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JP2015168672A - 歯科用組成物 - Google Patents

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JP2015168672A
JP2015168672A JP2014046911A JP2014046911A JP2015168672A JP 2015168672 A JP2015168672 A JP 2015168672A JP 2014046911 A JP2014046911 A JP 2014046911A JP 2014046911 A JP2014046911 A JP 2014046911A JP 2015168672 A JP2015168672 A JP 2015168672A
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達也 小里
Tatsuya Ori
達也 小里
環 大槻
Tamaki Otsuki
環 大槻
大辻 淳夫
Atsuo Otsuji
淳夫 大辻
山本 隆司
Takashi Yamamoto
隆司 山本
新一郎 田脇
Shinichiro Tawaki
新一郎 田脇
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Sun Medical Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた接着性を有し、かつ保存安定性に優れる歯科用組成物の提供。【解決手段】下記式で表される化合物(A)および(B)である有機リン酸混合物を含有する歯科用組成物。(式中、RはHまたはアルキル基、x、y、zは5〜20の整数を表す)。【選択図】なし

Description

本発明は歯牙や歯科用金属・セラミックス・陶材・樹脂などに対して接着できる接着材料(ボンディング材やレジンセメントなど)、プライマー、コーティング材、知覚過敏抑制材、根管充填材およびその他の修復用充填材料等としても使用できる歯科用組成物に関する。さらに詳しくは、本発明の歯科用組成物中が特定の有機リン酸混合物を含有し、該有機リン酸混合物の10重量%メタノール溶液の25℃での電気伝導率が2.0mS/cm以下で、該合成物の455nmにおける光透過率が80%以上である保存安定性に優れた歯科用組成物、特に歯科用プライマーまたは歯科用接着材料に関する。
齲蝕により損傷を受けた歯牙の修復には、歯科用材料(組成物)が広く使用されている。例えば、(メタ)アクリレート基含有重合性化合物を含む歯科用組成物が提案されている。前記の組成物は、歯科用接着材、プライマー(歯質用、ポーセレン用、金属用、レジン用)、コンポジットレジン、義歯作成用材料、仮封材、根充シーラー等に広く用いられている。
歯科用組成物の中でも、接着材は湿潤した口腔内においても優れた接着性を示すことが要求される。従来、接着材に優れた接着性を付与する目的から接着性モノマーであるリン酸エステル化合物の単量体を使用する試みが広く行われている(特許文献1)。また、歯質や歯科用金属との接着性をさらに向上させるためにリン酸エステル化合物の二量体を使用する試みも行われている(特許文献2、特許文献3)。
一般的に歯科用プライマーや歯科用接着材は接着性モノマーと水、もしくは有機溶媒を含有した組成物であるため、保管期間中に加水分解により変色したり、ゲル化が生起することが知られている。そこで、接着性モノマーであるリン酸エステル化合物を高純度化し、またリン酸エステル化合物中に含まれるイオン性物質を低減させることで保存安定性を高めた試みが行われている(特許文献4)。特許文献4によれば、接着材に含まれる該リン酸化合物の10重量%メタノール溶液の25℃での電気伝導率が0.5mS/cm以下で、455nmにおける光透過率が80%以上でなければ保存安定性に優れない。
しかし、驚くべきことに本発明の歯科用組成物では組成中に下記式で表される化合物(A)および下記式で表される化合物(B)の有機リン酸混合物を含有させ、また、該有機リン酸混合物の10重量%メタノール溶液の25℃での電気伝導率が2.0mS/cm以下、且つ455nmにおける光透過率が80%以上でも歯質だけでなく酸化ジルコニウムといった金属酸化物、陶材にも優れた接着性を有し、接着性が低下することなく保存安定性にも優れることを見出した。
特許第4637994号公報 特開昭57−164171号公報 特開昭60−166364号公報 特許第4637994号公報
本発明の目的は優れた接着性を有し、かつ保存安定性に優れる歯科用組成物を提供することにある。
本発明の歯科用組成物は、組成中に下記式で表される化合物(A)および化合物(B)の有機リン酸混合物を含有する歯科用組成物であって、該有機リン酸混合物の10重量%メタノール溶液の25℃での電気伝導率が2.0mS/cm以下、より好ましくは1.0mS/cm以下、さらに好ましくは0.5mS/cm以下、特に好ましくは0.2mS/cm以下であって、かつ455nmにおける光透過率が80%以上、より好ましくは90%以上であることを特徴としている。
Figure 2015168672
上記式で表される化合物(A)および化合物(B)において、R1、R2、R3は、各々独立にHまたはアルキル基を表し、x、y、zは各々独立に5〜20の整数を表す。
本発明の歯科用組成物中における化合物(B)の含有量は、0.01〜40重量%であることが好ましい。
また本発明の歯科用組成物中における化合物(A)の含有量は、0.02〜70重量%であることが好ましい。
本発明の歯科用組成物においては、化合物(A)および(B)におけるx、y、zの値が各々独立に8〜12の範囲にあることが好ましい。
本発明の歯科用組成物は、歯科用プライマーであることが好ましい。
本発明の歯科用組成物は、歯科用接着材料であることが好ましい。
本発明によれば、化合物(A)および化合物(B)を組み合わせることで、優れた接着性を有し、かつ保存安定性に優れる歯科用組成物を提供することができる。
以下、本発明の歯科用組成物について詳細に説明する。
本発明の歯科用組成物は組成中に下記式で表される化合物(A)および化合物(B)を含む組成物である。
Figure 2015168672
上記化合物(A)および化合物(B)で表される式において、R1、R2、R3は各々独立にHまたはアルキル基を、x、y、zは各々独立に5〜20の整数を表す。
ここで、R1、R2、R3のアルキル基は感作性の少ないメチル基であることが好ましい。
また、x、y、zは各々独立に5〜20の整数であり、x、y、zの数が5に満たない場合は耐水性が低下する。20を超える場合は歯質への浸透性が低下することがある。そして本発明においてはこのx、y、zを8〜12の範囲内にすることにより、耐水性のよい歯科用組成物を効率よく歯質に浸透させることができると共に浸透して硬化した接着剤が優れた接着性を示すようになる。
化合物(A)の具体的な例として以下のものが挙げられる。
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート(以下、アクリロイル基とメタクリロイル基との総称として(メタ)アクリロイル基と記載することもある)、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、20-(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンホスフェート。
本発明の歯科用組成物における化合物(A)は特に限定するものではないが、通常0.02〜70重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%の範囲内の量で使用される。
また、本発明の歯科用組成物を特に歯科用プライマーとして用いる場合、化合物(A)は通常0.02〜70重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜5重量%の量で使用される。
また、本発明の歯科用組成物を特に歯科用接着材料として用いる場合、化合物(A)は通常0.02〜70重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲内の量で使用される。化合物(A)は化合物(B)に比べてpH値が低いため、上記上限値を上回るとpH値が過剰に低くなり、組成物の重合阻害を引き起こすことがある。また、化合物(A)は接着性を有する成分であるため上記下限値を下回る範囲では接着力が低下することがある。
本発明で使用する化合物(B)の具体的な例としては、化合物(A)として具体的に例示した上記の化合物群から任意に選択された組み合わせにより二量体したピロリン酸化合物が挙げられ、より具体的な例として以下のものが挙げられる。
Figure 2015168672
本発明の歯科用組成物中における化合物(B)の量は特に限定するものではないが、通常0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜4重量%、さらに好ましくは0.2〜3重量%の範囲内の量で使用される。
また、本発明の歯科用組成物を特に歯科用プライマーとして用いる場合、化合物(B)は通常0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜4重量%、さらに好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲内の量で使用される。
また、本発明の歯科用組成物を特に歯科用接着材料として用いる場合、化合物(B)は通常0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜4重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%の範囲内の量で使用される。化合物(B)を適量添加することにより組成物が黄変するまでの時間が延長されることが確認されているが、上記範囲を外れると、所望の効果が得られないことがある。
本発明の歯科用組成物における化合物(A)と化合物(B)との比、即ち化合物(A)の重量%/化合物(B)の重量%の値は、本発明の歯科用組成物を特に歯科用プライマーもしくは歯科用接着材として用いる場合、通常0.1〜30、好ましくは0.5〜12、さらに好ましくは2〜6の範囲内の量比で使用される。化合物(A)と化合物(B)の比が上記範囲内で使用されることで、それぞれを単独で使用した場合に比べてさらに良好な接着性を発揮し、かつ組成物が黄変するまでの時間が延長される。
本発明の歯科用組成物における化合物(A)と化合物(B)との重量%の合計は、通常0.04〜80重量%、好ましくは0.4〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%の範囲内にある。
また、本発明の歯科用組成物を特に歯科用プライマーとして用いる場合、化合物(A)と化合物(B)との重量%の合計は、通常0.04〜80重量%、好ましくは0.4〜20重量%、さらに好ましくは1〜5重量%の範囲内にある。
また、本発明の歯科用組成物を特に歯科用接着材料として用いる場合、化合物(A)と化合物(B)との重量%の合計は、通常0.04〜80重量%、好ましくは0.4〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%の範囲内にある。組成物中の化合物(A)と化合物(B)との重量%の合計が、上記上限値を上回ると、保管中の安定性が悪くなることがあり、上記下限値を下回ると、接着力が低下することがある。
本発明における歯科用組成物とは、歯科用接着材、プライマー(歯質用、ポーセレン用、金属用、レジン用)、コンポジットレジン、義歯作成用材料、仮封材、根充シーラー等を含むものであるが、本発明の歯科用組成物は歯科用プライマーもしくは歯科用接着材料として使用されることが好ましい。
本発明における歯科用プライマーもしくは歯科用接着材料は化合物(A)および(B)に加えて、他の重合性単量体、重合禁止剤、シランカップリング剤、重合開始剤、重合促進剤、フィラー等を含んでいても良い。
本発明を構成する成分として使用される他の重合性単量体としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基(以下アクリロイル基とメタクリロイル基との総称として(メタ)アクリロイル基と記載することもある。)、スチリル基、ビニル基、アリル基等のラジカル重合可能な不飽和基を有する化合物を挙げることができる。ここで使用する重合性単量体には、1分子中に少なくとも一つの不飽和基を有していればよく、この不飽和基が、1個(単官能単量体)、2個(二官能単量体)および3個以上(多官能単量体)有する重合性単量体を使用することができる。さらにこれらの重合性単量体は、分子内にカルボキシル基あるいはスルホン酸基等の酸性基、水酸基あるいはアミノ基等の親水性基、グリシジル基などの開環重合性官能基を有していてもよい。
上記重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の脂肪酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2または3-プロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;
上記ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのどちらか一方の(メタ)アクリレート基がメチル基あるいはエチル基等で置換されたモノ(メタ)アクリレート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたは1,3,5-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物等のウレタン結合を有する(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAにオキシエチレンを付加させた生成物にさらに(メタ)アクリル酸を縮合させた2,2--ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)等を挙げることができる。これらの重合性単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
また、重合性単量体として使用できる1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する成分の例としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができる。例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、p-ビニル安息香酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(MAC-10)、1,4-ジ(メタ)アクロイルオキシエチルピロメリット酸、6-(メタ)アクロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)およびその無水物(4−META)、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシブチル]トリメリット酸およびその無水物、2,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、N,O-ジ(メタ)アクリロイルチロシン、O-(メタ)アクロイルチロシン、N-(メタ)アクロイルチロシン、N-(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N-(メタ)アクリロイル-p-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクロイル-O-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクロイル-5-アミノサリチル酸、N-(メタ)アクリロイル-4-アミノサリチル酸、2または3または4-(メタ)アクロイルオキシ安息香酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸ニ無水物との付加生成物(PMDM)、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸または3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物(BTDA)または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物との付加反応物、2-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、N-フェニルグリシンまたはN-トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4-[N-メチル-N-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることができる。
このうち11-メタクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(MAC-10)、4-メタクロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)等の4-(メタ)アクロイルオキシアルキルトリメリット酸系化合物あるいはその酸無水物、および、N-メタクリロイル-5-アミノサリチル酸(5−MASA)が好ましく用いられる。これらのうちで特に4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)を用いることが好ましく、この4−METを重合性単量体の少なくとも一部として20重量%以下の量で含有させることにより熱安定性が良好な組成物が得られる。これらのカルボキシル基を有する重合性単量体は単独であるいは組み合わせて用いることができる。
また、重合性単量体として使用できる1分子中に少なくとも1個のスルホン酸基を有する重合性単量体の例としては、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1-スルホ-1または2-プロピル(メタ)アクリレート、1または3-スルホ-2-ブチル(メタ)アクリレート、3-ブロモ-2-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシ-1-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-2-スルホエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。このうち2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。これらのスルホン酸基を有する重合性単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
上記の重合性単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
本発明で好適に使用される酸性モノマーはカルボン酸化合物であり、カルボン酸化合物は、芳香族カルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物、芳香環に隣接するジカルボン酸化合物である。
本発明では、他の重合性単量体として、(メタ)アクリル系重合性単量体が特に好ましい。また、本発明の組成物を歯科用プライマーとして用いる場合はメタクリル酸メチル、4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物等がさらに好ましく、歯科用接着材料として用いる場合はそれらに加えてジメタクリロキシエチル2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-ジメタクリロキシエトキシベンゼン、トリエチレングリコールジメタクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロポキシ)フェニル)プロパン等がさらに好ましい。本発明において複数種類の重合性単量体を組み合わせて使用することができるのは勿論である。
また、金、白金、パラジウムなどを主成分とする貴金属合金から製作される歯冠修復物や補綴物の接着前処理法として、チオリン酸基を有する化合物(特開平1−138282号公報)、チオリン酸ジクロリド基を有する化合物(特開平5−117595号公報)、トリアジンジチオン誘導体(特開昭64−83254号公報)、メルカプトチアジアゾール誘導体(特開平8−113763号公報)、チオウラシル誘導体(特開平10−1409号公報)などの官能基を分子内に有したモノマーが提案されている。
歯冠修復物や補綴物が陶材製やセラミックス製である場合には、シランカップリング剤を主成分とする接着前処理剤が用いられている。
このような貴金属やセラミックスなどに有効な化合物は、必要に応じて本発明の組成物に配合して用いることができ、同様に接着材にも使用することができる。
本発明の組成物を歯科用プライマーとして用いる場合、上記他の重合性単量体は通常1〜99重量%、好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは80〜99重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると接着性が低下することがあり、上記下限値を下回ると被着面に対する塗布性が損なわれることがある。
本発明の組成物を歯科用接着材として用いる場合、上記他の重合性単量体は通常1〜99重量%、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは15〜30重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると重合時の収縮量が増加し、被着面との間に隙間を生じることがある。また、上記下限値を下回ると接着性が低下することがある。
本発明の組成物を歯科用プライマーとして用いる場合、化合物(A)および化合物(B)および上記他の重合性単量体の酸性モノマーの重量%の和は通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲内の量で使用される。上記範囲内で使用されることでさらに接着性が向上することがある。
本発明の組成物を歯科用接着材として用いる場合、化合物(A)および化合物(B)および上記他の重合性単量体の酸性モノマーの重量%の合計は通常1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは4〜25重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると保管中の安定性が低下することがあり、上記下限値を下回ると接着性が低下することがある。
本発明の組成物を歯科用プライマーとして用いる場合、上記他の重合性単量体のうち、酸性モノマーは通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%の範囲内の量で使用される。上記範囲内で使用されることで接着性がさらに向上することがある。
本発明の組成物を歯科用接着材料として用いる場合、上記他の重合性単量体のうち、酸性モノマーは通常0.2〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回るとpH値が過剰に低くなり、接着材の重合阻害を引き起こすことがあり、上記下限値を下回ると歯質への浸透が不足し接着力が低下することがある。
本発明の組成物を歯科用プライマーとして用いる場合、上記他の重合性単量体のうち、同一分子内に重合性基を2つ以上有するモノマーは通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%の範囲内の量で使用される。
上記範囲内で使用されることで接着性がさらに向上することがある。
本発明の組成物を歯科用接着材料として用いる場合、上記他の重合性単量体のうち、同一分子内に重合性基を2つ以上有するモノマーは通常0.5〜60重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%の範囲内で使用される。上記上限値を上回ると重合時の収縮量が増加し、被着面との間に隙間を生じることがあり、上記下限値を下回ると硬化した接着材において充分な機械的強度が得られないことがある。
本発明の組成物を歯科用接着材料として用いる場合、上記他の重合性単量体のうち、水酸基を有するモノマーは通常0.2〜16重量%、好ましくは1.4〜7重量%、さらに好ましくは2〜5重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると接着材の吸水性が増すことで耐久性が低下することがあり、上記下限値を下回ると歯質への浸透が不足し接着力が低下することがある。
本発明の組成物を歯科用プライマーもしくは接着材料として用いる場合に構成する成分として使用される重合禁止剤は、例えばハイドロキノン、ジブチルハイドロキノンなどのハイドロキノン化合物類;ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール類が挙げられる。これらの重合禁止剤は、歯科用組成物の保存安定性を向上させるために配合されることが好ましく、特に、ハイドロキノンモノメチルエーテルと2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールとの組み合わせが好ましく用いられる。
本発明の組成物において、上記重合禁止剤は、歯科用プライマーおよび歯科用接着材の場合、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.008〜0.2重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると重合が阻害されることがあり、上記下限値を下回ると安定性が低下することがある。
本発明の組成物を歯科用プライマー、特に陶材用歯科用プライマーとして用いる場合に構成する成分として使用されるシランカップリング剤は、例えば分子内にアルコキシシリル基を有する重合性単量体を好ましいものとして挙げることができる。アルコキシシリル基を有する重合性単量体としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、3-(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、トリメトキシシリルプロピルアリルアミンなどを挙げることができる。この中では、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよび2-スチリルエチルトリメトキシシランが好ましく使用される。
本発明の組成物において、上記シランカップリング剤は、歯科用プライマーの場合通常1〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲内の量で使用される。シランカップリング剤は特に被着面が陶材である場合は必須の成分であるが、上記上限値を上回るような過剰に存在する場合は逆に接着性が低下することがある。また、上記下限値を下回ると陶材との接着性が低下することがある。
本発明の組成物を接着材料として用いる場合に構成する成分として使用される重合開始剤は、例えばα-ケトカルボニル化合物、アシルホスフィンオキシド化合物などを挙げることができる。α-ケトカルボニル化合物として具体的には、例えばα-ジケトン、α-ケトアルデヒド、α-ケトカルボン酸、α-ケトカルボン酸エステルなどを挙げることができる。さらに具体的には、ジアセチル、2,3-ペンタジオン、2,3-ヘキサジオン、ベンジル、4,4'-ジメトキシベンジル、4,4'-ジエトキシベンジル、4,4'-オキシベンジル、4,4'−ジクロルベンジル、4-ニトロベンジル、α-ナフチル、β-ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸、カンファーキノンカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジオンなどのα-ジケトン;メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールなどのα-ケトアルデヒド;ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブチルなどを例示することができる。これらのα-ケトカルボニル化合物のうちでは安定性などの面からα-ジケトンを使用することが好ましい。Α-ジケトンのうちではジアセチル、ベンジル、カンファーキノン好ましい。
また、本発明で重合開始剤として用いるアシルホスフィンオキシド化合物として具体的には、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを挙げることができる。
本発明の組成物において、上記重合開始剤は、歯科用接着材料の場合、通常0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると、硬化後の組成物からの該化合物の漏出量が増大することがあり、上記下限値を下回ると重合が開始されずに組成物が硬化しないことがある。
本発明の組成物を接着材料として用いる場合に構成する成分として使用される重合促進剤としては、例えば有機アミン化合物が挙げられる。具体的には、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン(DMPT)、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N−ジエタノール-p-トルイジン(DEPT)、N,N-ジメチル-p-tert-ブチルアニリン、N,N-ジメチルアニシジン、N,N-ジメチル-p-クロルアニリン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N-ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステル、N,N-ジメチルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)等の芳香族アミン類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系アミン類;
N-フェニルグリシン(NPG)、N-トリルグリシン(NTG)、N(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-N-フェニルグリシン(NPG−GMA)等を挙げることができる。この中では、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルであるN,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチルが好ましく使用される。これらの有機アミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用できる。
本発明の組成物において、上記重合促進剤は、歯科用接着材料の場合通常0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲内の量で使用される。上記上限値を上回ると硬化後の接着材が酸化されることにより色調が変化(黒化)することがある。また、上記下限値を下回ると重合性単量体の重合が促進されずに硬化不良を引き起こし、さらに未重合の重合性単量体による粘膜への為害作用が発生すことがある。
本発明の組成物を特に接着材料として用いる場合に構成する成分として使用されるフィラーは、例えば有機質フィラー、無機質フィラーおよび有機質複合フィラーを挙げることができる。このフィラーの配合によって、主として組成物の硬化層の機械的強度を向上させることができる。
ここで有機質フィラーとしては、例えば前述した種々の重合性単量体を予め重合硬化させた後に粉砕した粉末、あるいは分散重合によって得られた粉末重合体を使用できる。
ここで、使用できるフィラーの原料となる重合性単量体の種類に特に制限はない。重合性単量体から形成されたフィラーを構成する樹脂の例として、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)やポリプロピレングリコール(PPG)、ポリビニルアルコール(PVA)などを架橋剤によって不溶化させた粉末状重合体を挙げることができる。また、MMA/ブタジエン/スチレン3元共重合体などを挙げることができる。無機フィラーの例としては、例えばシリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バリウムガラスを含む)、チタニア、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン酸カルシウムなどを挙げることができる。これらの無機フィラーは予めシランカップリング剤あるいはチタネートカップリング剤などで表面処理し、親水化または疎水化されていてもよい。
有機質複合フィラーとしては、前述した無機質フィラー表面を重合性単量体で重合して被覆した後に粉砕して得られるフィラー、または無機質フィラーと重合性単量体とを懸濁重合してえられるフィラーを挙げることができる。具体的には、無機質フィラーのうち、微粉末シリカをトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPT)あるいは分子内にウレタン結合を有し、かつ、重合性基を通常2〜8個有する多官能重合性単量体を主成分とする重合性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィラー(TMPT・f)を挙げることができる。また、PMMAを溶解したアセトンなどの溶液にシリカあるいは酸化ジルコニウムなどの無機フィラーを加えて分散し、溶媒を留去して乾燥した後に粉砕することによって得られるフィラーを挙げることができる。
本発明の組成物において、上記フィラーは、歯科用接着材料の場合通常10〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%の範囲内で使用される。フィラーは硬化した組成物の機械的強度を向上させる目的で添加されるが、上記上限値を上回ると逆に脆くなり、上記下限値を下回ると充分な機械的強度が得られない。
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において物性などの評価は以下のようにして行った。
[接着試験]
健康な牛の下顎前歯を抜去し、水中で冷凍して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯を象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER社製)で注水しながら、指圧下で耐水エメリー紙#180を用いて研磨し、平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去し、直ちに片面に粘着材のついた内径4.8mm円孔を持つ厚さ1mmの原紙を牛歯に接着した。
その後、該円孔部分に本発明の組成物を塗布した。20秒間後に気銃エアーブローして液材を膜状に伸ばし、可視光照射器(TransluxCL、Kulzer社製)にて3秒間光照射して塗布した組成物を硬化させた後、この仮硬化物上にコンボジットレジン(メタフィルC、サンメディカル(株)製)を充填して、厚さ50mmのポリエステルフィルムで覆った。更にこのフィルムの上から可視光照射器にて20秒間光照射してコンボジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、スーパーボンド(サンメディカル(株)製)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行った。
また、本組成物を45℃で30日間保存した後に接着試験を行い、調製直後(保存前)の接着強さと比較した。
[電気伝導率]
リン酸エステル混合物1gにメタノール(和光純薬(株)製特級)を加えて10重量%の希釈液とし、25℃下での電気伝導率を測定した。測定機器はデジタル伝導率計CM-30R(東亜ケーディーディー株式会社製)を用いた。
[光透過率]
リン酸エステル混合物を分光光度計用ガラスセルに適量入れ、分光光度計V-630(日本分光株式会社製)を用いて25℃下での455nmにおける光透過率%を測定した。
[保存安定性]
歯科用組成物5mLをガラス瓶に入れ、室内(23℃)で保管した。目視にて組成物の経時変化を日々観察し、ゲル状の透明な不純物や不溶物が認められた時点をゲル化までの日数とした。
〔実施例1〕
本発明の歯科用組成物として、7.1重量部の化合物(A)(R1=R2=R3=CH3、x=y=z=10)、1.9重量部の化合物(B)(R1=R2=R3=CH3、x=y=z=10)、13.0重量部の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、9.5重量部のジメタクリロキシエチル-2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジウレタン、10.5重量部のメチルメタクリレート、23.5重量部の精製水、33.1重量部のアセトン、1.0重量部のカンファーキノン、0.4重量部の4−メチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル、0.05重量部の4-メトキシフェノール、0.1重量部の2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを均一になるまで撹拌した。
接着試験片は37℃水中に一日浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行った。調製した接着材を用いて接着試験を行った結果、研削牛歯象牙質に対する初期の接着強さは12.2MPaであり、45℃下で30日間保管したものでは11.1MPaであった。また、化合物(A)と(B)の有機リン酸混合物の電気伝導率は1.3mS/cmで、ゲル化までの日数は365日以上であった。
結果を表1に示す。
〔実施例2〕
注水下で#180の研磨紙で研磨した牛歯象牙質面に対して、直径4.8mmの穴の空いたテープを貼って接着面を設定した。
40%リン酸水溶液を塗布して20秒放置した後水洗した。リン酸エステル混合物として20重量部の化合物(A)(R1=R2=R3=CH3、x=y=z=10)、5重量部の化合物(B)(R1=R2=R3=CH3、x=y=z=10)、50重量部の2,2-ビス〔メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン(2.6E:分子内にエトキシ基が平均2.6個存在する)、15重量部の2-ヒドロキシエチルメタクリレート、10重量部のネオペンチルグリコールジメタクリレート、1.5重量部の過酸化ベンゾイル、0.5重量部のカンファーキノン、0.01重量部の4-メトキシフェノール、0.02重量部の2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを均一になるまで撹拌した歯科用組成物を調製した。また、100重量部のエタノールと2重量部のN,N-ジエタノール-p-トルイジンおよび4重量部のp-トルエンスルフィン酸ナトリウムを均一に溶解した溶液Aを調製した。
上記の歯科用組成物と溶液Aを等量混和してリン酸水溶液にて処理した被着面に塗布し、軽くエアブローした。次いで、可視光照射器(TransluxCL、Kulzer社製)にて20秒照射して光重合を行った。その上に歯科用コンポジットレジン(メタフィルC、サンメディカル(株)製)を1mmの厚さで積層して同光照射器を用いて40秒照射し、硬化表面の上にスーパーボンド(サンメディカル(株)製)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。
接着試験片は37℃水中に一日浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行った。また、この組成物を45℃で30日間保存した後に接着試験を行い、調製直後(保存前)の接着強さと比較した。調製した接着材を用いて接着試験を行った結果、研削牛歯象牙質に対する初期の接着強さは8.5MPaであり、45℃下で30日間保管したものでは7.5MPaであった。また、化合物(A)と(B)の有機リン酸混合物の電気伝導率は1.3mS/cmで、ゲル化までの日数は270日であった。
結果を表1に示す。
Figure 2015168672

Claims (7)

  1. 組成中に下記式で表される化合物(A)および化合物(B)である有機リン酸混合物を含有する歯科用組成物であって、該有機リン酸混合物の10重量%メタノール溶液の25℃での電気伝導率が2.0mS/cm以下で、455nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とする歯科用組成物;
    Figure 2015168672
    (上式で表される化合物(A)および化合物(B)おいて、R1、R2、R3は、各々独立にHまたはアルキル基を、x、y、zは各々独立に5〜20の整数を表す。)。
  2. 上記歯科用組成物中における化合物(B)の含有量が0.01〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. 上記歯科用組成物中における化合物(A)の含有量が0.02〜70重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科用組成物。
  4. 上記化合物化合物(A)および(B)のx、y、zの値が各々独立に8〜12の範囲にある請求項1〜3の何れかに記載の歯科用組成物。
  5. 上記歯科用組成物における化合物(A)と化合物(B)との重量比(化合物(A)の重量%/化合物(B)の重量%)が、0.1〜30の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の歯科用組成物。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の歯科用組成物よりなる歯科用プライマー。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の歯科用組成物よりなる歯科用接着材料。
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