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JP2015096060A - 植物栽培用培地、並びにそれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法 - Google Patents

植物栽培用培地、並びにそれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法 Download PDF

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JP2015096060A
JP2015096060A JP2014198476A JP2014198476A JP2015096060A JP 2015096060 A JP2015096060 A JP 2015096060A JP 2014198476 A JP2014198476 A JP 2014198476A JP 2014198476 A JP2014198476 A JP 2014198476A JP 2015096060 A JP2015096060 A JP 2015096060A
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安代 西村
Yasuyo Nishimura
安代 西村
康弘 野中
Yasuhiro Nonaka
康弘 野中
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Abstract

【課題】作物の生長効率がさらに改善された、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップを用いた植物栽培用培地、並びにこれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法を提供する。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップを用いた植物栽培用培地であって、前記チップの形状が柱状、扁平状またはフレーク状であり、柱状のチップにおいては側面、扁平状のチップにおいては短手方向を中心軸とした周方向の曲面、フレーク状のチップにおいては主面のJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さが0.05μm以上である植物栽培用培地、並びにこれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法。【選択図】図1

Description

本発明は、花卉、根菜類を含む野菜、果実類、穀類などの各種作物の栽培の際に、従来の土壌やロックウールの代わりに用いることのできる植物栽培用培地、並びにそれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法に関する。
養液栽培は、作物を栽培するのに土壌を使用しないため、連作障害がなく、栽培環境や養分管理をコントロールしやすい。また、自動化、省力化ができ、収穫物の清浄性や肥料効率が高い栽培方法として注目されている。
養液栽培用の固形培地は水に浸漬されるため、ある程度の耐水性が必要であると共に、透水性、保水性、通気性、強度などが要求される。従来、養液栽培用の固形培地としては天然石(おもに玄武岩)を繊維状にしたものを収束させたロックウールなどが知られている。
養液栽培においては根が固形培地の内部に張り詰めるために新たな固形培地に交換する必要が生じることがあるが、ロックウールを固形培地に使用した場合には、リサイクルが困難であるという問題がある。その上、ロックウールは無機物であるため使用後のロックウールの有効な処分方法がない。現在、使用後のロックウールの処分方法としては、産業廃棄物として廃棄する、田に少量ずつ鋤き込むなどの方法が採られているが、これらのような方法で処分するにも限界がある。また、ロックウールでは、植物の根の成長が物理的に阻害されるので、根菜類の栽培が困難であるという問題もある。そのため、植物栽培用培地として必要な耐水性、透水性、保水性、通気性、強度などの物性を保持し、理化学的にも安定していて作物を充分に生長させることができ、しかも、環境への負荷の小さい培地が求められている。
特開平8−280281号公報(特許文献1)には、ポリビニルアルコールを用いた植物栽培用培地が開示されている。特許文献1では、たとえば木炭粉の結合剤としてけん化度98モル%以上の完全けん化型ポリビニルアルコール樹脂を用い、このようなけん化度98モル%以上の完全けん化型ポリビニルアルコール樹脂が親水性でありながら水に溶解しにくく、木炭粉の結合剤として使用した場合、木炭粉粒子表面の水に対する濡れ性を向上させると共に水中に浸漬されても容易には倒壊しない培地となることが記載されている。しかしながら、たとえけん化度98モル%以上の完全けん化型ポリビニルアルコール樹脂を使用したとしても水溶性ポリマーであることには変わりなく、特許文献1に記載された培地を長期使用した場合にはポリビニルアルコール樹脂が徐々に溶出するため、長期にわたり作物を生長させることは困難であった。
また、特開平2−109920号公報(特許文献2)には、培地として粒状またはチップ状の多孔体を用いる養液栽培方法が記載されており、当該多孔体としては、ポリビニルアルコールを素材とするものが吸水性および吸湿性の保持力の点で好ましいことが記載されている。しかしながら、上述のようにポリビニルアルコールは水溶性ポリマーであるために湿潤下で長期安定性に乏しく、長期にわたり作物を生長させる場合には、培地の形状を維持することが困難であり、実用性に乏しかった。
特開平6−98627号公報(特許文献3)には、吸収性材料に水および香料を含ませてなる吸水ゲルを用いた芳香性人工培地が開示され、吸収性材料としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い得ることが記載されている。エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いた場合には、上述のポリビニルアルコールのように徐々に溶出してしまうことは防止できる。
出願人は、国際公開第2012/108374号(特許文献4)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体チップを含む植物栽培用培地について提案している。この特許文献4に記載された植物栽培用培地によれば、作物を充分に生長させることができるとともに、リサイクル性にも優れていて繰り返し使用することができ、使用後に焼却などによって容易に廃棄することができ、環境への負荷の小さい植物栽培用培地を提供することができる。
特開平8−280281号公報 特開平2−109920号公報 特開平6−98627号公報 国際公開第2012/108374号
本発明の目的は、作物の生長効率がさらに改善された、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップを用いた植物栽培用培地、並びにこれを用いた植物栽培装置および植物栽培方法を提供することである。
本発明者らは、植物栽培用培地に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップの形状に着目し、チップの特定の面の算術平均粗さが、チップ間に含まれる水の割合である保水量に影響することを見出した。また、前記算術平均粗さが一定以上の値であるチップを用いた植物栽培用培地での栽培が、植物の生長の効率に影響を及ぼすことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の植物栽培用培地は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップを用いた植物栽培用培地であって、前記チップの形状が柱状、扁平状またはフレーク状であり、柱状のチップにおいては側面、扁平状のチップにおいては短手方向を中心軸とした周方向の曲面、フレーク状のチップにおいては主面のJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さが0.05μm以上である。
本発明の植物栽培用培地において、前記算術平均粗さが0.05μm〜10μmであることが好ましい。
本発明の植物栽培用培地において、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップの体積100mLに対する保水量が5g以上であることが好ましい。
本発明の植物栽培用培地において、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が20〜60モル%であることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の植物栽培用培地を用いた植物栽培装置についても提供する。
本発明はさらに、上述した本発明の植物栽培用培地を用いた植物栽培方法についても提供する。
本発明によれば、花卉、根菜類を含む野菜、果実類、穀類などの各種作物を栽培するにあたり、後述する実施例および比較例に実証されるように、高い効率で充分にこれら作物を生長させることができる。また本発明によれば、リサイクル性にも優れていて繰り返し使用することができ、使用後に焼却などによって容易に廃棄することができ、環境への負荷の小さい植物栽培用培地を提供することができる。
本発明の植物栽培用培地に用いられるチップの形状を模式的に示す図であり、図1(a)が円柱状、図1(b)が扁平状、図1(c)がフレーク状をそれぞれ示している。 本発明の好ましい一例の植物栽培装置51を模式的に示す図である。
本発明の植物栽培用培地には、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップを用いる。ここで、本発明におけるチップは、他の樹脂成分、たとえば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン酸で変性、若しくはその誘導体でグラフト変性、若しくは無水マレイン酸で変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコールなどとの組成物であってもよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の樹脂成分との全質量に対するエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体の比率が上記範囲を下回る場合には、得られる植物栽培用培地の保水量が低下する虞がある。
また、本発明におけるチップは、上述の他の樹脂成分の表面をエチレン−ビニルアルコール共重合体でコーティングしたものであってもよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のコート厚みとしては0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のコート厚みが上記厚みよりも薄い場合、得られる植物栽培用培地の保水量が低下する虞がある。
本発明におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、主としてエチレン単位(−CHCH−)とビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)とからなる共重合体である。当該エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成する全構造単位のモル数に対してエチレン単位およびビニルアルコール単位の合計のモル数が占める割合は80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、99モル%以上であることが特に好ましい。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量(エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成する全構造単位のモル数に対してエチレン単位のモル数が占める割合)は、20〜60モル%の範囲内であることが好ましく、22〜58モル%の範囲内であることがより好ましい。エチレン含有量が上記範囲を下回る場合には、得られる植物栽培用培地の耐久性が不足し、長時間連続して使用した際にエチレン−ビニルアルコール共重合体が溶出する虞がある。また、エチレン含有量が上記範囲を上回る場合には、得られる植物栽培用培地の親水性や強度が低下する虞がある。
本発明におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の適宜の製造方法を採用することができる。たとえば、エチレンとビニルエステル系単量体とを共重合して得られたエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化触媒の存在下にアルコールを含む有機溶媒中でけん化する方法が一般的である。
上述のビニルエステル系単量体としては、たとえばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
エチレンとビニルエステル系単量体とを共重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、公知の方法を採用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。このとき、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物や、その他の連鎖移動剤の存在下で重合を行ってもよい。
けん化反応としては、有機溶媒中で公知のアルカリ触媒または酸触媒をけん化触媒として用いる加アルコール分解、加水分解などを採用することができ、中でもメタノールを溶媒として苛性ソーダ触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
上述のエチレン−ビニルアルコール共重合体のメルトフローレート(温度210℃、荷重2.16kgの条件下にJIS K 7210に記載の方法により測定)は、チップへの成形加工が良好になることから、0.1〜100g/10分の範囲内であることが好ましく、0.5〜50g/10分の範囲内であることがより好ましく、1〜20g/10分の範囲内であることがさらに好ましい。メルトフローレートが上記範囲を下回る場合には、チップへの成形加工を溶融混練によって行なう際に成形加工機のトルクが上がりすぎることがある。また、メルトフローレートが上記範囲を上回る場合には、チップの連続生産性が難しく、かつ、チップにした場合の強度が不足して培地としての性能が低下する虞がある。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップは、その形状が、柱状、扁平状またはフレーク状であることを特徴の1つとする。ここで、図1は、本発明におけるチップの各形状を模式的に示す図であり、図1(a)が円柱状、図1(b)が扁平状、図1(c)がフレーク状をそれぞれ示している。本発明の植物栽培用培地は、柱状、扁平状またはフレーク状のチップにおいて、特定の面が、一定以上の算術平均粗さを有していることを特徴とする。以下、各図を参照しながら、各形状のそれぞれについて説明する。
図1(a)には、柱状の一例として円柱状である場合のチップ1を示す。ここで、「円柱状」とは、軸線方向Xに垂直な方向における断面が円状(真円状、楕円状のいずれでもよい)である柱状の形状を指す。通常、軸線方向Xに沿った直線距離Aの方が円状である断面の径Bよりも大きいが、断面の径Bと軸線方向Xに沿った直線距離Aとが同程度か、または、断面の径Bの方が大きくても勿論よい。本発明の植物栽培用培地においては、円柱状のチップ1の場合、側面(周方向の面)2におけるJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上である必要がある。算術平均粗さの下限値としては、0.10μmであることが好ましく、0.20μmであることがより好ましく、0.30μmであることがさらに好ましい。算術平均粗さの上限値としては、10.00μmであることが好ましく、7.00μmであることがより好ましく、5.00μmであることがさらに好ましい。この算術平均粗さは、その値が大きければ大きいほどその表面が粗い(平滑さが低い)ことを意味する。なお、本発明における「柱状」はこの円柱状に限定されるものでは勿論なく、三角柱状、四角柱状、六角形状、八角形状など適宜の角柱状であってもよい。
さらに、円柱状のチップ1の場合、側面(周方向の面)2は、JIS B0601に準拠して測定される輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が20μm以下であることが好ましく、1.00〜20.00μmの範囲内であることがより好ましく、1.50〜15.00μmの範囲内であることがさらに好ましい。この輪郭曲線要素の平均長さは、その値が小さければ小さいほどその表面が粗い(平滑さが低い)ことを意味する。
円柱状のチップ1は、通常、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むストランドを適宜の長さ(上記直線距離A)でカットして得られる。このため、カットにより生じた端面(カット面)3a,3bはもともと粗い表面を有するが、本発明においては、端面3a,3bと比較して平滑な側面(周方向の面)2において、0.05μm以上の算術平均粗さを有することで、特に後述するチップの保水量が向上することを見出した。なお、円柱状のチップ1の側面(周方向の面)2の算術平均粗さを0.05μm以上とするためには、カット後のチップ1の側面(周方向の面)2に、適宜の治具を用いて適度な傷をつける、または上記ストランドを作製する際の金型等の表面粗さがチップの側面を上記範囲に傷つける程度の粗いものを用いるなどなどすればよい。
図1(b)には、扁平状である場合のチップ11を示す。ここで、「扁平状」とは、断面が楕円状の形状を指す。本発明の植物栽培用培地においては、扁平状のチップ11の場合、当該扁平状のチップ11を水平面上に静置した際に、水平方向に沿って一番長い直線距離を有する部分に沿った方向を長手方向(図1(b)中、方向D:水平方向と平行)とし、その長手方向Dに対し垂直かつ水平面に垂直な方向で、最も直線距離の長い部分に沿った方向を短手方向Cとする。本発明における扁平状のチップ11は、短手方向Cに垂直かつ長手方向Dに沿った周方向の曲面(すなわち、図1(b)中、破線で囲った領域。図1(b)の紙面に関し裏側に該当する領域も同様。)12におけるJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上である必要がある。算術平均粗さの下限値としては、0.10μmであることが好ましく、0.20μmであることがより好ましく、0.30μmであることがさらに好ましい。算術平均粗さの上限値としては、10.00μmであることが好ましく、7.00μmであることがより好ましく、5.00μmであることがさらに好ましい。
さらに、扁平状のチップ11の場合、周方向の曲面12は、JIS B0601に準拠して測定される輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が20μm以下であることが好ましく、1.00〜20.00μmの範囲内であることがより好ましく、1.50〜15.00μmの範囲内であることがさらに好ましい。
扁平状のチップ11は、通常、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む溶融物をホットカットするなどして得られる。このため、ホットカットにより生じた端面(カット面)13a,13bはもともと粗い表面を有するが、本発明においては、端面13a,13bと比較して平滑な周方向の曲面12において、0.05μm以上の算術平均粗さを有するようにすることで、特に後述するチップの保水量を向上できることを見出したものである。なお、扁平状のチップ11の周方向の曲面12の算術平均粗さを0.05μm以上とするためには、切断後のチップ11の周方向の曲面12に、適宜の治具を用いて適度な傷をつける、または上記チップを作製する際の金型等の表面粗さがチップの側面を上記範囲に傷つける程度の粗いものを用いるなどすればよい。
図1(c)には、フレーク状である場合のチップ21を示す。ここで、「フレーク状」とは、裏表2つの主面を有する薄片状の形状を指す。本発明の植物栽培用培地においては、フレーク状のチップ21の場合、その主面22a,22b(表面および裏面)におけるJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上である必要がある。算術平均粗さの下限値としては、0.10μmであることが好ましく、0.20μmであることがより好ましく、0.30μmであることがさらに好ましい。算術平均粗さの上限値としては、10.00μmであることが好ましく、7.00μmであることがより好ましく、5.00μmであることがさらに好ましい。
さらに、フレーク状のチップ21の場合、主面22a,22bは、JIS B0601に準拠して測定される輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が20μm以下であることが好ましく、1.00〜20.00μmの範囲内であることがより好ましく、1.50〜15.00μmの範囲内であることがさらに好ましい。
フレーク状のチップ21は、通常、エチレン−ビニルアルコール共重合体を薄膜状の成形体とした後、これを破砕することで得られる。薄膜状の成形体は積層体であってもよい。積層体を製造する方法としては、特に制限されないが、たとえばエチレン−ビニルアルコール共重合体を薄膜状に成形後、複数枚を重ねてニップロール等で圧着する方法、熱可塑性樹脂から得られる成形体(フィルム、シート等)にエチレン−ビニルアルコール共重合体を溶融押出する方法、エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の熱可塑性樹脂とを共射出する方法、エチレン−ビニルアルコール共重合体から得られる上記成形体と他の基材のフィルム、シート等とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法、等が挙げられる。本発明においては、得られる主面22a,22bが、上述のように0.05μm以上の算術平均粗さを有するようにすることで、特に後述するチップの保水量を向上できることを見出した。なお、フレーク状のチップ21の主面22a,22bの算術平均粗さを0.05μm以上とするためには、破砕後のチップ21の主面22a,22bに、適宜の治具を用いて適度な傷をつける、または薄膜状を成形する際のダイス等の表面粗さが薄膜状の主面を上記範囲に傷つける程度の粗いものを用いるなどすればよい。
なお、チップの形状が上述のように柱状、扁平状、フレーク状のいずれであっても、算術平均粗さ(Ra)および輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)は、たとえば形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X200」(株式会社キーエンス社製)を用い、JIS規格 B0601:2001に準拠することで測定できる。後述する実施例では、100個のチップで測定を行い、その平均値を算術平均粗さ(Ra)として算出している。
本発明の植物栽培用培地は、上述のようにチップの特定の面が一定以上の算術平均粗さを有することで、当該算術平均粗さを有さない場合と比較して、チップの保水量が向上する。
ここで、本発明の植物栽培用培地は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップの体積100mLに対する保水量が5g以上であることが好ましく、5〜100gの範囲内であることがより好ましく、10〜70gの範囲内であることがより好ましく、13g〜50gの範囲内であることがさらに好ましく、20g〜50gの範囲内であることが最も好ましい。ここで、保水量は、植物栽培用培地とした際のチップ間に保持する水分の量を指す。このようにチップの体積100mLに対する保水量が5g以上であることで、従来よりも植物の生長の効率が改善される。この保水量の具体的な測定方法は、後述する実施例において詳しく説明する。
また本発明の植物栽培用培地は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップの含水率の下限値が3質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることがさらに好ましい。また、含水率の上限値が300質量%であることが好ましく、250質量%であることがより好ましく、200質量%であることがさらに好ましい。ここで、チップの含水率とは、チップ内部に形成されている空孔内に入り込んだ水の含有率を指す。このように、チップの含水率が3質量%以上であることでも、従来よりも植物の生長の効率が改善される。
本発明の植物栽培用培地が含むエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップは、上述したエチレン−ビニルアルコール共重合体のみ、またはエチレン−ビニルアルコール共重合体と水のみから構成されていてもよいが、必要に応じて、アルカリ金属塩、ホウ素化合物、カルボン酸またはその塩、リン系化合物、アルカリ土類金属塩、炭酸ガス、可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、充填剤などの、エチレン−ビニルアルコール共重合体および水以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
なお、本発明におけるチップは、いずれの形状であっても、そのサイズは特に制限されるものではないが、その最大長さが1〜50mmの範囲内であることが好ましく、1〜20mmの範囲内であることがより好ましい。なお、当該最大長さはノギスを用いて測定することができる。
なお、本発明の植物栽培用培地においては、上述した柱状、扁平状、フレーク状のチップは、いずれか1種類のみを用いてもよいし、いずれか2種以上を混在させて用いても勿論よい。
本発明の植物栽培用培地は、上述したエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップのみから構成されていてもよいが、当該チップと共に、ロックウール、砂、土、セラミックボール、ヤシガラ、バーク、ピートモス、水苔などの成分をさらに含んでいてもよい。本発明の植物栽培用培地におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の植物栽培用培地の使用形態に特に制限はないが、培養液を用いた養液培養用の培地として用いることが好ましい。
本発明の植物栽培用培地を用いて栽培する植物の種類には特に制限はなく、たとえば花卉、根菜類を含む野菜、果物類、穀類などが挙げられ、特に大根、さつまいも、ごぼう、にんじん、キュウリ、トマト、ナス、ピーマンなどの野菜栽培に使用することが好ましい。特に、ロックウールでは栽培が困難であった根菜類にも好適に用いることができるという利点もある。
本発明はまた、上述した本発明の植物栽培用培地を用いた植物栽培装置についても提供する。本発明の植物栽培装置は、上述の本発明の植物栽培用培地を用いたものであるならば特に制限されるものではなく、植物栽培用培地以外の構成は、従来公知の適宜の植物栽培装置の構成を備えていてもよい。
ここで、図2は、本発明の好ましい一例の植物栽培装置51を模式的に示す図である。図2に示す例の植物栽培装置51は、上方に開口53を有する箱状物であり、側壁54の適当な高さに排水口55を有するプランター52を備え、プランター52内に、排水口55から零れ出さない程度の高さ(深さ)にまで、養分を含んだ水(養液)56が収容される。プランター52の底壁57には、水56の面よりも上にその載置面58aが配置されるように棚58が設けられ、棚58の上に、吸水シート59が、上方から見てプランター52の底壁57を殆ど覆うように設けられる。この吸水シート59は、たとえばセルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの材料で形成されたシート状物であり、その中央部59aは棚58の載置面58a上にあり、かつ、その端部59bがプランター52内の水56に浸かるように設けられ、端部59bから吸収した水56を、中央部59aに送るように構成されている。
図2に示す例では、吸水シート59上に、その端部60aがプランター52の側壁54の上端54aに引っかかるようにして防根透水シート60が配置される。防根透水シート60は、当該植物栽培装置51で根菜類を生育させる際に設けられることが好ましく、生育させる植物61が根菜類ではない場合には必ずしも設けなくともよい。このような防根シート60が設けられる場合、プランター52内の水56は、吸水シート59を介して防根透水シート60へと送られる。
防根透水シート60は、繊維状物で構成される織布、不織布、マット状物、あるいは、たとえば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸で変性、若しくはその誘導体でグラフト変性、若しくは無水マレイン酸で変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコールなどの樹脂からなるシート等であり、親水性、透水性、柔軟性を有し、根を通さないシートである。上記樹脂からなるシートを防根透水シート60として用いる場合、微細孔を無数にかつ均一な分布で有していることが好ましく、この場合、微細孔の最大径は20μm以下であることが好ましい。微細孔の最大径が20μmを超えると、植物の根が防根透水シート60を貫通し、吸水シート59に侵入してからみつき、根が過剰に吸水することにより植物の成長に問題が生じる虞がある。また微細孔の最大径が非常に小さい場合、たとえば5μm以下の場合には、吸水シートからの水の浸出が阻害され植物の生育に問題が生じる虞がある。
図2に示す例では、防根透水シート60上に、上述した本発明の植物栽培用培地62が載せられ、その中で植物61が生育される。図2には、本発明の植物栽培用培地62として、複数個の円柱状のチップ63が用いられた例が示されている。
本発明は、上述した本発明の植物栽培用培地を用いた植物栽培方法についても提供する。本発明の植物栽培方法において、上述した本発明の植物栽培用培地を養液栽培用の培地として使用する場合、たとえば本発明の植物栽培用培地をポットなどの容器に入れ、これに培養液を加えた後に、播種したり苗を移植したりする方法などを例示することができる。また本発明の植物栽培用培地が敷き詰められた栽培用ベッドを用意し、これに生育した苗を移植して各種作物を栽培する方法なども例示できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[算術平均粗さ(Ra)の測定方法]
柱状のチップにおいては側面、フレーク状のチップにおいては主面を、形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X200」(キーエンス社製)を用い、JIS規格 B0601:2001に準拠して算術平均粗さ(Ra)の測定を、100個のチップに対して行った。その平均値を算術平均粗さ(Ra)とした。
[保水量の測定方法]
イオン交換水500mLを入れた1Lビーカーに、後述する実施例または比較例のエチレン−ビニルアルコール共重合体チップをメスシリンダーで200mL容量だけ量りとって加え、25℃で4時間放置した。その後、回転式水切り器「スピードスター」(株式会社カクセー社製)にて30回回転脱水した。広口瓶250mL(ポリエチレン製、口内径30.5mm胴径61.5mm全高125mm)の底部に穴と穴の間隔が1cm以上となるように電動ドリルを用いて2mm径の穴を40個あけ、メスシリンダーで100mL容量の上記イオン交換水に浸しておいたチップを量りとり、穴を開けた広口瓶に入れ、チップの入った広口瓶の重量を測定しWとした。その後、3Lビーカーにイオン交換水2Lを入れ、チップが入った広口瓶の口部の3cm下まで静かに沈め、上記チップが広口瓶内でイオン交換水に浸っていることを確認した。1分後に広口瓶をビーカーから取り出し、静置することで、電動ドリルで開けた2mm径の穴から広口瓶内のイオン交換水を除去した。5時間後に上記チップの入った広口瓶の重量を測定してWとし、下記数式(1)に従って算出した値を保水量とした。
保水量(g/100mL)= W − W (1)
[苗の生長度合いの評価方法]
2013年1月11日に30℃に設定したインキュベーター内でキュウリ(品種「新竜」)の種子を催芽し、2013年1月13日に催芽種子を、育苗用バーク堆肥を充填した育苗バッドに播種した。本葉が展開開始した2013年1月28日に、各実施例または比較例で作製したチップを用いた植物栽培装置に移植して、各々の培地に対し苗を9個準備し養液栽培した。灌水は点滴チューブを用いて培養液を天候に応じて1日あたり1〜4回、大塚アグリテクノ株式会社製の養液栽培用肥料「大塚ハウス1号」、「大塚ハウス2号」および「大塚ハウス5号」を混合溶解した養液(N:98.7ppm、P:19.4ppm、K:125.7ppm、Ca:63.0ppm、Mg:13.4ppm、Mn:0.709ppm、B:0.487ppm、Fe:2.025ppm、Cu:0.018ppm、Zn:0.048ppm、Mo:0.019ppm)を与えた。そして、2013年3月3日に育成苗の地上部生体重(茎葉部分の重さ)と地上部乾物重とを測定し、地上部乾物率を算出して苗の生長度合いを評価した。なお、キュウリの生育についての判定は、地上部生体重をテューキー検定で優位差があった順に実施例5を基準となるAとして、A、B、C、DまたはEと判定した。
[肥大根数の評価方法]
大根‘たんしん’を用いてハウス内で栽培試験を行った。底部より1cmに排水口を設けたプランター(上部幅28.5cm×上部縦46.5cm×深さ26cm、容量28L)を用い、棚の載置面よりも大きく切った吸水シート「ジャームガード」(東洋紡スペシャルティズトレーディング株式会社製)を棚に被せ、余りを底部に折り返してプランターに設置した。さらにその上に防根透水シート(東洋紡スペシャルティズトレーディング株式会社製)をプランター内側に敷いた後、熱可塑性樹脂を深さ20cmまで充填した。播種は2014年4月17日、幅7cm×縦8cm間隔で15穴、1穴あたり3粒直播した。間引きは2014年4月27日に行い、灌水は1日3〜6回程度、天候および生育状況に応じて「トンボジョーロ4号」(新輝合成株式会社製)で大塚アグリテクノ株式会社製の養液栽培用肥料「大塚ハウス1号」、「大塚ハウス2号」および「大塚ハウス5号」を混合溶解した養液(N:98.7ppm、P:19.4ppm、K:125.7ppm、Ca:63.0ppm、Mg:13.4ppm、Mn:0.709ppm、B:0.487ppm、Fe:2.025ppm、Cu:0.018ppm、Zn:0.048ppm、Mo:0.019ppm)を与え、収穫調査は2014年6月25日に行った。収穫調査では、生育した15穴に対する肥大根が1g以上の大根の数を数え、その結果を肥大根数の評価とした。
<比較例1>
[含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップの作製]
エチレン含有量32mol%、ケン化度99mol%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体20kgを、水/メタノール=32/68(重量比)の混合液に80℃で12時間撹拌しながら溶解させて、37重量%のエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を得た。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、前記のエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液の脱泡を行った。そして、直径2.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液中にエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を1時間あたり15kgで押出してストランド状に析出させ、切断することで、チップの軸線方向Xに沿った直線距離Aが約4.5mm、径Bが約1.7mmの円柱状の含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップを得た。
[含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップ(洗浄品)の作製]
上記で得られた含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップ38.0kgに200Lのイオン交換水を加え、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては遠心分離機で脱液する操作を2回繰り返した。次に、1g/Lの酢酸水溶液で、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては遠心分離機で脱液する操作を2回繰り返した。さらに、200Lのイオン交換水で、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては遠心分離機で脱液する操作を6回繰り返し、円柱状の含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップ(洗浄品)を得た。
[乾燥エチレン−ビニルアルコール共重合体チップの作製]
0.1g/Lの酢酸ナトリウムおよび0.5g/Lの酢酸を含有する水溶液200Lに上記含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップ(洗浄品)38.0kgを投入し、25℃で5時間、浸漬および撹拌を行った。浸漬および撹拌の処理をしたチップを遠心分離機で脱液して取り出し、80℃で3時間乾燥した後、引き続き120℃で24時間乾燥することで、円柱状の乾燥エチレン−ビニルアルコール共重合体チップを得た。
上記で得られた円柱状の乾燥エチレン−ビニルアルコール共重合体チップの軸線方向Xに沿った直線距離Aは3.78mm、径Bは1.31mm(アスペクト比(A/B):2.88)であった。また、当該チップの側面(周方向の面)について、算術平均粗さ(Ra)は0.04μm、保水量は4g/100mLであった。このチップを用いてキュウリの苗の生長度合いを評価したところ、地上部生体重は9.4g、地上部乾物重は0.79g、地上部乾物率は8.4%であり、テューキー検定で優位差判定を行い序列したところE判定であった。また、肥大根数が1g以上の大根の数は11本であった。結果を表1に示す。
<実施例1>
比較例1で用いた円柱状の乾燥エチレン−ビニルアルコール共重合体チップをタンブラー(日水化工株式会社製)で1分間に60回転の速度で1時間回転攪拌した。当該円柱状のチップの軸線方向Xに沿った直線距離Aは3.78mm、径Bは1.31mm(アスペクト比(A/B):2.88)であった。このチップの側面(周方向の面)における算術平均粗さ(Ra)は0.09μm、保水量は12g/100mLであった。またこのチップを用いてキュウリの苗の生長度合いを評価したところ、地上部生体重は12.1g、地上部乾物重は0.98g、地上部乾物率は8.0%であり、テューキー検定で優位差判定を行い序列したところD判定であった。また、肥大根数が1g以上の大根の数は14本であった。
<実施例2>
250L反応容器に実施例1で製造した円柱状のエチレン−ビニルアルコール共重合体チップ20kgとイオン交換水200Lとを添加し、75℃で4時間加熱攪拌した。遠心分離機で脱液して取り出し、円柱状のエチレン−ビニルアルコール共重合体チップを得た。当該円柱状のチップの軸線方向Xに沿った直線距離Aは3.92mm、径Bは1.59mm(アスペクト比(A/B):2.47)であった。このチップの側面(周方向の面)における算術平均粗さ(Ra)は0.12μm、保水量は12g/100mLであった。このチップを用いてキュウリの苗の生長度合いを評価したところ、地上部生体重は14.8g、地上部乾物重は1.18g、地上部乾物率は8.0%であり、テューキー検定で優位差判定を行い序列したところC判定であった。また、肥大根数が1g以上の大根の数は14本であった。
<実施例3>
押出して析出させる工程で、1時間あたり16kgで押出して切断する間隔を約2.2倍に変更した以外は、比較例1に従ってチップを製造することで、チップの軸線方向Xに沿った直線距離Aが約10.0mm、径Bが約2.0mmの円柱状のチップを得た。得られた円柱状のチップに対して、比較例1の含水エチレン−ビニルアルコール共重合体チップ(洗浄品)の作製と同様にしてチップの洗浄を行い、軸線方向Xに沿った直線距離Aが10.02mm、径Bが1.95mm(アスペクト比(A/B):5.14)のチップを得た。このチップの側面(周方向の面)における算術平均粗さ(Ra)は1.99μm、保水量は12g/100mLであった。このチップを用いてキュウリの苗の生長度合いを評価したところ、地上部生体重は17.6g、地上部乾物重は1.37g、地上部乾物率は7.8%であった。テューキー検定で優位差判定を行い序列したところB判定であった。また、肥大根数が1g以上の大根の数は14本であった。
<実施例4>
比較例1で用いた円柱状の乾燥エチレン−ビニルアルコール共重合体チップを、20mm押出機「D2020」(東洋精機製作所社製)(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト))を用いて、以下の条件で単層製膜した。
[製膜条件]
・押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=180℃/220℃/220℃/220℃
・スクリュー回転数:80rpm
・吐出量:2.6kg/hr
・引取りロール温度:80℃
・引取りロール速度:1.2m/min
ダイスから引取りロール上に押出すと同時にエアーナイフにより空気を30m/秒で吹き付け、厚み0.10mmのエチレン−ビニルアルコール共重合体単層フィルムを得た。その後、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体単層フィルムを6枚重ね、80℃に加熱したニップロールを通し、フィルム・シート用粉砕機(株式会社ホーライ製)にてスクリーン開目穴径を15mmに調整して粉砕し、積層したフレーク状のチップを得た。得られたチップの主面における最大の長さは10.6mm、厚みは0.60mm(アスペクト比:17.67)であった。このチップの主面における算術平均粗さ(Ra)は0.32μm、保水量は14g/100mLであった。このチップを用いてキュウリの苗の生長度合いを評価したところ、地上部生体重は18.3g、地上部乾物重は1.58g、地上部乾物率は8.5%であり、テューキー検定で優位差判定を行い序列したところB判定であった。また、肥大根数が1g以上の大根の数は14本であった。
<実施例5>
製膜条件を以下のように変更し、ダイスから引取りロール上に押出すと同時にエアーナイフにより空気を30m/秒で吹き付けることを行なわなかったこと以外は実施例4と同様にし、厚み0.11mmのエチレン−ビニルアルコール共重合体単層フィルムを得た。
[製膜条件]
・押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=180℃/220℃/220℃/220℃
・スクリュー回転数:80rpm
・吐出量:2.6kg/hr
・引取りロール温度:80℃
・引取りロール速度:1.1m/min
得られた単層シートを実施例4で用いたフィルム・シート用粉砕機の内部にあるスクリーン開目穴径を5mmに調整して粉砕することにより、チップの主面における最大の長さが3.51mm、厚みが0.11mm(アスペクト比:31.91)のフレーク状のチップを得た。このチップの主面における算術平均粗さ(Ra)は3.21μm、保水量は28g/100mLであった。このチップを用いてキュウリの苗の生長度合いを評価したところ、地上部生体重は23.2g、地上部乾物重は1.81g、地上部乾物率は7.8%であり、テューキー検定で優位差判定を行い序列したところA判定であった。また、肥大根数が1g以上の大根の数は14本であった。
Figure 2015096060
1 チップ、2 側面、3a,3b 端面(カット面)、11 チップ、12 短手方向を中心軸とした場合の周方向の曲面、13a,13b 端面(カット面)、21 チップ、22a,22b 主面、51 植物栽培装置、52 プランター、53 開口、54 側壁、54a 側壁の上端、55 排水口、56 水、57 底壁、58 棚、58a 棚の載置面、59 吸水シート、59a 吸水シートの中央部、59b 吸水シートの端部、60 防根透水シート、60a 防根透水シートの端部、61 植物、62 植物栽培用培地、63 チップ。

Claims (5)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むチップを用いた植物栽培用培地であって、前記チップの形状が柱状、扁平状またはフレーク状であり、柱状のチップにおいては側面、扁平状のチップにおいては短手方向を中心軸とした周方向の曲面、フレーク状のチップにおいては主面のJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さが0.05μm以上である、植物栽培用培地。
  2. 前記算術平均粗さが0.05μm〜10μmである、請求項1に記載の植物栽培用培地。
  3. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が20〜60モル%である、請求項1または2に記載の植物栽培用培地。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培用培地を用いる、植物栽培装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培用培地を用いる、植物栽培方法。
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