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JP2017104091A - 間葉系細胞の製造方法 - Google Patents

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JP2017104091A JP2016108436A JP2016108436A JP2017104091A JP 2017104091 A JP2017104091 A JP 2017104091A JP 2016108436 A JP2016108436 A JP 2016108436A JP 2016108436 A JP2016108436 A JP 2016108436A JP 2017104091 A JP2017104091 A JP 2017104091A
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Ping Dai
平 戴
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Yoshinori Harada
義規 原田
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Toshiichi Yoshikawa
敏一 吉川
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Abstract

【課題】本発明により、高い効率で、かつ短期間で間葉系細胞を直接誘導可能な方法が提供される。【解決手段】本発明により、間葉系細胞を製造する方法であって、細胞内のシグナルを制御しうる条件下に体細胞を培養する工程を包含する方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は体細胞を材料として間葉系幹細胞をはじめとする間葉系の細胞を製造する方法に関する。本発明はまた、前記方法により得られる間葉系細胞、当該細胞を有効成分として含有する再生医療用の組成物に関する。
近年の細胞関連研究の発展、とくに多能性細胞に関する多くの研究成果は、個体への移植に利用可能な品質、量の治療用細胞の入手に道を開いた。すでにいくつかの疾患についてはその治療に有効な形質を有する細胞を患者に移植する試みが開始されている。
間葉系の細胞は筋肉、骨、軟骨、骨髄、脂肪、結合組織等、生体の種々の器官を形成しており、再生医療の材料として有望である。間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)は骨髄、脂肪組織、血液、胎盤、臍帯、等の組織に存在する未分化細胞である。間葉系に属する細胞への分化能を有しているため、間葉系幹細胞はそれらの細胞を製造する際の出発材料として注目されている。また、間葉系幹細胞自体を骨、軟骨、心筋等の再構築に利用する再生医療への取り組みも始められている。
再生医療では、治療用細胞を入手、作製する手段は課題とされている。非自己ドナー由来の細胞、胚性幹細胞から分化させた細胞は拒絶反応のおそれがあるため、自己の細胞より多能性幹細胞(例えばiPS細胞)を作製し、これを所望の細胞に分化させたものが治療用細胞として期待されている。また、他家移植を安全に実施するために、種々のHLA型の細胞からiPS細胞のストックを作製し、保存しておく試みも開始されている。これらの方法では、iPS細胞の作製(リプログラミング)、所望の細胞への分化、の双方のステップで高い転換効率を得ることが必要である。
一方、線維芽細胞のような体細胞を直接他の細胞に転換する方法も報告されており、例えば、線維芽細胞を化学物質と共に培養することで神経細胞を得ることが知られている(非特許文献1)。このような、遺伝子導入を行わずに体細胞から所望の細胞への転換を行う方法は、治療用細胞を取得する手段としてより有効な選択肢である可能性がある。
ジャーナル オブ クリニカル バイオケミストリー アンド ニュートリション(Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition、2015年、第56巻、第3号、166−170頁
本発明の目的は、人為的な遺伝子導入を行うことなく、体細胞から短期間に直接かつ効率よく間葉系幹細胞ならびに種々の間葉系細胞を誘導する方法を提供することにある。
本発明者らは、治療その他の用途に使用できる間葉系幹細胞を得る方法について鋭意研究を重ねた結果、体細胞を培養する際に種々の細胞内シグナルを制御することにより、高効率で間葉系幹細胞を誘導できることを見出した。さらに、同様の手法によって体細胞から各種の間葉系細胞を直接誘導できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1] 間葉系細胞を製造する方法であって、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程を包含する方法、
[2] Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下に体細胞を培養する工程を包含する[1]の方法、
[3] Smadシグナルがトランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤又は骨形成タンパク質シグナル阻害剤により阻害される[2]の方法、
[4] p53シグナルがp53阻害剤により阻害される[2]または[3]の方法、
[5] グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルがグリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル阻害剤により阻害される[2]〜[4]のいずれかの方法、
[6] 細胞内cAMP濃度がアデニル酸サイクラーゼ活性化剤により増加される[2]〜[5]のいずれかの方法、
[7] トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有する培地中で体細胞の培養が実施される[2]の方法、
[8] トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有する培地中で、2日間以上体細胞の培養が実施される[7]の方法、
[9] 体細胞が分化した細胞である[1]〜[8]のいずれかの方法、
[10] 体細胞が線維芽細胞である[9]の方法、
[11] 体細胞がヒト細胞である[1]〜[10]のいずれかの方法、
[12] 間葉系細胞が、間葉系幹細胞である[1]〜[11]のいずれかの方法、
[13] 間葉系幹細胞を分化させる工程をさらに包含する[12]の方法、
[14] 間葉系幹細胞を分化させる工程が、間葉系幹細胞を脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞及び心筋細胞からなる群より選択される細胞に分化させる工程である[13]の方法、
[15] 脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞及び心筋細胞からなる群より選択される間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質を含有する培地が使用される[14]の方法、
[16] 間葉系幹細胞を分化させる工程が、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程の次に行われるか、または体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程と同時に行われる、[13]〜[15]のいずれかの方法、
[17] 培地が、間葉系幹細胞から他の間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質をさらに含有することを特徴とする[7]または[8]の方法、
[18] [1]〜[17]いずれかの方法で得られる間葉系細胞、
[19] [18]の間葉系細胞を有効成分として含有する医薬用の組成物、および
[20] 間葉系細胞を有効成分として含有する医薬用の組成物の製造方法であって、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養して間葉系細胞を得る工程を包含する方法
に関する。
本発明の方法によれば、入手の容易な体細胞を材料として、高い効率で、かつ短期間で間葉系幹細胞をはじめとする間葉系細胞を直接誘導できる。また、細胞への外来遺伝子の挿入のリスクもなく、より安全性の高い間葉系細胞の取得が可能となる。
培養開始3日後の細胞のCD105の発現を示す図である。 培養開始8日後の細胞のCD105の発現を示す図である。 培養開始9日後の細胞のCD105の発現を示す図である。 骨芽細胞誘導培地で培養したヒト線維芽細胞の、von Kossa染色の結果を示す図である。 対照培地で培養したヒト線維芽細胞の、von Kossa染色の結果を示す図である。 軟骨細胞誘導培地で培養したヒト線維芽細胞の、アルシアンブルー染色の結果を示す図である。 対照培地で培養したヒト線維芽細胞の、アルシアンブルー染色の結果を示す図である。
本発明において、間葉系細胞には、間葉系幹細胞をはじめとする未分化な間葉系細胞、ならびに分化型の間葉系細胞、すなわち、間葉系に属するすべての細胞が包含される。
(1)本発明の間葉系幹細胞の製造方法
本発明は、細胞内のシグナルを制御しうる条件下に体細胞を培養する工程を包含する、間葉系幹細胞の製造方法に関する。細胞内のシグナルには、例えば、Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル、細胞内cAMPを介するシグナル等がある。細胞内シグナルの制御としては、例えば、Smadシグナルの阻害、p53シグナルの阻害、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害、細胞内cAMP濃度の増加等が挙げられる。細胞内のシグナルを制御しうる条件とは、細胞内シグナルの制御を達成できるいずれの条件であってもよく、例えば、公知の化学的手段または物理的手段を利用することができる。さらに、本発明は、Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下に体細胞を培養する工程を包含する、間葉系幹細胞の製造方法に関する。
生物の細胞は体細胞と生殖細胞に大きく二分される。本発明の間葉系幹細胞の製造方法には、その出発材料として任意の体細胞が使用できる。体細胞には特に限定はなく、生体から採取された初代細胞、株化された細胞のいずれでもよい。間葉系細胞または間葉系幹細胞の分化系列に属さない体細胞も本発明に使用することができる。本発明には分化の種々の段階にある体細胞、例えば、最終分化した体細胞、最終分化への途上にある体細胞、初期化され多能性を獲得した体細胞を使用することができる。本発明に使用できる体細胞としては、特に本発明を限定するものではないが、任意の体細胞、例えば造血系の細胞(各種のリンパ球、マクロファージ、樹状細胞、骨髄細胞等)、臓器由来の細胞(肝細胞、脾細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞等)、筋組織系の細胞(骨格筋細胞、平滑筋細胞、筋芽細胞、心筋細胞等)、線維芽細胞、神経細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、間質細胞、脂肪細胞が挙げられる。またこれら細胞の前駆細胞、癌細胞、にも本発明の方法を適用できる。
上記の体細胞の供給源としては、ヒトもしくは非ヒト動物が例示されるがこれらに限定されるものではない。ヒトへの投与を目的として本発明の方法により間葉系幹細胞を製造する場合、好ましくはレシピエントと組織適合性抗原のタイプが一致又は類似したドナーより採取された体細胞が材料とされる。レシピエント自身より採取された体細胞を間葉系幹細胞の誘導に供してもよい。
Smadは、トランスフォーミング増殖因子(transforming growth factor:TGF)−βスーパーファミリーの細胞内シグナル伝達を担っている一群の分子である。TGF−βスーバーファミリーには、TGF−βの他、アクチビン、骨形成タンパク質(bone morphogenic protein:BMP)などが含まれる。TGF−βスーパーファミリーのサイトカインが結合したレセプターによりリン酸化を受けると、Smadは核内に移行して転写活性化因子として機能する。Smadにより伝達されるシグナルは細胞の増殖、分化、アポトーシスの制御に関わっている。
本発明の方法における「Smadシグナルの阻害下」の培養条件を達成するための手段には特に限定はなく、Smadシグナルを阻害することができる公知の手段を利用することができる。本発明にはSmadに直接作用してその機能を阻害する物質(例えば抗Smad抗体やその他の薬剤)や、Smad自体の産生を抑制する薬剤等を利用することができる。また、Smadが関わるシグナル伝達をその上流で阻害することによってもSmadシグナルを阻害することができる。すなわち、TGF−βスーパーファミリーのサイトカイン及び/又はそのレセプターの機能を阻害することにより、本発明を実施することができる。当該方法には、抗サイトカイン抗体、抗サイトカインレセプター抗体(アンタゴニスト抗体)、サイトカインレセプター阻害剤等が使用できる。本発明では、特に本発明を限定するものではないが、阻害剤として作用する物質、例えばTGF−βシグナル阻害剤及び/又はBMPシグナル阻害剤でTGF−β及び/又はBMPが関わるシグナル伝達を阻害することにより、Smadシグナルを阻害することが好適である。
本発明に使用できるTGF−βシグナル阻害剤としては、SB431542(CAS No. 301836−41−9)、RepSox[E−616452](CAS No. 446859−33−2)、A−83−01(CAS No. 909910−43−6)、LY364947(CAS No. 396129−53−6)、SD208(CAS No. 627536−09−8)が例示される。また、本発明に使用できるBMPシグナル阻害剤としては、LDN−193189(CAS No. 1062368−24−4)、Dorsomorphin(CAS No. 866405−64−3)、ノギン(Noggin:J Neuroscience, 1995, Vol. 15, p6077−84)が例示される。間葉系幹細胞の誘導に有効なTGF−βシグナル阻害剤、BMPシグナル阻害剤の濃度は適宜決定すればよい。特に本発明を限定するものではないが、例えば、SB−431542は0.2μM〜20μM、LDN−193189は0.1μM〜10μMの範囲で、それぞれ本発明の方法に使用することができる。
p53タンパク質は、がん抑制遺伝子として知られているp53遺伝子の産物であり、細胞周期調節やアポトーシス制御に関わっている。その機能はDNAとの特異的結合並びに遺伝子発現制御を通じて発揮されている。
本発明における「p53シグナルの阻害下」の培養条件を達成するための手段には特に限定はなく、p53シグナルを阻害することができる公知の手段を利用すればよい。p53タンパク質の活性は細胞やDNAのダメージの影響を受けることが知られており、適切な物理的、化学的処理を細胞に施すことでp53シグナルを阻害することができる。前記の物理的処理としては振動、可視光もしくは放射線の照射、温度刺激等が挙げられる。また、抗p53タンパク質抗体や公知のp53シグナル阻害剤も本発明に好適である。本発明に使用できるp53阻害剤としては、ピフィスリン(Pifithrin)−α(CAS No. 63208−82−2)、ピフィスリン−β(CAS No. 511296−88−1)、ピフィスリン−μ(CAS No. 64984−31−2)、NSC66811(CAS No. 6964−62−1)、Nutlin−3(CAS No. 548472−68−0)が例示される。間葉系幹細胞の誘導に有効なp53阻害剤の濃度は適宜決定すればよい。特に本発明を限定するものではないが、例えば、ピフィスリンは0.5μM〜50μMの範囲で本発明の方法に使用することができる。
グリコーゲン合成酵素キナーゼ(glycogen synthase kinase:GSK)3βは、グリコーゲン合成酵素をリン酸化して不活性化するプロテインキナーゼとして見いだされた。GSK3βは種々のタンパク質をリン酸化する活性を有しており、グリコーゲン代謝のみならず、細胞分裂、細胞増殖他の生理現象にも関わっている。
本発明の方法における「GSK3βシグナルの阻害下」の培養条件には特に限定はなく、GSK3βの活性を阻害する物質、例えば抗GSK3β抗体やGSK3β阻害剤のようなGSK3βシグナル阻害手段を利用することができる。また、GSK3βは自身の特定の部位がリン酸化されると活性を失うことから、当該リン酸化を促進する手段もGSK3βシグナルの阻害に利用することができる。本発明に使用できるGSK3βシグナル阻害剤としては、CHIR99021(CAS No. 252917−06−9)、BIO((2’Z,3’E)−6−Bromoindirubin−3’−oxime;CAS No. 667463−62−9)、Kenpaullone(CAS No. 142273−20−9)、A1070722(CAS No. 1384424−80−9)が例示される。本発明の方法に有効なGSK3βシグナル阻害剤の濃度は適宜決定すればよく、特に限定はされないが、例えば、CHIR99021は0.1μM〜10μMの範囲で本発明の方法に使用することができる。
環状アデノシン1リン酸(cAMP)は、セカンドメッセンジャーとして種々の細胞内シグナル伝達に関わっている物質である。cAMPは、細胞内ではアデニル酸サイクラーゼ(adenylate cyclase)によりアデノシン3リン酸(ATP)が環状化されることで生成する。
本発明の方法における「細胞内cAMP濃度を増加させる条件下」の培養条件には特に限定はない。cAMPの生成に関わる酵素であるアデニル酸サイクラーゼに直接作用して活性化できる物質、アデニル酸サイクラーゼの発現を促進しうる物質の他、cAMPを分解する酵素であるホスホジエステラーゼを阻害する物質等を細胞内cAMP濃度を増加させる手段として使用することができる。細胞内でcAMPと同じ作用を持つ、cAMPの構造類似体であるジブチリルcAMP(dibutyryl cAMP)も本発明に使用できる。本発明に使用できるアデニル酸サイクラーゼ活性化剤としては、フォルスコリン(forskolin;CAS No. 66575−29−9)やフォルスコリン誘導体(例えば特開2002−348243)が例示される。本発明の方法に有効なアデニル酸サイクラーゼ活性化剤の濃度は適宜決定すればよく、特に限定はされないが、例えば、フォルスコリンは0.5μM〜50μMの範囲で本発明の方法に使用することができる。
本発明による間葉系幹細胞の製造では、Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下で体細胞の培養が実施される。本発明の好適な態様では、Smadシグナルを阻害する手段としてのトランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤及び骨形成タンパク質シグナル阻害剤に加えて、p53阻害剤、GSK3βシグナル阻害剤並びにアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有させた培地中で体細胞を培養することにより、体細胞から一段階の培養で、直接間葉系幹細胞を得ることができる。前記の阻害剤及び活性化剤(以下、有効成分と記載する場合がある)は、間葉系幹細胞の誘導に有効な濃度で培地に添加される。間葉系幹細胞の誘導に有効な濃度は、適宜決定すればよく、特に限定されないが、例えば、0.1μM〜50μM程度である。
本発明の間葉系幹細胞の製造方法の好適な態様では、体細胞を培養する工程においてヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を使用しない。核初期化因子によるリプログラミングを促進すると言われるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を使用しない本発明の方法では、意図しない分化を起こしかねない全能性の細胞が誘導されるリスクはより低いと言える。
本発明における体細胞の培養は、使用する体細胞の種類に応じた培地、温度、その他の条件を選択し、前記の各種シグナルに対する阻害手段等を発揮させて実施すればよい。培地は公知の培地や市販の培地から選択することができる。例えば、一般的な培地であるMEM、DMEM、DMEM/F12やこれらを改変した培地に適切な成分(血清、タンパク質、アミノ酸、糖類、脂肪酸類、抗生物質等)を添加して使用することができる。
培養条件としては、一般的な細胞培養の条件を選択すればよい。37℃、5%COの条件が例示される。培養中は適切な間隔で有効成分を含有する培地の交換を実施することが好ましい。線維芽細胞を材料として本発明の方法を実施する場合、前記の有効成分を含有する培地での培養開始から2日後には間葉系幹細胞のマーカーを発現する細胞が出現する。通常、有効成分を含有する培地中で2日から30日、好ましくは3日から20日培養することで、間葉系幹細胞を得ることができる。使用する体細胞として培養の容易なものを選択することにより、あらかじめ細胞数を増加させた体細胞を間葉系幹細胞に転換することも可能である。したがってスケールアップした間葉系幹細胞製造も容易である。
前記の培養には、プレート、ディッシュ、細胞培養用フラスコ、細胞培養用バッグ等の細胞培養用器材(容器)を使用することができる。なお、細胞培養用バッグとしては、ガス透過性を有するものが好適である。大量の細胞を必要とする場合には、大型培養槽を使用してもよい。培養は開放系又は閉鎖系のどちらでも実施することができるが、得られた間葉系幹細胞のヒトへの投与等を目的とする場合には、閉鎖系で培養を実施することが好ましい。
本発明の間葉系幹細胞の製造方法により、間葉系幹細胞を含有する細胞集団が得られる。この細胞集団をそのままいろいろな目的に使用することが可能であるが、適切な手段により間葉系幹細胞を分離もしくは富化してもよい。例えば、間葉系幹細胞に特徴的な細胞表面マーカーを認識する抗体を使用して間葉系幹細胞を高含有する細胞集団や純化された間葉系幹細胞を得ることができる。抗体を使用した細胞の分離方法としては、例えば抗体を固定化したカラムやセルソーターを利用することができる。
(2)本発明の間葉系細胞の製造方法
本発明により、前記の方法で間葉系幹細胞を製造する工程を包含する、各種細胞の製造方法も提供される。本発明により得られた間葉系幹細胞を適切な物質を含有する培地中で培養することにより、間葉系幹細胞から分化して生じることが知られている各種の細胞、すなわち間葉系に属する細胞を得ることができる。
本発明の方法で得られる、間葉系に属する細胞にも特に限定はなく、脂肪細胞(褐色脂肪細胞、白色脂肪細胞)、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、筋細胞(骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞)等が例示される。間葉系に属する種々の間葉系細胞について、間葉系幹細胞から分化誘導する方法が知られている。例えば、脂肪細胞についてはデキサメサゾン、インスリン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、ロシグリタゾン、グルココルチコイド、ホスホジエステラーゼ阻害剤等が、骨細胞についてはデキサメサゾン、アスコルビン酸又はアスコルビン酸−2−リン酸、β−グリセロリン酸等が、骨芽細胞についてはデキサメサゾン、ハイドロコルチゾン、アスコルビン酸、β−グリセロリン酸等が、軟骨細胞についてはインスリン、アスコルビン酸、アスコルビン酸−2−リン酸、ハイドロコルチゾン、TGF−β、デキサメタゾン等が、心筋細胞については5−アザシチジン、TGF−β、アンジオテンシンII、BMP−2、ジメチルスルフォキシド(DMSO)等が、それぞれの細胞への分化の誘導に有効な物質として知られている。間葉系幹細胞にこれらの物質を接触させることにより、所望の細胞を得ることができる。「間葉系細胞への分化に有効な物質」としては、例えば「分化誘導剤」として市販されているものを使用することもできる。さらに、心筋細胞への分化誘導には、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル阻害剤も使用できる。
本発明の一つの態様は、本発明の間葉系幹細胞の製造方法において実施される、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程と、間葉系幹細胞を分化させる工程とが同時に行われる方法である。例えば、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程を、前記の、各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質を共存させて実施する方法である。例えば、Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下で体細胞を培養する際に、培地中に各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質を含有せしめることにより、体細胞からの間葉系細胞の直接誘導を達成することができる。本発明は特定の原理に基づくものに限定されないが、培養の初期に生成した間葉系幹細胞が、共存する「分化の誘導に有効な物質」の作用に基づいて分化を方向づけられることから、1種類の培地で体細胞を培養することにより、1段階で所望の間葉系細胞を得ることができる。
また、本発明の間葉系細胞の製造方法は、間葉系幹細胞を各種の間葉系細胞に分化させるために使用される既知の培地に、Smadシグナル阻害剤(例えば、トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤及び骨形成タンパク質シグナル阻害剤)、p53阻害剤、GSK3βシグナル阻害剤並びにアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有させた培地中で、体細胞を培養することにより実施することもできる。本発明のこのような態様には、市販の間葉系幹細胞分化用の培地(例えばPromocell社のMesenchymal Stem Cell Chondrogenic Differentiation Medium、Mesenchymal Stem Cell Osteogenic Differentiation Medium等)を使用することができる。
培養条件としては、前記した間葉系幹細胞の製造のための体細胞の培養と同様に、一般的な細胞培養の条件を選択すればよい。37℃、5%COの条件が例示される。培養中は適切な間隔で培地の交換を実施することが好ましい。通常、有効成分および各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質を含有する培地中で7日から40日程度、例えば7日から30日程度培養することで、分化した間葉系細胞を得ることができる。使用する体細胞として培養の容易なものを選択することにより、あらかじめ細胞数を増加させた体細胞を間葉系細胞に転換することも可能である。したがってスケールアップした各種間葉系細胞の製造も容易である。
本発明の別の態様は、本発明の間葉系幹細胞の製造方法によって間葉系幹細胞を製造し、次いで該間葉系幹細胞を分化させる工程に付すことを特徴とする、間葉系細胞の製造方法である。間葉系幹細胞を分化させる工程は、間葉系幹細胞を各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質と接触させることにより実施することができる。この工程は、例えば、間葉系幹細胞が生成した後の培養物に前記物質を添加して行ってもよく、間葉系幹細胞を前記物質を含有する別の培地中で培養することによって行ってもよい。培地中の各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質の濃度は、使用する物質の種類等によって、当業者により適宜決定することができる。
培養条件としては、前記した間葉系幹細胞の製造のための体細胞の培養と同様に、一般的な細胞培養の条件を選択すればよい。37℃、5%CO2の条件が例示される。培養中は適切な間隔で培地の交換を実施することが好ましい。通常、有効成分を含有する培地中で体細胞を2日から3日程度培養することで間葉系幹細胞が出現し、次いで、各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質を培養物に添加するか、または前記物質を含有する培地に交換して培養を続け、体細胞の培養開始から7日から40日程度、例えば7日から30日程度で、分化した間葉系細胞を得ることができる。使用する体細胞として培養の容易なものを選択することにより、あらかじめ細胞数を増加させた体細胞を間葉系細胞に転換することも可能である。したがってスケールアップした各種間葉系細胞の製造も容易である。
前記した、間葉系細胞の製造に係る2つの態様は、ともに間葉系幹細胞の誘導に使用可能な体細胞を材料として実施することができる。また、「Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下」も、間葉系幹細胞を誘導する場合と同様にして準備することができる。
例えば、トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、GSK3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有させた培地に、さらにデキサメサゾン、インスリン及び3−イソブチル−1−メチルキサンチンを添加して体細胞を培養した場合、培養開始より3日程度で脂肪細胞様の形態の細胞が出現する。7日後には細胞内に脂肪が蓄積されていることを確認することが可能である。特に本発明を限定するものではないが、例えば、デキサメサゾンは0.1μM〜10μMの範囲で、インスリンは0.05μM〜20μMの範囲で、3−イソブチル−1−メチルキサンチンは0.05μM〜10μMの範囲で、それぞれ使用される。
本発明における心筋細胞誘導方法の一態様として、Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下で、さらに分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナルを阻害しながら体細胞を培養する工程を包含する方法が挙げられる。当該方法では、所望によりヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害しながら培養してもよい。これらの条件で8〜20日間体細胞を培養することにより、自律的に拍動する心筋細胞が出現する。前記のMAPKシグナル阻害剤としては、PD0325901(CAS No. 391210−10−9)、PD184352(CAS No. 212631−79−3)、PD98059(CAS No. 167869−21−8)、PD334581(CAS No. 548756−68−9)が例示されるが、これらに限定されるものではない。HDAC阻害剤としては、(1)脂肪酸類、例えば酪酸、β−ヒドロキシ酪酸、バルプロ酸、これらの塩やエステルなど、(2)ヒドロキサム酸類、例えばトリコスタチンA、オキサムフラチン、スベロイルアニリド(suberoylanilide)など、(3)環状ペプチド、例えばトラポキシン(trapoxin)、アピシヂン(apicidin)、FK228など、(4)ベンズアミドなど、が使用できる。前記の阻害剤の、心筋細胞の誘導に有効な濃度は適宜決定すればよく、特に限定はない。例えば、PD0325901がMAPK阻害剤として使用される場合には0.1μM〜10μMの範囲で使用される。また、バルプロ酸がHDAC阻害剤として使用される場合には0.01mM〜1mMの範囲で使用される。
前記の、本発明により得られた間葉系幹細胞を分化させて得られた間葉系細胞、ならびに本発明の方法により体細胞から直接誘導された間葉系細胞も、適切な手段によって混在する他の細胞と分離することができる。分離手段としては、所望の間葉系細胞に特異的な細胞表面マーカーを認識する抗体の使用が例示される。
(3)本発明の方法により得られる間葉系幹細胞
上記の、本発明の間葉系幹細胞の製造方法により、間葉系幹細胞を含有する細胞集団を得ることができる。
本発明による間葉系幹細胞の誘導は、例えば間葉系幹細胞に特徴的な分子、例えば酵素、レセプター、低分子化合物等を指標に間葉系幹細胞を検出して確認することもできる。間葉系幹細胞に特徴的な分子としては、CD105、CD73、CD166等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、間葉系幹細胞には発現していないネガティブマーカーとしてCD19、CD45等が知られており、間葉系幹細胞であることの確認に利用することができる。前記の分子の検出には免疫的方法(抗体による検出)を利用できるが、各分子のmRNA量の定量により検出を実施してもよい。間葉系幹細胞に特徴的な分子を認識する抗体は、本発明により得られた間葉系幹細胞を単離、精製するうえでも有用である。
本発明の方法により得られる間葉系幹細胞ならびに当該細胞を含有する組成物は、骨疾患、軟骨疾患、心疾患、脊髄損傷、移植片対宿主病等の疾患の治療に有用である。また、外科治療後の組織修復に使用することもできる。本発明により得られた間葉系幹細胞を使用して、種々の疾患の治療のための医薬用組成物を製造することができる。
本発明の間葉系幹細胞を医薬用の組成物とする場合には、常法により、当該細胞を医薬的に許容される担体と混合するなどして、個体への投与に適した形態の製剤とすればよい。担体としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)を加えて等張とした注射用蒸留水を挙げることができる。さらに、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤、酸化防止剤等を配合してもよい。
本発明で得られる間葉系幹細胞は、研究、例えば間葉系幹細胞の分化に関する研究や種々の疾患に関する医薬スクリーニング、医薬候補化合物の効能・安全性評価等に使用することもできる。本発明によれば、一度の操作で多くの間葉系幹細胞を取得することができることから、これまでのように細胞のロット差の影響を受けずに、再現性のある研究結果を得ることが可能となる。
(4)本発明の方法により得られる間葉系細胞
また、本発明により得られた間葉系幹細胞から分化した間葉系細胞、ならびに本発明の方法により体細胞から直接誘導される間葉系細胞も、上記のとおり医薬用の組成物とすることができる。この場合も、目的や投与の方法に応じて適切な組成、形態が選択される。さらにこれらの細胞を、そのそれぞれに作用する医薬候補化合物のスクリーニングや化合物の安全性評価に使用することもできる。
本発明の間葉系幹細胞から分化した間葉系細胞、本発明の方法により体細胞から直接誘導された間葉系細胞としては、脂肪細胞(褐色脂肪細胞、白色脂肪細胞)、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、筋細胞(骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞)が例示されるが、これらに限定されるものではない。前記細胞はたとえばその特徴的な性質や特異的なマーカーを利用して検出、確認、分離を行うことができる。
脂肪細胞は細胞内に脂肪を蓄積する。したがって、オイルレッドOを用いた細胞内脂肪の染色によって脂肪細胞を検出することができる。白色脂肪細胞に特異的な分子として、リポ蛋白リパーゼ(LPL)、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)、アディポネクチン(ADIPOQ)等が、また褐色脂肪細胞に特異的な分子としてUCP1、ELOVL3、PGC1A等が、それぞれ知られている。前記分子の発現を免疫学的に検出すること、前記分子をコードするmRNAの転写を検出することにより、白色脂肪細胞及び褐色脂肪細胞を検出することができる。
軟骨細胞はデルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸のような酸性ムコ多糖を含んでいることから、酸性ムコ多糖の染色に使用されるアルシアンブルーで染色することにより、軟骨細胞を検出することができる。軟骨細胞で高発現しているII型コラーゲンも軟骨細胞の確認に有用な分子である。
骨芽細胞のマーカーとしては骨型アルカリホスファターゼが知られており、これを指標として骨芽細胞を検出することができる。骨芽細胞は細胞外にカルシウムを沈着させる性質を持つので、von Kossa染色やアリザリンレッド染色により細胞外のカルシウムを染色することによって骨芽細胞を検出することもできる。
心筋細胞は自律的に拍動するという他の細胞にはない特徴を有しており、顕微鏡下での観察により他の細胞と区別することができる。また、心筋細胞の特異的マーカーとしては心筋トロポニンC(cTnT)、αミオシン重鎖、αアクチニン等が知られており、これら分子の発現を指標に心筋細胞の誘導を確認することができる。
これらの間葉系細胞は、生体において数の減少もしくは機能の低下があった細胞を補充・補完する再生医療に有用である。また、これらの細胞を単独で、あるいは他の細胞や基材(生体高分子等)と組み合わせて形成させた組織を治療に使用することもできる。たとえば、褐色脂肪細胞の生体への移植や投与は生体の代謝改善、肥満防止等への効果が期待されている。さらに、これらの間葉系細胞は、医薬候補化合物のスクリーニングや化合物の安全性評価に使用することもできる。
軟骨細胞について、外傷や老化に伴う関節損傷の治療や関節疾患の治療、症状軽減の目的で患者への投与が試みられている。また、軟骨細胞を細胞外マトリックス成分のような足場物質と組み合わせて組織化し、患部に移植する方法も開発されている。
心不全、心筋梗塞等の心疾患の治療手段として、心筋細胞の製造法、その移植方法の開発が行われている。たとえば、心筋細胞と内皮細胞等を積層化して形成させた心筋シートは、優れた治療効果と生着性を示すことから。重度の心不全の治療への利用が期待されている。また、心筋細胞は医薬品候補のような化合物の心毒性を評価するための重要なツールである。
本発明の方法により得られた種々の間葉系細胞は、前記の間葉系幹細胞と同様に、医薬的に許容される担体と混合するなどして、個体への投与に適した形態の製剤とすることができる。さらに各細胞の機能発揮や生着性向上に有効な他の細胞や成分と組み合わせた組成物とすることもできる。
(5)本発明の間葉系細胞製造用の培地
本発明は、体細胞を材料として間葉系細胞を製造するために有用な培地を提供する。
体細胞からの間葉系幹細胞の製造に使用される培地としては、細胞の培養に必要な成分を混合して作製された基礎培地に、有効成分としてトランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、GSK3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有させた培地が例示される。前記の有効成分は間葉系幹細胞の誘導に有効な濃度で含有されていればよく、当該濃度は当業者が適宜決定することができる。基礎培地は公知の培地や市販の培地から選択することができる。例えば、一般的な細胞培養用の培地であるMEM、DMEM、DMEM/F12やこれらを改変した培地を本発明の培地に使用することができる。さらに、前記の有効成分の作用を妨げない範囲で、公知の培地成分、たとえば血清、タンパク質(アルブミン、トランスフェリン、成長因子等)、アミノ酸、糖類、ビタミン類、脂肪酸類、抗生物質等を含有させてもよい。
体細胞から各種の間葉系細胞を製造するために使用される培地は、間葉系幹細胞の製造に使用される培地の成分に加えて、間葉系幹細胞から所望の間葉系細胞への分化を誘導するのに適した成分、例えば前記の「各種間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質」をさらに含有していればよい。前記の間葉系幹細胞製造用の培地に脂肪細胞、骨細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、あるいは筋細胞への分化の誘導に有効な物質を添加した培地は、体細胞からそれぞれの分化細胞を誘導するのに有用である。本発明を特に限定するものではないが、例えば体細胞から褐色脂肪細胞を製造するための培地としては、トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、GSK3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤に加え、インスリン、デキサメタゾン、3−イソブチル−1−メチルキサンチンを含有させた培地が例示される。また、体細胞から心筋細胞を製造するための培地としては、トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、GSK3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤に加え、MAPKシグナル阻害剤を含有させた培地が例示される。心筋細胞誘導用の培地は、さらにHDAC阻害剤を含有していてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1 ヒト線維芽細胞からの間葉系幹細胞の誘導
1) ヒト線維芽細胞
材料としたヒト線維芽細胞はDSファーマバイオメディカル株式会社から購入した。22才、38才のヒト皮膚に由来する線維芽細胞である。
2) ヒト線維芽細胞からの間葉系幹細胞直接誘導
ヒト線維芽細胞を、それぞれ35mm ディッシュに8×10個ずつ撒き、10%FBS、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを添加したDMEM high glucose培地(和光純薬社製)で、37℃、5% COの条件下で2日間インキュベートした。
Smadシグナルを阻害する2つの化合物、即ちBMPシグナル阻害剤であるLDN−193189(和光純薬社製:終濃度1μM)とTGF−βシグナル阻害剤であるSB−431542(Tocris社製:終濃度2μM)、GSK3βシグナル阻害剤であるCHIR99021(和光純薬社製:終濃度1μM)、p53シグナルの阻害剤であるピフィスリン−α(和光純薬社製:終濃度5μM)並びにcAMPの生産促進剤であるフォルスコリン(和光純薬社製:終濃度7.5μM)を含む間葉系幹細胞増殖培地(Mesenchymal Stem Cell Growth Medium:PromoCell社製)を調製した。前記の、2日間培養したヒト線維芽細胞のディッシュの培地をこの間葉系幹細胞増殖培地に置換し、37℃、5% COの条件で3日毎に培地交換し培養を継続した。
3) 間葉系幹細胞の評価
間葉系幹細胞増殖培地での培養物を2% PFA(パラホルムアルデヒド)で固定した後、免疫染色を行った。染色には抗CD105抗体(abcam社製:ab11414)を使用した。この結果、間葉系幹細胞増殖培地での培養開始から2日後にCD105陽性の細胞の出現が確認された。間葉系幹細胞増殖培地での培養開始から3日後の38才ヒト由来の線維芽細胞の培養物を染色し、微分干渉顕微鏡で観察した結果を図1に示す。扁平な広い細胞質を持つ細胞が出現しており、それらに間葉系幹細胞のマーカーであるCD105が発現していることが示された。
さらに、間葉系幹細胞増殖培地での培養開始から8、9日後の細胞について同様に免疫染色を行った。図2、3に8日後、9日後の22才ヒト由来の線維芽細胞の培養物の写真をそれぞれ示す。図2、3に示されるとおり、60%以上の細胞がCD105陽性細胞であった。
実施例2 褐色脂肪細胞の誘導1
1) ヒト線維芽細胞より得た間葉系幹細胞からの褐色脂肪細胞の誘導
実施例1と同様に、DMEM high glucose培地で培養したヒト線維芽細胞を用意した。
前記のヒト線維芽細胞のディッシュの培地を実施例1記載の間葉系幹細胞増殖培地と置換し、37℃、5% COの条件で3日間培養した。その後、インスリン(終濃度10μg/mL)、デキサメタゾン(終濃度2.5μM)、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(終濃度0.5mM)、ロシグリタゾン(終濃度1μM)、SB−431542(終濃度2μM)、LDN−193189(終濃度1μM)、ピフィスリン−α(終濃度5μM)及びフォルスコリン(終濃度7.5μM)を含むD−MEM(High Glucose)with L−Glutamine,Phenol Red, Sodium Pyruvate(和光純薬社製)に培地を交換した。その後、3日毎に同組成の培地への培地交換を行いながら37℃、5% COの条件で培養を継続した。
2) 褐色脂肪細胞の評価
間葉系幹細胞増殖培地での培養開始から7日後に2% PFAで細胞を固定した後、免疫染色を行った。染色には抗UCP1抗体(abcam社製のab10983;400倍希釈で使用)を使用した。70%以上の細胞がUCP1陽性であった。さらに、褐色脂肪細胞特異的マーカーとして知られるUcp1、Ckmt1、Fabp4遺伝子が発現していることを確認した。この結果、培養開始から7日後には褐色脂肪細胞が出現していることが示された。
また、以下の操作で細胞のオイルレッドO染色を実施した。ディッシュから培地を除去して細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、次いで細胞を20%中性緩衝ホルマリン液で固定した。固定した細胞をPBSで洗浄した後、0.3%のオイルレッドO イソプロパノール溶液と蒸留水を6:4で混合して調製したオイルレッド染色液をディッシュに加え、室温で15分放置した。その後、染色液をディッシュから除き、さらに細胞を60% イソプロパノール及び蒸留水で順次洗浄した後に細胞の染色状態を観察した。この結果、内部に脂肪が蓄積されている細胞の存在が明らかとなった。
培養開始から35日後には、70%以上の細胞がオイルレッドO陽性であった。
実施例3 褐色脂肪細胞の誘導2
1) ヒト線維芽細胞からの褐色脂肪細胞の誘導
実施例1と同様に、DMEM high glucose培地で培養したヒト線維芽細胞を用意した。
SB−431542(終濃度2μM)、LDN−193189(終濃度1μM)、CHIR99021(終濃度1μM)、ピフィスリン−α(終濃度5μM)、フォルスコリン(終濃度7.5μM)、インスリン(終濃度10μg/mL:約1.7μM)、デキサメタゾン(終濃度2.5μM)並びに3−イソブチル−1−メチルキサンチン(終濃度0.5mM)を含むD−MEM(High Glucose)with L−Glutamine,Phenol Red, Sodium Pyruvate(和光純薬社製)を調製し、褐色脂肪細胞誘導培地とした。前記のヒト線維芽細胞のディッシュの培地を褐色脂肪細胞誘導培地に置換し、37℃、5% COの条件で3日毎に培地交換し培養を継続した。
2) 褐色脂肪細胞の評価
実施例2−1)の培養物の培養開始から4日後に脂肪細胞様の細胞が出現した。培養開始7日後に細胞を2% PFAで固定した後、免疫染色を行った。染色には抗UCP1抗体(abcam社製のab10983;400倍希釈で使用)を使用した。また、実施例2同様にオイルレッド染色を実施して脂肪が蓄積された細胞の存在を確認した。さらに、Ucp1、Ckmt1、Fabp4の各遺伝子が発現していることを確認した。この結果、褐色脂肪細胞誘導培地での培養開始から7日後には褐色脂肪細胞が誘導されていることが示された。
さらに、培養開始から35日後には70%以上の細胞がUCP1陽性であった。
実施例4 心筋細胞の誘導
1) ヒト線維芽細胞からの心筋細胞の誘導
実施例1と同様に、DMEM high glucose培地で培養したヒト線維芽細胞(38才のヒト皮膚由来)を用意した。
10% ウシ胎児血清、1% N−2サプリメント、2% B−27サプリメント、1×MEM非必須アミノ酸、0.1mM 2−メルカプトエタノール、50μg/mL アスコルビン酸、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを含むD−MEM,high glucose,pyruvate(ThermoFisher社製)に、TGF−βシグナル阻害剤であるRepSox(BioVision社製:終濃度5μM)、LDN−193189(終濃度1μM)、CHIR99021(終濃度1μM)、ピフィスリン−α(終濃度5μM)、フォルスコリン(終濃度7.5μM)、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル阻害剤であるPD0325901(和光純薬社製:終濃度1μM)ならびにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であるバルプロ酸(和光純薬社製:終濃度0.1mM)を調整し、心筋細胞誘導培地とした。前記のヒト線維芽細胞のディッシュの培地を心筋細胞誘導培地に置換し、37℃、5% COの条件で4日毎に培地交換し培養を継続した。
2) 心筋細胞の評価
心筋細胞誘導培地での培養開始から8日後以降の顕微鏡下での観察により、収縮あるいは拍動する単体の細胞や小さな細胞塊が認められた。培養開始から14日以降には、収縮あるいは拍動する心筋細胞様細胞の大きな細胞塊が多数見られるようになった。18日後に細胞の自律的拍動が認められた。さらに、これらの心筋細胞様の細胞はαアクチニン、心筋トロポニンC(cTnT)陽性であることが免疫的方法により確認された。培養開始から21日後には25%以上の細胞がcTnT陽性であった(abcam社製の抗cTnT抗体 ab10214を200倍希釈で使用)。このことから、前記の培地を使用して体細胞から直接心筋細胞を誘導できることが示された。さらに、心筋細胞誘導培地としてバルプロ酸を含有しないもの(他の成分は変更なし)を使用した場合も、効率の低下はあるものの、心筋細胞を誘導することができた。
実施例5 骨芽細胞の誘導
1) ヒト線維芽細胞からの骨芽細胞の誘導
実施例1と同様に、DMEM high glucose培地で培養したヒト線維芽細胞(38才のヒト皮膚由来)を準備した。
SB−431542(終濃度2μM)、LDN−193189(終濃度1μM)、CHIR99021(終濃度1μM)、ピフィスリン−α(終濃度5μM)並びにフォルスコリン(終濃度7.5μM)を含むD−MEM(High Glucose)with L−Glutamine,Phenol Red, Sodium Pyruvate(和光純薬社製)に、さらに市販の骨芽細胞分化誘導剤(Osteoblast−Inducer Reagent;タカラバイオ社製)を添加して骨芽細胞誘導培地を作製した。前記の分化誘導剤は、添付された説明書の指示に従って培地に添加した(培地100mLあたりにアスコルビン酸を1mL、ハイドロコルチゾンを200μL、β−グリセロリン酸を2mL、それぞれ添加した)。
前記のヒト線維芽細胞の培養容器中の培地を骨芽細胞誘導培地で置換し、37℃、5% COの条件で培養した。対照として、骨芽細胞誘導培地からSB−431542、LDN−193189、CHIR99021、ピフィスリン−α、フォルスコリンを除いた培地でのヒト線維芽細胞の培養も実施した。培養中、培地は3日毎に交換した。
2) 骨芽細胞の評価
骨芽細胞誘導培地での培養開始から17日後に培養物をvon Kossa染色に供した。染色後の培養物中に、周辺にカルシウムが沈着した骨芽細胞が確認された(図4A)。全細胞に占める骨芽細胞の割合は60%以上であった。一方、対照の培養物中にはvon Kossa染色陽性の細胞は検出されなかった(図4B)。このことから、前記の骨芽細胞誘導培地を使用することにより、一段階の培養で線維芽細胞から骨芽細胞を製造できることが明らかとなった。
実施例6 軟骨細胞の誘導
1) ヒト線維芽細胞からの軟骨細胞の誘導
実施例1と同様に、DMEM high glucose培地で培養したヒト線維芽細胞(38才のヒト皮膚由来)を準備した。
SB−431542(終濃度2μM)、LDN−193189(終濃度1μM)、CHIR99021(終濃度1μM)、ピフィスリン−α(終濃度5μM)、フォルスコリン(終濃度7.5μM)、Insulin−Transferrin−Selenium(Gibco社製;終濃度1%)、アスコルビン酸−2−リン酸(終濃度50μg/mL)、デキサメタゾン(終濃度100nM)、TGF−β3(PeproTech社製:終濃度10ng/mL)、L−プロリン(終濃度40μg/mL)、Antibiotic−Antimycotic(Gibco社製;終濃度1×)を含むDMEM,High Glucose, Pyruvate(ThermoFisher Scientific社製)を調製し、軟骨細胞誘導培地とした。
前記のヒト線維芽細胞の培養容器中の培地を軟骨細胞誘導培地に置換し、37℃、5% COの条件で培養した。対照として、軟骨細胞誘導培地からSB−431542、LDN−193189、CHIR99021、ピフィスリン−α、フォルスコリンを除いた培地でのヒト線維芽細胞の培養も実施した。培養中、培地は3日毎に交換した。
2) 軟骨細胞の評価
培養開始から19日後に培養物をアルシアンブルー染色に供した。軟骨細胞誘導培地での培養物中にはアルシアンブルーで染色される、ムコ多糖を生成している軟骨細胞が60%以上存在することが確認された(図5A)。一方、対照の培養物中にはアルシアンブルー染色陽性の細胞は検出されなかった(図5B)。以上の結果より、本発明の方法によって線維芽細胞から一段階の培養で軟骨細胞を製造できることが明らかとなった。
本発明の方法は、簡便であり、かつスケールアップも容易であることから、安定した間葉系幹細胞、ならびに間葉系の種々の細胞の供給を可能とする。本発明の方法により得られる間葉系細胞は各種の研究、医療の分野において有用である。

Claims (19)

  1. 間葉系細胞を製造する方法であって、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程を包含する方法。
  2. Smadシグナル、p53シグナル、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルの阻害下、かつ細胞内cAMP濃度を増加させる条件下に体細胞を培養する工程を包含する請求項1記載の方法。
  3. Smadシグナルがトランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤又は骨形成タンパク質シグナル阻害剤により阻害される請求項2記載の方法。
  4. p53シグナルがp53阻害剤により阻害される請求項2または3記載の方法。
  5. グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナルがグリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル阻害剤により阻害される請求項2〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 細胞内cAMP濃度がアデニル酸サイクラーゼ活性化剤により増加される請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有する培地中で体細胞の培養が実施される請求項2記載の方法。
  8. トランスフォーミング増殖因子−βシグナル阻害剤、骨形成タンパク質シグナル阻害剤、p53阻害剤、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βシグナル阻害剤及びアデニル酸サイクラーゼ活性化剤を含有する培地中で、2日間以上体細胞の培養が実施される請求項7記載の方法。
  9. 体細胞が分化した細胞である請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 体細胞が線維芽細胞である請求項9記載の方法。
  11. 体細胞がヒト細胞である請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 間葉系細胞が、間葉系幹細胞である請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 間葉系幹細胞を分化させる工程をさらに包含する請求項12記載の方法。
  14. 間葉系幹細胞を分化させる工程が、間葉系幹細胞を脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞及び心筋細胞からなる群より選択される細胞に分化させる工程である請求項13記載の方法。
  15. 脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞及び心筋細胞からなる群より選択される間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質を含有する培地が使用される請求項14記載の方法。
  16. 間葉系幹細胞を分化させる工程が、体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程の次に行われるか、または体細胞を細胞内のシグナルを制御しうる条件下に培養する工程と同時に行われる、請求項13〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 培地が、間葉系幹細胞から他の間葉系細胞への分化の誘導に有効な物質をさらに含有することを特徴とする請求項7または8記載の方法。
  18. 請求項1〜17いずれか記載の方法で得られる間葉系細胞。
  19. 請求項18記載の間葉系細胞を有効成分として含有する医薬用の組成物。
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