以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
なお、同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17と、インナーライナ18と、一対のチェーファ20、20とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
例えば、図1の構成では、カーカス層13が、単層構造を有し、左右のビードコア11、11間に連続して架け渡されている。また、カーカス層13の両端部が、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止されている。
しかし、これに限らず、カーカス層13が、左右一対のカーカスプライから成り、トレッド部に分断部を有してタイヤ幅方向に分離した構造(カーカス分割構造)を有しても良い(図示省略)。具体的には、左右一対のカーカスプライのタイヤ径方向内側の端部が、タイヤ左右のビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側にそれぞれ巻き返されて係止される。また、左右一対のカーカスプライのタイヤ径方向外側の端部が、トレッド部センター領域にてタイヤ幅方向に相互に分離して配置される。かかるカーカス分割構造では、トレッド部センター領域に中抜き部(カーカスプライを有さない領域)が形成される。このとき、この中抜き部におけるタイヤの張力がベルト層14により担持され、左右のサイドウォール部における剛性が左右のカーカス層13、13によりそれぞれ確保される。これにより、タイヤの内圧保持能力およびサイドウォール部の剛性が維持されつつ、タイヤの軽量化が図られる。
また、カーカスコードのコートゴムの60[℃]のtanδ値が、0.20以下であることが好ましい。また、カーカスコードのコートゴムの体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上であることが好ましい。これらにより、タイヤの転がり抵抗が低下する。かかる体積抵抗率を有するコートゴムは、例えば、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用することにより生成される。さらに、コートゴムは、シリカを使用せずに構成されても良いし、シリカを含有させて補強されても良い。
60[℃]のtanδ値は、(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、振幅±0.5%、周波数20Hzの条件で測定される。
体積抵抗率(体積固有抵抗)は、JIS K6271規定の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に基づいて測定される。一般に、体積抵抗率が1×10^8[Ω・cm]未満、もしくは表面抵抗率が1×10^8[Ω/cm]未満の範囲にあれば、部材が静電気の帯電を抑制可能な導電性を有するといえる。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上65[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。また、トレッドゴム15は、キャップトレッド151と、アンダートレッド152とを有する。
キャップトレッド151は、タイヤ接地面を構成するゴム部材であり、単層構造を有しても良いし(図1参照)、多層構造を有しても良い(図示省略)。キャップトレッド151の60[℃]のtanδ値は、0.25以下であることが好ましい。また、キャップトレッド151の体積抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、1×10^10[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましく、1×10^12[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましい。これらにより、タイヤの転がり抵抗が低下する。かかる体積抵抗率をもつキャップトレッド151は、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。
アンダートレッド152は、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層される部材である。アンダートレッド152の体積抵抗率は、キャップトレッド151の体積抵抗率よりも低いことが好ましい。
一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。サイドウォールゴム16の60[℃]のtanδ値は、0.20以下であることが好ましい。また、サイドウォールゴム16の体積抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、1×10^10[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましく、1×10^12[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましい。これらにより、タイヤの転がり抵抗が低下する。かかる体積抵抗率をもつサイドウォールゴム16は、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。
一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムRのリムフランジ部に対する左右のビード部の接触面を構成する。リムクッションゴム17の体積抵抗率は、1×10^7[Ω・cm]以下であることが好ましい。
なお、キャップトレッド151の体積抵抗率の上限値、アンダートレッド152の体積抵抗率の下限値、サイドウォールゴム16の体積抵抗率の上限値およびリムクッションゴム17の体積抵抗率の下限値は、特に限定がないが、これらがゴム部材であることから物理的な制約を受ける。
インナーライナ18は、タイヤ内表面に配置されてカーカス層13を覆う空気透過防止層であり、カーカス層13の露出による酸化を抑制し、また、タイヤに充填された空気の洩れを防止する。また、インナーライナ18は、例えば、ブチルゴムを主成分とするゴム組成物、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物などから構成される。特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー組成物から成る構成では、インナーライナ18がブチルゴムから成る構成と比較して、インナーライナ18を薄型化できるので、タイヤ重量を大幅に軽減できる。
なお、インナーライナ18の空気透過係数は、一般に、温度30[℃]でJIS K7126−1に準拠して測定した場合に、100×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下であることが好ましく、50×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下であることがより好ましい。また、インナーライナ18の体積抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、一般に1×10^9[Ω・cm]以上であることが好ましい。
ブチルゴムを主成分とするゴム組成物としては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ブチル系ゴムなどが採用され得る。ブチル系ゴムは、例えば、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)などのハロゲン化ブチルゴムであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などが採用され得る。
エラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)〕、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、シリコーンゴム〔例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム〕、含イオウゴム〔例えばポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕などが採用され得る。
[帯電抑制構造]
空気入りタイヤでは、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するために、アーストレッドを用いた帯電抑制構造が採用されている。アーストレッドは、トレッドゴムに埋設されてタイヤ接地面に露出する導電ゴムである。この帯電抑制構造では、車両からの静電気がベルト層からアーストレッドを介して路面に放出されて、車両の帯電が抑制される。
一方で、近年では、上記のように、タイヤの転がり抵抗を低減して低燃費性能を向上させるために、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドウォールゴムなどを構成するゴムコンパウンドのシリカ含有量を増加させる傾向にある。シリカは絶縁特性が高いため、キャップトレッドのシリカ含有量が増加すると、キャップトレッドの体積抵抗値が増加してタイヤの帯電抑制性能が低下する。
そこで、この空気入りタイヤ1は、帯電抑制性能を向上させるために、以下の構成を採用している。
図2は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。図3は、図2に記載したアーストレッドを示す拡大断面図である。これらの図において、図2は、トレッド部のタイヤ子午線方向の拡大断面図を示している。また、アーストレッド51および導電部52にはハッチングを付してある。
図1に示すように、この空気入りタイヤ1は、帯電抑制構造5として、アーストレッド51および導電部52を備える。
アーストレッド51は、図2に示すように、トレッドゴム15の踏面に露出し、キャップトレッド151およびアンダートレッド152を貫通してベルト層14(ベルトカバー143)に導電可能に接触する。これにより、ベルト層14から路面への導電経路が確保される。また、アーストレッド51は、タイヤ全周に渡って延在する環状構造を有し、その一部をトレッド踏面に露出させつつタイヤ周方向に連続的に延在する。したがって、タイヤ転動時にて、アーストレッド51が常に路面に接触することにより、ベルト層14から路面への導電経路が常に確保される。
また、アーストレッド51は、トレッドゴム15よりも低い体積抵抗率を有する導電性ゴム材料から成る。具体的には、アーストレッド51の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]未満であることが好ましく、1×10^6[Ω・cm]以下であることがより好ましい。
図4は、図2に記載した導電部の配置構造を示す説明図である。図5は、単体の導電部を示す説明図である。これらの図において、図4は、ベルトカバー143および導電部52の径方向断面図を模式的に示している。また、図5は、導電部52の撚り線構造を示している。
導電部52は、図1および図2に示すように、1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率を有し、少なくともビード部からベルト層14まで連続して延在する。また、少なくとも1本の導電部52が配置される。これにより、ビード部からベルト層14までの導電経路が確保される。
ビード部とは、リム径の測定点からタイヤ断面高さSHの1/3までの領域をいう。
タイヤ断面高さSHとは、タイヤ外径とリム径との差の1/2をいい、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
また、図4の構成では、導電部52が、導電線状体521を含む線状構造を有している。かかる導電部52は、少なくとも1本の導電線状体521を含む複数本の線状体を撚り合わせて成る撚り線構造を有しても良いし(図5参照)、導電物質から成る単線のコードであっても良い(図示省略)。導電部52が線状構造を有する構成では、導電部がタイヤに追加設置されたゴム層から成る構成と比較して、タイヤの転がり抵抗が小さい点で好ましい。
導電線状体521は、1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率をもつ導電物質を線状に成形して成る線状体である。したがって、導電線状体521は、導電性物質から成る単繊維自体、糸自体、あるいは、コード自体を意味する。したがって、例えば、金属や炭素繊維などから成るコード、ステンレスなどの金属を繊維化して成る金属繊維などが、導電線状体521に該当する。
導電部52の撚り線構造(図5参照)としては、例えば、(1)複数本の炭素繊維を撚り合わせて成る構造、(2)1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率を持つ導電線状体521と、1×10^8[Ω/cm]以上の電気抵抗率をもつ非導電線状体522とを撚り合わせて成る構造などが挙げられる。線状体の撚り線構造は、特に限定がなく、任意のものを採用できる。
上記(2)における非導電線状体522としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などを採用できる。特に、導電部52が、金属繊維から成る導電線状体521と、ポリエステル繊維から成る非導電線状体522とを撚り合わせて成る混紡糸であることが好ましい。
電気抵抗率[Ω/cm]は、繊維の糸長方向に長さ3[cm]以上の試験片を採取し、試験片の間(両端間)に500[V]の電圧をかけて、測定環境20[℃]、20[%]RHの条件下、東亜電波工業(株)製の抵抗値測定機「SME−8220」を使用して測定される。
また、導電部52の総繊度が、20[dtex]以上1000[dtex]以下の範囲にあることが好ましく、150[dtex]以上350[dtex]以下の範囲にあることがより好ましい。総繊度の下限を上記の範囲とすることにより、タイヤ製造時における導電部52の断線が抑制される。また、総繊度の上限を上記の範囲とすることにより、タイヤ転動時における導電部52の断線が抑制される。
総繊度は、JIS L1017(化学繊維タイヤコード試験方法 8.3 正量繊度)に準拠して測定される。
また、導電部52の伸度が、1.0[%]以上70.0[%]以下の範囲にあることが好ましい。伸度を1.0[%]以上とすることにより、タイヤ製造時における導電部52の断線が抑制される。また、伸度を70.0[%]以下とすることにより、タイヤ転動時における導電部52の断線が抑制される。
線状体の伸度は、JIS L1017(化学繊維タイヤコード試験方法 8.5 引張強さ及び伸び率)に準拠して測定される。
例えば、図1の構成では、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域に、導電部52がそれぞれ配置されている。また、1つの領域にて、複数本の導電部52が、タイヤ周方向に所定間隔をあけて配置されている。
また、図2に示すように、導電部52が、カーカス層13に沿ってタイヤ径方向に連続的に延在して、ビード部からベルト層14まで延在している。また、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11の近傍に位置してリムクッションゴム17に接触している。これにより、リム嵌合面からリムクッションゴム17を介して導電部52に至る導電経路が確保されている。また、導電部52のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層14に対してタイヤ幅方向にラップする位置まで延在している。これにより、導電部52からベルト層14に至る導電経路が確保されている。
このとき、ベルト層14と導電部52とのラップ幅Laが、3[mm]≦Laの範囲にあることが好ましい。ラップ幅Laの上限は、特に限定がなく、導電部52がタイヤ赤道面CLを越えて左右のビード部に跨って延在しても良い。
ラップ幅Laは、タイヤ子午線方向の断面視にて、ベルト層14のうち最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部(最もタイヤ幅方向外側にあるベルトコード)から導電部52に垂線を引き、この垂線の足P2から導電部52の端部までの導電部52の表面長さとして測定される。
また、図1の構成では、導電部52が、ヤーンであり、カーカス層13と隣接部材との間に挟み込まれて配置される。また、図5に示すように、導電部52が、1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率をもつ導電線状体521と、1×10^8[Ω/cm]以上の電気抵抗率をもつ非導電線状体522とを撚り合わせて成る撚り線構造を有している。
ヤーンとは、カーカス層13の表面に沿って配置される線状体であり(図5参照)、グリーンタイヤ成型工程にて、カーカス層13と隣接部材との間に微少な隙間を形成して残留エアを排出させる機能を有する。
例えば、図1の構成では、図2および図4に示すように、導電部52が、カーカス層13の内周面側に位置し、カーカス層13とインナーライナ18およびタイゴム19との間に挟み込まれて配置されている。
このとき、導電部52とインナーライナ18との距離が、1.0[mm]以下であることが好ましく、0.5[mm]以下であることがより好ましい。特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂から成る構成では、タイヤ転動時の摩擦により静電気が発生して、インナーライナ18が帯電する。したがって、導電部52がインナーライナ18に近接して配置されることにより、インナーライナ18から導電部52への導電経路が適正に確保される。
上記の構成では、車両に発生した静電気が、リムRからリムクッションゴム17、導電部52およびベルト層14(およびアンダートレッド152)を通ってアーストレッド51から路面に放出される。これにより、静電気による車両の帯電が抑制される。
なお、リムクッションゴム17、カーカス層13のコートゴムおよびベルト層14のコートゴムは、リムRからアーストレッド51に至る導電経路となる。このため、これらのゴムの体積抵抗率が低く設定されることが好ましい。これにより、リムRからアーストレッド51に至る導電効率が向上する。
また、図2の構成では、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11の近傍まで延在してリムクッションゴム17に接触している。かかる構成では、リム嵌合面からリムクッションゴム17を介して導電部52に至る導電経路が適正に確保される点で好ましい。
しかし、これに限らず、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11の径方向内側まで延在しても良い(図示省略)。また、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11を包み込むように巻き上げられて配置されても良い(図示省略)。これにより、リム嵌合面から導電部52への導電性がさらに向上する。また、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、リムクッションゴム17に接触することなく、例えば、ビードフィラー12の近傍で終端しても良い(図示省略)。かかる構成としても、リム嵌合面から導電部52への導電性が必要十分に確保される。
[導電部の弛み構造]
タイヤ転動時には、サイドウォール部やベルト層14の端部などが繰り返し屈曲変形する。このため、上記のように、導電部52がビード部からベルト層14まで連続して延在する構成では、導電部52の断線を抑制して、導電部52の耐久性を向上すべき課題がある。
そこで、この空気入りタイヤ1では、導電部52が以下の配置構造を有している。
図6は、図2に記載した導電部の弛み構造を示す説明図である。同図は、導電部52の配置領域の展開図を概念的に示している。
なお、図6において、ビード部は、上記のように、リム径の測定点からタイヤ断面高さSH(図2参照)の1/3までの領域として定義される。また、サイドウォール部とトレッド部との境界は、一般に曖昧であるが、ここでは、ベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層13に下ろした垂線を基準として定義する。
上記のように、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、線状構造を有し、ビード部からベルト層14まで連続して延在する(図2参照)。このとき、図6に示すように、導電部52が、大きな弛みをもって配置される領域を有する。かかる構成では、タイヤ転動時にてタイヤが繰り返し屈曲変形したときに、導電部52に作用する張力が緩和される。これにより、導電部52の断線が防止されて、導電部52の耐久性が向上する。
具体的には、図6に示すように、タイヤ最大幅位置P1を中心とするタイヤ断面高さSHの30[%]の領域を定義する。この領域は、導電部52の配置面(図2では、カーカス層13の内周面)上で定義される。このとき、この領域における導電部52の延在長さLa1と、カーカス層13のペリフェリ長さLp1とが、1.15≦La1/Lp1の関係を有する(図中の符号省略)。また、比La1/Lp1が、1.30≦La1/Lp1の関係を有することが好ましい。比La1/Lp1の上限は、特に限定がないが、例えば、La1/Lp1≦3.80であることにより、導電部52と周辺ゴムとの接着性を適正に確保できる。
タイヤ最大幅位置P1は、JATMA規定のタイヤ断面幅の最大幅位置をいう。なお、タイヤ断面幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
導電部52の延在長さは、導電部52の道のり長さであり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。延在長さは、導電部52の弛みが大きいほど長くなる。
カーカス層13のペリフェリ長さは、タイヤ子午線方向の断面視におけるカーカス層13(導電部52に対向する側の周面)の表面長さであり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
また、ベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層13に下ろした垂線の足P2を中心とするベルト幅Wbの15[%]の領域を定義する。この領域は、導電部52の配置面(図2では、カーカス層13の内周面)上で定義される。このとき、この領域における導電部52の延在長さLa2と、カーカス層13のペリフェリ長さLp2とが、1.15≦La2/Lp2の関係を有する(図中の符号省略)。また、比La2/Lp2が、1.30≦La2/Lp2の関係を有することが好ましい。比La2/Lp2の上限は、特に限定がないが、例えば、La2/Lp2≦3.80であることにより、導電部52と周辺ゴムとの接着性を適正に確保できる。
ベルト幅Wbは、ベルトプライ141の左右の端部(タイヤ幅方向の最も外側にあるベルトコード)間のタイヤ幅方向の距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて測定される。
また、ビードフィラー12のタイヤ径方向外側の端部P3を中心とするタイヤ断面高さSHの10[%]の領域を定義する。この領域は、導電部52の配置面(図2では、カーカス層13の内周面)上で定義される。このとき、この領域における導電部52の延在長さLa3と、カーカス層13のペリフェリ長さLp3とが、1.15≦La3/Lp3の関係を有する(図中の符号省略)。また、比La3/Lp3が、1.30≦La3/Lp3の関係を有することが好ましい。比La3/Lp3の上限は、特に限定がないが、例えば、La3/Lp3≦3.80であることにより、導電部52と周辺ゴムとの接着性を適正に確保できる。
また、リム径の測定点を基準とするタイヤ断面高さSHの1/3の位置P4と、ベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層13に下ろした垂線の足P2との間の領域を定義する。この領域は、導電部52の配置面(図2では、カーカス層13の内周面)上で定義される。このとき、この領域における導電部52の延在長さLa4と、カーカス層13のペリフェリ長さLp4とが、1.15≦La4/Lp4の関係を有することが好ましい。比La4/Lp4の上限は、特に限定がないが、例えば、La4/Lp4≦3.80であることにより、導電部52と周辺ゴムとの接着性を適正に確保できる。
一方で、図6に示すように、導電部52が、略直線状に(直線状あるいは小さな弛みをもって)配置される領域を有する。
具体的には、ビードコア11の径方向外側面(ビードトップ)を中心とするタイヤ断面高さSHの15[%]の領域を定義する。この領域は、導電部52の配置面(図2では、カーカス層13の内周面)上で定義される。このとき、この領域における導電部52の延在長さLa5と、カーカス層13のペリフェリ長さLp5とが、1.00≦La5/Lp5≦1.10の関係を有する。
ビードコア11の径方向外側面は、ビードワイヤの束の外形の測定点として定義される。
また、タイヤ赤道面CLを中心とするベルト幅Wbの10[%]の領域を定義する。この領域は、導電部52の配置面(図2では、カーカス層13の内周面)上で定義される。このとき、この領域における導電部52の延在長さLa6とベルト幅Wbとが、1.00≦La6/Wb≦1.10の関係を有する。
例えば、図6の構成では、1本の導電部52が、タイヤ周方向に振幅を有しつつビード部からトレッド部(ベルト層14)まで連続的に延在する波状形状あるいはジグザグ形状を有している。また、導電部52が、波状形状の振幅を延在途中で変更することにより、複数段階の弛み構造を有している。これにより、上記した各領域における導電部52の延在長さLa1〜La6が、適正化されている。
具体的には、まず、図2におけるビードフィラー12のタイヤ径方向外側の端部P3、サイドウォール部全域(タイヤ最大幅位置P1)およびベルト層14の端部(垂線の足P2)を含む連続した領域にて、導電部52の波状形状が、大きな振幅を有している。これにより、上記した各領域における導電部52の延在長さLa1〜La4が適正化されている。かかる構成では、タイヤ転動時に屈曲変形し易い領域にて、導電部52が大きく弛んで配置されることにより、線状構造体である導電部52に作用する張力が緩和される。これにより、導電部52の断線が適正に抑制される。
一方で、上記の領域から外れた領域、すなわち、ビードコア11の周辺領域およびトレッド部の領域(ベルト層14の配置領域)では、導電部52の波状形状が、小さな振幅を有している。このため、導電部52の弛みが小さく、導電部52が略直線状に延在している。これにより、当該領域における導電部52の延在長さLa5、La6が短く設定されている。すなわち、導電部52全体の弛みが大きくなれば、導電部52が断線し難くなり導電部52の耐久性が向上するが、導電部52の電気抵抗は増加する。そこで、所定領域における導電部52の延在長さLa5、La6を短く設定することにより、導電部52の耐久性と電気抵抗の低減とを両立できる。
また、図6のように、導電部52がタイヤ周方向に振幅を有しつつタイヤ径方向に延在する波状形状を有する構成では、波状形状の最大振幅位置とタイヤ最大幅位置P1とのタイヤ径方向の距離Dが、15[mm]≦Dの範囲にあることが好ましい。これにより、タイヤの繰り返し屈曲変形に起因するタイヤ最大幅位置P1での導電部52の破断を効果的に抑制できる。
なお、図6の構成では、導電部52の波状形状の周期が、導電部52の配置領域の全体で略一定である。しかし、これに限らず、導電部52の波状形状の周期が部分的に変化しても良い(図示省略)。かかる構成では、所定領域にて、導電部52の波状形状の周期を短くすることにより、導電部52の延在長さを増加できる。これにより、導電部52の延在長さLa1〜La6を効率的に調整できる。
[変形例]
図7は、図6に記載した導電部の弛み構造の変形例を示す説明図である。同図は、導電部52の配置領域の展開図を概念的に示している。
図6の構成では、導電部52が、タイヤ周方向に振幅を有しつつビード部からトレッド部(ベルト層14)まで連続的に延在する波状形状を有し、また、導電部52の波状形状が、ビードフィラー12のタイヤ径方向外側の端部P3、サイドウォール部全域(タイヤ最大幅位置P1)およびベルト層14の端部位置P2を含む連続した領域にて、大きな振幅を有している。かかる構成では、導電部52全体の延在長さを大きくできる点で好ましい。
これに対して、図7の構成では、導電部52の波状形状が、タイヤ最大幅位置P1からベルト層14の端部位置P2を含む連続した領域にて大きな振幅を有し、タイヤ最大幅位置P1からビードコア11までの領域にて小さな振幅を有している。
すなわち、タイヤ最大幅位置P1と、ベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層に下ろした垂線の足との間の領域を径方向外側領域と呼ぶ。また、タイヤ最大幅位置とリム径の測定点を基準とするタイヤ断面高さの1/3の位置との間の領域を径方向内側領域と呼ぶ。このとき、径方向外側領域における導電部52の延在長さLa_outとカーカス層13のペリフェリ長さLp_outとの比La_out/Lp_outが、径方向内側領域における導電部52の延在長さLa_inとカーカス層13のペリフェリ長さLp_inとの比La_in/Lp_inよりも大きい。また、径方向外側領域における比La_out/Lp_outが、1.30≦La_out/Lp_outの範囲に設定されることが好ましい。また、径方向内側領域における比La_in/Lp_inが、1.00≦La_in/Lp_in≦1.20の範囲に設定されることが好ましく、1.00≦La_in/Lp_in≦1.10の範囲に設定されることがより好ましい。
かかる図7の構成では、縁石などとの接触が生じ易いタイヤ径方向外側領域にて、導電部52の延在長さが長く設定される。これにより、導電部52の破断が効果的に抑制される。一方で、タイヤ径方向内側領域にて、導電部52の延在長さが短く設定される。これにより、導電部52の耐久性と電気抵抗の低減とを両立できる。
図8〜図12は、図6に記載した導電部の弛み構造の変形例を示す説明図である。これらの図は、導電部52の配置領域の展開図を概念的に示している。
図6および図7の構成では、導電部52が、タイヤ周方向に振幅を有しつつタイヤ径方向に延在する波状形状あるいはジグザグ形状を有している。かかる構成では、波状形状の振幅を延在途中で変更することにより、上記した各領域における導電部52の延在長さLa1〜La6を容易に調整できる点で好ましい。
しかし、これに限らず、図8に示すように、導電部52の配置領域の展開図にて、導電部52がタイヤ周方向に凸となる円弧形状部を有しても良い。具体的には、導電部52の延在長さLa1、La2がタイヤ最大幅位置P1およびベルト層14の端部位置P2を中心とする各領域にて大きくなるように、導電部52がタイヤ周方向に円弧状に膨らんで延在しても良い。
また、図9に示すように、導電部52の配置領域の展開図にて、導電部52がコイル状に旋回しつつタイヤ径方向に延在しても良い。かかる構成では、図6の構成と比較して、各領域における導電部52の延在長さLa1〜La4を効率的に増加できる点で好ましい。
図6〜図9の構成では、導電部52が、全体としてタイヤ径方向に略平行に延在している。そして、導電部52がタイヤ周方向に湾曲することにより、導電部52の延在長さが確保されている。
しかし、これに限らず、図10に示すように、導電部52の配置領域の展開図にて、導電部52が、タイヤ周方向に傾斜しつつタイヤ径方向に直線的に延在する部分を有しても良い。かかる構成では、導電部52の延在方向とタイヤ径方向とのなす角θを調整することにより、各領域における導電部52の延在長さLa1〜La6を調整できる。また、図6の構成と比較して、タイヤ成形時における導電部52の設置工程が容易である。
また、図11および図12に示すように、導電部52の配置領域の展開図にて、導電部52が、S字形状(図11)あるいは波状形状(図12)に湾曲し、さらにタイヤ周方向に傾斜しつつタイヤ径方向に延在する部分を有しても良い。かかる構成では、S字形状あるいは波状形状の振幅を調整することにより、各領域における導電部52の延在長さLa1〜La4を容易に調整できる。また、図10の構成と比較して、導電部52の延在長さを増加できる。
図13〜図16は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、導電部52の配置構造の変形例を示している。
図1の構成では、図2および図4に示すように、導電部52が、カーカス層13の内周に配置されて、カーカス層13とインナーライナ18およびタイゴム19との間に挟み込まれている。かかる構成では、インナーライナ18と導電部52との距離を小さくできる。具体的には、導電部52とインナーライナ18との距離を1.0[mm]以下にできる。これにより、特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂から成る構成にて、インナーライナ18に発生した静電気を導電部52に効率的に逃がし得る点で好ましい。
これに対して、図13の構成では、導電部52が、カーカス層13の外周に配置されている。具体的には、導電部52が、グリーンタイヤ成型工程にて残留エアを排出するためのヤーンであり、導電線状体を含む複数本の線状体を撚り合わせて成る撚り線構造(図5参照)を有している。また、導電部52が、カーカス層13の外周面に沿って配置されて(図13参照)、ビード部からベルト層14まで延在している。また、導電部52のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層14にラップする位置まで延在して、ベルト層14(最も径方向内側にあるベルトプライ141。図2参照)とカーカス層13との間に挟み込まれている。
なお、導電部52のタイヤ径方向内側の端部は、ビードコア11あるいはビードフィラー12のタイヤ幅方向内側に位置しても良いし、ビードコア11の径方向内側に位置しても良いし、ビードコア11を包み込むようにカーカス層13と共に巻き上げられても良い(図示者略)。
図14の構成では、導電部52が、ヤーンとは異なる部材であり、一部あるいは全部をカーカス層13から分離して配置されている。具体的には、導電部52が、ビードコア11およびビードフィラー12とサイドウォールゴム16との間に配置されて、ビード部からベルト層14まで延在している。また、導電部52のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層14にラップする位置まで延在して、ベルト層14(最も径方向内側にあるベルトプライ141。図2参照)とカーカス層13との間に挟み込まれている。
また、図14の構成では、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、カーカス層13の巻き上げ部とサイドウォールゴム16およびリムクッションゴム17との間に挟み込まれ、ビードコア11付近まで延在している。このように、導電部52とリムクッションゴム17とが接触することにより、リム嵌合面から導電部52への導電性が向上する。
なお、図14の構成において、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11およびビードフィラー12とカーカス層13の巻き上げ部との間に挟み込まれても良い(図示省略)。かかる構成としても、リムクッションゴム17からカーカス層13のコートゴムを介して導電部52に至る導電経路が確保される。
図15の構成では、導電部52が、タイヤ内周面に露出して配置されている。具体的には、導電部52が、インナーライナ18およびタイゴム19よりもタイヤ内腔側に配置されて、タイヤ内周面に露出している。また、導電部52が、インナーライナ18の表面に沿ってビード部からベルト層14まで延在している。
また、図15の構成では、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、インナーライナ18およびタイゴム19と共にリムクッションゴム17の下層に延在して、リムクッションゴム17とカーカス層13との間に挟み込まれている。また、導電部52がリムクッションゴム17に接触することにより、リム嵌合面から導電部52への導電性が高められている。このとき、導電部52のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア11あるいはビードフィラー12のタイヤ幅方向内側に位置しても良いし(図15参照)、ビードコア11の径方向内側に位置しても良いし(図示省略)、ビードコア11を包み込むようにカーカス層13に沿って巻き上げられても良い(図示省略)。
図1の構成では、導電部52が、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域にそれぞれ配置されている。また、導電部52のタイヤ径方向外側の端部が、ビード部からベルト層14にラップする位置まで延在して、タイヤ赤道面CLを越えることなく終端している。
しかし、これに限らず、導電部52が、タイヤ赤道面CLを境界とする一方の領域にのみ配置されても良いし(図示省略)、図16に示すように、導電部52が、タイヤ幅方向の全周に渡って配置されても良い。
なお、図3では、ベルト層14(あるいはアンダートレッド152)からトレッドゴム15の踏面までの放電構造として、アーストレッド51が採用されている。しかし、これに限らず、他の公知の放電構造が採用されても良い。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードコア11、11間に連続またはトレッド部で分断部を有して架け渡される少なくとも1層のカーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層14と、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴム15と、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴム16、16とを備える(図1参照)。また、空気入りタイヤ1は、少なくともビード部からベルト層14まで連続して延在する導電部52を備える。また、導電部52が、1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率をもつ導電物質を線状に成形して成る導電線状体521を有する(図5参照)。また、所定の領域における導電部52の延在長さLaとカーカス層13のペリフェリ長さLpとが、1.15≦La/Lpの関係を有する(図6参照)。
かかる構成では、(1)導電部52により、ビード部からベルト層14までの導電経路が確保されるので、タイヤの帯電抑制性能が効果的に向上する利点がある。
また、(2)導電部52の導電線状体521が1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率をもつ導電物質を線状に成形して成るので、タイヤ製造工程やタイヤ使用状態における導電部52の導電性能の低下が抑制される。これにより、タイヤの帯電抑制性能が適正に確保される利点がある。例えば、導電部が非導電線状体に導電物質をコーティングして成る構成では、タイヤ製造工程やタイヤ使用状態における熱や歪みにより、コーティングが剥離し易い。このため、導電部の導電性能が低下するおそれがあり、好ましくない。特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂あるいはもしくは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る構成では、インナーライナ18のゲージが薄いため、タイヤ加硫成形時にて、タイヤ内部に埋設された導電部52(例えば、図2、図13などを参照)が高温となる。このため、導電部が非導電線状体に導電物質をコーティングして成る構成では、特にコーティングが剥離し易いため、好ましくない。
さらに、(3)所定の領域にて、導電部52の延在長さLaとカーカス層13のペリフェリ長さLpとの比La/Lpが大きく設定されることにより、導電部52が大きな弛みをもって配置される。かかる構成では、タイヤ転動時にてタイヤが繰り返し屈曲変形したときに、導電部52に作用する張力が緩和される。これにより、導電部52の断線が防止されて、導電部の耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ最大幅位置P1を中心とするタイヤ断面高さSHの30[%]の領域における導電部52の延在長さLa1とカーカス層13のペリフェリ長さLp1とが、1.15≦La1/Lp1の関係を有する(図2および図6参照)。特に、タイヤ最大幅位置P1付近の領域では、タイヤ転動時にて大きな繰り返し屈曲変形が作用する。そこで、この領域にて、導電部52の延在長さLa1とカーカス層13のペリフェリ長さLp1との比La1/Lp1が大きく設定されることにより、導電部52の断線が効果的に防止される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層13に下ろした垂線の足P2を中心とするベルト幅Wbの15[%]の領域における導電部52の延在長さLa2とカーカス層13のペリフェリ長さLp2とが、1.15≦La2/Lp2の関係を有する(図2および図6参照)。特に、ベルト層14の端部位置P2付近の領域では、タイヤ転動時にて大きな繰り返し屈曲変形が作用する。そこで、この領域にて、導電部52の延在長さLa2とカーカス層13のペリフェリ長さLp2との比La2/Lp2が大きく設定されることにより、導電部52の断線が効果的に防止される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、ビードコア11のタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラー12を備える(図1参照)。また、ビードフィラー12のタイヤ径方向外側の端部P3を中心とするタイヤ断面高さSHの10[%]の領域における導電部52の延在長さLa3とカーカス層13のペリフェリ長さLp3とが、1.15≦La3/Lp3の関係を有する(図2および図6参照)。特に、ビードフィラー12の端部P3の領域では、タイヤ転動時にて大きな繰り返し屈曲変形が作用する。そこで、この領域にて、導電部52の延在長さLa3とカーカス層13のペリフェリ長さLp3との比La3/Lp3が大きく設定されることにより、導電部52の断線が効果的に防止される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、リム径の測定点を基準とするタイヤ断面高さの1/3の位置P4と、ベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層13に下ろした垂線の足P2との間の領域における導電部52の延在長さLa4とカーカス層13のペリフェリ長さLp4とが、1.15≦La4/Lp4の関係を有する(図2および図6参照)。かかる構成では、サイドウォール部の全域にて、導電部52の延在長さLa4とカーカス層13のペリフェリ長さLp4との比La4/Lp4が大きく設定されることにより、導電部52の断線が効果的に防止される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ビードコア11の径方向外側面を中心とするタイヤ断面高さSHの15[%]の領域における導電部52の延在長さLa5とカーカス層13のペリフェリ長さLp5とが、1.00≦La5/Lp5≦1.10の関係を有する(図2および図6参照)。かかる構成では、ビード部の所定領域における導電部52の延在長さLa5が短く設定されることにより、導電部52の耐久性と電気抵抗の低減とを両立できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ赤道面CLを中心とするベルト幅Wbの10[%]の領域における導電部52の延在長さLa6とベルト幅Wbとが、1.00≦La6/Wb≦1.10の関係を有する(図2および図6参照)。かかる構成では、トレッド部の所定領域における導電部52の延在長さLa6が短く設定されることにより、導電部52の耐久性と電気抵抗の低減とを両立できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ最大幅位置P1とベルト層14の最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部からカーカス層13に下ろした垂線の足P2との間の領域を径方向外側領域と呼び、タイヤ最大幅位置P1とリム径の測定点を基準とするタイヤ断面高さSHの1/3の位置P4との間の領域を径方向内側領域と呼ぶときに、径方向外側領域における導電部52の延在長さLa_outとカーカス層13のペリフェリ長さLp_outとの比La_out/Lp_outが、径方向内側領域における導電部52の延在長さLa_inとカーカス層13のペリフェリ長さLp_inとの比La_in/Lp_inよりも大きい(図7参照)。かかる構成では、縁石などとの接触が生じ易いタイヤ径方向外側領域にて、導電部52の延在長さが長く設定されるので、導電部52の破断が効果的に抑制される利点がある。また、タイヤ径方向内側領域にて、導電部52の延在長さが短く設定されるので、導電部52の耐久性と電気抵抗の低減とを両立できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52の配置領域の展開図にて、導電部52が、波状形状(図6および図7)、円弧形状(図8)あるいはコイル形状(図9)に弛んで配置される。これにより、導電部52の延在長さを効率的に調整できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、タイヤ周方向に湾曲した湾曲形状を有する(図6〜図8参照)。また、前記湾曲形状の頂部とタイヤ最大幅位置P1とのタイヤ径方向の距離Dが、15[mm]≦Dの範囲にある。これにより、タイヤ転動時の繰り返し屈曲変形に起因する導電部52の断線を効果的に抑制できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、タイヤ周方向に傾斜して配置される(図10〜図12参照)。これにより、各領域における導電部52の延在長さを適正に確保できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、少なくとも1本の導電線状体521を含む複数本の線状体を撚り合わせて成る(図5参照)。かかる構成では、導電部52が撚り線構造を有するので、導電部が単線である構成と比較して、繰り返し疲労、伸びに対して有利であるため、導電線状体521の耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、1×10^8[Ω/cm]未満の電気抵抗率をもつ導電線状体521と、1×10^8[Ω/cm]以上の電気抵抗率をもつ非導電線状体522とを撚り合わせて成る(図5参照)。これにより、例えば、非導電線状体522により導電線状体521の弱点を補足することにより、導電部52の強度、耐熱性、寸法安定性を適正に確保できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電線状体521が、金属繊維(特に、ステンレス繊維)であり、非導電線状体522が、有機繊維(特に、ポリエステル繊維)である(図5参照)。これにより、強度、耐熱性、寸法安定性を適正に確保できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52が、カーカス層13と隣接部材(例えば、図2および図4では、インナーライナ18およびタイゴム19。図13では、ベルト層14およびサイドウォールゴム16など。)との間に挟み込まれて配置される。かかる構成では、導電部52がタイヤ内部に埋設されるので、導電部がタイヤ表面に露出する構成と比較して、タイヤ製造時やタイヤ使用時に導電部が断線する事態を抑制できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52の総繊度が、20[dtex]以上1000[dtex]以下である。これにより、導電部52の総繊度が適正化される利点がある。すなわち、総繊度が20[dtex]以上であることにより、タイヤ製造時における導電部52の断線が抑制される。また、総繊度が1000[dtex]以下であることにより、タイヤ転動時における導電部52の断線が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、導電部52の伸び率が、1.0[%]以上70.0[%]以下である。これにより、導電部52の伸び率が適正化される利点がある。すなわち、伸び率が1.0[%]以上であることにより、タイヤ製造時における導電部52の断線が抑制される。また、伸び率が70.0[%]以下であることにより、タイヤ転動時における導電部52の断線が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、タイヤ接地面を構成するキャップトレッド151と、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッド152とを有し(図1参照)、且つ、キャップトレッド151の60[℃]のtanδ値が0.25以下であり、キャップトレッド151の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある。かかる構成では、例えば、キャップトレッド151のシリカ含有量を増加させて上記の構成とすることにより、タイヤの転がり抵抗が低減する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイドウォールゴム16の60[℃]のtanδ値が0.25以下であり、サイドウォールゴム16の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある。かかる構成では、例えば、サイドウォールゴム16のシリカ含有量を増加させて上記の構成とすることにより、タイヤの転がり抵抗が低減する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層の内周面に配置されるインナーライナ18を備える。また、インナーライナ18が、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る。かかる構成では、インナーライナ18がブチルゴムから成る構成と比較して、インナーライナ18の空気透過性を低減できる利点があり、また、タイヤ重量を軽減してタイヤの転がり抵抗を低減できる利点がある。
図17は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の試験タイヤについて、(1)低転がり抵抗性能および(2)帯電抑制性能(電気抵抗値)に関する評価が行われた。この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15 91Hの試験タイヤが試作されて用いられる。
(1)低転がり抵抗性能に関する評価では、ドラム径1707[mm]の室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機が用いられ、JATMA Y/B 2012年版の測定方法に準拠して、タイヤの転がり抵抗が測定される。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、好ましい。
(2)帯電抑制性能に関する評価では、JATMA規定の測定条件に基づき、ADVANTEST R8340A ウルトラ・ハイ・レジスタンスメータが使用されてタイヤの電気抵抗[Ω]が測定される。また、電気抵抗が、タイヤ新品時と所定条件下での走行後とで、それぞれ測定される。走行後の電気抵抗は、ドラム径1707[mm]の室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機が用いられ、試験タイヤをJATMA規定の適用リムに組み付け、試験タイヤに空気圧200[kPa]およびJATMA規定の最大荷重の80%を付与し、速度81[km/h]にて60分間の走行後に測定される。この評価は、数値が小さいほど放電性に優れており、好ましい。
実施例1〜11の試験タイヤは、図1および図2の構成を基本とし、アーストレッド51と、導電線状体を含む導電部52とを備える。また、導電部52が、複数の炭素繊維を撚り合わせた「カーボンファイバ」あるいはポリエステル繊維とステンレス繊維とを撚り合わせた「混紡糸」である。また、「導電部の線電気抵抗率[Ω/cm]」は、撚り線である導電部52の抵抗率を示している。また、導電部52が、カーカス層13とインナーライナ18およびタイゴム19との間に配置されて、ビード部からベルト層まで連続的に延在する。また、実施例1では、導電部52が、タイヤ周方向に振幅を有しつつビード部からトレッド部まで一様な波状形状を有して延在する。また、実施例4〜11では、図6あるいは図7の弛み構造を有し、タイヤ周方向に振幅をしつつタイヤ径方向に延在する「波状部」と、タイヤ径方向に略直線状に延在する「直線部」とを備える。また、導電部52が、複数の炭素繊維を撚り合わせた「カーボンファイバ」あるいはポリエステル繊維とステンレス繊維とを撚り合わせた「混紡糸」である。また、「導電部の線電気抵抗率[Ω/cm]」は、撚り線である導電部52の抵抗率を示している。
従来例1の試験タイヤは、キャップトレッドが導線性を有し、アーストレッドを備えていない。また、炭素繊維から成る単線の導電部が、ビード部からベルト層まで連続的に延在して配置されている。また、導電部が、タイヤ径方向に直線状に延在する。従来例2の試験タイヤは、実施例1の構成において、導電部の波状形状の振幅が小さく、導電部がビード部からトレッド部まで略直線状に延在する。
試験結果に示すように、実施例1〜11の試験タイヤでは、タイヤの低転がり抵抗性能および帯電抑制性能が向上することが分かる。