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JP2017145240A - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分子量が高くでき、密度の調節できる(高級)α−オレフィンを反応させ易く、重合活性が高く、又は、プロピレンや1−ブテンを高い立体規則性で重合することが可能なオレフィン重合用触媒となる新規な遷移金属化合物の提供。【解決手段】イソプロピリデンビス(4−(3,5−ジ−iso−プロピル−4−ジメチルアミノフェニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド等の遷移金属メタロセン化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合用の触媒または触媒成分として有用な特定構造を有する遷移金属化合物(本発明では、メタロセン化合物とも称す)、該遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒、および該触媒の存在下で行う、オレフィン重合体の製造方法、特に、エチレンの単独重合またはエチレンとα-オレフィンとの共重合を行うオレフィン重合体の製造方法、プロピレンの単独重合またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合を行うオレフィン重合体の製造方法、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合を行うオレフィン重合体の製造方法、あるいは、1−ブテンの単独重合または1−ブテンとα−オレフィンとの共重合を行うオレフィン重合体の製造方法に関する。
メタロセン触媒は遷移金属原子および配位子と呼ばれる有機化合物で構成されており、この配位子の構造を、置換基の位置やその置換基の立体的電子的効果を変化させることによって、重合反応で得られるポリマーの物性を幅広くコントロールしている。特徴あるポリマーを合成するために特定構造を有する架橋メタロセン化合物が数多く合成されている。
例えば、特許文献1には、インデンをジメチルシリレンで架橋した配位子を有する遷移金属錯体及びメチルアルモキサンからなるオレフィン重合触媒が開示されており、特許文献2および3には、インデン環4位に芳香族置換基を導入することで、得られるポリオレフィンの立体規則性および位置規則性を高度に制御する手法が開示されている。
また、特許文献4には、4位に芳香族置換基を導入したアズレン骨格を配位子に使用することや、特許文献5には、インデン環2位に複素環置換基を導入することで、重合活性や得られるポリオレフィンの分子量および規則性を制御する手法が開示されている。
このように、メタロセン触媒における配位子の構造を変化させることで種々のポリマーが合成されている。更に、より特徴あるポリマーを合成するため、ならびに更なる高活性化を達成するために、様々な構造のメタロセン錯体の合成が期待されている。
非特許文献1では、シクロペンタジエニル型配位子への電子供与性置換基、特にヘテロ原子を含む電子供与性の高い置換基の導入は、量子科学的モデル計算においては重合活性の面で望ましいと報告されている。
しかしながら、含ヘテロ原子電子供与性置換基を導入したメタロセン錯体を、オレフィン重合用触媒として使用した実際の検討においては、触媒活性および生成ポリオレフィン分子量の面で工業的使用には到底及ばないものであり、その原因として、電子供与性置換基のヘテロ原子と重合系内のアルミニウム化合物との相互作用が示唆されている(非特許文献2および3)。
特許文献6および7には、これらの問題を解決する方法として、特定構造のメタロセン錯体が開示されているが、煩雑で長い合成工程が必須なものである。
特許文献8には、本特許請求の範囲に記載されたものと類似の、インデンをイソプロピリデンで架橋した配位子を有するメタロセン錯体も開示されているが、電子供与性置換基導入効果への言及ならびに実施例の記載はない。
特開平4−268307号公報 特開平6−100579号公報 特開平7−286005号公報 特開平10−226712号公報 特開2004−2259号公報 特表2014−525950号公報 特表2014−505136号公報 特開2014−193846号公報
Оrganometallics 2001,20,5375. Оrganometallics 1992,11,2115. J.Оrganomet.Chem. 1996,520,63.
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、特定構造を有する遷移金属化合物を含むメタロセン触媒を用いて、十分な分子量のポリオレフィンや、市場価値の高い様々な密度の直鎖状低密度オレフィン重合体等の様々なオレフィン重合体を、良好なオレフィン重合活性で製造する方法、および該オレフィン重合体に好適な遷移金属化合物、並びに該遷移金属化合物を含む触媒を提供することにある。即ち分子量が高く出来、密度を調節できる(高級)α-オレフィンを反応させ易く、しかも重合活性の高い、該遷移金属化合物、それを含む触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的としては、プロピレンや1−ブテンを高い立体規則性で重合することが可能な、遷移金属化合物、それを含む触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供することが挙げられる。
本発明者は、こうした状況に鑑み鋭意研究した結果、メタロセン錯体へ特定の置換基群、即ち、含ヘテロ原子電子供与性置換基ならびに近接位の置換基を導入することで、特に優れたα−オレフィンの共重合性を有し、更には、高い分子量と分子量分布の比較的狭いオレフィン重合体を良好なオレフィン重合活性で与える遷移金属化合物が得られることを見出した。即ち、十分な分子量でかつ低密度のエチレン系共重合体等の様々なオレフィン重合体を製造するのに有利な触媒とオレフィン重合体の製造方法とを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の遷移金属化合物[A]は、下記一般式[1]で表される。
Figure 2017145240
一般式[1]中、Mは、周期表第4族遷移金属原子であり、nは、Mの価数を満たす1〜4の整数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、該アニオン配位子が、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基または共役ジエン系二価誘導体基であり、nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、Qは2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R4までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよく、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Ra1〜Ra4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基またはケイ素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Ra1とR11、Ra2とR12、Ra3とR13、Ra4とR14は、互いに結合して環を形成してもよく、Rb1およびRb2は下記一般式[2]で表される置換基、あるいは、窒素、酸素、硫黄から選ばれる原子を少なくとも1つ含む母骨格を5員環とする、置換基を有していてもよい複素環式芳香族基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Z1およびZ2はそれぞれ独立に、結合する炭素原子に対して、R1〜R4と同様の置換基を有していてもよい縮合環を形成する炭素数3または4の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、Z1上の置換基はR11およびR12と、Z2上の置換基はR13およびR14と、互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2017145240
一般式[2]中、Vは、窒素、酸素または硫黄から選ばれる原子であり、mは、Vの価数を満たす1または2の整数であり、Rcは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基、ケイ素含有基、エーテル結合含有炭化水素基または3級アミノ基含有炭化水素基であり、Rb1を形成するRcはRa1およびRa2から選択される少なくとも一方と、Rb2を形成するRcはRa3およびRa4から選択される少なくとも一方とが互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、mが2の場合、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Rc同士互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよい。
遷移金属化合物[A]が、下記一般式[3]で表されることが好ましい。
Figure 2017145240
一般式[3]中、M、X、n、Q、R1〜R4、R11〜R14、Ra1〜Ra4、Rb1およびRb2はそれぞれ、一般式[1]におけるM、X、n、Q、R1〜R4、R11〜R14、Ra1〜Ra4、Rb1およびRb2と同じ意味を示し、R5〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5〜R10までの隣接した置換基、R5とR11またはR12、R8とR13またはR14は、互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式[3]において、Rb1およびRb2が、前記一般式[2]で表される置換基であることが好ましい。
前記一般式[3]において、Mが、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であり、Qが、2価の炭化水素基または2価のケイ素含有基であることが好ましい。
前記一般式[3]において、R1およびR3が、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R2およびR4が、水素原子であり、R5〜R10が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5とR6、R8とR9が環構造を形成する場合は、飽和環であり、前記一般式[2]で表される置換基において、Vが、窒素または酸素から選ばれる原子であることが好ましい。
前記一般式[3]において、R11〜R14が、水素原子であり、R5〜R10が、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、Ra1〜Ra4が、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基またはケイ素含有基であり、前記一般式[2]で表される置換基において、Rcが、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rb1を形成するRcはRa1およびRa2から選択される少なくとも一方と、Rb2を形成するRcはRa3およびRa4から選択される少なくとも一方とが互いに結合して環構造を形成する場合は飽和環であり、mが2の場合、Rc同士互いに結合して環構造を形成する場合は飽和環であることが好ましい。
前記一般式[3]において、R5〜R10が、水素原子であり、Ra1〜Ra4が、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rb1およびRb2が、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基あるいはピロリジニル基であることが好ましい。
本発明のオレフィン重合用触媒は、本発明の遷移金属化合物[A]を含むことを特徴とする。
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合させる工程を含むことを特徴とする。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられ、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられる。
本発明に係る、遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒は、オレフィンの重合、特にエチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合を行った際に、良好なオレフィン重合活性で、十分な分子量を有するオレフィン重合体を製造可能でありながら、特に優れたα−オレフィン共重合性を発現する。また、好ましくは密度が低い領域で、得られる重合体の分子量分布は比較的狭くなる傾向を有する。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法では、プロピレンの単独重合、プロピレンとα−オレフィンとの共重合、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合、1−ブテンの単独重合、1−ブテンとα−オレフィンとの共重合についても、良好な重合活性で行うことができる。
また、本発明に係る、遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒を用いてプロピレンや1−ブテンを重合すると、得られる重合体は高い立体規則性を有する。
次に本発明について具体的に説明する。
<オレフィン重合用触媒>
以下、本発明のオレフィン重合用触媒について具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、前記一般式[1]、好ましくは一般式[3]で表される新規な遷移金属化合物[A]を含み、さらに、[B]有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、および遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。前記遷移金属化合物[A]も、本発明により提供されるものである。なお、本明細書においてオレフィンとは、重合性二重結合を有するあらゆる化合物を指す。以下、遷移金属化合物[A]、化合物[B]((B−1)〜(B−3))の順に詳細に説明する。
〔[A]遷移金属化合物〕
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する遷移金属化合物[A]は、前記一般式[1]で表される化合物であり、好ましくは前記一般式[3]で表される化合物である。
一般式[1]中、Mは周期表第4族遷移金属原子であり、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
nはMの価数を満たす1〜4の整数であり、好ましくは1または2である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子(X)、炭化水素基(G1)、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子(L1)であり、該アニオン配位子は、ハロゲン含有基(H1)、ケイ素含有基(Si1)、酸素含有基(О1)、硫黄含有基(S1)、窒素含有基(N1)、リン含有基(P)、ホウ素含有基(B)、アルミニウム含有基(Al)または共役ジエン系二価誘導体基(DE)である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であることが好ましい。
nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。また、前記環が複数存在する場合には互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ハロゲン原子(X)としては、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、好ましくは塩素または臭素である。
前記炭化水素基(G1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、ペンタン−2−イル基、2−メチルブチル基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、シアミル(1,2−ジメチルプロピル)基、iso−ヘキシル(4−メチルペンチル)基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、テキシル(2,3−ジメチルブタ−2−イル)基、4,4−ジメチルペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基(プロパ−1−エン−1−イル基)、iso−プロペニル基(プロパ−1−エン−2−イル基)、アレニル(プロパ−1,2−ジエン−1−イル基)基、ブタ−3−エン−1−イル基、クロチル(ブタ−2−エン−1−イル)基、ブタ−3−エン−2−イル基、メタリル(2−メチルアリル)基、エリトレニル(ブタ−1,3−ジエニル)基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−2−エン−1−イル基、iso−ペンテニル(3−メチルブタ−3−エン−1−イル)基、2−メチルブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、プレニル(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)基などの直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基などの直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、クミニル(4−iso−プロピルベンジル)基、2,4,6−トリ−iso−プロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル基、1−フェニルエチル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基などの芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、ジュリル(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの芳香族置換(アリール)基;などを挙げることができる。
前記炭化水素基の中で好ましくは、メチル基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、シアミル(1,2−ジメチルプロピル)基、ベンジル基、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基である。
前記ハロゲン含有基(H1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ヘキサクロロアンチモン酸アニオンなどを挙げることができる。
前記ハロゲン含有基の中で好ましくは、ペンタフルオロフェニル基である。
前記ケイ素含有基(Si1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、トリメチルシリルメチル基などを挙げることができる。
前記ケイ素含有基の中で好ましくは、トリメチルシリルメチル基である。
前記酸素含有基(О1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−iso−プロピルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェノキシ基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、過塩素酸アニオン、過ヨウ素酸アニオンなどを挙げることができる。
前記酸素含有基の中で好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、tert−ブトキシ基である。
前記硫黄含有基(S1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メシル(メタンスルフォニル)基、フェニルスルホニル基、トシル(p−トルエンスルホニル)基、トリフリル(トリフルオロメタンスルホニル)基、ノナフリル(ノナフルオロブタンスルホニル)基、メシラート(メタンスルホナート)基、トシラート(p−トルエンスルホナート)基、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)基、ノナフラート(ノナフルオロブタンスルホナート)基などを挙げることができる。
前記硫黄含有基の中で好ましくは、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)基である。
前記窒素含有基(N1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、アミノ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ピロリル基、ビストリフリルイミド基などを挙げることができる。
前記窒素含有基の中で好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピロリル基、ビストリフリルイミド基である。
前記リン含有基(P)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ヘキサフルオロリン酸アニオンなどを挙げることができる。
前記ホウ素含有基(B)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン、(メチル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、(ベンジル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、テトラキス((3,5−ビストリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸アニオン、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)を挙げることができる。
前記アルミニウム含有基(Al)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、(M−ハロゲン原子−アルミニウム原子−炭化水素基)四員環、あるいは(M−炭化水素基−アルミニウム原子−炭化水素基)四員環を形成可能な、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)を挙げることができる。
前記共役ジエン系二価誘導体基(DE)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエニル基、イソプレニル(2−メチル−1,3−ブタジエニル)基、ピペリレニル(1,3−ペンタジエニル)基、2,4−ヘキサジエニル基、1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル基、シクロペンタジエニル基など、メタロシクロペンテン基を挙げることができる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子(L1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、トリエチルアミン、ジエチルアミンなどのアミン類、ピリジン、ピコリン、ルチジン、オキサゾリン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、チオフェンなどの複素環式化合物、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィンなどの有機リン化合物を挙げることができる。
Qは二つの配位子を結合する2価の基であり、具体的にはQは2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基である。Qは、2価の炭化水素基または2価のケイ素含有基であることが好ましい。
2価の炭化水素基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキリデン基などの炭素数1以上20以下の炭化水素基が挙げられる。
2価の炭素数1以上20以下のアルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基およびアルキリデン基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基;
イソプロピリデン、ジメチルメチレン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、ベンジルフェニルメチレン、ジベンジルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基;
シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキレン基;
エチリデン、プロピリデン、ブチリデンなどのアルキリデン基などが挙げられる。
2価のケイ素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレン基などが挙げられ、好ましくはジメチルシリレン、ジブチルシリレン、ジフェニルシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレンである。
2価のゲルマニウム含有基としては、上記2価のケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウムに変換した基などが挙げられる。
Qの好ましい基としては、炭素数1以上20以下のアルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、ケイ素含有基である。
1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基(G2)、ハロゲン含有基(H2)、ケイ素含有基(Si2)、酸素含有基(О2)、窒素含有基(N2)または硫黄含有炭化水素基(S2)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R4までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。また、前記環が複数存在する場合には互いに同一でも異なっていてもよい。
なお、前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)とは、好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素基(但し、芳香族炭化水素基を除く)と、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基(aryl基)のことを指す。前記の炭素数1〜20の炭化水素基とは、より具体的には炭素数1〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基には、アリールアルキル基(arylalkyl基)の様な芳香族構造を有する置換基も含まれる。
前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デカニル基、1−ウンデカニル基、1−ドデカニル基、1−エイコサニル、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、ペンタン−2−イル基、2−メチルブチル基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、シアミル(1,2−ジメチルプロピル)基、ペンタン−3−イル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、iso−ヘキシル(4−メチルペンチル)基、1,1−ジメチルブチル(2−メチルペンタン−2−イル)基、3−メチルペンタン−2−イル基、4−メチルペンタン−2−イル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、テキシル(2,3−ジメチルブタ−2−イル)基、3−メチルペンタン−3−イル基、3,3−ジメチルブタ−2−イル基、ヘキサン−3−イル基、2−メチルペンタン−3−イル基、ヘプタン−4−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、3−エチルペンタン−3−イル基、4,4−ジメチルペンチル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、4−プロピルヘプタン−4−イル基、2,3,3−トリメチルブタン−2−イル基、2,3,4−トリメチルペンタン−3−イル基などの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基(プロパ−1−エン−1−イル基)、iso−プロペニル基(プロパ−1−エン−2−イル基)、アレニル(プロパ−1,2−ジエン−1−イル基)基、ブタ−3−エン−1−イル基、クロチル(ブタ−2−エン−1−イル)基、ブタ−3−エン−2−イル基、メタリル(2−メチルアリル)基、エリトレニル(ブタ−1,3−ジエニル)基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−2−エン−1−イル基、iso−ペンテニル(3−メチルブタ−3−エン−1−イル)基、2−メチルブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、プレニル(3−メチル−ブタ−2−エン−1−イル)基、2−メチル−ブタ−2−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−2−イル基、2−メチル−ブタ−3−エン−2−イル基、ペンタ−1−エン−3−イル基、ペンタ−2,4−ジエン−1−イル基、ペンタ−1,3−ジエン−1−イル基、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル基、iso−プレニル(2−メチル−ブタ−1,3−ジエン−1−イル)基、ペンタ−2,4−ジエン−2−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、ヘキサ−4−エン−1−イル基、ヘキサ−3−エン−1−イル基、ヘキサ−2−エン−1−イル基、4−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル基、3−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル基、2−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−2−イル基、4−メチル−ペンタ−3−エン−1−イル基、3−メチル−ペンタ−3−エン−1−イル基、2,3−ジメチル−ブタ−2−エン−1−イル基、2−メチルペンタ−4−エン−2−イル基、3−エチルペンタ−1−エン−3−イル基、ヘキサ−3,5−ジエン−1−イル基、ヘキサ−2,4−ジエン−1−イル基、4−メチルペンタ−1,3−ジエン−1−イル基、2,3−ジメチル−ブタ−1,3−ジエン−1−イル基、ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル基、2−(シクロペンタジエニル)プロパン−2−イル基、2−(シクロペンタジエニル)エチル基などの炭素原子数が2〜40の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基、ブタ−1−イン−1−イル基、ブタ−2−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−1−イン−1−イル基、ペンタ−2−イン−1−イル基、ペンタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−1−イル基、3−メチル−ブタ−1−イン−1−イル基、ペンタ−3−イン−2−イル基、2−メチル−ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−2−イル基、ヘキサ−1−イン−1−イル基、3,3−ジメチル−ブタ−1−イン−1−イル基、2−メチル−ペンタ−3−イン−2−イル基、2,2−ジメチル−ブタ−3−イン−1−イル基、ヘキサ−4−イン−1−イル基、ヘキサ−5−イン−1−イル基などの炭素原子数が2〜40の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、クミニル(4−iso−プロピルベンジル)基、2,4,6−トリ−iso−プロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル基、1−フェニルエチル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、2−(4−メチルフェニル)プロパン−2−イル基、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロパン−2−イル基、2−(4−tert−ブチルフェニル)プロパン−2−イル基、2−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロパン−2−イル基、3−フェニルペンタン−3−イル基、4−フェニルヘプタ−1,6−ジエン−4−イル基、1,2,3−トリフェニルプロパン−2−イル基、1,1−ジフェニルエチル基、1,1−ジフェニルプロピル基、1,1−ジフェニル−ブタ−3−エン−1−イル基、1,1,2−トリフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、トリ−(4−メチルフェニル)メチル基、2−フェニルエチル基、スチリル(2−フェニルビニル)基、2−(2−メチルフェニル)エチル基、2−(4−メチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル)エチル基、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル基、2−メチル−1−フェニルプロパン−2−イル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基、ネオフィル(2−メチル−2−フェニルプロピル)基、3−メチル−3−フェニルブチル基、2−メチル−4−フェニルブタン−2−イル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)プロパン−2−イル基、(1−インデニル)ジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)エチル基、2−(テトラヒドロ−1−インダセニル)プロパン−2−イル基、(テトラヒドロ−1−インダセニル)ジフェニルメチル基、2−(テトラヒドロ−1−インダセニル)エチル基、2−(1−ベンゾインデニル)プロパン−2−イル基、(1−ベンゾインデニル)ジフェニルメチル基、2−(1−ベンゾインデニル)エチル基、2−(9−フルオレニル)プロパン−2−イル基、(9−フルオレニル)ジフェニルメチル基、2−(9−フルオレニル)エチル基、2−(1−アズレニル)プロパン−2−イル基、(1−アズレニル)ジフェニルメチル基、2−(1−アズレニル)エチル基などの炭素原子数が7〜40の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、n−ブチル−メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−アリルシクロペンチル基、1−ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アリルシクロヘキシル基、1−ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1−メチルシクロヘプチル基、1−アリルシクロヘプチル基、1−ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、シクロオクタトリエニル基、1−メチルシクロオクチル基、1−アリルシクロオクチル基、1−ベンジルシクロオクチル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−(2−メチルアダマンチル)、1−(3−メチルアダマンチル)、1−(4−メチルアダマンチル)、1−(2−フェニルアダマンチル)、1−(3−フェニルアダマンチル)、1−(4−フェニルアダマンチル)、1−(3,5−ジメチルアダマンチル)、1−(3,5,7−トリメチルアダマンチル)、1−(3,5,7−トリフェニルアダマンチル)、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基、インダセニル基、テトラヒドロインダセニル基、ベンゾインデニル基、アズレニル基などの炭素原子数が3〜40の環状飽和および不飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、ジュリル(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、アリルフェニル基、(ブタ−3−エン−1−イル)フェニル基、(ブタ−2−エン−1−イル)フェニル基、メタリルフェニル基、プレニルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、3,5−ジ−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの炭素原子数が6〜40の芳香族置換(アリール)基;などを挙げることができる。
前記炭素原子数が1〜40の直鎖状または分岐状のアルキル基の中で好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、ペンタン−3−イル基、iso−ヘキシル(4−メチルペンチル)基、1,1−ジメチルブチル(2−メチルペンタン−2−イル)基、3,3−ジメチルブチル基、テキシル(2,3−ジメチルブタ−2−イル)基、3−メチルペンタン−3−イル基、ヘプタン−4−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、3−エチルペンタン−3−イル基、4,4−ジメチルペンチル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、4−プロピルヘプタン−4−イル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、iso−プロピル基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基である。
前記炭素原子数が2〜40の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基の中で好ましくは、ビニル基、アリル基、ブタ−3−エン−1−イル基、クロチル(ブタ−2−エン−1−イル)基、メタリル(2−メチルアリル)基、ペンタ−4−エン−1−イル基、プレニル(3−メチル−ブタ−2−エン−1−イル)基、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、2−メチルペンタ−4−エン−2−イル基、2−(シクロペンタジエニル)プロパン−2−イル基、2−(シクロペンタジエニル)エチル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、ビニル基、アリル基、ブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、プレニル(3−メチル−ブタ−2−エン−1−イル)基、ヘキサ−5−エン−1−イル基である。
前記炭素原子数が2〜40の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基の中で好ましくは、エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基、ブタ−2−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−1−イル基、3−メチル−ブタ−1−イン−1−イル基、3,3−ジメチル−ブタ−1−イン−1−イル基、ヘキサ−4−イン−1−イル基、ヘキサ−5−イン−1−イル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基、ブタ−2−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基である。
前記炭素原子数が7〜40の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基の中で好ましくは、ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、クミニル(4−iso−プロピルベンジル)基、2,4,6−トリ−iso−プロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、2−(4−メチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル)エチル基、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル基、スチリル(2−フェニルビニル)基、2−メチル−1−フェニルプロパン−2−イル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基、ネオフィル(2−メチル−2−フェニルプロピル)基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)プロパン−2−イル基、(1−インデニル)ジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)エチル基、2−(9−フルオレニル)プロパン−2−イル基、(9−フルオレニル)ジフェニルメチル基、2−(9−フルオレニル)エチル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、ベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基である。
前記炭素原子数が3〜40の環状飽和および不飽和炭化水素基の中で好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−アリルシクロペンチル基、1−ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アリルシクロヘキシル基、1−ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1−メチルシクロヘプチル基、1−アリルシクロヘプチル基、1−ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、1−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基である。
前記炭素原子数が6〜40の芳香族置換(アリール)基の中で好ましくは、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、アリルフェニル基、プレニルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、アリルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基である。
前記ハロゲン含有基(H2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、ドデカフルオロヘキシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ジ−tert−ブチル−フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビストリフルオロメトキシフェニル基、トリフルオロメチルチオフェニル基、ビストリフルオロメチルチオフェニル基、フルオロビフェニル基、ジフルオロビフェニル基、トリフルオロビフェニル基、テトラフルオロビフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、ジ−tert−ブチル−フルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシビフェニル基、ビストリフルオロメトキシビフェニル基、トリフルオロメチルジメチルシリル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、フルオロフェノキシ基、ジフルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ジ−tert−ブチル−フルオロフェノキシ基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、トリフルオロメトキシフェノキシ基、ビストリフルオロメトキシフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルチオ基、などを挙げることができる。
前記ハロゲン含有基の中でも好ましくは、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、トリフルオロメチルチオ基、などが挙げられ、その中でもより好ましくは、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
前記ケイ素含有基(Si2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、ジ−n−ブチル(シクロペンタジエニル)シリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、ジ−n−ブチル(インデニル)シリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、ジ−n−ブチル(フルオレニル)シリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基、4−tert−ブチルジフェニルシリルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基、4−トリス(トリメチルシリル)シリルフェニル基などを挙げることができる。
前記ケイ素含有基の中でも好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基である。
前記酸素含有基(О2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、メタリルオキシ基、プレニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso−プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、iso−プロポキシフェノキシ基、アリルオキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、メトキシメチル基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、アリルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、アリルオキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェノキシプロピル基、メトキシビニル基、アリルオキシビニル基、ベンジルオキシビニル基、フェノキシビニル基、メトキシアリル基、アリルオキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジ−iso−プロポキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基などを挙げることができる。
前記酸素含有基の中でも好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、プレニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso−プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、ジメチルジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等などが挙げられ、その中でもより好ましくは、メトキシ基、iso−プロポキシ基、tert−ブトキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基である。
前記窒素含有基(N2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モリホリル基、アゼピニル基、ジメチルアミノメチル基、ジベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジルアミノメチル基、ベンジルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノビニル基、ベンジルアミノビニル基、ピロリジニルビニル基、ジメチルアミノプロピル基、ベンジルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ベンジルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、ピリジルフェニル基、キノリルフェニル基、イソキノリルフェニル基、インドリニルフェニル基、インドリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、メチルピロリル基、フェニルピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso−キノリル基、テトラヒドロ−iso−キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などを挙げることができる。
前記窒素含有基の中でも好ましくは、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ジメチルアミノメチル基、ベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso−キノリル基、テトラヒドロ−iso−キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ジメチルアミノフェニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基である。
前記硫黄含有基(S2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、メチルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、フェニルチオメチル基、ナフチルチオメチル基、メチルチオエチル基、ベンジルチオエチル基、フェニルチオエチル基、ナフチルチオエチル基、メチルチオビニル基、ベンジルチオビニル基、フェニルチオビニル基、ナフチルチオビニル基、メチルチオプロピル基、ベンジルチオプロピル基、フェニルチオプロピル基、ナフチルチオプロピル基、メチルチオアリル基、ベンジルチオアリル基、フェニルチオアリル基、ナフチルチオアリル基、メルカプトフェニル基、メチルチオフェニル基、チエニルフェニル基、メチルチエニルフェニル基、ベンゾチエニルフェニル基、ジベンゾチエニルフェニル基、ベンゾジチエニルフェニル基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、ジチオラニル基、ジチアニル基、オキサチオラニル基、オキサチアニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアゾリジニル基などを挙げることができる。
前記硫黄含有基の中でも好ましくは、チエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基である。
1〜R4のうち、隣接する置換基が互いに結合して環を形成する場合には、該環は飽和環であることが好ましい。該環としては、シクロペンタジエニル環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分と併せた構造として、例えば、置換シクロペンタチオフェン、置換インデン、置換シクロペンタテトラヒドロナフタレン、置換4,5,6,7−テトラヒドロインデンなどが挙げられる。
1およびR3が、それぞれ独立に、水素原子または前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)のうち炭素数1〜20の炭化水素基であり、R2およびR4が、水素原子であることが好ましい。
11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、全て水素原子であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)で例示した炭化水素基のうち、炭素数が1〜20のものが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基から選ばれる炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素基には、アリールアルキル基(arylalkyl基)の様な芳香族構造を有する置換基も含まれる。
a1〜Ra4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基またはケイ素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の炭化水素基および、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基としてはそれぞれ、例えば、前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)で例示した炭化水素基のうち、炭素数1〜20の炭化水素基および、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基が挙げられる。また、前記ケイ素含有基としては、例えば、前記ケイ素含有基(Si2)で例示したケイ素含有基が挙げられる。
前記炭素数が1〜20の炭化水素基としては、前述の炭素数1〜20の脂肪族の炭化水素基、炭素数1〜20の脂環族の炭化水素基、炭素数1〜20のアリールアルキル基(arylalkyl基)が好ましい基として挙げられる。
前記炭素数が1〜20の炭化水素基の中で好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、ノルボルニル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基である。
前記炭素数6〜40の芳香族炭化水素基の中で好ましくは、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基である。
前記ケイ素含有基の中で好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、3,5−ビストリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基である。
a1とR11、Ra2とR12、Ra3とR13、Ra4とR14は、互いに結合して環を形成してもよい。この場合に形成される環は、芳香環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基として環を形成することが好ましい。なお、環が複数存在する場合には互いに同一でも異なっていてもよい。本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核の芳香環部分と併せた構造として、例えば、置換ナフタレン、置換アントラセン、置換フェナントレン、置換インダン、置換テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
a1〜Ra4が、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基または前記ケイ素含有基であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基である。
b1およびRb2は、前記一般式[2]で表される置換基、あるいは窒素、酸素、硫黄から選ばれる原子を少なくとも1つ含む母骨格を5員環とする、置換基を有していてもよい複素環式芳香族基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記一般式[2]中、Vは、窒素、酸素または硫黄から選ばれる原子であり、好ましくは、窒素または酸素である。
なお、前記一般式[2]中の波線はベンゼン環との結合部位を示す。
mは、Vの価数を満たす1または2の整数であり、mが2の場合、Rcはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
cは、それぞれ独立に、水素原子、前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)、ケイ素含有基(Si2)、エーテル結合含有炭化水素基または3級アミノ基含有炭化水素基であり、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
前記炭素数が1〜40の炭化水素基(G2)の中で好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、アリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、アリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、ベンジル基、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基である。
前記エーテル結合含有炭化水素基としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシフェニル基などが挙げられる。
前記3級アミノ基含有炭化水素基としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、N−ジメチルアミノ基、N−ジエチルアミノ基、N−ジアリルアミノ基、N−ジベンジルアミノ基、N−メチルエチルアミノ基、N−ピロリジニル基、N−ピペリジニル基、N−モルホリル基、N−メチル−N−ピペラジニル基、N−ピロリル基、N−インドリニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−ジ−tert−ブチルカルバゾリル基、N−イミダゾリル基、N−ジメチルイミダゾリジニル基、N−ベンゾイミダソリル基、N−オキサゾリル基、N−オキサゾリジニル基、N−ベンゾオキサゾリル基などが挙げられる。
b1を形成するRcはRa1およびRa2から選択される少なくとも一方と、Rb2を形成するRcはRa3およびRa4から選択される少なくとも一方とが互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよい。この場合に形成される環は、芳香環部分に縮環する置換基を有していてもよい5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基として環を形成してもよい。Rb1を形成するRcはRa1およびRa2から選択される少なくとも一方と、Rb2を形成するRcはRa3およびRa4から選択される少なくとも一方とが互いに結合して環構造を形成する場合は飽和環であることが好ましい。なお、環が複数存在する場合には、互いに同一でも異なっていてもよい。本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核の芳香環部分と併せた構造として、例えば、2,7−ジメチルベンゾフラン−5−イル基、2,2,7−トリメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基、4−メチルジベンゾ[b,d]フラン−2−イル基、2,7−ジメチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル基、4−メチルジベンゾ[b,d]チオフェン−2−イル基、1,7−ジメチルインドール−5−イル基、1,7−ジメチルインドリン−5−イル基、1,9−ジメチルカルバゾール−3−イル基、9−ジュロリジニル(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)基などが挙げられ、好ましくは、1,7−ジメチルインドリン−5−イル基、9−ジュロリジニル(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)基である。
cは、Vが窒素原子、mが2の場合、Rc同士互いに結合して置換基を有していてもよい環、例えば5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよい。Rc同士互いに結合して環構造を形成する場合は飽和環であることが好ましい。本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核の窒素原子部分と併せた構造として、例えば、N−ピロリジニル基、N−ピペリジニル基、N−モルホリル基、N−メチル−N−ピペラジニル基、N−ピロリル基、N−インドリニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−ジ−tert−ブチルカルバゾリル基、N−イミダゾリル基、N−ジメチルイミダゾリジニル基、N−ベンゾイミダソリル基、N−オキサゾリル基、N−オキサゾリジニル基、N−ベンゾオキサゾリル基などが挙げられ、好ましくは、N−ピロリジニル基、N−ピペリジニル基、N−モルホリル基、N−メチル−N−ピペラジニル基である。
前記窒素、酸素、硫黄から選ばれる原子を少なくとも1つ含む母骨格を5員環とする、置換基を有していてもよい複素環式芳香族基としては、例えば、下記一般式[4a]〜[4h]で表される基が挙げられる。
Figure 2017145240
前記一般式[4a]〜[4h]中、Chは酸素原子あるいは硫黄原子であり、Rdはそれぞれ独立に、水素原子または前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)のうち炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
なお、前記一般式[4a]〜[4h]中の波線はベンゼン環との結合部位を示す。
前記炭素数が1〜20の炭化水素基の中で好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、アリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、アリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、ベンジル基、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基である。
dは、隣接したRd同士が互いに結合して、それぞれ独立に複素5員環部分に縮環する、置換基を有していてもよい5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核の芳香環部分と併せた構造として、例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環などが挙げられる。
前記複素環式芳香族基[4a]〜[4h]中、好ましくは[4a]である。
前記複素環式芳香族基[4a]中、好ましくは、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、N−ピロリル基である。
b1およびRb2は、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基あるいはピロリジニル基であることが、特に好ましい。
前記アルコキシ基の中で好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、1−ブトキシ基、iso−プロポキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、アリルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、ベンジルオキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、tert−ブトキシ基が最も好ましい。
1およびZ2はそれぞれ独立に、結合する炭素原子に対してR1〜R4と同様の置換基を有していてもよい縮合環を形成する炭素数3または4の飽和または不飽和の炭化水素基であり、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分と併せた構造として、置換シクロペンタチオフェン環、置換インデン環、置換テトラヒドロインデン環、置換アズレン環、置換ジヒドロアズレン環、置換テトラヒドロアズレン環、置換ヘキサヒドロアズレン環などが挙げられ、好ましくは、置換インデン環である。
1上の置換基はR11およびR12と、Z2上の置換基はR13およびR14と、互いに結合して環を形成してもよく、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分および芳香環部分と併せた構造として、例えば、3,6−ジヒドロシクロペンタフルオレン環、シクロペンタフェナントレン環、6,7−ジヒドロシクロペンタフェナントレン環が挙げられる。なお、環が複数存在する場合には互いに同一でも異なっていてもよい。
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する遷移金属化合物[A]は、前記一般式[3]で表される化合物であることが好ましい。
一般式[3]中、M、X、n、Q、R1〜R4、R11〜R14、Ra1〜Ra4、Rb1およびRb2はそれぞれ、一般式[1]におけるM、X、n、Q、R1〜R4、R11〜R14、Ra1〜Ra4、Rb1およびRb2と同じ意味を示す。
5〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)、前記ハロゲン含有基(H2)、前記ケイ素含有基(Si2)、前記酸素含有基(О2)、前記窒素含有基(N2)または前記硫黄含有基(S2)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)の、例示および好ましい例としては、前記R1〜R4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ハロゲン含有基(H2)の、例示および好ましい例としては、前記R1〜R4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ケイ素含有基(Si2)の、例示および好ましい例としては、前記R1〜R4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記酸素含有基(О2)の、例示および好ましい例としては、前記R1〜R4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記窒素含有基(N2)の、例示および好ましい例としては、前記R1〜R4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記硫黄含有基(S2)の、例示および好ましい例としては、前記R1〜R4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
5〜R10までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。この場合に形成される環は、芳香環部分に縮環する置換基を有していてもよい5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基として環を形成することが好ましい。なお、環が複数存在する場合には互いに同一でも異なっていてもよい。本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分および芳香環部分と併せた構造として、例えば、置換テトラヒドロインダセン環、置換シクロペンタテトラヒドロナフタレンが挙げられ、前記R1〜R4部分の縮環構造も併せた例として、置換フルオレン環が挙げられ、置換テトラヒドロインダセン環であることが好ましい。また、R5とR6、R8とR9が環構造を形成する場合は、飽和環であることが好ましい。
5とR11またはR12、R8とR13またはR14は、互いに結合して環を形成してもよい。この場合に形成される環は、芳香環部分に縮環する置換基を有していてもよい5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基として環を形成することが好ましい。なお、環が複数存在する場合には互いに同一でも異なっていてもよい。本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分および芳香環部分と併せた構造として、例えば、3,6−ジヒドロシクロペンタフルオレン環、シクロペンタフェナントレン環、6,7−ジヒドロシクロペンタフェナントレン環が挙げられる。
5〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、前記炭素数1〜40の炭化水素基(G2)のうち炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基(О2)であることが好ましい。
前記炭素数1〜20の炭化水素基のうち、好ましい例としては、前記Ra1〜Ra4で挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記酸素含有基(О2)のうち、好ましい例としては、前記Rb1およびRb2で挙げたアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
5〜R10は、それぞれ独立に、水素原子または前記炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましい。
前記炭素数1〜20の炭化水素基のうち、特に好ましい例としては、メチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基である。
5〜R10は、全て水素原子であることが特に好ましい。
〔遷移金属化合物[A]の製造方法〕
本発明の遷移金属化合物[A]は公知の方法によって製造可能であり、代表的な合成経路の一例を以下に示すが、特に製造法が限定されるわけではない。
まず、出発物質である、4位にヘテロ原子含有電子供与性置換基を有し、近傍3,5位に置換基が導入された、3,4,5−置換芳香族化合物は、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、「J.Am.Chem.Soc. 2006,128,16486.」、「Eur.J.Оrg.Chem. 2008,1767.」、「Angew.Chem.Int.Ed. 2013,52,4239.」、「Оrg.Process.Res.Dev. 2011,15,1178.」、「Eur.J.Оrg.Chem. 2006,2727.」、WО2007/034975号公報、「J.Am.Chem.Soc. 2014,136,10166.」、「Eur.J.Оrg.Chem. 2011,6100.」、WО2013/011956号公報などが挙げられる。
また、芳香族置換シクロペンタジエン化合物は、前記3,4,5−置換芳香族化合物を原料として用いて、クロスカップリング反応等、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、「Оrganometallics 2004,23,3267.」、WО1998/040331号公報、WО1998/046547号公報、特開2004−2259号公報、「Оrganometallics 2006,25,1217.」、米国特許第7910783号、特表2011−500800号公報、「Оrganometallics 2011,30,5744.」、「Chem.Eur.J. 2012,18,4174.」、「Оrganometallics 2012,31,4962.」、特開2014−201519号公報、本出願人による特開平7−286005号公報、WО2001/027124号公報、WО2004/029062号公報、WО2006/126608号公報などが挙げられる。
また、遷移金属化合物[A]の前駆体化合物(配位子)は、前記芳香族置換シクロペンタジエン化合物を原料として用いて、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、前記置換シクロペンタジエン化合物の製造方法として挙げたものに加え、「J.Оrganomet.Chem. 1997,530,75.」、「J.Оrganomet.Chem. 2001,619,280.」、特開2001−11089号公報、特開2003−201259号公報、特開2011−144157号公報、特開2014−193846号公報などが挙げられる。
また、目的とする遷移金属化合物[A]は、前記前駆体化合物(配位子)を用いて、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、前記前駆体化合物(配位子)の製造方法として挙げたものに加え、米国特許第5972822号、特開平10−109996号公報、「J.Оrganomet.Chem. 1997,527,297.」、特開2002−88092号公報、「Оrganometallics 2012,31,4340.」、本出願人によるWО2004/029062号公報などが挙げられる。
また、本発明の遷移金属化合物[A]は、架橋部分を挟んで中心金属と結合するシクロペンタジエニル環部分の面が2方向存在する(表面と裏面)。故に、架橋部分を挟んで中心金属と結合している2つのシクロペンタジエニル環部分が、同一である場合にはラセミ体とメソ体の2種類の構造異性体が存在し、2つのシクロペンタジエニル環部分が互いに異なる場合には疑似ラセミ体と疑似メソ体の、2種類の構造異性体が存在する。前記一般式[1]あるいは[3]で示される遷移金属化合物[A]は、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基が左右異なる側に位置しており、ラセミ体および疑似ラセミ体である。メソ体および疑似メソ体は、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基が左右同じ側に位置する、下記一般式[5a]あるいは[5b]で示される構造のものである。
Figure 2017145240
これら構造異性体混合物の精製、ラセミ体および疑似ラセミ体の分取、あるいはラセミ体および疑似ラセミ体の選択的な製造は、公知の方法によって可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法としては、前記遷移金属化合物[A]の製造方法として挙げたものである。
以下に本発明の遷移金属化合物[A]の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、本発明において遷移金属化合物[A]は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、ラセミ体および疑似ラセミ体を用いてもよく、構造異性体混合物を用いてもよく、これら上記の組み合わせで用いてもよい。
便宜上、本発明の遷移金属化合物[A]のMXn(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル環部分、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中3,5位の置換基(T)、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中4位の置換基(Y)、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)、シクロペンタジエニル環部分酸素原子結合アルキル置換基(Alk)、架橋部分の構造の7つに分ける。シクロペンタジエニル環部分の略称をα、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)の略称をβ、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中3,5位の置換基(T)の略称をγ、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中4位の置換基(Y)の略称をδ、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)の略称をε、シクロペンタジエニル環部分酸素原子結合アルキル置換基(Alk)の略称をζ、架橋部分の構造の略称をηとし、各置換基の略称を[表1]〜[表7]に示す。
Figure 2017145240
Figure 2017145240
Figure 2017145240
Figure 2017145240
Figure 2017145240
Figure 2017145240
Figure 2017145240
金属部分MXnの具体的な例示としては、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、Ti(Me)2、Ti(Bn)2、Ti(Allyl)2、Ti(CH2−tBu)2、Ti(η4−1,3−ブタジエニル)、Ti(η4−1,3−ペンタジエニル)、Ti(η4−2,4−ヘキサジエニル)、Ti(η4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Ti(CH2−Si(Me)32、Ti(ОMe)2、Ti(ОiPr)2、Ti(NMe22、Ti(ОMs)2、Ti(ОTs)2、Ti(ОTf)2、ZrF2、ZrCl2、ZrBr2、ZrI2、Zr(Me)2、Zr(Bn)2、Zr(Allyl)2、Zr(CH2−tBu)2、Zr(η4−1,3−ブタジエニル)、Zr(η4−1,3−ペンタジエニル)、Zr(η4−2,4−ヘキサジエニル)、Zr(η4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Zr(CH2−Si(Me)32、Zr(ОMe)2、Zr(ОiPr)2、Zr(NMe22、Zr(ОMs)2、Zr(ОTs)2、Zr(ОTf)2、HfF2、HfCl2、HfBr2、HfI2、Hf(Me)2、Hf(Bn)2、Hf(Allyl)2、Hf(CH2−tBu)2、Hf(η4−1,3−ブタジエニル)、Hf(η4−1,3−ペンタジエニル)、Hf(η4−2,4−ヘキサジエニル)、Hf(η4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Hf(CH2−Si(Me)32、Hf(ОMe)2、Hf(ОiPr)2、Hf(NMe22、Hf(ОMs)2、Hf(ОTs)2、Hf(ОTf)2などが挙げられる。Meはメチル基、Bnはベンジル基、tBuはtert−ブチル基、Si(Me)3はトリメチルシリル基、ОMeはメトキシ基、ОiPrはiso−プロポキシ基、NMe2はジメチルアミノ基、ОMsはメタンスルホナート基、ОTsはp−トルエンスルホナート基、ОTfはトリフルオロメタンスルホナート基である。
上記の表記に従えば、シクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−1、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)が[表2]中のβ−1、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中3,5位の置換基(T)が[表3]中のγ−4、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中4位の置換基(Y)が[表4]中のδ−20、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)が[表5]中のε−1、架橋部分が[表7]中のη−16の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがZrCl2の場合は、下記化合物[6]を例示している。
Figure 2017145240
また、シクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−2、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)が[表2]中のβ−8、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)が[表5]中のε−13、架橋部分が[表7]中のη−32の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがZr(NMe22の場合は、下記化合物[7]を例示している。
Figure 2017145240
また、シクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−11、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)が[表2]中のβ−1、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中3,5位の置換基(T)が[表3]中のγ−10、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中4位の置換基(Y)が[表4]中のδ−33、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)が[表5]中のε−2、架橋部分が[表7]中のη−26の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがHf(Me)2の場合は、下記化合物[8]を例示している。
Figure 2017145240
また、金属部分MXnと結合している2つの置換シクロペンタジエニル環部分が、共に同じではなく、異なる場合、一方のシクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−4、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)が[表2]中のβ−1、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中3,5位の置換基(T)が[表3]中のγ−9とγ−11、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基中4位の置換基(Y)が[表4]中のδ−5、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)が[表5]中のε−8、かつ、もう一方のシクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−8、シクロペンタジエニル環部分芳香族置換基(Ar)が[表2]中のβ−6、シクロペンタジエニル環部分架橋部隣接位の置換基(R)が[表5]中のε−11、シクロペンタジエニル環部分酸素原子結合アルキル置換基(Alk)が[表6]中のζ−1であり、架橋部分が[表7]中のη−1の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがTi(η4−1,3−ペンタジエニル)の場合は、下記化合物[9]を例示している。
Figure 2017145240
上記の遷移金属化合物が特異な性能を示す理由は現時点では明らかではないが、本願発明者は下記の様に推測している。
本発明の遷移金属化合物は、前記一般式[1]あるいは[3]で表わされる遷移金属化合物[A]において、(i)メタロセン特定部位へのヘテロ原子含有電子供与性置換基を有することを特徴とする。これは、共役系を介した中心金属付近への電子の流れ込みによると考えられる活性の増大や、α-オレフィン、特に炭素数の多い高級αオレフィンとの反応性の向上などのポテンシャルを与えると考えられる。また、前記α-オレフィン反応性の向上は、αオレフィン反応時の連鎖移動や反応速度低下(ドーマント状態を含む)も抑制し、結果、分子量の向上や分子量分布の強化につながると考えられる。一方、(ii)ヘテロ元素近傍の置換基は、前記ヘテロ原子と後述する有機金属化合物などのルイス酸性化合物や、遷移金属化合物の中心金属との相互作用を低減すると考えられるので、前記のヘテロ原子導入による性能向上効果のみを選択的に発現できるのではないかと考えられる。
((B−1)有機金属化合物)
本発明で用いられる有機金属化合物(B−1)として、具体的には下記の一般式(B−1a)〜(B−1c)で表される周期律表第1、2、12、13族の少なくとも1種の原子を含む化合物が挙げられる:
a pAl(ОRbqrs ・・・(B−1a)
(一般式(B−1a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物;
3AlRc1 4 ・・・(B−1b)
(一般式(B−1b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rc1は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族のアルカリ金属とアルミニウムとの錯アルキル化物;
de4 ・・・(B−1c)
(一般式(B−1c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族のアルカリ土類金属または第12族の金属とのジアルキル化合物。
前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
a pAl(ОRb3-p ・・・(B−1a−1)
(式(B−1a−1)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlY3-p ・・・(B−1a−2)
(式(B−1a−2)中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlH3-p ・・・(B−1a−3)
(式(B−1a−3)中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAl(ОRbqs ・・・(B−1a−4)
(式(B−1a−4)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ОRb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(B−1a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物としてたとえば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
前記一般式(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを挙げることができる。
前記一般式(B−1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
またその他にも、有機金属化合物(B−1)としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを、前記有機金属化合物(B−1)として使用することもできる。
有機金属化合物(B−1)のなかでは、触媒活性の点から有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような有機金属化合物(B−1)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
((B−2)有機アルミニウムオキシ化合物)
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。これらの溶媒は、1種単独で、または混合して用いることができる。
本発明に係る有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式(B−2a)または(B−2b)で表される構造のアルミノキサン、および下記一般式(B−2c)で表される繰り返し単位と下記一般式(B−2d)で表される繰り返し単位とを構造として有するアルミノキサンの少なくとも1種から選ばれるアルミノキサンが挙げられる。
Figure 2017145240
一般式中、Reは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基などの炭化水素基を例示することができる。これら例示したもののうちで、メチル基、エチル基、イソブチル基が好ましく、特にメチル基が好ましく、前記一般式(B−2a)、(B−2b)および(B−2c)中、Reの一部が塩素、臭素などのハロゲン原子で置換され、かつハロゲン含有率が40重量%以下であってもよい。(B−2c)および(B−2d)中の、片方が原子と繋がっていない直線は、図示していない別の原子との結合を示す。
前記一般式(B−2a)および(B−2b)中、rは2〜500の整数を示し、好ましくは6〜300、特に好ましくは10〜100の範囲にある。
前記一般式(B−2c)および(B−2d)中、s、tはそれぞれ1以上の整数を示す。
前記一般式(B−2c)で表される繰り返し単位と前記一般式(B−2d)で表される繰り返し単位とを有するアルミノキサンは、ベンゼンの凝固点降下法により測定した分子量が200〜2000の範囲内にあることが好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。)
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式(B−2e)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2017145240
(一般式(B−2e)中、R15は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR16は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記一般式(B−2e)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(B−2f)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
15−B(ОH)2 ・・・(B−2f)
(一般式(B−2f)中、R15は前記一般式(B−2e)におけるR15と同じ基を示す。)
前記一般式(B−2f)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
遷移金属化合物[A]に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
上記のような有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
((B−3)遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどである。
前記イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(B−3a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017145240
(一般式[B−3a]中、R17はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R18〜R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムカチオンなどの低級アルキルから高級アルキルのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
17としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラフェニルホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素等のジ(オクタデシル)メチルアンモニウムと言った低級から高級アルキルを有するがアルキルアンモニウム塩を例示することが出来る。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(B−3b)または(B−3c)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 2017145240
(式(B−3b)中、Etはエチル基を示す。)
Figure 2017145240
(式(B−3c)中、Etはエチル基を示す。)
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、たとえば4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族のアルカリ金属または2族のアルカリ土類金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、およびトリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
上記のようなイオン化イオン性化合物(遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(B−3))は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物[A]と、有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、およびイオン化イオン性化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物[B]とともに、必要に応じて下記の担体[C]を含んでもよい。
〔[C]担体〕
本発明で用いられる担体[C]は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体[C]に上記遷移金属化合物[A]および化合物[B]を担持させることで、良好なモルフォロジーのポリマーが得られる。
前記無機化合物としては、多孔質酸化物、固体状アルミノキサン化合物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物として、具体的にはSiО2、Al2О3、MgО、ZrО、TiО2、B2О3、CaО、ZnО、BaО、ThО2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用することができ、さらに、例えば天然または合成ゼオライト、SiО2−MgО、SiО2−Al2О3、SiО2−TiО2、SiО2−V2О5、SiО2−Cr2О3、SiО2−TiО2−MgОなどを使用することができる。これらのうち多孔質酸化物としては、SiО2および/またはAl2О3を主成分とするものが好ましい。
なお、上記多孔質酸化物は、少量のNa2CО3、K2CО3、CaCО3、MgCО3、Na2SО4、Al2(SО43、BaSО4、KNО3、Mg(NО32、Al(NО33、Na2О、K2О、Li2Оなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる多孔質酸化物は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
前記固体状アルミノキサン化合物としては、前記(B−2a)〜(B−2d)で示したアルミノキサンの少なくとも1種から選ばれるアルミノキサンが挙げられる。
本発明で用いられる前記固体状アルミノキサンは、従来公知のオレフィン重合触媒用担体と異なり、シリカやアルミナなどの無機固体成分やポリエチレン、ポリスチレンなどの有機系ポリマー成分を含まず、アルキルアルミニウム化合物を主たる成分として固体化したものを示す。本発明中で用いる「固体状」の意味は、アルミノキサン成分(B−2)が用いられる反応環境下において、実質的に固体状態を維持することである。より具体的には、例えば後述のように成分[A]と成分[B]とを接触させてオレフィン重合用固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエンなどの不活性炭化水素溶媒中、特定の温度・圧力環境下において成分[B]が固体状態であることを表す。また、例えば後述のように成分[B]を用いて調製されるオレフィン重合用固体触媒成分を用いて懸濁重合を行う場合にヘキサンやヘプタン、トルエンなどの炭化水素溶媒中、特定の温度・圧力環境下において触媒成分中に含まれる成分[B]が固体状態であることも必要な要件である。溶媒の代わりに液化モノマー中で重合を行うバルク重合や、モノマーガス中で重合を行う気相重合でも同様である。
上記の環境下において成分[B]が固体状態であるかどうかは、目視による確認が最も簡便な方法であるが、例えば重合時などは目視による確認が困難である場合が多い。その場合は、例えば重合後に得られた重合体パウダーの性状や反応器への付着状態などから判断することが可能である。逆に、重合体パウダーの性状が良好で、反応器への付着が少なければ、重合環境下において成分[B]の一部が多少溶出したとしても本発明の趣旨を逸脱することはない。重合体パウダーの性状を判断する指標としては、嵩密度、粒子形状、表面形状、不定形ポリマーの存在度合いなどが挙げられるが、定量性の観点からポリマー嵩密度が好ましい。本発明における嵩密度は通常0.01〜0.9であり、好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5の範囲内である。
本発明で用いられる固体状アルミノキサンは、25℃の温度に保持されたn−ヘキサンに対し溶解する割合が、通常0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは0〜10モル%の範囲を満足する。
本発明で用いられる固体状アルミノキサンのn−ヘキサンに対する溶解割合は、25℃に保持された50mlのn−ヘキサンに固体状アルミノキサン担体2gを加えた後2時間の撹拌を行ない、次いでG−4グラス製フイルターを用いて溶液部を分離して、この濾液中のアルミニウム濃度を測定することにより求めた。従って、溶解割合は用いたアルミノキサン2gに相当するアルミニウム原子の量に対する前記濾液中に存在するアルミニウム原子の割合として決定する。
本発明に係る固体状アルミノキサンとしては、公知の固体状アルミノキサンを際限なく用いることができる。公知の製造方法として例えば、特公平7-42301号公報、特開平6-220126号公報、特開平6-220128号公報、特開平11-140113号公報、特開平11-310607号公報、特開2000-38410号公報、特開2000-95810号公報、WО201055652号公報などが挙げられる。
本発明に係る固体状アルミノキサンの平均粒子径は、一般に0.01〜50000μm、好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは1〜200μmの範囲にある。
固体状アルミノキサンの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、100個以上の粒子の粒径を測定し、重量平均化することにより求められる。固体状アルミノキサンの粒径は、ピタゴラス法最大長を粒子像より測定した。即ち、水平方向、垂直方向それぞれに、粒子像を2本の平行線ではさんだ長さを測り、下式をもって計算で求められる。
粒径=((水平方向長さ)2+(垂直方向長さ)20.5
固体状アルミノキサンの重量平均粒子径は、上記で求めた粒径を用いて下式により求められる。
平均粒径=Σnd4/Σnd3(ここでn;粒子個数、d;粒径)
本発明に好ましく用いられる固体状アルミノキサンは、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜800m2/gであり、細孔容積が0.1〜2.5cm3/gであることが望ましい。
前記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
前記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
さらに、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、
イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsО42・H2О、α−Zr(HPО42、α−Zr(KPО42・3H2О、α−Ti(HPО42、α−Ti(HAsО42・H2О、α−Sn(HPО42・H2О、γ−Zr(HPО42、γ−Ti(HPО42、γ−Ti(NH4PО42・H2Оなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上であることが好ましく、0.3〜5cc/gであることが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(ОR)4、Zr(ОR)4、PО(ОR)3、B(ОR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13О4(ОH)247+、[Zr4(ОH)142+、[Fe3О(ОCОCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(ОR)4、Al(ОR)3、Ge(ОR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基などを示す)などを加水分解して得た重合物、SiО2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物なども挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
前述のように担体[C]は無機または有機の化合物であるが、有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物[A]、上記化合物[B]、必要に応じて担体[C]と共に、必要に応じてさらに下記の特定の有機化合物成分[D]を含むこともできる。
〔[D]有機化合物成分〕
本発明において有機化合物成分[D]は、必要に応じて、本発明のオレフィン重合用触媒の重合性能および生成ポリマーの物性(たとえば生成ポリマーの分子量)を向上(分子量であれば、高分子量化)させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R22−ОHで表されるものが使用され、ここで、R22は炭素原子数1〜50の炭化水素基(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)または炭素原子数1〜50(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R22がハロゲン化炭化水素基のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
上記カルボン酸としては、通常、R23−CООHで表されるものが使用される。R23は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
上記リン化合物としては、P−О−H結合を有するリン酸類、P−ОR、P=О結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
上記スルホン酸塩としては、下記一般式(D−a)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017145240
(一般式(D−a)中、M5は周期律表第1〜14族の原子であり、R24は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1〜7の整数であり、uは1〜7の整数であり、また、t−u≧1である。)
<ポリオレフィンの製造方法>
本発明に係るポリオレフィンの製造方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合(単独重合または共重合)する工程を含むことによりポリオレフィンを得る。なお、前述のように、本明細書においてオレフィンとは、重合性二重結合を有するあらゆる化合物を指す。
重合における、本発明の触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物[A]を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物[A]および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物[A]を担体[C]に担持した触媒成分、化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)化合物[B]を担体[C]に担持した触媒成分、遷移金属化合物[A]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物[A]と化合物[B]とを担体[C]に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
(6)遷移金属化合物[A]と化合物[B]とを担体[C]に担持した触媒成分、および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体[C]に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(7)化合物[B]を担体[C]に担持した触媒成分、および遷移金属化合物[A]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(8)化合物[B]を担体[C]に担持した触媒成分、遷移金属化合物[A]、および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体[C]に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(9)遷移金属化合物[A]を担体[C]に担持した成分、および化合物[B]を担体
[C]に担持した成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(10)遷移金属化合物[A]を担体[C]に担持した成分、化合物[B]を担体[C]に担持した成分、および化合物[B]を任意の順序重合器に添加する方法。この場合、担体[C]に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(11)遷移金属化合物[A]、化合物[B]、および有機化合物成分[D]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(12)化合物[B]と有機化合物成分[D]をあらかじめ接触させた成分、および遷移金属化合物[A]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(13)化合物[B]と有機化合物成分[D]を担体[C]に担持した成分、および遷移金属化合物[A]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(14)遷移金属化合物[A]と化合物[B]を予め接触させた触媒成分、および有機化合物成分[D]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(15)遷移金属化合物[A]と化合物[B]を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]、有機化合物成分[D]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(16)遷移金属化合物[A]と化合物[B]を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]と有機化合物成分[D]をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、遷移金属化合物[A]と接触させられる化合物[B]と、有機化合物成分[D]と接触させられる化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(17)遷移金属化合物[A]を担体[C]に担持した成分、化合物[B]、および有機化合物成分[D]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(18)遷移金属化合物[A]を担体[C]に担持した成分、および化合物[B]と有機化合物成分[D]をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(19)遷移金属化合物[A]と化合物[B]と有機化合物成分[D]を予め任意の順序で接触させた触媒成分を重合器に添加する方法。
(20)遷移金属化合物[A]と化合物[B]と有機化合物成分[D]を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、遷移金属化合物[A]および有機化合物成分[D]と接触させられる化合物[B]と、単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(21)遷移金属化合物[A]と化合物[B]と有機化合物成分[D]を担体[C]に担持した触媒を重合器に添加方法。
(22)遷移金属化合物[A]と化合物[B]と有機化合物成分[D]を担体[C]に担持した触媒成分、および成分[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体[C]に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
上記の担体[C]に遷移金属化合物[A]が担持された固体触媒成分、担体[C]に遷移金属化合物[A]および化合物[B]が担持された固体触媒成分には、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
本発明では、重合(単独重合または共重合)は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、また重合に供するオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物[A]は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
有機金属化合物(B−1)は、有機金属化合物(B−1)と、遷移金属化合物[A]中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物[A]中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)(B−3)は、イオン化イオン性化合物(B−3)と、遷移金属化合物[A]中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
有機化合物成分[D]は、有機金属化合物(B−1)とのモル比〔[D]/(B−1)〕が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。有機化合物成分[D]は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)とのモル比〔[D]/(B−2)〕が、通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。有機化合物成分[D]は、イオン化イオン性化合物(B−3)とのモル比〔[D]/(B−3)〕が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2−G、好ましくは常圧〜50kg/cm2−Gの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する化合物[B]の量により調節することもできる。
このような本発明のオレフィン重合用触媒により重合することができるオレフィンとしては、重合性二重結合を有すれば特に限定されないが、炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン;
炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の環状オレフィン、たとえば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、エチレンの単独重合、またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン、好ましくは炭素数3〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィンとの共重合に用いることがより好ましい。α−オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合の場合、α−オレフィン(以下、オレフィンAとも称す)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。これら中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
エチレンを用い、かつ上記オレフィンAを用いる場合、エチレンと上記オレフィンAとの使用量比は、エチレン:上記オレフィンA(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)、好ましくは炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィンとの共重合に用いることも好ましい。α−オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法において、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)との共重合を行うと、触媒の活性が高く、得られる重合体の分子量を高くすることが可能であり、かつ高い立体規則性を有する重合体を得ることができる。
プロピレンと炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)との共重合の場合、α−オレフィン(以下、オレフィンBとも称す)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。これら中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
プロピレンを用い、かつ上記オレフィンBを用いる場合、プロピレンと上記オレフィンBとの使用量比は、プロピレン:上記オレフィンB(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、1−ブテンの単独重合、または1−ブテンと炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、1−ブテンを除く)、好ましくは炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィンとの共重合に用いることも好ましい。α−オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法において、1−ブテンの単独重合、または1−ブテンと炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、1−ブテンを除く)との共重合を行うと、触媒の活性が高く、得られる重合体の分子量を高くすることが可能であり、かつ高い立体規則性を有する重合体を得ることができる。
1−ブテンと炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィン(但し、1−ブテンを除く)との共重合の場合、α−オレフィン(以下、オレフィンCとも称す)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。これら中でも、プロピレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
1−ブテンを用い、かつ上記オレフィンCを用いる場合、1−ブテンと上記オレフィンCとの使用量比は、1−ブテン:上記オレフィンC(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合に用いることも好ましい。環状オレフィンおよび芳香族ビニル化合物は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法において、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合を行うと、触媒の活性が高く、芳香族ビニル化合物由来の構成単位を多く有する重合体を得ることができる。なお、芳香族ビニル化合物由来の構成単位を多く有するとは、他の触媒を用いて、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合を行った際と比べて、本発明は芳香族ビニル化合物の転化率(芳香族ビニル化合物が反応する割合)が高く、重合体中に芳香族ビニル化合物由来の構成単位が多く含まれることを意味する。
環状オレフィンとしては、炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の環状オレフィンが挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン)、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、炭素原子数が8〜20好ましくは8〜18、より好ましくは8〜16の芳香族ビニル化合物が挙げられる。芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−iso−プロピルスチレン、m−iso−プロピルスチレン、p−iso−プロピルスチレン、3,5−iso−プロピルスチレン、o−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、3,5−tert−ブチルスチレン、などのモノもしくはポリアルキルスチレンが挙げられる。
エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物とを共重合する場合、各モノマーの使用量の比(モル比)は、エチレンを1とすると、通常は環状オレフィンが0.0002〜10であり、芳香族ビニル化合物が0.0002〜10であり、好ましくは環状オレフィンが0.001〜5であり、芳香族ビニル化合物が0.001〜5である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、極性基(たとえば、カルボニル基、水酸基、エーテル結合基など)を有する鎖状の不飽和炭化水素を重合させてもよく、該不飽和炭化水素として具体的には、例えばアクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、21−ドコセン酸、22−トリコセン酸、メタクリル酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、アリルマロン酸、2−(10−ウンデセニル)マロン酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、およびこれら不飽和カルボン酸類のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)、およびこれら不飽和カルボン酸類のアミド、N,N−ジメチルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノアミドであってもジアミドであってもよい);
無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル類;
酢酸アリル、プロピオン酸アリル、カプロン酸アリル、カプリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ステアリン酸アリルなどのアリルエステル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化オレフィン類;
o−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどのハロゲン化スチレン類;
p−トリメチルシリルスチレンなどのシリル基含有スチレン類;
p−メトキシスチレン、p−メチルチオスチレン、p−トリメチルシロキシスチレンなどの極性基含有スチレン類;
アリルトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン等のシリル化オレフィン類;
アクリロニトリル、2−シアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン、2,3−ジシアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン等の不飽和ニトリル類;
アリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へブテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルベンジルアルコール、アリルベンジルアルコール等の置換ベンジルアルコール類、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、アリルアニソール等の不飽和エーテル類;
ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;
アクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
アリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;
アリルフェニルスルホキシド等の不飽和スルホキシド類;
アリルフェニルスルホン等の不飽和スルホン類;
アリルジフェニルホスフィン等の不飽和ホスフィン類;
アリルジフェニルホスフィンオキシドのような不飽和ホスフィンオキシド類などが挙げられる。
さらに、以上に挙げた極性基を2個以上併せて有する不飽和炭化水素、例えばトリフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸アリル、4−(3−ブテニロキシ)安息香酸メチル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、(2H−ペルフルオロプロピル)−2−プロペニルエーテル、リナロールオキシド、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−(アリロキシ)エタノール、N−アリルモルホリン、アリルグリシン、N−ビニルピロリドン、アリルトリクロロシラン、アクリルトリメチルシラン、アリルジメチル(ジイソプロピルアミノ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、アリロキシトリメチルシラン、アリロキシトリフェニルシランなども、本発明のオレフィン重合用触媒によって重合させてもよい。
また本発明のオレフィン重合用触媒は、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなどを重合させてもよい。
前記ジエンまたは前記ポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20であり二個以上の二重結合を有する環状又は鎖状の化合物が挙げられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;
7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン;
さらに芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
本発明の遷移金属化合物[A]は、上記に説明したようにメタロセン骨格の特定の位置に特定の置換基を導入した新規な構造を有し、該化合物[A]を含む本発明のオレフィン重合用触媒は、従来のメタロセン骨格(特定の位置に特定の置換基を有さない)を有する遷移金属化合物よりも、特に優れたα−オレフィンの共重合性を有し、良好なオレフィン重合活性で十分な分子量の低密度のエチレン系共重合体を製造することができる。
当該効果は、前記一般式[1]あるいは[3]で表わされる遷移金属化合物[A]における、(i)メタロセン特定部位へのヘテロ原子含有電子供与性置換基導入効果による、顕著なα−オレフィン共重合性向上、および(ii)ヘテロ原子導入による活性低下現象を、近傍への置換基導入効果によって阻害する効果、に起因すると考えられる。
〔オレフィン重合体〕
本発明によれば、上述した特定の構造を有する有用かつ新規な遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、1種または2種以上の炭素数2〜30のα−オレフィンを重合することで;好ましくは、エチレンの単独重合、またはエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィン(オレフィンA)とを共重合することにより、オレフィン重合体を効率よく製造することができる。
また、本発明では、上述した特定の構造を有する有用かつ新規な遷移金属化合物[A]を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)(オレフィンB)とを共重合することによっても、オレフィン重合体を効率よく製造することが可能であり、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物とを共重合することによっても、オレフィン重合体を効率よく製造することが可能であり、1−ブテンの単独重合、または1−ブテンと炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、1−ブテンを除く)(オレフィンC)とを共重合することによっても、オレフィン重合体を効率よく製造することが可能である。
本発明のオレフィン重合体の一態様としては、エチレン由来の構成単位を好ましくは90〜100モル%、より好ましくは92〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%の範囲で含むエチレン系重合体が挙げられる。前記エチレン系重合体は、前記オレフィンA由来の構成単位を好ましくは合計0〜10モル%、より好ましくは0〜8モル%、さらに好ましくは0〜5モル%の範囲で含む。ただし、エチレン由来の構成単位の含量と前記オレフィンA由来の構成単位の含量との合計を100モル%とする。前記オレフィンA由来の構成単位が前記範囲にあるエチレン系重合体は、成型加工性に優れる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構成単位を含んでいてもよい。これらの含量は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
これらの重合体の中でも、エチレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−オクテン重合体、エチレン/1−ヘキセン重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン重合体、エチレン/プロピレン/1−オクテン重合体、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン重合体、エチレン/プロピレン/4−メチル−1−ペンテン重合体が特に好ましい。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られる、いわゆるブロック共重合体(インパクトコポリマー)でもよい。
本発明のエチレン系重合体は、上記で述べた構成単位を有する重合体の中でも、実質的に炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位のみからなるα−オレフィン重合体が好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の割合が95重量%以上であることを意味する。
本発明のオレフィン重合体の別の一態様としては、プロピレン由来の構成単位を好ましくは50〜100モル%、より好ましくは55〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%の範囲で含むプロピレン系重合体が挙げられる。前記プロピレン系重合体は、前記オレフィンB由来の構成単位を好ましくは合計0〜50モル%、より好ましくは0〜45モル%、さらに好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは0〜10モル%の範囲で含む。ただし、プロピレン由来の構成単位の含量と前記オレフィンB由来の構成単位の含量との合計を100モル%とする。前記オレフィンB由来の構成単位が前記範囲にあるプロピレン系重合体は、成型加工性および強度に優れる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構成単位を含んでいてもよい。これらの含量は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
これらの重合体の中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−オクテン重合体、プロピレン/1−ヘキセン重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン重合体、プロピレン/エチレン/1−オクテン重合体、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン重合体、プロピレン/エチレン/4−メチル−1−ペンテン重合体が特に好ましい。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られる、いわゆるブロック共重合体(インパクトコポリマー)でもよい。
本発明のプロピレン系重合体は、上記で述べた構成単位を有する重合体の中でも、実質的に炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位のみからなるα−オレフィン重合体が好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の割合が95重量%以上であることを意味する。
本発明のオレフィン重合体の別の一態様としては、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合により得られるエチレン/環状オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体が挙げられる。エチレン/環状オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体は、エチレン由来の構成単位を好ましくは30〜70モル%、より好ましくは35〜70モル%、さらに好ましくは40〜65モル%の範囲で含み、環状オレフィン由来の構成単位を好ましくは10〜70モル%、より好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは20〜45モル%の範囲で含み、芳香族ビニル化合物由来の構成単位を好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは5〜20モル%の範囲で含む。ただし、エチレン由来の構成単位の含量と環状オレフィン由来の構成単位の含量と芳香族ビニル化合物由来の構成単位の含量との合計を100モル%とする。各モノマー由来の構成単位が前記範囲にあるエチレン/環状オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体は、耐熱性および透明性や屈折率などの光学特性に優れる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構成単位を含んでいてもよい。これらの含量は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
これらの重合体の中でも、エチレン/テトラシクロドデセン/スチレン共重合体、
エチレン/ノルボルネン/スチレン共重合体が好ましい。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られる、いわゆるブロック共重合体(インパクトコポリマー)でもよい。
本発明のエチレン/環状オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体は、上記で述べた構成単位を有する重合体の中でも、実質的にエチレン由来の構成単位、環状オレフィン由来の構成単位、および芳香族ビニル化合物由来の構成単位のみからなる共重合体が好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、前記モノマー由来の構成単位の割合が95重量%以上であることを意味する。
本発明のオレフィン重合体の別の一態様としては、1−ブテン由来の構成単位を好ましくは50〜100モル%、より好ましくは55〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%の範囲で含む1−ブテン系重合体が挙げられる。前記1−ブテン系重合体は、前記オレフィンC由来の構成単位を好ましくは合計0〜50モル%、より好ましくは0〜45モル%、さらに好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは0〜10モル%の範囲で含む。ただし、1−ブテン由来の構成単位の含量と前記オレフィンC由来の構成単位の含量との合計を100モル%とする。前記オレフィンC由来の構成単位が前記範囲にある1−ブテン系重合体は、成型加工性および強度に優れる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構成単位を含んでいてもよい。これらの含量は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
これらの重合体の中でも、1−ブテン単独重合体、1−ブテン/エチレン共重合体、1−ブテン/プロピレン共重合体、1−ブテン/エチレン/プロピレン共重合体、1−ブテン/1−オクテン重合体、1−ブテン/1−ヘキセン重合体、1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン重合体、1−ブテン/エチレン/1−オクテン重合体、1−ブテン/エチレン/1−ヘキセン重合体、1−ブテン/エチレン/4−メチル−1−ペンテン重合体が特に好ましい。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られる、いわゆるブロック共重合体(インパクトコポリマー)でもよい。
本発明の1−ブテン系重合体は、上記で述べた構成単位を有する重合体の中でも、実質的に炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位のみからなるα−オレフィン重合体が好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の割合が95重量%以上であることを意味する。
本発明のエチレン系重合体において、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは10,000〜5,000,000、より好ましくは10,000〜2,000,000、特に好ましくは20,000〜1,000,000である。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜5である。分子量分布は、分子量の異なる重合体を多段重合法等を用いて製造することや溶媒分別などの方法で調節することも可能である。
本願のエチレン系重合体は、単段重合で得られる場合、比較的分子量分布が狭く、また(高級)α-オレフィンとの共重合によって、密度が低下するにつれて分子量分布が狭くなる傾向がある。このような現象が起こる理由としては、前述の様な推定が可能である。
本発明のエチレン系重合体において、密度は、特に限定されないが、875kg/m3以上975kg/m3以下であることが好ましい。
本発明のエチレン系重合体において、135℃デカリン中における極限粘度[η]は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜40dl/g、より好ましくは0.5〜15dl/g、特に好ましくは1〜10dl/gである。
本発明のエチレン系重合体において、ASTM D1238−89に従って190℃、2.16kg荷重の条件下にて測定したメルトマスフローレイト(MFR;単位はg/10分)は、特に限定されないが、好ましくは0.001g/10分以上300g/10分以下で、より好ましくは0.001g/10分以上200g/10分以下である。
また、ASTM D1238−89に従い、190℃、10kg荷重の条件下で測定したMFR値を前記190℃、2.16kg荷重の条件下にて測定したMFR値で除した値(I10/I2)が5.0以上300未満であることが好ましい。
以上の物性値の測定条件の詳細は、実施例に記載したとおりである。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、合成例に記載した化合物は270MHz、1H−NMR(日本電子;GSH−270)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)(島津製作所;GCMS−QP5050Aおよび島津製作所;GCMS−QP2010Ultra)、FD−質量分析(日本電子 SX−102A)を用いて同定した。
また、本発明の遷移金属化合物を含む触媒の存在下、オレフィンの重合によって得られる重合体の物性・性状を測定する方法を下記した。
・密度(kg/m3
190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で0.5mm厚のシートを成形し(スペーサー形状:240×240×0.5(mm)厚の板に45×45×0.5(mm)、9個取り)、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で圧縮することで冷却して測定用試料を作成した。熱板は5mm厚のSUS板を用いた。
このプレスシートを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
・重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
〔使用装置および条件〕
・分子量分布および各種平均分子量
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6−HT×2 + TSKgel GMH6−HT×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o−ジクロロベンゼン〔=ОDCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/min
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
分子量分布および各種平均分子量は、J. Polym. Sci., B5, 753.(1967)に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として計算した。
・融点(Tm;℃)
SII社製RDC220型示差走査熱量計を用い、約10mgの試料を窒素雰囲気下にて昇温速度50℃/分で30〜200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに、降温速度10℃/分にて30℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。この2度目の昇温の際に観測される吸熱ピークを融解ピークとし、その融解ピークが現れる温度を融点(Tm)として求めた。
・1−ブテン由来の構成単位を含むオレフィン(共)重合体の融点(Tm;℃)、結晶化温度(Tc;℃)
1−ブテン由来の構成単位を含むオレフィン(共)重合体の融点(Tm)あるいは結晶化温度(Tc)は、示差走査型熱量計(DSC)としてSII社製DSC7020を用い、以下のようにして測定した。
窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を(1)230℃まで昇温して230℃で10分間保持し、(2)10℃/分で30℃まで冷却して30℃で1分間保持した後、(3)10℃/分で230℃まで昇温させた。
前記(3)の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を、前記(2)の降温過程における結晶化ピークのピーク頂点から結晶化温度(Tc)を算出した。なお、実施例および比較例に記載した1−ブテン由来の構成単位を含むオレフィン(共)重合体において、複数の結晶溶融ピークが観測された場合(例えば、低温側ピークTm1、高温側ピークTm2)には、高温側ピークを1−ブテン由来の構成単位を含むオレフィン(共)重合体の融点(Tm)と定義した。融解熱(ΔH)は結晶溶融ピークと溶融曲線の面積を測定し計算した。
また、『結晶安定化後』と記載したデータは、窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を220℃まで昇温して220℃で10分間保持した後に室温まで冷却し、室温で10日間以上経過させた後、融点(Tm)および融解熱(ΔH)を以下のようにして測定した。
窒素雰囲気下(20mL/min)、試料(約5mg)を(1)20℃/分で室温から−20℃まで冷却して−20℃で10分間保持し、(2)20℃/分で200℃まで昇温させた。この(2)の昇温過程における結晶溶融ピークのピーク頂点から融点(Tm)を算出し、融解熱(ΔH)は溶融曲線の面積を測定し計算した。
・ガラス転移温度(Tg;℃)
SII社製RDC220型示差走査熱量計を用い、約10mgの試料を窒素雰囲気下にて昇温速度50℃/分で30〜200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに、降温速度10℃/分にて−100℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。ガラス転移温度(Tg)は、この2度目の昇温の際に、比熱の変化によりDSC曲線が屈曲し、ベースラインが平行移動する形で感知される。この屈曲より低温のベースラインの接戦と、屈曲した部分で傾きが最大となる点の接点との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
・極限粘度[η](dL/g)
オレフィン重合体の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。
すなわち重合パウダーまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η]として求める(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
・コモノマー含量(エチレン/1−ヘキセン共重合体)
共重合体のコモノマーの含量は、FT−IR(日本分光製FT−IR410型赤外分光光度計)によって測定した。FT−IRは、実施例で得られた共重合体生成ポリマーを、135℃に加熱したホットプレスにて溶解延伸後、室温下加圧冷却することで得られたフィルムを測定サンプルとして用い、光源波長5000cm-1〜400cm-1間で測定した。ヘキセン含量は、ヘキセンに基づくC−CH2CH2CH2CH3骨格振動(1378cm-1)をキーバンドとし、キーバンドの吸光度(D1378)と内部標準バンド(4321cm-1:C−H伸縮振動とメチレン、メチル変角振動の結合音)の吸光度(D4321)との比[D1378/D4321]により求めた。
なお、コモノマー含量と前記[D1378/D4321]との関係を特定した検量線が、コモノマー含量の決定に使用される。前記検量線は、13C NMRによってコモノマー含量が特定された種々の組成のエチレン系共重合体を、上記の方法でFT−IR測定し前記[D1378/D4321]結果により予め作成される。
・コモノマー含量(エチレン/テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン/スチレン共重合体)
エチレン/テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)/スチレン(ST)共重合体中の各成分の含有比率(以下E/TD/STにて示す;mol%)は、日本電子製ECX400P型核磁気共鳴装置を用い、下記測定条件により求めた。
〔測定条件〕
測定核;1H(400MHz)
測定モード;シングルパルス
パルス幅;45°(6.44μ秒)
ポイント数;32k
測定範囲;20ppm(−4〜16ppm)
繰り返し時間;7.0秒
積算回数;128回
測定溶媒;1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2
試料濃度;ca.20mg/0.6mL
測定温度;120℃
ウィンドウ関数;exponential(BF;0.12Hz)
ケミカルシフト基準;1,1,2,2−テトラクロロエタン(5.91ppm)
二重結合炭素に直接結合しているプロトン由来のピーク強度、フェニル基プロトン由来のピーク強度と、それ以外のプロトンのピーク強度により、それぞれTD含量、ST含量およびエチレン含量を算出した。
<(1)遷移金属化合物の合成>
〔実施例1〕
〔実施例1−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、マグネシウム片0.53g(21.8mmol)を仕込み、減圧下加熱しながら30分激しく撹拌した。室温まで冷却した後、ヨウ素一片とテトラヒドロフラン22mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、Eur. J. Org. Chem. 2006,2727.およびWO2007/034975号公報記載の方法によって合成した4−ブロモ−2,6−ジ−iso−プロピル−N,N−ジメチルアニリン5.69g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン30mL希釈溶液をゆっくりと加え、80℃のオイルバス中で1時間加熱還流した。この反応液を−78℃に冷却した後、トリメトキシボラン2.50mL(22.5mmol)をゆっくりと加え、ゆっくりと室温まで戻しながら18時間攪拌を続けた。この反応溶液に、4−ブロモ−1−インダノン3.61g(17.1mmol)、リン酸三カリウム8.48g(40.0mmol)、酢酸パラジウム0.04g(0.18mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシビフェニル(S−Phos)0.11g(0.26mmol)、蒸留水10mLを仕込み、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、1.0M塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、テトラヒドロフラン20mL、メタノール10mLを仕込み攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、ヒドロホウ酸ナトリウム1.32g(35.0mmol)をゆっくりと少量ずつ加え、室温にて1時間攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、トルエン35mL、p−トルエンスルホン酸一水和物0.34g(1.80mmol)を加え、120℃のオイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(1a)で示した目的物(以下化合物(1a)という)が3.62g(収率66%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.43−7.31(2H,m,Ar−H),7.30−7.23(3H,m,Ar−H),6.94(1H,dt,J=5.6and1.9Hz,Ar−CH=C),6.59(1H,dt,J=5.6and1.9Hz,−CH=CH−CH2−),3.51(2H,t,J=1.9Hz,Ar−CH2−C),3.40(2H,sep,J=6.9Hz,−CH(CH32),2.89(6H,s,−NC(CH32),1.48(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32)ppm
Figure 2017145240
〔実施例1−2〕
300mLの反応器に、実施例1−1で得られた化合物(1a)3.61g(11.3mmol)、水酸化ナトリウム1.16g(29.0mmol)、テトラヒドロフラン8mL、15−クラウン5−エーテル0.06g(0.29mmol)のテトラヒドロフラン2mL溶液を仕込み、80℃のオイルバス中で2時間加熱還流した。この溶液を0℃に冷却し、アセトン0.42mL(5.70mmol)をこの溶液へ加え、室温で10分攪拌後、80℃のオイルバス中で3時間加熱還流した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、ヘキサンを加えて懸濁液を調製し、不溶物を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(1b)で示した目的物(以下化合物(1b)という)が1.88g(収率49%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.38(2H,dd,J=6.5and2.2Hz,Ar−H),7.20,(4H,s,Ar−H),7.17−7.09(4H,m,Ar−H),6.56(2H,s,−C=CH−CH2−),3.49(4H,d,J=1.7Hz,=CH−CH2−),3.39(4H,sep,J=6.9Hz,−CH(CH32),2.89(12H,s,−NC(CH32),1.80(6H,s,C−CH3),1.24(24H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32)ppm
Figure 2017145240
〔実施例1−3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、実施例1−2で得られた化合物(1b)1.02g(1.50mmol)、トルエン15mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム0.41g(1.52mmol)を氷冷下仕込み、室温で5分攪拌後、120℃のオイルバス中で7時間加熱還流した。反応液の溶媒を留去した後、残渣にトルエン10mL、クロロトリメチルシラン0.40mL(3.17mmol)を加えた後、70℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。ろ液を減圧下濃縮し、ヘキサンを加えて懸濁液を調製した。不溶物を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(1)で示される橙色粉末状の化合物イソプロピリデンビス(4−(3,5−ジ−iso−プロピル−4−ジメチルアミノフェニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(1)という)を0.40g(収率32%、ラセミ体純度100%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.74(2H,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.39(4H,s,Ar−H),7.33(2H,d,J=6.8Hz,Ar−H),7.13(2H,dd,J=8.9and6.9Hz,Ar−H),6.90(2H,d,J=3.3Hz,Cp−H),6.24(2H,d,J=3.6Hz,Cp−H),3.34(4H,sep,J=6.8Hz,−CH(CH32),2.84(12H,s,−NC(CH32),2.42(6H,s,C−CH3),1.25(12H,d,J=6.8Hz,−CH(CH32),1.15(12H,d,J=6.8Hz,−CH(CH32)ppm
FD−質量分析(M+): 838
Figure 2017145240
〔実施例2〕
〔実施例2−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、マグネシウム片0.53g(21.8mmol)を仕込み、減圧下加熱しながら30分激しく撹拌した。室温まで冷却した後、ヨウ素一片とテトラヒドロフラン20mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 16486.記載の方法によって合成した1−ブロモ−3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシベンゼン5.99g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン30mL希釈溶液をゆっくりと加え、80℃のオイルバス中で1時間加熱還流した。この反応液を−78℃に冷却した後、トリメトキシボラン2.50mL(22.5mmol)をゆっくりと加え、ゆっくりと室温まで戻しながら21時間攪拌を続けた。1.0M塩酸水溶液を加え、ジエチルエーテルで可溶分を抽出し、得られた分画を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、4−ブロモ−1−インダノン3.67g(17.4mmol)、リン酸三カリウム8.54g(40.2mmol)、酢酸パラジウム0.04g(0.18mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシビフェニル(S−Phos)0.11g(0.26mmol)、テトラヒドロフラン45mL、蒸留水9mLを仕込み、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(2a)で示した目的物(以下化合物(2a)という)が5.86g(収率96%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.75(1H,dd,J=7.6and1.1Hz,Ar−H),7.61(1H,dd,J=7.5and1.2Hz,Ar−H),7.46(1H,t,J=7.5Hz,Ar−H),7.34(2H,s,Ar−H),3.76(3H,s,−ОCH3),3.25−3.15(2H,m,Ar−CH2−C),2.73−2.68(2H,m,Ar−CО−CH2−),1.48(18H,s,−C(CH33)ppm
Figure 2017145240
〔実施例2−2〕
500mLの反応器に、実施例2−1で得られた化合物(2a)5.85g(16.7mmol)、テトラヒドロフラン20mL、メタノール8mLを仕込み攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、ヒドロホウ酸ナトリウム1.27g(33.7mmol)をゆっくりと少量ずつ加え、室温にて1時間攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、トルエン30mL、p−トルエンスルホン酸一水和物0.07g(0.36mmol)を加え、120℃のオイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(2b)で示した目的物(以下化合物(2b)という)が4.38g(収率78%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.44(2H,s,Ar−H),7.42−7.30(2H,m,Ar−H),7.23(1H,dd,J=6.6and2.3Hz,Ar−H),6.98−6.91(1H,m,Ar−CH=C),6.63−6.54(1H,m,−CH=CH−CH2−),3.76(3H,s,−ОCH3),3.50(2H,t,J=1.9Hz,Ar−CH2−C),1.48(18H,s,−C(CH33)ppm
Figure 2017145240
〔実施例2−3〕
100mLの反応器に、実施例2−2で得られた化合物(2b)4.36g(13.0mmol)、テトラヒドロフラン7mL、15−クラウン5−エーテル0.07g(0.33mmol)のテトラヒドロフラン1mL溶液、水酸化ナトリウム1.32g(32.9mmol)、アセトン0.48mL(6.51mmol)を仕込み、80℃のオイルバス中で3時間加熱還流した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、ジエチルエーテルを加えて懸濁液を調製し、不溶物を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(2c)で示した目的物(以下化合物(2c)という)が1.87g(収率41%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.43−6.34(6H,m,Ar−H),7.20−7.07(4H,m,Ar−H),6.57(2H,s,−C=CH−CH2−),3.75(6H,s,−ОCH3),3.51−3.47(4H,m,=CH−CH2−),1.80(6H,s,C−CH3),1.47(36H,s,−C(CH33)ppm
Figure 2017145240
〔実施例2−4〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム0.67g(2.52mmol)、トルエン5mLを仕込み攪拌した。この懸濁液を−78℃に冷却し、実施例2−3で得られた化合物(2c)1.77g(2.50mmol)のトルエン15mL懸濁液を加えた後、120℃のオイルバス中で6時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、残渣にヘキサンを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(2d)で示される桃橙色粉末状の化合物(以下メタロセン化合物(2d)という)を1.36g(収率61%、ラセミ体純度88%)得た。
1H NMR(270MHz,C66)δ 7.80−7.70(2H,m,Ar−H),7.20−7.00(10H,m,Ar−HandCp−H),6.77(meso−,d,J=3.3Hz,Cp−H),6.38(2H,d,J=3.5Hz,Cp−H),5.84(meso−,d,J=3.4Hz,Cp−H),3.38(6H,s,−ОCH3),2.68(12H,s,−N(CH32),2.11(meso−,s,C−CH3),2.08(6H,s,C−CH3),1.51(36H,s,−C(CH33)ppm
Figure 2017145240
〔実施例2−5〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、実施例2−4で得られたメタロセン化合物(2d)0.45g(0.51mmol)、トルエン6mLを仕込み攪拌した。この懸濁液へ、クロロトリメチルシラン0.15mL(1.19mmol)を室温下加えた後、70℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンとヘキサンを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(2)で示される桃橙色粉末状の化合物イソプロピリデンビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(2)という)を0.35g(収率78%、ラセミ体純度100%)得た。
1H NMR( 270MHz,CDCl3)δ 7.73(2H,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.49(4H,s,Ar−H),7.30(2H,d,J=6.8Hz,Ar−H),7.13(2H,dd,J=8.9and6.9Hz,Ar−H),6.83(2H,d,J=3.6Hz,Cp−H),6.23(2H,d,J=3.7Hz,Cp−H),3.69(6H,s,−ОCH3),2.42(6H,s,C−CH3),1.41(36H,s,−C(CH33)ppm
FD−質量分析(M+): 868
Figure 2017145240
〔比較例1〕
〔比較例1−1〕
200mLの反応器に、4−ブロモ−1−インダノン2.53g(12.0mmol)、4−メトキシフェニルボロン酸2.18g(14.4mmol)、リン酸三カリウム6.11g(28.8mmol)、酢酸パラジウム0.03g(0.12mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシビフェニル(S−Phos)0.07g(0.18mmol)、テトラヒドロフラン30mL、蒸留水6mLを仕込み、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(3a)で示した目的物(以下化合物(3a)という)が2.60g(収率91%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.75(1H,d,J=7.5Hz,Ar−H),7.57(1H,dd,J=7.4and1.2Hz,Ar−H),7.49−7.35(3H,m,Ar−H),7.05−6.97(2H,m,Ar−H),3.87(3H,s,−ОCH3),3.21−3.12(2H,m,Ar−CH2−C),2.73−2.65(2H,m,Ar−CО−CH2−)ppm
Figure 2017145240
〔比較例1−2〕
200mLの反応器に、比較例1−1で得られた化合物(3a)2.59g(10.3mmol)、テトラヒドロフラン15mL、メタノール5mLを仕込み攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、ヒドロホウ酸ナトリウム0.84g(22.1mmol)をゆっくりと少量ずつ加え、室温にて2時間攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、トルエン20mL、p−トルエンスルホン酸一水和物0.04g(0.23mmol)を加え、120℃のオイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(3b)で示した目的物(以下化合物(3b)という)が1.43g(収率63%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.53−7.44(2H,m,Ar−H),7.43−7.30(2H,m,Ar−H),7.20(1H,dd,J=6.8and1.9Hz,Ar−H),6.96−6.91(1H,m,Ar−CH=C),6.61−6.54(1H,m,−CH=CH−CH2−),3.86(3H,s,−ОCH3),3.47(2H,t,J=1.9Hz,Ar−CH2−C)ppm
Figure 2017145240
〔比較例1−3〕
300mLの反応器に、比較例1−2で得られた化合物(3b)1.43g(6.45mmol)、水酸化ナトリウム0.61g(15.3mmol)、テトラヒドロフラン5mL、15−クラウン5−エーテル0.04g(0.17mmol)のテトラヒドロフラン2mL溶液を仕込み、80℃のオイルバス中で2時間加熱還流した。この溶液を0℃に冷却し、アセトン0.25mL(3.39mmol)をこの溶液へ加え、室温で10分攪拌後、80℃のオイルバス中で3時間加熱還流した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、ジエチルエーテルとヘキサンを加えて懸濁液を調製し、不溶物を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(3c)で示した目的物(以下化合物(3c)という)が0.79g(収率51%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.49−7.39(4H,m,Ar−H),7.35,(2H,dd,J=7.4and1.2Hz,Ar−H),7.17−7.03(4H,m,Ar−H),7.01−6.93(4H,m,Ar−H),6.56(2H,t,J=2.0Hz,−C=CH−CH2−),3.86(6H,s,−ОCH3),3.46(4H,d,J=1.9Hz,=CH−CH2−),1.79(6H,s,C−CH3)ppm
Figure 2017145240
〔比較例1−4〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、比較例1−3で得られた化合物(3c)0.73g(1.50mmol)、トルエン15mLを仕込み攪拌した。この溶液を−78℃に冷却し、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム0.41g(1.53mmol)を仕込み、室温で10分攪拌後、120℃のオイルバス中で7時間加熱還流した。反応液の溶媒を留去した後、残渣にトルエン8mL、クロロトリメチルシラン0.40mL(3.17mmol)を加えた後、70℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(3)で示される桃橙色粉末状の化合物イソプロピリデンビス(4−(4−メトキシフェニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(3)という)を0.54g(収率56%、ラセミ体純度93%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.81(meso−,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.70(2H,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.57−7.47(4H,m,Ar−H),7.24(2H,d,J=7.2Hz,Ar−H),7.15−7.03(2H,m,Ar−H),7.01−6.92(4H,m,Ar−H),6.79(2H,dd,J=3.6and0.7Hz,Cp−H),6.22(2H,d,J=3.6Hz,Cp−H),6.10(meso−,d,J=3.6Hz,Cp−H),3.82(6H,s,−ОCH3),2.73(meso−,s,C−CH3),2.41(6H,s,C−CH3),2.22(meso−,s,C−CH3)ppm
FD−質量分析(M+): 644
Figure 2017145240
〔比較例2〕
〔比較例2−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム680mg(2.54mmol)、トルエン5mLを仕込み攪拌した。この懸濁液を−78℃に冷却し、特許第5710035号公報記載の方法によって合成した2,2−ビス(7−フェニル−3−インデニル)プロパン1.06g(2.50mmol)のトルエン10mL懸濁液を加えた後、120℃のオイルバス中で2時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、残渣にヘキサンを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。得られた溶液を減圧下濃縮することで懸濁液を調製し、得られた固体をろ別、乾燥することにより、下記式(4a)で示される橙色粉末状の化合物(以下メタロセン化合物(4a)という)を0.80g(収率53%、ラセミ体純度83%)得た。
1H NMR(270MHz,C66)δ 8.25(meso−,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.77−7.65(6H,m,Ar−H),7.28−7.22(4H,m,Ar−H),7.16−6.93(6H,m,Ar−H),6.83(2H,d,J=3.5Hz,Cp−H),6.63(meso−,d,J=3.3Hz,Cp−H),6.37(2H,d,J=3.5Hz,Cp−H),5.83(meso−,d,J=3.4Hz,Cp−H),2.49(12H,s,−N(CH32),2.08(6H,s,C−CH3)ppm
Figure 2017145240
〔比較例2−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した30mLの反応器に、比較例2−1で得られたメタロセン化合物(4a)0.30g(0.50mmol)、トルエン2.5mLを仕込み攪拌した。この懸濁液へ、クロロトリメチルシラン0.13mL(1.0mmol)を室温下加えた後、70℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(4)で示される濃桃色粉末状の化合物イソプロピリデンビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(4)という)を0.17g(収率56%、ラセミ体純度100%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.74(2H,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.58(4H,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.45−7.27(8H,m,Ar−H),7.15−7.10(2H,m,Ar−H),6.80(2H,d,J=3.6Hz,Cp−H),6.23(2H,d,J=3.6Hz,Cp−H),2.41(6H,s,C−CH3)ppm
FD−質量分析(M+): 584
Figure 2017145240
〔比較例3〕
イソプロピリデンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(メタロセン化合物(5))は、J. Оrganomet. Chem. 1997, 530, 75.記載の方法、およびJ. Оrganomet. Chem. 1997, 527, 297.記載の方法に従って合成した。
Figure 2017145240
〔実施例3〕
〔実施例3−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、マグネシウム片0.53g(22.0mmol)を仕込み、減圧下加熱しながら30分激しく撹拌した。室温まで冷却した後、ヨウ素一片とテトラヒドロフラン22mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、Eur. J. Org. Chem. 2006,2727.およびWO2007/034975号公報記載の方法によって合成した4−ブロモ−2,6−ジ−iso−プロピル−N,N−ジメチルアニリン5.69g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン30mL希釈溶液をゆっくりと加え、80℃のオイルバス中で1時間加熱還流した。この反応液を−78℃に冷却した後、トリメトキシボラン2.50mL(22.5mmol)をゆっくりと加え、ゆっくりと室温まで戻しながら18時間攪拌を続けた。この反応溶液に、Organometallics 2006, 25, 1217.記載の方法によって合成した7−ブロモ−2−メチルインデン3.71g(17.7mmol)、リン酸三カリウム8.42g(39.7mmol)、酢酸パラジウム0.08g(0.36mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシビフェニル(S−Phos)0.22g(0.53mmol)、蒸留水10mLを仕込み、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、1.0M塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、メタノールを加えて懸濁液を調製し、不溶物を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(6a)で示した目的物(以下化合物(6a)という)が4.52g(収率76%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.35−7.19(4H,m,Ar−H),7.14(1H,dd,J=7.4and1.3Hz,Ar−H),6.58−6.50(1H,m,Ar−CH=C),3.49−3.31(4H,m,Ar−CH2−C
and −CH(CH32),2.89(6H,s,−NC(CH32),2.15(3H,s,CH−CH3),1.25(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32)ppm
Figure 2017145240
〔実施例3−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、実施例3−1で得られた化合物(6a)3.34g(10.0mmol)、テトラヒドロフラン35mLを仕込み攪拌した。氷冷下この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液6.20mL(ヘキサン溶液、1.63M、10.1mmol)をこの溶液へ加え、室温で2時間攪拌した。この溶液へ1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン1.10mL(11.7mmol)を加えた後−30℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン0.60mL(5.00mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら17時間攪拌を続けた。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(6b)で示した目的物(以下化合物(6b)という)が3.03g(収率84%)の異性体混合物として得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.60−7.04(10H,m,Ar−H),6.93−6.50(2H,m,Ar−CH=C),3.94−3.77(2H,m,CH−Si−CH),3.42(4H,sep,J=6.8Hz,−CH(CH32),2.90(12H,s,−NC(CH32),2.35−2.20(6H,m,C−CH3),1.28(24H,dd,J=6.5and4.7Hz,−CH(CH32),−0.10−−0.28(6H,m,Si−CH3)ppm
Figure 2017145240
〔実施例3−3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、実施例3−2で得られた化合物(6b)0.36g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.62mL(ヘキサン溶液、1.63M、1.01mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン10mL、ジエチルエーテル0.5mLを加えた。この溶液を0℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.12g(0.50mmol)を加え、室温にて21時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンを加え懸濁液を調整し、不溶物をメンブレンシリンジフィルターで除去した。得られた溶液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。得られた溶液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(6)で示される橙色粉末状の化合物ジメチルシリレンビス(4−(3,5−ジ−iso−プロピル−4−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(6)という)を0.05g(収率11%、ラセミ体純度100%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.64(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),7.46−7.36(6H,m,Ar−H),7.12(1H,d,J=8.7Hz,Ar−H),7.09(1H,d,J=8.7Hz,Ar−H),6.99(2H,s,Cp−H),3.33(4H,sep,J=6.9Hz,−CH(CH32),2.84(12H,s,−NC(CH32),2.27(6H,s,Cp−CH3),1.34(6H,s,Si−CH3),1.25(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32),1.14(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32)ppm
FD−質量分析(M+): 882
Figure 2017145240
〔比較例4〕
ジメチルシリレンビス(4−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(メタロセン化合物(7))は、Organometallics 2006, 25, 1217.記載の方法に従って合成した。
Figure 2017145240
〔実施例4〕
<(2)固体状担体の調製>
内容積270Lの攪拌機付き反応器を用い、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製:レーザー光回折散乱法の体積分布の累積50%粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77Lのトルエンに懸濁させた後、0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mol/L)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。
次いで、0〜5℃で30分間接触させた後、1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後、常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルの固体状担体のトルエンスラリーを調製した。
得られたスラリー成分の一部を採取し分析したところ、固体分濃度は122.6g/Lであった。
<(3)オレフィン重合用固体触媒成分の調製>
充分に窒素置換した内容積200mLの攪拌機付き反応器に、トルエン30mL、および上記固体状担体スラリー8.2mL(固体分重量1.0g)を装入した。次いで、実施例1で得られたメタロセン化合物(1)0.025mmolのトルエン溶液を加え、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘプタンを用いて2回洗浄した後、全量50ミリリットルのオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(I)を調製した。
〔実施例5〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、実施例2で得られたメタロセン化合物(2)を加えた以外は、実施例4と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(II)を調製した。
〔比較例5〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、比較例1で得られたメタロセン化合物(3)を加えた以外は、実施例4と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(III)を調製した。
〔比較例6〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、比較例2で得られたメタロセン化合物(4)を加えた以外は、実施例4と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(IV)を調製した。
〔比較例7〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、比較例3で得られたメタロセン化合物(5)を加えた以外は、実施例4と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(V)を調製した。
〔実施例6〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、実施例3で得られたメタロセン化合物(6)を加えた以外は、実施例4と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(VI)を調製した。
〔比較例8〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、比較例4で得られたメタロセン化合物(7)を加えた以外は、実施例4と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(VII)を調製した。
<(4)オレフィン重合>
〔実施例7〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記実施例4で得られた固体触媒成分スラリー(I)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体60.1gを得た。重合活性は600.3g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は931kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は451,600、数平均分子量(Mn)は128,800であった。
〔実施例8〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記実施例4で得られた固体触媒成分スラリー(I)を固体分として60mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体46.1gを得た。重合活性は767.8g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は905kg/m3であり、1−ヘキセン含量は4.7mol%であり、重量平均分子量(Mw)は139,900、数平均分子量(Mn)は52,100であった。
〔実施例9〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記実施例5で得られた固体触媒成分スラリー(II)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体64.0gを得た。重合活性は638.7g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は931kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は490,500、数平均分子量(Mn)は122,500であった。
〔実施例10〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記実施例5で得られた固体触媒成分スラリー(II)を固体分として60mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体42.8gを得た。重合活性は712.0g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は907kg/m3であり、1−ヘキセン含量は6.4mol%であり、重量平均分子量(Mw)は147,300、数平均分子量(Mn)は43,200であった。
〔比較例9〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例5で得られた固体触媒成分スラリー(III)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体12.3gを得た。重合活性は121.7g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は410,000、数平均分子量(Mn)は73,200であった。
〔比較例10〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例5で得られた固体触媒成分スラリー(III)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体42.7gを得た。重合活性は426.1g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の1−ヘキセン含量は4.2mol%であり、重量平均分子量(Mw)は136,800、数平均分子量(Mn)は27,000であった。
〔比較例11〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例6で得られた固体触媒成分スラリー(IV)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体22.4gを得た。重合活性は222.5g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は936kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は347,700、数平均分子量(Mn)は37,300であった。
〔比較例12〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例6で得られた固体触媒成分スラリー(IV)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体88.8gを得た。重合活性は887.1g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は916kg/m3であり、1−ヘキセン含量は2.6mol%であり、重量平均分子量(Mw)は14,600、数平均分子量(Mn)は34,200であった。
〔比較例13〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例7で得られた固体触媒成分スラリー(V)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体19.0gを得た。重合活性は188.5g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は942kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は179,500、数平均分子量(Mn)は32,300であった。
〔比較例14〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例7で得られた固体触媒成分スラリー(V)を固体分として60mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体48.0gを得た。重合活性は799.5g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は927kg/m3であり、1−ヘキセン含量は2.7mol%であり、重量平均分子量(Mw)は51,800、数平均分子量(Mn)は13,300であった。
以上の、実施例7〜10、比較例9〜14の結果を[表8]にまとめた。
Figure 2017145240
比較例3に記載されている既知のメタロセン化合物(5)を用いた比較例13および14と比較し、比較例2および特開2014−193846号公報の請求範囲に記載されているメタロセン化合物(4)を用いた比較例11および12では、生成ポリマーの高分子量化が認められるものの、1−ヘキセン共重合性の向上は認められない。
また、比較例1および特開2014−193846号公報の請求範囲に記載されているメタロセン化合物(3)を用いた比較例9および10では、電子供与性置換基導入効果と考えられる、1−ヘキセン共重合性の向上が認められるものの、ヘテロ原子とアルミニウム化合物との相互作用等によると考えられる、重合活性の低下が認められる。
しかしながら、本特許請求の範囲に記載されるメタロセン化合物(1)および(2)を用いた実施例7〜10においては、大幅な重合活性の低下が認められないことに加え、むしろエチレンホモ重合である実施例16および18においては、重合活性の明らかな向上および生成ポリマー高分子量化が認められた。
さらに、実施例8および10においては、顕著な1−ヘキセン共重合性の向上と、それに伴う生成ポリマーの低密度化、および分子量分布狭化の傾向が認められた。
〔実施例11〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記実施例6で得られた固体触媒成分スラリー(VI)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体44.7gを得た。重合活性は446.0g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は937kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は466,500、数平均分子量(Mn)は88,800であった。
〔実施例12〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記実施例6で得られた固体触媒成分スラリー(VI)を固体分として40mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で60分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体39.6gを得た。重合活性は988.3g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は897kg/m3であり、1−ヘキセン含量は6.2mol%であり、重量平均分子量(Mw)は325,600、数平均分子量(Mn)は113,500であった。
〔比較例15〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例8で得られた固体触媒成分スラリー(VII)を固体分として100mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体32.3gを得た。重合活性は322.4g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は936kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は704,600、数平均分子量(Mn)は105,200であった。
〔比較例16〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記比較例8で得られた固体触媒成分スラリー(VII)を固体分として20mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体6.55gを得た。重合活性は326.5g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は912kg/m3であり、1−ヘキセン含量は3.5mol%であり、重量平均分子量(Mw)は275,700、数平均分子量(Mn)は79,600であった。
以上の、実施例11および12、比較例15および16の結果を[表9]にまとめた。
Figure 2017145240
比較例4に記載されている既知のメタロセン化合物(7)を用いた比較例15および16と比較し、本特許請求の範囲である実施例3に記載されるメタロセン化合物(6)を用いた実施例11および12においては、極めて高い重合活性を示した。エチレンと1−ヘキセンの共重合である実施例12においては、重合活性の顕著な向上および生成ポリマー高分子量化が認められた。
さらに、実施例12においては、顕著な1−ヘキセン共重合性の向上と、それに伴う生成ポリマーの低密度化および分子量分布狭化の傾向が認められた。
〔実施例13〕
〔実施例13−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、マグネシウム片0.42g(17.2mmol)を仕込み、減圧下加熱しながら30分激しく撹拌した。室温まで冷却した後、ヨウ素一片とテトラヒドロフラン15mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、J.Am.Chem.Soc. 2006,128,16486.記載の方法によって合成した1−ブロモ−3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシベンゼン4.67g(15.6mmol)のテトラヒドロフラン25mL希釈溶液をゆっくりと加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。この反応液を−78℃に冷却した後、トリメトキシボラン2.00mL(18.0mmol)をゆっくりと加え、ゆっくりと室温まで戻しながら21時間攪拌を続けた。1.0M塩酸水溶液を加え、ジエチルエーテルで可溶分を抽出し、得られた分画を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、Organometallics 2006,25,1217.記載の方法によって合成した4−ブロモ−2−メチル−1−インダノン2.70g(12.0mmol)、リン酸三カリウム6.69g(31.5mmol)、酢酸パラジウム0.03g(0.13mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos)0.08g(0.18mmol)、テトラヒドロフラン30mL、蒸留水6mLを仕込み、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(8a)で示した目的物(以下化合物(8a)という)が4.09g(収率93%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.75(1H,dd,J=7.5and1.2Hz,Ar−H),7.61(1H,dd,J=7.5and1.2Hz,Ar−H),7.45(1H,t,J=7.5Hz,Ar−H),7.33(2H,s,Ar−H),3.76(3H,s,−OCH3),3.56−3.39(1H,m,CH−CH3),2.85−2.65(2H,m,Ar−CH2−C),1.48(18H,s,−C(CH33),1.33(3H,d,J=7.3Hz,CH−CH3)ppm
Figure 2017145240
〔実施例13−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、実施例13−1で得られた化合物(8a)4.07g(11.2mmol)、テトラヒドロフラン15mL、メタノール5mLを仕込み攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、ヒドロホウ酸ナトリウム0.85g(22.6mmol)をゆっくりと少量ずつ加え、室温にて2時間攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、1.0M塩酸水溶液をゆっくりと加え、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣に、トルエン20mL、p−トルエンスルホン酸一水和物0.05g(0.24mmol)を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(8b)で示した目的物(以下化合物(8b)という)が3.51g(収率90%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.41(2H,s,Ar−H),7.35−7.17(2H,m,Ar−H),7.12(1H,dd,J=7.4and1.3Hz,Ar−H),6.53(1H,dd,J=2.9and1.4Hz,Ar−CH=C),3.75(3H,s,−OCH3),3.38(2H,s,Ar−CH2−C),2.15(3H,s,C−CH3),1.47(18H,s,−C(CH33)ppm
Figure 2017145240
〔実施例13−3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、実施例13−2で得られた化合物(8b)2.10g(6.02mmol)、テトラヒドロフラン15mLを仕込み攪拌した。氷冷下この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液3.90mL(ヘキサン溶液、1.55M、6.05mmol)をこの溶液へ加え、室温で2時間攪拌した。この溶液へ1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン0.60mL(6.39mmol)を加えた後0℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン0.36mL(3.01mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌を続けた。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(8c)で示した目的物(以下化合物(8c)という)が1.42g(収率63%)の異性体混合物として得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.60−7.00(10H,m,Ar−H),6.99−6.65(2H,m,Ar−CH=C),3.95−3.65(2H,m,CH−Si−CH),3.76(6H,s,−OCH3),2.40−1.90(6H,m,C−CH3),1.56−1.36(3H,m,Si−CH3),1.49(36H,s,−C(CH33),−0.13−−0.28(3H,m,Si−CH3)ppm
Figure 2017145240
〔実施例13−4〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、実施例13−3で得られた化合物(8c)0.38g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.65mL(ヘキサン溶液、1.54M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン10mL、ジエチルエーテル0.6mLを加えた。この溶液を0℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.12g(0.50mmol)を加え、室温にて18時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンを加え懸濁液を調整し、不溶物をメンブレンシリンジフィルターで除去した。得られた溶液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。残渣をトルエンに溶解し、n−ヘキサンを加え0℃冷却下24時間静置した。晶出した結晶を濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(8)で示される橙色粉末状の化合物ジメチルシリレンビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)−2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(8)という)を0.15g(収率33%、メソ体純度92%)得た。ろ液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、メタロセン化合物(8)を0.08g(収率18%、ラセミ体純度80%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)[meso−]δ 7.62(2H,d,J=8.5Hz,Ar−H),7.47(4H,s,Ar−H),7.08(2H,d,J=6.9Hz,Ar−H),6.86(2H,dd,J=7.0and8.7Hz,Ar−H),6.77(2H,s,Cp−H),3.71(6H,s,−OCH3),2.46(6H,s,Cp−CH3),1.47(3H,s,Si−CH3),1.43(36H,s,−C(CH33),1.25(3H,s,Si−CH3)ppm,[rac−]δ 7.64(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),7.52(4H,s,Ar−H),7.38(2H,d,J=7.0Hz,Ar−H),7.10(2H,dd,J=7.0and8.7Hz,Ar−H),6.93(2H,s,Cp−H),3.69(6H,s,−OCH3),2.27(6H,s,Cp−CH3),1.41(36H,s,−C(CH33),1.34(6H,s,Si−CH3)ppm
FD−質量分析(M+): 912
Figure 2017145240
〔比較例17〕
ジメチルシリレンビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(メタロセン化合物(9))は、特表2004−502699号公報記載の方法によって合成した(ラセミ体純度50%)。
Figure 2017145240
〔比較例18〕
ジメチルシリレンビス(4−フェニル−2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(メタロセン化合物(10))は、特許第3737134号公報記載の方法によって合成した(ラセミ体純度100%)。
Figure 2017145240
〔実施例14〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、85℃に昇温した。内容物を600rpmにて撹拌しながら、プロピレンを100L/hの流量にて連続的に供給し、液相ならびに気相を飽和させた。引き続き同じ流量にてプロピレンを連続的に供給した状態で、メチルアルミノキサン(PMAO)のトルエン溶液(1.25mol/L)を1.0mL(1.25mmol)、ついで、前記実施例3−3で得られたメタロセン化合物(6)のトルエン溶液(1.00mol/L)を0.001mL(1.00μmol)加え、常圧下、85℃にて5分間重合を行った。イソブチルアルコールを少量添加することによって重合反応を停止し、得られた重合反応液を少量の塩酸を含む2.0Lのメタノール中に加え、重合体を析出させた。濾過により重合体を回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、プロピレン重合体4.01gを得た。重合活性は481,000g‐PP/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体の融点は152.0℃であり、数平均分子量(Mn)は32,600であった。
〔実施例15〕
メタロセン化合物(6)の代わりに、前記実施例13−4で得られたラセミ体純度80%のメタロセン化合物(8)のトルエン溶液(1.00mol/L)を0.002mL(2.00μmol)加えた以外は、実施例14と同様の方法で重合反応を行った。得られたプロピレン重合体は3.94gであり、重合活性は236,000g‐PP/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体の融点は152.4℃であり、数平均分子量(Mn)は32,600であった。
〔比較例19〕
メタロセン化合物(6)の代わりに、前記比較例17で得られたメタロセン化合物(9)のトルエン溶液(1.00mol/L)を0.002mL(2.00μmol)加えた以外は、実施例14と同様の方法で重合反応を行った。得られたプロピレン重合体は1.12gであり、重合活性は67,000g‐PP/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体の融点は148.7℃であり、数平均分子量(Mn)は14,500であった。
〔比較例20〕
メタロセン化合物(6)の代わりに、前記比較例18で得られたメタロセン化合物(10)のトルエン溶液(1.00mol/L)を0.003mL(3.00μmol)加えた以外は、実施例14と同様の方法で重合反応を行った。得られたプロピレン重合体は3.87gであり、重合活性は155,000g‐PP/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体の融点は142.4℃であり、数平均分子量(Mn)は7,600であった。
以上の、実施例14および15、比較例19および20の結果を[表10]にまとめた。
Figure 2017145240
比較例17および18に記載されている既知のメタロセン化合物(9)および(10)を用いた比較例19および20と比較し、本特許請求の範囲である実施例3−3および13−4に記載されるメタロセン化合物(6)および(8)を用いた実施例14および15においては、高い重合活性を示した。
また、得られたプロピレン重合体の融点を比較することにより、本特許請求の範囲である実施例3−3および13−4に記載されるメタロセン化合物(6)および(8)を用いた実施例14および15においては、高い立体規則性を発現しており、顕著な分子量増加傾向も認められた。
〔実施例16〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、シクロヘキサン216mLおよびヘキサン24mLを装入し、50℃に昇温した。内容物を600rpmにて撹拌しながら、エチレンを50L/hの流量にて連続的に供給し、液相ならびに気相を飽和させた。引き続き同じ流量にてエチレン(E)を連続的に供給した状態で、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)15.0mL、スチレン(ST)3.80mL、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1.00mol/L)0.70mL(0.7mmol)を順次挿入した。さらに、前記実施例1−3で得られたメタロセン化合物(1)のトルエン溶液(0.67mmol/L)を3.00mL(2.0μmol)、ついで、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TrB(C654とも記す)のトルエン溶液(4.00mmol/L)を2.00mL(8.0μmol)加え、常圧下、50℃にて10分間重合を行った。イソブチルアルコールを少量添加することによって重合反応を停止し、得られた重合反応液を少量の塩酸を含む1.25Lのメタノール/アセトン(1/3;v/v)混合溶媒中に加え、重合体を析出させた。濾過により重合体を回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン/TD/ST共重合体143mgを得た。重合活性は430g‐Polym/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は81℃であり、極限粘度[η]は0.43dL/gであり、各成分の含有比率(mol%)は「E/TD/ST=61.0/20.5/18.4」であった。
〔実施例17〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、前記実施例2−5で得られたメタロセン化合物(2)を加えた以外は、実施例16と同様の方法で重合反応を行った。得られたエチレン/TD/ST共重合体は218mgであり、重合活性は650g‐Polym/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は89℃であり、極限粘度[η]は0.45dL/gであり、各成分の含有比率(mol%)は「E/TD/ST=59.7/22.0/18.2」であった。
〔比較例21〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、前記比較例1−4で得られたメタロセン化合物(3)を加えた以外は、実施例16と同様の方法で重合反応を行った。得られたエチレン/TD/ST共重合体は15mgであり、重合活性は45g‐Polym/mmol‐Zr.hであり、得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は80℃であった。
得られた重合体の収量が少なく、極限粘度の測定、各モノマー含有率の測定ができなかった。
〔比較例22〕
メタロセン化合物(1)の代わりに、前記比較例3で得られたメタロセン化合物(5)を加えた以外は、実施例16と同様の方法で重合反応を行った。得られたエチレン/TD/ST共重合体は1.41gであり、重合活性は4,230g‐Polym/mmol‐Zr.hであった。
得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は142℃であり、極限粘度[η]は0.59dL/gであり、各成分の含有比率(mol%)は「E/TD/ST=58.6/33.0/8.4」であった。
以上の、実施例16および17、比較例21および22の結果を[表11]にまとめた。
Figure 2017145240
比較例1−4に記載されている既知のメタロセン化合物(3)を用いた比較例21と比較し、本特許請求の範囲である実施例1−3および2−5に記載されるメタロセン化合物(1)および(2)を用いた実施例16および17においては、大幅に高い重合活性を示した。これは、前述したヘテロ原子とアルミニウム化合物との相互作用低減効果によるものと考えられる。
また、比較例3に記載されている既知のメタロセン化合物(5)を用いた比較例22と比較し、本特許請求の範囲である実施例1−3および2−5に記載されるメタロセン化合物(1)および(2)を用いた実施例16および17においては、高いスチレン共重合性を示したことから、非常に優れたスチレン転化率を有していることが分かる。
〔実施例18〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、実施例13−3で得られた化合物(8c)0.38g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.61mL(ヘキサン溶液、1.64M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン10mL、ジエチルエーテル0.6mLを加えた。この溶液を0℃に冷却し、四塩化ハウニウム0.16g(0.51mmol)を加え、室温にて17時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンを加え懸濁液を調整し、不溶物をメンブレンシリンジフィルターで除去した。得られた溶液を減圧下濃縮乾固した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。ろ液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(11)で示される黄色粉末状の化合物ジメチルシリレンビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)−2−メチル−1−インデニル)ハウニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(11)という)を0.12g(収率23%、ラセミ体純度100%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 7.68(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),7.51(4H,s,Ar−H),7.36(2H,d,J=6.3Hz,Ar−H),7.07(2H,dd,J=7.0and8.7Hz,Ar−H),6.85(2H,s,Cp−H),3.69(6H,s,−OCH3),2.36(6H,s,Cp−CH3),1.40(36H,s,−C(CH33),1.34(6H,s,Si−CH3)ppm
FD−質量分析(M+): 1000
Figure 2017145240
〔実施例19〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、実施例3−2で得られた化合物(6b)0.36g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.61mL(ヘキサン溶液、1.64M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン10mL、ジエチルエーテル0.6mLを加えた。この溶液を0℃に冷却し、四塩化ハフニウム0.17g(0.52mmol)を加え、室温にて19時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタンとトルエンを加え懸濁液を調整し、不溶物をメンブレンシリンジフィルターで除去した。得られた溶液を減圧下濃縮乾固した後、ジクロロメタンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(12)で示される黄色粉末状の化合物ジメチルシリレンビス(4−(3,5−ジ−iso−プロピル−4−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−1−インデニル)ハウニウムジクロリド(以下メタロセン化合物(12)という)を0.05g(収率11%、メソ体純度88%)得た。ろ液を減圧下濃縮した後、析出した不溶物をガラスフィルターで濾別した。ろ液を減圧下濃縮乾固した後、n−ヘキサンを加えることで懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。残渣を減圧乾燥することにより、メタロセン化合物(12)を0.07g(収率15%、ラセミ体純度100%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)[meso−]δ 7.64(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),7.31(4H,s,Ar−H),7.08(2H,d,J=6.8Hz,Ar−H),6.80(2H,dd,J=6.9and8.7Hz,Ar−H),6.72(2H,s,Cp−H),3.34(4H,sep,J=6.89Hz,−CH(CH32),2.86(12H,s,−NC(CH32),2.57(6H,s,Cp−CH3),1.46(3H,s,Si−CH3),1.27(15H,d,J=6.9Hz,Si−CH3and−CH(CH32),1.14(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32)ppm,[rac−]δ 7.68(2H,d,J=8.8Hz,Ar−H),7.42−7.35(6H,m,Ar−H),7.07(2H,dd,J=6.9and8.7Hz,Ar−H),6.91(2H,s,Cp−H),3.33(4H,sep,J=6.73Hz,−CH(CH32),2.85(12H,s,−NC(CH32),2.36(6H,s,Cp−CH3),1.33(6H,s,Si−CH3),1.25(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32),1.13(12H,d,J=6.9Hz,−CH(CH32)ppm
FD−質量分析(M+): 970
Figure 2017145240
〔比較例23〕
ジメチルシリレンビス(4−フェニル−2−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド(メタロセン化合物(13))は、特開2001−253913号公報記載の方法によって合成した(ラセミ体純度100%)。
Figure 2017145240
〔実施例20〕
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、触媒として前記実施例18で得られたメタロセン化合物(11)2.5μmolを入れ、調製後に触媒(11)が0.5μmol/mLとなる量のトルエン、触媒(11)に対して200当量分のトリイソブチルアルミニウム(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で0.5mmol)を攪拌しながら室温で加えて、触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてヘプタン550mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=0.5M、0.75mmol)1.5mLとを装入し、次いで850回転/分で撹拌しながら1−ブテン90gを加えた後に、重合温度65℃に昇温した。更にその温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。
このオートクレーブに上記で調製した触媒液を装入し、次いで触媒(11)に対して10当量分のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(トルエン溶媒、ホウ素原子換算で25μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、評価用ポリマー80.0gを得た。重合活性は192.1Kg‐Polym/mmol‐Hf.hであり、結晶化温度(Tc)は76.6℃であり、結晶安定化後の重合体の融点は126.3℃であった。
〔実施例21〕
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、触媒として前記実施例19で得られたラセミ体のメタロセン化合物(12)2.0μmolを入れ、調製後に触媒(12)が0.5μmol/mLとなる量のトルエン、触媒(12)に対して200当量分のトリイソブチルアルミニウム(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で0.4mmol)を攪拌しながら室温で加えて、触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてヘプタン550mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=0.5M、0.75mmol)1.5mLとを装入し、次いで850回転/分で撹拌しながら1−ブテン90gを加えた後に、重合温度65℃に昇温した。更にその温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。
このオートクレーブに上記で調製した触媒液を装入し、次いで触媒(12)に対して10当量分のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(トルエン溶媒、ホウ素原子換算で20μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、評価用ポリマー47.1gを得た。重合活性は141.4Kg‐Polym/mmol‐Hf.hであり、結晶化温度(Tc)は81.6℃であり、結晶安定化後の重合体の融点は127.9℃であった。
〔比較例24〕
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、触媒として前記比較例23で得られたメタロセン化合物(13)2.5μmolを入れ、調製後に触媒(13)が0.5μmol/mLとなる量のトルエン、触媒(13)に対して200当量分のトリイソブチルアルミニウム(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で0.5mmol)を攪拌しながら室温で加えて、触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてヘプタン550mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=0.5M、0.75mmol)1.5mLとを装入し、次いで850回転/分で撹拌しながら1−ブテン90gを加えた後に、重合温度65℃に昇温した。更にその温度でオートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。
このオートクレーブに上記で調製した触媒液を装入し、次いで触媒(13)に対して10当量分のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(トルエン溶媒、ホウ素原子換算で25μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、評価用ポリマー51.1gを得た。重合活性は122.7Kg‐Polym/mmol‐Hf.hであり、結晶化温度(Tc)は75.7℃であり、結晶安定化後の重合体の融点は125.9℃であった。
〔実施例22〕
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、触媒として前記実施例18で得られたメタロセン化合物(11)1.5μmolを入れ、調製後に触媒(11)が0.5μmol/mLとなる量のトルエン、触媒(11)に対して200当量分のトリイソブチルアルミニウム(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で0.3mmol)を攪拌しながら室温で加えて、触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてヘプタン550mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=0.5M、0.75mmol)1.5mLとを装入し、次いで850回転/分で撹拌しながら1−ブテン90gを加えた後に、重合温度65℃に昇温した。更にその温度で35.5NmLの水素を加えた後、オートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。
このオートクレーブに上記で調製した触媒液を装入し、次いで触媒(11)に対して10当量分のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(トルエン溶媒、ホウ素原子換算で15μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、評価用ポリマー71.9gを得た。重合活性は215.8Kg‐Polym/mmol‐Hf.hであり、結晶化温度(Tc)は79.4℃であり、結晶安定化後の重合体の融点は125.4℃であった。
〔実施例23〕
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、触媒として前記実施例19で得られたラセミ体のメタロセン化合物(12)1.5μmolを入れ、調製後に触媒(12)が0.5μmol/mLとなる量のトルエン、触媒(12)に対して200当量分のトリイソブチルアルミニウム(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で0.3mmol)を攪拌しながら室温で加えて、触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてヘプタン550mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=0.5M、0.75mmol)1.5mLとを装入し、次いで850回転/分で撹拌しながら1−ブテン90gを加えた後に、重合温度65℃に昇温した。更にその温度で35.5NmLの水素を加えた後、オートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。
このオートクレーブに上記で調製した触媒液を装入し、次いで触媒(12)に対して10当量分のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(トルエン溶媒、ホウ素原子換算で15μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、評価用ポリマー76.1gを得た。重合活性は303.5Kg‐Polym/mmol‐Hf.hであり、結晶化温度(Tc)は75.3℃であり、結晶安定化後の重合体の融点は125.4℃であった。
〔比較例25〕
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、触媒として前記比較例23で得られたメタロセン化合物(13)2.0μmolを入れ、調製後に触媒(13)が0.5μmol/mLとなる量のトルエン、触媒(13)に対して200当量分のトリイソブチルアルミニウム(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で0.4mmol)を攪拌しながら室温で加えて、触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、重合溶媒としてヘプタン550mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al=0.5M、0.75mmol)1.5mLとを装入し、次いで850回転/分で撹拌しながら1−ブテン90gを加えた後に、重合温度65℃に昇温した。更にその温度で35.5NmLの水素を加えた後、オートクレーブ内圧が0.5MPaGになるまで窒素で加圧した。
このオートクレーブに上記で調製した触媒液を装入し、次いで触媒(13)に対して10当量分のトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(トルエン溶媒、ホウ素原子換算で20μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から10分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、評価用ポリマー64.7gを得た。重合活性は194.4Kg‐Polym/mmol‐Hf.hであり、結晶化温度(Tc)は68.9℃であり、結晶安定化後の重合体の融点は121.5℃であった。
以上の、実施例20〜23、比較例24および25の結果を[表12]にまとめた。
Figure 2017145240
比較例23に記載されている既知のメタロセン化合物(13)を用いた比較例24および25と比較し、本特許請求の範囲である実施例18および19に記載されるメタロセン化合物(11)および(12)を用いた実施例20〜23においては、極めて高い重合活性を示した。
また、得られた1−ブテン重合体の融点を比較することにより、本特許請求の範囲である実施例18および19に記載されるメタロセン化合物(11)および(12)を用いた実施例20〜23においては、比較例23に記載されている既知のメタロセン化合物(13)を用いた比較例24および25と比較し、高い立体規則性の発現が認められた。
本発明に係る特定の置換基を導入した新規な遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を使用することで、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合を行った際に、良好なオレフィン重合活性と十分な分子量のオレフィン重合体を製造可能であり、且つ、特に優れたα−オレフィン共重合性や分子量分布の狭化傾向を示す。本発明を用いれば、これらの特徴を生かした耐衝撃性、軽量性、透明性のバランスに優れたポリオレフィンを高い生産性で提供することが出来ると期待される。このため、本発明には工業的に極めて高い価値があるといえる。
また、本発明に係る特定の置換基を導入した新規な遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を使用することで、プロピレン系重合体の重合、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合、1−ブテン系重合体の重合についても、良好な重合活性で行うことができる。得られるプロピレン系重合体は、高い立体規則性で且つ分子量も高く、得られる1−ブテン系重合体は、高い立体規則性を有する。また、得られるエチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合体は、優れた芳香族ビニル化合物の転化率を有する。このため本発明の工業的価値は高い。

Claims (14)

  1. 下記一般式[1]で表される遷移金属化合物[A]。
    Figure 2017145240
    (一般式[1]中、
    Mは、周期表第4族遷移金属原子であり、
    nは、Mの価数を満たす1〜4の整数であり、
    Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、該アニオン配位子が、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基または共役ジエン系二価誘導体基であり、nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、
    Qは2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であり、
    1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R4までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよく、
    11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
    a1〜Ra4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基またはケイ素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Ra1とR11、Ra2とR12、Ra3とR13、Ra4とR14は、互いに結合して環を形成してもよく、
    b1およびRb2は下記一般式[2]で表される置換基、あるいは、窒素、酸素、硫黄から選ばれる原子を少なくとも1つ含む母骨格を5員環とする、置換基を有していてもよい複素環式芳香族基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
    1およびZ2はそれぞれ独立に、結合する炭素原子に対して、R1〜R4と同様の置換基を有していてもよい縮合環を形成する炭素数3または4の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、Z1上の置換基はR11およびR12と、Z2上の置換基はR13およびR14と、互いに結合して環を形成してもよい。)
    Figure 2017145240
    (一般式[2]中、
    Vは、窒素、酸素または硫黄から選ばれる原子であり、
    mは、Vの価数を満たす1または2の整数であり、
    cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基、ケイ素含有基、エーテル結合含有炭化水素基または3級アミノ基含有炭化水素基であり、Rb1を形成するRcはRa1およびRa2から選択される少なくとも一方と、Rb2を形成するRcはRa3およびRa4から選択される少なくとも一方とが互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、
    mが2の場合、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Rc同士互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよい。)
  2. 下記一般式[3]で表される、請求項1に記載の遷移金属化合物[A]。
    Figure 2017145240
    (一般式[3]中、M、X、n、Q、R1〜R4、R11〜R14、Ra1〜Ra4、Rb1およびRb2はそれぞれ、一般式[1]におけるM、X、n、Q、R1〜R4、R11〜R14、Ra1〜Ra4、Rb1およびRb2と同じ意味を示し、
    5〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5〜R10までの隣接した置換基、R5とR11またはR12、R8とR13またはR14は、互いに結合して環を形成してもよい。)
  3. 前記一般式[3]において、Rb1およびRb2が、前記一般式[2]で表される置換基であることを特徴とする請求項2に記載の遷移金属化合物[A]。
  4. 前記一般式[3]において、
    Mが、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、
    Xが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であり、
    Qが、2価の炭化水素基または2価のケイ素含有基であることを特徴とする請求項3に記載の遷移金属化合物[A]。
  5. 前記一般式[3]において、
    1およびR3が、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
    2およびR4が、水素原子であり、
    5〜R10が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5とR6、R8とR9が環構造を形成する場合は、飽和環であり、
    前記一般式[2]で表される置換基において、
    Vが、窒素または酸素から選ばれる原子であることを特徴とする請求項4に記載の遷移金属化合物[A]。
  6. 前記一般式[3]において、
    11〜R14が、水素原子であり、
    5〜R10が、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、
    a1〜Ra4が、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基またはケイ素含有基であり、
    前記一般式[2]で表される置換基において、
    cが、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rb1を形成するRcはRa1およびRa2から選択される少なくとも一方と、Rb2を形成するRcはRa3およびRa4から選択される少なくとも一方とが互いに結合して環構造を形成する場合は飽和環であり、
    mが2の場合、Rc同士互いに結合して環構造を形成する場合は飽和環であることを特徴とする請求項5に記載の遷移金属化合物[A]。
  7. 前記一般式[3]において、
    5〜R10が、水素原子であり、
    a1〜Ra4が、炭素数1〜10の炭化水素基であり、
    b1およびRb2が、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基あるいはピロリジニル基であることを特徴とする請求項6に記載の遷移金属化合物[A]。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の遷移金属化合物[A]を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  9. さらに、[B](B−1)有機金属化合物、
    (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B−3)遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
  10. 請求項8または9に記載のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合させる工程を含むことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  11. 前記オレフィンの重合が、エチレンの単独重合またはエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合であることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  12. 前記オレフィンの重合が、プロピレンの単独重合またはプロピレンと炭素数2以上20以下のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く)との共重合であることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  13. 前記オレフィンの重合が、エチレンと環状オレフィンと、芳香族ビニル化合物との共重合であることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  14. 前記オレフィンの重合が、1−ブテンの単独重合または1−ブテンと炭素数2以上20以下のα−オレフィン(但し、1−ブテンを除く)との共重合であることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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