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JP2017091639A - 固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びにこの触媒粉末を用いた固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びにこの触媒粉末を用いた固体高分子形燃料電池 Download PDF

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JP2017091639A JP2015216403A JP2015216403A JP2017091639A JP 2017091639 A JP2017091639 A JP 2017091639A JP 2015216403 A JP2015216403 A JP 2015216403A JP 2015216403 A JP2015216403 A JP 2015216403A JP 2017091639 A JP2017091639 A JP 2017091639A
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正孝 日吉
Masataka Hiyoshi
正孝 日吉
健一郎 田所
Kenichiro Tadokoro
健一郎 田所
孝 飯島
Takashi Iijima
孝 飯島
工 西本
Takumi Nishimoto
工 西本
晋也 古川
Shinya Furukawa
晋也 古川
広幸 林田
Hiroyuki Hayashida
広幸 林田
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
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Abstract

【解決課題】触媒金属の利用率が高く、触媒層を形成して固体高分子形燃料電池に組み込んだ際に特に高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発現できる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池を提供する。【解決手段】活性炭と、活性炭に担持された触媒金属粒子と、活性炭及び触媒金属粒子を被覆する電解質樹脂からなる触媒被覆部とからなる触媒粉末であり、活性炭は、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、かつ、触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池である。【選択図】なし

Description

この発明は、固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びにこの触媒粉末を用いて調製された固体高分子形燃料電池に関するものであり、特に燃料電池の使用環境下において触媒粉末に含まれる白金粒子の利用率を高め、白金の使用量を低減することができると共に、高加湿条件下及び低加湿条件下の何れの場合においても安定した電池性能を発揮し得る固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びにこの触媒粉末を用いて調製された固体高分子形燃料電池に関する。
一般的な固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性電解質膜を挟んでアノードとなる触媒層とカソードとなる触媒層とが配置され、更にこれらを挟んで触媒層の外側にガス拡散層が配置され、更にこれらを挟んでガス拡散層の外側にセパレーターが配置された基本構造を有し、通常は、必要な出力を達成するために、上記の基本構造を単位セルとし、必要な数の単位セルをスタックして電池を構成している。
このような基本構造の固体高分子形燃料電池から電流を取り出すためには、アノードとカソードの両極に配されたセパレーターのガス流路からガス拡散層を介して、カソード側には酸素あるいは空気等の酸化性ガスを、また、アノード側には水素等の還元性ガスをそれぞれ触媒層まで供給し、各触媒層で起こる還元性ガス及び酸化性ガスの化学反応を利用して電流を取り出す。例えば、還元性ガスが水素ガスであって酸化性ガスが酸素ガスである場合には、アノード側触媒層の触媒上で起こる下記の化学反応(1)と、カソード側触媒層の触媒上で起こる下記の化学反応(2)との間のエネルギー差(電位差)を利用し、電流を取り出している。
→ 2H+2e(E=0V)……(1)
+4H+4e → 2HO(E=1.23V)……(2)
そして、上記の化学反応(1)及び(2)に利用されるアノード側及び/又はカソード側の触媒層には、これら必要な化学反応(1)及び(2)を促進する機能を有する触媒金属、具体的には白金、パラジウム、金、タングステン、コバルト、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、モリブデン等の純金属や、炭化物、窒化物等の金属化合物が使用可能ではあるが、純金属としてはPtが最も高い反応活性を有することから、一般的には白金(Pt)若しくはPtを主成分とするPt合金が使用されている。ここで、Ptと共に使用される金属元素としては、触媒金属としての活性向上を目的としてCo、Ni、Fe、Pd、Au、Ru、Rh、Ir等があるが、これら金属元素の添加量は、このPt以外の金属元素の添加量が50at%を超えると、触媒金属の粒子表面におけるPt以外の金属元素の存在割合が多くなり、燃料電池の作動下で溶解して発電性能が低下する場合があることから、通常、Ptに対する原子組成百分率として50at%以下である。
また、白金(Pt)については、その資源埋蔵量に制約があり、高価であることから、国の産業上の方針として白金触媒の使用量を削減することが挙げられている(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 燃料電池・水素技術開発ロードマップ2010)。従って、固体高分子形燃料電池の低コスト化を達成して普及を図るためには、白金原子の使用量を可及的に低減することができる触媒の開発が必要不可欠になっている。
そこで、従来においても、固体高分子形燃料電池において、白金使用量を低減するために、様々な観点で様々な試みがなされている。
例えば、特許文献1及び2においては、触媒金属成分、電解質材料(電解質樹脂)、及び炭素材料を含む触媒層に関して、前記炭素材料については触媒金属成分を担持した触媒金属担体炭素材料と触媒金属成分を担持していないガス拡散炭素材料とで構成し、また、これら触媒金属担体炭素材料とガス拡散炭素材料の保水性を最適化して、触媒層内で電子伝導経路が分断されることなく低加湿時及び高加湿時のあらゆる運転環境下において十分な発電特性を発揮する固体高分子型燃料電池が提案されている。
また、特許文献3においては、触媒層において、第1電解質樹脂で被覆されたPt担持カーボン粒子と、第2電解質樹脂で被膜されたPt未担持カーボン粒子とを混在させ、また、第2電解質樹脂として、イオン交換基当量が第1電解質樹脂のイオン交換基当量よりも小さくてより高い保水性を備えた電解質樹脂を用い、発電能力の低下抑制において実効性の高い触媒層及びこれを用いた燃料電池が提案されている。
更に、特許文献4においては、触媒と、この触媒が担持された電子伝導体(カーボン粒子)と、電子伝導体を覆う炭化水素系のプロトン伝導性樹脂(電解質樹脂)とを有する燃料電池の触媒電極層(触媒層)において、前記プロトン伝導性樹脂として分子量が異なる少なくとも2種類以上のプロトン伝導性樹脂を用い、電子伝導体側により小さな分子量のプロトン伝導性樹脂を用い、また、その外側により大きな分子量のプロトン伝導性樹脂を用い、これによってカーボンブラック等の電子伝導体の細孔内部にプロトン伝導性樹脂を侵入させ、電子伝導体の細孔内部に存在する触媒金属の有効利用率を改善し、電池出力を改善した燃料電池が提案されている。
また、特許文献5においては、水と有機溶媒とを含有する分散媒に、触媒を担持した触媒担体と、プロトン伝導性アイオノマーとを分散させた燃料電池の電極形成用触媒インクであって、この触媒インクによって形成される電極触媒層における三相界面(すなわち、電極触媒層内を通過するガスの流路と、電極触媒層を形成するアイオノマーと、電極触媒層を形成する触媒担体に担持された触媒とが接する界面)での触媒へのガス接触機会を増やすための手法として、触媒への表面積当たりのアイオノマーの吸着量(BI値)と、触媒の周囲に10nm以上の細孔が分布している細孔分布における表面積(CAs)とに着目し、これに基づいて水と有機溶媒との重量比を調整して最適化することにより、高い発電能力を備えた燃料電池を製造できるとされた電極形成用触媒インクの発明が提案されている。
更にまた、特許文献6においては、触媒と、この触媒の表面に接する高酸素透過アイオノマー又は高酸素透過ポリマーからなる第1層と、この第1層の表面に接する第2アイオノマーからなる第2層とを備え、前記第1層を形成する高酸素透過アイオノマー又は前記高酸素透過ポリマーが、前記第2層を形成する第2アイオノマーよりも、触媒との界面における酸素移動抵抗が小さいことに特徴を有し、酸素透過性が高く、低コストであって出力性能を低下させることがなく、触媒使用量を低減することが可能な燃料電池用の触媒層が提案されている。
しかしながら、炭素材料、触媒金属、及び電解質樹脂を含む触媒層において電解質樹脂に着目してみると、この電解質樹脂には、触媒金属を被覆し3相界面を形成して触媒金属の利用率を高める役割と、触媒を形成する触媒粒子の粒子間を接着して形成される触媒層においてプロトン伝導経路となる役割と、この触媒層を多孔性に形成して触媒層に還元性ガスや酸化性ガスのガス拡散経路となる役割とがあり、触媒金属の利用率を高めるという観点から精査してみると、触媒層を構成する炭素材料の種類が異なる場合に、作製された固体高分子形燃料電池においてその電池性能が低下することがあり、上述した特許文献1〜6においても、特に高加湿条件下及び低加湿条件下での電池性能の安定化という点で必ずしも十分であるとは言えないことが判明した。
特開2003-109,643号公報 特開2013-225,433号公報 特開2012-123,927号公報 特開2009-187,848号公報 特開2014-060,097号公報 特開2014-216,157号公報
そこで、本発明者らは、触媒層を構成する炭素材料の種類に応じて触媒金属の利用率が低下し、電池性能が低下することの原因について鋭意検討した結果、意外なことには、炭素材料、触媒金属、及び電解質樹脂で触媒粉末を形成し、この触媒粉末を用いて触媒層を形成するに際し、触媒粉末を形成する際に使用される炭素材料の種類に応じて、この炭素材料における全体のBET比表面積に対する外表面積の割合、及び触媒粉末を形成する際の電解質樹脂と炭素材料との質量比率に大きな違いがあり、それぞれ適切な範囲が存在することを突き止めた。
そして、更にこの問題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、炭素材料としてBET比表面積1000m2/g以上の活性炭を用いた場合には、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、また、電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内である場合に触媒金属の利用率が高くなり、高加湿条件下及び低加湿条件下での発電性能を安定化できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、触媒金属の利用率が高く、触媒層を形成して固体高分子形燃料電池に組み込んだ際に特に高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発現することができる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このような固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、このような固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を用いて製造された固体高分子形燃料電池を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 炭素材料である活性炭と、前記活性炭に担持された触媒金属からなる触媒金属粒子と、電解質樹脂からなり、前記活性炭及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とからなる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末であり、前記活性炭は、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、かつ、前記触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)と前記活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末。
(2) 炭素材料である活性炭に触媒金属からなる触媒金属粒子を担持させ、得られた触媒金属担持活性炭の表面を電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆して触媒粉末を製造する方法であって、
前記活性炭は、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下である活性炭を用い、
この活性炭に前記触媒金属粒子を担持させて得られた触媒金属担持活性炭と前記電解質樹脂とを分散媒中に、前記電解質樹脂(I)と前記活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内になるように分散させ、温度50〜100℃及び10〜20時間の条件で撹拌下に接触させ、前記触媒金属担持活性炭の表面を前記電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆することを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法。
(3) プロトン伝導性電解質膜を挟んだ一対のアノード触媒層及びカソード触媒層を有する固体高分子形燃料電池であり、少なくとも前記カソード触媒層を形成する触媒粉末が、炭素材料である活性炭と、触媒金属からなると共に前記活性炭に担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂からなると共に前記活性炭及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とを有し、前記触媒粉末を形成する活性炭が、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、かつ、前記触媒粉末を形成する触媒被覆部の電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
(4) 前記一対のアノード触媒層及びカソード触媒層のうちの少なくともカソード触媒層が、前記触媒粉末(CP)に対してカーボンブラック(CB)を質量比(CB/CP)0.05〜0.3の割合で含むことを特徴とする前記(3)に記載の固体高分子形燃料電池。
(5) 触媒層を形成するカーボンブラック(CB)は、その平均粒子直径(CBd)と前記触媒粉末(CP)の平均粒子直径(CPd)との直径比率(CBd/CPd)が0.1〜0.7の範囲内であることを特徴とする前記(3)又は(4)に記載の固体高分子形燃料電池。
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末によれば、触媒金属の利用率が高く、触媒層を形成して固体高分子形燃料電池に組み込んだ際に安定した発電性能を発現することができ、また、これによって固体高分子形燃料電池において白金原子の使用量を可及的に低減することができる。
また、本発明によれば、上記の如き固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法を提供することができ、また、このような固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を用いて製造され、白金原子の使用量を可及的に低減した固体高分子形燃料電池を提供することができる。
図1は、本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を構成する活性炭、触媒金属、及び電解質樹脂の関係を説明するための模式図である。 図2は、図1の触媒粉末において形成される三相界面の概念を説明するための模式図である。
以下、本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びにこの触媒粉末を用いた固体高分子形燃料電池について詳細に説明する。
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末は、図1及び図2に示すように、炭素材料である活性炭1と、前記活性炭1に担持された触媒金属からなる触媒金属粒子2と、電解樹脂であって前記活性炭1及び触媒金属粒子2を被覆する触媒被覆部3とからなり、これら活性炭1と触媒金属粒子2と触媒被覆部3との間には、前記触媒金属粒子2が前記活性炭1及び触媒被覆部3の電解質樹脂に接触する界面(三相界面)4が形成され、この三相界面における触媒金属粒子の表面が燃料電池における反応場として機能する。
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末は、炭素材料としての活性炭と、白金(Pt)若しくはこのPtを主成分としてCo、Ni、Fe、Pd、Au、Ru、Rh、Ir等の金属元素が活性向上等を目的として原子組成百分率50at%以下の割合で添加された白金合金(Pt合金)からなる触媒金属であって前記活性炭に担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂であって前記活性炭及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とを備えているものである。
そして、本発明において、炭素材料としての活性炭については、その全体のBET比表面積が通常1000m2/g以上、好ましくは1000m2/g以上2000m2/g以下、より好ましくは1000m2/g以上1800m2/g以下であり、また、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合(以下、単に「外表面積割合」ということがある。)が10%以下、好ましくは8%以上10%以下の範囲内である。ここで、全体のBET比表面積が1000m2/gより小さいと、触媒金属粒子が担持されるサイトが小さくなって触媒金属粒子が密集して担持され、燃料電池運転条件下(例えば、燃料電池自動車のアクセルのON/OFFの際に0.6〜1.0Vの範囲で電位変動が発生する。)において触媒金属粒子が凝集し粗大化して電池性能が低下する虞がある。また、前記外表面積がBET比表面積に対して10%より大きくなると、ミクロ孔容積が減少し、低加湿条件下の運転時に触媒層中の保水性能が低下し、触媒層中が乾燥し易い環境になって触媒金属の利用率が低下し、結果として電池性能が低下する虞がある。また、該表面積割合が8%以上10%以下であると、後述する触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C)を適切な値の範囲内に調整することにより、触媒被覆部を介したプロトン(H+)伝導経路の確保が確かになり、所望の数の三相界面が形成され易くなって触媒金属の利用率がより改善する。
ここで、炭素材料として用いる活性炭の「N2吸着のT-plot解析で得られる外表面積」とは、一般的な窒素(N2)吸着法により全体のBET比表面積を測定し、得られたBET比表面積からミクロ孔(直径2nm未満の細孔)由来の比表面積を差し引いて得られたメソ孔(直径2〜50nmの細孔)以上の細孔を含む比表面積のことであり、窒素(N2)吸着法により得られた相対圧(p/p0)と吸着量(v)との関係を示す吸着等温線を、Lippensとde-Boreの式を用いて相対圧(p/p0)を吸着膜の平均厚さ(t)に変換してT-plot解析を実施し、得られた結果から全体のBET比表面積をミクロ孔由来の表面積と外表面積とに区別して得られる値である〔近藤精一、石川達雄、安部郁夫著、丸善(株)平成13年2月25日発行「吸着の科学」48〜50参照〕。このような窒素吸着法の測定や、BET比表面積及び外表面積は、例えば自動比表面積測定装置(日本ベル社製BELSORP36)等の吸着測定装置を用いて実施することができる。そして、このBET比表面積及び外表面積については、例えば活性炭の平均粒子径の調整や、各種の賦活方法等により調節することができる。
また、本発明の触媒粉末において前記活性炭及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部を形成するための電解質樹脂としては、プロトン伝導性を有する電解質樹脂であれば特に制限されるものではなく、従来から固体高分子形燃料電池の分野で用いられてきた各種のプロトン伝導性電解質樹脂を用いることができ、例えば、パーフルオロアルキレン基を主鎖骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテルの側鎖の末端にスルホン基を有するパーフルオロスルホン酸系プロトン伝導性電解質樹脂や,スチレンジビニルベンゼンスルホン酸等のイオン交換樹脂や、ポリイミド系スルホン酸、ポリエーテル系スルホン酸等の樹脂等を用いることができる。
更に、本発明においては、触媒粉末において触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05以上0.1以下、好ましくは0.05以上0.08以下の範囲内であることが必要であり、この電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C)が0.05より低いと、燃料電池において反応場となる三相界面(活性炭及び電解質樹脂と接触する触媒金属粒子の表面)において電解質樹脂量を介したH伝導経路が貧弱になり、三相界面の数が少なくなり、触媒金属粒子の利用率が低下する虞があり、反対に、0.1よりも大きくなると、触媒粉末において電解質樹脂からなる触媒被覆部の被覆厚みが厚くなり過ぎ、活性炭上の触媒金属粒子への酸素の拡散性が悪くなって触媒金属粒子の利用率が低くなる虞がある。電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C)を0.05〜0.1の範囲内とすることにより、電解質樹脂を介したH伝導と触媒金属粒子への空気拡散がバランスし、三相界面に存在する触媒金属粒子の量が最大となり、最も触媒金属粒子の利用効率が高くなる。
なお、従来においては、事前に炭素材料である活性炭に電解質樹脂を被覆することが無いため、本発明の電解質樹脂量と比べ使用量が少ない状態で触媒層を構成することとなる。具体的には、従来技術では触媒層を構成している全体の電解質樹脂(Ica)と活性炭(Cca)とのIca/Cca質量比が0.5〜1.2程度である。これに対して、本発明においては、触媒粉末での電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比(I/C)が0.05〜0.1であり、その後に、触媒層形成時に添加される電解質樹脂を加えた触媒層を構成している全体の電解質樹脂(Ica)と活性炭(Cca)とのIca/Cca質量比は2.0〜2.5程度となり、従来の触媒層に比べて電解質樹脂量が多くなる。
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を製造する方法については、以下の通りである。
すなわち、先ず、本発明で用いる活性炭として、BET比表面積が1000m2/g以上であって外表面積割合が10%以下の活性炭を用意する。
このような活性炭については、その調製方法等については特に限定されるものではなく、例えば具体的な例として、石油系や石炭系のピッチ及びピッチコークス、人造黒鉛、石油又は石炭由来の樹脂等を原料として調製される種々の炭素材料、天然植物を原料として調製される炭素材料、チャー、いわゆる炭素繊維等を粗原料として用い、これらの粗原料を賦活処理し多孔質化して得られた活性炭や、また、ヤシガラ、竹、木材等の特定の天然植物から製造される活性炭等を用いることができる。
そして、上記の賦活処理の方法としては、例えば、空気、酸素等の酸化性雰囲気中で酸化処理を行う方法、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等を用いて500〜800℃の温度で反応させるアルカリ賦活の方法、水蒸気を用いて750〜1100℃の温度で反応させる水蒸気賦活の方法、炭酸ガスを用いて750〜1100℃の温度で反応させる炭酸ガス賦活の方法、塩化亜鉛を用いて400〜1000℃の温度で処理し反応させる塩化亜鉛賦活の方法等を挙げることができる。更に、このような賦活処理の後に、不活性ガス、還元性ガス、アンモニアガス、酸化性ガス等のガスを各々単独で、あるいは、複数のガスの混合ガスとして用い、ガス雰囲気中常圧又は加圧下に熱処理を行い、活性炭の表面における官能基の種類やその量を選択的に付与しまた制御し、水蒸気吸着特性や窒素ガス吸着特性を制御してもよい。
また、より具体的には、例えば市販の活性炭として、クラレカミカル社製の活性炭YP50F(BET比表面積1700m2/g)や活性炭YP80F(BET比表面積2000m2/g)、関西熱化学社製の活性炭MSP20(BET比表面積1970m2/g)、クラレカミカル社製の活性炭RP20(BET比表面積1700m2/gのものと2000m2/gのもの)等を粉砕して及び/又は賦活処理して用いることができる。
次に、以上のように炭素材料として用意した活性炭に触媒金属粒子を担持させ、触媒金属担持活性炭を調製するが、この際の方法については、特に制限はなく、炭素材料に触媒金属を担持させる従来の方法をそのまま採用することができる。
更に、このようにして作製した触媒金属担持活性炭を用いて本発明の触媒粒子を調製するには、触媒金属担持活性炭をエタノール、1-プロパノ―ル、2-プロパノ―ル等の適当な分散媒中に均一に分散させ、得られた分散溶液中に所定の電解質樹脂を、この電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C)が0.05〜0.1の範囲内になるように添加し、撹拌下に混合し、その後、温度50℃以上及び10時間以上の条件で、好ましくは温度50℃以上100℃以下及び10時間以上20時間以下、より好ましくは温度50℃以上70℃以下及び10時間以上15時間以下の条件で撹拌下に保持して接触させ、その後、分散媒を蒸発させて乾固物を得る。この得られ乾固物を所定の温度及び減圧下に乾燥させ、表面が電解質樹脂で被覆された本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を調製する。前記触媒粉末調製時の条件については、温度が50℃より低いと電解質樹脂のネットワークが十分に広がりを持たない状態で触媒金属担持活性炭を被覆してしまうため、電解質樹脂中に含まれる親水性基(例えば、スルホン基)が均一に分散しない虞があり、反対に、100℃を超えても性能的には問題ないが、70℃を超えて高くしても性能が更に改善されるというものではなく、高温に加熱できる加熱装置が必要になってコスト高になり、また、時間が10時間より短いと電解質樹脂のネットワークが十分に広がりを持たない状態で触媒金属担持活性炭を被覆してしまうため、電解質樹脂中に含まれる親水性基(例えば、スルホン基)が均一に分散しない虞があり、反対に、20時間を超えても性能的には問題ないが、15時間を超えても性能が更に改善されるというものではなく、生産性が低下する。
このようにして調製された触媒粉末を用いて固体高分子形燃料電池用の触媒層を調製する方法についても、特に制限されるものではなく、従来から知られている方法と同様の方法で、固体高分子形燃料電池用の触媒層を形成し、また、この触媒層を用いて固体高分子形燃料電池を製造することができる。そして、この触媒層の調製に際して用いる電解質樹脂については、特に制限されるものではなく、従来から固体高分子形燃料電池の分野で用いられてきた各種のプロトン伝導性電解質樹脂を用いることができる。なお、この触媒層の調製に際して用いる電解質樹脂については、触媒粉末の触媒被覆部を形成する電解質樹脂との関係で、例えば電解質樹脂の単位質量当りに含まれるスルホン酸基当量(EW)を勘案し、この触媒粉末の触媒被覆部を形成する電解質樹脂と同じ又は異なるEWを有する電解質樹脂を用いてもよく、必要により、例えば、触媒粉末の触媒被覆部を形成する電解質樹脂のEWを低くし(保水性を高くし)、また、触媒層を形成する際に用いる電解質樹脂のEWを高くし(保水性を低くし)、これによって、水の少ない低電流密度領域では触媒金属粒子近傍に必要最小限の水を保持できるようにし、また、水の多い大電流密度領域では触媒層内の保水性を下げて排水性を向上させるようにしてもよい。
また、この触媒層を調製する際には、好ましくは前記触媒粉末(CP)に対してカーボンブラック(CB)を質量比(CB/CP)0.05以上0.3以下、好ましくは0.05以上0.25以下の割合で配合するのがよい。この際の質量比(CB/CP)が0.05未満であると触媒層中の単位体積当りの活性炭に対するカーボンブラックの接触面積が少なくなり、電子の導電バスが少なくなって導電抵抗が高くなり、結果として燃料電池の発電性能が低下する虞があり、反対に、質量比(CB/CP)が0.3を超えると触媒層を構成するために用いる電解質樹脂の必要量が多くなり、この電解質樹脂として親水性のスルホン基を有する樹脂が用いられると、触媒層中における単位体積当りのスルホン基の数が多くなり過ぎ、大電流放電時にフラッディング現象が発生し易くなり、この場合にも燃料電池の発電性能が低下する虞が生じる。このように触媒粉末(CP)に対してカーボンブラック(CB)を質量比(CB/CP)0.05〜0.3の範囲内で用いることにより、触媒層のプロトン伝導抵抗の上昇を抑えつつ、フラッディング現象の発生を抑制し、高い電池性能を発現させることができる。
また、この触媒層を形成する際に用いられるカーボンブラック(CB)については、その平均粒子直径(CBd)と前記触媒粉末(CP)の平均粒子直径(CPd)との直径比率(CBd/CPd)が0.1以上0.7以下、好ましくは0.2以上0.6以下の範囲内であるのがよく、この際の直径比率(CBd/CPd)が0.1未満であるとカーボンブラック(CB)と触媒粉末(CP)とが密に充填されてしまい、生成水が溜り易くてガスの拡散性が悪い触媒層構造となり、結果として電池性能が低下する虞があり、反対に、直径比率(CBd/CPd)が0.7を超えると触媒層中の単位体積当りの活性炭との接触面積が少なくなり、電子の導電バスが少なくなって導電抵抗が高くなり、発電性能が低下する虞が生じる。このようにカーボンブラック(CB)として触媒粉末(CP)の平均粒子直径(CPd)に対する直径比率(CBd/CPd)が0.1〜0.7のものを用いることにより、多孔性を維持して排水性とガス拡散性とが共に優れた触媒層が得られる。
以下、実験例(実施例及び比較例)に基づいて、本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びに固体高分子形燃料電池について、より具体的に説明する。
(1) 諸物性値の測定方法
〔BET比表面積とN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積〕
BET比表面積(m2/g)の測定は、試料約50mgを測り採り、これを90℃で真空乾燥し、得られた乾燥後の試料について、自動比表面積測定装置(日本ベル製、BELSORP36)を使用し、窒素ガスを用いたガス吸着法にて測定し、BET法に基づく1点法にて比表面積を決定した。
また、N2吸着のT-plot解析で得られる外表面積については、BET比表面積の測定で得られた吸着等温線を用い、T-plot解析を実施して求めた。
〔触媒粉末(CP)とカーボンブラック(CB)の間の質量比率(CB/CP)及び直径比率(CBd/CPd)〕
触媒粉末(CP)とカーボンブラック(CB)の間の質量比率(CB/CP)及び直径比率(CBd/CPd)については、触媒層インクの調製に先駆けて、それぞれ触媒粉末(CP) 及びカーボンブラック(CB)の質量を測定すると共に、電子顕微鏡観察によりカーボンブラック(CB)の平均粒子直径(CBd)及び触媒粉末(CP)の平均粒子直径(CPd)を測定し、これら測定された質量及び平均粒子直径(CBd, CPd)からそれぞれ比をとって質量比率(CB/CP)及び直径比率(CBd/CPd)とした。
(2) 活性炭の準備及び調製
以下に示す各実験例では、活性炭としてクラレカミカル社製の活性炭YP50F(試料A:BET比表面積1700m2/g)、活性炭YP80F(試料B:BET比表面積2000m2/g)、及び活性炭RP20(試料C:BET比表面積1800m2/g)、及び関西熱化学社製の活性炭MSP20(試料D:BET比表面積1970m2/g)を用い、ボールミルを用いて平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、活性炭として用いた。
活性炭として用意され、あるいは、調製された活性炭の試料名と、BET比表面積、外表面積割合についての測定結果を下記の表1に示す。
Figure 2017091639
(3) 白金粒子担持活性炭の調製
以上のようにして調製された各実験例の活性炭を蒸留水中に分散させ、この分散液にホルムアルデヒドを加え、40℃に設定したウォーターバスにセットし、分散液の温度がバスと同じ40℃になってから、撹拌下にこの分散液中にジニトロジアミンPt錯体硝酸水溶液をゆっくりと注ぎ入れた。その後、約2時間撹拌を続けた後、濾過し、得られた固形物の洗浄を行った。このようにして得られた固形物を90℃で真空乾燥した後、乳鉢で粉砕し、触媒金属粒子として白金粒子を担持した各実験例の白金粒子担持活性炭(Pt担持活性炭)を作製した。
なお、各実験例のPt担持活性炭の白金担持量については、活性炭と白金粒子の合計質量に対して白金粒子の質量が40質量%となるように調整し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES: Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)により測定して確認した。
(4) 各実験例の触媒粉末(CP)の調製
このようにして作製された上記各実験例のPt担持活性炭をエタノール(分散媒)中に分散させ、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテ―社製UH-50)を用いて分散液中に超音波を5分間照射(パワーコントローラーのボリュームを10とし、振動子の先端から最も気泡が出ている状態で)し、その後、直径1mmの硝子ビーズと撹拌子とを分散溶液中に入れ、また、表2〜表5に示す触媒粉末形成時の電解質樹脂(触媒被覆部の樹脂)としてDupont社製ナフィオン〔登録商標:Nafion;パースルホン酸系イオン交換樹脂DE2020CS(試料イ)〕又は旭硝子社製フレミオン(試料ロ)を、この電解質樹脂(I)とPt担持活性炭中の活性炭(C)との質量比率が表2〜表5に示す割合になるように前記分散溶液中に加え、表2〜表5に示す温度及び時間の条件で撹拌下に保持した。その後、エバポレータ―を用いて80℃に保持しながら分散媒のエタノールを蒸発させ、乾固物を得た。その後、得られ乾固物を90℃に保持して真空(減圧)下に乾燥させ、表面が電解質樹脂で被覆されて触媒被覆部を有する各実験例の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末(CP)を得た。
(5) 触媒層インクの調製
以上のようにして調製された各実験例の触媒粉末を用い、また、カーボンブラック(CB)として親水性のカーボンブラックであるライオン社製ケッチェンブラックEC600JD(試料a)又はライオン社製ケッチェンブラックEC300(試料b)を用い、更に、触媒層形成時の電解質樹脂としてDupont社製ナフィオン〔登録商標:Nafion;パースルホン酸系イオン交換樹脂DE2020CS(試料イ)〕又は旭硝子社製フレミオン(試料ロ)を用い、Ar雰囲気下でこれら各触媒粉末、カーボンブラック(CB)、及び電解質樹脂を表2〜表5に示す割合で配合し、軽く撹拌した後、得られた固形分を超音波で解砕し、更にエタノールを加えて各実験例の触媒粉末と新たに添加された電解質樹脂とを合わせた合計の固形分濃度が1.1質量%となるように調整し、各実験例の触媒粉末と新たに添加された電解層形成時の電解質樹脂とが混合した触媒層インクAを調製した。
また、カーボンブラック(CB)として疎水性カーボンブラックであるアセチレンブラック〔電気化学工業製商品名:デンカブラック粒状品(試料c)〕をエタノール中に分散させ固形分濃度が3質量%である触媒層インクBを調製した。
更に、上記の触媒層インクAと触媒層インクBとを表2〜表5に示す質量混合比(AB混合比)で混合し、表2〜表5に示すカーボンブラック(CB)と触媒粉末(CP)との質量比(CB/CP)を有するように調整し、エタノールを加えて白金濃度が0.5質量%のスプレー塗布用の触媒層インクABを作製した。
(6) 触媒層の調製
このようにして調製された各実験例の触媒層インクを用い、白金の触媒層単位面積当りの質量(以下、「白金目付量という。)が0.2mg/cm2となるようにスプレー条件を調節し、上記スプレー塗布用触媒層インクをテフロン(登録商標)シート上にスプレーした後、アルゴン中120℃で60分間の乾燥処理を行い、各実験例の触媒層を作製した。
(7) 膜電極複合体(MEA)の調製
以上のようにして作製した上記各実験例の触媒層を用い、以下の方法でMEA(膜電極複合体)を作製した。
ナフィオン膜(Dupont社製NR211)から一辺6cmの正方形状の電解質膜を切り出した。また、テフロン(登録商標)シート上に塗布されたアノード及びカソードの各触媒層については、それぞれカッターナイフで一辺2.5cmの正方形状に切り出した。
このようにして切り出されたアノード及びカソードの各触媒層の間に、各触媒層が電解質膜の中心部を挟んでそれぞれ接すると共に互いにずれが無いように、この電解質膜を挟み込み、120℃、100kg/cm2で10分間プレスし、次いで室温まで冷却した後、アノード及びカソード共にテフロン(登録商標)シートのみを注意深く剥ぎ取り、アノード及びカソードの各触媒層が電解質膜に定着した触媒層−電解質膜接合体を調製した。
次に、ガス拡散層として、カーボンペーパー(SGLカーボン社製35BC)から一辺2.5cmの大きさで一対の正方形状カーボンペーパーを切り出し、これらのカーボンペーパーの間に、アノード及びカソードの各触媒層が一致してずれが無いように、上記触媒層−電解質膜接合体を挟み、120℃、50kg/cm2で10分間プレスしてMEAを作製した。
(8) 燃料電池の性能の評価試験
作製した各実験例のMEAについては、それぞれセルに組み込み、燃料電池測定装置にセットして、次の手順で燃料電池の性能評価を行った。
ガスについては、カソードに空気を、また、アノードに純水素を、それぞれ利用率が35%と70%となるように、0.2メガパスカルに加圧して供給した。また、セル温度は80℃に設定した。供給するガスについては、高加湿条件での評価ではカソード、アノードの相対湿度が100%に、また、低加湿条件での評価ではカソード、アノードの相対湿度が50%になるように、蒸留水を用いた加湿器中でバブリングし、改質水素相当の水蒸気を含ませてセルに供給した。
このような設定の下にセルにガスを供給した条件下で、負荷を徐々に増やし、電流密度が200mA/cm2及び500mA/cm2におけるセル端子間電圧を出力電圧として燃料電池の性能評価を実施した。
得られた燃料電池の性能評価については、高加湿条件下及び低加湿条件下での測定結果について、それぞれ“200mA/cm2での出力電圧0.80V以上”及び“500mA/cm2での出力電圧0.75V以上”を満たす場合を「◎」とし、また、“200mA/cm2での出力電圧0.75V以上0.80V未満”及び“500mA/cm2での出力電圧0.70V以上0.75V未満”を満たす場合を「〇」とし、更に、上記以外の場合を不合格の「×」として評価した。
そして、これら高加湿条件下及び低加湿条件下での4つの評価結果を基に、総合評価として、◎が3個以上である場合を「◎」とし、○が2個以上であって×がない場合を「○」とし、×が1つでもある場合を不合格の「×」とした。
活性炭としてとして試料A〜Cを用いた場合の結果をそれぞれ表2、表3、及び表4に示す。
また、活性炭として試料D、試料E、及び試料Fを用いた場合の結果を表5に示す。
なお、上記の各表中に記載されている下記の各記号は、以下に示す通りである。
M比:カーボンブラック(CB)と触媒粉末(CP)との質量比(CB/CP)
D比:カーボンブラック(CB)の平均粒子直径(CBd)と触媒粉末(CP)の平均粒子直径(CPd)との直径比率(CBd/CPd)
E2OP:電流密度200mA/cm2時の出力電圧
E5OP:電流密度500mA/cm2時の出力電圧
AB組成比(A/B):触媒層インクAB作製時の触媒層インクAの炭素材料と触媒層インクBの炭素材料とのA/B組成比
Ex.:実施例(Example)
CEx.:比較例(Comparative Example)
Figure 2017091639
Figure 2017091639
Figure 2017091639
Figure 2017091639
表2〜表5に示す結果から明らかなように、本発明の各実施例においては、各比較例の場合に比べて、カソード、アノードの相対湿度が100%の高加湿条件及び50%の低加湿条件において、いずれも電流密度が200mA/cm2時のセル電圧及び500mA/cm2時のセル電圧が共にバランス良く高いことから、触媒金属粒子として用いた白金粒子の利用率が高く、しかも、高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発揮していることが判明した。
1…活性炭、2…触媒金属粒子、3…触媒被覆部、4…三相界面(活性炭1及び触媒被覆部3の電解質樹脂に接触する界面)。

Claims (5)

  1. 炭素材料である活性炭と、前記活性炭に担持された触媒金属からなる触媒金属粒子と、電解質樹脂からなり、前記活性炭及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とからなる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末であり、
    前記活性炭は、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、かつ、
    前記触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)と前記活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末。
  2. 炭素材料である活性炭に触媒金属からなる触媒金属粒子を担持させ、得られた触媒金属担持活性炭の表面を電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆して触媒粉末を製造する方法であって、
    前記活性炭は、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、
    この活性炭に前記触媒金属粒子を担持させて得られた触媒金属担持活性炭と前記電解質樹脂とを分散媒中に、前記電解質樹脂(I)と前記活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内になるように分散させ、温度50〜100℃及び10〜20時間の条件で撹拌下に接触させ、前記触媒金属担持活性炭の表面を前記電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆することを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法。
  3. プロトン伝導性電解質膜を挟んだ一対のアノード触媒層及びカソード触媒層を有する固体高分子形燃料電池であり、
    少なくとも前記カソード触媒層を形成する触媒粉末が、炭素材料である活性炭と、触媒金属からなると共に前記活性炭に担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂からなると共に前記活性炭及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とを有し、
    前記触媒粉末を形成する活性炭が、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が10%以下であり、また、
    前記触媒粉末を形成する触媒被覆部の電解質樹脂(I)と活性炭(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.05〜0.1の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  4. 前記一対のアノード触媒層及びカソード触媒層のうちの少なくともカソード触媒層が、前記触媒粉末(CP)に対してカーボンブラック(CB)を質量比(CB/CP)0.05〜0.3の割合で含むことを特徴とする請求項3に記載の固体高分子形燃料電池。
  5. 触媒層を形成するカーボンブラック(CB)は、その平均粒子直径(CBd)と前記触媒粉末(CP)の平均粒子直径(CPd)との直径比率(CBd/CPd)が0.1〜0.7の範囲内であることを特徴とする請求項3又は4に記載の固体高分子形燃料電池。
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