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JP2017046627A - 麦芽発酵飲料 - Google Patents

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女川 裕司
Yuji Mekawa
裕司 女川
小林 稔
Minoru Kobayashi
稔 小林
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、4−ビニルグアイアコール濃度が高いにもかかわらず、フルーティさとスパイシーさの香味のバランスがとれて嗜好性が高く、ドリンカビリティーの高い麦芽発酵飲料、及びその製造方法を提供する。【解決手段】4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上であり、かつVDK値が0.05ppb以下であることを特徴とする、麦芽発酵飲料、4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上の麦芽発酵飲料において、VDK値を0.05ppb以下に調整することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造方法、及び4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上の麦芽発酵飲料において、VDK値を0.05ppb以下に調整することを特徴とする、麦芽発酵飲料の味質改善方法。【選択図】なし

Description

本発明は、麦芽発酵飲料の香味改善方法、及び香味の改善された麦芽発酵飲料に関する。
ビールに代表される麦芽発酵飲料は、世界中で古くから愛飲されている代表的な酒類である。麦芽発酵飲料は、日本のビール市場で最も一般的であるピルスナータイプの他、麦芽、ホップに代表される、原料の種類や配合、製造方法、発酵に使用する酵母の種類等を変えることにより、香味、色合い、飲用感等が異なる様々なタイプのものが知られている。
例えばドイツの伝統的なビールの一種であるヴァイツェンビールは、バナナのようなフルーティな香りと、ヴァイツェン香と呼ばれる、クローブ様のスパイシーな香りを併せ持った独特の香味が特徴である。ヴァイツェンビールの独特の香味は、原料として小麦麦芽を使用し、上面発酵酵母であるヴァイツェン酵母を用いて発酵させる製造方法により得られる。ヴァイツェンビールの特徴香のうち、バナナ様のフルーティな香りの成分は酢酸イソアミルであり、クローブ様のスパイシーな香りの成分は4−ビニルグアイアコール(4VG)であることが知られている(特許文献1参照。)
一方で、小麦麦芽や上面発酵酵母を使用せず、発酵原料として大麦麦芽を用い、下面発酵酵母を用いて製造する麦芽発酵飲料において、酢酸イソアミルと4VGの含有量を調整することにより、ヴァイツェンビール様の香味を得られる製造方法が知られている(特許文献1参照。)。その他、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素等を用いて糖化工程を行うことにより、抗酸化作用を有する機能性成分であるフェルラ酸を高含有させつつ、4VGの生成を抑制し、香味バランスを保持した発酵飲料の製造方法も開示されている(特許文献2参照。)。
特開2012−38号公報 特開2010−148485号公報
ヴァイツェンビール又はヴァイツェンビール様の香気を持った麦芽発酵飲料は、そのフルーティさとスパイシーさを併せ持った独特の香味を好んで愛飲する人も増えつつある。一方で、4VGに由来するクローブ様の特徴香は、その含有量が多い場合や、他の香気、特にフルーティな香気とのバランスによっては、薬品臭や消毒臭と称される好ましくないフェノリックな香気が強調され、ビールの嗜好性や、ドリンカビリティー(飽きずに何杯も飲み続けられる性質)が低下するといった問題があった。
本発明は、4VG濃度が高いにもかかわらず、フルーティさとスパイシーさの香味のバランスがとれており嗜好性が高く、ドリンカビリティーの高い麦芽発酵飲料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、麦芽発酵飲料中の4VG濃度が高い麦芽発酵飲料であっても、VDK値を一定の数値以下に調整することにより、4VGの好ましくない香気がマスキングされ、嗜好性の改善されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る麦芽発酵飲料及びその製造方法は、下記[1]〜[6]である。
[1] 4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上であり、かつVDK値が0.05ppb以下であることを特徴とする、麦芽発酵飲料。
[2] 酢酸イソアミルの含有量が2000ppb以上である、前記[1]の麦芽発酵飲料。
[3] 酢酸イソアミルの含有量に対する4−ビニルグアイアコールの含有量の比率([4−ビニルグアイアコールの含有量]/[酢酸イソアミルの含有量])が0.1以上である、前記[1]又は[2]に記載の麦芽発酵飲料。
[4] 4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上の麦芽発酵飲料において、VDK値を0.05ppb以下に調整することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造方法。
[5] 上面発酵酵母を使用して発酵工程を行う、前記[4]の麦芽発酵飲料の製造方法。
[6] 4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上の麦芽発酵飲料において、VDK値を0.05ppb以下に調整することを特徴とする、麦芽発酵飲料の味質改善方法。
本発明により、4VGの含有量が高いにもかかわらず、フルーティさとスパイシーさの香味のバランスがとれて嗜好性が高く、ドリンカビリティーの高い麦芽発酵飲料を提供できる。
本発明及び本願明細書における麦芽発酵飲料とは、原料として麦芽を用い、酵母による発酵工程を経て製造される飲料であり、ビールらしさ(香味上ビールを想起させる呈味)を有する発泡性飲料を意味する。本発明に係る麦芽発酵飲料のアルコール濃度は限定されず、1容量%以上である酒税法上のアルコール飲料であってもよく、1容量%未満のいわゆるノンアルコール飲料であってもよい。具体的には、ビール、発泡酒、ノンアルコールビール等が挙げられる。その他、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。本発明に係る麦芽発酵飲料としては、ビールが好ましい。
なお、アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。例えば、原料用アルコール、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等を用いることができる。
本発明に係る麦芽発酵飲料は、4VGの含有量が1000ppb以上であり、かつVDK値が0.05ppb以下であることを特徴とする。VDK値を0.05ppb以下に調整することにより、高濃度の4VGによるフェノリック臭がマスクされ、フルーティさとスパイシーさの香味のバランスが良好になり、味質が改善される。本発明に係る麦芽発酵飲料の4VGの含有量としては、1000〜5000ppbが好ましく、1000〜3000ppbがより好ましい。
本発明及び本願明細書において、麦芽発酵飲料中の4VGの含有量は、例えば、C18(ODS)カラムを用いたHPLC分析(McMurroughら、Journal of the Institute of Brewing、1996年、第102巻、第327〜332ページ。)により測定できる。移動相としては、水/メタノール/リン酸混合溶媒(容量比:540/450/10)を用いることが好ましい。
4VGは、細胞壁のアラビノキシラン層から遊離したフェルラ酸が、煮沸中に脱炭酸されることで生成する。例えば、マイシェ中で、多糖分解酵素による酵素反応を行い、アラビノキシラン層からより多くのフェルラ酸を遊離させることによって、麦芽発酵飲料中の4VG含有量を高めることができる。このような多糖分解酵素としては、例えば、グルカナーゼ、キシラナーゼ、エステラーゼ等が挙げられ、これらの酵素活性は単独又は共存している場合がある。また、これらの酵素は併用してもよい。なお、多糖分解酵素による酵素反応は、マイシェに酵素を添加しておき、当該マイシェを当該酵素の至適温度付近で一定時間保持することにより、糖化処理と同時に行うことができる。また、マイシェに添加する多糖分解酵素の量は、使用する酵素の種類、活性度、反応温度等を考慮して、適宜決定することができる。
麦芽発酵飲料中の4VG含有量は、タンパク休止の時間の長さを長くすることによっても、高めることができる。タンパク休止とは、麦芽由来の酵素や添加した酵素剤由来の酵素によって、主に原材料中のタンパク質を分解する工程である。具体的には、40℃〜60℃の範囲の温度帯で30〜120分間保持する工程をさす。
好ましいタンパク休止時間は、発酵原料の種類や量、糖化処理の温度等を考慮して、適宜決定することができる。本発明の製造方法においては、タンパク休止時間が60分間以上であることが好ましく、90分間以上であることがより好ましく、120分間以上であることがさらに好ましい。
VDKとは、乳製品や赤ワイン等に含まれるバター様の香気成分であるダイアセチル(2,3−butanedione)と2,3−ペンタンジオン、及びそれぞれの前駆体の総称である。当該前駆体としては、α−アセト乳酸、α−アセト−α−ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
麦芽発酵飲料中のVDKは、主に発酵工程において、酵母による分岐鎖アミノ酸生成の中間代謝物として生成され、使用する酵母の種類や製造条件等により、製品のVDK値(VDK含有量)が異なってくることが知られている。麦芽発酵飲料中のVDK値は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.16 ダイアセチル 8.16.2 ガスクロマトグラフィー法」の項に記載の方法に従って測定される。具体的には、ダイアセチル、2,3−ペンタンジオン、及びそれぞれの前駆体をガスクロマトグラフィーで測定し、クロマトグラムのピーク高さに基づいてVDKの総量を計測する。前駆体は、前処理として通気した後、60℃で加熱してジケトン体とした後に測定する。
本発明に係る麦芽発酵飲料のVDK値は0.05ppb以下であればよいが、VDK値は低いほうが、4VGのフェノリック臭に対するマスキング効果がより充分に得られるため好ましい。本発明に係る麦芽発酵飲料のVDK値としては、0.01〜0.05ppbであることが好ましい。
麦芽発酵飲料のVDK値は、発酵工程で使用される酵母の品種や発酵条件、その後の貯酒工程の条件を調節することによって調整できる。例えば、発酵工程においてVDKを生成し難い酵母を用いたり、発酵温度を低くすることによって、発酵工程において生成されるVDK量が抑えられる結果、製造される麦芽発酵飲料のVDK値を低くすることができる。逆に、発酵温度を高くしたり、発酵時間を長くすることにより、生成されるVDK量が多くなり、製造される麦芽発酵飲料のVDK値が高くなる傾向にある。また、ダイアセチルは貯酒工程中に酵母によってアセトインを経て無臭の2,3−ブタネジオールへ変換される。このため、酵母の活性を維持した状態で充分な長さの貯酒工程を行うことにより、製造される麦芽発酵飲料のVDK値を低くすることができる。
4VGのフェノリック臭は、フルーティな香気とのバランスによって強く感じられてしまう傾向にある。このため、本発明に係る麦芽発酵飲料は、フルーティな香気の原因成分である酢酸イソアミルの含有量が、500ppb以上であることが好ましく、2000ppb以上であることがより好ましく、2000〜8000ppbであることがさらに好ましく、2000〜6000ppbであることがよりさらに好ましい。
4VGが1000ppb以上と高濃度である麦芽発酵飲料において、フルーティさとスパイシーさの香味のバランスがより良好になることから、本発明に係る麦芽発酵飲料の酢酸イソアミルの含有量に対する4VGの含有量の比率([4VGの含有量]/[酢酸イソアミルの含有量])は、0.1以上であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましい。
麦芽発酵飲料の酢酸イソアミルの含有量は、例えば、麦芽発酵飲料に硫安を添加してタンパク質を沈殿させた後、さらに二硫化炭素と混合し、二硫化炭素に抽出させた酢酸イソアミルをガスクロマトグラフィー法により定量的に検出する方法により測定することができる。
本発明に係る麦芽発酵飲料は、原料として、麦芽を使用し、仕込(糖化)工程において、マイシェ中で多糖分解酵素による酵素反応を行う、タンパク質休止時間を調整する、又は4VG生成力の高い上面発酵酵母を用いて醸造する等の方法により、製造される麦芽発酵飲料の4VG含有量が充分に高くなるようにし、かつ発酵工程やその後の貯酒工程の条件を製造される麦芽発酵飲料のVDK値が充分に低くなるように調整する以外は、ビール等の一般的な麦芽発酵飲料と同様にして製造できる。具体的には、仕込工程、発酵工程、及び貯酒工程を経て製造できる。
まず、仕込工程として、少なくとも麦芽を含む発酵原料から発酵原料液を調製する。当該発酵原料は、麦芽のみからなるものであってもよく、麦芽とその他の1種又は2種以上の発酵原料からなるものであってもよい。その他の発酵原料としては、麦芽以外の穀物原料であってもよく、糖質原料であってもよい。なお、発酵原料とは、酵母が発酵に用いることができる糖類の供給源となる原料をいう。
麦芽以外の穀物原料としては、例えば、大麦、小麦、エン麦等の麦類、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられる。糖質原料としては、液糖や砂糖等が挙げられる。
穀物原料は、細断処理や粉砕処理したものを用いてもよい。穀物原料の細断処理や粉砕処理は、常法により行うことができる。穀物原料の粉砕物としては、麦芽粉砕物、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。例えば麦芽粉砕物は、大麦を常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕することにより、製造することができる。その他、穀物原料としては、凍結乾燥等の乾燥処理をしたものを用いてもよい。また、含有する澱粉の糊化処理を施したものを用いてもよい。穀物原料の種類によっては、予め澱粉を糊化しておくことにより、仕込工程における糖化処理を効率よく行うことができる。糊化方法は特に限定されるものではなく、蒸す等の常法により行うことができる。
具体的には、まず、麦芽を含む発酵原料と原料水とを含む混合物(マイシェ)を調製して加温し、穀物原料等の澱粉質を糖化させる。当該混合物には、発酵原料と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、酵母エキス、甘味料、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。原料として用いるホップとしては、生ホップであってもよく、乾燥ホップであってもよく、ホップペレットであってもよく、ホップから苦味成分を抽出したホップエキスであってもよい。また、イソ化ホップ、テトラハイドロイソフムロン、ヘキサハイドロイソフムロン等のホップ加工品であってもよい。
さらに、マイシェには、澱粉の糖化効率を高め、かつフェルラ酸濃度を高めるために、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等のα−グルコシド加水分解酵素、グルカナーゼ、キシラナーゼ等のβ−グルコシド加水分解酵素、エステラーゼ等のプロテアーゼ等の酵素剤を添加することが好ましい。
糖化処理は、麦芽由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた発酵原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする麦芽発酵飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。また、この糖化処理とタンパク休止を同時に行う場合には、フェルラ酸の遊離効率も考慮して調整される。例えば、タンパク休止を兼ねた糖化処理は、穀物原料と酵素剤等を含む混合物を35〜70℃で20〜120分間保持する等、常法により行うことができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する麦芽発酵飲料を製造することができる。特にホップは、煮沸処理前又は煮沸処理中に添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。この煮沸工程により、マイシェ中のフェルラ酸から4VGが合成される。
仕込工程後、発酵工程前に、調製された煮汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50〜80℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、特に4VG生成力の高い上面発酵酵母が好んで用いられる。また、より苦味価を高めるために、発酵液にホップやホップエキス等を含有させてもよい。
発酵工程におけるアルコール発酵を抑制することにより、発酵により生成されるアルコール量がより低減される。したがって、特に、アルコール濃度が1容量%未満の麦芽発酵飲料を製造する場合には、発酵工程における発酵度を下げることも好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的の麦芽発酵飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が4〜5μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。また、所望のアルコール濃度とするために、濾過前又は濾過後に適量の加水を行って希釈してもよい。得られた麦芽発酵飲料は、通常、充填工程により瓶詰めされて、製品として出荷される。
その他、酵母による発酵工程以降の工程において、例えばアルコール含有蒸留液と混和することにより、酒税法におけるリキュール類に相当する麦芽発酵飲料を製造することができる。アルコール含有蒸留液の添加は、アルコール濃度の調整のための加水前であってもよく、加水後であってもよい。添加するアルコール含有蒸留液は、より好ましい麦感を有する麦芽発酵飲料を製造し得ることから、麦スピリッツが好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ただし、以降の実験において、麦芽発酵飲料のVDK値は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.16 ダイアセチル 8.16.2 ガスクロマトグラフィー法」の項に記載の方法に準じて測定した。
また、麦芽発酵飲料の4VGは、C18(ODS)カラムを用いたHPLC分析(McMurroughら、Journal of the Institute of Brewing、1996年、第102巻、第327〜332ページ。)により測定した。移動相としては、水/メタノール/リン酸混合溶媒(容量比:540/450/10)を用いた。
麦芽発酵飲料の酢酸イソアミルは、以下の通りにして測定した。まず、50mL容遠心管に硫酸アンモニウム6.0gを測り取り、氷冷したサンプル30gを加え、直ちに氷冷した。次いで、当該遠心管に内部標準物質を加え、二硫化炭素溶液3.0mLを加えた。その後、当該遠心管を200rpmで10分間振とうした後、遠心分離処理し、二硫化炭素層を回収した。回収された二硫化炭素溶液0.5mLを、ガスクロマトグラフィーに供試し、酢酸イソアミルを検出し定量した。
[参考例1]
市販されている3種のヴァイツェンビール(市販品A〜C)について、4VG含有量、VDK値、及び酢酸エチル含有量を測定した。また、これらのビールについて、4名のパネリストにより、「フルーティな香味の強さ」、「スパイシーな香味の強さ」、「フルーティさとスパイシー感のバランス」、「異臭(フェノール臭)の強さ」、「ドリンカビリティー」、及び「総合評価」について評価した。なお、評価水準は表1のとおり5段階で行った。「フルーティな香味の強さ」及び「スパイシーな香味の強さ」は、強いほど良いと評価し、「異臭(フェノール臭)の強さ」は弱いほど良いと評価した。4名のパネリストの評価の平均値をサンプルの評価とした。
Figure 2017046627
市販品A〜Cの分析結果及び評価結果を表2に示す。この結果、4VG含有量が高いほどスパイシーな香味が強いが、フェノール臭も強い傾向にあり、酢酸イソアミル含有量が高いほど、フルーティな香味が強かった。また、いずれの市販品も、フルーティさとスパイシー感のバランスとドリンカビリティーが良くなく、総合評価も高くなかった。
Figure 2017046627
[比較例1]
麦芽を50℃で30分間、62℃で20分間反応させた後。76℃で酵素を失活させ、糖化液を調製した。得られた糖化液は濾過した後、煮沸釜に入れて200Lに湯で調整した後、ホップ(アメリカ産UNU)を適量添加し、70分間煮沸して184Lの麦汁を得た(仕込工程)。その後、湯で200Lに調整し、ワールプール(旋回分離層)で固液分離した後、熱交換器で冷却した。冷却後の麦汁に下面発酵酵母を添加し、7日間発酵させた後(発酵工程)、タンク底から酵母を除去し、残りの発酵液を熟成させた(貯酒工程)。一定時間熟成させた発酵液を濾過処理により清澄化した。得られたビールは、1.3倍に希釈後に容器に充填した。発酵に使用する酵母種を適宜選択することにより、得られるビールの4VG含有量を調整した。また、発酵に使用する酵母種と発酵温度を調整することにより、得られるビールの酢酸イソアミル含有量を調整した。さらに、熟成時間を調整することにより、得られるビールのVDK値を調整した。
こうして、VDK値が0.1ppbであり、pHが4.0であり、4VGの含有量が500、1000、又は3000ppbであり、酢酸イソアミルの含有量が1000、2000、又は5000ppbであるサンプルビールを調製した。これらのビールについて、参考例1と同様にして、4名のパネリストにより、「フルーティな香味の強さ」、「スパイシーな香味の強さ」、「フルーティさとスパイシー感のバランス」、「異臭(フェノール臭)の強さ」、「ドリンカビリティー」、及び「総合評価」について評価した。評価結果を表3及び4に示す。
Figure 2017046627
Figure 2017046627
この結果、4VG含有量が高いほどスパイシーな香味が強く、フェノール臭も強い傾向にあり、酢酸イソアミル含有量が高いほど、フルーティな香味が強い傾向が観察された。
[実施例1]
比較例1で総合評価の低かった4VGの含有量が1000ppbであるサンプル4と6について、それぞれ、VDK値を0.01、0.5、1.0ppbになるよう調製したサンプルビールを、比較例1と同様にして調製した。これらのビールについて、参考例1と同様にして、4名のパネリストにより、「フルーティな香味の強さ」、「スパイシーな香味の強さ」、「フルーティさとスパイシー感のバランス」、「異臭(フェノール臭)の強さ」、「ドリンカビリティー」、及び「総合評価」について評価した。評価結果を表5に示す。
Figure 2017046627
この結果、酢酸イソアミル含有量が6000ppbのサンプルと500ppbのサンプルのいずれにおいても、VDK値が0.1ppbよりも、0.01又は0.05ppbのほうがフルーティさとスパイシー感のバランスとドリンカビリティーがいずれも良好であり、総合評価も高かった。特に、酢酸イソアミルが500ppbのサンプル4〜6では、VDK値が0.1ppbよりも、0.01又は0.05ppbのほうが、フェノール臭も弱く、嗜好性が高かった。
[実施例2]
比較例1で総合評価の低かった4VGの含有量が3000ppbであるサンプル7と8について、それぞれ、VDK値を0.01、0.5、1.0ppbになるよう調製したサンプルビールを、比較例1と同様にして調製した。これらのビールについて、参考例1と同様にして、4名のパネリストにより、「フルーティな香味の強さ」、「スパイシーな香味の強さ」、「フルーティさとスパイシー感のバランス」、「異臭(フェノール臭)の強さ」、「ドリンカビリティー」、及び「総合評価」について評価した。評価結果を表6に示す。
Figure 2017046627
この結果、酢酸イソアミル含有量が2000ppbのサンプルと500ppbのサンプルのいずれにおいても、VDK値が0.1ppbよりも、0.01又は0.05ppbのほうがフルーティさとスパイシー感のバランスとドリンカビリティーがいずれも良好であり、総合評価も高かった。特に、酢酸イソアミルが2000ppbのサンプル1〜3では、VDK値が0.1ppbよりも、0.01又は0.05ppbのほうが、フェノール臭も弱かった。
[比較例2]
比較例1で総合評価の低かった4VGの含有量が500ppbであるサンプル1と3について、それぞれ、VDK値を0.01、0.5、1.0ppbになるよう調製したサンプルビールを、比較例1と同様にして調製した。これらのビールについて、参考例1と同様にして、4名のパネリストにより、「フルーティな香味の強さ」、「スパイシーな香味の強さ」、「フルーティさとスパイシー感のバランス」、「異臭(フェノール臭)の強さ」、「ドリンカビリティー」、及び「総合評価」について評価した。評価結果を表7に示す。
Figure 2017046627
この結果、酢酸イソアミル含有量が6000ppbのサンプルと500ppbのサンプルのいずれにおいても、VDK値が低くなっても、フルーティな香味、フルーティさとスパイシー感のバランス、フェノール臭の強さ、ドリンカビリティー、及び総合評価のいずれも、さほど改善されず、かえって悪化しているものもあった。

Claims (6)

  1. 4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上であり、かつVDK値が0.05ppb以下であることを特徴とする、麦芽発酵飲料。
  2. 酢酸イソアミルの含有量が2000ppb以上である、請求項1に記載の麦芽発酵飲料。
  3. 酢酸イソアミルの含有量に対する4−ビニルグアイアコールの含有量の比率([4−ビニルグアイアコールの含有量]/[酢酸イソアミルの含有量])が0.1以上である、請求項1又は2に記載の麦芽発酵飲料。
  4. 4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上の麦芽発酵飲料において、VDK値を0.05ppb以下に調整することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造方法。
  5. 上面発酵酵母を使用して発酵工程を行う、請求項4に記載の麦芽発酵飲料の製造方法。
  6. 4−ビニルグアイアコールの含有量が1000ppb以上の麦芽発酵飲料において、VDK値を0.05ppb以下に調整することを特徴とする、麦芽発酵飲料の味質改善方法。
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