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JP2016147925A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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JP2016147925A
JP2016147925A JP2015023847A JP2015023847A JP2016147925A JP 2016147925 A JP2016147925 A JP 2016147925A JP 2015023847 A JP2015023847 A JP 2015023847A JP 2015023847 A JP2015023847 A JP 2015023847A JP 2016147925 A JP2016147925 A JP 2016147925A
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森 綾子
Ayako Mori
綾子 森
和範 本遠
Kazunori Hondo
和範 本遠
富岡 伸之
Nobuyuki Tomioka
伸之 富岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】安定したモードI層間靭性とモードII層間靭性を発現し、かつ成形性を兼ね備えた繊維強化複合材料、これを得るためのエポキシ樹脂組成物、およびそのエポキシ樹脂組成物を用いて得られるプリプレグを提供すること。
【解決手段】少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]と強化繊維からなるプリプレグ。
[A]エポキシ樹脂
[B]熱可塑性樹脂
[C]アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤
[D]次の(d1)〜(d3)の条件を満たすエポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子
(d1)粒子径分布指数が1.0〜1.8である
(d2)粒子の真球度が85以上である
(d3)粒子のガラス転移温度が40〜300℃である
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた層間靱性、および成形性を兼ね備えた繊維強化複合材料が得られるプリプレグ、およびそれを用いた繊維強化複合材料に関するものである。
繊維強化複合材料、中でも炭素繊維強化複合材料は、比強度や比剛性に優れていることから有用であり、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。
炭素繊維強化複合材料は、強化繊維である炭素繊維とマトリックス樹脂を必須の構成要素とするプリプレグを成形してなる不均一材料であり、そのため強化繊維の配列方向の物性とそれ以外の方向の物性に大きな差が存在する。例えば、強化繊維層間破壊の進行しにくさを示す層間靱性は、強化繊維の強度を向上させるのみでは、抜本的な改良に結びつかないことが知られている。特に、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂の低い靭性を反映し、強化繊維の配列方向以外からの応力に対し、破壊され易い性質を持っている。そのため、航空機構造材で必要となる高温高湿環境下での繊維方向圧縮強度を確保しつつ、層間靭性を始めとする強化繊維の配列方向以外からの応力に対応することができる複合材料物性の改良を目的に、種々の技術が提案されている。
さらに近年、航空機構造材への繊維強化複合材料の適用部位が拡大している他、発電効率やエネルギー変換効率の向上を目指した風車ブレードや各種タービンへの繊維強化複合材料の適用も進んでおり、プリプレグの積層枚数の多い肉厚な部材、また3次元的な曲面形状を有する部材への適用検討が進められている。このような肉厚部材、あるいは曲面部材に引っ張りや圧縮の応力が負荷された場合、繊維層間への面外方向への引き剥がし応力が発生し、層間に開口モードによる亀裂が生じ、その亀裂の進展により部材全体の強度、剛性が低下し、全体破壊に到る場合がある。この応力に対抗するための、開口モード、すなわちモードIでの層間靱性が必要になる。
層間靭性を高める技術として、繊維層間領域に高靱性なポリアミド等を用いた粒子材料を配置することで、モードII層間靱性を高め、部材表面への落錘衝撃に対する損傷を抑える技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この技術を用いた場合、モードI層間靱性試験において、進展していくクラックが層間を外れ、粒子の存在しない繊維層内を進展するようになってしまうことが知られている。このようなクラックの層内遷移を回避するために、強化繊維とマトリックス樹脂との十分な接着性を確保すること、およびマトリックス樹脂の弾性率および靱性のバランスを向上させることが有効と考えられており、エポキシ樹脂の靱性を向上させる方法として、靱性に優れるゴム成分や熱可塑性樹脂を配合する方法などが試されている。その例として、数平均分子量の低いポリスルホンを配合することで靭性を付与した樹脂設計が開発された(特許文献2)。具体的には、数平均分子量が3000〜5100のポリスルホンをエポキシ樹脂組成物の20〜50質量%と大量に配合することで、優れた靭性向上効果があることが開示されている。
米国特許第5,028,478号明細書 特開昭61−228016号公報
大型構造材を成形する際、今後は大量生産に伴い、生産性の向上も必要となってくる。つまり、プリプレグの積層工程が簡便となることが重要となり、そのために例えば、プリプレグの粘着性を抑え、積層位置の調整、修正を容易にする、あるいは、複数層をまとめて積層できることが求められる。これにより、近年、需要が高まりつつある肉厚の繊維強化複合材料の作製も容易となる。
特許文献1の方法では、繊維強化複合材料に求められる特性に対して、モードI層間靭性が不十分であり、またプリプレグの粘着性が高く成形性も不十分となる。ここで、粘着性を抑えるため、樹脂組成物の粘度を高めた場合、含浸性が不十分となり、プリプレグの粘着性を抑えつつ含浸性を満たすことは困難であった。
また、特許文献2の方法では、繊維強化複合材料に求められる特性に対して、モードII層間靭性が不十分となる場合があり、またプリプレグの粘着性が高く成形作業性も不十分となる。
このように、モードI層間靭性とモードII層間靭性、および成形性を満足させるプリプレグおよび繊維強化複合材料の開発は困難であった。
そこで、本発明の目的は、モードI層間靭性とモードII層間靭性、および成形作業性を兼ね備えた繊維強化複合材料が得られるプリプレグ、およびそれを用いた繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために次のいずれかの構成を有するものである。すなわち、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]と強化繊維からなるプリプレグ、である。
[A]エポキシ樹脂
[B]熱可塑性樹脂
[C]アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤
[D]次の(d1)〜(d3)の条件を満たすエポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子
(d1)粒子径分布指数が1.0〜1.8である
(d2)粒子の真球度が85以上である
(d3)粒子のガラス転移温度が40〜300℃である。
さらに、本発明においては、前記プリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料とすることができる。
本発明によれば、モードI層間靭性とモードII層間靭性を安定して発現し、かつ成形性を兼ね備えた繊維強化複合材料、およびこれを得るための繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物およびプリプレグが得られる。
以下、本発明のプリプレグ、および繊維強化複合材料について詳細に説明する。
本発明のプリプレグは、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]、エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子[D]と強化繊維からなるプリプレグであり、[D]が下記条件(d1)から(d3)を満たすものである。
(d1)粒子径分布指数が1.0〜1.8である
(d2)粒子の真球度が85以上である
(d3)粒子のガラス転移温度が40〜300℃である。
本発明で用いられるエポキシ樹脂[A]は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂[A]の具体例としては、水酸基を複数有するフェノールから得られる芳香族グリシジルエーテル、水酸基を複数有するアルコールから得られる脂肪族グリシジルエーテル、アミンから得られるグリシジルアミン、カルボキシル基を複数有するカルボン酸から得られるグリシジルエステル、オキシラン環を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、低粘度で強化繊維への含浸性に優れ、また繊維強化複合材料とした際の耐熱性と弾性率等の力学物性に優れることから、グリシジルアミン型のエポキシ樹脂を好適に使用できる。かかるグリシジルアミン型のエポキシ樹脂は、多官能アミン型エポキシ樹脂と2官能アミン型エポキシ樹脂に大別できる。
かかる多官能アミン型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂1分子内に3つ以上のエポキシ基を含むアミン型エポキシ樹脂を指す。かかる多官能アミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、テトラグリシジルキシリレンジアミン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールや、これらのハロゲン置換体、アルキル置換体、アラルキル置換体、アリル置換体、アルコキシ置換体、アラルコキシ置換体、アリロキシ置換体、水添体などを使用することができる。
かかる多官能アミン型エポキシ樹脂は特に限定されるものではないが、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、テトラグリシジルキシリレンジアミン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールおよびその置換体、水添体などが好適に使用される。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学工業(株)製)、YH434L(新日鐵住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、“アラルダイド(登録商標)”MY721、“アラルダイド(登録商標)”MY9512、“アラルダイド(登録商標)”MY9663(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)等を使用することができる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホンの市販品としては、TG3DAS(三井化学ファイン(株)製)などが挙げられる。
テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品の市販品としては、“TETRAD(登録商標)”−X、“TETRAD(登録商標)”−C(以上、三菱ガス化学(株)製)などが挙げられる。
トリグリシジルアミノフェノール又はトリグリシジルアミノクレゾールの市販品としては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、“スミエポキシ(登録商標)”ELM120(以上、住友化学工業(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、“アラルダイド(登録商標)”MY0510、“アラルダイド(登録商標)”MY0600(以上、ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
かかる2官能アミン型エポキシ樹脂は、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、またはこれらのハロゲン置換体、アルキル置換体、水添体などが挙げられる。
ジグリシジルアニリンの市販品としては、GAN(日本化薬(株)製)、PxGAN(東レ・ファインケミカル(株)製)などが挙げられる。
ジグリシジルトルイジンの市販品としては、GOT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
本発明において、エポキシ樹脂[A]の総量100質量部中にアミン型エポキシ樹脂が20〜100質量部含まれることが好ましく、より好ましくは30〜100質量部の範囲である。アミン型エポキシ樹脂が、配合したエポキシ樹脂総量100質量部に対して20質量部未満であると、繊維強化複合材料としたときの耐熱性と圧縮強度が不足する場合がある。
本発明におけるエポキシ樹脂[A]は、グリシジルアミン型のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂や、エポキシ樹脂と熱硬化性樹脂の共重合体等を含んでも良い。エポキシ樹脂と共重合させて用いられる上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂組成物や化合物は、単独で用いてもよいし適宜配合して用いてもよい。
グリシジルアミン型のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び、ビスフェノール型エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAD型、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添体等が用いられる。これらの樹脂組成物や化合物は、単独で用いてもよいし適宜配合して用いてもよい。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”152、“jER(登録商標)”154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N−740、“エピクロン(登録商標)”N−770、“エピクロン(登録商標)”N−775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP7200、“エピクロン(登録商標)”HP7200L、“エピクロン(登録商標)”HP7200H(以上、DIC(株)製)、“Tactix(登録商標)”558(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製)、XD−1000−1L、XD−1000−2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ウレタンおよびイソシアネート変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するAER4152(旭化成イーマテリアルズ(株)製)やACR1348(旭電化(株)製)などが挙げられる。
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000H、“jER(登録商標)”YX4000、“jER(登録商標)”YL6616(以上、三菱化学(株)製)、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、ESF300(新日鐵住金化学(株)製)、“オンコート(登録商標)”EX−1010、“オンコート(登録商標)”EX−1011、“オンコート(登録商標)”EX−1012、“オンコート(登録商標)”EX−1020、“オンコート(登録商標)”EX−1030、“オンコート(登録商標)”EX−1040、“オンコート(登録商標)”EX−1050、“オンコート(登録商標)”EX−1051(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“エポトート(登録商標)”YD128(新日鐵住金化学(株)製)、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”828、“jER(登録商標)”834、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009、“jER(登録商標)”1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”830、“エピクロン(登録商標)”835(DIC(株)製)、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807、“jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4007P、“jER(登録商標)”4009P、“jER(登録商標)”4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF170、“エポトート(登録商標)”YDF2001(以上、新日鐵住金化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−1514(DIC(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂としては、“EPOMIK(登録商標)”R710、“EPOMIK(登録商標)”R1710(以上、(株)プリンテック製)などが挙げられる。
さらに、本発明において、樹脂硬化物の弾性率と伸度のバランスを向上させる意味で、1官能のエポキシ樹脂を用いることもできる。
1官能エポキシ樹脂としては、“デナコール(登録商標)”Ex−731(グリシジルフタルイミド、ナガセケムテックス(株)製)、OPP−G(o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、三光(株)製)、Ex−141(フェニルグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)、Ex−146(tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、熱可塑性樹脂[B]を混合、または、溶解させて用いられる。
本発明において、上記のエポキシ樹脂[A]に、熱可塑性樹脂[B]を組み合わせることで、耐熱性の低下を回避しつつ高い靭性が得られ、繊維強化複合材料のモードI層間靱性が大幅に向上する。
本発明の熱可塑性樹脂[B]は、常温で結晶状態もしくはガラス状態にあり、熱可塑性を有するポリマー材料である。
かかる熱可塑性樹脂[B]としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂[B]は、部分的に架橋構造を有していても差し支えなく、結晶性を有していても非晶性であってもよい。特に、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が、上記のエポキシ樹脂組成物に含まれるいずれかのエポキシ樹脂に溶解していることが好適である。
本発明の熱可塑性樹脂[B]の重量平均分子量は4000〜50000g/molの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10000〜40000g/mol、さらに好ましくは15000〜30000g/molである。かかる重量平均分子量が4000g/molより低いと、繊維強化複合材料のモードI層間靭性が不足する場合がある。また、50000g/molより高いと、エポキシ樹脂組成物に熱可塑性樹脂を溶解した際、エポキシ樹脂の粘度が高くなり混練が難しく、プリプレグ化が困難となる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度は150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、さらに好ましくは220℃以上である。かかる熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度が150℃未満であると、成形体が熱変形を起こしやすくなる場合がある。
本発明において、熱可塑性樹脂[B]はエポキシ樹脂組成物中に8〜40質量%含まれ、好ましくは12〜35質量%、さらに好ましくは20〜30質量%含まれる。8質量%未満となると、得られる繊維強化複合材料のモードI層間靭性が不足する。また、40質量%より多くなると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇し、熱硬化性樹脂組成物およびプリプレグの製造プロセス性や取り扱い性が不十分となり、また含浸性も悪化する。
かかる熱可塑性樹脂[B]としては、ポリカーボネート(ガラス転移温度:150℃)、ポリスルホン(ガラス転移温度:190℃)、ポリエーテルイミド(ガラス転移温度:215℃)、ポリエーテルスルホン(ガラス転移温度:225℃)などが挙げられる。
さらに、この熱可塑性樹脂[B]の末端官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、酸無水物などのものがカチオン重合性化合物と反応することができ、好ましく用いられる。水酸基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂を挙げることができる。また、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホンを挙げることができる。
具体的には、ポリカーボネートの市販品としては、“パンライト(登録商標)”K1300Y(帝人化成(株)製)などが挙げられる。
ポリスルホンの市販品としては、“UDEL(登録商標)”P−1700、“UDEL(登録商標)”P−3500(以上、帝人アモコ社製)、“Virantage(登録商標)”VW−30500RP(Solvay Advanced Polymers社製)などが挙げられる。
ポリエーテルイミドの市販品としては、“ウルテム(登録商標)”1000、“ウルテム(登録商標)”1010、“ウルテム(登録商標)”1040(以上、Solvay Advanced Polymers社製)などが挙げられる。
ポリエーテルスルホンの市販品としては、“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5200P、“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(以上、住友化学工業(株)製)、“Ultrason(登録商標)”E2020P SR、“Ultrason(登録商標)”E2021SR(以上、BASF社製)、“GAFONE(登録商標)”3600RP、“GAFONE(登録商標)”3000RP、“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(以上、Solvay Advanced Polymers社製)などが挙げられる。
本発明において、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の硬化剤であり、エポキシ基と反応し得る活性水素を有する化合物である。なお、ここで固形とは、常温(25℃)で流動性を有さず固形状であることを意味する。
本発明において、固形アミン硬化剤[C]のアミノ基活性水素当量は70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下である必要があり、好ましくは85(g/eq.)以上110(g/eq.)以下であることが好ましい。かかるアミノ基活性水素当量が70(g/eq.)未満であると、繊維強化複合材料のモードI層間靭性が不十分となる場合があり、またエポキシ樹脂組成物に配合する粉体量が少なくなり粘度が低下するため成形性も低下する。一方、150(g/eq.)を超える場合は、エポキシ樹脂組成物に配合する粉体量が増加して粘度が高くなるため、プリプレグ化が困難となる。
アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤の市販品としては、1−N,4−N−ビス(4−アミノフェニル)フェニレン−1,4−ジカルボキシアミド(4−APTP)(アミノ基活性水素当量:87)、4−アミノ−N−[4−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]フェニル]ベンズアミド(4−ABPA)(アミノ基活性水素当量:87)(以上、日本純良薬品(株)製)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(アミノ基活性水素当量:87)(JFEケミカル(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−DEA(アミノ基活性水素当量:78)、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(アミノ基活性水素当量:78)、“Lonzacure(登録商標)”M−DIPA(アミノ基活性水素当量:94)、“Lonzacure(登録商標)”M−CDEA(アミノ基活性水素当量:95)、“Lonzacure(登録商標)”M−CDEA gs(アミノ基活性水素当量:95)(以上、Lonza社製)、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)(アミノ基活性水素当量:92)、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン(アミノ基活性水素当量:104)(東京化成工業(株)製)が挙げられる。
中でも、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、または9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレンが好ましく用いられる。9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、または9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレンは、耐熱性とモードII層間靭性の良好な繊維強化複合材料を得られることから好ましく使用される。
本発明において、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]の融点は80℃以上330℃以下であることが好ましく、より好ましく100℃以上300℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上250℃以下である。かかる融点が80℃未満の場合、室温でプリプレグを保管している間に硬化反応が進行する場合があり、プリプレグの保存安定性が悪化する。一方、330℃を超える場合は、硬化剤がプリプレグの硬化温度で融解しにくくなるため、硬化反応が十分に進行せずに硬化不良となる場合がある。
アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]の添加量は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ基に対する、全硬化剤成分のアミノ基の活性水素の合計の当量比が0.7〜1.3であって、全硬化剤成分のアミノ基の活性水素のうち、30%以上をアミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]のアミノ基の活性水素とすることで、耐熱性および力学特性に優れた繊維強化複合材料が得られ、好ましい態様である。エポキシ樹脂組成物中に、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]の配合量が少ないと、エポキシ樹脂硬化物の靭性向上効果が小さく、得られる繊維強化複合材料のモードI層間靭性とモードII層間靭性の向上効果が小さいことがあり、配合量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりプリプレグ化が困難になる可能性がある。したがって、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]の配合量は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ基に対する、全硬化剤成分のアミノ基の活性水素の合計量の当量比が0.7〜1.3であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2であって、全硬化剤成分のアミノ基の活性水素のうち、30%以上をアミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]のアミノ基の活性水素とすることが好ましく、より好ましくは50%以上である。
本発明においては、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]以外の硬化剤を併用しても良い。アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]以外の硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン硬化剤、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体等が挙げられる。なかでも、耐熱性と力学特性に優れたエポキシ樹脂硬化物が得られることから、芳香族アミン硬化剤が好ましく用いられる。芳香族アミン硬化剤として、特にジアミノジフェニルスルホンをアミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]と併用することは、得られる繊維強化複合材料において高い耐熱性と引張強度、加えて圧縮強度を発現させたりすることができるため、好ましい態様である。
芳香族アミン硬化剤の市販品としては、4,4‘−DABAN、3,4’−DABAN(以上、日本純良薬品(株)製)、セイカキュアS(和歌山精化工業(株)製)、MDA−220(三井化学ポリウレタン(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(三菱化学(株)製)、および3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製)等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂とアミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]、またはアミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]以外の硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させたものを組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効な場合がある。
本発明におけるエポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子[D]は、次の(d1)〜(d3)の条件を満たす必要がある。
(d1)粒子径分布指数が1.0〜1.8である
(d2)粒子の真球度が85以上である
(d3)粒子のガラス転移温度が40〜300℃である
ここで、エポキシ樹脂に不溶であるとは、かかる樹脂粒子を分散したエポキシ樹脂を加熱硬化した際に、樹脂粒子がエポキシ樹脂中に実質的に溶解しないことを意味しており、例えば透過型電子顕微鏡を用い、エポキシ樹脂硬化物の中で、粒子が元のサイズから実質的に縮小することなく、粒子とマトリックス樹脂の間に明確な界面をもって観察できるものであることを指す。
また、本発明における熱可塑性樹脂粒子[D]は、粒子径分布指数が1.0〜1.8である必要があり、1.1〜1.5であることが好ましい。このような比較的狭い粒子径分布とすることで、かかる樹脂粒子を分散したエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせたプリプレグを積層し、加熱硬化して得られる繊維強化複合材料において、強化繊維層内に樹脂粒子が入り込むことなく、また一部の粗大な粒子の存在により層間厚みの過大な領域が発生することなく、均一な層間厚みを有し、安定したモードI層間靭性とモードII層間靭性を発現する繊維強化複合材料を得ることが出来る。かかる粒子径分布指数が1.8を上回る場合、一部の微細な樹脂粒子が強化繊維層内に入り込み、モードI層間靭性とモードII層間靭性および湿熱時圧縮強度の低下を招くと共に、層間厚みのムラ発生に起因して、これらの特性のばらつきの大きな材料となる。
かかる粒子径分布指数は、後述の方法で得られた粒子直径の値を、下記数値変換式に基づき、決定されるものである。
Figure 2016147925
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
また、本発明における熱可塑性樹脂粒子[D]は、真球度が85以上である必要があり、92以上であることが好ましく、96以上であることがより好ましく、最も好ましくは98以上である。このような高い真球度とすることで、かかる熱可塑性樹脂粒子を分散したエポキシ樹脂組成物の粘度を低く抑えることが出来、その分、熱可塑性樹脂粒子の配合量を増やすことが可能となるため、モードI層間靭性とモードII層間靭性が向上する。かかる真球度が85に満たない場合、エポキシ樹脂組成物の粘度上昇により樹脂粒子の配合量が制限され、さらにモードI層間靭性とモードII層間靭性の不十分な材料となる。
かかる真球度は、走査型電子顕微鏡にて、粒子を観察し、短径と長径を測定し、任意粒子30個の平均より、下記数値変換式に従い算出されるものである。
Figure 2016147925
また、本発明における熱可塑性樹脂粒子[D]は、ガラス転移温度が40〜300℃の範囲にある必要があり、80〜220℃の範囲にあることが好ましく、120〜160℃の範囲にあることがより好ましい。このような比較的高いガラス転移温度とすることで、加熱硬化の際に樹脂粒子の変形が起こらず、安定した層間厚みが形成され、モードI層間靭性とモードII層間靭性に優れた繊維強化複合材料を得ることが可能となる。かかるガラス転移温度が40℃に満たない場合、湿熱時圧縮強度の不十分な繊維強化複合材料となるとともに、室温保管時の安定性を確保することが出来ない場合がある。一方、かかるガラス転移温度が300℃を上回る場合、樹脂粒子自体の靱性が不足する傾向があるとともに、樹脂粒子とマトリックス樹脂の界面接着性が不十分となり、層間靭性が不十分な繊維強化複合材料となる。
かかるガラス転移温度は、示差走査熱量測定法(DSC法)を用いて、30℃から、予測されるガラス転移温度よりも30℃高い温度以上まで、昇温速度20℃/分の昇温条件で昇温し、1分間保持した後、20℃/分の降温条件で0℃まで一旦冷却し、1分間保持した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観察されるガラス転移温度のことである。
本発明における熱可塑性樹脂粒子[D]は、平均粒子径が5〜50μmの範囲にあることが好ましく、10〜30μmの範囲にあることがより好ましい。平均粒子径がこのような範囲にあることで、かかる樹脂粒子を分散したエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせたプリプレグを積層し、加熱硬化して得られる繊維強化複合材料において、強化繊維層内に樹脂粒子が入り込むことなく、また粗大な粒子の存在により層間厚みの過大な領域が発生することなく、均一な層間厚みを有する繊維強化複合材料を得ることが出来、その結果、モードI層間靭性とモードII層間靭性が安定して高いものとなる。
本発明における熱可塑性樹脂粒子[D]としては、具体的には、ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、シリコーンおよびこれらの共重合体などが挙げられる。上述した樹脂は1種以上で用いることができる。
これらの中で、ポリアミドが伸度、靭性、およびマトリックス樹脂との接着性が高いことから好ましく用いられる。ポリアミドとしては、3員環以上のラクタム、重合可能なアミノカルボン酸、二塩基酸とジアミンまたはそれらの塩、あるいはこれらの混合物の重縮合によって得られるポリアミドが挙げられる。
ガラス転移温度が40℃〜300℃の範囲にあるポリアミドの例としては、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリノナンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリ−m−キシレンアジパミド(ナイロンMXD)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体(例示するならば、“グリルアミド(登録商標)”TR55、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、“グリルアミド(登録商標)”TR90、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体と3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体との混合物(例示するならば、“グリルアミド(登録商標)”TR70LX、エムザベルケ社製)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、デグサ社製)などが挙げられる。
中でも、繊維強化複合材料とした際の耐衝撃性、モードI層間靭性とモードII層間靭性に加えて、耐湿熱性、耐溶剤性にも優れた繊維強化複合材料が得られる点で、一般式(1)の化学構造を含むポリアミドであることが好ましい。
Figure 2016147925
(式中R、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、もしくはハロゲン元素を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。式中Rは、炭素数1から20のメチレン基、もしくはフェニレン基を表す)。
このようなポリアミドとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体(例示するならば、“グリルアミド(登録商標)”TR55、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、“グリルアミド(登録商標)”TR90、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体と3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体との混合物(例示するならば、“グリルアミド(登録商標)”TR70LX、エムザベルケ社製)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、デグサ社製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、エポキシ樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂、あるいはシリカゲル、カーボンブラック、クレー、カーボンナノチューブ、金属粉体といった無機フィラー等を配合することができる。
本発明のプリプレグは、上記繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させてなるものである。本発明のプリプレグに用いられる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維などを用いることができる。これらの繊維を、2種類以上混合して用いても構わない。強化繊維の形態や配列については限定されず、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ、織物、ニット、不織布、マットおよび組紐などの繊維構造物が用いられる。
特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、炭素繊維を好適に用いることができる。
本発明で好ましく用いられる炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、層間靭性や耐衝撃性の点から高くとも400GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaの炭素繊維が用いられる。また、引張伸度も重要な要素であり、1.7〜2.3%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも230GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)などが挙げられる。
炭素繊維の形態や配列については、一方向に引き揃えた長繊維や織物等から適宜選択できるが、軽量で耐久性がより高い水準にある炭素繊維強化複合材料を得るためには、炭素繊維が、一方向に引き揃えた長繊維(繊維束)や織物等連続繊維の形態であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸したものであることが好ましく、そのプリプレグの炭素繊維質量分率は好ましくは40〜90質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。炭素繊維質量分率が低すぎると、得られる複合材料の質量が過大となり、比強度および比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が損なわれることがあり、また、炭素繊維質量分率が高すぎると、樹脂組成物の含浸不良が生じ、得られる複合材料がボイドの多いものとなり易く、その力学特性が大きく低下することがある。
本発明のプリプレグは、熱可塑性樹脂粒子の全量100質量%に対して90〜100質量%が、プリプレグ表面からプリプレグの厚さの20%の深さの範囲内に存在することが好ましい。熱可塑性樹脂粒子の90%以上がプリプレグ表面からプリプレグの厚さの20%の深さの範囲内に存在することで、得られる繊維強化複合材料において、熱可塑性樹脂粒子がプリプレグ層内に入ることなく層間に局在化し、高い層間靭性を発現させることができる。
このような構造をとることにより、プリプレグを積層してエポキシ樹脂を硬化させて炭素繊維強化複合材料とした場合、層間が形成され易く、それにより、複合材料層相互の接着性や密着性が高められ、得られる炭素繊維強化複合材料に高度の層間靭性や耐衝撃性が発現されるようになる。
粒子の存在率は、例えば、下記の方法で評価することができる。すなわち、プリプレグを2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板の間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に硬化温度まで温度を上昇させてゲル化、硬化させて板状のプリプレグ硬化物を作製する。このプリプレグ硬化物の両面に、プリプレグ硬化物の表面から、厚さの20%深さ位置にプリプレグの表面と平行な線を2本引く。次に、プリプレグの表面と上記線との間に存在する粒子の合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する粒子の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を計算する。ここで、粒子の合計面積は、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から換算して求める。樹脂中に分散する粒子の写真撮影後の判別が困難な場合は、粒子を染色する手段も採用できる。
本発明のプリプレグは、特開平1−26651号公報、特開昭63−170427号公報または特開昭63−170428号公報に開示されているような方法を応用して製造することができる。具体的には、本発明のプリプレグは、炭素繊維とマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂からなる一次プリプレグの表面に、熱可塑性樹脂粒子を粒子の形態のまま塗布する方法、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂中にこれらの粒子を均一に混合した混合物を調整し、この混合物を炭素繊維に含浸させる過程において強化繊維でこれら粒子の侵入を遮断せしめてプリプレグの表面部分に粒子を局在化させる方法、または予めエポキシ樹脂を炭素繊維に含浸させて一次プリプレグを作製しておき、一次プリプレグ表面に、これらの粒子を高濃度で含有する熱硬化性樹脂のフィルムを貼付する方法等で製造することができる。熱可塑性樹脂粒子が、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に均一に存在することで、層間靭性の高い繊維複合材料用のプリプレグが得られる。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維に含浸させるウェット法と、エポキシ樹脂組成物を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法等によって好適に製造することができる。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、またはエポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に強化繊維の両側または片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することによりエポキシ樹脂組成物を転写含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に残留する溶媒が実質的に皆無となるため好ましい態様である。
また、本発明の繊維強化複合材料は、このような方法により製造された複数のプリプレグを積層後、得られた積層体に熱および圧力を付与しながらエポキシ樹脂を加熱硬化させる方法等により製造することができる。
熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が使用される。特にスポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法と内圧成形法が好ましく用いられる。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフトや釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中でエポキシ樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状体を得る方法である。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いでその内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、管状体を成形する方法である。この内圧成形法は、ゴルフシャフト、バット、およびテニスやバトミントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際に、特に好ましく用いられる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを所定の形態で積層し、加圧・加熱してエポキシ樹脂を硬化させる方法を一例として製造することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、前記したエポキシ樹脂組成物を用いて、プリプレグを経由しない方法によっても製造することができる。
このような方法としては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後加熱硬化する方法、即ち、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・フィルム・インフュージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法およびレジン・トランスファー・モールディング法等が用いられる。
本発明の繊維強化複合材料は、その断面において観察される熱可塑性樹脂粒子[D]の真球度が85〜100の範囲にあることが好ましく、96〜100の範囲にあることがより好ましい。熱可塑性樹脂粒子[D]の真球度が維持されることにより、成形条件によらず安定した層間厚みが得られ、モードI層間靭性とモードII層間靭性を始めとする力学特性が安定して発現するものとなる。かかる真球度は、例えば以下の手順で測定することができる。繊維強化複合材料を炭素繊維に直交する方向から切断し、その断面を研磨後、光学顕微鏡で200倍以上に拡大し写真撮影する。この写真から[D]粒子の短径と長径を測定し、任意の30個の平均より、下記数値変換式に従い算出されるものである。
Figure 2016147925
以下、実施例によって、本発明のプリプレグと繊維強化複合材料について、より具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料、プリプレグおよび繊維強化複合材料の作製方法および評価法を、次に示す。実施例のプリプレグの作製環境および評価は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。
<炭素繊維(強化繊維)>
・“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31E(フィラメント数24,000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率294GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)。
<エポキシ樹脂[A]>
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、住友化学(株)製)
・“アラルダイド(登録商標)”MY0510(トリグリシジル−p−アミノフェノール、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“アラルダイド(登録商標)”MY0600(トリグリシジル−m−アミノフェノール、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・GAN(N,N−ジグリシジルアニリン、日本化薬(株)製)
・“EPON(登録商標)”825(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、Momentive Specialty Chemicals(株)製)
・“EPICLON(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)。
<熱可塑性樹脂[B]>
・“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(ポリエーテルスルホン、住友化学工業(株)製、重量平均分子量:47000)
・“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(ポリエーテルスルホン、Solvay Advanced Polymers(株)製、重量平均分子量:21000)。
<アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]>
・“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン、ロンザジャパン(株)製)アミノ基活性水素当量:78
・4−APTP(1−N,4−N−ビス(4−アミノフェニル)フェニレン−1,4−ジカルボキシアミド、日本純良薬品(株)製)アミノ基活性水素当量:87(g/eq.)
・4−ABPA(4−アミノ−N−[4−[(4−アミノベンゾイル)アミノ]フェニル]ベンズアミド、日本純良薬品(株)製)アミノ基活性水素当量:87(g/eq.)
・9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(JFEケミカル(株)製)アミノ基活性水素当量:87(g/eq.)
・4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル(東京化成工業(株)製)アミノ基活性水素当量:92
・“Lonzacure(登録商標)”M−CDEA(4,4’‐メチレンビス(3‐クロロ‐2,6‐ジエチルアニリン)、ロンザジャパン(株)製)アミノ基活性水素当量:95(g/eq.)
・9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン(東京化成工業(株)製)アミノ基活性水素当量:104(g/eq.)。
<アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]以外の硬化剤>
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)アミノ基活性水素当量:62(g/eq.)
・セイカキュアS(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業(株)製)アミノ基活性水素当量:62(g/eq.)
・DICY7(ジシアンジアミド、三菱化学(株))。
<熱可塑性樹脂粒子[D]>
・粒子1(SP−10、東レ(株)製、平均粒子径10μm、粒子径分布指数1.5、真球度96、ガラス転移温度55℃)。
・粒子2(“トロガミド(登録商標)”CX7323を原料として作製した、平均粒子径25μm、粒子径分布指数1.3、真球度96、ガラス転移温度137℃の粒子)
(粒子2の製造方法:国際公開2009/142231号パンフレットを参考とした。)
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、ポリマーAとしてポリアミド(重量平均分子量 17,000、デグザ社製 “トロガミド(登録商標)”CX7323)を39g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン 283g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール 28g(日本合成化学工業株式会社製 “ゴーセノール(登録商標)”GM−14 重量平均分子量 29,000、酢酸ナトリウム含量0.23質量%、SP値32.8(J/cm1/2)を加え、99体積%以上の窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで2時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。約200gのイオン交換水を加えた時点で、系が白色に変化した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、灰色に着色した固体を37g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子形状であり、平均粒子径25μm、粒子径分布指数1.3のポリアミド微粒子であった。
・粒子3(“トロガミド(登録商標)”CX7323を原料として作製した、平均粒子径18μm、粒子径分布指数1.2、真球度98、ガラス転移温度137℃の粒子)
(粒子3の製造方法:国際公開2009/142231号パンフレットを参考とした。)
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、ポリマーAとしてポリアミド(重量平均分子量 17,000、デグザ社製 “トロガミド(登録商標)”CX7323)を37g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン 285g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール 28g(日本合成化学工業株式会社製 “ゴーセノール(登録商標)”GM−14 重量平均分子量 29,000、酢酸ナトリウム含量0.23質量%、SP値32.8(J/cm1/2)を加え、99体積%以上の窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで2時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。約200gのイオン交換水を加えた時点で、系が白色に変化した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、灰色に着色した固体を36g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子形状であり、平均粒子径18μm、粒子径分布指数1.2のポリアミド微粒子であった。
・粒子4(“トロガミド(登録商標)”CX7323を原料として作製した、平均粒子径8μm、粒子径分布指数1.1、真球度98、ガラス転移温度137℃の粒子)
(粒子4の製造方法:国際公開2009/142231号パンフレットを参考とした。)
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、ポリマーAとしてポリアミド(重量平均分子量 17,000、デグザ社製 “トロガミド(登録商標)”CX7323)を35g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン 280g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール 35g(日本合成化学工業株式会社製 “ゴーセノール(登録商標)”GM−14 重量平均分子量 29,000、酢酸ナトリウム含量0.23質量%、SP値32.8(J/cm1/2)を加え、99体積%以上の窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで2時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。約200gのイオン交換水を加えた時点で、系が白色に変化した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、灰色に着色した固体を34g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子形状であり、平均粒子径8μm、粒子径分布指数1.1のポリアミド微粒子であった。
・粒子5(“グリルアミド(登録商標)”−TR90を原料として作製した、平均粒子径10μm、粒子径分布指数1.5、真球度96、ガラス転移温度152℃の粒子)
(粒子5の製造方法)
4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンと1,12−ドデカンジカルボン酸を必須構成成分とするポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド(登録商標)”−TR90)22gをクロロホルム225gとメタノール75gの混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に該溶液を450rpmで攪拌しながらポリビニルアルコール(関東化学(株)製)を6質量%溶解させた水溶液185gを徐々に滴下し、該溶液を分散媒中に粒子分散させ、溶媒を除去したのちに白色固体を21g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子形状であり、平均粒子径10μm、粒子径分布指数1.5のポリアミド微粒子であった。
・粒子6(“スミカエクセル(登録商標)”5003Pを原料として作製した、平均粒子径19μm、粒子径分布指数1.1、真球度98、ガラス転移温度210℃の粒子)
(粒子6の製造方法)
100mlの4口フラスコの中に、ポリマーAとしてポリエーテルスルホン2.5g(重量平均分子量67,000 住友化学工業(株)製“スミカエクセル(登録商標)”5003P)、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン 45g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール 2.5g(日本合成化学工業株式会社製“ゴーセノール(登録商標)”GL−05、重量平均分子量 10,600、SP値32.8(J/cm1/2)を加え、80℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、450rpmで攪拌しながら、貧溶媒として50gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、0.41g/分のスピードで滴下した。約12gのイオン交換水を加えた時点で、系が白色に変化した。全量の水を入れ終わった後に、30分間攪拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、白色固体を2.0g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子形状であり、平均粒子径19μm、粒子径分布指数1.1のポリエーテルスルホン微粒子であった。
<その他の粒子>
・粒子7(“トロガミド(登録商標)”CX7323を原料として作製した、平均粒子径12μm、粒子径分布指数2.6、真球度72、ガラス転移温度137℃の粒子)
(粒子7の製造方法)
ポリアミド(重量平均分子量17,000、デグザ社製“トロガミド(登録商標)”CX7323)を凍結粉砕した。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、異方性の微粒子形状であり、平均粒子径12μm、粒子径分布指数2.6のポリアミド微粒子であった。
・粒子8(“グリルアミド(登録商標)”−TR55を原料として作製した、平均粒子径13μm、粒子径分布指数2.1、真球度96、ガラス転移温度167℃)。
(粒子8の製造方法)
透明ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”−TR55、エムザベルケ社製)30g、エポキシ樹脂(商品名“エピコート(登録商標)”828、油化シェル(株)社製)2.5g、および硬化剤(商品名“トーマイド(登録商標)”#296、富士化成工業(株)社製)0.8gを、クロロホルム100gとメタノール35gの混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、良く撹拌して1000gのn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、白色固体を28g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子形状であり、平均粒子径13μm、粒子径分布指数2.1のエポキシ変性ポリアミド微粒子であった。
・粒子9(“Orgasol(登録商標)”2002 D Nat 1、アルケマ(株)社製、平均粒子径20μm、粒子径分布指数1.3、真球度80、ガラス転移温度40℃)。
・粒子10(“ダイミックビーズ(登録商標)”UCN−5150D、大日精化工業(株)製、平均粒子径15μm、粒子径分布指数1.3、真球度96、ガラス転移温度:−27℃)。
<その他の成分>
・DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、硬化促進剤、保土ヶ谷化学工業(株)製)。
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
ニーダー中にエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂を所定量加え、混練しつつ、160℃まで昇温し、160℃、1時間混練することで、透明な粘調液を得た。混練しつつ80℃まで降温させた後、硬化剤と熱可塑性樹脂粒子を所定量加え、さらに混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。
(2)プリプレグの作製
エポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31Eに、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を炭素繊維に含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m、マトリックス樹脂の質量分率が35.5%の一方向プリプレグを得た。その際、熱可塑性樹脂粒子を配合したエポキシ樹脂組成物を使用する場合は以下の2段含浸法を適用し、熱可塑性樹脂粒子が表層に高度に局在化したプリプレグを作製した。
まず、熱可塑性樹脂粒子を含まない1次プリプレグを作製した。表1および2に記載の原料成分の内、エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子を含まないエポキシ樹脂組成物を上記(1)の手順で調製した。この1次プリプレグ用エポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、通常の60質量%の目付となる30g/mの1次プリプレグ用樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31Eに、この1次プリプレグ用樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね合せてヒートロールを用い、温度100℃、気圧1気圧で加熱加圧しながら、樹脂を炭素繊維に含浸させ、1次プリプレグを得た。
さらに、2段含浸用樹脂フィルムを作製するために、ニーダーを用いて、表1および2に記載の原料成分の内、エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子を記載量の2.5倍としたエポキシ樹脂組成物を上記(1)の手順で調製した。この2段含浸用エポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、通常の40質量%の目付となる20g/mの2段含浸用樹脂フィルムを作製した。これを1次プリプレグの両面から重ね合せてヒートロールを用い、温度80℃、気圧1気圧で加熱加圧することで、熱可塑性樹脂粒子が表層に高度に局在化したプリプレグを得た。
(3)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定
JIS K7086(1993)に従い、次の(a)〜(e)の操作によりGIC試験用複合材料製平板を作製した。
(a)(2)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて20ply積層した。ただし、積層中央面(10ply目と11ply目の間)に、繊維配列方向と直角に、幅40mm、厚み12.5μmのフッ素樹脂製フィルムをはさんだ。
(b)積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆い、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形し、一方向繊維強化複合材料を成形した。
(c)(b)で得た一方向繊維強化複合材料を、幅20mm、長さ195mmにカットした。繊維方向は、サンプルの長さ側と平行になるようにカットした。
(d)JIS K7086(1993)に従い、ピン負荷用ブロック(長さ25mm、アルミ製)を試験片端(フィルムをはさんだ側)に接着した。
(e)亀裂進展を観察しやすくするため、試験片の両側面に白色塗料を塗った。
作製した複合材料製平板を用いて、JIS K7086(1993)附属書1に従い、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて試験を行った。クロスヘッドスピードは、亀裂進展が20mmに到達するまでは0.5mm/分、20mm到達後は1mm/分とした。JIS K7086(1993)にしたがって、荷重、変位、および、亀裂長さから、亀裂進展初期の限界荷重のモードI層間破壊靭性値(亀裂進展初期のGIC)および亀裂進展過程のモードI層間破壊靭性値を算出した。亀裂進展初期のGICと亀裂進展量10mmから60mmにおける5点以上の測定値、計6点以上の測定値の平均をGICとして比較した。
(4)モードII層間靭性(GIIC)試験用複合材料製平板の作製とGIIC測定
JIS K7086(1993)に従い、次の(a)〜(d)の操作によりGIIC試験用複合材料製平板を作製した。
(a)(2)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて20ply積層した。ただし、積層中央面(10ply目と11ply目の間)に、繊維配列方向と直角に、幅40mm、厚み12.5μmのフッ素樹脂製フィルムをはさんだ。
(b)積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆い、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形し、一方向繊維強化複合材料を成形した。
(c)(b)で得た一方向繊維強化複合材料を、幅20mm、長さ195mmにカットした。繊維方向は、サンプルの長さ側と平行になるようにカットした。
(d)亀裂進展を観察しやすくするため、試験片の両側面に白色塗料を塗った。
作製した複合材料製平板を用いて、JIS K7086(1993)附属書2に従い、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて試験を行った。クロスヘッドスピードは、0.5mm/分とした。JIS K7086(1993)にしたがって、荷重、変位、および、初期亀裂長さから、亀裂進展初期のモードII層間破壊靭性値を算出した。
(5)プリプレグのタック性測定
プリプレグを幅100mm、長さ200mmにカットし、平らなアルミ板に両面テープで貼り付けた。このプリプレグを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間放置したもののプリプレグ表面に18mm×18mmのガラスを0.4kgの荷重で5秒間押しつけた後、30mm/分の速度で引き上げるときの剥離力(kgf)を測定し、プリプレグのタック性の指標とした。
(実施例1)
混練装置で、70質量部の“アラルダイド(登録商標)”MY0510(エポキシ樹脂[A])、30質量部の“EPICLON(登録商標)”830(エポキシ樹脂[A])を混練した後、56質量部の“Virantage(登録商標)”VW−10700RP(熱可塑性樹脂[B])を160℃で溶解混練した後、エポキシ樹脂組成物を80℃に降温して68質量部の“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C])、33質量部の粒子3(熱可塑性樹脂粒子[D])を混練し、エポキシ樹脂組成物を作製した。表1に、組成と割合を示す(表1中、数字は質量部を表す)。得られたエポキシ樹脂組成物を用い、上記(2)の手順でプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用い、(3)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定、(4)モードII層間靭性(GIIC)試験用複合材料製平板の作製とGIIC測定、(5)プリプレグのタック性測定を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2〜14、比較例1〜8)
エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂粒子およびその他の成分、その他の粒子の配合量を、表1〜3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物とプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用い、(3)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定、(4)モードII層間靭性(GIIC)試験用複合材料製平板の作製とGIIC測定、(5)プリプレグのタック性測定を実施した。結果を、実施例2〜7については表1に、実施例8〜14については表2に、比較例1〜8については表3に示す。
(比較例9)
エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤を、表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物とプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用い、(3)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定、(4)モードII層間靭性(GIIC)試験用複合材料製平板の作製とGIIC測定、(5)プリプレグのタック性測定を実施した。結果を、表3に示す。
Figure 2016147925
Figure 2016147925
Figure 2016147925
実施例1〜14と、比較例1〜9の比較から、本発明にかかる繊維強化複合材料は層間靭性GICとGIICに優れ、さらにタック性も低く成形性に優れていることが判る。
実施例1〜14と、比較例1と2の比較から、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]が配合されているが、熱可塑性樹脂粒子の粒子径分布指数が(d1)を満たさない場合、繊維強化複合材料の層間厚みが不均一となり、繊維強化複合材料の層間靭性GIICが低下し、さらにタック性も大きくなり成形性が劣ることが判る。
実施例1〜14と、比較例3の比較から、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]が配合されているが、熱可塑性樹脂粒子の真球度が(d2)を満たさない場合、繊維強化複合材料の層間厚みが狭いものとなり、繊維強化複合材料の層間靭性GIICが低下する。
実施例1〜14と、比較例4の比較から、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]が配合されているが、熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度が(d3)を満たさない場合、繊維強化複合材料の層間靭性GICが低下することが判る。
実施例1〜14と、比較例5の比較から、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]が配合されているが、熱可塑性樹脂粒子の粒子径分布指数と真球度が(d1)と(d2)を満たさない場合、繊維強化複合材料の層間厚みが不均一となり、繊維強化複合材料の層間靭性GICが低下することが判る。
実施例1〜14と、比較例6の比較から、エポキシ樹脂[A]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]、熱可塑性樹脂粒子[D]が配合されているが、熱可塑性樹脂[B]が配合されていない場合、繊維強化複合材料の層間靭性GICが低下し、さらにタック性も大きくなり成形性が劣ることが判る。
実施例1〜14と、比較例7と8の比較から、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、熱可塑性樹脂粒子[D]が配合されているが、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]が配合されていない場合、繊維強化複合材料の層間靭性GICが低下し、さらにタック性も大きくなり成形性が劣ることが判る。
実施例1〜14と、比較例9の比較から、エポキシ樹脂[A]、熱可塑性樹脂[B]、アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤[C]が配合されているが、熱可塑性樹脂粒子[D]が配合されていない場合、繊維強化複合材料に層間が出来ず、繊維強化複合材料の層間靭性GICとGIICが低下し、さらにタック性も大きくなり成形性が低下することが判る。
本発明によれば、モードI層間靭性とモードII層間靭性、および成形性を兼ね備えたエポキシ樹脂組成物が得られる。さらには、かかるエポキシ樹脂組成物により得られる繊維強化複合材料は、圧縮強度と層間靱性などの機械強度に優れるため特に構造材料に好適に用いられる。例えば、航空宇宙用途では主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。また、一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、各種タービン、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。さらにスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。

Claims (12)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]と強化繊維からなるプリプレグ。
    [A]エポキシ樹脂
    [B]熱可塑性樹脂
    [C]アミノ基活性水素当量が70(g/eq.)以上150(g/eq.)以下の固形アミン硬化剤
    [D]次の(d1)〜(d3)の条件を満たすエポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂粒子
    (d1)粒子径分布指数が1.0〜1.8である
    (d2)粒子の真球度が85以上である
    (d3)粒子のガラス転移温度が40〜300℃である
  2. 固形アミン硬化剤[C]の融点が80℃以上330℃以下である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. エポキシ樹脂[A]がアミン型エポキシ樹脂を含む、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. エポキシ樹脂[A]がアミン型エポキシ樹脂を20〜100質量部含む、請求項3に記載のプリプレグ。
  5. 熱可塑性樹脂[B]のガラス転移温度が150℃以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 熱可塑性樹脂[B]の重量平均分子量が4000〜50000g/molの範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載のプリプレグ
  7. 熱可塑性樹脂粒子[D]が平均粒径5〜50μmである、請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 熱可塑性樹脂粒子[D]が一般式(1)の化学構造を含むポリアミド粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグ。
    Figure 2016147925
    (式中R、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、もしくはハロゲン元素を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。式中Rは、炭素数1から20のメチレン基、もしくはフェニレン基を表す。)
  9. 熱可塑性樹脂粒子[D]の90%以上がプリプレグ表面からプリプレグの厚さの20%の深さの範囲内に存在する、請求項1〜8のいずれかに記載のプリプレグ。
  10. 強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜9のいずれかに記載のプリプレグ。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
  12. 繊維強化複合材料の断面の、光学顕微鏡により観察される粒子[D]の真球度が85〜100の範囲にある、請求項11に記載の繊維強化複合材料。
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