一局面では、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する子孫、例えば、胎児又は子供に対する危険性を決定する方法を提供する。関連した局面では、本発明は、母親又は潜在的な母親が自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する子供を持つという危険性を決定する方法を提供する。いくつかの態様では、本方法は、子孫の母親由来の生物試料において、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)からなる群から選択される12、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又はそれ以上のバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在を同定することを含み、ここで、1以上のバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在は、ASDを発症する子供の危険性の増加を示す。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2又は全てのバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2又は全てのバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)に結合する母親由来抗体の存在が決定される。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーに結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又はその両方に結合する母親由来抗体の存在が決定される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又はその両方の存在が決定される。いくつかの態様では、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)に結合する母親由来抗体の存在が決定される。
更なる局面では、本方法は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上のタンパク質に決グリコサミノグリカンする母親由来抗体の存在を子孫の母親由来の生物試料において同定することによって、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症している子孫、例えば、胎児又は子供に対する危険性、又は母親若しくは潜在的な母親が自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する子供を持つ危険性を決定する方法を提供し、ここで、1以上のタンパク質に結合する母親由来抗体の存在がASDを発症する子孫の危険性の増加を指示する。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼからなる群から選択される1以上のタンパク質に対する母親由来抗体の存在の決定が、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに対する母親由来抗体の決定と共に、又はそれとは独立して行うことができる。
いくつかの態様では、診断方法は、患者由来の生物試料と、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1Al)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)からなる群から選択される1以上のバイオマーカーの1以上のポリペプチド、又はその抗原性断片、若しくはそのミモトープとを接触させる工程を含む。1以上のバイオマーカーのポリペプチド、その抗原性断片、又はミモトープは固体支持体に結合することができ、限定されないが、マルチウェルプレート、ELISAプレート、マイクロアレイチップ、ビーズ、孔質ストリップ、ニトロセルロースメンブレンが挙げられる。
いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方のバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、ストレス誘導性リンタンパク質1(ATIP1)のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。
いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、乳酸脱水素酵素(LDH)、及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又はその両方のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又はその両方のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料は、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)のポリペプチド又はその抗原断片若しくはそのミモトープと接触される。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素は、LDH−Aサブユニットであり、すなわち、ヒト遺伝子LDHAによってコードされる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素は、LDH−Bサブユニットであり、ヒト遺伝子LDHBによってコードされる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素は、LDH−A及びLDH−Bサブユニットの両方である。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素は、4つのLDH−Aサブユニット又は4つのLDH−Bサブユニットで構成される四量体である。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素は、LDH−A及びLDH−Bサブユニットの組み合わせで構成される四量体である。いくつかの態様では、LDHはヒトLDHである。
いくつかの態様では、子孫は新生児(すなわち、最大4週間齢の生まれたばかりの子供)である。いくつかの態様では、子孫は胎児である。いくつかの態様では、胎児は母親に在胎している。生物試料は、妊娠中のいずれかの時期に母親から採取され得る。いくつかの態様では、生物試料は、胎児脳が発達し始めた後、例えば、妊娠約12週目後に採取される。いくつかの態様では、生物試料は、妊娠の第二期中に採取される。いくつかの態様では、生物試料は、妊娠の第三期中に採取される。
いくつかの態様では、胎児はまだ受胎されていない。生物試料は、胎児の受胎の残後、又は子供の誕生後に、妊娠可能年齢のいずれかの助成から採取され得る。
いくつかの態様では、該方法は、さらに、母親由来の生物試料を得る工程を含む。いくつかの態様では、母親由来の生物試料は、血液、血清、血漿、羊水、乳、及び唾液からなる群から選択される。
いくつかの態様では、母親は、ASDを患う子供を持つ。いくつかの態様では、母親は、ASDの家族歴を持つ。いくつかの態様では、母親は、自己免疫疾患の家族歴を持つ。
いくつかの態様では、母親はヒトである。
いくつかの態様では、本明細書に記載されている1以上のバイオマーカー又はその断片に結合する抗体は、例えば、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素免疫吸着アッセイ(「ELISA」)、ラジオイムノアッセイ(「RIA」)、免疫沈降、電気化学発光、マイクロアレイ、又は多層ビーズ系アッセイ(例えば、ルミネックス系又は蛍光系アッセイ)によって検出される。
更なる局面では、本発明は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)からなる群から選択される1以上の胎児バイオマーカーに対する母親由来抗体の結合をブロックする薬物を胎児の母親に投与することを含む、ASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減するための方法を提供し、それにより、母親由来抗体による1以上の胎児バイオマーカーへの結合のブロックは、ASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減する。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、3つ又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMPl)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又は両方への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又は両方への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又は両方への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又は両方への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質 1(STIP1)から選択される1つ、2つ、3つ、又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質 2(DPYSL2)の1つ又は両方への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)の1つ又は両方への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。いくつかの態様では、ジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)への母親由来抗体の結合をブロックする薬物が投与される。
いくつかの態様では、薬物は、バイオマーカーのポリペプチド又はその抗原性断片のポリペプチドである。いくつかの態様では、薬物はバイオマーカーのポリペプチドのミモトープである。
いくつかの態様では、母親由来抗体は、例えば、サブユニット又は四量体のいずれかとして、LDH−A及びLDH−Bの少なくとも1つに結合する。
さらなる態様では、本発明は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児性タンパク質への母親由来抗体の結合をブロックする薬物を胎児に母親に投与することを含む、ASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減するための方法を提供し、それにより、母親由来抗体の1以上の胎児性タンパク質への結合のブロックがASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減する。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、からなる群から選択される1以上の胎児性タンパク質に対する母親由来抗体の結合のブロックが、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに対する母親由来抗体の結合のブロックと併せて又は独立して行うことができる。
いくつかの態様では、薬物は静脈内に投与される。いくつかの態様では、薬物は経口投与される。
ブロッキング剤は、妊娠中のいずれのときでも母親に投与することができる。いくつかの態様では、ブロッキング剤は、胎児脳が発生し始めた後、例えば、妊娠の約12週後に投与される。いくつかの態様では、ブロッキング剤は、妊娠の第2期中に投与される。いくつかの態様では、ブロッキング剤は、妊娠の第3期中に投与される。いくつかの態様では、ブロッキング剤は、必要に応じて、4、8、12、16、20、24週の期間にわたって投与される。
関連する局面では、本発明は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)からなる群から選択される群から選択される1以上の胎児バイオマーカーに結合する抗体を胎児の母親から除くことを含むASDを発症する胎児の危険性の予防又は低減の方法を提供する。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、3つ、又は全てのバイオマーカーに結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーに結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーに結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又は両方に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又は両方に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又は両方に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)に結合する抗体が除かれる。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、3つ、又は全てのバイオマーカーに結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーに結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーに結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又は両方に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又は両方に結合する抗体が除かれる。いくつかの態様では、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)に結合する抗体が除かれる。
関連する局面では、本発明は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児性タンパク質に結合する抗体を胎児の母親から除くことを含む、ASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減するための方法を提供する。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児性タンパク質に対する母親由来抗体の除去が、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに対する母親由来抗体の結合の除去と共に、又はそれとは独立して行うことができる。
いくつかの態様では、1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、血液、血清、血漿、又は乳から除かれる。
いくつかの態様では、1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、血漿交換によって血漿から除かれる。
いくつかの態様では、母親の血液、血清、血漿又は乳は、固体支持体に結合された、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)からなる群から選択される1以上の胎児バイオマーカーの1以上のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープと接触される。いくつかの態様では、母親の血液、血清、血漿又は乳は、固体支持体に結合された1以上のバイオマーカーの1以上のミモトープと接触される。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、3つ、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又は両方のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又は両方のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又は両方のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又は両方のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)から選択される1つ、2つ、3つ、又は全てのポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1つ、2つ、又は全てのバイオマーカーのポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又は両方のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)の1つ又は両方のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。いくつかの態様では、ジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)のポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープは、固体支持体に結合され、母親由来の血液、血清、血漿又は乳と接触される。
いくつかの態様では、LDHはLDH−A及びLDH−Bの少なくとも1つである。
本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、妊娠中のいずれかの時期に母親から除くことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、胎児脳が発生し始めた後、例えば、妊娠の約12週後に母親から除かれる。いくつかの態様では、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、妊娠の第2期中に除かれる。いくつかの態様では、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、妊娠の第3期中に投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーに結合する抗体は、必要に応じて、4、8、12、16、20、24週の期間にわたって除かれる。
本発明の更なる態様は本明細書に記載される。
定義
他に定義されていなければ、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般に、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名、並びに細胞培養、分子遺伝学、有機化学及び核酸化学、並びに後述のハイブリダイゼーションにおける実験手法は、当該技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。標準的な技術は、核酸及びポリペプチド合成に使用される。一般に、酵素反応及び精製工程は、製造業者の使用説明書に従って行われる。上記技術及び手法は、一般に、当該技術分野における慣用的方法及び種々の一般的な参考文献(generally,Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,3rd ed.(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.and Ausubel,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,1990−2008,John Wiley Interscience)(この文献を通して提供される)に従って行われる。本明細書において使用される命名、並びに後述される分析化学及び有機合成における実験手法は、当該技術分野において周知であり、一般に使用されている。標準的な技術又はその変更は、化学合成及び化学分析に使用される。
用語「自閉症スペクトラム障害」、「自閉症スペクトル障害」、「自閉症」又は「ASD」は、相互交換可能に、繰り返される常同的行為を伴う社会的相互関係及びコミュニケーションの障害によって特徴付けられる神経発生障害のスペクトラムを意味する。自閉症は、社会的相互関係及びコミュニケーションのスペクトラムを含むが、しかし、この障害は、社会相互的相互関係及びコミュニケーションの機能的障害の程度に依存して、「高機能性自閉症」又は「低機能性自閉症」に大まかに分類され得る。「高機能性自閉症」であると診断された個人は、最小であるが識別される社会相互的相互関係及びコミュニケーションの機能的障害(即ち、アスペルガー症候群)を有する。自閉症スペクトラム障害に関する更なる情報は、例えば、Autism Spectrum Disorders:A Research Review for Practitioners,Ozonoff, et al.,eds.,2003,American Psychiatric Pub;Gupta,Autistic Spectrum Disorders in Children,2004,Marcel Dekker Inc;Hollander,Autism Spectrum Disorders,2003, Marcel Dekker Inc;Handbook of Autism and Developmental Disorders,Volkmar,ed.,2005,John Wiley;Sicile−Kira and Grandin, Autism Spectrum Disorders:The Complete Guide to Understanding Autism,Asperger’s Syndrome,Pervasive Developmental Disorder,and Other ASDs,2004,Perigee Trade;and Duncan,et al.,Autism Spectrum Disorders[Two Volumes]:A Handbook for Parents and Professionals,2007,Praegerに見出すことができる。
用語「乳酸脱水素酵素」又は「LDH」は、相互交換可能に、NADH及びNAD+の同時相互交換によるピルビン酸塩及び乳酸塩の同時相互交換を触媒する酵素を意味する。
乳酸脱水素酵素は、4つの異なる酵素クラスで存在する。これらのうちの2つは、D−乳酸塩(EC1.1.2.4)又はL−乳酸塩(EC1.1.2.3)のいずれかに各々が作用するチトクロームc依存性酵素である。他の2つは、D−乳酸塩(EC1.1.1.28)又はL−乳酸塩(EC1.1.1.27)のいずれかに各々が作用するNAD(P)依存性酵素である。LDH酵素は、4つのサブユニットで構成され、そのサブユニットは「M」又は「H」のいずれかである。LDHA遺伝子はMサブユニットをコードし、相互交換可能にLDH−M又はLDH−Aとして知られている。LDHB遺伝子はHサブユニットであり、相互交換可能にLDH−H又はLSH−Bとして知られている。5つのLDHアイソザイムが存在し、各々は4つのサブユニットを含む。骨格筋及び肝臓の主要なLDHアイソザイムであるLDH−5(M4)は、4つの筋(M)サブユニットを有し;一方、LDH−1(H4)は、大部分において、心筋の主なアイソザイムであり、4つの心(H)サブユニットを含む。他の改変体は、両対応のサブユニットを含み、例えば、網内系におけるLDH−2(H3M1)、肺におけるLDH−3(H2M2)、及び腎臓におけるLDH−4(H1M3)を含む。LDH−2は血清における優勢形態である。また、LDHAはLDH1、LDH筋サブユニット、LDH−M、EC1.1.1.27腎癌抗原mNY−REN−59、細胞増殖誘導性遺伝子19タンパク質、PIG19及びL−乳酸脱水素酵素A鎖として知られている;LDHBはLDH2又はLDH−H又はTRG−5として知られる;LDHCは精巣特異的である。
構造的に、LDH−Aアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NM 005566.3→NP005557.1(アイソフォーム1);NM 001135239.1→NP 001128711.1(アイソフォーム2);NM 001165414.1→NP 001158886.1(アイソフォーム3);NM 001165415.1→NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNM 001165416.1→NP 001158888.1(アイソフォーム5)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、LDH−A核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号BC067223;CR604911;BC051361;X02152.1;NM 005566.3→NP 005557.1(アイソフォーム1);NM001135239.1→NP 001128711.1(アイソフォーム2);NM 001165414.1→NP 001158886.1(アイソフォーム3);NM 001165415.1→NP 00158887.1(アイソフォーム4;又はNM 001165416.1→NP 001158888.1(アイソフォーム5)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
構造的に、LDH−Bアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 002300.6→NP 002291.1(改変体1);又はNM 001174097.1→NP 001167568.1(改変体2)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、LDH−B核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号BC002361.1;Y00711.1;NM 002300.6→NP 002291.1(改変体1);又はNM 001174097.1→NP 001167568.1(改変体2)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「コラプシン反応媒介タンパク質1」又は「CRMP1」(DRP1;DRP−1;CRMP−1;DPYSL1;ULIP−3としても知られている)は、神経分化及び軸索ガイダンスにおいて機能するものとして知られる細胞質リンタンパク質を意味する。CRMP1は、神経系に専ら発現している細胞質リンタンパク質のファミリーのメンバーである。コードされたタンパク質は、神経発生中にセマホリン誘導による成長円錐の崩壊に関与したセマホリンシグナル伝達経路の一部であると考えられている。選択的スプライシングは多重転写改変体をもたらす。構造的に、CRMP1アミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 001014809.1→NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNM 001313.3→NP 001304.1(アイソフォーム2)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、CRMP1核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 001014809.1→NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNM 001313.3→NP 001304.1(アイソフォーム2)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「ストレス誘導性リンタンパク質1」又は「STIP1」(Hsp70/Hsp90組織化タンパク質(HOP1)、STI1、STIL1、IEF−SSP−3251及びP60としても知られる)は、HSP70及びHSP90のフォールディングを支援するアダプタータンパク質を意味する。また、STIP1は、HSP90のATPase活性を阻害しながら、HSP70のATPase活性を刺激し、これは調節的役割を示唆する。さらに、STIP1は、細胞プリオンタンパク質PrPcに結合し、短期及び長期記憶強化を制御する。構造的に、STIP1アミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 006819.2→NP 006801.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、STIP1核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 006819.2→NP 006810.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「グアニン脱アミノ酵素」及び「GDA」(シピン、グアナーゼ、KIAA1258、MGC9982及びネダシンとしても知られる)は、グアニンの加水分解的脱アミノ化を触媒し、キサンチン及びアンモニアを得る酵素を意味する。また、GDAはPSD−95シナプス後標的を制御することが示されている。構造的に、GDAアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 004293.3→NP 004284.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、GDA核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 004293.3→NP 004284.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2」又は「DPYSL2」(CRMP−2又はCRMP2としても知られる)は、軸索特定化中に軸索においてSema3Aの反発効果を媒介することによる軸索ガイダンスに関与したタンパク質を意味する。構造的に、DPYSL2アミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 001386.4→NP 001377.1又はBAD92432と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、DPYSL2核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 001386.4→NP 001377.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Zのアルファサブユニット」又は「キャッピングタンパク質(アクチンフィラメント)筋Z線、アルファ2」又は「CAPZA2」(CAPPA2、CAPZ)としても知られる)は、Fアクチンキャッピングタンパク質アルファサブユニットファミリーのメンバーを意味する。CAPZA2は、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Zのアルファサブユニットである。アクチンフィラメントの反矢じり端をキャッピングすることによって、Cap Zは、反矢じり端でアクチンフィラメントの成長を制御する。構造的に、CAPZA2アミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 006136.2→NP 006127.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、CAPZA2核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 006136.2→NP 006127.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「Yボックス結合タンパク質1」又は「YBX1」(BP−8、CSDA2、CSDB、DBPB、MDR−NF1、MGC104858、MGC110976、MGC117250、NSEP−1、NSEP1、YB−1及びYB1としても知られる)は、プレmRNA選択的スプライシング制御を媒介するタンパク質を意味する。YBX1は、プレmRNAにおけるスプライス部位に結合し、スプライス部位選択を制御し;細胞質mRNAに結合し安定化させ;mRNAと真核生物イニシエーション因子との間の相互作用を調節することによって翻訳の制御に貢献し;例えば、HLAクラスII遺伝子に見出される、Y−box(5’−CTGATTGGCCAA−3’)を含むプロモータに結合し;ミスマッチを含み、又はシスプラチンによって調節されるDNA鎖の分離を促進する。構造的に、YBX1アミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 004559.3→NP 004550.2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、YBX1核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 004559.3→NP 004550.2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「真核生物翻訳及び伸長因子1A1」及び「EEF1A1」は、アミノアシルtRNAをリボソームに輸送する伸長因子−1複合体のアルファサブユニットのアイソフォームを意味する。1A1アイソフォームは、脳、胎盤、肺、肝臓及び膵臓に発現され、フェルティ症候群の症例の66%において自己抗原である。フェルティ症候群は、関節リウマチ、脾腫及び好中球減少症の合併によって特徴付けられる。構造的に、EEF1A1アミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 001402.5→NP 001393.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、EEF1A1核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 001402.5→NP 001393.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「微小管結合タンパク質Tau」及び「MART」(DDPAC、FLJ31424、MAPTL、MGC138549、MSTD、MTBT1、MTBT2、PPND及びTAUとしても知られる)は、転写物が複合を受けるタンパク質を意味し、成熟状態及びニューロンタイプに基づくニューロンにおいて見出される様々な範囲の異なるMART mRNA転写物へと導く選択的スプライシングを調節する。突然変異又は有害なスプライス変異は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、クック病、前頭側頭認知症、大脳皮質基底核変性症及び進行性核上麻痺と関連する。構造的に、MARTアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 016835.4→NP 058519.3(アイソフォーム1);NM 005910.5→NP 005901.2(アイソフォーム2);NM 016834.4→NP 058518.1(アイソフォーム3);NM 016841.4→NP 058525.1(アイソフォーム4);NM 001123067.3→NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNM 001123066.3→NP 001116538.2(アイソフォーム6)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、MART核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 016835.4→NP 058519.3(アイソフォーム1);NM 005910.5→NP 005901.2(アイソフォーム2);NM 016834.4→NP 058518.1(アイソフォーム3);NM 016841.4→NP 058525.1(アイソフォーム4);NM 001123067.3→NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNM 001123066.3→NP 001116538.2(アイソフォーム6)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「ダイナミン1様タンパク質」及び「DNM1L」(DLP1、DRP1、DVLP、DYMPLE、HDYNIV及びVPS1は、細胞質におけるミトコンドリア小管の分布を調節するミトコンドリア形態において役割を果たすGTPaseのダイナミンファミリーのメンバーを意味する。DNM1L遺伝子は、選択的にポリアデニル化される3つの選択的にスプライシングされた改変体を生成する。構造的に、DNM1Lアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 012062.3→NP 036192.2(アイソフォーム1);NM 012063.2→NP 036193.2(アイソフォーム2);NM 005690.3→NP 005681.2(アイソフォーム3)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、DNM1L核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 012062.3→NP 036192.2(アイソフォーム1);NM 012063.2→NP 036193.2(アイソフォーム2);NM 005690.3→NP 005681.2(アイソフォーム3)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「神経フィラメント軽鎖ポリペプチド」及び「NEFL」(CMT1F、CMT2E、NF−L及びNFLとしても知られる)は、軽鎖、中鎖、及び重鎖で構成されるIV型中間体フィラメントヘテロポリマーを意味する。NEFLは、軸索骨格のコンポーネントであり、神経形態を維持するように機能し、軸索及び樹状突起への細胞内輸送における役割を果たし得る。NEFLにおける突然変異は、ともに末梢神経系障害であるシャルコー・マリー・ツース病1F型(CMT1F)及び2E(CMT2E)を引き起こす。また、NEFLはパーキンソン病及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)と関連している。構造的に、NEFLアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 006158.3→NP 006149.2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、NEFL核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 006158.3→NP 006149.2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「ラディキシン」又は「RDX」(DFNB24としても知られる)は、細胞膜へのアクチン連結に関与した細胞骨格タンパク質を意味する。RDXは、エキシリン及びモエシンに対して高い配列同一性を有する。構造的に、RDXアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 002906.3→NP 002897.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、RDX核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 002906.3→NP 002897.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「モエシン」及び「MSN」及び「膜形成伸長スパイクタンパク質」は、エジリン及びラディキシンを含むERMファミリーのメンバーを意味する。ERMタンパク質は、細胞膜とアクチン系細胞骨格との間の架橋として機能する。モエシンは、細胞−細胞間認識及びシグナリング、及び細胞運動に重要な糸状仮足及び他の膜突出部に局在化する。構造的に、MSNアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 002444.2→NP 002435.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、MSN核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 002444.2→NP 002435.1と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「エリジン」及び「EZR」(CVL;CVIL;VIL2;MGC1584;FLJ26216;DKFZp762H157としても知られる)は、微絨毛におけるタンパク質−チロシンキナーゼ基質として機能する細胞質末梢膜タンパク質を意味する。ERMタンパク質ファミリーのメンバーとして、このタンパク質は、細胞膜とアクチン細胞骨格との間の中間体として機能を果たす。EZRタンパク質は、細胞表面構造接着、移動及び組織化において役割を果たし、種々のヒト癌と関与している。構造的に、EZRアミノ酸配列は、ポリペプチドの少なくとも50、100、150、200、250、300、350アミノ酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 003379.4→NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNM 001111077.1→NP 001104547.1(アイソフォーム2)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。構造的に、MSN核酸配列は、ポリヌクレオチドの少なくとも300、500、750、1000核酸又は全長と比較して、例えば、GenBank受入番号NM 003379.4→NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNM 001111077.1→NP 001104547.1(アイソフォーム2)と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列アラインメントは、当該技術分野において知られている任意のアラインメントアルゴリズム、例えば、BLAST、ALIGNを行うことができ、デフォルト設定にすることができる。
用語「単離された」とは、核酸又はタンパク質に適用される場合、核酸又はタンパク質が天然状態において結合される他の細胞成分を本質的に含まないことを指す。好ましくは均一な状態である。それは、乾燥又は水溶液の状態であってもよい。精製及び均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高性能液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を用いて決定される。調製物に存在する優勢種であるタンパク質は実質的に精製されている。具体的には、単離された遺伝子は、遺伝子を側面に位置し、対象の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。用語「精製された」とは、核酸又はタンパク質が、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを指す。特に、核酸又はタンパク質は、少なくとも85%純度、より好ましくは少なくとも95%純度、最も好ましくは少なくとも99%純度であることを意味する。
用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」とは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、及び一本鎖形態又は二本鎖形態のいずれかであるそれらのポリマーを意味する。具体的に限定されない限り、この用語は、参照核酸と類似する結合特性を有し、かつ天然に存在するヌクレオチドと類似する様式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知類似体を含む核酸を包含する。他に指示がなければ、特定の核酸配列はまた、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、及び相補配列、並びに明示的に示される配列を暗示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、選択された1つ以上(又は全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を作製することによって達成され得る(Batzer et al,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」とは、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書中で互換可能に使用される。これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学模倣物である、アミノ酸ポリマー;並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー;及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに当てはまる。
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びにその天然に存在するアミノ酸と類似する様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を意味する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸、並びに、後に修飾されたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、及びO−ホスホセリン)である。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造(すなわち、水素に結合しているα炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基)を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を意味する。このような類似体は、改変型R基を有する(例えば、ノルロイシン)か又は改変型ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似する様式で機能する、化合物を意味する。
用語「保存的に改変された改変体」とは、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に当てはまる。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のアミノ酸配列若しくは本質的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸を指し、又はその核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、2つの本質的に同一である配列を指す。遺伝コードの縮重が原因で、非常に多数の異なる核酸が、所定の任意のタンパク質をコードし得る。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及びGCUは全て、アミノ酸であるアラニンをコードする。従って、アラニンがコドンによって特定されるどの位置でも、そのコドンは、コードされるポリペプチドを変化させることなく、記載される対応するコドンのうちのいずれかに変更され得る。そのような核酸変化形(variation)は、「サイレント変化形」であり、これは、保存的に改変された改変形のうちの一種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のどの核酸配列もまた、その核酸のあらゆる可能なサイレント変化形を記載する。当業者は、核酸中の各コドン(本来メチオニンについての唯一のコドンであるAUGと、本来トリプトファンについての唯一のコドンであるAUGを除く)が、機能的に同一である分子を生じるように改変され得ることを認識する。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変化形が、記載される各々の配列において暗示される。
アミノ酸配列に関して、コードされる配列における1つのアミノ酸又は少数のアミノ酸を変化、付加、若しくは欠失する、核酸配列、ペプチド配列、ポリペプチド配列、又はタンパク質配列に対する個別の置換、欠失、若しくは付加は、その変化が、化学的に類似するアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす場合に、「保存的に改変された改変体」であることを、当業者は認識する。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野で周知である。そのような保存的に改変された改変体は、本発明の多型改変体、種間ホモログ、及び対立遺伝子に加えて存在し、これらの本発明の多型改変体、種間ホモログ、及び対立遺伝子を排除しない。
以下の8つのグループの各々は、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照のこと)。
「配列同一性のパーセンテージ」とは、比較ウィンドウ全体で2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され、ここで、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントについて、付加及び欠失を含まない参照配列(例えば、本発明のポリペプチド)を比較して付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含む場合がある。パーセンテージは、合致した位置の数を得るために、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両配列において生じる位置の数を決定し、比較ウィンドウにおける全位置数で合致した位置数を除して、配列同一性のパーセンテージを得るためにその結果を100倍することによって計算される。
用語「同一な」又は「同一性」パーセンテージは、2以上の核酸又はポリペプチドに照らして、同配列である2以上の配列又はサブ配列を指す。2つの配列が、比較ウィンドウ全体で最大対応について比較及び整列され、次の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、又は手動アラインメント及び目視検査によって測定される領域を指定する場合に、同一(即ち、特定された領域全体で、又は特定されない場合には、参照配列の全配列全体で70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%配列同一性)であるアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定されたパーセンテージを有する。本発明は、本明細書に例示された、それぞれポリペプチド又はポリヌクレオチドに実質的に同一であるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)、及びその抗原性断片からなる群から選択されるバイオマーカー)を提供する。場合により、同一性は、長さにして少なくとも約15、25又は50ヌクレオチドである領域全体で、あるいはより好ましくは長さにして100〜500又は1000若しくはそれを超えるヌクレオチドである領域全体で、あるいは参照配列の全長の全体で存在する。アミノ酸配列について、同一性又は実質的な同一性は、長さにして少なくとも5、10、15又は20アミノ酸、場合により長さにして少なくとも約25、30、35、40、50、75又は100アミノ酸、場合により長さにして少なくとも150、200又は200アミノ酸である領域全体で、あるいは参照配列の全長の全体で存在し得る。短いアミノ酸配列、例えば、20以下のアミノ酸のアミノ酸配列について、実質的な同一性は、本明細書において定義される保存的置換に従って、1又は2個のアミノ酸残基が保存的に置換される場合に存在する。
配列の比較について、典型的には、1つの配列は、試験配列と比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列及び参照配列は、コンピュータ中に入力され、サブ配列の座標が設計され、そして必要な場合、配列アルゴリズムプログラムのパラメータが設計される。デフォルトプログラムのパラメータが使用され得るか、又は代替的パラメータが設計され得る。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて参照配列に対する試験配列についての配列同一性%を計算する。
本明細書で使用するとき、「比較ウィンドウ」は、20〜600、通常には約50〜約200、より通常には約100〜約150からなる群より選択される連続する位置の数のいずれか1つのセグメントに対する参照を含み、ここで、配列は、2つの配列が最適に整列された後、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る。比較のための配列アラインメントの方法は、当該分野において周知である。比較のための最適な配列のアラインメントは、例えば、Smith及びWaterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局在相同性アルゴリズムによるか、Needleman及びWunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによるか、Pearson及びLipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法によるか、これらのアルゴリズムのコンピュータ化されたインプリメンテーション(Winsconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison WIのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)によるか、又は手動アラインメント及び可視的検査により(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1995、補遺を参照のこと)、行われ得る。
配列同一性%及び配列類似性%を決定するのに適切なアルゴリズムの2つの例は、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれAltschulら、Nuc.Acids Res.25:3389−3402(1977)及びAltschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990)において記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて公に利用可能である。このアルゴリズムは、問い合わせ配列における長さWの短いワード(単語)(word)を同定することによって、高スコア配列対(HSP)を第1に同定することを含み、このHSPは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列される場合、いくつかの正の値の閾値スコアTに一致するか又はそれを満たすかのいずれかである。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。このワードヒットを、累積アラインメントスコアが増大し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致した残基対の報酬(reward)スコア;常に0より大きい)及びN(一致しない残基のペナルティースコア;常に0より小さい)を用いて算出される。アミノ酸配列について、スコア付けマトリクスが、累積スコアを算出するために使用される。各方向におけるそのワードヒットの伸長は、以下の場合停止される:累積アラインメントスコアが、最大達成値から量Xが減少する場合;1つ以上の負のスコア残基アラインメントの蓄積に起因して、累積スコアが、ゼロ以下になる場合;又は、いずれかの配列の末端が届いた場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速さを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長、10の期待値(E)、及び50のBLOSUM62のスコア付けマトリクス(Henikoff及びHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照のこと)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を用いる。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析を行う(例えば、Karlin及びAltschul、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873−5787(1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の尺度の1つは、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の間の一致が偶然生じる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、参照核酸と試験核酸との比較における最小合計確率が、約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満である場合、参照配列と類似であると考えられる。
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であることの指標は、第1の核酸にコードされるポリペプチドが、以下に記載されるように、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対して惹起された抗体と免疫交差反応性である。従って、ポリペプチドは、代表的には第2のポリペプチドと実質的に同一であり、例えば、ここでこの2つのペプチドは、保存的置換体のみ異なる。2つの核酸配列が実質的に同一であるという別の指標は、この2つの分子又はそれらの相補体が、以下に記載されるように、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというなお別の指標は、同じプライマーがその配列を増幅するために使用され得るということである。
用語「抗原性断片」とは、抗体に結合するポリペプチドの連続配列を指す。抗原性断片は、免疫原性であってもよく又はそうでなくてもよい。即ち、それは、免疫反応を誘導しても又はしなくてもよい。
用語「立体構造的抗原性断片」とは、連続配列によって形成されてもよく又はされなくてもよいポリペプチド又は四量体の空間的連続領域を指す。立体構造的抗原性断片は免疫原性であってもよく又はそうでなくてもよい。
用語「エピトープ」又は「抗原決定基」とは、B及び/又はT細胞がそれに対して反応するポリペプチド上の部位を指す。B細胞エピトープは、連続アミノ酸又はタンパク質の三次若しくは四次フォールディングにより近接して並べられる非連続アミノ酸の両方から形成されることができる。連続アミノ酸から形成されるエピトープは変性溶媒にさらした状態で典型的に保持され、一方、三次又は四次フォールディングにより形成されるエピトープ(構造的に決定される)は変性溶媒での処理で典型的に失われる。エピトープは、特有の空間配置において典型的には少なくとも3個、そしてより通常には少なくとも5若しくは8〜10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間配置を決定する方法には、例えば、x線結晶学及び2次元核磁気共鳴が包含される。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed(1996)を参照。同じエピトープを認識する抗体は、標的抗原への別の抗体の結合を阻止するある抗体の能力を示す簡単な免疫アッセイ(例えば、電気化学発光アッセイ、競合ELISA、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)又はブロッキングウェスタンブロット)において同定することができる。T細胞はCD8細胞では約9個のアミノ酸、又はCD4細胞では約13〜15個のアミノ酸の連続するエピトープを認識する。エピトープを認識するT細胞は、エピトープに反応した感作されたT細胞による3H−チミジンの取り込みにより決定されるような、抗原依存性増殖を測定するインビトロアッセイにより(Burke et al.,J.Inf.Dis.170,1110−19(1994))、抗原依存性致死により(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、Tigges et al.,J.Immunol.156,3901−3910)若しくはサイトカイン分泌により同定することができる。ヒト精巣特異的な乳酸脱水素酵素のエピトープは、cDNA配列から推定される。Millan,et al.,Proc.Natl Acad Sci(1987)84(15):5311−5315参照。
用語「特異的に結合する」又は「に対して特異的に指向される」とは、標的ポリペプチド又はその抗原性断片と全体的に又は部分的に、他のポリペプチドと比較して、T細胞受容体及び/又は抗体間の選択的結合を指す。当然に、ある程度の非特異的相互作用は抗体又はT細胞受容体と非標的ポリペプチドとの間に生じ得ることが認識される。それにも関わらず、特異的結合は、標的ポリペプチド又はその抗原性断片の特異的認識を通して媒介されて区別され得る。典型的には、特異的結合又は特異的に指向される免疫反応は、標的ポリペプチド又はT細胞受容体に対する抗体と非標的ポリペプチドとの間よりも、標的ポリペプチドと標的ポリペプチド又はT細胞受容体に対する抗体との間に非常に強い結合をもたらす。特異的結合は、典型的には、標的ポリペプチドのエピトープを欠損している細胞又は組織と比較して、標的ポリペプチドを有する細胞又は組織への標的ポリペプチドに対して結合した抗体(単位時間あたり)の量が約10倍を超え、最も好ましくは100倍を超えて増加するようになる。標的ポリペプチドと標的ポリペプチドに対する抗体との間の特異的結合は、一般に、少なくとも106M-1のアフィニティーを意味する。108M-1を超えるアフィニティーが好ましい。特異的結合は、当該技術分野において知られている抗体結合の任意のアッセイを用いて決定することができ、これには、限定されないが、ウェスタンブロット、ドットブロット、ELISA、フローサイトメトリー、電気化学発光、多重ビーズアッセイ(例えば、ルミネックス又は蛍光マイクロビーズ)、免疫組織化学が含まれる。標的ポリペプチドのエピトープに特異的に指向されるT細胞は、典型的には、非標的ポリペプチドに応答した抗原誘導性増殖よりも約2倍超、より好ましくは5倍又は10倍超である、標的ポリペプチドに応答した抗原誘導性増殖を示す。T細胞増殖アッセイは、当該技術分野において知られ、3H−チミジン取り込みによって測定され得る。
用語「力価」とは、標的バイオマーカー(例えば、本明細書に記載される)に特異的に結合する母親由来抗体に言及して使用されるとき、生物試料中の抗体の濃度及び特異性を組み合わせる測定を指し、この場合、標的バイオマーカーに対する抗体の閾値力価は、中程度の結合定数を有する高濃度の抗体、又は高い結合定数若しくは低い解離定数を有する低濃度の抗体を介して達成され得る。
用語「ASDを発症する危険性の増加」とは、本明細書に記載される1以上のバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)に結合する抗体、又は所定の閾値レベルを超えた、1以上のバイオマーカーに対する抗体のレベルに晒された胎児又は子供がその危険性と比較して、ASDの症状を発症する可能性又は蓋然性、1以上のバイオマーカーに対する抗体、又は所定の閾値レベルを下回る1以上のバイオマーカーに対する抗体のレベルに晒されていない胎児又は子供の可能性又は蓋然性の増加を指す。
用語「ASDを発症する危険性の減少」とは、本明細書に記載される1以上のバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)に対する抗体、又は所定の閾値レベルを超えた、1以上のバイオマーカーに対する抗体のレベルに晒された胎児又は子供(その母親は、例えば、バイオマーカーに結合する抗体をブロックし、不活性化し、又は除去するために治療的介入を受けている)が、バイオマーカーに対する抗体又は所定の閾値レベルを超える1以上のバイオマーカーに対する抗体のレベルに晒された胎児又は子供(その母親は治療的介入を受けていない)がASDの症状を発症する可能性又は蓋然性と比較して、ASDの症状を発症する可能性又は蓋然性の減少を指す。
用語「ミモトープ」とは、エピトープ(例えば、バイオマーカーに対する抗体に結合される)を模倣する、本明細書に記載される1以上のバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)のペプチド又はポリペプチドを指すが、このようなミモトープの構造又は配列と天然抗原(例えば、本明細書に記載される1以上のバイオマーカー)にエピトープとの間に明確なホモロジーが存在しない可能性がある。代わりに、ミモトープの模倣は、物理化学的特徴の類似性及び類似の空間的構造に依る。ミモトープのすくり及び構築は、当該技術分野において知られている。例えば、みもは、配列修飾によって既知のエピトープから誘導され、又は、例えば、1以上のバイオマーカーに対する抗体に結合するペプチドに対するコンビナトリアルペプチドライブラリーを用いてデノボで生じさせ得る。例えば、Yip and Ward,Comb Chem High Throughput Screen(1999)2(3):125−128;Sharav,et al,Vaccine(2007)25(16):3032−37;Knittelfelder,et al,Expert Opin Biol Ther(2009)9(4):493−506参照。
用語「家族歴」とは、ファミリーのメンバーにおいて疾患状態(例えば、ASD又は自己免疫疾患)の存在を意味する。ファミリーのメンバーは、直系親族、例えば、親、子供若しくは祖父母、又は親戚、例えば、兄弟、叔母又は叔父、いとこであってもよい。典型的には、ファミリーのメンバーは、共通の遺伝的繋がりを有する血族である。
用語「治療的に許容される量」又は「治療的に有効な投薬量」とは、相互交換可能に、副作用が最小であるか又は全くなく、所望の結果を達成するのに十分な量(即ち、標的バイオマーカーへのバイオマーカーに対する抗体の結合をブロックするのに十分な量の薬物)を指す。いくつかの態様では、治療的に許容される量は、望ましくない副作用を誘導及び引き起こさない。治療的に許容される量は、低投薬量を最初に投与し、次に、所望の効果が達成されるまでその投薬量を増加的に増やすことによって決定され得る。本発明の抗バイオマーカー抗体ブロック剤の「予防的に有効な投薬量」及び「治療的に有効な投薬量」とは、それぞれ、ASDの開始を妨げ、又はその重傷度の減少をもたらすことができる。「予防的に有効な投薬量」及び「治療的に有効な投薬量」はまた、それぞれ、母親由来の抗バイオマーカー抗体の活性に起因する障害及び疾患による機能障害又は身体障害を予防又は改善することができる。
用語「特異的に阻害する」とは、1以上のバイオマーカーへの1以上のバイオマーカー(乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン、(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)に対する抗体の結合を阻害する薬物又はリガンドの能力を指す。特異的阻害は、典型的には、バックグラウンドに対して少なくとも2倍の阻害、例えば、薬物がない場合の抗バイオマーカー抗体の結合と比較することによって、標的バイオマーカーへのバイオマーカーに対する抗体の結合の約10倍超、20倍超、50倍超の阻害をもたらす。いくつかの態様では、標的バイオマーカーへの抗バイオマーカー抗体の結合は完全に阻害される。典型的には、特異的阻害は、適切な統計的試験を用いて、標的バイオマーカーに結合する抗バイオマーカー抗体における統計的に意味ある減少である(例えば、p<0.05)。
用語「薬物」は、本明細書で使用するとき、ポリペプチド(例えば、リガンド、抗体)、ペプチド模倣体、核酸、低分子有機化合物などを指す。
発明の詳細な説明
1.導入
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、子供150人に一人程度で受ける重篤な神経発生障害である。ASDの子供の母親の一部に、訳37kDa、39kDa及び73kDaの分子量のヒト胎児脳タンパク質に対して特異性を有する母親由来IgG抗体の存在が報告されている。例えば、米国特許第7,452,681号を参照されたい。本発明は、部分的には、胎児がASDを発症する危険性の増加を指示する母親由来抗体に結合されるバイオマーカーの固有性に基づく。見掛けの分子量が37kDaであるバイオマーカーには、乳酸脱水素酵素(LDH)及び有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニットが含まれる。見掛けの分子量が39kDaであるバイオマーカーには、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、及び微小管結合タンパク質Tau(MAPT)が含まれる。見掛けの分子量が73kDaであるバイオマーカーには、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)が含まれる。母親又は潜在的な母親の生物試料中の1以上の同定された胎児バイオマーカーに対する母親由来抗体の存在は、ASDを発症する胎児の危険性の増加を指示する。
2.診断又は治療への患者対象
この方法は、任意の哺乳動物に対して行うことができ、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)、家畜哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ)、又は農業用哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ)が挙げられる。いくつかの態様では、親は女性及びヒトである。
子供を宿すことができる任意の女性は、本発明の診断方法から恩恵を受けることができる。子供は考慮されてもよく又はされなくてもよい。即ち、女性は妊娠できるが、その必要はない。いくつかの態様では、女性は、新生児である子供を有する。いくつかの態様では、女性は妊娠可能年齢である。即ち、この女性は生理が始まり、閉経に達していない。
いくつかの態様では、診断及び予防及び/又は治療法は、胎児を有する(即ち、妊娠している)女性において行われる。この方法は、妊娠中のいずれかの時期に行うことができる。いくつかの態様では、診断及び予防及び/又は治療法は、脳が発生し始めた胎児を有する女性において行われる。例えば、胎児は、妊娠の約12週又はそれ以降であってもよい。いくつかの態様では、治療又は診断を受ける女性は、妊娠の第2期及び第3期である。いくつかの態様では、治療又は診断を受ける女性は、妊娠の第1基である。いくつかの態様では、女性は分娩後、例えば、出生6カ月以内である。いくつかの態様では、女性は分娩後、授乳である。
本発明の診断及び予防及び/又は治療法から恩恵を受ける女性は、ASD又は自己免疫疾患の家族歴を有してもよいが、必ずしも必要ではない場合がある。例えば、女性は、ASDを有してもよく、又はASDを有するファミリーのメンバー(例えば、親、子供、祖父母)を有してもよい。いくつかの態様では、女性は、自己免疫疾患を被るか、又は自己免疫疾患を被る家族メンバー(例えば、親、子供、祖父母)を有する。
いくつかの態様では、診断又は予防/治療方法は、この診断及び/又は予防/治療方法が、例えば、以前の病歴又は家族の病歴又は妊娠状態又は任意の他の関連した基準に基づいて、患者に適していることを決定する段階を含む。
3.自閉症スペクトラム障害を発症する危険性を決定する方法
本発明は、胎児又は子供が自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する可能性を決定する方法を提供し、該方法は、胎児又は子供の母親由来の生物試料において、本明細書に記載される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又はそれを超えるバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)に結合する母親由来抗体の存在を同定することを含み、ここで、1以上のバイオマーカーに特異的に結合する母親由来抗体の存在は、ASDを発症する胎児又は子供の可能性の増加を指示する。
母親から採取された生物試料に関して、抗体を含む任意の流体試料を用いることができる。例えば、生物試料は、血液、血清、血漿、羊水、尿、乳又は唾液であってもよい。当然に、1以上の異なる体液は、1以上のバイオマーカーに特異的に結合する抗体について評価され得る。
生物試料は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又はそれを超えるバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)に特異的に結合する抗体の存在について評価される。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在の検出(抗バイオマーカー抗体の検出ができないことに対する)は、胎児がASDを有するか又は発症する可能性の増加を指示する。
いくつかの態様では、生物試料における抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価は、閾値レベル又は力価と対比される。閾値レベル又は力価よりも高い、生物試料における抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価は、胎児がASDを有するか又は発症する可能性の増加を指示する。同様に、閾値レベル又は力価よりも低い、生物試料における抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価は、胎児がASDを有するか又は発症する可能性の増加を指示しない。特定の生物学的液体中の抗バイオマーカー抗体の閾値レベル又は力価は、妊娠女性の集団における抗バイオマーカー抗体のレベルを評価し、子供がASDを発症した場合の母親の生物学的液体中の抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価と、子供がASDを発症していなかった母親の生物学的液体における抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価とを比較することによって決定され得る。また、閾値レベル又は力価は、妊娠中の異なる時間点、例えば、4週間毎、2週間毎又は毎週に決定することができる。閾値抗バイオマーカー抗体レベル又は力価は、子供が生まれた後、例えば、出生後の最初の4週、及び/又は母親が子供に授乳している最中に測定され得る。
抗バイオマーカー抗体の存在若しくは不存在、又は抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルは、妊娠前、妊娠中又は妊娠後に決定され得る。妊娠中に決定される場合、抗バイオマーカー抗体の検出は、必要に応じて、妊娠の経過中のいずれかの時期に、1、2、3、4、又はそれより多い回数で行うことができる。例えば、抗バイオマーカー抗体の検出は、妊娠の第1、第2及び/又は第3期の1以上において行うことができる。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の検出は、脳が発生し始める(例えば、妊娠の約12週後)胎児を有する女性由来の生物試料について行われる。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在若しくは不存在、又は抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルは、分娩後、例えば、出生後の最初の4週間及び/又は母親が子供に授乳している最中に、1回以上評価される。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在若しくは不存在、又は抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルは、妊娠前、又は妊娠していないいずれかの女性において1回以上評価される。
抗バイオマーカー抗体の存在は、必要に応じて又は所望により、1回又は1回を超えて測定されてもよい。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在若しくは不存在、又は抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルは、妊娠中の4週毎、2週毎若しくは毎週、又はおおよそしばしば、必要に応じて、評価される。
いくつかの態様では、試験試料は対照と比較される。対照は、異なる時間点で同じ個体由来であってもよい。例えば、試験試料は妊娠中に採取され得て、対照試料は妊娠前の同じ個体から採取され得る。いくつかの態様では、試験試料は認識時期の比較的遅く採取され、対照試料は妊娠時期の初期に同じ個体から採取される。この事例では、抗バイオマーカー抗体のレベルが対照試料よりも試験試料において大きい場合、胎児又は子供はASDを発症する危険性が高い。いくつかの試料が妊娠の経過全体で評価される場合、妊娠時期の全体で抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価の増加は、胎児又は子供がASDを発症する危険性の増加を示す。同様に、妊娠時期の全体で抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価の不存在又は減少は、胎児又は子供がASDを発症する危険性が低いか又は減少したことを指示する。
また、対照は、抗バイオマーカー抗体の存在について既知の状態である異なる個体由来であってもよい。また、対照は、抗バイオマーカー抗体の存在について既知の状態である個体群由来の計算値であってもよい。対照は、陽性対照又は陰性対照であってもよい。
いくつかの態様では、対照は、別の個体又は個体群由来の陰性対照である。対照試料の既知の状態が抗バイオマーカー抗体について陰性である場合、陰性対照試料よりも、試験試料における母親由来の抗バイオマーカー抗体の高いレベルは、胎児又は子供がASDを発症する危険性が増加していることを指示する。陰性対照試料に対して、試験試料における母親由来の抗バイオマーカー抗体の同レベルは、胎児又は子供が、ASDの危険性の増加ではないこと、即ち、危険性が低いか又は減少していることを指示する。
いくつかの態様では、対照は、別の個体又は個体の集団由来の陽性対照であり、あるいは対照は、抗バイオマーカー抗体の所定の閾値レベルを反映する。対照試料の既知の状態は抗バイオマーカー抗体について陽性である場合、陽性対照試料に対して、試験試料における母親由来の抗バイオマーカー抗体の同レベル又は高レベルは、胎児又は子供がASDを発症する危険性が増加していることを指示する。対照試料に対して、試験試料における母親由来の抗バイオマーカー抗体の低レベルは、胎児又は子供がASDを発症する危険性が増加していないか又は危険性が低い若しくは減少していることを指示する。
対照試料又は値と試験試料との間の相違は検出されるのに必要なだけである。いくつかの態様では、試験試料における抗バイオマーカー抗体のレベル増加、即ち、ASDの危険性の増加は、抗バイオマーカー抗体レベルが、陰性対照又は測定される前の対照と比較して、少なくとも、例えば、10%、25%、50%、1倍、2倍、3倍、4倍、又はそれを超える場合に決定される。
胎児又は子供がASDを発症する可能性の増大を診断する目的について、1以上のバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)の任意のサブタイプ、アイソフォーム又はアイソザイムに対する母親由来抗体の存在が決定され得る。例えば、抗バイオマーカー抗体の存在又は不存在、あるいはLDH−A及び/又はLDH−Bの1つ又はその両方に対する抗体の定量されたレベルを決定することができる。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在又は不存在、あるいはアイソザイムであるLDH−1、LDH−2、LDH−3、LDH−4及び/又はLDH−5の1以上に対する抗体の定量されたレベルを決定することができる。
抗バイオマーカー抗体は、当該技術分野において知られる任意の方法を用いて検出可能である。例示的な方法には、限定されないが、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、電気化学発光、多重ビーズアッセイ(例えば、ルミネックス又は蛍光マイクロビーズを用いる)が挙げられる。
抗原は、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片であってもよい。バイオマーカーポリペプチド又は抗原性断片は、天然の供給源から精製されるか若しくは実質的に精製され、又は組換え的に若しくは合成的に精製されてもよい。ポリペプチドの組換え生産についての方法は当該技術分野において知られている。例えば、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,1987−2009,John Wiley Interscienceを参照されたい。上記で検討されるように、本明細書に記載されているバイオマーカーのcDNA配列は知られ、大腸菌に組換え的に発現することができる。LDH−A及びLDH−BのcDNA配列は知られ、大腸菌に組換え的に発現され、ヒト組織から単離されたアイソザイムと同じ機能的及びコンビナトリアル的特性を維持することが見出されている。例えば、Barstow,et al.,Biochim Biophys Acta.(1990):1087(1):73−9を参照されたい。また、ポリペプチドの抗原性断片の同定は当該技術分野において周知である。例えば、長さにして少なくとも10個のアミノ酸であるバイオマーカーの部分長の断片を構築することができる。重複ペプチドを構築することができ、例えば、長さにして10、20又は30個のアミノ酸であり、同定されたバイオマーカーポリペプチドの免疫優勢エピトープを有する。いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は、バイオマーカーポリペプチドの全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%である。いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は、長さにして約10、25、50、100、150、200、250又は300アミノ酸である。部分長の断片は、除去されるバイオマーカーポリペプチドのN末端若しくはC末端、又は除去されるN末端とC末端の両方を有することができる。検出可能に及び特異的に使用することが見出せるバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は、例えば、任意のイムノアッセイによって検出されるように、母親又は潜在的な母親の生物試料からの抗バイオマーカー抗体によって結合される。部分長のバイオマーカーポリペプチド又は抗原性断片の結合は、全長のバイオマーカーポリペプチドの結合と比較することができる。バイオマーカーポリペプチドは、母親由来抗体に結合され得る限り、患者と同じであるか又は異なる種起源であり得る。いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチドはヒトである。
いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片は、本明細書に記載されるバイオマーカーポリペプチド、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NP 005557.1(アイソフォーム1);NP 001128711.1(アイソフォーム2);NP 001158886.1(アイソフォーム3);NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNP 001158888.1(アイソフォーム5)のLDHAアミノ酸配列;GenBank受入番号No.NP 002291.1(改変体1);又はNP 001167568.1(改変体2)のLDHBアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNP 001304.1(アイソフォーム2)のCRMP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006810.1のSTIP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004284.1のGDAアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001377.1又はBAD92432のDPYSL2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006127.1のCAPZA2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004550.2のYBX1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001393.1のEEF1A1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 058519.3(アイソフォーム1);NP 005901.2(アイソフォーム2);NP 058518.1(アイソフォーム3);NP 058525.1(アイソフォーム4);NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNP 001116538.2(アイソフォーム6)のMARTアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 036192.2(アイソフォーム1);NP 036193.2(アイソフォーム2);NP 005681.2(アイソフォーム3)のDNM1Lアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006149.2のNEFLアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002897.1のRDXアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002435.1のMSNアミノ酸配列;あるいは、GenBank受入番号NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNP 001104547.1(アイソフォーム2)のEZRアミノ酸配列、と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有する。
いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物試料において抗バイオマーカー抗体を検出するために使用される抗原は、バイオマーカーのミモトープである。バイオマーカーミモトープは、バイオマーカーの既知の抗原エピトープから誘導され得て、1以上のアミノ酸が置換、欠失又は付加されている。バイオマーカーミモトープは、抗バイオマーカー抗体に結合するミモトープについてペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって設計されるか又はデノボで同定され得る。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体を検出するために使用される抗原、例えば、バイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープを固体支持体に固相化することができる。固体支持体は、例えば、マルチウェルプレート、マイクロアレイチップ、ビーズ、孔質ストリップ、ニトロセルロースフィルターであり得る。固相化は、共有結合又は非共有結合を介してもよい。いくつかの態様では、固相化は、標的バイオマーカーに特異的に結合する捕捉抗体を介する。LDHに対するモノクローナル抗体及びLDHに対する抗原捕捉イムノアッセイが開発されている。例えば、Wang and Smith,J Food Science(1995)60(2):253;Druilhe,et al.,Am J Trop Med Hyg(2001)64(5,6)233−241を参照されたい。LDH(Abeam,Cambridge,MA)、GDA(Sigma)、YBX1(Abeam)、CRMP1(Abeam)、STIP1(Abeam)、及びエジリン/ラディキシン/モエシン(Cell Signalling)についての市販のポリクローナル抗体を用いて抗原捕捉アッセイを作ることができる。精製されて天然のLDH(Cell Sciences,Canton,MA)、組換え全長GDA(Abnova,Taipei,Taiwan)、組換え全長YBX1(Abnova)、組換え全長CAPZA2(Abnova)、組換え全長DPYSL2(Novus Biologicals)、組換え全長DNM1L(Abnova)、組換え全長EEF1A1(Abnova)、組換え全長MAPT(Abnova)、組換え全長NEFL(Abnova)、組換え全長CRMP1(OriGene,Rockville,MD)、及び組換え全長STIP1(Abnova)ヒトタンパク質を固体支持体に固相化し、抗バイオマーカー抗体アッセイとして使用することができる。
母親由来の抗バイオマーカー抗体の検出について、試料は、試料中に存在する任意の抗体又は自己抗体の特異的な結合を可能にするのに十分な条件下(即ち、時間、温度、試料濃度)、バイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープとともにインキュベートされる。バイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープは、固体支持体に結合され得る。例えば、バイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープは、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0時間、又は一晩、約8、10又は12時間、試料に曝露され得る。しかしながら、インキュベーション時間は、多少なりとも、例えば、抗原の組成、試料の希釈及びインキュベーション時間に依存し得る。より少なく希釈した試料及びより高い温度を用いたインキュベーションは、より短い気管で行うことができる。インキュベーションは、通常、室温(約25℃)又は生物温度(約37℃)で行われ、冷蔵庫(約4℃)で行われ得る。二次抗体の添加前に未結合試料を除くための洗浄は、既知のイムノアッセイ法に従って行われる。
標識された二次抗体は、一般に、1以上のバイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープに結合した試料中の抗体又は自己抗体を検出するために使用される。二次抗体は、異なるクラス又はアイソタイプの免疫−グロブリンIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEの定常領域又は「C」領域に結合する。通常、IgG定常領域に対する二次抗体は、本方法に使用される。また、IgGサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4に対する二次抗体は、本発明の方法における使用を見出す。二次抗体は、フルオロフォア(即ち、フルオロセイン、フィコエリトリン、量子ドット、ルミネックスビーズ、蛍光ビーズ)、酵素(即ち、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、ラジオアイソトープ(即ち、3H、32P、125I)又は化学発光部分を含む、任意の直接的又は間接的に検出可能な部分を用いて標識され得る。標識シグナルは、ビオチンとビオチン結合部分(即ち、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン)との複合体を用いて増幅され得る。蛍光標識された抗ヒトIgG抗体は、Molecular Probes,Eugene,ORから市販されている。酵素標識された抗ヒトIgG抗体は、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO及びChemicon,Temecula,CAから市販されている。
試料中の抗体又は自己抗体の存在若しくは不存在、又は存在差を検出する方法は、二次抗体の標識の選択に対応する。例えば、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片がイムノブロットに適切なメンブレン基質上に移される場合、検出可能なシグナル(即ち、ブロット)は、酵素標識を使用する場合にはデジタル撮像装置、又はラジオアイソトープ標識を使用する場合にはx線フィルムを用いて定量され得る。別の例では、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片がマルチウェルプレートに移される場合、検出可能なシグナルは、蛍光、化学発光、及び/又は発色シグナルを検出及び定量することができる自動化プレートリーダーを用いて定量され得る。このような検出方法は、当該技術分野において周知である。
一般的なイムノアッセイは当該技術分野において周知である。パラメータの最適化についてのガイダンスは、例えば、Wu,Quantitative Immunoassay:A Practical Guide for Assay Establishment,Troubleshooting,and Clinical Application,2000,AACC Press;Principles and Practice of Immunoassay,Price and Newman,eds.,1997,Groves Dictionaries,Inc.;The Immunoassay Handbook,Wild,ed.,2005,Elsevier Science Ltd.;Ghindilis,Pavlov and Atanassov,Immunoassay Methods and Protocols,2003,Humana Press; Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,1998,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Immunoassay Automation:An Updated Guide to Systems,Chan,ed.,1996,Academic Press.に見出すことができる。
母親由来の抗バイオマーカー抗体の存在又は存在の増加は、イムノアッセイにおいて検出されるシグナル(即ち、ブロット、蛍光、化学発光、呈色、放射線活性)によって示され、この場合、母親又は潜在的な母親由来の生物試料がバイオマーカー、その抗原性断片又はミモトープと接触される。検出可能なシグナルは、対照試料由来のシグナルと、又は閾値と比較される。いくつかの態様では、存在の増加は検出され、ASDの危険性の増加は、対照試料中の抗バイオマーカー抗体又は所定の閾値と比較して、試験試料中の抗バイオマーカー抗体の検出可能なシグナルが少なくとも薬10%、20%、30%、50%、75%を超える場合に指示される。いくつかの態様では、存在の増加は検出され、ASDの危険性の増加は、対照試料又は所定の閾値と比較して、試験試料中の抗バイオマーカー抗体の検出可能なシグナルが少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍又はそれを超える場合に指示される。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体決定の結果は、有形的表現媒体に記録される。例えば、本診断圧死の結果(例えば、抗バイオマーカー抗体の存在又は存在の増加の観察)、及びASDの危険性の増加が決定されるか否かの診断は、例えば、ペーパー又は電子媒体(例えば、オーディオテープ、コンピュータディスク、CD、フラッシュデバイスなど)に記録することができる。
いくつかの態様では、本方法は、抗バイオマーカー抗体決定の結果に基づいて、胎児又は子供がASDを発症する危険性が増加するかどうかの診断を患者に与える工程をさらに含む。
いくつかの態様では、母親は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又はそれを超える本明細書に記載されるバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)の結合を低下、阻害又は妨げる1以上のブロッキング剤の治療的又は予防的処方物を母親又は潜在的な母親に投与する工程をさらに含む。
更なる局面では、本発明は、子孫の母親由来の生物試料において、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上のタンパク質に特異的に結合する母親由来抗体の存在を同定することによって、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する危険性を子孫、例えば、胎児又は子供において決定するか、又は母親又は潜在的な母親が自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する子供を持つ危険性を決定する方法を提供し、ここで、1以上のタンパク質に特異的に結合する母親由来抗体の存在は、ASDの発症に対して子孫の危険性を指示する。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上のタンパク質に対する母親由来抗体の存在の決定は、本明細書に記載される1以上のバイオマーカーとともに又は独立して行うことができる。診断方法の更なる態様は本明細書に記載される通りである。
抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)を投与することによって危険性を低減する方法
さらに、本発明は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又はそれを超える本明細書に記載されるバイオマーカー(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される)に対する母親由来の結合をブロックする薬物(単数又は複数)をインビボで母親に投与することによって、胎児又は子供におけるASDを発症する危険性を予防及び/又は低減する方法を提供する。
抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)を用いる予防及び/又は治療方法は、妊娠前、妊娠中又は妊娠後の女性に与えることができる。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、妊娠中の任意の時間に、必要に応じて、1、2、3、4回又はそれを超えて投与され得る。例えば、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、妊娠の第1期、第2期及び第3期の1以上において投与され得る。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、脳が発生し始めた胎児、例えば、妊娠の約12週後の胎児を有する母親に投与される。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、分娩後、例えば、出生後の最初の4週及び/又は母親が子供に授乳している時期に1回又はそれを超えて投与される。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、妊娠前の抗バイオマーカー抗体に対して陽性である試験された女性、及び妊娠しそうである女性において1回又はそれを超えて投与される。
抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片であってもよい。バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片は、上記されるように、天然供給源から精製され若しくは実質的に精製されてもよく、又は組換え的に若しくは合成的に生成されてもよい。例えば、長さにして少なくとも10アミノ酸であり、抗バイオマーカー抗体によって結合される1以上のバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片が投与される。いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチドの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%である1以上のバイオマーカーの部分長の断片が投与される。いくつかの態様では、バイオマーカーの部分長の断片は、長さにして約50、100、150、200、250又は300個のアミノ酸である。部分長の断片は、バイオマーカーポリペプチドのN末端若しくはC末端が取り除かれていてもよく、又はN末端とC末端の両方が取り除かれていてもよい。使用を見出す1以上のバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は、母親又は潜在的な母親における抗バイオマーカー抗体によって結合される。いくつかの態様では、LDH−A及び/又はLDH−Bポリペプチドの1以上が投与される。
いくつかの態様では、LDH−1、LDH−2、LDH−3、LDH−4及び/又はLDH−5の1又はそれを超えるアイソザイムが投与される。いくつかの態様では、LDHポリペプチド又はその抗原性断片は、本明細書に記載されるLDHポリペプチド、例えば、GenBank受入番号NP 001128711、NP 005557.1、AAP36496.1、BAD96798.1、又はNP 002291.1のアミノ酸配列と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は配列同一性を有する。
いくつかの態様では、投与されるバイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片は、本明細書に記載されるバイオマーカーポリペプチド、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NP 005557.1(アイソフォーム1);NP 001128711.1(アイソフォーム2);NP 001158886.1(アイソフォーム3);NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNP 001158888.1(アイソフォーム5)のLDHAアミノ酸配列;GenBank受入番号No.NP 002291.1(改変体1);又はNP 001167568.1(改変体2)のLDHBアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNP 001304.1(アイソフォーム2)のCRMP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006810.1のSTIP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004284.1のGDAアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001377.1又はBAD92432のDPYSL2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006127.1のCAPZA2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004550.2のYBX1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001393.1のEEF1A1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 058519.3(アイソフォーム1);NP 005901.2(アイソフォーム2);NP 058518.1(アイソフォーム3);NP 058525.1(アイソフォーム4);NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNP 001116538.2(アイソフォーム6)のMARTアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 036192.2(アイソフォーム1);NP 036193.2(アイソフォーム2);NP 005681.2(アイソフォーム3)のDNM1Lアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006149.2のNEFLアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002897.1のRDXアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002435.1のMSNアミノ酸配列;あるいは、GenBank受入番号NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNP 001104547.1(アイソフォーム2)のEZRアミノ酸配列、と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有する。
いくつかの態様では、本明細書に記載されるバイオマーカーの2又はそれを超える抗原性エピトープを含む薬物が投与される。複数の薬物は、別々に又は異所に投与されてもよい。複数の薬物は、個々のペプチドのプールであってもよい。いくつかの態様では、2又はそれを超える異なるバイオマーカーエピトープは化学的に連結される。複数の抗原性エピトープは、同一であるか又は異なっているバイオマーカーポリペプチド由来であってもよい。この場合の化学的連結は、バイオマーカーエピトープの直接的な連結、又は化学的スキャフォールド若しくはリンカーの使用を介してリンケージによるものであってもよい。いくつかの態様では、2又はそれを超える異なるバイオマーカーエピトープは一緒に融合される。エピトープ融合は、組換え的に発現させるか又は化学的に合成されてもよい。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、非ペプチド低分子、即ち、抗バイオマーカー抗体と緩衝するか又はそれによって結合される「有機小分子」であってもよい。この小分子は、抗バイオマーカー抗体に直接的に、又は他の薬物(単数又は複数)にすでに結合された抗バイオマーカー抗体の特異的なクリアランスを促進することによって間接的に作用し得て、例えば、抗原性断片が含まれる。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物(単数又は複数)は、1又はそれを超える標的バイオマーカー(単数又は複数)のミモトープである。バイオマーカーミモトープは、1又は複数のアミノ酸置換、欠失又は付加を有する、1又はそれを超える既知の抗原性エピトープ由来であり得る。バイオマーカーミモトープは、1又はそれを超えるバイオマーカーに対する抗体に結合するミモトープについてのペプチド又は小分子ライブラリーをスクリーニングすることによって、デノボで設計又は画定され得る。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、ストレス誘導性リンタンパク1(STIP1)への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。
いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2又は全てのバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)から選択される1又はその両方のバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)から選択される1又はその両方のバイオマーカーへの母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。いくつかの態様では、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)への母親由来抗体の結合をブロックするポリペプチド又はミモトープが投与される。
投与される抗バイオマーカー抗体ブロッキング薬物、ポリペプチド又は小分子は、それらの免疫原性を減少又は最小にするために修飾を含んでいてもよい。バイオマーカーポリペプチド及びその抗原性断片又はバイオマーカーミモトープにおけるアミノ酸の修飾は、限定されないが、アミド部分又はピログルタミル残基又はポリエチレングリコール鎖の付加(PEG化)が含まれる。これらの修飾は、βシート立体構造を形成する傾向の減少に貢献することができ、又はペプチド安定性、可溶性及び免疫原性の減少に貢献することができる。より安定であり、可溶性であり、免疫原性が小さいペプチドが望ましい。CONH2(アミド)基によってC末端で修飾された多くのペプチドは、カルボキシペプチダーゼによる攻撃に耐性であると考えられ、N末端にピログルタミル残基を有する多くのペプチドは、幅広い特異性アミノペプチダーゼによる攻撃により耐性である。PEG化されたペプチドは、非修飾ペプチドと比較して、血漿半減期が増加し、免疫原性が減少することが示されている。さらに、ブロッキング剤の配列分析は、保存的修飾を介して既知のT細胞エピトープの最小化を可能にする。また、本発明のペプチドとして含まれるものは、カルボキシペプチダーゼとアミノペプチダーゼの両方による攻撃に耐性である環状ペプチドである。さらに、ブロッキング剤の経口投与は、免疫原性の最小化を支援することができる。
いくつかの態様では、予防及び/又は治療方法は、本明細書に記載されるように、母親又は潜在的な母親における1以上のバイオマーカーに結合する抗体の存在又はその存在の増加を最初に決定する工程を含む。抗バイオマーカー抗体の存在についての陽性であるか又は閾値を上回る試験女性は、1以上の標的バイオマーカーへの母親由来の抗バイオマーカー抗体の結合をブロックする薬物(単数又は複数)を受け入れる候補者である。抗バイオマーカー抗体の存在について陰性であるか又は閾値を下回る試験女性は、1以上の標的バイオマーカーへの母親由来の抗バイオマーカー抗体の結合をブロックする薬物(単数又は複数)を受け入れる必要がない。
本発明における使用に適した医薬組成物は、有効成分が治療的に有効量で含まれる組成物を含む。投与される組成物の量は、当然に、治療される患者、患者の体重、苦痛の重要性、投与方法、及び医師の判断に依存する。有効量の決定は、特に、本明細書に提供される詳細な説明に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、1以上の抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤の効果量又は有効量は、最初に、低投薬量又は少量の抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤を投与し、次に、投与される服用物又は投薬量を付加的に増加させ、及び/又は、所定の閾値レベルを下回る未結合若しくは遊離の抗バイオマーカー抗体の存在を排除又は低減するなどの所望の効果が、最小の毒性若しくは無毒性の又は望ましくない副作用を有する処理対象に観察されるまで、必要に応じて、第2の抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤を添加することによって決定される。本発明の医薬組成物の投与についての適切な投薬量及び投薬スケジュールを決定するための利用可能な方法は、例えば、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Ed.,Brunton,et al.,Eds.,McGraw−Hill(2006)、及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,University of the Sciences in Philadelphia(USIP),2005,Lippincott,Williams and Wilkinsに報告され、これらの両方は参照により本明細書に援用される。
投薬量及び投与間隔は、治療効果を維持するのに十分な抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)の血漿又は組織レベルを与えるために個々に調整され得る。有効量の1以上の抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤を含む組成物の1回又は複数回投与は、処置医師によって選択される投薬レベル及びパターンを用いて実施され得る。投薬量及び投薬スケジュールは、例えば、臨床医によって通常実施される方法又は本明細書に記載される方法に従って、治療過程全体で監視され得る、母親又は潜在的な母親における抗バイオマーカー抗体のレベルに基づいて決定及び調整することができる。いくつかの態様では、治療レベルは、1日1回の投薬量の投与によって達成される。他の態様では、投薬スケジュールは、1日数回の投薬スケジュールを含むことができる。なお他の態様では、1日おきに1回、週2回、又は毎週が本発明に含まれる。
例えば、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、必要に応じて、毎月、週2回、毎週又は毎日投与され得る。いくつかの態様では、母親における抗バイオマーカー抗体のレベルが監視され、ブロッキング剤(単数又は複数)が、抗バイオマーカー抗体が存在するか又は所定の閾値レベルを上回って存在する場合に投与される。抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、必要に応じて、約1、2、3、4、5、10、12、15、20、24、30、32、36週の期間、又はそれよりも長いか若しくは短い期間投与され得る。例えば、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)の投与は、抗バイオマーカー抗体のレベルが所定の閾値レベルを下回って落ち込む場合に中断され得る。抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、妊娠の全期間、又は妊娠の第1期、第2期若しくは第3期の1以上の期間に投与され得る。投与は、受胎前に開始することができ、出生後、例えば、母親が子供に授乳している最中に継続することができる。
ブロッキング剤(単数又は複数)がポリペプチドである態様では、典型的な投薬量は、約0.1μg/kg体重〜約1g/kg体重(この値を含む)までの範囲、例えば、約1μg/kg体重〜約500mg/kg体重の間の範囲であり得る。いくつかの態様では、ポリペプチドの投薬量は、約1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kg体重である。
薬物(単数又は複数)が有機小分子である態様では、典型的な投薬量は、約0.1μg/kg体重〜約1g/kg体重(この値を含む)までの範囲、例えば、約1μg/kg体重〜約500mg/kg体重の間の範囲であり得る。いくつかの態様では、有機小分子の投薬量は、約1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kg体重である。
正確な投薬量は、上記で検討された種々の因子、例えば、特定の阻害剤、疾患の重傷度、及び投薬経路に依存する。正確な治療的有効投薬量の決定は、過度の実験なしに医師によって決定することができ、上記開示された範囲内に含まれる任意の投薬量を含むことができる。
抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、薬剤(単数又は複数)が抗バイオマーカー抗体に結合し、ASDの発症の危険性と関連付けられた内因性バイオマーカーへの抗体の結合を妨げるように、及び薬剤への免疫反応が最小化されるような投与経路によって投与される。通常、薬剤(単数又は複数)は全身に投与される。いくつかの態様では、薬剤(単数又は複数)は、非経口的に、例えば、静脈内又は羊膜内に(即ち、直接羊膜嚢内に)投与される。さらに、抗バイオマーカー抗体は経口投与されてもよい。
化合物は、注射によって、例えば、ボーラス注射又は持続注入によって非経口投与用に製剤化され得る。例えば、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、それらを水溶性溶媒又は非水溶性溶媒、例えば、植物油又は他の類似油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸又はプロピレングリコールのエステルに溶解、懸濁又は乳化させることによって、さらに、所望により、慣用的な付加物、例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤及び保存剤とともに、調合物に製剤化することができる。いくつかの態様では、本発明の組み合わせ剤は、水溶液中で、好ましくは生理学的に適合可能な緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理食塩緩衝液に製剤化することができる。注射の製剤は、単一投薬形態、例えば、アンプル又は複数回投薬容器に添加された保存剤とともに与えられ得る。組み合わせ剤は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態であることができ、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含むことができる。
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態の抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)の水溶液を含む。さらに、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)の懸濁液は、適切な油脂注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含むことができる。場合により、懸濁液はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を増加させる適切な可溶化剤又は薬物を含むことができる。あるいは、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱性物質不含水を用いて構成するために粉末形態であってもよい。
抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)を用いた処理は、1以上のバイオマーカーに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価が、ブロッキング剤の投与前と比較して、ブロッキング剤の1以上の投与を受けた後の個体由来の生物試料において減少又は排除される場合に効果的であると考えられる。例えば、ブロッキング剤(blocker)の1以上の投与後に、少なくとも約10%、25%、50%、75%又は100%の試料において1以上の標的バイオマーカーに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体の減少はブロッキング剤の投与が効果的であったことを指示する。閾値レベルが確立された場合、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)を用いた処理は、1以上のバイオマーカーに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価が、閾値レベルを下回って減少する場合に効果的であると考えられる。1以上のバイオマーカーに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体は、本明細書に記載される方法を含む当該技術分野において知られている任意の方法を用いて測定され得る。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤(単数又は複数)は、別の免疫抑制治療薬とともに同時に投与される。同時に投与される免疫抑制治療薬は、抗原特異的(例えば、免疫抑制DNAワクチン化)又は抗原非特異的(例えば、グルココルチコイド、CD20、CTLA−4、LFA−1に対する抗体)であってもよい。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体ブロッキング剤は、選択的に枯渇するB細胞集団において有用である抗CD20抗体と同時に投与される。枯渇するB細胞に臨床的に有用である抗CD20抗体は利用可能であり、例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ及びオファツムマブが挙げられる。
さらなる局面では、本発明は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質への母親由来抗体の結合をブロックする薬物を胎児の母親に投与することを含む、ASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減する方法を提供し、それによって、母親由来抗体の1以上の胎児タンパク質への結合がASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減する。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質に対する母親由来抗体の結合のブロックが、1以上のバイオマーカーに対する母親由来抗体の結合のブロックとともに、又は独立して行うことができる。ブロッキング方法のさらなる態様は、本明細書に記載されている。
4.免疫抑制DNAワクチン化によるASDの危険性を低減させる方法
代替の態様では、バイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片又はそのミモトープをコードする1以上のポリヌクレオチドは、抑制ワクチン化を達成するために投与される。ポリヌクレオチドは、免疫刺激活性を低減又は最小にするために、少数のCGジヌクレオチドを有するベクター、例えば、プラスミドベクターから発現することができる。自己免疫反応に拮抗するための免疫抑制ワクチン化は、例えば、米国特許第7.030,098号及び第7,544,669号に報告されている。
ポリヌクレオチドは、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片をコードすることができる。例えば、長さにして少なくとも10アミノ酸であり、抗バイオマーカー抗体によって結合されるバイオマーカーポリヌクレオチドの部分長の断片をコードするポリヌクレオチドが投与される。いくつかの態様では、全長バイオマーカーポリヌクレオチドの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%であるバイオマーカーポリヌクレオチドの部分長の断片をコードするポリヌクレオチドが投与される。いくつかの態様では、長さにして約10、25、50、100、150、200、250又は300アミノ酸である1以上のバイオマーカーの部分長の断片をコードするポリヌクレオチドが投与される。部分長の断片は、除かれたバイオマーカーポリヌクレオチドのN末端若しくはC末端、又は除かれたN末端及びC末端の両方の一部を有することができる。抗バイオマーカー抗体によって結合される1以上のバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片をコードするポリヌクレオチドは使用を見出す。
いくつかの態様では、LDH−A及び/又はLDH−Bの1以上をコードするポリヌクレオチドが投与される。いくつかの態様では、LDH−1、LDH−2、LDH−3、LDH−4及び/又はLDH−5の1以上のアイソザイムをコードするポリヌクレオチドが投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載されるLDHポリペプチド、例えば、GenBank受入番号NP 001128711、NP 005557.1、AAP36496.1、BAD96798.1、又はNP 002291.1のアミノ酸配列と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有するLDHポリペプチド又はその抗原性断片をコードするポリヌクレオチドが投与される。
いくつかの態様では、投与されるポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるバイオマーカーポリヌクレオチド、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NP 005557.1(アイソフォーム1);NP 001128711.1(アイソフォーム2);NP 001158886.1(アイソフォーム3);NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNP 001158888.1(アイソフォーム5)のLDHAアミノ酸配列;GenBank受入番号No.NP 002291.1(改変体1);又はNP 001167568.1(改変体2)のLDHBアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNP 001304.1(アイソフォーム2)のCRMP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006810.1のSTIP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004284.1のGDAアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001377.1又はBAD92432のDPYSL2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006127.1のCAPZA2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004550.2のYBX1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001393.1のEEF1A1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 058519.3(アイソフォーム1);NP 005901.2(アイソフォーム2);NP 058518.1(アイソフォーム3);NP 058525.1(アイソフォーム4);NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNP 001116538.2(アイソフォーム6)のMARTアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 036192.2(アイソフォーム1);NP 036193.2(アイソフォーム2);NP 005681.2(アイソフォーム3)のDNM1Lアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006149.2のNEFLアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002897.1のRDXアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002435.1のMSNアミノ酸配列;あるいは、GenBank受入番号NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNP 001104547.1(アイソフォーム2)のEZRアミノ酸配列、と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有するバイオマーカー又はその抗原性断片をコードする。
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、抗バイオマーカー抗体に結合するバイオマーカーミモトープをコードする。バイオマーカーミモトープは、1以上のバイオマーカーの既知の抗原性エピトープから誘導することができ、1以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加を有する。バイオマーカーミモトープは、1以上のバイオマーカーに対する抗体に結合するミモトープについてのペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、デノボで設計又は同定することができる。
ポリヌクレオチドは、抑制ワクチン化を達成するための経路を介して、例えば、筋内、静脈内、皮下又は鼻腔内に投与される。通常、ポリヌクレオチドは、筋内に投与される。
母親又は潜在的な母親は、最初に、抗バイオマーカー抗体の存在、又は所定の閾値レベルを超えた抗バイオマーカー抗体の存在を決定するために試験される。次に、抑制免疫化処方が開始され得る。免疫抑制ワクチン化処方は、必要に応じて、妊娠前、妊娠中又は妊娠後に開始されてもよい。
最小化された又は排除されたCpGを有し、バイオマーカー、その抗原性断片又はバイオマーカーミモトープの1以上をコードするベクターは、必要に応じて、1以上のバイオマーカーに対する母親の免疫反応を選択的に抑制するために、1、2、3、4回、又はそれを超えて投与され得る。低CpGベクターは、例えば、6〜12カ月間は毎月、次に維持投薬として3〜12カ月毎に送達され得る。代替の処置計画が開発されてもよく、疾患の重傷度、患者の年齢、投与される1以上のバイオマーカーポリヌクレオチド又は抗原性断片、及び通常の処置する医師によって考慮されるこのような他の因子に依存して、毎日から週1回、週2回、2カ月に1回、1年に1回、ただ1回の投与の範囲であってもよい。抑制免疫化経過は、より頻繁な投与で開始されてもよく、次に後続の追加免疫で継続され得る。
治療的に有効量の低GpGベクターは、約0.001mg〜約1gの範囲にある。ベクターの好ましい治療量は、約10mg〜約5mgの範囲である。自己ベクターの最も好ましい治療量は、約0.025mg〜5mgの範囲である。
1以上のバイオマーカーに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体のレベル又は閾値が、ベクターの投与前と比較して、1以上のバイオマーカーポリペプチド又は抗原性断片を受けた後の個体由来の生物試料において低減又は排除される場合には、免疫抑制ワクチン化は有効であると考えられる。例えば、バイオマーカー又は抗原性断片をコードするベクターの1以上の投与後に、少なくとも約10%、25%、50%、75%又は100%の試料中の1以上のバイオマーカーを能動的に結合する抗バイオマーカー抗体の減少は、ベクター投与が効果的であることを指示する。閾値が達成された場合、1以上のバイオマーカーポリペプチド又は抗原性断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを用いて治療は、1以上のバイオマーカーポリペプチドに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体のレベル又は力価が閾値レベルを下回って減少した場合に有効であると考えられる。1以上のバイオマーカーポリペプチドに能動的に結合する抗バイオマーカー抗体は、本明細書に記載の方法を含む当該技術分野において知られている任意の方法を用いることによって測定され得る。
いくつかの態様では、低CpGベクターは、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。1以上の胎児タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるバイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片をコードするポリヌクレオチドとともに、又は独立して投与され得る。胎児タンパク質をコードするポリヌクレオチドの投与についてのさらなる態様が本明細書に記載されている。
5.抗バイオマーカー抗体の除去による危険性を低減する方法
ASDを発症する胎児又は子供の危険性は、エクスビボで母親の生物体液から母親抗バイオマーカー抗体を除去し、次に、抗バイオマーカー抗体の低減又は排除したレベルで、この生物体液を母親に戻すことによって低減又は排除し得る。
抗バイオマーカー抗体のエクスビボ除去は、妊娠前、妊娠中又は妊娠後の女性について実施され得る。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体は、必要に応じて、妊娠の経過中の任意の時期に、1、2、3、4回又はそれを超えて、生物体液から除去される。例えば、抗バイオマーカー抗体は、妊娠の第1期、第2期及び/又は第3期の1以上において除くことができる。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体は、脳が発生を開始する胎児、例えば、妊娠の約12週後の胎児を持つ母親から除かれる。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体は、分娩後、例えば、出生後の最初の4週、及び/又は母親が子供に授乳している最中に、1回又はそれを超えて除去される。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体は、妊娠前、例えば、抗バイオマーカー抗体について陽性であると試験され、妊娠を試みている女性において1回又はそれを超えて除去される。
エクスビボでの抗バイオマーカー抗体除去のプロセスは、必要に応じて、母親から抗バイオマーカー抗体を排除又は低減するために、1、2、3、4回、又はそれを超えて実施され得る。抗バイオマーカー抗体のエクスビボ除去は、必要に応じて、毎日、週1回、2週に1回、毎月、2カ月に1回行うことができる。いくつかの態様では、母親における抗バイオマーカー抗体のレベルが監視され、抗バイオマーカー抗体の存在が所定の閾値レベルを上回る場合に行われる。エクスビボの抗バイオマーカー抗体除去は、必要に応じて、1、2、3、4、5、10、15、20、25、35、36週の期間、又はそれよりも長期間若しくは短期間実施され得る。例えば、抗バイオマーカー抗体のエクスビボ除去は、抗バイオマーカー抗体のレベルが所定の閾値レベルを下回って落ち込む場合に中断され得る。エクスビボの抗バイオマーカー抗体除去は、妊娠の全期間、又は妊娠の第1期、第2期若しくは第3期の1以上の期間中に実施され得る。抗バイオマーカー抗体除去は、受胎前に開始され得て、出生後、例えば、母親が子供に授乳している最中に継続され得る。
生物体液は、母親由来の抗バイオマーカー抗体を含む。通常、生物体液は、血液、血清、血漿又は乳である。いくつかの態様では、生物体液は羊水である。
抗バイオマーカー抗体を含む母親由来の生物体液は、バイオマーカーポリヌクレオチド又はその抗原性断片の1以上と接触される。1以上のバイオマーカーポリヌクレオチド又は抗原性断片は、上記される通り、天然供給源から精製され若しくは実質的に精製され、又は組換え的に若しくは合成的に生成され得る。例えば、長さにして少なくとも10アミノ酸であり、抗バイオマーカー抗体によって結合される1以上のバイオマーカーポリヌクレオチドの部分長の断片が生物体液と接触され得る。いくつかの態様では、バイオマーカーポリヌクレオチドの全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%である1以上のバイオマーカーポリヌクレオチドの部分長の断片は生物体液と接触され得る。いくつかの態様では、1以上のバイオマーカーポリヌクレオチドの部分長の断片は、長さにして約10、25、50、100、150、200、250又は300個のアミノ酸である。部分長の断片は、除去されるバイオマーカーポリヌクレオチドのN末端若しくはC末端、又は除去されるN末端とC末端の両方の一部を有し得る。使用を見出す1以上のバイオマーカーポリヌクレオチドの部分長の断片は、抗バイオマーカー抗体に結合される。
いくつかの態様では、生物体液は、LDH−A及び/又はLDH−Bの1以上と接触される。いくつかの態様では、生物体液は、LDH−1、LDH−2、LDH−3、LDH−4及び/又はLDH−5の1以上のアイソザイムと接触される。いくつかの態様では、LDHポリヌクレオチド又はその抗原性断片は、本明細書に記載されるLDHポリヌクレオチド、例えば、GenBank受入番号NP 001128711、NP 005557.1、AAP36496.1、BAD96798.1、又はNP 002291.1のアミノ酸配列と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%を有する。
いくつかの態様では、生物体液は、本明細書に記載されるバイオマーカーポリヌクレオチド、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NP 005557.1(アイソフォーム1);NP 001128711.1(アイソフォーム2);NP 001158886.1(アイソフォーム3);NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNP 001158888.1(アイソフォーム5)のLDHAアミノ酸配列;GenBank受入番号No.NP 002291.1(改変体1);又はNP 001167568.1(改変体2)のLDHBアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNP 001304.1(アイソフォーム2)のCRMP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006810.1のSTIP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004284.1のGDAアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001377.1又はBAD92432のDPYSL2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006127.1のCAPZA2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004550.2のYBX1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001393.1のEEF1A1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 058519.3(アイソフォーム1);NP 005901.2(アイソフォーム2);NP 058518.1(アイソフォーム3);NP 058525.1(アイソフォーム4);NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNP 001116538.2(アイソフォーム6)のMARTアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 036192.2(アイソフォーム1);NP 036193.2(アイソフォーム2);NP 005681.2(アイソフォーム3)のDNM1Lアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006149.2のNEFLアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002897.1のRDXアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002435.1のMSNアミノ酸配列;あるいは、GenBank受入番号NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNP 001104547.1(アイソフォーム2)のEZRアミノ酸配列、と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有するバイオマーカー又はその抗原性断片と接触される。
いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体除去剤は、バイオマーカーのミモトープである。バイオマーカーミモトープは、1以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加を有する標的バイオマーカーの既知の抗原性エピトープから誘導され得る。バイオマーカーミモトープは、1以上のバイオマーカーに対する抗体に結合するミモトープについてのペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、デノボで設計又は同定され得る。
いくつかの態様では、母親又は潜在的な母親由来の生物体液は、固体支持体に固相化されたバイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープと接触される。固体支持体は、例えば、ビーズ、カラム、フィルターであってもよい。固相化は、共有結合又は非共有結合を介してもよい。いくつかの態様では、固相化は、評定バイオマーカーに特異的に結合する捕捉抗体を介する。固体支持体に接触されるバイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープは、低減又は排除されたレベルの抗バイオマーカー抗体を有する生物体液を、即ち、移動相として、固体支持体から分離させ、母親又は潜在的な母親に戻される、生物体液において抗バイオマーカー抗体を捕捉する静止期である。
いくつかの態様では、エクスビボで処理される生物体液は血漿であり、抗バイオマーカー抗体は血漿交換によって除去され、このプロセスは当該技術分野において周知である。血漿は、固相化された1以上のバイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片、又は固相化されたバイオマーカーミモトープを有する固体支持体と接触される。血漿中の抗バイオマーカー抗体は、固相化されたバイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片、又は固相化されたバイオマーカーミモトープに結合される。次に、低減又は排除されたレベルの抗バイオマーカー抗体を含む血漿を母親又は潜在的な母親に戻す。
関連する局面では、本発明は、胎児の母親由来のグアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質に特異的に結合する抗体の除去を含む、ASDを発症する胎児の危険性を予防又は低減する方法を提供する。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質に対する母親由来抗体の除去は、1以上のバイオマーカーに対する母親由来抗体の結合の除去とともに又は独立して行うことができる。母親由来抗体を除去するさらなる方法は本明細書に記載されている。
6.キット
本発明はまた、胎児又は子供がASDを発症する危険性が増加しているかどうかを診断又は予測するためのキットを提供する。関連して、このキットはまた、母親又は潜在的な母親が、ASDを発症する子供を有する危険性が増加しているかどうかを診断又は予測するための使用を見出す。いくつかの態様では、キットは、1以上のバイオマーカー、又はその抗原性断片の1以上のサブユニット又は1以上のアイソタイプを含む固体支持体(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又はそれを超えるバイオマーカーを含む固体支持体)を含む。
いくつかの態様では、固体支持体は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、固体支持体は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、固体支持体は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、固体支持体は、乳酸脱水素酵素(LDH)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方を含む。いくつかの態様では、固体支持体は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)の1つ又はその両方を含む。いくつかの態様では、固体支持体は、乳酸脱水素酵素(LDH)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方を含む。いくつかの態様では、固体支持体は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)の1つ又はその両方を含む。いくつかの態様では、固体支持体は乳酸脱水素酵素(LDH)を含む。いくつかの態様では、固体支持体はグアニン脱アミノ酵素(GDA)を含む。いくつかの態様では、固体支持体はコラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)を含む。いくつかの態様では、固体支持体はストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)を含む。
いくつかの態様では、固体支持体は、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、3、又は全てのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、固体、乳酸脱水素酵素(LDH)、ジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、固体支持体は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、ジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)及びストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)から選択される1、2、又は全てのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、固体支持体は、乳酸脱水素酵素(LDH)及びジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)の1つ又はその両方を含む。いくつかの態様では、固体支持体は、グアニン脱アミノ酵素(GDA)及びジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)の1つ又はその両方を含む。いくつかの態様では、固体支持体はジヒドロピリミジナーゼ様タンパク質2(DPYSL2)を含む。
固体支持体は、例えば、マルチウェルプレート、ELISAプレート、マイクロアレイチップ、ビーズ、孔質ストリップ、ニトロセルロースフィルターであってもよい。固相化は供給結合又は非供給結合を介してもよい。いくつかの態様では、固相化は、1以上のバイオマーカーに特異的に結合する捕捉抗体を介する。キットに含まれる固体支持体は、1以上の固相化されたバイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片、又はバイオマーカーミモトープを用いて提供され、調製される。
いくつかの態様では、1以上のバイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片は、固体支持体に固相化される。バイオマーカーポリペプチド又は抗原性断片は、上記で検討したように、天然供給源から精製され若しくは実質的に精製され、又は組換え的に若しくは合成的に生成されてもよい。例えば、長さにして少なくとも10アミノ酸であり、抗バイオマーカー抗体によって結合される1以上のバイオマーカーの1以上の部分長の断片が固相化され得る。いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチドの全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%である1以上のバイオマーカーの部分長の断片が固相化される。いくつかの態様では、1以上のバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は、長さにして約10、25、50、100、150、200、250又は300アミノ酸である。部分長の断片は、除かれるバイオマーカーのN末端若しくはC末端、又は除かれるN末端及びC末端の両方の一部を有することができる。使用を見出す1以上のバイオマーカーの部分長の断片は、抗バイオマーカー抗体によって結合される。
いくつかの態様では、1以上のLDH−A及び/又はLDH−Bを固体支持体に固相化する。いくつかの態様では、1以上のLDH−1、LDH−2、LDH−3、LDH−4及び/又はLDH−5を固体支持体に固相化する。いくつかの態様では、LDHポリペプチド又はその抗原性断片は、本明細書に記載されるLDHポリペプチド、例えば、GenBank受入番号NP 001128711、NP 005557.1、AAP36496.1、BAD96798.1、又はNP 002291.1のアミノ酸と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有する。
いくつかの態様では、固体支持体は、本明細書に記載されるバイオマーカーポリペプチド、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NP 005557.1(アイソフォーム1);NP 001128711.1(アイソフォーム2);NP 001158886.1(アイソフォーム3);NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNP 001158888.1(アイソフォーム5)のLDHAアミノ酸配列;GenBank受入番号No.NP 002291.1(改変体1);又はNP 001167568.1(改変体2)のLDHBアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNP 001304.1(アイソフォーム2)のCRMP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006810.1のSTIP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004284.1のGDAアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001377.1又はBAD92432のDPYSL2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006127.1のCAPZA2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004550.2のYBX1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001393.1のEEF1A1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 058519.3(アイソフォーム1);NP 005901.2(アイソフォーム2);NP 058518.1(アイソフォーム3);NP 058525.1(アイソフォーム4);NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNP 001116538.2(アイソフォーム6)のMARTアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 036192.2(アイソフォーム1);NP 036193.2(アイソフォーム2);NP 005681.2(アイソフォーム3)のDNM1Lアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006149.2のNEFLアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002897.1のRDXアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002435.1のMSNアミノ酸配列;あるいは、GenBank受入番号NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNP 001104547.1(アイソフォーム2)のEZRアミノ酸配列、と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有する1以上のバイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片を含む。
いくつかの態様では、固体支持体は、抗バイオマーカー抗体に結合する1以上のバイオマーカーミモトープを含む。バイオマーカーミモトープは、1以上のアミノ酸が置換、欠失又は付加しているバイオマーカーの既知の抗原性エピトープから誘導され得る。バイオマーカーミモトープは、バイオマーカーに対する抗体に結合するミモトープについてのペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、デノボで設計又は同定され得る。
いくつかの態様では、キットはまた、1以上のバイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片又はバイオマーカーミモトープに結合された、試料中の抗体又は自己抗体を検出するために使用される標識された二次抗体も含む。二次抗体は、異なるクラスの定常若しくは「C」領域、又は免疫グロブリンのアイソタイプ−IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEに結合する。通常、IgG定常領域に対する二次抗体は、キットに含まれ、例えば、IgGサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4の1つに対する二次抗体である。二次抗体は、フルオロフォア(即ち、フルオロセイン、フィコエリトリン、量子ドット、ルミネックスビーズ、蛍光ビーズ)、酵素(即ち、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、ラジオアイソトープ(即ち、3H、32P、125I)又は化学発光部分を含む、任意の直接的又は間接的に検出可能な部分を用いて標識され得る。標識シグナルは、ビオチンとビオチン結合部分(即ち、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン)との複合体を用いて増幅され得る。蛍光標識された抗ヒトIgG抗体は、Molecular Probes,Eugene,ORから市販されている。酵素標識された抗ヒトIgG抗体は、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO及びChemicon,Temecula,CAから市販されている。
さらに、キットは、固体支持体と母親又は潜在的な母親由来の生物試料とを接触させ、母親由来の抗バイオマーカー抗体の存在、又は閾値レベルを上回る母親由来の抗バイオマーカー抗体のレベルを、ASDを発症する胎児又は子供の危険性の増大と関連付けるための指示書を含む。
いくつかの態様では、キットはまた、抗バイオマーカー抗体の検出のための陰性及び陽性の対照試料を含む。いくつかの態様では、キットは、試験生物試料における抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルの評価を支援するために、試料中の抗バイオマーカー抗体の滴定曲線の調製用の試料を含む。
キットは、妊娠可能年齢の任意の女性に診断又は予測を提供するための使用を見出す。診断又は予測は、妊娠前、妊娠中又は妊娠後に決定され得る。上記で検討されるように、抗バイオマーカー抗体の検出は、妊娠の第1期、第2期及び/又は第3期の1以上において行われ得る。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の検出は、脳が発生し始める胎児を有する胎児、例えば、妊娠の約12週後の胎児を持つ女性由来の生物試料において実施される。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在若しくは不存在、又は抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルは、分娩後、例えば、出生後の最初の第4週、及び/又は母親が子供に授乳している最中に、1回以上評価される。いくつかの態様では、抗バイオマーカー抗体の存在若しくは不存在、又は抗バイオマーカー抗体の定量されたレベルは、妊娠前、又は妊娠していない任意の女性において1回以上評価される。
いくつかの態様では、キットは、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピングタンパク質、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から線多雨される胎児タンパク質(その抗原性断片又はミモトープを含む)からなる群から選択される1以上の固相化されたタンパク質と固体支持体とを含む。また、支持体は、固相化されたバイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片、又はそのミモトープを有してもよい。1以上の胎児タンパク質に対する母親由来抗体の存在を関連付けるための指示書、並びに陽性及び陰性の対照試料はまた、キットに含まれてもよい。キットのさらなる態様が本明細書に記載される。
7.ブロッキング剤のスクリーニング
標的バイオマーカーへの結合から抗バイオマーカー抗体を阻害する薬物の同定は、種々のインビトロアッセイを用いて評価することができ、本明細書に記載されるものを含む。このようなアッセイは、抗バイオマーカー抗体(例えば、乳酸脱水素酵素(LDH)、グアニン脱アミノ酵素(GDA)、コラプシン反応媒介タンパク質1(CRMP1)、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、有棘末端アクチン結合タンパク質Cap Z(CAPZA2)のアルファサブユニット、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)、真核生物翻訳及び伸長因子1A1(EEF1A1)、微小管結合タンパク質Tau(MAPT)、ジヒドロピリミジナーゼタンパク質2(DPYSL2)、ダイナミン1様タンパク質(DNM1L)、ラディキシン(RDX)、モエシン(MSN)、及びエジリン(EZR)から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又はそれを超えるバイオマーカーに対する)の阻害剤、結果として、ASDの発症を予防、低減又は阻害するための使用を見出す薬物について試験するために使用され得る。
いくつかの態様では、スクリーニングアッセイは、バイオマーカー抗原、例えば、バイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片を用いる。バイオマーカーポリペプチド又は抗原性断片は、上記で検討したように、天然供給源から精製されるか若しくは実質的に精製され、又は組換え的に若しくは合成的に生成され得る。例えば、長さにして少なくとも10アミノ酸であり、抗バイオマーカー抗体によって結合される1以上のバイオマーカーの1以上の部分長の断片が使用される。いくつかの態様では、バイオマーカーポリペプチドの全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%の1以上のバイオマーカーの部分長の断片が使用される。いくつかの態様では、1以上のバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は、長さにして約10、25、50、100、150、200、250又は300アミノ酸である。部分長の断片は、除去されるバイオマーカーポリペプチドのN末端若しくはC末端、又は除去されるN末端及びC末端の両方の一部を有することができる。使用を見出すバイオマーカーポリペプチドの部分長の断片は抗バイオマーカー抗体によって結合される。
いくつかの態様では、LDH−A及び/又はLDH−Bの1以上が使用される。いくつかの態様では、LDH−1、LDH−2、LDH−3、LDH−4及び/又はLDH−5の1以上のアイソザイムが使用される。いくつかの態様では、LDHポリペプチド又はその抗原性断片は、本明細書に記載されているLDHポリペプチド、例えば、GenBank受入番号NP001128711、NP 005557.1、AAP36496.1、BAD96798.1、NP 002291.1のアミノ酸配列と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有する。LDH抗原はまたLDHミモトープであってもよい。
いくつかの態様では、スクリーニングアッセイは、本明細書に記載されているバイオマーカーポリペプチド、例えば、GenBank受入番号AAP36496.1;BAD96798.1;NP 005557.1(アイソフォーム1);NP 001128711.1(アイソフォーム2);NP 001158886.1(アイソフォーム3);NP 001158887.1(アイソフォーム4);又はNP 001158888.1(アイソフォーム5)のLDHAアミノ酸配列;GenBank受入番号No.NP 002291.1(改変体1);又はNP 001167568.1(改変体2)のLDHBアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001014809.1(アイソフォーム1)又はNP 001304.1(アイソフォーム2)のCRMP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006810.1のSTIP1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004284.1のGDAアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001377.1又はBAD92432のDPYSL2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006127.1のCAPZA2アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 004550.2のYBX1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 001393.1のEEF1A1アミノ酸配列;GenBank受入番号NP 058519.3(アイソフォーム1);NP 005901.2(アイソフォーム2);NP 058518.1(アイソフォーム3);NP 058525.1(アイソフォーム4);NP 001116539.1(アイソフォーム5);又はNP 001116538.2(アイソフォーム6)のMARTアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 036192.2(アイソフォーム1);NP 036193.2(アイソフォーム2);NP 005681.2(アイソフォーム3)のDNM1Lアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 006149.2のNEFLアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002897.1のRDXアミノ酸配列;GenBank受入番号NP 002435.1のMSNアミノ酸配列;あるいは、GenBank受入番号NP 003370.2(アイソフォーム1)又はNP 001104547.1(アイソフォーム2)のEZRアミノ酸配列、と少なくとも約90%、93%、95%、97%、99%又は100%の配列同一性を有する1以上のバイオマーカーポリペプチド又はその抗原性断片を使用する。
1以上のバイオマーカーに結合する抗バイオマーカー抗体を阻害する化合物を同定するためのアッセイは、固体状態又は可溶性であってもよい。好ましくは、バイオマーカーポリペプチド、その抗原性断片又はバイオマーカーミモトープは、共有結合的又は非共有結合的に固体支持体に固相化される。インビトロスクリーニングアッセイは、非競合的又は競合的であり得る。抗原への抗体又は抗体プールの結合を検出するための技術は、当該技術分野において知られ、検出可能な標識又は領域を含む抗バイオマーカー抗体又はバイオマーカー抗原(例えば、1以上の抗バイオマーカー抗体、その抗原性断片、そのミモトープのポリペプチド)を採用する技術、及び標的バイオマーカーに結合する抗バイオマーカー抗体の免疫沈降又は「引き下ろし」を伴う技術が含まれる。免疫アッセイを実施するための参考文献が上記されている。
採用され得る多数の圧死フォーマットは、FACS分析、シンチレーション近接アッセイ(「SPA」)、及びサンドイッチ型抗体アッセイを含む。また、メンブレン被覆された固体支持体(例えば、ビーズ及びアレイ表面)は、抗バイオマーカー抗体と標的バイオマーカーとの間の結合を阻害する化合物についてのスクリーニングにおける使用を見出す。例えば、Baksh,et al,Nature(2004)427:139;Winter and Groves,Anal Chem(2006)78:17−80;Moura and Carmona−Ribeiro,Cell Biochem Biophys(2006)44:446−52;米国特許第6,228,326号を参照されたい。このようなメンブレン被覆表面は、ハイスループットスクリーニング法における使用を見出す。
SPAを実施するための技術は当該技術分野において周知である。SPAは、シンチラント液及び放射線標識分子を用いて被覆されたビーズ又はプレートを用いて実施することができる。シンチラント液への放射線標識された分子の近接は発光を刺激する。SPAは、例えば、抗バイオマーカー抗体又はバイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片をSPAビーズに連結させ、結合パートナー、すなわち、バイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片又は抗バイオマーカー抗体をそれぞれ放射線標識し、放射線標識されたポリペプチドから光生成を阻害する試験化合物の能力を測定することによって、標的バイオマーカーへの抗バイオマーカー抗体の結合を測定するために使用することができる。
一態様では、固相免疫アッセイ、例えば、ELISA、電気化学発光を用いて、1以上のASDバイオマーカーに結合する抗バイオマーカー抗体の阻害剤についてスクリーニングする。いくつかの固相免疫アッセイでは、ビーズ又はマルチプレートウェル(例えば、96ウェル、384ウェル、1536ウェル)は、生物試料由来の抗バイオマーカー抗体、モノクローナル抗バイオマーカー抗体、バイオマーカーポリペプチド若しくはその抗原性断片又はバイオマーカーミモトープの少なくとも1つを用いて直接的又は間接的に被覆され得る。抗体は、無傷な抗体又は抗体断片、例えば、Fab又は一本鎖可変領域であってもよい。抗体又は抗原は、マルチウェルプレートに直接被覆されるか、又は捕捉抗体を介して間接的に被覆される。次に、固相化された抗体又は抗原は、候補ブロッキング化合物に曝露される。次いで、競合アッセイでは、固相化されなかった標識された(例えば、酵素、ラジオアイソトープ、フルオロフォアなど)結合パートナー、例えば、バイオマーカー又は抗バイオマーカー抗体を用いて、候補ブロッキング剤が抗体と抗原との間の結合を阻害したかどうかを検出する。非競合的アッセイでは、候補ブロッキング剤は標識され、固相化された抗バイオマーカー抗体又は固相化されたバイオマーカー抗原のいずれかへの直接的な結合について評価され得る。
一態様では、抗バイオマーカー抗体とバイオマーカー抗原との間の直接的な結合相互作用をFRETアッセイを用いて測定する。FRETは、2つの色素分子の電子的励起状態間の距離依存性相互作用であり、そこでは、励起は、光子の発光なしにドナー分子からアクセプター分子に移動される。励起移動は距離依存的であり、2つの標識された巨大分子の近接を決定するために使用され得る。発生するエネルギー移動について、ドナー及びアクセプター分子は近接近でなければならない(典型的には10〜100Å)。また、アクセプターの吸収スペクトルは、ドナーの蛍光放射スペクトルを重複しなければならず、そのため、巨大分子標識のための色素の適合可能な対、例えば、Cy3/Cy5及びCy5/Cy5.5を用いることが必要である。実際には、抗バイオマーカー抗体及びバイオマーカー抗原などのタンパク質対の相互作用は、適合可能な対における第1色素を用いて抗バイオマーカー、及び適合可能な対の第2色素を用いてバイオマーカー抗原を個別に標識することによって決定することができ、次に、FRETは、アッセイにおいてタンパク質を混合したときに、アクセプターの蛍光放射、又はドナー蛍光のクエンチングによって検出され得る。標識された抗バイオマーカー抗体及びバイオマーカー抗原は測定可能なFRETを示す場合、これは、抗バイオマーカー抗体とバイオマーカー抗原との間の直接的な相互作用を指示する。FRETアッセイフォーマットはまた、標識された候補ブロッキング剤(blocker)、及び標識された抗バイオマーカー抗体又は標識されたバイオマーカー抗原のいずれかを用いて実施することができる。
抗バイオマーカー抗体阻害剤のハイスループットスクリーニング
バイオマーカー抗原への抗バイオマーカー抗体のブロッキング剤のためのスクリーニング法は、ハイスループット法を用いて慣用的に実施され得る。
いくつかの態様では、ハイスループットスクリーニング法は、コンビナトリアル化学又は非常に多数の潜在的な治療化合物(潜在的な調節因子又はリガンド化合物)を含むペプチドライブラリーを提供することを伴う。次に、このような「コンビナトリアル化学ライブラリー」又は「リガンドライブラリー」は、本明細書に記載されるように、1回以上のアッセイにおいてスクリーニングされ、所望の特徴的活性を提示するそれらのライブラリーメンバー(特定の化学種又はサブクラス)を特定する。このように特定された化合物は、従来の「リード化合物」として使用され得て、又はそれ自体が潜在的又は実際の治療薬として使用され得る。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、化学合成又は生合成のいずれかによって、試薬などの多数の化学「ビルディングブロック」によって生じた多様な化合物の集合物である。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの線形コンビナトリアル化学ライブラリーは、所定の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)について、全ての可能な方法で、1セットの化学ビルディングブロック(アミノ酸)を合わせることによって形成される。数百の化合物は、化学ビルディングブロックのこのようなコンビナトリアル混合を介して合成され得る。
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製及びスクリーニングは、当業者に周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーには、限定されないが、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka,Int.J.Pept.Prot.Res.37:487−493(1991)、及びHoughton et al.,Nature 354:84−88(1991)を参照されたい)が含まれる。また、化学多様性ライブラリーを生成するための他の化学を用いることができる。このような化学には、限定されないが、ペプチド(例えば、PCT Publication No.WO91/19735)、コードされたペプチド(例えば、PCT Publication WO93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、PCT Publication No.WO92/00091)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ダイバーソマー、例えば、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン及びジペプチド(Hobbs et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909−6913(1993))、ビニローグポリペプチド(Hagihara et al.,J.Amer.Chem.Soc.114:6568(1992))、グルコーススカフォールディングを有する非ペプチド性ペプチド模倣体(Hirschmann et al.,J.Amer.Chem.Soc.114:9217−9218(1992))、小化合物ライブラリーの類似有機合成(Chen et al.,J.Amer.Chem.Soc.116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Cho et al.,Science 261:1303(1993))、及び/又はペプチジルホスホン酸塩(Campbell et al.,J.Org.Chem.59:658(1994))、核酸ライブラリー(Ausubel、Berger及びSambrookを参照、全て上述)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughn et al.,Nature Biotechnology,14(3):309−314(1996)及びPCT/US96/10287参照)、糖質ライブラリー(例えば、Liang et al.,Science,274:1520−1522(1996)及び米国特許第5,593,853号参照)、有機小分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN,Jan 18,page 33(1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノン及びメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号及び第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号など参照)が挙げられる。
コンビナトリアルライブラリーを調製するためのデバイスは市販されている(例えば、357MPS,390MPS,Advanced Chem Tech,Louisville KY,Symphony,Rainin,Woburn,MA,433A Applied Biosystems,Foster City,CA,9050Plus,Millipore,Bedford,MA参照)。さらに、単数のコンビナトリアルライブラリー自体が市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,NJ.,Tripos,Inc.,St.Louis,MO,3D Pharmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosciences,Columbia,MDなど参照)。
固相及び可溶性ハイスループットアッセイ
本発明のハイスループットアッセイでは、1日で最大数千の異なる調節因子又はリガンドをスクリーニングすることができる。具体的には、マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択された潜在的な調節因子に対する分離アッセイを行うことができ、又は濃度若しくはインキュベーション時間効果が観察されなければならない場合、5〜10ウェル毎が単一の調節因子を試験することができる。このようにして、単一標準マイクロタイタープレートは約100(例えば、96)の調節因子をアッセイすることができる。1536ウェルプレートを用いた場合、1つのプレートは、容易に約100〜約1500の異なる化合物をアッセイすることができる。1日あたりいくつかの異なるプレートをアッセイすることができる;最大約6,000〜20,000の異なる化合物のためのアッセイスクリーニングが本発明の統合されたシステムを用いた可能となる。ごく最近、試薬操作へのマイクロ流体アプローチが開発されている。
対象分子は、固体状態のコンポーネントに、直接的又は間接的に、共有結合又は非共有結合、例えばタグを介して結合することができる。タグは種々のコンポーネントのいずれかであってもよい。一般に、タグを結合する分子(タブ結合剤)は、固体支持体に固定され、対象のタグ化された分子(例えば、抗バイオマーカー抗体又はバイオマーカー抗原)は、タグとタグ結合剤の相互作用によって固体支持体に結合される。
多数のタグ及びタグ結合剤は、文献に十分に記載されている既知の分子相互作用に基づいて用いることができる。例えば、タグが、天然の結合剤、例えばビオチン、プロテインA、又はプロテインGを有する場合、適切なタグ結合剤(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、免疫グロブリンのFc領域など)と併せて使用することができる。ビオチンなどの天然の結合剤を有する分子に対する抗体もまた広く利用可能である(SIGMA Immunochemicals 1998 catalogue SIGMA,St.Louis MO参照)。
同様に、任意のハプテン性又は抗原性化合物は、適切な抗体と併用してタグ/タグ結合対を形成することができる。数千の具体的な抗体は市販され、多数の追加抗体は文献に報告されている。例えば、1つの共通の立体構造において、タグは第1抗体であり、タグ結合剤は第1抗体を認識する第2抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、受容体−リガンド相互作用はまた、タグ及びタグ結合剤対として、例えば、細胞膜受容体のアゴニスト及びアンタゴニストとして適切である(例えば、細胞受容体−リガンド相互作用、例えばトランスフェリン、c−キット、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体及び抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなど;例えば、Pigott & Power,The Adhesion Molecule Facts Book I(1993)参照)。同様に、トキシン及び毒素、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、鎮静剤、ステロイドなど)、細胞内受容体(例えば、種々の小リガンドの効果を媒介するもの、例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイド及びビタミンD;ペプチドが含まれる)、薬物、レクチン、糖、核酸(線状及び環状ポリマー立体構造の両方)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質及び抗体は全ての種々の細胞受容体と相互作用する。
また、ペプチド、ポリエーテルなどの一般的なリンカーをタグとして用いることができ、約5〜200アミノ酸のポリGly配列などのポリペプチド配列を含む。このような柔軟なリンカーは当業者に知られている。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーはShearwater Polymers,Inc.,Huntsville,Alabamaから利用可能である。これらのリンカーは、任意に、アミド連結、スルフヒドリル連結、又は異種機能性連結を有する。
タグ結合剤は、現在利用可能な種々の方法のいずれかを用いて、固体基質に固定される。固体基質は、通常、タグ結合剤の一部と反応性である表面に化学基を固定する化学試薬に基質の全部又は一部を曝露することによって誘導化又は官能化される。例えば、より長い鎖部分への結合に適した基には、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基が含まれる。アミノアルキルシラン及びヒドロキシアルキルシランを用いて、ガラス表面などの種々の表面を官能化することができる。このような固相バイオマーカーアレイの構築は文献に十分に報告されている(例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154(1963)(例えば、ペプチドの固相合成を記載する);Geysen et al,J.Immun.Meth.102:259−274(1987)(ピン上の固相成分の合成を記載する);Frank and Doring,Tetrahedron 44:60316040(1988)(セルロースディスク上の種々のペプチド配列の合成を記載する);Fodor et al.,Science,251:767−777(1991);Sheldon et al.,Clinical Chemistry 39(4):718−719(1993);及びKozal et al.,Nature Medicine 2(7):753759(1996)(全て、固体基質に固定されたバイオポリマーのアレイを記載する)を参照されたい)。基質へのタグ結合剤を固定するための非化学的アプローチには、熱、UV照射による架橋などの他の一般的な方法が含まれる。
本発明は、ハイスルーホーマットにおいて、抗バイオマーカー抗体及びバイオマーカー抗原の相互作用を調節し得る化合物を同定するためのインビトロアッセイを提供する。潜在的な調節因子の存在下、又は既知の調節因子の存在下で、抗バイオマーカー抗体及びバイオマーカー抗原の相互作用を測定する対照反応は、このアッセイが非常に均一であるため任意である。しかしながら、このような任意の対照反応は適切であり、アッセイの信頼性を高めることができる。
コンピュータに基づくアッセイ
抗バイオマーカー抗体及びバイオマーカー抗原の相互作用を調節する化合物についてのなお別のアッセイは、コンピュータ支援の薬物設計に関わり、この場合、コンピュータシステムを用いて、アミノ酸配列によってコードされた構造情報に基づいて、バイオポリマーポリペプチドの3次元構造を生じさせる。インプットのアミノ酸配列は、コンピュータプログラムの予め確立したアルゴリズムを用いて直接的に及び能動的に相互作用させ、タンパク質の二次、三次及び四次構造モデルを生じさせる。類似の分析は、抗バイオマーカー抗体の結合部位上で行うことができる。次に、タンパク質構造のモデルを調べて、必要に応じて、抗バイオマーカー抗体、又はバイオマーカー抗原に結合する能力を有する構造の領域を同定する。次いで、これらの領域を用いて、抗バイオマーカー抗体又はバイオマーカー抗原に結合するポリペプチド又は他の分子を同定する。構造分析用の適したプログラムには、Delano Scientific,Palo Alto,CAによって公開されたPyol Molecular Graphic Systemsが挙げられる。
いくつかの態様では、グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピング、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質への母親由来抗体の結合をブロックする薬物は、本明細書に記載されているスクリーニング法によって同定される。グアニンヌクレオチド結合タンパク質1、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、F−アクチンキャッピング、アルファ−2サブユニット、ウラシルDNAグリコシラーゼ、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択される1以上の胎児タンパク質への母親由来抗体の結合をブロックする薬物についてのスクリーニングは、本明細書に記載されている1以上のバイオポリマーへの母親由来抗体の結合をブロックする薬物についてのスクリーニングと同時に又はそれとは独立して行うことができる。
下記の実施例は本発明を例証するために提供され、本発明を限定するものではない。
実施例1:更なる胎児脳抗原の同定
本実施例は、母親由来抗体に結合した、見掛けの分子量が37kDa、39kDa及び73kDaである胎児脳抗原の同定を概要する。
材料及び方法
研究対象
同意した母親は、従来報告(Hertz−Picciotto,et al.,Environ Health Perspect,(2006)114(7):1119−25)されるように、Davisのカリフォルニア大学にあるMIND Instituteにおける進行中のCHARGE(Childhood Autism Risks from Genetics and Environment)の一部としての子供環境健康センター(CCEH)を通じて登録された。CHARGE研究集団は3状態からサンプリングした:自閉症又は自閉症スペクトラム障害(ASD)であると考えられる子供、典型的な発達中の一般的集団から選択された子供(TD)、及び自閉症のない発育障害を有する子供(DD)。家族は、任意の医学的又は人口統計学的因子に関する偏見を含まない本研究について補充された。全ての登録された子供の診断は、従来報告(Hansen,et al.,Ambul Pediatr,(2008)8(1):25−31)されるように、US Davis MIND Instituteで確認された。
試料回収
母親由来の血液は、黄色上部のクエン酸デキストロースチューブ(BD Diagnostic,Franklin Lakes,NJ)に回収された。細胞質を細胞から分離し、コードし、凍結/融解サイクルを最小にするために分注され、−80℃で使用まで保存された。
抗原調製
胎児アカゲザル脳(妊娠152日)をCalifornia National Primate Research Centerから入手しタンパク質抽出物を調製するために用いた。リン酸塩及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Complete)を含む界面活性剤緩衝液注で組織をホモジナイズし、超音波処理に供した。不溶性材料を遠心分離によって取り除き、緩衝液交換は、1%LDSを含む50mM Tris−HClで行われた。ビシンコニン酸(BCA)反応(Pierce,Rockford,LI)を用いてタンパク質濃度を決定し、4.5mg/mlに調整した。
ウェスタンブロット
母親由来の血漿試料の最初のスクリーニングについて、300μgの調製された胎児アカゲザル脳タンパク質(FRB)は、プレップウェルの4〜12%勾配SDS−PAGEミニゲル(Invitrogen,Carlsbad,CA)中、還元条件下で分別し、細孔径0.2μmのニトロセルロースに電気泳動的に転移された。MagicMark分子量マーカー(Invitrogen)を単一のマーカーレーンに装填し、マーカーバンドの化学発光による視覚化を可能にした。ブロットをPonceau S(MP Biomedicals,Solon,Ohio)で染色し、均一なタンパク質の泳動、移動及び転移を確認した。次に、ニトロセルロースメンブレンを3mm幅のストリップに切断し、1:400に希釈した母親由来血漿で探査した。洗浄後、ストリップは、1:20,000に希釈したHRPコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG(Invitrogen)とともにインキュベートされた。次いで、ストリップを洗浄し、SuperSignal West化学発光基質(Thermo Scientific)とともにインキュベートし、画像化のためにガラスプレートに並べた。化学発光画像は、AlphaEaseFCソフトウェア(Alpha Innotech,San Leandro,CA)を用いて、FluorChem 8900撮像装置により得られた。FRBに対して反応することが見られた母親は、その後、抗原同定のために使用された。
プレップ細胞
100mgのFRBは、プレップ細胞装置(Bio Rad,Hercules,CA)を用いて、分子量により分別された。要約すると、FRBは、28mmの円筒状の10%ポリアクリルアミドゲルを通して、17時間12ワットで電気泳動された。ゲル下のチャンバーに設置されたペリスタポンプはタンパク質を引き、これらのタンパク質は、色素前面がチャンバーに到達するときに回収が始まる画分回収装置にゲルから移動した。全110の画分は、流速0.75ml/分で5分間隔で回収された。画分は、Ultaracel−10kメンブレン(Millipore,Co.Cork,Ireland)によりAmicon Ultra−4を用いて5mg/mlに濃縮し、ウェスタンブロットによって評価して、分子量を決定し、抗原反応性を確認した(図1)。ウェスタンブロットメンブレンのPonceau染色により、分子量によってタンパク質について実質的な濃縮を確認し、その後の分析を促進する約5kDa範囲の画分を得た。37kDa、39kDa、又は73kDaタンパク質を含む画分をタンパク質同定のために選択した。
2D電気泳動
母親由来抗体によって認識された抗原について濃縮されたプレップ細胞分別由来のタンパク質画分を2D電気泳動によって分別した。各30μgの37kDa、39kDa、又は73kDa画分をCy2(GE Life Sciences)で標識し、2Dゲル電気泳動用に調製した。全ての2Dゲルを2点測定で行った。各15μgの試料は、2つのpH3〜10の等電点電気泳動用ストリップ(Amercham BioSciences)の各々に装填し、平衡に分別された。次に、ストリップをリンスし、二次元電気泳動のために、10.5%(37kDa及び39kDa)又は8.5%(73kDa)ポリアクリルアミドゲルに装填した。電気泳動後、ゲルの蛍光画像を得て、Image Quantソフトウェア(バージョン6.0、Amercham BioSciences)を用いて一貫性を確認した。ゲルの1つを0.2μmの孔質ニトロセルロースメンブレン(Whatman)に電気泳動的に転移した。ブロット上で使用された抗原試料について陽性である母親由来の血漿試料を用いて、転移されたメンブレン上でウェスタンブロットを行い、得られたブロットの化学蛍光画像は、FluorChem 8900撮像装置(Alpha Innotech)を用いて得られた。画像サイズは、スポット選別アラインメント用に他の非転移2Dゲルによって同一であるように適合するために、内部マーカーを用いて調整された。ウェスタンブロット画像上で同定されたスポットは、Ettan Spot Picker(Amercham BioSciences)を用いて2Dゲルから選別された。
質量分析
ウェスタンブロットによって同定され、マッピングされ、2点測定した2Dゲルから拾われたスポットを洗浄し、トルプシン(Promega)で消化した。トリプシンペプチドは、Zip−tip C18(Millipore)を用いて脱塩され、Zip−tipから溶離され、MALDIプレート(モデルABI 01−192−6−AB)上でスポットした。MALDI−TOF MS及びTOF/TOFタンデムMS/MSは、ABI4700質量分析器(Applied Biosystems,Framingham,MA)上で行われた。MALDI−TOF質量スペクトル及びTOF/TOFタンデムMS断片化スペクトルは各試料について取得され、各試料において存在する10の最も豊富なイオンの各々について、断片化スペクトルあたり平均して4000のレーザースポットであった。得られたペプチド質量及び関連した断片化スペクトルの両方は、MASCOTサーチエンジン(Matrix science)を装備したGPSエクスプローラワークステーションによって分析され、米国国立バイオテクノロジー情報センター(冗長性なし)(NCBInr)のデータベースに問い合わせを行うために使用された。サーチは、タンパク質分子量及び等電点を束縛せず、システインの変化し易いカルバミドメチル化とメチオニン残基の酸化を伴い、サーチパラメータにおいて可能ともされる1つの失敗した開裂を用いて行われた。95%よりも高いタンパク質スコアC.I.%又はイオンC.I.%を有する候補を有意であると考えた。
抗原検証
ウェスタンブロット
精製された天然のLDH(Cell Sciencs,Canton,MA)、組換え全長CYP(Abnova,Taipei,Taiwan)、組換え全長YBX1(Abnova)、組換え全長CRMP1(OriGene,Rckville,MD)及び組換え全長STIP1(Abnova)ヒトタンパク質は、一次抗体としてRFBタンパク質に対して反応性を有する母親由来の血漿を用いて、ウェスタンブロットによって個別に試験された。LDH(Cell Sciencs,Canton,MA)、CYP(Sigma)、YBX1(Abeam)、CRMP1(Abeam)及びSTIP1(Abeam)についての市販のポリクローナル抗体を陽性対照として用いた。
ブロッキング研究
LDHに反応性を示した母親由来の血漿試料、並びに対照血漿試料を1:400に希釈し、20時間4℃にて緩衝液単独中で、又は精製されたLDHの100μgを含む緩衝液中でインキュベートした。次に、これらの使用をRFBを含むウェスタンブロットストリップを探査するために使用した(図4)。LDH反応性について陽性である母親のうち、バンド強度は、LDHタンパク質とともにプレインキュベートされた試料の中で実質的に減少された。LDHとのプレインキュベーションは、他の抗原に対する母親の血漿反応性に影響を及ぼさなかった。
ELISA
精製されたヒト赤血球由来のLDHは、炭酸塩を含む緩衝液に希釈され、全2μgのLDHを96ウェルプレートの各ウェルに添加し、16時間4℃にてインキュベートした。次に、プレートを洗浄し、5%ウシ血清アルブミンでブロックし、1:600に希釈した母親由来の血漿とともに1時間室温にてインキュベートした。その後、プレートを洗浄し、1:25000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG(Invitrogen)とともに1時間インキュベートした。続いて、プレートを洗浄し、ウルトラTMB−ELISA基質(Thermo Scientific)とともにインキュベートし、450nmで読み取った。
LDH酵素阻害
BioSpec 1600分光光度計における340nmの吸光度の減少は、LDH酵素機能に対する母親由来抗体の影響を監視するために用いられた。LDH反応性である母親由来の精製された40μgの母親由来IgG抗体並びに対照は、1.5μgの精製されたLDHとともに30分間室温にてインキュベートされた。抗体/酵素混合物は、3mlのアクリル性キュベット中の2.8mlの0.125M Tris−HCl pH8.0において希釈された、100μlの6.6mMの還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(Sigma)、及び100μlの30mMピルビン酸ナトリウム(Sigma)を含むキュベットに添加された。Tris−HClを含むキュベットをブランクとして使用した。2分間の吸光度変化を各試料について記録した。
結果
抗原同定
別々の2Dウェスタンブロットは、37kDa、39kDa、又は73kDaの抗原を含むプレップ細胞画分について行われた(図2)。各ブロットは、対応するバンドに反応性を示す、任意に選択されたAUM由来の1:400に希釈された母親由来の血漿を用いて探査された。複数のスポットが各2Dウェスタンブロット上に観察され、全て明確に画定されたスポットは質量分析用に選択された。各スポットについてのタンパク質及び100%CIのタンパク質を生じさせた質量分析データの分析は検証のために選択された(表1)。
抗原検証
乳酸脱水素酵素
天然の精製されたLDH及び全長の組換えLDHAとLDHBサブユニットは、ウェスタンブロットによる母親由来のIgG反応性の検証に使用された(図3)。LDHA及びLDHBサブユニットは、約90%の配列相同性を共有するが、幾つかの変更がA及びBサブユニットの反応性において観察され、その全ての母親由来抗体はLDH認識の両サブユニットに反応性であった。このようにして、全ての母親由来の血漿試料のスクリーニングは、両サブユニットを含む精製されたLDHを用いて実施された。
検討
妊娠中の母親の免疫環境における異常性は、いくつかの研究においてAUと関連していた。それらのうち着目されるのは、胎児タンパク質に対して反応する母親由来抗体の報告である。IgG抗体の促進的進行(facilitated passage)は、一般に新生児に保護を与えると考えられる十分に確立された現象である(Garty,et al.,Clin Diagn Lab Immunol,(1994)1(6):667−9);このような抗体は、出生6カ月まで持続することが知られている(Heininger,et al.,Vaccine,(2006)24(16):3258−60)。しかしながら、免疫防御であるIgG抗体とともに、胎児の自己タンパク質に反応する自己抗体もまた胎盤と交差し得る。最近の報告は、ASDを患う複数の子供の母親におけるげっ歯類プルキンエ細胞に対する母親由来のIgG抗体反応性、並びに母親の血清を妊娠中に注射されたマウスの子犬における行動欠陥の存在を示した(Dalton,et al.,Ann Neurol,(2003)53(4):533−7)。別の研究では、自閉症を患う子供の母親、及びそれらの影響を受けた子供は、出生後(18日の)ラット脳タンパク質に対して抗体反応性の一貫したパターンを有することが見出された。対照的に、影響を受けない子供及び対照の母親は、反応性の代替パターンを有した(Zimmerman,et al.,Brain Behav Immun,(2007)21(3):351−7)。
本明細書に記載される実施例及び実施形態は単に例示を目的とすること、並びにそれらを踏まえた種々の改変又は変法が当業者に示唆されるであろうこと、そしてそれらも本出願の精神及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。本明細書に引用される、全ての刊行物、配列受入番号、特許、及び特許出願は、これにより、本開示内容と対応する範囲について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。