる。
また、試料は液体であればそのまま用いることもできる。試料が半固形又は固形物等の場合には、希釈や抽出等の処理を施した後に用いることもできる。
[標識試薬粒子]
本発明で用いる標識試薬粒子としては、この種の試験キットに通常適用されるものを適宜使用することができる。例えば、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子、吸光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子、蛍光ラテックスナノ粒子からなる標識試薬粒子、吸光ラテックスナノ粒子からなる標識試薬粒子、半導体微粒子からなる標識試薬粒子、金コロイド粒子からなる標識試薬粒子、放射性物質で標識した粒子が挙げられる。
本発明で用いる標識試薬粒子は、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子が好ましい。蛍光シリカナノ粒子を用いた場合、蛍光検出装置により蛍光強度を容易に数値化でき、高感度及び高精度で生体分子を検出することができる。さらに、蛍光シリカナノ粒子の表面に様々な官能基を導入することができ、試験領域の発光が高輝度である。そのため、蛍光シリカナノ粒子を用いた場合、広い定量レンジで生体分子の検出を実現することができる。
以下、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子について説明する。しかし、本発明はこれに限定するものではない。
蛍光シリカナノ粒子の調製方法に特に制限はなく、任意のいかなる調製方法によって蛍光シリカナノ粒子を得ることができる。例えば、Journal of Colloid and Interface Science,159,p.150-157(1993)に記載のゾル−ゲル法や、国際公開第2007/074722号パンフレットに記載されたコロイドシリカ粒子の調製方法を参照することができる。
蛍光材料としての蛍光色素を用いた蛍光シリカナノ粒子の調製例について、具体的に説明する。
蛍光色素を含有するシリカ粒子は、蛍光色素とシランカップリング剤とを反応させ、共有結合、イオン結合その他の化学的に結合若しくは吸着させて得られた生成物に1種又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。これによりオルガノシロキサン成分とシロキサン成分とがシロキサン結合してなるシリカ粒子が得られる。1例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、アルデヒド基、パラニトロフェニル基、ジエトキシメチル基、エポキシ基、シアノ基等の活性基を有する又は付加した蛍光色素と、それら活性基と対応して反応する置換基(例えば、アミノ基、水酸基、チオール基)を有するシランカップリング剤とを反応させ、共有結合させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。
前記シランカップリング剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、シラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いた場合を下記に例示する。
Figure 2017166911
前記活性基を有する又は付加した前記蛍光色素の具体例として、5-(及び-6)-カルボキシテトラメチルローダミン-NHSエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)や、下記式でそれぞれ表されるDY550-NHSエステル又はDY630-NHSエステル(いずれも商品名、Dyomics GmbH社製)等のNHSエステル基を有する蛍光色素化合物を挙げることができる。
Figure 2017166911
前記置換基を有するシランカップリング剤の具体例として、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。中でも、APSが好ましい。
縮重合させる前記シラン化合物としては特に制限はないが、TEOS、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、APS、3-チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及び3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシランを挙げることができる。中でも、前記シリカ粒子内部のシロキサン成分を形成する観点からはTEOSが好ましく、前記シリカ粒子内部のオルガノシロキサン成分を形成する観点からはMPS又はAPSが好ましい。
上述のように調製すると、球状、又は球状に近いシリカ粒子を調製することができる。ここで、「球状に近いシリカ粒子」とは、具体的には長軸と短軸の比が2以下の形状である。
蛍光シリカナノ粒子の平均粒径に特に制限はないが、20nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、60nm以上がさらに好ましく、1000nm未満が好ましく、600nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましく、300nm以下が特に好ましい。粒径が小さすぎると、検出感度が低下し、粒径が大きすぎると、試験片に用いられる多孔質支持体(メンブレン)の目詰まりの原因となる。
本発明において、前記平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の画像から無作為に選択した100個の標識試薬シリカ粒子の合計の投影面積から蛍光シリカナノ粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、この合計の占有面積を、選択した蛍光シリカナノ粒子の個数(100個)で割った値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)を求めたものである。
なお、前記平均粒径は、一次粒子が凝集してなる二次粒子を含む概念の後述する「動的光散乱法による粒度」とは異なり、一次粒子のみからなる粒子の平均粒径である。
所望の平均粒径の蛍光シリカナノ粒子を得るためには、YM−10、YM−100(いずれも商品名、ミリポア社製)等の限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行い、粒径が大きすぎたり小さすぎる粒子を除去するか、又は適切な重力加速度で遠心分離を行い、上清若しくは沈殿のみを回収することで可能である。
蛍光シリカナノ粒子は粒状物質として単分散であることが好ましい。蛍光シリカナノ粒子の粒度分布の変動係数、いわゆるCV値に特に制限はないが、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
本明細書において、前記「動的光散乱法による粒度」とは、動的光散乱法により測定され、前記の平均粒径とは異なり、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集してなる二次粒子をも含めた概念であり、前記複合粒子の分散安定性を評価する指標となる。
動的光散乱法による粒度の測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名;マルバーン社製)が挙げられる。この手法は、微粒子などの光散乱体による光散乱強度の時間変動を測定し、その自己相関関数から光散乱体のブラウン運動速度を計算し、その結果から光散乱体の粒度分布を導出するというものである。
本発明で用いる標識試薬粒子は、検出対象である生体分子を捕捉する第1の捕捉物質が粒子表面に導入されている第1の標識試薬粒子と、前記第1の捕捉物質とは交差反応を起こさず、後述するテストスリップの参照領域に標識試薬粒子を特異的に結合させるための第2の捕捉物質が粒子表面に導入されている第2の標識試薬粒子、の少なくとも2種からなる。このような構成とすることにより、生体分子を捕捉できなかった標識試薬粒子が後述するテストスリップの試験領域に非特異的に吸着することを抑制し、生体分子の定量結果の精度を向上させることができる。
本発明で用いる第1の捕捉物質は、生体分子に対する特異的な結合性を有し、後述するテストスリップの試験領域において、試験領域に固定化された捕捉物質−生体分子−標識試薬粒子からなる複合体を形成しうるものであれば特に制限はない。
第1の捕捉物質と生体分子の組み合わせの例としては、抗体とその抗原の組み合わせ、抗原とその抗体の組み合わせ、核酸(DNAやRNA等)とストリンジェントな条件で該核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの組み合わせ、受容体とそのリガンドの組み合わせ、リガンドとその受容体の組み合わせ、レクチンと糖鎖の組み合わせ、アプタマーと該アプタマーに特異的に結合する分子の組み合わせが挙げられる。
本発明で用いる第2の捕捉物質は、第1の捕捉物質とは交差反応を起こさず、テストスリップの参照領域に標識試薬粒子を特異的に結合させるものであれば特に制限はない。ここで、本明細書における「交差反応」とは、第一の捕捉物質と第二の標識試薬粒子が非特異的に反応すること、又は第二の捕捉物質と第一の標識試薬粒子が非特異的に反応すること、またはそれら二つの非特異反応が同時に発生することを指す。
蛍光シリカナノ粒子の表面に第1の捕捉物質、第2の捕捉物質それぞれを導入する方法としては特に制限はなく、常法に従って導入することができる。例えば、静電的引力、ファンデルワールス力、疎水性相互作用等によって蛍光シリカナノ粒子の表面に捕捉物質第2の抗体を導入してもよい。あるいは、架橋剤や縮合剤の化学結合によって、蛍光シリカナノ粒子の表面に捕捉物質を導入してもよい。また、蛍光シリカナノ粒子の表面に導入する捕捉物質を導入したときに蛍光シリカナノ粒子同士が凝集する場合は、予め交互吸着法によって蛍光シリカナノ粒子の表面に表面処理を施しておいてもよい。
第1の捕捉物質、第2の捕捉物質はそれぞれ、蛍光シリカナノ粒子の表面に直接導入してもよいし、親水性リンカーを介して捕捉物質を蛍光シリカナノ粒子に導入してもよい。このような構成とすることで、親水性リンカーを介して捕捉物質を蛍光シリカナノ粒子に導入することで、蛍光シリカナノ粒子がテストストリップに非特異的に吸着することを抑制し、生体分子の定量結果の精度をさらに向上させることができる。ここで、「親水性リンカー」とは、少なくとも構造中に親水的な部分構造を有するものであり、具体例としてはPEGマレイミドNHSなどが挙げられる。
以下、親水性リンカーとしてポリエチレングリコール(PEG)-マレイミドを用いて捕捉物質を導入した蛍光シリカナノ粒子の調製方法の1例について説明する。しかし、本発明はこれに制限するものではない。
まず、反応性官能基を有するシランカップリング剤を加水分解し、加水分解されたシランカップリング剤と蛍光シリカナノ粒子の表面に存在するヒドロキシル基とを縮重合させ、反応性官能基を蛍光シリカナノ粒子の表面に導入する。
反応性官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、MPS、APS、3-チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソチオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリエトキシシラン、(-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
反応性官能基としてはチオール基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、ビニル基、エポキシ基及びイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基が好ましく、チオール基がより好ましい。
反応性官能基がチオール基である場合は、蛍光シリカナノ粒子表面におけるチオール基の密度は0.002〜0.2個/nm2が好ましく、0.002〜0.1個/nm2がより好ましい。当該含色素シリカ粒子の表面に存在するチオール基の量Bは、DNTB(5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸))を試薬として用いて測定することができる。DNTBを用いたチオール基の定量法としては、例えば、Archives of Biochemistry and Biophysics, 82, 70(1959)の方法で行うことができる。具体的な方法の一例としては、リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した10mMのDNTBの溶液20μLと、200mg/mLに調製したシリカ粒子コロイド2.5mLとを混合し、1時間後に412nmの吸光度を測定し、標準物質としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)を用いて作成した検量線から粒子表面に存在するチオール基量を定量することができる。
蛍光シリカナノ粒子の表面に導入した反応性官能基と、これと化学結合を形成するリンカー分子とを反応させ、蛍光シリカナノ粒子と親水性リンカーとの複合体を形成する。
反応性官能基がチオール基である場合は、チオール基が導入された蛍光シリカナノ粒子と、マレイミド基及びカルボキシル基を有する親水性リンカーとを非プロトン性溶媒中に共存させる。これにより、チオール基とマレイミド基との間でチオエーテル結合を形成させて、親水性リンカーが結合した粒子を作製する。
反応性官能基がアミノ基、カルボキシル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基である場合も、常法により親水性リンカーと蛍光シリカナノ粒子との複合体を形成することができる。これらの方法は、例えば、特開2009−274923号公報、特開2009−162537号公報、特開2010−100542号公報等の記載を参照することができる。
そして、蛍光シリカナノ粒子に結合する親水性リンカーと、捕捉物質とを常法に従って結合させる。例えば、静電的引力、ファンデルワールス力、疎水性相互作用等によって、親水性リンカーと捕捉物質とを結合させることができる。あるいは、架橋剤や縮合剤の化学結合により、親水性リンカーと捕捉物質とを結合させることができる。なお、親水性リンカーと捕捉物質とが直接結合して複合体を形成してもよいし、他の物質を介して間接的に親水性リンカーと捕捉物質とが結合して複合体を形成していてもよい。
蛍光シリカナノ粒子の表面における捕捉物質の導入量に特に制限なく、適宜設定することができる。例えば、蛍光シリカナノ粒子の表面1nm2当たりの捕捉物質の導入量は、0.0001mol以上0.1mol以下が好ましく、0.001mol以上0.05mol以下が好ましい。
また、蛍光シリカナノ粒子の表面における親水性リンカーの結合量に特に制限なく、適宜設定することができる。例えば、蛍光シリカナノ粒子1g当たりの親水性リンカーの結合量は、1mg以上200mg以下が好ましく、10mg以上50mg以下が好ましい。
[イムノクロマト法用の試験片]
本発明で用いる試験キットに含まれる試験片の形状に特に制限はないが、平面状の試験片であることが好ましく、ラテラルフロー用の試験片であることがより好ましい。
また、試験片の構造に特に制限はないが、試料添加用部材(サンプルパッド)と、後述する試験領域及び参照領域を有するメンブレンと、吸収パッドとが、この順でそれぞれ相互に毛細管現象が生じるように直列に連結している構造であることが好ましい(以下、このような構造の試験片を「第1の実施態様の試験片」ともいう)。そして、各構成部材は粘着剤付きバッキングシートにより裏打ちされていることが好ましい。
あるいは、サンプルパッドと、前記標識試薬粒子を含浸して得られた部材(以下、「コンジュゲートパッド」ともいう)と、後述する試験領域及び参照領域を有するメンブレンと、吸収パッドとが、この順でそれぞれ相互に毛細管現象が生じるように直列に連結している構造も好ましい(以下、このような構造の試験片を「第2の実施態様の試験片」ともいう)。そして、各構成部材は粘着剤付きバッキングシートにより裏打ちされていることが好ましい。
以下、上記形状及び構造を有する試験片について、図1及び2を参照しながら本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明はこれに制限するものではない。
(1)第1の実施態様の試験片(図1参照)
(サンプルパッド)
サンプルパッド2は、生体分子を含む試料と標識試薬粒子の混合物を滴下する構成部材である。サンプルパッド2の材料や寸法等は特に限定されず、この種の製品に適用される一般的なものを利用することができる。
(メンブレン)
メンブレン3は、サンプルパッド2から毛細管現象により移動してきた抗原を捕捉するための構成部材である。
図1に示すように、メンブレン3には、少なくとも1つの試験領域10が設けられている。そして、生体分子に対する特異的な結合性を有し生体分子と複合体を形成しうる捕捉物質が、試験領域10に導入されている。これにより、検出対象物質と結合した標識試薬粒子が試験領域10へ捕捉される。
この試験領域10で捕捉物質−抗原−第1の標識試薬粒子からなる複合体が形成され、標識試薬粒子が濃縮される。そして、標識試薬粒子が有する標識量の程度により生体分子を定性的又は定量的に検出することができる。
図1に示すように、メンブレン3には、試験領域10に結合しなかった第2の標識試薬粒子を捕捉する参照領域11がさらに設けられている。参照領域11は、第2の標識試薬粒子に対する特異的な結合性を有し、第2の標識試薬粒子と複合体を形成しうる捕捉物質をメンブレン3の所定の領域に固定化することで設けることができる。なお参照領域11に固定化する捕捉物質は、第2の標識試薬粒子に対して特異的な結合性を有するが、検出対象物質である生体分子に対する結合性を有さない。
試験領域10及び参照領域11の形状としては、局所的に各捕捉物質が固定化されている限り特に制限はなく、ライン状、円状、帯状等が挙げられる。本発明において試験領域10及び参照領域11はそれぞれライン状であることが好ましく、幅0.5〜1.5mmのライン状であることがより好ましい。
なお図1に示すように、生体分子と標識試薬粒子が毛細管現象により移動する方向に対して、試験領域10よりも下流に参照領域11を設けることが好ましい。
試験領域10に固定化する捕捉物質は、生体分子に対して特異的な結合性を有する。そのため、サンプルパッド2から毛細管現象により移動してきた、標識試薬粒子と生体分子との複合体試験領域10に結合する。
試験領域10に固定化する捕捉物質としては、前記試験領域で捕捉物質−抗原−第1の標識試薬粒子からなる複合体を形成しうるものであれば特に制限はない。試験領域10に固定化する捕捉物質と生体分子の組み合わせの例としては、抗体とその抗原の組み合わせ、抗原とその抗体の組み合わせ、核酸(DNAやRNA等)とストリンジェントな条件で該核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの組み合わせ、受容体とそのリガンドの組み合わせ、リガンドとその受容体の組み合わせ、レクチンと糖鎖の組み合わせ、アプタマーと該アプタマーに特異的に結合する分子の組み合わせが挙げられる。
なお、本明細書において、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
参照領域11には、第2の標識試薬粒子のみを捕捉するための捕捉物質が固定化されている。参照領域に固定化する捕捉物質は、第2の標識試薬粒子に対して特異的な結合性を有するが、検出対象である生体分子に対して結合性を有さない。そのため、第2の標識試薬粒子のみが参照領域11に結合する。
参照領域11に固定化する捕捉物質としては、生体分子に対して結合性を有さず、第2の標識試薬粒子に対して特異的な結合性を有するものから、適宜選択することができる。具体的には、抗体、抗原、核酸、受容体、リガンド、糖鎖、アプタマーなどから適宜選択することができる。
試験領域10に固定化する捕捉物質の固定化量に特に制限はなく、適宜設定るすることができる。例えば、試験領域10の形状がライン状の場合、単位長さ(cm)当たりの捕捉物質の固定化量は0.001μg以上が好ましく、0.01μg以上がより好ましく、10μg以下が好ましく、2μg以下がより好ましい。また、参照領域11に固定化する捕捉物質の固定化量は、検出又は定量装置で第2の標識試薬粒子を検出するために十分な量の粒子が結合し得る範囲であれば特に制限ない。例えば、参照領域11の形状がライン状の場合、単位長さ(cm)当たりの捕捉物質の固定化量は0.1μg以上が好ましく、1μg以上がより好ましく、20μg以下が好ましく、5μg以下がより好ましい。
前記各捕捉物質それぞれの固定化方法としては、各捕捉物質の溶液をメンブレン3の所定の領域に塗布、滴下又は噴霧後、乾燥して物理吸着により固定化する方法等が挙げられる。また、非特異的吸着による測定への影響を防止するため、各捕捉物質の固定化後にメンブレン3全体をいわゆるブロッキング処理を施してもよい。
(吸収パッド)
吸収パッド4は、毛細管現象でメンブレン3を移動してきた溶液を吸収し、一定の流れを生じさせるための構成部材である。
これら各構成部材の材料としては特に制限は無く、この種の試験片に通常用いられる部材が使用できる。例えば、サンプルパッド2としてはGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のガラスファイバーのパッドを好ましく用いることができる。メンブレン3としてはHi-Flow Plus180メンブレン(商品名、MILLIPORE社製)等のニトロセルロースメンブレンを好ましく用いることができる。吸収パッド4としてはCellulose Fiber Sample Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のセルロースメンブレンを好ましく用いることができる。
前記粘着剤付きバッキングシート6としては、AR9020(商品名、Adhesives Research社製)等が挙げられる。
試験片の作製法としては、サンプルパッド2、メンブレン3、吸収パッド4の並び順に、各部材間で毛管現象を生じさせ易くするために、それら各部材の両端と隣接する部材と1〜5mm程度重ね合わせて(好ましくはバッキングシート6上に)貼付することで、テストストリップ1を作製することができる。
(2)第2の実施態様の試験片(図2参照)
(サンプルパッド)
サンプルパッド2は、生体分子を含む試料と、場合により標識試薬粒子と、を滴下する構成部材である。サンプルパッド2の材料や寸法等は特に限定されず、この種の製品に適用される一般的なものを利用することができる。
(コンジュゲートパッド)
コンジュゲートパッド5は、前記標識試薬粒子(第1の標識試薬粒子及び/又は第2の標識試薬粒子)を含浸して得られた構成部材である。そして、サンプルパッド2から毛細管現象により移動した生体分子を含む液と標識試薬粒子とを混合する部分である。
コンジュゲートパッド5に含ませる標識試薬粒子の量に特に制限はなく、適宜設定することができる。例えば、コンジュゲートパッド5における単位面積(cm)当たりの標識試薬粒子の含有量は、1μg以上100μg以下が好ましい。コンジュゲートパッド5に対する標識試薬粒子の含浸方法としては、標識試薬粒子の分散液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥する方法等が挙げられる。
(メンブレン及び吸収パッド)
図2に示すように、第1の実施態様の試験片と同様の構成のメンブレン3及び吸収パッド4が設けられている。メンブレン3及び吸収パッド4の好ましい構成、作製方法については、第1の実施態様の試験片と同様である。
これら各構成部材の材料としては特に制限は無く、この種の試験片に通常用いられる部材が使用できる。例えば、サンプルパッド2及びコンジュゲートパッド5としてはGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のガラスファイバーのパッドを好ましく用いることができる。メンブレン3としてはHi-Flow Plus180メンブレン(商品名、MILLIPORE社製)等のニトロセルロースメンブレンを好ましく用いることができる。吸収パッド4としてはCellulose Fiber Sample Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のセルロースメンブレンを好ましく用いることができる。
前記粘着剤付きバッキングシート6としては、AR9020(商品名、Adhesives Research社製)等が挙げられる。
試験片の作製法としては、サンプルパッド2、コンジュゲートパッド5、メンブレン3、吸収パッド4の並び順に、各部材間で毛管現象を生じさせ易くするために、それら各部材の両端と隣接する部材と1〜5mm程度重ね合わせて(好ましくはバッキングシート6上に)貼付することで、テストストリップ1を作製することができる。
[生体分子の検出又は定量方法]
本発明の生体分子の検出又は定量方法は、生体分子を含む試料と標識試薬粒子との混合物を前記試験片中で移動させ、試験領域10に結合した、生体分子と複合体を形成した標識試薬粒子量を示す測定値と、参照領域11に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を測定し、試験領域10に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を、参照領域11に結合した標識試薬粒子量を示す測定値で補正し、補正した数値に基づいて生体分子を検出又は定量する。
以下、上記構成の生体分子の検出又は定量方法について、好ましい実施態様に基づいて説明する。しかし、本発明はこれに制限するものではない。
本発明の第1の実施態様では、生体分子を含有しうる液体試料と前記構成の標識試薬粒子との混合物を、生体分子検出又は定量用の試験片1のサンプルパッド2に滴下する。サンプルパッド2に滴下する液体試料の量は、試験片1の構成に合わせて適宜設定することができる。また、サンプルパッド2に滴下する生体分子と標識試薬粒子の量は、試験片1の試験領域10における捕捉物質の固定化量に応じて、適宜設定することができる。
そして、毛細管現象によりサンプルパッド2からメンブレン3に移動してきた生体分子と標識試薬粒子との複合体が、試験片1の試験領域10上に固定された捕捉物質との結合により濃縮される。そして、試験領域10に光を照射し、濃縮された標識試薬粒子の標識(蛍光シリカナノ粒子に含まれる色素の発光強度)を検出する。検出した標識の有無又は標識の程度により、生体分子の検出を行うことができる。
ここで、試験領域10の発光強度と、試験領域10に結合する粒子量の関係性を決定する。そして、決定した発光強度と粒子量との関係性と、実際に測定した試験領域10の発光強度から、試験領域10に結合した標識試薬粒子量を算出することができる。その結果、間接的に、試料に含まれる生体分子を定性的又は定量的に検出することができる。
本発明の第2の実施態様では、前記標識試薬粒子を試験片1の構成部材に乾燥された状態で含ませておき、生体分子が試験領域10に捕捉される前に、前記部材中で液体試料と標識試薬粒子とを混合する。例えば、第1の標識試薬粒子及び又は第2の標識試薬粒子をサンプルパッド2やメンブレン3に含ませておき、生体分子を含有しうる液体試料がこれらの部材を通過する際に、生体分子を含有しうる液体試料と標識試薬粒子とを混合してもよい。あるいは、前記標識試薬粒子を含ませたコンジュゲートパッド5をメンブレン3よりも上流に設け、生体分子を含有しうる液体試料がこの部材を通過する際に、生体分子を含有しうる液体試料と前記標識試薬粒子とを混合してもよい。これらの場合、生体分子を含有しうる液体試料が前記部材を通過した後に、生体分子の試験領域10への結合が行われる。
蛍光シリカナノ粒子に含まれる色素の発光強度の検出方法に特に制限はなく、目視で検出してもよいし、汎用の蛍光検出器を用いて検出してもよい。
汎用の蛍光検出器は、励起光源及びフィルタからなる。前記励起光源としては水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザダイオード、発光ダイオードなどが挙げられる。前記フィルタは、励起光源から特定の波長の光のみを透過するフィルタであり、前記蛍光微粒子の蛍光波長、蛍光波長から適宜選択する。前記蛍光検出器は、蛍光を受光する光電子倍増管又はCCD検出器を備えていてもよい。これにより目視では確認できない強度ないしは波長の蛍光も検出でき、さらにはその蛍光強度を測定できる。
照射する励起光の波長は特に限定されないが、300nm以上が好ましく、400nm以上がより好ましく、500nm以上が特に好ましい。また、700nm以下が好ましく、600nm以下がより好ましく、550nm以下が特に好ましい。
蛍光の波長は350nm以上が好ましく、450nm以上がより好ましく、530nm以上が特に好ましい。また、800nm以下が好ましく、750nm以下がより好ましく、580nm以下が特に好ましい。
次に、試験領域10に結合した、生体分子と複合体を形成した第1の標識試薬粒子量を示す測定値を、参照領域11に結合した第2の標識試薬粒子量を示す測定値で補正する。これにより、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、試験キットを流れる標識試薬粒子の流れのばらつきの影響を排除する。
試験領域10に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を、参照領域11に結合した標識試薬粒子量を示す測定値で補正する具体的な方法としては、試験領域10の発光強度を、参照領域11の発光強度で割り、試験領域10の発光強度を補正する方法が挙げられる。
また、生体分子の検出又は定量方法の別の態様としては、生体分子を含む試料と標識試薬粒子との混合物を前記試験片中で移動させ、試験領域10に結合した、生体分子と複合体を形成した標識試薬粒子量を示す測定値と、試験領域10より上流の領域のバックグラウンド値を測定し、試験領域10に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を、バックグラウンド値で補正し、補正した数値に基づいて生体分子を検出又は定量することもできる。
本実施態様における補正の工程以外の操作は、前述の操作と同様に行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(調製例1)第1の標識試薬粒子の調製
(1)蛍光シリカナノ粒子の調製
蛍光分子であるカルボキシローダミン6Gを含有する蛍光シリカナノ粒子を以下の方法で調製した。
5-(及び-6)-カルボキシローダミン6G・スクシンイミジルエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)31mgをジメチルホルムアミド(DMF)10mLに溶解した。ここにAPS(信越シリコーン社製)12μLを加え、室温(23℃)で1時間反応を行い、5-(及び-6)-カルボキシローダミン6G−APS複合体(5mM)を得た。
得られた5-(及び-6)-カルボキシローダミン6G−APS複合体の溶液600μLと、エタノール140mL、TEOS(信越シリコーン社製)6.5mL、蒸留水20mL及び28質量%アンモニア水15mLを混合し、室温で24時間反応を行った。
反応終了後、反応液を18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿した粒子に蒸留水4mLを加え粒子を分散させ、再度18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去した。
その結果、平均粒径271nmの蛍光分子を含有する蛍光シリカナノ粒子1.65gを得た(収率約94%)。
(2)蛍光シリカナノ粒子へのチオール基の導入
上記で得た蛍光シリカナノ粒子1gを水/エタノール=1/4の混合液150mLに分散させた。これにMPS(和光純薬社製)1.5mLを加えた。続いて28%アンモニア水20mLを加え、室温で4時間混合した。
反応終了後反応液を18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿した蛍光シリカナノ粒子に蒸留水10mLを加え蛍光シリカナノ粒子を分散させ、再度18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、分散液に含まれる未反応のMPSやアンモニア等を除去した。その結果、チオール基が導入された蛍光シリカナノ粒子を得た。
得られた蛍光シリカナノ粒子500mgについて、DNTBを用いて導入されたチオール基の定量分析を行った。その結果、蛍光シリカナノ粒子の粒子表面に導入されたチオール基の密度は、0.046個/nm2であった。
(3)チオール基を介した蛍光シリカナノ粒子と抗hCG抗体との結合
以下の方法により、チオール基を介して、チオール基が導入された蛍光シリカナノ粒子と、試験領域用標識物質としての抗hCG抗体とを結合させた。
チオール基が導入された蛍光シリカナノ粒子の分散液(濃度25mg/mL、分散媒:蒸留水)80μLにDMF420μLを加え、15000×gの重力加速度で10分遠心分離した。上清を除去し、DMF500μLを加え遠心分離し、上清を除去した。再度DMF500μLを加え蛍光シリカナノ粒子を分散させた。これにリンカー分子としてPEG-マレイミド1mgを加え30分混合した。このようにして、上記リンカー分子のマレイミド基と蛍光シリカナノ粒子のチオール基との間でチオエーテル結合を形成させた。
この反応液を15000×gの重力加速度で10分遠心分離した。上清を除去後、蒸留水88.6μLを加え粒子を分散させた。続いて、0.5M MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)(pH6.0)100μL、50mg/ml NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)230.4μL、19.2mg/mL EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)75μLを加え混合した。これにIgG系の抗hCG抗体(Anti-hCGマウスIgG1、1mg/mL、Medix Biochemica社製)50μLを加え、60分間混合した。
15000×gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。これに10mM KH2PO4(pH7.5)400μLを加え、粒子を分散させた。続いて15000×gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。再度10mM KH2PO4(pH7.5)400μLを加え、粒子を分散させてコロイドを得た。
このようにして、抗hCG抗体が結合した蛍光シリカナノ粒子を分散させたコロイドを得た。
なお、得られたコロイドをサンプルとして、蛍光シリカナノ粒子に結合した抗hCG抗体の定量を行った。抗hCG抗体の定量には、Pierce BCA Protein Assay Kit(商品名、Thermo Fisher Scientific社製)を用いた。
その結果、蛍光シリカナノ粒子1gあたりの抗hCG抗体の結合量は、15mgであった。
(調製例2)第2の標識試薬粒子の調製
以下の方法により、チオール基を介して、チオール基が導入された蛍光シリカナノ粒子と、参照領域用標識物質としてのAnti-LDLR antibodyとを結合させた。
調製例2で得られた蛍光シリカナノ粒子の分散液(濃度25mg/mL、分散媒:蒸留水)80μLにDMF420μLを加え、15000×gの重力加速度で10分遠心分離した。上清を除去し、DMF500μLを加え遠心分離し、上清を除去した。再度DMF500μLを加え蛍光シリカナノ粒子を分散させた。これにリンカー分子としてPEG-マレイミド1mgを加え30分混合した。このようにして、上記リンカー分子のマレイミド基と蛍光シリカナノ粒子のチオール基との間でチオエーテル結合を形成させた。
この反応液を15000×gの重力加速度で10分遠心分離した。上清を除去後、蒸留水88.6μLを加え粒子を分散させた。続いて、0.5M MES(pH6.0)100μL、50mg/ml NHS 230.4μL、19.2mg/ml EDC 75μLを加え混合した。これにIgY系のAnti-LDLR antibody produced in chicken(1.1mg/mL、Sigma Aldrich社製)11.8μLを加え、60分間混合した。
15000×gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。これにLipidure-BL802(商品名、日油社製)8μL、10mM KH2PO4(pH7.5)392μLを加え、粒子を分散させた。続いて15000×gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。再度10mM KH2PO4(pH7.5)400μLを加え、粒子を分散させてコロイドを得た。
このようにして、Anti-LDLR antibodyが結合した蛍光シリカナノ粒子を分散させたコロイドを得た。
なお、得られたコロイドをサンプルとして、蛍光シリカナノ粒子に結合したAnti-LDLR antibodyの定量を行った。Anti-LDLR antibodyの定量には、PierceBCA Protein Assay Kit(商品名、Thermo Fisher Scientific社製)を用いた。
その結果、蛍光シリカナノ粒子1gあたりのAnti-LDLR antibodyの結合量は、15mgであった。
(調製例3)生体分子検出又は定量用テストストリップの作製
生体分子検出又は定量用テストストリップを以下の方法で作製した。
生体分子検出又は定量用抗体固定化メンブレンを以下の方法で作製した。
メンブレン3(丈25mm、商品名:Hi-Flow Plus180 メンブレン、MILLIPORE社製)の端から約8mmの位置に、幅約1mmの試験領域(テストライン)10として、抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH),clone code/6601、Medix Biochemica社製)を1mg/mL含有する溶液((50mM KH2PO4、pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
また、幅約1mmの参照領域(コントロールライン)11として、Anti-chicken IgY(Thermo社製)を1mg/mL含有する溶液(10mM pH7.6 PBS)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
その後、50℃で30分乾燥させ、メンブレン3を作製した。なお、テストライン10とコントロールライン11との間隔は5mmとした。
図1に示すように、前記メンブレン3、サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)2、及び吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)、MILLIPORE社製)4の順で、バッキングシート(商品名:AR9020、Adhesives Research社製)6上で組み立てた。なおメンブレン3は、テストライン10がサンプルパッド2側、コントロールライン11が吸収パッド4側に位置するように配置した。
続いて、5mm幅、長さ60mmのストリップ状に切断し、テストストリップ1を作製した。
試験例1 リコビナントhCGの定量
表1に示す濃度で、リコビナントhCG(ロート製薬社製)の溶液を調製した。
続いて、リコビナントhCG溶液100μLと、前記調製例1及び2で作製した第1の標識試薬粒子及び第2の標識試薬粒子のコロイド(2.5mg/mL)各2μLを1つのチューブで混合し、混合液をテストストリップ1のサンプルパッド2に滴下した。
15分後、下記検出装置を用いて、テストラインの発光強度(TL)とコントロールラインの発光強度(CL)を数値化した。さらに、テストラインの発光強度(TL)とコントロールラインの発光強度(CL)との比(TL/CL)を算出した。
その結果を表1に示す。
<検出装置>
光源と光学フィルタと光電子倍増管(PMT)からなる検出ユニットを有し、該検出ユニットが、モーターによって一定速度で直線移動する機構を備え、PMTの受光強度を50μ秒ごとに記録する記録機構を備えた検出装置を作製した。なお、検出ユニットは、光源が532nmのレーザダイオードであり、レーザダイオードをサンプルに照射し、反射光を550nm以上の波長の光のみを透過する光学フィルタを透過させた後にPMTで受光する機構を有する。
Figure 2017166911
表1の結果に基づき、横軸に抗原濃度の常用対数、縦軸にテストラインの発光強度(TL)をプロットしたグラフを作成した。その結果を図3に示す。また、横軸に抗原濃度の常用対数、縦軸にテストラインの発光強度(TL)とコントロールラインの発光強度(CL)との比(TL/CL)をプロットしたグラフを作成した。その結果を図4に示す。
図3に示すように、テストラインの発光強度(TL)のみから抗原の定量可能な下限値を判断すると、5IU/Lであった。これに対して、図4に示すように、テストラインの発光強度(TL)とコントロールラインの発光強度(CL)との比(TL/CL)から抗原の定量可能な下限値を判断すると、0.2IU/Lであった。すなわち、本発明によれば、低濃度領域にまで、検出対象物質の正確な定量範囲が広がることが分かった。
なお、表1に示すようにコントロールラインの発光強度(CL)は一定しなかった。これは、メンブレン3への標識試薬粒子の非特異な吸着によるためである。
試験例2 リコビナントhCGの測定値の精度評価
表1に記載のリコビナントhCG溶液について、図5に示すテストストリップを用いた以外は、前記試験例1と同じ方法で5回試験を実施した。そして、テストライン10の発光強度(TL)を算出した。その結果を表2に示す。
また、コンジュゲートパッド5とメンブレン3との境界から位置W3−W2間に現れるピーク面積(TL面積)と、位置W2−W4間のTL前のBG部分の面積を算出し、TL面積/TL前のBG面積を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2017166911
Figure 2017166911
表2及び3からわかるように表2のTL測定結果と比べて、表3のようにTLのピーク面積をTL前のBG面積で補正することで低抗原濃度では測定ばらつきが小さいことがわかる。
テストラインの発光強度(TL)は、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、メンブレンを毛細管現象により移動する標識試薬粒子の流れのばらつきに影響する。そのため、表1及び2に示すように、テストラインの発光強度と抗原濃度との相関性は低い。
これに対し、コントロールラインの発光強度をメンブレン3を移動した標識試薬粒子の流れを示す量として用い、この値でテストラインの発光強度Tの値を補正することで、試験キットの構成部材の不均一性やばらつき、標識試薬粒子の流れのばらつきがあっても、テストラインの発光強度と生体分子濃度との高い相関性が得られた。すなわち、本発明により、生体分子の検出精度を向上させることができる。
試験例3 <交差反応がないことの確認>
hCGとIgYの反応系がそれぞれ交差反応を起こしていないか確認するために、hCG抗体のラインのみのメンブレン、IgY抗体ラインのみのメンブレンを作成した。これらのメンブレンにそれぞれAnti LDLR修飾粒子、hCG修飾粒子を流してライン発色しないか確認した。なお、抗原は混合していない。結果を表4に示す。
表4に示すように、それぞれ交差反応がないことを確認できた。
Figure 2017166911
1 テストストリップ
2 サンプルパッド
3 メンブレン
4 吸収パッド
5 コンジュゲートパッド
6 バッキングシート
10 試験領域
11 参照領域

Claims (12)

  1. 生体分子検出又は定量用試験キットを用いた生体分子の検出又は定量方法であって、
    前記生体分子検出又は定量用試験キットは、イムノクロマト法用の試験片と、生体分子検出又は定量用の標識試薬粒子を有し、
    前記試験片は、生体分子と標識試薬粒子との複合体を捕捉する試験領域と、前記試験領域に結合しなかった標識試薬粒子を捕捉する参照領域を有し、
    前記標識試薬粒子が、検出対象である生体分子を捕捉する第1の捕捉物質が粒子表面に導入されている第1の標識試薬粒子と、前記第1の捕捉物質とは交差反応を起こさず、前記参照領域に特異的に結合させるための第2の捕捉物質が粒子表面に導入されている第2の標識試薬粒子、の少なくとも2種からなり、
    生体分子を含む試料と前記標識試薬粒子との混合物を前記試験片中で移動させ、
    前記試験領域に結合した、生体分子と複合体を形成した標識試薬粒子量を示す測定値と、前記参照領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を測定し、
    前記試験領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値を、前記参照領域に結合した標識試薬粒子量を示す測定値で補正し、
    補正した数値に基づいて生体分子を検出又は定量する、
    生体分子の検出又は定量方法。
  2. 前記第1の標識試薬粒子と、第2の標識試薬粒子がそれぞれ、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子である、請求項1に記載の生体分子の検出又は定量方法。
  3. 前記の第1の捕捉物質と第2の捕捉物質がそれぞれ、親水性リンカーを介して蛍光シリカナノ粒子の表面に導入されている、請求項2に記載の生体分子の検出又は定量方法。
  4. 前記親水性リンカーがポリエチレングリコール-マレイミドである、請求項3に記載の生体分子の検出又は定量方法。
  5. 前記標識試薬粒子の平均粒径が30nm以上1000nm未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
  6. 前記の第1の標識試薬粒子と、前記の第2の標識試薬粒子の混合液を前記試験片に滴下し、前記試験片中を同時に移動させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体分子の検出又は定量方法。
  7. 生体分子の検出又は定量方法に用いる生体分子検出又は定量用試験キットであって、
    イムノクロマト法用の試験片と、生体分子検出又は定量用の標識試薬粒子を有し、
    前記試験片は、生体分子と標識試薬粒子との複合体を捕捉する試験領域と、前記試験領域に結合しなかった標識試薬粒子を捕捉する参照領域を有し、
    前記標識試薬粒子が、検出対象である生体分子を捕捉する第1の捕捉物質が粒子表面に導入されている第1の標識試薬粒子と、前記第1の捕捉物質とは交差反応を起こさず、前記参照領域に特異的に結合させるための第2の捕捉物質が粒子表面に導入されている第2の標識試薬粒子、の少なくとも2種からなり、
    生体分子を含む試料と前記標識試薬粒子との混合物を前記試験片中で移動させた際、前記の第1の標識試薬粒子は前記試験領域に結合し、前記の第2の標識試薬粒子は前記参照領域に結合する、
    生体分子検出又は定量用試験キット。
  8. 前記第1の標識試薬粒子と、第2の標識試薬粒子がそれぞれ、蛍光シリカナノ粒子からなる標識試薬粒子である、請求項7に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
  9. 前記の第1の捕捉物質と第2の捕捉物質がそれぞれ、親水性リンカーを介して蛍光シリカナノ粒子の表面に導入されている、請求項8に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
  10. 前記親水性リンカーがポリエチレングリコール-マレイミドである、請求項9に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
  11. 前記標識試薬粒子の平均粒径が30nm以上1000nm未満である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。
  12. 前記の第1の標識試薬粒子と、前記の第2の標識試薬粒子の混合液を前記試験片に滴下し、前記試験片中を同時に移動させる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の生体分子検出又は定量用試験キット。




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