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JP2017135187A - 非水系リチウム型蓄電素子用の負極、及びそれを用いた非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents

非水系リチウム型蓄電素子用の負極、及びそれを用いた非水系リチウム型蓄電素子 Download PDF

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JP2017135187A JP2016012299A JP2016012299A JP2017135187A JP 2017135187 A JP2017135187 A JP 2017135187A JP 2016012299 A JP2016012299 A JP 2016012299A JP 2016012299 A JP2016012299 A JP 2016012299A JP 2017135187 A JP2017135187 A JP 2017135187A
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武司 上城
Takeshi Kamijo
武司 上城
森田 均
Hitoshi Morita
均 森田
啓太 楠坂
Keita Kusuzaka
啓太 楠坂
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】低温においても高い入出力特性を示す非水系リチウム型蓄電素子用の負極を提供すること。【解決手段】負極集電体と、該負極集電体の片面又は両面にリチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む負極活物質層とを有する。前記負極活物質は1次粒子径が0.005μm以上5μm以下の炭素材料である。前記負極集電体は、前記負極活物質層との接触面の少なくとも一部に凹部及び凸部から選択される形状を有する非平滑領域を含む。前記非平滑領域中の前記凹部及び凸部から選択される形状の頂点を10個以上含む直線について測定された十点平均粗さRzjisが、5μm以上100μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、非水系リチウム型蓄電素子用の負極、及びそれを用いた非水系リチウム型蓄電素子に関する。
近年、地球環境の保全及び省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システム等が注目を集めている。
これらの蓄電システムにおける第一の要求事項は、用いられる蓄電素子のエネルギー密度が高いことである。このような要求に対応可能な、エネルギー密度が高い蓄電素子の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、入出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、又は燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高い入出力特性が要求されている。
現在、高出力蓄電素子としては、電気二重層キャパシタ、ニッケル水素電池等が開発されている。
電気二重層キャパシタのうち、電極に活性炭を用いたものは、0.5〜1kW/L程度の入出力特性を有する。この電気二重層キャパシタは、耐久性(特に、サイクル特性及び高温保存特性)も高く、上記高出力が要求される分野における最適の蓄電素子と考えられてきた。しかしその実用化には、エネルギー密度が1〜5Wh/L程度と低いこと、及び出力持続時間が短いことが足枷となっている。
一方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を実現し、かつ、160Wh/L程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度及び入出力特性をより一層高めるとともに、高温における安定性を更に改善し、耐久性を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(すなわち、素子の放電容量の何%を放電した状態かを表す値)50%において3kW/Lを超える高い入出力特性が得られるリチウムイオン電池が開発されている。しかし、そのエネルギー密度は、100Wh/L以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高いエネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(特に、サイクル特性及び高温保存特性)は、電気二重層キャパシタに比べ劣る。そのため、リチウムイオン電池は、実用的な耐久性を持たせるためには放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲でしか使用することができない。実際に使用できる容量は更に小さくなるから、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記のように高い入出力特性、エネルギー密度、及び耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められているが、上述した既存の蓄電素子には一長一短がある。そのため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められており、有力な候補としてリチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子の開発が近年盛んである。
リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオンを含有する電解質を含む非水系電解液を使用する蓄電素子(すなわち、非水系リチウム型蓄電素子)の一種であって、
正極においては電気二重層キャパシタと同様の、陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、
負極においてはリチウムイオン電池と同様の、リチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応
によって充放電を行う蓄電素子である。
正極・負極の双方において非ファラデー反応による充放電を行う電気二重層キャパシタにおいては、上述のように入出力特性に優れるがエネルギー密度が小さい。他方、正極・負極の双方においてファラデー反応による充放電を行う二次電池であるリチウムイオン電池においては、エネルギー密度に優れるが、入出力特性に劣る。リチウムイオンキャパシタは、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応による充放電を行うことによって、優れた入出力特性と高いエネルギー密度との両立を狙う新たな蓄電素子である。
リチウムイオンキャパシタの例として、特許文献1には正極活物質に活性炭、負極活物質として複合多孔性材料を用いることにより、高い出力特性とエネルギー密度とを兼ね備えた非水系リチウム型蓄電素子が提案されている。
リチウムイオンキャパシタの用途としては、例えば、鉄道、建機、自動車用の蓄電素子等が挙げられる。これらの用途では、広い温度範囲、特に低温において高い入出力特性を示すことが求められる。しかし、低温においては、抵抗の急激な増加による入出力特性の低下が課題であった。
国際公開第2014/088074号 特開2001−85016号公報 特開2011−222258号公報 特開2013−80780号公報
低温において蓄電素子の抵抗が増加する要因としては、非水系電解液のイオン伝導度の低下により、負極活物質層内においてリチウムイオンの拡散抵抗が増大することが考えられる。これを改善するために、本発明者らは、負極活物質として炭素材料を用い、該炭素材料の1次粒子径を小さく調整することにより、低温における出力特性を向上させる技術を提案した(例えば特許文献4)。これは、1次粒子同士が形成する間隙の存在によって負極活物質層内のリチウムイオンの拡散が良好になるとともに、この間隙に十分な非水系電解液を保持できることによると考えられる。
一方で、1次粒子径が小さくなることにより、粒子同士の界面が増え、界面における電気抵抗が増大する。また、殆どの炭素材料は、低温になるに伴い電子伝導性が低下する。
そのため、1次粒子径の小さい炭素材料を負極活物質として用いた非水系リチウム型蓄電素子は、低温で、且つ低電圧の領域(負極活物質層における電子密度が低い場合)においては、低温によって電子伝導性が低下して、粒子界面における電子抵抗の影響が顕著になることにより、良好な入力特性を発現することが困難となる。
以上の状況に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、低温においても高い入出力特性を示す非水系リチウム型蓄電素子用の負極、及び該負極を用いて成る、低温において高い入出力特性を示す非水系リチウム型蓄電素子を提供することである。
負極活物質層の電子伝導性を向上させる方法として、特許文献2には負極集電体表面に突起を形成する技術が開示されている。また、特許文献3では十点平均粗さRzjisが1.5〜7.5μmの凹凸を持つ負極集電体を用いることによって該集電体と活物質層との間の密着性を向上し、負極の内部抵抗を低下させる技術が開示されている。しかし、これらの特許文献では、集電体に凹凸を設けることによる低抵抗化の効果を十分に発揮できる好ましい1次粒子径については、検討されていない。
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を進めた。その結果、負極活物質として1次粒子径の小さい炭素材料を用いた場合において、負極集電体に従来よりも大きい凹凸形状を設けることにより、負極活物質層の電子密度が低い低電圧の状態においても電子伝導性を十分に確保することができ、低温における入力特性が顕著に向上することを見出した。そして、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 負極集電体と、該負極集電体の片面又は両面にリチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む負極活物質層とを有し、
前記負極活物質は1次粒子径が0.005μm以上5μm以下の炭素材料であり、
前記負極集電体は、前記負極活物質層との接触面の少なくとも一部に凹部及び凸部から選択される形状を有する非平滑領域を含み、前記非平滑領域中の前記凹部及び凸部から選択される形状の頂点を10個以上含む直線について測定された十点平均粗さRzjisが5μm以上100μm以下であることを特徴とする、非水系リチウム型蓄電素子用の負極。
[2] 前記負極活物質単位質量当たりのリチウムイオンのドープ量が530mAh/g以上2,500mAh/g以下である、[1]に記載の負極。
[3] 前記負極活物質についてBET法により算出した比表面積が100m/g以上600m/g以下である、[1]又は[2]に記載の負極。
[4] 前記負極活物質が、BET法により算出した比表面積が100m/g以上の多孔質炭素材料と、石油系ピッチ又は石炭系ピッチに由来する炭素質材料との複合多孔質炭素材料である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の負極。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の負極、正極、及びセパレータから成る電極積層体と、リチウムイオン含有電解質を含む非水電解液とを外装体内に有することを特徴とする、非水系リチウム型蓄電素子。
本発明の負極を用いた非水系リチウム型蓄電素子は、低温においても高い入出力特性を発現することができる。従ってこの非水系リチウム型蓄電素子は、特に、鉄道、建機、自動車等の分野におけるリチウムイオンキャパシタとして、好適に使用することができる。
十点表面粗さRzjisの算出方法を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
<負極>
本発明の負極は、負極集電体と、その片面又は両面に存在する負極活物質層と、を有する。
[負極集電体]
本発明における負極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化がおこらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施の形態の非水系リチウム型蓄電素子における負極集電体としては、銅箔が好ましい。
本発明における負極集電体は、負極活物質層との接触面の少なくとも一部に凹部及び凸部から選択される形状を有する非平滑領域を含む。そして非平滑領域中の前記凹部及び凸部から選択される形状の頂点を10個以上含む直線について測定された十点平均粗さRzjisが、5μm以上100μm以下である。Rzjisの値は、より好ましくは8μm以上70μm以下、更に好ましくは15μm以上65μm以下である。Rzjisが5μm以上であれば、該負極活物質の1次粒子径が5μm以下の場合に、低温における負極活物質層の電子伝導性を十分に確保でき、低温時の入力特性を向上できる。一方で、Rzjisが100μm以下であれば、高いエネルギー密度を得るために負極活物質層を薄膜化しても、負極集電体の凹凸形状が該負極活物質層の内部に保持されるため、該負極集電体の非平滑領域が対向する正極側のセパレータを突き破ってマイクロショートを起こす懸念がない。
上記「非平滑領域」とは、平面に凹凸が形成された場合と、曲面に凹凸が形成された場合と、の双方を含む概念である。この非平滑領域は、負極集電体のうち、負極活物質層と接する面積の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。特に好ましくは、負極集電体のうち、負極活物質層と接する面積の全部が非平滑領域である場合である。非平滑領域は、負極集電体のうち、負極活物質層と接しない部分に広がっていてもよい。
上記非平滑領域における凹部又は凸部それぞれの形状は任意である。例えば、円錐形、多角錐形、断頭円錐形、断頭多角錐形等を挙げることができる他、不定形状であってもよい。底面の面積は、25μm〜400mmが好ましく、より好ましくは30μm〜225mmであり、更に好ましくは35μm〜100mmである。凹部の深さ又は凸部の高さは、十点平均粗さRzjisが上記の範囲となるように適宜調整される。例えば、2.5μm〜100μm、好ましくは4μm〜70μmの数値を例示することができる。
非平滑領域における凹部又は凸部の形状は、互いに同じであってもよいし、相違していてもよい。
非平滑領域においては、凹部のみが形成されていてもよいし、凸部のみが形成されていてもよいし、凹部及び凸部の双方が形成されていてもよい。また、これらは規則的に形成されてもよいし、不規則的に形成されてもよい。
非平滑領域における凹部及び凸部は、隣接する凹部又は凸部と底面の一部を接して形成されていてもよいし、それぞれ離隔して形成されていてもよい。凹部又は凸部の頂点と、該凹部又は凸部に隣接する直近の凹部又は凸部の頂点との間の距離は、例えば5μm〜20mmとすることができ、好ましくは5μm15mmである。本明細書において、「凹部の頂点」とは、該凹部の最深部を意味する。
非平滑領域における凹部及び凸部が隣接する凹部又は凸部と離隔して形成されている場合、中間の平坦領域も非平滑領域に含まれるものとする。
本発明における非平滑領域は、例えば以下の場合を包含する概念である。
(1) 複数の凸部を有する場合、
(2) 複数の凹部を有する場合、
(3) 複数の凸部と複数の凹部とを有する場合、等
上記(3)には、1個又は複数の凸部と1個又は複数の凹部とが交互に整列している場合、凹部のみを有する小領域の1個又は複数と凸部のみを有する小領域の1個又は複数とから成る場合、凸部と凹部とがランダムに配置されている場合等、及びこれらの組み合わせを含む。
負極集電体のうち、負極活物質層と接触しない側の面は、上記のような非平滑領域を有していてもよいし、有していなくてもよい。
本発明における十点平均粗さRzjisは、JIS B 0601(2001)に準拠して、以下の方法によって求められる。
先ず、負極集電体の非平滑領域中に、断面曲線(粗さ曲線)を測定する直線を設定する。この測定対象となる直線上には、集電体上に形成された凹部及び凸部から選択される形状の頂点を、10個以上含むことが好ましい。頂点の数は、より好ましくは20個〜30個である。評価長さは、後述の要素の平均長さRsmの5倍以上とするべきであり、Rsmの10倍〜15倍程度とすることが好ましい。Rsmが不明の場合には、暫定的に定めた評価長さについて測定を行い、得られたRsm値から評価長さが不足であることが判明した場合には、適切な長さの測定直線を再設定したうえで、改めて測定を行うべきである。
断面曲線の測定は、例えば、市販の接触式表面形状測定装置を用いて行うことができる。
このような測定により、例えば、図1に示したような断面曲線が得られる。
この測定断面曲線から、要素の平均長さRsmを算出し、該Rsmを用いて基準長さ(カットオフ値λ)を決定する。十点平均粗さRzjisは、評価長さ内の高さが上から5番目までの座標5点を“L+1”〜“L+5”とし、高さが下から5番目までの座標5点を“L−1”〜“L−5”としたとき、次記数式によって求められる値である。
Figure 2017135187
図1における破線Laveは、断面曲線の平均座標である。
上記の十点平均粗さRzjisの測定は、負極集電体について行われる。
非水系リチウム型蓄電素子に組み込まれた負極集電体の場合には、非水系リチウム型蓄電素子から取り出した負極電極体について、上記の測定が行われる。
蓄電素子からの負極電極体の取り出しは、非水系リチウム型蓄電素子に組み込まれた負極活物質の1次粒子径を測定するための負極活物質の回収と同様の方法(後述)により行うことができる。すなわち、取り出した負極から、電解液、リチウム塩、結着剤等を取り除き、負極活物質を除去した後の負極集電体を回収して測定に供せばよい。
別法として、非水系リチウム型蓄電素子から取り出した負極から負極集電体の凹部及び/又は凸部の頂点を含む断面を切り出し、その切断面を走査電子顕微鏡で撮影し、該切断面における該負極集電体の負極活物質層側の表面を前記測定断面曲線としてみなして上記の計算方法によって算出してもよい。
該負極集電体の非平滑領域の形成方法は、特に制限されるものではない。例えば、金属箔等を準備し、これにエンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等の適宜の凹凸形成手段を施す方法が挙げられる。製造コスト及び非平滑領域における凹凸の形状制御の観点から、エンボス加工が好ましい。エンボス加工は、エンボスロールを備えるプレス機で金属箔等をプレスすることにより行うことができる。プレス圧、エンボスロールの表面形状等により、該凹凸の形状、間隔、及びRzjisをコントロールできる。
本発明における負極集電体の厚さを定義することは困難である。
しかしながら、上述の非平滑領域を形成する前の金属箔の厚さについては、好ましい範囲が存在する。非平滑領域形成前の金属箔の厚さは、非平滑領域形成の際、及び形成後における集電体の機械的強度を維持するために0.1μm以上であることが好ましく、集電体自体の電気抵抗を過大としないために100μm以下であることが好ましい。この厚さは、1μm〜50μmであることがより好ましく、5μm〜30μmであることが更に好ましい。
[負極活物質層]
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む。これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤等の任意成分を含んでいてもよい。
−負極活物質−
前記負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む。負極活物質としては、この炭素材料のみを使用してもよいし、或いはこの炭素材料に加えて、リチウムイオンを吸蔵放出する他の材料を併用してもよい。前記他の材料としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物、導電性高分子等を挙げることができる。
例示の態様において、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料の含有率は、負極活物質の総量を基準として、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。100質量%であることができるが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であってもよい。
リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素材料;易黒鉛化性炭素材料;カーボンブラック;活性炭;人工黒鉛;天然黒鉛;黒鉛化メソフェーズカーボン小球体;黒鉛ウイスカ;ポリアセン系物質等のアモルファス炭素質材料;石油系のピッチ、石炭系のピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、合成樹脂(例えばフェノール樹脂等)等の炭素前駆体を熱処理して得られる炭素質材料;フルフリルアルコール樹脂又はノボラック樹脂の熱分解物;フラーレン;カーボンナノフォーン;及びこれらの複合炭素材料を挙げることができる。
これらの中でも、BET法により算出した比表面積(以下、BET比表面積ともいう。)が100m/g以上の多孔質炭素材料と、石油系のピッチ又は石炭系のピッチと、を共存させた状態で熱処理をして得ることができる、前記多孔質炭素材料と前記ピッチ由来の炭素質材料とから成る複合多孔質炭素材料が好ましい。熱処理を行う前に、ピッチの融点より高い温度において、多孔性炭素材料と該ピッチとを混合してもよい。熱処理温度は、使用するピッチが揮発又は熱分解して発生する成分が炭素質材料となる温度であればよい。好ましくは400℃℃以上1,500℃以下である。得られる炭素質材料は、熱処理温度が800℃以下の場合には多環芳香族系炭化水素、800℃以上の場合には低結晶性炭素が、それぞれ主成分であると考えられる。
熱処理を行う雰囲気としては、非酸化性雰囲気が好ましい。
負極活物質の1次粒子径は0.005μm以上5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.020μm以上、3.5μm以下、更に好ましくは0.025μm以上、3μm以下である。1次粒子径が0.005μm以上であれば、該負極活物質の取扱いが容易であり、且つ該負極活物質を含有する塗工液の溶媒量を少なくできるため、塗膜乾燥時の凝集による負極活物質層のヒビ割れを抑制できる。一方で、1次粒子径が5μm以下であれば、1次粒子同士が形成する間隙の存在によって、負極活物質層内のリチウムイオンの拡散を良好にできるとともに、この間隙に十分な非水系電解液を保持できるため、低温においても高い出力特性を発現することができる。
負極活物質の1次粒子径を上記の範囲に調整するには、例えば、原料及び製造方法を変更することによって調整してもよく、調製後の炭素材料を適当な粉砕手段を用いて粉砕することによって調整してもよい。前者の方法は、負極活物質として、例えば、フェノール樹脂の炭化物、カーボンブラック、ナノ炭素材料、これらを原料とする複合炭素材料等を用いるときに有効な手段である。後者の方法における粉砕手段としては、例えば、ボールミル、ジェットミル(湿式又は乾式)等を挙げることができる。
本発明における負極活物質の1次粒子径は、以下の方法によって求められる。
1)負極活物質の粉体を電子顕微鏡で数視野撮影し、それらの視野中の粒子の粒子径を、全自動画像処理装置等を用いて2,000〜3,000個程度計測し、これらを算術平均した値を1次粒子径とする方法。
2)得られた負極の表面及び/又は断面を電子顕微鏡で数視野撮影し、上記の方法で算術平均して求める方法。
非水系リチウム型蓄電素子に組み込まれた負極活物質の1次粒子径は、
該非水系リチウム型蓄電素子を解体して負極を取り出したうえで、上記の方法2)により、又は
前記取り出した負極から負極活物質以外の成分を除いたうえで、上記の方法1)により、
測定することができる。
上記蓄電素子から負極を取り出すために解体する操作は、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
上記負極から負極活物質以外の成分を除くには、例えば以下の方法によることができる。
先ず、取り出した負極をエチルメチルカーボネート又はジメチルカーボネートに浸漬し、電解液、リチウム塩等を取り除いて風乾する。次にこれをメタノールとイソプロパノールとから成る混合溶媒に浸漬して負極活物質に吸蔵したリチウムイオンを失活させて再度風乾する。次に負極活物質層に含まれる結着材を取り除くために、リチウムイオンを失活した負極を蒸留水又はNMPに浸漬する。次いで、必要に応じてヘラ等で負極活物質を剥ぎ取ったうえで、これに超音波を照射して負極集電体から負極活物質を滑落させ、吸引濾過により、負極活物質を回収する。更に必要に応じて、得られた負極活物質を再度蒸留水又はNMPに浸漬して超音波を照射した後に、吸引濾過することを、数回繰り返して行ってもよい。最後に、得られた負極活物質を170℃において真空乾燥することにより、該負極活物質の粉体を得ることができる。
負極活物質についてBET比表面積は、100m/g以上600m/g以下であることが好ましい。より好ましくは150m/g以上550m/g以下、更に好ましくは200m/g以上500m/g以下である。BET比表面積が100m/g以上であれば、該負極活物質の1次粒子内部に細孔を持つこととなる。そのため、該負極活物質と非水系電解液との界面を十分に大きくできるとともに、細孔内部にも非水系電解液を保持できるため、低温においても高い出力特性を発現できる。一方で600m/g以下であれば、該負極活物質を用いた負極活物質層の嵩密度を大きくできるため、これを用いた非水系リチウム型蓄電素子のエネルギー密度を高くできる。
本発明におけるBET比表面積は、試料を200℃で一昼夜真空乾燥した後、窒素を吸着質として吸脱着の等温線の測定を行なって得られる吸着側の等温線を用いて、BET多点法又はBET1点法により算出される。
−任意成分−
本発明における負極活物質層は、必要に応じて、負極活物質の他に、導電性フィラー、結着剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーの種類は特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が例示される。導電性フィラーの使用量は、負極活物質100質量部に対して、好ましくは0質量部以上30質量部以下である。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体、セルロース誘導体等を用いることができる。これらの中でPVdFがリチウムイオン透過性の観点から特に好ましい。結着材の使用量は、負極活物質100質量部に対して、好ましくは5質量部以上30質量部以下である。さらに好ましくは、8質量部以上27質量部以下である。結着材の量が5質量%以上であれば、十分な電極強度が発現される。一方で結着材の量が30質量部以下であれば、負極活物質へのリチウムイオンの出入りを阻害せず、高い入出力特性が発現される。
[負極の製造]
負極は、負極集電体の片面上又は両面上に負極活物質層を有して成る。典型的な態様において負極活物質層は負極集電体に固着している。
負極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、負極活物質を含む各種材料を水又は有機溶剤中に分散又は溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を負極集電体上の片面又は両面に塗布して乾燥し、必要に応じて室温又は加熱下にプレスして負極活物質層を形成することにより、得られる。或いは、溶剤を使用せずに、負極活物質を含む各種材料を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて負極集電体に貼り付ける方法も可能である。
[負極活物質のプリドープ]
負極活物質には、リチウムイオンをドープすることが好ましい。本明細書において、負極活物質にドープされたリチウムイオンとしては、主に3つの形態が包含される。
第一の形態としては、非水系リチウム型蓄電素子を作製する前に、負極活物質に設計値として予め吸蔵させるリチウムイオンである。
第二の形態としては、非水系リチウム蓄電素子を作製し、出荷する際の負極活物質に吸蔵されているリチウムイオンである。
第三の形態としては、非水系リチウム蓄電素子をデバイスとして使用した後の負極活物質に吸蔵されているリチウムイオンである。
負極活物質にリチウムイオンをドープする方法としては、既知の方法を用いることができる。例えば、負極活物質を負極に成型した後、該負極を作用極、金属リチウムを対極に使用し、非水系電解液を組み合わせた電気化学セルを作製したうえで、電気化学的にリチウムイオンをドープする方法;
負極に金属リチウム箔を圧着する等の手段によって負極と金属リチウム箔とを電気的に短絡させ、この状態で非水系電解液に入れることによって、負極にリチウムイオンをドープする方法;
等が挙げられる。
負極活物質にリチウムイオンをドープしておくことにより、得られる非水系リチウム型蓄電素子の容量及び作動電圧を良好に制御することが可能となる。
本実施形態の負極活物質単位質量当たりのリチウムイオンのドープ量は、530mAh/g以上2,500mAh/g以下である。
リチウムイオンをドープすることにより、負極電位が低くなる。従って、リチウムイオンがドープされた負極活物質を含む負極を正極と組み合わせた場合には、非水系リチウム型蓄電素子の電圧が高くなるとともに、正極の利用容量が大きくなる。そのため、得られる非水系リチウム型蓄電素子の容量及びエネルギー密度が高くなる。
該ドープ量が530mAh/g以上であれば、負極活物質におけるリチウムイオンを一旦挿入したら脱離し得ない不可逆なサイトにもリチウムイオンが良好にドープされ、更に所望のリチウム量に対する負極活物質量を低減することができる。そのため、負極膜厚を薄くすることが可能となり、高いエネルギー密度が得られる。ドープ量が多いほど負極電位が下がり、入出力特性、エネルギー密度、及び耐久性は向上する。
一方で、ドープ量が2,500mAh/g以下であれば、リチウム金属の析出等の副作用が発生するおそれがない。
金属リチウム箔を圧着して負極活物質に予めリチウムイオンをドープする場合(前記第一の形態)、負極活物質単位質量当たり、760mAh/g以上2500mAh/g以下に相当するリチウム金属を貼り付ける手段によってドープを行うことが好ましい。貼り付けるリチウム金属量は、より好ましくは1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下、更に好ましくは1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下、特に好ましくは1,200mAh/g以上1700mAh/g以下に相当する量である。
本発明における負極集電体を用いることによって、形成される負極活物質層の表面にマクロな凹凸が形成される。このことにより、負極活物質層と金属リチウム箔との密着性が向上され、リチウムイオンのドープ効率が向上されるため、工程時間の短縮が可能となる。
前記負極への金属リチウム圧着により負極活物質にリチウムイオンをドープさせる場合、出荷時の非水系リチウム型蓄電素子の負極活物質にドープされているリチウムイオン(前記第二の形態)の量は、貼り付けた金属リチウムの量から見積もられるドープ量よりも減少する傾向にある。その理由は、非水系リチウム型蓄電素子を作製する際に、貼り付けた金属リチウムからドープされるリチウムイオンの一部が失活してしまうからである。そのため、出荷時の非水系リチウム型蓄電素子の負極活物質単位質量当たりのリチウムイオンのドープ量は、620mAh/g以上2,100mAh/g以下であることが好ましい。より好ましくは760mAh/g以上1,700mAh/g以下、更に好ましくは840mAh/g以上1,500mAh/g以下である。
使用後の非水系リチウム型蓄電素子の負極活物質にドープされているリチウムイオン(前記第三の形態)の量は、出荷時のドープ量よりも減少する傾向にある。その理由は、非水系リチウム型蓄電素子を使用する際に、ドープされているリチウムイオンが更に失活してしまうからである。そのため、使用後の非水系リチウム型蓄電素子の負極活物質単位質量当たりのリチウムイオンのドープ量は、530mAh/g以上1,800mAh/g以下であることが好ましい。より好ましくは650mAh/g以上1,400mAh/g以下、更に好ましくは730mAh/g以上1,200mAh/g以下である。
出荷時及び使用後の非水系リチウム型蓄電素子における負極活物質のリチウムイオンのドープ量は、例えば、以下のようにして知ることができる。
先ず、本実施形態における負極活物質層をエチルメチルカーボネート又はジメチルカーボネートで洗浄し風乾した後、メタノール及びイソプロパノールから成る混合溶媒により抽出した抽出液と、抽出後の負極活物質層と、を得る。この抽出は、典型的にはArボックス内にて、環境温度23℃で行われる。
上記のようにして得られた抽出液と、抽出後の負極活物質層と、に含まれるリチウム量を、それぞれ、例えばICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)等を用いて定量し、その合計を求めることによって、負極活物質におけるリチウムイオンのドープ量を知ることができる。そして、得られた値を抽出に供した負極活物質量で割り付けて、上記単位の数値を算出すればよい。
<非水系リチウム型蓄電素子>
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、前記負極、正極、及びセパレータから成る電極積層体と、リチウムイオン含有電解質を含む非水電解液とを外装体内に有して成る。本実施の形態にかかる非水系リチウム型蓄電素子は、後述の実施例において具体的に検証されるように、低温における高い入出力特性を発現することができるものである。
<正極>
本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子における正極は、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有する。
[正極集電体]
正極集電体としては、蓄電素子において通常使用される一般的な集電体を使用できる。正極集電体は、電子伝導性が高く、電解液への溶出及び電解質又はイオンとの反応等による劣化がおこらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施の形態の非水系リチウム型蓄電素子においては、正極集電体はアルミニウム箔が好ましい。
正極集電体は孔を持たない金属箔でもよいし、貫通孔(例えば、パンチングメタルの貫通孔)又は開孔部分(例えば、エキスパンドメタルの開孔部分)を有する金属箔でもよい。
正極集電体の厚みは、特に制限はないが、1〜100μmが好ましい。正極集電体の厚みが1μm以上であると、正極活物質層を正極集電体に固着させて成る正極の形状及び強度を保持できるため好ましい。他方、正極集電体の厚みが100μm以下であると、非水系リチウム型蓄電素子としての質量及び体積が適度になり、また、重量及び体積当たりの性能が高くなる傾向があるため、好ましい。
[正極活物質]
正極活物質は、活性炭を含むことが好ましい。正極活物質としては、活性炭のみを使用してもよく、或いは活性炭に加えて、後述するような他の材料を併用してもよい。
正極活物質における活性炭の種類及びその原料には特に制限はない。しかしながら、高い入入出力特性と、高いエネルギー密度と、を両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。
具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、
0.8<V1≦2.5、及び0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、
BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下を示す活性炭(以下、「活性炭1」ともいう。)が、高いエネルギー密度を得る観点から好ましい。
活性炭1のBET比表面積が3,000m/g以上であることにより、高いエネルギー密度が得られる。他方、BET比表面積が4,000m/g以下であることにより、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要がないので、電極体積当たりの性能が高くなる傾向がある。活性炭1のより好ましいBET比表面積の値は、3,200m/g以上3,800m/g以下である。
上述したメソ孔量V1及びマイクロ孔量V2を有する活性炭1は、従来の電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ用として使用されていた活性炭よりもBET比表面積が高いものである。
活性炭1のマイクロ孔量V2は、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.8cc/gより大きい値であることが好ましい。また、活性炭の電極としての密度を増加させ、単位体積あたりの容量を増加させるという観点から、3.0cc/g以下であることが好ましい。上記V2は、より好ましくは1.0cc/gより大きく2.5cc/g以下、更に好ましくは1.5cc/g以上2.5cc/g以下である。
本発明におけるマイクロ孔量及びメソ孔量は、それぞれ以下の方法によって求められる値である。試料を200℃で一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質として吸脱着の等温線の測定を行なう。ここで得られる吸着側の等温線を用いて、マイクロ孔量はMP法により、メソ孔量はBJH法により、それぞれ算出される。
MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4319(1965))を利用して、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、及びマイクロ孔の分布を求める方法を意味し、M.Mikhail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid Interface Sci.,26,45 (1968))。
また、BJH法は一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett, Joyner, Halendaらにより提唱されたものである(E. P. Barrett, L. G. Joyner and P. Halenda, J. Am. Chem. Soc., 73, 373(1951))。
上記のような特徴を有する活性炭1は、例えば以下に説明する原料(炭素源)及び処理方法を用いて得ることができる。
活性炭1の原料として用いられる炭素源としては、通常活性炭原料として用いられる炭素源であれば特に限定されるものではない。例えば、木材、木粉、ヤシ殻等の植物系原料;石油ピッチ、コークス等の化石系原料;フェノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂等の各種合成樹脂等が挙げられる。これらの原料の中でも、フェノール樹脂及びフラン樹脂は、高比表面積の活性炭1を作製するのに適しており、特に好ましい。
これらの炭素源を炭化する方式、或いは賦活処理時の加熱方法としては、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の公知の方式が挙げられる。加熱時の雰囲気は窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス;又はこれらの不活性ガスを主成分として他のガスとの混合したガス等が用いられる。炭化温度を400〜700℃程度とし、0.5〜10時間程度焼成する方法が一般的である。
上記炭化処理後の炭化物の賦活方法としては、例えば水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法、及びアルカリ金属化合物と混合した後に加熱処理を行うアルカリ金属賦活法が可能である。高比表面積の活性炭を作製するにはアルカリ金属賦活法が好ましい。この賦活方法では、炭化物と、KOH、NaOH等のアルカリ金属化合物と、を、炭化物:アルカリ金属化合物の質量比が1:1以上(アルカリ金属化合物の量が、炭化物の量と同じかこれよりも多い量)となるように混合した後に、不活性ガス雰囲気下で600〜900℃の範囲において、0.5〜5時間加熱を行い、その後アルカリ金属化合物を酸及び水により洗浄除去し、更に乾燥を行う。
マイクロ孔量を大きくし、メソ孔量を大きくしないためには、賦活する際に炭化物を多めにしてKOHと混合するとよい。いずれの孔量も大きくするためには、KOHを多めに使用するとよい。また、主としてメソ孔量を大きくするためには、アルカリ賦活処理を行った後に水蒸気賦活を行うとよい。
活性炭1の平均粒径は、1μm以上30μm以下であることが好ましい。より好ましくは、2μm以上20μm以下である。
正極活物質は、活性炭1以外の材料(例えば、前記特定のV1及び/若しくはV2を有さない活性炭、又は活性炭以外の材料(例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物等))を含んでもよい。例示の態様において、活性炭1の含有量が、全正極活物質の50質量%より多いことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
本発明における平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径(すなわち、50%径(Median径))を指す。この平均粒径は市販のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。平均粒径と前記1次粒子径とは定義が異なる値である。
[正極活物質層]
前記正極活物質層は、必要に応じて、正極活物質の他に、導電性フィラー、結着剤等を添加することができる。
導電性フィラーの種類は特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が例示される。導電性フィラーの使用量は、正極活物質100質量部に対して好ましくは0質量部以上30質量部以下、更に好ましくは1質量部以上20質量部以下である。入出力特性の観点からは、導電性フィラーを用いることが好ましい。その使用量が30質量部以下であると、正極活物質層に占める正極活物質の量の割合が高くなり、また、体積当たりの出力密度が多くなる傾向があるため好ましい。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体、セルロース誘導体等を用いることができる。結着材の使用量は、正極活物質100質量部に対して好ましくは3質量部以上20質量部以下、更に好ましくは5質量部以上15質量部以下である。結着材の使用量が20質量部以下であると、正極活物質の表面をバインダーが覆わない。従って、正極活物質層へのイオンの出入りが速くなり、高い入出力特性が得られるため好ましい。一方で結着材の使用量が3質量部以上であると、正極活物質層を正極集電体上に固着し易くなるため好ましい。
正極活物質層の厚さは、片面当たり、好ましくは15μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上85μm以下である。この厚さが15μm以上であれば、非水系リチウム型蓄電素子として十分なエネルギー密度を発現できる。他方、この厚さが100μm以下であれば、非水系リチウム型蓄電素子として高い入入出力特性を得ることができる。正極集電体に孔がある場合には、正極活物質層の厚さとは、それぞれ、正極集電体の孔を有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。
正極活物質層の嵩密度は、0.30g/cm以上であれば、体積当たりの電極の容量を大きくすることができ、非水系リチウム型蓄電素子の小型化を達成できる。また、高い入入出力特性を得るために、0.70g/cm以下とすることが更に好ましく、0.65g/cm以下とすることが特に好ましい。
正極集電体と正極活物質層との間には、アンカー層を有していてもよい。アンカー層を配置することにより、正極集電体と正極活物質層との間の接着強度が向上し、その結果、両者の導通がよくなって入出力特性が優れる正極を得ることが可能となるため、好ましい。従って、アンカー層に必要とされる条件としては、第一にアンカー層自身が高強度であること、第二にアンカー層自身が高い導電性を持つこと、及び第三にアンカー層と正極活物質層との界面が強い接着強度を持つことが挙げられる。
そこで、本実施形態におけるアンカー層としては、導電性カーボンを含むことが好ましく、特に、大小異なる2種類の導電性カーボン粒子の混合物を含むことが好ましい。このことにより、バインダーの量が少なくてもアンカー層自身の強度を高強度に保つことができるとともに、バインダー量が少なくなることによってアンカー層自身が高い導電性を持つことになる。更に、アンカー層表面のラフネスが高まり、その結果、アンカー層と正極活物質層との界面が強い接着強度を持ち、アンカー層に必要とされる上記三つの条件を十分に満たすことができる。
上記2種類の導電性カーボンとしては、例えば
平均粒径が20nm以上1μm未満である第1の導電性カーボン粒子と、
平均粒径が1μm以上15μm未満である第2の導電性カーボン粒子と、
の混合物が好ましい。
[正極の製造]
正極は、正極集電体の片面上又は両面上に正極活物質層を有して成る。典型的な態様において正極活物質層は正極集電体に固着している。
正極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極の製造技術により製造することが可能である。例えば、正極活物質を含む各種材料を水又は有機溶剤によりスラリー状の塗工液に調製し、この塗工液を正極集電体上の片面又は両面に塗布して乾燥し、必要に応じて室温又は加熱下にプレスして正極活物質層を形成することにより、得られる。また、溶剤を使用せずに、正極活物質を含む各種材料を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて正極集電体に貼り付けることも可能である。
<非水系電解液>
本発明の非水系リチウム型蓄電素子に用いられる非水系電解液は、リチウムイオン含有電解質を含む非水系液体であればよい。そのような非水系液体は、有機溶媒、添加剤等を含んでよい。
前記リチウムイオン含有電解質としては、例えば、LiBF、LiPF、LiN(SO2F)2、LiN(SOCF等のリチウム塩を用いることができる。非水系電解液のリチウム塩濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲が好ましい。0.5mol/L以上において、アニオンが十分に存在し、非水系リチウム型蓄電素子の容量が維持される。一方で、2.0mol/L以下において、リチウム塩が非水系電解液中で十分に溶解し、非水系電解液の適切な粘度及び伝導度が保たれる。
前記有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)に代表される環状炭酸エステル、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)に代表される鎖状炭酸エステル;γ−ブチロラクトン(γBL)等のラクトン類;及びこれらの混合溶媒を用いることができる。
前記添加剤としては、例えばスルトン化合物、環状ホスファゼン、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、環状酸無水物及びこれらの混合物を用いることができる。
<セパレータ>
前記のように成型された正極及び負極は、セパレータを介して積層又は捲廻積層され、正極、負極、及びセパレータを有する電極積層体が形成される。
前記セパレータとしては、特に制限されるものではないが、例えばリチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。セパレータの厚みが10μm以上であれば、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。一方で、セパレータの厚みが50μm以下であれば、入出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
<外装体>
外装体としては、金属缶、ラミネートフィルム等を使用できる。
前記の金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。
前記のラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは、接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、外装体のヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴とするところを更に明確にする。しかしながら本発明は、以下の実施例及び比較例により、何ら限定されるものではない。
<負極活物質の調製>
[調製例1a]
BET比表面積が1,780m/gのヤシ殻活性炭をボールミルにて粉砕し、分級して、1次粒子径を3.2μmに調整した。粉砕及び分級後のヤシ殻活性炭をステンレススチールメッシュ製の籠に150g入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)270gを入れたステンレス製バットの上に置き、両者を電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱反応を行うことにより、複合多孔質炭素材料1を得た。この熱処理は窒素雰囲気下で行い、600℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持する方法によった。続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、複合多孔質炭素材料1を炉から取り出した。
得られた複合多孔質炭素材料1について、走査電子顕微鏡を用いて上述した1)の方法で1次粒子径を求めた。また、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて、窒素を吸着質として吸脱着の等温線を測定し、上述した方法でBET比表面積を求めた。
複合多孔質炭素材料1の1次粒子径は3.4μm、BET比表面積は262m/gであった。
[調製例2a]
ヤシ殻活性炭を乾式ジェットミルで粉砕し、分級して、1次粒子径を0.65μmに調整して用いた以外は調整例1aと同様にして複合多孔質炭素材料2を製造し、評価を行った。複合多孔質炭素材料2の1次粒子径は0.68μm、BET比表面積は271m/gであった。
[調製例3a]
調製例2aで得た粉砕及び分級後のヤシ殻活性炭を、更に湿式ジェットミルで粉砕し、分級して1次粒子径を0.30μmに調整して用いた以外は調整例1aと同様にして複合多孔質炭素材料3を製造し、評価を行った。複合多孔質炭素材料3の1次粒子径は0.036μm、BET比表面積は286m/gであった。
[調製例4a]
軟化点が50℃の石炭系ピッチの代わりに軟化点が90℃の石炭系ピッチを用い、その使用量を150gとした他は調整例3aと同様にして複合多孔質炭素材料4を製造し、評価を行った。複合多孔質炭素材料4の1次粒子径は0.032μm、BET比表面積は307m/gであった。
[調製例5a]
BET比表面積が561m/g、1次粒子径が0.46μmの黒鉛質を含むナノカーボン材料150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:38℃)75gを入れたステンレス製バットの上に置き、両者を電気炉 (炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行うことにより、複合多孔質炭素材料5を得た。この熱処理は、窒素雰囲気下で行い、680℃まで10時間で昇温し、同温度で4時間保持する方法によった。続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、複合多孔質炭素材料5を炉から取り出した。得られた複合多孔質炭素材料5の1次粒子径は0.51μm、BET比表面積は405m/gであった。
[調製例6a]
粉砕及び分級によりヤシ殻活性炭の1次粒子径を8.0μmに調整した以外は調整例1aと同様にして複合多孔質炭素材料6を製造し、評価を行った。複合多孔質炭素材料6の1次粒子径は8.2μm、BET比表面積は257m/gであった。
<負極集電体の調製>
[調製例1b]
厚さ10μmの電解銅箔の短軸方向の十点平均粗さを、接触式表面形状測定装置(DECTAC XT−A)を用いて、上述した方法で測定した。この測定は、前記銅箔の任意の方向に設定した長さ25mmの直線について行った。その結果、電解銅箔のRzjisは1μmであった。
この電解銅箔を用いて、エンボスロールを備えるプレス機でエンボス加工を行い、両面に凹凸を持つエンボス加工銅箔1を得た。エンボス加工銅箔1は、銅箔の長軸方向(ロールMD方向)及び短軸方向(ロールのTD方向)に凹部と凸部とが交互かつ等方的に並ぶようなエンボスパターンを有していた。凸部及び凹部の底面の形状は正方形であり、凸部の頂点と該凸部に隣接する直近の凹部の最深部(頂点)との間の距離は1mmであった。
得られたエンボス加工銅箔1の短軸方向の十点平均粗さRzjisを測定したところ、エンボス加工銅箔1のRzjisは52μmであった。このとき、銅箔のTD方向に対してできるだけ小さい角度で凸部の頂点を連続して通過する直線を設定し、該直線上の25mmの長さを測定対象とした。
[調製例2b〜5b]
zjisが表1に記載した値となるように、エンボス加工のプレス圧を調整した他は調製例1aと同様にして電解銅箔にエンボス加工を施して、エンボス加工銅箔2〜5を得た。
Figure 2017135187
<実施例1>
[負極の製造]
複合多孔質炭素材料1を80質量部、アセチレンブラックを5質量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を15質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、固形分濃度20質量%の塗工液を得た。得られた塗工液を上記エンボス加工銅箔1の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、総膜厚95μmの負極を得た。負極の膜厚は、小野計器社製膜厚計(Linear Gauge Sensor GS−551)を用いて、負極の任意の10か所で測定した厚さの平均値から求めた値である。
[正極の製造]
フェノール樹脂を、焼成炉中、窒素雰囲気下、600℃において2時間炭化処理した。得られた焼成物をボールミルにて粉砕し、分級を行い、平均粒径が7μmの炭化物を得た。
この炭化物及びKOHを質量比1:5で混合し、焼成炉中、窒素雰囲気下、800℃において1時間加熱して、賦活化を行った。次いで、濃度2mol/Lに調整した希塩酸中で1時間撹拌洗浄を行った後、蒸留水中で、pH5〜6の間で安定するまで煮沸洗浄した後、乾燥を行うことにより、活性炭1を得た。
得られた活性炭1について、上述した方法でBET比表面積、メソ孔量、及びマイクロ孔量を求めた。得られたBET比表面積は3,627m/g、メソ孔量は1.50cc/g、マイクロ孔量は2.28cc/gであった。
上記活性炭1を80.8質量部、ケッチェンブラックを6.2質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、及びPVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、固形分濃度17質量%の塗工液を得た。得られた塗工液を、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、正極活物質層の厚さが片面当たり55μmの正極を得た。
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(EMC)=33:67(体積比)の混合溶媒を用い、LiN(SOF)及びLiPFの濃度比が25:75(モル比)であり、かつLiN(SOF)及びLiPFの濃度の和が全電解液に対して1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
ここで調製した電解液におけるLiN(SOF)及びLiPFの濃度は、それぞれ、0.3mol/L及び0.9mol/Lであった。
[非水系リチウム型蓄電素子の組立]
上記で得られた負極及び正極を100mm×100mmにカットした。カット後の負極の両面に、複合多孔質炭素材料1の単位質量あたりの680mAh/gに相当する量のリチウム金属箔を貼り付けた。
最上面及び最下面には片面正極を用い、更に負極18枚と両面正極17枚とを用い、負極と正極との間にそれぞれ厚さ15μmのポリオレフィン多孔膜セパレータ(計36枚)を挟んで積層した。その後、負極と正極とに電極端子を接続して電極積層体とした。この積層体をラミネートフィルムからなる外装体内に挿入し、上記非水系電解液を注入して該外装体を密閉することにより、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。
[静電容量の測定]
得られた非水系リチウム型蓄電素子について、1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保された定電流定電圧充電によって3.8Vまで充電し、その後2.2Vまで1.5Cの電流値において定電流放電を施した。この時の容量Q及び電圧変化から、静電容量F=Q/(3.8−2.2)に従った計算によって求めた。
[低温セル特性(−30℃における入出力抵抗)の測定]
次いでこの非水系リチウム型蓄電素子について、環境温度−30℃で、1.5Cの電流値において3.8Vに到達するまで定電流充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を、合計で2時間行った。続いて、50Cの電流値において2.2Vまで定電流放電した。この時に得られた放電カーブ(時間−電圧)において、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から直線近似にて外挿して得られる、放電時間=0秒における電圧をE0としたときの放電抵抗Routを、Rout=(3.8−E0)/(50C(電流値))に従った計算により求めた。ここで、出力抵抗は下記数式により求めた。
出力抵抗(ΩF)=(静電容量F)×(放電抵抗Rout
次いで同様に、環境温度−30℃で、1.5Cの電流値において2.2Vに到達するまで定電流放電し、その後2.2Vの定電圧を印加する定電流定電圧放電を、合計で2時間行った。続いて、50Cの電流値において3.8Vまで定電流充電した。この時に得られた充電カーブ(時間−電圧)において、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から直線近似にて外挿して得られる、充電時間=0秒における電圧をE0としたときの充電抵抗Rinを、Rin=(E0−2.2)/(50C(電流値))に従った計算により求めた。ここで、入力抵抗は次式により求めた。
入力抵抗(ΩF)=(静電容量F)×(充電抵抗Rin
<実施例2〜9及び比較例1〜3、並びに参考例1>
表2に示す負極集電体及び負極活物質を使用し、負極に貼り付けたリチウム金属箔量を表2に記載のドープ量となるように調整した他は、実施例1と同様にして、負極及び非水系リチウム型蓄電素子の製造及び評価を行った。その結果を表1に示した。
Figure 2017135187
実施例1〜9及び比較例1〜3、並びに参考例1から理解されるように、負極活物質の1次粒子径が小さくなるに従って、低温における出力抵抗が低減する。また、1次粒子径が5μm以下において、Rzjisが5μmより大きい非平滑領域を有する負極集電体を用いた場合、負極活物質の1次粒子径が小さくなるに従って、低温における入力抵抗も低減する。一方で、比較例3及び参考例1を参照すると、1次粒子径が5μm以上、より具体的には8μm以上においては、Rzjisが5μmより大きい非平滑領域を有する負極集電体を用いた場合であっても、入力抵抗はほとんど低減しないことが分かる。
本発明の負極を用いた非水系リチウム型蓄電素子は、例えば、自動車におけるハイブリット駆動システム用途;鉄道、建機の瞬間電力ピークのアシスト用途等の分野において、好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 負極集電体と、該負極集電体の片面又は両面にリチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む負極活物質層とを有し、
    前記負極活物質は1次粒子径が0.005μm以上5μm以下の炭素材料であり、
    前記負極集電体は、前記負極活物質層との接触面の少なくとも一部に凹部及び凸部から選択される形状を有する非平滑領域を含み、前記非平滑領域中の前記凹部及び凸部から選択される形状の頂点を10個以上含む直線について測定された十点平均粗さRzjisが5μm以上100μm以下であることを特徴とする、非水系リチウム型蓄電素子用の負極。
  2. 前記負極活物質単位質量当たりのリチウムイオンのドープ量が530mAh/g以上2,500mAh/g以下である、請求項1に記載の負極。
  3. 前記負極活物質についてBET法により算出した比表面積が100m/g以上600m/g以下である、請求項1又は2に記載の負極。
  4. 前記負極活物質が、BET法により算出した比表面積が100m/g以上の多孔質炭素材料と、石油系ピッチ又は石炭系ピッチに由来する炭素質材料との複合多孔質炭素材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の負極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の負極、正極、及びセパレータから成る電極積層体と、リチウムイオン含有電解質を含む非水電解液とを外装体内に有することを特徴とする、非水系リチウム型蓄電素子。
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