JP2016014126A - 地盤安定化薬液用硬化剤および地盤安定化薬液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、フッ酸副生石膏とフッ酸石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上〜500質量部以下のアルカリ性物質を1種または2種以上を添加して、混合、粉砕・分級処理して得た無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤の含有量を0.35以上1.25質量部以下と界面活性剤100質量部に対して消泡剤の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させる地盤安定化薬液用硬化剤。
【選択図】なし
Description
薬液としては、安価であることから、珪酸アルカリ水溶液を主剤とし、これに硬化剤成分の水溶液または水に分散した懸濁溶液を組合せた薬液である珪酸アルカリ系地盤安定化薬液が広く使用されている。
このうち、本出願人は、発明者として特許文献1には、硬化剤として石灰類と石膏類から成る組み合わせと、特許文献2には、硬化剤として石灰類と石膏類に界面活性剤を組合せた硬化剤を提案した。特許文献3には、特許文献2と同様に、硬化剤として石灰類と石膏類に界面活性剤を組合せたものが提案されている。
特許文献1と特許文献2の硬化剤における石灰類は消石灰および/または生石灰を使用し、石膏類はニ水石膏、α半水石膏、β半水石膏、II型無水石膏からなる群から選ばれた少なくとも1種を使用し、石灰類:石膏類の量比は1:3〜3:1(質量比)の配合割合の割合である。特許文献2の界面活性剤はノニオン系またはアニオン系界面活性剤である。特許文献3には、特許文献2と同様に、硬化剤として石灰類と石膏類に界面活性剤を組合せた硬化剤が提案され、石灰類は消石灰、石膏類はII型無水石膏、界面活性剤はアニオン系界面活性剤のリグニンスルホン酸塩である。この硬化剤を使用する地盤安定化薬液は、硬化時間が数秒ないし十数秒の内に地盤内で硬化する瞬結工法で施工を行った際に、初期強度が高く、硬化剤の水懸濁液が不均質化し難いという効果を奏する。
・硬化剤の粒度は、特許文献1には記載事項はないが、特許文献2には、ブレーン法に依る比表面積で3000〜9000cm2/gの範囲に粉砕したものを用いるのが好ましい。特許文献3には、消石灰が最大粒子径で600μm以下、好ましくは150μm以下、10μm以上である。II型無水石膏が最大粒子径で90μm以下、好ましくは5μm以上であると記載されている。
・硬化剤の使用量は、薬液の硬化時間を短くする場合は多く用い、長くする場合は少なく用いる。例えば、JIS3号珪酸ソーダ100lと水100lからなる主剤液200lと、これと等容量の硬化剤液200lとの混合物からなる薬液400lにより地盤を安定化させる場合には、硬化剤液に硬化剤を40〜180kgの範囲で含有させると、薬液は数秒ないし十数秒で硬化する。換言すれば、JIS3号珪酸ソーダ100lと水100lからなる主剤液200lと、これと等容量の硬化剤液200lとの混合物からなる薬液400lを硬化させるには、特許文献1では、硬化剤が40〜180kgの範囲で、少なくとも40kg必要であること、特許文献2の硬化剤が60〜180kgの範囲で、少なくとも60kg必要であること、特許文献3では特許文献1の範囲内の40〜80kgの範囲で55kg必要であることが記載されている。
・ノニオン系またはアニオン系界面活性剤の使用量は、特許文献1には記載されていないが、特許文献2には、通常、硬化剤液200l当たり0.4〜1.5kgの範囲に含有させると十分な効果が得られることが記載され、特許文献3にはアニオン系界面活性剤のリグニンスルホン酸塩を硬化剤液200l当たり硬化剤量55kgの場合、0.058〜0.48kgの範囲で使用することで、硬化時間は数秒で硬化しないが、硬化剤液の均質化が図れることが表2に記載されている。
そのため、特許文献1、2、3に記載の硬化剤より安価で、環境にやさしい、産業副生物の有効活用を図り、多様化し、複雑化した地盤の安定化をより確実、より安定化できると共に、多目的・多用途にも多角的に活用できる地盤安定化用硬化剤が要望されていた。
本発明の目的は、珪酸アルカリ水溶液と混合した際に、上記の3件の特許文献に記載の高価なII型無水石膏を使用しなくとも、多様化し、複雑化した地盤の安定化に対応できる、安価で、環境に易しい、省資源が望まれている産業副生物の有効活用を図り、硬化剤量を任意に調節することで硬化時間を長結から瞬結まで可能で、圧縮強度は高強度から実用強度まで得られ、多目的・多用途にも多角的に活用できる地盤安定化薬液用硬化剤及び地盤安定化薬液を提供することにある。
硬化時間(ゲルタイム)、硬化体(ホモゲル体)の強度等が下記基準の全てを同時に満足することとした。
(1)紙製の包装袋の性状
安価な紙製のクラフト紙製袋にフッ酸副生石膏、フッ酸副生石膏にアルカリ性物質を添加して、▲1▼ 混合(以下、混合工程という)▲2▼ 粉砕・分級(以下、粉砕・分級工程という)、▲3▼ 混合、粉砕・分級(以下、混合、粉砕・分級工程という)の3種類の調製方法にて処理して得た無水石膏組成物を充填して室温に放置をした。クラフト紙製袋は、12ヶ月間破袋しないこと。
(2)調合槽のpH
硬化剤液(B液)
のpHを4.5以上にすることで、調合槽内の腐食が、1日間認められなくなる。この結果、本発明の無水石膏組成物は、ロータリーキルンから排出されたフッ酸副生石膏の配管、輸送装置、混合装置、粉砕装置、分級装置等の製造設備、硬化剤液調製装置、注入装置、注入管、注入管の先端設備等の注入設備を安価な材質で構成できるので経済性を高められと同時に、無水石膏組成物のpHがほぼ中性領域からアルカリ性領域に入ることで、取り扱い作業性の良好な、且つ環境に優しい産業副生物の有効活用と再利用、社会のニーズに適応したエコ商品に仕上げることができる。
(3)SPCCテストピースの性状
200cc 調合槽に水道水190ccを仕込み、フッ酸副生石膏単独、フッ酸副生石膏にアルカリ性物質を添加して▲1▼混合工程、▲2▼粉砕・分級工程、▲3▼混合、粉砕・分級工程の3種類の調製方法により処理して得た無水石膏組成物を 30gを仕込み混合・撹拌を行い、次いで、SPCC(冷間圧延鋼板)50×30×2mmのテストピースを浸漬し1日放置し、テストピースの腐食状況を観察した。
調合槽に浸漬したSPCCのテストピースは、1日間放置しても腐食しないこと。
(4)硬化剤液の消泡性
硬化剤10〜80g、界面活性剤0〜1.0g、消泡剤0〜2.0g、硬化促進増強剤15〜80gを水に溶解、 懸濁して調製して得た硬化剤液(B液)200ccを撹拌停止後、10秒以内で泡が消えることとした。
(5)硬化剤液の粘性
硬化剤液(B液)200cc をメスシリンダーに分取して、測定容器に仕込み20℃に保った恒温水槽中に一定温度に達するまで養生する。次いで、液温が一定温度に達したらB型粘度計で溶液の粘度を測定した。
(6)薬液の硬化時間及び硬化体の一軸圧縮強度
珪酸アルカリとして日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている3号珪酸ソーダを用い、3号珪酸ソーダ100cc および水100cc 混合して調製した主剤液(A液)200cc、硬化剤10〜80g、界面活性剤0〜1.0g、消泡剤0〜2.0g、硬化促進増強剤15〜80gを水に溶解、懸濁して調製して得た硬化剤液(B液)を等容量ずつ混合して得た薬液が温度20℃において以下ようになることとした。
硬化時間は、長結の20分台から瞬結の数秒で硬化(ゲル化)すること。
硬化体強度は、薬液が硬化して1日経過した後、形成された硬化体の一軸圧縮強度値が、0.01N/mm2以上であること。
本発明者は、上記の基準の全てを満たす硬化剤について検討した結果、
(a)硬化剤の構成成分であるフッ酸副生石膏とアルカリ性物質とから構成れる無水石膏組成物は、フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸とアルカリ性物質との固相反応を適切に行い、中和反応を確実に行うために混合工程と粉砕・分級工程を設けること。
(b)上記の(a)の無水石膏組成物の粉末度は、ブレーン法による比表面積で特定すること。
(c)硬化剤の構成成分であるフッ酸副生石膏とアルカリ性物質とから構成れる無水石膏組成物、界面活性剤、消泡剤、硬化促進増強剤は、特定の範囲で使用することで、上記基準の全てを満たすことを見出した。
そして、その知見により、以下の地盤安定化薬液用硬化剤および地盤安定化薬液を発明するに至った。
(1)珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500〜15000cm2/gの無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤。
(2)アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩、セメント等を少なくとも1種以上である(1)に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。
(3)(1)または(2)に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。
本発明の土質安定化薬液に用いる硬化剤は、珪酸アルカリ水溶液を主剤とした土質安定化薬液に用いる硬化剤であって、フッ酸副生石膏((a)成分)にアルカリ性物質((b)成分)を添加し、混合、粉砕・分級して得た無水石膏組成物と、該無水石膏組成物に対して、界面活性剤((c)成分)と、消泡剤((d)成分)とを含有し、必要により硬化促進増強剤((e)成分)を含有する。
フッ酸副生石膏は、本発明の硬化剤として使用する無水石膏組成物を調製する際の主原料として使用するものである。
通常、フッ酸副生石膏は、螢石を高温下に於いて硫酸で分解してフッ酸を製造する際、ロータリーキルンの出口から弗化水素酸と石膏(以下フッ酸副生石膏という)が生成する。
このフッ酸副生石膏中には、通常、遊離酸が0.2〜5重量%(硫酸として)含まれている。そのため酸性が強く、pHは1.0前後の強酸性である。遊離酸の他に水溶性フッ酸、鉄分なども含まれているのでそのままで使用する用途がなく、強制水和させてセメントの添加剤として使用されている程度である。
本発明で使用するフッ酸副生石膏は、通常ロータリーキルンからでたものが使用される。ロータリーキルンからでたフッ酸副生石膏の粒度は、塊状から粉末状までの広範囲のものである。そのため、本発明で使用する硬化剤の原料としては、そのままの状態の塊状から粉末状の粒度では、数多くの課題を有し実用性に供するのは困難である。
本発明で用いるフッ化カルシウムは、組成式CaF2によって示される天然に産出する螢石、フッ化カルシウムを主成分とし工業的に一般的に使用されている回収または合成して得られたもので、CaF2以外の成分を含んでいるものを使用することができる。フッ化カルシウムの主成分としては、90%以上、95%以上のものが好ましい。
本発明で使用するフッ酸副生石膏は、通常、該フッ化カルシウムに硫酸を反応させて生成したものを使用することができる。
本発明で使用するアルカリ性物質は、本発明で使用するフッ酸副生石膏がpHが1前後の強酸性を示すため、取り扱い安全性、取扱い作業性、作業環境等の向上、輸送設備関連の腐食防止、関連設備投資の低減、製品の包装を安価なクラフト製袋にも適応できるように調製するためと、水に分散して使用するため安価な鉄製の調合槽、注入管、注入ポンプ、計装関連機器等の注入関連設備が腐食しないようにするとともに、硬化時間の調節と硬化体の強度の増強を図ることを目的として添加する。
本発明で使用するアルカリ性物質は、無水石膏組成物の主原料であるフッ酸無水石膏中に遊離の硫酸が多量に存在するために、これを中和するために用いるのである。
本発明で使用するアルカリ性物質としては、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物、及び該化合物の複塩またはセメントが挙げられ、これら化合物を一種または二種以上混合して使用することができる。
これらのアルカリ性物質の内、水に不溶性の酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、セメント等が多用途の施工場面に応用できるので好適に使用できる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の水溶性のアルカリ性物質はフッ酸無水石膏中に含有する遊離の硫酸を中和する以上の多量を使用しても無駄となるので多量用いたとしても中和量の2〜3倍程度に留めておくのが好ましい。これ以上の使用量は、製品の紙袋の安定化、製造装置、輸送装置、注入装置等の金属類の防食に対して極めて有効であるが、硬化時間の遅延と強度低下を招くので好ましくないのである。
本発明で使用するアルカリ性物質であるカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物と、該化合物の複塩、セメント等はいずれも工業用の市販品を使用することができる。
セメントの種類としては、ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントを挙げることができる。ポルトランドセメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩を挙げることができる。混合セメントとしては、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントを挙げることができる。エコセメントとしては、普通エコセメント、速硬エコセメントを挙げることができる。その他のセメントとしては、白色ポルトランドセメント、超速硬セメント、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメントを挙げることができる。
アルカリ性物質の添加量は、フッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏中に含まれる酸の含有量によって異なり、少なくともこの遊離の硫酸の含有量を中和する以上500質量部以下を添加する。
該無水石膏組成物1質量部に水2.5質量部を加えて懸濁液をつくった場合、液のpHが4.5以上になるように無水石膏組成物の調製を行う。これは上記無水石膏組成物のpHが4.5以下の場合は酸性が強く、輸送装置、運搬装置、配管、混合機、粉砕機、分級機等の腐食を招いたり、硬化剤の包装紙の破袋を招いたり、硬化剤の鉄製の溶解槽を腐食させたり、安価な鉄製の注入ポンプの腐食を招いたり、注入管の先端装置を腐食させたり、計装関連機器を腐食させる等の問題点を有する。
そのため、無水石膏組成物の調製に当たり、アルカリ性物質を適宣変化させて無水石膏組成物のpHを4.5以上するのである。これによりフッ酸副生石膏に含有する硫酸、フッ素分の安定化と無害化、取扱い安全性、取扱い作業性、作業環境等の向上も同時に行うことができる。
本発明で使用するアルカリ性物質のカルシウム、マグネシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物、該化合物の複塩、セメント等は、高温状態のフッ酸副生石膏に添加して遊離の酸との固相反応が確実に行われるように混合するか、水または水蒸気を加えて80〜150℃程度にまで冷却して、ついで水蒸気を除去しながら更に冷却して粉砕・分級すると無害で極めて流動性の良い粉体が得られる。従って、本発明の無水石膏組成物をフッ酸製造工場で製造場合は、製造直後の高温状態のフッ酸副生石膏に本発明で使用するアルカリ性物質のカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物、該化合物の複塩、セメント等を添加することが望ましいが、もちろん冷却して取り出したフッ酸副生石膏にカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物、該化合物の複塩、セメント等を添加して混合、粉砕・分級を施すことにより、無害化された取扱作業性の良好が良好で、流動性の高い実用性のある無水石膏組成物が得られる。
(1)混合工程
本発明の無水石膏組成物は、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質をフッ酸副生石膏の遊離の硫酸を中和する以上のアルカリ性物質との混合を行い、中和反応が確実に行われる条件を作るために設けた工程である。
従って、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質との混合は、フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸とアルカリ性物質との固相反応を適切に行い、中和反応を確実に行うために設けるのである。
フッ酸副生石膏100質量部に対するアルカリ性物質の添加量は、フッ酸副生石膏に含有する硫酸を中和するに必要な質量部以上500質量部以下を添加すれば本発明の目的を達成することができる。
中和量以下では、安価な混合機、粉砕機、分級機等の腐食、フッ酸副生石膏の輸送系統の腐食、配管系統の腐食、紙袋の破袋、調合槽の腐食、注入設備の腐食等の数多くの課題を解決しなければならないので、設備に多額の投資を必要とするので好ましくない。
一方、500質量部以上は、紙袋の破袋は認められないこと、硬化時間の短縮ができることで好ましいが、強度低下、無駄となるので好ましくない。
中和量以上のアルカリ性物質を使用する場合は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント等が大きな効果を発揮するが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等は大きな効果が得られ難いので中和量の2〜3倍程度を使用すれば、本発明が規定する性能基準を十分満足する効果が得られる。
混合装置としては、傾動式ミキサー、オムニミキサー、ヘンシルミキサー、V型ミキサー、ボールミル、ナウターミキサー、強制ミキサー、ディスクミル等が使用できる。
(2)粉砕・分級工程
フッ酸副生石膏とアルカリ性物質との混合を適切に行った後、本発明が規定する性能基準を確実に満足させるために設けるのである。
本発明で使用する粉砕機としては、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質との混合を行い、フッ酸副生石膏中に含有する硫酸とアルカリ性物質との固相反応を確実に行い、安価な紙袋の保存を長期間持続させること、配管・輸送関連設備の腐食防止、硬化剤の調合容器の腐食防止すこと、注入ポンプ・注入設備、計装関連機器等の腐食の防止を図り、硬化剤を安価にするばかりでなく、硬化時間の短縮、ゲル強度の増強を図るために設けた工程である。本発明で使用する無水石膏組成物の粒度は、ブレーン法に依る比表面積で4500〜15000cm2/gのものを使用できる。好ましくは6500〜8500cm2/gである。4500cm2/g未満は、強度が低くなるので好ましくない。 15000cm2/gを超えても、硬化時間の短縮、ゲル強度の増強効果が小さく、粉砕・分級の費用が高価になり、不経済となるので好ましくない。
本発明で使用する粉砕機としては、ボールミル、アトマイザー、ローラーミル、ローラープレス、ジョークラッシャー、トップグラインダー等を挙げることができる。
本発明で使用する分級機としては、粒子を大きな粒子と小さな粒子に分けるための篩を使用することができる。
分級機の種類としては、強制渦巻式分級機、半自由渦巻式分級機、振動ふるい、超音波振動ふるい等を挙げることができる。
本発明で使用する界面活性剤は、硬化剤液の粘度低下と均質化、ゲルタイムの変動をなくすること、固結効率の向上を図ること等のために使用する。
本発明の界面活性剤は、通常セメント混和剤として用いているものを使用することが出来る。
界面活性剤の種類としては、ノニオンまたはアニオン系界面活性剤を挙げることができる。ノニオンまたはアニオン系界面活性剤としては、種類として多くのものがあげられているが、通常コンクリート用減水剤として市販されているもの、例えば、リグニンスルホン酸塩系界面活性剤、オキシポリカルボン酸塩系界面活性剤、メラミンスルホン酸塩系界面活性剤、高縮合トリアジンスルホン酸塩系界面活性剤、ナフタレンスルホン酸塩系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニル界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル系界面活性剤等が好適である。
リグニンスルホン酸塩系界面活性剤は、リグニンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩またはこれらのホルマリン縮合物等の各種誘導体であり、市販品としては、例えば、サンエキスP252(日本製紙ケミカル(株)製)が挙げられる。
オキシポリカルボン酸塩系界面活性剤は、カルボキシ基を有する化合物のアルカリ(土類)金属塩の付加または縮合重合物等の各種誘導体であり、市販品としては、例えば、フローリックSF((株)フローリック製)が挙げられる。
メラミンスルホン酸塩系界面活性剤は、メラミンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩またはこれらのホルマリン縮合物等の各種誘導体であり、市販品としては、例えば、SMF−PD(日産化学工業(株)製)が挙げられる。
ナフタレンスルホン酸塩系界面活性剤は、ナフタレンスルホン酸やアルキルアリルスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩またはこれらのホルマリン縮合物等の各種誘導体であり、市販品としては、例えば、マイティ100(花王(株)製)が挙げられるこれらの中でも、リグニンスルホン酸塩系界面活性剤が安価であるので特に好ましい。
界面活性剤の使用量は、硬化剤の種類、硬化剤懸濁液の濃度、使用する界面活性剤種類により特定することが難しいが、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計量100質量部に対して0.35以上1.25質量部である。好ましくは0.5質量部以上1質量部以下が好ましい。0.35質量部未満は、硬化剤液の粘度が高くなり均質性は良くなるが、浸透性が悪くなり固結効率の低下を招くこと、硬化時間と強度がバラツイタリするので好ましくなくない。また、1.25質量部超えて添加することで硬化時間と強度のバラツキが認められなくなるが、硬化剤液の粘性の低下が認められなかったり、浸透性の向上が認められなかったり、無駄となるので好ましくないのである。
消泡剤を添加する目的は、界面活性剤を添加した硬化剤液を調製すると、硬化剤液表面と液中に多量の泡を発生させて、消泡する迄に長時間を有したり、取り扱い作業性が悪くなったり、主剤液と硬化剤液とを混合すると気泡巻き込んで硬化するので強度の低下を招いたり、硬化時間がバラツイタリしたりする等の問題点を有するので好ましくないのである。本発明の消泡剤は、このような上記問題点を解決するためと硬化剤液の粘度の低下を図り浸透性を向上させるために添加するのである。本発明で使用する消泡剤は、通常セメント混和剤として用いられる消泡剤を含有させる。
消泡剤としては、高級アルコール系、アルキルフェノール系、ジエチレングリコール系、ジブチルフタレート系、非水溶性アルコール系、トリブチルホスフェート系、ポリグリコール系、シリコン系、酸化エチレン−酸化プロピレン共重合体系等の各種の消泡剤が挙げられる。
本発明で使用する消泡剤の使用量、本発明の界面活性剤100質量部に対して0.51以上200質量部以下の範囲である。好ましくは1質量部以上100質量部以下である。0.51質量部未満は、硬化剤液の均質化ができるが、消泡に長時間を有するので作業性が悪く、硬化時間と硬化体の強度がバラツキを生じるので好ましくない。200質量部超えると硬化剤液の表面と液中の泡は瞬間的になくなり、粘性も低くなり浸透性がよくなる方向に進むが、添加量が多く無駄である。
本発明の硬化促進増強剤を使用する目的は、硬化剤としての無水石膏組成物の更なる硬化時間の短縮と硬化体の強度の増強を図るために添加する。
本発明で使用する硬化促進増強剤としては、カルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等とセメントを挙げができ、一種以上添加して使用することができる。硬化促進増強剤は、工業用市販品を挙げることができる。
カルシウムの硫酸塩としては、ニ水石膏、半水石膏、III型無水石膏、II型無水石膏等の工業用の石膏と排煙脱硫石膏、排酸処理石膏、燐酸石膏のニ水塩・半水塩、チタン石膏等の化学石膏を中性付近にpH調節して乾燥、粉砕・分級して使用することもできる。
セメントの種類としては、ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントを挙げることができる。ポルトランドセメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩を挙げることができる。混合セメントとしては、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントを挙げることができる。エコセメントとしては、普通エコセメント、速硬エコセメントを挙げることができる。その他のセメントとしては、白色ポルトランドセメント、超速硬セメント、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメントを挙げることができる。
硬化促進増強剤の添加量は、珪酸アルカリとして日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている3号珪酸ソーダを用い、3号珪酸ソーダ100lおよび水100l混合して調製した主剤液(A液)200lの場合、重量として5〜100kgを水に懸濁して調製した硬化剤液(B液)200lとして調製して使用するのが良い。
これらの硬化促進増強剤は、更に粉砕・分級して使用しても良い。その粒度は、ブレーン法に依る比表面積で3000〜12000cm2/gのものを使用できる。好ましくは4500〜9500cm2/g,更に好ましくは6500から8500cm2/gである。3000cm2/g未満は、強度が低くなるので好ましくない。15000cm2/g超えると均質化が図れるが粘性が高くなり浸透性が損なわれる等の性能面の向上が認められなく、結局、粉砕・分級の費用ばかり高価になり、不経済となるので好ましくない。
本発明者が調べた結果、上記の地盤安定化薬液用硬化剤の無水石膏組成物は、フッ酸副生石膏中に含有する遊離の硫酸を中和する以上のアルカリ性物質を添加して、混合と粉砕・分級処理工程設備を設けて得た無水石膏組成物を用いることで、紙製の製品袋は1年以上破袋しないこと、硬化剤液の調合槽は腐食しないこと、硬化剤液の粘度は5mPa・s 以下と低いこと、界面活性剤の発泡は消泡剤の添加により短時間で消え、主剤液の使用量と無水石膏組成物の使用量を変化させることで硬化時間が長結の20分台から瞬結の数秒以内にすることが可能となり、硬化体の一軸圧縮強度値が長結の実用強度の0.01N/mm2以上から瞬結の6N/mm2以上の強度になることが判明した。よって、本発明の地盤安定化薬液用硬化剤の無水石膏組成物は、高価なII型無水石膏を使用しなくても、珪酸アルカリ水溶液と混合した際に所望の硬化時間や強度が得られ、多様化・複雑化する地盤の施工、多用途の土建工事に応用できると同時に副生物の再利用が可能となり、省資源化への寄与、環境への配慮に結びつき極めて環境に優しい材料となることが再認識されたのである。
本発明の地盤安定化薬液は、上述した硬化剤と、主剤液(A液)である珪酸アルカリ水溶液とを含有する。
珪酸アルカリとしては、例えば、SiO2/Na2Oモル比が2〜4の珪酸ソーダ、SiO2/Na2Oモル比が4〜6の範囲であるシリカゾル等を用いることもできる。中でも、日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている1〜3号珪酸ソーダが好ましく、3号珪酸ソーダがより好ましい。
日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている3号珪酸ソーダ100lと水100lからなる主剤液(200l)と、これと等容量の本発明の硬化剤と硬化促進増強剤を含む水懸濁液からなる硬化剤液(200l)との混合物からなる薬液(400l)により地盤を安定化させる場合には、硬化剤液中に本発明の無水石膏組成物を10〜120kgの範囲で含有させることが好ましい。硬化促進増強剤を5〜100kgの範囲で含有させることが好ましい。
また、地盤安定化薬液の注入方法としては、A液とB液を予め混合して注入管に導く方法、A液とB液とを注入管の基部に設けた混合部、例えば、Y字管において混合して注入管に導く方法、A液とB液とをそれぞれ独立に注入管に導いて注入管内で混合する方法、A液とB液とをそれぞれ独立に注入管に導いて、注入管から地盤内に注入しながら地盤内にて合流・混合させる方法等が挙げられる。
これらの方法は、薬液の硬化時間や施工性に応じて適宜採用することができる。
参考例に示したII型無水石膏は、ニ水石膏を電気炉中で1000℃において3時間焼成したのち、冷却し、次いで粉砕機と分級機を用いて、ブレーン法に依る比表面積が、4500cm2/g、6500cm2/g、7500cm2/gに調製して3種類の試料を調製して用いた。
実施例、比較例、参考例を以下に示す。(試料番号1〜59)(試験番号1〜83)
フッ酸副生石膏にアルカリ性物質を添加して、▲1▼混合工程、▲2▼粉砕、分級工程、▲3▼混合工程と粉砕・分級工程を経て得られた3種類の調製方法で得られた無水石膏組成物についての紙袋の性状、調合槽のpH、SPCC(冷間圧延鋼板)の腐食等を評価する条件を表1a、表1b、表1c、表1dに示す。
硬化剤液(B液)については、消泡性と粘性、主剤液(A液)と硬化剤液(B液)を用いて硬化時間と硬化体の一軸圧縮強度について評価する条件を表2a、表2b、表2c、表2d、表2eに示す。
主剤液(A液)は、日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている3号珪酸ソーダ100ccと水100ccを仕込み、混合、撹拌を行い調製した。
表1a、表1b、表1c、表1dに示したフッ酸副生石膏は、ロータリーキルンからでた塊状〜粉末状のものを用い、該塊状〜粉末状原料を粉砕と分級により原料として用いた。アルカリ性物質は、消石灰、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポルトランドセメント、ドロマイト、炭酸カリウムナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウムを用いた。いずれも工業用の市販品を使用した。
無水石膏組成物の調製方法は、▲1▼混合工程は、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質を単に混合機を用いて混合して調製を行い試料とした。▲2▼粉砕・分級工程は、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質とを混合することなく、粉砕機と分級機を用いて調製し試料を調製した。▲3▼混合工程と粉砕・分級工程は、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合機に投入して混合を行い、次いで粉砕機と分級機を用いて調製を行い試料とした。
無水石膏組成物の試料の調製は、上記の3種類の調製方法について検討評価を行う条件を示し、表1a、表1b、表1c、表1dに併記して示した。
(a) 紙袋の性状
紙製のセメント袋にフッ酸副生石膏、フッ酸副生石膏にアルカリ性物質を添加して、▲1▼混合工程、▲2▼粉砕・分級工程、▲3▼混合工程と粉砕・分級工程を併用して得たフッ酸副生組成物を充填して1年間貯蔵した後の状態を観察した。
評価○:紙袋の性状は、1年間破袋、無。
評価×:紙袋の性状は、1年未満で破袋、有。
(b) 調合槽のpH
調合槽の懸濁液のpHは、pHメーターを用いて測定した。
評価○:調合槽のpHは、4.5以上であった。
評価×:調合槽のpHは、4.5未満であった。
(c) SPCC(冷間圧延鋼板)の腐食
200ccの調合槽に水道水190ccを仕込み、SPCC(冷間圧延鋼板)寸法50×30×2mmのテストピースを浸漬し、次いで、フッ酸副生石膏、フッ酸副生石膏にアルカリ性物質を添加して、▲1▼混合工程、▲2▼粉砕・分級工程、▲3▼混合工程と粉砕・分級工程を併用して得た無水石膏組成物30gを仕込み1日間の間放置して、調合槽の状態を観察した。
評価○:調合槽の性状は、1日間放置したが腐食、無。
評価×:調合槽の性状は、1日間放置で腐食、有。
アルカリ性物質が無添加の試料番号37は、本発明の無水石膏の調製方法の混合工程を経た後、粉砕・分級工程を施しても本発明の性能基準を満たすことができなかった。
また、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合工程の単独だけで処理した試料番号1、4、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34は、本発明が規定する性能評価を満足させることができなかった。
更にまた、混合工程を省略して粉砕・分級工程単独で処理を施して得た試料番号2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、35は、本発明が規定する無水石膏組成物の性能評価を満足させることができなかった。
(1)硬化剤液の評価
硬化剤液(B液)を用い、消泡性、粘度の評価結果を表2a、表2b、表2c、表2d表2eに併記した。
主剤液は、日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている3号珪酸ソーダ100ccと水100ccの割合で混合して調製した。
硬化剤液は、硬化剤として上記の試料番号1〜56の無水石膏組成物10〜80g、試料番号57〜59のII型無水石膏を30g、硬化促進増強剤15〜80g、界面活性剤0.09〜1.0g、消泡剤を0〜2.0gを用いて容量が200ccになるように水に懸濁して調製した。
(a)消泡性
20℃の水道水180ccを調合槽に仕込み、撹拌しながら界面活性剤、消泡剤を添加、次いで硬化剤である石灰類および石膏類を所定量仕込み、3分間撹拌をする。撹拌を停止してから泡の消えるまでの所要時間を測定した。
評価○:消泡までの所要時間が10秒以下であった。
評価×:消泡までの所要時間が10秒以上であった。
(b)粘度
硬化剤液の粘度:液温20℃、硬化剤液を200ccをメスシリンダーに分取し、容器に充填する。次いで、B型粘度計で粘度を測定した。
評価○:粘度が、5mPa・s未満であった。
評価×:粘度が、5mPa・s以上であった。
(2)硬化時間と硬化体の一軸圧縮強度
下記の主剤液(A液)と硬化剤液(B液)を用い、硬化時間、硬化体の強度の評価条件で評価した。その評価結果を表2a、表2b、表2c、表2d表2eに併記した。
主剤液は、日本工業規格(JIS K−1408)に規定されている 3号珪酸ソーダ100ccと水100ccの割合で混合して調製した。
硬化剤液は、硬化剤として試料番号1〜56の無水石膏組成物を10〜80g、試料番号57〜59のII型無水石膏を30g、硬化促進増強剤15〜80g、界面活性剤0.09〜1.0g、消泡剤を0〜2.0gを用いて200cc になるように水に懸濁して調製した。
(a)硬化時間
硬化時間は液温20℃において、主剤液と硬化剤液の当容量をマグネチックスターターで攪拌を開始してから撹拌子が停止するまでの所要時間を測定し
評価○:硬化時間が、20分〜数秒以内であった。
評価×:硬化時間が、1日以上未硬化であった。
(b)硬化体の圧縮強度
液温20℃において、主剤液と硬化剤液の当容量混合液を円柱型の型枠(径5cm×高さ10cm)内に流し込み、形成された硬化体の材令1日後の一軸圧縮強度を測定した。
材令1日後
評価O:硬化体の一軸圧縮強度値が、0.01N/mm2以上であった。
評価×:硬化体の一軸圧縮強度値が、0.01N/mm2未満であった。
(3)総合評価
総合評価○:硬化剤である無水石膏組成物の性状(紙袋の性状、SPCC(冷間圧延鋼板)の腐食性、調合槽のpH)、硬化剤液の性状(硬化剤液の消泡性と該硬化剤を用いた硬化剤液の粘性)、硬化時間と硬化体の圧縮強度1日後の評価項目がいずれも○であった。
総合評価×:硬化剤である無水石膏組成物の性能評価、硬化剤液の性状、硬化時間と硬化体強度1日後の評価項目の少なくとも一つが×であった。
フッ副生石膏の粒度の影響については、90 μm以下の試料番号13、14でも、本発明の調製方法を施さなければ本発明の規定する性能基準値を満たすことができない。
無水石膏組成物の調製方法が、混合工程のみ、粉砕・分級工程のみの場合は、本発明の性能基準の、製品の紙袋の性状、調合槽のpH、SPCCの腐食、硬化時間、硬化体を1日養生後の一軸圧縮強度等において本発明の性能基準から外れ、不確実な結果が得られる。
フッ酸副生石膏100質量部に対するアルカリ性物質のCa(OH)2の添加量を10、65、100、200、300、400、500質量部を添加して混合と粉砕・分級調製処理を設けて得た試験番号38〜44の無水石膏組成物の場合は、硬化時間が、緩結の5分以上から瞬結の数秒程度にまで調節ができ、強度も実用強度の0.01N/mm2〜6N/mm2程度にすることが可能となり広範囲の用途への適応と、多様化、複雑化する地盤の安定化をより安定により確実に施工できる特徴を有している。但し、アルカリ性物質が無添加の試験番号37は、硬化時間が長結の20分以上にすることができるが、一軸圧縮強度は実用強度の0.01 N/mm2以上にすることが困難であつた。
アルカリ性物質の粒度の影響については、5mm以下の粒度で、無水石膏組成物の調製方法が混合、粉砕・分級調製処理工程を設けることで本発明の性能基準を満足する。
無水石膏組成物の粒度の影響については、試験番号が47、48、49、50、51、52、53のブレーン比表面積として4500〜15000cm2/gに調節すれば本発明の規定値を満足させることができる。但し、12000cm2/gを超えて15000cm2/gにしても効果それほど上がらず、粉砕・分級の費用だけ上昇し不経済である。
試験番号が45、46は、本発明の無水石膏組成物の調製方法で処理してもブレー法に依る比表面積が 4500 cm2/g未満では固相反応が不十分のためか、本発明が規定する性能基準を全て満足することが出来なかった。
無水石膏組成物の添加量の影響については、試料番号54を用いて検討した結果を試験番号54〜59に示した通り、10〜80質量部を添加することで本発明が規定する性能基準を満足することができる。これにより、広範囲の用途への適応と、多様化、複雑化する地盤の安定化をより安定により確実に施工できる特徴を有する結果を得ることができる。
界面活性剤の種類の影響について5種類の界面活性剤を用いて検討した試験番号65、66、67、68、69は硬化剤液の粘性は低下するので浸透性については良好の結果を示す。しかしながら、消泡時間が長くなり、取り扱い作業性が悪くなる。1日後の一軸圧縮強度は気泡を巻き込んで硬化するために強くなったり弱くなったり一定の値が得られ難くバラツキの幅が大きくなるという欠点を有する。
界面活性剤の添加量の影響についてリグニンスルホン酸塩について検討した結果を試験番号70、71、72、73、74、75に示した。界面活性剤の添加量は無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計量100質量部に対して0.4975〜0.8325質量部を添加すれば本発明の性能基準を満足させることができる。しかしながら、試験番号が70、71の界面活性剤の添加量は0.4975質量部未満であるので本発明の性能基準を満足させることが出来ない。
消泡剤の種類についてシリコン系は試験番号54〜59、酸化エチレンー酸化プロピレン共重合体系は、試験番号72〜76に示した。シリコン系と酸化エチレンー酸化プロピレン共重合体系は、共に本発明の性能基準を満足することができる。
消泡剤の使用量の影響について検討した試験番号70、71、75では、界面活性剤100質量部に対して0.503質量部以下であるので本発明の性能基準より消泡時間が長くなり取扱作業性と1日後の一軸圧縮強度が、気泡を巻き込んで硬化するために一定した値が得られ難く、バラツキ幅が大きくなるという欠点を有する。試験番号72、73、74は0.503質量部以上であるので本発明の性能基準を満足することができる。
消泡剤の多量に使用量した試験番号76、77、78、79、80は消泡時間を1秒以下、粘度は3.5以下と低いので浸透性に効果を発揮できると共に、圧縮強度も高くすることができるという利点を有するが、200質量部はそれ程性能の向上が認められないので、無駄となるので100質量部以下の添加で調整するのが好ましい。
硬化促進増強剤の影響については、試験番号60は、試料番号55の無水石膏組成物に対して硬化促進増強剤として消石灰を用い、試験番号61は、試料番号40の無水石膏に対して硬化促進増強剤としてポルトランドセメントを用い、試験番号62、63、64は試料番号55の無水石膏組成物に対して、硬化促進増強剤を試験番号62は消石灰とポルトランドセメントを併用して用い、試験番号63は炭酸カルシウム、試験番号64は二水石膏を用いて検討を行った結果、本発明の性能基準を全て満足した値を示した。
この様なことから、複雑化した地盤改良と多用途の施工場面にも対応できので、より安全に、より確実に地盤の安定化できる硬化剤となるので産業上の利用可能性は極めて高い。
Claims (3)
- 珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上〜500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500〜15000cm2/gの無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を 0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤。
- アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。
- 請求項1または2に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。
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