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JP2017071176A - 記録素子基板、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 - Google Patents

記録素子基板、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 Download PDF

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JP2017071176A JP2015200917A JP2015200917A JP2017071176A JP 2017071176 A JP2017071176 A JP 2017071176A JP 2015200917 A JP2015200917 A JP 2015200917A JP 2015200917 A JP2015200917 A JP 2015200917A JP 2017071176 A JP2017071176 A JP 2017071176A
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田村 秀男
Hideo Tamura
秀男 田村
好一 小俣
Koichi Komata
好一 小俣
山口 孝明
Takaaki Yamaguchi
孝明 山口
卓 谷口
Taku Taniguchi
卓 谷口
久保 康祐
Kosuke Kubo
康祐 久保
勇治 田丸
Yuji Tamaru
勇治 田丸
亮治 大橋
Ryoji Ohashi
亮治 大橋
俊雄 根岸
Toshio Negishi
俊雄 根岸
洋平 小薄
Yohei Kousu
洋平 小薄
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Abstract

【課題】配線層の抵抗値を下げつつ、ESD破壊(静電気放電による絶縁破壊)の発生率を低減し、駆動電流が基板に流れることを抑制することが可能な記録素子基板、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置を提供する。【解決手段】記録素子基板1は、基板2に設けられた発熱抵抗素子31と、発熱抵抗素子31に接続された配線層35と、発熱素子31および配線層35よりも上に設けられた耐キャビテーション層11および導電層12とを備える。耐キャビテーション層11は、導電層12よりも発熱素子31の近くに設けられる。配線層35における耐キャビテーション層11の下に位置する電源共通配線23は、導電層12の下に位置する配線層35と電源共通配線下層36の2層構造で構成されている電源共通配線21よりも薄く、耐キャビテーション層11は、電気的に独立し、導電層12は、基板2と電気的に接続される。【選択図】図6

Description

本発明は、液体を吐出するための記録素子基板、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関する。
インクジェット記録装置などの液体吐出装置において、液体を吐出する液体吐出方式の一つとして、サーマル方式が知られている。サーマル方式の液体吐出装置では、液体を吐出する吐出口を備えた記録素子基板に、各吐出口に対応する発熱素子が設けられており、その発熱素子で発生する熱エネルギーにより液体が発泡し、その発泡によって生じる圧力で液体が吐出される。
また、液体吐出装置では、製造時や動作時などにおいて、ESD(Electro−Static Discharge:静電気放電)が発生することがある。このESDによる電流が記録素子基板に流れると、その電流によってESD破壊と呼ばれる絶縁破壊が生じることがある。例えば、ESDによる電流が吐出口を介して、液体を吐出するために一時的に蓄える液室の表面を介して、液体の発泡による衝撃から記録素子基板を保護する耐キャビテーション層に流れ込むことがある。この場合、耐キャビテーション層の下部にある絶縁層でESD破壊が生じることがある。
これに対して特許文献1には、ESD破壊の発生率を低減することが可能な記録素子基板が開示されている。
この記録素子基板は、発熱素子であるヒータの配線層と、液体の発泡による衝撃から記録素子基板を保護する耐キャビテーション層と、配線層と耐キャビテーション層との間に設けられた、絶縁性を有する保護層とを備える。耐キャビテーション層は、ゲート接地型MOS(Metal−Oxide−Semiconductor)トランジスタのドレインに接続される。ゲート接地型MOSトランジスタのゲートおよびドレインは、記録素子基板と共通接続されることで接地される。ゲート接地型MOSトランジスタは、バランスの良い設計をするために、吐出口列の両端部に設けられる。
上記構成を有することにより、ESDによる電流が耐キャビテーション層に流れ込んでも、その電流を、ゲート接地型MOSトランジスタを介して基板に逃がすことが可能になる。このため、ESDによる電流の保護層への影響を抑制することが可能になり、保護層のESD破壊を抑制することが可能となる。このため、記録素子基板におけるESD破壊の発生率を低減することができる。
米国特許第7267430号明細書
近年、液体吐出装置では、記録の高速化などのために吐出口の数を増大化させることが求められており、その結果、吐出口列の長尺化やそれに伴う記録素子基板の長尺化が進んでいる。この記録素子基板の長尺化により、発熱素子とその発熱素子の駆動電圧が供給される端子とを結ぶ配線層が長くなり、その配線層の抵抗値が増加するという問題がある。
これに対して配線層の幅を広げて配線層の抵抗値を下げることも考えられるが、配線層の幅は記録素子基板のサイズによる制約を受けるため、配線層の幅を広げることは困難である。このため、配線層を厚くして抵抗値を下げることが望ましい。
しかしながら、配線層を厚くすると、配線層を覆う保護層の絶縁性が低下することがある。例えば、保護層をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成する場合、配線層が厚くなると、発熱素子の電極段差のような段差付近で、ガスやラジカル前駆体の回り込み性が低下するため、保護層が薄くなる。このため、特に発熱素子の電極付近で保護層の絶縁性が低下する。
特許文献1に記載の技術では、電極段差のある発熱素子の上にある耐キャビテーション層を接地することで、ESDによる電流の保護層への影響を抑制しているため、保護層の絶縁性が低下しても、ESD破壊を抑制することができる。
しかしながら、耐キャビテーション層を接地すると、記録素子基板を長期間使用した場合、発熱素子が断線し、発熱素子に接続されている配線と耐キャビテーション層とが導通した際に不具合が生じる恐れがある。つまり、配線と耐キャビテーション層とが導通した場合、発熱素子を駆動するための駆動電流が耐キャビテーション層を介して基板に流れてしまうという不具合が発生する場合がある。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、配線層の抵抗値を下げつつ、ESD破壊の発生率を低減し、かつ、駆動電流が基板に流れることを抑制することが可能な記録素子基板、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置を提供することを目的とする。
本発明による記録素子基板は、
基板に設けられた発熱素子と、前記発熱素子に接続された配線層と、前記発熱素子および前記配線層よりも上に設けられた耐キャビテーション層および導電層とを備え、
前記耐キャビテーション層は、前記導電層よりも前記発熱素子の近くに設けられ、
前記配線層における前記耐キャビテーション層の下に位置する第1の配線層は、前記配線層における前記導電層の下に位置する第2の配線層よりも薄く、
前記耐キャビテーション層は、電気的に独立し、前記導電層は、前記基板と電気的に接続されることを特徴とする。
また、本発明による液体吐出ヘッドは、前記記録素子基板を備ることを特徴とする。
本発明による液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
本発明によれば、発熱素子に近い耐キャビテーション層の下に位置する第1の配線層は、基板に接続された導電層の下に位置する第2の配線層よりも薄く、耐キャビテーション層は電気的に独立し、導電層は基板と電気的に接続されている。このため、第1の配線層よりも第2の配線層が厚いため、第2の配線層の抵抗値を低くすることが可能になり、第2の配線層の上に位置する導電層が基板と接続されるため、ESD破壊の発生率を低減することが可能になる。さらに、発熱素子に近い耐キャビテーション層が電気的に独立しているため、発熱素子が断線して、発熱素子に接続されている配線と耐キャビテーション層とが導通しても、発熱素子を駆動するための駆動電流が耐キャビテーション層を介して基板に流れてしまうことを抑制することが可能になる。したがって、配線層の抵抗値を下げつつ、ESD破壊の発生率を低減し、かつ、駆動電流が基板に流れることを抑制することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る記録素子基板を模式的に示す平面図である。 基板の最表面の一例を模式的に示す平面図である。 基板に設けられた配線の配置を示す図である。 配線の接続関係をより詳細に説明するための等価回路図である。 図2のA部分の拡大図である。 図5のB−B線に沿った断面図である。 基板の最表面の他の例を模式的に示す平面図である。 記録素子基板の製造方法を説明するための図である。 記録素子ユニットを模式的に示す平面図である。 液体吐出ヘッドを模式的に示す斜視図である。 液体吐出装置の構成を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る記録素子基板を模式的に示す平面図である。図1に示す記録素子基板1は、基板2と、基板2に積層された吐出口形成部材3とを備える。
基板2には、外部(具体的には、後述する電気配線基板)と電気的に接続する端子4が形成される。端子4は、基板2における互いに対向する2つの辺の近傍に、その辺に沿って複数並設される。
吐出口形成部材3は、溝部5と、液体を吐出する複数の吐出口6とを有する。溝部5は、吐出口6を囲むように形成される。溝部5は、吐出口形成部材3に係る応力を緩和することで、吐出口形成部材3の基板2からの剥がれを抑制する。吐出口6は、2列に並んで配置される。なお、基板2には、吐出口6のそれぞれに対応する発熱素子(図示せず)が複数並設されており、各発熱素子で発生した熱エネルギーにより液体が発泡し、その発泡によって生じる圧力で液体が、対応する吐出口6から吐出される。本実施形態では、吐出口6から液体としてインクが吐出され、基板2には発熱素子として発熱抵抗素子が設けられている。
図2は、基板2の最表面を模式的に示す平面図である。図2に示すように基板2の最表面には、耐キャビテーション層11と導電層12とが形成されている。耐キャビテーション層11は、発熱抵抗素子(図示せず)が駆動することにより液体内に発生した泡が消泡する際に発生するキャビテーションから発熱抵抗素子を保護するためのものであり、基板2に設けられた発熱抵抗素子の上に配置される。耐キャビテーション層11は、電気的に独立している。そのため、耐キャビテーション層11の電位は、フローティング電位となる。導電層12は、耐インク性を有し、記録素子基板1の溝部5に対応した位置に配置される。導電層12は、基板2と電気的に接続される。このため、導電層12の電位はグランド電位となる。
耐キャビテーション層11および導電層12は、互いに同一の材料を用いて一括して形成することができる。耐キャビテーション層11および導電層12の材料は、導電性を有する金属のうち、耐キャビテーション性と耐インク性を有するものであればよく、例えば、TaまたはIrなどである。
図3は、基板2に設けられた配線の配置を示す図である。図3に示すように、基板2には、発熱抵抗素子に接続された電極配線として、電源共通配線21とグランド共通配線22とが形成される。また、基板2上の端子4には、電源電圧が供給される電源端子4aと、グランド端子4bとがある。電源共通配線21は、複数の発熱抵抗素子(不図示)の一端と電源端子4aとを電気的に接続する。また、グランド共通配線22は、複数の発熱抵抗素子の他端とグランド端子4bとを電気的に接続する。
図4は、配線の接続関係をより詳細に説明するための等価回路図である。図4に示すように、基板2には、複数の発熱抵抗素子31が形成される。各発熱抵抗素子31の一端は、電源個別配線23の一端と接続される。電源個別配線23の他端は、電源共通配線21の一端と共通接続され、電源共通配線21の他端は、電源端子4aと接続される。また、発熱抵抗素子31の他端は、グランド個別配線24の一端に接続され、グランド個別配線24の他端は、スイッチング素子32の一端と接続される。スイッチング素子32の他端は、グランド個別配線25の一端と接続される。グランド個別配線25の他端はグランド共通配線22の一端と共通接続され、グランド共通配線22の他端は、グランド端子4bと接続される。以下、電源共通配線21、グランド共通配線22、電源個別配線23、グランド個別配線24および25は、電極配線と総称することがある。
スイッチング素子32は、対応する発熱抵抗素子31、つまりグランド個別配線24を介して接続された発熱抵抗素子31の駆動と停止を切り替える。図4の例では、スイッチング素子32は、nMOSトランジスタで構成され、ドレイン電極がグランド個別配線24と接続され、ソース電極がグランド個別配線25と接続される。スイッチング素子32は、ゲート端子に印加されたゲート電圧に応じて発熱抵抗素子31の駆動と停止を切り替える。
図4に示した回路において、電源配線の抵抗値を低くすること、特に電源共通配線21およびグランド共通配線22の抵抗値を低くすることが重要である。
例えば、電源共通配線21を例に挙げると、複数の発熱抵抗素子31を同時に駆動した際に電源共通配線21に流れる電流の値は、単一の発熱抵抗素子31を駆動した際に電源共通配線21に流れる電流の値に比べて大きくなる。このため、複数の発熱抵抗素子31を同時に駆動した際には、発熱抵抗素子31に流れる電流が大きくなるため、瞬間的に大きな電圧降下が発生する。したがって、単一の発熱抵抗素子31を駆動した単一駆動時と、複数の発熱抵抗素子31を同時に駆動した複数駆動時とでは、発熱抵抗素子31の両端にかかる電圧が異なる現象が発生する。このため、単一駆動時と複数駆動時とで液体を加熱して発泡させるためのエネルギーが変化してしまい、記録される画像の品質などに影響を与える恐れがある。このため、電源共通配線21の抵抗値を減らして、電圧降下の度合いをできるだけ減らすことが重要となる。
また、グランド共通配線22を例に挙げると、上記の電源共通配線21と同様な現象が発生するとともに、別の現象も発生する。具体的には、グランド共通配線22には、グランド個別配線25を介してスイッチング素子32のソース端子が接続されており、発熱抵抗素子31を正常に駆動させるためには、ゲート電圧とソース電圧との差が大きい状態に維持する必要がある。しかしながら、複数の発熱抵抗素子31を同時に駆動した複数駆動時では、グランド電圧の持ち上がりが発生し、ゲート電圧とソース電圧との差が小さくなり、その結果、スイッチング素子32の抵抗が大きくなってしまう。このため、発熱抵抗素子31の両端にかかる電圧が単一駆動時と複数駆動時とで異なる現象が発生する。この場合、単一駆動時と複数駆動時とで液体を加熱して発泡させるためのエネルギーが変化してしまうため、記録される画像の品質などに影響を与える恐れがある。したがって、グランド共通配線22の抵抗値を減らして、グランド電圧の持ち上がりの度合いをできるだけ減らすことが重要である。
上記の各現象は、複数の発熱抵抗素子31が並設された素子列である発熱抵抗素子列の配列長がある程度以上長くなり、同時に駆動する発熱抵抗素子31の数が多くなったときに特に問題となる。具体的には、この問題は、発熱抵抗素子列の配列長が1インチ以上(25.4mm以上)の場合に、顕著に現れる。また、この問題は、記録素子基板1の小型化を図るために、電極配線の幅を狭くしたときにも顕著に現れる。
上記の問題を抑制するためには、上述したように電源共通配線21とグランド共通配線22の抵抗値を低くすることが重要である。このとき、配線の幅には記録素子基板1の小型化による制約があるため、抵抗値を低くするためには、配線を厚くする必要がある。
なお、電源個別配線23やグランド個別配線24および25を厚くして、それらの配線の抵抗値を下げることも考えられる。しかしながら、これらの配線のように発熱抵抗素子31周辺の配線を厚くすると、液体から発熱抵抗素子31や配線を保護するための保護層における配線と接する壁面部のカバリッジ性が確保できなくなり、記録素子基板1の信頼性が低下する恐れがある。このため、保護層も厚くするなどの対応が必要となる。このため、電源個別配線23やグランド個別配線24および25の厚さは、従来のものから変化させずに、電源共通配線21およびグランド共通配線22を厚くすることが望ましい。
このように電源個別配線23やグランド個別配線24および25を従来の厚さとし、電源共通配線21とグランド共通配線22を、電源個別配線23やグランド個別配線24および25よりも厚くすることで、上記の問題を解決することができる。すなわち、単一駆動時と複数駆動時とで発熱抵抗素子31の両端にかかる電圧の変動を少なくすることが可能になる。
図5は、図2のA部分の拡大図であり、図6は、図5のB−B線に沿った断面図である。
図5および図6に示すように、記録素子基板1の基板2上には、絶縁層33を介して発熱抵抗層34、電極配線層35の順に積層されている。電極配線層35の一部が除去されており、電極配線層35が除去された箇所の発熱抵抗層34が発熱抵抗素子31として形成されている。電極配線層35は、発熱抵抗素子31の一端と直接接続された第1の配線層である電源個別配線23と、発熱抵抗素子31の一端と電源個別配線23を介して電気的に接続された第2の配線層である電源共通配線21とを有する。発熱抵抗素子31の他端は、電極配線層35で形成されるグランド個別配線24を介してスイッチング素子(図5、図6では不図示)に接続されている。
ここで電源共通配線21は、電極配線層35と、電極配線層35の下にある電源共通配線下層36の2層構造で構成されており、電極配線層35だけで構成されている電源個別配線23よりも厚くなっている。このため、電源共通配線21は抵抗値が低い。
発熱抵抗素子31および電極配線層35の上には、液体からそれらを保護するための保護層37が積層されている。保護層37における発熱抵抗素子31が設けられた箇所には、耐キャビテーション層11が設けられる。耐キャビテーション層11は、電気的に独立している。また、保護層37における記録素子基板1の溝部5に対応した箇所には、導電層12が設けられる。導電層12は、具体的には、保護層37における電源共通配線21からスルーホール38が設けられた箇所に設けられる。導電層12は、スルーホール38を介して基板2と接続されている。
以上説明した記録素子基板1では、電源共通配線21が厚いため、その上の保護層37が薄くなるおそれがある。そのため、電源共通配線21の上に配置された導電層12を、ESDの対策のために基板2と接続している。また、発熱抵抗素子31周辺の電源個別配線23およびグランド個別配線24は、比較的薄いため、保護層37は薄くならず、ESD破壊が生じにくい。このため、耐キャビテーション層11を基板2に接続する必要はなく、電気的に独立させておけば十分である。
したがって、耐キャビテーション層11も基板2に接続したときのような、発熱抵抗素子31を駆動するための電流が耐キャビテーション層11を介して基板2に流れてしまうという不具合を抑制することができる。
なお、図2では、導電層12と基板2とを接続している接続箇所は1箇所だけだが、接続箇所は、図7に示すように複数個所あってもよい。接続箇所の個数や場所は状況に応じて適宜設定することが望ましく、例えば、導電層12の領域が大きい場合などでは、接続箇所は複数個所ある方が望ましい。
図8は、本実施形態の記録素子基板1の製造方法を説明するための図である。なお、以下で説明する製造方法の各プロセスでは、一般的な半導体の製造プロセスと同様に、成膜には、CVD装置、スパッタリング装置または蒸着装置などを適宜使用することができる。また、パターニングには、フォトリソ装置またはエッチング装置を使用することができる。
先ず、図8(a)に示すように、Si基板を基板2として準備し、その基板2上に、CVD装置を用いてSiOを1000nmの厚さで成膜して絶縁層33として形成する。そして、絶縁層33における基板2と導電層12と電気的に接続する箇所にスルーホール38が形成されるように、絶縁層33をパターニングする。
続いて、図8(b)に示すように、パターニングした絶縁層33の上に、スパッタリング装置を用いてAl−Cu系合金を400nmの厚さで成膜する。そして、その膜が電源共通配線下層36として形成され、かつ、その膜がスルーホール38内に残るように、その膜をパターニングする。
その後、図8(c)に示すように、スパッタリング装置を用いて、TaSiN、Al−Cu系合金の順にそれぞれ10nm、600nmの厚さで成膜する。そして、それらの膜を、TaSiNの膜が発熱抵抗層34として形成され、Al−Cu系合金の膜が電極配線層35として形成されるようにパターニングする。このとき、電極配線層35を、電源共通配線21および電源個別配線23として形成し、さらにスルーホール38の上に配置されるようにパターニングする。そして、発熱抵抗素子31に対応する位置のAl−Cu系合金の膜を除去することにより発熱抵抗素子31を形成する。このように形成することにより、電源個別配線23として厚さ600nmの配線が形成され、電源共通配線21として厚さ1000nmの配線が形成される。
さらに図8(d)に示すように、CVD装置を用いてSiNを300nmの厚さで成膜して保護層37を形成し、保護層37におけるスルーホール38が設けられた位置に開口部39が形成されるように保護層37をパターニングする。続いて、図8(e)に示すように、スパッタリング装置を用いてTaを200nmの厚さで成膜し、その膜を発熱抵抗素子31と電源共通配線21の上に残るようにパターニングして、耐キャビテーション層11および導電層12を形成する。これにより、導電層12は、保護層37の開口部39を介して基板2に電気的に接続される。
以上説明した記録素子基板において、各層の材料や厚さは単なる一例であって、本例に限るものではない。ただし、電源共通配線21の厚さは保護層37の3倍以上であることが望ましい。
また、導電層12を基板2と電気的に接続する方法として、ここでは、導電層12と基板2とを回路的に直接接続する方法を用いているが、導電層12と基板2をダイオードやMOSトランジスタなどの半導体素子を介して接続する方法でもよい。ただし、導電層12と基板2とを直接接続する方法の方が半導体素子を形成するスペースを必要としないため、有利である。
また、記録素子基板1の形状は、本実施形態では、矩形状であったが、他の形状でもよい。例えば、記録素子基板1の形状は、平行四辺形状、三角形状、または、その他の多角形状のものでもよい。さらに、記録素子基板1における吐出口6が設けられた反対側の面には、記録素子基板1の基板2に沿った基板平面に対して垂直に開口され、液体が供給される供給口が備わっているが、この供給口の構成には限定されない。例えば、供給口が発熱抵抗素子列1つ当たりに1つ設けられていてもよいし、発熱抵抗素子列1つ当たりに複数設けられていてもよい。
次に記録素子基板1を備えた液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置について説明する。
図9は、記録素子基板1が取り付けられる記録素子ユニットを模式的に示す平面図である。図9に示す電気配線基板41は、可撓性を有するフレキシブルな基板であり、複数のコンタクトパッド42と、複数の電極リード43とを備える。
コンタクトパッド42は、外部(具体的には、後述する液体吐出装置)から電気信号が供給される端子である。図9の例では、コンタクトパッド42は、4×3のマトリックス状に配置されているが、コンタクトパッド42の数および配置は、適宜変更可能である。
電極リード43は、記録素子基板1の端子4と電気配線基板41とを電気的に接続する。例えば、電極リード43は、TAB(Tape Automated Bonding)技術により、記録素子基板1の端子4と電気配線基板41とを電気的に接続する。これにより記録素子ユニット40が完成する。
図10は、記録素子ユニット40を備えた液体吐出ヘッドを模式的に示す斜視図である。図10に示す液体吐出ヘッド50は、筐体51と、筐体51に取り付けられた記録素子ユニット40とを有する。
記録素子ユニット40は、筐体51に対して折り曲げられて設けられる。記録素子ユニット40内の電気接合部である端子4と、電極リード43は、液体による腐食や外部からの力による断線などから保護するために封止樹脂52によって被覆される。
図11は、液体吐出ヘッド50を備えた液体吐出装置の構成を模式的に示した斜視図である。図11に示す液体吐出装置60は、液体吐出ヘッド50を備えたキャリッジ61と、キャリッジ61を往復可能に支持するスライド軸62と、紙などの記録媒体70を搬送する搬送機構63と備える。液体吐出ヘッド50は、記録素子基板1内の吐出口6が記録媒体70と対向するようにキャリッジ61に設けられる。また、キャリッジ61が往復移動する方向と、記録媒体70が搬送される方向とは、互いに交差(望ましくは直交)する。
なお、図11の例では、液体吐出ヘッド50とキャリッジ61とが一体化されているが、液体吐出ヘッド50とキャリッジ61が着脱可能であってもよい。
液体を吐出して画像を記録する記録動作では、液体吐出装置60は、キャリッジ61を往復移動させながら、液体吐出ヘッド50に取り付けられた記録素子基板1の吐出口6から液体を吐出させる。そして、液体吐出装置60は、液体の吐出に合わせて、搬送機構を用いて記録媒体70を間欠的に移動させることで、記録媒体70に画像を記録する。
上述した実施形態のように、電源共通配線21の厚さが1000nmであり、かつ、電源個別配線23の厚さが600nmである記録素子基板1を作成した。この場合、ESD破壊により不良となった記録素子基板1の数は、電源共通配線21および電源個別配線23の厚さが共に600nmの場合と同等であった。
(参考例)
参考例として、導電層12も耐キャビテーション層11と同様に電気的に独立させ、電源共通配線21の厚さが1000nmであり、かつ、電源個別配線23の厚さが600nmである記録素子基板を作成した。この場合、ESD破壊により不良となった記録素子基板の数は、電源共通配線21および電源個別配線23の厚さが共に600nmの場合よりも増加し、1ウェハ270個当たり30個も発生した。
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
1 記録素子基板
11 耐キャビテーション層
12 導電層
21 電源共通配線(第2の配線層)
23 電源共通配線(第1の配線層)
31 発熱抵抗素子(発熱素子)
35 電極配線層(配線層)
37 保護層
50 液体吐出ヘッド
60 液体吐出装置

Claims (6)

  1. 基板に設けられた発熱素子と、前記発熱素子に接続された配線層と、前記発熱素子および前記配線層よりも上に設けられた耐キャビテーション層および導電層とを備え、
    前記耐キャビテーション層は、前記導電層よりも前記発熱素子の近くに設けられ、
    前記配線層における前記耐キャビテーション層の下に位置する第1の配線層は、前記配線層における前記導電層の下に位置する第2の配線層よりも薄く、
    前記耐キャビテーション層は、電気的に独立し、前記導電層は、前記基板と電気的に接続されることを特徴とする記録素子基板。
  2. 前記耐キャビテーション層と前記導電層とは、互いに同一の材料を用いて一括して形成されることを特徴とする請求項1に記載の記録素子基板。
  3. 前記発熱素子は、複数並設され、前記複数の発熱素子が並設された素子列の配列長は、25.4mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録素子基板。
  4. 前記導電層と前記配線層の間に設けられ、前記配線層を覆う保護層をさらに備え、
    前記第2の配線層の厚さは、前記保護層の厚さの3倍以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の記録素子基板。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の記録素子基板を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 請求項5に記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体吐出装置。
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