JP2015154285A - アナログデジタル変換器及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】打切り誤差をより高精度に補償することが可能なβ型AD変換器を提供する。【解決手段】アナログデジタル変換器1は、1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換する。アナログデジタル変換器1は、入力されるアナログ入力信号又はアナログ残差信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力する比較部13と、比較部13が出力するデジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、アナログ入力信号をβ進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数θを演算する補償係数演算部40と、β進デジタル信号と補償係数演算部が演算した補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力するβ進−2進変換部50とを有する。【選択図】図6
Description
本発明は、β展開を利用したアナログデジタル変換器(Analog-to-digital converter、AD変換器)及びその方法に関する。
β展開を利用して、入力されるアナログ入力信号をデジタル信号に変換するサイクリック型のβ型AD変換器が知られている。特許文献1には、デジタル近似部と、マルチプレクサと、1よりも大きく2よりも小さい値であるβの値を推定するβ推定部と、デジタル信号出力部とを有するβ型AD変換器が記載される。デジタル近似部は、入力される第1アナログ信号の大きさとしきい値とを比較して比較結果を示すデジタル値を出力する比較部と、乗算型デジタルアナログ変換部とを有する。乗算型デジタルアナログ変換部は、第1アナログ信号をβ倍に増幅すると共に比較部の比較結果に応じた第2アナログ信号を出力する。マルチプレクサは、最上位ビットを演算するときはアナログ入力信号を第1アナログ信号として出力し、かつ最上位ビットを演算するとき以外は第2アナログ信号を第1アナログ信号として出力する。デジタル信号出力部は、比較部が出力するデジタル値を順次取り込んで、推定したβの値に基づいてデジタル信号として出力する。
特許文献1に記載されるβ型AD変換器は、βの値を推定する推定部を有するので、製造条件のばらつきなどによりβの値が変動しても、ミスコードなどの誤差が生じない。また、特許文献1に記載されるβ型AD変換器では、ミスコードなどの誤差が生じないので、設計された増幅度と同一の増幅度を有する増幅回路を製造する必要はなく、またキャパシタの相対精度を高くする必要がなく面積が大きなキャパシタを有する必要はない。特許文献1に記載されるβ型AD変換器では、増幅回路及びキャパシタ等の構成素子の製造技術上の制約を受けにくいので、製造技術に依存しない高精度のAD変換器が提供可能になる。
「(BETA ENCODERS: SYMBOLIC DYNAMICS AND ELECTRONIC IMPLEMENTATION)」(TOHRU KOHDA et al, Int. J. Bifurcation Chaos, Vol.22, No.9 (2012) 1230031 (55 page))
「β変換器の量子化誤差に関する理論的解析」(牧野貴樹、岩田友紀子、實松豊、堀田正生、傘昊、合原一幸、電子情報通信学会信学技報 Vol.113 No.225 ,電子情報通信学会信学技報 Vol.113 No.224)
「Rigorous analysis of quantization error of an A/D converter based on β-map」(Takaki Makino and Yukiko Iwata, Yutaka Jitsumatsu, Masao Hotta, Hao San, and Kazuyuki Aihara、Proceedings of 2013 IEEE International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS), May 2013)
しかしながら、特許文献1に記載されるβ型AD変換器では、AD変換時に誤差が生じるおそれがある。β型AD変換器におけるAD変換時の誤差として、β推定由来誤差、打切り誤差、演算丸め誤差及び出力丸め誤差の4つの誤差がある。β推定由来誤差は演算に使用されるβと真のβとのズレによる誤差であり、打切り誤差は有限値であるL段でβ変換を打ち切ることによる誤差である。演算丸め誤差はβ進デジタル信号を2進デジタル信号に変換するときに、有限値であるmビットで計算することによる誤差であり、出力丸め誤差は演算結果を有限値であるnビットで出力することによる誤差である。
表1並びに図1(a)及び1(b)を参照して、打切り誤差について説明する。表1は、β=3/2=1.5の場合のβ進デジタル信号の5桁の重みを示す表である。図1(a)は理想的な2進AD変換器でアナログ信号を3桁の2進デジタル信号に変換した場合の伝達特性を示す図である。図1(b)は表1に示すβ進デジタル信号を使用してβ型AD変換器でアナログ信号を5桁のβ進デジタル信号に変換した場合の伝達特性を示す図である。図1(a)及び1(b)において、横軸は入力信号を示し、縦軸は出力信号を示す。また、図1(a)及び1(b)において、実線は出力されるデジタル信号を示し、破線は対角線を示す。また、図1(b)において、一点鎖線は、出力される2進デジタル信号の隣接するデータ間の平均値を結んだ直線を示す。図1(a)において、しきい値νは0.5であり、出力される2進デジタル信号の桁数nは3である。図1(b)において、しきい値νは0.5であり、演算されるβ進デジタル信号の桁数Lは5であり、β進デジタル信号から2進デジタル信号に変換されるときの桁数mは4であり、出力される2進デジタル信号の桁数nは3である。
図1(a)に示す理想的なAD変換器で変換した場合では、出力される2進デジタル信号の隣接するデータ間の平均値を結んだ直線は、対角線と一致している。一方、図1(b)に示すβ進デジタル信号の桁数Lが5であるβ型AD変換器で変換した場合では、出力される2進デジタル信号の隣接するデータ間の平均値を結んだ直線は、対角線より下側に位置しマイナスのオフセットを有している。図1(b)において破線で示される対角線と、一点鎖線で示される隣接するデータ間の平均値を結んだ直線とのオフセットは、β進デジタル信号を演算するときに5桁で打ち切ることにより切り捨てられた残差に起因する誤差に対応する。ここで、残差とは、アナログ信号を桁数Lのβ進デジタル信号にβ変換したあとの第二アナログ信号出力に相当する値である。β変換の理論では、桁数Lを無限大としたときには誤差が0となることが証明されているので、残差は、アナログ信号を桁数Lのβ進デジタル信号にβ変換したときの(L+1)桁以降の値に等しくなる。すなわち、残差Vrは、i桁目のβ進デジタル信号をbiとしたとき
Vr = (β - 1)(bL+1β-(L+1) + bL+2β-(L+2) + bL+3β-(L+3) + bL+4β-(L+4) +・・・)
で示される。
Vr = (β - 1)(bL+1β-(L+1) + bL+2β-(L+2) + bL+3β-(L+3) + bL+4β-(L+4) +・・・)
で示される。
非特許文献1には、打切り誤差を補償する技術が記載されている。非特許文献1では、β進デジタル信号を演算するときに打ち切ったL桁目での残差において、補償係数θとして1/2をbL+1、bL+2、bL+3、…に代入した値を補償値Vcとして、演算したL桁β進デジタル信号の復号結果に加算することによって、打切り誤差を補償している。β進デジタル信号を5桁で演算した場合の補償値Vcは以下のように演算される。
Vc = (β - 1) ((1/2)β-6 + (1/2)β-7 + (1/2)β-8 + (1/2)β-9 +・・・)
= (1/2) (β - 1) ( β-5 -β-(n+1)) / (β - 1)
= (1/2) ( β-5 -β-(n+1))
→ (1/2) β-5 ∵n→∞のとき、β-(n+1) →0
Vc = (β - 1) ((1/2)β-6 + (1/2)β-7 + (1/2)β-8 + (1/2)β-9 +・・・)
= (1/2) (β - 1) ( β-5 -β-(n+1)) / (β - 1)
= (1/2) ( β-5 -β-(n+1))
→ (1/2) β-5 ∵n→∞のとき、β-(n+1) →0
図2は、図1(b)に示されるAD変換の入出力信号において、補償値Vcとして(1/2)β-5を加算したときの伝達特性を示す図である。図2において、横軸は入力信号を示し、縦軸は出力信号を示す。また、図2において、実線は補償値(1/2)β-5を加算した後のデジタル信号を示し、破線は図1(b)に示される補償値(1/2)β-5を加算する前のデジタル信号を示す。また、図2において、一点鎖線は対角線を示し、二点鎖線は補償値(1/2)β-5を加算した後のデジタル信号の隣接するデータ間の平均値を結んだ直線を示す。
図2に示すように、非特許文献1に記載される補償値の演算方法では、補償係数θとして1/2を使用した補償値Vcとして加算することにより、打切り誤差を補償している。
しかしながら、本願発明の発明者は、数理モデル学を適用することにより、打切り誤差をより高精度に補償することを見出した。
本発明の目的は、β型AD変換器の打ち切り誤差を補償する補償値の演算に数理モデルに基づく推定法を適用することにより、打切り誤差をより高精度に補償することが可能なβ型AD変換器及びその方法を提供することにある。
本発明に係るアナログデジタル変換器は、1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するアナログデジタル変換器であって、入力されるアナログ入力信号又はアナログ残差信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力する比較部と、入力されるアナログ入力信号又はアナログ残差信号をβ倍に増幅すると共に比較部の比較結果に応じたアナログ残差信号を出力する乗算型デジタルアナログ変換部とを備えるデジタル近似部と、比較部が出力するデジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、アナログ入力信号をβ進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算する補償係数演算部と、β進デジタル信号と、補償係数演算部が演算した補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力するデジタル信号出力部と、を有することを特徴とする。
本発明に係るアナログデジタル変換器では、β補償係数は、β進デジタル信号に変換されるアナログ入力信号の範囲がβ変換によって写像された結果であるアナログ残差信号の区間の中央値として演算されることが好ましい。
また、本発明に係るアナログデジタル変換器では、補償係数は、しきい値のばらつきの大きさを表す係数を更に使用して演算されることが好ましい。
また、本発明に係るアナログデジタル変換器では、β進デジタル信号の桁数は、L桁であり、補償係数演算部は、最下位ビットからL桁よりも小さいM桁のβ進デジタル信号と、M桁のβ進デジタル信号に変換されるアナログ入力信号の範囲を使用して演算される補償係数との関係を示すテーブルを記憶し、補償係数演算部は、記憶されたテーブルを使用して、補償係数を演算することが好ましい。
また、本発明に係るアナログデジタル変換器では、補償係数演算部は、ビットごとのデータに応じて遷移する補償係数の間の遷移関係を使用して、補償係数を演算することが好ましい。
本発明に係るアナログデジタル変換方法は、1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するアナログデジタル変換方法であって、入力されるアナログ入力信号又はアナログ残差信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力し、入力されるアナログ入力信号又はアナログ残差信号をβ倍に増幅すると共に比較結果に応じたアナログ残差信号を出力しデジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、アナログ入力信号をβ進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算し、β進デジタル信号と、補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力する方法であって、補償係数は、β進デジタル信号に変換されるアナログ入力信号の範囲を使用して演算される、ことを特徴とする。
本発明に係るアナログデジタル変換器では、β進デジタル信号を使用して、アナログ入力信号をβ進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算するので、打切り誤差をより高精度に補償することが可能になった。
以下図面を参照して、アナログデジタル変換器について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明との均等物に及ぶ点に留意されたい。
本発明に係るアナログデジタル変換器について説明する前に、本発明で使用される数理モデルについて説明する。
本発明に係るアナログデジタル変換器は、特許文献1及び非特許文献1〜3に記載されるβ変換を使用して、AD変換を実現するものである。すなわち、β変換型AD変換器は、2進符号化によりデジタル信号を符号化するもの(以下、2進デジタル信号とも称する)ではなく、1よりも大きく2よりも小さい数であるβの値を使用するβ進符号化によりデジタル信号を符号化するもの(以下、β進デジタル信号とも称する)である。特許文献1及び非特許文献1〜3に記載されるβ変換は、入力範囲が 0 <= xi <= 1 となるようスケールした場合、しきい値ν/β((β-1)/β≦ν/β≦1/β) を用いて、xi < ν/β のときにはデジタル値bi=0およびアナログ値xi+1 = β xiを、xi >= ν/β のときにはデジタル値bi=1およびアナログ値xi+1 =βxi -(β-1)を出力する操作に対応する。サイクリック型A/D変換器は、入力x0に対してこのβ変換をL回繰り返し適用することに相当するので、変換を合成することで伝達特性を考えることができる。
図3(a)はL=1ビットのβ進デジタル信号の伝達特性を示す図であり、図3(b)はL=2ビットのβ進デジタル信号の伝達特性を示す図である。ここで、βは1よりも大きく且つ2よりも小さい実数である。図3(a)及び3(b)において、横軸は入力信号を示し、縦軸は出力信号を示す。図3(a)において、左から順にデータ[0]及び[1]の伝達特性を示し、図3(b)において、左から順にデータ[00]、[01]、[10]及び[11]の伝達特性を示す。
L=1ビットのβ進デジタル信号では、データ[0]を示す直線の下端のX座標は0であり、データ[0]を示す直線の上端のX座標はβ-1である。データ[1]を示す直線の下端のX座標は1−β-1であり、データ[1]を示す直線の上端のX座標は1である。
L=2ビットのβ進デジタル信号では、データ[00]を示す直線の下端のX座標は0であり、データ[00]を示す直線の上端のX座標はβ-2である。データ[01]を示す直線の下端のX座標はβ-1−β-2であり、データ[01]を示す直線の上端のX座標はβ-1である。データ[10]を示す直線の下端のX座標は1−β-1であり、データ[10]を示す直線の上端のX座標は1−β-1+β-2である。データ[11]を示す直線の下端のX座標は1−β-2であり、データ[11]を示す直線の上端のX座標は1である。
非特許文献1に記載される補償値の演算方法では、アナログ信号をL桁のβ進デジタル信号に変換するときに、演算を打ち切ったL桁以降の桁の合計値に補償係数θ=1/2を乗じた値を、演算したβ進デジタル信号に加算して、打切り誤差を補償している。非特許文献1に記載される補償値の演算方法は、見方を変えると、データを示す直線の下端から上端までの値の中央値を補償係数θとして乗算して補償値Vcを演算するものである。図4を参照して、非特許文献1に記載される補償値の演算方法について説明する。
図4は、非特許文献1に記載される補償値の演算方法について説明する図である。
非特許文献1の演算方法は、矢印Aで示される範囲、すなわちデータ[01]を示す直線の下端のX座標であるβ-1−β-2と上端のX座標であるβ-1との間の中央値である1/2を補償値として使用して、データ[01]の残差を推定しているものである。この推定方法は、β写像におけるしきい値ν/βに関して、写像が吸引的である((β-1)/β≦ν/β≦1/β)こと以外に全く仮定を置かない場合には、精度のよい推定方法である。
しかしながら、一般には、しきい値ν/βは回路設計においてある程度調節できる値であり、その場合には、データ[01]として出力される入力信号の範囲は、データ[01]を示す直線の下端から上端までの範囲を考える必要はない。しきい値ν/βが固定されている場合には、データ[01]として出力される入力信号の範囲は、データ[00]とデータ[01]とが重複する範囲のデータ[01]を示す直線の上端のX座標値から、データ[01]とデータ[10]とが重複する範囲のデータ[01]を示す直線の下端までの範囲である。
図5は、非特許文献1に記載される補償値の演算方法と本発明に係る補償値の演算方法との比較を示す図である。図5において、図3と同様に、横軸は入力信号を示し、縦軸は出力信号を示す。図5において、左から順にデータ[00]、[01]、[10]及び[11]の伝達特性を示す。データ[00]、[01]、[10]及び[11]のそれぞれの伝達特性を示す直線において、実線はしきい値ν/βを仮定した場合に入力されたアナログ信号がβ進デジタル信号に実際に変換される範囲を示し、破線は入力されたアナログ信号がβ進デジタル信号に変換されない範囲を示す。
上述のように、非特許文献1に記載される補償値の演算方法では、図5において双方向矢印Aで示される範囲であるデータ[01]を示す直線の下端から上端までの範囲の中央値を補償係数θとして使用して残差を演算する。一方、本発明に係る補償値の演算方法では、図5において双方向矢印Bで示される範囲であるデータ[01]に対応するアナログ信号がβ進デジタル信号に実際に変換される範囲の中央値を補償係数θとして使用して残差を演算するものである。
本発明に係る補償値の演算方法では、アナログ信号がβ進デジタル信号に実際に変換される範囲の中央値を補償係数θとして使用して残差を演算するので、打切り誤差をより高精度に補償することが可能になる。
図6は、第1実施形態に係るサイクリック型AD変換器の回路ブロック図である。
サイクリック型AD変換器1は、デジタル近似部10と、第1マルチプレクサ20と、第2マルチプレクサ22と、β推定部30と、補償係数演算部40と、β進−2進変換部50とを有する。
デジタル近似部10は、サンプル・ホールド部12と、比較部13と、MDAC部14とを有する。サンプル・ホールド部12は、入力されるアナログ信号をサンプル・ホールドしてサンプリング信号Vsを生成するサンプル・ホールド機能を有する。比較部13は、サンプリング信号Vsと、基準電圧Vrefの半分の大きさのしきい値Vthとを比較して比較結果を示すデジタル値Qoutを出力する。比較部13は、サンプリング信号Vsがしきい値Vthよりも大きい場合、デジタル値Qoutとして1を出力し、サンプリング信号Vsがしきい値Vthよりも小さい場合、デジタル値Qoutとして0を出力する。MDAC部14は、複数のキャパシタ、オペアンプ及びスイッチ等を有しサンプリング信号Vsをβ倍に増幅すると共に比較部13の比較結果に応じて演算を実行して残差信号Vresを生成する。MDAC部14が生成する残差信号Vresは式(1)で示される。
ここで、βの値は、1よりも大きく2よりも小さい値であり、残差信号Vresの生成に使用されるVrefは基準電圧である。
デジタル近似部10は、L回動作することにより、L個のデジタル値Qoutを生成し、β推定部30、補償係数演算部40及びβ進−2進変換部50に出力する。β推定部30は、デジタル近似部10が生成したL個のデジタル値Qoutを使用してβの値を推定する。補償係数演算部40は、デジタル近似部10が生成したL個のデジタル値Qoutを順次記憶し、記憶したデジタル値Qoutから生成されるL桁のβ進デジタル信号を使用して、打ち切り誤差を補償する補償値に使用される補償係数θを演算する。β進−2進変換部50は、デジタル近似部10が生成したL個のデジタル値Qoutを順次記憶し、記憶したデジタル値Qoutから生成されるL桁のβ進デジタル信号と、補償係数演算部40が演算した補償係数θとを2進デジタル信号に変換する。
第1マルチプレクサ20は、β推定部30からの第1入力選択信号S1に基づいて、アナログ入力信号Vanaとβ推定部30から入力される推定用入力DC信号VDCとを選択する。
第2マルチプレクサ22は、第2入力選択信号S2に基づいて、2つの入力信号の何れかを出力する。第2マルチプレクサ22は、デジタル近似部10がMSBのデジタルコードを得るためのAD変換時にのみアナログ入力信号Vana又は推定用入力DC信号VDCを選択する。また、第2マルチプレクサ22は、MSB以外のデジタルコードを得るためのAD変換時には、デジタル近似部10の出力信号を選択してフィードバック回路を形成する。
β推定部30は、比較部13から入力されるL個のデジタル値Qoutを使用して、MDAC部14におけるβの値を推定する。βの値は、MDAC部14に配置されるキャパシタの容量及びオペアンプの増幅度などが、製造条件のばらつきにより変動するために、半導体装置ごとに相違する。β推定部30は、βの値を推定する機能を有するハードウェア又はソフトウェア若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで構成される。例えば、β推定部30は、複数のトランジスタで構成される演算部又はソフトウェアを記憶するメモリ若しくは演算部及びメモリの組み合わせで構成することができる。また、β推定部30は、半導体装置に搭載されるMPU(図示せず)に組み込まれてもよい。
図7は、β推定部30がβの値を推定する処理フローを示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、β推定部30は、第1推定デジタル信号を取得するために、第1入力選択信号S1及び第2入力選択信号S2を選択することにより、デジタル近似部10に推定用入力DC信号VDCを入力する。β推定部30からデジタル近似部10される推定用入力DC信号VDCの信号レベルには、フルスケール入力レベルの中間電圧VCMを利用できる。推定用入力DC信号VDCは、1つの入力信号Vinに対してMSBが「0」の信号とMSBが「1」の信号の2つのデジタル出力信号Doutを有する。
次いで、ステップS102において、β推定部30は、MSBの判定結果を示す信号を「0」に固定して、推定用入力DC信号をβ進デジタル信号に変換して、第1推定デジタル信号b0nとしてβ推定部30に記憶する。第1推定デジタル信号は、推定用入力DC信号VDCを、MSBが「0」であるデジタル信号に変換したものである。MSBの判定結果の「0」への固定は、選択信号SELによりMDAC部14に入力される信号のレベルを「0」にしてMSBの演算を実施することにより実行できる。β推定部30は、MSBの演算を実施するときに、比較部13の比較結果を示すデジタル値Qoutの代わりにβ推定部30から出力されるデジタル値Qdegを選択するように選択信号SELによりMDAC14を制御する。次いで、β推定部30は、デジタル値Qdegのレベルを「0」にする。β推定部30は、2ビット目以降の演算では、比較部13の比較結果を示すデジタル値Qoutを選択するようにMDAC14を制御する。
次いで、ステップS103において、β推定部30は、第2推定デジタル信号を取得するために、第1入力選択信号S1及び第2入力選択信号S2を選択することにより、デジタル近似部10に推定用入力DC信号VDCを入力する。このときに入力される推定用入力DC信号VDCの信号レベルは、ステップS101における処理と同様になるようにする。
次いで、ステップS104において、β推定部30は、MSBの判定結果を示す信号を「1」に固定して、推定用入力DC信号をβ進デジタル信号に変換して、第2推定デジタル信号b1nとしてβ推定部30に記憶する。第1推定デジタル信号は、推定用入力DC信号VDCを、MSBが「1」であるデジタル信号に変換したものである。MSBの判定結果の「1」への固定は、選択信号SELによりMDAC部14に入力される信号のレベルを「1」にしてMSBの演算を実施することにより実行できる。β推定部30は、MSBの演算を実施するときに、比較部13の比較結果を示すデジタル値Qoutの代わりにβ推定部30から出力されるデジタル値Qdegを選択するように選択信号SELによりMDAC14を制御する。次いで、β推定部30は、デジタル値Qdegのレベルを「1」にする。β推定部30は、2ビット目以降の演算では、比較部13の比較結果を示すデジタル値Qoutを選択するようにMDAC14を制御する。
そして、ステップS105において、β推定部30は、β推定部30に記憶される第1推定デジタル信号b0nと第2推定デジタル信号b1nとの間の差の値e(β)が最小となるβの値を演算する。具体的には、β推定部30は、
に複数のβの値を順次代入することにより、第1及び第2推定デジタル信号b0nとb1nとの間の差の値e(β)の絶対値が最小となるβの値を見出す。推定用入力DC信号VDCは、MSBが1であるデジタル出力信号及びMSBが0であるデジタル出力信号の2つのデジタル出力信号を有する領域の値である。ステップS102で変換される第1推定デジタル信号b0nとステップS104で変換される第2推定デジタル信号b1nとは、同一の推定用入力DC信号VDCを変換したものであるので、e(β)の絶対値が最小となるβの値が所望のβの値であると推定される。
補償係数演算部40は、比較部13から入力されるL個のデジタル値Qoutを順次記憶する。補償係数演算部40は、記憶したL個のデジタル値Qoutから生成されるL桁のβ進デジタル信号を使用してアナログ信号をL桁のβ進デジタル信号に変換したときにL+1桁以降を打ち切ったことにより生じる打ち切り誤差を補償する補償値を演算する。補償係数演算部40は、補償値を演算する機能を有するハードウェア又はソフトウェア若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで構成される。例えば、補償係数演算部40は、複数のトランジスタで構成される演算部又はソフトウェアを記憶するメモリ若しくは演算部及びメモリの組み合わせで構成することができる。また、補償係数演算部40は、半導体装置に搭載されるMPU(図示せず)にβ推定部30と共に組み込まれてもよい。
補償係数演算部40は、L桁のβ進デジタル信号のMSBからLSBまでのビットのそれぞれについて、β進デジタル信号に変換されたときのそれぞれのデータに対応するアナログ信号の範囲のβ変換による写像の最大値及び最小値を順次演算する。ここで、アナログ信号の範囲のβ変換による写像とは、L桁のβ進デジタル信号のそれぞれのビットに応じた写像である。MSBでは、アナログ信号の範囲のβ変換による写像は、「0」又は「1」にβ変換されるアナログ信号の範囲のβ変換による写像になる。MSBの1ビット下位のビットでは、アナログ信号の範囲のβ変換による写像は、「00」、「01」、「10」又は「11」にβ変換されるアナログ信号の範囲のβ変換による写像となる。また、L桁のβ進デジタル信号のLSBでは、アナログ信号の範囲のβ変換による写像は、2L個に分割されたL桁のβ進デジタル信号の何れかに変換されるアナログ信号の範囲のβ変換による写像となる。L桁β進デジタル信号に変換されたときのそれぞれのデータに対応するアナログ信号の区間をL回のβ変換によって写像した結果の区間を、本明細書ではセグメントと称する。出力されうるL桁β進デジタル信号の各々に1つのセグメントが対応する。あるL桁β進デジタル信号に対応するセグメントは、入力アナログ信号がそのL桁β進デジタル信号へ変換された後にアナログ残差信号がとりうる範囲に対応するものであり、このセグメントに関する情報を利用することで、残差をより高精度に推定することが可能になる。
図8(a)は1ビット目のβ進デジタル信号のセグメントの最大値及び最小値を説明する図であり、図8(b)は2ビット目のβ進デジタル信号のセグメントの最大値及び最小値を説明する図である。
1ビットのβ進デジタル信号では、β進デジタル信号が「0」のときのセグメントの区間は0〜Aであり、β進デジタル信号が「1」のときのセグメントの区間はB〜1である。2ビットのβ進デジタル信号では、β進デジタル信号が「00」のときのセグメントの区間は0〜Cであり、β進デジタル信号が「01」のときのセグメントの区間はD〜Aである。また、2ビットのβ進デジタル信号では、β進デジタル信号が「10」のときのセグメントの区間はB〜Cであり、β進デジタル信号が「11」のときのセグメントの区間はD〜1である。セグメントの最大値及び最小値としてそれぞれ示されるA〜Dはβの値によって式(3)〜(6)のように示される。
A = ν (3)
B = 1 - β+ν (4)
C = 1 - β・(1 - ν) (5)
D = β・(1 - β + ν) (6)
ここで、1<β<2であり、ν/βは比較部13に入力されるしきい値Vthに対応する値であり、しきい値Vthがサンプリング信号Vsの振幅の1/2の大きさの場合ν/β=0.5となる。
A = ν (3)
B = 1 - β+ν (4)
C = 1 - β・(1 - ν) (5)
D = β・(1 - β + ν) (6)
ここで、1<β<2であり、ν/βは比較部13に入力されるしきい値Vthに対応する値であり、しきい値Vthがサンプリング信号Vsの振幅の1/2の大きさの場合ν/β=0.5となる。
補償係数演算部40は、以下に示す式(7)〜(10)を使用して、比較部13から入力されるデジタル値Qoutを順次記憶して生成されたβ進デジタル信号に対応するセグメントの最大値及び最小値をMSBから順次演算する。すなわち、MSBからiビットのβ進デジタル信号に対応するのセグメントの最小値Xi min及び最大値Xi maxは、iビット目のデータが「0」のとき、
Xi min =β・min(ν/β,Xi-1 min) (7)
Xi max =β・min(ν/β,Xi-1 max ) (8)
をそれぞれ使用して演算される。また、MSBからiビット目のβ進デジタル信号のセグメントの最小値Xi min及び最大値Xi maxは、iビット目のデータが「1」のとき、
Xi min =1-β・(1-max(ν/β,Xi-1 min )) (9)
Xi max =1-β・(1-max(ν/β,Xi-1 max )) (10)
をそれぞれ使用して演算される。ここで、min(ν/β,Xi-1 max )は、しきい値ν/βと1ビット上位のセグメントの最大値Xi-1 maxの何れか小さい方を選択することを示し、max(ν/β,Xi-1 min )は、しきい値ν/βと1ビット上位のセグメントの最大値Xi-1 maxの何れか大きい方を選択することを示す。補償係数演算部40は、MSBに対応するセグメントの最小値X1 min及び最大値X1 maxを演算するとき、X0 min=0、及びX0 max=1とする。
Xi min =β・min(ν/β,Xi-1 min) (7)
Xi max =β・min(ν/β,Xi-1 max ) (8)
をそれぞれ使用して演算される。また、MSBからiビット目のβ進デジタル信号のセグメントの最小値Xi min及び最大値Xi maxは、iビット目のデータが「1」のとき、
Xi min =1-β・(1-max(ν/β,Xi-1 min )) (9)
Xi max =1-β・(1-max(ν/β,Xi-1 max )) (10)
をそれぞれ使用して演算される。ここで、min(ν/β,Xi-1 max )は、しきい値ν/βと1ビット上位のセグメントの最大値Xi-1 maxの何れか小さい方を選択することを示し、max(ν/β,Xi-1 min )は、しきい値ν/βと1ビット上位のセグメントの最大値Xi-1 maxの何れか大きい方を選択することを示す。補償係数演算部40は、MSBに対応するセグメントの最小値X1 min及び最大値X1 maxを演算するとき、X0 min=0、及びX0 max=1とする。
補償係数演算部40は、式(7)〜(10)を使用して、L桁のβ進デジタル信号に対応するセグメントセグメントの最小値XL min及び最大値XL maxまで演算する。次いで、補償係数演算部40は、L桁のβ進デジタル信号に対応するセグメントセグメントの最小値XL min及び最大値XL maxから式(11)を使用して、L桁のβ進デジタル信号に対応するセグメントセグメントの中央値を補償係数θとして演算する。
θ = (XL in + XL max)/2 (11)
θ = (XL in + XL max)/2 (11)
図9は、補償係数演算部40が補償値を演算する処理フローを示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、補償係数演算部40は、セグメントの最小値X0 minを「0」に設定すると共に、セグメントの最小値X0 maxを「1」に設定する。セグメントの最小値X0 min及びiセグメントの最小値X0 maxのそれぞれは、MSBのセグメントの最小値X1 min及び最大値X1 maxを演算するときに使用される。
次いで、ステップS202において、補償係数演算部40は、記憶したL桁のβ進デジタル信号のMSBを演算するビットX1として設定する。
次いで、ステップS203において、補償係数演算部40は、記憶されているβ進デジタル信号のMSBが「0」であるか否かを判定する。記憶されているβ進デジタル信号のMSBが「0」であると判定されると、処理はステップS204に進む。記憶されているβ進デジタル信号のMSBが「1」であると判定されると、処理はステップS206に進む。
処理がステップS204に進むと、補償係数演算部40は、
X1 min =β・X0 min (12)
を使用して、MSBにおいて「0」と判定されるアナログ信号の最小値X1 minを演算する。ここで、X0 minはステップS201で設定された「0」であるので、式(12)は、
X1 min = 0
となる。
X1 min =β・X0 min (12)
を使用して、MSBにおいて「0」と判定されるアナログ信号の最小値X1 minを演算する。ここで、X0 minはステップS201で設定された「0」であるので、式(12)は、
X1 min = 0
となる。
次いで、処理がステップS205に進むと、補償係数演算部40は、
X1 max =β・min(ν/β,X0 max) (13)
を使用して、MSBにおいて「0」と判定されるアナログ信号の最大値X1 maxを演算する。ここで、X0 maxはステップS201で設定された「1」であり、ν/βは「0.5」であるので、
min(ν/β,X0 max) = ν/β
となり、式(13)は、
X1 max =ν
となる。次いで、処理はステップS208に進む。
X1 max =β・min(ν/β,X0 max) (13)
を使用して、MSBにおいて「0」と判定されるアナログ信号の最大値X1 maxを演算する。ここで、X0 maxはステップS201で設定された「1」であり、ν/βは「0.5」であるので、
min(ν/β,X0 max) = ν/β
となり、式(13)は、
X1 max =ν
となる。次いで、処理はステップS208に進む。
処理がステップS206に進むと、補償係数演算部40は、
X1 min =1-β・(1-max(ν/β,X0 min ) ) (14)
を使用して、MSBにおいて「1」と判定されるアナログ信号の最小値X1 minを演算する。ここで、X0 minはステップS201で設定された「0」であり、ν/βは「0.5」であるので、
max(ν/β,X0 min ) = ν/β
となり、式(14)は、
X1 min = (1 - β)・(1 - ν/β)
となる。
X1 min =1-β・(1-max(ν/β,X0 min ) ) (14)
を使用して、MSBにおいて「1」と判定されるアナログ信号の最小値X1 minを演算する。ここで、X0 minはステップS201で設定された「0」であり、ν/βは「0.5」であるので、
max(ν/β,X0 min ) = ν/β
となり、式(14)は、
X1 min = (1 - β)・(1 - ν/β)
となる。
次いで、処理がステップS207に進むと、補償係数演算部40は、
X1 max = 1-β・(1-max(ν/β,Xi-1 max )) (15)
を使用して、MSBにおいて「1」と判定されるアナログ信号の最大値X1 maxを演算する。ここで、X0 maxはステップS201で設定された「1」であるので、式(15)は、
X1 max = 1-β・(1 - 1) =1
となる。次いで、処理はステップS208に進む。
X1 max = 1-β・(1-max(ν/β,Xi-1 max )) (15)
を使用して、MSBにおいて「1」と判定されるアナログ信号の最大値X1 maxを演算する。ここで、X0 maxはステップS201で設定された「1」であるので、式(15)は、
X1 max = 1-β・(1 - 1) =1
となる。次いで、処理はステップS208に進む。
処理がステップS208に進むと、補償係数演算部40は、演算したビットがLSBであるか否かを判定する。演算したビットがLSBではないと判定されたとき、処理はステップS202に戻る。そして、補償係数演算部40は、演算したビットがLSBであると判定されるまで、ステップS202〜S208の処理を繰り返して、それぞれのビットに対応するセグメントの最小値Xi min及び最大値Xi maxを順次演算する。補償係数演算部40がL桁のβ進デジタル信号に対応するセグメントの最小値XL min及び最大値XL maxを演算して、演算したビットがLSBであると判定されると、処理はステップS209に進む。
処理がS209に進むと、補償係数演算部40は、式(11)を使用して補償係数θを演算する。補償係数演算部40は、演算した補償係数θをβ進−2進変換部50に出力する。
β進−2進変換部50は、デジタル近似部10から入力されるL桁のβ進デジタル信号を2進デジタル信号に変換したあと、補償係数演算部40から入力される補償係数θから演算された残差Vrを2進デジタル信号で表現したものを加算して、打ち切り誤差が補償された2進デジタル信号を出力する。補償係数θから演算される残差Vrを式(16)に示す。
Vr = θ・β-L (16)
β進−2進変換部50は、補償値を演算する機能を有するハードウェア又はソフトウェア若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで構成される。例えば、β進−2進変換部50は、複数のトランジスタで構成される演算部又はソフトウェアを記憶するメモリ若しくは演算部及びメモリの組み合わせで構成することができる。また、β進−2進変換部50は、半導体装置に搭載されるMPU(図示せず)にβ推定部30及び補償係数演算部40と共に組み込まれてもよい。
Vr = θ・β-L (16)
β進−2進変換部50は、補償値を演算する機能を有するハードウェア又はソフトウェア若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで構成される。例えば、β進−2進変換部50は、複数のトランジスタで構成される演算部又はソフトウェアを記憶するメモリ若しくは演算部及びメモリの組み合わせで構成することができる。また、β進−2進変換部50は、半導体装置に搭載されるMPU(図示せず)にβ推定部30及び補償係数演算部40と共に組み込まれてもよい。
第1実施形態に係るサイクリック型AD変換器は、LSBのセグメントの最小値XL min及び最大値XL maxから演算される補償係数θを使用して、L桁のβ進デジタル信号を補償するので、打ち切り誤差をより精度高く補償することができる。
図10は、第2実施形態に係るサイクリック型AD変換器の回路ブロック図である。
サイクリック型AD変換器2は、補償係数演算部40の代わりに補償係数演算部41が配置されることがサイクリック型AD変換器1と相違する。補償係数演算部41は、セグメントの最大値及び最小値を演算するときに、しきい値νのばらつきを考慮することが補償係数演算部40と相違する。より具体的には、補償係数演算部41は、しきい値の中央値νoからのばらつきδを考慮して、演算するセグメントの最大値及び最小値を演算する。すなわち、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「0」のときの最小値Xi minを演算するときに、式(7)の代わりに式(17)を使用する。
Xi min =β・min((νo+ δ) /β,Xi-1 min) (17)
また、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「0」のときの最大値Xi maxを演算するときに、式(8)の代わりに式(18)を使用する。
Xi max =β・min((νo+ δ) /β,Xi-1 max ) (18)
また、補償係数演算部41は、ビットのデータが「1」のときの最小値Xi minを演算するときに、式(9)の代わりに式(19)を使用する。
Xi min =1-β・(1-max((νo - δ) /β,Xi-1 min )) (19)
また、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「1」のときの最大値Xi maxを演算するときに、式(10)の代わりに式(20)を使用する。
Xi max =1-β・(1-max((νo- δ)/β,Xi-1 max )) (20)
Xi min =β・min((νo+ δ) /β,Xi-1 min) (17)
また、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「0」のときの最大値Xi maxを演算するときに、式(8)の代わりに式(18)を使用する。
Xi max =β・min((νo+ δ) /β,Xi-1 max ) (18)
また、補償係数演算部41は、ビットのデータが「1」のときの最小値Xi minを演算するときに、式(9)の代わりに式(19)を使用する。
Xi min =1-β・(1-max((νo - δ) /β,Xi-1 min )) (19)
また、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「1」のときの最大値Xi maxを演算するときに、式(10)の代わりに式(20)を使用する。
Xi max =1-β・(1-max((νo- δ)/β,Xi-1 max )) (20)
図11は、補償係数演算部41が補償値を演算する処理フローを示すフローチャートである。
ステップS301〜S303及びS306〜S309のそれぞれでは、補償係数演算部41は、図8を参照して説明したステップS201〜S203及びS206〜S209に対応する処理を実行する。
ステップS304では、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「0」のときの最小値Xi minを、式(17)を使用して演算する。ステップS305では、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「0」のときの最大値Xi maxを、式(18)を使用して演算する。ステップS306では、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「1」のときの最小値Xi minを、式(19)を使用して演算する。ステップS307では、補償係数演算部41は、演算するビットのデータが「1」のときの最大値Xi maxを、式(20)を使用して演算する。
図12は、従来技術によるAD変換器と本発明に係るAD変換器とのSN比の比較を示す図である。図12(a)はβが1.9のときの場合を示す図であり、図12(b)はβが1.8のときの場合を示す図である。図12(c)はβが1.7のときの場合を示す図であり、図12(d)はβが1.6のときの場合を示す図であり、図12(e)はβが1.5のときの場合を示す図である。図12(a)〜12(e)において、横軸はしきい値の中央値νoからのばらつきの相対値δ/νoを示し、縦軸は出力信号のSN比を示す。図12(a)〜12(e)において、実線はサイクリック型AD変換器2においてばらつきδ/νo=0.01に設定した場合のSN比を示し、破線はサイクリック型AD変換器2においてばらつきδ/νo=0.05に設定した場合のSN比を示す。また、図12(a)〜12(e)において、一点鎖線はサイクリック型AD変換器1のSN比を示し、二点鎖線は補償係数θを0.5としてβ進デジタル信号を補償するサイクリック型AD変換器のSN比を示す。図12(a)〜12(e)において、長破線はしきい値が既知である場合のSN比を示す。
ばらつきδ/νo=0.01に設定したサイクリック型AD変換器2では、しきい値ν/β(Vthに対応する値)のばらつきが1%以内である場合に高いSN比を有する。また、ばらつきδ/νo=0.05に設定したサイクリック型AD変換器2では、しきい値ν/βのばらつきが5%以内である場合に高いSN比を有する。
しきい値のばらつきを考慮していないサイクリック型AD変換器1では、しきい値Vthが所望の値に一致している場合、高いSN比を有する。しかしながら、サイクリック型AD変換器1では、しきい値Vthが所望の値からずれると、SN比は悪化する。
サイクリック型AD変換器2では、製造ばらつき等の起因する比較部13に入力されるしきい値Vthのばらつきが予測可能な場合には、予測されるしきい値のばらつきの範囲内で高いSN比を有することができる。サイクリック型AD変換器2では、しきい値Vthのばらつきを考慮して補償係数θを算出するので、しきい値Vthのばらつきが予測可能な場合には、打ち切り誤差をより精度高く補償することができる。
図13は、第3実施形態に係るサイクリック型AD変換器の回路ブロック図である。
サイクリック型AD変換器3は、補償係数演算部40の代わりに補償係数演算部42が配置されることがサイクリック型AD変換器1と相違する。補償係数演算部42は、LSBからL桁よりも小さいM桁のβ進デジタル信号のデータと補償係数θの演算結果との関係を示す補償係数参照テーブル421を有することが補償係数演算部40と相違する。補償係数参照テーブル421は、LSBからM桁上位のビットからLSBまでの2L個のデータのそれぞれに対応する補償係数θを記憶する。
補償係数参照テーブル421は、L桁のβ進デジタル信号のLSBからM桁のデータと、補償係数θとの関係を記憶するテーブルである。本発明の発明者は、L桁のβ進デジタル信号のLSBのセグメントの最小値XL min及び最大値XL maxから補償係数θを演算するときに、LSBからM桁で打ち切ったM桁のβ進デジタル信号を使用して補償係数θを演算することを見出した。
図14は補償係数θを演算するときに使用する桁数とSN比との関係を示す図であり、図14(a)はβが1.3333の場合を示す図であり、図14(b)はβが1.6667の場合を示す図である。図14(a)及び14(b)において、横軸は補償係数参照テーブル421に記憶されるβ進デジタル信号の桁数を示し、縦軸はSN比の改善の程度を示す。図14(a)及び14(b)において、十字で示されるプロットは、しきい値の変動を考慮せずに演算した場合を示す。また、丸で示されるプロットは1%のしきい値のばらつきを考慮して演算した場合を示し、四角で示されるプロットは5%のしきい値のばらつきを考慮して演算した場合を示す。
図14から、β進デジタル信号のLSBから5桁で打ち切った5桁のβ進デジタル信号を使用して補償係数θを演算することにより、10桁のβ進デジタル信号を使用して補償係数θを演算する場合の半分程度のSN比の改善がみられることが理解される。本発明の発明者は、β進デジタル信号のLSBから4桁、5桁、6桁、7桁、又は8桁程度のデータを使用して補償係数θを演算することで、十分な精度で補償係数θを演算することができることを見出した。
補償係数参照テーブル421は、L桁のβ進デジタル信号のデータと補償係数θとの関係を記憶せずに、LSBからM桁のデータと補償係数θとの関係を記憶することにより、補償係数参照テーブル421を格納する記憶領域が莫大な大きさになることを防止する。例えば、β進デジタル信号の桁数Lが15桁である場合、全てのデータに対応する補償係数θを記憶する場合、215、すなわち32768個のデータに対応する補償係数θを記憶することになる。一方、桁数Lが15であるβ進デジタル信号のLSBから5桁のデータに対応する補償係数θを記憶する場合、25、すなわち32個のデータに対応する補償係数θを記憶することになり、記憶領域を大幅に削減することが可能になる。
補償係数参照テーブル421に格納する補償係数の計算方法には、図9に示された第1実施形態の補償係数演算方式と同じ方式を用いることができる。また、図11に示された第2実施形態の補償係数演算方式を用いることができる。
図15は、第4実施形態に係るサイクリック型AD変換器の回路ブロック図である。
サイクリック型AD変換器4は、補償係数演算部40の代わりに補償係数演算部43が配置されることがサイクリック型AD変換器1と相違する。補償係数演算部43は、β進デジタル信号のデータのセグメントの位置に応じた補償係数θの遷移を示すセグメント遷移オートマトン431を有することが補償係数演算部40と相違する。
セグメント遷移オートマトン431は、L桁のβ進デジタル信号のMSBから順次LSBまでデータが「0」又は「1」であるかを判定して、判定結果に応じて補償係数θを順次遷移させる。本発明の発明者は、L桁のβ進デジタル信号のLSBのセグメントの数はたかだか2L個であることを見出した。また、本発明の発明者は、MSBから順にビットのデータが「0」又は「1」であるかを判定していくことにより、2L個のセグメントを順次選択していくことが可能であることを見出した。本発明の発明者は、これらの知見に基づいてセグメントの中心値に相当する補償係数θをビットのデータの値を判定することにより順次選択していく補償係数演算部を見出した。
図16は、セグメント遷移オートマトン431が使用するテーブルの一例を示す図である。図16に示すテーブルは、MSBからLSBまでのビットごとのデータに応じて遷移する補償係数の間の遷移関係を示す。
まず、セグメント遷移オートマトン431は、β進デジタル信号のMSBが「0」又は1の何れかであるかを判定する。セグメント遷移オートマトン431は、β進デジタル信号のMSBが「0」であると判定したとき、アドレス1を補償係数θのアドレスとして選択する。また、セグメント遷移オートマトン431は、β進デジタル信号のMSBが「1」であると判定したとき、アドレス2を補償係数θのアドレスとして選択する。
次いで、セグメント遷移オートマトン431は、L桁のβ進デジタル信号のMSBの1ビット下位のビットが「0」又は1の何れかであるかを判定する。MSBが「0」であると判定していた場合、セグメント遷移オートマトン431は、MSBの1ビット下位のビットが「0」であると判定したとき、アドレス1を補償係数θのアドレスとして選択する。また、MSBが「0」であると判定していた場合に、セグメント遷移オートマトン431は、MSBの1ビット下位のビットが「1」であると判定したとき、アドレス3を補償係数θのアドレスとして選択する。一方、MSBが「1」であると判定していた場合、セグメント遷移オートマトン431は、MSBの1ビット下位のビットが「0」であると判定したとき、アドレス4を補償係数θのアドレスとして選択する。また、MSBが「1」であると判定していた場合に、セグメント遷移オートマトン431は、MSBの1ビット下位のビットが「1」であると判定したとき、アドレス2を補償係数θのアドレスとして選択する。
以降、セグメント遷移オートマトン431は、判定するビットを1ビットずつ下位にずらしながらL桁のβ進デジタル信号のLSBまで補償係数θのアドレスを順次選択する。そして、L桁のβ進デジタル信号のLSBの判定で選択されたアドレスに対応する補償係数θをL桁のβ進デジタル信号の打ち切り誤差を補償する補償値を演算するときに使用する補償係数θとして使用する。
サイクリック型AD変換器4は、β進デジタル信号のMSBから順にビットのデータを判定し、判定結果に基づいて2L個の補償係数θ間を遷移させることにより、β進デジタル信号に応じた補償係数θを決定する。サイクリック型AD変換器4では、セグメント遷移オートマトン431が2L個の補償係数θを使用して補償係数θを決定するので、セグメント遷移オートマトン431が有するテーブルの大きさは2L×3ワードの記憶容量と非常に小さくすることが可能になる。
サイクリック型AD変換器1〜4では、入力アナログ信号を変換した結果であるL桁のβ進デジタル信号に対応するセグメントの最小値XL min及び最大値XL maxから演算される補償係数θを使用して、β進デジタル信号のL桁での打切り誤差を補償するので、入力アナログ信号を変換した結果に依存しない補償係数を用いる従来の方法に比較して、打ち切り誤差をより精度高く補償することができる。
サイクリック型AD変換器2では、しきい値Vthからのばらつきδを考慮して補償係数θを演算するので、しきい値Vthのばらつきが予測可能な場合には、打ち切り誤差をより精度高く補償することができる。
本明細書では、サイクリック型AD変換器1〜4を例に説明したが、本発明に係るAD変換器はサイクリック型に限定されるものではない。本発明に係るAD変換器は、パイプライン型等の他のβ進AD変換器に対しても実現可能である。
また、サイクリック型AD変換器1〜4は、補償係数演算部40〜43は、β推定部30が推定したβの値を使用して、補償係数θを演算しているが、βの値は外部から取得してもよく、記憶された所定の値をβの値として使用してもよい。
サイクリック型AD変換器3では、L桁のβ進デジタル信号の補償係数θを演算するときに、L桁よりも小さいM桁のβ進デジタル信号と補償係数θとの関係を示すテーブルを使用するので、テーブルを記憶する記憶領域を大幅に削減することができる。
サイクリック型AD変換器4では、セグメント遷移オートマトン431が2L個の補償係数θを使用して補償係数θを決定するので、セグメント遷移オートマトン431が有するテーブルの大きさは2L×3ワードの記憶容量と非常に小さくすることが可能になる。
セグメント遷移オートマトン431に格納する補償係数の計算方法には、図9に示された第1実施形態の補償係数演算方式と同じ方式を用いることができる。また、図11に示された第2実施形態の補償係数演算方式を用いることができる。
以上、本発明に係るAD変換器について説明したが、好ましい態様を示す。
〔態様1〕
1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するサイクリック型のアナログデジタル変換器であって、
入力される第1アナログ信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力する比較部と、前記第1アナログ信号をβ倍に増幅すると共に前記比較部の比較結果に応じた第2アナログ信号を出力する乗算型デジタルアナログ変換部とを備えるデジタル近似部と、
最上位ビットを演算するときは前記アナログ入力信号を前記第1アナログ信号として出力し、かつ最上位ビットを演算するとき以外は前記第2アナログ信号を前記第1アナログ信号として出力するマルチプレクサと、
前記比較部が出力する前記デジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、前記アナログ入力信号を前記β進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算する補償係数演算部と、
前記β進デジタル信号と、前記補償係数演算部が演算した補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力するβ進−2進変換部と、
を有することを特徴とするアナログデジタル変換器。
〔態様2〕
1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するサイクリック型のアナログデジタル変換方法であって、
入力される第1アナログ信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力し、
前記第1アナログ信号をβ倍に増幅すると共に前記比較結果に応じた第2アナログ信号を出力し、
最上位ビットを演算するときは前記アナログ入力信号を前記第1アナログ信号として出力し、かつ最上位ビットを演算するとき以外は前記第2アナログ信号を前記第1アナログ信号として出力し、
前記デジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、前記アナログ入力信号を前記β進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算し、
前記β進デジタル信号と、前記補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力する方法であって、
前記補償係数は、前記β進デジタル信号に変換される前記アナログ入力信号の範囲のβ変換による写像の中央値を用いて演算される、ことを特徴とするアナログデジタル変換方法。
〔態様1〕
1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するサイクリック型のアナログデジタル変換器であって、
入力される第1アナログ信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力する比較部と、前記第1アナログ信号をβ倍に増幅すると共に前記比較部の比較結果に応じた第2アナログ信号を出力する乗算型デジタルアナログ変換部とを備えるデジタル近似部と、
最上位ビットを演算するときは前記アナログ入力信号を前記第1アナログ信号として出力し、かつ最上位ビットを演算するとき以外は前記第2アナログ信号を前記第1アナログ信号として出力するマルチプレクサと、
前記比較部が出力する前記デジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、前記アナログ入力信号を前記β進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算する補償係数演算部と、
前記β進デジタル信号と、前記補償係数演算部が演算した補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力するβ進−2進変換部と、
を有することを特徴とするアナログデジタル変換器。
〔態様2〕
1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するサイクリック型のアナログデジタル変換方法であって、
入力される第1アナログ信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力し、
前記第1アナログ信号をβ倍に増幅すると共に前記比較結果に応じた第2アナログ信号を出力し、
最上位ビットを演算するときは前記アナログ入力信号を前記第1アナログ信号として出力し、かつ最上位ビットを演算するとき以外は前記第2アナログ信号を前記第1アナログ信号として出力し、
前記デジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、前記アナログ入力信号を前記β進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算し、
前記β進デジタル信号と、前記補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力する方法であって、
前記補償係数は、前記β進デジタル信号に変換される前記アナログ入力信号の範囲のβ変換による写像の中央値を用いて演算される、ことを特徴とするアナログデジタル変換方法。
1〜4 サイクリック型AD変換器
10 デジタル近似部
12 サンプル・ホールド部
13 比較部
14 MDAC部
20、22 マルチプレクサ
30 β推定部
40〜43 補償係数演算部
50 β進−2進変換部
10 デジタル近似部
12 サンプル・ホールド部
13 比較部
14 MDAC部
20、22 マルチプレクサ
30 β推定部
40〜43 補償係数演算部
50 β進−2進変換部
Claims (7)
- 1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するアナログデジタル変換器であって、
入力される前記アナログ入力信号又はアナログ残差信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力する比較部と、入力される前記アナログ入力信号又は前記アナログ残差信号をβ倍に増幅すると共に前記比較部の比較結果に応じたアナログ残差信号を出力する乗算型デジタルアナログ変換部とを備えるデジタル近似部と、
前記比較部が出力する前記デジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、前記アナログ入力信号を前記β進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算する補償係数演算部と、
前記β進デジタル信号と、前記補償係数演算部が演算した補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力するβ進−2進変換部と、
を有することを特徴とするアナログデジタル変換器。 - 前記補償係数は、前記β進デジタル信号から求められる、前記アナログ入力信号がβ変換によって写像される範囲を使用して演算される、請求項1に記載のアナログデジタル変換器。
- 前記補償係数は、前記β進デジタル信号に変換される前記アナログ入力信号がβ変換により写像される区間の中央値として演算される、請求項2に記載のアナログデジタル変換器。
- 前記補償係数は、前記しきい値のばらつきを表す係数を更に使用して演算される、請求項2又は3に記載のアナログデジタル変換器。
- 前記β進デジタル信号の桁数は、L桁であり、
前記補償係数演算部は、最下位ビットから前記L桁よりも小さいM桁のβ進デジタル信号と、前記M桁のβ進デジタル信号に変換される前記アナログ入力信号の範囲を使用して演算される補償係数との関係を示すテーブルを記憶し、
前記補償係数演算部は、前記記憶されたテーブルを使用して、前記補償係数を演算する、請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログデジタル変換器。 - 前記補償係数演算部は、最上位ビットから最下位ビットまでのビットごとのデータに応じて遷移する前記補償係数の間の遷移関係を使用して、前記補償係数を演算する、請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログデジタル変換器。
- 1よりも大きく2よりも小さい値であるβをパラメータとして使用して、入力されるアナログ入力信号を2進デジタル信号に変換するアナログデジタル変換方法であって、
入力される前記アナログ入力信号又はアナログ残差信号の大きさとしきい値とを比較して該比較結果を示すデジタル値を出力し、
入力される前記アナログ入力信号又は前記アナログ残差信号をβ倍に増幅すると共に前記比較結果に応じたアナログ残差信号を出力し、
前記デジタル値から生成されるβ進デジタル信号を使用して、前記アナログ入力信号を前記β進デジタル信号に変換するときに生じる打ち切り誤差を補償するために使用される補償係数を演算し、
前記β進デジタル信号と、前記補償係数とを使用して、2進デジタル信号を生成し出力する方法であって、
前記補償係数は、前記β進デジタル信号から求められる、前記アナログ入力信号がβ変換によって写像される範囲を使用して演算される、ことを特徴とするアナログデジタル変換方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014026890A JP2015154285A (ja) | 2014-02-14 | 2014-02-14 | アナログデジタル変換器及びその方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014026890A JP2015154285A (ja) | 2014-02-14 | 2014-02-14 | アナログデジタル変換器及びその方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015154285A true JP2015154285A (ja) | 2015-08-24 |
Family
ID=53896133
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014026890A Ceased JP2015154285A (ja) | 2014-02-14 | 2014-02-14 | アナログデジタル変換器及びその方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015154285A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113155003A (zh) * | 2021-03-04 | 2021-07-23 | 清华大学 | 基于光刻机的传感器标定方法及系统 |
-
2014
- 2014-02-14 JP JP2014026890A patent/JP2015154285A/ja not_active Ceased
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113155003A (zh) * | 2021-03-04 | 2021-07-23 | 清华大学 | 基于光刻机的传感器标定方法及系统 |
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