本発明は、典型的には、輸送業、エネルギー業、加工業、及び製造業で用いられるモータ及び発電機などの工業用途に使用される回転式の電気機械の分野に関し、より詳細には、同期リラクタンス・モータのロータを製造する方法、同期リラクタンス・モータのロータ、及び同期リラクタンス・モータに関する。
輸送業、加工業及び製造業、並びにエネルギー業において、回転式電気機械が、当業界では、電気モータ及び発電機など、様々な用途で使用されている。電気機械は、力学的エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイス、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換するデバイス、又は交流をある電圧レベルから異なる電圧レベルまで変更するデバイスの総称である。当業界で採用される電気機械は、エネルギーの変換方法に従って3つのカテゴリーに分類される。発電機は、力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する。モータは、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する。変圧器は交流の電圧を変更する。モータ及び発電機は、一般に回転式の電気機械類に属する。
電気モータは電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する。ほとんどの電気モータは、磁場と通電する導体との相互作用によって動作して力を発生させる。電気モータは、産業上の用途と同様に様々な用途で見られ、高度に基準化された寸法及び特徴の小型及び中型サイズの産業用モータは、産業上の使用に関して好都合の動力を提供する。大型の電気モータは、水産業の船舶の推進装置の用途では船舶の推進に、パイプライン圧縮機に、及び定格が数百万ワットの送水ポンプに用いられる。
回転式の電気機械の2つの主な部分は、機械用語で説明することができる。ロータは電気機械の回転する部分であり、ステータは電気機械の静止した部分である。ロータは、トルクがロータの軸の周りで生じるようにモータのワイヤ及び磁場が構成されているので回転する。ロータ・シャフトはトルク及び回転を伝達する機械的な構成要素である。
リラクタンス・モータは、単純に軟鉄などの磁性材料から構成された強磁性体ロータ上の非永久磁石の磁極を誘導する電気モータの一タイプである。トルクは磁気抵抗の減少により生じる。
同期リラクタンス・モータは、等しい数のステータ磁極及びロータ磁極を有する。ロータ上の突起は、いわゆる直軸に沿って磁束を方向付ける内部フラックス・バリア、すなわち孔を導入するように構成されている。一般に、永久磁石フラックスの方向にある軸は直軸すなわちd軸と称され、直軸の90度前進した軸は横軸すなわちq軸と称される。典型的な磁極の数は4及び6である。ロータ磁極間の空間又は切り欠きがステータ磁極の反対側にあるときは、モータの磁気回路の磁気抵抗は高いが、ロータ磁極がステータ磁極と位置合わせされているときは、磁気回路の磁気抵抗は低い。ステータ磁極の対が励磁されると、最も近くのロータ磁極の対は引っ張られて、励磁されたステータ磁極と位置合わせされて、機械を通るリラクタンス・パスを最小限に抑える。ブラシレスの永久磁石モータのように、ステータ磁極を励磁し、次いでロータが次の励磁された磁極に進むことによって回転運動が可能になる。
同期リラクタンス・モータは、商用周波数の交流で動作するように設計されており、かご形インダクション・モータで使用されているものと同様の分布巻きのステータ巻線を用いる。しかし、ロータは、ロータの角度位置に応じて変わる可変リラクタンスをモータの磁気回路に生み出すために突出極を必要とする。これらの突出極は、かご形ロータの長さに沿って軸方向のスロットをミリング加工することによって作ることができる。
同期リラクタンス・モータはかごがないと自己起動型ではない。準備運転中には、インダクション・モータとして挙動するが、同期速度に近づくと、リラクタンス・トルクが引き受け、モータが同期速度に固定される。同期速度で起動すると、同期リラクタンス・モータ・モータは、正弦波電圧で動作することができる。ロータが同期速度で動作しロータに導電部品がないときは、ロータの損失はインダクション・モータと比較すると最低限である。同期リラクタンス・モータの制動は、典型的には、電子式の周波数変換器を必要とする。
同期リラクタンス・モータのステータは、典型的には、多相ステータ巻線を有し、その巻線は、磁気を伝導するプレートから作製されたステータ・コアの溝に集積している。ステータ巻線は、供給網又は同期リラクタンス・モータに連結された周波数変換器によって決定される周波数で回転する回転磁場を生み出す。同期リラクタンス・モータのステータ巻線は、同期モータのステータ巻線又はインダクション・モータのステータ巻線と同様である。同期リラクタンス・モータのロータは、ステータからの空隙クリアランス内で回転するようにベアリング上に装着されている。
同期リラクタンス・モータの機能は、ロータがその直軸及び横軸に沿って異なるインダクタンスを有する異方性のロータの構造に基づいている。直軸に沿ったインダクタンスはLdと称され、横軸に沿ったインダクタンスはLqと称される。その最も単純な突出極の形態では、界磁巻線のない伝統的な同期機械と同様である。しかし、同期機械とは異なり、励磁は全てステータからなので、遅れ力率で動作することができる。リニア・スタート・リラクタンス・モータは、インダクション・モータとして起動し、したがって、ロータ上にかご形バーを備える。ステータは、インダクション・カウンターパートのステータと同様である。モータは、インダクション・モータのトルクの影響下で加速され、同期速度に近いと、同時に回転するステータ磁界と同期するようになる。
同期リラクタンス・モータのロータは、常に、その磁極を、最小限のリラクタンス(そのシステム内の最小の蓄積エネルギーに対応する)を提供する位置と位置合わせしようとしている。換言すると、リラクタンス・モータのトルクは、ロータの位置に関するリラクタンスの変化によって生じる。同期リラクタンス・モータのロータは、透磁性が直軸方向で大きく横軸方向で小さくなるように構成されている。
リラクタンス機械の動作の原理は、機械の空隙に可変のリラクタンスが存在し、横軸(q軸)のリラクタンスが高く、直軸(d軸)のリラクタンスが低いことに基づいている。したがって、同期リラクタンス・モータの動力又はトルクを最大にするためには、インダクタンス比Ld/Lqはできるだけ大きくしなければならない。したがって、大きいインダクタンス比Ld/Lqを実現するために、伝導ルートがd軸に沿った磁束のために設計されており、磁気抵抗バリアがq軸に沿った磁束のために設計された、いくつかの異なる構造が提案されている。
一部の構造では、磁束の伝導ルートは、強磁性体プレートがd軸に沿った方向に高い透磁率を有するように設計された強磁性体プレートで形成されている。磁気抵抗バリアは、空気又は何らかの非強磁性材料を用いて作られている。
特許文献、特開2005−245052及び米国特許第6,239,526号では、磁束のためのリラクタンス・バリアがロータ・コア板の部品の切削加工又は彫刻によってロータに形成されている同期リラクタンス・モータのロータが提示されている。
特許文献、GB1,109,974では、薄い電気板がロータ軸上に構築され特定の好ましい磁気方位を有し透過性が最大である、ロータの構造が提示されている。
特許文献、KR709301及び米国特許第6,066,904号では、有向の薄い電気板から構成された2つの磁極の同期リラクタンス・モータのロータが提示されている。リラクタンスの必要な異方性を実現するためには、スロット、すなわち磁気抵抗バリアが積層体内に磁束ラインに沿って好ましい方向に設けられる。
特許文献、特開平11−144930では、ロータ・コアの構造がストリップ形状の金属片を積み重ね磁性金属材料と非磁性金属材料とを金属的に接合することによって形成された同期リラクタンス・モータのロータが提示されている。
特許出願文献、WO96/42132では、ロータ・コアの構造が磁性材料及び非磁性材料から構成され、それらの材料が非磁性の導電性材料の層でカバーされた、同期リラクタンス・モータのロータが示されている。
磁性材料及び非磁性材料から構成され、それらの材料に非磁性の導電性材料が積層されている、ロータ・コアの構造を用いるときにいくつかの問題がある。これらの積層されたロータ・コアの構造は高い遠心力に耐えることができない。
今までのところ、高速モータのロータは、誘導技術(コーティングされたソリッド・ロータ)又は同期永久磁石技術利用している。極めて高い遠心力に対処するためには、導電性の銅のコーティングを固体鉄の表面に爆発溶接しなければならない。永久磁石ロータでは、磁石は、厚い炭素繊維のバンデージを用いて固定しなければならず、これは熱に関しては不都合である。これらの技術は両方とも製造が難しく高価である。永久磁石ロータには、磁石の渦電流損に対する脆弱性もある。
したがって、問題は、ロータ表面上の高調波損失を最小限に維持しながらも、リラクタンス作用を生み出し遠心力に耐えることができる構成及び材料を見つけることである。
市場では、リラクタンス作用を生み出し、遠心力に耐え、従来技術の解決策と比較してロータ表面上の高調波損失を最小限に維持する、同期リラクタンス・モータのロータを製造する方法の需要がある。同様に、市場では、リラクタンス作用を生み出し、遠心力に耐え、従来技術の解決策と比較してロータ表面上の高調波損失を最小限に維持する同期リラクタンス・モータのロータ需要があり、さらに、そのような特徴を有するロータを有する同期リラクタンス・モータの需要がある。
特開2005−245052
米国特許第6,239,526号
GB1,109,974
KR709301
米国特許第6,066,904号
特開平11−144930
WO96/42132
したがって、本発明の一目的は、上記の問題を克服し上記の欠点を改善する方法及びその方法を実装する装置を提供することである。
本発明の目的は、強磁性フラックス・ガイドを有する同期リラクタンス・モータのロータを製造する方法であって、超常磁性材料から注型成形することによって円柱形ロータ本体部分を製造するステップを少なくとも含む方法によって実現される。
好ましくは、その方法は、強磁性フラックス・ガイドを円柱形ロータ本体部分の注型成形モールドに連結された特別な支持構造で支持するステップと、強磁性フラックス・ガイドが、円柱形ロータ部分の外周の一方の側から円柱形ロータ部分の外周の他方の側まで、同期リラクタンス・モータの直軸の方向に貫通するように、超常磁性材料から注型成形することによって円柱形ロータ本体部分を製造するステップとを含む。
好ましくは、注型成形の後に、ロータ本体部分の両端にロータ・シャフト部分を固定する。或いは、注型成形の前に、ロータ本体部分の注型成形モールド中に内側の円柱形ロータ・シャフト部分を配置する。
或いは、その方法は、超常磁性材料から注型成形することによって円柱形ロータ本体部分を製造するステップと、孔が円柱形ロータ部分の外周の一方の側から円柱形ロータ部分の外周の他方の側まで、同期リラクタンス・モータの直軸の方向に貫通するように円柱形ロータ本体部分に孔を開けるステップと、強磁性フラックス・ガイドを前記孔に挿入し支持するステップとを含む。
好ましくは、注型成形の後に、ロータ本体部分の両端にロータ・シャフト部分を固定する。或いは、注型成形の前に、ロータ本体部分の注型成形モールドの中に内側の円柱形ロータ・シャフト部分を配置する。
或いは、その方法は、一様の強磁性部片を強磁性プレートから製造し、前記強磁性部片を積み重ねて形成することによってロータの磁気伝導部分を組み立てるステップであって、前記一様の強磁性部片が、本質的にリラクタンス・モータの直軸の方向に、細い外周部及び強磁性フラックス・ガイドを備える、ステップと、強磁性フラックス・ガイドが円柱形ロータ部分の外周の一方の側から円柱形ロータ部分の外周の他方の側まで貫通するように、超常磁性材料から注型成形することによって円柱形ロータ本体部分を製造するステップと、強磁性部片の細い外周部をロータの全長において取り除いて、強磁性フラックス・ガイドがロータの構造の円柱形部分の外周に到達することを可能にするステップとを含む。
好ましくは、注型成形の前に、内側の円柱形ロータ・シャフト部分が、ロータ本体部分の注型成形モールド中に配置され、前記ロータ・シャフト部分が、前記強磁性部片の細い内周部によって支持され、その細い内周部が、細いストリップで前記強磁性部片の細い外周部に連結されている。
さらに、本発明の目的は、超常磁性材料から注型成形された円柱形ロータ本体部分と、注型成形された円柱形ロータ本体部分内に配置され、円柱形ロータ部分の外周の一方の側から円柱形ロータ部分の外周の他方の側まで、同期リラクタンス・モータの直軸の方向に貫通する、強磁性フラックス・ガイドとを備える、同期リラクタンス・モータのロータによって実現される。
好ましくは、強磁性フラックス・ガイドは直線的である。或いは、強磁性フラックス・ガイドは湾曲している。好ましくは、強磁性フラックス・ガイドは、ロータ・シャフトの方向及びロータ半径の方向において互いに強磁性フラックス・ガイドの直径の0.5〜1.5倍の距離以内に配置される。
好ましくは、強磁性フラックス・ガイドの断面は、丸形、六角形、三角形、平行四辺形、及び楕円形のうちの1つである。好ましくは、強磁性フラックス・ガイドは、鋼、鉄、電気板、鋼線、及び編組線のうちの1つの材料から製造される。
好ましくは、強磁性フラックス・ガイドは、円柱形ロータ部分の外周で終端する。或いは、強磁性フラックス・ガイドは円柱形ロータ部分の外周を越えて突出する。
好ましくは、ロータ・シャフト部分は、円柱形ロータ本体部分の両端に固定される。或いは、円柱形ロータ本体部分は、内側の円柱形ロータ・シャフト部分の周りに注型成形される。
さらに、本発明の目的は、超常磁性材料から注型成形された円柱形ロータ本体部分と、注型成形された円柱形ロータ本体部分内に配置され、円柱形ロータ部分の外周の一方の側から円柱形ロータ部分の外周の他方の側まで、同期リラクタンス・モータの直軸の方向に貫通する、強磁性フラックス・ガイドとを備えるロータを有する同期リラクタンス・モータによって実現される。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの側面図を示す。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの横断面図を示す。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの斜視図を示す。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの別の実施例の横断面図を示す。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第3の実施例の横断面図を示す。
本発明の第3の実施例による同期リラクタンス・モータのロータの斜視図を示す。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第4の実施例の横断面図を示す。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第5の実施例の横断面図を示す。
図1に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの側面図を示す。本発明によるロータの構造は円柱形ロータ本体部分1を備え、その円柱形ロータ本体部分1は超常磁性材料から注型成形されている。超常磁性材料の一例は、容易に入手できる軸受け青銅(CuAl10Fe5Ni5)である。ロータ本体部分1の両端には、ロータ・シャフト2、3として機能する突出部2、3があり、それら突出部2、3は、本実施例では、ロータ本体部分1と一体であり、同じ超常磁性材料から注型成形されている。ロータ・シャフト部分2、3は、ロータ本体部分1の両端に固定されてもよい。ロータ・シャフト2、3は、ロータが同期リラクタンス・モータのステータの内側で且つステータからある空隙距離内に中心に支持されるように、同期リラクタンス・モータのフレームに装着される。本発明による同期リラクタンス・モータのロータの円柱形ロータ本体部分1は、強磁性フラックス・ガイド4、5、6を備え、その強磁性フラックス・ガイド4、5、6は、強磁性材料から作製され、注型成形型内のインサートとして製造されている。強磁性フラックス・ガイド4、5、6の断面は以下のうちの1つでよい:丸形、六角形、三角形、平行四辺形、及び楕円形。強磁性フラックス・ガイド4、5、6は以下の材料のうちの1つから作製されてよい:鋼、鉄、電気板、鋼線、及び編組線。
図2に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの横断面図を示す。断面A−Aが図1に印を付けられている。本発明によるロータの構造は、円柱形ロータ本体部分1及び強磁性フラックス・ガイド4、5、6を備える。本実施例では、強磁性フラックス・ガイド4、5、6は、円柱形ロータ部分1の外周の一方の側から円柱形ロータ部分1の外周の他方の側まで、リラクタンス・モータの直軸(d軸)の方向に貫通し、したがって、リラクタンス・モータはd軸においてリラクタンスが低い。リラクタンスは、図2で理解できるようにリラクタンス・モータの横軸(q軸)の方向では高い。
強磁性フラックス・ガイド4、5、6は、ロータ・シャフトの方向及びロータの半径方向において互いに0.5d〜1.5d以内離れた距離に配置することができる。dは強磁性フラックス・ガイド4、5、6の直径である。図1及び図2の実施例では、5列の強磁性フラックス・ガイド4、5が、ロータ・シャフトの方向にあり、別の5列の強磁性フラックス・ガイド6が、やはりロータ・シャフトの方向にある。強磁性フラックス・ガイド6の列は、ロータ・シャフトに垂直且つフラックス・ガイド4、5、6に垂直の方向に動かされている。これにより、各列に5つの強磁性フラックス・ガイド4、5、6があり、合計で50の強磁性フラックス・ガイド4、5、6が全てリラクタンス・モータのd軸の方向にあるグリッド構造が形成される。強磁性フラックス・ガイド6は図2では破線で印が付けられている。強磁性フラックス・ガイド4、5、6の直径及びそれらの互いの距離は、本明細書では、構造の概要を示す参照例として示している。強磁性フラックス・ガイド4、5、6の実際の直径及び距離は、各同期リラクタンス・モータの実際の材料及びパラメータによって決まる。
図3に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの斜視図を示す。本発明によるロータの構造は、円柱形ロータ本体部分7及び強磁性フラックス・ガイド8、9を備える。図1〜図3では、強磁性フラックス・ガイド4〜6、8、9は直線的であり丸形である。製造においては、強磁性フラックス・ガイド4〜6、8、9を、ロータ本体部分1、7の注型成形モールドに連結された特別な支持構造によって支持することができる。ロータ本体部分1、7は超常磁性材料から注型成形される。ロータ本体部分1、7の注型成形の後には、特別な支持構造を取り外すことができる。その代わりに、まずロータ本体部分1、7を注型成形することができ、その後、強磁性フラックス・ガイド4〜6、8、9のためにロータ本体部分1、7に孔を開ける。強磁性フラックス・ガイド4〜6、8、9は、ロータ本体部分1、7に挿入及び接着することができる。或いは、ロータ本体部分1、7の孔はネジが切られており、ネジが切られた強磁性フラックス・ガイド4〜6、8、9がロータ本体部分1、7に螺合されている。
図4に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの別の実施例の横断面図を示す。本発明による同期リラクタンス・モータのロータの別の実施例では、ロータ・コアは異なる2つの材料から形成される。本実施例では、ロータは、内側の円柱形部分10と、内側の円柱形部分10の周りに形成された外側の円筒形部分11とを備える。内側の円柱形ロータ部分10はロータ・シャフトとして機能することができる。内側の円柱形ロータ部分10は、ロータ本体部分11の注型成形モールド中に配置することもできる。その後、ロータ本体部分11を超常磁性材料から注型成形する。ロータが同期リラクタンス・モータのフレームに装着され、同期リラクタンス・モータのステータの内側で中心に支持されると、外側の円筒形ロータ部分11はステータからある空隙距離内に位置合わせされる。
内側の円柱形ロータ部分10は、磁性金属材料、例えば強磁性材料から作製することができ、又はその代わりに、非磁性金属材料、例えば超常磁性材料から作製することができる。図1及び図2の実施例の場合と同様に、本実施例も、円柱形ロータ本体部分10及び円筒形ロータ部分11を貫通する強磁性フラックス・ガイド12〜15を備える。図4に見られるように、両側では、強磁性フラックス・ガイド12、15しか内側の円柱形ロータ部分10を貫通せず、中心では、強磁性フラックス・ガイド13、14が内側の円柱形ロータ部分10と外側の円筒形ロータ部分11の両方を貫通する。図4の実施例では、強磁性フラックス・ガイド12〜15は、外側の円筒形ロータ部分11の外周で終端する。
図5に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第3の実施例の横断面図を示す。本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第3の実施例では、ロータは、超常磁性材料から注型成形された円柱形ロータ本体部分16を備える。本発明の第3の実施例による円柱形ロータ本体部分16は、本質的にリラクタンス・モータの直軸(d軸)の方向に強磁性フラックス・ガイド17、18を備え、それらの強磁性フラックス・ガイド17、18は、強磁性材料から作製され、注型成形型内にインサートとして製造されている。図5の実施例では、強磁性フラックス・ガイド17、18は円柱形ロータ本体部分16の外周を越えて突出している。本実施例では、同期リラクタンス・モータの空隙距離が強磁性フラックス・ガイド17、18の端部とステータとの間に形成される。
図6に、本発明の第3の実施例による同期リラクタンス・モータのロータの斜視図を示す。本発明によるロータの構造は、円柱形ロータ本体部分19及び強磁性フラックス・ガイド20、21を備える。本発明の第3の実施例による円柱形ロータ本体部分19は強磁性フラックス・ガイド20、21を備え、それらの強磁性フラックス・ガイド20、21は、強磁性材料から作製され、注型成形型内にインサートとして製造されている。図6の実施例では、強磁性フラックス・ガイド20、21は円柱形ロータ本体部分19の外周を越えて突出している。
図7に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第4の実施例の横断面図を示す。本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第4の実施例では、ロータ・コアは異なる2つの材料から形成される。本実施例では、ロータは、内側の円柱形部分22と、内側の円柱形部分22の周りに形成された外側の円筒形部分23とを備える。内側の円柱形ロータ部分22はロータ・シャフトとして機能することができる。ロータが同期リラクタンス・モータのフレームに装着され、同期リラクタンス・モータのステータの内側で中心に支持されると、外側の円筒形ロータ部分23はステータからある空隙距離内に位置合わせされる。内側の円柱形ロータ部分22は、磁性金属材料、例えば強磁性材料から作製することができ、又はその代わりに、非磁性金属材料、例えば超常磁性材料から作製することができる。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第4の実施例では、ロータの構造は、本質的にリラクタンス・モータの直軸(d軸)の方向に、円柱形ロータ本体部分22、23及び強磁性フラックス・ガイド24〜27を備える。本実施例では、強磁性フラックス・ガイド24〜27は、湾曲するように製造されており、そのため、内側の円柱形ロータ部分22をよけて通りながら、湾曲した強磁性フラックス・ガイド24〜27が外側の円筒形ロータ部分23の外周の一方の側から外側の円筒形ロータ部分23の外周の他方の側まで貫通する。図7の実施例では、強磁性フラックス・ガイド24〜27は、外側の円筒形ロータ部分23の外周で終端する。
図8に、本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第5の実施例の横断面図を示す。本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第5の実施例では、ロータ・コアは異なる2つの材料から形成される。本実施例では、ロータは、内側の円柱形部分28と、内側の円柱形部分28の周りに形成された外側の円筒形部分29とを備える。内側の円柱形ロータ部分28はロータ・シャフトとして機能することができる。内側の円柱形ロータ部分28は、磁性金属材料、例えば強磁性材料から作製することができ、又はその代わりに、非磁性金属材料、例えば超常磁性材料から作製することができる。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第5の実施例では、まず一様の強磁性部片30〜34を製造することによって、例えば強磁性プレートから打ち抜き加工又は切削加工することによって、ロータを製造する。一様の強磁性部片30〜34を積み重ねて、ロータの磁気伝導部分を形成する。第5の実施例による一様の強磁性部片30〜34は、ロータの構造を一緒に保持する細い外周部30と、本質的にリラクタンス・モータの直軸(d軸)の方向の強磁性フラックス・ガイド33、34とを備える。第5の実施例による一様の強磁性部片30〜34は細い内周部31を備えることもでき、その細い内周部31は細いストリップ32で細い外周部30に連結されている。
本発明による同期リラクタンス・モータのロータの第5の実施例では、一様の強磁性部片30〜34を積み重ねてロータの磁気伝導部分を形成することによって、ロータを製造する。積み重ねられた強磁性部片30〜34を、ロータ本体部分29の注型成形モールド中に配置する。内側の円柱形ロータ部分28を、ロータ本体部分29の注型成形モールド中に配置してもよい。その後、ロータ本体部分29を超常磁性材料から注型成形する。ロータ本体部分29の注型成形の後に、強磁性部片の細い外周部30をロータの全長において取り除いて、強磁性フラックス・ガイド33、34がロータの構造の円柱形部分29の外周に達することが可能になる。ロータが同期リラクタンス・モータのフレームに装着され、同期リラクタンス・モータのステータの内側で中心に支持されると、外側の円筒形ロータ部分29はステータからある空隙距離内に位置合わせされる。
本発明によるロータの構造は、超常磁性材料から注型成形されており、強磁性材料から作製された強磁性フラックス・ガイドを備え、それらの強磁性フラックス・ガイドは注型成形型内にインサートとして製造されている。ロータの強磁性部分は、磁束を通し、超常磁性材料は、ロータの構造を一緒に維持する基材として働き、さらに強磁性要素を渦電流損から保護する。超常磁性ロータの構造は、同期リラクタンス・モータの力率を改善するのも助ける。本発明による解決策は、高調波磁束がロータ中に深く貫入することも防止する。超常磁性材料は、それ自体ヒステリシス損を生じないので非常に適切なロータの材料である。
本発明による解決策の助けにより、同期リラクタンス・モータの製造者は、製造プロセスを大幅に改善し現行の従来技術の解決策と比べて節約することが可能にあるであろう。本発明による解決策はどの種類の同期リラクタンス・モータでも利用することができる。
技術が進歩するにつれて、本発明の概念を様々な形で実装できることが当業者には明らかであろう。本発明及びその実施例は、上記で説明した例に限定されないが、特許請求の範囲内で変更することができる。