JP2015205032A - ファスニングシステム - Google Patents

Abstract

【課題】固定部分に生じるずれに対する安定性を維持しつつ、その固定部分をより確実に被固定部材の動きに追従させること。【解決手段】一実施形態に係るファスニングシステムは、第１固定部材を含む第１領域と第２固定部材を含む第２領域とを固定するファスニングシステムであって、第１固定部材に設けられた第１面ファスナと、第１固定部材または第２固定部材に設けられた第２面ファスナとを備える。第１固定部材および第２固定部材のうち、第２面ファスナが設けられている固定部材は、該第２面ファスナと該第２面ファスナが積層された基材とを有する。第２面ファスナと基材との積層体部分の曲げ剛性をＳａとし、第２面ファスナが積層されていない基材とＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープとの積層体である比較用部材の曲げ剛性をＳｂとした場合に、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する。【選択図】図１

Description

本発明の一側面は、第１面ファスナ及び第２面ファスナを備えるファスニングシステムに関する。

従来から、生地などの被固定部材における異なる領域間の固定や、複数の被固定部材同士等の固定に面ファスナが用いられている。

下記特許文献１は、改良された側部クロージャーを有する使い捨ておむつを記載する。特許文献１には、「本発明の使い捨ておむつは、外側締結手段および内側締結手段を備える」との記載がある。

下記特許文献２は、吸収性の製品あるいは吸収性素材を保持できる製品を記載する。特許文献２には、「本発明に係る製品では、該製品の固定時に前固定部および後固定部が互いに部分的にのみ接合することができる」との記載がある。

下記特許文献３は、二重締結システムを具備した衣類用のしるしを記載する。特許文献３には、「二重締結システムは、少なくとも２つの第一締結用具および少なくとも２つの第二締結用具を含み、各々の第二締結用具の少なくとも一部は、前腰部領域に位置し、かつ前腰部領域の各々の縦方向側縁から内側に置かれ、各々の第二締結用具は、身体対向表面の少なくとも一部に係合するように形成されている」との記載がある。

下記特許文献４は、多数の締結用具を備えた使い棄て衣類を記載する。この特許文献４にも、「二重締結システムは、少なくとも２つの第一締結用具および少なくとも２つの第二締結用具を含み、各々の第二締結用具の少なくとも一部は、前腰部領域に位置し、かつ前腰部領域の各々の縦方向側縁から内側に置かれ、各々の第二締結用具は、身体対向表面の少なくとも一部に係合するように形成されている」との記載がある。

下記特許文献５は使い捨ておむつを記載する。特許文献５には、「使い捨ておむつの前後胴周り域の一方に胴周り方向ヘ弾性的に伸長可能な第１ウイング部が形成され、第１ウイング部の肌当接面に第１ファスナ手段が設けられる。胴周り域のもう一方の着衣当接面には、第２ファスナ手段に加えて、第１ウイング部の肌当接面に対して所要の平均動摩擦力を有するスリップ防止域が形成される」との記載がある。

下記特許文献６は、タブ付きの着用吸収性製品を記載する。特許文献６には、「一次固定システムは、腰部開口部とその腰部開口部から離れて設けられた一対の脚部開口部とを有する着用構造の製品を固定するために設けられる。二次固定システムは、当該製品に選択的に取り付け可能なファスナ領域と一次固定システムの一部を画定する付着領域とを有する一対のタブを備える」との記載がある。

米国特許第４６９９６２２号明細書 米国特許第６６１３０３２号明細書 米国特許第７６５４９９４号明細書 米国特許第７６６２１３７号明細書 米国特許第７５６９０４２号明細書 米国特許出願公開第２０１３／０３１０７９４号明細書

上記特許文献１〜６においては、いずれも、それぞれの固定箇所において二つの面ファスナを用いることで、着用者の運動などによりファスナタブに折れが生じたりファスナが剥がれたりすることを防ぐこと（すなわち、衣類または吸収性物品を着用者にしっかりと固定させること）を記載している。しかし、一つの固定箇所において二つのファスナを用いると、被固定部材の動きなどに対する被固定部材の固定と連結部分の追従性とが損なわれる場合がある。そして、その結果、被固定部材に係合している面ファスナの一部が被固定部材から剥がれてしまうなどの現象が起こり易くなってしまう。また、被固定部材が吸収性物品や衣類などの場合には、面ファスナは吸収性物品や衣類などに比べ硬く、使用または着用時に肌を刺激してしまう可能性がある。

そのため、固定部分に生じるずれに対する安定性を維持しつつ、その固定部分をより確実に被固定部材の動きに追従させることが望まれている。

本発明の一側面に係るファスニングシステムは、第１固定部材を含む第１領域と第２固定部材を含む第２領域とを固定するファスニングシステムであって、第１固定部材に設けられた第１面ファスナと、第１固定部材または第２固定部材に設けられた第２面ファスナとを備え、第１固定部材および第２固定部材のうち、第２面ファスナが設けられている固定部材は、該第２面ファスナと該第２面ファスナが積層された基材とを有し、第２面ファスナと基材との積層体部分の曲げ剛性をＳａとし、第２面ファスナが積層されていない基材とＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープとの積層体である比較用部材の曲げ剛性をＳｂとした場合に、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する。

このような側面によれば、第２面ファスナが設けられた固定部材における基材と面ファスナとの積層体部分は小さな曲げ剛性を有しているため、二つの領域を固定した際に、ファスニングシステムによる固定が被固定部材の動きにより生じる曲げやねじりなどに応じて柔軟に変形するようになる。したがって、ずれに対する安定性を高めるために二つの面ファスナを用いたとしても、被固定部材の動きに対する固定部分の追従性を確実に確保することが可能となる。また、吸収性物品や衣類などにファスニングシステムを採用した場合には、かかる吸収性物品や衣類の着用者に対する肌への刺激を抑えることができる。

本発明の一側面によれば、固定部分に生じるずれに対する安定性を維持しつつ、その固定部分をより確実に被固定部材の動きに追従させることができる。また、吸収性物品や衣類などに上記のファスニングシステムを採用した場合には、かかる吸収性物品や衣類の着用者に対する肌への刺激を抑えることができる。

実施形態に係るファスニングシステムを備えるおむつの斜視図である。 図１に示すおむつが着用された状態を示す斜視図である。 フックの一例の側面図である。 フック材の一例を示す図である。 フック材の別の例を示す図である。 （ａ）〜（ｃ）はそれぞれ図５のＶＩ−ＶＩ線断面図である。 フック材の別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 （ａ）〜（ｃ）はそれぞれ図１２のＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ線断面図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 フック材の伸長を示す図である。 フック材の更に別の例を示す図である。 固定部材の曲げ剛性の測定方法の一例を示す図である。 固定部材の曲げ剛性の測定方法の一例を示す図である。 フック材を用いた固定用部品の例を示す図である。 変形例に係るファスニングシステムを備えるおむつの斜視図である。 変形例に係るファスニングシステムを備えるおむつの図である。 変形例に係るファスニングシステムを備えるおむつの図である。

以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

本明細書における用語「固定部材」は、互いに離間した第１領域と第２領域とを重ねて固定させるために用いる部材である。例えば、本明細書で記載される固定部材は、（１）一の物品における第１領域と第２領域との固定（具体的には、使い捨ておむつ等の吸収性物品における前方腰部と後方腰部との連結、衣類における左右前身頃、襟及び／または袖口等の固定、靴のアッパー部における履き口部の固定）、（２）ある物品に存在する第１領域と別の物品に存在する第２領域との固定（具体的には、生理用品、その他衛生用品等の吸収性物品の衣類への固定または取り付け）、（３）固定用の部材を被固定部材へ巻き付けることによる、または面ファスナを基材に係合させることによる被固定部材の固定（動きの制限）（具体的には、小さく折り畳まれた若しくは丸められた物品の形状保持、肌へ貼られた湿布等のずれ・剥がれ防止）等の用途に用いられるが、用語「固定部材」が網羅する範囲はこれに限定されない。

第１領域は第１固定部材を含み、第２領域は第２固定部材を含む。第１固定部材は少なくとも、基材とその基材上に設けられた第１面ファスナとを含む。一方、第２固定部材は少なくとも基材を含む。第２面ファスナは、第１固定部材の基材上または第２固定部材の基材上に設けられる。したがって、ファスニングシステムの態様としては、第１固定部材が第１面ファスナおよび第２面ファスナの双方を備え、第２固定部材には面ファスナが設けられない場合と、第１固定部材が第１面ファスナを備え第２固定部材が第２面ファスナを備える場合とが考えられる。つまり、本明細書においては、第１面ファスナまたは第２面ファスナのいずれも設けられていない場合も、固定部材という。このように、第１領域および第２領域は、第１固定部材および第２固定部材をそれぞれ含み、これら固定部材に上記のように設けられた第１面ファスナおよび第２面ファスナを備えるファスニングシステムにより固定される。本明細書における「基材」とは、面ファスナが取り付けられるまたは面ファスナを取り付け可能な固定部材のベース（基礎）部材である。固定部材の厚さ方向における面ファスナ以外の部分を基材ということもできる。

本実施形態のファスニングシステムは少なくとも二つの面ファスナを備える。当該少なくとも二つの面ファスナのうちの一つの面ファスナは、柔軟性を有する面ファスナである。本実施形態のファスニングシステムは、固定部分に生じるずれに対する安定性を維持しつつ、その固定部分をより確実に被固定部材の動きに追従させることが可能である。なお、本明細書における「固定部分」とは、少なくとも二つの面ファスナにより第１領域および第２領域が貼り合わされた（すなわち、固定された）部分のことである。

本実施形態では、面ファスナの柔軟性は、面ファスナを備える固定部材における、基材と該基材に積層された面ファスナとの積層体部分の曲げ剛性（Ｓａ）により表される。かかる曲げ剛性Ｓａは、当該積層体部分の基材にＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープ（以下では「比較用テープ」という）が積層された積層体を比較用部材とし、その曲げ剛性Ｓｂを基準として用いて、これらの比Ｓａ／Ｓｂを求めることにより示される。本明細書における第２面ファスナとは、ファスニングシステムに備えられる面ファスナのうち、最も柔軟な面ファスナ、更に具体的には、Ｓａ／Ｓｂが最も小さい面ファスナのことである。

ファスニングシステムにおける第２面ファスナの特定に際し、当該ファスニングシステム内のすべての面ファスナについてＳａ／Ｓｂを求めることが必ずしも必要でないことは、当業者であれば容易に理解される。例えば、目視にてどの面ファスナが第２面ファスナに相当するかを判断してもよいし、それぞれの面ファスナが設けられている箇所を手で触ったり曲げたりすることで、どの面ファスナが第２面ファスナに相当するかを判断することが可能である。あるいは、面ファスナそのものの曲げ剛性を測定することで第２面ファスナを特定することも可能である。なお、曲げ剛性は、後述するループ・スティフネスまたはガーレ剛性で判断してもよいし、他の基準で判断することもできる。もちろん、これらのような手法で判断することが困難な場合は、最終的に、上記のＳａ／Ｓｂを求めることで第２面ファスナを特定してもよい。

なお、ファスニングシステムにおいて、Ｓａ／Ｓｂが最も小さい面ファスナが複数個存在する場合には、その複数個の中から任意に選択された面ファスナを第２面ファスナとすればよい。

第２面ファスナについては、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する。すなわち、第２面ファスナと基材との積層体部分の曲げ剛性をＳａとし、第２面ファスナが積層されていない基材とＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープとの積層体である比較用部材の曲げ剛性をＳｂとした場合に、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する。

曲げ剛性Ｓａ，Ｓｂおよび、比Ｓａ／Ｓｂについては、以下でさらに詳細に説明する。

本実施形態では、図１及び２に示す吸収性物品１について説明する。なお、図１及び２においては、吸収性物品１の一例としてオープン型（フラット型）のおむつを挙げているが、固定部材が設けられる吸収性物品は、図１及び２に示すおむつに限定されず、例えば、テープ止め型、パッド型等の他の形態のおむつや、ナプキン、ショーツ一体型ナプキン等の生理用品・衛生用品であってもよい。

おむつ（吸収性物品）１は、腹側から背側にかけて着用者の股部を覆うシート状の本体部１０を備える。本明細書では、おむつ１の着用者側の面を「内面」といい、その反対側の面を「外面」という。

本体部１０は、外側シート１１と、外側シート１１の内側に積層された液体透過性の内側シート１２と、外側シート１１と内側シート１２との間に収容された液体吸収性の高分子吸収体１３とを有する。外側シート１１は、一般的に、液体不透過性フィルムと不織布層との積層体から構成され、液体不透過性フィルムが高分子吸収体１３側、不織布層がおむつ１本体の外面側に存在する。すなわち、おむつ１の着用時に、内側シート１２は、おむつ１本体の内面側で着用者の皮膚に隣接して配置され、外側シート１１（その不織布層）は、おむつ１本体の外面側で着用者の衣服等に隣接して配置される。ここで、外側シート１１に用いられる不織布層としては、例えば、スパンボンド法によって作製されたポリプロピレン不織布を用いることができる。この場合、この不織布層を固定部材との固定に使用することが可能である。

腹側端部１０ａは、本体部１０の幅方向（着用時における横方向）に沿って延びる腹側サイドパネル１６を含む。また、背側端部１０ｂは、本体部１０の幅方向に沿って延びる背側サイドパネル１７を含む。本明細書では、いくつかの図に示すように、２種類のサイドパネル１６，１７の巻付け方向を符号Ｌで示し、その巻付け方向Ｌと直交する方向を幅方向Ｗと定義する。巻付け方向Ｌはサイドパネル１６，１７の突出方向と同義である。

本体部１０の腹側端部１０ａの外面に、本体部１０の幅方向に延びる帯状のループ材１４が設けられてもよい。ある態様において、ループ材１４は、フックが係合する多数のループ体を有する。あるいは、このようなフックが係合する多数のループ体を有するループ材１４に代えて、フックを繊維に係合させることが可能な不織布等をループ材１４として使用してもよい。また、ループ材１４を設ける代わりに、フックが係合する多数のループ体が設けられた素材により外側シート１１の外面層を構成してもよいし、上述のように、フックを繊維に係合させることが可能な不織布等により外側シート１１を構成してもよい。

巻付け方向Ｌにおける背側サイドパネル１７の端部には、本体部１０の腹側端部１０ａと背側端部１０ｂとを着用者の腰部の左右で着脱自在に連結する一対の固定部材２０が、接着、縫い付け、溶着などにより設けられる。本実施形態における固定部材２０は「ファスニングタブ」ともいわれる。この固定部材２０は、基材２１と、その基材２１に設けられた第１面ファスナ３０とを備える。一方、腹側サイドパネル１６の外面には第２面ファスナ４０が設けられる。したがって、おむつ１では、固定部材２０が第１固定部材であり、背側端部１０ｂ及び背側端部１０ｂから本体部１０の幅方向に沿って延びる背側サイドパネル１７が第１領域であり、腹側サイドパネル１６が第２固定部材であり、腹側端部１０ａが第２領域である。第１面ファスナ３０はループ材１４または腹側端部１０ａと係合し、第２面ファスナ４０は背側サイドパネル１７と係合する。このように、本実施形態におけるファスニングシステム１００は、背側サイドパネル１７を含む背側端部１０ｂと、腹側サイドパネル１６を含む腹側端部１０ａとを固定するためのシステムであって、背側サイドパネル１７から突出する固定部材２０に設けられた第１面ファスナ３０と、腹側サイドパネル１６に設けられた第２面ファスナ４０とを備える。固定部材２０をループ材１４に巻き付けたときには、第２面ファスナ４０が背側サイドパネル１７に係合し、第１面ファスナ３０がループ材１４に係合する。したがって、ファスニングシステム１００により二つの領域が固定された状態では、第１面ファスナ３０より第２面ファスナ４０の方が、第１面ファスナ３０が設けられた固定部材２０の自由端部２０ａから離れた場所に位置する（図２参照）。ここで、固定部材２０の自由端部２０ａとは、固定部材２０の巻付け方向Ｌにおける端部であり、かつ背側サイドパネル１７に取り付けられていない側の端部である。

第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０はともに面ファスナである。面ファスナとは、任意の面の範囲で着脱可能なファスナである。面ファスナはフック材およびループ材の双方を含む概念である。なお、ファスニングシステム１００では、第１面ファスナ３０と第２面ファスナ４０とが互いに係合することは意図しない。本実施形態では、第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０はともにフック材であるとの前提で以下に説明する。

基材２１は、背側端部１０ｂから本体部１０の幅方向に沿って外側に突出し、着用時に腹側端部１０ａに巻き付いて連結する部分である。この基材２１は柔軟性を有する。ここで、柔軟性とは、基材２１が、固定部材が適用される領域の表面形状に沿って簡単に曲がって追従可能となるような性質をいう。基材２１は伸長性または伸縮性を有してもよいし、弾性的に変形してもよい。なお、弾性的な変形の一部に塑性的な変形が含まれてもよい。固定部材２０が吸収物品または衣類に適用される場合、柔軟性とは、着用者がごわごわ感を感じない程度の剛性をいう。なお、基材２１の柔軟性の度合いは、固定部材が適用される領域の表面形状、構造、組成、用途等に基づき任意に定めてよい。基材２１として不織布を用いた場合には、柔軟性を不織布の坪量で表すことができ、ある態様においては、不織布の坪量が５ｇ／ｍ^２以上、１０ｇ／ｍ^２以上もしくは２０ｇ／ｍ^２以上であって、６００ｇ／ｍ^２以下、４００ｇ／ｍ^２以下もしくは２００ｇ／ｍ^２以下の範囲であれば、基材２１が柔軟性を有すると見ることができる。ある態様においては、不織布の坪量を３０ｇ／ｍ^２以上、１００ｇ／ｍ^２以下とすることが好ましい。

本実施形態では、基材２１は突出方向（巻付け方向）に向かって窄む形状を呈するが、基材２１の形状はこれに限定されない。例えば、基材２１は矩形状であってもよいし、基材２１の外縁の少なくとも一部が円弧であってもよい。

基材２１の材料は、固定部材が適用される領域に対する基材２１の柔軟性の観点から適宜選択される。例えば、織布、不織布、プラスチック・フィルム、あるいはこれらの混合により基材２１を作製してもよい。基材２１は外側シート１１および背側サイドパネル１７と同じ材料により作製されてもよく、この場合には基材２１、外側シート１１、および背側サイドパネル１７が一体成形されてもよい。あるいは、エラストマー成形体と伸縮性を有する繊維集合体との積層体により、伸縮性を有する基材２１を作製してもよい。エラストマー成形体と繊維集合体とは接着剤や熱融着などにより接合されてもよいし、編んだり縫ったりする等の物理的方法により接合されてもよい。

エラストマーの例として熱可塑性エラストマーが挙げられる。この熱可塑性エラストマーはハードセグメントとソフトセグメントとからなり、主にハードセグメントが分子拘束の機能を有する。熱可塑性エラストマーは、そのハードセグメントの種類により分類することができる。熱可塑性エラストマーの例として、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＯ）、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。エラストマー成形体は一種類の熱可塑性エラストマーのみから成るものであってもよいし、２種以上の熱可塑性エラストマーの混合物であってもよい。エラストマー成形体は更に、各種の添加剤（タッキファイヤー（粘着性付与剤）、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機充填材、オイル等）を含んでもよい。

繊維集合体は例えば不織布である。繊維集合体の材料について特に制限はなく、従来から知られている種々の繊維材料を使用することができる。繊維集合体の伸縮性、柔らかさ、及び肌触りの良さを得るための材料の例として、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維とポリオレフィン繊維とを混紡した混合繊維、ポリエチレンテレフタレートの芯材をポリエチレンで覆った同心型複合繊維、ポリプロピレンの芯材をポリエチレンで覆った同心型複合繊維などが挙げられる。繊維集合体の製造方法に関しても特に制限はなく、スパンボンド法、スパンレース法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法などのような周知の様々な製造方法を用いることができる。

基材２１の厚さは、固定部材が適用される領域に対する基材２１の柔軟性の観点から適宜選択される。例えば、その厚さの下限は５０μｍ、７０μｍ、または１００μｍでもよく、その厚さの上限は５００μｍ、４００μｍ、または３００μｍでもよい。基材２１の広さも、固定部材が適用される領域に対する基材２１の柔軟性の観点から適宜選択してよい。例えば、基材２１の巻付け方向Ｌにおける最大長は３０ｍｍ以上でもよく、３００ｍｍ以下、または２５０ｍｍ以下でもよい。また、基材２１の幅方向Ｗにおける最大長は１０ｍｍ以上でもよく、２００ｍｍ以下または１５０ｍｍ以下でもよい。

第１面ファスナ３０は、基材２１の内面に、接着、縫い付け、溶着などにより取り付けられる。図１に示されるように、本実施形態では基材２１の先端部が第１面ファスナ３０により覆われず、この先端部は、第１面ファスナ３０がループ材１４に接合された状態でも容易につまむことが可能なつまみ部２１ａとして機能する。もっとも、基材２１の先端まで第１面ファスナ３０が存在してもよい。また、第１面ファスナ３０は、基材２１の内面全体を覆ってもよい。

第１面ファスナ３０の全体形状については、ずれに対する固定部分の安定性、および被固定部材の動きに対する当該固定部分の追従性の観点から適宜選択される。第１面ファスナ３０の全体形状の例として、矩形状、円状、長円状、楕円状、多角形状、またはそれらを組み合わせた形状が挙げられる。

本実施形態において、第１面ファスナ３０は、例えば茸状の複数のフック体を有する。複数のフック体は、例えば約６０〜約１５５０個／ｃｍ^２の密度で形成されてもよいし、約１２５〜約６９０個／ｃｍ^２の密度で形成されてもよいし、約２４８個／ｃｍ^２の密度で形成されてもよい。各フック体の高さは、約３０〜約１２７０μｍでもよいし、約１００〜約５１０μｍでもよいし、約１８０〜約３３０μｍでもよい。

各フック体の茎部の直径は、例えば約７６〜約６３５μｍでもよいし、約１２７〜約３０５μｍでもよい。各フック体の傘部は、例えば円板形状を呈する。茎部の外周面からの傘部の張り出し量は、例えば約１３〜約２５４μｍでもよいし、約２５〜約１２７μｍでもよいし、約１２０μｍでもよい。傘部の厚さは、例えば約１３〜約２５４μｍでもよいし、約２５〜約１２７μｍでもよい。傘部の平面形状は、円形状に限られず、楕円形状や多角形状であってもよい。各フック体を除外した第１面ファスナ３０の厚さ、すなわち各フック体を支持する第１面ファスナ３０のシート部分の厚さは、約２５〜約５１２μｍでもよいし、約６４〜約２５４μｍでもよい。

一方、第２面ファスナ４０の全体形状も、ずれに対する固定部分の安定性、および被固定部材の動きに対する当該固定部分の追従性の観点から適宜選択される。第２面ファスナ４０の全体形状の例として、矩形状、円状、長円状、楕円状、多角形状、またはそれらを組み合わせた形状が挙げられる。

第２面ファスナ４０の設置範囲は任意に定めてよい。本実施形態において、第２面ファスナ４０は背側サイドパネル１７の内面に係合するので、第２面ファスナ４０は、背側サイドパネル１７の領域に収まる程の寸法を有してもよい。この場合には、腹側端部１０ａと背側端部１０ｂとを固定した時に第２面ファスナ４０を背側サイドパネル１７で完全に隠すことができる。あるいは、腹側端部１０ａと背側端部１０ｂとを固定した時に第２面ファスナ４０の一部が背側サイドパネル１７から露出してもよい。

第２面ファスナ４０の具体的な態様を図３〜２０に示す。図３はフックの例を示す。図４は、溝も貫通部も形成されない第２面ファスナ４０の例である。図５〜１８は、溝または貫通部が形成された第２面ファスナ４０の例を示す。より具体的には、図５〜１３は、複数のスリット状の溝または貫通部が形成された第２面ファスナ４０の例を示し、図１４〜１８は、スリット状以外の形状の貫通部（開口部）が形成された第２面ファスナ４０の例を示す。本明細書では、隣り合う溝または貫通部で挟まれた細長いフック材領域をストランドという場合がある。なお、図４以降では、図３に示すフック４２を簡略化して表している。図１９は開口部を形成する手法の一例を示す。図２０は、複数の第２面ファスナ４０を間隔を空けて設ける例を示す。

図４に示すように、スリット状の溝または貫通部も開口部も有しないフックを第２面ファスナ４０として使用することができる。これらの溝、貫通部、および開口部が形成されていない場合、第２面ファスナ４０の厚さは、一般的に、６０〜３８０μｍの範囲で設定される。ずれに対する固定部分の安定性、および被固定部材の動きに対する当該固定部分の追従性の観点から、ある態様においては、下限を９０μｍまたは１１５μｍとすることができ、上限を３５０μｍまたは３２０μｍとすることができる。本明細書では、６０〜３８０μｍという厚さの条件を満たす面ファスナを「薄型面ファスナ（low-profile fastener）」ともいう。剛性が小さい薄型面ファスナを第２面ファスナ４０として用いることで第２面ファスナ４０自体が柔軟に変形するので、溝、貫通部、または開口部を形成しなくても、第２面ファスナ４０が設けられた領域の剛性を低く抑えることができる。

第２面ファスナ４０は、シート状のベース４１と、そのベース４１表面に設けられた多数のフック４２とを備える。図３に示すように、本実施形態では、フック４２はベース４１から延びる茎部４２ａと、その茎部４２ａの先端に形成された傘部４２ｂとを備え、全体として茸状を呈する。なお、フック４２における傘部４２ｂの形状としては、係合力を満足できるものであれば種類を問わないが、例えば、上記した茸状以外にも、鉤状、Ｔ字状、Ｊ字状のものが使用できる。

図４に示す第２面ファスナ４０を用いる場合、図３に示す第２面ファスナ４０の厚さ及び高さは、ずれに対する固定部分の安定性、および被固定部材の動きに対する当該固定部分の追従性の観点から、例えば以下のように設定することができる。

ベース４１の厚さｔの下限は２０μｍ、３０μｍ、または３５μｍでもよく、その厚さｔの上限は８０μｍ、７０μｍ、または６０μｍでもよい。

フック４２の高さｈの下限は４０μｍ、６０μｍ、または８０μｍでもよく、その高さｈの上限は３００μｍ、２８０μｍ、または２６０μｍでもよい。

茎部４２ａの底の最大幅ｗａ及び茎部４２ａの先端の幅ｗｃについては、所望の係合力が得られるのであれば、その幅に、特に制限はない。図３に示すような茸状のフック材を例にとると、茎部４２ａの底の最大幅ｗａの下限は７０μｍまたは１００μｍであってもよく、その最大幅ｗａの上限は２５０μｍ、２００μｍ、または１９０μｍであってもよい。茎部４２ａの先端の幅ｗｃの下限は５０μｍまたは８０μｍであってもよく、その幅ｗｃの上限は２００μｍ、１９５μｍ、または１８５μｍであってもよい。

また、傘部４２ｂの最大幅ｗｂについても、係合力の観点から、適宜その幅について定めることができる。図３に示されるように、傘部４２ｂの最大幅ｗｂは茎部４２ａの底の最大幅ｗａよりも大きいことが好ましく、傘部４２ｂの最大幅ｗｂと茎部４２ａの底の最大幅ｗａとの比の上限は１．０１：１、２：１、または３：１であってもよい。その最大幅ｗｂの下限は７０μｍまたは１００μｍであってもよく、最大幅ｗｂの上限は３５０μｍまたは３４０μｍであってもよい。茎部４２ａの先端からの傘部４２ｂの張出し量ｐの下限は５μｍでも１０μｍでもよく、その張出し量ｐの上限は９０μｍ、８５μｍ、８０μｍ、または７５μｍであってもよい。

上記のベース４１の厚さ及びフック４２の高さに基づくと、第２面ファスナ４０全体の厚さの下限は６０μｍ、９０μｍ、または１１５μｍでもよく、その厚さの上限は３８０μｍ、３５０μｍ、または３２０μｍでもよい。この第２面ファスナ４０全体の厚さは、その第２面ファスナ４０が取り付けられる領域の柔軟性を考慮して設定される。

また、ある態様においては、例えば、第２面ファスナ４０が設けられる領域の厚さに対する第２面ファスナ４０の厚さの比（領域厚さ／面ファスナ厚さ）の下限を０．０２、０．０３、または０．０５とすることができ、その比の上限を７．６、５、または３．２とすることができる。ここで、第２面ファスナ４０が設けられる領域の厚さとは基材の厚さのことであり、本実施形態では、腹側サイドパネル１６の基材の厚さである。

一方、図５〜１８に示すように第２面ファスナ４０に溝、貫通部、または開口部を設けるのであれば、薄型面ファスナを第２面ファスナ４０として用いてもよいし、第１面ファスナ３０と同様に、厚さが３８０μｍを超える面ファスナを用いてもよい。

ここで、本明細書における用語「溝」は、切込みが第２面ファスナ４０におけるフック４２側のベース４１表面に設けられ、かつフック４２とは反対側のベース４１表面に貫通しない状態を示す。本実施形態では、スリット状の溝４３ｂを指すが、その用語が網羅する範囲はこれに限定されない。例えば、「溝」は、線状ではなく二次元（面）状に広がる凹みも含む概念である。

また、本明細書における用語「貫通部」は、第２面ファスナ４０に設けられた孔または開口が、フック４２側のベース４１表面から、フック４２とは反対側のベース４１表面まで貫通した状態を示す。本実施形態では、スリット状の貫通部４３ａ、及びスリット状以外の形状の貫通部（すなわち、開口部４４）を指すが、その用語が網羅する範囲は限定されない。例えば、「貫通部」は、第２面ファスナ４０に設けられた点状の孔、直線以外の波型、山形、凹凸型の貫通したスリットも含む概念である。

図６（ｂ）に示すように、スリット状の溝４３ｂは第２面ファスナ４０の一方の面、すなわちフック４２側のベース４１表面にのみ形成され、フック４２側の反対側の面までは到達しない。これに対して、図６（ａ）に示すようなスリット状の貫通部４３ａ、図１４〜１８に示すような開口部４４は、面ファスナの一方の面から他方の面にかけて開口が形成される。また、図６（ｃ）、図１３（ｃ）、図１５に示すように、第２面ファスナ４０において、溝と貫通部の両方が存在していてもよい。

溝及び貫通部４３は、従来から用いられている任意の手法により形成することができる。例えば、スリット状の溝４３ｂや貫通部４３ａは、刃やレーザ切断などにより、それぞれ、フック４２側のベース４１表面からベース４１の一定の厚さまで、及びフック４２側のベース４１表面からフック４２側の反対側の面に亘って形成される。一方、貫通部の他の例である開口部４４は、例えば、スリット状の貫通部４３ａが形成された第２面ファスナ４０をスリット列と直交する方向に広げることで形成することができる。また、開口部４４は、第２面ファスナ４０を所望の形にくり抜くことで、第２面ファスナ４０を広げることなく形成してもよい。なお、スリット状の貫通部４３ａを形成し、基材に第２面ファスナ４０を貼り付けた後に当該基材と一緒にスリット状の貫通部４３ａを拡げることで、開口部４４を形成してもよい。第２面ファスナ４０を広げる手段としては、幅出し機（ｔｅｎｔｅｒ）やローラなどの機械や、手作業などが挙げられる。開口部を形成する際の第２面ファスナ４０の伸長率は限定されず、その上限は例えば５０％、１００％、１５０％、２００％、３００％、４００％または６００％であってもよい。ここで、伸長率は、第２面ファスナ４０における、貫通部を拡げることで開口部を形成する方向（図１９における伸長方向）の元々の長さ（初期長さ）に対して、どの程度伸長させたか、を示したものである。すなわち、伸長率５０％とは、第２面ファスナ４０の長さが初期長さに対して１．５倍になっていることを、伸長率１００％とは、第２面ファスナ４０の長さが初期長さに対して２倍になっていることを、伸長率２００％とは、第２面ファスナ４０の長さが初期長さに対して３倍になっていることを、それぞれ表わす。

全体の厚さが上記のように設定された薄型面ファスナを第２面ファスナ４０として用いた場合には、第２面ファスナ４０の剛性が小さくなり、第２面ファスナ４０自体が柔軟に変形するようになる。また、第２面ファスナ４０に溝または貫通部４３を形成することによって第２面ファスナ４０の剛性を下げることができるので、第２面ファスナ４０自体が柔軟に変形するようになる。したがって、柔軟性を有する領域にその第２面ファスナ４０を取り付けたとしても、当該領域の全体として柔軟性を維持することができる。その結果、固定部分の柔軟性が上がり、その固定部分が被固定部材の動きなどに追従できるようになるので、腹側端部１０ａと背側端部１０ｂとを固定した場合に固定部材２０がループ材１４または腹側端部１０ａから剥がれにくくなる。また、薄型面ファスナにより形成された第２面ファスナ４０、あるいは溝または貫通部４３を有する第２面ファスナ４０は柔らかいので、ごわつかず、第２面ファスナ４０を吸収性物品や衣類等に取り付けた場合には着用者の肌に与える刺激を低減させることができる。よって、このような第２面ファスナ４０を使用することで、吸収性物品の使い勝手をより高めることが可能になる。

図５の例では、スリット状の溝または貫通部列Ｒｓ（以下、スリット列Ｒｓという場合もある）は、第２面ファスナ４０の幅方向Ｗに沿った各フック列Ｒｈの間に、隣り合うスリット列Ｒｓで各フック列Ｒｈを挟み込むように形成されている。したがって、この例では、フック列Ｒｈから構成されるストランド４５の幅方向（第２面ファスナ４０における巻付け方向Ｌ）におけるフック４２の個数は１であり、言い換えれば、各ストランド４５の幅はフック４２の１個分（正確には、フック４２の１個分及びフック４２から続く一定長さのベース４１部分）に相当する。各スリット列Ｒｓにおいて、複数のスリット状の溝または貫通部４３が一定の間隔をおいて形成されており、図５〜１１、図１４〜１８における実施形態では、その間隔に相当する領域（ベース４１がそのままの状態で残っている領域）を中継部４６という。図５の例では、中継部４６が千鳥状に並んでいる。

図６に示すように、スリット状の溝または貫通部４３に関し、図６（ａ）の例ではすべてのスリットがベース４１を貫通しており、スリット状の貫通部４３ａが形成されている。また、図６（ｂ）の例ではすべてのスリットが溝であり、フック４２が存在するベース４１表面から一定深さを有する、スリット状の溝４３ｂが形成されている。更に、図６（ｃ）の例のように、ベース４１を貫通したスリット状の貫通部４３ａと溝状のスリット状の溝４３ｂとが交互に配されていてもよい。スリット４３が溝である場合には、ベース４１の厚さに対するスリット４３の深さの比の下限は０．４でもよく、その比の上限は０．９でもよい。

ストランド４５の幅は限定されない。例えば、図７に示すようにストランド４５の幅がフック４２の２個分であってもよいし、３個以上のフック４２に相当してもよい。ストランド４５の最大幅はフック４２の１０個分であってもよい。

第２面ファスナ４０に設けられるスリット列Ｒｓの間隔も限定されない。例えば、スリット列Ｒｓと直交する方向において、１ｃｍ当たりのスリット列Ｒｓの個数の下限は１でもよく、その個数の上限は１０でもよい。

スリット状の溝または貫通部４３が延びる方向も限定されない。例えば、図８に示すように各スリット列Ｒｓが巻付け方向Ｌに沿って延びていてもよい。あるいは、各スリット列Ｒｓは巻付け方向Ｌまたは幅方向Ｗに対して任意の角度θ（０°＜θ＜９０°）で傾斜していてもよい。

ストランド４５の幅は不均一でもよい。例えば図９に示すように、一方の端部に向かってストランド４５の幅が次第に狭くなっていくようにスリット４３を形成してもよい。あるいは図１０に示すように、一つのフック列Ｒｈのみを含むストランド４５と、二つのフック列Ｒｈを含むストランド４５とが混在していてもよい。

中継部４６の配置は、図５に示すような千鳥状に限定されない。例えば図１１に示すように、隣り合う任意の中継部４６が、スリット列Ｒｓと直交する方向（図１１では方向Ｌ）に沿って並んでいてもよい。

図１２に示すように、一本のスリット状の溝または貫通部４３が第２面ファスナ４０の一辺からその対辺にかけて途切れることなく延びていてもよい。この場合には中継部４６は第２面ファスナ４０上に存在しないことになる。この場合、スリット列Ｒｓの態様としては、図１３（ａ）に示すように、すべてのスリットがベース４１を貫通し、スリット状の貫通部４３ａが形成されてもよいし、図１３（ｂ）のように、すべてのスリットが溝であり、フック４２が存在するベース４１表面から一定深さを有する、スリット状の溝４３ｂが形成されてもよい。更に、図１３（ｃ）の例のように、ベース４１を貫通したスリット状の貫通部４３ａと溝状のスリット状の溝４３ｂとが交互に配されてもよい。スリット４３が溝である場合には、ベース４１の厚さに対するスリット４３の深さの比の下限は０．４でもよく、その比の上限は０．９でもよい。

スリット状の溝または貫通部４３の長さは任意に設定してよい。例えば、各スリット状の溝または貫通部４３の長さの下限は８ｍｍ、１０ｍｍまたは１２ｍｍであってもよい。あるいは、スリット列Ｒｓに沿った第２面ファスナ４０の長さに対する、該スリット列Ｒｓ内のスリット状の溝または貫通部４３の長さの合計の比（スリット状の溝または貫通部長さの合計／スリット列Ｒｓの長さ）で、スリット状の溝または貫通部４３を規定することができる。例えば、その比は４０％以上または５０％以上とすることができる。

中継部４６の長さも任意に設定してよい。例えば、中継部４６の長さの下限は０．２５ｍｍ、０．５ｍｍ、または０．７５ｍｍでもよく、その長さの上限は１０ｍｍ、１５ｍｍ、または２０ｍｍでもよい。

図１４は、開口部４４が設けられた第２面ファスナ４０を示している。図１４に示す開口部４４は、第２面ファスナ４０の幅方向Ｗに沿って延びるスリットを巻付け方向Ｌに広げることで形成されたものである。この例では、各ストランド４５の幅はフック４２の１個分に相当し、開口部４４及び中継部４６はそれぞれ千鳥状に並んでいる。

図１４の例では開口部４４が略菱形であるが、開口部の形状はこれに限定されない。例えば、開口部は六角形であってもよく、そのような開口部が千鳥状に並んだ場合には第２面ファスナ４０はハニカム構造であるといえる。あるいは、開口部は円形、楕円形、矩形、星形、波形、あるいは他の多角形であってもよい。

図１５に示すように、複数のスリットの一部のみを広げることで、開口部４４及びスリット状の溝または貫通部４３の双方が存在する第２面ファスナ４０を用意してもよい。この例では開口部４４が第２面ファスナ４０の中央部に設けられ、スリット状の溝または貫通部４３が両端付近に設けられているが、スリット状の溝または貫通部４３及び開口部４４の位置はこれに限定されない。例えば、スリット状の溝または貫通部４３が中央部に設けられ、開口部４４が両端付近に設けられてもよい。

図１６に示す開口部４４は、方向Ｌに沿って延びるスリットを広げることで形成されたものである。このように、開口部の基となるスリット状の貫通部４３の延びる方向は限定されない。

貫通部として開口部４４を採用した場合でも、スリット状の溝または貫通部４３の場合と同様に、ストランド４５の幅は限定されない。例えば、各ストランド４５の幅は２個分のフック４２に相当するものであってもよいし、その幅の最大値は１０個分のフック４２に相当するものであってもよい。ストランド４５の幅は均一でなくてもよく、例えば図１７のように、一方の端部に向かってストランド４５の幅が次第に狭くなっていくように開口部４４を形成してもよい。

開口部４４の大きさは均一である必要なく、例えば図１８や上記図１７に示すように開口部４４の大きさが不均一であってもよい。また、図１８の例のように開口部４４の形状が様々であってもよい。

開口部４４が形成された第２面ファスナ４０に関しても、中継部４６は千鳥状に配されていなくてもよい。例えば、図１１の例と同様に中継部４６が格子状に並んでいてもよい。

開口部４４が形成された第２面ファスナ４０を接着剤または粘着剤により基材に貼り付けた際には、その接着剤または粘着剤が開口部４４から露出してもよい。

基材に取り付けられる、溝または貫通部が形成されたフック材におけるフック４２の密度について説明する。かかるフック密度は、「フック材におけるフック総本数／フック材におけるベース４１及び開口部４４の総面積」から求められる。なお、複数の第２面ファスナ４０を基材に間隔をあけて設置した場合には、複数の第２面ファスナ４０間に存在する隙間面積は前記総面積に含めない。基材２１上におけるフック４２の密度の下限は、例えば約３１個／ｃｍ^２、約３９個／ｃｍ^２とすることができる。また、その密度の上限は、例えば約１５５０個／ｃｍ^２、約１２４０個／ｃｍ^２であってもよい。例えば、その密度は約４６５個／ｃｍ^２でもよい。

スリット状の貫通部４３が形成された第２面ファスナ４０を広げることで開口部４４を形成し、その形成された開口部４４の形状を維持したまま第２面ファスナ４０を基材に取り付ける場合において、広げる前の第２面ファスナ４０におけるフック４２の初期密度を以下のように設定してもよい。すなわち、その初期密度の下限は例えば５０個／ｃｍ^２、７０個／ｃｍ^２、または１００個／ｃｍ^２であってもよく、その初期密度の上限は例えば１５５０個／ｃｍ^２でもよい。なお、フック４２の初期密度は、「フック材におけるフック総本数／拡げる前のフック材におけるベース４１の総面積」から求められる。なお、複数の第２面ファスナ４０を基材に間隔をあけて設置した場合には、その第２面ファスナ４０のそれぞれを上記初期密度の範囲とすることができる。

また、第２面ファスナ４０が基材に取り付けられた際の、第２面ファスナ４０全体の面積に対する傘部４２ｂ表面の面積の合計値の割合（傘部の相対密度）の下限は、例えば５％でも１０％でもよい。その割合の上限は例えば２４％、３０％、または４０％でもよい。なお、複数の第２面ファスナ４０を基材に設置した場合には、その第２面ファスナ４０のそれぞれを上記割合の範囲とすることができる。

図２０に示すように基材（腹側サイドパネル１６）上に複数の第２面ファスナ４０を間隔を空けて設ける場合にも、薄型面ファスナを第２面ファスナ４０として用いてもよいし、第１面ファスナ３０と同様に、厚さが３８０μｍを超える面ファスナを用いてもよい。この場合には、その間隔が、上述したスリット状の溝または貫通部、あるいは開口部に相当する役割を果たすので、それぞれの第２面ファスナ４０にスリット状の溝または貫通部、あるいは開口部を形成しなくてもよい。もちろん、それぞれのまたは一部の第２面ファスナ４０にスリット状の溝または貫通部、あるいは開口部が形成されてもよい。腹側サイドパネル１６上に複数の第２面ファスナ４０を設ける場合には、それぞれの第２面ファスナ４０の形状は同一であってもよいし異なってもよい。

第２面ファスナ４０は、例えば熱可塑性樹脂によって形成される。まず、多数の貫通孔を有する型板またはダイスを用いた押出成形により、複数のフックの原形をなす複数の柱状体が表面に並んだシート材を形成する。次に、各柱状体の先端部を加熱して、例えば、円板状に潰すことで傘部４２ｂを有する各フック４２を形成し、第２面ファスナ４０を得る。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のポリアミド、ポリ（スチレン−アクリロニトリル）、ポリ（アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン）、可塑化塩化ビニル、ポリエステル等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の１種のみを用いてもよいし、２種以上の熱可塑性樹脂を混合したポリマーブレンドを用いてもよい。また、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマーを用いてもよい。

図３〜２０を用いて説明した第２面ファスナ４０を基材に取り付けることで、第２面ファスナ４０を備える固定部材の曲げ剛性を小さくすることができる。上述した通り、第２面ファスナ４０を備える固定部材における、基材と該基材に積層された第２面ファスナ４０との積層体部分の曲げ剛性Ｓａと、その基材とＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープ（比較用テープ）との積層体である比較用部材の曲げ剛性Ｓｂとの比を求めることで、第２面ファスナ４０の柔軟性を示す。第２面ファスナ４０を含む固定部材の曲げ剛性と比較用部材の曲げ剛性とを比較する場合において、基材の条件は同じにする。以下では、曲げ剛性の測定に用いる固定部材の積層体部分と、比較用部材となる積層体とをまとめて試験片ともいう。固定部材の積層体部分から得られる試験片では、基材の一方の面の全体を第２面ファスナ４０が覆い、比較用部材となる積層体では基材の一方の面の全体を比較用テープが覆う。

一例として、図１に示すおむつ１から、曲げ剛性を測定するための試験片を得る方法を説明する。まず、基材と該基材に積層された第２面ファスナ４０とを含む積層体部分（固定部材における基材と第２面ファスナ４０との積層体）は、腹側サイドパネル１６のうち第２面ファスナ４０が積層された部分を切り取ることで得られる。一方、比較用部材は、腹側サイドパネル１６のうち第２面ファスナ４０が積層されていない部分から基材を切り出し、その基材に比較用テープを積層し積層体とすることで得られる。比較用テープは、基材の外面および内面のうち、第２面ファスナ４０が積層された側と同じ面に貼られる。試験片の寸法は、測定装置の種類または取得可能な試験片の寸法を考慮して決めればよい。試験片は、基材の一方の面の全体を第２面ファスナ４０または比較用テープが覆う態様で用意される。

次に、曲げ剛性の測定方法を説明する。本明細書における用語「曲げ剛性」は、ＴＡＰＰＩＴ５４３ ｏｍ−１１に規定された方法に従って、ガーレ式試験機を用いた片持ちばりの曲げ試験によって測定される曲げ剛性を意味する。この方法によって測定される曲げ剛性は、当業者によって「ガーレ剛性」（Gurley Stiffness）と称される場合がある。曲げ試験は、温度２３℃、相対湿度５０％の環境下で行われる。

図２１は、曲げ剛性（ガーレ剛性）を測定するための曲げ試験の方法を示す図である。図２１に示すように、試験片（固定部材の積層体部分、または比較用部材）の一方の端部が、つかみ具２１０によって挟持される。つかみ具２１０が回転軸２２０のまわりを回転することで、試験片３００は回転軸２２０のまわりの周方向Ａに沿って移動する。板状部材２２５は、回転軸（支点）２２０のまわりを回転自在に設けられた振子の軸２２２の一方の先端に設けられており、軸２２２には、おもり２２８が取り付けられている。おもり２２８の質量及び取り付けの位置は、試験片３００の曲げ剛性の程度等に応じて適宜選択される。

試験片３００が周方向Ａ（時計回り）に沿って一定の速度で移動したときに、試験片３００の自由端側の端部が板状部材２２５に当たることで、試験片３００が曲げられる。試験片３００が移動を続けると、板状部材２２５は試験片３００に押されてある程度回転したところで、試験片３００から解放される。この過程において板状部材２２５が受ける最大荷重に基づいて、曲げ剛性が求められる。その後、試験片３００を反対方向（反時計回り）に移動させることで、試験片３００が反対側に向けて曲げられたときの曲げ剛性を測定することができる。試験片の移動速度は、２回／ｍｉｎに設定される。曲げ剛性は、試験片３００が周方向を往復して測定される２個の測定値の平均値として求められる。

図２２は、この曲げ試験のための試験片３００の固定位置を示す。試験片３００はストリップ状である。試験片３００が挟持される表裏の向きは、任意である。つかみ具２１０から回転軸２２０へと向かう方向Ｌ´に沿った試験片３００全体の長さは、例えば２５．４±０．４ｍｍ（０．２５±１／６４インチ）に設定される。試験片３００のうち、つかみ具２１０が挟持する部分のＬ‘方向の長さは６．３５ｍｍに設定され、自由端からＬ１２の長さの部分が、板状部材２２５に当てられる。長さＬ１２は、６．３５ｍｍ（０．２５インチ）に設定される。一方、方向Ｌ´に直交する方向Ｗ´における長さ（幅）Ｗ１１は、２５.４±０．４ｍｍ（１±１／６４インチ）又は１２．７±０．４ｍｍ（０．５±１／６４インチ）である。なお、方向Ｌ´と巻付け方向Ｌとが一致するとは限らず、方向Ｗ´と幅方向Ｗとが一致するとも限らない。

上述した通り、基材と該基材に積層された第２面ファスナ４０との積層体部分の曲げ剛性Ｓａと、比較用部材の曲げ剛性Ｓｂとの間には、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する。あるいは、Ｓａ／Ｓｂは１．７以下でもよいし、１．６以下でもよいし、１．５以下でもよいし、１．１以下でもよい。ある態様においては、Ｓａ／Ｓｂは、１．０以下でもよいし、０．９以下でもよいし、０．８以下でもよいし、０．７以下でもよい。また、別の態様においては、Ｓａ／Ｓｂは、０．６以下、あるいは０．５以下とすることもできる。具体的には、図４に示すように第２面ファスナ４０に溝も貫通部も開口部も形成されない場合には、Ｓａ／Ｓｂは１．７以下でもよいし、１．６以下でもよいし、１．５以下でもよいし、１．１以下でもよい。第２面ファスナ４０に溝、貫通部、または開口部が形成される場合には、Ｓａ／Ｓｂは１．０以下でもよいし、０．９以下でもよいし、０．８以下でもよいし、０．７以下でもよい。薄型面ファスナを用いた第２面ファスナ４０に溝、貫通部、または開口部が形成される場合には、Ｓａ／Ｓｂは０．６以下でもよいし、０．５以下でもよい。

以上、第２面ファスナ４０について説明した。一方、第１面ファスナ３０については、上述した通り、任意の厚さの面ファスナを用いてよい。あるいは、図５〜２０に示すものと同様の面ファスナを第１面ファスナ３０として用いてもよい。すなわち、第１面ファスナ３０は第２面ファスナ４０と同様の特徴を有してもよい。

第２面ファスナ４０は単独で提供されてもよいし、任意の基材に取り付けられた固定部材の態様で提供することも可能である。本明細書では、任意の基材に第２面ファスナ４０が取り付けられた固定部材のうち、特に、単独で取引され得る物品を「固定用部品」という。固定用部品の一例を図２３に示す。この固定用部品５０は、帯状のループ材１４と、そのループ材１４の長手方向の両端に取り付けられた二つの第２面ファスナ４０とを備える。すなわち、固定用部品５０ではループ材１４を基材として用いる。固定用部品に用いる基材は、上記の基材２１と同様に、織布、不織布、プラスチック・フィルム、あるいはこれらの混合であってもよい。当然ながら、固定用部品に用いる第２面ファスナ４０の構造も限定されず、図４〜２０に示すような構造が採用されてもよい。あるいは、第２面ファスナ４０は第１面ファスナ３０と共に固定部材に設けられ、固定用部品として提供されてもよい。

以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。

（実施例１）
帯状のスパンボンド不織布（Toray advanced materials Korea, Inc.製。長さ：１００ｍｍ、幅：２５ｍｍ、坪量：３０ｇ／ｍ^２）を基材として用意するとともに、製品名が「ＫＪ−７８９１」であるフック材（坪量：１００ｇ／ｍ^２。ベース厚み：８５μｍ。フックの初期密度：１６００ピン／平方インチ（なお、「平方インチ（ｉｎｃｈ^２）」は２５．４ｍｍ四方に相当する）。楕円形の傘部を有するフックの当該楕円の長軸方向に沿った傘部の長さ（図３における最大幅ｗｂに相当）：４２０μｍ）を用意した。そして、これらの基材およびフック材を用いてサンプルを生成した。このサンプルは６個用意し、以下ではこれらのサンプルを１〜６の番号を用いて区別する。

各サンプルの詳細は以下の通りである。サンプル１ではスリット状の貫通部を形成することなく、用意したフック材をそのまま基材に固定した。サンプル２ではスリット状の貫通部が形成されたフック材を、その貫通部を広げることなくそのまま基材に固定した。サンプル３〜６では、図１９に示すように、スリット列と直交する方向（図１９における伸長方向）にフック材を所定の割合だけ広げて開口部を設け、その開口部を維持したままフック材を基材に固定した。サンプル３〜６におけるフック材の伸長率はそれぞれ、５％、１０％、５０％、および８０％とした。言い換えれば、サンプル３〜６におけるフック材を基材に固定する際には、フック材の長さをそれぞれ、１．０５倍、１．１倍、１．５倍、および１．８倍に伸ばした。サンプル２〜６に関しては、スリットが基材の長手方向に沿って延びるものと、幅方向に沿って延びるものとを用意した。

このように用意したサンプル１〜６の柔軟性を東洋精機社製のロードセルによりループ・スティフネスを測定することで確認した。この測定では、サンプルにより形成されるループの内側にフック材が位置するようにサンプルを曲げることでループを作った。ループの周長は７０ｍｍに統一した。ロードセルにループを押し付ける際の該ループの移動速度は３．５ｃｍ／ｍｉｎとした。測定結果を表１に示す。この表におけるループ・スティフネスは、測定中の最大値である。「スリットに並行する方向」は、スリットがループの周方向に沿って延びる場合に対応し、「スリットに直交する方向」は、スリットが当該周方向と直交する方向に沿って延びる場合に対応する。

（実施例２）
上記の第２面ファスナの柔軟性を、曲げ剛性を測定することにより確認した。試験片の基材として、市販のおむつのサイドパネル、またはポリプロピレン繊維とポリプロピレンフィルムによって構成されるランディングゾーン（ｌａｎｄｉｎｇ ｚｏｎｅ）を用いた。基材の寸法は１インチ（２５．４ｍｍ）四方に統一した。なお、ランディングゾーンとは、上記市販のおむつのファスニングタブに設けられた面ファスナ（上記実施形態における第１面ファスナに相当）と係合する部分のことである。

実施例２−１は次の通りである。二つの基材はランディングゾーンから切り出すことで得た。また、製品名が「ＫＪ−７８９１」であるフック材（坪量：１００ｇ／ｍ^２。ベース厚み：８５μｍ。フックの初期密度：１６００ピン／平方インチ。楕円形の傘部を有するフックの当該楕円の長軸方向に沿った傘部の長さ（図３における最大幅ｗｂに相当）：４２０μｍ）を第２面ファスナとして用意した。このフック材にはスリット状の貫通部を設け、スリット列と直交する方向（図１９における伸長方向）にフック材を７５％だけ広げて開口部を設けた。その開口部を維持したまま、２５μｍの粘着剤層によりフック材を基材に取り付けることで、基材と第２面ファスナとの積層体である試験片（固定部材）を得た。また、寸法が基材と同じ比較用テープ（ＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープ）を用意し、その比較用テープをもう一方の基材に貼り付けることで積層体を作製し、比較用部材としての試験片とした。なお、比較用テープにはスリットを形成しなかった。

実施例２−２は次の通りである。二つの基材はサイドパネルから切り出すことで得た。また、実施例２−１で用いたものと同様のフック材を第２面ファスナとして用意した。このフック材にはスリット状の貫通部を設け、スリット列と直交する方向（図１９における伸長方向）にフック材を７５％だけ広げて開口部を設けた。その開口部を維持したまま，２５μｍの粘着剤層によりフック材を基材に取り付けることで、基材と第２面ファスナとの積層体である試験片（固定部材）を得た。また、寸法が基材と同じ上記の比較用テープを用意し、その比較用テープを基材に貼り付けることで積層体を作製し、比較用部材としての試験片とした。なお、比較用テープにはスリットを形成しなかった。

実施例２−３は次の通りである。二つの基材はランディングゾーンから切り出すことで得た。また、フック材（坪量：６５ｇ／ｍ^２。ベース厚み：６５μｍ。フックの初期密度：１６００ピン／平方インチ。楕円形の傘部を有するフックの当該楕円の長軸方向に沿った傘部の長さ（図３における最大幅ｗｂに相当）：３５０μｍ）を第２面ファスナとして用意した。このフック材にはスリット状の貫通部を設けなかった。そして、このフック材を基材に溶融結合により取り付けることで、基材と第２面ファスナとの積層体である試験片（固定部材）を得た。比較用部材としての試験片は実施例２−１と同様に得た。

実施例２−４は次の通りである。二つの基材はサイドパネルから切り出すことで得た。また、実施例２−３で用いたものと同様のフック材を第２面ファスナとして用意した。このフック材にはスリット状の貫通部を設けなかった。そして、このフック材を基材に溶融結合により取り付けることで、基材と第２面ファスナとの積層体である試験片（固定部材）を得た。比較用部材としての試験片は実施例２−２と同様に得た。

比較例２−１は次の通りである。二つの基材はランディングゾーンから切り出すことで得た。また、実施例２−１で用いたものと同様の同じフック材を第２面ファスナとして用意した。ただし、このフック材にはスリット状の貫通部を設けなかった。そして、このフック材を基材に溶融結合により取り付けることで、基材と第２面ファスナとの積層体である試験片（固定部材）を得た。比較用部材としての試験片は実施例２−１と同様に得た。

比較例２−２は次の通りである。まず、二つの基材はサイドパネルから切り出すことで得た。また、実施例２−１で用いたものと同様のフック材を第２面ファスナとして用意した。ただし、このフック材にはスリット状の貫通部を設けなかった。そして、このフック材を基材に溶融結合により取り付けることで、基材と第２面ファスナとの積層体である試験片（固定部材）を得た。比較用部材としての試験片は実施例２−２と同様に得た。

それぞれの固定部材の曲げ剛性を、ＴＡＰＰＩＴ５４３ ｏｍ−１１に規定された方法に従う片持ちばりの曲げ試験（すなわち、図２１，２２に示す方法）により測定した。ガーレ式試験機として、Gurley Precision Instruments製の「Gurley Stiffness tester 4171E」を用いた。試験片の一端をつかみ具で挟持することで試験片を固定し、つかみ具から出ている部分の試験片の長さを１９．０５ｍｍ（０．７５インチ）に設定した。また、試験片の自由端から６．３５ｍｍ（０．２５インチ）の範囲が板状部材に当たるように調整を行った。実施例２−１，２−２において第２面ファスナを備える試験片を固定する際には、つかみ具から回転軸へと向かう方向（図２２における方向Ｌ´）に沿ってスリットが延びるように、その試験片を挟持した。試験片を時計回り方向および反時計回り方向に往復させて両方向での曲げ剛性の平均値を求めることで１回の測定を行い、この測定を５回繰り返して平均値を求めることで、各試験片の曲げ剛性を得た。実施例２−１〜２−４および比較例２−１，２−２のすべてにおいて、第２面ファスナを備える試験片（固定部材）の曲げ剛性をＳａとし、比較用テープを備える試験片（比較用部材）の曲げ剛性をＳｂとして、Ｓａ／Ｓｂの値を計算した。測定結果を表２に示す。

以上説明したように、本発明の一側面に係るファスニングシステムは、第１固定部材を含む第１領域と第２固定部材を含む第２領域とを固定するファスニングシステムであって、第１固定部材に設けられた第１面ファスナと、第１固定部材または第２固定部材に設けられた第２面ファスナとを備え、第１固定部材および第２固定部材のうち、第２面ファスナが設けられている固定部材は、該第２面ファスナと該第２面ファスナが積層された基材とを有し、第２面ファスナと基材との積層体部分の曲げ剛性をＳａとし、第２面ファスナが積層されていない基材とＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープとの積層体である比較用部材の曲げ剛性をＳｂとした場合に、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する。

このような側面によれば、上記のような第２面ファスナが基材に設けられた固定部材は、柔軟性を有するため、二つの領域を固定した際に、ファスニングシステムによる固定が被固定部材の動きにより生じる曲げやねじりなどに応じて柔軟に変形するようになる。したがって、ずれに対する安定性を高めるために二つの面ファスナを用いたとしても、被固定部材の動きに対する固定部分の追従性を確実に確保することが可能となる。また、吸収性物品や衣類などにファスニングシステムを採用した場合には、かかる吸収性物品や衣類の着用者に対する肌への刺激を抑えることができる。

別の側面に係るファスニングシステムでは、第２面ファスナの厚さが６０〜３８０μｍであってもよい。第２面ファスナの厚さをこの範囲に設定することで（すなわち、薄型面ファスナを第２面ファスナとして用いることで）、第２面ファスナを基材に積層して固定部材とした場合、柔軟性を有する固定部材を得ることができる。したがって、二つの領域を固定した際に、ファスニングシステムによる固定が被固定部材の動きにより生じる曲げやねじりなどに応じて柔軟に変形する。

別の側面に係るファスニングシステムでは、第２面ファスナに溝、スリット状の貫通部、または開口部が形成されてもよい。第２面ファスナに溝、貫通部、または開口部を形成することで、第２面ファスナを基材に積層して固定部材とした場合、柔軟性を有する固定部材を得ることができる。したがって、二つの領域を固定した際に、ファスニングシステムによる固定が被固定部材の動きにより生じる曲げやねじりなどに応じて柔軟に変形する。

別の側面に係るファスニングシステムでは、第１領域と第２領域とが固定されたときに、第１面ファスナよりも第２面ファスナの方が、第１固定部材の自由端部から離れた場所に位置してもよい。

本発明の一側面に係る吸収性物品は、上記のいずれかの側面に係るファスニングシステムを備える。

以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。

一つの固定部材上に第１面ファスナおよび第２面ファスナの双方が設けられてもよい。例えば、第１面ファスナおよび第２面ファスナの双方が背側の内面、背側の外面、腹側の内面、あるいは腹側の外面に設けられてもよい。このような変形例の一つが、図２４に示すおむつ（吸収性物品）２である。このおむつ２は、上記実施形態と同様の本体部１０と、腹側端部１０ａと背側端部１０ｂとを着用者の腰部の左右で着脱自在に連結する一対のサイドパネル６０とを備える。おむつ２では、サイドパネルは背側端部１０ｂにのみ取り付けられる。サイドパネル６０は、基材６１と、基材６１の内面に設けられたファスニングシステム１００（第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０）とを備える。基材６１の材料は上記実施形態における基材２１と同様に決定することができる。サイドパネル６０の先端部は、第１面ファスナ３０がループ材１４に接合された状態でも容易につまむことが可能なつまみ部６１ａとして機能する。もっとも、基材６１の先端まで第１面ファスナ３０が存在してもよい。

したがって、おむつ２では、サイドパネル６０が第１固定部材であり、背側端部１０ｂが第１領域であり、腹側端部１０ａが第２固定部材および第２領域である。このように一つの固定部材上に第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０の双方が設けられる場合でも、二つの領域（図２４では腹側端部１０ａおよび背側端部１０ｂ）が固定された状態において、第１面ファスナ３０より第２面ファスナ４０の方が、第１面ファスナ３０が設けられた固定部材（図２４の例ではサイドパネル６０）の自由端部から離れた場所に位置する。ここで、サイドパネル６０の自由端部とは、巻付け方向Ｌにおける、背側端部１０ｂとは反対側の端部である。

上記実施形態では第１面ファスナ３０が背側の内面（着用者側の面）に設けられ、第２面ファスナ４０が腹側の外面（内面の反対側）に設けられるが、第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０の位置関係はこれに限定されない。上記のおむつ１，２のような態様も含む様々な配置のパターン１〜８を図２５に示す。なお、図２５では、おむつの向きを明確にするために、腹側端部１０ａおよび背側端部１０ｂを示している。

パターン１〜４では、第１領域２０１に第１面ファスナ３０が存在し、第２領域２０２に第２面ファスナ４０が存在する。それぞれの面ファスナの配置は以下の通りである。
・パターン１では、第１面ファスナ３０が背側の内面に位置し、第２面ファスナ４０が腹側の外面に位置する。
・パターン２では、第１面ファスナ３０が背側の外面に位置し、第２面ファスナ４０が腹側の内面に位置する。
・パターン３では、第１面ファスナ３０が腹側の内面に位置し、第２面ファスナ４０が背側の外面に位置する。
・パターン４では、第１面ファスナ３０が腹側の外面に位置し、第２面ファスナ４０が背側の内面に位置する。

パターン５〜８では、第１領域２０１に第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０が存在する。それぞれの面ファスナの配置は以下の通りである。
・パターン５では、第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０が背側の内面に位置する。
・パターン６では、第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０が背側の外面に位置する。
・パターン７では、第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０が腹側の内面に位置する。
・パターン８では、第１面ファスナ３０および第２面ファスナ４０が腹側の外面に位置する。

ファスニングシステムにおいて、「第１領域と第２領域とが固定されたときに、第１面ファスナよりも第２面ファスナの方が、第１固定部材の自由端部から離れた場所に位置する」ことは必須ではない。上記のおむつ１，２のような態様も含む様々な配置のパターンＡ〜Ｄを図２６に示す。なお、図２６でも、おむつの向きを明確にするために、腹側端部１０ａおよび背側端部１０ｂを示している。

パターンＡ〜Ｄのいずれにおいても、第１面ファスナ３０を含む第１領域２０１は背側に位置し、第２面ファスナ４０を含む第２領域２０２は腹側に位置するものとする。また、第１領域２０１および第２領域２０２はサイドパネルであるとする。

パターンＡでは、それぞれの面ファスナが巻付け方向におけるサイドパネルの自由端部に位置している。第１面ファスナ３０は背側の内面に位置し、第２面ファスナ４０は腹側の外面に位置する。このパターンＡでは、第１領域２０１および第２領域２０２を重ね合わせると、第１面ファスナ３０よりも第２面ファスナ４０の方が、第１領域（第１固定部材）２０１の自由端部２０１ａから離れた場所に位置する。

パターンＢでは、それぞれの面ファスナが巻付け方向におけるサイドパネルの自由端部に位置している。第１面ファスナ３０は背側の外面に位置し、第２面ファスナ４０は腹側の内面に位置する。このパターンＢでは、第１領域２０１および第２領域２０２を重ね合わせると、第１面ファスナ３０よりも第２面ファスナ４０の方が、第１領域（第１固定部材）２０１の自由端部２０１ａから離れた場所に位置する。

パターンＣでは、それぞれの面ファスナが巻付け方向におけるサイドパネルの根元側に位置している。第１面ファスナ３０は背側の内面に位置し、第２面ファスナ４０は腹側の外面に位置する。このパターンＣでは、第１領域２０１および第２領域２０２を重ね合わせると、第２面ファスナ４０よりも第１面ファスナ３０の方が、第１領域（第１固定部材）２０１の自由端部２０１ａから離れた場所に位置する。

パターンＤでは、それぞれの面ファスナが巻付け方向におけるサイドパネルの根元側に位置している。第１面ファスナ３０は背側の外面に位置し、第２面ファスナ４０は腹側の内面に位置する。このパターンＤでは、第１領域２０１および第２領域２０２を重ね合わせると、第２面ファスナ４０よりも第１面ファスナ３０の方が、第１領域（第１固定部材）２０１の自由端部２０１ａから離れた場所に位置する。

上述した通り、第１面ファスナおよび第２面ファスナの少なくとも一方はループ材であり得る。この場合には、ベース上に形成されるループ体（係合部）の高さを上記実施形態におけるフックと同様に定めることができる。第１面ファスナおよび第２面ファスナの少なくとも一方をループ材にした場合には、そのループ体と係合する部分にフック材が設けられる。

上記実施形態ではファスニングシステムを吸収性物品の一例であるおむつに適用したが、ファスニングシステムを他の物品に適用してもよい。例えば、生理用ナプキンなどの生理用品、衛生用品などにファスニングシステムを適用することも可能である。また、包帯等にファスニングシステムを適用してもよい。なお、ファスニングシステムそのものを包帯として使用することも可能である。更に、複数のケーブル等を束ねて整えるための結束バンド、複数の物品同士の仮固定用部材等の用途においてもファスニングシステムを適用可能である。

１，２…吸収性物品（おむつ）、１０…本体部、１０ａ…腹側端部、１０ｂ…背側端部、１４…ループ材、１６…腹側サイドパネル、１７…背側サイドパネル、２１…基材、３０…第１面ファスナ、４０…第２面ファスナ、４１…ベース、４２…フック、４３…溝または貫通部、４３ａ…スリット状の貫通部、４３ｂ…スリット状の溝、４４…開口部、４５…ストランド、４６…中継部、５０…固定用部品、６０…サイドパネル、１００…ファスニングシステム。

Claims (5)

1. 第１固定部材を含む第１領域と第２固定部材を含む第２領域とを固定するファスニングシステムであって、
   前記第１固定部材に設けられた第１面ファスナと、
   前記第１固定部材または前記第２固定部材に設けられた第２面ファスナと
   を備え、
   前記第１固定部材および前記第２固定部材のうち、前記第２面ファスナが設けられている固定部材は、該第２面ファスナと該第２面ファスナが積層された基材とを有し、
   前記第２面ファスナと前記基材との積層体部分の曲げ剛性をＳａとし、前記第２面ファスナが積層されていない前記基材とＪＩＳ Ｚ １５２２に規定されたセロハン粘着テープとの積層体である比較用部材の曲げ剛性をＳｂとした場合に、Ｓａ／Ｓｂ＜２．０という関係が成立する、
   ファスニングシステム。
2. 前記第２面ファスナの厚さが６０〜３８０μｍである、
   請求項１に記載のファスニングシステム。
3. 前記第２面ファスナに溝、スリット状の貫通部、または開口部が形成された、
   請求項１または２に記載のファスニングシステム。
4. 前記第１領域と前記第２領域とが固定されたときに、前記第１面ファスナよりも前記第２面ファスナの方が、前記第１固定部材の自由端部から離れた場所に位置する、
   請求項１〜３のいずれか一項に記載のファスニングシステム。
5. 請求項１〜４のいずれか一項に記載のファスニングシステムを備える吸収性物品。

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