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JP2016102173A - ポリエステル樹脂 - Google Patents

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JP2016102173A JP2014241998A JP2014241998A JP2016102173A JP 2016102173 A JP2016102173 A JP 2016102173A JP 2014241998 A JP2014241998 A JP 2014241998A JP 2014241998 A JP2014241998 A JP 2014241998A JP 2016102173 A JP2016102173 A JP 2016102173A
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Abstract

【課題】フランジカルボン酸構造を有し、重合性、破断強度及び透明性に優れたポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】式(1)及びフランジカルボン酸と数平均分子量が200以上、6000以下のポリオキシアルキレンとからなる構造単位を含み、後者の構造単位の割合が0.5モル%以上、50モル%以下であるポリエステル樹脂。[式(1)において、Aは脂肪族炭化水素基を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、フラン構造を有するポリエステル樹脂に関する。詳しくは、フランジカルボン酸構造を主鎖に有し、バイオマス由来の原料からの製造が可能で、しかも重合性、破断強度及び透明性にバランスよく優れたポリエステル樹脂に関する。
ポリエステル樹脂は汎用性に優れた樹脂であり、耐熱性や機械物性に優れた樹脂として幅広い用途で使用されている。例えば、ポリ(シクロヘキサンジメチレン)テレフタレート(以下「PCT」と略記する)、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略記する)、ポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と略記する)等の芳香族ポリエステル樹脂は、フィルム、食品容器、電気・電子部品、家電筐体、自動車材料等、汎用からエンジニアリング部品関連材料として広範に利用されている(特許文献1及び2)。
一方、近年、環境配慮型又は環境持続型材料として、生分解性を有する樹脂やバイオマス由来の原料を用いたポリエステル樹脂が開発されている。これらの中でも、バイオマスからの製造が可能とされるフランジカルボン酸を原料に用いたポリエステル樹脂について開発がなされており、非特許文献1には、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂として用いることができることが開示されている。また、重合度を規定しながら合成し、機械強度を高めたフランジカルボン酸を原料に用いたポリエステル樹脂が開示されている(特許文献3)。さらに、分子量が高く、機械的物性、耐加水分解性が良好なポリエステル樹脂が開示されている(特許文献4)。
国際公開90/07534 特開2013−221098 特開2007−146153 特開2008−291243
Y. Hachihama et al, Osaka Daigaku Kogaku Hokoku, 8, 475-480(1958)"Synthesis of Polyesters containing Fran Ring"
PCT、PET及びPBT等のポリエステル樹脂は、その原料が石油から製造されており、バイオマスからの製造が困難であるか、或いはバイオマスからの製造は、非常に高コストとなり、実用化の見込みがない。
一方、バイオマスからの製造が可能とされるフランジカルボン酸を原料に用いたポリエステル樹脂について、非特許文献1に開示されているポリエステル樹脂は、その分子量が低いため、機械物性が不十分であり、実用に耐え得るものではなかった。また、特許文献3及び4のフランジカルボン酸を原料に用いたポリエステル樹脂は、機械物性としてはまだ十分ではなかった。特許文献3及び4のポリエステル樹脂の機械物性をさらに向上させるために分子量を上げようとすると、重合反応に時間を要す問題がある。また、破断強度を上げるためには、結晶性を高める必要があり、特許文献3及び4のポリエステル樹脂は、透明性を損なう問題もあった。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、バイオマス由来の原料からの製造が可能な、フランジカルボン酸構造を有するポリエステル樹脂であって、重合性、破断強度及び透明性にバランスよく優れたポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含み、且つ、ポリエステル樹脂中の式(2)で表される繰り返し単位が特定の割合であることで、重合性、破断強度及び透明性にバランスよく優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含み、ポリエステル樹脂中の式(2)で表される繰り返し単位の割合が、0.5モル%以上、50モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
Figure 2016102173
[式(1)において、Aは脂肪族炭化水素基を表す。]
Figure 2016102173
[式(2)において、Bは数平均分子量が200以上、6000以下のポリオキシアルキ
レン基を表す。]
[2]前記式(1)のAが環状の脂肪族炭化水素基を含むものである、[1]に記載のポリエステル樹脂。
[3]前記ポリエステル樹脂の還元粘度が0.5dl/g以上である、[1]又は[2]
に記載のポリエステル樹脂。
[4]前記ポリエステル樹脂の引張破断強度が12MPa以上である、[1]〜[3]の何れか1に記載のポリエステル樹脂。
[5]厚み200μmにおける光線透過率が75%以上である、[1]〜[4]の何れか1に記載のポリエステル樹脂。
本発明によれば、バイオマス由来の原料からの製造が可能な、フランジカルボン酸構造を有する式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含むポリエステル樹脂によって、重合性、破断強度、及び透明性にバランスよく優れたポリエステル樹脂が提供される。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要
旨を超えない限り以下の態様に限定されるものではない。
[ポリエステル樹脂]
本発明のポリエステル樹脂は、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含み、ポリエステル樹脂中の式(2)で表される繰り返し単位の割合が0.5モル%以上、50モル%以下であることを特徴とする。
Figure 2016102173
[式(1)において、Aは脂肪族炭化水素基を表す。]
Figure 2016102173
[式(2)において、Bは数平均分子量が200以上、6000以下のポリオキシアルキ
レン基を表す。]
本発明のポリエステル樹脂が、重合性、破断強度及び透明性にバランスよく優れる理由は以下と推測される。
本発明のポリエステル樹脂は、フランジカルボン酸とA成分及びB成分を併用することにより、各成分の相溶性が良くなり、その結果高い重合性が得られる傾向にある。また、本発明のポリエステル樹脂は、フランジカルボン酸をモノマーとするポリエステル樹脂の結晶部分がハードセグメント、非晶部分がソフトセグメントとなるが、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を特定の範囲で含むことで、ハードセグメント及びソフトセグメントのバランスが保たれ、破断強度及び破断延びに優れると考えられる。さらに、式(1)で表される繰り返し単位だけでは、ポリエステル樹脂の結晶性が強すぎるのに対し、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を特定の範囲で含むことで、結晶性の高い成分と低い成分のバランスが良くなり、ポリエステル樹脂の透明性も向上すると推測される。
本発明のポリエステル樹脂中において、式(2)で表される繰り返し単位の割合は、0.5モル%以上であり、好ましくは1.0モル%以上、更に好ましくは1.5モル%以上である。また、50モル%以下であり、好ましくは45モル%以下、更に好ましくは40モル%以下である。これらの範囲であることで、ポリエステル樹脂中の、結晶部分と非晶部分のバランスが良好となり、破断強度及び透明性が向上する傾向になる。
式(2)で表される繰り返し単位の割合を上記範囲にする方法は特に限定されないが、例えば、本発明のポリエステル樹脂の製造において、Bを含むジオール単位の数平均分子量から、式(1)で表される繰り返し単位のモル数及び式(2)で表される繰り返し単位のモル数を計算して、Bを含むジオール単位の仕込み量を調整する方法等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を複数有していてもよい。また、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位以外の単位を含んでいてもよい。
<式(1)で表される繰り返し単位>
式(1)で表される繰り返し単位は、Aを含むジオール単位及び2,5−フランジカルボン酸単位を含む。
(A)
式(1)中のAは、脂肪族炭化水素基である。
(脂肪族炭化水素基)
脂肪族炭化水素基としては、直鎖、環状及びこれらを組み合わせた基が挙げられ、これらは分岐を有していてもよい。また、不飽和結合を有していてもよい。具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、シクロアルキニレン基及びこれらを組み合わせた基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは2以上であり、好ましくは炭素数20以下、更に好ましくは18以下、特に好ましくは16以下である。これらの範囲であることで、ポリエステル樹脂の重合性が向上する傾向にある。
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよく、例えば、炭素数1以上、4以下のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、重合性の向上の点から、置換基を有しない又は置換基として炭素数1以上、4以下のアルキル基を有することが好ましく、置換基を有しないことがさらに好ましい。
これらの中でも、環状の脂肪族炭化水素基を含むものが、ポリエステル樹脂の機械物性が良好となるため好ましい。
直鎖の脂肪族炭化水素基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、−COC−、−CH(C)CH−、−CH(CH)C−、−CHCH(C)CH(C)−等が挙げられる。これらの中でも、直鎖のアルキレン基が好ましく、特に、ブチレン基が、ポリエステル樹脂において、結晶性の高いハードセグメントが得られる傾向にあるため好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、例えば、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、フラン由来の基、イソソルバイト由来の基等が挙げられる。これらの中でも、シクロアルキレン基が好ましく、特にシクロヘキシレン基が、ポリエステル樹脂の耐熱性向上及びポリエステル樹脂の製造容易性の点から好ましい。
直鎖及び環状の脂肪族炭化水素基を組み合わせた基は、上記の直鎖及び環状の脂肪族炭化水素基の例として挙げた基を組み合わせたものが挙げられる。例えば、シクロブタンジメチレン基、シクロヘキサンジメチレン基、シクロオクタンジメチレン基、シクロデカンジメチレン基、シクロドデカンジメチレン基、2,5−フランジメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖の脂肪族炭化水素基の炭素数が1以上、4以下であり、環状の脂肪族炭化水素基の炭素数が5以上、10以下であるものを組み合わせた基が好ましく、さらに、シクロヘキサンジメチレン基が好ましい。これらの基であることで、合成容易性、破断強度及び破断延びに優れる傾向にある。
<式(2)で表される繰り返し単位>
式(2)で表される繰り返し単位は、Bを含むジオール単位及び2,5−フランジカルボン酸単位を含む。
(B)
式(2)中のBは、数平均分子量が200以上、6000以下のポリオキシアルキレン基である。ポリオキシアルキレン基の平均分子量は200以上であり、好ましくは300以上、更に好ましくは400以上である。また、6000以下であり、好ましくは5500以下、更に好ましくは5000以下である。数平均分子量が上記下限値以上であることで、ポリエステル樹脂の機械的性能が得られる傾向にあり、また、上記上限値以下であることで、ポリエステル樹脂が相分離せず、機械的性能も得られる傾向にある。
数平均分子量は沸点上昇、凝固点降下、末端基定量、蒸気圧浸透、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等で測定することができる
ポリオキシアルキレン基中の繰り返し単位である、オキシアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1以上であり、炭素数2以上が好ましく、また、炭素数10以下が好ましく、炭素数8以下が更に好ましい。また、オキシアルキレン基は直鎖でも分岐であってもよい。
ポリオキシアルキレン基は、例えば、下記構造で表される基、又はそれらの誘導体が挙げられる。下記構造中のnは特に限定されず、上記のBの数平均分子量となるように適宜調整することができる。
Figure 2016102173
Bは上記の中でも、以下構造であることが、ポリエステル樹脂の機械的性能が高い傾向にあるため好ましい。
Figure 2016102173
<その他の構成単位>
本発明のポリエステル樹脂は、上記の式(1)及び式(2)にそれぞれ含まれる、2,5−フランジカルボン酸単位及びジオール単位以外にも、他のジカルボン酸単位及び/又
はジオール単位を有するものであってもよく、ジカルボン酸単位及びジオール単位以外の共重合成分に由来する構成単位を有していてもよい。本発明のポリエステル樹脂による効果を確実に得る上で、本発明のポリエステル樹脂に含まれる式(1)及び式(2)以外のその他の成分に由来する構成単位の含有量は、ポリエステル樹脂を構成する原料モノマー(単量体)に由来する全構成単位に対して10モル%以下、特に5モル%以下であることが好ましい。
式(1)及び式(2)以外のその他の成分の構成単位は、例えば、後述の本発明のポリエステル樹脂の製造方法に従って本発明のポリエステル樹脂を製造する際に、原料として、式(1)及び式(2)の成分共重合可能な原料モノマーを用いることにより導入される。
その共重合可能な原料モノマーとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノール
、脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ジアミン、およびこれらの誘導体、更には、3官能以上の官能基を有する化合物等が挙げられる。
共重合可能な脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカン二酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらは酸無水物であってもよい。また、脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸の誘導体としては、これらの脂肪族(脂環式も含む)ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。これらの中で、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、ダイマー酸及びドデカン二酸、またそれらの低級アルキル(例えば炭素数1〜4のアルキル)エステル誘導体が好ましく、特にはコハク酸及びコハク酸の低級アルキルエステル誘導体、又はその混合物が好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
共重合可能なヒドロキシカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸誘導体としては、分子中に1個の水酸基とカルボキシル基を有する化合物又はその誘導体であれば特に限定されるものではない。ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、マンデル酸、サリチル酸、及びこれらのエステル、酸塩化物、酸無水物等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
また、これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでも良く、形態としては固体、液体、又は水溶液のいずれであってもよい。
3官能以上の官能基を有する化合物としては、3官能以上の多価アルコール;3官能以上の多価カルボン酸或いはその無水物、酸塩化物、又はエステル;及び3官能以上のヒドロキシカルボン酸或いはその無水物、酸塩化物、又はエステル;3官能以上のアミン類;からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
3官能以上の多価アルコールとしては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、具体的には、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
3官能以上のヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、ビスヒドロキシメチル酪酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のポリエステル樹脂が、3官能以上の官能基を有する化合物に由来する構成単位を含む場合、その含有割合は、本発明のポリエステル樹脂を構成する全構成単位の合計に対して、5モル%以下であり、好ましくは4モル%以下、最も好ましくは3モル%以下である。
本発明のポリエステル樹脂中の3官能以上の官能基を有する化合物に由来する構成単位
の含有割合が上記範囲であることで、ポリマーの架橋が適当に進行し、安定にストランドを抜き出すことができる傾向になる。また、成形性が得られ易くなり、機械物性等が維持される傾向にある。
<鎖延長剤、末端封止剤>
本発明のポリエステル樹脂の製造に際し、ジイソシアネート、ジフェニルカーボネート、ジオキサゾリン、珪酸エステル等の鎖延長剤を使用しても良く、特に、ジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物を使用する場合は、これらのカーボネート化合物をポリエステル樹脂の全構成単位に対して20モル%以下、好ましくは10モル%以下添加して、ポリエステルカーボネートを得ることもできる。
この場合、カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物も使用可能である。
また、ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが例示できる。
珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が例示できる。
また、溶融テンションを高めるために、少量のパーオキサイドを添加してもよい。
これらはいずれも1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明においては、ポリエステル樹脂のポリエステル末端基をカルボジイミド、エポキシ化合物、単官能性のアルコール又はカルボン酸で封止してもよい。
この場合、末端封止剤のカルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)が挙げられ、具体的には、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が例示される。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
[ポリエステル樹脂の製造方法]
本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、ポリエステル樹脂の製造に関する公知の方法が採用できる。
また、この際の反応条件は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
具体的には、本発明のポリエステル樹脂は、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位の原料である、2,5−フランジカルボン酸成分及びジオール成分と、必要に応じて
用いられる他の共重合成分等を用いて、エステル化反応又はエステル交換反応を行い、引き続いて重縮合反応を行うことにより製造することができる。また、反応に際しては、必要に応じて、前述の鎖延長剤や末端封止剤を用いてもよい。
エステル化又はエステル交換反応は、2,5−フランジカルボン酸成分及びジオール成分と、必要に応じて用いられるその他の共重合成分等を、攪拌機及び留出管を備えた反応槽に仕込み、好ましくは触媒の存在下、不活性ガス雰囲気の減圧下に攪拌しつつ、反応により生じた水分等の副生成物を系外へ留去しながら反応を進行させることにより行われる。原料の使用比率、すなわち、ジカルボン酸成分の合計に対するジオール成分の合計のモル比は通常1.0〜2.0モル倍である。
<式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位の原料>
(式(1)で表される繰り返し単位中のジオール単位)
式(1)で表される繰り返し単位に含まれるジオール単位は、例えば、後述の本発明のポリエステル樹脂の製造方法に従って、ポリエステル樹脂を製造する際に、上述したAの脂肪族炭化水素基に水酸基が2つ結合したジオール等の1種又は2種以上を用いることにより導入することができる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロブタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジメタノール、シクロデカンジメタノール、シクロドデカンジメタノール、2,5−フラン、ジメタノール、イソソルバイド等を含むジオールが挙げられる。
(式(2)で表される繰り返し単位中のジオール単位)
式(B)で表される繰り返し単位に含まれるジオール単位の原料としては、上述したBのポリオキシアルキレン基に水酸基及び水素原子が結合したポリアルキレングリコールが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、またはそれらの誘導体である両末端エチレンオキサイド付加物が挙げられる。
(式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位中の2,5−フランジカルボン酸単位)式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位中の2,5−フランジカルボン酸単位は、例えば、後述の本発明のポリエステル樹脂の製造方法に従って本発明のポリエステル樹脂を製造する際に、ジカルボン酸原料として2,5−フランジカルボン酸及び/又はその誘導体(以下、これらを「2,5−フランジカルボン酸成分」と称す場合がある。)を用いることにより導入される。ここで、2,5−フランジカルボン酸の誘導体としては炭素数1〜4のアルキルエステルが挙げられ、中でもメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル等が好ましく、更に好ましくはメチルエステルである。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<触媒>
触媒としては、ポリエステル樹脂の製造に用いることのできる任意の触媒を選択することができるが、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、鉛、セシウム、マンガン、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、カドミウム等の金属化合物が好適である。中でも、高活性の点から、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、スズ化合物、亜鉛化合物、鉛化合物が好適であり、特に好適にはチタン化合物が挙げられる。
触媒として使用されるチタン化合物としては、特に制限されるものではなく、好ましい例としてテトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラヒドロキシエチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタン等の有機チタン化合物が挙げられる。これらの中では価格や入手の容易さ等から、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等が好ましく、高活性の点から、最も好ましい触媒はテトラブチルチタネートである。
これらの触媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。また、本発明の目的を損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。
触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対する触媒中の金属換算量で、下限値は好ましくは0.0001重量%、より好ましくは0.0005重量%、更に好ましくは0.001重量%である。また、上限値は好ましくは1重量%、より好ましくは0.5重量%、更に好ましくは0.1重量%である。触媒の使用量が上記下限値以上であることで、重合反応の反応速度を上げることができ、また上記上限値以下であることで、触媒に関する製造コストが抑えられ、また触媒残渣が低下し、得られるポリエステル樹脂の安定性が得られる傾向にある。
触媒の添加時期は、減圧反応開始以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいても良く、減圧開始時に添加してもよい。原料仕込み時と減圧開始時に分けて添加しても良い。
<反応条件>
本発明のポリエステル樹脂の製造は、エステル化またはエステル交換反応によって生成する留出物を反応系外に留去させながら重合度を高めていくことにより行われる。反応は加熱と減圧を適用することによって進行させる。この場合の温度条件は、通常150〜300℃、好ましくは160〜290℃、更に好ましくは160〜280℃の範囲で選ぶのがよい。任意の温度に到達した時点で減圧を開始し、最終的な減圧度は1.33×10Pa以下、より好ましくは0.40×10Pa以下の条件で選ぶのがよい。減圧時間は1時間以上、好ましくは2〜15時間の範囲で選ぶのがよい。
これらの反応条件のうち、特に重合温度が上位範囲であることで、熱分解、着色、副反応が抑制され、末端酸価が大きくなり過ぎず、十分な重合度を有するポリエステル樹脂が得られる傾向にある。
上記溶融重合によって得られたポリエステル樹脂を融点以下の温度で固相重合してもよい。本発明のポリエステル樹脂は高い結晶性を有するため、固相重合によって容易に分子量を上げることが可能である。この場合、ペレット状または粉末状のポリエスエル樹脂を窒素ガス雰囲気下、または減圧下において加熱する。この場合の温度条件は、80〜260℃、好ましくは100〜250℃の範囲で選ぶのがよい。固相重合を行った場合には、溶融重合より低い温度で重合反応が行われるため、熱分解や副反応が抑えられ、末端酸価が低く、着色が良好で、分子量の大きな樹脂が得られやすい傾向にある。
[ポリエステル樹脂の物性]
<還元粘度>
本発明のポリエスエル樹脂の還元粘度(ηsp/c)は、0.5dL/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.6dL/g以上、さらに好ましくは0.7dL/g以上である。また、4.0dL/g以下であることが好ましく、より好ましくは3.8dL
/g以下、さらに好ましくは3.5dL/g以下である。還元粘度が上記範囲であることで、フィルムや射出成形品を成形することができ、成形品の強度が高まる傾向にある。 ポリエスエル樹脂の還元粘度(ηsp/c)は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
<光線透過率>
本発明のポリエステル樹脂の光線透過率は75%以上であることが好ましく、より好ましくは78%以上、さらに好ましくは80%以上である。また上限は無く、高い方が好ましい。本発明のポリエステル樹脂の光線透過率は、ポリエステル樹脂を厚さ200μmのフィルムとし、紫外可視分光光度計で400nmから800nmまでの波長の間の光線透過率を測定し、50nmごとの値を平均して求めることで求められる。
<引張破断強度及び引張破断伸び>
本発明のポリエステル樹脂の引張破断強度は12MPa以上が好ましく、より好ましくは15MPa以上、更に好ましくは20MPa以上である。上限は特になく、大きい方が好ましい。引張強度が12MPa以上であることで、実用的材料として十分な強度を得ることができる傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂の破断伸びは、200%以上であることが好ましく、より好ましくは250%以上、更に好ましくは300%以上である。上限は特になく、大きい方が好ましい。破断伸びが200%以上であることで、実用的材料として十分な柔軟性を得ることができる傾向にある。
なお、ポリエステル樹脂の引張破断強度及び引張破断伸びは、ポリエステル樹脂を成形して得られたサンプルフィルムの引張試験における破断時の応力又は伸びであり、例えば、以下の引張試験により測定される。
<引張試験>
ポリエステル樹脂を熱プレスし、所定厚み(200μm)のプレスフィルムを作製する。得られたプレスフィルムからサンプルをダンベル形状に打ち抜き、JIS K7127に従って引張試験を行い、引張破断強度及び引張破断伸びを測定する。
[ポリエステル樹脂]
本発明のポリエステル樹脂には、その特性が損なわれない範囲において、各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
これらの添加剤は、重合反応前に反応装置に添加してもよいし、重合反応開始から重合反応終了の前に搬送装置等に添加してもよいし、重合反応終了後、生成物の抜出前に添加してもよい。また、抜出後の生成物に添加してもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂の成形時には、上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、窒化ホウ素、CaCO、TiO、シリカ、層状ケイ酸塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の結晶核剤、強化剤、増量剤等を添加して成形してもよい。
本発明のポリエステル樹脂には、また、各種無機系又は有機系フィラーを添加してもよい。無機系フィラーとしては、無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても
良く、2種以上を混合して使用してもよい。
無機系フィラーを含むポリエステル樹脂の場合、ポリエステル樹脂中のこれらの無機系フィラーの含有量は、通常1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上であり、更に好ましくは5重量%以上である。また、通常80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下であり、更に好ましくは60重量%以下である。
有機系フィラーとしては、生澱粉、加工澱粉、パルプ、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、竹粉末、樹皮粉末、ケナフや藁等の粉末等が挙げられる。また、パルプ等の繊維をナノレベルに解繊したナノファイバーセルロース等も挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
有機系フィラーを含むポリエステル樹脂の場合、ポリエステル樹脂中のこれらの有機系フィラーの含有量は、通常0.1重量%以上であり、好ましくは1重量%以上である。また、通常70重量%以下であり、好ましくは50重量%以下である。
ポリエステル樹脂中の無機系フィラー、有機系フィラーの含有量が上記下値限以上であることで、添加効果が十分に得られ、上記上限値以下であることで、ポリエステル樹脂の引張伸び及び耐衝撃性が得られる傾向にある。
結晶核剤としては、タルク、窒化ホウ素、シリカ、層状ケイ酸塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが好ましく、さらには、タルク、ポリエチレンワックスが好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用してもよい。
結晶核剤が無機材料の場合、核剤の添加効果の面から、その粒径は小さいほど好ましい。好ましい結晶核剤の平均粒径は5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.5μm以下である。なお、結晶核剤の平均粒径の下限については0.1μmである。
本発明のポリエステル樹脂に結晶核剤を添加する場合、結晶核剤の好ましい添加量は、ポリエステル樹脂に対して0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。また、結晶核剤の添加量の上限はポリエステル樹脂に対して30重量%、より好ましくは10重量%、さらに好ましくは5重量%、最も好ましくは1重量%である。結晶核剤の添加量が上記下限以上であることで、結晶核剤を添加したことによる結晶化促進の効果を十分に得ることができる。また、上記上限以下であることで、ポリエステル樹脂の機械物性及びしなやかさが得られる傾向にある。
なお、核剤としての機能を目的として添加しない場合でも、他の効果の目的、例えば剛性改良のため添加する無機フィラー、熱安定剤として添加する有機安定剤等も核剤として作用したり、樹脂の製造過程或いは成形加工過程で混入した無機物或いは有機物の異物等も結晶核剤となり得る。従って、本発明でいう結晶核剤とは常温で固体であるすべての無機物及び有機物が該当する。
[ポリエステル樹脂の用途]
本発明のポリエステル樹脂は、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形に供することが出来る。
その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸
延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は、特に射出成形体、押出し成形体、発泡成形体及び中空成形体への適用が好ましい。
また、これらの成形品には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能等の表面機能等の付与を目的として、各種の二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング等)等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における各種物性等の測定方法は次の通りである。
<還元粘度>
実施例及び比較例で得られたポリエステル樹脂を、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン (50wt%/50wt%)の混合溶媒に0.5g/dlで溶解し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した溶液粘度から求めた。
<重合速度>
還元粘度の値を重合時間で除して求めた。
<融点>
示差走査熱量計により評価した。装置はエスアイアイ・ナノテクノロジー社製のDSC6220を用い、10℃/分で昇温した時の吸熱ピークを融点とした。
<引張試験>
実施例及び比較例で得られたポリエステル樹脂を、井元製作所製MH−10プレス機(ラム径40mmΦ、160mm角 )を用い、ポリエステル樹脂の融点より10−60℃高い温度で熱プレスを行い、厚み200μmのプレスフィルムを作製した。得られたプレスフィルムからサンプルをダンベル形状に打ち抜き、JIS K7127に従って引張試験を行い、破断強度及び破断伸びを測定した。
<光線透過率>
引張試験と同様にして得られた200μmのプレスフィルムを、島津製作所製UV−2500PC紫外可視分光光度計で、400nmから800nmまでの波長の間の光線透過率を測定し、50nm毎の値を平均して求めた。
[実施例1]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、2,5−フランジカルボン酸ジメチル62.7重量部、シクロヘキサンジメタノール48.9重量部、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)10.0重量部、テトラブチルチタネートを予め6重量%溶解させたトルエン溶液0.11重量部及び酸化防止剤として、イルガノックス1330(商品名:BASFジャパン製、4,4’,4”-[(2,
4,6-トリメチル-1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[2,6-ビス(
1,1-ジメチルエチル)フェノール]0.2重量部を仕込んだ。
反応容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。30分で160℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間30分かけて275℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、テトラブチルチタネートを予め6重量%溶解させたトルエン溶液0.24重量部を追加して添加した。次に1時間30分かけて0.2×10Pa以下になるように減圧し、275℃で加熱減圧状態を保持したまま重合を2時間継続した後重合を終了し、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の還元粘度ηsp/cは0.985dL/g、融点は263℃であった。また、このポリエステル樹脂を300℃で熱プレスして得られたプレスフィルムの引張破断強度は、52.5MPa、破断伸びは300%及び光線透過率は82.5%であった。
[比較例1]
実施例1と同様の反応容器に、原料として、テレフタル酸ジメチル63.7重量部、シクロヘキサンジメタノール47.1重量部、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)10.0重量部、テトラブチルチタネートを予め6重量%溶解させたトルエン溶液0.59重量部及び酸化防止剤として、0.2重量部のイルガノックス1330を仕込んだ。
容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。30分で160℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間かけて305℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。次にチタンテトラブチレートを予め6重量%溶解させたトルエン溶液0.24重量部を追加して添加した。次に1時間30分かけて0.2×10Pa以下になるように減圧し、305℃で加熱減圧状態を保持したまま重合を3時間継続した後重合を終了し、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の還元粘度ηsp/cは0.323dL/g、融点は282℃であった。また、このポリエステル樹脂は320℃で熱プレスを行ったが、分子量が低すぎてプレスフィルムを形成できなかった。
[実施例2]
実施例1と同様の反応容器に、原料として、2,5−フランジカルボン酸ジメチル27.9重量部、シクロヘキサンジメタノール13.8重量部、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)60.0重量部、チタンテトラブチレートを予め6重量%溶解させたトルエン溶液0.59重量部、及び酸化防止剤として、イルガノックス1330(商品名 BASFジャパン製、4,4’,4”-[(2,4,6-トリメチル-1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール]0.20重量部を仕込んだ。
反応容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。30分で160℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間かけて210℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。さらに1時間かけて260℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。次にチタンテトラブチレートを予め6重量%溶解させたトルエン溶液0.19重量部を追加して添加した。次に、1時間30分かけて0.2×10Pa以下になるように減圧し、260℃で加熱減圧状態を保持したまま重合を4.5時間継続した後重合を終了し、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の還元粘度ηsp/cは1.867dL/g、融点は179℃であった。また、このポリエステル樹脂を210℃で熱プレスして得られたプレスフィルムの引張破断強度は20.0MPa、破断伸びは990%及び光線透過率は88.0%
であった。
[実施例3、4、比較例2〜6]
実施例1と同様の反応容器に、表−1に記載した組成、触媒量、重合温度・時間で重合させ、ポリエステル樹脂をそれぞれ得た。得られたポリエステル樹脂の還元粘度、融点、プレス温度、引張破断強度、破断伸び及び光線透過率の値を表1に示した。
Figure 2016102173
実施例1に示すように、本発明の式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含むポリエステル樹脂は、重合性、破断強度及び透明性にバランスよく優れていた。一方、比
較例1のDMTを用いたポリエステル樹脂は分子量が低く、プレスフィルムを形成することができなかった。同様に、実施例2及び比較例2、実施例3及び比較例3並びに実施例4及び比較例4からも、本発明の式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含むポリエステル樹脂は、重合性、破断強度及び透明性にバランスよく優れていることが示された。
本発明の式(2)で表される繰り返し単位を含まないポリエステル樹脂である比較例5は、破断延びが低く、本発明の式(2)で表される繰り返し単位が多すぎるポリエステル樹脂である比較例6は、引張破断強度が低いことが示された。

Claims (5)

  1. 式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位を含み、ポリエステル樹脂中の式(2)で表される繰り返し単位の割合が、0.5モル%以上、50モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
    Figure 2016102173
    (1)
    [式(1)において、Aは脂肪族炭化水素基を表す。]
    Figure 2016102173
    (2)
    [式(2)において、Bは数平均分子量が200以上、6000以下のポリオキシアルキ
    レン基を表す。]
  2. 前記式(1)のAが環状の脂肪族炭化水素基を含むものである、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 前記ポリエステル樹脂の還元粘度が0.5dl/g以上である、請求項1又は2に記載の
    ポリエステル樹脂。
  4. 前記ポリエステル樹脂の引張破断強度が12MPa以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
  5. 厚み200μmにおける光線透過率が75%以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載のポリエステル樹脂。
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