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JP2015150914A - 自動車の前部整流構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、デフレクタ60による走行風Eの整流効果を向上することができる自動車1の前部整流構造を提供することを目的とする。
【解決手段】自動車1の車両前部2における前輪ホイールハウス6より車両前方の下面開口を閉塞するとともに、フロントバンパー30の下端に装着されるカバー前部52と、車両下方へ突出するとともに、車幅方向に沿って形成したデフレクタ60とを備え、カバー前部52の車両後端近傍にデフレクタ60を配置した自動車1の前部整流構造であって、カバー前部52より下方に配置し、デフレクタ60に対して車両前後方向で対面するとともに、フロントバンパー30の下部を延設するような形状に形成したエアダム40を備え、エアダム40における車両上方近傍に、デフレクタ60に向けて走行風Eを取り込むように開口形成した走行風取込部70を備えたことを特徴とする。
【選択図】図6

Description

この発明は、例えば自動車の車両前部から床下に侵入する走行風の流れを整流するような自動車の前部整流構造に関する。
従来、走行中の自動車は、空気(走行風)との衝突や摩擦などによる空気抵抗を受けている。この空気抵抗は、自動車の動力性能及び燃費性能に多大な影響を与えるため、車体形状や整流板などによる整流によって低減することが望ましいとされている。
自動車の性能に影響を与える走行中の空気抵抗としては、例えば、車両側面の側面流が撹乱されることによる空気抵抗がある。これは、自動車の床下へ流動するとともに、前輪ホイールハウス内へ流動した床下走行風が、前輪の回転によってかき乱れながら車両側方に排出されることで生じている。
そこで、床下走行風の前輪ホイールハウスへの流動を抑制する技術として、例えば、特許文献1に記載の車両のフロント下部構造には、フロントバンパーに設けた空気導入部からノズルを介して走行風を車両下方に向けて噴出口から排出することにより、床下走行風を車両下方に偏向して、前輪ホイールハウス内へ流動することを抑制している。
ところが、特許文献1は、ノズルを設けたことで、部品点数の増加、前輪前方の空間が減少することによるフォグランプなどの灯火類やオイルクーラーなどの設置スペースの減少、雪などによるノズルの詰りなどの問題があった。
一方、このような問題が生じることなく、前輪ホイールハウス内への走行風の侵入を抑制する技術として、例えば、フロントバンパーの下縁に沿って設けたエアダムと、エアダムに対して車両後方へ所定間隔を隔てるとともに、前輪ホイールハウスの前方に配置したデフレクタとを備えた車両前部の整流構造が提案されている(特許文献2、及び特許文献3参照)。
このようなエアダムとデフレクタとを備えた車両前部の整流構造は、エアダムによって車両側方及び床下へ分流した走行風のうち、床下を車両後方へ向けて流れる床下走行風をデフレクタで受風して車両下方へ偏向することで、前輪ホイールハウス内への床下走行風の侵入を抑制している。
さらに、車両前部の床下を通過する空気の流速に対して、前輪ホイールハウスにおけるデフレクタの後方の空気の流速が遅くなり、デフレクタの後方に相対的に負圧の負圧領域が発生する。このため、前輪ホイールハウス内において、車両前部の整流構造は、前輪の回転によってかき乱された空気が側方へ流出するのを抑制できる。これにより、車両前部の整流構造は、車両側面の側面流が撹乱されることによる空気抵抗を低減している。
しかしながら、エアダムやデフレクタは、車両前部におけるアプローチアングル、空力特性、あるいは衝突性能などによって、その形状、大きさ、及び車両前後方向間隔が制限されることがあった。今回、これらの制限のなか、前輪ホイールハウス内への走行風の侵入を抑制できるエアダムやデフレクタの開発を進めた結果、路面に対するエアダムの下端の位置とデフレクタの下端の位置との差、及びエアダムとデフレクタとの車両前後方向の間隔によっては、エアダムの下端よりもデフレクタの下端が下方に位置していたとしても、床下へ流れた走行風がデフレクタの下方を通過して、前輪ホイールハウス内へ回り込むように侵入するという問題が新たに判明した。
特開2002−308154号公報 実開昭63−139182号公報 特開2006−219019号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、デフレクタによる走行風の整流効果を向上することができる自動車の前部整流構造を提供することを目的とする。
この発明は、自動車の車両前部における前輪ホイールハウスより車両前方の下面開口を閉塞するとともに、フロントバンパーの下端に装着されるアンダーカバーと、車両下方へ突出するとともに、車幅方向に沿って形成したデフレクタとを備え、前記アンダーカバーの車両後端近傍に前記デフレクタを配置した自動車の前部整流構造であって、前記アンダーカバーより下方に配置し、前記デフレクタに対して車両前後方向で対面するとともに、前記フロントバンパーの下部を延設するような形状に形成した下方延設部を備え、該下方延設部における車両上方近傍に、前記デフレクタに向けて走行風を取り込むように開口形成した走行風取込部を備えたことを特徴とする。
上記下方延設部は、フロントバンパーとは別体で構成したエアダム、スポイラー、あるいはスカートなどとすることができる。もしくはフロントバンパーにおけるアンダーカバーより車両下方の部分などとすることができる。
上記走行風取込部は、所定の大きさの開口で構成した走行風取込部、車両上方が開口した端部開口孔における上方の開口をアンダーカバーで閉塞して構成した走行風取込部、あるいは所定の大きさの開口と開口縁に沿って形成した側壁とで構成した走行風取込部などとすることができる。
この発明により、デフレクタによる走行風の整流効果を向上することができる。
具体的には、車両前方からの走行風は、下方延設部によって車幅方向外側や車両下方へ偏向するとともに、その一部が走行風取込部に取り込まれる。この際、走行風取込部には走行風の流動を阻害するものがないため、走行風取込部が取り込んだ走行風は、その流速を略維持したまま、デフレクタへ向けて流動することができる。
さらに、下方延設部における車両上方近傍に走行風取込部を開口形成しているため、走行風取込部が取り込んだ走行風は、その粘性によって剥離することなく、アンダーカバーに沿って車両後方へ流動することができる。このため、自動車の前部整流構造は、流速、及び流量の低下を抑えた走行風をデフレクタへ向けて流動させることができる。
その後、デフレクタに到達した走行風は、デフレクタに沿って車両下方へ向けて偏向して流動する。そして、デフレクタの下端近傍を流動する走行風と合流する際、デフレクタで偏向された走行風は、デフレクタの下端近傍を流動する走行風を車両下方へ偏向させながら、デフレクタの下端近傍を流動する走行風と合流することができる。
これにより、自動車の前部整流構造は、車両前部における床下を流動する走行風が前輪ホイールハウス内に侵入することを防止できる。さらに、自動車の前部整流構造は、前輪ホイールハウス内の空気の流速に対して、デフレクタの下方近傍を流動する走行風の流速が速くなるため、前輪ホイールハウス内におけるデフレクタの車両後方に負圧領域を確実に発生させることができる。
加えて、自動車の前部整流構造は、下方延設部の形状や、車両前部の形状等に左右されることなく、走行風取込部を介して走行風をデフレクタへ向けて流動させることができる。すなわち、自動車の前部整流構造は、デフレクタによる走行風の整流効果を安定して得ることができる。
従って、自動車の前部整流構造は、走行風取込部によって、デフレクタによる走行風の整流効果を向上することができる。
この発明の態様として、前記走行風取込部を、前記下方延設部における車幅方向の内側に開口形成することができる。
この発明により、自動車の前部整流構造は、走行風を効率よくデフレクタに向けて流動させることができる。
具体的には、例えば、底面視において、車幅方向の外側が車両側面に向けて湾曲した前端形状の車両前部の場合、車両前部における走行風の流れは、車幅方向の内側ほど直線的な流れであり、車幅方向の外側ほど車両側面側へ向けた流れとなる。これは、車両前部の湾曲した部分で受風した走行風が、車両前部の湾曲した部分に沿って車両側面側へ流動するためである。
このため、車両前部の湾曲した部分に走行風取込部を形成すると、走行風取込部は、車両側方へ流動する走行風を安定して取込むことができず、十分な流速、及び流量の走行風をデフレクタへ向けて流動させることができないおそれがある。
そこで、車幅方向の内側に走行風取込部を形成したことにより、走行風取込部は、車両前方から後方へ流れる走行風を、確実に取り込むことができる。これにより、自動車の前部整流構造は、流速及び流量の低下を抑制して、走行風をデフレクタへ向けて流動させることができる。このため、例えば、走行風取込部の開口が小さくても、自動車の前部整流構造は、十分な流速、及び流量の走行風を効率よくデフレクタへ流動させることができる。
従って、自動車の前部整流構造は、下方延設部における車幅方向の内側に走行風取込部を形成することにより、走行風を効率よくデフレクタに送り込むことができ、デフレクタによる走行風の整流効果をより安定させることができる。
またこの発明の態様として、前記走行風取込部を、前記車幅方向の内側から外側に向けて傾斜する、または前記車幅方向の外側から内側に向けて傾斜するように形成することができる。
この発明により、自動車の前部整流構造は、デフレクタによる走行風の整流効果をより確実に向上させることができる。
具体的には、例えば、走行風取込部を車両前後方向に形成した場合、走行風取込部は、デフレクタにおける車幅方向の限られた範囲に向けて走行風を流動させることになる。このため、デフレクタの後方における限られた範囲に負圧領域が発生して、自動車の前部整流構造は、デフレクタによる整流効果を十分得ることができないおそれがある。
そこで、車幅方向の内側から外側に向けて傾斜する、または車幅方向の外側から内側に向けて傾斜するように走行風取込部を形成することにより、取り込んだ走行風を車幅方向に拡散させ易くなるため、走行風取込部は、デフレクタにおける車幅方向の広範囲に向けて走行風を流動させることができる。
例えば、底面視において、車幅方向の外側が車両側面に向けて湾曲した前端形状の車両前部において、車両前部における車幅方向内側の部分と車両前部の湾曲した部分との境界近傍に車幅方向の内側から外側に向けて走行風取込部を形成した場合、走行風取込部は、車両前方から後方へ流れる走行風と、車両側面側へ流れる走行風とを取り込むことができる。
このため、自動車の前部整流構造は、走行風取込部を介して十分な流速及び流量の走行風を取り込むことができ、かつデフレクタにおける車幅方向の広範囲に向けて走行風を流動させることができる。これにより、自動車の前部整流構造は、デフレクタの後方における前輪ホイールハウス内において、車幅方向に大きな負圧領域を発生させることができる。
従って、自動車の前部整流構造は、車幅方向の内側から外側に向けて傾斜する、または車幅方向の外側から内側に向けて傾斜するように走行風取込部を形成したことにより、デフレクタによる走行風の整流効果をより確実に向上させることができる。
またこの発明の態様として、前記下方延設部を、前記フロントバンパーと別体で構成するとともに、前記デフレクタに向けて開口形成した開口部を備え、該開口部を、少なくとも車両上方側が開口した構成とし、前記走行風取込部を、前記下方延設部の前記開口部と、前記フロントバンパーとで構成することができる。
この発明により、自動車の前部整流構造は、下方延設部の交換を容易にするとともに、走行風取込部をアンダーカバーにより近い位置に形成することができる。
具体的には、下方延設部は、アンダーカバーよりも下方に位置するため、万一、路面などと干渉すると破損するおそれがある。この際、走行風取込部が変形、あるいは破損すると、自動車の前部整流構造は、デフレクタによる整流効果を十分得ることができないおそれがある。
そこで、フロントバンパーと下方延設部とを別体にしたことにより、自動車の前部整流構造は、下方延設部をフロントバンパーと一体で構成した場合に比べて、容易に交換することができる。このため、万一、下方延設部が破損しても、自動車の前部整流構造は、走行風取込部の変形、あるいは破損による整流効果が得られなくなることを防止できる。
さらに、下方延設部の開口部とフロントバンパーとで走行風取込部を構成することにより、自動車の前部整流構造は、走行風取込部をアンダーカバーにより近い位置に形成することができる。このため、自動車の前部整流構造は、走行風をより確実にアンダーカバーに沿ってデフレクタへ向けて流動させることができる。
従って、自動車の前部整流構造は、下方延設部とフロントバンパーとを別体で構成したことにより、デフレクタによる走行風の整流効果を向上するとともに、車両前部のメンテナンス性を向上することができる。
またこの発明の態様として、前記下方延設部と前記デフレクタとの間における前記アンダーカバーに、前記走行風取込部から取り込んだ走行風を導風する導風部を備えることができる。
上記導風部は、車両上方に向けて凹設して形成した溝形状の導風部、あるいは車両下方に向けて突設した側壁で形成した溝形状の導風部、もしくは車両下方に向けて突設したフィン状の整流板で構成した導風部などとすることができる。さらに、導風部は、アンダーカバーと一体、あるいは別体で構成することができる。
この発明により、自動車の前部整流構造は、走行風取込部が取り込んだ走行風をデフレクタへ向けてより確実に流動させることができる。
さらに、例えば、底面視において、車幅方向の外側が車両側面に向けて湾曲した前端形状の車両前部の場合、車両前後方向における下方延設部とデフレクタとの間隔が、車幅方向の内側ほど長くなる。
このため、車幅方向の内側に走行風取込部を形成した場合、走行風取込部が取り込んだ走行風が、下方延設部とデフレクタとの間で車幅方向に拡散、失速して、アンダーカバーから剥離して流動し、デフレクタで偏向されることなく前輪ホイールハウス内へ侵入するおそれがある。
そこで、導風部を形成することで、自動車の前部整流構造は、走行風取込部が取り込んだ走行風の拡散を抑制するとともに、デフレクタへ向けて確実に案内することができる。これにより、自動車の前部整流構造は、デフレクタに到達する走行風の流量を安定して確保することができる。
従って、自動車の前部整流構造は、アンダーカバーに導風部を備えたことにより、デフレクタによる走行風の整流効果をより安定させるとともに、向上することができる。
またこの発明の態様として、前記導風部を、前記デフレクタに向けて形成するとともに、前記前輪ホイールハウス内の前輪ブレーキ機構に向けて形成し、前記デフレクタに、前記導風部と連通するように開口形成したデフレクタ開口部を備えることができる。
この発明により、自動車の前部整流構造は、走行風取込部が取り込んだ走行風の一部を、導風部、及びデフレクタ開口部を介して前輪ブレーキ機構に送風することができる。このため、自動車の前部整流構造は、例えば、スポーツ性能が要求される自動車における前輪ブレーキ機構の冷却性能を向上することができる。
さらに、例えば、デフレクタを脱着、交換可能にすることで、自動車の前部整流構造は、スポーツ性能を向上するカスタマイズ、あるいは競技向け車両への改造を容易にすることができる。
これにより、自動車の前部整流構造は、デフレクタによる整流効果を向上と、前輪ブレーキ機構の冷却性能の向上とを、デフレクタの交換によって選択可能にすることができる。
従って、自動車の前部整流構造は、デフレクタにデフレクタ開口部を設けることで、空気抵抗の低減を重視した仕様から前輪ブレーキの冷却性能を重視した仕様へと容易に変更することができる。
本発明により、デフレクタによる走行風の整流効果を向上できる自動車の前部整流構造を提供することができる。
車両前部における正面視からの外観を示す正面図。 車両前部における左側面視からの外観を示す左側面図。 車両前部における底面視からの外観を示す底面図。 車両前部における平面視からの外観を示す平面図。 正面視における車両前部の要部を示す正面視要部拡大図。 底面視における車両前部の要部を示す底面視要部拡大図。 図1中のA−A矢視における車両前部の要部の部分断面を示すA−A部分断面図。 図1中のB−B矢視における車両前部の要部の部分断面を示すB−B部分断面図。 車両前部における走行風の流れを底面視で説明する説明図。 A−A部分断面における走行風の流れを説明する説明図。 B−B部分断面における走行風の流れを説明する説明図。 別の車両前部における整流構造を説明する説明図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、本実施形態における自動車1の前部整流構造について、図1から図8を用いて詳しく説明する。
なお、図1は車両前部2における外観の正面図を示し、図2は車両前部2における外観の左側面図を示し、図3は車両前部2における外観の底面図を示し、図4は車両前部2における外観の平面図を示し、図5は正面視における車両前部2の要部を拡大した正面視要部拡大図を示している。
また、図6は底面視における車両前部2の要部を拡大した底面視要部拡大図を示し、図7は図1中のA−A矢視における車両前部2の要部のA−A部分断面図を示し、図8は図1中のB−B矢視における車両前部2の要部のB−B部分断面図を示している。
また、図中において、車両前部2の車幅方向中央におけるアンダーカバーの図示を省略している。さらに、図6においてエアダム40の前端近傍を部分断面図で示している。加えて、図7及び図8において要部を明確にするため、車両前部2の内部の図示を省略している。
また、図中において、矢印Fr及びRrは車両前後方向を示しており、矢印Frは車両前方を示し、矢印Rrは車両後方を示している。さらに、矢印Rh及びLhは車幅方向を示しており、矢印Rhは車両右方向を示し、矢印Lhは車両左方向を示している。加えて、図中の上方を車両上方とし、図中の下方を車両下方とする。
自動車1の車両前部2は、図1から図3に示すように、運転手が乗り込む客室部分より車両前方の部分であって、車両前部2から客室部分に伝達される衝突荷重を吸収及び分散する機能と、エンジン、トランスミッション、冷却装置、懸架装置、舵取り装置、及び前輪3などの自動車1の走行に関わる構成部品を搭載する搭載空間と、前照灯4や霧灯5などの車両前方あるいは側方に対する灯火等類を有する部分である。
この自動車1の車両前部2は、ボンネット10、フロントフェンダ20、フロントバンパー30、及び2つ一組のエアダム40などで外観意匠面を構成している。さらに、自動車1の車両前部2における下面は、図3に示すように、下面開口を覆うアンダーカバー50と、デフレクタ60とを装着固定している。
より詳しくは、自動車1の車両前部2は、図2に示すように、側面視において、車両前端から車両後方へ所定間隔を隔てた位置に、側面視略アーチ状に形成した空間である前輪ホイールハウス6を構成している。
なお、前輪ホイールハウス6は、後述するアンダーカバー50とフェンダライナー7とで内面形状を形成している。さらに、前輪ホイールハウス6の内部には、懸架装置に支持されるとともに、舵取り装置に連結された前輪3が配置されている。
ボンネット10は、図1及び図2に示すように、車両前部2の上面部分を覆うように形成された意匠面であって、ヒンジ等を介して開閉可能に構成している。
フロントフェンダ20は、図1及び図2に示すように、車両前部2の側面部分を覆うように形成された意匠面であって、客室部分の側面部分における意匠面と連続するように形成している。
フロントバンパー30は、図1及び図2に示すように、車両前部2における前輪3より前方の側面部分と、車両前部2の前面部分とを覆うように形成された意匠面であって、ボンネット10及びフロントフェンダ20と連続するように形成している。
このフロントバンパー30は、図1に示すように、正面視において、車幅方向の略中央部分(後述する中央部分33)の下端位置に対して、車幅方向の外側部分(後述する境界部分32及び外側部分31)の下端位置が車両下方に位置するように形成している。さらに、フロントバンパー30には、図3及び図7に示すように、下縁を車両内側へ向けて折り曲るように形成したバンパー底部34を有している。
加えて、平面視において、フロントバンパー30の前端形状は、図4に示すように、車幅方向の略中央から車両側面に向けて滑らかに傾斜するように形成している。換言すると、フロントバンパー30の前端形状は、平面視において、車両側面側から車両前方に滑らかに突出するように形成している。
より詳しくは、フロントバンパー30の前端形状は、図1及び図4に示すように、車幅方向の外側から前照灯4の略中央近傍に至る範囲に対応する外側部分31と、及び前照灯4の略中央近傍から前照灯4の車幅方向内側端部に至る範囲に対応する境界部分32と、2つの前照灯4の間に範囲に対応する中央部分33とにおいて、車幅方向に略平行な仮想線Kに対する傾きである傾斜角度がそれぞれ異なるように形成している。
なお、車幅方向と平行な仮想線Kに対する傾斜角度は、駐車場等の狭路での旋回性の向上、傾斜に沿って走行風を車両側面へ流すことによる空気抵抗の低減、及び歩行者との接触の際、歩行者に対する衝突負荷の低減のため、30度以上であることが望ましい。
外側部分31の前端形状は、車幅方向と平行な仮想線Kに対する傾きである傾斜角度θ1が、車両後方へ30度以上となるように形成している。
境界部分32の前端形状は、車幅方向と平行な仮想線Kに対する傾きである傾斜角度θ2が、車両後方へ30度より小さくなるように形成している。
中央部分33の前端形状は、境界部分32の傾斜角度θ2よりも小さい傾斜角度で、左右の境界部分32の間を緩やかにつなぐような形状に形成している。
2つ一組のエアダム40は、図1から図3に示すように、フロントバンパー30の境界部分32及び外側部分31を下方に延設するように別体で形成している。なお、エアダム40は、フロントバンパー30の下縁及びバンパー底部34に粘着テープや樹脂クリップ等で装着固定している。
より詳しくは、エアダム40は、図5から図8に示すように、バンパー底部34に当接するエアダム基部41と、エアダム基部41の外側端部を外方に向けて延設するとともに、内方に向けて折り返したエアダム折返し部42とで一体形成している。さらに、エアダム40は、図4に示すように、平面視において、フロントバンパー30における境界部分32の範囲に対応する部分を、フロントバンパー30の前端よりも車両前方に突出するように形成している。
このエアダム40における車両前方に突出した部分は、図4に示すように、車幅方向と平行な仮想線Kに対する傾きである傾斜角度が、フロントバンパー30における外側部分31の傾斜角度θ1と略同等になるように形成している。
すなわち、車幅方向において、車両前部2の前端形状における傾斜角度θ1が30度以上の範囲を、エアダム40におけるフロントバンパー30より車両前方に突出した部分によって外側部分31及び境界部分32に至る範囲に拡大している。
加えて、エアダム40には、図5から図7に示すように、フロントバンパー30における境界部分32の範囲に対応する部分に開口した走行風取込部70を形成している。
より詳しくは、走行風取込部70は、フロントバンパー30における境界部分32の車幅方向内側に対応する車幅方向の位置、換言するとエアダム40における車幅方向の内側端部近傍に形成している。
この走行風取込部70は、正面視において、エアダム基部41を車両下方に凹設することで形成した開口底部43aと、エアダム基部41の凹設によって壁状に形成した車幅方向の外側に位置する開口外側側部43b、及び車幅方向内側に位置する開口内側側部43cとで形成したエアダム開口部43における車両上方の開口を、フロントバンパー30のバンパー底部34で閉塞して構成している。
開口外側側部43bは、図5に示すように、正面視において、フロントバンパー30の外側部分31における車両内側端部の下方に位置するように形成している。さらに、開口外側側部43bは、図6に示すように、底面視において、車両前後方向と略平行になるように形成している。
開口内側側部43cは、図5に示すように、正面視において、フロントバンパー30の境界部分32における車両内側端部の下方に位置するように形成している。さらに、開口内側側部43cは、図6に示すように、底面視において、車幅方向内側から外側へ向けて傾斜するように形成している。なお、開口内側側部43cにおける車両上下方向の高さは、開口外側側部43bにおける車両上下方向の高さよりも高く形成している。
上述したエアダム40をフロントバンパー30に装着固定することで、図5から図7に示すように、バンパー底部34に隣接するとともに、車幅方向外側から内側へ向けて開口した走行風取込部70をエアダム40に形成している。
アンダーカバー50は、図3に示すように、フロントバンパー30における境界部分32及び外側部分31から前輪ホイールハウス6における車両前方部分に至る範囲の下方開口を覆うように形成している。
より詳しくは、アンダーカバー50は、前輪ホイールハウス6の内部を覆う側面視略円弧状のカバー後部51と、フロントバンパー30と前輪ホイールハウス6の前端までの範囲を覆うカバー前部52とで一体形成している。
カバー後部51は、フロントフェンダ20などに対して、樹脂クリップなどで装着固定している。
カバー前部52は、フロントバンパー30のバンパー底部34などに対して、樹脂クリップ等で装着固定している。
さらに、カバー前部52には、図6に示すように、エアダム開口部43の開口外側側部43bよりも車幅方向外側の部分を車両下方に向けて突設した外側突部53と、エアダム開口部43の開口内側側部43cよりも車幅方向内側の部分を車両下方に向けて突設した内側突部54とを形成している。
外側突部53の車幅方向内側面は、エアダム開口部43の開口外側側部43bと車両前後方向で連続するように形成している。
内側突部54の車幅方向外側面は、エアダム開口部43の開口内側側部43cの傾斜角度と略同等の傾斜角度で、開口内側側部43cと連続するように形成したのち、所定の位置から車両後方へ向けて形成している。
なお、カバー前部52における外側突部53と内側突部54との間の部分は、車両前方から車両後方にかけて、車両下方に緩やかに傾斜するように形成している。
そして、外側突部53及び内側突部54によって、車両上方に向けて凹設したような略凹溝状の導風部55を構成している。この導風部55は、走行風取込部70と、後述するデフレクタ60とを連通するように形成している。
デフレクタ60は、図6から図8に示すように、フロントバンパー30における境界部分32及び外側部分31の範囲と略同等の車幅方向長さに形成している。このデフレクタ60は、エアダム40に対して車両後方に所定間隔を隔てた位置において、エアダム40と対向するように配置するとともに、車幅方向の外側端部がエアダム40の後端と連設するように配置している。なお、デフレクタ60は、アンダーカバー50のカバー前部52に対して樹脂クリップなどで装着固定している。
より詳しくは、デフレクタ60は、カバー前部52に固定するデフレクタ基部61と、デフレクタ基部61の後端から垂設したデフレクタ受風部62とで、車幅方向に延びる側面視略L字状に形成している。さらに、デフレクタ60のデフレクタ受風部62は、その下端がエアダム40の下端よりも車両下方に位置する車両上下方向長さに形成している。
そして、前輪ホイールハウス6より車両前方において、車両前部2の下面開口をアンダーカバー50のカバー前部52で閉塞するとともに、車両前方及び車両外側をエアダム40で、車両後方をデフレクタ60で包囲することで、車幅方向の内側が開口した底面視扇状のポケット部80(図3参照)を構成している。
このような構成の自動車1の前部整流構造において、車両前部2における車両前方からの走行風の流れを、図9から図11を用いて詳しく説明する。
なお、図9は車両前部2における走行風の流れを底面視で説明する説明図を示し、図10はA−A部分断面における走行風の流れを説明する説明図を示し、図11はB−B部分断面における走行風の流れを説明する説明図を示している。
また、図10及び図11中において、要部を明確にするため、フロントバンパー30、エアダム40、アンダーカバー50、及びデフレクタ60を切断端面で示している。さらに、図10中においてアンダーカバー50の内側突部54を二点鎖線で示している。
まず、車両前方からの走行風Eは、図9から図11に示すように、車両前部2によって、車両上方に案内される上方走行風(図示省略)と、車両下方に案内される床下走行風E1と、車両側方に案内される側方走行風E2と、走行風取込部70に取り込まれる取込み走行風E3とに分流されて車両後方へ向けて流動する。
より詳しくは、フロントバンパー30における中央部分33に対応する範囲において、図9に示すように、車両前部2は、フロントバンパー30の下部近傍に沿って車両下方の床下に案内された床下走行風E1と、フロントバンパー30に沿って車両側方へ案内された側方走行風E2とに、車両前方からの走行風Eを分流する。
一方、フロントバンパー30における境界部分32及び外側部分31に対応する範囲において、車両前部2は、図9から図11に示すように、エアダム40の下部近傍に沿って車両下方に案内された床下走行風E1と、フロントバンパー30及びエアダム40に沿って車両側方へ案内された側方走行風E2と、走行風取込部70に取り込まれた取込み走行風E3とに、車両前方からの走行風Eを分流する。
この際、フロントバンパー30における境界部分32に対応する範囲において、エアダム40に沿って車両下方に分流した床下走行風E1は、図10に示すように、デフレクタ60の下端の下方を通過するように車両下方へ偏向したのち、前輪3の下部近傍へ向けて流動する。
一方、フロントバンパー30における外側部分31に対応する範囲において、エアダム40によって車両下方に分流した床下走行風E1は、図11に示すように、デフレクタ60のデフレクタ受風部62へ向けて流動する。
ここで、走行風取込部70は、図9及び図10に示すように、車両前方から直接的に侵入する走行風と、フロントバンパー30の下部近傍に沿って車両下方に案内された走行風と、車両側方へ向けて案内された走行風とが合流した走行風を、取込み走行風E3として、ポケット部80の内部に取り込むように案内する。この際、走行風取込部70は、車幅方向の外側から内側に向けて流動させるように取込み走行風E3をポケット部80の内部へ案内する。
このため、ポケット部80の内部において、走行風取込部70が取り込んだ取込み走行風E3は、図9に示すように、導風部55に沿ってデフレクタ60へ向けて流れる走行風E4と、車幅方向へ拡散するようにアンダーカバー50の外側突部53及び内側突部54へ流動したのち、車両後方へ向けて流動する走行風E5とに分流される。
なお、車幅方向へ拡散した走行風E5の一部は、デフレクタ60へ向けて流動せず、エアダム40の内面に沿って車両側面へ流出して側方走行風E2と合流する、あるいは車幅方向の内側に向けて流動して、中央部分33に対応する範囲を流動する床下走行風E1と合流する。
ポケット部80の内部において、導風部55を流れる走行風E4は、図10に示すように、その粘性によってカバー前部52の下面から剥離することなく、カバー前部52の下面に沿ってデフレクタ60へ向けて流動する。その後、導風部55から流出した走行風E4は、デフレクタ60に沿って車両下方に向けて偏向して流動する。
一方、車幅方向へ拡散し車両後方へ流動する走行風E5は、図11に示すように、その粘性によってカバー前部52の下面から剥離することなく、カバー前部52の下面に沿ってデフレクタ60へ向けて流動する。その後、走行風E5は、デフレクタ60に沿って車両下方に向けて偏向して流動する。
デフレクタ60によって車両下方に流動方向を偏向した走行風E4、及び走行風E5は、図10及び図11に示すように、デフレクタ60の下端近傍を流動する床下走行風E1を車両下方へ偏向させながら、床下走行風E1と合流し前輪3の下部近傍へ向けて流動する。
このように車両前方からの走行風Eを整流することで、前輪ホイールハウス6におけるデフレクタ60の後方に、床下走行風E1が流れ込み難くなる。このため、車両前部2の床下を通過する空気の流速に対して、前輪ホイールハウス6におけるデフレクタ60の後方の空気の流速が遅くなり、デフレクタ60の後方に相対的に負圧の負圧領域Pが発生する。
この負圧領域Pは、前輪3の回転によって生じた空気の流れを引き寄せて、車両側面への流動を抑制する。つまり、車両前部2は、車両前方からの走行風Eを整流することで、車両側面における側面流の撹乱を抑制する。
以上のように走行風Eを整流する自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60による走行風Eの整流効果を向上することができる。
具体的には、車両前方からの走行風Eは、エアダム40によって車幅方向外側や車両下方へ偏向するとともに、その一部が走行風取込部70に取り込まれる。この際、走行風取込部70には走行風Eの流動を阻害するものがないため、走行風取込部70が取り込んだ取込み走行風E3は、その流速を略維持したまま、デフレクタ60へ向けて流動することができる。
さらに、エアダム40における車両上方近傍に走行風取込部70を開口形成しているため、走行風取込部70が取り込んだ走行風E3は、その粘性によって剥離することなく、カバー前部52に沿って車両後方へ流動することができる。このため、自動車1の前部整流構造は、流速、及び流量の低下を抑えた走行風E4,E5をデフレクタ60へ向けて流動させることができる。
その後、デフレクタ60に到達した走行風E4,E5は、デフレクタ60に沿って車両下方へ向けて偏向して流動する。そして、デフレクタ60の下端近傍を流動する床下走行風E1と合流する際、デフレクタ60で偏向された走行風E4,E5は、デフレクタ60の下端近傍を流動する床下走行風E1を車両下方へ偏向させながら、デフレクタ60の下端近傍を流動する床下走行風E1と合流することができる。
これにより、自動車1の前部整流構造は、床下走行風E1が前輪ホイールハウス6内に侵入することを防止できる。さらに、自動車1の前部整流構造は、前輪ホイールハウス6内の空気の流速に対して、デフレクタ60の下方近傍を流動する床下走行風E1の流速が速くなるため、前輪ホイールハウス6内におけるデフレクタ60の車両後方に負圧領域Pを確実に発生させることができる。
加えて、自動車1の前部整流構造は、エアダム40の形状や、車両前部2の形状等に左右されることなく、走行風取込部70を介して走行風E4,E5をデフレクタ60へ向けて流動させることができる。すなわち、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60による走行風Eの整流効果を安定して得ることができる。
従って、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70によって、デフレクタ60による走行風Eの整流効果を向上することができる。
また、エアダム40における車幅方向の内側に走行風取込部70を開口形成したことにより、自動車1の前部整流構造は、走行風Eを効率よくデフレクタ60に向けて流動させることができる。
具体的には、底面視における車両前部2の前端形状が車幅方向の略中央から車両側面に向けて滑らかに傾斜しているため、車両前部2における走行風の流れは、車幅方向の内側ほど直線的な流れであり、車幅方向の外側ほど車両側面側へ向けた流れとなる。
このため、例えば、外側部分31の範囲に走行風取込部70を形成すると、走行風取込部70は、車両側方へ流動する走行風E2を安定して取込むことができず、十分な流速、及び流量の走行風をデフレクタ60へ向けて流動させることができないおそれがある。
そこで、エアダム40における車幅方向の内側に走行風取込部70を形成したことにより、走行風取込部70は、車両前方から後方へ流れる走行風Eを、確実に取り込むことができる。
これにより、自動車1の前部整流構造は、流速及び流量の低下を抑制して、走行風をデフレクタ60へ向けて流動させることができる。このため、例えば、走行風取込部70の開口が小さくても、自動車1の前部整流構造は、十分な流速、及び流量の走行風E4,E5を効率よくデフレクタ60へ流動させることができる。
従って、自動車1の前部整流構造は、エアダム40における車幅方向の内側に走行風取込部70を形成することにより、走行風Eを効率よくデフレクタ60に送り込むことができ、デフレクタ60による走行風Eの整流効果をより安定させることができる。
また、車幅方向の内側から外側に向けて傾斜するように走行風取込部70を形成したことにより、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60による走行風E4,E5の整流効果をより確実に向上させることができる。
具体的には、例えば、走行風取込部70を車両前後方向に形成した場合、走行風取込部70は、デフレクタ60における車幅方向の限られた範囲に向けて取込み走行風E3を流動させることになる。このため、デフレクタ60の後方における限られた範囲に負圧領域Pが発生して、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60による整流効果を十分得ることができないおそれがある。
そこで、車幅方向の内側から外側に向けて傾斜するように走行風取込部70を形成することにより、取込み走行風E3を車幅方向に拡散させ易くなるため、走行風取込部70は、デフレクタ60における車幅方向の広範囲に向けて取込み走行風E3を流動させることができる。
さらに、フロントバンパー30における境界部分32に対応するエアダム40に走行風取込部70を形成しているため、走行風取込部70は、車両前方から後方へ流動する走行風Eと、車両側面側へ流動する側方走行風E2とを取り込むことができる。
このため、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70を介して十分な流速及び流量の走行風Eを取り込むことができ、かつデフレクタ60における車幅方向の広範囲に向けて走行風E4,E5を流動させることができる。これにより、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60の後方における前輪ホイールハウス6内において、車幅方向に大きな負圧領域Pを発生させることができる。
従って、自動車1の前部整流構造は、車幅方向の内側から外側に向けて傾斜するように走行風取込部70を形成したことにより、デフレクタ60による走行風E4,E5の整流効果をより確実に向上させることができる。
また、エアダム40のエアダム開口部43と、フロントバンパー30とで走行風取込部70を構成したことにより、自動車1の前部整流構造は、エアダム40の交換を容易にするとともに、走行風取込部70をカバー前部52により近い位置に形成することができる。
具体的には、エアダム40は、カバー前部52よりも下方に位置するため、万一、路面などと干渉すると破損するおそれがある。この際、走行風取込部70が変形、あるいは破損すると、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60による整流効果を十分得ることができないおそれがある。
そこで、フロントバンパー30とエアダム40とを別体にしたことにより、自動車1の前部整流構造は、エアダム40をフロントバンパー30と一体で構成した場合に比べて、容易に交換することができる。このため、万一、エアダム40が破損しても、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70の変形、あるいは破損による整流効果が得られなくなることを防止できる。
さらに、エアダム40のエアダム開口部43とフロントバンパー30とで走行風取込部70を構成することにより、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70をカバー前部52により近い位置に形成することができる。このため、自動車1の前部整流構造は、走行風をより確実にカバー前部52に沿ってデフレクタ60へ向けて流動させることができる。
従って、自動車1の前部整流構造は、エアダム40とフロントバンパー30とを別体で構成したことにより、デフレクタ60による走行風E4,E5の整流効果を向上するとともに、車両前部2のメンテナンス性を向上することができる。
また、走行風取込部70から取り込んだ走行風を導風する導風部55をカバー前部52に備えたことにより、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70が取り込んだ取込み走行風E3をデフレクタ60へ向けてより確実に流動させることができる。
さらに、例えば、底面視において、車幅方向の外側が車両側面に向けて湾曲した前端形状の車両前部2の場合、車両前後方向におけるエアダム40とデフレクタ60との間隔が、車幅方向の内側ほど長くなる。
このため、車幅方向の内側に走行風取込部70を形成した場合、走行風取込部70が取り込んだ取込み走行風E3が、エアダム40とデフレクタ60との間で車幅方向に拡散、失速して、カバー前部52から剥離して流動し、デフレクタ60で偏向されることなく前輪ホイールハウス6内へ侵入するおそれがある。
そこで、導風部55を形成することで、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70が取り込んだ取込み走行風D3の拡散を抑制するとともに、デフレクタ60へ向けて確実に案内することができる。これにより、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60に到達する走行風E4,E5の流量を安定して確保することができる。
従って、自動車1の前部整流構造は、カバー前部52に導風部55を備えたことにより、デフレクタ60による走行風E4,E5の整流効果をより安定させるとともに、向上することができる。
また、フロントバンパー30を下方に延設するように形成したエアダム40によって、自動車1の車両前部2は、スポーティな雰囲気を醸し出すことができる。さらに、例えば、エアダム40を黒色などの暗い色に着色することで、よりスポーティな雰囲気を向上させることができる。
そして、車両前部2の前端形状における傾斜角度θ1が30度以上の範囲をエアダム40によって拡大しているため、自動車1の前部整流構造は、車両前部における揚力の調整を容易にするとともに、空気抵抗の低減、意匠性の向上、及び歩行者保護性能の向上を図ることができる。
なお、上述の実施例において、フロントバンパー30の前端形状を、車幅方向の略中央から車両側面に向けて滑らかに傾斜する形状としたが、これに限定せず、フロントバンパー30の前端形状が車幅方向と略平行な形状であってもよい。この際、エアダム40における車幅方向の適宜の位置に走行風取込部70を形成してもよい。
また、車幅方向の内側から外側に向けて傾斜するように走行風取込部70を形成したが、これに限定せず、車幅方向の外側から内側に向けて傾斜するように走行風取込部を形成してもよい。
また、フロントバンパーとは別体で構成した下方延設部としたが、これに限定せず、フロントバンパーと下方延設部とを一体形成してもよい。この際、フロントバンパーにおけるアンダーカバーより下方の部分を下方延設部とする。
さらに、フロントバンパー30における境界部分32及び外側部分31の範囲に対応するエアダム40としたが、これに限定せず、フロントバンパー30における車幅方向の全域に沿うように形成したエアダムとしてもよい。
また、フロントバンパー30とエアダム40とで走行風取込部70を構成したが、これに限定せず、車両上下方向において、カバー前部52に近接する位置であれば、エアダム40に開口形成した走行風取込部であってもよい。さらに、開口底部43aなどの壁面を有する走行風取込部70としたが、これに限定せず、開口底部43aなどを設けず、所定の大きさの開口形成した走行風取込部としてもよい。
また、車両上方に向けて凹設した略溝形状の導風部55としたが、これに限定せず、車両下方に向けて突設したフィン状の整流板で導風部を構成してもよい。さらに、アンダーカバー50と別体の導風部としてもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のアンダーカバーは、実施形態のカバー前部52に対応し、
以下同様に、
下方延設部は、エアダム40に対応し、
開口部は、エアダム開口部43に対応し、
走行風取込部から取り込んだ走行風は、取込み走行風E3に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、別の車両前部2における整流構造を説明する説明図を示す図12のように、走行風取込部70から取り込んだ取込み走行風E3を前輪3の内部に配置される前輪ブレーキ機構(図示省略)に導風するようにしてもよい。
より詳しくは、導風部55は、デフレクタ60に向けるとともに、前輪3の内部に配置される前輪ブレーキ機構(図示省略)に向けて形成している。
さらにデフレクタ60は、アンダーカバー50に対して着脱自在に構成するとともに、導風部55と連通するように開口したデフレクタ開口部63を形成している。
このように、導風部55とデフレクタ60とを形成することにより、車両前部2は、導風部55を流れる走行風E6を、デフレクタ開口部63を介して前輪ブレーキ機構に導風する。
これにより、自動車1の前部整流構造は、走行風取込部70が取り込んだ走行風の一部を、導風部55、及びデフレクタ開口部63を介して前輪ブレーキ機構に送風することができる。このため、自動車1の前部整流構造は、例えば、スポーツ性能が要求される自動車1における前輪ブレーキ機構の冷却性能を向上することができる。
さらに、例えば、デフレクタ60を脱着、交換可能にすることで、自動車1の前部整流構造は、スポーツ性能を向上するカスタマイズ、あるいは競技向け車両への改造を容易にすることができる。
これにより、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60による整流効果を向上と、前輪ブレーキ機構の冷却性能の向上とを、デフレクタ60の交換によって選択可能にすることができる。
従って、自動車1の前部整流構造は、デフレクタ60にデフレクタ開口部63を設けることで、空気抵抗の低減を重視した仕様から前輪ブレーキの冷却性能を重視した仕様へと容易に変更することができる。
1…自動車
2…車両前部
6…前輪ホイールハウス
30…フロントバンパー
40…エアダム
43…エアダム開口部
52…カバー前部
55…導風部
60…デフレクタ
63…デフレクタ開口部
70…走行風取込部
E…走行風
E3…取込み走行風

Claims (6)

  1. 自動車の車両前部における前輪ホイールハウスより車両前方の下面開口を閉塞するとともに、フロントバンパーの下端に装着されるアンダーカバーと、
    車両下方へ突出するとともに、車幅方向に沿って形成したデフレクタとを備え、
    前記アンダーカバーの車両後端近傍に前記デフレクタを配置した自動車の前部整流構造であって、
    前記アンダーカバーより下方に配置し、前記デフレクタに対して車両前後方向で対面するとともに、前記フロントバンパーの下部を延設するような形状に形成した下方延設部を備え、
    該下方延設部における車両上方近傍に、
    前記デフレクタに向けて走行風を取り込むように開口形成した走行風取込部を備えた
    自動車の前部整流構造。
  2. 前記走行風取込部を、
    前記下方延設部における車幅方向の内側に開口形成した
    請求項1に記載の自動車の前部整流構造。
  3. 前記走行風取込部を、
    前記車幅方向の内側から外側に向けて傾斜する、または前記車幅方向の外側から内側に向けて傾斜するように形成した
    請求項1または請求項2に記載の自動車の前部整流構造。
  4. 前記下方延設部を、
    前記フロントバンパーと別体で構成するとともに、前記デフレクタに向けて開口形成した開口部を備え、
    該開口部を、
    少なくとも車両上方側が開口した構成とし、
    前記走行風取込部を、
    前記下方延設部の前記開口部と、前記フロントバンパーとで構成した
    請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の自動車の前部整流構造。
  5. 前記下方延設部と前記デフレクタとの間における前記アンダーカバーに、
    前記走行風取込部から取り込んだ走行風を導風する導風部を備えた
    請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の自動車の前部整流構造。
  6. 前記導風部を、
    前記デフレクタに向けて形成するとともに、前記前輪ホイールハウス内の前輪ブレーキ機構に向けて形成し、
    前記デフレクタに、
    前記導風部と連通するように開口形成したデフレクタ開口部を備えた
    請求項5に記載の自動車の前部整流構造。
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