[go: up one dir, main page]

JP2016043290A - 洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法 - Google Patents

洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016043290A
JP2016043290A JP2014167944A JP2014167944A JP2016043290A JP 2016043290 A JP2016043290 A JP 2016043290A JP 2014167944 A JP2014167944 A JP 2014167944A JP 2014167944 A JP2014167944 A JP 2014167944A JP 2016043290 A JP2016043290 A JP 2016043290A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catholyte
water
chamber
organic acid
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014167944A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6347547B2 (ja
Inventor
藤丸 篤
Atsushi Fujimaru
篤 藤丸
正 森田
Tadashi Morita
正 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP2014167944A priority Critical patent/JP6347547B2/ja
Publication of JP2016043290A publication Critical patent/JP2016043290A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6347547B2 publication Critical patent/JP6347547B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

【課題】電気分解時の陰極液のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができる洗浄廃水の電気透析装置を提供する。
【解決手段】硝酸イオン及び金属イオンが含まれる洗浄廃水を投入するための中間室10と、中間室10から陰イオン交換膜21によって隔てられ、陽極液23を収容するための陽極室20と、中間室10から陽イオン交換膜31によって隔てられ、陰極液33を収容するための陰極室30と、を有し、陽極液23が、硝酸を含む水溶液であり、陰極液33が、その電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように有機酸を添加した水溶液であることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法に関する。
従来、各種の蒸着装置では、成膜すべき基板以外(チャンバーの内壁やチャンバー内に配される防着板等)に付着し堆積する金属堆積物を除去すべく、硝酸洗浄及びその後の水洗浄が定期的に行われる。ただ、水洗浄に使用した水には、硝酸イオンに加え、極微量ではあるものの金属イオンが含まれることになる。このような洗浄廃水は、コンタミ防止のためそのまま水洗浄に再利用することができず、このため洗浄毎に高純度の水が新たに必要となって多量の洗浄廃水が処分されるという、低コスト化や環境負荷低減の観点から改善が強く求められている状況がある。
ここで、水中の金属イオンを電気透析によって分離する方法がある。この種の方法は、中間室及び陽極室を陰イオン交換膜で隔て、中間室及び陰極室を陽イオン交換膜で隔てた電気透析装置を用い、電気分解を施すことで、金属イオンを中間室から陰極室に移動させて陰極に電着させるものである。一方、上記のような硝酸洗浄及び水洗浄が定期的に行われる装置では、他のイオン(塩素イオンや硫酸イオン等)もコンタミの原因となるため、特に酸として硝酸以外のものを用いることができないとの認識があった。そこで、かかる認識を考慮し、硝酸及びその加水分解物であるアンモニアからなる硝酸アンモニウムを陰極液の電解質として用い、電気分解により金属イオンを分離することが考えられる。
尚、水中の金属イオンを電気透析によって分離する方法自体としては、陰極液として無機塩及びpH緩衝剤を含有するものを用いる方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、pH緩衝剤の例が多種記載されており、そのなかに有機酸であるクエン酸が挙げられている。
特開平08−000966号公報
しかしながら、陰極液として硝酸アンモニウムからなるものを用いると、電気分解によって陰極室にて硝酸イオンが還元されてアンモニウムイオンが発生し、陰極液のpHが上昇する問題が生じる。この場合、陰イオン交換膜が劣化し、また陰極液が変質する等の不具合が引き起こされる。
また、特許文献1においては、陰極液に無機塩(例えば陽極液のイオン種と同種のもの)が含まれることが必須であって、その無機塩の濃度が大きいほうが好ましいとの記載もある。このため、無機塩に由来する金属イオンが拡散し、陽イオン交換膜を透過して中間室に再移動する可能性を排除できず、上記の水洗浄に使用可能なほどに高純度な水を得ることは困難であった。そもそも、特許文献1は、陽極液としては硝酸以外の酸を含有することを必須としている。このため、硝酸以外の酸に由来するイオン(塩素イオンや硫酸イオン等)によってコンタミが生じるおそれがあり、上記のような硝酸洗浄及び水洗浄が定期的に行われる装置に適用不可能であった。
本発明はこのような事情に鑑み、電気分解時の陰極液のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができる洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、硝酸イオン及び金属イオンが含まれる洗浄廃水を投入するための中間室と、前記中間室から陰イオン交換膜によって隔てられ、陽極液を収容するための陽極室と、前記中間室から陽イオン交換膜によって隔てられ、陰極液を収容するための陰極室と、を有し、前記陽極液が、硝酸を含む水溶液であり、前記陰極液が、その電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように有機酸を含む水溶液であることを特徴とする洗浄廃水の電気透析装置にある。
かかる態様によれば、陰極液が有機酸を含む水溶液なので、例えば、陰極液として硝酸アンモニウムからなるものを用いた場合と比べても、陰極室での硝酸イオンの還元によるアンモニウムイオンの発生を防止でき、陰極液のpHの上昇を防止することができる。そして、陰極液にて上記の範囲の電気伝導率が確保されているので、電気分解を好適に進行させることができる。以上より、電気分解時の陰極液のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができる。
ここで、前記陰極液における前記有機酸の濃度が5〜20質量%であることが好ましい。これによれば、陰極液のpHの上昇を防止しやすくなり、また、電気分解時に陰極液にて上記の範囲の電気伝導率を確保しやすくもなる。
また、前記陰極液に含まれる酸のうち前記有機酸が90質量%以上であることが好ましい。これによれば、陰極液のpHの上昇を十分に防止することができる。
また、前記陰極液が実質的に無機塩を含まないことが好ましい。これによれば、条件や誤差のために完全に除去しきれない無機塩を除いた範囲で無機塩を含まないので、無機塩に由来する金属イオンが陰極室から陽イオン交換膜を透過して中間室に移動する可能性を排除できる。このため、硝酸洗浄及び水洗浄が定期的に行われる各種の装置にて生じる洗浄廃水に好適に適用でき、コンタミを確実に防止できる電気透析装置となる。
上記課題を解決する本発明の他の態様は、硝酸イオン及び金属イオンが含まれる洗浄廃水を投入するための中間室と、前記中間室から陰イオン交換膜によって隔てられ、陽極液を収容するための陽極室と、前記中間室から陽イオン交換膜によって隔てられ、陰極液を収容するための陰極室と、を有する電気透析装置を用いるとともに、前記陽極液として、硝酸を含む水溶液を用い、前記陽極液として、その電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように有機酸を含む水溶液を用いることを特徴とする廃水の電気透析方法にある。
かかる態様によれば、陰極液として有機酸を含む水溶液を用いるので、例えば、陰極液として硝酸アンモニウムからなるものを用いた場合と比べても、陰極室での硝酸イオンの還元によるアンモニウムイオンの発生を防止でき、陰極液のpHの上昇を防止することができる。そして、陰極液にて所定範囲の電気伝導率が確保されているので、電気分解を好適に進行させることができる。以上より、電気分解時の陰極液のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができる。
本発明の洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法によれば、電気分解時の陰極液のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができる。
実施形態1に係る洗浄廃水の電気透析装置の適用例等を示す図。 実施形態1に係る洗浄廃水の電気透析装置の構成例を示す横断面図。 実施例1〜3に係る洗浄廃水の電気透析装置による試験結果を示す図。 実施例4及び5に係る洗浄廃水の電気透析装置による試験結果を示す図。 比較例1及び2に係る洗浄廃水の電気透析装置による試験結果を示す図。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る洗浄廃水の電気透析装置(以下、単に「電気透析装置」と称することがある。)の適用例等を示す図である。
PVD装置やCVD装置等、各種の蒸着装置では、成膜すべき基板以外に付着し堆積する金属堆積物を除去すべく、硝酸による溶解洗浄(硝酸洗浄)及びその後の水による超音波洗浄やすすぎ洗浄(水洗浄)が定期的に行われる。水洗浄に使用した洗浄廃水には、硝酸イオン;NO に加え、極微量ではあるものの金属イオン;Mが含まれることになり、このような洗浄廃水が、本実施形態に係る電気透析装置1に投入される。
電気透析装置1は、洗浄廃水を投入するための中間室10と、中間室10から陰イオン交換膜21によって隔てられ、陽極液を収容するための陽極室20と、中間室10から陽イオン交換膜31によって隔てられ、陰極液を収容するための陰極室30と、を有している。電気分解により、中間室10から移動した硝酸イオンが陽極室20で濃縮させられて、中間室10から移動した金属イオンが陰極室30にて電着させられる。これにより、中間室10に投入された洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離できる。
電気透析装置1にて硝酸イオン及び金属イオンの両方が分離された後の水は、例えば、硝酸イオンが数百ppm未満であり、また、金属イオンもほとんど検出されないレベルであるので、水洗浄用に再利用することができる。従って、電気透析装置1によれば、洗浄毎に高純度の水が新たに必要となって多量の洗浄廃水が処分されていた従来に対し、低コスト化や環境負荷低減を実現できる。
尚、洗浄廃水は、硝酸イオン及び金属イオンの両方を含むものであれば、本発明の範囲において上記の水洗浄後の水に制限されない。洗浄廃水の電気分解によって得られる水は、水洗浄用とは異なる他の用途にも使用できる。電気分解後に得られる水に残存していてもよい硝酸イオンや金属イオンの濃度も、その得られる水の用途に応じて様々である。
図2は、上記の電気透析装置の構成例を示す横断面図である。
電気透析装置1では、中間室10から陰イオン交換膜21によって隔てられた陽極室20に陽極22が配されて、中間室10から陽イオン交換膜31によって隔離された陰極室30に陰極32が配されており、陽極22及び陰極32が電源11を介して電気的に接続されている。陽極室20には陽極液23が収容され、陰極室30には陰極液33が収容される。
これらのうち、陰イオン交換膜21及び陽イオン交換膜31は市販のものを用いることができる。安価なものは、電解液のpH上昇に対する耐劣化性が十分でないものが多いが、電気透析装置1によれば、電気分解時の陰極液33のpH上昇を抑制できるので、そのような安価なイオン交換樹脂であっても好適に使用できる。陰イオン交換膜21や陽イオン交換膜31には、強度向上のための補強部材が設けられていてもよい。
陽極22及び陰極32は、導電性を有するものであって、ある程度の耐腐食性を有し、かつ電解液中に溶出しにくいものを選択して用いることができる。一例としては、陽極22としてステンレス、陰極32として白金(Pt)をメッキしたチタン(Ti)を用いることができる。陽極22及び陰極32の材料は前記の例に制限されず、金(Au)や銀(Ag)等も電極材料として、又はメッキ材料として使用できる。
陽極液23は、硝酸を含む水溶液である。これは、硝酸洗浄及びその後の水洗浄が定期的に行われる各種の装置では、他の酸に由来するイオン(塩素イオンや硫酸イオン等)もコンタミの原因となるためである。陽極液23における硝酸の濃度は、数質量%程度とすることができ、例えば0.5〜3質量%とすることができる。電気分解の開始時において、陽極液23における硝酸の濃度が上記範囲になるように調節することで、電気分解を好適に進行させることができる。
電気分解により、中間室10から硝酸イオンが陰イオン交換膜21を透過し、陽極液23に濃縮されてくる。陽極液23における硝酸イオンの濃度が過度に高くなると、陰イオン交換膜21に悪影響を及ぼし、また硝酸イオンも陽極室20に移動しにくくなる。よって、電気分解中も継続して硝酸の濃度が上記範囲で維持されるように、所定時間ごとに、陽極液23の一部又は全部を交換・補充するのが好ましい。
ここで、陰極液33は、有機酸を含む水溶液である。これによれば、例えば、陰極液33として硝酸アンモニウムからなるものを用いた場合と比べても、陰極室30での硝酸イオンの還元によるアンモニウムイオンの発生を防止でき、陰極液33のpHの上昇を防止することができる。ひいては、陽イオン交換膜31の劣化や陰極液33の変質をも防止することができる。
このような有機酸は、一般的に弱酸性を示すものである。このため、有機酸の種類にはよるが、該有機酸を含む陰極液33がpH緩衝機能を発揮し得ることも、陰極液33のpHの上昇を防止することができる一因となっている。
しかも、有機酸自体が、比較的その解離・変質を防止しやすいものである上、仮にその極微量が陽イオン交換膜31を透過して中間室10に移動したとしても、各種の無機酸に比べれば、その汚染度も低い。
そして、陰極液33は、そのような有機酸を、電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように含むものである。電気伝導率が上記の範囲未満であると、電気分解が好適に進行しない。一方で、電気伝導率が高い方が電解処理には有利に働くが、有機酸は濃度が高くなると溶液の粘性が高くなりやすいので、電気伝導率が上記の範囲以上となるほどに有機酸を含む場合には、金属イオンの移動度やイオン交換膜の透過性に悪影響を及ぼす危険が生じてくる。また、水の電気分解による水の蒸発により有機酸の濃度が更に濃くなって、有機酸の水への溶解度を超えてしまい結晶物が発生し、その結果、かかる結晶物が原因となってイオン交換膜の目詰まりが引き起こされる危険も生じてくる。コスト面からも、電気伝導率が上記の範囲以上となるほどに有機酸の過剰に含有せしめるのは好ましくない。これらを踏まえ、陽極液23にて上記の範囲の電気伝導率が確保されるように有機酸が含まれていることで、電気分解を好適に進行させ、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離することができる。
陰極液33における有機酸の濃度は、5〜20質量%である。有機酸の濃度が上記の範囲未満であると、陰極液33のpHの上昇を防止する機能が得られ難くなる。一方、有機酸の濃度が上記の範囲を超えると、上記の各種の不具合が生じる危険が高くなり、また陰極液33にて上記の範囲の電気伝導率を確保し難くなる。電気分解の開始時において、陰極液33における有機酸の濃度が上記範囲になるように調節することで、陰極液33のpHの上昇を防止しやすくなり、また、電気分解の開始時に陰極液33にて上記の範囲の電気伝導率を確保しやすくもなる。電気分解中も継続して、陰極液33における有機酸の濃度が上記の範囲で維持されるように、所定時間ごとに陰極液33の一部又は全部を交換・補充するのが好ましい。
このような有機酸は、有機化合物の酸であり、ここでいう有機化合物は、一般的に有機化合物と称されているものと同意義である。有機酸は、カルボン酸(RCOOH)、フェノール(ArOH)、エノール(RCH=C(OH)R’)、オキシム(RCH=NOH)、ニトロ化合物(RNO)等の何れも使用可能であるが、上記のように弱酸であればpH緩衝機能を発揮し得るため、全体としての酸性が強くなり過ぎないようにすることが好ましい。有機酸の一例としては、蟻酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、安息香酸、乳酸、リンゴ酸等を挙げることができる。また、有機酸としては、入手容易性や溶解性等の観点からは、炭素数が2〜8の有機化合物の酸を用いることが好ましい。
このなかでも、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸は、比較的安価で入手可能で、水に溶けやすいので水溶液の電気伝導率も良好な範囲となり、また、毒劇物など有害性もなく環境負荷もない為、より好ましい添加剤と言える。酢酸、クエン酸、アスコルビン酸は、それぞれ5%〜20%の濃度範囲における電気伝導率は以下のようになる。
酢酸:5%〜20%,電気伝導率:0.1〜0.5mS/cm
クエン酸:5%〜20%,電気伝導率:0.5〜1.0mS/cm
アスコルビン酸:5%〜20%,電気伝導率:0.1〜0.5mS/cm
上記の有機酸には、該有機酸の水和物も含まれる。有機酸は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
陰極液33に含まれる酸のうち、上記の有機酸が90質量%以上であり、好ましくは95質量%以上である。言い換えれば、陰極液33に含まれる酸のうち、上記の有機酸以外の酸の存在は、その酸の種類にもよるが10質量%未満程度は許容できる。これによれば、陰極液33のpHの上昇を十分に防止することができる。
加えて、陰極液33は実質的に無機塩を含まないものである。これによれば、条件や誤差のために完全に除去しきれない無機塩を除いた範囲で無機塩を含まない陰極液33となるので、無機塩に由来する金属イオンが陰極室30から陽イオン交換膜31を透過して中間室10に移動する可能性を排除できる。尚、陰極液33における無機塩は、その無機塩の種類や、硝酸イオン及び金属イオンが分離された後の水の用途等にもよるが、無機塩が一般的なものであり、硝酸イオン及び金属イオンが分離された後の水を上記の水洗浄に再利用しようとするときには、100ppm以下であれば許容でき、この場合、実質的に無機塩を含まないと言うことができる。
このような陰極液33の作製タイミングは制限されず、陰極室30に収容する前の段階で水に有機酸を含有せしめて陰極液33を作製し、これを陰極室30に収容するようにしてもよく、水を陰極室30に収容した後の段階で水に有機酸を含有せしめて陰極液33を作製するようにしてもよい。これらの手法を組み合わせることもできる。上記の陰極液33に使用される水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水等が挙げられるが、前記の例に制限されない。このような水は、上記の陽極液23にも勿論使用可能である。
以上説明した電気透析装置1を用いた電気透析方法は以下のとおりである。すなわち、陽極液23として、硝酸を含む水溶液を用い、陰極液33として、その電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように有機酸を含む水溶液を用いる。そして、中間室10に、硝酸イオン及び金属イオンを含む洗浄廃水を投入し、あわせて陽極22及び陰極32に電圧を印加して電気分解する。
電気分解により、陽極室20では、中間室10から陰イオン交換膜21を透過した硝酸イオンが濃縮されてくる。硝酸イオンが濃縮された陽極液23は、酢酸洗浄のための硝酸として再利用してもよいし、他の用途に用いてもよい。勿論、所定の用途に用いることなく処分してもよい。
また、電気分解により、陰極室30では、中間室10から陽イオン交換膜31を透過して金属イオンが金属Mとして陰極32に電着してくる。陰極32は、所定時間ごとに交換・洗浄すればよい。
このような電気透析方法によれば、陰極液33として有機酸を含む水溶液を用いるので、該陰極液33のpHの上昇を防止することができる。そして、陰極液33にて所定範囲の電気伝導率が確保されているので、電気分解を好適に進行させることができる。以上より、電気分解時の陰極液33のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができる。
以下、本発明を、実施例に基づいて更に詳述する。ただし、本発明の範囲は、下記の実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
実施形態1に係る電気透析装置1を構成した。このうち、陽極22は、白金(Pt)をメッキしたチタン(Ti)により構成し、陰極32は、ステンレスにより構成した。陽極液23は、1質量%の硝酸水溶液を用い、陰極液33は、本発明での電気伝導率の範囲を満たすように有機酸を含む水溶液を用いた。有機酸はクエン酸を用いた。ここでは、陰極液33の初期pHが約1.27となるように有機酸を含有せしめたところ、クエン酸の初期濃度は20質量%となった。
尚、操作誤差や検出誤差を除けば、陰極液33に含まれる酸のうち、有機酸は100質量%であり、また陰極液33は実質的に無機酸を含んでいない(以下の実施例2〜5も同様)。
中間室10に投入する洗浄廃水として、硝酸を0.5質量%、亜鉛(Zr)を0.05質量%含むものを用い、陽極22及び陰極32に約24Vの電圧を印加して電気分解を行った。
(実施例2)〜(実施例3)
本発明での電気伝導率の範囲を満たすように有機酸を含有せしめた結果、有機酸の濃度は表1のようになった。また、陰極液33の初期pHの影響を調べるべく、アンモニアを含有せしめて陰極液33の初期pHを表1のように調整した(表1中「NH調整」と表記)。これら以外は実施例1と同様の手法により、電気分解を行った。尚、アンモニアは、陰極液33の電気伝導率やpH変動には影響を与えず、本来的には含有せしめる必要が必ずしもないものである。
(実施例4)
有機酸の種類を表1のように変更した。また、本発明での電気伝導率の範囲を満たしつつ、陰極液33の初期pHが約2.22となるように有機酸を含有せしめた結果、有機酸の濃度は5質量%となった。これら以外は実施例1と同様の手法により、電気分解を行った。
(実施例5)
本発明での電気伝導率の範囲を満たしつつ、陰極液33の初期pHが約2.05となるように有機酸を含有せしめた結果、有機酸の濃度は5質量%となった。また、洗浄廃水に含まれる金属イオンの種類を表1のように変更した。これら以外は実施例1と同様の手法により、電気分解を行った。
(比較例1)
実施例1〜5と異なり、陰極液33として有機酸を含む水溶液を用いなかった。すなわち、陰極液として硝酸アンモニウムを用い、その初期pHが約4.58となるように硝酸アンモニウムを含有せしめた結果、該硝酸アンモニウムの濃度は1質量%となった。また、陽極液23は、約2〜3質量%の硝酸水溶液を用いた。そして、中間室10に投入する洗浄廃水として、硝酸を0.2質量%、亜鉛(Zn)を0.02質量%含むものを用い、実施例1の同様の条件で電気分解を行った。
(比較例2)
また、陰極液の初期pHの影響を調べるべく、アンモニアを含有せしめて陰極液の初期pHを表1のように調整した(表1中「NH調整」と表記)。それ以外は比較例1と同様の手法により、電気分解を行った。
Figure 2016043290
(試験例1)
電気分解を行いながら、中間室10内の洗浄廃水と、陰極室30内の陰極液33と、を一定時間ごとに採取し、該洗浄廃水の硝酸イオン濃度と、該陰極液33の金属イオン濃度と、を計測して推移を観察した。実施例1〜3での結果を図3(a)〜(c)に示し、実施例4〜5での結果を図4(a)〜(b)に示し、比較例1〜2での結果を図5(a)〜(b)に示す。
図5(a)〜(b)に示す比較例1〜2では、電気分解の開始直後に陰極液の大きなpH上昇が見られたため、数時間で電気分解を中断せざるを得なかった。これは、陰極室にて硝酸アンモニウムに由来する硝酸イオンや、陽極室から陰イオン交換膜21、中間室10及び陽イオン交換膜31を介して陰極室30まで拡散した極微量の硝酸イオンが還元され、アンモニウムイオンとともに水酸化物成分が生成したためであると推察される。このような水酸化物成分が生成すると、イオン交換膜に付着して該イオン交換膜の劣化が引き起こされ、また陰極液自体の変質にもつながる。
これに対し、図3(a)〜(c)及び図4(a)〜(b)に示す実施例1〜5では、電気分解を開始してから数時間のうちに、中間室10内の洗浄廃水における硝酸濃度の大きな低下が見られ、更に電気分解を継続することで、24時間後には硝酸濃度を100ppm以下まで減少させることができることが分かった。特に実施例1〜2及び5では、24時間後には硝酸濃度を60ppm以下まで減少させることができることが分かった。そして、電気分解の間、陰極室30における陰極液33のpH上昇を十分に防止でき、ひいては陽イオン交換膜31の劣化や陰極液33の変質を好適に防止できることが分かった。そして、このような結果は、有機酸の種類、陰極液33の初期pH、及び洗浄廃水に含まれる金属イオンの種類等に関係なく得られることも分かった。
(試験例2)
上記の試験例1の後、陰極液から引き上げた陰極32を目視観察した。陰極32に金属の電着が確認できた場合を「○」とし、金属の電着が確認されなかった場合を「×」と評価した。結果を表2に示す。
Figure 2016043290
比較例1〜2では、金属の電着が確認されなかった。これは、上記のように、開始数時間で電気分解を中断せざるを得ず、陰極32に金属が電着する程度まで電気分解を継続できなかったためである。
一方、実施例1〜5では、陰極32に金属の電着が確認できた。そして、このような結果は、有機酸の種類、陰極液33の初期pH、及び洗浄廃水に含まれる金属イオンの種類等に関係なく得られることも分かった。
以上、試験例1及び2によれば、実施例1〜5に例示される本実施形態の洗浄廃水の電気透析装置1及び電気透析方法により、電気分解時の陰極液のpH上昇を抑制でき、洗浄廃水から硝酸イオン及び金属イオンの両方を分離して高純度の水を好適に得ることができることが分かった。電気分解により得られる高純度の水を、水洗浄用に再利用すれば、低コスト化や環境負荷低減の観点で改善を図ることもできる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上記のものに限定されるものではない。例えば、上記の電気透析装置1を複数用意し、これを電気的に連結するようにしてもよい。電気透析装置1の各構成の形状や大きさも、図示しているものはあくまで一例であり、本発明の範囲において適宜変更可能である。
1 電気透析装置、 10 中間室、 11 電源、 20 陽極室、 21 陰イオン交換膜、 22 陽極、 23 陽極液、 30 陰極室、 31 陽イオン交換膜、 32 陰極、 33 陰極液

Claims (5)

  1. 硝酸イオン及び金属イオンが含まれる洗浄廃水を投入するための中間室と、前記中間室から陰イオン交換膜によって隔てられ、陽極液を収容するための陽極室と、前記中間室から陽イオン交換膜によって隔てられ、陰極液を収容するための陰極室と、を有し、
    前記陽極液が、硝酸を含む水溶液であり、
    前記陰極液が、その電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように有機酸を含む水溶液であること
    を特徴とする洗浄廃水の電気透析装置。
  2. 前記陰極液における前記有機酸の濃度が5〜20質量%であること
    を特徴とする請求項1に記載の洗浄廃水の電気透析装置。
  3. 前記陰極液に含まれる酸のうち前記有機酸が90質量%以上であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄廃水の電気透析装置。
  4. 前記陰極液が実質的に無機塩を含まないこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄廃水の電気透析装置。
  5. 硝酸イオン及び金属イオンが含まれる洗浄廃水を投入するための中間室と、前記中間室から陰イオン交換膜によって隔てられ、陽極液を収容するための陽極室と、前記中間室から陽イオン交換膜によって隔てられ、陰極液を収容するための陰極室と、を有する電気透析装置を用いるとともに、
    前記陽極液として、硝酸を含む水溶液を用い、
    前記陰極液として、その電気伝導率が0.1〜1.0mS/cmの範囲内となるように有機酸を含む水溶液を用いること
    を特徴とする洗浄廃水の電気透析方法。
JP2014167944A 2014-08-20 2014-08-20 洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法 Active JP6347547B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014167944A JP6347547B2 (ja) 2014-08-20 2014-08-20 洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014167944A JP6347547B2 (ja) 2014-08-20 2014-08-20 洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016043290A true JP2016043290A (ja) 2016-04-04
JP6347547B2 JP6347547B2 (ja) 2018-06-27

Family

ID=55634413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014167944A Active JP6347547B2 (ja) 2014-08-20 2014-08-20 洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6347547B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018164143A1 (ja) * 2017-03-10 2018-09-13 株式会社アストム 電気透析装置および逆電気透析装置
CN114534501A (zh) * 2022-01-04 2022-05-27 中国原子能科学研究院 一种用于分离硝酸和乙酸的电渗析装置和方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58128110A (ja) * 1982-01-26 1983-07-30 Toyo Sanso Kagaku Kk カルシウムイオン飲料の製造方法
JPH06312185A (ja) * 1993-04-30 1994-11-08 Nippon Intetsuku Kk 電解水の生成装置
JPH08966A (ja) * 1994-06-24 1996-01-09 Chlorine Eng Corp Ltd 電気透析精製法
JPH08206661A (ja) * 1995-02-08 1996-08-13 Permelec Electrode Ltd 硝酸塩の電気化学的回収方法及び装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58128110A (ja) * 1982-01-26 1983-07-30 Toyo Sanso Kagaku Kk カルシウムイオン飲料の製造方法
JPH06312185A (ja) * 1993-04-30 1994-11-08 Nippon Intetsuku Kk 電解水の生成装置
JPH08966A (ja) * 1994-06-24 1996-01-09 Chlorine Eng Corp Ltd 電気透析精製法
JPH08206661A (ja) * 1995-02-08 1996-08-13 Permelec Electrode Ltd 硝酸塩の電気化学的回収方法及び装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018164143A1 (ja) * 2017-03-10 2018-09-13 株式会社アストム 電気透析装置および逆電気透析装置
JPWO2018164143A1 (ja) * 2017-03-10 2020-01-16 株式会社アストム 電気透析装置および逆電気透析装置
CN114534501A (zh) * 2022-01-04 2022-05-27 中国原子能科学研究院 一种用于分离硝酸和乙酸的电渗析装置和方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6347547B2 (ja) 2018-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4707240A (en) Method and apparatus for improving the life of an electrode
WO2013080326A1 (ja) めっき液の再生方法
TWI622428B (zh) 電透析模組及電透析系統
JP6142408B2 (ja) 治具用電解剥離剤
CN104724795A (zh) 一种处理含镍废水的电化学处理系统和电化学方法
US20250050382A1 (en) Method for cleaning a synthetic surface
JP6347547B2 (ja) 洗浄廃水の電気透析装置及び電気透析方法
JP6838051B2 (ja) アルカリ水および酸性水を作る方法
JPH06158397A (ja) 金属の電気メッキ方法
WO2008079954A1 (en) A method of cleaning and maintaining a membrane used with an aqueous stream
JPWO2014156761A1 (ja) 電気ニッケルめっき液中の希土類不純物の除去方法
KR20220118443A (ko) 기판 상에 아연-니켈 합금을 성막하는 방법 및 시스템
JP3705756B2 (ja) 電解液及び該電解液により生成させた電解水
JP2015195376A (ja) 電気透析装置と電気透析方法およびそれを用いたエッチング装置
KR102127090B1 (ko) 적어도 처리될 기판상에 아연-니켈 합금층을 전해 디포짓하기 위한 방법
JP4991655B2 (ja) 電気透析装置
JPH08966A (ja) 電気透析精製法
JP2005344208A (ja) 無電解ニッケルめっき液の処理方法
TWI886188B (zh) 用於在基板上沉積鋅-鎳合金的方法及系統
JPH0419310B2 (ja)
TWI875301B (zh) 鍍敷組合物之再生方法及再生裝置
JP6111704B2 (ja) 純水製造装置及びその運転方法
JP5393834B2 (ja) 電解質を含む液体から複数の除去対象イオンを除去する電気透析装置
WO2016013562A1 (ja) 表面処理鋼板の製造方法
JP6142198B2 (ja) 3価クロムめっき用アノードの再生処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170605

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180523

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180528

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6347547

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250