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JP2016040400A - 溶鋼の減圧精錬方法 - Google Patents

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JP2016040400A JP2014164416A JP2014164416A JP2016040400A JP 2016040400 A JP2016040400 A JP 2016040400A JP 2014164416 A JP2014164416 A JP 2014164416A JP 2014164416 A JP2014164416 A JP 2014164416A JP 2016040400 A JP2016040400 A JP 2016040400A
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Abstract

【課題】環流型脱ガス装置を用いて、真空槽の溶損を抑えるとともに脱炭末期の脱炭速度を向上させる溶鋼の減圧精錬方法を提供する。【解決手段】製鋼炉から取鍋に出鋼した溶鋼を環流型脱ガス装置で精錬するにあたり、脱炭開始時点から少なくとも5分間は、(1)式で求まる真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さDが50mm以上100mm未満の範囲で脱炭処理を行うとともに、脱炭終了前の少なくとも5分間は、溶鋼深さDが400mm以上の範囲でC濃度を0.0040質量%以下に脱炭処理を行う。D=(P0−P)/(ρ・g)+H−L・・・(1)D:真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さ(m)、P0:大気圧(Pa)、P:真空槽内の圧力(Pa)、ρ:溶鋼密度(kg/m3)、g:重力加速度(m/s2)、H:浸漬管の浸漬深さ(m)、L:浸漬管下端から真空槽内の槽底までの長さ(m)【選択図】図7

Description

本発明は、鋼材の製造段階において、溶製コストを抑えつつ脱炭末期の脱炭速度を向上させ、更には製品段階で製品性能を低下させる要因になり得るアルミナ系介在物の除去を促進させることが可能な環流型脱ガス装置における溶鋼の減圧精錬方法に関する。
自動車用鋼板を始めとする高清浄極低炭素鋼は、環流型脱ガス装置を用いた脱炭処理、それに引き続き行われるAl添加および環流処理によって製造されている。
脱炭処理では、未脱酸鋼を環流型脱ガス装置で減圧処理することで、C濃度が10ppm以下といった極低炭素領域まで脱炭する技術がある。これは、(A)式に示す脱炭反応において、CO分圧を下げることで脱炭反応を促進させるものである。
C+O=CO(g) ・・・(A)
脱炭反応は、非特許文献1で報告されているように、内部脱炭、表面脱炭、気泡脱炭に大別できる。内部脱炭は、溶鋼を減圧処理した際、溶鋼中のCとOの濃度積が雰囲気圧力とCO生成臨界圧の和よりも高い領域からCOガスが生成する反応であり、脱炭初期から中期にかけて生じる。脱炭反応が進んだ脱炭末期ではCとOの濃度積が小さくなるため、内部脱炭が停滞し、脱炭速度は大きく低下する。この時、表面脱炭、気泡脱炭の寄与率が相対的に大きくなるため、表面脱炭、気泡脱炭を促進させることで脱炭時間の短縮が期待できる。
特許文献1では「溶鋼中炭素濃度が100ppm以下に低下した後、真空槽内溶鋼の浴深を静止状態に換算して20cm以下としつつ処理すること」を特徴とする、RH法による極低炭素鋼の溶製方法が開示されている。この技術は、余分なArガスを使わずに浴深を浅くして炭素濃度の低い時期に溶鋼のスプラッシュ量を著しく増加させ、脱炭のための気−液界面積を増やすことで、表面脱炭の促進を狙ったものである。しかしながら、この技術はスプラッシュを増加させることになるため、真空槽内に地金が付着し、操業阻害を生じさせてしまう頻度が増大してしまう。
また、特許文献2では「溶鋼中の炭素濃度が100ppm以下の領域で真空脱炭処理の溶鋼に水素含有物質を添加する」ことを特徴とする、極低炭素溶鋼の製造方法が開示されている。この技術は、水素ガスボイリングを生じさせることによる脱炭反応の促進を狙ったものである。しかしながら、この技術は水素含有物質を添加するため、新たに脱H処理が必要となり、全体としての処理時間短縮にはならない。
さらに、特許文献3では「[C]>20ppmまでの脱炭反応の前半期に環流ガス量を33〜42Nl/min.cmとし、[C]≦20ppmの脱炭反応の後半期に環流ガス量を8〜25Nl/min.cmに低下させること」を特徴とする極低炭素鋼の溶製方法が開示されている。この技術は、極低炭素領域での環流速度を低下させることで、溶鋼中の微細CO気泡の真空槽内の滞留時間を延長させ、気泡脱炭の促進を狙ったものである。しかしながら、この技術では環流ガス量を低下させることにより環流ガス全体の存在割合が低下するため、処理時間短縮には繋がらない。
一方、脱炭処理に続くAl添加後に溶鋼を清浄化させる場合、従来よりスラグ中のFeO濃度を低減したり、スラグ中のCaOやMgO濃度を増加させることでスラグを固化させ、反応性を低下させる技術が開示されている。
特許文献4では、「大気圧もしくはそれ以下の状態で溶融金属をそれに可溶なガスでバブリングして該溶融金属中にガスを溶解せしめ、その後急速に減圧して溶融金属中に微細ガス気泡を発生させると共に、この減圧で該溶融金属中に溶け残っているバブリングガスの脱ガスを合わせて行い、溶融金属中に浮遊する介在物をバブリングによるガス気泡および減圧により発生した微細ガス気泡にトラップせしめて、浮上後これを除去すること」を特徴とする溶融金属の減圧清浄化方法が開示されている。この技術は溶鋼中の浮上除去促進を狙ったものである。
また、特許文献5では、「筒状槽内圧力を減圧して精錬を開始してから一定時間経過するまでは、該溶鋼への浸漬管の浸漬深さを通常の精錬時より浅くし、その後に通常精錬時の浸漬深さとして精錬すること」を特徴とするRH脱ガス装置による溶鋼の精錬方法、ならびに、「溶鋼にアルミニウムを添加して脱酸を開始してから一定時間経過するまでは、前記浸漬管の浸漬深さを通常の精錬時より浅くし、その後に通常精錬時の浸漬深さとして精錬すること」を特徴とするRH脱ガス装置による溶鋼の精錬方法が開示されている。この技術の前半は、精錬開始から一定時間経過するまで浸漬管の浸漬深さを浅くすることで、一端真空槽内に吸い込んだスラグを取鍋内に排出し易くすることを狙ったものである。また、後半は、Al添加により真空槽内に生成した脱酸生成物を速やかに排出することを狙ったものである。この技術は浸漬管の浸漬深さを変えることで溶鋼を清浄化するものであるが、主に真空槽内の取鍋スラグもしくは脱酸生成物からの汚染を防ぐことを狙った技術であり、清浄化の効率向上を指向するものではない。また、この技術は、脱炭精錬効率に関しては、「従来例と何ら遜色がない」と記載するに留まっている。
特開平4−141512号公報 特許昭60−21207号公報 特開平3−197614号公報 特開平2−099263号公報 特開2003−268439号公報
北村ら:鉄と鋼 80(1994)、213.
近年、転炉等の製鋼炉での処理時間の高速化、並びに、連続鋳造時の鋳造速度の高速化が進められており、生産の高効率化のためには二次精錬での高速処理化が必須である。また、二次精錬で高速処理化した場合であっても、成分や清浄度が常に安定していることが必要である。さらに、これらは真空槽および浸漬管の耐火物の溶損を抑えて安価に達成されることと両立する技術であることが必要である。
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、環流型脱ガス装置を用いて、真空槽および浸漬管の耐火物の溶損を抑えるとともに脱炭末期の脱炭速度を向上させ、更には脱炭処理に続くAl添加後の溶鋼の清浄化処理時間を短縮する手法を安価に提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するにあたり、環流処理中の浸漬管の浸漬深さに着目して検討を重ねた。その結果、脱炭開始直後は浸漬管の浸漬深さを従来より浅くした状態、つまり、真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さを従来より浅い状態にしても脱炭速度は従来と同様であり、浸漬管の耐火物保護の面では有利であることを知見した。また、脱炭がある程度進んだ後に浸漬管の浸漬深さを深くし、内部脱炭が停滞する脱炭末期の気泡浮上距離を確保し、気泡表面積を増大させることで、気泡脱炭が促進して脱炭末期の脱炭速度が向上することを知見した。
さらに、脱炭処理に続くAl添加後において、浸漬管の浸漬深さを浅くし、真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さを従来より浅くした状態で環流処理すると、真空槽内の溶鋼量が低下することになるため、単位体積当たりの攪拌動力密度が大きくなり、非金属介在物の凝集、浮上除去が促進され、清浄化時間を短縮できることを知見した。本発明者らは、脱炭末期に気泡脱炭が効率的に生じる真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さおよび処理時間、脱炭処理に続くAl添加後に非金属介在物の凝集、浮上除去が効率的に生じる真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さを明らかにすることで、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の通りである。
本発明は、以下の通りである。
(1)製鋼炉から取鍋に出鋼した溶鋼を環流型脱ガス装置で精錬するにあたり、脱炭開始時点から少なくとも5分間は、(1)式で求まる真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さDが50mm以上100mm未満の範囲で脱炭処理を行うとともに、脱炭終了前の少なくとも5分間は、前記溶鋼深さDが400mm以上の範囲でC濃度を0.0040質量%以下に脱炭処理を行うことを特徴とする、環流型脱ガス装置における溶鋼の減圧精錬方法。
D=(P−P)/(ρ・g)+H−L ・・・(1)
D:真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さ(m)、P:大気圧(Pa)、P:真空槽内の圧力(Pa)、ρ:溶鋼密度(kg/m)、g:重力加速度(m/s)、H:浸漬管の浸漬深さ(m)、L:浸漬管下端から真空槽内の槽底までの長さ(m)
(2)前記脱炭処理に続くAl添加後に前記浸漬管の浸漬深さHを浅くする操作によって前記溶鋼深さDが50mm以上100mm未満の範囲で環流処理を行うことを特徴とする、上記(1)に記載の環流型脱ガス装置における溶鋼の減圧精錬方法。
本発明によれば、浸漬管の浸漬深さを深くすることで生じる浸漬管の耐火物損耗コスト増大を最小限に抑えつつ、脱炭に要する処理時間を短縮し、更には従来と同じ溶鋼清浄度を短時間の処理で得られる。これらは、既存の設備やプロセスを大きく変更することなく溶製可能であることから製造コストの増大を抑制可能であり、本発明の社会的貢献度は非常に大きい。
図1は、環流型脱ガス装置の概略図である。 図2は、比較例1の真空槽内の溶鋼深さDおよび浸漬管の浸漬深さHと処理時間の関係を示す図である。 図3は、比較例2の真空槽内の溶鋼深さDおよび浸漬管の浸漬深さHと処理時間の関係を示す図である。 図4は、比較例3の真空槽内の溶鋼深さDおよび浸漬管の浸漬深さHと処理時間の関係を示す図である。 図5は、発明例1の真空槽内の溶鋼深さDおよび浸漬管の浸漬深さHと処理時間の関係を示す図である。 図6は、発明例2の真空槽内の溶鋼深さDおよび浸漬管の浸漬深さHと処理時間の関係を示す図である。 図7は、発明例3の真空槽内の溶鋼深さDおよび浸漬管の浸漬深さHと処理時間の関係を示す図である。
1.本発明における用語の定義
「製鋼炉」とは、転炉または電気炉を指し、製鋼炉から出鋼された「溶鋼」とは、脱硫、脱りんもしくは脱炭といった一次精錬処理が実施された状態であるものとする。
「環流型脱ガス装置」とは、図1に示すような真空槽1を有する溶鋼処理装置であって、代表的な装置としてRHがある。図1に示すように、真空槽1は浸漬管5および6と連設されている。浸漬管5および6の一部は取鍋9内の溶鋼8に浸漬されている。浸漬管5には還流ガス吹込み孔4が設けられている。還流ガス3は還流ガス吹込み孔4から浸漬管内の溶鋼に吹き込まれる。本発明において、Hは浸漬管の浸漬深さであり、浸漬管5および6の下端から取鍋内の溶鋼の表面までの高さを表す。Lは浸漬管5および6の下端から真空槽1内の槽底2までの長さを表す。Dは真空槽1内の湯面から真空槽1の槽底2までの溶鋼深さを表す。
「環流処理」とは、環流型脱ガス装置を用いて、取鍋に溶鋼を受鋼している状態で、真空槽内の圧力Pを低下させることで溶鋼を真空槽に吸い上げ、環流ガスを流すことで、溶鋼を取鍋と真空槽間で循環させる操作を指す。
「脱炭処理」とは、上記環流処理に関連し、真空槽内の圧力Pを低下させて(A)式に示す脱炭反応を生じさせる処理を指す。(A)式は主に溶鋼中の炭素と酸素の反応であるため、Al等で溶鋼を脱酸し、溶鋼中の酸素濃度が低減した状態では、脱炭反応は顕著に生じない。本発明においては、溶鋼中に多量のCとOが存在し、減圧処理することで(A)式に示す反応が生じている、Al添加する前までの状態を指す。
C+O=CO(g) ・・・(A)
2.処理手順
2.(1) 脱炭開始時から少なくとも5分間:溶鋼深さD:50mm以上100mm未満
本発明において、溶鋼は製鋼炉から取鍋に出鋼された後、環流型脱ガス装置にて減圧処理される。この時、脱炭開始時から少なくとも5分間は、(1)式で求まる真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さDが50mm以上100mm未満であることが必要である。
D=(P−P)/(ρ・g)+H−L ・・・(1)
Dは真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さ(m)、Pは大気圧(Pa)、Pは真空槽内の圧力(Pa)、ρは溶鋼密度(kg/m)、gは重力加速度(m/s)、Hは浸漬管の浸漬深さ(m)、Lは浸漬管下端から真空槽内の槽底までの長さ(m)を表す。
環流型脱ガス装置で環流処理を行う場合、脱炭初期はCO濃度積が大きく、真空槽内の溶鋼の深い部分から内部脱炭が生じることになるが、初期の脱炭速度は大きいため、脱炭が開始するとCO濃度積は急激に減少し、真空槽内の溶鋼の深い部分からの脱炭は沈静化し、主に溶鋼表面から100mm程度以下で反応が生じるようになる。このため、脱炭前半では環流が生じる溶鋼深さDが確保されていれば、必要以上に真空槽内の溶鋼量を増加させても効果は無い。また、早い段階で浸漬管を深く浸漬すると、浸漬管の耐火物が溶損することで溶製コストが増加してしまう。したがって、溶鋼深さの上限は100mm未満とする。
一方、脱炭時の還流をバラツキなく行うためには、溶鋼深さDは50mm以上必要となる。なお、本発明においては、溶鋼深さを50mm程度に低減したとしても問題なく溶鋼が還流し、還流のバラツキは見られなかった。したがって、溶鋼深さDを50mm以上100mm未満に維持する期間は、真空槽内の溶鋼中C濃度が0.0050質量%までとすることが好ましい。このC濃度は、後述するように、排ガス濃度を用いたC濃度推定手法によって脱炭処理中に把握することができる。
上記処理時間に関して例示すると、例えば脱炭時間が10分間である場合、前半の5分間は溶鋼深さDを50mm以上100mmm未満とし、後半の5分間は後述のように溶鋼深さDを400mm以上とする必要がある。また、脱炭時間が20分間である場合、少なくとも脱炭開始時から5分間は前述のように従来よりも溶鋼深さDを浅くする。浸漬管耐火物の溶損低減効果を考慮すると、少なくとも5分間は必要である。この時間はこの効果を発揮するためにさらに長くても構わない。また、このような時間帯ではC濃度が0.0050質量%以上であるため、C濃度は浴鋼深さDを浅く維持する時間を決めるための目安となる。
そして、脱炭終了前の少なくとも5分間は後述のように溶鋼深さDを深くする。この時間は、製品のC濃度によって調整すれば良く、5分間以上であっても構わない。
この時、真空槽内の圧力Pに応じて浸漬管の浸漬深さHを調整し、溶鋼深さDを浅くすることで、真空槽内の溶鋼の概ね全量を脱炭領域にできることに加え、内部脱炭が生じる際に槽底の耐火物がCO気泡生成核としても作用することになる。また、環流中の真空槽内は上昇管側から溶鋼が常に供給されており、静止状態の溶鋼深さよりも実際の溶鋼深さは高くなる。このため、脱炭初期に溶鋼深さDを100mm未満にしても、溶鋼深さDを100mm以上と比較した場合に脱炭速度に大きな差異は生じない。このため、溶鋼深さDを100mm未満とすることで、脱炭効率を維持したままで浸漬管の溶損を低減できる。一方、溶鋼深さDが50mm未満になると下降管への溶鋼供給が不足し、溶鋼環流量が低下して操業を阻害する可能性があるため、溶鋼深さDは50mm以上であることが必要である。本発明では、溶鋼深さDがこの範囲内であれば、処理中に真空槽内の溶鋼湯面が揺らいでも所望の特性が得られる。
また、脱炭開始時から少なくとも5分間での環流ガス流量Qは、効率的に精錬するため、5.7Nl/(min・ton)以上であることが望ましく、6.1Nl/(min・ton)以上であることがより望ましく、6.5Nl/(min・ton)以上であることが更に望ましい。
2.(2) 脱炭終了前の少なくとも5分間:溶鋼深さD:400mm以上
脱炭が進み、脱炭末期になると、内部脱炭が停滞し、溶鋼表面および気泡表面で生じる脱炭が主体となる。この段階では、真空槽内の溶鋼表面積を増加させる、もしくは、気泡表面積を増加させることにより、脱炭速度が向上できる。
環流型脱ガス装置で環流処理する場合、環流が生じている状態では、上昇管内は1m/s程度で溶鋼が上昇しており、真空槽内には多量の溶鋼が飛散しており、環流処理中は真空槽の幾何断面積以上の溶鋼表面積となると考えられる。しかしながら、飛散する溶鋼量や飛散する溶鋼粒の大きさを意図的に制御できないため、溶鋼表面積を増加させるのは困難である。また、スプラッシュの活用を考えた場合、真空槽内に地金が付着し、操業阻害を生じさせてしまう頻度が増大してしまう。
特許文献1では、溶鋼深さDを20cm以下として処理することでスプラッシュ量を増大させ、表面脱炭を促進させている。その結果、表面脱炭が促進されることで脱炭末期の脱炭速度が向上する効果が得られている。脱炭末期の脱炭速度を向上させるには表面脱炭もしくは気泡脱炭を活用することになるが、特許文献1では表面脱炭に着目している。溶鋼深さDを操作し、浅くした場合は表面脱炭が促進されるが、気泡脱炭が抑制され、深くした場合は気泡脱炭が促進される。特許文献1では、前者を選択しており、脱炭速度が向上する効果は得られると考えられるが、本来内部脱炭が停滞することでスプラッシュも抑制されている時期に意図的にスプラッシュを発生させることになるため、地金付きの影響が無視できなくなる。このことを考慮すると、脱炭末期に溶鋼表面積を増大させるよりも、後者のように気泡表面積を増大させた方が溶製コストを抑制しながら脱炭速度を向上できると考えられる。
この状況で、気泡脱炭を促進させるには、真空槽内の気泡表面積を増加させれば良いことになるが、環流ガス流量Qが一定とした場合、浸漬管の浸漬深さHを変えて気泡上昇距離を確保すれば良いことになる。この操作では、環流ガス流量Qはそのままの状態で、気泡界面積のみを増加でき、スプラッシュの増加も生じない。しかしながら、浸漬深さHを深くすると、耐火物の溶損が加速されるため、溶製コストが悪化する。この時、耐火物溶損に伴う溶製コストの悪化よりも、脱炭末期の脱炭速度を向上させたことによる溶製コスト改善の効果を得るには、溶鋼深さDを400mm以上確保することが必要である。溶鋼深さDは500mm以上であることが望ましい。
溶鋼深さDを調整するための時間は、通常1分以内である。
また、この時の真空槽内の圧力Pを精緻に制御することが望ましい。真空槽内の気泡挙動は真空槽内の圧力に大きく依存することに加え、本発明では溶鋼深さDを400mm以上確保することから、環流ガス吹込み孔での溶鋼静圧も通常よりも大きくなる。このため、溶鋼深さDを400mm以上とした時点で真空槽内の圧力Pが300Paよりも大きい状況である場合、環流ガスが溶鋼に吹き込まれた直後の気泡が合体して相対的に気泡表面積が減少してしまうことに加え、溶鋼表面近傍での気泡膨張が不足し、気泡表面積の増大効果が十分に得られない場合がある。このため、溶鋼深さDを400mm以上確保している間は終始真空槽内の圧力Pを300Pa以下とすることが好ましい。なお、真空槽内の圧力Pは150Pa以下であることがより好ましい。
さらに、脱炭末期は内部脱炭が沈静化していることから、気泡脱炭促進効果を十分得るために、脱炭終了前の短くとも5分間は溶鋼深さDを400mm以上確保することが必要である。この条件は、前記した真空槽内の溶鋼中C濃度が0.0050質量%未満になった時点以降、脱炭終了時点まで維持することが好ましい。
本発明では、溶鋼深さDや真空槽内の圧力Pがこれらの範囲内であれば、処理中に真空槽内の溶鋼湯面が揺らいでも所望の特性が得られる。
特許文献5では、脱炭末期に溶鋼深さDを410〜420mmとして真空脱炭処理をしているが、この発明は真空脱炭処理の直前に酸素吹錬して真空槽内の圧力が100〜50torrである状態から真空脱炭処理している。一般的に真空槽内の圧力を50torrから2torr近傍まで低下させるには2分から3分を要する。特許文献5では、発明例、比較例を含めて溶鋼深さDが410〜420mmとして真空脱炭処理しているが、「脱炭精錬効率に関しては従来例と何ら遜色がない」となっている。そこで、本発明では、気泡脱炭促進効果を明確に得るには溶鋼深さDを400mm以上にすることに加え、真空槽内の圧力Pを低値制御することが望ましい。
また、環流ガス流量Qは、効率的に精錬するため、5.7Nl/(min・ton)以上であることが望ましく、6.1Nl/(min・ton)以上であることがより望ましく、6.5Nl/(min・ton)以上であることが更に望ましい。
このような条件で脱炭処理を行うと、処理後には溶鋼中C濃度が0.0040質量%以下に低減される。好ましくは0.0030質量%以下である。つまり、本発明はこのような極低炭素鋼を製造するための溶鋼の減圧製錬方法であると言える。なお、本発明において、「脱炭終了時点」とは、Al添加時点のことを表し、脱炭濃度がこれらの値になった時点ではない。
2.(3) Al添加後:溶鋼深さD:50mm以上100mm未満
脱炭が終了した段階で、溶鋼にAlを添加し溶鋼を脱酸するとともに、溶鋼を環流させることによる清浄化処理を行う。Al添加により、溶鋼中には大量のAlが生成することになるが、これらAlが製品段階まで残存すると、製品段階で欠陥を生じるため、環流型脱ガス装置での環流処理でこれら非金属介在物を除去する。この時、溶鋼深さDは50mm以上100mm未満であることが望ましい。溶鋼深さDを上記範囲として環流処理すると、真空槽内の溶鋼量は少なくなるため、溶鋼の単位体積あたりの攪拌動力密度は大きくなることに加え、湯面までの距離が短くなり、浮上に要する時間が短くなるため、溶鋼中の非金属介在物は凝集、浮上が促進される。このため、同じ清浄性を確保するために必要な環流処理時間は、溶鋼深さDを100mm以上とした場合と比較して短くできる。一方、溶鋼深さが50mm未満では、脱炭処理と同様に下降管への溶鋼供給が不足し、溶鋼環流量が低下して操業を阻害する可能性がある。したがって、Al添加後の溶鋼深さは50mm以上100mm未満とすることが望ましい。
なお、環流処理中は最後まで真空槽内の圧力Pを低くしておく必要はなく、環流が生じる程度の真空槽内の圧力Pであれば、真空槽内の圧力Pを高くしても良いが、この場合、真空槽内の圧力Pに応じて浸漬管の浸漬深さHを変え、溶鋼深さDを50mm以上100mm未満に調整すれば良い。溶鋼深さDを調整するための時間は、通常1分以内である。
溶鋼深さDは、この範囲内であれば途中で真空槽内の溶鋼湯面が揺らいでも所望の特性が得られる。
3.溶製時の溶鋼中C濃度の推定方法
本発明において、浸漬管の浸漬深さHを変更するタイミングを決めるため、溶鋼中のC濃度を知ることができると好都合である。溶鋼中のC濃度は、特許文献6に記載の方法を用い、排ガス情報および既知の操業条件から算出すれば良い。特許文献6に記載の方法は、排ガス情報に基づくC濃度の推定方法であるため、排ガスの分析遅れ等に伴う実際の溶鋼中C濃度との差違が生じるが、本発明では浸漬管の浸漬深さHの変更タイミングを決める手段としての利用を想定しており、その用途であれば問題なく適用できる。
4.効果の確認方法
本発明では、脱炭速度向上効果を確認するため、脱炭処理末期に連続採取したサンプルの分析値をもとに、C濃度が0.0020%になるまでに要した時間を算出した。同様に、Al添加後の環流処理末期に連続採取したサンプルの分析値をもとに、Al添加してから酸不溶性Al濃度が0.0020%になるまでに要した時間を算出した。効果を比較するため、対象鋼種やAl添加量は同じ条件とした。また、同じ処理条件で複数回の環流処理した後の耐火物の厚み測定結果から耐火物溶損速度および耐火物コストを算出し、処理時間短縮効果を含めた溶製コストを算出し、条件毎に比較した。
製鋼炉から出鋼した、C濃度が0.033%の溶鋼350tonを環流型脱ガス装置まで搬送した後、減圧処理した。処理開始時の溶存酸素濃度はおよそ0.06%であった。処理前半ではC濃度を0.0020%以下まで脱炭処理し、引き続きAlを0.19%相当添加して脱酸処理し、一定時間環流処理した後、処理を完了した。環流処理中の環流ガスはArとし、ガス流量は5.7Nl/minとした。この時、浸漬管の浸漬深さHを種々変更することで真空槽内の溶鋼深さDを調整し、その効果を確認した。図2から図7に真空槽内の溶鋼深さD、浸漬管の浸漬深さHと時間の関係を示す。この時、大気圧Pは101325Pa、溶鋼密度ρは7000kg/m、重力加速度gは9.8m/sとし、(1)式から溶鋼深さDを算出した。そして、以下に示す各条件にて脱炭処理および清浄化処理を行い、脱炭時間、清浄化時間およびコストを、比較例1を基準として求めた。
・比較例1
従来法として、環流処理中は浸漬管の浸漬深さHを一定とした条件で処理した。浸漬管を取鍋の溶鋼表面から360mm浸漬した状態から減圧処理を開始し、処理中は浸漬深さHを変えなかった。減圧開始から8.5分経過した時点でC濃度が0.0050%となり、16.4分経過した時点でC濃度が0.0020%となった。真空槽の槽底までの溶鋼深さDは真空槽内の圧力低下とともに深くなり、5.0分時点での真空槽内の圧力Pは1333Pa、溶鋼深さDは258mm、8.5分時点での真空槽内の圧力Pは200Pa、溶鋼深さDは274mm、16.4分経過した時点での真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは275mmであった。その後、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは275mmの状態でAl添加し、その後は真空槽内の圧力Pと溶鋼深さDを変えないまま、Al添加後12.1分環流処理した時点で酸不溶性Al濃度は0.0020%となった。この時の溶製コストをベースとする。
・比較例2
従来よりも浸漬管の浸漬深さHを深くし、環流中は一定とした条件で処理した。浸漬管を取鍋の溶鋼表面から500mm浸漬した状態から減圧処理を開始し、処理中は浸漬深さHを変えなかった。C濃度が0.0050%となったのは、減圧開始から8.4分と比較例1とほぼ同じであったが、C濃度が0.0020%となったのは減圧開始から15.1分となった。真空槽の槽底までの溶鋼深さDは真空槽内の圧力低下とともに深くなり、5.0分時点での真空槽内の圧力Pは1333Pa、溶鋼深さDは398mm、8.4分時点での真空槽内の圧力Pは200Pa、溶鋼深さDは413mm、15.1分経過した時点での真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmであった。その後、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmの状態でAl添加し、その後は真空槽内の圧力Pと溶鋼深さDを変えないまま、Al添加後12.9分環流処理した時点で酸不溶性Al濃度は0.0020%となった。この時、処理時間は比較例1よりも0.5分短縮されたが、浸漬管を深く浸漬したことで耐火物溶損が進み、比較例1の溶製コストを1.0とした溶製コスト指数は1.21に悪化した。
・比較例3
脱炭末期の浸漬管の浸漬管深さDを深くし、環流中は従来法と同じ条件で処理した。浸漬管を取鍋の溶鋼表面から360mm浸漬した状態から減圧処理を開始した。C濃度が0.0050%となったのは、減圧開始から8.5分と比較例1と同じであったが、C濃度が0.0050%になるタイミングで浸漬管の浸漬深さHを500mmとした結果、C濃度が0.0020%となったのは減圧開始から15.2分となった。真空槽の槽底までの溶鋼深さDは真空槽内の圧力低下とともに深くなり、5.0分時点での真空槽内の圧力Pは1333Pa、溶鋼深さDは258mm、8.0分時点での真空槽内の圧力Pは267Pa、溶鋼深さDは273mmであり、浸漬管の浸漬深さHを変更し、8.5分時点で溶鋼深さDは414mmであり、15.2分経過した時点での真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmであった。その後、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmの状態でAl添加し、浸漬管の浸漬深さHを360mmとし、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは275mmの状態でAl添加後12.0分環流処理した時点で酸不溶性Al濃度は0.0020%となった。この時、処理時間は比較例1よりも1.3分短縮されたが、処理時間短縮の効果よりも耐火物溶損の影響が大きく、溶製コスト指数は1.06に悪化した。
・発明例1
脱炭処理中に環流処理が停滞しない範囲で溶鋼深さDを浅くし、脱炭末期の浸漬管の浸漬管深さを深くし、環流中は従来法と同じ条件で処理した。浸漬管を取鍋の溶鋼表面から500mm浸漬した状態から減圧処理を開始し、真空槽内の圧力Pに合わせて浸漬管の浸漬深さHを調整し、溶鋼深さDを83mmとした。C濃度が0.0050%となったのは、減圧開始から8.6分と比較例1とほぼ同じであり、C濃度が0.0050%になるタイミングで浸漬管の浸漬深さHを500mmとした結果、C濃度が0.0020%となったのは減圧開始から15.3分となった。真空槽の槽底までの溶鋼深さDはC濃度が0.0050%となるまで83mmであり、5.0分時点での真空槽内の圧力Pは1333Pa、溶鋼深さDは83mm、8.0分時点での真空槽内の圧力Pは267Pa、溶鋼深さDは83mmであり、浸漬管の浸漬深さHを変更し、8.6分時点で溶鋼深さDは414mmであり、15.3分経過した時点での真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmであった。その後、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmの状態でAl添加し、浸漬管の浸漬深さHを360mmとし、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは275mmの状態でAl添加後12.2分環流処理した時点で酸不溶性Al濃度は0.0020%となった。この時、酸不溶性Al濃度が0.0020%となるまでの処理時間は比較例1よりも1.0分短縮された事に加え、脱炭処理中の浸漬管の耐火物溶損が低減できたことで、溶製コスト指数は0.86に改善した。
・発明例2
脱炭処理中に環流処理が停滞しない範囲で溶鋼深さDを浅くし、脱炭末期の浸漬管の浸漬管深さを深くし、環流中は従来法と同じ条件で処理した。浸漬管を取鍋の溶鋼表面から500mm浸漬した状態から減圧処理を開始し、真空槽内の圧力Pに合わせて浸漬管の浸漬深さHを調整し、溶鋼深さDを83mmとした。C濃度が0.0050%となったのは、減圧開始から8.5分と比較例1と同じであり、C濃度が0.0050%になるタイミングで浸漬管の浸漬深さHを500mmとした結果、C濃度が0.0020%となったのは減圧開始から15.2分となった。真空槽の槽底までの溶鋼深さDはC濃度が0.0050%となるまで83mmであり、5.0分時点での真空槽内の圧力Pは1333Pa、溶鋼深さDは83mm、8.0分時点での真空槽内の圧力Pは267Pa、溶鋼深さDは83mmであり、浸漬管の浸漬深さHを変更し、8.5分時点で溶鋼深さDは414mmであり、15.2分経過した時点での真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmであった。その後、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmの状態でAl添加し、浸漬管の浸漬深さHを230mmとし、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは145mmの状態でAl添加後12.1分環流処理した時点で酸不溶性Al濃度は0.0020%となった。この時、酸不溶性Al濃度が0.0020%となるまでの処理時間は比較例1よりも1.2分短縮された事に加え、脱炭処理中の浸漬管の耐火物溶損が低減できたことで、溶製コスト指数は0.84に改善した。
・発明例3
脱炭処理中に環流処理が停滞しない範囲で溶鋼深さDを浅くし、脱炭末期の浸漬管の浸漬管深さを深くし、環流中も環流処理が停滞しない範囲で溶鋼深さDを浅くした条件で処理した。浸漬管を取鍋の溶鋼表面から500mm浸漬した状態から減圧処理を開始し、真空槽内の圧力Pに合わせて浸漬管の浸漬深さHを調整し、溶鋼深さDを83mmとした。C濃度が0.0050%となったのは、減圧開始から8.5分と比較例1と同じであり、C濃度が0.0050%になるタイミングで浸漬管の浸漬深さHを500mmとした結果、C濃度が0.0020%となったのは減圧開始から15.1分となった。真空槽の槽底までの溶鋼深さDはC濃度が0.0050%となるまで83mmであり、5.0分時点での真空槽内の圧力Pは1333Pa、溶鋼深さDは83mm、8.0分時点での真空槽内の圧力Pは267Pa、溶鋼深さDは83mmであり、浸漬管の浸漬深さHを変更し、8.5分時点で溶鋼深さDは414mmであり、15.1分経過した時点での真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmであった。その後、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは415mmの状態でAl添加し、真空槽内の圧力Pに合わせて浸漬管の浸漬深さHを165mmに調整して溶鋼深さDを80mmとし、真空槽内の圧力Pは133Pa、溶鋼深さDは80mmの状態でAl添加後10.8分環流処理した時点で酸不溶性Al濃度は0.0020%となった。この時、酸不溶性Al濃度が0.0020%となるまでの処理時間は比較例1よりも2.6分短縮された事に加え、脱炭処理中、Al添加後の浸漬管の耐火物溶損が低減できたことで、溶製コスト指数は0.79に改善した。
上記したように、脱炭処理中に環流処理が停滞しない範囲で溶鋼深さDを浅くし、脱炭末期の溶鋼深さDを深くすることによって、脱炭速度を向上させた上で溶製コストを低減できることが示された。さらに、Al添加後にも溶鋼深さDを浅くすることによって、非金属介在物の凝集浮上を促進させた上で溶製コストを低減できることが示された。特に、溶鋼深さDを100mm未満に制御することで、溶鋼の清浄化効果が顕著に表れることが示された。
1 真空槽、2 真空槽の槽底位置、3 環流ガス、4 環流ガス吹込み孔、5 浸漬管(上昇管)、6 浸漬管(下降管)、7 スラグ、8 溶鋼、9 取鍋

Claims (2)

  1. 製鋼炉から取鍋に出鋼した溶鋼を環流型脱ガス装置で精錬するにあたり、
    脱炭開始時点から少なくとも5分間は、(1)式で求まる真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さDが50mm以上100mm未満の範囲で脱炭処理を行うとともに、脱炭終了前の少なくとも5分間は、前記溶鋼深さDが400mm以上の範囲でC濃度を0.0040質量%以下に脱炭処理を行うことを特徴とする、環流型脱ガス装置における溶鋼の減圧精錬方法。
    D=(P−P)/(ρ・g)+H−L ・・・(1)
    D:真空槽内の湯面から真空槽の槽底までの溶鋼深さ(m)、P:大気圧(Pa)、P:真空槽内の圧力(Pa)、ρ:溶鋼密度(kg/m)、g:重力加速度(m/s)、H:浸漬管の浸漬深さ(m)、L:浸漬管下端から真空槽内の槽底までの長さ(m)
  2. 前記脱炭処理に続くAl添加後に前記浸漬管の浸漬深さHを浅くする操作によって前記溶鋼深さDが50mm以上100mm未満の範囲で環流処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の環流型脱ガス装置における溶鋼の減圧精錬方法。
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