以下、本発明の一実施形態に係る内視鏡システムを、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る内視鏡システムの全体構成を示す外観図であり、図2は、その概略機能を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システム10は、電子内視鏡12と、本体装置を構成するプロセッサ装置14及び光源装置16とを備える。電子内視鏡12は、患者(被検体)の体腔内に挿入される可撓性の挿入部20と、挿入部20の基端部分に連設された操作部22と、プロセッサ装置14及び光源装置16に接続されるユニバーサルコード24とを備えている。
挿入部20の先端には先端部26が連設され、先端部26内に、体腔内撮影用の撮像素子(CCD型やCMOS型等の固体撮像素子:図2参照)21及び詳細は後述する蛍光体23が内蔵される。先端部26の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部28が設けられている。湾曲部28は、操作部22に設けられたアングルノブ30が操作されたとき、挿入部20内に挿設されたワイヤが押し/引きされ、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部26が体腔内で所望の方向に向けられる。
ユニバーサルコード24の基端にはコネクタ36が設けられている。コネクタ36は、複合タイプのものであり、プロセッサ装置14に接続される他、光源装置16にも接続される。
プロセッサ装置14は、ユニバーサルコード24内に挿通されたケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、撮像素子21の駆動を制御すると共に、撮像素子21からケーブル29を介して伝送された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種信号処理を施して画像データに変換する。
プロセッサ装置14で変換された画像データは、プロセッサ装置14にケーブル接続されたモニタ38に内視鏡撮影画像(観察画像)として表示される。また、プロセッサ装置14は、コネクタ36を介して光源装置16とも電気的に接続される。
プロセッサ装置14内には、内視鏡システム10の全体を統括的に制御するCPU(中央演算処理装置)31が設けられており、CPU31が、プロセッサ装置14内の各構成部を制御するほか、光源装置16内の各光源制御部や、電子内視鏡12内の撮像素子21等の駆動制御を行う。
プロセッサ装置14には、操作部22等に設けられた入出力部が接続される他、観察画像データ等を記録するハードディスク42(図4参照)が接続される。入出力部は、通常観察モード(通常光モードともいう)や特殊光観察モード(特殊光モードともいう)などのモード切替を行うモード切替部40を含む。
電子内視鏡12の先端部分には、被観察領域へ白色照明光や特殊光を照射する照明窓25と、受光窓27とが設けられており、照明窓25の内側に蛍光体23が内蔵されると共に、受光窓27の内側に撮像素子21が設けられる。撮像素子21の受光面には複数の図示省略の受光素子(フォトダイオード:画素)が二次元アレイ状に配列形成されており、各受光素子に、RGBのカラーフィルタが例えばベイヤ配列で積層されている。なお、カラーフィルタは補色系でも良い。
照明窓25の内側には照明光学系を構成するカバーガラスやレンズ等が配置され、受光窓27の内側には撮像光学系を構成する対物レンズユニット等が配置されるが、これらの図示は省略する。
光源装置16には、特殊光モードにおいて、特殊光光源として用いられる中心波長405nmの青紫色レーザ光源(405LD)33a,33bと、通常光モード及び特殊光モードの両方に用いられる白色照明光用光源として用いられる中心波長445nmの青色レーザ光源(445LD)35a,35bとを発光源として備えている。
青紫色レーザ光源33a,青色レーザ光源35aが夫々の波長の主灯として用いられ、青紫色レーザ光源33b,青色レーザ光源35bが予備灯として用いられる。主灯を主に用いて予備灯を主灯故障時のバックアップ用として用いても良いが、本実施形態では、主灯と予備灯と同時並列で用いる。これにより、照明光量を確保するために夫々に流す通電量を減らすことができ、光源の長寿命化を図ることができる。なお、青紫レーザ光源については、予備灯33bを設けない場合もある。
青紫色レーザ光源33a,33bからの中心波長405nmの青紫色レーザ光は、生体の構造・成分の分光スペクトル特性に応じて、好ましくは合致して狭帯域化された波長帯域幅を持つ狭帯域光であるので、生体の構造・成分の検出能が優れている。
これら各光源33a,33b,35a,35bの半導体発光素子からの発光は、光源制御部48(図4参照)により個別に制御されており、各光源33a,33b,35a,35bの発光条件、すなわち青紫色レーザ光源33a,33bの出射光と、青色レーザ光源35a,35bの出射光の光量割合は、変更自在になっている。
青紫色レーザ光源33a,33b及び青色レーザ光源35a,35bは、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオードを用いることもできる。また、上記光源として、発光ダイオード等の発光体を用いた構成としてもよい。
これら各光源33a,33b,35a,35bから出射されるレーザ光は、集光レンズ(図示せず)により、それぞれライトガイド39に入力され、合波器(図示せず)を介してコネクタ36に伝送される。合波器を用いずに各光源33a,33b,35a,35bからの各レーザ光を直接コネクタ36に送出する構成とすることも可能である。
中心波長405nmの青紫色レーザ光及び中心波長445nmの青色レーザ光が合波され、コネクタ36まで伝送されたレーザ光は、照明光学系を構成するライトガイド39によって、それぞれ電子内視鏡12の先端部まで伝播される。そして、青色レーザ光は、電子内視鏡12の先端の、ライトガイド39の光出射端と照明窓25との間に配置された波長変換部材である蛍光体23を励起して蛍光を発光させる。また、一部の青色レーザ光は、そのまま蛍光体23を透過する。
一方、青紫色レーザ光は、その一部は蛍光体23を励起させるが、大部分は蛍光体23を励起させることなく透過して、狭帯域波長の照明光(いわゆる狭帯域光)となる。
なお、合波したレーザ光を分波器で複数系統例えば2系統に分波し、夫々の系統のレーザ光を別々のライトガイドを通して電子内視鏡12の先端部に伝播し、受光窓27の左右2箇所に設けた照明窓から夫々の蛍光体を介して被写体に対し照射する構成とすることもできる。
ライトガイド39は、マルチモードファイバであり、一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用できる。
蛍光体23は、青色レーザ光及び青紫色レーザ光の一部を吸収して、緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、或いはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成される。これにより、青色レーザ光及び青紫色レーザ光を励起光とする緑色〜黄色の励起光と、蛍光体23により吸収されずに透過した青色レーザ光及び青紫色レーザ光とが合わされて、白色(疑似白色)の照明光となる。
本実施形態のように、中心波長445nmの青色レーザ光を発光する半導体発光素子を励起光源として用いることにより、高い発光効率で高強度の白色光が得られ、白色光の強度を容易に調整できる上に、白色光の色温度,色度の変化を小さく抑えることができる。
上記の蛍光体23は、レーザ光の可干渉性により生じるスペックルに起因して、撮像の障害となるノイズの重畳や、動画像表示を行う際のちらつきの発生を防止できる。また、蛍光体23は、蛍光体を構成する蛍光物質と、充填材となる固定・固化用樹脂との屈折率差を考慮して、蛍光物質そのものと充填剤に対する粒径を、赤外域の光に対して吸収が小さく、かつ散乱が大きい材料で構成することが好ましい。これにより、赤色や赤外域の光に対して光強度を落とすことなく散乱効果が高められ、光学的損失が小さくなる。
図3は、青紫色レーザ光源33a,33bからの青紫色レーザ光と、青色レーザ光源35a,35bからの青色レーザ光及び青色レーザ光が蛍光体23により波長変換された発光スペクトルとを示すグラフである。
青紫色レーザ光は、中心波長405nmの輝線(プロファイルA)で表される狭帯域光であり、主に特殊光観察で使用される。また、青色レーザ光は、中心波長445nmの輝線で表され、青色レーザ光による蛍光体23からの励起発光光は、概ね450nm〜700nmの波長帯域で発光強度が増大する分光強度分布となる。
この励起発光光と青色レーザ光によるプロファイルBによって、上述した疑似白色光が形成され、主に通常光とされる。なお、図示はしていないが、蛍光体23は、青紫色レーザ光によっても励起され、青色レーザ光による場合の1/8程度の光量の励起発光光を出射し、疑似白色光を形成する。
ここで、青紫色レーザ光源33a,33bから照射される中心波長405nmの青紫色レーザ光及びそれに伴う蛍光体23からの励起発光光は、405nmの狭帯域光の成分が多く、表層組織の観察(表層組織の情報の取得)に優れる一方、蛍光体23からの励起発光光の成分が少ないため、背景の撮像に用いられる白色光の出射光量を多くできない。
このため、被写体までの距離が近い場合には、背景としての白色光の出射光量が足りるが、被写体までの距離が離れた場合には、青紫色レーザ光による励起発光光では、白色光の出射光量が不足する。
また、青色レーザ光源35a,35bから照射される中心波長445nmの青色レーザ光及びそれに伴う蛍光体23からの励起発光光は、青紫色レーザ光に比べて表層組織の観察には劣るが、蛍光体23を強く励起し、背景としての白色光の出射光量を多くできる。
このため、青色レーザ光源35a,35bは、被写体までの距離が離れた場合にも白色光の光量を十分確保でき、青紫色レーザ光源33a,33bからの青紫色レーザ光による白色光の光量不足を補うことができる。
ここで、本実施形態でいう白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限定されず、例えば、上述した疑似白色光を始めとして、R,G,B等、特定の波長帯の光を含むものであればよく、例えば、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光や、青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も広義に含むものとする。
この内視鏡システム10では、プロファイルAとプロファイルBとの発光強度を光源制御部48により相対的に増減制御して、任意の輝度バランスの照明光を生成することができる。なお、本実施形態の内視鏡システム10において、通常光モードでは、プロファイルBの光のみが用いられ、特殊光モードでは、原則としてプロファイルAの光及びプロファイルAの光に基づく図示しない励起発光光が用いられ、図示しない励起発光光の光量不足を補うために、プロファイルBの光が重畳される。
上述したように、青紫色レーザ光源(以下、405LDという)33a,33bからの青紫色レーザ光による狭帯域光(プロファイルA)と、蛍光体23からの図示しない励起発光光による白色光からなる照明光、及び青色レーザ光源(以下、445LDという)35a,35bからの青色レーザ光と蛍光体23からの励起発光光による白色光からなる照明光(プロファイルB)は、電子内視鏡12の先端部の照明窓25から被写体の被観察領域に向けて照射される。
そして、照明光が照射された被観察領域からの戻り光が、受光窓27を介して撮像素子21の受光面上に結像され、撮像素子21によって被観察領域が撮像される。撮像後に撮像素子21から出力される撮像画像の画像信号が、スコープケーブル29を通じてプロセッサ装置14の画像処理システム37(図2)に入力される。
撮像素子21によって撮像された撮像画像信号は、プロセッサ装置14の画像処理システム37を含む信号処理系によって画像処理され、モニタ38や記録装置42に出力され、ユーザの観察に供される。
図4は、本実施形態に係る内視鏡システム10の画像処理を行う信号処理系の構成図である。同図に示すように、内視鏡システム10の信号処理系は、電子内視鏡12の信号処理系と、光源装置16の信号処理系と、プロセッサ装置14の信号処理系(図2の画像処理システム37)とを備え、プロセッサ装置14にモニタ38と記録装置42とが接続され、モード切替部40がプロセッサ装置14と光源装置16とに接続される。
電子内視鏡12の信号処理系は、撮像素子21から出力されるアナログの撮像画像信号に対し相関二重サンプリング(CDS)処理や自動利得制御(AGC)処理を行うためのCDS・AGC回路44と、CDS・AGC回路44でサンプリングと利得制御が行われたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器46とを有する。デジタル信号に変換された撮像画像信号は、コネクタ36を介してプロセッサ装置14の画像処理システム37に入力される。
また、光源装置16の信号処理系は、青紫色レーザ光源(405LD)33a,33b及び青色レーザ光源(445LD)35a,35bのオンオフ制御及び光量制御を行う光源制御部48を有する。
ここで、光源制御部48は、内視鏡システム10の稼働開始に伴う光源オン信号に応じて青紫色レーザ光源33a,33bを点灯したり、モード切替部40からの特殊光モードと通常光モードとの切替信号に応じて青紫色レーザ光源33a,33bのオンオフ制御を行ったり、後述する光量算出部50から算出された画像の輝度値に応じて、青紫色レーザ光源33a,33b及び青色レーザ光源35a,35bの発光強度、すなわち光源33a,33b及び光源35a,35bに流す電流値を制御する。
すなわち、光源制御部48は、後述する光量算出部50及び光量割合算出部56と共に、算出される出射光量及び出射光量の割合に基づいて、光源33a,33b及び光源35a,35bの発光条件、すなわち光量割合を変更する光量割合変更手段として機能する。
プロセッサ装置14の信号処理系は画像処理システム37(図2参照)で構成される。この画像処理システム37は、光量算出部50と、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)52と、ノイズ除去回路54と、光量割合算出部56と、画像処理切替部(スイッチ)60と、通常光画像処理部62と、特殊光画像処理部64と、画像表示信号生成部66とを有する。
光量算出部50は、内視鏡12のA/D変換器46からコネクタを介して入力されたデジタル画像信号を用いて、撮像素子21で受光した戻り光の光量、つまり、撮像画像の輝度値を算出する。そして、これら算出された光量は光源制御部48及び光量割合算出部56へ出力される。
光源制御部48では、これら算出された光量が、所定値に満たない場合、戻り光の光量が所定値以上となるように、青紫色レーザ光源(405LD)33a,33b及び青色レーザ光源(445LD)35a,35bの出射光量を制御する。以下、主灯,予備灯の光源33a,33bを纏めて光源33とし、主灯,予備灯の光源35a,35bを纏めて光源35とする。
出射光量の制御では、まず、内視鏡先端と被写体との位置を固定し、青色レーザ光源(445LD)35を停止し、青紫色レーザ光源(405LD)33だの出射光量を増加させる(図5(a)参照)。算出される戻り光の光量が所定値以上となれば、その出射光量で被写体の撮像を行う。また、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量が最大となり、それでも戻り光の光量が足りない場合には、図5(b)に示すように、青色レーザ光源(445LD)35を点灯し、全体での出射光量を増加させ、算出される戻り光の光量が所定値以上となれば、その出射光量で被写体の撮像を行う。
一般的に、狭帯域光光源である青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量は、それほど多くなく、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を最大としても、その出射光量は限られるため、内視鏡が被写体から離れると撮像素子側で検出される戻り光の光量は足りなくなる。
この光量不足を補うために青色レーザ光源(445LD)35の照射光量を増加させると、光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。このため、画像処理システム37において適宜必要な画像処理を行う必要がある。
また、撮像に必要な戻り光の光量を得るために、前述のとおり内視鏡先端と被写体との位置を固定して出射光量の制御を行ったが、出射光量を固定して、内視鏡先端の位置を移動させてもよい。例えば、青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を所定値で固定しておき、内視鏡を動かして、戻り光の光量が所定値以上となるように内視鏡先端と被写体との位置を調整してもよい。
もちろん、青紫色レーザ光源(405LD)33のみでは光量が足りないと予め分かるような位置で撮像を行う場合は、予め青紫色レーザ光源(405LD)33の出射光量を最大とし、青色レーザ光源(445LD)35の出射光量を所定値で固定して、前述と同様に、内視鏡を動かして戻り光の光量が所定値以上となるように内視鏡先端と被写体との位置を調整してもよい。
光量割合算出部56は、光源制御部48による青紫色レーザ光源(405LD)33及び青色レーザ光源(445LD)35を駆動する電流の電流値の情報を受け、405LD33及び445LD35の出射光量の光量割合を算出する。算出された光量割合は、特殊光画像処理部64の後述する特殊光色変換部74へ出力される。
なお、レーザの光量割合が変わると、撮像画像のホワイトバランスが変化する。そのため、図示はされていないが、405LD33及び445LD35の光量並びに光量割合がCDS・AGC回路44へ出力され、この光量及び光量割合の情報に基づいてホワイトバランスを取るためのCDS・AGC回路44のゲインが変更されて、撮像素子21の電気的なゲインが変更されるように信号処理系を構成してもよい。また、図示はされていないが、ホワイトバランスを決定する前述のゲインの情報は、画像処理部62及び特殊光画像処理部64へ出力され、色変換及び特殊光色変換に用いられる。
DSP52(デジタルシグナルプロセッサ)は、光量算出部50で光源光量が検出された後、A/D変換器46から出力されたデジタル画像信号にガンマ補正、色補正処理を行う。ノイズ除去回路54は、DSP52でガンマ補正,色補正処理が施されたデジタル画像信号から、例えば、移動平均法やメディアンフィルタ法等の画像処理におけるノイズ除去方法を行ってノイズを除去する。こうして、電子内視鏡12からプロセッサ装置14に入力されたデジタル画像信号は、DSP52及びノイズ除去回路54でガンマ補正,色補正処理及びノイズ除去等の前処理がなされる。
画像処理切替部60はスイッチで構成され、モード切替部(入力部)40の指示(切替信号)に基づいて、前処理されたデジタル画像信号を後段の通常光画像処理部62に送るか、又は、特殊光画像処理部64に送るかを切り替える。本実施形態では、通常光画像処理部62及び特殊光画像処理部64による画像処理前のデジタル画像信号を画像信号といい、画像処理前後のデジタル画像信号を画像データと呼ぶことにする。
通常光画像処理部62は、通常光モードにおいて、445LD及び蛍光体23による白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した通常光用画像処理を施す部分であって、色変換部68と、色彩強調部70と構造強調部72とを有する。
色変換部68は、前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号に、3×3のマトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行い、色変換処理済RGB画像データに変換する。
色彩強調部70は、画面内の血管と粘膜との色味の差をつけて、血管が見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
構造強調部72は、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造強調処理を行う。
構造強調部72で構造強調処理が施されたRGB画像データは、通常光用画像処理済RGB画像データとして通常光画像処理部62から画像表示信号生成部66に入力される。
特殊光画像処理部64は、特殊光モードにおいて、405LD33からの青紫色レーザ光(プロファイルA)、並びに445LD35及び蛍光体23からの白色光(プロファイルB)による前処理済デジタル画像信号に適した特殊光用画像処理を施す部分であって、特殊光色変換部74と色彩強調部76と、構造強調部78とを有する。
特殊光色変換部74は、入力された前処理済のRGB3チャンネルのデジタル画像信号のG画像信号に所定係数をかけてR画像データに割り付け、B画像信号に異なる所定係数をかけて夫々をG画像データ及びB画像データに割り付け、RGB画像データを生成した後、生成されたRGB画像データに、色変換部68と同様に3×3マトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理などの色変換処理を行う。
具体的には、特殊光色変換部74は、割り付け後のR,G,Bの画像データに対して、輝度の正規化を行い、Rnorm,Gnorm,Bnormの画像データを生成する。次に、これら正規化したRnorm,Gnorm,Bnorm画像データに対して、光量割合に応じた色調への補正を行う。色調補正後の画像データを、Radj,Gadj,Badj画像データとすると、色調補正後のRadj,Gadj,Badj画像データは、次の数1で示すような演算により求められる。
ここで、KR,KG,KBは、それぞれ各色の色変換係数であり、光量割合算出部56で算出された光量割合に応じて求められる。特殊光色変換部74は、図6に示すように、光量割合(光量比率)に対応する各色の色変換係数を定めた色変換係数テーブル80を備え、算出された光量割合に基づいて、色変換係数テーブル80より、色変換係数KR,KG,KBを決定する。
色変換係数テーブル80の色変換係数KR,KG,KBは、図6に示すように、それぞれ各光量割合に対応してR00,R01,R02,…、G00,G01,G02,…、B00,B01,B02,…として設定されている。光量割合算出部56で算出された光量割合に対応する色変換係数を数1に代入することで、色調補正された画像データRadj,Gadj,Badjが得られる。
例えば、光源制御部48において制御される405LD33の光量と445LD35の光量との比が、100:10、つまり、光量割合が405LD:445LD≒90.9:9.1であるとき、色変換係数は、図6に示す色変換係数テーブルにより、(KR,KG,KB)=(R10,G10,B10)と求まる。この色変換係数は、図6に示すテーブルとして表すことに限らず、数式化して表してもよく、また、代表点のみ数値化して他の点を補間演算により求めてもよい。
色彩強調部76は、色彩強調部70と同様に、画面内の血管と粘膜との色味の差を付けて、血管が見易くなるように強調するためのものであって、色変換処理済RGB画像データに対して、画面を見ながらする処理、例えば、画面全体の平均の色味を見て、その色味を平均値より血管と粘膜との色味の差をつける方向に強調する処理を行う。
構造強調部78は、構造強調部72と同様に、色彩強調処理済RGB画像データに対して、シャープネスや輪郭強調等の構造処理を行う。構造強調部78で最適な周波数強調処理が施されたRGB画像データは、特殊光用画像処理済RGB画像データとして特殊光画像処理部64から画像表示信号生成部66へ出力される。
また、前述のとおり、光量が足りず青色レーザ光源(445LD)35の出射光量を増加させた場合、撮像ための光量は足りるが、撮像画像の色調が変わるのはもちろん、特殊光観察される表層血管の微細構造に関する撮像画像の情報も目立たなくなる。そこで、特殊光画像処理部64は、色変換部68の前段階において、撮像画像上の表層血管を強調するためにも、フレーム加算処理、または、ビニング処理を行ってもよい。
ここでフレーム加算処理とは、通常、1フレームで1画像を生成するフレームを複数枚加算する処理であり、また、ビニング処理とは、画像を構成する画素を複数画素ずつ統合する処理である。なお、フレーム加算処理及びビニング処理ではなく、予め撮像素子21の電荷蓄積時間を長めにとってもよい。フレーム加算処理と略同様の効果が得られる。
画像表示信号生成部66は、通常光モードでは通常光画像処理部62から入力された画像処理済RGB画像データを、特殊光モードでは特殊光画像処理部64から入力された画像処理済RGB画像データを、夫々、表示画像信号に変換する。この表示画像信号は、ソフトコピー画像としてモニタ38に表示され、また、記録装置42に対して出力される。記録装置42に記録された表示画像信号は、ハードコピー画像として記録装置42から出力される。
通常光モードでは、白色光を照射して撮像素子21で撮像され、プロセッサ装置14で前処理及び通常光画像処理がなされた表示画像信号に基づく通常観察用画像が、モニタ38に、ソフトコピー画像として表示される。特殊光モードでは、白色光に加え、特殊光を照射して撮像素子21で撮像され、プロセッサ装置14で前処理及び特殊光画像処理がなされた表示画像信号に基づく特殊光観察画像が、モニタ38にソフトコピー画像として表示される。
記録装置42も、通常光モードでは、白色光を照射して得られた通常観察画像をハードコピー画像として出力し、特殊光モードでは、白色光及び特殊光を照射して得られた特殊光観察画像をハードコピー画像として出力する。なお、必要に応じて、画像表示信号生成部66で生成された表示画像信号は、画像情報として、図示しないが、メモリやストレージ装置からなる記憶部に記憶されても良い。
一方、モード切替部(入力部)40は、通常光モードと特殊光モードとを切り替えるためのモード切替ボタンを有し、モード切替部40からのモード切替信号は、光源装置16の光源制御部48に入力される。ここで、モード切替部40は、入出力部(図4ではモニタ38,記録装置42,モード切替部40)の入力部40として配置されているが、プロセッサ装置14、電子内視鏡12の操作部、または光源装置16に配置されてもよい。なお、モード切替部40からの切替信号は、光源制御部48及び画像処理切替部60へ出力される。
次に、上述した構成の実施形態における内視鏡システムの動作を、図7及び図8を用いて説明する。本実施形態においては、まず、通常光モードで通常光観察が行われているものとする。つまり、445LD35が点灯され、白色光による撮像画像データについて、通常光画像処理部62で通常光画像処理が行われている。
ここで、図7に示す処理手順の通り、ユーザによって特殊光モードへの切替が行われる。ユーザがモード切替部40を操作することでモード切替信号(特殊光ON)が出力され、画像処理切替部60における画像処理が特殊光モードに切り替えられる(ステップS10)。
特殊光モードに切り替えられると、次のステップS20で、光源の光量調整が行われる。この光源からの出射光量の調整は、内視鏡先端と被写体との位置関係の変化に応じて常に行われる必要がある。図8は、内視鏡先端と被写体との位置を固定した際における光量調整の詳細処理手順を示すフローチャートである。
まず最初に、図8のステップS120で、青紫色レーザ光(405LD)33から所定量の狭帯域光(405nm)が出射され、内視鏡先端より被写体に向けて、照明光として狭帯域光(405nm)およびその励起発光光(蛍光体23の蛍光)が照射される。照射された照明光は、被写体で反射され、撮像素子21によりその戻り光が撮像画像情報として取得される(ステップS122)。
撮像時画像情報が取得されると、撮像画像情報は、CDS・AGC44、A/D変換部46を経て、光量算出部50へ出力され、撮像素子21における戻り光の光量(該撮像画像の輝度値)が算出される(ステップS124)。算出された戻り光の光量は、光源制御部48へ出力される。
光源制御部48は、光量割合算出部56で算出された光量に基づいて、光量が足りているか否か、つまり戻り光の光量が所定値以上か否かの判定を行う(ステップS126)。光量が足りている場合、その位置での照射光量は変更する必要がなく、光源の光量調整は行われず、図7の被写体撮像処理(ステップS30)に進む。もちろん、光量が多すぎて撮像素子21がオーバーフローを起こすような場合には、405LD33に流れる駆動電流の電流値を減少させる制御を行う。
また、光量が足りない場合、光源制御部48は、405LD33に流れる駆動電流の電流値から、405LD33の出力が最大か否かを判定する(ステップS128)。
405LDの出力が最大でない場合、光源制御部48は405LD33の出力(駆動電流の電流値)を所定量上げ(ステップS130)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。
また、405LD33の出力が最大の場合、光源制御部48は、青色レーザ光源(445LD)35が点灯しているか否かを判定する(ステップS132)。445LD35が点灯していない場合、445LD35を点灯して(ステップS134)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。445LD35が点灯すると、照明光として狭帯域光(405nm)及びその励起発光光に重畳して、狭帯域光(445nm)及びその励起発光光が内視鏡先端より被写体に照射される。
また、445LD35が既に点灯している場合には、445LD35の出力を上げ(ステップS136)、再度、光量の算出(ステップS124)を行う。こうして撮像素子21における戻り光の光量が所定値以上になるまで、図8のステップに基づいて、出射光量の調整を行う。
なお、図8の処理手順には記載していないが、445LD35の出力を最大としても光量が足りない場合には、そのまま、図7に示す被写体の撮像処理(ステップS30)を行うか、内視鏡先端と被写体との位置を再度調整し、内視鏡先端を被写体に近づける。
ここでは、内視鏡先端と被写体との位置を固定した場合の光量調整の動作について説明したが、前述のとおり、光源からの出射光量を固定し、内視鏡先端と被写体との位置を変更してもよい。その場合、前述のとおり、405LD33の出射光量を所定値とし、445LD35を停止して、内視鏡先端と被写体との位置関係を変更する場合と、405LD33の出射光量を最大とし、445LD35の出射光量を所定値として、内視鏡先端と被写体との位置関係を変更する場合との2つの動作が考えられる。
405LD33のみを用いる場合は、主に内視鏡先端と被写体との位置を近くして撮像を行う場合に用いられ、405LD33の出射光量を最大とし、445LD35の出射光量を所定値とする場合は、主に、内視鏡先端と被写体との位置を遠くして撮像を行う場合に用いられる。
光量の調整(図7のステップS20)が行われると、次に、ステップS30で、被写体の撮像が行われ、撮像素子21により、撮像画像情報が取得される。撮像画像情報は、前述のとおり、CDS・AGC44,A/D変換器36により適宜処理され、光量割合算出部56へ出力される。
光量割合算出部56では、撮像画像情報から、B光の光量及びG光の光量のそれぞれが算出され、光量割合算出部56へ出力される(ステップS32)。また、撮像画像情報は、撮像画像信号として、DSP52,ノイズ除去回路54を通って特殊光画像処理部64へ出力される。
光量割合算出部56では、光源制御部48から405LD33の出射光量及び445LD35の出射光量の情報を取得し、405LD33と445LD35との光量割合を算出する(ステップS34)。算出された光量割合は、特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74へ出力される。
特殊光画像処理部64の特殊光色変換部74は、算出された光量割合の情報と、色変換係数テーブル80とから、特殊光色変換に用いる色変換係数KR,KG,KBを決定する(ステップS36)と共に、特殊光画像処理部64へ入力された撮像画像信号は特殊光画像データに変換される(ステップS38)。なお、特殊光色変換前に、フレーム加算処理等の画像強調処理が行われてもよい。
次のステップS40では、ステップS38の特殊光画像データにステップS36の色変換係数を適用して擬似カラー画像(RGB画像データ)に変換する。そして、このRGB画像データに対して、色彩強調部76及び構造強調部78が各種画像処理を施し(ステップS42)た後、画像表示信号生成部66へ出力されて画像表示信号が生成される(ステップS44)。最後のステップ46で、この画像表示信号は、特殊光画像としてモニタ38で表示され、記録装置42に記録され、この処理手順を終了する。
以上、特殊光観察を行う内視鏡システム10の構成及び動作を詳述したが、レーザ光源33,35のうち、使用頻度の高い光源35(35a,35b)が使用中に経年劣化で消灯してしまう虞がある。
上述した様に、本実施形態では、主灯35aと予備灯35bとを同時に並列で使用しているため、両灯35a,35bの使用期間は同じであり、同じ様に経年劣化する。そこで、本実施形態では、主灯35aと予備灯35bの夫々の経年劣化の程度を検出し、経年劣化の程度がより進んでいる方のレーザ光源について次の監視を行い、それに伴う後述の駆動制御を行う。
図9は、レーザ光源の経年劣化の進行具合を説明するグラフである。レーザ光源は、使用年数が増えるに従って、徐々に発光効率(光源効率)が低下して行き、同じ電力を供給しても、暗くなっていく。光源効率がある程度低下し、図示する例では効率75%に達したX点に至ると、いきなり消灯してしまう。図9の上段グラフの横軸は、使用期間tの対数をとっており、X点に至るまでは数年(図示の例では6年としている。)かかる。
この消灯に至る期間(点線円F内)を拡大したグラフが下段グラフであり、横軸は使用期間tそのもので表している。使用期間tを対数で表した上段グラフではX点から消灯に至るまで時間は無いが、実際には、下段グラフに示す様に、10分程度の余裕がある。この10分も、光源個体差により数分の場合もあり、20分,30分の場合もあり、X点に至った後、あとどれくらい消灯までに余裕があるかの予測はできない。X点も、この例では効率75%としているが、このX点の効率が何%になるかも不明である。
しかし、多数のレーザ光源の統計データをとることで、X点となる範囲つまり危険範囲を精度良く定めることが可能である。そこで、本実施形態では、危険範囲となる上限の光源効率を、光源を延命する駆動制御の開始点Yと定め、光源効率が低下してY点に達したとき、後述の光源延命駆動制御を行う。勿論、X点を検出して光源延命駆動制御の開始点Yとしても良い。
なお、上記の説明では、「光源効率」で説明したが、実際には、レーザ光源のアノード電位VA,カソード電位Vk,順方向降下電圧Vf等により、光源延命駆動制御の開始点Yを定める。
図10(a)は、レーザ光源の劣化検出回路の説明図である。レーザ光源LDは、例えば定電流ドライバによって駆動される。そこで、劣化検出回路91は、レーザ光源LDのアノード電位VAとカソード電位Vkとを検出し、両者間の差から順方向降下電圧Vf(=VA−Vk)を求め、順方向降下電圧Vfからレーザ光源LDの劣化の程度を判定する。この順方向降下電圧Vfは、図10(b)に示す様に、図9のX点以降に急に増加するため、レーザ光源LDの劣化程度を検出可能である。
図10(b)の例は、レーザ光源LDを定電流駆動する場合であるが、光出力を一定とするAPC(オートパワーコントロール)駆動の場合でもレーザ光源に流れる電流をアノード・カソード間電圧で除算した電流/電圧の値で光源劣化の程度を検出でき、定電圧駆動する場合でもレーザ光源に流れる電流値の上昇程度で光源劣化の程度を検出できる。
図11は、光源が劣化して上述した光源延命の駆動制御開始時にモニタ38に表示する警告表示の例を示す図である。患者の体腔内に電子内視鏡12を挿入している医者等の内視鏡操作者は、モニタ38に表示されている観察画像92を注視している。このため、本実施形態では、観察画像92に重ねて「故障発生:直ぐにスコープを抜いて下さい」という警告を点滅させて表示する。これにより、医者等の内視鏡操作者は、直ちに電子内視鏡12の抜去作業に入ることになる。
このとき、図9で説明した様に、10分程度で光源が消灯してしまう。体腔内は曲がりくねっているため、照明光がなくなると電子内視鏡12の抜去作業がしづらくなる。そこで、光源の寿命を少しでも長く保ち、照明光を確保する駆動制御を開始する。
尤も、寿命が間近に迫った光源は光源35a,35bのいずれか一方であり、別光源33a,33bもあるため、照明光が完全になくなる事態は起きないが、発光量の大きい光源35a,35bの一方が消灯してしまう事態が目前に迫った場合には、電子内視鏡12の抜去作業を優先させるべく警告表示する。
図12は、寿命が目前に迫った光源の照明光を確保する駆動制御の説明図であり、この例では、撮像素子21としてCMOS型を用いた例を示している。寿命がまだあるCMOS型の撮像素子21では、例えば〔1/30〕秒毎に1フレームの被写体画像を撮像しており、通常、ローリングシャッタ駆動される。ローリングシャッタ駆動では、被写体を動画像として撮像しており、各画素行毎に、少しずつ露光期間(ある画素行にリセット信号201を印加するタイミングから、この画素行の画素信号を読み出す読出信号202を印加するタイミングまで)をずらしながら各画素行順に被写体画像の撮像を行っている。
レーザ光源33,35の寿命は、発光時間(点灯期間)の積算値に依存するため、発光時間を短くして長寿命化を図るために、図12(a)に示す様に、各フレーム画像を撮像するときに、最初の画素行の露光開始(リセット信号201)から最後の画素行の読出信号202まで期間だけ、レーザ光源33,35をオンとし、それ以外の期間はレーザ光源33,35をオフとする駆動が行われる。
今、レーザ光源35a,35bのいずれか一方の寿命が差し迫った状態になったとき、上述した様に、短期間に消灯してしまう虞がある。本実施形態では、この短い寿命をなるべく長く維持して電子内視鏡12を患者の体腔内から引き抜くまで照明光を確保する制御を行う。
そこで、通常は図12(a)に示す様に、露光期間が〔1/30〕秒近くの1フレーム画像を1秒間に30フレーム撮像していたものを、図12(b)に示す様にフレームレートを落とし、この例では、1フレーム期間(〔1/30〕秒)置き即ち、1秒間に15フレームの被写体画像を撮像する様にする。そして、撮像していない期間のレーザ光源33,35をオフとする。これにより、寿命が差し迫ったレーザ光源の残りの寿命を延ばすことが可能となる。この例では、フレームレート「30」をフレームレート「15」に落としたが、勿論「10」等、それ以下にフレームレートを落とすことで、延命時間を延ばすことが可能となる。
図13は、寿命が目前に迫った光源の照明光を確保する別実施形態の駆動制御の説明図である。図13(a)は図12(a)と同じ図であり、図13(b)との比較のために図示している。図12の実施形態ではフレームレートを落としたが、この実施形態では、フレームレートは落とさずに、図13(b)に示す様に、1フレーム画像を撮像するときの露光期間、即ち、レーザ光源35をオンにする期間を短くしている。この実施形態によっても、寿命が差し迫ったレーザ光源35を延命させることが可能となる。
本実施形態では、各フレーム画像の露光期間を短時間としたため、そのままだと暗い画像が撮像されることになる。被写体の綺麗な画像を撮像するのが目的ではなく、電子内視鏡12の抜去作業のための照明光確保が目的であるため、画質が劣化しても問題はない。このため、本実施形態では、撮像され固体撮像素子21から出力された信号を、図4のCDS・AGC44により増幅すれば、明るく見易い画像を得ることが可能となる。
以上述べた実施形態では、図12のフレームレートの低減と、図13の露光期間の短時間化及びAGC44による増幅とを別々に説明したが、勿論、両者を併用することで、更にレーザ光源の延命を図ることが可能となる。
この様に、レーザ光源35a,35bのいずれか一方の寿命が差し迫った状態となっても、電子内視鏡12を患者の体腔内から抜去するまでの間、照明光を確保することが可能となり、迅速な抜去作業が可能となる。
また、上述した駆動制御を実行したにもかかわらず、悪い方のレーザ光源(例えば35bとする)が完全に消灯してしまっても、並列に使用している残りのレーザ光源35aがまだ点灯している確率は高く、照明光は確保可能である。この場合、照明光の光量は半減するが、明るい画像が必要ならば、AGC44で固体撮像素子21の出力信号を増幅すれば良い。
この抜去作業中に、2つのレーザ光源35a,35bが共に完全に消灯してしまった場合でも、別のレーザ光源33a(33b)が点灯している可能性は高い。つまり、4つ(または3つ)のレーザ光源が全て同時に故障してしまう確率は低い。このため、この場合には、レーザ光源35a,35bよりは暗い照明光ではあるが、レーザ光源33a(33b)からの照明光を用いて抜去作業を継続する。暗い照明光のため、AGC44の増幅率を上げ、また、撮像画像をモノクロ画像とすることで見易い画像とすることができる。更に、シャッタ期間(露光期間)を延ばすことで、少しでも明るい画像を確保し、抜去作業を助けることが可能である。
以上述べた実施形態は、明るい照明光を発光するレーザ光源35a,35bのいずれか一方の寿命が差し迫った場合を説明したが、特殊光観察を行うためのレーザ光源33a,33bの寿命が尽きる場合もある。この場合、レーザ光源35a,35bの寿命がまだ十分に残っているのであれば、特殊光観察モードを禁止するだけで済む。特殊光観察モードの禁止は、例えば図11のモニタ画面に「特殊光観察モード禁止」の文字を点滅表示すれば良い。
なお、図12,図13の例は、撮像素子21がCMOS型の例であるが、CCD型であっても、フレームレートを任意に落としたり、露光期間を任意に短縮したり、AGC44で増幅率を任意に変更することは可能である。
以上述べた様に、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、先端部から被写体に対して照明光を照射し、該被写体からの光を受光する固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、半導体発光素子でなる複数系統の光源を搭載し、該光源の発光光を前記電子内視鏡に導入し、該発光光を前記照明光として前記被写体に対して照射する光源装置とを備える内視鏡システムであって、前記複数系統の光源のうち少なくとも1つの系統の光源が、点灯中に消灯危険レベルまで劣化したとき、前記固体撮像素子の駆動モードを変更して、前記光源の点灯時間を前記消灯危険レベルまで劣化する前の点灯時間に比べて短くすることを特徴とする。
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記固体撮像素子のフレームレートを、前記消灯危険レベルまで劣化する前のフレームレートに比較して低下させることで前記駆動モードを変更することを特徴とする。
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記固体撮像素子の露光期間を、前記消灯危険レベルまで劣化する前の露光期間に比べて短期間にすることで前記駆動モードを変更し、該露光期間のみ前記光源を点灯することを特徴とする。
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記露光期間を短期間にしたとき、前記固体撮像素子から出力される信号の増幅率を上げることを特徴とする。
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記駆動モードを変更するとき前記固体撮像素子の撮像画像を表示するモニタ画面に警告表示を行うことを特徴とする。
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記光源として、第1波長域の光を発光する少なくとも2つの光源を備え、該光源の発光光を受光して黄色光の蛍光を発光する蛍光体が前記電子内視鏡の前記先端部に内蔵されることを特徴とする。
また、実施形態の内視鏡システム及びその駆動方法は、前記光源として、前記第1波長域の光を発光する光源の他に、該第1波長域の光よりも前記蛍光の発光量が少ない第2波長域の光を発光する光源を備え、前記第1波長域の光を発光する少なくとも2つの前記光源がいずれも劣化によって消灯してしまった場合には前記第2波長域の光を前記照明光にすると共に、該消灯の前後において、前記固体撮像素子から出力される撮像画像信号の画像処理を切り替えて撮像画像の色バランスを変更することを特徴とする。
以上述べた実施形態によれば、光源が劣化して消灯間近になったときでも、消灯までの時間を延命させて照明を行う駆動ができ、電子内視鏡を迅速に体腔内から抜去することが可能となる。
本発明の内視鏡システムは、先端部に被写体に対して照明光を照射する照明窓が設けられ、該被写体からの光を受光するカラー固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、
前記照明光としての白色光と狭帯域光を生成するための複数の半導体発光素子を有する光源装置と、
前記カラー固体撮像素子からの撮像画像信号に基づいて、表示画像信号を生成する画像処理部と、
前記表示画像信号に基づく画像を表示するモニタと、を備えた内視鏡システムであって、
前記光源装置の半導体発光素子のいずれもが故障していない場合、
前記光源装置は、通常観察モード時に白色光を生成するための半導体発光素子を発光させ、特殊光観察モード時に狭帯域光を生成するための半導体発光素子を発光させ、前記画像処理部は、前記撮像画像信号に基づいて、カラーの表示画像信号を生成し、
前記複数の半導体発光素子のうちの前記通常観察モード時に発光させる半導体発光素子の全てが故障した場合、
前記光源装置は、前記特殊光観察モード時に発光させる狭帯域光を生成するための半導体発光素子を発光させ、前記画像処理部は、前記撮像画像信号に基づいて、モノクロの表示画像信号を生成する内視鏡システムである。
また、本発明の内視鏡システムの駆動方法は、先端部に被写体に対して照明光を照射する照明窓が設けられ、該被写体からの光を受光するカラー固体撮像素子を前記先端部に搭載した電子内視鏡と、
前記照明光としての白色光と狭帯域光を生成するための複数の半導体発光素子を有する光源装置と、
前記カラー固体撮像素子からの撮像画像信号に基づいて、表示画像信号を生成する画像処理部と、
前記表示画像信号に基づく画像を表示するモニタと、
制御手段と、を備える内視鏡システムの駆動方法であって、
前記制御手段が、
前記光源装置の半導体発光素子のいずれもが故障していない場合、
前記光源装置に、通常観察モード時に白色光を生成するための半導体発光素子を発光させ、特殊光観察モード時に狭帯域光を生成するための半導体発光素子を発光させ、前記画像処理部に、前記撮像画像信号に基づいて、カラーの表示画像信号を生成させ、
前記複数の半導体発光素子のうちの前記通常観察モード時に発光させる半導体発光素子の全てが故障した場合、
前記光源装置に、前記特殊光観察モード時に発光させる狭帯域光を生成するための半導体発光素子を発光させ、前記画像処理部に、前記撮像画像信号に基づいて、モノクロの表示画像信号を生成させる内視鏡システムの駆動方法である。