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JP2017156160A - 電流センサー用磁性コア - Google Patents

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JP2017156160A JP2016037993A JP2016037993A JP2017156160A JP 2017156160 A JP2017156160 A JP 2017156160A JP 2016037993 A JP2016037993 A JP 2016037993A JP 2016037993 A JP2016037993 A JP 2016037993A JP 2017156160 A JP2017156160 A JP 2017156160A
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操 浪川
Misao Namikawa
操 浪川
勝司 笠井
Katsuji Kasai
勝司 笠井
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Abstract

【課題】磁性材料からなるコアを用いる電流センサーにおいて、大きなSN比を有しつつ、定格電流を被計測電流の最大値として被計測電流の最大値付近の測定精度を高くし、さらに定格電流よりも大きな過電流に対する測定精度を高くするための方策を提供する。
【解決手段】電流センサー用の磁性コアにおいて、前記磁束を計測するための磁気センサーを配置する第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが、式Lg≦Ls≦1.35Lgを満足する構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、導体に流れる電流値を計測する際に、該計測対象の被計測電流によって磁性コアに発生する磁束量を該磁性コアに設けられたギャップに配置された磁束検出用センサーにて計測することによって電流値を求める、電流センサーにおける該磁性コアに関するものである。
導体に流れる電流値を計測する方法には、電流の流路に直接抵抗を挿入して電流量に応じて該抵抗に生じる電圧値を測定することによって求める方法や、被計測電流が発生する磁界によって磁性材料からなるコアが磁化される時の磁化の大きさを何らかの手段で計測することによって求める方法などがある。
磁性材料からなるコアを用いる電流測定方法の一つに、磁性材料からなる環状コアの内径部に被計測電流線を貫通させ、コア中に発生した磁束を当該環状コアに設けたギャップ部に設置されたホール素子などの検出用センサーを用いて計測する方法がある。このようにして電流値を求める方法が、例えば特許文献1に記載されている。
磁性材料からなるコアを用いる電流測定方法では、磁性コアの磁気飽和が測定精度を悪化させる原因として指摘されている。ここでいう磁気飽和とは、電流が高くなってある閾値になると、それ以上磁性体の磁束密度が変化しなくなる現象である。つまり、電流によって生じる磁束密度に上限があるために、その上限以上の電流は測定できない。そして、磁気飽和となる時の磁束密度を、飽和磁束密度という。飽和磁束密度の大きさは、磁性材料の材質で決まる。
磁性コアの磁気飽和が発生する電流を大きくするには、該コアに設けたギャップ部の磁気抵抗を大きくすればよい。そのためには、該ギャップ部の長さを大きくすれば良いことが知られている。例えば、特許文献2には、コアに設けるギャップの個数を増やしてギャップ部の全長(総計)を大きくすることによって、磁気飽和に達する電流値を大きくできることが開示されている。特許文献2の図8の磁界−磁束密度の関係で示されるように、ギャップ部の全長が大きくなれば、磁界が大きくなっても磁束密度を小さくすることができる。磁界の大きさは電流に比例するから、計測対象の電流が大きくなっても、磁気飽和することなく電流測定が可能になる。
特許文献2に記載された方法のように、ギャップ部の全長を大きくして磁気抵抗を大きくすれば、コアが磁気飽和する時の電流は大きくなるが、特許文献2の図8から明らかなように、被計測電流が小さい場合は、センサーが検出するコアの磁束密度は小さな値となってしまう。被計測電流の大きさは一定とは限らず、変化している場合もある。
例えば、磁束密度検出用センサーとしてホール素子を使用する場合、ホール素子の出力電圧は実用上必ず増幅装置を必要とするほど微弱であって、ノイズの影響を受けやすい。検出するコアの磁束密度は小さいとホール素子の出力電圧も小さくなるため、場合によってはノイズに埋もれてしまって検出できなくなる。このようにホール素子などの磁束密度検出用センサーの検出感度を考えると、SN比(信号とノイズとの比)の観点からも、検出すべき信号の値、上記の例で言えばコアの磁束密度はセンサーの測定可能範囲において極力高くしなければならない。
従って、上記したように磁性材料からなるコアを用いた電流測定では、コアが磁気飽和する電流をできるだけ大きくするようにし、かつセンサーが検出すべきコアの磁束密度が極力高い領域で測定を行う必要がある。そのために、被計測電流が大きくなってもコアが磁気飽和しないようにギャップ長さを調整する。このギャップ長を大きくしすぎると、測定される磁束密度が小さくなってしまうから、コアに設けるギャップ長を、設定可能な範囲の中で最も小さな値に設定することによって、コアの磁気飽和とSN比の問題を解決するのが一般的である。
このような例として、例えば特許文献3には、複数の分割コア部材からなる環状磁性体コアの第1のギャップにホール素子を設置し、第2のギャップの内部に必要に応じて磁性体を挿入することで環状コアの磁気抵抗を調整してセンサーの測定精度の向上を図ることが開示されている。具体的には、特許文献3の段落[0037]から[0040]に詳述されているように、用意したコアの被測定電流とセンサー出力電圧との関係を示す直線の傾きが理想曲線よりも低い、すなわちギャップ長さが大きすぎる場合には、磁性板を挿入してギャップ部の全長を短くする。このようにして設定可能な範囲の中で最も小さな値に設定している。
図1は、コアの被測定電流と磁束密度との関係を示すグラフである。被測定電流と磁束密度との関係は、同図に点線で示すように、ある電流値まで比例関係にあるが、その後磁気飽和する。磁束検出用センサーとして用いる場合、測定の全範囲にわたって被測定電流と磁束密度とが比例関係にあることが理想的である。この点線を、以降理想曲線とも称する。磁気飽和した後は、電流値が大きくなっても、磁束密度は大きくならない。この、磁気飽和したときの磁束密度を、飽和磁束密度とも称する。理想曲線において被測定電流と磁束密度との関係が直線関係からずれはじめる、被測定電流値が当該磁性コアの測定可能な最大電流値Imax(理想)となる。
しかし、現実には、被測定電流と磁束密度との関係は、コア磁性材料の磁化特性が非線形性を有するため、図1に実線で示すようになるのが一般的である。すなわち、被測定電流がImax(理想)よりも低い値であるImax(実際)を超えると、被測定電流と磁束密度との関係が理想曲線から乖離しはじめる。この実線を、以降、測定電流―磁束密度曲線とも称する。
実際の電流の測定においては、まずコアに発生している磁束の磁束密度を磁気センサーで測定して、その値から対応する電流値を算出する。被測定電流と磁束密度との関係は、図1の理想曲線の関係が成立していることが前提となっている。しかし、現実には、図1の測定電流―磁束密度曲線のようになっているから、被測定電流がImax(実際)を超えた範囲では、理想曲線と測定電流―磁束密度曲線とは乖離している。この乖離が、測定誤差となる。このため、現実の測定可能範囲はImax(実際)以下の電流範囲と定めるのが、一般的である。
昨今の電気機器では、半導体スイッチ素子を使ったインバータが使われるようになっており、電流センサーを使った電流計測と計測結果を使った機器制御とが行われている。一方で、半導体スイッチ素子は電子ノイズの発生源ともなっていて、機器誤動作の原因となることがある。このようなノイズ要因の誤動作や急激な負荷変動など様々な要因によって、電気機器に定格電流以上の過電流が流れることがある。
電流センサーの測定精度として、定格電流以下の電流範囲に対しては高い精度が求められる。一方、電気機器に定格電流以上の過電流が流れることは頻度としては低いので、電流センサーの測定精度として定格電流以下の場合ほどの高精度が必要とされることは少なく、定格電流以上の電流が流れたことがわかるだけで良い場合が多かった。
しかし、上記のように電気機器がノイズ環境に晒される場合が増えてきているなか、電気機器の耐過電流対策が求められるようになってきており、電流センサーに対しては過電流時の精度もある程度有していることが求められてきている。
特開2013-246056号公報 特開2005-332851号公報 特開2012-154636号公報
過電流時の電流センサー測定精度を良くする方策の一つは、図2に示すように、コアのギャップ長を大きくとってギャップ部の磁気抵抗を大きくすることによって、大電流でも鉄心が磁気飽和しにくくすればよい。しかし、図2から明らかなように、ギャップ長を大きくすると被計測電流が小さいときの磁束密度は小さくなるので、ホール素子などの磁束密度検出用センサーの検出感度を考えると、SN比(信号とノイズとの比)が低下してしまい、被計測電流値が小さい場合のセンサー精度が悪くなる。
特許文献3の段落[0039]、[0040]および図8には、環状コアの磁気抵抗を調整して最適化することによって、広範囲の被計測電流に対してセンサーの出力特性を目標のものに調整できることが記載されている。具体的には、段落[0039]および[0040]に記載されるように、環状コアの磁気抵抗を第2の空隙部に所定の厚みの磁性板を取り付けることによって最適化している。
しかし、この方法を用いて被計測電流が定格電流となる条件で磁気抵抗を最適化したとしても、特許文献3の図8に示されているように、被計測電流と出力電圧(磁束密度に相当)とが直線関係を示す電流範囲で最適化をしたに過ぎず、定格電流よりも大きな過電流が流れて被計測電流と出力電圧が直線関係から外れてしまうような、大電流域のことは全く考慮されていないため、過電流時の測定精度は全く保障されていない。
また、特許文献3の方法を用いて、被計測電流が過電流となる条件、すなわち被計測電流とセンサー出力電圧とが直線関係となる条件によって磁気抵抗を最適化したとしても、その場合は大電流でも鉄心が磁気飽和しにくいようにギャップ長を大きく取った上で、ギャップ長を微調整することになるため、上記と同様にSN比(信号とノイズとの比)が低下してしまい、被計測電流値が小さい場合の電流検出精度が確保できなくなる。
上記のように、従来技術(特許文献3)は、定格電流を被計測電流の最大値として被計測電流の最大値付近の測定精度を高めるとともに、被計測電流が小さいときのSN比を良くするように最適化することまでは可能である。しかしながら、さらに定格電流よりも大きな過電流に対して測定精度を高くすることは想定されていないし、当然、そのための方策も提示されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、磁性材料からなるコアを用いる電流センサーにおいて、大きなSN比を有しつつ、定格電流を被計測電流の最大値として被計測電流の最大値付近の測定精度を高め、さらに定格電流よりも大きな過電流に対する測定精度を高めるための方策を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意究明した。
上記した従来の、定格電流値付近の測定精度を高くしかつ被計測電流が小さいときの測定精度も良くする手法は、結局技術的に、コアの全ギャップ長をある特定の値にすることによって実現されている。しかしながら、さらに定格電流よりも大きな過電流に対する測定精度をも良くするためには、コアのギャップ数を複数にして全ギャップ長は一定値に保ったまま各ギャップ長の配分比を変えることが有効であることを見出すに至った。特に、各ギャップ長の配分比を特定の値とすることによって高い過電流測定精度が得られること、を新たに知見するに至った。
本発明は、上記の知見に由来するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.電流センサー用の磁性コアであって、
磁束を計測する磁気センサーを配置する第一のギャップおよび第二のギャップを有し、
前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(1)を満足する電流センサー用磁性コア。

Lg≦Ls≦1.35Lg …(1)
2.前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(2)を満足する前記1に記載の電流センサー用磁性コア。

1.11Lg≦Ls≦1.22Lg …(2)
3.U字形の複数枚の電磁鋼板を積層した積層体の対を、前記ギャップLsおよびLgの長さを隔てて相対配置した環状組立体である前記1または2に記載の電流センサー用磁性コア。
本発明によれば、被計測電流の最大値付近の測定精度と被計測電流が小さい場合の測定精度を良くした上で、さらに被計測電流の最大値よりも大きな過電流においても高い測定精度を実現することができる。
被測定電流と磁束密度との関係を示すグラフである。 被測定電流と磁束密度との関係を示すグラフである。 磁性コアを示す図である。 定格電流測定誤差およびSN比とギャップ全長との関係を模式的に示す図である。 被測定電流と飽和磁束密度との関係をギャップ長の大小で比較した図である。 磁性コアのギャップの態様を示す図である。 被計測電流を示す図である。
磁性コアを用いる方式の電流センサー用コアにおいて、被計測電流が大電流である場合には当該コアの磁気飽和の影響のため、電流測定値の精度が著しく悪くなる。これを防止するためには、上述のとおりコアに磁路を分断するギャップを設けて磁気抵抗を大きくすれば良い。
図3は、本発明による電流センサー1を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は上面図である。電流センサー1は、磁性体からなるコア11に磁気センサー4を組み合わせたものである。
コア11は、略環状であり、これを分断するギャップ2および3が設けられている。コア11の内径側に、電流を測定する被計測電流線10が配置される。被計測電流線10に電流が流れると、その電流の大きさに見合った磁束がコア11に発生する。この磁束は、アンペールの法則に従って、前記電流線10を一周するように形成される。
この電流が大きくなれば、コア11内の磁束も大きくなる。しかし、電流が大きくなればやがて磁気飽和に至る。
ここで、コア11を分断するギャップ2および3を2箇所に設けることによって、当該コア11の磁気抵抗を大きくする。そうすると、磁気飽和に至る電流値を大きくすることができる。このようなコアを用いる電流センサーでは、計測対象が大電流であっても電流測定が可能となる。
一方で、電流センサーは小さな電流値も計測できなければならない。コアの磁束密度検出用の磁気センサーの検出感度、磁気センサー出力を増幅する装置の入力感度、磁気センサーや増幅装置の設置環境によるノイズレベルなどを考慮して、被計測電流が最小であるときにもコアの磁束密度が必要な値以上となるように、ギャップ2および3の合計長さ(ギャップ全長)は必要な範囲で最も小さな値とする。
図4は、電流センサーにおける電流の検出精度(センサーの定格電流測定誤差およびSN比)とギャップ全長との関係を模式的に示す図である。定格電流測定誤差は、図2に示す定格電流値における理想曲線と測定電流―磁束密度曲線との差をいう。ここで、定格電流は、電流の測定可能範囲内の最大値を指す。本発明によるコアを用いた電流センサーでは、センサーの定格電流測定誤差(実線)およびSN比(点線)は、ギャップ全長に応じて変化する。すなわち、ギャップ全長が小さければ、定格電流測定誤差およびSN比はともに大きくなり、ギャップ全長が大きければ、定格電流測定誤差およびSN比はともに小さくなる。定格電流測定誤差は小さいほうがよく、一方SN比は大きいほうがよい。なお、図2では、定格電流測定誤差は無いように描かれているが、図2は模式的に描かれており、実際には定格電流測定誤差が存在する。
ここで、SN比を大きくする理由は、被測定電流がImax(実際)以下であっても、測定精度が保障されているわけではないからである。図5は、このことを説明する図である。例えば、被測定電流が、実際の電流にオフセット電流Jが重なっていて実際に測定される電流値自体は大きいが振幅Aが小さい場合は、SN比が小さいと、電流の振幅Aを検出することができなくなる。該振幅Aを検出できなければ、測定される電流値は一定となり、適切な制御ができなくなる可能性がある。したがって、センサーのSN比を十分大きくする必要がある。なお、図5では、オフセット電流値が一定であり、かつ電流も正弦波に近いものとしたが、実際の使用環境においては、オフセット電流値は一定ではなく、電流の振幅や変化時間も時々刻々と変化しているため、SN比が十分大きくないと、電流の変化を検出できない。
さらに、ギャップ長が大きいと、図5に示すように、電流の振幅Aに対する磁束密度の変化幅ΔBが小さくなってしまう。該ΔBが小さいと電流の検出感度が下がるため、適切な制御ができなくなる。
上記のように、電流を感度よく検出でき、定格電流測定誤差の要求仕様とSN比の要求仕様とを同時に満たすギャップ全長の最小値をギャップ2および3の合計長さとする。
前述したように、コアにギャップを設けることにより、磁束密度を大きくすることができるが、ギャップ全長が大きくなると、図2に示したように、被測定電流が小さいときの磁束密度が小さくなる傾向があるから、ギャップ全長はできるだけ小さいほうが望ましい。さらに、図4に示すように、SN比および定格電流測定誤差の要求仕様を両方とも満たす範囲内(以下、設定範囲内とも称する)にギャップ全長は設定される。
要求されるSN比および被測定電流の最小値は、要求される仕様やセンサーが使用される環境によって異なるが、小さなSN比および被測定電流が小さくても所望の磁束密度が得られるように、前記設定範囲内でギャップ全長2L0を設定する。2L0はギャップ2および3の大きさの割合によらず一定である。
そして、ギャップ2および3のいずれかに、例えばホール素子などの磁束密度検出用の磁気センサー4を配置し、被計測電流によってコア11に発生する磁束密度を磁気センサー4にて測定し、該磁束密度に基づいて被計測電流を算出することになる。
特に、上記のコア11において、磁気センサー4を設置する一方のギャップ2の長さをLs、他方のギャップ3の長さをLgとしたとき、Lg+Ls=2L0 であってかつLg≦Ls≦1.35Lg、より好ましくは1.11Lg≦Ls≦1.22Lgの関係にあることが肝要である。
例えば、上記した特許文献3に記載のコアでは、同文献の図3に示されるように、磁気センサーを設置していないギャップに磁性板を挿入して調整を行っている。この手法によれば、被計測電流がある値、例えば測定範囲の最大値付近であるときの電流センサーの精度を高くすることができるが、同時に最大値付近よりも高い被計測電流の測定精度は高い場合もあったが低くなる場合もあって、その精度は不安定であった。
そこで、被計測電流が最大値であるときの電流センサーの精度を良くした上で、さらに被計測電流が最大電流よりも高い時の測定精度を向上させ得る手段について検討した。その結果、コアのギャップ条件がLg≦Lsを満たす範囲においてさらにLs≦1.35Lgとする方が、被計測電流が最大電流の時の測定精度と、最大電流よりも高い時の測定精度も安定して良くできること、言い換えれば、Imax(理想)とImax(実際)の間の測定電流―磁束密度曲線を理想曲線に近づけることが可能であることを見出した。
すなわち、Lg≦Ls≦1.35Lg、より好ましくは1.11Lg≦Ls≦1.22Lg とすることによって、被計測電流が最大電流よりも大きな電流範囲においても測定電流―磁束密度曲線を理想曲線に近づけることが出来る。
このように全ギャップ長は一定値に保ったまま各ギャップ長の配分比を特定の範囲とすることによって、過電流に対する測定精度が改善する原因は定かではないが、次のように考えられる。すなわち、コアの磁束密度が飽和に近接した磁束密度域にあるときには、ギャップ部磁束のフリンジング(湾曲)による磁気センサー近傍磁束密度の均一性が、特定のギャップ配分比とすることで改善するためではないかと考えられる。
また、上記したコアは、U字形の電磁鋼板を積層した積層体の対からなる環状組立体であることが好ましい。コアの材質は特に限定されないが、透磁率が大きい電磁鋼板を用いることが好ましい。
コアの作製方法も特に限定されないが、電磁鋼板を積層する方法が最も適している。たとえば、電磁鋼板の薄板を芯金に巻きつけて作製する巻きコアと呼ばれるコアがある。しかし巻きコアは、鋼板を芯金に巻きつけた後に歪取り焼鈍を行う必要があり、作製に余計な手間をかける必要がある。一方で、積層体であれば、所定の形状に鋼板を打ち抜き、それらを積み重ねればよいので、余計な手間がかからず、大量生産により適している。
ここで、形状は、U字形のほか略半円形であってもよく、環状の形態が形作られるものであればよい。
本発明によるコアの大きさは、特に限定されない。コアは、使用される環境や条件により、その直径または内径が0.5cm程度から、最大で30cm程度の大きさになる。また厚さも数mmから数cm程度である。本発明の効果は、磁性コアの大きさによる影響はないため、使用される環境や条件に応じて、適当な大きさを適宜選択すればよい。
定格電流1000Aの電流センサーを作製した。この電流センサーの測定対象である被計測電流は、インバータで出力される。当該インバータはスイッチング周波数10kHzで動作するため、被計測電流には周波数10kHzの高周波電流が含まれ、当該電流センサーは周波数10kHzの高周波電流も正確に測定する必要がある。そして、要求性能として電流センサーの許容誤差は、定格電流1000Aのときは3%である。過電流条件は定格の130%であり、過電流1300Aのときの電流センサーの目標許容誤差は7%である。
このような電流センサーに用いるコアは、U字型の電磁鋼板(Si含有量が6.5質量%である0.1mm厚の珪素鋼板)60枚を積層した積層体の対を組み合わせることによって、図6に示すように、その磁路中に2箇所のギャップ2および3を有するコアとし、一方のギャップ2に磁気センサー(ホール素子)を備える形式とする(磁気センサーは図示を省略)。そして、磁気センサーを備える一方のギャップ2の長さLsと、他方のギャップ3の長さLgとを図6(a)〜(c)に示すように変化させてコアを作製する。
コアの内径部を被計測電流線が貫通するようにコアを設置した。すなわち、計測される電流は一方向のみに流れる構成とした。ただし、前記電流線は、1芯でも、複数の芯で構成されるものでもよい。
前記電流センサーによる電流測定を行って、次のとおり測定誤差を評価した。
すなわち、電流センサーの誤差評価方法は、以下のとおりである。はじめに、被計測電流として図7に示すように、周波数10kHz、振幅50Aの交流電流に直流電流がオフセット電流として重畳する電流を与えたときに、磁気センサー(ホール素子)を設置する方のギャップの中心位置における磁束密度を測定する。そして、被計測電流のオフセット電流がゼロのときの当該磁束密度をB0、オフセット電流1000Aのときの当該磁束密度をB1000、オフセット電流1300Aのときの当該磁束密度をB1300としたとき、
(電流1000Aのときの誤差)=(B1000―B0)/B0×100 (%)
(電流1300Aのときの誤差)=(B1300―B0)/B0×100 (%)
として評価する。
コアを作製するに当たり、まず、コアの磁束密度検出用の磁気センサーの検出感度、磁気センサー出力を増幅する装置の入力感度、磁気センサーや増幅装置の設置環境によるノイズレベルなどを考慮して、所望の最小電流検出精度を得るために被計測電流が50Aであるときのコア磁束密度が10mT以上であるようにし、かつ電流1000Aのときの誤差が3%以下となるように、コアの寸法とギャップ長を、磁界解析ソフトを用いて決定した。
このときのギャップの長さを、図6(a)に示すように、Ls=Lg=L0とする。
次に、図6(b)や(c)に示すようにU字型積層体の対からなるコアの外寸を一定として、コア全体の磁気抵抗を一定とするためギャップの長さを一定(Ls+Lg=2L0)にしたままギャップの各長さLsとLgの長さ配分比を変えて磁界解析を行い、上記定義の電流センサーの誤差を評価した。ここで、本発明による電流センサーが実際に使用される環境を考慮して、定格電流測定誤差よりもSN比を重視し、設定範囲内で2L0が最も小さくなるようにした。その評価結果を表1に示す。なお、表1の仕様達成状況において、適合は電流センサーの目標性能としての前記許容誤差、すなわち被計測電流1000Aのときは3%以下、被計測電流1300Aのときは7%以下を満足するもの、不適合は前記許容誤差を満足しないものを示している。
本発明に従うギャップの長さ範囲とすることによって、被計測電流の最大電流時の測定精度を満たした上で、さらに被計測電流が最大電流よりも高い過電流時の測定精度も向上できることがわかる。とりわけ、Lsが1.11Lg〜1.22 Lgであるときに、過電流値での誤差が小さくなっていることがわかる。
Figure 2017156160
1 電流センサー
2 第一のギャップ
3 第二のギャップ
4 磁気センサー
10 被計測電流線
11 コア

Claims (3)

  1. 電流センサー用の磁性コアであって、
    磁束を計測する磁気センサーを配置する第一のギャップおよび第二のギャップを有し、
    前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(1)を満足する電流センサー用磁性コア。

    Lg≦Ls≦1.35Lg …(1)
  2. 前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(2)を満足する請求項1に記載の電流センサー用磁性コア。

    1.11Lg≦Ls≦1.22Lg …(2)
  3. U字形の複数枚の電磁鋼板を積層した積層体の対を、前記ギャップLsおよびLgの長さを隔てて相対配置した環状組立体である請求項1または2に記載の電流センサー用磁性コア。
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