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JP2016116640A - 調理器用鍋およびその製造方法 - Google Patents

調理器用鍋およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶湯鍛造工程で、発熱体の境界部で湯差しや湯回りによる不良を発生させない調理器用鍋とその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の鍋31は、溶融アルミニウムを固化して容器状に形成される鍋基体21と、溶融アルミニウムの固化に伴い、鍋基体21の外面に取着される発熱体1とからなる。発熱体1はボール状に形成されており、外面が鍋基体21により覆われずに露出する鉄底部2と、外面が鍋基体21により覆われ、鉄底部2の先端である上周縁から直線状に延びる延長部6と、を有して構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、炊飯器などの各種調理器に適用され、溶湯鍛造により製造される調理器用鍋とその製造方法に関する。
溶湯鍛造で製造された調理器用鍋は、加熱コイルで鍋を発熱させる必要があり、内面に鉄を溶射したステンレス絞り品による発熱体と、アルミニウムなどの良熱伝導性による鍋基体で構成される。調理器用鍋の製造方法は、例えば特許文献1,2などにも開示されているが、雌金型に鉄溶射された発熱体をセットした状態で、その雌金型に溶解された鍋基体の母材となるアルミニウムを流し込み、鍋の内部形状に対応した雄金型を嵌合させ、プレスで加圧しながらアルミニウムを固化させて、鍋基体と発熱体とを結合させた鍋を形成している。以後、この一連の製造工程を溶湯鍛造工程と呼ぶ。
図6は、従来の発熱体1を雌金型101にセットした時の要部断面図である。また図7は、図6のA部を拡大した図である。これらの各図において、雌金型101は鍋(ここでは図示せず)の外形形状に対応した凹状の内表面となるキャビティ面102を有し、このキャビティ面102の途中には段差状の角部103が周回形成される。一方、発熱体1は上端を開口した有底ボール形状で、加熱コイル(図示せず)からの交番磁界により発熱する鉄底部2と、発熱体1の上端部で外方に折り曲げられたフランジ部3とを有する。そして、フランジ部3を角部103に載せることで、発熱体1が雌金型101に吊設状態でセットされる。このとき、発熱体1の外面と雌金型101のキャビティ面102との間には、その後の加圧時に発熱体1の引込みを可能にする所定の引込み隙間111が形成される。
溶湯鍛造工程では、フランジ部3の直下に位置する発熱体1の境界部を越えて、溶解されたアルミニウムが発熱体1の外面に回り込まないように、プレスでの加圧時に発熱体1の境界部を、雌金型101に密着してシールする必要がある。その方法は、溶湯鍛造工程で、発熱体1のフランジ部3と雌金型101の角部103で発熱体1を絞り込むことで、発熱体1の境界面とキャビティ面102との間を全周にわたりシールする、というものであった。
図8は、従来考えられていた発熱体1と雌金型101とのシール構造を説明するのに、図6のB部を拡大したものである。同図(a)に示す「加圧前」の状態では、発熱体1のフランジ部3が雌金型101の角部103の面上に、隙間のない状態で載置される。この後、発熱体1をセットした雌金型101に溶湯アルミニウムを流し込み、図示しない雄金型を嵌合させてプレスで加圧した時に、発熱体1の境界面とキャビティ面102との間が全周にわたり完全にシールされていれば、溶湯アルミニウムが発熱体1の境界部外面よりも下方に回り込んではみ出すことはない。
ところが、図8(b)に示す「加圧後」の状態では、プレスでの加圧時に発熱体1が矢印S1の方向に引込まれるのに伴い、フランジ部3が加圧方向に起こされると、発熱体1の境界部4と雌金型101のキャビティ面102との間が完全にシールしきれず、その隙間に矢印S2の方向から溶湯アルミニウムが入り込んで、境界面4よりも下方で溶湯アルミニウムRの境界バリが発生する。
上述した溶湯鍛造工程の開発当初は、鍋の内面を切削加工した後、鍋の内面と外面への塗装を行なっていたため、発熱体1の境界部4を越えて多少のアルミニウムが発熱体1の外面に回り込んではみ出していても、さほど問題にはならなかった。しかし近年は、鍋のデザイン性を向上させるのに、発熱体1の素地を外観面とする製品仕様が主流となっているため、こうしたアルミニウムの回り込みは不可となり、その対応策として、発熱体1の境界部4ではみ出したアルミニウムを切削加工する仕様となっていた。
特開平8−52064号公報 特開平8−52065号公報
上述した発熱体1の外面への母材の回り込みは、回り込む母材量が大きいものを「湯差し不良」と呼び、小さいものを「境界バリ不良」と呼んでいる。また、発熱体1の境界面4全周に至るまで母材が行き渡らず、発熱体1と母材との間に隙間ができる現象を「湯回り不良」と呼んでいる。
図9は、「湯差し不良」を起こした鍋31の外観写真であり、同図では発熱体1の境界部4よりはみ出した鍋基体21の湯差し不良部F1が確認できる。湯差しとは、境界部4における発熱体1の外面への湯回りの大きさ(すなわち、境界部4からはみ出した鍋基体21のバリ先端までの距離)が、5mm以上のものを指す。図10は、「境界バリ不良」を起こした鍋31の外観写真であり、同図では発熱体1の境界部4よりはみ出した鍋基体21の境界バリ不良部F2が確認できる。境界バリとは、境界部4における発熱体1の外面への湯回りの大きさが、5mm未満のものを指す。図11は、「湯回り不良」を起こした鍋31の外観写真であり、同図では発熱体1の境界部4の全周に鍋基体21が回り込まず、穴が開いているような形状の湯回り不良部F3が確認できる。
「湯差し不良」や「境界バリ不良」では、鍋の仕上げ加工として、発熱体1の境界部4で鍋基体21のはみ出した部分を切削する必要があるが、切削後にバリの残りが発生する切削不良の可能性がある。そこで、こうした発熱体1の境界部4における切削不良を無くす最善の方法は、切削工程そのものを無くすことであると考えた。それを実現するには、上述した「境界バリ不良」を含む「湯差し不良」や、「湯回り不良」の撲滅が必須条件となる。
本発明は、上記課題を解決するのになされたもので、その目的は、溶湯鍛造工程で発熱体の境界部で湯差しや湯回りによる不良を発生させない調理器用鍋とその製造方法を提供することにある。
本発明は、溶融した熱伝導材料を固化して容器状に形成される鍋基体と、前記熱伝導材料の固化に伴い、前記鍋基体の外面に取着される発熱体と、からなる調理器用鍋において、前記発熱体はボール状で、外面が前記鍋基体により覆われずに露出する側壁と、外面が前記鍋基体により覆われ、前記側壁の先端から直線状に延びる延長部と、を有することを特徴とする。
また本発明は、内表面に段差状の角部を形成した雌金型を用意するステップと、側壁の先端から延長部を直線状に延ばしたボール状の発熱体を用意するステップと、前記角部よりも前記延長部を突出させた状態で、前記発熱体を前記雌金型の内表面にセットするステップと、前記雌金型に溶融した熱伝導材料を流し込むステップと、前記雌金型に雄金型を嵌合させて加圧し、前記発熱体を前記角部で折り曲げないように変形させるステップと、前記熱伝導材料を固化して容器状の鍋基体を形成すると共に、前記熱伝導材料の固化に伴い、前記側壁の外面には前記鍋基体が覆われず、前記延長部の外面には前記鍋基体が覆われるようにして、前記鍋基体の外面に前記発熱体を取着させるステップと、からなる調理器用鍋の製造方法である。
請求項1および請求項2の発明によれば、発熱体の側壁先端でフランジ状に折り曲げるのではなく、直線状に延ばした延長部とすることにより、溶湯鍛造工程の途中で、ボール状の発熱体が雌金型に対してどのように傾いてセットされた場合でも、側壁と延長部との境となる境界部で、溶湯アルミニウムの湯差しや湯回りによる不良を発生させない調理器用鍋を得ることができる。
本発明の一実施形態における完成状態の鍋について、その縦端面図と要部拡大図をそれぞれ示している。 図1の比較として、従来の完成状態における鍋について、その縦端面図と要部拡大図をそれぞれ示している。 実際の発熱体と雌金型とのシール構造を説明するのに、図6のB部を拡大した図である。 本実施形態において、金型にセットする前の発熱体の要部端面形状を示す図である。 溶湯鍛造工程後の鍋の要部断面形状を示す写真である。 従来の発熱体を雌金型にセットした時の要部断面図である。 同上、図6のA部を拡大した図である。 従来考えられていた発熱体と雌金型とのシール構造を説明するのに、図6のB部を拡大した図である。 「湯差し不良」の一例を示す鍋の写真である。 「境界バリ不良」の一例を示す鍋の写真である。 「湯回り不良」の一例を示す鍋の写真である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、調理器である炊飯器に用いられる鍋を例にして、添付図面を参照しながら詳説する。なお、従来例と本実施形態で共通する箇所には、基本的に同一の符号を用いて説明する。
図1は、本実施形態の鍋31について、その対称軸Pを境に右側の縦端面図と、四角で囲まれた部分の拡大図をそれぞれ示している。図1に示す完成状態の鍋31は、上述した溶湯鍛造工程を経て形成されたもので、所定量の米や水などの被炊飯物を収容できるように、上面を開口した有底容器状の鍋基体21と、鍋基体21の外底面部から外周面部にかけて密着接合する発熱体1とにより構成される。鍋基体21は、溶融した例えばアルミニウムなどの熱伝導材料を固化して得られたもので、完成した鍋31の内面全体と外面上側を形成する。また、鍋基体21となる熱伝導材料の固化に伴い、鍋基体21の外面に取着される発熱体1は、例えば鉄やステンレスなどの誘導加熱される材料からなり、完成した鍋31の外面下側を形成する。ここでは鍋31以外の構成は図示しないが、予め被炊飯物を入れた鍋31を炊飯器の本体に装着し、鍋31の上面開口を蓋で閉じて、操作部からの入力により加熱開始を指示すると、炊飯器本体に配置した加熱コイルに高周波電流が流れ、加熱コイルから発生する交番磁界により発熱体1が発熱して鍋基体21に伝導し、鍋31に収容した被炊飯物が加熱される。
図1に示すように、鍋31は全体として、床面などに載置可能な底壁部33と、底壁部33の外周縁から立ち上がる周側壁部34と、周側壁部34の上周縁から鍋31の上端に至る上壁部35と、周側壁部34の上部外面より外周方向に延設する円環フランジ状の羽根部36と、により構成され、特に上壁部35をすぼめて周側壁部34の側面に丸みを持たせることで、被炊飯物に対して強い熱対流を起こし、熱を素早く中心まで伝え、鍋31全体に高温を維持できる羽釜形状に形成される。
発熱体1は、鍋31の底壁部33から周側壁部34の下側にかけて配置される椀状の鉄底部2と、鉄底部2の先端となる上周縁から直線状に延びて、発熱体1の先端となる上周縁に達する延長部6とにより構成される。この中で発熱体1の鉄底部2は、鍋31の最底部を底壁と、底壁の外周縁から立ち上がる側壁とを兼ねるもので、何れもその外面は鍋基体21で覆われていない露出した状態に形成される。一方、発熱体1の延長部6は、その外面が鍋基体21で覆われており、鍋31の外周方向に若干広がりながら立ち上がる鉄底部2の先端部から、そのまま折曲げ部を形成することなく連続して延びている。したがって、ここでいう発熱体1の境界部4は、鉄底部2と延長部6との境となる部分といえる。
比較のために、背景技術で説明した従来の完成状態の鍋31を図2に示す。同図において、ここでも鍋31の対称軸Pを境に右側の縦断面図と、四角で囲まれた部分の拡大図をそれぞれ図示する。図1に示す本実施形態の鍋31との違いを説明すると、従来の鍋基体21は、羽根部36に代わって上壁部35の上周縁より外周方向に円環状のフランジ37が設けられている。但し、これは鍋31の外形形状に関するもので、適宜変更が可能であり、本発明には直接関係しない。重要なのは、完成状態の鍋31において、従来のような発熱体1の上部で非直線状に屈曲されたフランジ部3に代わって、直線状で屈曲されていない延長部6が形成される、ということである。
ところで、従来からこの種の鍋31において、溶湯鍛造工程で「湯差し不良」や「境界バリ不良」が発生する原因は、図8を参照して説明した通りのものであると考えられていた。しかし本発明者らは、こうした不良の発生するメカニズムを正しく解明し、そこからどのようにして不良が止められるのかについて鋭意検討を進めた結果、本発明の目的を達成できることを見出した。以下、その詳細を説明する。
図3は、本発明者らが解明した発熱体1と雌金型101とのシール構造を説明するための図で、前述の図8に対応して、図6のB部を拡大したものである。同図(a)の「加圧前」で示すように、実際の溶湯鍛造工程では、発熱体1を雌金型101にセットすると、フランジ部3の下面と雌金型101の角部103の上面との間に、僅かな隙間121が形成される。これは、ボール状の発熱体1が雌金型101に対し傾いていて、本来の雌金型101のシール部分から外れてしまうことに起因する。したがって発熱体1は、フランジ部3よりも下方の鉄底部2の上部外面と、雌金型101の角部103より下方の側面が先に接触した状態で、図7で示した所定の引込み隙間111を有して雌金型101にセットされる。
この後、発熱体1をセットした雌金型101に溶湯アルミニウムを流し込むと、図3(a)に示す矢印S3の方向から隙間121にも、少量の溶湯アルミニウムRが入り込む。隙間121に達した溶湯アルミニウムRは、フランジ部3の折曲げ基端となる肩R部122の外側面に付着し、そこで他の溶湯アルミニウムよりも先に凝固する。
次いで、図示しない雄金型を嵌合させてプレスで加圧すると、図3(b)に示す「加圧後」の状態となる。プレスでの加圧時に発熱体1が矢印S1の方向に引込まれると、肩R部122が角部103に当たって、フランジ部3が加圧方向に変形して起こされると共に、先に発熱体1に付着して凝固した溶湯アルミニウムRは、発熱体1と一緒に引込まれて、境界部4より下方に境界バリとしてはみ出してしまう。これが、実際の「湯差し不良」や「境界バリ不良」の発生メカニズムであると推定される。
また、前述した従来の溶湯鍛造工程では、フランジ部3を有する発熱体1を雌金型101にセットするので、図3(a)で示したように、フランジ部3の外端面と雌金型101のキャビティ面102との間のギャップが少ない。特に、雌金型101に対して発熱体1が外側に傾くと、そのギャップが極端に少なくなって、ごく少量の溶湯アルミニウムがフランジ部3の下面側の隙間121に回り込み、先に固化して溶湯アルミニウムが隙間121全体に回らない状態となる。そのため、プレスでの加圧後に発熱体1の境界部4の全周にまで鍋基体21が回り込まず、結果的に「湯回り不良」が発生する。
つまり、従来はボール状をなす発熱体1の上端外部に、外方へ向けてフランジ部3を折曲げ形成している関係で、雌金型101に対して発熱体1が内側に傾くと、フランジ部3の外端面と雌金型101のキャビティ面102との間のギャップが広がって、「湯差し不良」や「境界バリ不良」が起こり易くなり、逆に雌金型101に対して発熱体1が外側に傾くと、そのギャップが狭くなって、「湯回り不良」が起こり易くなる、という実際の不良に至るメカニズムが解明された。そこで本発明者らは、発熱体1が雌金型101にどのように傾いてセットされた場合でも、これらの不良を発生させないように、次の4つの対策を講じて、図1に示すような丸釜形状の鍋31を、溶湯鍛造工程後の切削工程を行なわずに製造する方法を見出した。
第1の対策として、鉄底部2の最上部に位置し、溶湯鍛造工程で雌金型101のキャビティ面102に密着する発熱体1のシール部径(半径)D1を、従来のものよりも小さくする。一例として、図2に示す従来例の鍋31では、発熱体1のシール部径D1が99.8mmであるのに対し、図1に示す本実施形態の鍋31では、発熱体1のシール部径D1が99.5mmである。また、溶湯鍛造工程前の発熱体1のシール部径D1は、何れも100mmである。つまり、発熱体1のシール部(即ち境界部4)に対向する部分で、雌金型101の寸法変更により発熱体1の径方向のシールを強くすることで、「湯差し不良」や「境界バリ不良」への対策とすることができる。
第2の対策として、従来のフランジ部3に代わり、鉄底部2の上周縁から直線状に延長部6を伸ばした形状の発熱体1とする。溶湯鍛造工程でのフランジ部3の絞込みを無くすことで、「湯差し不良」や「境界バリ不良」のみならず、「湯回り不良」への対策とすることができる。
第3の対策として、従来のフランジ部3の高さ寸法t1よりも、本実施形態における延長部6の高さ寸法t1を大きくして、発熱体1の高さ寸法をアップさせる。一例として、図2に示すフランジ部3の高さ寸法t1は0.7mmであるのに対し、図1に示す延長部6の高さ寸法t1は3.5mmである。これは、発熱体1の傾きによる「湯差し不良」や「境界バリ不良」への対策とすることができる。
第4の対策として、鍋31の最底面からシール部までの高さ寸法t2を低くする。一例として、図2に示す鍋31の最底面からシール部までの高さ寸法t2は57.5mmであるのに対し、図1に示す鍋31の最底面からシール部までの高さ寸法t2は56.5mmである。これは、発熱体1の傾きによる「湯差し不良」や「境界バリ不良」への対策とすることができる。
図1に示す完成状態の鍋31は、従来と同様に溶湯鍛造工程で製造される。これは先ず、凹状の内表面となるキャビティ面102に段差状の角部103が周回形成された雌金型101と、鉄底部2の上周縁から延長部6を直線状に延ばして周回形成したボール状の発熱体1とを用意する。図4は、雌金型101にセットする前の発熱体1の要部形状を示している。
次に、用意した発熱体1を雌金型101のキャビティ面102にセット(装着)すると、発熱体1の径方向の弾性力が作用して、発熱体1の延長部6よりも下方の鉄底部2の上部外面が、雌金型101の角部103よりも下方の側面を押圧シールした状態となる。このとき、角部103よりも上方に延長部6の全体が突出して配置されると共に、鉄底部2の外底面とキャビティ面102との間には、図7で示した所定の引込み隙間111が形成されて、発熱体1が雌金型101に浮いた状態で保持される。
この後、発熱体1をセットした雌金型101に溶湯アルミニウムを流し込む。予め雌金型101の角部103よりも上方に、発熱体1の延長部6が飛び出している関係で、延長部6はその内面だけでなく、外面も溶湯アルミニウムで覆われる。また、延長部6を直線状に延ばすことにより、その延長部6の外方で溶湯アルミニウムが先に固化する現象も回避される。
次に、溶湯アルミニウムを流し込んだ雌金型101に、図示しない雄金型を嵌合させてプレスで加圧する。この加圧により、発熱体1は前述の浮いた状態から、雌金型101に規制されながら、液圧絞りと同じ状態で引込まれ、角部103で発熱体1が折り曲がることなく、キャビティ面102と同じ形状になるまで変形される。ここでも発熱体1の径方向への弾性力により、発熱体1と雌金型101のキャビティ面102とのシール状態が持続し、そのシール部(最終的には境界部4となる)の下方に溶湯アルミニウムがはみ出すのを防止する。
この後、溶湯アルミニウムを固化して容器状の鍋基体21を形成すると共に、溶湯アルミニウムの固化に伴って、鍋基体21の外面に発熱体1を密着結合させて、一連の溶湯鍛造工程を終了する。これにより境界部4を境にして、鉄底部2の外面には鍋基体21が全く覆われず露出した状態になる一方で、延長部6の外面には鍋基体21が隙間なく覆われるような、境界部4の切削加工を不要にした完成状態の鍋31を得ることができる。図5には、溶湯鍛造工程後における実際の鍋31の要部断面を、写真として示している。
以上のように、本実施形態における完成状態の鍋31は、溶融した熱伝導材料となる溶融アルミニウムを固化して容器状に形成される鍋基体21と、溶融アルミニウムの固化に伴い、鍋基体21の外面に取着される発熱体1とからなる。そして発熱体1は、上端部にフランジのないボール状に形成されており、外面が鍋基体21により覆われずに露出する側壁としての鉄底部2と、外面が鍋基体21により覆われ、鉄底部2の先端である上周縁から直線状に延びて周回形成される延長部6と、を有して構成される。
この場合、発熱体1の鉄底部2の先端でフランジ状に折り曲げるのではなく、直線状に延ばした延長部6とすることにより、溶湯鍛造工程の途中で、ボール状の発熱体1が雌金型101に対してどのように傾いてセットされた場合でも、鉄底部2と延長部6との境となる境界部4で、溶湯アルミニウムの湯差しや湯回りによる不良を発生させない鍋31を得ることができる。
また、同様の作用効果は、内表面であるキャビティ面102に段差状の角部103を周回形成した雌金型101を用意するステップと、側壁となる鉄底部2の先端から延長部6を直線状に延ばして周回形成したボール状の発熱体1を用意するステップと、角部103よりも上方に延長部6を突出させた状態で、発熱体1を雌金型101の内表面にセットするステップと、雌金型101に溶融した熱伝導材料としての溶湯アルミニウムを流し込むステップと、雌金型101に図示しない雄金型を嵌合させて加圧し、発熱体1を角部103で折り曲げないように変形させるステップと、溶湯アルミニウムを固化して容器状の鍋基体21を形成すると共に、その溶湯アルミニウムの固化に伴い、鉄底部2の外面には鍋基体21が覆われないのに対して、延長部6の外面には鍋基体21が覆われるようにして、鍋基体21の外面に発熱体1を取着させるステップと、からなる鍋31の製造方法でも実現する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、上記実施形態では炊飯器用の鍋を例に説明したが、炊飯器以外の各種調理器において、被調理物を収容する調理器用鍋に上記実施形態の技術思想を適用しても構わない。また、各部の寸法はあくまでも一例であり、その寸法に本発明が限定されるものではない。その他、鍋の外形形状も適宜変更して構わない。
1 発熱体
2 鉄底部(側壁)
6 延長部
21 鍋基体
31 鍋
101 雌金型
102 キャビティ面
103 角部

Claims (2)

  1. 溶融した熱伝導材料を固化して容器状に形成される鍋基体と、
    前記熱伝導材料の固化に伴い、前記鍋基体の外面に取着される発熱体と、からなる調理器用鍋において、
    前記発熱体はボール状で、外面が前記鍋基体により覆われずに露出する側壁と、外面が前記鍋基体により覆われ、前記側壁の先端から直線状に延びる延長部と、を有することを特徴とする調理器用鍋。
  2. 内表面に段差状の角部を形成した雌金型を用意するステップと、
    側壁の先端から延長部を直線状に延ばしたボール状の発熱体を用意するステップと、
    前記角部よりも前記延長部を突出させた状態で、前記発熱体を前記雌金型の内表面にセットするステップと、
    前記雌金型に溶融した熱伝導材料を流し込むステップと、
    前記雌金型に雄金型を嵌合させて加圧し、前記発熱体を前記角部で折り曲げないように変形させるステップと、
    前記熱伝導材料を固化して容器状の鍋基体を形成すると共に、前記熱伝導材料の固化に伴い、前記側壁の外面には前記鍋基体が覆われず、前記延長部の外面には前記鍋基体が覆われるようにして、前記鍋基体の外面に前記発熱体を取着させるステップと、
    からなることを特徴とする調理器用鍋の製造方法。
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