以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、装置本体100とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103は、装置本体100と通信可能に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置1の構成に含まれない。
超音波プローブ101は、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ101は、複数の圧電振動子(振動素子とも呼ばれる)を有する。これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、第1の実施形態に係る超音波プローブ101は、被検体Pを2次元で走査する1Dアレイプローブであっても、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の装置に対応する。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100により生成される超音波画像データは、2次元の反射波信号に基づいて生成される2次元の超音波画像データであっても、3次元の反射波信号に基づいて生成される3次元の超音波画像データであってもよい。
装置本体100は、図1に例示するように、送受信回路110と、信号処理回路120と、画像処理回路130と、画像メモリ140と、記憶回路150と、処理回路160とを備える。送受信回路110、信号処理回路120、画像処理回路130、画像メモリ140、記憶回路150、及び処理回路160は、互いに通信可能に接続される。
送受信回路110は、後述する処理回路160の指示に基づいて、超音波プローブ101が行う超音波送受信を制御する。送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、送信超音波を形成するためのレートパルスを発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、後述する処理回路160の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、アンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、加算器、位相検波回路等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行う。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。位相検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、位相検波回路は、I信号及びQ信号(IQ信号)を後段の信号処理回路120に出力する。なお、位相検波回路による処理前のデータは、RF信号とも呼ばれる。以下では、超音波の反射波に基づいて生成された「IQ信号、RF信号」をまとめて、「反射波データ」と記載する。
なお、送受信回路110は、1回の超音波送信により得られる複数の反射波信号から複数の走査線の反射波データを生成することができる。すなわち、送受信回路110は、並列同時受信処理を行うことが可能な回路である。なお、第1の実施形態は、送受信回路110が並列同時受信処理を実行できない場合であっても適用可能である。
信号処理回路120は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して、各種の信号処理を行う信号処理部である。信号処理回路120は、バッファから読み出した反射波データ(IQ信号)に対して、対数増幅、包絡線検波処理、対数圧縮などを行って、多点の信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。なお、信号処理部120は、互いに走査条件が異なる複数回の超音波送信により得られた同一の受信走査線に関する反射波データの合成(加算、減算、またはこれらの組み合わせ)によりBモードデータを生成しても良い。ここで、走査条件は、送信する超音波の位相、ステアリング角度、超音波の送信に用いる圧電振動子のグループ(送信開口)、超音波の受信に用いる圧電振動子のグループ(受信開口)、送信周波数、受信周波数のうち少なくとも一つを含む。上記の合成は、反射波データが位相情報を有している状態と反射波データが位相情報を有していない状態のいずれの状態においても実行され得る。送信する超音波は、複数の中心周波数を含んでいても良い。
また、信号処理回路120は、反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、信号処理回路120は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。本実施形態に係る信号処理回路120は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。
上記の信号処理回路120の機能を用いて、本実施形態に係る超音波診断装置1は、カラーフローマッピング法(CFM:Color Flow Mapping)とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行われる。かかる超音波送受信により得られる同一位置からの反射波信号(反射波データ)のデータ列は、パケットと呼ばれる。パケットサイズは、1フレームの血流情報を得るために同一方向で行なわれる超音波送受信の回数となる。
そして、CFM法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。そして、CFM法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。後述する画像処理回路130は、推定結果の分布を、例えば、2次元でカラー表示した超音波画像データ(カラードプラ画像データ)を生成する。そして、ディスプレイ103は、カラードプラ画像データを表示する。なお、パケットサイズが大きい方がクラッタ信号の抑制性能は向上するが、パケットサイズを大きくすると、フレームレートは低下する。
信号処理回路120は、フィルタ行列を用いて、同一位置(同一サンプル点)の連続した反射波データのデータ列から、クラッタ成分が抑制され、血流に由来する血流信号が抽出されたデータ列を出力する。信号処理回路120は、出力したデータを用いた自己相関演算等の演算を行って、血流情報を推定し、推定した血流情報をドプラデータとして出力する。
画像処理回路130は、信号処理回路120が生成したデータから超音波画像データを生成する。画像処理回路130は、信号処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元のBモード画像データを生成する。また、画像処理回路130は、信号処理回路120が生成した2次元のドプラデータから血流情報が映像化された2次元のドプラ画像データを生成する。2次元のドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像処理回路130は、ドプラ画像データとして、血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像データを生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像データを生成したりする。なお、画像処理回路130は、画像生成部の一例である。
ここで、画像処理回路130は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、超音波画像データを生成する。具体的には、画像処理回路130は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、超音波画像データを生成する。また、画像処理回路130は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像処理回路130は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像処理回路130が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像処理回路130は、スキャンコンバート処理前の2次元の超音波画像データから、2次元の超音波画像データを生成する。
更に、画像処理回路130は、信号処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像処理回路130は、信号処理回路120が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元のドプラ画像データを生成する。
更に、画像処理回路130は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像処理回路130が行うレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像処理回路130が行うレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
画像メモリ140は、画像処理回路130が生成した超音波画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ140は、信号処理回路120が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ140が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像処理回路130を経由して超音波画像データとなる。また、画像メモリ140は、送受信回路110が出力した反射波データを記憶することも可能である。
記憶回路150は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路150は、必要に応じて、画像メモリ140が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、記憶回路150が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。また、記憶回路150は、外部装置から図示しないインターフェースを経由して転送されたデータを記憶することも可能である。
処理回路160は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路160は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路150から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、信号処理回路120、及び画像処理回路130の処理を制御する。
また、処理回路160は、画像メモリ140や記憶回路150が記憶する超音波画像データを、表示用の超音波画像としてディスプレイ103にて表示するよう制御する。例えば、処理回路160は、画像処理回路130によって生成されたカラードプラ画像データを、表示用のカラードプラ画像としてディスプレイ103に表示させる。また、例えば、処理回路160は、画像処理回路130によって生成されたBモードデータを、表示用のBモード画像としてディスプレイ103に表示させる。
また、処理回路160は、設定機能161と、演算機能162とを実行する。ここで、処理回路160の構成要素である設定機能161及び演算機能162が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路150に記録されている。処理回路160は、各プログラムを記憶回路150から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。すなわち、設定機能161は、処理回路160が設定機能161に対応するプログラムを記憶回路150から読み出し実行することで、実現される機能である。また、演算機能162は、処理回路160が演算機能162に対応するプログラムを記憶回路150から読み出し実行することで、実現される機能である。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路160は、図1の処理回路160内に示された各機能を有することとなる。設定機能161及び演算機能162が実行する各処理機能については、後述する。
また、本実施形態においては、単一の処理回路160にて、上述した各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路150に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路150にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の基本的な構成について説明した。このような構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下に説明する処理により、カラードプラ画像の表示フレームレートを向上させることを可能にする。
例えば、処理回路160は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、CFM法による超音波走査を行う。そして、処理回路160は、CFM法による超音波走査によって収集された超音波画像データに基づいて、血流像であるカラードプラ画像と組織像であるBモード画像とをディスプレイ103に表示させる。
図2は、第1の実施形態に係る処理回路160の処理により表示される表示画像の一例を示す図である。図2には、CFM法により表示される表示画像を例示する。
図2に示すように、例えば、処理回路160は、カラードプラ画像I(C)を、背景画像であるBモード画像I(B)上に重畳させてディスプレイ103に表示させる。ここで、カラードプラ画像I(C)は、例えば、関心領域内の血流の流速値及び方向に応じた色が各画素位置に割り当てられた画像であり、血流情報を有しない画素位置には背景画像であるBモード画像I(B)が表示される。カラードプラ画像I(C)として表現される流速値の範囲(以下、「流速レンジ」とも表記する)は、例えば、カラードプラモードスキャンによって識別可能な最大流速値(カラードプラ画像I(C)として表現される流速値の上限)を基準として規定される。また、カラードプラ画像I(C)に描出される色と流速値との対応関係は、スケールI(s)によって示される。図2には、最大検出流速が20[cm/sec]である場合のスケールI(s)を例示する。なお、図2では、説明の都合上、Bモード画像I(B)を単一色で例示するが、実際には組織像が描出されている。
ここで、送受信回路110は、CFM法による表示画像を表示させるために、カラードプラ画像データを収集するためのカラードプラモードスキャンと、Bモードデータを収集するためのBモードスキャンとを実行する。具体的には、送受信回路110は、図2に例示した1フレーム分の表示画像を表示させるために、関心領域のカラードプラモードスキャンと、関心領域よりも広い領域のBモードスキャンとを実行する。なお、カラードプラモードスキャンは、第1のスキャンの一例であり、Bモードスキャンは、第2のスキャンの一例である。また、送受信回路110は、送受信部の一例である。
図3及び図4は、第1の実施形態に係る送受信回路110により走査される領域について説明するための図である。図3には、カラードプラ画像データが収集される関心領域R(C)を例示する。図4には、Bモード画像データが収集される領域R(B)を例示する。なお、関心領域R(C)は、図2のカラードプラ画像I(C)の領域に対応し、領域R(B)は、図2のBモード画像I(B)の領域に対応する。
図3に示すように、送受信回路110は、例えば、1フレーム分のカラードプラ画像データを収集するために、関心領域R(C)のカラードプラモードスキャンを実行する。この関心領域R(C)は、例えば、各ビーム位置b0〜b11で送受信される12本のビーム(走査線)により構成される。具体的には、送受信回路110は、関心領域R(C)を、領域R(C0)、領域R(C1)、及び領域R(C2)の3領域に分割して走査する。各領域R(C0)〜R(C2)は、例えば、4本のビームにより構成される。
ここで、CFM法では、1フレーム分の血流情報を生成するために、同一位置における反射波データのデータ列が用いられる。このため、送受信回路110は、関心領域R(C)のカラードプラモードスキャンを繰り返し実行することにより、関心領域R(C)内の各位置(サンプル点)のデータ列を収集する。例えば、送受信回路110は、関心領域R(C)のカラードプラモードスキャンを、所定の繰り返し周期で6回実行することにより、1フレーム分のカラードプラ画像データを収集する。図3に示す例では、送受信回路110は、分割された各領域R(C0)〜R(C2)について、カラードプラモードスキャンを6回ずつ実行する。言い換えると、繰り返し周期は、第1のスキャン(カラードプラモードスキャン)を繰り返す周期に対応する。
図4に示すように、送受信回路110は、1フレーム分のBモードデータを収集するために、領域R(B)のBモードスキャンを実行する。例えば、送受信回路110は、領域R(B)を19領域に分割して走査する。具体的には、送受信回路110は、領域R(B0)、領域R(B1)、領域R(B2)、領域R(B3)、領域R(B4)、領域R(B5)、領域R(B6)、領域R(B7)、領域R(B8)、領域R(B9)、領域R(B10)、領域R(B11)、領域R(B12)、領域R(B13)、領域R(B14)、領域R(B15)、領域R(B16)、領域R(B17)、及び領域R(B99)に分割して、領域R(B)のBモードスキャンを実行する。
このように、送受信回路110は、図2に例示した1フレーム分の表示画像を表示させるために、各領域R(C0)〜R(C2)のカラードプラモードスキャンと、各領域R(B0)〜R(B99)のBモードスキャンとを実行する。なお、送受信回路110による各領域R(C0)〜R(C2)及び各領域R(B0)〜R(B99)の走査順序については、図5にて後述する。
なお、図3及び図4は、一例に過ぎない。例えば、図3及び図4では、関心領域R(C)が領域R(B)よりも狭い場合を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、関心領域R(C)及び領域R(B)の大きさ(方位方向の幅、深さ方向の深さ)は、任意に設定可能である。ただし、関心領域R(C)の大きさは、背景画像となる領域R(B)と同等、若しくは領域R(B)より狭いのが好適である。
図5は、第1の実施形態に係る送受信回路110による走査順序を説明するための図である。図5には、図3及び図4で示した各領域の走査順序を矢印により示す。なお、図5の左側にはカラードプラモードスキャンを示し、図5の右側にはBモードスキャンを示す。また、図5では、関心領域R(C)のパケットサイズが「6」である場合を例示する。なお、以下では、パケットを構成する6回分の反射波データを、受信エコーa0〜a5と表記する。
図5に示すように、例えば、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa0を収集し、受信エコーa0を収集した後に、領域R(B0)の走査を実行する。次に、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa1を収集し、受信エコーa1を収集した後に、領域R(B1)の走査を実行する。続いて、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa2を収集し、受信エコーa2を収集した後に、領域R(B2)の走査を実行する。そして、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa3を収集し、受信エコーa3を収集した後に、領域R(B3)の走査を実行する。そして、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa4を収集し、受信エコーa4を収集した後に、領域R(B4)の走査を実行する。そして、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa5を収集し、受信エコーa5を収集した後に、領域R(B5)の走査を実行する。
このように、送受信回路110は、領域R(C0)の受信エコーa0〜a5を収集するとともに、各受信エコーa0〜a5の収集後に各領域R(B0)〜R(B5)の走査を実行する。また、送受信回路110は、領域R(C1)及び領域R(C2)についても、領域R(C0)と同様に走査する。
すなわち、送受信回路110は、領域R(C1)の受信エコーa0〜a5を収集するとともに、各受信エコーa0〜a5の収集後に各領域R(B6)〜R(B11)の走査を実行する。また、送受信回路110は、領域R(C2)の受信エコーa0〜a5を収集するとともに、各受信エコーa0〜a5の収集後に各領域R(B12)〜R(B17)の走査を実行する。その後、送受信回路110は、領域R(B99)の走査を実行する。
このように、送受信回路110は、カラードプラ画像I(C)に対応する各領域の受信エコーを収集するとともに、各受信エコーの収集後にBモード画像I(B)に対応する各領域の走査を実行する。
なお、図5は、一例に過ぎない。例えば、図5では、カラードプラモードスキャンとして、領域R(C0)、領域R(C1)、領域R(C2)の順序で走査される場合を説明したが、この順序は任意に変更可能である。また、例えば、Bモードスキャンとして、領域R(B0)〜(B17)の順序で走査される場合を説明したが、この順序は任意に変更可能である。
第1の実施形態に係る処理回路160は、図5に示した走査順序で各領域の走査を送受信回路110に実行させるために、送受信回路110により実行されるスキャンの条件が規定されたスキャン条件を決定する。すなわち、処理回路160は、スキャン条件を決定し、決定したスキャン条件に基づいて、送受信回路110にCFM法によるスキャンを実行させる。以下、処理回路160がスキャン条件を決定する処理について説明する。
設定機能161は、流速レンジを設定する。例えば、設定機能161は、流速レンジの最大検出流速を設定する。なお、設定機能161は、設定部の一例である。
例えば、CFM法によるスキャン開始時に、設定機能161は、流速レンジの最大検出流速を指定するための入力を操作者から受け付ける。具体的には、操作者は、超音波診断装置1の操作パネル上のつまみやキーボードを操作することで、最大検出流速を指定するための入力を行う。そして、設定機能161は、操作者により入力された最大検出流速を用いて、流速レンジを設定する。なお、スキャン条件に応じた最大検出流速がプリセットされている場合には、設定機能161は、操作者からの入力を受け付けることなく、プリセットされた最大検出流速を設定してもよい。
また、例えば、CFM法によるスキャン中に、設定機能161は、流速レンジの最大検出流速を変更するための入力を操作者から受け付ける。そして、設定機能161は、操作者により変更された最大検出流速を用いて、流速レンジを変更(再設定)する。
演算機能162は、カラードプラモードスキャンの繰り返し周期、及び、カラードプラモードスキャンの所要時間に基づいて、カラードプラモードスキャンの待機時間を算出する。そして、演算機能162は、算出した待機時間において、Bモードスキャンを送受信回路110に実行させる。すなわち、送受信回路110は、演算機能162が算出した待機時間において、Bモードスキャンを実行する。なお、演算機能162は、演算部の一例である。
図6は、第1の実施形態に係る演算機能162による待機時間の算出処理を説明するための図である。図6において、縦軸は時間に対応し、横軸はカラードプラモードスキャンのビーム位置に対応する。なお、図6では、説明の都合上、並列同時受信を行わない場合を例示する。また、図6では、カラードプラモードスキャンの関心領域R(C)内に配置されるビーム本数が12本(ビーム位置b0〜b11)である場合を例示する。
ここで、音響PRF(Pulse Repetition Frequency)は、あるビームが送信されてから次のビームが送信されるまでの期間(時間)の逆数に対応する。つまり、音響PRFの逆数「f−Inv」は、例えば、領域R(C0)の受信エコーa0において、ビーム位置b0の送受信が実行されてからビーム位置b1の送受信が実行されるまでの時間に対応するので、各ビームの送受信にかかる送受信時間に対応すると言える。なお、音響PRFは、例えば関心領域R(C)の下端の位置(深さ)と、流速レンジと、超音波の受信周波数とのうちの少なくとも一つに基づいて決定される。
図6に示すように、演算機能162は、カラードプラモードスキャンの繰り返し周期Tを算出する。ここで、繰り返し周期Tは、あるビーム位置の送受信が繰り返し実行される期間(時間)に対応する。つまり、繰り返し周期Tは、例えば、受信エコーa0のビーム位置b0の送受信が実行されてから、受信エコーa1のビーム位置b0の送受信が実行されるまでの時間に対応する。この繰り返し周期Tは、最大検出流速が高流速であれば小さくなり、低流速であれば大きくなる。このため、演算機能162は、設定機能161によって設定された流速レンジの最大検出流速に基づいて、繰り返し周期Tを算出する。なお、繰り返し周期Tは、領域R(C)のパケットを構成する各受信エコーa0〜a5において同一の値となる。
次に、演算機能162は、繰り返し周期Tと音響PRFとに基づいて、交互スキャンの交互段数を算出する。ここで、交互スキャンとは、CFM法により同一位置のデータ列を収集する際に、同一のビーム位置を連続して送受信するのではなく、複数のビーム位置を1つの組とし、この組に含まれる複数のビーム位置を順番に送受信する方式である。図6に示す例では、例えば、4つのビーム位置b0〜b3を1つの組として、受信エコーa0に対応するビーム位置b0,b1,b2,b3の送受信を順番に実行した後に、受信エコーa1に対応するビーム位置b0,b1,b2,b3の送受信を順番に実行する。この交互スキャンにおいて、各受信エコーに含まれるビーム位置の数が交互段数と呼ばれる。つまり、交互段数は、各領域R(C0)〜R(C2)に含まれるビーム本数に対応する。図6に示す例では、演算機能162によって交互段数「4」が算出された場合を例示する。
続いて、演算機能162は、カラードプラモードスキャンの関心領域R(C)の分割数を算出する。例えば、演算機能162は、関心領域R(C)のビーム本数を交互段数で除算することで、関心領域R(C)の分割数を算出する。ここで、余りが生じる場合には、演算機能162は、余りを繰り上げることで、関心領域R(C)の分割数を算出する。図6に示す例では、演算機能162は、関心領域R(C)のビーム本数「12本」を交互段数「4」で除算することで、関心領域R(C)の分割数「3」を算出する。
そして、演算機能162は、領域R(C0)の受信エコーa0の収集に要する所要時間tを算出する。ここで、領域R(C0)の受信エコーa0に含まれるビーム本数は「4本」である。各ビームの送受信にかかる時間は音響PRFの逆数「f−Inv」に対応するので、演算機能162は、音響PRFの逆数「f−Inv」とビーム本数「4本」とを乗算することにより、所要時間tを算出する。なお、所要時間tは、各受信エコーa0〜a5で収集されるビーム本数が同一であれば、同一の値となる。言い換えると、所要時間tは、複数の走査線(ビーム)を走査するために最低限必要な時間に対応する。
そして、演算機能162は、繰り返し周期Tと所要時間tとに基づいて、待機時間Δtを算出する。ここで、待機時間Δtは、パケットの最後のビームの送受信が完了してから、次のパケットの最初のビームの送受信が開始されるまでの間の時間に対応する。つまり、待機時間Δtは、例えば、受信エコーa0のビーム位置b3の送受信が実行されてから、受信エコーa1のビーム位置b0の送受信が実行されるまでの時間に対応する。このため、演算機能162は、繰り返し周期Tから所要時間tを減算することで、待機時間Δtを算出する。言い換えると、待機時間Δtは、先立つ第1のスキャン(カラードプラモードスキャン)が終了してから次の第1のスキャンが開始するまでの時間に対応する。また、繰り返し周期Tは、所要時間tと待機時間Δtを含む。また、待機時間Δtは、繰り返し周期Tと所要時間tの間の差分により取得される。
このように、演算機能162は、待機時間Δtを算出する。そして、演算機能162は、算出した待機時間Δtで送受信可能なBモードスキャンのビーム本数を算出する。例えば、演算機能162は、算出した待機時間Δtと、Bモードスキャンの領域R(B)の下端までの送受信に要する時間とに基づいて、待機時間Δt内に送受信可能なBモードスキャンのビーム本数を算出する。
そして、演算機能162は、算出した各種パラメータに基づいて、スキャン条件を決定する。具体的には、演算機能162は、算出した各受信エコーの待機時間Δtに対して、算出したビーム本数のBモードスキャンを順次割り当てることで、各受信エコーの後に走査されるBモードの領域R(B0)〜R(B17)を決定する。
このように、演算機能162は、カラードプラモードスキャン及びBモードスキャンの各領域の走査順序を決定する。演算機能162は、決定した走査順序で各領域を走査するように、スキャン条件を設定する。そして、演算機能162は、設定したスキャン条件に基づいて、送受信回路110に超音波走査を実行させる。これにより、例えば、送受信回路110は、図5に示した走査順序でカラードプラモードスキャン及びBモードスキャンの各領域の走査を実行する。
なお、図6は、一例に過ぎない。例えば、図6では、関心領域R(C)の分割数の算出において、余りが生じない場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。なお、余りが生じる場合の処理については、第1の実施形態の変形例1として後述する。
また、例えば、上記の説明では、スキャン条件が設定されるごとに、演算機能162が待機時間を算出する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、演算機能162は、必ずしも待機時間を算出しなくてもよい。例えば、演算機能162は、予め算出された待機時間を取得してもよい。一例としては、演算機能162は、特定のスキャン条件に応じて予め算出された待機時間が記憶されたテーブルから、待機時間を取得しても良い。具体例を挙げると、撮像部位ごとにスキャン条件(上述した繰り返し周期や所要時間を含む)が予め設定される場合には、演算機能162は、各撮像部位のスキャン条件に応じて待機時間を予め算出し、算出した待機時間を撮像部位ごとに対応づけてテーブルに記憶させる。そして、演算機能162は、スキャン対象となる撮像部位が指定されると、指定された撮像部位に対応する待機時間をテーブルから読み出す。そして、例えば、演算機能162は、読み出した待機時間を用いて、カラードプラモードスキャン及びBモードスキャンの各領域の走査順序を決定する。言い換えると、演算機能162は、待機時間を取得する取得部として機能する。
図7は、第1の実施形態に係る処理回路160の処理手順を示すフローチャートである。図7に示す処理手順は、例えば、設定機能161が流速レンジを設定した場合に開始される。
ステップS101において、設定機能161が流速レンジを設定したか否かを判定する。ここで、設定機能161が流速レンジを設定すると(ステップS101肯定)、処理回路160は、ステップS102以降の処理を開始する。なお、ステップS101が否定される場合には、ステップS102以降の処理は開始されず、処理回路160の各処理機能は待機状態である。
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、演算機能162は、音響PRFを算出する。例えば、演算機能162は、カラードプラモードスキャンの関心領域R(C)の下端の位置(深さ)と、超音波の受信周波数とに基づいて、音響PRFを算出する。
ステップS103において、演算機能162は、カラードプラモードスキャンの繰り返し周期Tを算出する。例えば、演算機能162は、設定機能161によって設定された流速レンジの最大検出流速に基づいて、繰り返し周期Tを算出する。
ステップS104において、演算機能162は、交互スキャンの交互段数を算出する。ここで、交互段数は、各領域R(C0)〜R(C2)に含まれるビーム本数に対応する。例えば、演算機能162は、繰り返し周期Tと音響PRFとに基づいて、交互スキャンの交互段数を算出する。
ステップS105において、演算機能162は、カラードプラモードスキャンの関心領域R(C)の分割数を算出する。例えば、演算機能162は、関心領域R(C)のビーム本数を交互段数で除算することで、関心領域R(C)の分割数を算出する。
ステップS106において、演算機能162は、パケットを構成する各受信エコーの収集に要する所要時間tを算出する。例えば、演算機能162は、音響PRFの逆数「f−Inv」と交互段数(ビーム本数)とを乗算することにより、所要時間tを算出する。
ステップS107において、演算機能162は、繰り返し周期Tと所要時間tとに基づいて、待機時間Δtを算出する。例えば、演算機能162は、繰り返し周期Tから所要時間tを減算することで、待機時間Δtを算出する。
ステップS108において、演算機能162は、待機時間Δtで送受信可能なBモードスキャンのビーム本数を算出する。例えば、演算機能162は、算出した待機時間Δtと、Bモードスキャンの領域R(B)の下端までの送受信に要する時間とに基づいて、待機時間Δt内に送受信可能なBモードスキャンのビーム本数を算出する。
ステップS109において、演算機能162は、算出した各種パラメータに基づいて、スキャン条件を決定する。例えば、演算機能162は、算出した各受信エコーの待機時間Δtに対して、算出したビーム本数のBモードスキャンを順次割り当てることで、各受信エコーの後に走査されるBモードの領域R(B0)〜R(B17)を決定する。そして、
演算機能162は、決定した走査順序で各領域を走査するように、スキャン条件を設定する。この結果、送受信回路110は、スキャン条件に設定された走査順序でカラードプラモードスキャン及びBモードスキャンの各領域の走査を実行する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、送受信回路110は、カラードプラモードスキャンを繰り返し実行する。画像処理回路130は、カラードプラモードスキャンにより収集された反射波データ(受信エコー)に基づいて、カラードプラ画像I(C)を生成する。演算機能162は、カラードプラモードスキャンの繰り返し周期T、及び、カラードプラモードスキャンの所要時間tとに基づいて、カラードプラモードスキャンの待機時間Δtを算出する。送受信回路110は、演算機能162が算出した待機時間Δtにおいて、Bモードスキャンを実行する。このため、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、カラードプラ画像I(C)を高フレームレートで表示することができる。
例えば、CFM法において、低流速の血流を観察する場合には、操作者は、流速レンジの最大検出流速を低流速に設定する。この場合、低流速での血流情報の画像化を実現するには、繰り返し周期Tが大きくなるため、従来のCFM法ではフレームレートが低下していた。これに対して、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、繰り返し周期Tが大きくなることにより生じた待機時間Δtの間に、Bモードスキャンを実行する。このため、超音波診断装置1は、例えば、カラードプラ画像を低流速で表示する場合にも、フレームレートの低下を抑制することが可能となる。
また、例えば、パケットを一時的に格納するメモリ容量に限界があるため、交互スキャンの交互段数を下げざるを得ない場合があった。この場合、同じ関心領域R(C)のスキャンを行うためには、領域の分割数を上げることとなるため、従来のCFM法ではフレームレートが低下していた。これに対して、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、交互段数の低下に伴う所要時間tの低下により生じた待機時間Δtの間に、Bモードスキャンを実行する。このため、超音波診断装置1は、例えば、メモリ容量が制限される場合においても、フレームレートを向上させることが可能となる。したがって、超音波診断装置1は、超音波画像の視認性を向上させることができる。
また、例えば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、カラードプラモードスキャン及びBモードスキャンを、同一のフレームレートで実行する。このため、超音波診断装置1は、カラードプラモードスキャン及びBモードスキャンのスキャン条件を適宜設定することができるので、スキャン条件の自由度を高めることができる。
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態では、関心領域R(C)の分割数の算出において、余りが生じない場合を説明したが、余りが生じる場合もある。そこで、分割数の算出において余りが生じる場合の処理について説明する。
図8は、第1の実施形態の変形例1に係る送受信回路110により走査される領域について説明するための図である。図8には、カラードプラ画像データが収集される関心領域R(C)を例示する。ここで、図8に示す関心領域R(C)は、各ビーム位置b0〜b9で送受信される10本のビーム(走査線)により構成される。
図9は、第1の実施形態の変形例1に係る演算機能162による待機時間の算出処理を説明するための図である。図9において、縦軸は時間に対応し、横軸はカラードプラモードスキャンのビーム位置に対応する。なお、図9では、説明の都合上、並列同時受信を行わない場合を例示する。また、図9では、図8に示した関心領域R(C)における待機時間の算出処理を説明する。なお、図9において、音響PRF、繰り返し周期T、及び交互段数を算出する処理は、図6の説明と同様である。
図9に示すように、演算機能162は、関心領域R(C)のビーム本数「10本」を交互段数「4」で除算することで、「2.5」を算出する。ここで、演算機能162は、余り(小数点以下の数)が生じる場合には、余りを繰り上げることにより、関心領域R(C)の分割数「3」を算出する。
ここで、余りが生じる場合には、領域R(C0)及び領域R(C1)に含まれるビーム本数は「4本」であるが、領域R(C2)に含まれるビーム本数は「2本」である。この場合、領域R(C0)及び領域R(C1)については、所要時間t及び待機時間Δtは図6の場合と同様に算出可能である。
一方、領域R(C2)において算出される所要時間t’は、所要時間tより短い値となる。具体的には、演算機能162は、音響PRFの逆数「f−Inv」とビーム本数「2本」とを乗算することにより、所要時間t’を算出する。
このように、領域R(C2)については、所要時間t’が所要時間tより短くなる一方で、繰り返し周期Tは領域R(C0)及び領域R(C1)の場合と同じである。つまり、領域R(C2)における待機時間Δt’は、待機時間Δtよりも長くなる。具体的には、演算機能162は、繰り返し周期Tから所要時間t’を減算することで、待機時間Δt’を算出する。
そして、演算機能162は、算出した待機時間Δt’で送受信可能なBモードスキャンのビーム本数を算出する。このビーム本数は、待機時間Δtで送受信可能なビーム本数よりも増加するため、より広い領域を走査可能となる。図9に示す例では、待機時間Δt’で走査される領域R(B12)及び領域R(B13)は、待機時間Δtで走査される領域R(B11)よりも拡大することが可能となる。
このように、関心領域R(C)の分割数の算出において、余りが生じる場合には、他の領域より交互段数が少ない領域が存在する。この場合、交互段数が少ない領域では、待機時間Δt’が長くなる結果、待機時間Δt’で走査されるBモードスキャンの領域を拡大することが可能となる。
(第1の実施形態の変形例2)
第1の実施形態では、カラードプラモードスキャンの間に生じる全ての待機時間Δtでは走査しきれない場合を説明したが、全ての待機時間Δt内にBモードスキャンが完了する場合もある。このような場合には、必ずしもBモードスキャンの領域R(B99)が存在するとは限らない。
図10は、第1の実施形態の変形例2に係る送受信回路110により走査される領域について説明するための図である。図10には、Bモード画像データが収集される領域R(B)を例示する。
図10に示すように、送受信回路110は、1フレーム分のBモードデータを収集するために、領域R(B)のBモードスキャンを実行する。例えば、送受信回路110は、領域R(B)を17領域に分割して走査する。具体的には、送受信回路110は、領域R(B0)、領域R(B1)、領域R(B2)、領域R(B3)、領域R(B4)、領域R(B5)、領域R(B6)、領域R(B7)、領域R(B8)、領域R(B9)、領域R(B10)、領域R(B11)、領域R(B12)、領域R(B13)、領域R(B14)、領域R(B15)、及び領域R(B16)に分割して、領域R(B)のBモードスキャンを実行する。
このように、送受信回路110は、図2に例示した1フレーム分の表示画像を表示させるために、各領域R(C0)〜R(C2)のカラードプラモードスキャンと、各領域R(B0)〜R(B16)のBモードスキャンとを実行する。言い換えると、演算機能162は、Bモードスキャンに要する時間がカラードプラモードスキャンの全ての待機時間よりも小さい場合には、その待機時間内にBモードスキャンが実行されない時間を設定する。
(第2の実施形態)
上記の実施形態では、フレームレートを向上させることにより超音波画像の視認性を向上させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波画像の画質を向上させることにより超音波画像の視認性を向上させる場合であってもよい。そこで、第2の実施形態では、超音波画像の画質を向上させることにより超音波画像の視認性を向上させる場合を説明する。
図11は、第2の実施形態に係る超音波診断装置2の構成例を示すブロック図である。図11に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置2は、超音波プローブ201と、入力装置202と、ディスプレイ203と、装置本体200とを有する。超音波プローブ201、入力装置202、及びディスプレイ203は、装置本体200と通信可能に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置2の構成に含まれない。
ここで、超音波プローブ201、入力装置202、及びディスプレイ203は、図1に示した超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
装置本体200は、超音波プローブ201が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。装置本体200は、図11に例示するように、送受信回路210と、信号処理回路220と、画像処理回路230と、画像メモリ240と、記憶回路250と、処理回路260とを備える。送受信回路210、信号処理回路220、画像処理回路230、画像メモリ240、記憶回路250、及び処理回路260は、互いに通信可能に接続される。
ここで、送受信回路210、信号処理回路220、画像処理回路230、画像メモリ240、及び記憶回路250は、図1に示した送受信回路110、信号処理回路120、画像処理回路130、画像メモリ140、及び記憶回路150とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
処理回路260は、図1に示した処理回路160と同様に、超音波診断装置2の処理全体を制御する。例えば、処理回路260は、入力装置202を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路250から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路210、信号処理回路220、及び画像処理回路230の処理を制御する。また、例えば、処理回路260は、画像メモリ240や記憶回路250が記憶する超音波画像データを、表示用の超音波画像としてディスプレイ203にて表示するよう制御する。例えば、処理回路260は、画像処理回路230によって生成されたカラードプラ画像データを、表示用のカラードプラ画像としてディスプレイ203に表示させる。また、例えば、処理回路260は、画像処理回路230によって生成されたBモードデータを、表示用のBモード画像としてディスプレイ203に表示させる。
第2の実施形態に係る処理回路260は、制御機能261を実行する。ここで、処理回路260の構成要素である制御機能261が実行する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路250に記録されている。処理回路260は、各プログラムを記憶回路250から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。なお、ここで言う「プロセッサ」という文言は、第1の実施形態にて説明した「プロセッサ」と同義である。
第2の実施形態に係る制御機能261は、先立つスキャンが終了してから次のスキャンが開始するまでの時間に対応する待機時間の長さに応じたエネルギーの超音波でスキャンが実行されるように、送受信回路210を制御する。また、制御機能261は、待機時間に、振動素子を含む超音波プローブ201に含まれる電子回路に供給される電力を低減させる。
例えば、制御機能261は、スキャンを実行しない時間を待機時間として設定し、設定した待機時間の長さに応じたエネルギーの超音波でスキャンを実行させる。また、例えば、制御機能261は、待機時間に、スキャンを行う超音波プローブ201に含まれる電子回路に供給される電力を低減させる。
図12A及び図12Bは、第2の実施形態に係る制御機能261の処理を説明するための図である。図12Aには、制御機能261の処理により実行されるスキャンのタイミングチャートを例示する。また、図12Bには、制御機能261の処理が適用されない場合のタイミングチャートを例示する。なお、図12A及び図12Bでは、スキャンの一例として、Bモードスキャンが実行される場合を説明する。
図12Aに示すように、例えば、制御機能261は、各フレームのスキャンの間に、スキャンを実行しない待機時間をそれぞれ設定する。図12Aに示す例では、制御機能261は、N−1フレーム目のスキャンとNフレーム目のスキャンとの間に、待機時間を設定する。また、制御機能261は、Nフレーム目のスキャンとN+1フレーム目のスキャンとの間に、待機時間を設定する。また、制御機能261は、N+1フレーム目のスキャンとN+2フレーム目のスキャン(図示せず)との間に、待機時間を設定する。
ここで、各フレームのスキャンに要する所要時間が「Ts」秒であり、待機時間が「Tw」秒である場合には、各フレームの時間間隔(フレームレートの逆数に相当)は「Tf=Ts+Tw」となる。
そして、制御機能261は、設定した待機時間の長さに応じたエネルギーの超音波で、各フレームのスキャンを実行させる制御((以下、「エネルギー制御」と表記)を行う。例えば、所要時間「Ts」の100%に相当する時間が待機時間「Tw」として設定された場合には、待機時間は「Tw=Ts」となり、各フレームの時間間隔は「Tf=2×Ts」となる。つまり、待機時間を設定しない場合(図12Bの場合)と比較して各フレームの時間間隔が2倍となる。この場合、制御機能261は、待機時間を設定しない場合と比較して、各フレームのスキャンにて送信される超音波のエネルギーを2倍に設定する。具体的には、制御機能261は、各スキャンにおいて各振動素子から送信される超音波の音圧(駆動電圧)を2倍に設定する。なお、図12Bでは、待機時間が設定されないので、各フレームの時間間隔「Tf」は、所要時間「Ts」と等しい(Tf=Ts)。
このように、制御機能261は、スキャンを実行しない待機時間「Tw」を設定することで、待機時間に応じて増大されたエネルギーの超音波でスキャンが実行されるように、送受信回路210を制御する。これにより、制御機能261は、各スキャンにより得られる超音波画像の画質を向上させることが可能となる。したがって、超音波診断装置2は、超音波画像の視認性を向上させることができる。
また、制御機能261は、待機時間に、超音波プローブ201に含まれる電子回路に供給される電力を低減させる制御(以下、「電力制御」と表記)を行う。具体的には、制御機能261は、Nフレーム目のスキャンが終了した時点で、超音波プローブ201に含まれる電子回路に供給される電力を停止させる。そして、制御機能261は、N+1フレーム目のスキャンが開始される時点で、超音波プローブ201に含まれる電子回路に供給される電力を再開させる。
このように、制御機能261は、待機時間の間、超音波プローブ201内の電子回路に供給される電力を完全に断つ。これにより、制御機能261は、待機時間の間の温度上昇を抑えることにより、冷却効果を得ることができる。なお、この冷却効果は、例えば、2Dアレイプローブのように超音波プローブ201内に含まれる電子回路が多いほど効果的である。
なお、図12A及び図12Bはあくまで一例であり、上記の説明に限定されるものではない。例えば、図12Aの例では、超音波のエネルギーを2倍に設定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。図12Aの場合には、超音波のエネルギーは2倍までの任意の倍率に設定可能である。つまり、この場合、超音波のエネルギーは、例えば、1.8倍に設定されても良い。
また、例えば、図12Aでは、所要時間「Ts」の100%に相当する時間が待機時間「Tw」として設定される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。つまり、制御機能261は、待機時間「Tw」と超音波のエネルギーを任意に設定可能である。例えば、制御機能261は、所要時間「Ts」の50%に相当する時間を待機時間「Tw」として設定する場合には、超音波のエネルギーを1.5倍までの任意の倍率に設定可能である。また、設定される待機時間「Tw」の値によっては、制御機能261は、超音波のエネルギーを2倍以上の倍率(例えば、3倍、4倍など)に設定することも可能である。例えば、電子回路での発熱が超音波プローブ201の発熱の90%を占め(例えば電子回路で発熱9℃上昇)、音響的な振動子からの発熱が10%(例えば、音響的な発熱で1℃上昇)であった場合には、停止時間が2倍であれば、電子回路の温度が9℃から4.5℃に下がる。この場合、4.5℃の余裕が生じるので、音響的な発熱を1℃から+4.5℃、つまり4.5倍の音響パワーで送信することも可能である。
また、例えば、図12Aでは、超音波の音圧を増大させることで、超音波のエネルギーを増大させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能261は、超音波の音圧以外にも、超音波の周波数や超音波の送信開口(開口幅)を増大させることで超音波のエネルギーを増大させてもよい。図12Aの例では、超音波の周波数を2倍に設定しても良いし、送信開口を2倍に設定しても良い。また、制御機能261は、超音波の音圧、周波数、及び送信開口を適宜組み合わせて増大させることで、超音波のエネルギーを増大させてもよい。図12Aの例では、制御機能261は、超音波の音圧、周波数、及び送信開口それぞれを増大させて、これらを合計したエネルギーが待機時間に応じた倍率となるように設定しても良い。
また、例えば、図12Aでは、待機時間「Tw」における超音波プローブ201への電力供給を完全に断つことで、電子回路の温度上昇を抑える場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能261は、必ずしも超音波プローブ201への電力供給を完全に断たなくてもよい。つまり、制御機能261は、超音波プローブ201への電力供給を低減させることにより、低減させた電力に応じて発熱を抑制する場合であってもよい。
また、例えば、図12Aでは、スキャンの一例として、Bモードスキャンが実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、送受信回路210が実行するスキャンは、Bモードスキャンに限らず、カラードプラモードスキャンなどの他の種類のスキャンであってもよい。また、送受信回路210が実行するスキャンは、単一の種類のスキャンに限らず、例えば、複数の種類のスキャンを組み合わせたスキャンであってもよい。複数の種類のスキャンを組み合わせたスキャンとしては、例えば、第1の実施形態にて説明したように、カラードプラモードスキャンとBモードスキャンとを組み合わせたスキャンが挙げられる。
また、例えば、図12Aでは、制御機能261が、エネルギー制御及び電力制御の2つの制御を実行する場合を説明したが、必ずしも2つの制御は同時に実行されなくてもよい。つまり、制御機能261は、エネルギー制御と電力制御のうち、いずれか一方のみを実行する場合であってもよい。
すなわち、エネルギー制御を行う場合には、超音波診断装置2は、送受信回路210と、画像処理回路230と、制御機能261とを有する。送受信回路210は、被検体Pに対するスキャンを、繰り返し実行する。画像処理回路230は、スキャンにより収集した反射波データに基づいて、超音波画像を生成する。制御機能261は、先立つスキャンが終了してから次のスキャンが開始するまでの時間に対応する待機時間の長さに応じたエネルギーの超音波でスキャンが実行されるように、送受信回路210を制御する。
また、電力制御を行う場合には、超音波診断装置2は、送受信回路210と、画像処理回路230と、制御機能261とを有する。送受信回路210は、被検体Pに対するスキャンを、振動素子を介して、繰り返し実行する。画像処理回路230は、スキャンにより収集した反射波データに基づいて、超音波画像を生成する。制御機能261は、先立つスキャンが終了してから次のスキャンが開始するまでの時間に対応する待機時間に、振動素子を含む超音波プローブ201に含まれる電子回路に供給される電力を低減させる。
(第2の実施形態の変形例)
上述した第2の実施形態では、制御機能261が待機時間を設定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1の実施形態にて説明したカラードプラモードスキャンの待機時間Δtを用いて、制御機能261の制御を実行してもよい。
図13は、第2の実施形態の変形例に係る超音波診断装置2の構成例を示すブロック図である。第2の実施形態の変形例に係る超音波診断装置2は、図11に例示した超音波診断装置2と同様の構成を備え、処理回路260が設定機能262及び演算機能263を更に備える点が相違する。なお、設定機能262及び演算機能263は、図1に例示下設定機能161及び演算機能162とそれぞれ同様の機能を有するので、説明を省略する。
図14は、第2の実施形態の変形例に係る制御機能261の処理を説明するための図である。図14には、図3及び図4に例示した領域がスキャンされる際のタイミングチャートを例示する。なお、図14の上段には、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理が適用されない場合を例示する。また、図14の下段には、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理が適用される場合を例示する。なお、図14の下段のスキャン順序は、図5及び図6のスキャン順序に対応する。
図14の上段に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理が適用されない場合には、送受信回路210は、各フレームにおいて、図3及び図4の各領域を次の順序でスキャンする。つまり、各フレームにおいて、送受信回路210は、領域R(C0)のカラードプラモードスキャンを実行した後に、領域R(B0)〜R(B5)のBモードスキャンを順に実行する。続いて、送受信回路210は、領域R(C1)のカラードプラモードスキャンを実行した後に、領域R(B6)〜R(B11)のBモードスキャンを順に実行する。そして、送受信回路210は、領域R(C2)のカラードプラモードスキャンを実行した後に、領域R(B12)〜R(B17)のBモードスキャンを順に実行する。その後、送受信回路210は、領域R(B99)のBモードスキャンを実行する。
図14の下段に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理が適用される場合には、送受信回路210は、各フレームにおいて、各領域を図示の順序でスキャンする。つまり、各フレームにおいて、送受信回路210は、領域R(C0)のカラードプラモードスキャンを実行する間に、カラードプラモードスキャンの待機時間Δtを用いて領域R(B0)〜R(B5)のBモードスキャンをそれぞれ実行する。続いて、送受信回路210は、領域R(C1)のカラードプラモードスキャンを実行する間に、カラードプラモードスキャンの待機時間Δtを用いて領域R(B6)〜R(B11)のBモードスキャンをそれぞれ実行する。そして、送受信回路210は、領域R(C2)のカラードプラモードスキャンを実行する間に、カラードプラモードスキャンの待機時間Δtを用いて領域R(B12)〜R(B17)のBモードスキャンを実行する。その後、送受信回路210は、領域R(B99)のBモードスキャンを実行する。
図14の下段において、各フレームの時間間隔「Tf」を図14の上段の時間間隔「Tf」と同一とした場合には、待機時間Δtを用いてBモードスキャンを実行することで待機時間「Tw」が生じる。
そこで、制御機能261は、図14の待機時間「Tw」の長さに応じたエネルギーの超音波で、各フレームのスキャンを実行させる。例えば、待機時間「Tw」が所要時間「Ts」の30%に相当する場合には、制御機能261は、各フレームのスキャンにて送信される超音波のエネルギーを1.3倍に設定する。これにより、制御機能261は、フレームレートを低下させること無く、各スキャンにより得られる超音波画像の画質を向上させることが可能となる。
なお、図14にて説明した待機時間「Tw」は、任意に変更可能である。例えば、図14の待機時間「Tw」を延長することで各超音波画像の画質を更に向上させてもよいし、短縮することでフレームレートを向上させてもよい。
なお、図14では、待機時間「Tw」を用いてエネルギー制御を行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。つまり、制御機能261は、第2の実施形態において説明したように、エネルギー制御及び電力制御のうち、少なくとも一方を実行可能である。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
上記の実施形態では、カラードプラモードスキャン(第1のスキャン)の待機時間の間に種類が異なるスキャンであるBモードスキャン(第2のスキャン)が実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、送受信回路110は、カラードプラモードスキャンの待機時間の間に種類が異なるスキャンとして、PWD(Pulsed Wave Doppler)法によるスキャンを実行してもよい。また、例えば、送受信回路110は、カラードプラモードスキャンの待機時間の間に、空間的位置が異なるカラードプラモードスキャンを実行してもよい。すなわち、送受信回路110は、第1のスキャンの待機時間の間に実行される第2のスキャンとして、第1のスキャンと種類が同じであり空間的位置が異なるスキャン、第1のスキャンと種類が異なり空間的位置が同じであるスキャン、及び、第1のスキャンと種類が異なり空間的位置が異なるスキャンのうちいずれかを実行する。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1の実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、第1の実施形態及び変形例で説明した超音波イメージング方法は、予め用意された超音波イメージングプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、超音波画像の視認性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。