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JP2017111239A - トナー、トナー収容ユニットおよび画像形成装置 - Google Patents

トナー、トナー収容ユニットおよび画像形成装置 Download PDF

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JP2017111239A JP2015244370A JP2015244370A JP2017111239A JP 2017111239 A JP2017111239 A JP 2017111239A JP 2015244370 A JP2015244370 A JP 2015244370A JP 2015244370 A JP2015244370 A JP 2015244370A JP 2017111239 A JP2017111239 A JP 2017111239A
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Shosuke Aoai
翔介 青合
智之 小島
Tomoyuki Kojima
智之 小島
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Satoshi Takahashi
聡 高橋
竜輝 山口
Tatsuki Yamaguchi
竜輝 山口
樹 森谷
Itsuki Moriya
樹 森谷
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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、耐熱保存性及び耐排紙ブロッキング性が良好なトナーを提供する。
【解決手段】結晶性樹脂を含有するトナーであって、前記トナーの昇温時の貯蔵弾性率をG1及び降温時の貯蔵弾性率をG2とし、G1が107Pa・sとなる温度をTUpとし、G2が10Pa・sとなる温度をTDnとし、またTUPとTDnとの温度差をΔTとして規定したとき、〔式1〕、〔式2〕および〔式3〕を全て満たすことを特徴とするトナー。〔式1〕65℃≦TUP≦75℃;〔式2〕75℃≦TDn≦80℃;〔式3〕4℃≦ΔT(TDn−TUp)≦8℃
【選択図】図1

Description

本発明は電子写真、静電記録、静電印刷等において使用されるトナー、トナー収容ユニットおよび画像形成装置に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用されるトナーは、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。定着方法としては、加熱したロールやベルト等を用いて接触加熱溶融することで定着する方法が、熱効率がよいため一般的に行われている。
近年では、画像形成装置の高速化や省エネルギー化に対する市場からの要求はさらに大きくなり、低温定着性に優れ、高品位な画像を提供できるトナーが求められている。トナーの低温定着性を達成するためには、トナーの結着樹脂の軟化温度を低くする必要がある。
特許文献1には、トナーの結着樹脂として結晶化状態から溶融液に急激に軟化する特性をもつ結晶性樹脂を用いることによりトナーの定着温度を大きく下げる方法が開示されている。
しかしながら、このような結晶性樹脂は、熱定着にて溶融した後、再び結晶化するまでに時間を要するため、画像表面の硬度を速やかに回復することができない。それにより、定着後の排紙工程における排紙ローラ、搬送部材などとの接触、及び摺擦により画像表面に傷跡が生じ、大量に印刷したコピー用紙同士で接着する(以下、排紙ブロッキングという。)等の問題があった。また、トナーの耐熱保存性が低下し、特に高温環境下においてトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングが発生する。その他に、現像器内においてもトナーが現像器内部やキャリアに融着して汚染する問題や、トナーが感光体表面にフィルミングしやすくなる問題がある。
特許文献2には、トナーの結着樹脂としてエステル基を有するビニル樹脂と結晶性樹脂とを組合わせること、更には特定の結晶性樹脂の弾性率の範囲を定めることにより、耐熱保存性、耐湿熱保存性及び低温定着性を両立する方法が開示されている。
しかしながら、ビニル樹脂とのブレンド系においては、非結晶性のビニル樹脂に溶融固化挙動が支配されるため、十分に低温定着性が達成できず、また単に結晶性樹脂が特定の弾性率の範囲を有していても、その結晶性樹脂のトナー中の分散状態によってトナーとして得られる効果は大きく異なる。
特許文献3および特許文献4には、トナーの結着樹脂として結晶性樹脂と非晶性樹脂とを組合せ、そのトナーの昇温時及び降温時の弾性率挙動をそれぞれ特定の範囲にすることにより、低温定着性及び耐オフセット性又は耐熱保存性を達成する方法が開示されている。
しかしながら、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルを単にブレンドしただけでは軟質であり塑性変形しやすく、熱特性としても粘弾性測定において溶融温度範囲における同温度についての降温時の貯蔵弾性率は昇温時のものよりも低い値を示している。すなわち、これらの条件ではまだ耐熱保存性及び耐オフセット性が十分ではなく、トナー収納容器内および画像形成装置内でトナーが凝集することで、トナーの補給ができなくなり、異常画像が形成されることがあり、また排紙ブロッキングなどの問題がある。
本発明は、前記の諸問題を鑑み、低温定着性に優れ、耐熱保存性及び耐排紙ブロッキング性が良好なトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
結晶性樹脂を含有するトナーであって、
前記トナーの昇温時の貯蔵弾性率をG1および降温時の貯蔵弾性率をG2とし、
G1が107Pa・sとなる温度をTUpとし、G2が10Pa・sとなる温度をTDnとし、
またTUPとTDnとの温度差をΔTとして規定したとき、〔式1〕、〔式2〕および〔式3〕を全て満たすことを特徴とするトナー。
〔式1〕65℃≦TUP≦75℃
〔式2〕75℃≦TDn≦80℃
〔式3〕4℃≦ΔT(TDn−TUp)≦8℃
本発明によれば、低温定着性に優れ、耐熱保存性及び耐排紙ブロッキング性が良好なトナーを提供することができる。
本発明のトナーの温度に対する粘弾性挙動をプロットした一例を示すグラフである。 液柱共鳴液滴形成手段の一例を示す概略断面図である。 トナー製造装置の一例を示す概略断面図である。 液滴共鳴液滴形成手段の一例を示す概略断面図である。 本発明のトナーの個数粒径と頻度をプロットした分布の一例を示すグラフである。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。 本発明に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。 本発明に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。 本発明に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。
(トナー)
本発明のトナーは少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含有するものであって、特定の粘弾性挙動を示すものである。
図1は本発明のトナーの温度に対する粘弾性挙動をプロットした一例を示すグラフである。図1において、横軸は温度Tを表し、縦軸はトナーの貯蔵弾性率Gを表す。曲線ABCは昇温融解時と降温固化時とにおける貯蔵弾性率Gの温度依存性であるヒステリシスカーブを表している。ここで、粘弾性は以下のように測定することができる。
(粘弾性の測定)
トナー0.1gを加圧成型器で、室温(約23℃)で圧力40MPaで1分間の条件にて、直径8mm、厚み1mmに成型し、測定用サンプルを作製する。
測定用サンプルをレオメータ(ARES TA Instruments社製)、8mmのパラレルプレートを用いて、条件は昇温融解時において周波数10Hz、歪み0.1%で温度40℃から昇温速度2℃毎分で100℃まで加熱し、また降温固化時においては周波数10Hz、歪み1%から0.1%で温度100℃から冷却速度10℃毎分で30℃まで冷却しながら測定した。ここで、昇温融解時は12秒毎、降温固化時は6秒毎に測定している。
図1において、昇温融解時(AからB)の貯蔵弾性率をG1、降温固化時(BからC)の貯蔵弾性率をG2とし、G1が10Pa・sとなる温度がTUpであり、G2が10Pa・sとなる温度がTDnである。また、ΔTはTDnとTUpの温度差である。
本発明のトナーは〔式1〕、〔式2〕および〔式3〕を全て満たすことが必要である。
〔式1〕65℃≦TUP≦75℃
〔式2〕75℃≦TDn≦80℃
〔式3〕4℃≦ΔT(TDn−TUp)≦8℃
上記〔式1〕、〔式2〕および〔式3〕の条件を一つでも満たさない場合は、低温定着性、耐熱保存性及び耐排紙ブロッキング性を同時に改善することができない。
また本発明のトナーは、温度TUpおよびΔTが以下の〔式4〕および〔式5〕を全て満たすことがさらに好ましい。
〔式4〕65℃≦TUp≦70℃
〔式5〕5℃≦ΔT≦8℃
本発明のトナーが、〔式1〕、〔式2〕および〔式3〕を全て満たすためには、例えば結晶性樹脂の組成に基づく結晶化温度を適宜調整する等の方法がある。例えば結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂である場合は、結晶化温度を50℃以上70℃以下に調整する方法が挙げられる。
(示差走査熱量計による結晶性樹脂の含有量(質量%)測定)
本発明のトナーにおける前記結晶性樹脂の含有量は、示差走査熱量計(以下、DSC)法により求められる結晶性樹脂の吸熱量を質量換算した値で、前記トナーに対し1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
結晶性樹脂の含有量の比率計測方法は以下のとおりである。
本発明のトナー中の結晶性樹脂の総量は、DSC法で得られる。以下の測定装置及び条件により、トナー試料と結晶性樹脂単体試料とをそれぞれ測定し、それぞれ得られる結晶性樹脂の吸熱量の比から〔式6〕によりトナー中の結晶性樹脂の含有量を求める。
DSC装置(DSC60 島津製作所製)を用いて、窒素ガス雰囲気下において室温から150℃まで昇温速度10℃毎分で昇温した時の試料5mgの熱量を測定する。
〔式6〕:結晶性樹脂の総量(質量%)=(トナー試料の結晶性樹脂の吸熱量(J/g))×100)/(結晶性樹脂単体の吸熱量(J/g))
DSC法により求められるトナー中の結晶性樹脂の含有量は、該結晶性樹脂を含有するトナーに対し1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。前記結晶性樹脂の含有量がトナーに対し1質量%以上であることにより、低温定着性の効果が発現し易くなる。一方、トナーに対し15質量%以下であることにより、耐熱保存性や耐排紙ブロッキング性の向上硬化がさらに高まる。
さらに好ましいトナー中の結晶性樹脂の含有量は、3質量%以上10質量%以下である。
(粒度分布測定)
本発明のトナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(マルチサイザーIII ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径50μmで測定することができる。
トナーの体積及び個数を測定し、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。粒度分布の指標としては、トナーの体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除したDv/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
本発明においてのトナーの体積平均粒径としては、高解像度で、高精細・高品質な画像を形成する観点から、1μm以上8μm以下が好ましく、4μm以上6μm以下がさらに好ましい。
また、前記トナーの粒度分布Dv/Dn(体積平均粒径(μm)/個数平均粒径(μm))としては、長期にわたって安定した画像を維持する観点から、1.00以上1.15以下が好ましく、1.00以上1.12以下がさらに好ましい。
更に、本発明のトナーは、トナーの個数粒径と頻度(個数)とをプロットした分布において、最も頻度(個数)の多い個数粒径(「最頻径」ともいう)の1.21倍以上1.31倍以下の個数粒径の範囲内に第二の頻度(個数)ピークを有するものであることが好ましい。前記第二の頻度(個数)ピークを示さない場合、特に前記粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.00(単分散)に近づいた場合には、トナーの細密充填性が非常に高くなるため、初期の流動性低下やクリーニング不良が起こりやすくなる。また、前記1.31倍より大きい個数粒径に第二の頻度(個数)ピークがある場合には、トナーとしての粗大粉が多く含まれることによる画質粒状性の低下が見られ好ましくない。
図5は、本発明のトナーの個数粒径と頻度(個数)とをプロットした分布の一例を示すグラフである。図5において、横軸は、個数粒径(μm)を、縦軸は、頻度(個数)を表す。最も頻度(個数)の多い個数粒径(「最頻径」ともいう。矢印Aで示される)の1.21倍以上1.31倍以下の個数粒径の範囲内に第二の頻度(個数)ピーク(矢印Bで示される)を有している。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、上記特性を満たすトナーであればよく、必要に応じて離形剤、着色剤、顔料分散剤、帯電制御剤、流動性向上剤又はクリーニング性向上剤等を含有してもよい。
前記トナーを構成する材料は特に限定はされないが、具体的な構成材料としては以下のようなものが挙げられる。
<結着樹脂>
前記結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性樹脂を有するのが好ましい。
<<非晶性ポリエステル樹脂>>
前記非晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを用いて得られる。
前記多価アルコール成分としては、2価のアルコール(ジオール)、具体的には炭素数2以上36以下のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等)、炭素数4以上36以下のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)、炭素数6以上36以下の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、前記脂環式ジオールの炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド(エチレンオキシド(以下、EOと略記する。)、プロピレンオキシド(以下、POと略記する。)、ブチレンオキシド(以下、BOと略記する。))付加物(付加モル数1以上30以下)又はビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)の炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2以上30以下)等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸成分としては、2価のカルボン酸(ジカルボン酸)、具体的には炭素数4以上36以下のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アピジン酸、セバシン酸等)、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸等)、炭素数4以上36以下の脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸(2量化リノール酸)等)、炭素数4以上36以下のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等)、又は炭素数8以上36以下の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸又はこれらの誘導体、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4以上20以下のアルカンジカルボン酸、炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸が好ましい。なお、前記多価カルボン酸成分としては、上述したものの酸無水物又は低級アルキル(炭素数1以上4以下)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)も挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このほか、ポリ乳酸やポリカーボネートジオールの如き開環重合系も好適に使用しうる。
前記非晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非晶性ポリエステルのガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上80℃以下が好ましい。前記Tgが、50℃未満であると、トナーの耐熱保存性、現像器内での攪拌等のストレスに対する耐久性に劣る場合があり、80℃を超えると、トナーの溶融時の粘弾性が高くなり、低温定着性に劣る場合がある。
前記非晶性ポリエステル樹脂の軟化温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、130℃以上180℃以下が好ましい。
前記非晶性ポリステルの分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。
<<結晶性樹脂>>
前記結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、優れたシャープメルト性、及び高い結晶性を有する点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、結晶性脂肪族ポリエステルであることがさらに好ましい。
前記脂肪族ポリエステルは、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸及び/又はその誘導体とを重縮合させて得られ、好ましくは分岐構造を有さない。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオールなどが挙げられる。前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオールが挙げられる。これらの中でも、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールがより好ましい。前記飽和脂肪族ジオールが分岐型であると、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が低下してしまうことがある。前記飽和脂肪族ジオールの炭素数が12を超えると、材料の入手が困難となることがあるので、前記炭素数は12以下であることがより好ましい。
前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが特に好ましい。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。
前記2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸若しくは1,18−オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、又はフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の芳香族ジカルボン酸、又はこれらの無水物、或いはこれらの低級(炭素数1以上3以下)アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、又はこれらの無水物、あるいはこれらの低級(炭素数1以上3以下)アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記多価カルボン酸としては、前記飽和脂肪族ジカルボン酸、前記芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、2重結合を持つジカルボン酸などを含有していてもよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数6以上14以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数4以上14以下の直鎖飽和脂肪族ジオールとを縮重合させて得られるものが好ましい。即ち、前記結晶性ポリエステルは、炭素数6以上14以下の飽和脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と、炭素数4以上14以下の飽和脂肪族ジオールに由来する構成単位とを有することが好ましい。また、飽和脂肪族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジオールの組み合わせにおける炭素数の総和は、16以上であり、炭素数4以上の直鎖脂肪族ジオールと炭素数8以上の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸との組み合わせからなることがより好ましく、炭素数8以上の直鎖脂肪族ジオールもしくは炭素数12以上の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が含まれていることが更に好ましい。例えば、直鎖脂肪族ジオールと炭素数8以上の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸との組み合わせとしては、1,4−ブタンジオールと1,12−ドデカンジカルボン酸、1,6−ヘキサンジオールと1,12−ドデカンジカルボン酸、1,10−デカンジオールとセバシン酸が挙げられる。その結果、得られる結晶性ポリエステルは樹脂、結晶性が高く、優れたトナーの耐熱保存性と耐排紙ブロッキング性を発揮できる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記結晶性ポリエステルの結晶性、分子構造等については、NMR測定、示差走査熱量計(DSC)測定、X線回折測定、GC/MS測定、LC/MS測定、赤外線吸収(IR)スペクトル測定などにより確認することができる。
<その他成分>
本発明のトナーは離形剤、着色剤、顔料分散剤、帯電制御剤等のその他の成分を含有してもよい。更に必要に応じて、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の外添剤を添加させてもよい。
<<離型剤>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知の離型剤の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はこれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、各種の合成エステルワックス、合成アミドワックスなどが挙げられる。
前記離型剤のその他の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、その他の直鎖アルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、その他の長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも前記離型剤として好ましく用いられる。
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーに対して、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチとともに混練される樹脂としては、例えば、前記ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体など、目的に応じて適宜選択することができる。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合し、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。
前記マスターバッチの使用量としては、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1以上100以下で、前記着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10以上50以下で、前記着色剤を分散させて使用することがより好ましい。
<<顔料分散剤>>
前記マスターバッチの製造時に、着色剤の分散性を高めるために顔料分散剤を用いてもよい。
前記顔料分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができるが、顔料分散性の点で、前記結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、そのような市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ株式会社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記顔料分散剤の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500以上100,000以下が好ましい。これらの中でも、顔料分散性の観点から、3,000以上〜100,000以下がより好ましく、5,000以上50,000以下がさらに好ましく、5,000以上30,000以下が特に好ましい。前記分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、前記分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤100質量部に対して1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、5質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると、帯電性が低下することがある。
<<帯電制御剤>>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
前記帯電制御剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
<<流動性向上剤>>
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが挙げられる。また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカであってもよい。
<<クリーニング性向上剤>>
前記クリーニング性向上剤としては、特に制限はなく、記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナーの除去性を向上させるものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子などを挙げることかできる。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、液滴形成工程と、液滴固化工程とを少なくとも含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
上記特性を示すトナーを得るためには、結着樹脂及び離型剤を有機溶剤中に溶解乃至分散させたトナー組成液を吐出させて液滴を形成する液滴形成工程と、前記液滴を固化してトナー粒子を形成する液滴固化工程とを含むトナーの製造方法により製造されるとよい。
<液滴形成工程>
前記液滴形成工程は、トナー組成液を吐出させて液滴を形成する工程である。
前記トナー組成液は、前記結着樹脂及び離型剤を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有するトナー組成物を、有機溶剤に溶解乃至分散させて得ることができる。
前記有機溶剤としては、前記トナー組成液中のトナー組成物を溶解乃至分散できる揮発性のものであり、かつ、前記トナー組成液中の前記結着樹脂及びその他の成分を相分離させることなく溶解させることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<有機溶剤>>
前記有機溶剤としては、前記トナー組成物を溶解乃至分散できる揮発性のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類の溶剤が好ましく用いられ、特にテトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<トナー組成液の調製方法>>
前記トナー組成物を溶剤に溶解乃至分散することによりトナー組成液を得ることができる。
前記トナー組成液の調製には、ホモミキサーやビーズミルなどを用いて、着色剤等の分散体がノズルの開口径に対して充分微細とすることが吐出孔の詰りを防止するために重要となる。
前記トナー組成液の固形分は3質量%以上40質量%以下であることが好ましい。前記固形分が3質量%未満であると、生産性が低下するだけでなく、着色剤等の分散体が沈降や凝集を起こしやすくなりためトナー粒子ごとの組成が不均一になりやすくトナー品質が低下する場合がある。前記固形分が40質量%を超えると、小粒径のトナーが得られない場合がある。
前記トナー組成液を吐出させて液滴を形成する工程としては、液滴吐出手段を用いて液滴を吐き出させて行うことができる。
<<液滴吐出手段>>
前記液滴吐出手段としては、吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを用いることができ、例えば、1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段などが挙げられる。
前記膜振動タイプ吐出手段としては、例えば、特開2008−292976号公報に記載の吐出手段が、前記レイリー分裂タイプ吐出手段としては、例えば、特許第4647506号号公報に記載の吐出手段が、前記液振動タイプ吐出手段としては、例えば、特開2010−102195号公報に記載の吐出手段が挙げられる。
液滴の粒径分布を狭くし、かつ、トナーの生産性を確保するためには、前記液柱共鳴タイプ吐出手段を用いた、液滴化液柱共鳴を利用することができる。液滴化液柱共鳴では、液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された複数の吐出孔から液体を吐出すればよい。
吐出手段により吐出される液体としては、得ようとしている微粒子の成分が溶解又は分散された状態にある「微粒子成分含有液」である態様を挙げることができる。また、吐出させる条件下で液体であれば溶媒を含まなくてもよく、微粒子成分が溶融している状態にある「微粒子成分溶融液」の態様であってもよい。
<<<液柱共鳴吐出手段>>>
液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について解説する。
図2に液柱共鳴液滴吐出手段101を示す。液柱共鳴液滴吐出手段101は、液共通供給路107及び液柱共鳴液室108を含んで構成されている。液柱共鳴液室108は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路107と連通されている。また、液柱共鳴液室108は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴111を吐出する吐出孔109と、吐出孔109と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段110とを有している。振動発生手段110は、所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が望ましい。なお、振動発生手段110には、図示していない高周波電源が接続されている。符号102は気流通路である。
トナー組成液104は、図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、液共通供給路107内に流入し、液柱共鳴液室108に供給される。そして、トナー組成液104が充填されている液柱共鳴液室108内には、振動発生手段110によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔109から液滴111が吐出される。この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。定在波の腹となる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路107を通過したトナー組成液104は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴111の吐出によって液柱共鳴液室108内のトナー組成液104の量が減少すると、液柱共鳴液室108内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路107から供給されるトナー組成液104の流量が増加し、液柱共鳴液室108内にトナー組成液104が補充される。そして、液柱共鳴液室108内にトナー組成液104が補充されると、液共通供給路107を通過するトナー組成液104の流量が元に戻る。
<液滴固化工程>
前記液滴固化工程は、前記液滴を固化してトナーを形成する工程である。具体的には、前記液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー組成液の液滴を固化させる処理の後、捕集する処理を行うことで、トナーを得ることができる。
<<液滴固化手段>>
液滴を固化させるには、トナー組成液を固体状態にできれば、特に制限はなく、トナー組成液の性状により、適宜選択することができ、例えば、トナー組成液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解乃至分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類などを適宜選定して乾燥状態を調整することができる。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。また、温度変化や化学的反応などを施すことにより、固化状態を形成させてもよい。
<<<固化粒子捕集手段>>>
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することができる。
図3は、トナーの製造方法を実施する装置の一例を示す断面図である。トナー製造装置1は、液滴吐出手段101及び乾燥捕集ユニット600を有する。
前記液滴吐出手段101には、トナー組成液104を収容する原料収容器103と、原料収容器103に収容されているトナー組成液104を、液供給管106を通して液滴吐出手段101に供給し、更に液戻り管202を通って原料収容器103に戻すために液供給管106内のトナー組成液104を圧送する液循環ポンプ105とが連結されており、トナー組成液104を随時液滴吐出手段101に供給できる。液供給管106にはP1、乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段101への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、トナー組成液1が吐出口109から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ601内では、搬送気流導入口604から作られる下降気流(以下、搬送気流という。)1001が形成されている。液滴吐出手段101から吐出された液滴111は、重力にのみよってではなく、搬送気流1001によっても下方に向けて搬送され、搬送気流排出口605を経て固化粒子捕集手段602によって捕集され、トナー貯留部603に貯留される。
<<<<搬送気流>>>>>
前記搬送気流については、以下の点にも留意するとよい。
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下、この現象を「合着」ともいう)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は、定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流1001によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段602まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流1001は図2に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することができる。あるいは、図4に示すように吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていてもよく、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図4に示すように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することができ、第二の気流と必ずしも同じでなくともよい。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用を施したりしてもよい。
搬送気流1001は、特に気流の状態として限定されることはなく、層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流1001を構成する気体の種類は特に限定はなく、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いてもよい。また、搬送気流1001の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動のないことが望ましい。またチャンバ601内に搬送気流1001の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流1001は液滴111同士の合着を防止するだけでなく、チャンバ601に付着することを防止することに用いてもよい。
<二次乾燥>
トナーの製造方法には、さらに二次乾燥工程を施してもよい。
例えば、図3に示された固化粒子捕集手段602によって得られたトナー粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合は、これを低減するために、必要に応じて、二次乾燥が行われる。
二次乾燥としては、特に制限はなく、流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることができる。有機溶剤がトナー中に残留すると、耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく、加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥が必要である。
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有し、更に必要に応じて、キャリアなどのその他の成分を含有する。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト等のキャリア、樹脂コートキャリアなどを挙げることができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子と該キャリアコア粒子の表面を被覆(コート)する樹脂である樹脂被覆材とからなる。
前記キャリアの体積抵抗値としては、特に制限はなく、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量などに応じて適宜調整することにより設定することができるが、10log(Ω・cm)以上1010log(Ω・cm)以下が好ましい。
前記キャリアの平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4μm以上200μm以下が好ましい。
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えばトナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジ等があげられる。
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
プロセスカートリッジとは、少なくとも像担持体と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、本発明のトナーを用いて画像形成が行われるため、画像の低温定着性に優れ、耐熱保存性及び耐排紙ブロッキング性が良好となるという効果を奏する。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明における画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、本発明のトナー又は現像剤を用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、該可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程とを有する。さらに必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を有する。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、本発明のトナー又は現像剤を用いて、該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有する。さらに必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。以下詳細を説明する。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、等が挙げられる。これらの中でも、より高精細な画像が得られる点で、有機感光体(OPC)が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段(露光器)とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。
前記定着装置が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、各工程は制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
図6に、本発明の画像形成装置の第一例を示す。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。また、中間転写ベルト50の近傍に、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。
また、中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が、中間転写ベルト50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、各色の現像ユニット45は、現像剤収容部42、現像剤供給ローラ43及び現像ローラ(現像剤担持体)44を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)を用いて、感光ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ70により除電される。
図7に、本発明で用いられる画像形成装置の第二例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
図8に、本発明で用いられる画像形成装置の第三例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの静電潜像担持体10Y、10C、10M及び10Kが並置されている。
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、図9に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ160と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置63と、除電ランプ64とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ18上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下「部」は質量部を表す。
(実施例1)
<トナー組成液の作製>
トナー組成物を下記表1の割合で混合し、70℃にて攪拌羽を有するミキサーを使用して溶解した。溶解後、液温を45℃に調整し、さらに下記カーボンブラック分散液を顔料分が下表の部数となるように混合し、10分間撹拌することによりトナー組成液を調製した。
表1中の組成については以下に詳細に説明する。
<<着色剤分散液の調整>>
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)10部、及び顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ社製)2部を、酢酸エチル88部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(フロリナートメンブレンフィルターFHLP09050、日本ミリポア株式会社)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させたカーボンブラック分散液を調製した。
<<非晶性ポリエステル樹脂Aの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコール、並びに、ジカルボン酸としてテレフタル酸及コハク酸を、モル比(テレフタル酸/コハク酸)=80/20、OH/COOH(モル比)=2.0となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、300ppm(モノマーに対して)のチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて非晶性ポリエステル樹脂Aを得た。
得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は58.6℃であった。
<<結晶性ポリエステル樹脂Aの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,4−ブタンジオール、並びにジカルボン酸としてドデカン二酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂Aを得た。
得られた樹脂は、融点(Tm)72.9℃、結晶化温度(Tc)56.5℃であった。
<<トナーの作製>
上記のように調製したトナー組成液を、図2に示す液滴吐出手段を有する図3のトナーの製造装置を用いて以下のような条件で、液滴を吐出させた。液滴を吐出させた後、乾燥窒素を用いた液滴固化手段により該液滴を乾燥固化し、サイクロン捕集した後、さらに35℃/90%RHにて48時間、40℃/50%RHにて24時間送風乾燥することにより、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
液柱共鳴液室の長手方向の長さL :1.85mm
吐出孔開口部 :直径8.0μm
乾燥温度(窒素) :60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中):30%
駆動周波数 :340kHz
圧電体への印加電圧 :10.0V
次に、このトナー母体粒子100部に対し、市販のシリカ微粉体であるNAX50(日本アエロジル社製;平均一次粒径30nm)2.8部、及びH20TM(クラリアント社製;平均一次粒径20nm)0.9部をヘンシェルミキサーにより混合した。次いで、これを目開き60μmの篩を通過させることにより粗大粒子や凝集物を取り除くことで、トナー1を得た。
トナー作製に使用した非晶性ポリエステル樹脂、結晶性樹脂の種類及び添加量について表2に示す。
またトナー1に対して、前述した測定方法により得られたTUp、TDn及びΔT、結晶性樹脂の含有量(質量部)、トナーの粒度分布、最頻系、第二のピークの個数粒径を求めた。測定結果を表3に示す。
<現像剤の作製>
得られたトナー1を4部、及び以下で記載する磁性キャリア96.0部をボールミルで混合して現像剤を作製した。
―キャリアの作製−
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100質量部
トルエン 100質量部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
カーボンブラック 10質量部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を、流動床型コーティング装置を用いて、粒径50μmの球状マグネタイト1000質量部の表面にコーティングして磁性キャリアを得た。
トナー1を含む現像剤を用いた画像形成装置を使い、以下で記載する評価方法により、耐熱保存性、定着下限温度、耐排紙ブロッキング性を評価した。結果を表4に示す。
<耐熱保存性(針入度)>
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準で評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。
なお、本発明においては針入度を貫入深さ(mm)で表す。
〔評価基準〕
○:針入度が20mm以上
△:針入度が5mm以上20mm未満
×:針入度が5mm未満
<定着下限温度>
市販の複写機imageo Neo C600(株式会社リコー製)を使用し、転写紙(リコービジネスエキスパート社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85±0.10mg/cmの紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像した。
定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面に、描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)により荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は、転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度が低い程、低温定着性に優れるので、定着下限温度により、下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:定着下限温度が120℃以下
△:定着下限温度が120℃を超え、130℃以下
×:定着下限温度が130℃を超える
<耐排紙ブロッキング性>
A4紙に全面ベタ画像(トナー付着量は0.85mg/cm)の未定着画像を定着機に30枚連続通紙した。そして、すぐに重ね合わせてその上に更にA4紙70枚を載せて荷重をかけた。10分間放置後の画像状態を下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:紙同士が接着していない。すぐにはがれる。
△:やや接着するが、画像にはがした跡が残らない。
×:強く接着し無理にはがすと画像上のトナーがはがれる。
(実施例2)
実施例1において、非晶性ポリエステル樹脂の添加部を86.5部、結晶性ポリエステル樹脂の添加部を6.5部とした以外は実施例1と同様にしてトナー2を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
(実施例3)
実施例1において、非晶性ポリエステル樹脂の添加部を88.4部、結晶性ポリエステル樹脂の添加部を4.7部とした以外は実施例1と同様にしてトナー3を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
(実施例4)
実施例1において、非晶性ポリエステル樹脂の添加部を90.2部、結晶性ポリエステル樹脂の添加部を2.8部とした以外は実施例1と同様にしてトナー4を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
(実施例5)
実施例1において、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに結晶性ポリエステル樹脂Bを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー5を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
<<結晶性ポリエステル樹脂Bの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてエチレングリコール、並びにジカルボン酸としてドデカン二酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂Bを得た。
得られた樹脂は、融点(Tm)84.1℃、結晶化温度(Tc)66.6℃であった。
(実施例6)
実施例1において、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに結晶性ポリエステル樹脂Cを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー6を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
<<結晶性ポリエステル樹脂Cの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてヘキサンジオール、並びにジカルボン酸としてドデカン二酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂Cを得た。
得られた樹脂は、融点(Tm)75.0℃、結晶化温度(Tc)58.4℃であった。
(実施例7)
実施例1において、非晶性樹脂として非晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに非晶性ポリエステル樹脂Bを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー7を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
<<非結晶性ポリエステル樹脂Bの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコール、並びに、ジカルボン酸としてテレフタル酸及びコハク酸を、モル比(テレフタル酸/コハク酸)=90/10、OH/COOH(モル比)=2.0となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、300ppm(モノマーに対して)のチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて得た。
得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は77.3℃であった。
(実施例8)
実施例1において、非晶性樹脂として非晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに非晶性ポリエステル樹脂Cを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー8を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
<<非結晶性ポリエステル樹脂Cの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコール、並びに、ジカルボン酸としてテレフタル酸及びコハク酸を、モル比(テレフタル酸/アジピン酸)=80/20、OH/COOH(モル比)=2.0となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、300ppm(モノマーに対して)のチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて得た。
得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は54.0℃であった。
(比較例1)
実施例1において、結晶性樹脂を添加せず、非晶性ポリエステル樹脂の添加部を93部としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー9を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
(比較例2)
実施例1において、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに結晶性ポリエステル樹脂Dを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー10を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
<<結晶性ポリエステル樹脂Dの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてエチレングリコール、並びにジカルボン酸としてセバシン酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂Dを得た。
得られた樹脂は、融点(Tm)78.2℃、結晶化温度(Tc)49.0℃であった。
(比較例3)
実施例1において、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに結晶性ポリエステル樹脂Eを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー11を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
<<結晶性ポリエステル樹脂Eの合成>>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,4−ブタンジオール、並びにジカルボン酸としてセバシン酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg以上30mmHg以下の減圧下、4時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂Eを得た。
得られた樹脂は、融点(Tm)64.4℃、結晶化温度(Tc)46.1℃であった。
(比較例4)
実施例7において、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂Aの代わりに結晶性ポリエステル樹脂Dを用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー11を得た。
実施例1と同様の方法によりトナー及び現像剤を得て、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2、表3および表4に示す。
表3、4の結果から、実施例のトナーは、低温定着性に優れ、耐熱保存性及び耐排紙ブロッキング性が良好であることが分かる。これに対し、比較例1のトナーは、〔式1〕65℃≦TUP≦75℃および〔式2〕75℃≦TDn≦80℃の条件を満たさないため、低温定着性が悪化した。また、比較例2〜4のトナーは、上記〔式2〕および〔式3〕4℃≦ΔT(TDn−TUp)≦8℃を満たさないため、耐排紙ブロッキング性が悪化した。
1 トナー製造装置
9 弾性板
10 感光体ドラム
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 クリーニング装置
18 手差しトレイ
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45C シアン現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写ベルト
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
60 クリーニング装置
61 現像装置
62 転写ローラ
63 クリーニング装置
64 除電ランプ
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100A、100B、100C 画像形成装置
101 液柱共鳴液滴吐出手段
102 気流通路
103 原料収容器
104 トナー組成液
105 液循環ポンプ
106 液供給管
107 液共通供給路
108 液柱共鳴流路
109 吐出口
110 振動発生手段
111 液滴
120 画像形成ユニット
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電ローラ
200 給紙テーブル
202 液戻り管
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
600 乾燥捕集手段
601 チャンバ
602 トナー捕集手段
603 トナー貯留部
604 搬送気流導入口
605 搬送気流排出口
1001 下降気流
P1 液圧力計
P2 チャンバ内圧力計
特許第3949553号公報 特開2015−161763号公報 特許第4155108号公報 特開2013−156522号公報

Claims (8)

  1. 結晶性樹脂を含有するトナーであって、
    前記トナーの昇温時の貯蔵弾性率をG1および降温時の貯蔵弾性率をG2とし、
    G1が107Pa・sとなる温度をTUpとし、G2が10Pa・sとなる温度をTDnとし、
    またTUPとTDnとの温度差をΔTとして規定したとき、〔式1〕、〔式2〕および〔式3〕を全て満たすことを特徴とするトナー。
    〔式1〕65℃≦TUP≦75℃
    〔式2〕75℃≦TDn≦80℃
    〔式3〕4℃≦ΔT(TDn−TUp)≦8℃
  2. 前記結晶性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー中の前記結晶性樹脂の含有量が示差走査熱量計により求められる結晶性樹脂の吸熱量を質量換算した値で、前記トナーに対して1質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記温度TUpおよびΔTが以下の〔式4〕および〔式5〕を全て満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
    〔式4〕65℃≦TUp≦70℃
    〔式5〕5℃≦ΔT≦8℃
  5. 体積平均粒径が1μm以上8μm以下であり、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00以上1.15以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記トナーの体積基準粒度分布において、最頻径の1.21倍以上1.31倍以下の粒径に少なくとも第2のピークを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトナー。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
  8. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、
    前記記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、
    前記トナーが、請求項1〜6のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。

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