JP2016190607A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タイヤに泥が付着した場合でもオフロードの走破性を向上させる。
【解決手段】 ブレーキECUは、車両がオフロードを走行している場合、タイヤに泥が付着しているか否かを判定し、泥が付着している場合には、トラクション制御における油圧制動力を低減する。同時に、エンジンECUに対して、エンジンの駆動トルクを、泥を除去することができ、かつ、ディファレンシャルギヤへの負荷が過剰とならない値に調整する指令を送信する。これにより、トラクション制御中に、タイヤが空転して、タイヤと路面との擦り合わせによりタイヤから泥が落とされる。
【選択図】 図2
【解決手段】 ブレーキECUは、車両がオフロードを走行している場合、タイヤに泥が付着しているか否かを判定し、泥が付着している場合には、トラクション制御における油圧制動力を低減する。同時に、エンジンECUに対して、エンジンの駆動トルクを、泥を除去することができ、かつ、ディファレンシャルギヤへの負荷が過剰とならない値に調整する指令を送信する。これにより、トラクション制御中に、タイヤが空転して、タイヤと路面との擦り合わせによりタイヤから泥が落とされる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、トラクション制御を実施する車両の制御装置に関する。
アクセルを踏み込んで加速したとき、タイヤの接地している路面の摩擦係数が小さいと、駆動輪がスリップ(空転)するばかりでなく、車両姿勢が不安定になる。こうした課題を解決する技術の一つとして、トラクション制御が知られている(例えば、特許文献1に開示されている)。トラクション制御は、車両加速時に、ドライバーの操作によらず、駆動輪のスリップ率が目標領域に入るようにスリップ率を制御して、車両姿勢の安定化を図る技術である。トラクション制御は、通常、エンジンの出力トルクを絞るとともに、駆動輪にブレーキ油圧を加えてスリップを抑制するが、オフロードを走行する状況等においては、エンジンの出力トルクを絞らずに駆動輪のブレーキ油圧のみによりスリップを抑制してエンジンの出力トルクを駆動輪に適切に配分する方式も知られている。
車両がオフロードを走行中に泥濘を通過した場合、タイヤに泥が付着する。このため、タイヤの摩擦抵抗が低下して駆動輪が空転し、トラクション制御が実施される。オフロード走行中は、トラクション制御によって駆動輪の出力する駆動トルクが抑えられる。この結果、タイヤに付着した泥は落ちない。従って、駆動輪の出力する駆動トルクを地面に良好に伝達することができず、オフロードの走破性が低下してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、タイヤに泥が付着した場合でもオフロードの走破性を向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
駆動輪のスリップを検出したときに、前記スリップが検出された駆動輪に対して少なくとも油圧制動力を付与して前記スリップを抑制するトラクション制御を実施するトラクション制御手段(30)を備えた車両の制御装置において、
車両がオフロードを走行しているか否かを判定するオフロード判定手段(S11,S12)と、
前記車両がオフロードを走行していると判定されているときに、前記駆動輪のタイヤに泥が付着しているか否かを判定する泥付着判定手段(S21〜S25)と、
前記タイヤに泥が付着していると判定されている場合は、前記タイヤに泥が付着していると判定されていない場合に比べて、前記トラクション制御における前記油圧制動力を小さくする泥付着時油圧低減手段(S16)と
を備えたことにある。
駆動輪のスリップを検出したときに、前記スリップが検出された駆動輪に対して少なくとも油圧制動力を付与して前記スリップを抑制するトラクション制御を実施するトラクション制御手段(30)を備えた車両の制御装置において、
車両がオフロードを走行しているか否かを判定するオフロード判定手段(S11,S12)と、
前記車両がオフロードを走行していると判定されているときに、前記駆動輪のタイヤに泥が付着しているか否かを判定する泥付着判定手段(S21〜S25)と、
前記タイヤに泥が付着していると判定されている場合は、前記タイヤに泥が付着していると判定されていない場合に比べて、前記トラクション制御における前記油圧制動力を小さくする泥付着時油圧低減手段(S16)と
を備えたことにある。
本発明においては、オフロード判定手段が、車両がオフロードを走行しているか否かを判定する。泥付着判定手段は、オフロード判定手段によって、車両がオフロードを走行していると判定されているときに、駆動輪のタイヤに泥が付着しているか否かを判定する。車両がオフロードを走行中に泥濘を通過した場合、タイヤに泥が付着し、駆動輪がスリップ(空転)する。トラクション制御手段は、駆動輪のスリップを検出したときに、スリップが検出された駆動輪に対して少なくとも油圧制動力を付与してスリップを抑制する。このため、タイヤから泥が落ちにくくなる。
そこで、泥付着時油圧低減手段は、タイヤに泥が付着していると判定されている場合は、タイヤに泥が付着していると判定されていない場合に比べて、トラクション制御における油圧制動力を小さくする。これにより、駆動輪が空転して、タイヤと路面との擦り合わせによりタイヤから泥が落とされる。泥が落とされると、トラクション制御における油圧制動力が復帰し、駆動輪のスリップが通常時のように抑制され、駆動輪の出力トルクを路面に良好に伝達できるようになる。この結果、本発明によれば、オフロードの走破性が向上する。
尚、例えば、泥付着時油圧低減手段によって、トラクション制御における油圧制動力を小さくしているときに、それと並行して、駆動輪を駆動する駆動源(例えば、エンジン)の駆動トルクを、駆動トルク伝達機構(例えば、ディファレンシャルギヤ)に入力される負荷が過剰にならないように制限するように調整する、あるいは、タイヤに付着した泥を落とすのに必要な大きさを確保するように調整する駆動トルク調整手段を備えるとよい。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の車両の制御装置を備えた車両の概略システム構成図である。
車両は、エンジン11、自動変速機12、トランスファー13、および、エンジンECU10を備えている。エンジン11の駆動トルクは、自動変速機12を介して出力軸14に伝達される。出力軸14の駆動トルクは、駆動状態を切り替えるトランスファー13によって前輪用駆動軸15および後輪用駆動軸16に伝達される。エンジン11、自動変速機12、および、トランスファー13は、エンジンECU10により制御される。
エンジンECU10は、マイクロコンピュータを主要部として備えた電子制御装置であって、各種のエンジン制御用センサ51から出力される検出信号Eを入力して、燃料噴射制御、点火制御、および、吸入空気量制御などを実施する。また、エンジンECU10は、アクセル操作量A(アクセルペダルストロークなど)を検出するアクセルセンサ52と接続され、アクセル操作量Aに応じた大きさのドライバー要求トルクを演算し、このドライバー要求トルクをエンジン11にて発生させる。
トランスファー13は、駆動状態を4WD状態と2WD状態とに切り替えるアクチュエータを含んでおり、エンジンECU10によって駆動状態が切り替えられる。エンジンECU10は、トランスファー選択スイッチ53と接続されており、ドライバーによって操作されたトランスファー選択スイッチ53の出力するトランスファー選択信号Stに基づいてトランスファー13の駆動状態(駆動トルクの伝達状態)を切り替える。
例えば、トランスファー13は、トランスファー選択スイッチ53がH4位置にセットされている時には、出力軸14の駆動トルクを前輪用駆動軸15および後輪用駆動軸16に伝達する高速4WDモードに設定される。また、トランスファー13は、トランスファー選択スイッチ53がH2位置にセットされている時には、出力軸14の駆動トルクを後輪用駆動軸16のみに伝達する高速2WDモードに設定される。また、トランスファー13は、トランスファー選択スイッチ53がL4位置にセットされている時には、H4位置の場合よりも低車速高トルク用の駆動トルクを出力軸14から出力させて、この出力軸14の駆動トルクを前輪用駆動軸15および後輪用駆動軸16に伝達する低速4WDモードに設定される。低速4WDモードは、オフロードを走行する場合に適したモードである。
前輪用駆動軸15の駆動トルクは、前輪ディファレンシャルギヤ17を介して左前輪車軸17Lおよび右前輪車軸17Rに伝達される。これにより、左前輪20FLおよび右前輪20FRが回転駆動される。同様に、後輪用駆動軸16の駆動トルクは、後輪ディファレンシャルギヤ18を介して左後輪車軸18Lおよび右後輪車軸18Rに伝達される。これにより、左後輪20RLおよび右後輪20RRが回転駆動される。
以下、左前輪20FL、右前輪20FR、左後輪20RL、および、右後輪20RRについて、それらの位置を特定する必要ない場合には、それらを単に車輪20と呼ぶ。また、以下に説明する各車輪20位置毎に設けられる部材については、図中において、符号の末尾に、左前輪20FLに対応して設けられる部材についてはFLを付し、右前輪20FRに対応して設けられる部材についてはFRを付し、左後輪20FLに対応して設けられる部材についてはRLを付し、右後輪20RRに対応して設けられる部材についてはRRを付し、明細書中においては、車輪位置を特定する必要が無い場合には、上記末尾の符号を省略する。
エンジンECU10は、CAN通信ライン70により、後述するブレーキECU30など他の車両内ECUと相互に通信可能に接続されており、エンジン11等の制御情報や要求信号を他の車両内ECUに送信するとともに、他の車両内ECUから、それらの制御情報や要求信号を受信する。
車両は、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構31、ブレーキアクチュエータ32、および、ブレーキECU30を備えている。摩擦ブレーキ機構31は、車輪20に固定されるブレーキディスク31aと、車体に固定されるブレーキキャリパ31bとを備え、ブレーキアクチュエータ32から供給される作動油の油圧によってブレーキキャリパ31bに内蔵されたホイールシリンダを作動させることによりブレーキパッドをブレーキディスク31aに押し付けて油圧制動力を発生させる。
ブレーキアクチュエータ32は、ブレーキキャリパ31bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を、各輪独立して調整する公知のアクチュエータである。このブレーキアクチュエータ32は、例えば、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧するマスタシリンダからホイールシリンダに油圧を供給する踏力油圧回路に加え、ブレーキペダル踏力とは無関係に制御可能な制御油圧を各ホイールシリンダに独立して供給する制御油圧回路を備えている。制御油圧回路には、昇圧ポンプおよびアキュムレータを有し高圧の油圧を発生する動力油圧発生装置と、動力油圧発生装置の出力する油圧を調整してホイールシリンダ毎に目標油圧に制御された油圧を供給する制御弁と、各ホイールシリンダの油圧を検出する油圧センサ等を備える(以上、ブレーキアクチュエータ32を構成する要素についは、図示を省略している)。
ブレーキアクチュエータ32は、こうした構成を備えることにより、左右前後輪20の制動力を独立して制御することができる。
ブレーキECU30は、マイクロコンピュータを主要部として備えた電子制御装置であって、ブレーキアクチュエータ32に接続され、ブレーキアクチュエータ32の作動を制御する。また、ブレーキECU30は、CAN通信ライン70により、エンジンECU10など他の車両内ECUと相互に通信可能に接続されている。ブレーキECU30は、ブレーキ操作量Bを検出するブレーキセンサ54から出力される検出信号を入力し、ブレーキ操作量Bに応じたドライバー要求制動力を演算し、更に、このドライバー要求制動力を各輪20に配分した各輪要求制動力を演算する。そして、ブレーキアクチュエータ32に設けられた制御弁の通電を制御することにより、各摩擦ブレーキ機構31で各輪要求制動力を発生するように各ホイールシリンダの油圧を制御する。これにより、左右前後輪20の油圧制動力が独立して制御される。
また、ブレーキECU30には、各車輪20の車輪速を検出する車輪速センサ55が接続されている。車輪速センサ55は、自身の設けられた車輪20の回転速度ω(車輪速ωと呼ぶ)を表す検出信号を出力する。ブレーキECU30は、各車輪速センサ55により検出される車輪速ωに基づいて車速V(車体速度)を演算して、車速情報をCAN通信ライン70を介して車両内ECUに提供するとともに、車速Vと各車輪20の車輪速ωとから、各車輪20のスリップ率を演算し、このスリップ率に基づいて、各車輪20のロック状態、および、スリップ状態(駆動輪の空転状態)を検出する。
ブレーキECU30は、車輪20の制動時にロック状態を検出した場合には、ロック状態の検出された車輪20を制御対象輪として、アンチロック制御(ABS)により制動力を弱める。また、ブレーキECU30は、車輪20の駆動時にスリップを検出した場合、エンジンECU10と協調してスリップを抑制するトラクション制御(TRC)を実施する。
ブレーキECU30は、トラクション選択スイッチ58と接続されており、ドライバーによって操作されたトラクション選択スイッチ58の出力するトラクション選択信号Srに基づいてトラクション制御を、通常トラクション制御とアクティブトラクション制御とに切り替える。通常トラクション制御(通常TRCと呼ぶ)においては、スリップ率に応じてエンジン11の出力トルクが絞られるとともに、駆動輪20にブレーキ油圧が加えられてスリップが抑制される。一方、アクティブトラクション制御(アクティブTRCと呼ぶ)においては、エンジン11の出力トルクは絞られず、各駆動輪20のブレーキ油圧がスリップ率に応じて個別に制御されてスリップが抑制される。このため、アクティブTRCにおいては、エンジン11の出力トルクが駆動輪20に適切に配分されるためオフロード走行に適している。
CAN通信ライン70には、車両の挙動を検出する挙動センサ56(例えば、車両の横加速度を検出する横加速度センサ、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサ、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ等)、および、操舵角を検出する舵角センサ57が接続されている。これにより、挙動センサ56により検出された車両の挙動量G、および、舵角センサ57により検出された操舵角θを表すそれぞれの情報が所定の短い周期でCAN通信ライン70に送信される。
ブレーキECU30は、CAN通信ライン70を介して、車両の挙動情報、および、操舵情報を取得し、それらの情報に基づいて、車両のオーバーステア状態、あるいは、アンダーステア状態などの横滑りによる非所望運動状態を検出する。ブレーキECU30は、こうした非所望運動状態を検出したときに、車両の挙動を安定させるように、制動力を制御する制御対象輪を特定し、その制御対象輪の制動力を制御する。
また、ブレーキECU30は、オフロード選択スイッチ59と接続されており、ドライバーによって操作されたオフロード選択スイッチ59の出力するオフロード選択信号Soに基づいてオフロード走行を支援するオフロード制御を実施する。オフロード選択スイッチ59は、オフロード走行に適した走行支援を受けたい場合に、ドライバーが選択的に操作するスイッチであり、その機能の有効/無効を選択する信号と、オフロードの種類(岩場、モーグル路、がれき路、泥濘路など)を選択する信号とからなるオフロード選択信号Soを出力する。
ブレーキECU30は、オフロード選択信号SoがON状態(オフロード走行支援が選択された状態)の場合、選択されたオフロード種類に応じたオフロード制御を実施する。オフロード制御中においては、トラクション制御の形態がアクティブTRCに設定され、オフロードの種類に応じてエンジン11の駆動トルクを駆動輪20に配分して、オフロード走行を支援する。
ところで、車両がオフロードを走行中に泥濘を通過すると、タイヤに泥が付着して駆動輪20が空転する。これによって、トラクション制御(通常TRCまたはアクティブTRC)が実施され、駆動輪20の出力する駆動トルクが抑えられる。この結果、タイヤに付着した泥が落ちない。従って、駆動輪20の出力する駆動トルクを地面に良好に伝達することができず、オフロードの走破性が低下してしまう。
そこで、ブレーキECU30は、オフロード走行中に駆動輪20のタイヤに泥が付着しているか否かを判定し、タイヤに泥が付着していることを検出した場合に、トラクション制御における油圧制動力を小さくして駆動輪20を空転させ、タイヤと路面との擦り合わせによってタイヤから泥を落とす。以下、ブレーキECU30の実施する泥除去制御処理について説明する。
図2は、ブレーキECU30の実施する泥除去制御ルーチンを表わす。泥除去制御ルーチンは、イグニッションスイッチがオンしている間、所定の演算周期にて繰り返し実施される。
泥除去制御ルーチンが起動すると、ブレーキECU30は、ステップS11において、エンジンECU10を介してトランスファー選択スイッチ53のトランスファー選択信号Stを読み込み、トランスファー選択スイッチ53がL4位置に設定されているか否か、つまり、現時点の駆動モードが低速4WDモードであるか否かについて判定する。低速4WDモードで走行している場合、ブレーキECU30は、ステップS12において、オフロード選択スイッチ59がオンしているか否か、つまり、オフロード制御が実施されているか否かについて判定する。
このステップS11,S12の判定処理は、車両がオフロードを走行しているか否かを判定する処理に相当する。ステップS11あるいはステップS12において「No」と判定された場合、ブレーキECU30は、ステップS13において、トラクション制御における泥落とし機能をオフにする。
ステップS12において「Yes」と判定された場合は、車両がオフロードを走行していると推定して、ステップS14において、泥付着判定結果を読み込む。この泥付着判定結果は、図3に示す泥付着判定ルーチンによって出力される。ブレーキECU30は、泥除去制御ルーチンと並行して泥付着判定ルーチンを所定の演算周期にて繰り返し実施しており、ステップS14では、この泥付着判定ルーチンによって得られた最新の泥付着判定結果を読み込む。この泥付着判定ルーチンについては後述する。
続いて、ブレーキECU30は、ステップS15において、泥付着判定結果がオンか否か、つまり、駆動輪20のタイヤに泥が付着していると判定されているか否かについて判定する。ブレーキECU30は、泥付着判定結果がオフであれば、その処理をステップS13に進めて、トラクション制御における泥落とし機能をオフにする。後述するように、泥落とし機能がオンされているときには、トラクション制御における油圧制動力およびエンジン11の駆動トルクが調整されるが、泥落とし機能がオフされているときには、トラクション制御における油圧制動力およびエンジン11の駆動トルクは調整されない。
ブレーキECU30は、こうした処理を繰り返し実施し、ステップS15において、泥付着判定結果がオンであると判定した場合には、ステップS16において、トラクション制御における泥落とし機能をオンにする。ブレーキECU30は、トラクション制御における泥落とし機能をオンに設定した場合、トラクション制御で演算されるスリップ検出時における各駆動輪20の目標ブレーキ油圧を低減するように補正する。例えば、トラクション制御で演算される各駆動輪20の目標ブレーキ油圧に低減係数α(0<α<1)を乗算した値を、補正後の目標ブレーキ油圧に設定し、この目標ブレーキ油圧をホイールシリンダで発生するように、ブレーキアクチュエータ32の作動を制御する。
また、ブレーキECU30は、ステップS16において、目標ブレーキ油圧の補正と同時に、エンジンECU10に対して、駆動トルク調整指令をCAN通信ライン70を介して送信する。ブレーキECU30は、現時点におけるトラクション制御の形態がアクティブTRCである場合、スリップ検出時におけるエンジン11の駆動トルクを制限させる制限指令を送信する。その理由は、アクティブTRCを実施しているときはエンジン10の駆動トルクが抑えられていないため、スリップ時におけるブレーキ油圧を低減すると、エンジン11の駆動トルクが大きい場合には、ディファレンシャルギヤ17,18などに入力される負荷が過剰になるおそれがあるからである。エンジンECU10は、この制限指令を受信すると、現時点のエンジン10の目標駆動トルクが制限指令で特定される制限値よりも大きい場合には、トラクション制御時における目標駆動トルクを制限値まで低減する。
また、ブレーキECU30は、現時点におけるトラクション制御の形態が通常TRCである場合、スリップ検出時におけるエンジン11の駆動トルクを確保するための確保指令を送信する。その理由は、通常TRCを実施しているときはエンジン11の駆動トルクが抑えられているため、タイヤに付着した泥を落とすために必要となる駆動トルクが得られないおそれがあるからである。エンジンECU10は、この確保指令を受信すると、現時点のエンジン11の目標駆動トルクが確保指令で特定される確保設定値(アクティブTRCの場合の制限値と同一でよい)よりも小さい場合には、トラクション制御時における目標駆動トルクを確保設定値にまで増加させる。
ブレーキECU30は、ステップS16において、トラクション制御時におけるブレーキ油圧の補正、エンジン11の駆動トルクの調整を実施すると本ルーチンを一旦終了する。ブレーキECU30は、本ルーチンを繰り返し実施する。
図4は、泥除去制御ルーチンによってトラクション制御におけるブレーキ油圧(油圧制動力に対応する)、および、エンジン11の駆動トルクの調整を説明するタイミングチャートである。この例では、時刻t1において、泥付着判定結果がオフからオンに切り替わる。時刻t1以前、つまり、泥付着判定結果がオフとなっている状況では、スリップが検出されている場合、通常TRCでは、エンジン11の駆動トルクは低減されるが、アクティブTRCでは、エンジン11の駆動トルクは低減されない。また、通常TRCおよびアクティブTRCの何れにおいても、スリップが検出されている場合には、各駆動輪20に油圧制動力が加えられる。
時刻t1以降、つまり、泥付着判定結果がオンとなっている状況において、スリップが検出された場合、エンジン11の駆動トルク、および、ブレーキ油圧(油圧制動力)が調整される。この例では、エンジン11の駆動トルクは、泥付着判定結果がオフとなっている状況に比べて、通常TRCにおいては確保設定値T1まで増加され、アクティブTRCにおいては制限値T2にまで低減される。本実施形態においては、確保設定値T1と制限値T2とは、例えば、同じ大きさに設定されている。また、ブレーキ油圧は、通常TRCおよびアクティブTRCの何れにおいても、泥付着判定結果がオフとなっている状況に比べて低減される。これにより、駆動輪20の車輪速ωは、時刻t1以降、タイヤに付着した泥を落とすことができる高い値に維持される。
このように、泥除去制御ルーチンによれば、車両がオフロード走行中に駆動輪20のタイヤに泥が付着した場合には、駆動輪20がスリップしてトラクション制御が実施されるとき、駆動輪20のブレーキ油圧が低減される。同時に、エンジン11の駆動トルクが調整される。これにより、駆動輪20を適切に空転させることができ、タイヤと路面との擦り合わせによりタイヤから泥を落とすことができる。タイヤに付着していた泥が落とされると、トラクション制御における泥落とし機能がオフになって、トラクション制御における油圧制動力が大きくなる。この結果、駆動輪20の空転が抑制され、駆動輪20の出力トルクを路面に良好に伝達できるようになる。この結果、オフロードの走破性が向上する。
次に、泥付着判定処理について説明する。図3は、ブレーキECU30の実施する泥付着判定ルーチンを表す。
泥付着判定ルーチンが起動されると、ブレーキECU30は、ステップS21において、各駆動輪20における路面との摩擦係数を推定した推定路面摩擦係数(推定路面μと呼ぶ)が設定値よりも高いか否かについて判定する。例えば、ブレーキECU30は、推定路面μの程度を表す指標として、各駆動輪20の車輪加速度(車輪速ωを時間で微分した値ω’)をアクセル操作量A(エンジンECU10から情報提供されるアクセルペダルストローク)で除算した値である指標値X(=ω’/A)を演算する。この場合、指標値Xが小さいほど推定路面μが大きいと推定できる。ブレーキECU30は、全ての駆動輪20について指標値Xを演算し、全ての指標値Xが、予め設定された判定閾値Xrefよりも小さいときに、推定路面μが設定値よりも高いと判定する。
ブレーキECU30は、ステップS21において「No」と判定した場合は、ステップS22において、泥付着判定結果をオフに設定する。つまり、駆動輪20のタイヤに泥が付着していないと判定する。
推定路面μが低い場合は、その原因がタイヤに付着した泥ではなく、元々の路面の摩擦係数が低くなっていることが考えられる。そこで、本実施形態においては、推定路面μが低い場合は、タイヤ泥付着判定に基づいたトラクション制御を実施しないように、タイヤに泥が付着していないと判定する。尚、ステップS21で推定路面μの高低を判定する設定値は、路面の摩擦係数が高く、かつ、駆動輪20のタイヤに泥が付着している場合での推定路面μよりも低い値に設定されている。従って、以下に説明するステップS23以降の処理は、路面の摩擦係数が高い場合であって、駆動輪20のタイヤに泥が付着しているか否かについて判定する処理となる。
ブレーキECU30は、ステップS21において「Yes」と判定した場合、その処理をステップS23に進め、エンジン11の駆動トルクに対して車体速の増加度合がなだらかであるか否かについて判定する。この場合、ブレーキECU30は、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサ(挙動センサ56の一つ)の検出信号から検出される車体の前後加速度Gxをアクセル操作量A(アクセルペダルストローク)で除算した値Y(=Gx/A)を演算し、この値Yが判定閾値Yrefより小さいか否かについて判定する。
駆動輪20のタイヤに泥が付着している場合には、上記値Yが小さな値をとる。そこで、ブレーキECU30は、値Yが判定閾値Yrefより小さい場合(S23:Yes)、ステップS24において、泥付着判定結果をオンに設定する。つまり、駆動輪20のタイヤに泥が付着していると判定する。一方、値Yが判定閾値Yref以上である場合(S23:No)、ブレーキECU30は、別の条件を使った泥付着判定をステップS25にて実施する。
ブレーキECU30は、このステップS25において、車両が前後に動いていないにもかかわらず、推定路面μが変動しているか否かについて判定する。この場合、ブレーキECU30は、前後加速度センサの検出信号から検出される車体の前後加速度Gxがゼロ(ゼロとみなされる程度のゼロ近傍の値も含む)であって、かつ、上記の指標値Xが変動しているか否かについて判定する。
ブレーキECU30は、直近の所定期間の指標値Xをサンプリングし、このサンプリングデータから指標値Xの変動の有無を判定する。ブレーキECU30は、車体の前後加速度Gxがゼロでない場合、あるいは、車体の前後加速度Gxがゼロであって指標値Xが変動していない場合は、ステップS22において、泥付着判定結果をオフに設定する。一方、車体の前後加速度Gxがゼロであって、かつ、指標値Xが変動している場合には、ブレーキECU30は、その処理をステップS24に進めて、泥付着判定結果をオンに設定する。このステップS25の判定は、特に、タイヤの周方向に泥が不均一に付着している場合に有効である。
ブレーキECU30は、泥付着判定結果を出力すると泥付着判定ルーチンを一旦終了する。ブレーキECU30は、泥付着判定ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。これにより、最新の泥付着判定結果を使って泥除去制御ルーチンを実施することができる。
以上説明した本実施形態の車両の制御装置によれば、車両がオフロード走行中にタイヤに泥が付着した場合には、トラクション制御におけるブレーキ油圧(油圧制動力)が低減される。これにより、駆動輪20を適切に空転させてタイヤと路面との擦り合わせにより、タイヤに付着した泥を落とすことができる。この結果、オフロードの走破性が向上する。また、泥除去処理(ステップS16)は、ドライバー自身がオフロード走行中であることを認識しているときに実施されるため、トラクション制御の働き方が変化してもドライバーに違和感を与えないようにすることができる。
以上、本実施形態の車両の制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、エンジン11により駆動輪20を駆動する形式の車両に適用しているが、本発明は、例えば、モータにより駆動輪を駆動する電気自動車、モータおよびエンジンを併用して駆動輪を駆動するハイブリッド自動車など、種々の車両に適用できる。
10…エンジンECU、11…エンジン、13…トランスファー、20…車輪、30…ブレーキECU、31…摩擦ブレーキ機構、31a…ブレーキディスク、31b…ブレーキキャリパ、32…ブレーキアクチュエータ、51…エンジン制御用センサ、52…アクセルセンサ、53…トランスファー選択スイッチ、54…ブレーキセンサ、55…車輪速センサ、56…挙動センサ、57…舵角センサ、58…トラクション選択スイッチ、59…オフロード選択スイッチ、70…CAN通信ライン、A…アクセル操作量、B…ブレーキ操作量、ω…車輪速。
Claims (1)
- 駆動輪のスリップを検出したときに、前記スリップが検出された駆動輪に対して少なくとも油圧制動力を付与して前記スリップを抑制するトラクション制御を実施するトラクション制御手段を備えた車両の制御装置において、
車両がオフロードを走行しているか否かを判定するオフロード判定手段と、
前記車両がオフロードを走行していると判定されているときに、前記駆動輪のタイヤに泥が付着しているか否かを判定する泥付着判定手段と、
前記タイヤに泥が付着していると判定されている場合は、前記タイヤに泥が付着していると判定されていない場合に比べて、前記トラクション制御における前記油圧制動力を小さくする泥付着時油圧低減手段と
を備えた車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107512262A (zh) * | 2017-08-14 | 2017-12-26 | 吉林大学 | 一种针对执行驱动空间受限时的车辆稳定控制系统轮胎力分配方法 |
JP7141548B1 (ja) * | 2022-01-17 | 2022-09-22 | Dmg森精機株式会社 | 異物検知方法 |
JP7520179B1 (ja) | 2023-04-14 | 2024-07-22 | 本田技研工業株式会社 | 電動車両制御システム |
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2015
- 2015-03-31 JP JP2015072755A patent/JP2016190607A/ja active Pending
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CN107512262B (zh) * | 2017-08-14 | 2018-12-21 | 吉林大学 | 一种针对执行驱动空间受限时的车辆稳定控制系统轮胎力分配方法 |
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