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JP2015191142A - 位相差フィルム、光学フィルム、光学フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム、光学フィルム、光学フィルムの製造方法 Download PDF

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JP2015191142A JP2014069193A JP2014069193A JP2015191142A JP 2015191142 A JP2015191142 A JP 2015191142A JP 2014069193 A JP2014069193 A JP 2014069193A JP 2014069193 A JP2014069193 A JP 2014069193A JP 2015191142 A JP2015191142 A JP 2015191142A
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Abstract

【課題】保護フィルムやプライマー層等を介さずに、位相差フィルムの位相差層(液晶層)と偏光子との密着性を高めることができる位相差フィルムを提供する。
【解決手段】本発明に係る位相差フィルム1は、基材11と、配向層12と、重合性液晶化合物を含む位相差層13とがこの順で積層されてなり、位相差層13が、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤(第1の光重合開始剤、第2の光重合開始剤)を含有する重合性液晶組成物により構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、位相差フィルム及びその位相差フィルムに偏光子を貼り付けた光学フィルム、並びにその光学フィルムの製造方法に関する。
近年、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが提供されている。3次元画像表示では、例えばパッシブ方式等により、右目用の映像と、左目用の映像とを、それぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供することが必要となる。
パッシブ方式では、画像表示パネルの垂直方向に連続する画素を、順次交互に右目用及び左目用に割り当て、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の映像と左目用の映像とを同時に表示する。また、画像表示パネルのパネル面に位相差フィルムを配置し、右目用及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で方向の異なる円偏光に変換する。これにより、パッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなるめがねを装着して、右目用の映像と左目用の映像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供する。
位相差フィルムは、透明フィルム材による基材に配向膜、位相差層(液晶層)が順次設けられる。位相差フィルムは、この位相差層が液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を配向膜の配向規制力によりパターンニングする。このパターンニングにより、位相差フィルムでは、液晶表示パネルにおける画素の割り当てに対応して、一定の幅により右目用の領域と左目用の領域とが順次交互に形成され、右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。
これにより、画像表示装置では、順次入力される画像データにより画像表示パネルを駆動して、奇数ライン及び偶数ラインの画素をそれぞれ右目用及び左目用の画像データにより駆動し、右目用及び左目用の映像を同時に表示する。また、画像表示パネルに配置した偏光フィルタにより画像表示パネルの出射光を直線偏光に変換し、この偏光フィルタに積層されて配置された位相差フィルムにより、偏光フィルタの出射光に右目及び左目に対応する位相差を与える。
ところで、液晶表示装置等の画像表示装置では、画像表示パネルのパネル面に、ハードコート、反射防止、電磁波シールド等を目的とした各種の光学フィルムが設けられている。これらの光学フィルムでは、透明フィルムによる基材の表面に、目的とする機能に応じた各種の機能層が設けられ、さらに上下の層との貼り合わせを目的として粘着層(接着剤層)が設けられる。ここで、接着剤層は、例えば基材の全面に接着剤を塗布して作製され、光学フィルムを所望の対象に貼り付けるために設けられる。これにより、上述した光学フィルムは、画像表示装置の製造過程において、接着剤層によりパネル面に貼り付けて保持される。
さて、このような光学フィルムにおいて、例えば特許文献1では、その光学フィルムを薄型化させる観点から、パネル面にフィルムを介さずに偏光子と位相差層(液晶層)とを貼り合せるようにする技術が提案されている。
しかしながら、液晶層と偏光子とを接着剤層を介して直接張り合わせた場合は、液晶層と接着剤層との界面における密着性が十分ではなく、高温高湿下で使用した場合に液晶層と偏光子との間で剥離が生じる場合がある。密着性が低下する理由としては、保護フィルムを介さず偏光子と積層させたため、吸湿により収縮する偏光子の影響を大きく受けることが考えられる。また、欠陥を含む偏光素子を液晶セルのガラス基板から剥離する際に、液晶層と偏光子との界面で剥離が生じ易く、リワーク性に劣る傾向がある。このため、上述した特許文献1の技術では、更なる層(「プライマー層」とする)を塗工して密着性を高めることを提案しているが、そのような層を形成することによって、例えば3次元表示する際に重要なパターンの寸法が制御し難くなる傾向があった。
特開2012−220554号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、保護フィルムやプライマー層等を介さずに、位相差フィルムの位相差層(液晶層)と偏光子との密着性を高めることができる位相差フィルム、及びその位相差フィルムに偏光子を貼り付けて得られる光学フィルム、並びにその光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、位相差層に異なる波長で反応する2種類の光重合開始剤を添加し、異なる波長を出力する光源により光重合開始剤の開裂等の反応時期を制御することで、位相差層と偏光子層との密着性を高めることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、基材と、配向層と、重合性液晶化合物を含む位相差層とがこの順で積層されてなり、前記位相差層が、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を含有する重合性液晶組成物により構成されていることを特徴とする位相差フィルムである。
(2)本発明は、基材と、配向層と、重合性液晶化合物を含む位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルムに、該位相差層の面に接着剤層を介して偏光子が積層されてなり、前記位相差層が、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を含有する重合性液晶組成物により構成されていることを特徴とする光学フィルムである。
(3)本発明は、基材と、配向層と、重合性液晶化合物を含む位相差層とをこの順で積層させた位相差フィルムに対して、該位相差層の面に接着剤層を介して偏光子を積層することによって得られる光学フィルムの製造方法であって、前記配向層上に、前記重合性液晶化合物と、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を塗工する液晶組成物塗工工程と、前記光重合開始剤のうちの第1の光重合開始剤のみを反応させる紫外線を照射する第1の光源を用いて、前記重合性液晶組成物の塗膜を硬化させることによって位相差層を形成する位相差層形成工程と、前記位相差層を形成して得られた位相差フィルムの該位相差層の面に接着剤組成物を塗工し、該接着剤組成物の塗膜上に偏光子を積層する偏光子積層工程と、前記光重合開始剤のうちの第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を発光波長として含むとともに、前記接着剤組成物を硬化させる発光波長を有する紫外線を照射する第2の光源を用いて、該接着剤組成物の塗膜を硬化させることによって接着剤層を形成する接着剤層形成工程とを有することを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
(4)また本発明は、(3)に係る発明において、前記位相差層形成工程では、第1の光源として、前記第1の光重合開始剤の吸収ピーク波長を含み、前記第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を除く発光波長を有する光源を用いることを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
本発明によれば、保護フィルムやプライマー層等を介さずに、位相差フィルムの位相差層(液晶層)と偏光子との密着性を高めることができる。
位相差フィルムの断面図である。 位相差フィルムに偏光子を貼り付けた光学フィルムを示す断面図である。 α−ヒドロキシケトン系の化合物の吸収曲線を示す図である。 α−アミノケトン系の化合物の吸収曲線を示す図である。 チタノセン系の化合物の吸収曲線を示す図である。 無電極UVランプの発光スペクトルを示す図である。 低圧水銀ランプの発光スペクトルを示す図である。 位相差フィルムの製造方法(位相差フィルム作製工程S1)の流れを示すフロー図である。 位相差フィルムに偏光子を貼り付けた光学フィルムの製造方法の流れを示すフロー図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、以下の順序で図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
1.位相差フィルムの構成
2.位相差層(液晶層)について
3.位相差フィルムの製造方法、光学フィルムの製造方法
≪1.位相差フィルムの構成≫
図1は、本実施の形態に係る位相差フィルム1の断面図である。図1に示すように、位相差フィルム1は、基材11上に配向層12が形成され、この配向層12上に位相差層形成用の重合性液晶組成物を含む位相差層(液晶層)13が形成されている。
このような位相差フィルム1では、基材11上に形成した位相差層13が、UV接着剤等の接着剤層を介して偏光子に貼り合せられて又は転写されて、位相差フィルム1に偏光子が貼合した光学フィルムが形成される。具体的に、図2は、その光学フィルム2の一例を示す断面図である。この図2に示すように、光学フィルム2は、位相差フィルム1にUV接着剤等の接着剤層20を介して偏光子21が貼り合わされてなる。
ここで、光学フィルム2においては、位相差層13に偏光子21を貼合させる際、アクリル樹脂等からなる保護フィルムやプライマー層等を介さずに偏光子21を積層させている。これにより、光学フィルム2の全体の厚みを薄くすることができ、近年の薄型化の要求に対して十分に応えることができる。ところが、一般的に、保護フィルムを介さずに偏光子を積層させた場合、例えば高温高湿の環境下においては偏光子が吸湿により収縮して密着性が低下し、位相差層と偏光子との間で剥離を生じさせることがあった。
この点において、本実施の形態に係る位相差フィルム1では、その位相差層13を構成する重合性液晶組成物において、異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を含有するようにしている。このように、位相差層13において、異なる波長で反応する光重合開始剤を含有させることによって、異なる波長を出力する光源によりそれら光重合開始剤の開裂等の反応時期を制御することが可能となる。これにより、本実施の形態に係る位相差フィルム1では、位相差層13と偏光子21との密着性を効果的に高めることができ、位相差層13と偏光子21との間での剥離が抑制され、十分に薄型化された光学フィルムを製造することができる。
なお、偏光子21としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
<基材>
基材11は、透明フィルム材であり、配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。基材11は、位相差が小さいことが好ましく、面内位相差(面内レターデーション値、以下「Re値」ともいう)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。Re値が10nmを超えると、例えばパターン配向膜を用いたフラットパネルディスプレイの表示品質が悪くなる可能性がある点で好ましくない。
Re値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標をいい、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとしたとき、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
基材11の可視光領域における透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透明フィルム基材の透過率は、例えばJIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
基材11は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。このようなフレキシブル材としては、アクリル系ポリマー(アクリル樹脂)、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を例示することができる。
基材11の厚さとしては、配向膜を用いて製造される位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、25μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、25μm〜80μmの範囲内であることがより好ましく、25μm〜60μmの範囲内であることがさらに好ましい。基材11の厚さが25μm未満であると、位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合がある。一方で、厚さが125μmを超えると、位相差フィルムが長尺状である場合に、長尺状の位相差フィルムを裁断加工して枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合がある。
基材11は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
<配向層>
配向層12は、基材11上に配向層用組成物(配向膜組成物)を塗布(塗工)して硬化させて得られた硬化物である配向膜からなる。この配向層12を構成する配向膜は、特に限定されないが、例えば、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用い光照射によって配向させる光配向方式により形成することができる。
なお、配向層12を構成する配向膜は、パターン状に形成したパターン配向膜であっても、基材11上にベタ状に形成したベタ膜であってもよい。パターン配向膜とする場合、その配向パターンは、例えば、凹凸形状を有するロールで圧延し、その凹凸形状を転写するラビング処理によって形成されてもよいし、上述のように偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用いて光照射によって配向させる光配向方式によって形成されてもよい。ラビング処理によってパターン配向膜を形成する場合、配向層(パターン配向層)12は、広く一般に用いられるエネルギー線硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂等)を含有するものであればどのようなものであってもよい。
[配向層用組成物(配向膜組成物)]
例えば光配向方式によって配向層12を形成する場合、配向層12は、以下に説明する配向膜組成物を含有する。この配向膜組成物は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料と、この光配向材料を溶かす溶媒とを含有する。
(光配向材料)
光配向材料とは、偏光紫外線の照射により配向規制力を発現できる材料をいう。配向規制力とは、光配向材料を含む配向層を形成し、この配向層上に液晶化合物(位相差層形成用の重合性液晶組成物)からなる層を形成したとき、液晶化合物を所定の方向に配列させる機能をいう。
光配向材料としては、偏光を照射することにより配向規制力を発現するものであれば特に限定されるものではない。このような光配向材料は、シス−トランス変化によって分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。本実施の形態においては、光異性化材料及び光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光反応材料を用いることがより好ましい。光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能となり、配向規制力の経時安定性において優れる。
また、光反応材料は、偏光照射によって生じる反応の種類によってさらに分けることができる。具体的には、光二量化反応が生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応が生じることによって配向規制力を発現する光分解型材料、光結合反応が生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、及び光分解反応と光結合反応とが生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。本実施の形態においては、上述した光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、安定性及び反応性(感度)等の観点から光二量化型材料を用いることがより好ましい。
光二量化型材料としては、光二量化反応が生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されないが、配向規制力が良好であるという点から、光二量化反応が生じる光の波長が280nm以上のものであることが好ましく、280nm〜400nmの範囲内のものであることがより好ましく、300nm〜380nmの範囲内のものであることがさらに好ましい。このような光二量化型材料として、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又はシンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーが挙げられる。その中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、及びWO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
なお、本実施の形態において用いられる光配向材料は、1種類のみであってもよく、2種類以上を混合させて用いてもよい。
(溶媒)
配向膜組成物に用いる溶媒としては、上述した光配向材料等を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒を例示することができる。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
また、溶媒の量としては、特に限定されないが、光配向材料100質量部に対して600質量部〜3900質量部程度であることが好ましい。溶媒の量が600質量部未満であると、光配向材料を均一に溶かすことができない可能性がある。一方で、溶媒の量が3900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、基材上に配向膜組成物を塗工したときに、その残存した溶媒が基材に浸透してしまい、その結果として、光配向性と、基材に対する密着性との両方が低下する可能性がある。
配向層12の厚さとしては、液晶化合物(位相差層形成用の重合性液晶組成物)に対して所望の配向規制力を発現できる範囲内であれば特に限定されないが、50nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。配向層12の厚さが50nm未満であると、液晶化合物に対して所望の配向規制力を発現できない可能性がある。一方で、厚さが1000nmを超えると、密着性が低減する可能性がある。
<位相差層(液晶層)>
位相差層13は、重合性液晶組成物を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(棒状化合物)を含有する。なお、配向層12をパターン配向膜により構成した場合、この位相差層13は、その配向パターンに沿って形成されるため、右目用の領域に対応する第1位相差領域と、左目用の領域に対応する第2位相差領域とを有するようになる。
(液晶化合物)
重合性液晶化合物(以下、単に「液晶化合物」ともいう)は、屈折率異方性を有し、規則的に配列することにより所望の位相差性を付与する機能を有する。液晶化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶化合物を用いることがより好ましい。ネマチック相を示す液晶化合物としては、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶化合物は、柔軟性に優れるため、このような液晶化合物を用いることによって位相差フィルム1を透明性に優れたものにすることができる。
液晶化合物は、上述したように分子内に重合性官能基を有する重合性液晶化合物である。重合性官能基を有することにより、液晶化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくくなる。また、重合性液晶化合物は、分子内に三次元架橋可能な重合性官能基を有することがより好ましい。三次元架橋可能な重合性官能基を有することによりで、配列安定性をより一層に高めることができる。なお、「三次元架橋」とは、液晶性分子を互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることをいう。
重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線によって重合するものを挙げることができる。これら重合性官能基としては、ラジカル重合性官能基が挙げられる。ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例として、置換基を有する若しくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。
さらにまた、重合性液晶化合物は、末端に重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような液晶化合物を用いることにより、例えば、互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルム1を形成することができる。
また、液晶化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。例えば、液晶化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物と片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる。また、信頼性確保の観点からは両末端に重合性官能基を1つ以上有する重合性液晶化合物を用いることが好ましいが、液晶配向の観点からは両末端の重合性官能基が1つであるものを用いることが好ましい。
液晶化合物の量としては、配向層12上に塗布する塗布方法に応じて、位相差層形成用塗工液(液晶組成物)の粘度を所望の値に調整できるものであれば特に限定されないが、重合性液晶組成物中の量として5質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、10質量部〜30質量部の範囲内であることがより好ましい。液晶化合物の量が5量部未満であると、含有量が少なすぎるために位相差層13への入射光を適切に配向できない可能性がる。一方で、40質量部を超えると、重合性液晶組成物の粘度が高くなりすぎるために作業性が悪くなる。
(重合開始剤)
ここで、本実施の形態においては、重合性液晶組成物中において、互いに異なる吸収ピーク波長(感光波長)を有する2種類の光重合開始剤(第1の光重合開始剤、第2の光重合開始剤)を含有することを特徴としている。
詳しくは後述するが、このように、位相差層13において、互いに異なる波長で反応する2種類の光重合開始剤を含有させることで、異なる波長を出力する光源(異なる発光波長を有する光源)によりそれら光重合開始剤の反応時期を制御することができる。このような位相差層13により構成される位相差フィルム1によれば、その位相差層13と、位相差フィルム1に貼り付けた偏光子21との密着性を効果的に高めることができる。
(溶媒)
上述した液晶化合物等は、通常、溶媒に溶かされている。溶媒としては、液晶化合物等を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種単独であっても、2種類以上の混合溶媒であってもよい。
また、溶媒の量としては、液晶化合物100質量部に対して66質量部〜900質量部程度であることが好ましい。溶媒の量が66質量部未満であると、液晶化合物を均一に溶かすことができない可能性がある。一方で、900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、信頼性が低下する可能性があり、また均一に塗工できない可能性がある。
(他の化合物)
また、液晶組成物は、必要に応じて他の化合物を含むものであってもよい。他の化合物としては、上述した液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、界面活性剤等を挙げることができる。
例えば、界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基あるいはフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましく、その具体例としては、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロ−n−オクチル(n−ヘキシル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−ペンチル)エーテル、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−デカン、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロ−n−ドデカン、パーフルオロ−n−ドデシルスルホン酸ナトリウムや、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキルホスホン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、パーフルオロアルキルポリオキシエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素系アルキルエステル等のノニオン系界面活性剤、フルオロアルキルアンモニウムヨージド等のカチオン系界面活性剤、フルオロアルキルベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。このうち、ノニオン系界面活性剤が特に好適に用いられる。
このような界面活性剤の含有量としては、液晶化合物の配向を大きく損なわない範囲で添加することが好ましく、液晶化合物100質量部に対して0.01質量部〜1質量部程度となるように添加することが好ましい。
位相差層13の厚さとしては、所定の位相差性を達成できる範囲内あれば特に限定されるものではなく、例えば500nm〜2000nm程度とすることができる。また、位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような厚さとすることが好ましい。ここで、λは波長500nmを目安とする。これにより、位相差層13を通過する直線偏光を互いに直交関係にある円偏光にすることができるため、より精度良く3次元映像を表示できる。
≪2.位相差層(液晶層)について≫
(位相差層の構成)
位相差層13は、上述したように、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物により構成される。そして、特に、本実施の形態に係る位相差フィルム1においては、この位相差層13を構成する重合性液晶組成物中に、互いに異なる吸収ピーク波長(感光波長)を有する2種類の光重合開始剤を含有することを特徴としている。
ここで、図3に、光重合開始剤として用いることができる、α−ヒドロキシケトン系の化合物の吸収曲線を示す。また、図4に、光重合開始剤として用いることができる、α−アミノケトン系の化合物の吸収曲線を示す。さらに、図5に、光重合開始剤として用いることができる、チタノセン系の化合物の吸収曲線を示す。これら図3〜図5に一例として示すように、光重合開始剤として用いることができる各化合物は、それぞれ種々の吸収ピーク波長を有していることが分かる。
そこで、本実施の形態においては、先ず、位相差層13を、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を含有する重合性液晶組成物により構成するようにする。具体的には、例えば、図3に吸収曲線を示す、吸収ピーク波長が250nmのα−ヒドロキシケトン系「DAROCURE1173」と、図4に吸収曲線を示す、吸収ピーク波長が310nmのα−アミノケトン系「IRGACURE907」との2種類を光重合開始剤として重合性液晶組成物中に添加する。
そして、本実施の形態においては、この重合性液晶組成物からなる塗工液を配向層12上に塗工した後、異なる波長を出力する光源(露光装置)によって、その2種類の光重合開始剤の開裂等の反応時期を制御することが重要となる。すなわち、重合性液晶組成物中に添加した、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を、異なる発光波長の光源を使用することによって1種ずつ段階的に反応させるように制御する。
図6(a)〜(d)に、一般的に市販されている無電極UVランプ(フュージョン製)の発光スペクトル図を示す。また、図7に、一般的に市販されている低圧水銀ランプ(GSユアサ製)の発光スペクトル図を示す。図6(a)〜(d)に示す無電極UVランプでは、それぞれ中心発光波長を有するものの、幅広い波長域で発光を示すことが分かる。一方で、図7に示す低圧水銀ランプの場合、中心発光波長が250nmである、ほぼ単一の波長で発光を示すものであることが分かる。
そこで、本実施の形態においては、位相差層13を構成する重合性液晶組成物中に添加した2種類の光重合開始剤の吸収ピーク波長に応じて、適切な発光波長の光源を用いて露光処理を施して、それら2種類の光重合開始剤の反応時期を制御するようにする。
(光重合開始剤の反応制御、密着性向上メカニズム)
より具体的に説明すると、例えば、上述のようにα−ヒドロキシケトン系「DAROCURE1173」(吸収ピーク波長:250nm、「第1の光重合開始剤」とする)と、α−アミノケトン系「IRGACURE907」(吸収ピーク波長:310nm、「第2の光重合開始剤」とする)の2種類を添加した重合性液晶組成物からなる塗工液を配向層12上に塗工した場合、先ず、発光波長が250nmである単一波長の光源(例えば、図7に発光スペクトルを示した低圧水銀ランプ)を使用して露光処理を施す。これにより、重合性液晶組成物中に含まれるα−ヒドロキシケトン系の「第1の光重合開始剤」が反応するようになり、重合性液晶化合物の架橋重合反応が生じて塗工膜が硬化し、位相差層13が形成される。このとき、重合性液晶組成物中に含まれる、もう1種類の光重合開始剤であるα−アミノケトン系の第2の光重合開始剤は、その吸収ピーク波長が310nmであることにより、位相差層13の塗工膜の硬化に使用した、発光波長が250nmの単一波長の光源によっては反応せず、その位相差層13中に残存することになる。
次に、このようにして重合性液晶組成物の塗工膜が硬化して位相差層13が形成された位相差フィルム1に対して、その位相差層13の面にUV接着剤等の接着剤組成物を塗布し、その接着剤組成物を介して偏光子21を積層させる。そして、偏光子21を積層させた上で、所定の光源(露光装置)に基づき露光処理を施す。このとき、位相差層13では、接着剤組成物が塗布されることによって、その接着剤組成物中のモノマー成分が位相差層13中に浸透する。そして、この状態で、重合性液晶化合物中に添加して位相差層13中に反応せずに残存している、第2の光重合開始剤(α−アミノケトン系)の吸収ピーク波長を発光波長に含む露光装置を用いて露光処理を施すようにする。すると、この露光処理によって、接着剤組成物の硬化反応が生じて接着剤層20が形成されるとともに、位相差層13中に残存しているその第2の光重合開始剤が反応して、位相差層13中に浸透したモノマー成分に対して重合反応を生じさせポリマー化するようになり、このことにより、位相差層13と接着剤層20を介した偏光子21との密着性が高まる。
本実施の形態においては、このようにして、位相差層13に吸収ピーク波長の異なる2種類の光重合開始剤を添加して位相差フィルム1を作製し、その位相差フィルム1に対して接着剤層20を介して偏光子21を張り付けるようにする。これにより、その接着剤層20を介して、位相差フィルム1における位相差層13と偏光子21との密着性を効果的に高めることができる。
なお、偏光子21を積層させた上での露光処理においては、位相差層13中に残存した第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を発光波長に含むとともに、接着剤組成物の硬化反応も生じる発光波長を有する光源(露光装置)を適切に選択する。例えば、図6の発光スペクトルを示したような、幅広い波長域で発光スペクトルを有する無電極UVランプ等を用いることが好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、上述したように、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類を選択して重合性液晶組成物中に添加する。
光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線の照射により開裂等の反応が生じて、重合反応を開始させるものであれば特に限定されないが、例えば図3〜図5にて例示したようなものを用いることができる。より具体的には、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン等を例示することができる。
これら例示した光重合開始剤の中でも、2種類のうちの何れか一方は、単一の発光波長を示す光源の発光波長がその吸収ピーク波長となる光重合開始剤とすることが好ましい。例えば、図7に発光スペクトルを示した低圧水銀ランプの場合、中心発光波長が250nmである、ほぼ単一の波長で発光を示すものであり、このような単一発光波長を示す光源に合わせて、例えば250nmに吸収ピーク波長を有する光重合開始剤を2種類のうちの一つの光重合開始剤(特に、第1の光重合開始剤)として選択することが好ましい。これにより、上述した光重合開始剤の反応の制御を効果的に行うことができ、位相差層13と偏光子21との密着性をより効果的に高めることができる。
2種類の光重合開始剤を選択することにおいて、上述したように異なる吸収ピーク波長を有する2種類を選択すれば特に限定されないが、その吸収ピーク波長の差が30nm以上であることが好ましく、50nm以上の差となることがより好ましい。このように、2種類の光重合開始剤の吸収ピーク波長の差が、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上であることによって、それら光重合開始剤の反応の制御をより効果的に行うことができ、位相差層13と偏光子21との密着性をより一層に高めることができる。
重合性液晶組成物中における光重合開始剤の含有量としては、液晶化合物の配向を大きく損なわない範囲内であれば特に限定されないが、それぞれの光重合開始剤を、液晶化合物100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部程度の範囲で含有させることが好ましく、0.5質量部〜7質量部程度の範囲であることがより好ましく、1質量部〜5質量部程度の範囲であることが特に好ましい。それぞれの光重合開始剤の含有量が液晶化合物100質量部に対して0.1質量部未満であると、十分な重合反応を生じさせることができず、2種類の光重合開始剤の反応制御に基づく位相差層13と偏光子21との密着性の向上効果が得られない可能性がある。一方で、それぞれの光重合開始剤の含有量が10質量部を超えると、位相差層が変色し、液晶化合物の配向に影響を与える可能性がある。
≪3.位相差フィルムの製造方法、光学フィルムの製造方法≫
以下、上述した位相差フィルム1の製造方法、及び、その位相差フィルム1に偏光子21を貼り付けた光学フィルム2の製造方法について説明する。
<位相差フィルムの製造方法>
図8は、位相差フィルム1の製造方法(位相差フィルム作製工程S1)の流れを示すフロー図である。この図8に示すように、位相差フィルム1は、まず、ロールに巻き取った長尺の透明フィルム材からなる基材11が提供される(S11)。
次に、配向層形成工程S12において、基材11をローラより送り出して、その基材11上に配向層形成用の塗工液(配向膜組成物)を塗工し、例えば光配向材料膜等からなる配向膜が基材11上に形成される。例えば、光配向材料膜は、各種の製造方法を適用することができ、光配向材料をベンゼン等の溶媒に溶解させた成膜用液体をダイコート法等により塗布した後、乾燥して作製される。そしてその後、露光処理により紫外線を照射して硬化させることによって、配向層12を形成する。
次に、配向層12を塗工して得られた塗膜を乾燥させた後、所定の発光波長を有する光源(露光装置)及びワイヤーグリッドを用いて偏光紫外線を照射し所定の配向規制力を所定の位置に保持させる。
塗工液の塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、上述したダイコート法のほか、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
次に、重合性液晶組成物塗工工程S13において、液晶化合物を含有する重合性液晶組成物の塗工液(位相差層形成用塗工液)を配向層12上に塗工し、その後、乾燥機等を用いて塗工液を乾燥させる。なお、配向層12上に塗工液を塗工した後、形成される位相差層13の層厚を均一にするためのレベリング処理を施すようにしてもよい。
この重合性液晶組成物塗工工程S13において、配向層12上に塗工した重合性液晶組成物の塗工液(塗膜)を乾燥させることによって、その液晶化合物を所望の方向に配列させることができる。乾燥処理における条件としては、液晶化合物を液晶相形成温度以上に加温することができれば特に限定されず、塗膜に残留する溶媒量に応じて適宜調整すればよい。例えば、塗膜に当てる乾燥風の風速として、3m/秒以下とすることができ、好ましくは0.5m/秒以下とすることができる。
また、乾燥処理の温度条件としては、使用した液晶化合物の液晶→等方相転移温度にもよるが、例えば40℃〜150℃程度の範囲内とすることができ、好ましくは50℃〜120℃の範囲内とし、より好ましくは55℃〜110℃の範囲内とすることができる。また、乾燥時間としては、例えば0.2分〜30分程度の範囲内とすることができ、好ましくは0.5分〜20分の範囲内とし、より好ましくは1分〜10分の範囲内とすることができる。このような乾燥条件とすることで、塗膜内の溶媒を安定的に除去できる。
なお、重合性液晶組成物の塗工液の塗工方法としては、上述した配向膜組成物の塗工液の塗工方法と同様に、ダイコート法、グラビアコート法等により行うことができる。
次に、重合性液晶組成物を塗工して得られた塗膜を乾燥させた後、位相差層形成工程(硬化処理工程)S14において、所定の発光波長を有する光源(露光装置)を用いて紫外線等の活性エネルギー線を照射して露光処理を施すことにより、重合性液晶組成物の塗膜を硬化させて位相差層(液晶層)13を形成する。
ここで、本実施の形態においては、上述したように、配向層12上に塗工する重合性液晶組成物中に、互いに異なる吸収ピーク波長(感光波長)を有する2種類の光重合開始剤を含有し、これにより位相差層13を形成することを特徴としている。そして、本実施の形態においては、先ず、この硬化処理工程S14において、重合性液晶組成物中に含有させた2種類の光重合開始剤のうちの第1の光重合開始剤の吸収ピーク波長を発光波長として含み、第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を発光波長として含まない活性エネルギー線(紫外線等)を照射する光源(露光装置)を使用して露光処理を施すようにする。
このことにより、この硬化処理工程S14では、重合性液晶組成物中に含まれる第1の光重合開始剤のみが反応するようになり、その光重合開始剤の反応に基づいて重合性液晶化合物の架橋重合反応が生じて塗工膜が硬化し、位相差層13が形成される。なお、このとき、重合性液晶組成物中に含まれる、もう1種類の光重合開始剤である第2の光重合開始剤は、硬化処理に用いた露光装置の発光波長とは異なる波長を吸収ピーク波長として有するものであるため、反応せずに位相差層13中に残存することになる。
活性エネルギー線の光源としては、例えば紫外線を照射する場合には、図6及び図7で示したような所定の発光波長を有する光源を用いることができる。より具体的には、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を例示することができる。なお、配向層形成工程(S12)における露光処理でも、同様の光源を用いることができる。
また、活性エネルギー線の照射量(積算光量)としては、重合性液晶組成物中に添加した光重合開始剤を有効に開裂等の反応を生じさせて、架橋重合反応を効果的に生じさせることができれば特に限定されないが、例えば、5mJ/cm〜500mJ/cmの範囲内であることが好ましく、7mJ/cm〜300mJ/cmの範囲内であることがより好ましい。
また、塗膜に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射する際、その塗膜の温度が一定となるように温度調節することが好ましい。薄膜の温度としては、15℃〜90℃であることが好ましく、15℃〜60℃であることがより好ましい。温度調節の方法としては、一般的な加熱・冷却装置等の温度調節装置を用いる方法を挙げることができる。
以上のようにして硬化処理を施すことによって、重合性液晶組成物中の液晶化合物が互いに重合して網目(ネットワーク)構造の状態にすることができ、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成することができる。そして、この位相差層13を形成することによって、基材11/配向層12/位相差層13がこの順で積層されてなるフィルムを製造することができる。なお、得られたフィルムを巻き取りリール等で巻き取った後、所望の大きさに切り出す切断処理を行うことによって、位相差フィルム1が作製される。
<光学フィルムの製造方法>
続いて、上述のようにして製造された位相差フィルム1に偏光子21を貼り付けた光学フィルム2の製造方法について説明する。図9は、この光学フィルム2の製造工程の流れを示すフロー図である。なお、上述した位相差フィルム1の製造工程(位相差フィルム作製工程S1)と併せてフロー図に示す。
この図9に示すように、位相差フィルム1を作製した後(位相差フィルム作製工程S1の後)、偏光子積層工程S2において、その位相差フィルム1の位相差層13の面に、UV接着剤等からなる接着剤層20を構成する接着剤組成物を塗布し、続いて、その塗布した接着剤組成物(未硬化状態の接着剤組成物)上に偏光子21を積層させる。このとき、本実施の形態においては、位相差層13の面に接着剤組成物が塗布されることにより、その接着剤組成物中のモノマー成分が位相差層13中に浸透する。なお、未硬化状態とは、硬化完了前の状態であり、完全未硬化、または部分硬化でもよい。
次に、接着剤組成物上に偏光子21を積層させた状態で、接着剤層形成工程(硬化処理工程)S3において、所定の発光波長を有する光源を用いて紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより接着剤組成物の塗膜を硬化させて、接着剤層20を形成する。
ここで、上述したように位相差層13では、接着剤組成物中のモノマー成分が位相差層13中に浸透しているとともに、重合性液晶化合物中に添加したもう1種類の光重合開始剤である第2の光重合開始剤が反応せずに残存している。そこで、この接着剤層形成工程S3では、位相差層13中に残存した第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を発光波長に含むとともに、接着剤組成物の硬化反応も生じるような発光波長を有する光源(露光装置)を用いて露光処理を施すようにする。すると、この露光処理により位相差層13中に残存しているその第2の光重合開始剤が反応して、位相差層13中に浸透したモノマー成分に対して重合反応を生じさせポリマー化するようになる。そして、それとともに、接着剤組成物の塗膜が硬化して接着剤層20が形成される。本実施の形態においては、このようにすることにより、その接着剤組成物からなる接着剤層20を介して、位相差フィルム1における位相差層13と偏光子21とが密着することになる。
以上のような工程に基づき、位相差フィルム1に偏光子21を貼り合せた光学フィルム2を作製することができる。特に、本実施の形態に係る光学フィルム2では、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を位相差層13に含有させた位相差フィルム1を用いている。このことから、上述したように、高温高湿の環境下であっても、その位相差層13と偏光子21との間での剥離を抑制して、高い密着性でもって偏光子21を張り合わせることができる。また、このように、位相差層13と偏光子21との間での剥離を抑制できることから、リワーク性も高めることができる。
また、本実施の形態に係る光学フィルム2においては、従来のように、位相差フィルムと偏光子とを貼り合せるに際して、保護フィルムやプライマー等を介していない。このことから、その保護フィルムやプライマーを積層させる分だけ、光学フィルム全体の厚みをより薄くすることができ、近年の光学フィルムにおける薄型化の要求に対して十分に応えることができる。
さらに、例えば特許文献1に開示された、位相差フィルムと偏光子とをプライマー層を介して積層させた光学フィルムでは、特に位相差フィルムにおける配向層をパターン配向膜で構成した場合に、3次元表示する際に重要なパターンの寸法が制御し難くなる傾向があった。これに対して、光学フィルム2では、プライマー層等を用いていないことにより、形成した配向層におけるパターンを所望とする寸法に簡易に制御することができる。
≪重合性液晶組成物の調製、位相差フィルム及び光学フィルムの作製≫
[実施例1]
先ず、光二量化部位と熱架橋部位との両方を有する光配向材料(商品名:ROP−103,ロリック社製)100質量部を溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)900質量部に溶解させて配向膜組成物を得た。基材として、表面に防眩処理が施されたTAC基材(商品名:TD60UL−P,厚さ:60μm,富士フィルム社製)を用い、搬送速度を12m/minとして、そのTAC基材の裏面に配向膜組成物を硬化後の膜厚が200nmとなるようにダイコート法にて塗布した。そして、100℃に調整した乾燥機内に2分間流し、溶媒を蒸発させるとともに配向膜組成物を熱硬化させた。これによって、厚さ200nmの薄膜(配向膜)を形成した。
次に、形成した薄膜に対して、ワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して45°の方向)を原反の搬送方向と平行な方向に幅500μmのストライプパターンをクロムで合成石英上に形成したマスクを介して照射した。続いて、マスクを通さないでワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して−45°の方向)を照射し、薄膜を硬化させて配向層を形成した。なお、紫外線照射装置は、「Hバルブ」(フュージョン社製)を用いた。また、偏光紫外線の波長は313nmとし、積算光量は40mJ/cmとした。積算光量の測定は、紫外線光量計「UV−351」(オーク製作所社製)を用いて測定した。
続いて、下記式(1)で示される重合性液晶化合物を含み、さらに、光重合開始剤として、α−ヒドロキシケトン系の光重合開始剤(IRGACURE184,吸収ピーク波長:250nm)と、α−アミノケトン系の光重合開始剤(IRGACURE907,吸収ピーク波長:310nm)の2種類を、いずれも重合性液晶化合物に対する重量比3%の割合となるように添加して、重合性液晶組成物を準備した。
Figure 2015191142
この重合性液晶組成物を、ダイコート法にて配向層上に塗布し、最終的な層厚が1μmとなるようにレベリングした。そして、60℃に調整した第1の乾燥機内に1分間、95℃に調整した第2の乾燥機内に0.5分間、105℃に調整した第3の乾燥機内に0.5分間流し、室温近傍まで冷却した。そしてその後、紫外線照射装置を用いて露光処理を施して位相差層(液晶層)を形成し、位相差フィルムを得た。具体的には、紫外線照射装置として低圧水銀ランプ(中心波長:254nm、GSユアサ製)を使用し、積算光量が300mJ/cmとなるまで照射した。
次に、偏光子として、親水性高分子フィルムであるポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素/ヨウ化カリウムの水溶液(濃度0.3%)に浸漬して一軸延伸させた後に乾燥させることで得られた偏光子を準備した。また、接着剤として、カルボン酸含有ポリマーである無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル共重合体を80℃の熱水中で撹拌して固形分濃度10重量%の光硬化接着剤溶液を調製した。そして、作製した位相差フィルムに対して、その位相差層の面に、調製した光硬化接着剤を塗布し、その接着剤を介して偏光子を貼り付けた上で、紫外線照射装置を用いて露光した。このとき、紫外線照射装置としては、無電極UVランプ(Hバルブ,フュージョンUVシステムズ製)を使用して硬化させた。これにより、位相差フィルムに偏光子を貼り付けた光学フィルムを作製した。
[実施例2]
実施例2では、重合性液晶組成物として、上記式(1)で示される重合性液晶化合物を含み、さらに、光重合開始剤として、α−ヒドロキシケトン系の光重合開始剤(DAROCURE1173,吸収ピーク波長:250nm)と、チタノセン系の光重合開始剤(IRGACURE727L,吸収ピーク波長:410nm)の2種類を、いずれも重合性液晶化合物に対する重量比3%の割合となるように添加して調製した。そして、この重合性液晶組成物を用いて、ダイコート法にて配向層上に塗布し、乾燥処理を施した。なお、重合性液晶組成物以外の操作条件は実施例1と同様とした。
その後、紫外線照射装置を用いて露光して位相差層(液晶層)を形成し、位相差フィルムを得た。紫外線照射装置としては、低圧水銀ランプ(中心波長:254nm、GS YUASA製)を使用し、積算光量が300mJ/cmとなるまで照射した。
次に、実施例1と同じ偏光子及び光硬化接着剤を用いて、作製した位相差フィルムに対して偏光子を貼り付けた。このとき、実施例2では、中心波長が488nmのアルゴンレーザー照射装置(Innova300C,コヒレントジャパン製)を用いて露光し、硬化させた。これにより、位相差フィルムに偏光子を貼り付けた光学フィルムを作製した。
[比較例1]
比較例1では、重合性液晶組成物として、上記式(1)で示される重合性液晶化合物を含み、光重合開始剤としてα−ヒドロキシケトン系の光重合開始剤(IRGACURE184)のみを、重合性液晶化合物に対する重量比3%の割合となるように添加して調製した。この重合性液晶組成物を用いて、ダイコート法にて配向層上に塗布し、乾燥処理を施した。なお、重合性液晶組成物以外の操作条件は実施例1と同様とした。
その後、紫外線照射装置を用いて露光して位相差層(液晶層)を形成し、位相差フィルムを得た。紫外線照射装置としては、無電極UVランプ(Hバルブ,フュージョンUVシステムズ製)を使用し、積算光量が300mJ/cmとなるまで照射した。
次に、実施例1と同じ偏光子及び光硬化接着剤を用いて、作製した位相差フィルムに対して偏光子を貼り付けた。このとき、位相差層形成時に用いたものと同様の紫外線照射装置(Hバルブ)を用いて露光し、硬化させた。これにより、位相差フィルムに偏光子を貼り付けた光学フィルムを作製した。
≪密着性評価≫
実施例1、2及び比較例1にて作製した光学フィルムについて、位相差フィルムの位相差層(液晶層)と偏光子との間における密着性を評価した。密着性の評価は、メンディングテープ(住友スリーエム社製)を用いて、JIS K5400−8.5法に従って、クロスカットを実施することにより行った。
その結果、実施例1及び2の光学フィルムでは、位相差層又は偏光子、若しくはその両方が破断して剥離ができなかった。これに対して、比較例1の光学フィルムでは、位相差層と偏光子との間で完全に剥離してしまった。この結果から、実施例1及び2の光学フィルムでは、位相差層と偏光子との密着性が非常に高いものであることが分かる。
1 位相差フィルム
2 光学フィルム
11 基材
12 配向層
13 位相差層
20 接着剤層
21 偏光子

Claims (4)

  1. 基材と、配向層と、重合性液晶化合物を含む位相差層とがこの順で積層されてなり、
    前記位相差層が、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を含有する重合性液晶組成物により構成されていることを特徴とする位相差フィルム。
  2. 基材と、配向層と、重合性液晶化合物を含む位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルムに、該位相差層の面に接着剤層を介して偏光子が積層されてなり、
    前記位相差層が、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤を含有する重合性液晶組成物により構成されていることを特徴とする光学フィルム。
  3. 基材と、配向層と、重合性液晶化合物を含む位相差層とをこの順で積層させた位相差フィルムに対して、該位相差層の面に接着剤層を介して偏光子を積層することによって得られる光学フィルムの製造方法であって、
    前記配向層上に、前記重合性液晶化合物と、互いに異なる吸収ピーク波長を有する2種類の光重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を塗工する液晶組成物塗工工程と、
    前記光重合開始剤のうちの第1の光重合開始剤のみを反応させる紫外線を照射する第1の光源を用いて、前記重合性液晶組成物の塗膜を硬化させることによって位相差層を形成する位相差層形成工程と、
    前記位相差層を形成して得られた位相差フィルムの該位相差層の面に接着剤組成物を塗工し、該接着剤組成物の塗膜上に偏光子を積層する偏光子積層工程と、
    前記光重合開始剤のうちの第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を発光波長として含むとともに、前記接着剤組成物を硬化させる発光波長を有する紫外線を照射する第2の光源を用いて、該接着剤組成物の塗膜を硬化させることによって接着剤層を形成する接着剤層形成工程と
    を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. 前記位相差層形成工程では、第1の光源として、前記第1の光重合開始剤の吸収ピーク波長を含み、前記第2の光重合開始剤の吸収ピーク波長を除く発光波長を有する光源を用いることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
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