JP2017024347A - 印刷制御装置および印刷制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】つなぎ領域を設けて印刷を行う場合に生じ易い画質劣化を抑制する印刷制御装置を提供する。
【解決手段】複数のノズルが所定のノズル列方向へ並んだノズル列を有する、印刷ヘッドのノズル列に交差する方向への移動に伴って、ノズルからインクを吐出させることにより印刷媒体への画像の印刷を実現する印刷制御装置であって、画像のうち、移動に伴ってノズルからインクを吐出させる第1走査と、第1走査よりも後の移動に伴ってノズルからインクを吐出させる第2走査とで、重複して印刷するつなぎ領域の濃度を補正する濃度補正部を備え、濃度補正部は、印刷ヘッドと印刷媒体との距離であるPGと、画像を表現する画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度と、に応じて補正を実行する。
【選択図】図7
【解決手段】複数のノズルが所定のノズル列方向へ並んだノズル列を有する、印刷ヘッドのノズル列に交差する方向への移動に伴って、ノズルからインクを吐出させることにより印刷媒体への画像の印刷を実現する印刷制御装置であって、画像のうち、移動に伴ってノズルからインクを吐出させる第1走査と、第1走査よりも後の移動に伴ってノズルからインクを吐出させる第2走査とで、重複して印刷するつなぎ領域の濃度を補正する濃度補正部を備え、濃度補正部は、印刷ヘッドと印刷媒体との距離であるPGと、画像を表現する画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度と、に応じて補正を実行する。
【選択図】図7
Description
本発明は、印刷制御装置および印刷制御方法に関する。
複数のノズルがノズル列方向へ並んだノズル列を有する印刷ヘッドをノズル列に交差する方向へ移動させつつ各ノズルからインクを吐出すること(印刷ヘッドの走査)により、印刷媒体への画像の印刷を行うインクジェットプリンターが知られている。このようなインクジェットプリンターでは、所定回数の印刷ヘッドの走査と、所定搬送量による印刷媒体の搬送とを交互に繰り返すことで、ユーザー所望の画像の印刷を完了する。
上述したような印刷では、印刷媒体の1回の搬送の前の走査により印刷するエリアの一部と、当該搬送の後の走査で印刷するエリアとの一部とを重複させる手法が採用されることがある。このような重複を発生させる(つなぎ領域を発生させる)ことで、搬送前後の各走査で印刷したエリア間に隙間が生じることを防止する。
なお、記録ヘッド内の記録素子のうちの記録媒体の1回の搬送毎の記録エリアにおける両端部の記録ラスターラインに対応する対の記録素子による記録間隔に関する記録間隔情報および記録媒体搬送系による記録媒体の1回分の搬送量に関する搬送量情報、に基づき前記対の記録素子による記録ラスターラインに関しての濃度補正を実行する記録方法が知られている(特許文献1参照)。
上述したつなぎ領域を設ける方法を採用した場合、つなぎ領域と、つなぎ領域ではない領域(非つなぎ領域)とでは、印刷結果において画質に差が生じ易く、このような差がスジ状の濃度むら(画質劣化の一種)と認識されることがあった。ここで、ノズルから吐出されたインク滴の印刷媒体における着弾位置は、理想的な着弾位置からのずれ(着弾誤差)を含んでいることがある。着弾誤差は、いずれのノズルから吐出されるインク滴にも生じ得るが、特に、ノズル列の端部に近いノズルほど、吐出するインク滴に着弾誤差が生じ易い傾向が有る。つなぎ領域は、このようなノズル列の端部に近いノズルを用いて印刷されることから、非つなぎ領域よりも着弾誤差の影響が強く出た画質となり、その結果、非つなぎ領域との画質の差、つまり前記濃度むらが生じ易くなる。
着弾誤差を生じさせる要因は幾つか考えられる。また、着弾誤差の程度も、そのような要因の程度によって異なる。従って、着弾誤差に起因して生じる上述の濃度むらを適切に抑制するには、このような幾つかの要因を考慮した処理を行う必要が有った。
本発明は少なくとも上述の課題を鑑みてなされたものであり、つなぎ領域を設けて印刷を行う場合に生じ易い画質劣化を抑制することが可能な印刷制御装置および印刷制御方法を提供する。
本発明の態様の1つは、複数のノズルが所定のノズル列方向へ並んだノズル列を有する印刷ヘッドの当該ノズル列に交差する方向への移動に伴って当該ノズルからインクを吐出させることにより印刷媒体への画像の印刷を実現する印刷制御装置であって、前記画像のうち、前記移動に伴って前記ノズルからインクを吐出させる第1走査と当該第1走査よりも後の前記移動に伴って前記ノズルからインクを吐出させる第2走査とで重複して印刷するつなぎ領域の濃度を補正する濃度補正部を備え、前記濃度補正部は、前記印刷ヘッドと前記印刷媒体との距離であるペーパーギャップ(以下、PG)と、前記画像を表現する画像データに従ったときの前記つなぎ領域の濃度と、に応じて前記補正を実行する。
当該構成によれば、濃度補正部は、着弾誤差を生じさせる要因であるPGおよび画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度に応じて、つなぎ領域の濃度を補正する。この結果、つなぎ領域を設けて印刷を行う場合に生じ易い前記濃度むらを適切に抑制することができる。
本発明の態様の1つは、前記濃度補正部は、前記PGが広いほど、前記つなぎ領域の濃度を高める度合を上げるように補正するとしてもよい。
当該構成によれば、PGが広くなるに従って着弾誤差が大きくなるため印刷結果の色が薄くなりがちであるつなぎ領域について、適切な濃度補正(濃くする補正)を行うことができる。
当該構成によれば、PGが広くなるに従って着弾誤差が大きくなるため印刷結果の色が薄くなりがちであるつなぎ領域について、適切な濃度補正(濃くする補正)を行うことができる。
本発明の態様の1つは、前記濃度補正部は、前記画像データに従ったときの前記つなぎ領域の濃度を示す階調値が高いほど、前記つなぎ領域の濃度を高める度合を上げるように補正するとしてもよい。
当該構成によれば、前記画像データに従ったときの濃度が高くなるに従って着弾誤差が大きくなるため印刷結果の色が狙いの色と比較して薄くなりがちであるつなぎ領域について、適切な濃度補正(濃くする補正)を行うことができる。
当該構成によれば、前記画像データに従ったときの濃度が高くなるに従って着弾誤差が大きくなるため印刷結果の色が狙いの色と比較して薄くなりがちであるつなぎ領域について、適切な濃度補正(濃くする補正)を行うことができる。
本発明の態様の1つは、前記画像データが前記印刷ヘッドが吐出する複数のインク色毎の階調値を有する場合に、前記濃度補正部は、前記画像データに従ったときの前記つなぎ領域における全インク色の階調値に基づいて算出した特徴値に応じて、前記補正を実行するとしてもよい。
当該構成によれば、前記画像を表現する画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度を的確に捉えた特徴値に基づいて、つなぎ領域の濃度を補正することができる。
当該構成によれば、前記画像を表現する画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度を的確に捉えた特徴値に基づいて、つなぎ領域の濃度を補正することができる。
本発明の態様の1つは、前記濃度補正部は、前記画像データの前記つなぎ領域を複数の単位領域に分け、当該単位領域毎に、前記画像データに従ったときの濃度に応じた前記補正を実行するとしてもよい。
当該構成によれば、つなぎ領域の濃度補正を効率的に行うことができる。
当該構成によれば、つなぎ領域の濃度補正を効率的に行うことができる。
本発明の態様の1つは、前記濃度補正部は、前記つなぎ領域の印刷に要する前記第1走査および第2走査の回数に応じて、前記補正の度合いを異ならせるとしてもよい。
また、本発明の態様の1つは、前記濃度補正部は、前記画像データの前記つなぎ領域を構成するラスターライン数に応じて、前記補正の度合いを異ならせるとしてもよい。
これら構成によれば、つなぎ領域の印刷に要する第1走査および第2走査の回数や、つなぎ領域を構成するラスターライン数といった様々な要素に応じて、前記濃度むらを抑制するために適した程度の、つなぎ領域の濃度補正を行うことができる。
また、本発明の態様の1つは、前記濃度補正部は、前記画像データの前記つなぎ領域を構成するラスターライン数に応じて、前記補正の度合いを異ならせるとしてもよい。
これら構成によれば、つなぎ領域の印刷に要する第1走査および第2走査の回数や、つなぎ領域を構成するラスターライン数といった様々な要素に応じて、前記濃度むらを抑制するために適した程度の、つなぎ領域の濃度補正を行うことができる。
本発明の技術的思想は、印刷制御装置という物以外によっても実現される。例えば、本発明は、印刷制御装置が実行する工程を含んだ方法(印刷制御方法)、あるいは当該方法をコンピューターに実行させるコンピュータープログラム、さらには当該プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な記憶媒体、といった各種カテゴリーにて実現されてもよい。
以下では、各図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図面は、実施形態を説明するための例示に過ぎず、また互いに整合していないこともある。
1.装置の概略的説明:
図1は、本実施形態にかかる印刷制御装置10等の機能をブロック図により例示したものである。印刷制御装置10は、例えば、プリンターや、プリンターの機能を含んだ複合機、等といった製品として把握される。印刷制御装置10が、印刷媒体への印刷を実際に行う印刷部30と、印刷部30の挙動を制御するための一部の構成(例えば、後述する制御部11)とを含む構成であるとした場合、一部の構成を指して印刷制御装置10と称してもよい。また、印刷制御装置10を、印刷装置、画像処理装置、等と呼んでもよい。図1に示した印刷制御装置10の各構成は、一箇所あるいは一筐体内に集約されている場合に限らず、それら各構成が互いに離れた場所に存在し且つ通信可能な状態でいることで一システムを構築していてもよい。例えば、印刷制御装置10は、印刷媒体への印刷を実際に行うプリンターの挙動を制御するためのプログラム(プリンタードライバー等)を搭載して当該プリンターを制御する装置(パーソナルコンピューター等)を含んで構成されるとしてもよい。
図1は、本実施形態にかかる印刷制御装置10等の機能をブロック図により例示したものである。印刷制御装置10は、例えば、プリンターや、プリンターの機能を含んだ複合機、等といった製品として把握される。印刷制御装置10が、印刷媒体への印刷を実際に行う印刷部30と、印刷部30の挙動を制御するための一部の構成(例えば、後述する制御部11)とを含む構成であるとした場合、一部の構成を指して印刷制御装置10と称してもよい。また、印刷制御装置10を、印刷装置、画像処理装置、等と呼んでもよい。図1に示した印刷制御装置10の各構成は、一箇所あるいは一筐体内に集約されている場合に限らず、それら各構成が互いに離れた場所に存在し且つ通信可能な状態でいることで一システムを構築していてもよい。例えば、印刷制御装置10は、印刷媒体への印刷を実際に行うプリンターの挙動を制御するためのプログラム(プリンタードライバー等)を搭載して当該プリンターを制御する装置(パーソナルコンピューター等)を含んで構成されるとしてもよい。
図1では、印刷制御装置10を、制御部11、操作入力部16、表示部17、通信インターフェイス(I/F)18、スロット部19、印刷部30、等を含む構成として例示している。制御部11は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するICや、その他の記憶媒体等により構成される。制御部11では、CPUが、ROM等に保存されたプログラムに従った演算処理を、RAM等をワークエリアとして用いて実行することにより、様々な処理(例えば、後述する印刷制御処理)を実現する。
操作入力部16は、ユーザーによる操作を受け付けるための装置であり、例えば、各種ボタンやキー等を含む。表示部17は、印刷制御装置10に関する各種情報を示すための部位であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)により構成される。操作入力部16の一部は、表示部17に表示されたタッチパネルとして実現されるとしてもよい。
印刷部30は、画像を印刷媒体に印刷するための機構である。印刷部30が採用する印刷方式がインクジェット方式である場合、印刷部30は、印刷ヘッド31(図3参照)、印刷ヘッド31を所定の主走査方向に沿って移動させるキャリッジ35、印刷媒体を主走査方向と交差する搬送方向に沿って搬送する搬送部36、等の構成を有する。
印刷ヘッド31は、不図示のインクカートリッジからインクの供給を受ける。印刷部30がカラー印刷を実行可能な装置である場合、印刷ヘッド31は、複数種類のインク(例えば、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、ブラック(K)インク、等)毎のインクカートリッジから各種インクの供給を受ける。印刷ヘッド31は、複数のノズル34(図3参照)からインク(インク滴)を吐出(噴射)可能である。吐出されたインクが印刷媒体に着弾することで印刷媒体にドットが形成されて印刷が実現する。「ドット」とは、基本的には印刷媒体に着弾したインク滴を指すが、インク滴が印刷媒体に着弾する前の工程に関する説明においても、ドットという表現を適宜用いる。印刷部30が使用する液体の具体的な種類や数は上述したものに限られず、例えば、ライトシアン、ライトマゼンダ、オレンジ、グリーン、グレー、ライトグレー、ホワイト、メタリック…等、種々のインクや液体を使用可能である。
搬送部36は、印刷媒体を支持して搬送するためのローラーや当該ローラーを回転させるためのモーター(いずれも不図示)等を含んでいる。印刷媒体は、代表的には紙である。ただし、本実施形態は、液体を記録可能であって搬送部36により搬送可能な素材であれば、紙以外の素材も印刷媒体の概念に含める。
通信I/F18は、印刷制御装置10を外部機器100と有線あるいは無線にて接続するためのインターフェイスの総称である。外部機器100としては、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、デジタルスチルカメラ、パーソナルコンピューター(PC)等、印刷制御装置10にとって画像データの入力元となる様々な機器が該当する。印刷制御装置10は、通信I/F18を介して外部機器100と、例えば、USBケーブル、有線ネットワーク、無線LAN、電子メール通信等の様々な手段や通信規格により接続可能である。
スロット部19は、メモリーカード等の外部の記憶媒体を挿入するための部位である。つまり印刷制御装置10は、スロット部19に挿入されたメモリーカード等の外部の記憶媒体から、当該記憶媒体に記憶されている画像データを入力することも可能である。
スロット部19は、メモリーカード等の外部の記憶媒体を挿入するための部位である。つまり印刷制御装置10は、スロット部19に挿入されたメモリーカード等の外部の記憶媒体から、当該記憶媒体に記憶されている画像データを入力することも可能である。
図2は、制御部11が実行する印刷制御処理をフローチャートにより示している。制御部11は、印刷対象の画像を表現する画像データを入力すると(ステップS100)、当該画像データから印刷データを生成するための画像処理を実行する(ステップS200)。ステップS100で入力する画像データのフォーマットは種々考えられるが、例えば、画素毎にRGB(レッド、グリーン、ブルー)で階調(例えば、0〜255の256階調)表現されたビットマップデータである。制御部11は、画像データに対し、解像度変換処理、色(表色系)変換処理、濃度補正処理、ハーフトーン処理といった画像処理を適宜施すことにより、印刷対象の画像を複数の画素でドットのパターンにより表現する印刷データを生成する。
ドットのパターン(ドットパターン)とは、ドットのオン(ドット形成つまりインク吐出)・オフ(ドット非形成つまりインク非吐出)の配列であり、画素毎のドットのオン・オフを規定しているとも言える。印刷ヘッド31が、例えばCMYKインクを吐出する場合、印刷データは、CMYK毎の、画素毎のドットのオン・オフを規定したデータを含んでいる。ステップS200の詳細については後述する。
制御部11は、このような印刷データを構成する各画素について、割り当て先のノズル34を決定し、当該決定に応じて印刷ヘッド31に転送するための所定の並びに並び替えた上で印刷ヘッド31へ転送する出力処理を行う(ステップS300)。このような各画素のノズル34への割り当てにより、印刷データを構成する各画素のドットは、印刷ヘッド31のいずれのノズル34によって形成されるかが確定される。
印刷ヘッド31は、転送された印刷データに基づいて各ノズル34を駆動する。例えば、印刷ヘッド31へは、制御部11により、各ノズル34を駆動するための駆動信号(パルスの一種)が与えられるとする。詳しい説明は省略するが、印刷ヘッド31においては、印刷データが表現する画素毎のドットのオン・オフの情報に応じて、ノズル34毎に設けられた駆動素子への前記駆動信号の印加をスイッチングする。これにより、各ノズル34は、自身に割り当てられた画素の情報に従ったインク吐出・非吐出を実現する。この結果、前記印刷対象の画像が印刷媒体に印刷される。
図3は、印刷ヘッド31の構成等を簡易的に例示している。図3には、印刷ヘッド31のインク吐出面31aにおけるノズル34の配列を印刷ヘッド31の上方からの視点で例示している。図3(および図8,10)ではノズル34を丸で示している。インク吐出面31aとは、ノズル34が開口する面であり、搬送部36により搬送方向に沿って搬送される印刷媒体Sと相対する面である。図3において、方向D1は主走査方向に該当し、方向D2は搬送方向に該当する。基本的には、主走査方向D1と搬送方向D2は直交している。
図3の例では、印刷ヘッド31は、Cインクの吐出に対応したノズル列33C、Mインクの吐出に対応したノズル列33M、Yインクの吐出に対応したノズル列33Y、Kインクの吐出に対応したノズル列33Kを有する。ノズル列33C,33M,33Y,33Kのそれぞれにおいて、対応する色のインクを吐出するための複数のノズル34が所定のノズル列方向D3へ所定間隔(一定のノズルピッチNP)で並んでいる。
ノズル列が向くノズル列方向D3は、主走査方向D1に交差している。印刷部30の設計にも依るが、ノズル列方向D3は、主走査方向D1に対して直交していたり直交(90度)ではない斜めの角度で交差していたりする。以下では、説明を簡単にするために、ノズル列方向D3は主走査方向D1に直交しているとする。従って、ノズル列方向D3と搬送方向D2は平行である。なお本明細書において、直交、平行、一定、等と本来厳密に解される表現を使用した場合であっても、それらは厳密な直交、平行、一定のみを意味するのではなく、製品性能上許容される程度の誤差や製品製造時に生じ得る程度の誤差も含む意味である。1色のインクは、1つのノズル列によって吐出される以外にも、例えば、互いにノズル列方向D3にずれて配設された複数のノズル列によって吐出されるとしてもよい。
印刷ヘッド31を搭載したキャリッジ35は、不図示のキャリッジモーターによる動力を受けて、主走査方向D1と平行に移動する。印刷ヘッド31はキャリッジ35と共に移動しつつ各ノズル34から印刷媒体Sへインクを吐出することにより印刷を実現する。主走査方向D1の一端側から他端側までの当該移動、あるいは主走査方向D1の他端側から一端側までの当該移動に伴って印刷ヘッド31がインクを吐出する処理を1回の「走査」あるいは「パス」とも呼ぶ。このような構成によれば、印刷制御装置10は、複数のノズル34がノズル列方向D3へ並んだノズル列(例えば、ノズル列33C,33M,33Y,33K)を有する印刷ヘッド31を制御することにより印刷を実現すると言える。
2.印刷条件とPGについての説明:
次に、ユーザーにより設定される印刷条件と、印刷条件に応じたPGについて説明する。ユーザーは、印刷制御処理(図2)を印刷制御装置10に開始させる前に、例えば、表示部17に表示されたユーザーインターフェイス(UI)画面を見ながら操作入力部16を操作することにより、印刷条件を任意に設定可能である。具体的には、ユーザーは、UI画面におけるメニュー(例えば、印刷媒体の選択に関する「普通紙」、「封筒」等のメニュー、「片面印刷」か「両面印刷」を選択するメニュー、こすれ軽減モードの「有効化」か「無効化」を選択するメニュー…等)の中から所望の条件を選択することで、印刷条件を簡単に設定することが出来る。こすれ軽減モードとは、印刷ヘッド31と印刷媒体Sとの接触を確実に回避したい場合に有効化するオプションである。
次に、ユーザーにより設定される印刷条件と、印刷条件に応じたPGについて説明する。ユーザーは、印刷制御処理(図2)を印刷制御装置10に開始させる前に、例えば、表示部17に表示されたユーザーインターフェイス(UI)画面を見ながら操作入力部16を操作することにより、印刷条件を任意に設定可能である。具体的には、ユーザーは、UI画面におけるメニュー(例えば、印刷媒体の選択に関する「普通紙」、「封筒」等のメニュー、「片面印刷」か「両面印刷」を選択するメニュー、こすれ軽減モードの「有効化」か「無効化」を選択するメニュー…等)の中から所望の条件を選択することで、印刷条件を簡単に設定することが出来る。こすれ軽減モードとは、印刷ヘッド31と印刷媒体Sとの接触を確実に回避したい場合に有効化するオプションである。
制御部11は、ユーザーの操作を受けて設定した印刷条件に応じて、PGを決定する。なお、制御部11は、予め印刷条件(印刷条件の組み合わせ)とPGとの対応関係を規定した情報(テーブル)を有しているものとする。例えば、制御部11は、「普通紙、片面印刷、こすれ軽減モードOFF(無効化)」という印刷条件、「普通紙、片面印刷、こすれ軽減モードON(有効化)」という印刷条件、「普通紙、両面印刷、こすれ軽減モードOFF」という印刷条件、「封筒、片面印刷」という印刷条件、といった様々な印刷条件のパターンに応じて異なるPGを決定する。
図4は、印刷部30の一部範囲を側面視したときの構成を簡易的に示している。印刷部30では、印刷ヘッド31のインク吐出面31aと相対するようにプラテン32が設けられている。印刷媒体Sは、搬送部36により搬送方向D2に沿ってプラテン32上へ搬送される。図4においては、主走査方向D1は当該図の紙面に垂直な方向である。印刷部30は、知られているようにキャリッジ35の高さ方向の位置を調整する等によりプラテン32上の印刷媒体Sから印刷ヘッド31(インク吐出面31a)までの高さ、つまりPGを調整可能である。
従って、制御部11は、上述したようなユーザーの操作を受けて印刷条件を設定したとき、その印刷条件に対応したPGを決定し、当該決定したPGとなるように(そのとき使用する印刷媒体Sの厚さ等を考慮して)印刷部30にPGを調整させる。なお、PG(ペーパーギャップ)に似た概念として、プラテン32から印刷ヘッド31(インク吐出面31a)までの高さを指すプラテンギャップという言葉が知られている。PGを変化させることはプラテンギャップを変化させることでもある。従って、PGの調整とは、プラテンギャップを変えることで結果的にPGを調整する処理と捉えてもよい。
3.着弾誤差と要因との相関:
図5A,5Bおよび図6A,6Bは、印刷部30が所定のテストパターンを表現するテストパターン画像データに基づいて印刷した当該テストパターンから得られた着弾誤差とその要因との相関を例示する図である。図5A,5Bおよび図6A,6Bそれぞれにおいて、横軸に示した数値1〜199は、テストパターンの印刷に使用した特定ノズル列(ノズル列33C,33M,33Y,33Kのいずれか1つ。例えば、ノズル列33K。)を構成するノズル列方向D3の一端側(搬送方向D2の下流側)から他端側(搬送方向D2の上流側)に並んだノズル34毎に付したノズル番号を示している。図5A,5Bおよび図6A,6Bそれぞれにおいて、縦軸は、ノズル番号毎の着弾誤差を示している。具体的には、全てのノズル番号について印刷媒体におけるインク滴の着弾位置の理想位置というものを定義し、印刷されたテストパターンの解析結果から得た、ノズル番号毎の当該理想位置と実際のインク滴の着弾位置(ドット形成位置)とのずれを、ノズル番号毎の着弾誤差としている。
図5A,5Bおよび図6A,6Bは、印刷部30が所定のテストパターンを表現するテストパターン画像データに基づいて印刷した当該テストパターンから得られた着弾誤差とその要因との相関を例示する図である。図5A,5Bおよび図6A,6Bそれぞれにおいて、横軸に示した数値1〜199は、テストパターンの印刷に使用した特定ノズル列(ノズル列33C,33M,33Y,33Kのいずれか1つ。例えば、ノズル列33K。)を構成するノズル列方向D3の一端側(搬送方向D2の下流側)から他端側(搬送方向D2の上流側)に並んだノズル34毎に付したノズル番号を示している。図5A,5Bおよび図6A,6Bそれぞれにおいて、縦軸は、ノズル番号毎の着弾誤差を示している。具体的には、全てのノズル番号について印刷媒体におけるインク滴の着弾位置の理想位置というものを定義し、印刷されたテストパターンの解析結果から得た、ノズル番号毎の当該理想位置と実際のインク滴の着弾位置(ドット形成位置)とのずれを、ノズル番号毎の着弾誤差としている。
ノズル番号毎の理想位置は、1つのノズル番号(例えば、ノズル番号100)に対応する理想位置を印刷媒体上に定め、当該定めた位置を基準としてノズル列方向D3に沿ってノズルピッチNP間隔で他の各ノズル番号に対応する各理想位置を定めることにより、定義することができる。ノズル番号毎の着弾誤差は、いずれも0であることが理想的であるが、実際には着弾誤差は0にはならないことが多い。図5A,5Bおよび図6A,6Bにおいて、−の着弾誤差は、対応する理想位置よりも搬送方向D2の下流側へのずれに相当する着弾誤差を示し、+の着弾誤差は、対応する理想位置よりも搬送方向D2の上流側へのずれに相当する着弾誤差を示す。
図5A,5B、図6A,6Bに示した、PG1,PG2の表記は、テストパターンの印刷に際して印刷部30が採用した特定のPGを示しており、ここではPG1<PG2である。また、図5A,5B、図6A,6Bに示した、デューティー20%,60%の表記は、テストパターン画像データに従ったときの画像の濃度である。テストパターン画像データは、例えば、前記特定ノズル列が吐出する色(特定色、例えばK)のインクの階調値(濃度)のみを有する画素で構成されたビットマップデータである。つまり、デューティー20%に対応するテストパターン画像データは、0〜100%に正規化したときの20%に相当する特定色の階調値のみを有する画素で構成され、同様に、デューティー60%に対応するテストパターン画像データは、0〜100%に正規化したときの60%に相当する特定色の階調値のみを有する画素で構成されている。
従って、図5Aは、印刷部30が、PGをPG1に調整し、デューティー20%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
また、図5Bは、印刷部30が、PGをPG1に調整し、デューティー60%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
また、図6Aは、印刷部30が、PGをPG2に調整し、デューティー20%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
また、図6Bは、印刷部30が、PGをPG2に調整し、デューティー60%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
また、図5Bは、印刷部30が、PGをPG1に調整し、デューティー60%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
また、図6Aは、印刷部30が、PGをPG2に調整し、デューティー20%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
また、図6Bは、印刷部30が、PGをPG2に調整し、デューティー60%に対応するテストパターン画像データから生成された印刷データに基づいて前記特定ノズル列を用いて印刷したテストパターンから得られた着弾誤差を示している。
このような図5Aと図6Aとの比較あるいは図5Bと図6Bとの比較によれば、同じ濃度の画像を印刷する場合であっても、PGが広くなるほど着弾誤差が大きくなることが判る。これは、PGが広いほど、ノズル34から吐出されたインク滴が印刷媒体へ着弾するまでに時間を要するため、周囲の気流の影響をより強く受けて飛翔の軌跡が乱れ易く、その結果、着弾位置も乱れ易くなるからである。
また、図5Aと図5Bとの比較あるいは図6ABと図6Bとの比較によれば、PGが同じであっても、印刷すべき画像の濃度が高くなるほど着弾誤差が大きくなることが判る。ノズル34からインク滴が吐出される度に、当該吐出されたインク滴の周囲には気流が発生し、当該気流は、近傍の他のノズル34から吐出されるインク滴の飛翔に影響を与える。このような気流は、より多くのノズル34から一斉にインク滴が吐出されるほど、より大きく複雑な気流(空気の壁)となって、各インク滴の飛翔の軌跡を乱す。つまり、印刷すべき画像の濃度が高い(印刷媒体の一定面積あたりに形成されるドット数が多い)ほど、このような気流の影響により各インク滴の飛翔に強い乱れが生じ易いと言え、そのため着弾誤差が大きくなる。
このような図5A,5B、図6A,6Bに基づく考察によれば、PGの違いおよび印刷すべき画像の濃度はいずれも、着弾誤差の程度を変える要因となる。また、図5B、図6A,6Bから判るように、各ノズル34から吐出されるインク滴の着弾位置は、ノズル列の中心からノズル列方向D3の両端側へ広がるようにずれる傾向にあると言える。また、ノズル列の端部に近いノズル34から吐出されるインク滴ほど、大きな着弾誤差が生じる傾向が見られる。本実施形態では、このような各事情を鑑みて、印刷データを生成する過程で後述するような濃度補正処理を実行する。
4.濃度補正処理を含む印刷データの生成:
図7は、図2におけるステップS200(印刷データ生成)の詳細をフローチャートにより示している。ステップS210では、制御部11は、ステップS100(図2)で入力した画像データに解像度変換処理を施す。つまり、画像データの水平解像度、垂直解像度をそれぞれ、印刷部30が採用する水平印刷解像度、垂直印刷解像度に合うように変換(画素の補間あるいは間引き)を行う。水平印刷解像度は、主走査方向D1における印刷解像度であり、垂直印刷解像度は、搬送方向D2における印刷解像度である。ユーザーは、上述のUI画面等を介して、印刷部30が採用する水平印刷解像度、垂直印刷解像度のデフォルト設定を変更することができる。このような変更がなされている場合は、制御部11は、当該変更後の設定にかかる水平印刷解像度、垂直印刷解像度を採用する。一方、このような変更がなされていなければ、制御部11は、当該デフォルト設定を採用すればよい。
図7は、図2におけるステップS200(印刷データ生成)の詳細をフローチャートにより示している。ステップS210では、制御部11は、ステップS100(図2)で入力した画像データに解像度変換処理を施す。つまり、画像データの水平解像度、垂直解像度をそれぞれ、印刷部30が採用する水平印刷解像度、垂直印刷解像度に合うように変換(画素の補間あるいは間引き)を行う。水平印刷解像度は、主走査方向D1における印刷解像度であり、垂直印刷解像度は、搬送方向D2における印刷解像度である。ユーザーは、上述のUI画面等を介して、印刷部30が採用する水平印刷解像度、垂直印刷解像度のデフォルト設定を変更することができる。このような変更がなされている場合は、制御部11は、当該変更後の設定にかかる水平印刷解像度、垂直印刷解像度を採用する。一方、このような変更がなされていなければ、制御部11は、当該デフォルト設定を採用すればよい。
ステップS220では、制御部11は、ステップS210の後の画像データに色変換処理を施すことにより、画素毎にCMYKインクの各濃度を階調(例えば、0〜255の256階調)で表現した画像データへ変換する。当該色変換処理は、RGBとCMYKとの変換関係を規定して予め所定のメモリーに保存されたルックアップテーブル(色変換LUT)等を参照することにより実施可能である。
ステップS230では、制御部11は、ステップS220の後の画像データを対象として、濃度補正処理を施す。ここで言う濃度補正処理とは、後述するように“つなぎ領域”を対象とした濃度補正であり、図7では当該ステップS230の詳細(ステップS231〜S235)を示している。
図8は、ノズル34とノズル34に割り当てられる画素との対応関係の一例を示している。図8では、印刷ヘッド31が有する複数のノズル列のうち1つのインク色に対応するノズル列(一例として、ノズル列33K)を示しており、かつ、ステップS220で得られた画像データのうち当該ノズル列(ノズル列33K)が吐出するインク(Kインク)にかかる画像データKID(Kインクの濃度を画素毎に階調表現した画像データ)の一部を示している。画像データは、主走査方向D1および搬送方向D2へそれぞれ対応して並ぶ複数の画素PXにより構成される。説明の便宜上、画像データを構成する画素の並びの向きを、方向D1,D2により表現することがあるが、これはあくまで印刷部30による印刷実行時における画像の向きと方向D1,D2との対応(一致)関係に基づいている。図8では、図示を簡易化する目的で、1つのインク色に対応するノズル列を構成するノズル34の数を僅か8個としている。図8においてノズル34毎に付した♯1〜♯8の番号は、ノズル番号である。つまり説明の便宜上、ノズル列方向D3の一端側(搬送方向D2の下流側)から他端側(搬送方向D2の上流側)に並んだノズル34毎に、ノズル番号♯1〜♯8を付している。
図8では、印刷部30が印刷方法として、つなぎ領域を設けるバンド印刷を採用する場合の、ノズル34と画素PXとの割り当ての関係を示している。画素PXを表す矩形内に記した数字(1〜8のいずれか)は、その画素PXの割り当て先となるノズル34のノズル番号である。バンド印刷とは、概略的には、ノズル列を構成するノズル34の数分のラスターラインの束(バンド)を、印刷ヘッド31の1回のパスで印刷し、このようなパスと印刷媒体の搬送(紙送り)とを交互に繰り返す印刷方法である。ラスターラインとは、主走査方向D1に沿って連続する複数の画素PXの集合(画素行とも言う。)で表現される領域であり、バンド印刷では、基本的には1つのラスターラインを構成する画素PXは共通の1つのノズル34に割り当てられ印刷される。むろん、印刷部30が採用し得る印刷方法はバンド印刷に限定されないが、どのような印刷方法であっても、UI画面を通じたユーザーからの指示等で印刷方法が定まった後であれば、制御部11は、画像データを構成するどの画素をどのノズル34に割り当てるべきかを(ステップS200,S300いずれのタイミングでも)認識し、決定することができる。
図8では、印刷ヘッド31によるパス(1番目のパス、2番目のパス、3番目のパス…)毎にノズル列33Kの位置(搬送方向D2における画像データKIDとの相対的な位置)が変化することも示している。むろん、実際は印刷ヘッド31が搬送方向D2に沿って移動するのではなく無く、パスが終わる度に、印刷媒体が搬送部36によって搬送方向D2へ紙送りされて、次のパスで印刷すべきバンドにかかる画素の情報がノズル34へ割り当てられる。
さらに図8では、説明の便宜上、1番目のパスで印刷されるバンドをバンドBD1、2番目のパスで印刷されるバンドをバンドBD2、3番目のパスで印刷されるバンドをバンドBD3…と表現している。また、バンドBD1とバンドBD2とが重複する領域をつなぎ領域OL1、バンドBD2とバンドBD3とが重複する領域をつなぎ領域OL2…と表現している。バンドBD1とバンドBD2との関係に注目した場合、バンドBD1を印刷するためのパスが第1走査であり、その後にバンドBD2を印刷するためのパスが第2走査であり、これら第1走査と第2走査とが一部重なることによりつなぎ領域OL1が印刷される。また、バンドBD2とバンドBD3との関係に注目した場合、バンドBD2を印刷するためのパスが第1走査であり、その後にバンドBD3を印刷するためのパスが第2走査であり、これら第1走査の範囲と第2走査の範囲とが一部重なることによりつなぎ領域OL2が印刷される。
図8の例では、バンド内のうち、つなぎ領域に該当しない領域(非つなぎ領域)は、上述したように1つのラスターラインが1つのノズル34で印刷される。しかし、つなぎ領域では、1つのラスターラインが、複数のノズル34つまり複数回のパスで印刷される(オーバーラップ印刷される)。具体的には、つなぎ領域OL1,OL2,OL3…はいずれも、第1走査に対応してノズル列33Kの前記他端側の2つのノズル34(ノズル番号♯7,♯8のノズル34)へ一部の画素PXが割り当てられ、第2走査に対応してノズル列33Kの前記一端側の2つのノズル34(ノズル番号♯1,♯2のノズル34)へ残りの画素PXが割り当てられる。このように、つなぎ領域OL1,OL2,OL3…内で第1走査に割り当てられる画素PXと第2走査に割り当てられる画素PXとは、基本的には、方向D1,D2において交互に存在する。また、このようなつなぎ領域OL1,OL2,OL3…を発生させるために、搬送部36は、1回の紙送りの距離を、搬送方向D2におけるバンドの長さから搬送方向D2におけるつなぎ領域の長さを引いた距離(図8の例で言えば、ノズルピッチNP×6)とする。
図7の説明に戻る。制御部11は、ステップS231では、画像データを構成する画素のうち、上述したような、つなぎ領域(図8の例であれば、つなぎ領域OL1,OL2,OL3…)に属する画素を1つ注目画素として選択する。次に、制御部11は、ステップS232では、注目画素が有する全インク色の階調値(CMYK)に基づいて特徴値Tを算出する。特徴値Tの算出方法は幾つか考えられるが、例えば、注目画素が有する全インク色の階調値の平均値((C+M+Y+K)/4)を特徴値Tとする。このような特徴値Tは、注目画素のインクの濃度を端的に示す値の一種と言え、また、画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度の一種とも言える。
制御部11は、ステップS233では、注目画素のための補正係数rを、PGおよび特徴値Tに応じて取得する。制御部11は、予め所定のメモリーに保存された、複数のPGそれぞれに対応付けられた複数の補正係数テーブルRTのうち、現在のPGに対応した補正係数テーブルRTを参照することにより、補正係数rを取得する。現在のPGとは、上述したように印刷制御処理(図2)を開始する前に、ユーザーの操作に応じて設定した印刷条件に従って調整した後のPGである。印刷部30が採用し得るPGは、上述のPG1,PG2を始めとして複数存在する。仮に、印刷部30がPGを5段階に調整可能であれば、補正係数テーブルRTも、当該5段階のPGに対応して5種類存在することになる。ここでは、現在のPG=PG2であると仮定する。
図9は、PG2に対応付けられた補正係数テーブルRTを例示している。補正係数テーブルRTは、例えば、ステップS232で算出される特徴値Tが採り得る値(0〜255)と、補正係数r(0)〜r(255)との一対一の対応関係を規定している。むろん、異なるPGに対応する各補正係数テーブルRTは、同じ特徴値Tに対して各々異なる補正係数rを規定している。制御部11は、このような補正係数テーブルRTを参照することにより、現在のPGおよび特徴値Tに応じた補正係数rを取得することができる。
制御部11は、ステップS234では、注目画素が有する全インク色の階調値CMYKそれぞれを、ステップS233で取得した補正係数rにより補正する。例えば、補正係数rが「1.1」という値であれば、当該補正係数rを注目画素のCMYKそれぞれに乗算して1.1倍する。以上が、注目画素の濃度補正である。
制御部11は、ステップS235では、画像データを構成する画素のうち、つなぎ領域に属する画素の全てを注目画素として選択し終えたか否か判定する。そして、未選択の画素がつなぎ領域に残っている場合には(ステップS235において“No”)、ステップS231へ戻り、つなぎ領域に属する未選択の画素を1つ注目画素として新たに選択する。そして、ステップS232以降を再度実行する。一方、未選択の画素がつなぎ領域に残っていない場合には(ステップS235において“Yes”)、つなぎ領域に属する全画素について濃度補正を行ったことになるため、ステップS230を終える。
このようなステップS230によれば、制御部11は、印刷対象とする画像のうち、第1走査と当該第1走査よりも後の第2走査とで重複して印刷するつなぎ領域の濃度を、PGと当該画像を表現する画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度と、に応じて補正する、と言える。また、制御部11は、ステップS230を実行する点で、濃度補正部11a(図1参照)として機能すると言える。
ステップS240では、制御部11は、ステップS230の後の画像データ(つなぎ領域の濃度補正を終えた画像データ)へ、ハーフトーン処理を施すことにより、CMYKそれぞれのドットパターンを表現した印刷データを生成する。ハーフトーン処理は、例えば、ディザ法や誤差拡散法により実行する。ハーフトーン処理によれば、画素が有する各インク色の階調値が高い程、当該画素に対して各インク色のドットオンを決定する確率が上がる。
ここで、補正係数テーブルRTが規定する補正係数rについて説明を補足する。
吐出するインク滴に比較的大きな着弾誤差が生じる端部のノズル34(図8の例では、ノズル番号♯1,♯2,♯7,♯8のノズル34)により印刷されるつなぎ領域は、非つなぎ領域と比較したとき、印刷結果の色が薄い傾向にある。これは、印刷媒体上で搬送方向D2(ノズル列方向D3)において、ほぼ均等な間隔(例えばノズルピッチNP)でドットが存在することが期待されるにもかかわらず、着弾誤差が生じているため実際のドットの配置がばらつく(搬送方向D2において、ドット同士が離れすぎたり逆に重なったりしてしまう)からである。このようなドット配置のばらつきにより、つなぎ領域ではインクによる印刷媒体への被覆面積が減り、結果的に、非つなぎ領域と比較したとき色が薄くなりがちである。
吐出するインク滴に比較的大きな着弾誤差が生じる端部のノズル34(図8の例では、ノズル番号♯1,♯2,♯7,♯8のノズル34)により印刷されるつなぎ領域は、非つなぎ領域と比較したとき、印刷結果の色が薄い傾向にある。これは、印刷媒体上で搬送方向D2(ノズル列方向D3)において、ほぼ均等な間隔(例えばノズルピッチNP)でドットが存在することが期待されるにもかかわらず、着弾誤差が生じているため実際のドットの配置がばらつく(搬送方向D2において、ドット同士が離れすぎたり逆に重なったりしてしまう)からである。このようなドット配置のばらつきにより、つなぎ領域ではインクによる印刷媒体への被覆面積が減り、結果的に、非つなぎ領域と比較したとき色が薄くなりがちである。
このように印刷結果の色が薄くなる傾向は、着弾誤差が大きくなるほど顕著化し易い。つまり上述したように、PGが広いほど、また、印刷すべき画像の濃度が高いほど、着弾誤差は大きくなる傾向にあるため、PGが広いほど、また、印刷すべき画像の濃度が高いほど、つなぎ領域の色はより薄くなり易いと言える。このような事情を鑑みて、本実施形態では、補正係数テーブルRTは、広いPGに対応するものほど、つなぎ領域の濃度をより高めるような補正係数rを規定している。また、補正係数テーブルRTは、高い特徴値Tに対応するものほど、つなぎ領域の濃度をより高めるような補正係数rを規定している。
例えば、PG1に対応する補正係数テーブルRTとPG2に対応する補正係数テーブルRTとを比較すると、同じ特徴値Tに紐づけて規定された補正係数rであっても、PG1に対応する補正係数テーブルRTが規定する補正係数rよりも、PG2に対応する補正係数テーブルRTが規定する補正係数rの方が高い値となっている。また、同じ補正係数テーブルRT(例えば、PG2に対応する補正係数テーブルRT)内であっても、特徴値Tが高い値であるほど、紐づけて規定する補正係数rも高い値となっている。すなわち制御部11は、濃度補正処理により、PGが広いほど、つなぎ領域の濃度を高める度合を上げるように補正し、また、画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度を示す階調値が高いほど、つなぎ領域の濃度を高める度合を上げるように補正する。
このように本実施形態によれば、制御部11(濃度補正部11a)は、印刷対象とする画像のうち、第1走査と当該第1走査よりも後の第2走査とで重複して印刷するつなぎ領域の濃度を、PGと当該画像を表現する画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度と、に応じて補正する(図7のステップS230)。この結果、非つなぎ領域とつなぎ領域との濃度むらが抑制された質の高い印刷結果が得られる。また、制御部11は、画像データに従ったときのつなぎ領域の濃度を示す特徴値Tを、注目画素が有する全インク色の階調値(CMYK)に基づいて算出する(図7のステップS232)。これにより、画素の色が濃いか薄いかを的確に把握することができ、当該画素の色の濃さに最適な補正係数rを得ることができる。ただし、注目画素の前記特徴値Tは、全インク色の階調値(CMYK)の平均値である場合に限定されず、例えば、それら全インク色の階調値(CMYK)の総和であってもよい。この場合、補正係数テーブルRTは、特徴値Tが採り得る値(0〜255×4)と、補正係数r(0)〜r(255×4)との一対一の対応関係を規定する。
5.変形例:
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば後述するような変形例を採用可能である。上述の実施形態や各変形例を適宜組み合わせた構成も本発明の開示範囲に入る。以下の変形例の説明においては、上述の実施形態と共通の事項は説明を適宜省略する。
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば後述するような変形例を採用可能である。上述の実施形態や各変形例を適宜組み合わせた構成も本発明の開示範囲に入る。以下の変形例の説明においては、上述の実施形態と共通の事項は説明を適宜省略する。
《変形例1》
ステップS230(図7)において、制御部11は、画像データのつなぎ領域を複数の単位領域に分け、当該単位領域毎に、当該画像データに従ったときの濃度に応じた補正を実行するとしてもよい。例えば、制御部11は、画像データのつなぎ領域内を、複数画素の集合であるブロック(単位領域)で区画し、1つのブロックおよび当該ブロックに属する1つの画素を選択し、当該選択した画素(注目画素)から特徴値Tを算出する(ステップS231,S232)。そして、制御部11は、PGと注目画素から算出した特徴値Tとに応じて補正係数rを取得し(ステップS233)、当該取得した補正係数rにより、前記選択したブロックに属する全ての画素の全インク色の階調値CMYKをそれぞれ補正する(ステップS234)。
ステップS230(図7)において、制御部11は、画像データのつなぎ領域を複数の単位領域に分け、当該単位領域毎に、当該画像データに従ったときの濃度に応じた補正を実行するとしてもよい。例えば、制御部11は、画像データのつなぎ領域内を、複数画素の集合であるブロック(単位領域)で区画し、1つのブロックおよび当該ブロックに属する1つの画素を選択し、当該選択した画素(注目画素)から特徴値Tを算出する(ステップS231,S232)。そして、制御部11は、PGと注目画素から算出した特徴値Tとに応じて補正係数rを取得し(ステップS233)、当該取得した補正係数rにより、前記選択したブロックに属する全ての画素の全インク色の階調値CMYKをそれぞれ補正する(ステップS234)。
ステップS235では、制御部11は、画像データのつなぎ領域内の全てのブロックから1つずつ注目画素を選択し終えたか否か判定する。そして、注目画素を未選択のブロックがつなぎ領域に残っている場合には(ステップS235において“No”)、ステップS231へ戻り、注目画素を未選択のブロックに属する1つの画素を注目画素として新たに選択する。そして、ステップS232以降を再度実行する。一方、注目画素を未選択のブロックがつなぎ領域に残っていない場合には(ステップS235において“Yes”)、つなぎ領域に属する全画素について濃度補正を行ったことになるため、ステップS230を終える。
このような変形例1によれば、つなぎ領域の濃度補正の際、注目画素から算出した特徴値Tに応じた補正係数rを、当該注目画素を含む周囲の複数画素に同様に適用する。そのため、つなぎ領域の濃度補正に要する演算量を大幅に低減することができる。前記単位領域としての1つのブロックのサイズは、2つ以上の画素からなるサイズと考えるのが通常である。しかし、当該サイズを1画素とすれば、つなぎ領域に属する全画素を注目画素として扱うことと同じになる。なお、制御部11は、前記ブロックのサイズを、PGに応じて可変としてもよい。制御部11は、例えば、PGがある程度狭い場合は、つなぎ領域の濃度補正の必要性もそれほど高くないため、前記ブロックのサイズを大きく設定し、濃度補正に要する演算量の低減を優先する。一方、PGが広くなるほど、つなぎ領域の濃度補正の必要性も増すため、前記ブロックのサイズを小さく設定し、つなぎ領域に属する各画素により合った濃度補正を実行するようにする。
《変形例2》
これまで図8を用いた説明では、つなぎ領域の印刷に要する第1走査、第2走査はそれぞれ1回であり、つなぎ領域は計2回のパスで印刷される例を紹介した。しかし、つなぎ領域の印刷に要するパス数は、2回に限られない。
図10は、ノズル34とノズル34に割り当てられる画素との対応関係の一例であって、図8とは異なる例を示している。図10の見方は、図8の見方を準用する。図10でも図8と同様に、印刷ヘッド31が有する複数のノズル列のうち1つのインク色に対応するノズル列(一例として、ノズル列33K)を示し、かつ、ステップS220で得られた画像データのうち当該ノズル列(ノズル列33K)が吐出するインク(Kインク)にかかる画像データKID(Kインクの濃度を画素毎に階調表現した画像データ)の一部を示している。図8に示すノズル列33Kと図10に示すノズル列33Kは、図示の便宜上、ノズル34の間隔が異なるが、いずれも同じ物を指している。
これまで図8を用いた説明では、つなぎ領域の印刷に要する第1走査、第2走査はそれぞれ1回であり、つなぎ領域は計2回のパスで印刷される例を紹介した。しかし、つなぎ領域の印刷に要するパス数は、2回に限られない。
図10は、ノズル34とノズル34に割り当てられる画素との対応関係の一例であって、図8とは異なる例を示している。図10の見方は、図8の見方を準用する。図10でも図8と同様に、印刷ヘッド31が有する複数のノズル列のうち1つのインク色に対応するノズル列(一例として、ノズル列33K)を示し、かつ、ステップS220で得られた画像データのうち当該ノズル列(ノズル列33K)が吐出するインク(Kインク)にかかる画像データKID(Kインクの濃度を画素毎に階調表現した画像データ)の一部を示している。図8に示すノズル列33Kと図10に示すノズル列33Kは、図示の便宜上、ノズル34の間隔が異なるが、いずれも同じ物を指している。
図10では、印刷部30が印刷方法として、つなぎ領域を設ける疑似バンド印刷を採用する場合の、ノズル34と画素PXとの割り当ての関係を示している。疑似バンド印刷は、マイクロフィード(MF)印刷とも言う。疑似バンド印刷とは、概略的には、ノズルピッチNPよりも短い距離の紙送りを挟んで複数回のパスを実行することで上述のバンド印刷よりも搬送方向D2において高い印刷解像度の領域(疑似バンド)を印刷し、このような疑似バンドの印刷と、印刷媒体の比較的長い距離の紙送りとを交互に繰り返す印刷方法である。より具体的には、図10の例では、1番目のパスと2番目のパスとの間にノズルピッチNPの半分の距離の紙送りを挟むことで疑似バンドBD1が印刷され、同様に、3番目のパスと4番目のパスとの間にノズルピッチNPの半分の距離の紙送りを挟むことで疑似バンドBD2が印刷される。また、2番目のパスと3番目のパスとの間に、搬送方向D2における疑似バンドの長さにほぼ対応する距離の紙送りを実行する。
図10では、説明の便宜上、疑似バンドBD1と疑似バンドBD2とが重複する領域をつなぎ領域OL1と表現している。疑似バンドBD1と疑似バンドBD2との関係に注目した場合、疑似バンドBD1を印刷するための1番目および2番目のパスが第1走査であり、その後に疑似バンドBD2を印刷するための3番目および4番目のパスが第2走査である。そして、これら第1走査と第2走査とが一部重なることによりつなぎ領域OL1が印刷される。図10の例では、バンド内のうち、つなぎ領域に該当しない領域(非つなぎ領域)は、1つのラスターラインが1つのノズル34で印刷される。しかし、つなぎ領域では、1つのラスターラインが、複数のノズル34つまり複数回のパスで印刷される(オーバーラップ印刷される)。具体的には、つなぎ領域OL1,OL2…はいずれも、第1走査に対応してノズル列33Kの前記他端側の1つのノズル34(ノズル番号♯8のノズル34)へ一部の画素PXが割り当てられ、第2走査に対応してノズル列33Kの前記一端側の1つのノズル34(ノズル番号♯1のノズル34)へ残りの画素PXが割り当てられる。このように、つなぎ領域OL1,OL2…内で第1走査に割り当てられる画素PXと第2走査に割り当てられる画素PXとは、基本的には、方向D1,D2において交互に存在する。また、このようなつなぎ領域OL1,OL2…を発生させるために、搬送部36は、第1走査と第2走査との間の紙送りの距離を、搬送方向D2における疑似バンドの長さから搬送方向D2におけるつなぎ領域の長さを引いた距離(図10の例で言えば、ノズルピッチNP×7)とする。
変形例2では、制御部11は、つなぎ領域の印刷に要する第1走査および第2走査の回数に応じて、つなぎ領域に対する前記補正の度合いを異ならせる。この場合、つなぎ領域の印刷に要する第1走査および第2走第の合計回数が多いほど、つなぎ領域の濃度を高める度合を緩める。従って、図8で説明した印刷方法を採用する場合と、図10で説明した印刷方法を採用する場合とを比較すると、制御部11は、図10で説明した印刷方法を採用する場合の方が、同じPGおよび特徴値Tの組み合わせに対して、より低い補正係数rを用いて、つなぎ領域の濃度補正を実行する。これは、印刷に要するパス数が多いほど印刷結果が高画質化し易いという事情に鑑みた措置である。つまり、印刷ヘッド31による印刷結果においては、実行したパス毎に着弾誤差を始めとした様々な誤差が表れるが、同じ領域を複数回のパスに分けて印刷することで1回のパスで記録された誤差が相対的に目立たなくなる。そのため、図8で説明した印刷方法を採用する場合と、図10で説明した印刷方法を採用する場合とでは、つなぎ領域と非つなぎ領域との差が、後者の方がそもそも視認され難い。このように変形例2によれば、つなぎ領域の印刷に要する第1走査および第2走査の回数に応じて、つなぎ領域と非つなぎ領域との差を無くすために必要な程度の濃度補正を行うことができる。
《変形例3》
図8,10いずれの例においても、1つのつなぎ領域を構成するラスターライン数は2ラスターである。このような、1つのつなぎ領域を構成するラスターライン数は、2ラスターに限定されず、3ラスター、4ラスター、さらにそれ以上、といったように様々に設定可能である。例えば、UI画面を通じたユーザーによる当該ラスターライン数に関連する直接的あるいは間接的な指示に応じて、制御部11は、画像データ内で当該ラスターライン数を決定し、画素をノズル34へ割り当てることができる。
図8,10いずれの例においても、1つのつなぎ領域を構成するラスターライン数は2ラスターである。このような、1つのつなぎ領域を構成するラスターライン数は、2ラスターに限定されず、3ラスター、4ラスター、さらにそれ以上、といったように様々に設定可能である。例えば、UI画面を通じたユーザーによる当該ラスターライン数に関連する直接的あるいは間接的な指示に応じて、制御部11は、画像データ内で当該ラスターライン数を決定し、画素をノズル34へ割り当てることができる。
変形例3では、制御部11は、画像データのつなぎ領域を構成するラスターライン数に応じて、つなぎ領域に対する前記補正の度合いを異ならせる。この場合、画像データ内において1つのつなぎ領域を構成するラスターライン数が多いほど、つなぎ領域の濃度を高める度合を上げる。例えば、1つのつなぎ領域を構成するラスターライン数が2ラスターの場合と、4ラスターの場合とを比較すると、制御部11は、当該4ラスターの場合の方が、同じPGおよび特徴値Tの組み合わせに対して、より高い補正係数rを用いて、つなぎ領域の濃度補正を実行する。これは、つなぎ領域を構成するラスターライン数が多いほど、画像全体の中でつなぎ領域の存在が顕著化し、非つなぎ領域との濃度むらが存在する場合に、そのむらが目立ち易いという事情に鑑みた措置である。このように変形例3によれば、画像データのつなぎ領域を構成するラスターライン数に応じて、つなぎ領域と非つなぎ領域との差を無くすために必要な程度の濃度補正を行うことができる。
《変形例4》
制御部11は、色変換LUTを参照して色変換した後の画像データを補正係数rで補正するのではなく、予め補正係数rで補正した色変換LUT(補正後色変換LUT)を参照して色変換を実行するとしてもよい。具体的には、制御部11は、解像度変換処理(ステップS210)後の画像データについて、非つなぎ領域に属する画素については、通常の色変換LUTを用いた色変換処理を実行し、つなぎ領域に属する画素については、補正後色変換LUTを用いた色変換処理を実行する(ステップS220)。この場合、色変換処理(ステップS220)が、つなぎ領域の濃度補正処理(ステップS230)を実質的に兼ねているため、その後はハーフトーン処理(ステップS240)へ進む。補正後色変換LUTとは、そのときのPGに応じた補正係数テーブルRTが特徴値Tに紐づけて規定している補正係数rにより、通常の色変換LUTにおいて入力値(RGB)に紐づけられている出力値(CMYK)を補正した後の色変換LUTである。つまり、通常の色変換LUTの出力値(CMYK)から算出した特徴値(CMYKの平均値)と一致する特徴値Tに紐づいた補正係数rにより、当該出力値(CMYK)を補正することができる。
制御部11は、色変換LUTを参照して色変換した後の画像データを補正係数rで補正するのではなく、予め補正係数rで補正した色変換LUT(補正後色変換LUT)を参照して色変換を実行するとしてもよい。具体的には、制御部11は、解像度変換処理(ステップS210)後の画像データについて、非つなぎ領域に属する画素については、通常の色変換LUTを用いた色変換処理を実行し、つなぎ領域に属する画素については、補正後色変換LUTを用いた色変換処理を実行する(ステップS220)。この場合、色変換処理(ステップS220)が、つなぎ領域の濃度補正処理(ステップS230)を実質的に兼ねているため、その後はハーフトーン処理(ステップS240)へ進む。補正後色変換LUTとは、そのときのPGに応じた補正係数テーブルRTが特徴値Tに紐づけて規定している補正係数rにより、通常の色変換LUTにおいて入力値(RGB)に紐づけられている出力値(CMYK)を補正した後の色変換LUTである。つまり、通常の色変換LUTの出力値(CMYK)から算出した特徴値(CMYKの平均値)と一致する特徴値Tに紐づいた補正係数rにより、当該出力値(CMYK)を補正することができる。
《変形例5》
制御部11は、つなぎ領域に属する領域であっても、濃度が所定値以下の領域は上述の濃度補正の対象外とするとしてもよい。濃度が所定値以下の領域とは、例えば、つなぎ領域のうち、ステップS232で算出した特徴値Tが予め定めたしきい値以下となる画素で構成される領域を指す。ある程度薄い濃度しか有さない画素であれば、周囲も比較的薄い色であることが多いため、形成されるドットの着弾位置のずれは小さくなる傾向が見られ、また、そもそもドットが形成されないことも多い。そのため、補正係数rで補正する必要性が低いと言える。このような変形例5によれば、必要性の低い補正の実行を回避し、つなぎ領域の濃度補正に要する演算量をさらに低減することができる。
制御部11は、つなぎ領域に属する領域であっても、濃度が所定値以下の領域は上述の濃度補正の対象外とするとしてもよい。濃度が所定値以下の領域とは、例えば、つなぎ領域のうち、ステップS232で算出した特徴値Tが予め定めたしきい値以下となる画素で構成される領域を指す。ある程度薄い濃度しか有さない画素であれば、周囲も比較的薄い色であることが多いため、形成されるドットの着弾位置のずれは小さくなる傾向が見られ、また、そもそもドットが形成されないことも多い。そのため、補正係数rで補正する必要性が低いと言える。このような変形例5によれば、必要性の低い補正の実行を回避し、つなぎ領域の濃度補正に要する演算量をさらに低減することができる。
《変形例6》
印刷ヘッド31は、各ノズル34から複数サイズのインク滴を吐出可能であるとしてもよい。複数サイズであるから少なくとも2種類のサイズのインク滴を吐出可能である。例えば、各ノズル34は、1滴あたりのインク重量が異なる、大ドット、中ドット、小ドット等と称される3種類のインク滴を吐出可能であるとする。この場合、ハーフトーン処理(ステップS240)では、制御部11は、画素毎かつインク色CMYK毎にドットオン・オフを定めた2値データ(印刷データ)、を生成するのではなく、画素毎かつインク色CMYK毎に大ドットオン、中ドットオン、小ドットオンおよびドットオフのいずれかを定めた4値データ(印刷データ)、を生成する。
印刷ヘッド31は、各ノズル34から複数サイズのインク滴を吐出可能であるとしてもよい。複数サイズであるから少なくとも2種類のサイズのインク滴を吐出可能である。例えば、各ノズル34は、1滴あたりのインク重量が異なる、大ドット、中ドット、小ドット等と称される3種類のインク滴を吐出可能であるとする。この場合、ハーフトーン処理(ステップS240)では、制御部11は、画素毎かつインク色CMYK毎にドットオン・オフを定めた2値データ(印刷データ)、を生成するのではなく、画素毎かつインク色CMYK毎に大ドットオン、中ドットオン、小ドットオンおよびドットオフのいずれかを定めた4値データ(印刷データ)、を生成する。
10…印刷制御装置、11…制御部、11a…濃度補正部、30…印刷部、31…印刷ヘッド、32…プラテン、33C,33M,33Y,33K…ノズル列、34…ノズル、35…キャリッジ、36…搬送部、100…外部機器、RT…補正係数テーブル、S…印刷媒体
Claims (8)
- 複数のノズルが所定のノズル列方向へ並んだノズル列を有する印刷ヘッドの当該ノズル列に交差する方向への移動に伴って当該ノズルからインクを吐出させることにより印刷媒体への画像の印刷を実現する印刷制御装置であって、
前記画像のうち、前記移動に伴って前記ノズルからインクを吐出させる第1走査と当該第1走査よりも後の前記移動に伴って前記ノズルからインクを吐出させる第2走査とで重複して印刷するつなぎ領域の濃度を補正する濃度補正部を備え、
前記濃度補正部は、前記印刷ヘッドと前記印刷媒体との距離であるペーパーギャップと、前記画像を表現する画像データに従ったときの前記つなぎ領域の濃度と、に応じて前記補正を実行する印刷制御装置。 - 前記濃度補正部は、前記ペーパーギャップが広いほど、前記つなぎ領域の濃度を高める度合を上げるように補正することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
- 前記濃度補正部は、前記画像データに従ったときの前記つなぎ領域の濃度を示す階調値が高いほど、前記つなぎ領域の濃度を高める度合を上げるように補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
- 前記画像データが前記印刷ヘッドが吐出する複数のインク色毎の階調値を有する場合に、前記濃度補正部は、前記画像データに従ったときの前記つなぎ領域における全インク色の階調値に基づいて算出した特徴値に応じて、前記補正を実行することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 前記濃度補正部は、前記画像データの前記つなぎ領域を複数の単位領域に分け、当該単位領域毎に、前記画像データに従ったときの濃度に応じた前記補正を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 前記濃度補正部は、前記つなぎ領域の印刷に要する前記第1走査および第2走査の回数に応じて、前記補正の度合いを異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 前記濃度補正部は、前記画像データの前記つなぎ領域を構成するラスターライン数に応じて、前記補正の度合いを異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 複数のノズルが所定のノズル列方向へ並んだノズル列を有する印刷ヘッドの当該ノズル列に交差する方向への移動に伴って当該ノズルからインクを吐出させることにより印刷媒体への画像の印刷を実現する印刷制御方法であって、
前記画像のうち、前記移動に伴って前記ノズルからインクを吐出させる第1走査と当該第1走査よりも後の前記移動に伴って前記ノズルからインクを吐出させる第2走査とで重複して印刷するつなぎ領域の濃度を補正する濃度補正工程を備え、
前記濃度補正工程では、前記印刷ヘッドと前記印刷媒体との距離であるペーパーギャップと、前記画像を表現する画像データに従ったときの前記つなぎ領域の濃度と、に応じて前記補正を実行する印刷制御方法。
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JP2015147476A JP2017024347A (ja) | 2015-07-27 | 2015-07-27 | 印刷制御装置および印刷制御方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113752694A (zh) * | 2020-06-01 | 2021-12-07 | 住友重机械工业株式会社 | 印刷用数据生成装置及油墨涂布装置的控制装置 |
CN116619899A (zh) * | 2022-02-18 | 2023-08-22 | 卡西欧计算机株式会社 | 印刷数据的补正方法、存储介质以及印刷装置 |
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2015
- 2015-07-27 JP JP2015147476A patent/JP2017024347A/ja active Pending
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