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JP2016120486A - 分離膜のスライム抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トリハロメタン前駆物質を含有する給水または洗浄水を用いる膜分離装置において、十分なスライム抑制効果を有しながら、透過水中のトリハロメタン含有量を低減することが可能な分離膜のスライム抑制方法を提供する。【解決手段】トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素系酸化剤、もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物を存在させる;臭素系酸化剤、もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物とを存在させる;または、臭素系酸化剤、もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物を存在させる、分離膜のスライム抑制方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、逆浸透膜(RO膜)等の分離膜のスライム抑制方法に関する。
逆浸透膜(RO膜)等の分離膜のスライム抑制方法としては、各種のスライム抑制剤を使用する方法が知られている。次亜塩素酸等の塩素系酸化剤は代表的なスライム抑制剤であり、系内のスライム抑制目的で通常は分離膜の前段に添加される。塩素系酸化剤は分離膜を劣化させる可能性が高いため、一般的には分離膜の直前で塩素系酸化剤を還元分解するか、間欠的に塩素系酸化剤を分離膜に流入させることで運用されている(特許文献1参照)。
特開平9−057076号公報
塩素系酸化剤は、水中にフミン質等のトリハロメタン前駆物質が存在する場合、それらと反応し、クロロホルム等のトリハロメタンを生成することが知られている。ここで、これらの塩素系酸化剤によって生成されるトリハロメタンは、分離膜で排除され難く、分離膜の透過水中へ漏洩しやすいという問題があることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
本発明の目的は、トリハロメタン前駆物質を含有する給水または洗浄水を用いる膜分離装置において、十分なスライム抑制効果を有しながら、透過水中のトリハロメタン含有量を低減することが可能な分離膜のスライム抑制方法を提供することにある。
本発明は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物を存在させる分離膜のスライム抑制方法である。
本発明は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を存在させる分離膜のスライム抑制方法である。
本発明は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物を存在させる分離膜のスライム抑制方法である。
本発明は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素とスルファミン酸化合物の混合物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させる分離膜のスライム抑制方法である。
前記分離膜のスライム抑制方法において、前記臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物が、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程を含む方法により得られたものであることが好ましい。
前記分離膜のスライム抑制方法において、前記給水または洗浄水のトリハロメタン前駆物質の濃度が、トリハロメタン生成能として0.001mg/L以上であることが好ましい。
前記分離膜のスライム抑制方法において、前記分離膜がポリアミド系高分子膜であることが好ましい。
前記分離膜のスライム抑制方法において、前記トリハロメタン前駆物質がフミン質を含むことが好ましい。
本発明では、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素系酸化剤、もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物を存在させることにより;臭素系酸化剤、もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物とを存在させることにより;臭素系酸化剤、もしくは臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物を存在させることにより;臭素とスルファミン酸化合物の混合物を存在させることにより;または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させることにより、十分なスライム抑制効果を有しながら、透過水中のトリハロメタン含有量を低減することが可能となる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<分離膜のスライム抑制方法>
本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、スライム抑制剤として「臭素系酸化剤」を存在させる方法、または次亜臭素酸等の「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」を存在させる方法である。
本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、スライム抑制剤として「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」とを存在させる方法、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と「スルファミン酸化合物」とを存在させる方法である。これにより、給水または洗浄水中で、次亜臭素酸安定化組成物が生成すると考えられる。
また、本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、スライム抑制剤として「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を存在させる方法、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を存在させる方法である。
具体的には本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、例えば、「臭素」、「塩化臭素」、「次亜臭素酸」または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物」を存在させる方法である。
本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、例えば、「臭素」、「塩化臭素」、「次亜臭素酸」または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物」と、「スルファミン酸化合物」と、を存在させる方法である。
また、本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、例えば、「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、「塩化臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を存在させる方法である。なお、「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」として、どのような化合物が生じているかは明らかではないが、次亜臭素酸安定化化合物である「ブロモスルファミン酸」が生成していると考えられる。
これらの方法により、トリハロメタン前駆物質を含有する給水または洗浄水を用いる膜分離装置における分離膜のスライム発生を抑制しつつ、透過水中のトリハロメタン含有量を低減することができる。また、分離膜の性能をほとんど劣化させることなく、微生物による膜汚染を確実に抑制することができる。本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法により、高いスライム抑制効果を有しながら、膜性能、後段水質への影響を最小限に抑えたスライム抑制処理が可能となる。
臭素系酸化剤および次亜臭素酸安定化組成物も塩素系酸化剤と同様に、トリハロメタン前駆物質と反応し、トリハロメタンを生成するが、臭素系酸化剤および次亜臭素酸安定化組成物によって生成されるトリハロメタンはブロモホルム等の臭素系トリハロメタンが主であり、塩素系酸化剤により生成されるクロロホルム等の塩素系トリハロメタンよりも分離膜で排除され易く、分離膜の透過水中のトリハロメタンが大幅に低減されると考えられる。臭素系トリハロメタンの分離膜での排除率が高い理由としては、詳細は不明であるが、臭素系トリハロメタンが塩素系トリハロメタンと比較して、相対的に分子量が大きいこと等が推測される。
このように、本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、次亜塩素酸等の塩素系酸化剤と同等以上のスライム抑制効果を発揮するにも関わらず、塩素系酸化剤と比較すると、生成する臭素系トリハロメタンの分離膜での排除率が著しく高いため、分離膜の透過水中のトリハロメタンを大幅に低減できる。このため、本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法で用いられるスライム抑制剤は分離膜用スライム抑制剤としては好適である。
本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法のうち、「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」とを存在させる方法、「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と「スルファミン酸化合物」とを存在させる方法、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を存在させる方法、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を存在させる方法は、分離膜への劣化影響が著しく低く、分離膜に直接流入させてスライム抑制をすることができる。このため、これらのスライム抑制方法で用いられるスライム抑制剤は分離膜用スライム抑制剤としてはより好適である。
本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法のうち、「臭素系酸化剤」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」が、臭素である場合、塩素系酸化剤が存在しないため、分離膜での排除率の低い塩素系トリハロメタンの生成量も低くなり、分離膜用スライム抑制剤としてはさらに好適である。塩素系酸化剤を含む場合は、塩素酸の生成が懸念される。
トリハロメタンは、メタンの3つの水素原子がハロゲンで置換されたものを指すが、例えば、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタンおよびブロモホルム等が挙げられる。トリハロメタン前駆物質は、トリハロメタンの前駆体となる物質であればよく特に制限はないが、例えば、1,3−ジケトン構造を有する化合物、1,3−ジヒドロキシベンゼン構造を有する化合物等が挙げられる。トリハロメタン前駆物質の具体例としては、例えば、フミン酸やフルボ酸を含むフミン質等が挙げられる。ここで、フミン質(腐植物質)は、植物の葉や茎等の部分が腐植してできた有機成分であり、フミン質の中で酸により沈殿する分画をフミン酸、沈殿しない分画をフルボ酸と呼ぶ。
トリハロメタン前駆物質は、トリハロメタン生成能(THMFP)(mg/L)として、「特定水道利水障害防止のための水道水源域の水質の保全に関する特別法」に基づいた測定方法で測定することができる。具体的には、試料をpH7.0、温度20℃、反応時間24時間、24時間後の遊離残留塩素濃度が1〜2mg/Lとなるように次亜塩素酸ナトリウムを添加した条件で、生成したトリハロメタン生成量をパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による一斉分析法で測定して、求める方法である。また、トリハロメタン前駆物質は、TOC計等でも測定することができる。
トリハロメタン前駆物質がトリハロメタン生成能(THMFP)(mg/L)として、0.001mg/L以上存在するとトリハロメタンが生成し易いため、膜分離装置への給水または洗浄水のトリハロメタン生成能が0.001mg/L以上、好ましくは0.01mg/L以上、より好ましくは0.02mg/L以上であると、本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法がより効果を発揮する。膜分離装置への給水または洗浄水のトリハロメタン生成能の上限には特に制限はないが、例えば、1mg/L以下である。
また、トリハロメタン前駆物質がTOCとして0.5mg/L以上存在するとトリハロメタンが生成し易いため、膜分離装置への給水または洗浄水のTOCが0.5mg/L以上、好ましくは5.0mg/L以上、より好ましくは10.0mg/L以上であると、本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法がより効果を発揮する。膜分離装置への給水または洗浄水のTOCの上限には特に制限はないが、例えば、500mg/L以下である。なお、後述の実施例で測定した場合、トリハロメタン生成能0.01mg/Lは、TOC5.0mg/Lに相当する。
特にトリハロメタン前駆物質がフミン酸を含む場合は、フミン酸として0.89mg/L以上存在するとトリハロメタンが生成し易いため、膜分離装置への給水または洗浄水のフミン酸が0.89mg/L以上、好ましくは8.9mg/L以上、より好ましくは890mg/L以上であると、本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法がより効果を発揮する。膜分離装置への給水または洗浄水のフミン酸の上限には特に制限はないが、例えば、180mg/L以下である。なお、後述の実施例で測定した場合、トリハロメタン生成能0.01mg/Lは、フミン酸8.9mg/Lに相当する。
本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法では、例えば、トリハロメタン前駆物質を含有する給水または洗浄水を用いる膜分離装置への給水または洗浄水中に、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」を薬注ポンプ等により注入すればよい。「臭素化合物」と「塩素系酸化剤」は別々に水系に添加してもよく、または、原液同士で混合させてから水系に添加してもよい。
例えば、トリハロメタン前駆物質を含有する給水または洗浄水を用いる膜分離装置への給水または洗浄水中に、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを薬注ポンプ等により注入してもよい。「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とは別々に水系に添加してもよく、または、原液同士で混合させてから水系に添加してもよい。
また、例えば、トリハロメタン前駆物質を含有する給水または洗浄水を用いる膜分離装置への給水または洗浄水中に、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を薬注ポンプ等により注入してもよい。
膜分離装置への給水または洗浄水中に添加された上述のスライム抑制剤は、分離膜の直前で還元剤等により分解されてもよい。
「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比は、1以上であることが好ましく、1以上2以下の範囲であることがより好ましい。「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比が1未満であると、膜を劣化させる可能性があり、2を超えると、製造コストが増加する場合がある。
分離膜に接触する有効ハロゲン濃度は有効塩素濃度換算で、0.01〜100mg/Lであることが好ましい。0.01mg/L未満であると、十分なスライム抑制効果を得ることができない場合があり、100mg/Lより多いと、分離膜の劣化、配管等の腐食を引き起こす可能性がある。
臭素系酸化剤としては、臭素(液体臭素)、塩化臭素、臭素酸、臭素酸塩、次亜臭素酸等が挙げられる。
これらのうち、臭素を用いた「臭素とスルファミン酸化合物(臭素とスルファミン酸化合物の混合物)」または「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」の製剤は、「次亜塩素酸と臭素化合物とスルファミン酸」の製剤および「塩化臭素とスルファミン酸」の製剤等に比べて、トリハロメタンの生成量自体が少なく、逆浸透膜(RO膜)等をより劣化させず、逆浸透膜(RO膜)透過水等の膜透過水への有効ハロゲンのリーク量がより少ないため、逆浸透膜(RO膜)等の分離膜用スライム抑制剤としてはより好ましい。
すなわち、本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法は、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素と、スルファミン酸化合物とを存在させる(臭素とスルファミン酸化合物の混合物を存在させる)ことが好ましい。また、トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させることが好ましい。
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニウム及び臭化水素酸等が挙げられる。これらのうち、製剤コスト等の点から、臭化ナトリウムが好ましい。
塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩等が挙げられる。これらのうち、塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸バリウム等の亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケル等の他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの塩素系酸化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩素系酸化剤としては、取り扱い性等の点から、次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
スルファミン酸化合物は、以下の一般式(1)で示される化合物である。
NSOH (1)
(式中、Rは独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。)
スルファミン酸化合物としては、例えば、2個のR基の両方が水素原子であるスルファミン酸(アミド硫酸)の他に、N−メチルスルファミン酸、N−エチルスルファミン酸、N−プロピルスルファミン酸、N−イソプロピルスルファミン酸、N−ブチルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N,N−ジメチルスルファミン酸、N,N−ジエチルスルファミン酸、N,N−ジプロピルスルファミン酸、N,N−ジブチルスルファミン酸、N−メチル−N−エチルスルファミン酸、N−メチル−N−プロピルスルファミン酸等の2個のR基の両方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N−フェニルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数6〜10のアリール基であるスルファミン酸化合物、またはこれらの塩等が挙げられる。スルファミン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩およびグアニジン塩等が挙げられる。スルファミン酸化合物およびこれらの塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。スルファミン酸化合物としては、環境負荷等の点から、スルファミン酸(アミド硫酸)を用いるのが好ましい。
本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法において、さらにアルカリを存在させてもよい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ等が挙げられる。低温時の製品安定性等の点から、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとを併用してもよい。また、アルカリは、固形でなく、水溶液として用いてもよい。
分離膜としては、逆浸透膜(RO膜)、ナノろ過膜(NF膜)、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等が挙げられる。これらのうち、特に逆浸透膜(RO膜)に、本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法を好適に適用することができる。また、逆浸透膜として昨今主流であるポリアミド系高分子膜に本発明の実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法を好適に適用することができる。ポリアミド系高分子膜は、酸化剤に対する耐性が比較的低く、遊離塩素等をポリアミド系高分子膜に連続的に接触させると、膜性能の著しい低下が起こる。しかしながら、本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法ではポリアミド高分子膜においても、このような著しい膜性能の低下はほとんど起こらない。
本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法において、膜分離装置が分離膜として逆浸透膜(RO膜)を備えるRO装置の場合、RO装置への給水のpHが5.5以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、6.5以上であることがさらに好ましい。RO装置への給水のpHが5.5未満であると、透過水量が低下する場合がある。また、RO装置への給水のpHの上限値については、通常の逆浸透膜(RO膜)の適用上限pH(例えば、pH10)以下であれば特に制限はないが、カルシウム等の硬度成分のスケール析出を考慮すると、pHは例えば9.0以下で運転することが好ましい。本実施形態に係る分離膜のスライム抑制方法を用いる場合、RO装置への給水のpHが5.5以上で運転することにより、逆浸透膜(RO膜)の劣化、処理水(透過水)の水質悪化を抑制し、十分なスライム抑制効果を発揮しつつ、十分な透過水量の確保も可能となる。
RO装置において、RO装置への給水のpH5.5以上でスケールが発生する場合には、スケール抑制のために分散剤を臭素系酸化剤または次亜臭素酸安定化組成物と併用してもよい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ホスホン酸等が挙げられる。分散剤の給水への添加量は、例えば、RO濃縮水中の濃度として0.1〜1,000mg/Lの範囲である。
また、分散剤を使用せずにスケールの発生を抑制するためには、例えば、RO濃縮水中のシリカ濃度を溶解度以下に、カルシウムスケールの指標であるランゲリア指数を0以下になるように、RO装置の回収率等の運転条件を調整することが挙げられる。
RO装置の用途としては、例えば、海水淡水化、排水回収等が挙げられる。
<分離膜用スライム抑制剤組成物>
本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物は、「臭素系酸化剤」または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物」と、「スルファミン酸化合物」とを含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
また、本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物は、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」を含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
臭素系酸化剤、臭素化合物、塩素系酸化剤およびスルファミン酸化合物については、上述した通りである。
本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物としては、逆浸透膜(RO膜)等をより劣化させず、RO透過水等の膜透過水への有効ハロゲンのリーク量がより少ないため、臭素と、スルファミン酸化合物とを含有するもの(臭素とスルファミン酸化合物の混合物を含有するもの)、例えば、臭素とスルファミン酸化合物とアルカリと水との混合物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有するもの、例えば、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物と、アルカリと、水との混合物が好ましい。
本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物は、クロロスルファミン酸等の結合塩素系スライム抑制剤と比較すると、酸化力が高く、スライム抑制力、スライム剥離力が著しく高いにもかかわらず、同じく酸化力の高い次亜塩素酸のような著しい膜劣化をほとんど引き起こすことがない。通常の使用濃度では、膜劣化への影響は実質的に無視することができる。このため、逆浸透膜(RO膜)等の分離膜用スライム抑制剤としては最適である。
本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物は、次亜塩素酸とは異なり、逆浸透膜(RO膜)をほとんど透過しないため、処理水水質への影響がほとんどない。また、次亜塩素酸等と同様に現場で濃度を測定することができるため、より正確な濃度管理が可能である。また、本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物は、トリハロメタン前駆物質と反応して臭素系トリハロメタンを生成するが、分離膜で排除され易く、分離膜の透過水中のトリハロメタンが大幅に低減されると考えられる。
組成物のpHは、例えば、13.0超であり、13.2超であることがより好ましい。組成物のpHが13.0以下であると組成物中の有効ハロゲンが不安定になる場合がある。
分離膜用スライム抑制剤組成物中の臭素酸濃度は、5mg/kg未満であることが好ましい。分離膜用スライム抑制剤組成物中の臭素酸濃度が5mg/kg以上であると、透過水の臭素酸イオンの濃度が高くなる場合がある。
<分離膜用スライム抑制剤組成物の製造方法>
本実施形態に係る分離膜用スライム抑制剤組成物は、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを混合する、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物とを混合することにより得られ、さらにアルカリを混合してもよい。
臭素と、スルファミン酸化合物とを含有する分離膜用スライム抑制剤組成物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有する分離膜用スライム抑制剤組成物の製造方法としては、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程、または、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加する工程を含むことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる、または、不活性ガス雰囲気下で添加することにより、組成物中の臭素酸イオン濃度が低くなり、RO透過水等の透過水中の臭素酸イオン濃度が低くなる。
用いる不活性ガスとしては限定されないが、製造等の面から室素およびアルゴンのうち少なくとも1つが好ましく、特に製造コスト等の面から窒素が好ましい。
臭素の添加の際の反応器内の酸素濃度は6%以下が好ましいが、4%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。臭素の反応の際の反応器内の酸素濃度が6%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。
臭素の添加率は、組成物全体の量に対して25重量%以下であることが好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。臭素の添加率が組成物全体の量に対して25重量%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。1重量%未満であると、殺菌力が劣る場合がある。
臭素添加の際の反応温度は、0℃以上25℃以下の範囲に制御することが好ましいが、製造コスト等の面から、0℃以上15℃以下の範囲に制御することがより好ましい。臭素添加の際の反応温度が25℃を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合があり、0℃未満であると、凍結する場合がある。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
スライム抑制剤として「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を使用した場合(実施例1)、「臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」である次亜臭素酸安定化組成物を使用した場合(実施例2)、「臭素系酸化剤」を使用した場合(実施例3)と、一般的なスライム抑制剤である次亜塩素酸を使用した場合(比較例1)との透過水中のトリハロメタン濃度、逆浸透膜(RO膜)性能への影響について比較した。
[組成物1の調製]
窒素雰囲気下で、液体臭素:16.9重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.94重量%、水:残分を混合して、組成物1を調製した。組成物1のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は7.5重量%であった。組成物1の詳細な調製方法は以下の通りである。
反応容器内の酸素濃度が1%に維持されるように、窒素ガスの流量をマスフローコントローラでコントロールしながら連続注入で封入した2Lの4つ口フラスコに1436gの水、361gの水酸化ナトリウムを加え混合し、次いで300gのスルファミン酸を加え混合した後、反応液の温度が0〜15℃になるように冷却を維持しながら、473gの液体臭素を加え、さらに48%水酸化カリウム溶液230gを加え、組成物全体の量に対する重量比でスルファミン酸10.7%、臭素16.9%、臭素の当量に対するスルファミン酸の当量比が1.04である、目的の組成物1を得た。生じた溶液のpHは、ガラス電極法にて測定したところ、14であった。生じた溶液の臭素含有率は、臭素をヨウ化カリウムによりヨウ素に転換後、チオ硫酸ナトリウムを用いて酸化還元滴定する方法により測定したところ16.9%であり、理論含有率(16.9%)の100.0%であった。また、臭素反応の際の反応容器内の酸素濃度は、株式会社ジコー製の「酸素モニタJKO−02 LJDII」を用いて測定した。なお、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
[組成物2の調製]
臭化ナトリウム:11重量%、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液:50重量%、スルファミン酸ナトリウム:14重量%、水酸化ナトリウム:8重量%、水:残分を混合して、組成物2を調製した。組成物2のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は6重量%であった。組成物2の詳細な調製方法は以下の通りである。
反応容器に17gの水を入れ、11gの臭化ナトリウムを加え撹拌して溶解させた後、50gの12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加え混合し、次いで14gのスルファミン酸ナトリウムを加え撹拌して溶解させた後、8gの水酸化ナトリウムを加え撹拌し溶解させて目的の組成物2を得た。
なお、水道用次亜塩素酸ナトリウム規格(JWWA K 120 2008)に定められる方法に則り、イオンクロマトグラフ法で測定したところ、組成物中の塩素酸の含有量は、組成物2(1100mg/kg)よりも組成物1の方が少なかった(50mg/kg未満)。
[組成物3]
9重量%次亜臭素酸ナトリウム水溶液(関東化学、鹿1級)を組成物3として使用した。
[組成物4]
12重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を組成物4として使用した。
<実施例1〜3、比較例1、参考例1,2>
以下の条件で、逆浸透膜装置の原水に、組成物1〜4をそれぞれ添加して、分離膜給水中と分離膜透過水中の総トリハロメタン濃度、総トリハロメタンの逆浸透膜(RO膜)での排除率を比較した。原水としては、実施例1〜3、比較例1では、下記模擬水を、参考例1,2では純水を使用した。
(試験条件)
・試験装置:平膜試験装置
・分離膜:日東電工(株)製、ポリアミド系高分子逆浸透膜 ES15
・運転圧力:0.75MPa
・原水:トリハロメタン生成能が0.01mg/Lの模擬水(純水にトリハロメタン前駆物質としてフミン酸(和光純薬工業製)8.9mg/Lを添加したもの、TOC:5mg/L)または純水
・薬剤:組成物1〜4を、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として3mg/Lとなるように添加
・原水pH:薬剤添加後に試験水のpHが8となるように調整
・試験温度:25℃
・トリハロメタン生成能測定方法:試料をpH7.0、温度20℃、反応時間24時間、24時間後の遊離残留塩素濃度が1〜2mg/Lとなるように次亜塩素酸ナトリウムを添加した条件で、生成したトリハロメタン生成量をパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による一斉分析法で測定して、求めた。パージ・トラップ装置は「TEKMAR製、Tekmar Stratum」、ガスクロマトグラフは「Agilent製、7890」、質量分析計は「Agilent製、5975C」を使用した。
・有効ハロゲン濃度の測定方法:残留塩素測定装置(Hach社製、「DR−4000」)を使用してDPD法により測定)
(評価方法)
[RO給水中とRO透過水中の総トリハロメタン濃度、総トリハロメタンの逆浸透膜(RO膜)での排除率]
模擬水または純水に、表1に示す通り組成物1〜4を添加し、pHを8に調整したものを、水温25℃に調整し、RO装置に循環通水した。4時間後にRO給水中とRO透過水中の総トリハロメタン濃度(mg/L)を測定した。RO給水中とRO透過水中の総トリハロメタン濃度から、総トリハロメタンの逆浸透膜(RO膜)での排除率(%)を求めた。結果を表1に示す。ここで、総トリハロメタンとは、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタンおよびブロモホルムの4物質のことを指す。
総トリハロメタン濃度は、水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法(平成15年厚生労働省告示第261号)に則り、パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による一斉分析法で測定した。
Figure 2016120486
このように、実施例1〜3では、比較例1に比べて、十分なスライム抑制効果を有しながら、透過水中のトリハロメタン含有量を低減することができた。なお、原水として純水を用いた参考例1,2の場合は、トリハロメタンはほとんど生成しなかった。
「逆浸透膜(RO膜)排除率への影響、透過水への影響、酸化力の比較試験」
臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物とを使用した場合と、一般的なスライム抑制剤である次亜塩素酸、次亜臭素酸を使用した場合の逆浸透膜(RO膜)排除率への影響、透過水への影響、酸化力、殺菌力について比較した。
以下の条件で、逆浸透膜装置の原水に、組成物1,2,4〜7を添加して、逆浸透膜(RO膜)の排除率への影響、透過水への影響、酸化力を比較した。
[組成物5]
組成物2の各組成を水中に別々に添加した。
[組成物6]
塩化臭素、スルファミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムを含有する組成物6を使用した。組成物6のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は7重量%であった。
[組成物7]
臭化ナトリウム:15重量%、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液:42.4重量%、を水中に別々に添加した。
(試験条件)
・試験装置:平膜試験装置
・分離膜:日東電工(株)製、ポリアミド系高分子逆浸透膜 ES20
・運転圧力:0.75MPa
・原水:相模原井水(pH7.2、導電率240μS/cm、臭化物イオン濃度1.0mg/L未満)
・薬剤:組成物1,2,4〜7を、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として10mg/Lとなるように添加
(評価方法)
・逆浸透膜(RO膜)の排除率への影響:30日通水後の導電率排除率(%)
(100−[透過水導電率/給水導電率]×100)
・透過水への影響:薬剤添加1時間後の透過水中の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度、mg/L)を、残留塩素測定装置(Hach社製、「DR−4000」)を使用してDPD法により測定
・酸化力:1時間後の給水の酸化還元電位(ORP)を、酸化還元電位測定装置(東亜DKK製、RM−20P型ORP計)を使用して測定
「殺菌力の比較試験」
以下の条件で、模擬水に組成物1,2,4〜7を添加して、殺菌力を比較した。
(試験条件)
・水:相模原井水に普通ブイヨンを添加し、一般細菌数が10CFU/mlとなるよう調整した模擬水
・薬剤:組成物1,2,4〜7を、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として1mg/Lとなるよう添加(有効ハロゲン濃度の測定方法:残留塩素測定装置(Hach社製、「DR−4000」)を使用してDPD法により測定)
(評価方法)
・薬剤添加後24時間後の一般細菌数を菌数測定キット(三愛石油製、バイオチェッカーTTC)を使用して測定
試験結果を表2に示す。
Figure 2016120486
組成物1,2,5,6は、高い逆浸透膜(RO膜)の排除率を保持し、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)も低く、酸化力、殺菌力も高かった。組成物1,2,5,6の中では、組成物1が、最も高い逆浸透膜(RO膜)の排除率を保持し、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)が最も低かった。
組成物4は、酸化力、殺菌力は高いものの、逆浸透膜(RO膜)の排除率が低下し、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)も高かった。組成物7は、酸化力、殺菌力は高いものの、透過水の有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)がやや高かった。
「透過水の臭素酸イオンの濃度の比較実験」
組成物調製時の窒素ガスパージの有無による透過水の臭素酸イオンの濃度を比較した。
[組成物1’の調製]
組成物1と同様にして、窒素雰囲気下で、液体臭素:17重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.95重量%、水:残分を混合して、組成物1’を調製した。組成物1’のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は7.5重量%であり、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
[組成物8の調製]
窒素パージを行わず、大気下で、液体臭素:17重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.95重量%、水:残分を混合して、組成物8を調製した。組成物8のpHは14、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)は7.4重量%であり、臭素酸濃度は63mg/kgであった。
(試験条件)
・試験装置:平膜試験装置
・分離膜:日東電工(株)製、ポリアミド系高分子逆浸透膜 ES20
・運転圧力:0.75MPa
・原水:相模原井水(pH7.2、導電率240μS/cm)
・薬剤:組成物1’,8を、有効ハロゲン濃度(有効塩素換算濃度)として50mg/Lとなるように添加
(評価方法)
・透過水の臭素酸イオン濃度を、イオンクロマトグラフ−ポストカラム吸光光度法で測定した。
試験結果を表3に示す。
Figure 2016120486
組成物1’では、給水、透過水中の臭素酸イオン濃度は1μg/L未満であった。組成物8では、給水、透過水中の臭素酸イオン濃度は、組成物1’に比べて高かった。

Claims (8)

  1. トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、
    臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物を存在させることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  2. トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、
    臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、
    スルファミン酸化合物と、
    を存在させることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  3. トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、
    臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、
    スルファミン酸化合物と、
    の反応生成物を存在させることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  4. トリハロメタン前駆物質を含有する、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に、
    臭素とスルファミン酸化合物の混合物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  5. 請求項4に記載の分離膜のスライム抑制方法であって、
    前記臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物が、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程を含む方法により得られたものであることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離膜のスライム抑制方法であって、
    前記給水または洗浄水のトリハロメタン前駆物質の濃度が、トリハロメタン生成能として0.001mg/L以上であることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離膜のスライム抑制方法であって、
    前記分離膜が、ポリアミド系高分子膜であることを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の分離膜のスライム抑制方法であって、
    前記トリハロメタン前駆物質が、フミン質を含むことを特徴とする分離膜のスライム抑制方法。
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