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JP2015081644A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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JP2015081644A JP2013220082A JP2013220082A JP2015081644A JP 2015081644 A JP2015081644 A JP 2015081644A JP 2013220082 A JP2013220082 A JP 2013220082A JP 2013220082 A JP2013220082 A JP 2013220082A JP 2015081644 A JP2015081644 A JP 2015081644A
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朗雄 名取
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Abstract

【課題】CVTにおいてベルト挟圧力(ベルト挟圧指示値Pdi)の制御演算に用いる安全率を従来よりも小さめの好適な値に設定できるようにして、定常状態で過大になる挟圧力を低減し、さらなる損失低減を図る。【解決手段】CVTの変速動作の際に二つのプーリおよび無端伝動部材における摩擦損失等(ベルト・プーリフリクション)の変化量を算出し(ステップST2)、この変化量も加味して無端伝動部材の挟圧力を制御する(ステップST5)。【選択図】図5

Description

本発明は、ベルトなどの無端伝動部材を用いた無段変速機の制御装置に関し、特にプーリによる無端伝動部材の挟圧力の制御に係る。
従来より自動車などの車両において、動力源であるエンジンの出力を駆動輪に伝達する変速機として、そのエンジンから入力する回転を無段階に変速可能な無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が知られている。また、CVTとしては一般的に、駆動側および従動側のプーリ間に伝動ベルトを巻き掛けてなるベルト式のものが実用化されている。
このようなベルト式のCVTでは、各プーリの外周のV溝に大きな力で伝動ベルトを挟圧して、その滑りを抑制しなくてはならないが、挟圧力が大きいほど伝動ベルトとの間の摩擦損失が大きくなってしまうし、大きな挟圧力を維持するためには高い油圧も必要になるから、エンジンの燃費が悪化するきらいがある。
この点について特許文献1に記載のCVTでは、例えばスロットル開度およびエンジン回転速度に基づいてエンジントルクを算出し、動力伝達部材のイナーシャやトルクコンバータによるトルク増幅なども考慮してCVTへの入力トルクを算出する。そして、この入力トルクの大きさに応じてベルトの挟圧力を、大きくなり過ぎないように制御している。
特開2003−343711号公報
ところで、ベルト式のCVTの変速動作中には、伝動ベルトとプーリとの摩擦損失が増大するとともに、その伝動ベルトを構成するリングとエレメントとの摩擦損失も増大し、さらに、伝動ベルトやプーリの動作速度が変化することによる損失(イナーシャ抵抗)も発生する。しかし、このような損失を算出するための数式モデルは非線形になってしまうし、そもそもCVTの正確な数式モデルを構築することが困難であった。
そのため前記の従来技術においては、入力トルクに応じて目標ベルト挟圧力を算出する際に用いる安全率を、前記した変速動作中の摩擦損失などの増大による影響も含めるよう十分に大きな値に設定せざるを得ない。この結果として、CVTの変速比が概ね一定に保たれる定常状態では安全率が必要以上に大きな値になってしまい、その分はベルト挟圧力が過大になっているのが実状である。
つまり、従来までの技術では、CVTへ入力するトルクの大きさを算出して、ベルトの挟圧力が大きくなり過ぎないように制御していても、その制御演算に用いる安全率が定常状態では必要以上に大きな値になっていることから、ベルト挟圧力が過大になってしまい、CVTにおける損失の低減や油圧の低減などの効果が不十分なものとなっている。
かかる点を考慮して本発明の目的は、ベルト挟圧力の制御演算に用いる安全率を従来よりも好適に設定できるようにして、定常状態で過大になる挟圧力を低減し、さらなる損失低減を図ることにある。
前記の目的を達成すべく本発明は、駆動側および従動側のプーリ間に無端伝動部材が巻き掛けられており、その駆動側のプーリに入力するトルクの大きさに応じて無端伝動部材の挟圧力を制御するように構成された無段変速機(以下、CVT)の制御装置を前提とする。そして、前記CVTの変速比が変化する変速動作の際に、この変速動作に伴う前記駆動側および従動側プーリ、並びに無端伝動部材における摩擦損失の変化量を算出し、この変化量も加味して前記無端伝動部材の挟圧力を制御するようにしたものである。
前記の如きCVTにおいては、まず、車両の走行用の動力源から駆動側のプーリに入力するトルクの大きさが、例えばその動力源の出力するトルクから補機などの駆動ロス分を減算し、動力伝達部材のイナーシャも考慮して求められる。勿論、動力伝達経路にトルクコンバータがあれば、これによるトルク増幅も考慮される。そして、この入力トルクの大きさに対して、無端伝動部材に滑りが発生しないように挟圧力の制御が行われる。
特にCVTの変速動作中には、そのためにプーリや無端伝動部材において増大する摩擦損失を算出し、この算出結果も加味して前記の挟圧力の制御が行われる。すなわち、挟圧力の制御目標値を算出するに際して、前記のように算出した摩擦損失の増分を加味することにより、その影響を制御に好適に反映させることができるので、従来までのように安全率を大きめの値に設定する必要がない。
よって、前記の特定事項によれば、安全率を従来までと比べて小さめの好適な値に設定することができ、CVTの定常状態におけるベルト挟圧力を小さくすることができる。これにより、CVTにおける動力損失を低減できるとともに、ベルト挟圧力を発生するための油圧の低下によって、オイルポンプの駆動ロスも低減できる。
ところで、CVTの変速動作中に増大する損失としては、前述したようにプーリや伝動ベルトにおける摩擦損失と、それらのイナーシャ抵抗による損失とが挙げられ(以下、これらを併せて摩擦損失等ともいう)、前記のように安全率を小さめの値に設定するためには前記摩擦損失等の増分を正確に見積もる必要がある。すなわち、仮に摩擦損失等の増分を多めに見積もってしまうと、これに応じて安全率が小さくなり過ぎて、無端伝動部材の滑りを生じる虞がある一方、少なめに見積もった場合には安全率があまり小さくならず、損失低減効果が削がれてしまう。
そこで、好ましいのは前記摩擦損失等を、CVTへの入力トルクおよび入力回転数、並びにCVTの変速比を変数とする関数として表し、その増分は、入力トルクの変化による増分と、入力回転数の変化による増分と、変速比の変化による増分とを合算して、算出することである。
すなわち、入力トルクの変化による摩擦損失等の増分は、前記関数の入力トルクによる偏微分係数値と、入力トルクの変化量との積として算出することができる。同様に入力回転数の変化による摩擦損失等の増分は、前記関数の入力回転数による偏微分係数値と、入力回転数の変化量との積として算出することができる。また、変速比の変化による摩擦損失等の増分は、前記関数の変速比による偏微分係数値と、変速比の変化量との積として算出することができる。
但し、前記摩擦損失等の関数をCVTの数式モデルから導出するのは困難なので、この関数の偏微分係数値は実験などによって求めることが好ましい。例えば、CVTのプーリおよび無端伝動部材における摩擦損失等を、予め実験・シミュレーションなどにより広い動作状態(即ち、入力トルク、入力回転数および変速比)に亘って調べて、種々の動作状態に対応するマップとして設定しておく。そして、このマップ上の任意の動作点における摩擦損失等の差分値を偏微分係数値として近似すればよい。
以上、説明したように本発明に係る無段変速機(CVT)の制御装置によると、車両の動力源からの入力トルクの大きさに応じて、ベルトなど無端伝動部材の挟圧力を制御する場合に、変速動作に伴うプーリおよび無端伝動部材における摩擦損失の変化量を算出し、この変化量も加味することによって安全率を従来よりも小さな好適値に設定することが可能になる。これによってCVTが定常状態にあるときの挟圧力を従来よりも低減させて、動力損失を低減することができる。
本発明を適用する車両のパワートレインの一例を示す概略構成図である。 油圧制御回路の変速比制御部および挟圧力制御部の回路構成図である。 CVTの変速比制御マップの一例を示す図である。 CVTの定常状態におけるベルト・プーリフリクションによるロストルクを、入力トルク、入力回転数および変速比に対応づけて設定したロストルク・マップの一例を示す図である。 ベルト挟圧力の制御の流れの一例を示すフローチャートである。 ロストルク関数の入力トルクによる偏微分係数値を、予め算出して設定したマップの一例を示すイメージ図である。 入力回転数による偏微分係数値を設定したマップの図6相当図である。 変速比による偏微分係数値を設定したマップの図6相当図である。 走行試験の際の車速の変化と、CVTのロストルクの変化とを対応づけて示すグラフ図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。一例として本実施形態では、図1に概略を示すように車両に横置きに搭載されたパワートレインに本発明を適用した場合について説明する。なお、本実施形態の記載はあくまで例示に過ぎず、本発明の構成や用途などについても限定するものではない。
(パワートレインの概略構成)
図1には概略的に示すように、本実施形態のパワートレインは、走行用の動力源であるエンジン1、トルクコンバータ2、前後進切換機構3、無段変速機構4、減速歯車機構5、差動歯車機構6などを備えている。エンジン1のクランクシャフト11はトルクコンバータ2に連結されており、その出力がトルクコンバータ2から前後進切換機構3、無段変速機構4および減速歯車機構5を介して差動歯車機構6に伝達され、左右の駆動輪7へ分配される。
エンジン1は一例として多気筒ガソリンエンジンであって、エンジン回転数neを算出するためのエンジン回転数センサ101を備えている。また、図示の例では、エンジン1の吸気量を調整するスロットルバルブ12は、スロットルモータ13によって動作されるものであって、その開度(スロットル開度th)は、目標吸気量が得られるようにECU(Electronic Control Unit)8によって制御される。なお、スロットル開度thはスロットル開度センサ102によって検出される。
−トルクコンバータ−
トルクコンバータ2は、入力側のポンプインペラ21と、出力側のタービンランナ22と、トルク増幅機能を発現するステータ23と、ワンウェイクラッチ24とを備えており、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で作動油(ATF)によって動力伝達を行う。ポンプインペラ21はエンジン1のクランクシャフト11に連結されており、一方、タービンランナ22はタービンシャフト25を介して前後進切換機構3に連結されている。
また、トルクコンバータ2は、その入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチ26も備えている。ロックアップクラッチ26は、係合側油室内の油圧と解放側油室内の油圧との差圧(ロックアップ差圧)を制御することによって、完全係合、半係合(スリップ状態での係合)または解放のいずれかの状態に切り替えられる。
そして、ロックアップクラッチ26の解放状態では、前記のように作動油(ATF)によってポンプインペラ21からタービンランナ22に動力が伝達されるが、タービンランナ22の回転数(タービン回転数nt)がポンプインペラ21の回転数(エンジン回転数neと同じ)よりも低い状態では、その回転差に応じてタービンシャフト25への出力トルクが増幅される。
図示の例ではトルクコンバータ2に、ポンプインペラ21に連結されて駆動される機械式のオイルポンプ9(油圧ポンプ)が設けられている。このオイルポンプ9は、例えばギヤポンプ、ベーンポンプなどであり、ポンプインペラ21を介してエンジン1のクランクシャフト11によって駆動され(このためオイルポンプ9の回転数はエンジン回転数neになる)、後述するように油圧制御回路20にも作動油を供給する。
−前後進切換機構−
前後進切換機構3は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構30、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1を備えている。遊星歯車機構30のサンギヤ31はトルクコンバータ2のタービンシャフト25に連結されており、前進用クラッチC1の近傍にはタービンシャフト25の回転数を検出するタービン回転数センサ104が配置されている。一方、遊星歯車機構30のキャリア33は無段変速機構4の入力軸40に連結されている。
そして、前記キャリア33とサンギヤ31とが前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ32は後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。すなわち、前進用クラッチC1が係合され、後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換機構3が一体に回転するようになって前進用動力伝達経路が成立し、この状態で、前進方向の駆動力が無段変速機構4側へ伝達される。
一方、後進用ブレーキB1が係合され、前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換機構3によって後進用動力伝達経路が成立する。この状態で、入力軸40はタービンシャフト25に対して逆方向へ回転し、この後進方向の駆動力が無段変速機構4側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1がともに解放されると、前後進切換機構3は動力伝達を遮断するニュートラル状態になる。
−無段変速機構−
本実施形態の無段変速機構4は、前記のトルクコンバータ2および前後進切換機構3を介してエンジン1から入力する回転を、無段階に変速して出力可能なベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であり、以下ではCVT4という。このCVT4は、入力側(駆動側)のプライマリプーリ41、出力側(従動側)のセカンダリプーリ42、および、これらプライマリプーリ41とセカンダリプーリ42との間に巻き掛けられた金属製の伝動ベルト43(無端伝動部材:チェーン式ベルトも含む)などを備えている。
プライマリプーリ41の近傍にはプライマリプーリ回転数センサ105が配置されている。このプライマリプーリ回転数センサ105の出力信号から、CVT4の入力軸回転数ninを算出することができる。また、セカンダリプーリ42の近傍にはセカンダリプーリ回転数センサ106が配置されており、その出力信号からCVT4の出力軸回転数noutを算出することができる。この出力軸回転数noutから車速spdを算出することができる。
詳しくはプライマリプーリ41は、入力軸40に固定された固定シーブ411と、入力軸40に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ412とを備えている。そして、可動シーブ412側に配設された油圧アクチュエータ413によって、固定シーブ411と可動シーブ412との間のV溝幅を変更することで、伝動ベルト43の巻き掛け径(有効径)が変更されるようになっている。
同様にセカンダリプーリ42も、出力軸44に固定された固定シーブ421と、出力軸44に軸方向に摺動可能に配設された可動シーブ422とを備えており、可動シーブ422側に配設された油圧アクチュエータ423によって固定シーブ421と可動シーブ422との間のV溝幅を変更することで、伝動ベルト43の巻き掛け径(有効径)が変更されるようになっている。
そして、前記プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413を制御して、プライマリプーリ41およびセカンダリプーリ42のそれぞれのV溝幅を変更することによって、両プーリ41,42の有効径を連続的に変化させて、変速比γを連続的に変化させることができる。なお、変速比γは、γ=入力軸回転数nin/出力軸回転数noutと定義され、例えばプライマリプーリ41の有効径が大きくなり、セカンダリプーリ42の有効形が小さくなるとき(アップシフト)に、変速比γは小さくなる。
そうしてプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413を制御して、プライマリプーリ41およびセカンダリプーリ42のそれぞれの有効径を変化させる際に、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423は、伝動ベルト43の滑りが発生しないように所定の挟圧力を発生する。すなわち、詳しくは後述するようにCVT4への入力トルクtinなどに応じてベルト挟圧力が決定され、このベルト挟圧力を発生するように油圧アクチュエータ423が制御される。
−油圧制御回路−
前記のトルクコンバータ2、前後進切換機構3およびCVT4などを制御する油圧制御回路20は、前述の如くCVT4の変速比γを変更する際に、主にプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧を制御する変速比制御部20aと、主にセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧を制御する挟圧力制御部20bとを備えている。また、油圧制御回路20は、ライン圧の制御やロックアップクラッチ26の係合および解放のための油圧制御、および、前後進切換機構3の前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の係合および解放のための油圧制御も行うように構成されている。
詳しくは図2に示すように油圧制御回路20は、プライマリレギュレータバルブ201、セレクトバルブ202、ライン圧モジュレータバルブ203、ソレノイドモジュレータバルブ204、リニアソレノイドバルブ(SLP)205、リニアソレノイドバルブ(SLS)206、変速コントロールバルブ207、および、挟圧力コントロールバルブ208などを備えている。また、図示の例では機械式オイルポンプ9と並列に、電動機91を動力源とする電動オイルポンプ90が配設されている。
そして、前記のオイルポンプ9(アイドルストップ時は電動オイルポンプ90)により生成された油圧は、例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ201により調圧されてライン圧PLとなる。このライン圧PLは、ライン圧モジュレータバルブ203に供給されて一段、低いモジュレートライン圧LPM2に調圧されて、ソレノイドモジュレータバルブ204、リニアソレノイドバルブ(SLP)205、リニアソレノイドバルブ(SLS)206に供給される。
前記ソレノイドモジュレータバルブ204は、モジュレートライン圧LPM2をさらに低圧のモジュレータ油圧PSMに調圧し、変速コントロールバルブ207および挟圧力コントロールバルブ208などに供給する。また、リニアソレノイドバルブ(SLP)205およびリニアソレノイドバルブ(SLS)206はそれぞれ、ECU8から送信される制御信号のデューティ比に応じて作動され、モジュレートライン圧LPM2を元圧とする制御油圧を出力する。
こうして出力される制御油圧が変速コントロールバルブ207に供給されて、以下に説明するようにCVT4の変速比制御に供される。また、制御油圧は、挟圧力コントロールバルブ208にも供給され、以下に説明するように挟圧力制御に供される。
−変速比制御部−
図2示すように変速コントロールバルブ207は、CVT4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413(以下、プライマリ側油圧アクチュエータ413ともいう)に接続されている。変速コントロールバルブ207は、スプール271と圧縮コイルばね272とを備えており、リニアソレノイドバルブ(SLP)205からの制御油圧が印加される制御油圧ポート273と、ライン圧PLが供給される入力ポート274とが設けられている。
そして、変速コントロールバルブ207は、リニアソレノイドバルブ(SLP)205からの制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧し、出力ポート275からプライマリ側油圧アクチュエータ413へ供給する。これにより、プライマリ側油圧アクチュエータ413の油圧Pin(以下、プライマリシーブ油圧Pinともいう)が調圧され、CVT4の変速比γが制御される。
例えば、制御油圧の増大に応じて変速コントロールバルブ207のスプール271が図2の上側に変位し、その出力油圧が増大すると、プライマリシーブ油圧Pinも増大するので、プライマリプーリ41のV溝幅が狭くなって、変速比γが小さくなる(アップシフト)。反対に制御油圧が低下すれば、スプール271は図2の下側に変位し、変速コントロールバルブ207の出力油圧が低下するので、プライマリシーブ油圧Pinも低下し、プライマリプーリ41のV溝幅が広くなって、変速比γが大きくなる(ダウンシフト)。
前記のような変速比制御はECU8によって実行される。例えば、後述する制御マップ(図3参照)に従ってECU8によりCVT4の目標変速比(本例では目標入力回転数nint)が算出され、この目標変速比と実際の変速比γとの偏差に応じて制御信号が生成される。この制御信号を受けて前記のようにリニアソレノイドバルブ(SLP)205からの制御油圧が調圧され、CVT4のプライマリシーブ油圧Pinが制御される。
−挟圧力制御部−
前記の変速コントロールバルブ207と同様に、CVT4のセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423(以下、セカンダリ側油圧アクチュエータ423ともいう)には、挟圧力コントロールバルブ208が接続されている。この挟圧力コントロールバルブ208もスプール281と圧縮コイルばね282とを備えており、リニアソレノイドバルブ(SLS)206からの制御油圧が印加される制御油圧ポート283と、ライン圧PLの供給される入力ポート284とが設けられている。
そして、挟圧力コントロールバルブ208は、リニアソレノイドバルブ(SLS)206からの制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧し、出力ポート285からセカンダリ側油圧アクチュエータ423へ供給する。これにより、セカンダリ側油圧アクチュエータ423の油圧Pd(以下、セカンダリシーブ油圧Pdともいう)が調圧されて、CVT4のベルト挟圧力が制御される。
例えば、制御油圧が増大すると、これに応じて挟圧力コントロールバルブ208のスプール281が図2の上側に変位し、その出力油圧が増大するので、セカンダリシーブ油圧Pdも増大し、ベルト挟圧力が増大する。反対に制御油圧が低下すればスプール281は図2の下側に変位し、その出力油圧が低下するので、セカンダリシーブ油圧Pdも低下し、ベルト挟圧力が低減される。
前記のような挟圧力制御もECU8によって実行される。すなわち、一例としては後述する演算式(式1)に従ってECU8により、所要のベルト挟圧力を得るためのセカンダリシーブ油圧Pdの目標値(ベルト挟圧指示値Pdi)が算出される。そして、この目標油圧を出力するようにリニアソレノイドバルブ(SLS)206が制御されることにより、前記のようにセカンダリシーブ油圧Pdが調圧されて、ベルト挟圧力が制御される。
なお、前記の如くプライマリシーブ油圧Pinとセカンダリシーブ油圧Pdとを独立に制御する場合には、推力比τ(τ=[セカンダリシーブ油圧Pd×セカンダリ側油圧アクチュエータ423の受圧面積Aout]/[プライマリシーブ油圧Pin×プライマリ側油圧アクチュエータ413の受圧面積Ain])を保持できるよう、プライマリシーブ油圧Pinおよびセカンダリシーブ油圧Pdを制御している。
前述した油圧制御回路20の変速比制御部20aおよび挟圧力制御部20bによる制御は、それぞれECU8からの制御信号を受けて各制御部20a,20bのリニアソレノイドバルブ207,208が前記の如く動作し、CVT4の油圧アクチュエータ413,423などの油圧を好適に制御することで、実現する。つまり、本実施形態では、ECU8によって後述のように実行される所定のプログラムと、油圧制御回路20の挟圧力制御部20bとによって、本発明に係る無段変速機の制御装置が構成されている。
(ECU)
ECU8は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えた公知のものである。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
そして、ECU8の入力インターフェースには、図1に表れているエンジン回転数センサ101、スロットル開度センサ102、タービン回転数センサ104、プライマリプーリ回転数センサ105、セカンダリプーリ回転数センサ106等が接続されている。一方、出力インターフェースには、図1に表れているスロットルモータ13や油圧制御回路20の他に、エンジン1の燃料噴射装置や点火装置などが接続されており、ECU8は、前記した各種のセンサの出力信号などに基づいて、エンジン1の制御、トルクコンバータ2の制御、前後進切換機構3の制御、CVT4の制御等を実行する。
例えばエンジン1の運転制御としては、スロットルモータ13、燃料噴射装置、点火装置等に制御信号が出力されて、吸気量や燃料噴射量、点火時期などが制御される。トルクコンバータ2についてはロックアップクラッチ26の係合および解放が制御され、前後進切換機構3については前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の係合および解放が制御される
そして、CVT4の制御としてECU8は、一例として図3に示す変速比制御マップを参照して目標回転数nintを算出し、実際の入力軸回転数ninが目標回転数nintになるように変速比γの制御を行う。ECU8は、目標回転数nintの制御信号を油圧制御回路20の変速比制御部20aに出力し、上述したようにプライマリ側油圧アクチュエータ413の油圧を制御して、CVT4の変速比γを連続的に変更させる。
前記図3の変速比制御マップは、運転者の出力要求に対応するスロットル開度th(アクセル開度でもよい)および車速spdをパラメータとして、予め実験・シミュレーションなどにより適合した変速比γを設定したものであって、ECU8のROMに記憶されている。車速spdは出力軸回転数noutに対応するため、制御マップにおいては目標変速比γとして、入力軸回転数ninの目標値である目標回転数nintを設定している。
(ベルト挟圧力の制御)
前記のような変速比制御とともにECU8は、以下に説明するように、CVT4への入力トルクtinなどに応じて、伝動ベルト43の滑りを抑制するためのベルト挟圧指示値Pdiを算出し、これに相当する制御信号を油圧制御回路20の挟圧力制御部20bに出力する。具体的にはECU8は、入力トルクtinに所定の安全率SFを加えた上で、以下の(式1)によりベルト挟圧指示値Pdiを算出する。
Pdi = (tin+SF)×cosα/(2×μ×Rin×Aout) … (式1)
なお、(式1)においてRinは、プライマリプーリ41の有効径(伝動ベルト43の巻き掛け半径)であって、変速比γの関数である。また、αは、プライマリプーリ41およびセダンダリプーリ42のシーブ角であり、μはプーリ41,42と伝動ベルト43との間の摩擦係数である。Aoutは上述したとおり、セカンダリ側油圧アクチュエータ423の受圧面積である。
ここで、前記の演算に用いる入力トルクtinの大きさは、エンジン1の発生するトルク(以下、エンジントルクteという)からオルタネータなどの補機やオイルポンプ9の駆動ロス分を減算した上で、前後進切換機構3などのイナーシャやトルクコンバータ2によるトルク増幅も考慮して推定される。すなわち、まず、エンジントルクteは、スロットル開度thおよびエンジン回転数neに基づいてエンジン制御マップから算出される。
このエンジン制御マップは周知のものであり、図示は省略するが、運転者の出力要求に対応するスロットル開度th(アクセル開度でもよい)およびエンジン回転数neをパラメータとして、予め実験・シミュレーションなどにより適合した目標エンジントルクを設定したものであって、ECU8のROMに記憶されている。
また、エンジン1の補機やオイルポンプ9の駆動ロスについても、予めエンジン1やトルクコンバータ2、CVT4などの動作状態に対応する駆動負荷の大きさを実験・シミュレーションなどにより求めてマップを作成しておく。そして、車両の走行中のエンジン回転数neや油圧制御回路20のライン圧PLなどに基づいて、前記のマップを参照して駆動ロスを算出する。
−変速動作中の摩擦損失等の変化−
ところで、前述したCVT4の変速動作中には、プライマリおよびセカンダリプーリ41,42と伝動ベルト43との間の摩擦損失が増大するとともに、この伝動ベルト43を構成するリングとエレメントとの摩擦損失も増大し、さらに、プーリ41,42や伝動ベルト43の動作速度が変化することによる損失(イナーシャ抵抗)も発生する。
このような伝動ベルト43およびプーリ41,42における摩擦損失等(以下、ベルト・プーリフリクションともいう)を算出するための数式モデルは非線形になってしまうし、そもそもCVT4の正確な数式モデルを構築することが困難なので、従来一般的には前記(式1)のようにベルト挟圧指示値Pdi(目標ベルト挟圧力)を算出する際に用いる安全率SFを、ベルト・プーリフリクションの増大による影響も含めるよう十分に大きな値に設定していた。
しかしながら、CVT4が定常状態にあって変速比γが概ね一定に保たれているときには、変速動作中のようにベルト・プーリフリクションが増大することはないから、このときには安全率SFが必要以上に大きな値になって、その分、無用にベルト挟圧指示値Pdiが大きくなってしまう。この結果としてCVT4におけるベルト・プーリフリクションがさらに増大するとともに、油圧制御回路20の油圧も必要以上に高くなってしまい、オイルポンプ9の駆動ロスも増大することになる。
これに対して本実施形態では、CVT4の変速動作に伴うベルト・プーリフリクションの増分を数値計算によって算出し、この算出結果も加味して前述した(式1)によりベルト挟圧指示値Pdiを算出するようにしている。こうすることで、(式1)で用いる安全率SFを従来までと比べて小さな値に設定することができる。以下、詳細に説明する。
まず、前記のベルト・プーリフリクションの大きさは作動油温toの影響を受けるとともに、CVT4への入力トルクtin、入力回転数ninおよび変速比γに依存することが知られている。すなわち、伝動ベルト43のリングとエレメントとの摩擦損失は、主として入力トルクtinに依存し、プーリ41,42や伝動ベルト43のイナーシャ抵抗は主として入力回転数ninに依存し、プーリ41,42と伝動ベルト43との間の摩擦損失は主として変速比γに依存する。
このことから、ベルト・プーリフリクションによって失われるトルク(以下、ロストルクという)の大きさは、入力トルクtin、入力回転数nin、変速比γおよび作動油温toを変数とする関数(以下、ロストルク関数という)TBfric(tin,nin,γ,to)として表すことができる。このロストルク関数TBfricである。
そこで、本実施形態では予め実験・シミュレーションなどによって、CVT4の広い動作状態(即ち前記の入力トルク、入力回転数、変速比および作動油温)に亘ってベルト・プーリフリクションの大きさを調べて、一例を図4に示すようなロストルク・マップを設定しておく。例えば、ロストルク・マップは、入力トルクtin、入力回転数nin、変速比γおよび作動油温toに対応するロストルクを設定したものである。
図4の例では、入力回転数nin=1000rpmで作動油温to=80℃の場合の入力トルクtinおよび変速比γの変化に対するロストルクTBfricの変化が表れており、ロストルクTBfricは、入力トルクtinおよび変速比γのそれぞれの上昇に連れて増大している。この図のような三次元のマップがnin=500,600,600,…というように例えば100rpm毎に複数枚、組み合わされて、四次元のロストルク・マップが構成されている。
なお、前記のような四次元のロストルク・マップが、さらに作動油温toに応じて(例えば20℃毎に)複数枚、用意されているが、以下に説明するようにロストルク・マップを参照して変速動作中のCVT4の摩擦損失等の増分を算出する場合には、作動油温の変化を考慮する必要はない。そこで、以下の説明では便宜上、ロストルク関数は、入力トルクtin、入力回転数ninおよび変速比γを変数とする関数TBfric(tin,nin,γ)として取り扱う。
すなわち、変速動作中のCVT4の摩擦損失等の増分を、前記のロストルク・マップを参照して算出する場合には、その変速動作によって生じる入力トルクtinの変化によるベルト・プーリフリクション、即ちロストルクの増分と、同じく入力回転数ninの変化によるロストルクの増分と、変速比γの変化によるロストルクの増分とをそれぞれ算出して、それらを合算する。
より具体的には、入力トルクtinの変化によるロストルクの増分は、ロストルク関数TBfric(tt,nin,γ)の入力トルクtinによる偏微分係数値(∂TBfric/∂tin)と、入力トルクtinの変化量dtinとの積として算出する。同様に入力回転数ninの変化による増分は、入力回転数ninによる偏微分係数値(∂TBfric/∂nin)と、入力回転数の変化量dninとの積として算出し、変速比γの変化による増分は、変速比γによる偏微分係数値(∂TBfric/∂γ)と、変速比の変化量dγとの積として算出する。
つまり、CVT4の変速動作中に増大するロストルク(ベルト・プーリフリクション)の大きさは、以下の(式2)によって算出することができる。
dTBfric = (∂TBfric/∂tin)×dtin+
(∂TBfric/∂nin)×dnin+(∂TBfric/∂γ)×dγ … (式2)
そして、ロストルク関数TBfric(tin,nin,γ)の偏微分計数値は、前記図4のロストルク・マップを用いて数値微分によって求める。すなわち、図4に示すロストルクのマップにおいて、CVT4の動作状態が僅かに変化するときに、任意の動作点(入力トルクtin、入力回転数ninおよび変速比γによって決まる点)におけるロストルク関数TBfric(tin,nin,γ)の差分値を、偏微分係数値とみなすのである。
例えば、図4に示す動作点T1(tin1,nin1,γ1)においてダウンシフト変速が開始され、入力トルクtinが増大しかつ入力回転数ninが上昇して、変速比γが大きくなる場合について説明する。この場合、動作点T1において入力トルクtinが僅かに変化するときのロストルクの変化は、図示の矢印aの傾きとして表れており、動作点T1(tin1,nin1,γ1)におけるロストルク関数TBfric(tin,nin,γ)の入力トルクtinによる偏微分係数値として、以下の(式3)のように算出される。
(∂TBfric/∂tin)
={TBfric(tin1+Δtin,nin1,γ1)−TBfric(tin1,nin1,γ1)}/(tin1+Δtin−tin1)
={Tmap(tin1+Δtin,nin1,γ1)−Tmap(tin1,nin1,γ1)}/Δtin …(式3)
なお、Δtinは数値微分の刻み幅であって予め設定されている。また、Tmap(tin,nin,γ)は図4のロストルク・マップを参照して算出したロストルク関数TBfric(tin,nin,γ)の値である。
同様に、前記動作点T1から入力回転数ninが僅かに変化するときのロストルクの変化量は、動作点T1(tin1,nin1,γ1)におけるロストルク関数TBfric(tin,nin,γ)の入力回転数ninによる偏微分係数値として、以下の(式4)のように算出される。また、前記動作点T1から変速比γが僅かに変化するときのロストルクの変化量は、動作点T1(tin1,nin1,γ1)におけるロストルク関数TBfric(tin,nin,γ)の変速比γによる偏微分係数値として、以下の(式5)のように算出される。
(∂TBfric/∂nin)
={Tmap(tin1,nin1+Δnin,γ1)−Tmap(tin1,nin1,γ1)/Δnin … (式4)
(∂TBfric/∂γ)
={Tmap(tin1,nin1,γ1+Δγ)−Tmap(tin1,nin1,γ1)/Δγ … (式5)
このようにして、ロストルクのマップを参照し数値計算によってCVT4の変速動作中のベルト・プーリフリクション(ロストルク)の増分を算出し、この算出結果を加味してベルト挟圧力の制御を行う。具体的には、前記のように算出したロストルクの増分をベルト・プーリフリクション項として、CVT4への入力トルクに加算するとともに、その分、前述した(式1)で用いる安全率SFを小さな値に設定する。
−変速動作中の挟圧力制御−
以下、前記のようなCVT4のベルト挟圧力制御について、図5〜8を参照して具体的に説明する。なお、図5のフローチャートに示すルーチンは、ECU8において所定の時間(例えば数十ミリ秒)間隔で繰り返し実行される。
図5のフローにおいてスタート後のステップST1では、まず、エンジントルクteなど必要なデータを読み込む。前述したようにエンジントルクteは、スロットル開度thおよびエンジン回転数neに基づいてエンジン制御マップから算出され、ECU8のRAMに記憶されている。また、エンジン補機やオイルポンプ9の駆動ロスはマップを参照して算出される。これらのデータは、後述する入力トルクtinの算出に用いられる。
続いてステップST2において、CVT4の変速動作中のプーリ41,42および伝動ベルト43におけるロストルクの増分、即ちベルト・プーリフリクション項を算出する。これは、後述するステップST4において入力トルクtinを算出する際に加算するもので、前記の(式3)〜(式5)を用いて算出することができる。具体的には、例えば動作点T1(tin1=20Nm,nin1=1000rpm,γ1=0.426) においてダウンシフト変速が開始され、動作点T2((tin2=30Nm,nin2=1500rpm,γ2=1.5)へ移行する場合のベルト・プーリフリクション項は以下のようにして算出することができる。
まず、数値微分の刻み幅を十分に小さく設定して、例えばΔtin=0.001、Δne=1、Δγ=0.0001とすれば、前記(式3)によって、 (∂TBfric/∂tin) ={Tmap(20.001,1000,0.426)−Tmap(20,1000,0.426)}/0.001 =0.09 となる。動作点T1〜T2における入力トルクの変化量dtinは、 30−20=10 なので、入力トルクtinの変化によるロストルクの増分は、 0.09×10 = 0.9 となる。
同様に入力回転数ninの変化によるロストルクの増分については、前記(式4)より (∂TBfric/∂nin)={Tmap(20,1001,0.426)−Tmap(20,1000,0.426)}/1 =-0.0005 となり、動作点T1〜T2における入力回転数の変化量dninが、1500−1000=500 なので、ロストルクの増分は -0.0005×500 = -0.25 となる。
さらに、変速比γの変化による増分については、前記(式5)より (∂TBfric/∂γ)={Tmap(20,1000,0.4261)−Tmap(20,1000,0.426)}/0.0001 =-1 となり、動作点T1〜T2における変速比の変化量dγは、 0.426−1.5=-1.074 なので、ロストルクの増分は -1×-1.074 ≒ 1.07 となる。そして、前記(式2)よりベルト・プーリフリクション項は、dTBfric =0.9−0.25+1.07=1.72 として算出することができる。
但し、本実施形態のフローでは前記のような計算をステップST2において行うのではなく、図4のポンプ駆動ロスのマップを参照して予め複数の動作点における偏微分係数値を算出し、入力トルクtin、入力回転数ninおよび変速比γに対応づけて、マップとして設定しておく。そして、前記ステップST2においては、そのマップを参照してベルト・プーリフリクション項を算出する。
一例として図6は、図4のマップの複数の動作点においてそれぞれ前記(式3)によって算出した偏微分係数値(∂TBfric/∂tin)、即ち、入力トルクtinの変化によって発生するロストルクの勾配を設定したマップのイメージ図である。このマップを参照して図に矢印で示すように動作点T1(tin1=20Nm,nin1=1000rpm,γ1=0.426)における偏微分係数値(∂TBfric/∂tin)を算出し、これに入力トルクの変化分dtinを乗算する。
同様に図7には、前記(式4)によって算出した偏微分係数値(∂TBfric/∂nin)、即ち入力回転数ninの変化によって発生するロストルクの勾配を設定したマップのイメージ図を示す。このマップを参照して、図に矢印で示すように動作点T1における偏微分係数値(∂TBfric/∂nin)を算出し、これに入力回転数ninの変化分dninを乗算する。
さらに図8には、前記(式5)によって算出した偏微分係数値(∂TBfric/∂γ)、即ち変速比γの変化によって発生するロストルクの勾配を設定したマップのイメージ図を示す。このマップを参照して、図に矢印で示すように動作点T1における偏微分係数値(∂TBfric/∂γ)を算出し、これに変速比の変化分dγを乗算する。そして、それらを合算してベルト・プーリフリクション項を算出する。
前記のステップST2に続いてステップST3では、例えば変速比制御部20aに出力する制御信号によって、CVT4の変速動作中か否か判定し、否定判定(NO)であれば後述のステップST6に進む一方、肯定判定(YES)であればステップST4に進んで、CVT4への入力トルクtinを算出する。
すなわち、ステップST1で読み込んだエンジントルクteから補機やオイルポンプ9の駆動ロス分(マップを参照して算出)を減算し、トルクコンバータ2によるトルク増幅や前後進切換機構3などのイナーシャも考慮して、CVT4へ入力するトルクの推定値を算出する。なお、変速動作中はトルクコンバータ2のロックアップクラッチ26が係合状態になっており、トルク比は1になる。また、イナーシャについては、CVT4への入力回転速度ninの時間あたりの変化量、即ち加減速度から算出される。
その上さらに、前記入力トルクの推定値に、前記ステップST2で算出したベルト・プーリフリクション項を加算して、これを入力トルクTinとする。すなわち、CVT4の変速動作中にはベルト・プーリフリクションの増分を算出して、これを加算することにより、入力トルクtinを大きめに算出する。この入力トルクtinを用いて、ステップST5では前述の(式1)により、ベルト・プーリフリクションの増大による影響を含めて、伝動ベルト43の滑りを好適に抑制できるようなベルト挟圧指示値Pdiを算出することができる。
一方、前記のステップST3で変速動作中ではない、と否定判定(NO)して進んだステップST6では、ベルト・プーリフリクション項の値を零(0)にして前記のステップST4に進み、CVT4への入力トルクtinを算出する。ここではベルト・プーリフリクション項=0であるから、入力トルクtinの値が計算上、大きめになることはない。そして、前記のステップST5に進んで前記(式1)によりベルト挟圧指示値Pdiを算出する。
したがって、本実施形態に係るCVT4においては、その変速動作に伴うプーリ41,42および伝動ベルト43における摩擦損失等(ベルト・プーリフリクション)の増分を算出し、これを加味してベルト挟圧指示値Pdiを算出するようにしているので、その際に用いる安全率SFにはベルト・プーリフリクションの増分を含める必要がなく、その分、小さめの値に設定している。
そのため、CVT4の変速比γが概ね一定の定常状態において前記のように入力トルクTinに応じて算出されるベルト挟圧指示値Pdiが、安全率SFが小さめに設定されている分は小さな値になって、ベルト挟圧力が低減されることになる。これにより、CVT4における動力損失が低減されるとともに、ベルト挟圧力を発生するための作動油圧(ライン圧PL)が低下して、オイルポンプ9の駆動ロスも低減される。そして、その分、エンジントルクteを低下させることによって燃費の低減が図られる。
図9は、本実施形態のパワートレインを搭載した車両で行った走行試験(JC08モード)の一部を示しており、実線のグラフで示すような車速の変化と、CVT4における動力損失(ロストルク)との対応を調べたものである。図に白い三角でプロットした点が、本実施形態のロストルクを示しており、黒い四角でプロットした点は、安全率の大きめな比較例を示している。
図には符号Tとして破線で囲んで示すように、車速の変化が大きくて、CVT4は変速動作中であると考えられる場合、ロストルクは本実施形態(三角)と比較例(四角)とで大きな違いは見られない。一方で、符号Sとして囲んで示すように車速の変化が小さく、CVT4は定常状態であると考えられる場合は、本実施形態におけるロストルク(三角)が比較例(四角)に比べて低減されていることが分かる。
−他の実施形態−
以上、説明した実施形態では、ガソリンエンジンを搭載した車両のパワートレインに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両にも適用可能である。また、車両の動力源についてはエンジンの他に電動モータ、あるいはエンジンと電動モータの両方を備えたハイブリッド形動力源であってもよい。
本発明は、例えば車両に搭載されるベルト式のCVTに適用可能であり、変速比の変化が小さな動作状態でのベルト挟圧力を小さくすることによって、燃費の低減が図られるので、乗用車などにおいて高い効果を奏する。
4 無段変速機構(CVT:無段変速機)
41 プライマリプーリ(駆動側のプーリ)
42 セカンダリプーリ(従動側のプーリ)
43 ベルト(無端伝動部材)
8 ECU(無段変速機の制御装置)
20b 油圧制御回路の挟圧力制御部(無段変速機の制御装置)
tin CVTへの入力トルク
nin CVTへの入力回転数
γ CVTの変速比
Bfric ベルト・プーリフリクション(摩擦損失等)
Pdi ベルト挟圧指示値(挟圧力)

Claims (1)

  1. 駆動側および従動側のプーリ間に無端伝動部材が巻き掛けられており、前記駆動側のプーリに入力するトルクの大きさに応じて、前記無端伝動部材の挟圧力を制御するように構成された無段変速機の制御装置において、
    前記無段変速機の変速比が変化する変速動作の際に、この変速動作に伴う前記駆動側および従動側プーリ並びに無端伝動部材における摩擦損失の変化量を算出し、この変化量も加味して前記無端伝動部材の挟圧力を制御する構成とした、ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
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