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JP2016187789A - アルカリ液の中和方法及び中和装置と水処理方法及び水処理装置 - Google Patents

アルカリ液の中和方法及び中和装置と水処理方法及び水処理装置 Download PDF

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JP2016187789A JP2015069363A JP2015069363A JP2016187789A JP 2016187789 A JP2016187789 A JP 2016187789A JP 2015069363 A JP2015069363 A JP 2015069363A JP 2015069363 A JP2015069363 A JP 2015069363A JP 2016187789 A JP2016187789 A JP 2016187789A
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森 浩一
Koichi Mori
浩一 森
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Abstract

【課題】放射性廃液の処理等で排出されるアルカリ液を、薬液注入することなく、pH3〜10の範囲に安定に中和する。
【解決手段】被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤カラム1及び水素型チタン酸吸着剤カラム2に順次通水する。アルカリ型チタン酸吸着剤カラム1に通水するとアルカリ成分が溶出して処理水pHは上昇するが、得られたアルカリ液を後段の水素型チタン酸吸着剤カラム2に通水することで、アルカリ金属イオンと水素イオンのイオン交換が起こり、アルカリ金属イオンが吸着されて水素イオンが放出されるため、pHを下げることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ液を薬液注入することなく中和する方法及び装置に関する。本発明はまた、この中和技術を利用した水処理方法と水処理装置に関する。
処理対象液をpH調整する場合、通常、塩酸や苛性ソーダといった酸、アルカリを時分割比例制御やON−OFF制御により薬注することで目的pHに調整することが行われている。
このように、薬注によってpH調整した場合、薬注した薬液分だけ排水量が増え、また、中和用の薬液タンクや薬注装置等の設置スペースが必要となるという課題がある。
排水の種類によって、例えば、放射性廃液の処理では、排水量を増やすことは好ましくなく、排水量を増やすことのない、無薬注のpH調整が求められている。
例えば、特許文献1,2に記載されるチタン酸塩を使用した放射性Sr含有水の処理方法では、以下の通りpH調整が必要となるが、このpH調整は無薬注で行うことが望まれる。
即ち、特許文献1,2に記載されるようなチタン酸アルカリ金属塩を使用した放射性Srのイオン交換による除去は、プロセスがシンプルかつ高い除去効果を示すが、チタン酸塩からのカリウムやナトリウム等のアルカリ金属イオンとSrイオンとのイオン交換によりアルカリ成分が溶出するので、処理水は一般的にpH10〜13のアルカリ性となる。この処理水は、後段プロセスの処理や保管時の取扱性の改善のため、中性域に中和しなければならない場合があるが、この場合において、薬注による中和を行うと放射性廃液量が増加するので、廃液量を増やすことなくアルカリ液を中和する技術が求められる。
また、放射性廃液処理のプロセスはシンプルであることが好ましく、無薬注として、薬注設備などの制御設備を簡略化できることは、運転管理面で優位となる。この観点からも無薬注での中和が望まれる。
なお、無薬注でpH調整する方法として、H型陽イオン交換樹脂を用いる方法が知られているが、H型陽イオン交換樹脂によるpH調整では、後掲の比較例1に示されるように、pHが大きく低下してしまい、中性域にpH調整することは難しい。
特開2013−246145号公報 特許第4428541号公報
本発明は、放射性廃液の処理等で排出されるアルカリ液を、薬液注入することなく、pH3〜10の範囲に安定に中和する方法及び装置と、この技術を利用した水処理方法及び水処理装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水素型チタン酸吸着剤を用いることにより、pH3〜10の中性域に安定的にpH調整することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] アルカリ液を水素型チタン酸吸着剤に接触させることを特徴とするアルカリ液の中和方法。
[2] [1]において、前記アルカリ液が、被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤に接触させることにより得られたものであることを特徴とするアルカリ液の中和方法。
[3] [1]又は[2]において、前記水素型チタン酸吸着剤が、二チタン酸カリウムのカリウム原子を水素原子と置換して得られた水素型チタン酸を含むことを特徴とするアルカリ液の中和方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記アルカリ液をpH3〜10の範囲に中和することを特徴とするアルカリ液の中和方法。
[5] 被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤に接触させた後、水素型チタン酸吸着剤に接触されることを特徴とする水処理方法。
[6] [5]において、被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤を充填した吸着層に通水した後、水素型チタン酸吸着剤を充填した吸着層に通水することを特徴とする水処理方法。
[7] 水素型チタン酸吸着剤を充填した吸着容器又は吸着塔を有するアルカリ液の中和装置。
[8] [7]において、前記水素型チタン酸吸着剤が、二チタン酸カリウムのカリウム原子を水素原子と置換して得られる水素型チタン酸を含むことを特徴とするアルカリ液の中和装置。
[9] アルカリ型チタン酸吸着剤を充填した吸着容器又は吸着塔と、水素型チタン酸吸着剤を充填した吸着容器又は吸着塔とを有し、被処理水がこの順で直列に通水されることを特徴とする水処理装置。
[10] [9]において、前記アルカリ型チタン酸吸着剤が二チタン酸カリウムを含み、前記水素型チタン酸吸着剤が二チタン酸カリウムのカリウム原子を水素原子と置換して得られる水素型チタン酸を含むことを特徴とするアルカリ液の中和方法。
[11] [9]又は[10]において、前記吸着容器又は吸着塔の形状が円筒状であることを特徴とする水処理装置。
[12] [11]において、前記円筒状吸着容器又は吸着塔内に形成された前記吸着剤の充填層の高さ/直径比が1〜10であることを特徴とする水処理装置。
[13] [9]ないし[12]のいずれかにおいて、前記吸着容器又は吸着塔内の上部及び/又は下部に多孔板を有することを特徴とする水処理装置。
[14] [13]において、前記多孔板が格子状又は細隙状構造であることを特徴とする水処理装置。
[15] [15]において、前記多孔板の格子間隔又は細隙間隔が0.1〜0.5mmであることを特徴とする水処理装置。
[16] [9]ないし[15]のいずれかに記載の水処理装置に被処理水を通水することを特徴とする水処理方法。
本発明によれば、薬液注入することなく、従って、廃液量を増やすことなく、アルカリ液をpH3〜10の範囲の所望のpHに安定的に中和することができる。
本発明によれば、薬液を用いて中和する場合に必要な薬注設備や薬注制御が不要となり、プロセスの簡略化を図ることができる。
本発明の水処理装置の実施の形態の一例を示す系統図である。 参考例1、比較例1及び実施例1の結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<メカニズム>
アルカリ性の液を水素型チタン酸吸着剤と接触させると、液中のアルカリ金属イオンと水素型チタン酸吸着剤の水素イオンとのイオン交換が起こり、アルカリ金属イオンが水素型チタン酸吸着剤に吸着され、代りに水素型チタン酸吸着剤から水素イオンが放出されることでpHを下げることができる。
アルカリ液がアルカリ型チタン酸吸着剤による処理でアルカリ性となったものである場合は、アルカリ型チタン酸吸着剤による処理で、アルカリ型チタン酸吸着剤からアルカリ成分が溶出して処理水pHは上昇するが、その後、水素型チタン酸吸着剤と接触させることで、アルカリ金属イオンと水素イオンとのイオン交換が起こり、アルカリ金属イオンが吸着されて水素イオンが放出されるため、pHを下げることができる。
なお、本発明において「中和」とは、アルカリ液のpHを下げる広義の中和を意味し、本発明による中和処理で得られる処理水のpHは、一般的にpH3〜10の範囲において、中和処理水の用途(中和処理の後段の処理の種類)により適宜決定される。
例えば、後段でアニオン交換処理を行う場合は、pHが低い方が好適であり、通常の場合、pH3〜7程度に中和処理する。また、中和処理水を公共水域へ放流する場合は、水質汚濁防止法で定める排水基準を遵守する必要があり、当該基準は海域以外でpH5.8〜8.6、海域でpH5.0〜9.0であるので、このようなpH値に中和処理することが必要となる。
<アルカリ液>
本発明において、中和処理に供するアルカリ液は、好ましくは、水素イオンとイオン交換されるアルカリ金属イオンを含有するものであり、特に、本発明による中和処理は、アルカリ型チタン酸吸着剤による処理でアルカリ金属イオンを含み、pH10〜13程度のアルカリ性となったアルカリ液の中和に好適である。
以下、本発明のアルカリ液の中和方法及び中和装置を、アルカリ型チタン酸吸着剤による処理で得られるアルカリ液の中和に適用した場合を例示して説明するが、本発明により中和処理するアルカリ液は、何らアルカリ型チタン酸吸着剤による処理で得られたものに限定されるものではない。
<アルカリ型チタン酸吸着剤>
アルカリ型チタン酸吸着剤としては、イオン交換能を有する二チタン酸カリウム(KTi)や四チタン酸カリウム(KTi)、三チタン酸ナトリウム(NaTi)等のチタン酸アルカリ金属塩が好ましく、その平均粒子径は1〜150μmであることが好ましい。
また、取り扱い性の面から、アルカリ型チタン酸吸着剤は、上記のチタン酸アルカリ金属塩をバインダーを用いて粒径150〜3000μmの範囲に成形したものが好ましい。
バインダーとしては、例えば、ベントナイト、アタパルジャイト、セピオライト、アロフェン、ハロイサイト、イモゴライト、カオリナイト等の粘土鉱物;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸塩化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、バインダーとしては、化成品であるケイ酸塩化合物よりも天然物である粘土鉱物を用いる方が安価に製造できる点で好ましく、さらに、粘土鉱物の中でも粒状体の機械的強度の点でアタパルジャイトやセピオライト等の繊維状の粘土鉱物を用いることが好ましい。
また、成形時には、造粒に必要な塑性を与える可塑剤も同様に添加することが好ましい。上記可塑剤としては、例えば、デンプン、コーンスターチ、糖蜜、乳糖、セルロース、セルロース誘導体、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム、アルギン酸、ポリアクリル酸、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、水、メタノール、エタノール等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
チタン酸アルカリ金属塩とバインダーと可塑剤を所定の混合比で混合した後、造粒成形し、乾燥させた後、焼成することで、機械的強度が向上し、輸送中等に加えられる振動や衝撃等による破砕や、水に投入したときの一次粒子の脱落を抑制することができる。
バインダーの使用量は、特に限定されるものではなく、チタン酸アルカリ金属塩粉末1質量部に対し、0.1〜0.5質量部であることが好ましい。バインダーの使用量が少な過ぎると、得られる粒状体の強度が弱く、輸送中等に加えられる振動や衝撃等によって破砕したり、水に投入したときに一次粒子が脱落したりするおそれがある。バインダーの使用量が多過ぎると、カチオン交換の活性部位であるチタン酸アルカリ金属塩の割合が小さくなるため、カチオン交換容量(放射性物質吸着量)が小さくなってしまう。
可塑剤の使用量は、特に限定されるものではなく、チタン酸アルカリ金属塩粉末1質量部に対し0.01〜0.1質量部であることが好ましい。可塑剤の使用量が上記範囲内であれば、チタン酸アルカリ金属塩粉末を効果的に成形することができる。
なお、製造コストを考慮すると、使用する可塑剤は水であることが好ましく、さらには、水と接触すると増粘する性質を有し、その粘化作用により粒子同士の結合に寄与する物質と水とを併用することが好ましい。この点を考慮すると、可塑剤として、水とセルロース誘導体やPVA等とを併用することが好ましい。
可塑剤として水とセルロース誘導体及び/又はPVAとを併用する場合、バインダーにおける水とセルロース誘導体及び/又はPVAとの配合比(質量基準)は、1000:1〜10:1であることが好ましい。配合比がこの範囲内であれば、チタン酸アルカリ金属塩粉末を効果的に成形することができる。
バインダーと可塑剤を用いてチタン酸アルカリ金属塩の粉末を成形する方法としては、例えば、チタン酸アルカリ金属塩粉末とアタパルジャイト等のバインダーを混合し、可塑剤である水とセルロース誘導体等とを混合した粘性流体をチタン酸アルカリ金属塩とアタパルジャイトの混合粉末に添加しながら造粒成形する方法、アタパルジャイト等のバインダーとセルロース等の可塑剤を粉体のままチタン酸アルカリ金属塩粉末に混合し、水等の液体を添加しながら造粒成形する方法等が挙げられる。
この造粒成形法としては、具体的には、ドラム型造粒機、皿型造粒機等を使用した転動造粒法;フレキソミックス、バーティカルグラニュレーター等を使用した混合撹拌造粒法;スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ブレード型押出造粒機、自己成形型押出造粒機等を使用した押出造粒法;打錠形造粒機、ブリケット形造粒機等を使用した圧縮造粒法;吹き上げる流体(主として空気)中にチタン酸アルカリ金属塩粉末とバインダーを浮遊懸濁させた状態に保ちながら水やアルコール等のバインダーを噴霧して造粒する流動層造粒法等が挙げられるが、粒状体に成形することを考慮すると、転動造粒法又は混合撹拌造粒法が好ましい。
このようにして得られるチタン酸アルカリ金属塩の粒状体の粒径は、通常150〜3000μm、好ましくは300〜2000μm、より好ましくは500〜2000μmである。この粒状体の粒径が上記範囲よりも大きいと、表面積が小さくなってしまうため、吸着能が低下し、小さいと後述の吸着容器又は吸着塔の多孔板からリークする恐れがある。
なお、ここで、粒状体の粒径とは、粒状体が球状であればその直径に該当し、その他の形状の場合、当該粒状体を2枚の平行な板で挟んだとき、その板の間隔が最も大きくなる部位の長さ(2枚の板の間隔)をさす。
成形したチタン酸アルカリ金属塩の粒状体は、空気雰囲気下、500〜900℃で焼成することが好ましく、この焼成により、バインダー粉末とチタン酸アルカリ金属塩粉末とが焼結され、粒子強度が向上する。この焼成処理において、焼成温度が500℃未満であると、未焼結部位が残存して粒子強度が弱くなり、900℃を超えるとチタン酸アルカリ金属塩結晶の構造に影響を及ぼして吸着性能が低下してしまう。
焼成時間は、焼成温度、粒状体の大きさによっても異なるが、通常0.5〜10時間程度である。
<水素型チタン酸吸着剤>
水素型チタン酸吸着剤に含まれる水素型チタン酸は、前述のアルカリ型チタン酸(チタン酸アルカリ金属塩)に含まれるアルカリ金属原子を水素原子に置き換えることで得ることができる。具体的には、二チタン酸カリウム(KTi)や四チタン酸カリウム(KTi)、三チタン酸ナトリウム(NaTi)等のチタン酸アルカリ金属塩に、塩酸や硝酸、硫酸等の酸水溶液に接触させて、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属原子と水素原子をイオン交換することで得られる。このとき用いるチタン酸アルカリ金属塩は、特に限定しないが、二チタン酸カリウム(KTi)が好適である。二チタン酸カリウムは四チタン酸カリウムや三チタン酸ナトリウムよりチタン酸分子に占めるアルカリ金属物質量が多いので、化学量論的イオン交換容量が高く、多くの水素イオンを保持できるので好適である。
二チタン酸カリウム等のチタン酸アルカリ金属塩と酸水溶液を接触させる方法は回分法でも流通法でも良いが、カラムに二チタン酸カリウム等のチタン酸アルカリ金属塩を充填して酸水溶液を通水する流通法が好ましい。回分法でアルカリ金属イオンと水素イオンをイオン交換する場合、複数回の処理が必要となり、水素イオン置換工程が煩雑になる。この置換工程に供する酸は特に限定しないが、塩酸、硝酸、硫酸等の強酸が好ましい。酢酸や有機酸のような弱酸は、残留すると特定の成分と錯体を形成したり、処理水TOCが増加する等、後段処理や全体プロセスに影響を及ぼす恐れがある。
本発明において、水素型チタン酸吸着剤は、上述のアルカリ型チタン酸吸着剤として好適に用いられるものを、水素型に変換して用いることが好ましい。
この水素型に変換する処理は、より具体的には、上述のアルカリ型チタン酸吸着剤を、カラムに充填し、0.01〜1mol/L程度の酸水溶液を空間速度(S.V.)5〜200/hrで通水する方法が好ましい。この場合、カラム出口水のpHが3以下、例えば1〜2程度になるまで酸水溶液を通水することで、水素型への変換を終了する。
<水処理装置>
以下に、図1を参照して、被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤で処理して得られるアルカリ液を水素型チタン酸吸着剤で処理して中和するための本発明の水処理装置について説明する。
図1は、本発明の水処理装置の実施の形態の一例を示す系統図である。
図1中、1はアルカリ型チタン酸吸着剤1Aを充填したアルカリ型チタン酸吸着剤カラムであり、2は水素型チタン酸吸着剤2Aを充填した水素型チタン酸吸着剤カラムであり、被処理水はアルカリ型チタン酸吸着剤カラム1及び水素型チタン酸吸着剤カラム2に順次通水される。なお、カラム(円筒容器)の代りに吸着塔を用いてもよい。
図1の水処理装置では、被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤カラム1に通水して被処理水中のストロンチウム等のアルカリ土類金属イオンをアルカリ型チタン酸吸着剤1Aのカリウムやナトリウム等のアルカリ金属イオンとイオン交換し、得られたアルカリ性の流出水を、水素型チタン酸吸着剤カラム2に通水して水素型チタン酸吸着剤2Aとのイオン交換でpHを低下させる。
アルカリ型チタン酸吸着剤カラム1及び水素型チタン酸吸着剤カラム2への被処理水の通水速度については特に制限はないが、イオン交換による吸着効果と処理効率の観点から空間速度(S.V.)で5〜30/hrとすることが好ましい。
吸着剤を用いた吸着処理は、吸着塔あるいはカラムと呼ばれる円筒容器に吸着剤を充填し、当該円筒容器に被処理水を通水することで行われ、除去目的物質はカラム内に充填された吸着剤に吸着され、カラム出口から除去対象物質が除去された処理水が得られる。カラム上部から下部に通水する場合を下向流通水、カラム下部から上部へ通水することを上向流通水と呼ぶ。一般的には、図1の通り、下向流で通水することが多いが、本発明は、上向流と下向流のいずれの場合も適用できる。
本発明で用いる吸着容器又は吸着塔の形状は円筒状であることが好ましい。円筒状であれば通水したときに水流の滞留領域がなく、吸着剤の有効利用率を向上させることができる。
また、円筒状吸着容器又は吸着塔に充填された吸着剤の充填層の高さ/直径比は1〜10であることが好ましい。即ち、円筒状容器に吸着剤を充填して吸着除去対象液を通水する方法において、当該円筒状容器は、化学工学分野における押し出し流れ反応器に相当する。押し出し流れ反応器においては吸着剤と除去対象物質との吸着速度、吸着容量及び流体の流速等によって、充填層内に吸着帯(物質移動帯)と呼ばれる流れ方向に拡がる吸着分布を形成する。吸着帯は反応器入口方向から通水と共に少しずつ出口方向へ拡がり、やがて吸着帯が反応器出口に達すると除去対象物質のリーク(漏洩)が始まる。これを破過と呼ぶ。従って、円筒状吸着容器又は吸着塔内に形成される吸着剤の充填層の長さ(高さ)は少なくとも吸着帯より長い必要があり、破過までの時間を長くするためには円筒状吸着容器又は吸着塔内の吸着剤の充填層の高さは高ければ高いほど良い。しかし、高くしすぎると転倒防止のための補強コストが大きくなるので、高さを確保したい場合、円筒状吸着容器又は吸着塔を直列に複数個接続して、高さを確保するように設計するのが一般的である。
このような理由から、本発明の円筒状吸着容器又は吸着塔における吸着剤の充填層の高さ/直径比には適切な範囲があり、この高さ/直径比は1〜10、特に2〜5が好適である。
また、本発明で用いる吸着容器又は吸着塔は、散水器又は集水器に相当する多孔板を有することが好ましい。図1において、カラム1,2の入口側である上部の多孔板11,21は散水器に相当し、出口側の下部の多孔板12,22は集水器に相当し、吸着剤の充填層はこれらの間に形成される。
散水器は流入水を均一な流れに整流する役割を有し、集水器は吸着剤が吸着容器又は吸着塔から漏出するのを防ぐ役割を有する。
この散水器又は集水器としての多孔板は、格子状又は細隙状(スリット状)構造であることが好ましい。散水器を格子状又は細隙状構造とすると流れ方向への抵抗が生まれて整流作用が働く。また、集水器を格子状又は細隙状構造とすることで吸着剤を捕捉し、吸着剤が吸着容器又は吸着塔から漏出するのを防ぐことができる。
また、散水器又は集水器としての多孔板の格子間隔又は細隙(スリット)間隔は、0.1〜0.5mmであることが好ましい。散水器の格子間隔又は細隙間隔が大きいと流体の抵抗が小さく、整流効果も小さくなり、格子間隔又は細隙間隔が小さいと流体の抵抗が大きく、通水時の圧力損失が大きくなり、ポンプ動力の負荷が大きくなる。一方、集水器の格子間隔又は細隙間隔が大きいと吸着剤が漏出してしまい、格子間隔又は細隙間隔が小さいと流体の抵抗が大きく、通水時の圧力損失が大きくなり、ポンプ動力の負荷が大きくなる。
充填する吸着剤の平均粒径は0.5〜2.0mmの範囲であることが多く、従って、格子間隔又は細隙間隔は0.5mm以下が好適である。また前述の如く、格子間隔又は細隙間隔が小さいと通水時の圧力損失が大きくなることから、格子間隔又は細隙間隔は0.1mm以上、特に0.15〜0.3mmの範囲が好ましい。
このような本発明の水処理は、特許文献1に記載されるような放射性ストロンチウムを含有する海水等の放射性廃液の処理に有効であるが、これに限らず、核燃料再処理工場で発生する低レベル放射性廃液等の処理にも好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下において、水素型チタン酸吸着剤の調製や、通水試験は、いずれも、散水器及び集水器として、それぞれ格子間隔0.25mmの多孔板を具備した内径14.8mmの円筒状ガラスカラム(以下、単に「円筒状ガラスカラム」と称す。)を用い、下向流通水とした。
[調製例1:水素型チタン酸吸着剤の調製]
円筒状ガラスカラムに、特許文献1の実施例1と同様にして合成した二チタン酸カリウム吸着剤(粒径300〜1180μm)を、層高100mmで充填し、この吸着剤充填カラムに0.1mol/Lの塩酸水溶液を空間速度(S.V.)10/hrで通水した。出口水を一定間隔でサンプリングして、pHが1に達するまで通水し、カリウムイオンと水素イオンを置換して、水素型チタン酸吸着剤を調製した。
[参考例1:ブランク試験]
円筒状ガラスカラムに、特許文献1の実施例1と同様にして合成した二チタン酸カリウム吸着剤(粒径300〜1180μm)を、層高100mmで充填し、この吸着剤充填カラムに1/5希釈海水を空間速度(S.V.)10/hrで通水した。海水は人工海水(マリンアートSF−1、富田製薬製)を使用した。
出口水を一定間隔でサンプリングして、吸着剤充填体積に対する通水量の体積比(B.V.)とpHをプロットした結果を図2に示す。
図2からわかるように、通水初期はpH12.9とアルカリ性を呈しており、通水と共にpHは直線的に低下するものの、60B.V.においてもpHは11.7と高いアルカリ性を呈していた。
[比較例1]
円筒状ガラスカラムに、特許文献1の実施例1と同様にして合成した二チタン酸カリウム吸着剤(粒径300〜1180μm)を、層高100mmで充填した(この吸着剤充填カラムを「カラム1」と称す。)。また、円筒状ガラスカラムに、H型陽イオン交換樹脂(DOWEX MONOSPHERE 650C(H)、ダウケミカル社製)を層高100mmで充填した(この陽イオン交換樹脂充填カラムを「カラム2」と称す。)。カラム1とカラム2を直列に接続して、1/5希釈海水を参考例1のブランク試験と同様の条件で通水した。
カラム2の出口水を一定間隔でサンプリングして、吸着剤充填体積に対する通水量の体積比(B.V.)とpHをプロットした結果を図2に示す。
図2からわかるように、本比較例では、通水直後からpHは大きく低下し、10B.V.においてpH1.1と強酸性を呈した。
陽イオン交換樹脂はイオン交換速度が速いため、海水由来の高濃度カチオン成分と水素イオンが速やかにイオン交換し、カチオン濃度が高い分、pHが大きく低下したと考えられる。
[実施例1]
円筒状ガラスカラムに、特許文献1の実施例1と同様にして合成した二チタン酸カリウム吸着剤(粒径300〜1180μm)を、層高100mmで充填した(この吸着剤充填カラムを「カラム1」と称す。)。また、円筒状ガラスカラムに、調製例1で調製した水素型チタン酸吸着剤を層高100mmで充填した(この吸着剤充填カラムを「カラム3」と称す。)。カラム1とカラム3を直列に接続して、1/5希釈海水を参考例1のブランク試験と同様の条件で通水した。
カラム3の出口水を一定間隔でサンプリングして、吸着剤充填体積に対する通水量の体積比(B.V.)とpHをプロットした結果を図2に示す。
図2からわかるように、本実施例では、通水直後はpH3.6と低いものの、pHは緩やかに上昇して40B.V.においてpH9.1となり、その後は安定したpHを保持した。水素型チタン酸は陽イオン交換樹脂よりも海水成分のカチオンとのイオン交換速度が遅く、水素イオンの除放作用が働いたため、pH3〜10で安定して保持できたと考えられる。
1 アルカリ型チタン酸吸着剤カラム
1A アルカリ型チタン酸吸着剤
2 水素型チタン酸吸着剤カラム
2A 水素型チタン酸吸着剤
11,12,21,22 多孔板

Claims (16)

  1. アルカリ液を水素型チタン酸吸着剤に接触させることを特徴とするアルカリ液の中和方法。
  2. 請求項1において、前記アルカリ液が、被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤に接触させることにより得られたものであることを特徴とするアルカリ液の中和方法。
  3. 請求項1又は2において、前記水素型チタン酸吸着剤が、二チタン酸カリウムのカリウム原子を水素原子と置換して得られた水素型チタン酸を含むことを特徴とするアルカリ液の中和方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アルカリ液をpH3〜10の範囲に中和することを特徴とするアルカリ液の中和方法。
  5. 被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤に接触させた後、水素型チタン酸吸着剤に接触されることを特徴とする水処理方法。
  6. 請求項5において、被処理水をアルカリ型チタン酸吸着剤を充填した吸着層に通水した後、水素型チタン酸吸着剤を充填した吸着層に通水することを特徴とする水処理方法。
  7. 水素型チタン酸吸着剤を充填した吸着容器又は吸着塔を有するアルカリ液の中和装置。
  8. 請求項7において、前記水素型チタン酸吸着剤が、二チタン酸カリウムのカリウム原子を水素原子と置換して得られる水素型チタン酸を含むことを特徴とするアルカリ液の中和装置。
  9. アルカリ型チタン酸吸着剤を充填した吸着容器又は吸着塔と、水素型チタン酸吸着剤を充填した吸着容器又は吸着塔とを有し、被処理水がこの順で直列に通水されることを特徴とする水処理装置。
  10. 請求項9において、前記アルカリ型チタン酸吸着剤が二チタン酸カリウムを含み、前記水素型チタン酸吸着剤が二チタン酸カリウムのカリウム原子を水素原子と置換して得られる水素型チタン酸を含むことを特徴とするアルカリ液の中和方法。
  11. 請求項9又は10において、前記吸着容器又は吸着塔の形状が円筒状であることを特徴とする水処理装置。
  12. 請求項11において、前記円筒状吸着容器又は吸着塔内に形成された前記吸着剤の充填層の高さ/直径比が1〜10であることを特徴とする水処理装置。
  13. 請求項9ないし12のいずれか1項において、前記吸着容器又は吸着塔内の上部及び/又は下部に多孔板を有することを特徴とする水処理装置。
  14. 請求項13において、前記多孔板が格子状又は細隙状構造であることを特徴とする水処理装置。
  15. 請求項15において、前記多孔板の格子間隔又は細隙間隔が0.1〜0.5mmであることを特徴とする水処理装置。
  16. 請求項9ないし15のいずれか1項に記載の水処理装置に被処理水を通水することを特徴とする水処理方法。
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