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JP2015199628A - 水酸化インジウム粉の製造方法 - Google Patents

水酸化インジウム粉の製造方法 Download PDF

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JP2015199628A JP2014079631A JP2014079631A JP2015199628A JP 2015199628 A JP2015199628 A JP 2015199628A JP 2014079631 A JP2014079631 A JP 2014079631A JP 2014079631 A JP2014079631 A JP 2014079631A JP 2015199628 A JP2015199628 A JP 2015199628A
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大河 塩谷
Taiga Shiotani
大河 塩谷
真菜 藤森
Mana Fujimori
真菜 藤森
憲明 菅本
Noriaki Sugamoto
憲明 菅本
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Abstract

【課題】インジウムの粉塵暴露を防止すると共に、低コストで水酸化インジウム粉を乾燥させることが可能な水酸化インジウム粉の製造方法を提供する。
【解決手段】水酸化インジウムスラリーに酸を添加し、水酸化インジウムスラリーの固形分率を変化させることなく、水酸化インジウムスラリーの粘度を所定値以下とすることができるので、時間を短縮して水酸化インジウムスラリーの噴霧乾燥を行うことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、粒径の均一性に優れ、粒度分布幅の狭い水酸化インジウム粉を得ることができる水酸化インジウム粉の製造方法に関するものである。
近年、太陽電池用途とタッチパネル用途として透明導電膜の利用が増えており、それに伴いスパッタリングターゲット等の透明導電膜形成用材料の需要が増加している。透明導電膜形成用材料には、主として酸化インジウム系焼結材料が利用されており、その主原料として酸化インジウム粉が用いられている。
スパッタリングターゲットとして利用される酸化インジウム粉は、高純度であることの他に、高密度ターゲットを得るために、できるだけ微細で粒度分布幅が狭いことが望ましい。
酸化インジウム粉は、主に、硝酸インジウム水溶液や塩化インジウム水溶液等の酸性水溶液を、アンモニア水等のアルカリ性水溶液で中和して生じる水酸化インジウムの沈澱を乾燥し仮焼する、いわゆる中和法によって製造される。
中和法では、得られる酸化インジウム粉の凝集を抑制するために、70℃〜95℃という高温の硝酸インジウム水溶液にアルカリを添加することで、針状の水酸化インジウム粉を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の中和法では、得られた針状の水酸化インジウム粉を90℃〜260℃で乾燥した後、500℃〜900℃で仮焼することにより、凝集の少ない酸化インジウム粉を得ている。
しかしながら、中和法で製造した酸化インジウム粉は、粒径や粒度分布が不均一となり易く、この酸化インジウム粉を用いたスパッタリングターゲットにおいては、ターゲットの密度が高くなり難く、密度にムラが生じ易いという問題や、スパッタリングの際に異常放電が生じ易いといった問題が生じる。そのため、中和法では、仮焼後に得られた酸化インジウムを、微細且つ均一性よく粉砕しなければならない。
また、中和法では、酸化インジウム粉の製造後に大量の窒素排水が発生するため、排水処理コストが大きくなるという問題がある。
このような問題を改善する方法としては、金属インジウムを電解処理することで水酸化インジウム粉の沈殿を生じさせ、これを仮焼して酸化インジウム粉を製造する方法、いわゆる電解法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載の電解法では、中和法に比べて、酸化インジウム粉の製造後の窒素排水量を格段に少なくすることができる他に、酸化インジウム粉の粒径を均一化できる。
酸化インジウム粉を中和法又は電解法の何れかの方法で作製する場合にも、得られた水酸化インジウム粉を含むスラリー(以下、「水酸化インジウムスラリー」ともいう。)を乾燥した後に仮焼することで酸化インジウム粉としており、水酸化インジウムスラリーは、90℃〜260℃で静置して乾燥を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3314388号公報 特許第2829556号公報
しかしながら、静置乾燥により水酸化インジウム粉を乾燥する場合には、酸化インジウム粉への仮焼前又は仮焼後に粉砕を加える必要があり、特定化学物質であるインジウムの粉塵暴露が懸念されている。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、特定化学物質であるインジウムの粉塵暴露を防止すると共に、低コストで水酸化インジウム粉を乾燥させることが可能な水酸化インジウム粉の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る水酸化インジウム粉の製造方法では、水酸化インジウム粉を生成させる水酸化インジウム粉の生成工程と、生成させた水酸化インジウム粉を回収する水酸化インジウム粉の回収工程と、回収した水酸化インジウム粉を乾燥する水酸化インジウム粉の乾燥工程とを有する水酸化インジウム粉の製造方法において、乾燥工程では、回収工程で回収した水酸化インジウム粉を含む水酸化インジウムスラリーに酸を添加して、水酸化インジウムスラリーの粘度を200mPa・s以下とし、噴霧乾燥法により水酸化インジウムスラリーを乾燥することを特徴とする。
本発明によれば、水酸化インジウム粉を乾燥する際に、水酸化インジウムスラリーに酸を添加することで、水酸化インジウムスラリーの固形分率を変化させることなく、水酸化インジウムスラリーの粘度を200mPa・s以下とすることができるので、噴霧乾燥時間を短縮して水酸化インジウムスラリーの乾燥を行うことができる。
また、本発明によれば、噴霧乾燥時間を短縮して水酸化インジウムスラリーの乾燥を行うことができるので、水酸化インジウム粉の製造方法における製造コストの低減を図ることができる。
更に、本発明によれば、従来法のように、水酸化インジウム粉の仮焼前又は仮焼後に粉砕を加える必要がなくなるので、特定化学物質であるインジウムの粉塵暴露を防止することができる。
pH調整による水酸化インジウムスラリーの粘度変化の推移を表すグラフを示す図である。 実施例1及び比較例1で得られた水酸化インジウム粉の粒度分布のグラフを示す図である。
以下、水酸化インジウム粉の製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら以下の項目に沿って詳細に説明する。なお、水酸化インジウム粉の製造方法は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加えることは可能である。
1.水酸化インジウム粉の製造方法
(1−1)水酸化インジウム粉の生成工程
(1−2)水酸化インジウム粉の回収工程
(1−3)水酸化インジウム粉の乾燥工程
1.水酸化インジウム粉の製造方法
水酸化インジウム粉の製造方法は、水酸化インジウム粉を生成させる水酸化インジウム粉の生成工程と、生成させた水酸化インジウム粉を回収する水酸化インジウム粉の回収工程と、回収した水酸化インジウム粉を乾燥する水酸化インジウム粉の乾燥工程とを有する。
(1−1)水酸化インジウム粉の生成工程
水酸化インジウム粉の生成工程では、硝酸インジウム水溶液や塩化インジウム水溶液等の酸性水溶液を、アンモニア水等のアルカリ性水溶液で中和して水酸化インジウムを沈殿させ生成させる中和法、又は金属インジウムを電解処理することで水酸化インジウムを沈殿させ生成させる電解法により、水酸化インジウム粉を生成させることができる。
水酸化インジウム粉の生成工程では、水酸化インジウム粉の生成に電解法を適用した場合について説明するが、水酸化インジウム粉の生成は、電解法に限定されるものではなく、中和法も適用可能である。
水酸化インジウム粉の生成工程では、陽極と陰極と電解液とを用いた電解反応により、水酸化インジウム粉を生成させる。
陽極としては、例えば、金属インジウム等を用いることができ、酸化インジウム粉への不純物の混入を抑制するために、できるだけ高純度のものが望ましい。
陰極としては、導電性の金属やカーボン電極等を用いることができ、例えば、不溶性のチタンを白金でコーティングしたもの等を用いることができる。
電解液としては、水溶性の硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩等の一般的な電解質塩の水溶液を用いることができ、例えば、硝酸アンモニウム水溶液等を用いることができる。電解液として硝酸アンモニウム水溶液を用いた場合には、硝酸イオンやアンモニウムイオンが、酸化インジウム粉を作製する際の仮焼によって窒素化合物として除去されるため、不純物成分の混入を防止することができる。
また、酸化インジウム粉を作製する際の仮焼によって、硝酸イオンやアンモニウムイオンを窒素化合物として除去し、窒素化合物を含む排水の発生を抑制することで、排水処理コストを低減することができる。
一方、電解液として塩化アンモニウムや硫酸アンモニウムを用いた場合には、塩化物イオンや硫酸イオン等の不純物が混入してしまう。従って、電解液としては、硝酸アンモニウム水溶液を用いることが好ましい。
電解液における生成させた水酸化インジウム粉の溶解度は、10−6mol/L〜10−3mol/Lの範囲であることが好ましい。溶解度が10−6mol/Lよりも低い場合には、陽極から解け出したインジウムイオンが核化しやすくなるため、水酸化インジウム粉の一次粒子径が微細化する。このため、水酸化インジウム粉では、一次粒子径は比較的均一になるものの、粒子同士の凝集が生じやすくなる。一次粒子の凝集体である二次粒子は、その粒子径をコントロールすることは難しく、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。
一方、電解液における生成させた水酸化インジウム粉の溶解度が10−3mol/Lよりも高い場合には、粒成長が促進されるため、水酸化インジウム粉の一次粒子径が大きくなる。このため、水酸化インジウム粉では、粒子を成長させるほど、成長する粒子としない粒子の間で粒子径の違いが大きくなる。水酸化インジウム粉の粒子径の違いは、凝集の度合いに影響を与えるため、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。
従って、水酸化インジウム粉の生成工程では、水酸化インジウム粉の溶解度を10−6mol/L〜10−3mol/Lの範囲内とすることで、適度に一次粒子の成長が促進されるため、凝集が抑制され、粒度分布の幅が広くならず、粒度分布が狭く、粒径が均一な水酸化インジウム粉を得ることができる。
水酸化インジウム粉の生成工程では、水酸化インジウム粉の溶解度が10−6mol/L〜10−3mol/Lの範囲内であればよく、電解液の濃度、pH、液温等により溶解度を制御することができる。
電解液の濃度は、0.1mol/L〜2.0mol/Lの範囲とすることが好ましい。0.1mol/Lよりも低いと、電解液の電気伝導度が低下し、電解電圧が上昇するため、通電部が発熱したり、電力コストが高くなったりするなどの問題が生じるため好ましくない。一方、2.0mol/Lより高いと、電解によって生成される水酸化インジイウム粉が粗大化する上、粒径のばらつきが大きくなるため好ましくない。従って、電解液の濃度は、0.1mol/L〜2.0mol/Lの範囲とすることが好ましい。
電解液のpHは、2.5〜4.0の範囲とすることが好ましい。電解液がpH4.0よりも高くなると、生成する水酸化インジウム粉は、結晶性に乱れが生じ、一次粒子径が微細化し、凝集性を有する粉末になり、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。また、pH2.5よりも低いと、陰極にメタルのインジウムが析出していまい、水酸化インジウム粉の生産効率が低下する。従って、電解液のpHは、2.5〜4.0の範囲とすることが好ましい。また、pHは、硝酸アンモニウムの添加量により調整することができる。
電解液の液温は、20℃〜60℃の範囲が好ましい。電解液の温度が20℃よりも低い場合は、水酸化インジウム粉の結晶性に乱れが生じ、一次粒子径が微細化し、凝集性を有する粉末になり、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。一方、60℃よりも高い場合は、粒成長が促進されるために、一次粒子径が大きくなる。粒子径の違いは、凝集の度合いに影響を与えるため、結果として、異なる粒子径の水酸化インジウム粉を含む場合には、粒度分布の幅が広くなってしまう。従って、電解液の液温は、20℃〜60℃の範囲とすることが好ましい。
水酸化インジウム粉の生成工程では、電解条件は特に限定されないが、電流密度が3A/dm〜15A/dmの範囲で行うことが好ましい。電流密度が3A/dmより低い場合には、水酸化インジウム粉の生産効率が低下してしまう。電流密度が15A/dmよりも高い場合には、電解電圧が上昇することで液温上昇が生じやすいことや、金属インジウムの表面が不動態化し電解し難くなること等の問題が生じてしまう。従って、水酸化インジウム粉の生成工程では、電流密度を3A/dm〜15A/dmとすることが好ましい。
以上のようにして得られた水酸化インジウム粉では、その一次粒子は、粒径がサブミクロン又は数ミクロンの柱状となる。一次粒子が球状である場合には、一次粒子は等方に他の粒子と接触し、密な凝集体(aggregate)を形成しやすいのに対して、一次粒子が柱状である場合には、他の柱状粒子との接触面積が球状粒子に比べ小さくなると考えられるため、粒子間の結合が弱い、軟らかい凝集粒子(agglomerate)を形成しやすくなる。そのため、水酸化インジウム粉では、その一次粒子が柱状であることによって、より粒子間の凝集を抑制することができる。
(1−2)水酸化インジウム粉の回収工程
水酸化インジウム粉の回収工程では、水酸化インジウム粉の生成工程で生成させた水酸化インジウム粉を電解液から固液分離し、分離した水酸化インジウム粉を純水等で洗浄して再び固液分離して回収する。
固液分離方法は、例えば、ロータリーフィルタ、遠心分離、フィルタープレス、加圧濾過、減圧濾過等による濾過を挙げることができるが、回収効率の高いロータリーフィルタの使用が好ましい。なお、洗浄回数は特に限定されず、必要に応じて複数回行う。
なお、中和法を適用して水酸化インジウムを生成させ沈殿させた場合には、水酸化インジウム粉を固液分離し、その後、分離した水酸化インジウム粉を純水で洗浄して再び固液分離して回収する。
(1−3)水酸化インジウム粉の乾燥工程
水酸化インジウム粉の乾燥工程では、水酸化インジウム粉の回収工程で回収した水酸化インジウム粉の乾燥を行い、水酸化インジウム乾燥粉末を得る。水酸化インジウム粉の乾燥を行う際には、水酸化インジウム粉を含むスラリー(以下、「水酸化インジウムスラリー」ともいう。)に酸を添加して、水酸化インジウムスラリーの粘度を所定値以下とし、噴霧乾燥法により水酸化インジウムスラリーを乾燥する。
水酸化インジウム粉の乾燥工程では、水酸化インジウム粉の回収工程で回収した水酸化インジウム粉に純水等を加えて水酸化インジウムスラリーを作製する。水酸化インジウムスラリーのスラリー濃度は、[水酸化インジウム粉質量/(水酸化インジウム粉質量+純水質量)]×100(%)で定義され、35%〜50%となるように調整される。
酸の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、無機酸、有機酸の何れかを使用することができる。塩素や硫黄等の不純物の混入を回避するためには、硝酸が好ましい。
図1に示すように、水酸化インジウムスラリーのpHを変化させると、pHが下がるにつれて粘度が低くなることがわかる。ここで、スプレードライヤにより短時間で噴霧乾燥を行うためには、水酸化インジウムスラリーの粘度を200mPa・s以下にする必要がある。図1に示す水酸化インジウムスラリーのpHと粘度との関係から、水酸化インジウムスラリーの粘度を200mPa・s程度にするためには、水酸化インジウムスラリーのpHを6.8程度にする必要があるとわかる。従って、水酸化インジウム粉の乾燥工程では、水酸化インジウムスラリー中の水酸化インジウム質量に対し、pHが6.8以下になるように酸を添加することが好ましい。pHが6.8以下になるように酸を添加することで、水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度を、スプレードライヤにより短時間で噴霧乾燥を行うのに適した200mPa・s以下にすることができる。
一方、スラリー粘度を200mPa・s以下にすることができれば、pHの下限値は特に限定されないが、pHが下がりすぎると水酸化インジウムスラリーが強酸となり、その取り扱いに注意が必要となる。従って、水酸化インジウム粉の乾燥工程では、水酸化インジウムスラリーのpHの下限値を、容易に水酸化インジウムスラリーを取り扱えるように、6.0以上にすることが好ましい。pHが6.0〜6.8となるように酸を添加することで、水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度を200mPa・s以下にすることができると共に、容易に取り扱うことが可能な水酸化インジウムスラリーとすることができる。また、pHが6.0〜6.5となるように酸を添加することで、水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度を20mPa・s以下に更に下げることができ、且つ取り扱いが容易なスラリーを得ることができる。
水酸化インジウムスラリーのpHを上記範囲内とするためには、例えば、水酸化インジウムスラリー中の水酸化インジウム質量に対し、1.4質量%〜3.0質量%の酸を添加するのが適当である。
酸を添加した水酸化インジウムスラリー中には、プラスに帯電した水酸化インジウム粒子間に水素イオン(陽イオン)が存在する。水酸化インジウムスラリー中の水酸化インジウム粒子同士が接近し、凝集しようとする際、この水素イオンが存在することで、イオンと粒子が反発し、粒子同士が凝集することを防いでいると考えられる。そのため、酸を添加した水酸化インジウムスラリーでは、固形分率を変化させることなく、スラリー粘度を200mPa・s以下にすることができる。
水酸化インジウム粉の乾燥工程では、水酸化インジウム粉の水分を除去できれば乾燥温度は特に限定されないが、例えば、乾燥温度は80℃〜150℃の範囲が好ましい。乾燥温度が80℃よりも低い場合には、乾燥が不十分となり、150℃よりも高い場合には、水酸化インジウムから酸化インジウムに変化してしまい不都合である。
また、乾燥時間は、水酸化インジウムスラリー量や乾燥温度により異なるが、約4時間〜5時間である。
以上のような水酸化インジウム粉の製造方法では、水酸化インジウム粉を乾燥する際に、水酸化インジウムスラリーに酸を添加することで、水酸化インジウムスラリーの固形分率を変化させることなく、水酸化インジウムスラリーの粘度を200mPa・s以下とすることができるので、噴霧乾燥時間を短縮して水酸化インジウムスラリーの乾燥を行い、水酸化インジウム粉(水酸化インジウム乾燥粉末)を得ることができる。
また、水酸化インジウム粉の製造方法では、噴霧乾燥時間を短縮して水酸化インジウムスラリーの乾燥を行うことができるので、水酸化インジウム粉の製造方法における製造コストの低減を図ることができる。
更に、水酸化インジウム粉の製造方法では、従来法のように、水酸化インジウム粉の仮焼前又は仮焼後に解砕又は粉砕する必要がなくなるので、特定化学物質であるインジウムの粉塵暴露を防止することができる。また、水酸化インジウム粉の解砕又は粉砕する必要がなくことで、解砕又は粉砕に伴う粉塵対策のためのコストアップや歩留まり悪化の顕著化といった問題が発生することもない。なお、水酸化インジウム粉の製造方法では、必要に応じて水酸化インジウム粉を所望の粒径とするための解砕又は粉砕を行ってもよいが、解砕又は粉砕を加えることにより、設備費、粉塵対策費やランニングコストを高めてしまう。
以下に示す実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(水酸化インジウム粉の製造)
[水酸化インジウム粉の生成]
まず、実施例1では、電解液として用いる硝酸アンモニウム水溶液の濃度を1.0mol/L、pHを2.5、液温を20℃に調整することで、水酸化インジウムの溶解度が10−5mol/Lとなるように調整した。また、硝酸アンモニウム水溶液のpHは、電解液に加える硝酸量により調整した。
次に、実施例1では、調整した電解液を用いて、水酸化インジウムの電解試作を行った。電解液では、陽極には、純度99.99%の金属インジウム板を使用し、陰極には、不溶性Ti/Pt電極を使用した。また、実施例1では、電流密度は10A/dmとし、水酸化インジウム粉を35kg作製した。
[水酸化インジウム粉の回収]
次に、実施例1では、得られた水酸化インジウム粉を純水で洗浄した後、ロータリーフィルタ(寿工業(株)製、RFU−02B)と、ろ布(寿工業(株)製、KE−022)とを使用して固液分離し、分離した固形分に純水を加えて、水酸化インジウムスラリーのスラリー濃度が39%、粘度が700mPa・sとなるよう調整した。また、水酸化インジウムスラリーのpHは7.0であった。
得られた水酸化インジウムスラリーについて、スラリー中の水酸化インジウム粉の粒度分布を、粒度分布計((株)島津製作所製のレーザー回折式粒子径分布測定装置、SALD−2200)を用いて測定したところ、メディアン径(D50)が1.21μm、90%径(D90)が2.07μmであった。
[水酸化インジウム粉の乾燥]
次に、実施例1では、得られた水酸化インジウムスラリーに、水酸化インジウムの質量に対して2.07質量%の硝酸を添加して、水酸化インジウムスラリーのpHを6.0とし、スプレードライヤ(大川原化工機(株)製、FGAシリーズ)を使用し、スラリー供給速度200mL/min、乾燥温度90℃で、約90.7kgの水酸化インジウムスラリーの乾燥を行った。
実施例1では、硝酸を添加した後の水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度は10mPa・sであった。また、噴霧乾燥時間は4時間39分であった。
得られた水酸化インジウム乾燥粉末について、その粒度分布を測定したところ、メディアン径(D50)が1.22μm、90%径(D90)が2.05μmであった。
<実施例2>
実施例2では、水酸化インジウムの質量に対して1.5質量%の硝酸を添加して、水酸化インジウムスラリーのpHを6.5としたこと以外は実施例1と同様にして、水酸化インジウムスラリーを用いて水酸化インジウム乾燥粉末を作製した。
実施例2では、硝酸を添加した後の水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度は16mPa・sであった。また、噴霧乾燥時間は4時間40分であった。
得られた水酸化インジウム乾燥粉末について、その粒度分布を測定したところ、メディアン径(D50)が1.24μm、90%径(D90)が2.10μmであった。
<実施例3>
実施例3では、水酸化インジウムの質量に対して1.4質量%の硝酸を添加して、水酸化インジウムスラリーのpHを6.8としたこと以外は実施例1と同様にして、水酸化インジウムスラリーを用いて水酸化インジウム乾燥粉末を作製した。
実施例3では、硝酸を添加した後の水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度は198mPa・sであった。また、噴霧乾燥時間は4時間42分であった。
得られた水酸化インジウム乾燥粉末について、その粒度分布を測定したところ、メディアン径(D50)が1.23μm、90%径(D90)が2.09μmであった。
<実施例4>
実施例4では、水酸化インジウムの質量に対して4.0質量%の硝酸を添加して、水酸化インジウムスラリーのpHを4.0としたこと以外は実施例1と同様にして、水酸化インジウムスラリーを用いて水酸化インジウム乾燥粉末を作製した。
実施例4では、硝酸を添加した後の水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度は5mPa・sであった。また、噴霧乾燥時間は4時間39分であった。
得られた水酸化インジウム乾燥粉末について、その粒度分布を測定したところ、メディアン径(D50)が1.20μm、90%径(D90)が2.01μmであった。
<比較例1>
(水酸化インジウム粉の製造)
[水酸化インジウム粉の生成]
比較例1では、実施例1と同様にして、水酸化インジウム粉を40kg作製した。
[水酸化インジウム粉の回収]
次に、比較例1では、実施例1と同様にして、水酸化インジウムスラリーのスラリー濃度が45%、粘度が1220mPa・sとなるよう調整した。なお、水酸化インジウムスラリーのpHは7.0であった。
得られた水酸化インジウムスラリーについて、実施例1と同様にして、スラリー中の水酸化インジウム粉の粒度分布を測定したところ、メディアン径(D50)が1.20μm、90%径(D90)が1.88μmであった。
[水酸化インジウム粉の乾燥]
次に、比較例1では、得られた水酸化インジウムスラリーのスラリー濃度が35%となるように純水を25.4kg添加した後に、実施例1と同様にして、スラリー供給速度200mL/min、乾燥温度90℃で、約114.3kgの水酸化インジウムスラリーの乾燥を行った。
比較例1では、純水を添加した後の水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度は260mPa・sであった。また、噴霧乾燥時間は6時間20分であった。
得られた水酸化インジウム乾燥粉末について、その粒度分布を測定したところ、メディアン径(D50)が1.29μm、90%径(D90)が2.13μmであった。
実施例1乃至実施例4では、水酸化インジウムスラリー中の水酸化インジウム質量に対し、pHが6.8以下となるように酸を添加したことで、水酸化インジウムスラリーのスラリー粘度を200mPa・s以下にすることができ、噴霧乾燥時間を4時間〜5時間に短縮できることが確認できた。一方、比較例1では、酸を添加していないため、スラリー粘度が200mPa・sを越え、噴霧乾燥時間が5時間を越えてしまった。従って、実施例1乃至実施例4より、噴霧乾燥時間を、比較例1の乾燥時間の約75%以下に短縮できることがわかった。
また、図2に示すように、実施例1及び比較例1の粒度分布は略同等であることが確認でき、噴霧乾燥時間を短縮したとしても、水酸化インジウム乾燥粉末の粒径は何ら影響を受けないことがわかった。

Claims (4)

  1. 水酸化インジウム粉を生成させる水酸化インジウム粉の生成工程と、
    生成させた水酸化インジウム粉を回収する水酸化インジウム粉の回収工程と、
    回収した水酸化インジウム粉を乾燥する水酸化インジウム粉の乾燥工程と
    を有する水酸化インジウム粉の製造方法において、
    前記乾燥工程では、前記回収した水酸化インジウム粉を含む水酸化インジウムスラリーに酸を添加して、該水酸化インジウムスラリーの粘度を200mPa・s以下とし、噴霧乾燥法により該水酸化インジウムスラリーを乾燥することを特徴とする水酸化インジウム粉の製造方法。
  2. 前記水酸化インジウムスラリーのスラリー濃度は35%〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
  3. 前記酸は硝酸であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
  4. 前記乾燥工程では、前記水酸化インジウムスラリーに前記酸を添加して、該水酸化インジウムスラリーのpHを6.0〜6.8に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
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