以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
本発明の食品用非付着性包装袋(以下、単に「包装袋」ともいう)は、基材層の少なくとも片面に凹凸付与剤を含むアンカーコート層と疎水化処理された無機粒子を含む非付着層が、この順に積層されることが好ましい。
前記凹凸付与剤を含むアンカーコート層とすることにより、凹凸状の層が設けられ、基材層と非付着層の密着性の向上に寄与するだけでなく、設けられた凹凸状の層上に、さらに非付着層が積層されることにより、撥水性に大きな効果がある。アンカーコート層は、凹凸付与剤を含む塗工適性を有するアンカーコート剤により形成することが好ましい。
前記凹凸付与剤は、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂類、またはこれらの混合物から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、前記凹凸付与剤が、粉状またはビーズ状であることが好ましい。特に好ましいのは、樹脂ビーズであるが、アンカーコート剤として混合可能で、流動性が保たれれば、いずれでもよい
前記凹凸付与剤の平均粒子径は、0.1μmより大きいものであることが好ましく、0.3〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.8〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。0.1μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、塗工適性が劣る。
前記アンカーコート剤は、樹脂と凹凸付与剤を含むことが好ましい。該樹脂と凹凸付与剤の含有量は、樹脂/凹凸付与剤の重量比で、10/90〜99.9/0.1が好ましい。樹脂が10より少ないと、基材層への密着性に劣り、凹凸付与剤が0.1より少ないと、撥水性が発現しにくい。
前記樹脂と凹凸付与剤を含むアンカーコート剤を塗工して形成されるアンカーコート層は、その断面において凹凸状になる。凹凸状になることで、良好な撥水性、非付着性が得られる。
前記樹脂としては、良好な接着性が得られるものであればよく、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、ポリプロピレン系エマルジョンなど水中に分散させたエマルジョンタイプなどの性状が挙げられる。
前記アンカーコート剤は、さらに溶剤を含むことが好ましく、前記樹脂を該溶剤中に溶解または分散させるものである。
前記溶剤は、グラビア印刷で通常使用される有機溶剤型または水性型を用いることができる。例えば、有機溶剤および/または水が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。アンカーコート剤に用いられる樹脂を溶解できれば、いずれでもよい。
前記アンカーコート剤は、必要に応じて、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
前記疎水化処理された無機粒子が、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリンまたはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、疎水化処理したシリカ、タルク(以下、単にそれぞれ「処理シリカ」、「処理タルク」ともいう。)がより好ましい。非付着層は、疎水化処理された無機粒子を含む塗工適性を有する塗工液により形成することが好ましい。
無機粒子の疎水化処理としては、無機粒子に疎水性基を導入できれば、特に限定されないが、撥水性、コスト、安全性からシランカップリング処理やシリコーン処理、シラザン処理が好適である。シランカップリング処理には公知のシランカップリング剤が用いられ、シリカ、タルクなどの無機フィラーへの処理は乾式法または湿式法による処理が好ましい。一般にシランカップリング剤は、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基の2つの異なる官能基を持つシラン化合物であり、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロビルトリメトキシシランなどのアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系カップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシランなどのシラン系カップリング剤などが用いられる。例えば、乾式法は、無機粒子を撹拌機によって高速撹拌させ、そこにシラン化合物の原液を均一に分散させて処理する方法が知られ、湿式法は、シランの希薄溶液に無機粒子を浸漬させて処理する方法が知られている。シリコーン処理には、常温で液状のシリコーン油が用いられる。シリコーン油は、ポリシロキサン構造を持ったものであれば特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどがより好ましい。タルクに対して、シリコーン油を1〜5重量%使用して処理を行うことが好ましい。シラザン処理には、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンなどのオルガノシラザン化合物が好ましく用いられ、ヘキサメチルジシラザンがより好ましく用いられる。例えば、シリカやタルクなどの無機粒子を流動させた状態でヘキサメチルジシラザンを噴霧させる方法や、アルコール、トルエンなどの有機溶媒中にシリカやタルクなどを加え、さらにヘキサメチルジシラザンと水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法などにより作製することができる。より詳しくは、無機粒子をヘンシェルミキサーに入れ、窒素雰囲気下にて攪拌しながら水およびHMDSを噴霧し、加熱した後に冷却し、ボールミルで解砕することにより、HMDS処理無機粒子を作製することができる。
シリカ(二酸化ケイ素)は、天産品、合成品あるいは結晶性、非晶質性とその種類は多いが、その中で合成非晶質シリカが好ましい。合成非晶質シリカには、湿式法シリカと乾式法シリカに大別されるが、シランカップリング処理やシリコーン処理(シロキサン処理)、シラザン処理あるいはこれらの複合処理などの疎水性処理がなされていれば、いずれでもよい。市販品としては、SIPERNATシリーズ(EVONIK社製)、AEROSILシリーズ(日本アエロジル(株)製)、WACKER HDKシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、レオロシール((株)トクヤマ製)などが挙げられる。
タルクは水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種である。タルク自体は、未処理でもある程度の疎水性はあるが、本発明の課題とする撥水性および非付着性には十分でなく、疎水化処理をする必要がある。疎水化処理は、一般的なものでよく、シリカ処理、シリコーン処理(シロキサン処理)、シラザン処理、樹脂処理、脂肪酸処理、シランカップリング処理、チタネート処理、あるいはこれらの複合処理などが施されていれば、いずれでも良い。処理量は、タルクに対して、0.01〜50重量%であることが好ましく、0.05〜30重量%であることがより好ましい。0.01重量%より少ないと、疎水性が十分でなく、50重量%より多いと、タルクの処理に寄与しないばかりか、それが不純物となり、撥水性を阻害する。例えば、処理タルクは、シリコーン油のメチレンクロライド10%溶液を、タルクに対して、シリコーン油が1〜5重量%になるように噴霧し、100℃で2時間焼成処理することで得られる。
前記疎水化処理された無機粒子の平均粒子径は、50μm以下であることが好ましく、0.001〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.003〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。0.001μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、耐摩擦性が劣る。ここでいう平均粒子径は、レーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell社製)による測定値である。
処理シリカの場合は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
処理タルクの場合は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
さらに前記疎水化処理された無機粒子を含有する塗工液を塗工して形成される非付着層の膜厚は、0.01〜50μmとすることが好ましく、0.01〜30μmであることがより好ましい。膜厚が0.01μmより小さいものは、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいものは、グラビア印刷方式で作製することが困難である。
前記塗工液は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水が含まれることが好ましい。特に、撥水性の観点から、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロパノールなどが好ましい。これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
前記塗工液は、必要に応じて、添加剤を使用することができる。例えば、粘度調整剤、分散剤、ブロッキング防止剤、ワックス、充填剤などが挙げられる。粘度調整剤としては、シリカなどの無機化合物、ポリアミドなどの樹脂系増粘剤、分散剤としては、高分子樹脂分散剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはこれらの混合物などが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料が挙げられる。ワックスとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。充填剤としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはそれらの混合物などが挙げられる。充填剤の平均粒子径は0.01〜50μmの範囲内であることが好ましい。
添加剤の添加量は、撥水性を阻害しない範囲で使用でき、疎水化処理された無機粒子に対して、添加剤の総量として、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。添加剤が疎水化処理された無機粒子に対して80重量%より多いと、撥水性が低下する。
前記塗工液は、塗工液中の疎水化処理された無機粒子の量が、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、3〜30重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%より少ないと、塗工液を塗工した非付着層の撥水性が発現しにくく、50%重量より多いと、塗工液としての流動性が劣り、グラビア印刷方式による塗工に適さない。
前記塗工液を塗工して形成される非付着層は、前記塗工液の塗工量(UC)が、固形分で0.02g/m2≦UC≦1.5g/m2であることが好ましく、0.1g/m2≦UC≦1.0g/m2であることがより好ましい。0.02g/m2より少ないと、撥水性が発現しにくく、1.5g/m2より多いと、非付着層の耐摩擦性が劣る。
さらに、前記非付着層の面が最内層であることが好ましい。本発明の食品用非付着性包装袋において、前記非付着層の面が最内層である場合、該包装袋に食品を収容し、封止した際に、前記食品に対して、前記非付着層が非付着性を示す。このことにより、該食品のうち特に付着性の強い部分であっても、包装袋の最内層の面の非付着層への該食品の付着を防止または軽減できるという効果がある。このことによって、食品を食品用非付着性包装袋から取り出した際に、食品の見た目のよさや該包装袋内部に残渣が残らず、その商品価値を下げることがないという効果もある。
また、前記非付着層の面が最外層である場合、該包装袋に食品を収容し、封止した際に、該包装袋の外装部に水分や糖分などが接触しても、最外層の面の非付着層への水分や糖分などの付着を防止または軽減することができるため、水分や糖分などが原因となるほこりや塵などの付着が防止または軽減するという効果がある。このことによって、陳列時の清潔さや汚れなどがなく、その商品価値を下げることがないという効果もある。
本発明の食品用非付着性包装袋は、さらに、ヒートシール層を含むことが好ましい。前記ヒートシール層は、ヒートシール強度が十分確保できるものであれば、その素材は基材層、用途、構成などに応じて、公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、ヒートシール剤の塗工などから適宜選択し、形成することができる。ヒートシール層は、基材層と前記アンカーコート層の間に形成してもよいが、この場合、ヒートシール加工をする部分にアンカーコート層を形成しないようにすることが好ましい。また、ヒートシール性を有する基材層のヒートシール面もヒートシール層として使用できる。いずれの場合でも、ヒートシール性を有する面のことを「ヒートシール層」という。
本発明の基材層としては、紙、アルミニウム箔、プラスチックフィルムまたはシートおよびそれらにヒートシール性を有する積層体から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。基材層は、熱可塑性樹脂などをドライラミネート、ノンソルベントラミネートや押出ラミネートなどによる方法、接着剤などを介して貼り合せる方法などにより積層したものであってもよく、また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。また、ヒートシール性を付与した積層体も基材層として使用できる。ヒートシール性を付与する方法としては、公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、コーティング用ヒートシール剤の塗工などが挙げられ、これらの方法によってヒートシール性が付与された層をヒートシール層ともいう。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
さらに、前記ヒートシール層の厚みは、特に限定されないが、ヒートシール性、コスト、生産性の観点から、シーラントフィルムでは2〜200μm、押出ラミネート加工による樹脂コーティングでは1〜100μm、ホットメルト接着剤の塗工では1〜50μm、ヒートシール剤の塗工では0.01〜30μmであることが好ましい。
前記シーラントフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルムなどが挙げられ、延伸していても、未延伸のどちらでも良く、一種類または二種類以上を積層していてもよい。
前記押出ラミネート加工による樹脂コーティングに使用できる樹脂としては、LDPE、LLDPE、HDPEなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの樹脂は、一種類または二種類以上を積層していてもよい。
前記ヒートシール剤は、ヒートシール性樹脂を含むことが好ましい。また、充填剤を含んでいてもよい。
ヒートシール剤に用いられる前記ヒートシール性樹脂の例としては、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、エチレン−メタクリル酸系エマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレンビニルアセテート系エマルジョンなど水中に分散させたエマルジョンタイプなどの性状が挙げられる。
前記ヒートシール性樹脂のガラス転移点(以下、単に「Tg」ともいう。)は、90℃未満であることが好ましく、80℃以下がより好ましく、−50℃以上60℃以下がさらに好ましい。Tgが−50℃より低いと、べたつきが発生しやすくなり、90℃以上であると、ヒートシール強度が弱くなる。Tgが前記範囲内にあれば、特に樹脂系の制限はない。ここでいうTgは、示差走査熱量測定 DSCにより、サンプル5mg、測定温度−60〜120℃、昇温速度20℃/minの条件で測定された値である。
前記充填剤は、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂類、またはこれらの混合物などが挙げられる。さらに、前記充填剤が、粉状またはビーズ状であることが好ましい。特に好ましいのは、樹脂ビーズであるが、ヒートシール剤として混合可能で、流動性が保たれれば、いずれでもよい。
前記充填剤の平均粒子径は、3μmより大きいものであることが好ましく、5〜50μmの範囲内であることがより好ましい。3μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、塗工適性が劣る。ここでいう平均粒子径は、レーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell社製)による測定値である。
ヒートシール剤中のヒートシール性樹脂分と充填剤の含有量は、ヒートシール性樹脂分/充填剤の重量比で、10/90〜100/0が好ましい。ヒートシール性樹脂分が10より少ないと、ヒートシール強度が弱くなる。
さらに、前記ヒートシール剤には、溶剤を含むことが好ましい。用いられる溶剤の例としては、有機溶剤および/または水が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。ヒートシール剤に用いられるヒートシール性樹脂を溶解もしくは分散できれば、いずれでもよい。
さらに、ヒートシール剤はその他の添加剤として、消泡剤、帯電防止剤、分散剤、界面活性剤、滑剤、可塑剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、ワックスなどをヒートシール強度に影響しない範囲で、適宜添加することができる。
前記ヒートシール剤は、組成物中の固形分が0.1〜90重量%であることが、塗工適性において好ましく、2〜70重量%であることがより好ましく、3〜50重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%より少ないと、ヒートシール層が薄くなり、強度が劣る。90重量%より多いと、溶解または分散しにくく、ヒートシール剤そのものの製造が困難になったり、粘度が高くなり、塗工性に問題がある。
前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層の膜厚は、0.01〜30μmとすることが好ましい。膜厚が0.01μmより小さいものは、撥水性が発現しにくく、30μmより大きいものは、塗工による作製が困難である。
前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層は、前記ヒートシール剤の塗工量(HC)の合計が、固形分で0.3g/m2≦HC≦10g/m2の層であることが好ましく、0.6g/m2≦HC≦8g/m2であることがより好ましい。HCの合計が、0.3g/m2より小さいと、ヒートシール強度が弱くなり、10g/m2を超えると、ブロッキングしやすくなることに加え、コスト効果がなくなる。
前記ヒートシール性樹脂と充填剤を含むヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層は、その断面において凹凸状になる。凹凸状になることで、良好な撥水性、非付着性が得られる。
前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層は、前記ヒートシール剤の塗工量(HC)の合計が、前記範囲内であれば、1層であってもよいが、2層以上設けることもでき、ヒートシール強度のコントロールが容易になる。2層以上設ける場合は、同じ樹脂組成のヒートシール剤を塗工してもよいが、異なる樹脂組成のヒートシール剤であってもよく、適宜選択できる。
本発明の基材層としては、前記したとおり、紙、アルミニウム箔、プラスチックフィルムまたはシートおよびそれらにヒートシール性を有する積層体から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。基材層は、熱可塑性樹脂などをドライラミネート、ノンソルベントラミネートや押出ラミネートなどによる方法、接着剤などを介して貼り合せる方法などにより積層したものであってもよく、また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。また、ヒートシール性を付与した面を持つ基材も基材層として使用できる。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
前記紙は、印刷に適していればよく、出版印刷用紙、包装印刷用紙、板紙印刷用紙などが挙げられる。出版印刷用紙としては、上質紙やグラビア紙などの非塗工紙、アート紙やコート紙、微塗工紙などの塗工紙が挙げられる。包装印刷用紙としては、純白ロール紙や晒クラフト紙などが挙げられる。また、板紙印刷用紙としては、塗工または非塗工の白ボール、塗工または非塗工のマニラボール、ポリエチレンを押し出したポリエチレンコート紙などが挙げられる。さらには、ポリエチレン系やポリプロピレン系などの合成紙であってもよい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸していても、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。
前記ドライラミネートやノンソルベントラミネートなどに使用できるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、PETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどにアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでも良く、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、プラスチックフィルム以外にも紙や加工紙、アルミニウム箔なども使用できる。
前記押出ラミネートに使用できる樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は一種類または二種類以上を積層していてもよい。
基材層に印刷インキ層(以下、単に「印刷インキ」ともいう)を1色以上塗工することもでき、非付着層の反対面や基材層と非付着層の間に印刷インキ層を設けることもできる。基材層に印刷インキ層を塗工することにより、例えば、会社名、製品名、内容物、成分表示、目盛、目盛線、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。
また、前記基材層とヒートシール層の間も、無地である必要はなく、該基材層にも印刷インキ層を1色以上塗工することができる。
前記印刷インキ層としては、通常のグラビアインキが使用でき、基材層に応じて、適宜選択できる。印刷適性や汎用性の観点から、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂などのグラビアインキが好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビアインキであってもよい。また、2色以上のグラビアインキを使用する場合は、同じ樹脂系のインキである必要はなく、別の樹脂系のインキも適宜使用できる。
市販品としては、LG−NT、TPH、VESTA、LRC−NT、KCNT、SYNA−S、LAMREK(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
食品用非付着性包装袋の形態としては、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シール、チューブ、キャラメル包装、オーバーホールド、フィンシール、まんじゅう包装、ひねり、ロケット、テトラパック、ゲーブルトップ、ブリック、シボリなど食品用途に用いられる周知の形態のいずれでもよい。
また、前記食品用非付着性包装袋は開口部を備えるように形成してもよい。このことにより、前記開口部から食品を収容後、該開口部を封止してもよいし、あるいは食品を一時的に収容し、その後取り出してもよい。いずれの場合においても、該食品に接する非付着層が食品に対して非付着性を示すものである。
本発明の食品用非付着性包装袋の製造方法は、基材層の少なくとも片面に凹凸付与剤を含むアンカーコート剤を塗工して前記アンカーコート層を形成する工程と、疎水化処理された無機粒子を含む塗工液を塗工して前記非付着層を形成する工程とを含むことが好ましい。
前記アンカーコート層と前記非付着層を形成する工程は、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などの工程が好ましく、特に塗布工程がより好ましい。塗布工程としてはシルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ローラーコーター、刷毛塗り、スプレー、ナイフジェットコーターなどの工程が挙げられる。なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷、フレキソ印刷またはシルクスクリーン印刷による塗布工程が好ましく用いられ、特に多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による塗布工程であることが好ましい。これらの形成工程により前記基材層に塗布して、アンカーコート層および非付着層をこの順に積層し積層体(以下、単に「非付着性積層体」ともいう)とする。より具体的には、前述した積層方法により積層した基材層を作成する工程の後に、グラビア印刷により、アンカーコート層と非付着層をこの順に形成する工程とし、非付着性積層体を製造してもよいが、ベースとなる基材層に、グラビア印刷により、アンカーコート層と非付着層を形成する工程の後に、これとは異なる他方面に前述した積層方法により基材層をさらに積層する工程により、非付着性積層体を製造してもよい。また、基材層の両面に非付着層が形成できるような工程によって、非付着性積層体を製造してもよい。
これらの工程により、アンカーコート層と非付着層を多層に形成することができるため、基材層のフィルムまたはシートと非付着層の接着性や非付着性のコントロールが容易に行なうことができる。すなわち、従来のエンボス加工やプラズマ化学蒸着法などを用いた積層体は、非付着層の作製が別々の工程となり、非効率であることに対して、本発明の食品用非付着性包装袋は、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による形成工程となるため、インラインで、連続して基材層に印刷インキ層、アンカーコート層、非付着層を形成でき、一連の流れのなか(1パス)で非付着性積層体を低コストで容易に作製することができる。もちろん、グラビア印刷機の仕様や印刷環境、設備などの制約でインラインで、連続して形成できない場合もあるが、この場合オフライン(アウトライン)での形成も可能である。また、アンカーコート層は非付着層を設ける部分にのみ塗布することが好ましい。
非付着層の接着性とは、非付着層を有する面と食品の一部の面あるいは全面が、くっつきやすいかどうかを意味する。また、非付着性のコントロールとは、非付着層を有する面と食品の一部の面あるいは全面のくっつきにくさを制御できることを意味する。本明細書中において、非付着層は非付着層を有する面と解釈することを意味する。
さらに、グラビア印刷によって非付着層を形成する工程において、100%網点面積率では、非付着性が十分過ぎる場合や、食品への非付着性の要求度によって、その面積率を下げたり、版深度を調節したり、希釈率を調整することによって、非付着層と食品などとの付着性が容易にコントロールできる。さらに、網点面積率や版深度などの調節に加え、文字(例えば、メーカー名、ブランド名、商品名、記号など)や文様(例えば、マーク、標章、デザインした図柄など)などを「抜き」にして形成する(非付着層がない部分を形成する)ことにより、「抜き」の部分が食品に付着し、適度な付着性を保つといった効果もある。
さらに、前記ヒートシール剤を塗工して形成されるヒートシール層を形成する工程も、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などの工程が好ましく、特に塗布工程がより好ましい。また、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による塗布工程が好ましい。このことにより、前述のアンカーコート層、非付着層とともにインラインで、1パスでヒートシール層も形成することができる。また、塗布するヒートシール層は2層以上であってもよく、それぞれが同一のヒートシール層であってもよいが、組成の異なるヒートシール層であってもいずれでもよい。このことにより、ヒートシール層を多層または組成の異なるヒートシール層とすることができるため、ヒートシール強度のコントロールも容易になり、低コストで行なうことができる。
また、ヒートシール層を形成する工程は、ほかに公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティングなどによる形成工程が挙げられる。
さらに、印刷インキ層を形成する工程も、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などの工程が好ましく、特に塗布工程がより好ましい。また、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による塗布工程が好ましい。このことにより、非付着層の反対面や基材層と非付着層の間、あるいは基材層とヒートシール層の間など自由に印刷インキ層を設けることもできる。
本発明の食品用非付着性包装袋の製造方法は、さらに袋状体を形成する工程を含むものであってもよい。特に、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シール、チューブ、キャラメル包装、オーバーホールド、フィンシール、まんじゅう包装、ひねり、ロケット、テトラパック、ゲーブルトップ、ブリック、シボリなど食品用途に用いられる周知の袋状体を形成する工程のいずれでもよく、制限はない。
さらに、前記非付着層の面が最内層となるように袋状体を形成する工程を含むものであることが好ましい。また、前記食品用非付着性包装袋は開口部を備えるように形成する工程を含んでもよい。このことにより、前記開口部から食品を収容する工程を経て、該開口部を封止する工程により、包装体を形成できる。
食品用非付着性包装袋へ収容する工程は、人の手を介して収容する工程でもよいが、自動装置などの機械を用いて収容する工程でもよい。これらの工程は、食品の種類、形態や大きさ、数量、収容する包装容器、設備、環境などによって、適宜選択すればよい。さらに、開口部を封止する工程は、ヒートシール、折りたたみ、粘着剤などでの貼り付けあるいは接着工程、針などの綴り部材を使用した工程あるいはそれらを使用しない綴じ工程など食品用途に用いられる周知の封止工程により行えばよいが、ヒートシールによる封止工程がより好ましい。
本発明の食品用非付着性包装袋に収容するのに好ましい食品としては、餃子、しゅうまい、中華饅頭、スイートポテト、だんご、餡、プリン、カラメル、カステラ、ショートケーキ、チーズケーキ、ホットケーキ、ロールケーキ、マドレーヌ、バームクーヘン、フィナンシェ、マフィン、ワッフル、モンブラン、シュークリーム、ドーナツ、チョコレート、キャラメル、水飴、クリーム、ジャム、バター、マーガリン、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー、はちみつ、黒蜜、キャンディ、グミ、ゼラチン、タルト、パイ、餅、草餅、おはぎ、大福、ぜんざい、あんみつ、みつ豆、羊羹、ういろう、ちまき、饅頭、どら焼き、納豆、麺、パン、蒸しパン、サンドイッチ、ピザ、チーズ、クリームチーズ、米飯品、寿司、牛丼、豚丼、鶏丼、カツ丼、中華丼、茶碗蒸し、味噌、たこ焼き、お好み焼き、焼肉、やき鳥、照り焼き、蒲焼、煮魚、角煮、煮鶏、スパゲティ、オムレツ、オムライス、卵焼き、スクランブルエッグ、煮卵、温泉卵、グラタン、ドリア、リゾット、カレー、シチュー、ミートソース、ハンバーグ、ミートボール、ウインナーソーセージ、フランクフルト、ハム、ベーコン、ワンタン、春巻、麻婆豆腐、エビチリ、酢豚、八宝菜、回鍋肉、かに玉、あんかけヤキソバ、キムチ、チヂミ、ポテトサラダ、たまごサラダ、マカロニサラダ、春雨サラダ、マヨネーズ、醤油、ソース、ケチャップ、マスタード、ラー油、みそ漬け、粕漬け、わさび漬け、ぬか漬け、べったら漬け、佃煮、塩辛、明太子、海苔、海草、海藻、ラーメンなどの液状タレ、つゆ、スープなどの水分や糖分を含むものから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
前記非付着層の塗工液、アンカーコート剤、ヒートシール剤、印刷インキといった各組成物は、顔料、樹脂、凹凸付与剤、疎水処理された無機粒子、充填剤、各種添加剤などを溶剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解または分散方法は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。各組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
前記各組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。各組成物の製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。
前記粘度は、ブルックフィールド型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
前記各組成物は、そのまま塗工することもできるが、塗工条件、塗工効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、TA52(アルコール系溶剤)、WA704(アルコール系溶剤)、PU515(ノントルエン系溶剤)、SL9155(ノントルエン系溶剤)、AC372(ノントルエン系溶剤)、TH−12(含トルエン系溶剤)(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
本発明の食品用非付着性包装袋について、その例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
図1は、非付着層6を最内層に有する食品用非付着性包装袋1に食品3を収容し、封止した例である。また、非付着性積層体2は同一とした例であるが、一方が別の非付着性積層体であってもよいし、あるいは非付着層を有さない積層体4であってもよい。
図2は、非付着層6を最内層に有する非付着性積層体2からなる食品用非付着性包装袋1にトレイ5に載置した食品3を収容し、封止した例である。また、非付着性積層体2は同一とした例であるが、一方が別の非付着性積層体であってもよいし、あるいは非付着層を有さない積層体4であってもよい。
図3は、非付着層6を最外層に有する非付着性積層体2からなる食品用非付着性包装袋1に食品3を収容し、封止した例である。また、非付着性積層体2は同一とした例であるが、一方が別の非付着性積層体であってもよいし、あるいは非付着層を有さない積層体4であってもよい。
図4は、本発明の食品用非付着性包装袋の構成例で、ヒートシール性を有する基材層7にアンカーコート層11と非付着層12を設けた例である。
図5は、本発明の食品用非付着性包装袋の構成例で、ヒートシール性を有さない基材層9とアンカーコート層11の間にシーラントフィルムによるヒートシール層10を設けた例である。
図6は、本発明の食品用非付着性包装袋の構成例で、ヒートシール性を有さない基材層9とアンカーコート層11の間にヒートシール剤によるヒートシール層10’を設けた例である。
図7は、本発明の食品用非付着性包装袋の構成例で、ヒートシール性を有さない基材層9にアンカーコート層11とヒートシール剤によるヒートシール層10’を有し、アンカーコート層11上のみに非付着層12を設けた例である。
図8は、本発明の食品用非付着性包装袋の構成例で、ヒートシール性を有さない基材層9の一方に、アンカーコート層11とヒートシール剤によるヒートシール層10’を有し、アンカーコート層11上のみに非付着層12を設け、さらに基材層9の他方に、アンカーコート層11’と非付着層12’を設けた例である。また、アンカーコート層11、11’または非付着層12、12’はそれぞれ同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は重量%を表す。
基材層1
厚さ20μmのOPPフィルム(略称:OPP)にLG−NTインキ(東京インキ(株)製)で、印刷を施し、印刷面をドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、厚さ30μmの低密度ポリエチレンフィルム(略称:LL)を貼り合わせてから、40℃で3日間エージングをして、「OPP/LG−NTインキ/DL/LL」の構成の基材層1を作製した。
基材層2
厚さ40μmのOPPフィルムにLG−NTインキ(東京インキ(株)製)で、印刷を施し、「OPP/LG−NTインキ」の構成の基材層2を作製した。
[非付着層塗工液の作製]
非付着層塗工液1(実施例1)
エタノール90部に、疎水化処理した乾式法シリカ(平均粒子径0.2μm、WACKER HDK H18、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗工液1を作製した。
非付着層塗工液2(実施例2)
エタノール90部に、疎水化処理した湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT D10、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗工液2を作製した。
非付着層塗工液3(実施例3)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク1)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗工液3を作製した。
1):タルクに対し、3重量%となるようにシリコーン油(KF−96−50cs、信越化学工業(株)製)のメチレンクロライド10%溶液を噴霧し、100℃で2時間焼成処理し、表面被覆処理したタルク(平均粒子径6μm)
非付着層塗工液4(実施例4)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク8部、疎水化処理していない湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT 383DS、EVONIK社製)2部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗工液4を作製した。
非付着層塗工液5(比較例1)
エタノール90部に、疎水化処理していない湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT 383DS、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗工液5を作製した。
非付着層塗工液6(比較例2)
エタノール90部に、疎水化処理していないタルク(平均粒子径7〜11μm、JA−46R、浅田製粉(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗工液6を作製した。
[アンカーコート剤の作製]
アンカーコート剤1(実施例5)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg5℃)50部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径10μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピルを40部添加して、アンカーコート剤1を作製した。
アンカーコート剤2(実施例6)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径10μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸エチル10部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル10部を添加して、アンカーコート剤2を作製した。
アンカーコート剤3(実施例7)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤3を作製した。
アンカーコート剤4(実施例8)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径0.8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤4を作製した。
アンカーコート剤5(実施例9)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、ニトリル樹脂ビーズ(平均粒子径0.8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤5を作製した。
アンカーコート剤6(比較例3)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、撹拌しながら、酢酸エチル20部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル10部を添加して、アンカーコート剤6を作製した。
[コーティング用ヒートシール剤の作製]
ヒートシール剤1(実施例10)
エチレンビニルアセテート系エマルジョン(固形分30%、Tg−25℃)80部に、撹拌しながら、WA704(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)を20部添加して、ヒートシール剤1を作製した。
ヒートシール剤2(実施例11)
エチレンビニルアセテート系樹脂(Tg−30℃)15部に、撹拌しながら、TH−12(含トルエン系溶剤、東京インキ(株)製)85部を添加して、ヒートシール剤2を作製した。
ヒートシール剤3(実施例12)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg40℃)60部に、撹拌しながら、酢酸エチル10部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル20部を添加して、ヒートシール剤3を作製した。
ヒートシール剤4(実施例13)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg70℃)60部に、撹拌しながら、酢酸エチル10部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル20部を添加して、ヒートシール剤4を作製した。
ヒートシール剤5(比較例4)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg100℃)60部に、撹拌しながら、酢酸エチル10部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル20部を添加して、ヒートシール剤5を作製した。
[非付着性積層体の作製]
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmのCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、略称:CPP)に、第一ユニットで、実施例5で得られたアンカーコート剤1(略称:AC1)、第二ユニットで、実施例1で得られた非付着層塗工液1(略称:非付着層1)をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷して、巻き取り、非付着性積層体1を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.9g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体1は、「CPP/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
非付着層塗工液1を実施例2で得られた非付着層塗工液2(略称:非付着層2)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体2を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液2はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.0g/m2、0.1g/m2であった。これによって、非付着性積層体2は、「CPP/AC1/非付着層2」の構成の積層体となった。
アンカーコート剤1を実施例6で得られたアンカーコート剤2(略称:AC2)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体3を作製した。このとき、アンカーコート剤2はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.1g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体3は、「CPP/AC2/非付着層1」の構成の積層体となった。
アンカーコート剤1を実施例7で得られたアンカーコート剤3(略称:AC3)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体4を作製した。このとき、アンカーコート剤3はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.1g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体4は、「CPP/AC3/非付着層1」の構成の積層体となった。
アンカーコート剤1を実施例8で得られたアンカーコート剤4(略称:AC4)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体5を作製した。このとき、アンカーコート剤4はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.1g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体5は、「CPP/AC4/非付着層1」の構成の積層体となった。
アンカーコート剤1を実施例9で得られたアンカーコート剤5(略称:AC5)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体6を作製した。このとき、アンカーコート剤5はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.1g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体6は、「CPP/AC5/非付着層1」の構成の積層体となった。
非付着層塗工液1を実施例3で得られた非付着層塗工液3(略称:非付着層3)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体7を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液3はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.0g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体7は、「CPP/AC1/非付着層3」の構成の積層体となった。
非付着層塗工液1を実施例4で得られた非付着層塗工液4(略称:非付着層4)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体8を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液4はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.9g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体8は、「CPP/AC1/非付着層4」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層1に、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二ユニットで、非付着層塗工液1をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷して、巻き取り、非付着性積層体9を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.9g/m2、0.1g/m2であった。これによって、非付着性積層体9は、「OPP/LG−NTインキ/DL/LL/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層1に、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二〜第三ユニットで、非付着層塗工液1をヒートシールする部分以外に全ベタにて重ね印刷して、巻き取り、非付着性積層体10を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.9g/m2、0.4g/m2であった。これによって、非付着性積層体10は、「OPP/LG−NTインキ/DL/LL/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmの低密度ポリエチレンフィルム(略称:LL)に、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二ユニットで、非付着層塗工液1をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷して、巻き取り、基材層2の印刷面と非付着層1の反対面とを、ドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、貼り合わせて、非付着性積層体11を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.8g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体11は、「OPP/LG−NTインキ/DL/LL/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
厚さ30μmのCPPフィルムを厚さ30μmのヒートシーラブルOPPフィルム(ヒートシール性二軸延伸ポリプロピレンフィルム、略称:HS−OPP)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体12を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.9g/m2、0.3g/m2であった。これによって、非付着性積層体12は、「HS−OPP/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmのHS−OPPフィルムに、第一ユニットで、LG−NTインキ(ウレタン系、東京インキ(株)製)を印刷し、第二ユニットでアンカーコート剤1、第三ユニットで、非付着層塗工液1をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷して、巻き取り、非付着性積層体13を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で0.9g/m2、0.1g/m2であった。これによって、非付着性積層体13は、「HS−OPP/LG−NTインキ/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ40μmのOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、略称:OPP)に、第一ユニットで、実施例10で得られたヒートシール剤1(略称:HT1)を全ベタで印刷し、第二ユニットで、アンカーコート剤1、第三ユニットで、非付着層塗工液1をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷して、巻き取り、非付着性積層体14を作製した。このとき、ヒートシール剤1はWA704(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.5g/m2、0.2g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体14は、「OPP/HT1/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ40μmのOPPフィルムに、第一ユニットで、実施例11で得られたヒートシール剤2(略称:HT2)をヒートシール部のみに印刷し、第二ユニットで、アンカーコート剤1をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷し、第三ユニットで、非付着塗工液1を第二ユニットで印刷したアンカーコート剤上に全ベタにて印刷して、巻き取り、非付着性積層体15を作製した。このとき、ヒートシール剤2はTH−12(含トルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.6g/m2、0.2g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体15は、「OPP/HT2/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ40μmのOPPフィルムに、第一ユニットで、LG−NTインキ(ウレタン系、東京インキ(株)製)、第二ユニットで、ヒートシール剤1を全ベタで印刷し、第三ユニットで、アンカーコート剤1、第四ユニットで、非付着層塗工液1をヒートシールする部分以外に全ベタにて印刷して、巻き取り、非付着性積層体16を作製した。このとき、ヒートシール剤1はWA704(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.5g/m2、0.2g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体16は、「OPP/LG−NTインキ/HT1/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
ヒートシール剤1を実施例12で得られたヒートシール剤3(略称:HT3)に変更した以外は非付着性積層体15と同じ作製条件にて、非付着性積層体17を作製した。このとき、ヒートシール剤3はPU515(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.5g/m2、0.2g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体17は、「OPP/HT3/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
ヒートシール剤1を実施例13で得られたヒートシール剤4(略称:HT4)に変更した以外は非付着性積層体15と同じ作製条件にて、非付着性積層体18を作製した。このとき、ヒートシール剤4はPU515(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.5g/m2、0.2g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体18は、「OPP/HT4/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
ヒートシール剤1を比較例4で得られたヒートシール剤5(略称:HT5)に変更した以外は非付着性積層体15と同じ作製条件にて、非付着性積層体19を作製した。このとき、ヒートシール剤5はPU515(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.5g/m2、0.2g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体19は、「OPP/HT5/AC1/非付着層1」の構成の積層体となった。
アンカーコート剤1を比較例3で得られたアンカーコート剤6(略称:AC6)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体20を作製した。このとき、アンカーコート剤6はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.1g/m2、0.1g/m2であった。これによって、非付着性積層体20は、「CPP/AC6/非付着層1」の構成の積層体となった。
アンカーコート剤を使用しない以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体21を作製した。このとき、非付着層塗工液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、乾燥後の塗工量は、固形分で0.1g/m2であった。これによって、非付着性積層体21は、「CPP/非付着層1」の構成の積層体となった。
非付着層塗工液1を比較例1で得られた非付着層塗工液5(略称:非付着層5)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体22を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液5はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.0g/m2、0.1g/m2であった。これによって、非付着性積層体22は、「CPP/AC1/非付着層5」の構成の積層体となった。
非付着層塗工液1を比較例2で得られた非付着層塗工液6(略称:非付着層6)に変更した以外は非付着性積層体1と同じ作製条件にて、非付着性積層体23を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗工液6はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ乾燥後の塗工量は、固形分で1.1g/m2、0.2g/m2であった。これによって、非付着性積層体23は、「CPP/AC1/非付着層6」の構成の積層体となった。
厚さ16μmのCPPフィルムにシリコーン樹脂(KF−96H−30マンcs、信越化学工業(株)製、略称:シリコーン)をヒートシールする部分以外に全ベタにて塗布し、40℃で3日間エージングをして、非付着性積層体24を作製した。このとき、シリコーン樹脂の膜厚は、0.3μmであった。これによって、非付着性積層体24は、「CPP/シリコーン」の構成の積層体となった。
市販品のヨーグルト(商品名:ビヒダスヨーグルト、森永乳業(株)製)の蓋材を、カップ容器から剥がし、蓋材の内面部分にヨーグルトが付着していないこと、後記撥水性および非付着性が十分維持されていることを確認したものを非付着性積層体25として使用した。
非付着性積層体1〜25について撥水性、非付着性、耐久性を評価し、表1に示した。
<撥水性>
非付着性積層体の非付着層について、接触角を測定した。測定には、ポータブル接触角計PCA−1(協和界面科学(株)製)を用いた。測定値が大きいほど撥水性が高く、優れる。
◎:130°以上、○:130°未満110°以上、△:110°未満90°以上、×:90°未満の4段階で評価した。
<非付着性>
水平状態に配置したつぶあん(商品名:串だんご(つぶあん)、山崎製パン(株)製)上に、非付着性積層体の非付着層を乗せ、フィルムの上から100gの荷重を10秒間かけた後、非付着性積層体の片側をゆっくりと持ち上げて、剥がした際に、つぶあんとフィルムの接触面におけるつぶあんの付着具合を目視にて観察した。付着が少ないほど、非付着性が優れる。
◎:まったく付着しない、○:やや付着する、△:かなり付着する、×:ほとんど付着する、の4段階で評価した。
<耐久性>
水平状態に設置した非付着性積層体の非付着層に、ヨーグルト(商品名:ビヒダスヨーグルト、森永乳業(株)製)を1滴のせ、ヨーグルトの乾燥防止のためカバーを掛けて、そのまま24時間冷蔵庫内に静置した。その後、冷蔵庫内から非付着性積層体を取り出し、カバーを取り除き、さらに、非付着性積層体の片側をゆっくりと持ち上げて、傾けた際に非付着性積層体の非付着層からヨーグルトが転がり落ちる様子を目視にて観察した。耐久性が優れるとは、長時間非付着性積層体の非付着層に内容物が接触していても、その非付着性能の劣化が起こらず、持続することを示す。したがって、非付着性積層体の非付着層からヨーグルトが転がり落ちるものを、耐久性が優れるとした。
◎:ヨーグルトが転がり落ち、付着がない(耐久性が優れる)、×:ヨーグルトが転がり落ちず、そのまま付着する(耐久性が劣る)の2段階で評価した。
<総合評価>
前記撥水性、非付着性、耐久性のうち、評価結果がすべて「◎」のものは総合評価として「◎」、1つでも「×」があるものは総合評価として「×」、評価結果が「◎」か「○」であるものは総合評価として「○」、1つでも「△」があるものは総合評価として「△」とした。
非付着性積層体1〜24について、さらにヒートシール性を評価し、表2に示した。
<ヒートシール性>
非付着性積層体の非付着層を形成していない部分同士を合わせて、140℃、2秒間、3kgf/cm2の加重にて、ヒートシールした後、15mm巾の短冊状にして、試料片とした。この試料片を、万能型引張試験機(RTE−1210、(株)オリエンテック製)にて、剥離角度180°、引張速度300mm/minの条件にて、引っ張り、剥離時の最大荷重をシール強度(g)として測定した。シール強度が大きいほど、ヒートシール性が優れる。
◎:200g以上、○:200g未満、150g以上、△:150g未満、100g以上、×:100g未満の4段階で評価した。
表1によると、非付着性積層体1〜19は、非付着性積層体20〜25と比べ、撥水性、非付着性、耐久性のバランスが優れることが明確である。凹凸付与剤を含まないアンカーコート剤を使用した例である積層体20は、非付着性および耐久性が劣る。アンカーコート剤自体を使用しない例である積層体21は、非付着性積層体につぶあんのほとんどが付着してしまい、非付着層の効果が発現せず、耐久性も劣る。疎水化処理をしていないシリカまたはタルクを使用した積層体22または23は、非付着性および耐久性が劣る。従来例であるシリコーン樹脂を塗布した例である積層体24は、非付着性に効果がなく、耐久性も劣る。市販品の積層体25は、初期の撥水性、非付着性は良好であるが、長時間食品が非付着層に付着した状態で保持されると、当該部分の非付着層が何らかの原因で劣化し、当該部分にそのまま食品が付着し続けてしまう(耐久性が劣る)。ここで、耐久性が劣るということは、包装袋として食品を封入し、製品として流通する際に、輸送、運搬などの行程時の振動や転置、横転、あるいは外部からの圧力などにより、包装袋内面に食品が長時間触れた状態になると、仮にその後、それが解消されたとしても、食品がそのまま付着してしまうことになり、見栄えが悪くなったり、食品の使い切りができないことによる無駄が生じたり、取り出し時に手指や衣服、あるいはテーブルなどの汚損の原因となると共に、情報などが印刷されていても視認しにくくなるなど、といった問題が生じる。
表2によると、非付着性積層体1〜19、51〜54は、ヒートシール性は優れることが明らかである。Tgの値が、90℃以上の樹脂を使用したヒートシール剤を使用した例である積層体19は、ヒートシール性が劣る。従来例であるシリコーン樹脂を塗布した例である積層体24は、ヒートシール性も劣る。