発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、フリーズドライ乾燥機、あるいはフリーズドライ加工処理ラインに設けられた乾燥装置(例えば回転ドラム)においてフリーズドライ加工される粒子を加熱する加熱装置、その分離器、およびフリーズドライ乾燥機またはフリーズドライ加工処理ラインに設けられた加熱装置の壁部に関する。
[発明の背景]
凍結乾燥としても知られるフリーズドライ加工は、高品質の製品、例えば医薬品、タンパク質、酵素、微生物などの生体物質、および概していかなる感熱性および/または加水分解に敏感な物質も乾燥させる処理である。フリーズドライ加工は、氷晶を水蒸気に変える昇華により、対象製品、すなわち製品に含まれる水分の少なくとも一部を、固体から気体へと直接変化させて乾燥させる方法である。
フリーズドライ処理を医薬品の分野において用いることが可能である。例えば、薬品、製剤、医薬品有効成分(“APIs”)、ホルモン剤、ペプチド系ホルモン、炭水化物、モノクローナル抗体、血漿製品あるいは血漿製剤、ワクチンを含む免疫学的組成物、療薬、その他の注射剤、およびフリーズドライ処理を施さなければ所望の期間安定した状態を保てないであろう物質全般の乾燥に用いられる。製品を保管および出荷するため、製品をバイアルまたは容器の中で密封して無菌条件および/または製品の保存を維持する前に、水(またはその他の溶媒)を除去する必要がある。医薬品や生物学的製剤の場合、凍結乾燥された製品は例えば注射の前などに、適切な再構成媒体(例えば、医薬品級の希釈剤)の中で溶解することによって後に再構成することが可能である。
フリーズドライ乾燥機は概して、例えばマイクロメートル(μm)からミリメートル(mm)に及ぶサイズの、フリーズドライ加工された粒子を生産する処理ラインにおいて使用され得る処理装置として、理解されている。フリーズドライ加工は、任意の圧力条件下、例えば大気圧条件下、で行われてもよいが、真空条件下、すなわち当業者が熟知している規定の低圧条件下、で効果的に(例えば乾燥時間の観点から)行われてもよい。
粒子は、バイアルまたは容器に充填された後に乾燥されてもよいが、概して粒子がバルク品で、すなわちどのような充填段階よりも前に乾燥された場合に、より高い乾燥効率が得られる。バルク品のためのフリーズドライ乾燥機の取扱い方の1つには、回転ドラムを用いて粒子を受取り、フリーズドライ加工処理の少なくとも一部の期間、回転状態にすることが含まれる。回転するドラムがバルク品を混合し、それによって、粒子をバイアルまたは容器に充填した後に乾燥させる場合や、バルク品として固定されたトレイの中で乾燥させる場合と比較して、熱移動および物質移動に利用可能な有効表面積が増加する。概してバルク品のドラム式乾燥は、効率的にバッチ全体を均一な乾燥状態にし得る。
WO2009/109550A1には、アジュバントを含有するワクチン組成物を安定化させる処理方法が記載されている。該処理方法は、製剤を小粒化し凍結させるステップと、その後バルク品のフリーズドライ加工を行うステップと、乾燥した製品を最終的な容器に充填するステップとを備える。フリーズドライ乾燥機は予め冷却されたトレイを備えていてもよく、該トレイは凍結した粒子を収集し、その後フリーズドライ乾燥機の予冷された棚に載置される。フリーズドライ乾燥機が冷却されるとフリーズドライ加工チャンバに真空が引かれ、ペレットからの水の昇華を開始する。真空回転ドラムによる乾燥がトレイ式のフリーズドライ加工の代替手段として提案されている。
処理体積部における処理圧力、温度、湿度等に関する最適な処理条件を確立または保持することを目的とした様々な手段によって、気相昇華は更に促進される。最適な処理温度は、処理体積部を例えば約−40℃から−60℃に冷却することによって得られる。しかし、現在行われている処理体積部における昇華は、温度を更に低下させる傾向にあり、これは乾燥効率の低下につながる。従って、温度はフリーズドライ加工中最適な範囲に保持されなければならず、それに対応する加熱機構が必要となる。
DE 196 54 134 C2には、回転ドラム内のフリーズドライ加工製品のための装置が記載されている。該ドラムはバルク品が充填されている。フリーズドライ加工中、ドラムの中では真空状態確立され、ドラムはゆっくりと回転される。昇華によって製品から放出された蒸気が、ドラムから除去される。ドラムは加熱可能であり、具体的には、ドラムの内壁はドラムの外側のドラムとドラムのチャンバハウジングとの間の環状空間に設けられた加熱手段によって加熱可能である。該環状空間に低温媒体を導入することにより、冷却が実現される。
概して、ドラムの壁を介在する熱移動には、いくつかの不利な点がある。例えば、粒子がドラムの内面に付着(貼り付いて)してしまう傾向にあるということである。それは例えば、乾燥処理の少なくとも初期に凍結した水分の含有量が多いこと、および/または粒子間あるいは粒子とドラムとの間で静電気が相互作用することが原因である。ドラム壁に貼り付いた粒子は、内壁の温度を帯びる。その結果、加熱された壁の最大温度は、例えば加熱された壁に貼り付いた粒子が、部分的にあるいは完全に融解してしまうことによる悪影響を、製品の質が受けない程度の値に制限されてしまう。従って、処理ラインを設計する際に、製品の粘性あるいは粘着性を考慮する必要がある。このことは、概して回転ドラムの内壁面を介して熱移動させることに制限を課し、その結果、フリーズドライの過程が長くなってしまう。それは、他の加熱機構を設けることなく最適な乾燥温度を保持するのは、困難だからである。
上記の粘着性の粒子の影響を避ける試みが行われてきた。回転ドラム装置の内側に熱源を設けようする、いくつかの構造が提案されてきた。そのうちの1つの構造、US 2 388 917 AまたはDE 20 2005 021 235 U1において、赤外線放射(IR)エミッタがドラム体積の中に設けられ、該エミッタは通常は保護シールド手段などによって囲まれているか、または少なくとも部分的に覆われている。しかし、このような熱源は製品の質に悪影響を及ぼし得る。例えば、エミッタ保護シールドを設ける様々な試みが行われてきたにもかかわらず、粒子が回転しているドラムの壁から剥がれ落ち、ドラム体積を移動して偶然にも作動中の熱エミッタに接触してしまうことが起こり得る。それに加え、またはその代わりに、ドラムから除去された昇華蒸気が、ドラム内の処理体積部から粒子を運んで行ってしまうこともあり得る。これらの粒子が多数飛ぶと、粒子は同様に作動中の熱エミッタに接触するのに十分な近さまで移動する、または実際に作動中の熱エミッタに接触してしまう。このことによって、ほんの一部の製品が部分的にまたは完全に融解してしまう。更にその結果、融解した粒子は互いに貼り付いてしまう(凝集)。また更にその結果、融解した粒子はドラムの壁部および/またはエミッタの表面等に貼り付いてしまう。その結果、製品の質に悪影響を及ぼし、エミッタの作動に問題が生じ、および/またはその後の洗浄および/または滅菌処理に問題が生じ得る。更に、通常ドラム内およびエミッタ装置で用いられる異なる構成材料が有する固有の熱膨張率が異なる係数であることによって、構成要素間に空隙が生じる。これは、標準的な赤外線エミッタがドラムの内部の真空処理条件下において用いられる時に、特に問題となる。また、赤外線の熱源は、複数の材料が混在し、フランジやガラス管等の構成要素の間にガスケットを使用するため、洗浄または滅菌が特に困難である。
[発明の概要]
上記の観点において、本発明に内在する1つの目的は、回転ドラム式フリーズドライ乾燥機のための改良された加熱装置を提供することであり、具体的には、効率的な洗浄および/または滅菌を行うことが可能で、例えば効果的な定置洗浄(「CiP」)および/または定置滅菌(「SiP」)の概念の実現が可能で、また加熱装置のいかなる種類の漏れも防ぐ、回転ドラム式フリーズドライ乾燥機のための加熱装置が提供される。それによって、フリーズドライ加工中に最適な処理温度を、従来の方法よりも効果的に確立および/または維持することが可能になる。また、本発明による加熱装置を用いることによって、従来の方法よりも大きなエネルギーがフリーズドライ加工中に投入可能になり、乾燥時間が現在得られるものよりも短くなっている。従って、部分的または完全に融解(溶融)した製品を発生させることなく、高い製品の質が確保可能になり、回転ドラム式フリーズドライ加工の適用性を向上させることが可能になる。
本発明の1つの局面によると、本発明の目的は、フリーズドライ乾燥機の回転ドラムにおいてフリーズドライ加工される粒子を加熱する加熱装置によって達成される。本発明による加熱装置は、該粒子に放射熱を当てる少なくとも1つの放射エミッタと、該少なくとも1つのエミッタから該粒子を分離する管状の分離器とを備え、該分離器は、一端において完全に(一体的に)閉じられ、該少なくとも1つのエミッタを取囲むエミッタ体積部を、該ドラムの中のドラム処理体積部から分離する。ここでは、該加熱装置は、該分離器の前記完全に(一体的に)閉じた端部がドラムの中において自由端として配置されるように、該ドラム処理体積部の中へと突出するように構成されている。
該粒子は顆粒またはペレットを含んでいてもよく、「ペレット」という語は主に回転楕円形状または円形状の粒子のことを指し、「顆粒」という語は主に不規則に形成された粒子のことを指してもよい。特定の実施形態において、フリーズドライ加工される粒子は、マイクロペレットまたは微粒剤のような微粒子、すなわちマイクロメートルの範囲のサイズを有する粒子を含んでいてもよい。ある特定の例によると、フリーズドライ加工される粒子は、本質的に円形状のマイクロペレットで、直径の平均値が約200〜800μm、好ましくは1500μmまでの範囲から選択され、例えば選択された値から約±50μmの狭い粒子サイズ分布を有する粒子を含んでいる。
ここで広く使われている「バルク品」という語は、互いに接触する粒子の体系または集合体を指し、すなわち該体系は多数の粒子、微粒子、ペレットおよび/またはマイクロペレットを含んでいる。例えば、「バルク品」という語は、製品の流れの一部、例えばフリーズドライ乾燥機でフリーズドライ加工されるバッチを構成する、ばらの状態のペレットの量を指していてもよい。バルク品は、フリーズドライ乾燥機の中で粒子/ペレットを運搬または搬送するためのバイアル、容器、またはその他の受容体に充填されていないという意味から、ばらの状態にある。同様の定義が名詞または形容詞の「バルク」を使用する際にも当てはまる。その結果として、ここで呼ばれるバルク品とは、通常、1人の患者への単回投与の量を超える粒子の量を指す。ある実施例によると、生産工程には、1つまたは複数の中間バルクコンテナ(「IBCs」)を満たすのに十分なバルク品を製造することが含まれていてもよい。
概して、フリーズドライ乾燥機は、処理体積部(処理容積)を提供する処理装置であり、該処理体積部の中では、圧力、温度、湿度(すなわち蒸気、多くの場合は水蒸気、より一般的にはいかなる昇華溶剤の蒸気の量)等の処理条件を制御し、規定の時間、例えば加工ラインにおける生産工程の間、フリーズドライ加工処理のための所望の値を獲得することが可能である装置として理解されている。「処理条件」という語は、(好ましくは製品に近い/製品に接触した)処理体積部中の温度、圧力、湿度、ドラムの回転等を指すことを意図しており、処理制御には、処理体積部の内部におけるこのような処理条件を、所望の処理計画、例えば時系列に沿った所望の温度の概要および/または圧力の概要、に従って制御あるいは進行することが含まれていてもよい。「閉鎖条件」とは、滅菌条件および/または封じ込め条件を含むと理解されるべきであり、これらの条件もまた処理制御の影響下にあるが、ここでは上述されたその他処理条件とは別に、折に触れて明確に説明する。
フリーズドライ乾燥機は、閉鎖条件下、すなわち滅菌および/または封じ込め条件下、での動作をもたらすよう構成されていてもよい。「滅菌」(「滅菌条件」)および「封じ込め」(「封じ込め条件」)という語は、個別のケースに適用され得る規制要件の要件どおりに理解されるべきである。例えば「滅菌」および/また「封じ込め」は、適正製造基準(「GMP」)の要件の定義どおりに理解されてもよい。概して滅菌条件下の製造とは、周囲環境からの汚染(具体的には微生物汚染が全く存在しないことが好ましい)が製品に及ばないということであってもよい。封じ込め条件下での製造とは、製品、その要素、添加材等のいずれも、処理体積部を離れて周囲環境に達することができないということである。
本発明による加熱装置の実施形態と共に用いられる回転ドラムは、バルク品のフリーズドライ加工に適した、いかなる構造または形状であってもよい。1つの例として、ただしこれに限定されないが、回転ドラムは粒子を運搬する要部を備え、該要部は終端部分、例えば前方プレートおよび後方プレートまたはフランジ、によって両端が終結されている。該要部は、例えば形状が円筒形であってもよいが、1つのあるいは複数のコーンの形状を有していてもよい。回転ドラムの実施形態は、回転軸を基準として軸方向に対称的および/または対称であってもよいが、純粋な対称からのずれが考慮されてもよい。また、例えば波形および/または波状のドラムの断面を備えていてもよい。回転ドラムの特定の実施形態は、昇華蒸気の除去や、圧力及び温度といった処理条件を、処理体積の内部と外部とで交換するために、前方および/または後方プレートに開口部を備えていてもよい。
ドラムの内部で行われるバルク品のフリーズドライ加工を支援するフリーズドライ乾燥機の実施形態は、1)ドラムを収容するハウジングチャンバ、2)ドラムの回転を支持する支持具、例えば駆動部を含む、および/または3)少なくともドラムの内部で処理条件を確立するための器具、例えば冷却および加熱機器、を備えていてもよい。加熱機器は、ここに記載されているようなおよび/または一般的に知られているような、1つまたは複数の加熱装置の実施形態を含む。
いくつかの実施形態において、回転ドラムは、フリーズドライ乾燥機の真空チャンバとして実現された、ハウジングチャンバの中で用いられるよう構成されていてもよい。該真空チャンバは、密閉による閉鎖、すなわち密閉によって閉じ込められた処理体積部を周囲環境から分離あるいは隔離し、それによって処理体積部を画定する、隔壁を備えていてもよい。ドラムは、もっぱら処理体積部内に配置されていてもよい。
様々な実施形態によると、ドラムは概して開いた状態で、すなわちドラム内部の処理体積部の一部がドラム外部の処理体積部の一部と、開放状態で連通していてもよい。圧力、温度および/または湿度などの処理条件は、内部処理体積部と外部処理体積部とで等しくなる傾向にある。従ってドラムは、例えば(超過)圧力容器として知られるような、特定の構造または形状に限定される必要はない。例えば前方プレートおよび/または後方プレートは、概してコーン型またはドーム型の形状、例えば凹型のドームまたはコーンのように形成されていてもよく、または特定の用途に適したその他のいかなる形状であってもよい。
様々な実施形態によると、例えば前方プレートは粒子を供給するための、および任意で排出するための、供給口を備えている。それに加えて、またはそれに代わって、後方プレートが供給および/または排出にかかわっていてもよい。ある例において、供給または搬入は、前方プレートに設けられた1つまたは複数の開口部を介して行われてもよく、排出または搬出は後方プレートに設けられた1つまたは複数の開口部を介して行われてもよい。
様々な実施形態によると、放射エミッタは、一重管、二重管等の管に保護された1つまたは複数の放射スパイラルまたは螺旋コイル(加熱コイル、加熱スパイラル)を備えている。該エミッタは、赤外領域内の放射線を発するよう構成されていてもよい。例えば発せられる放射線の波長は、マイクロメートルの範囲の最大波長、例えば約0.5μm〜3.0μmの範囲、好ましくは約0.7μm〜2.7μmの範囲、より好ましくは約1.0μm〜2.0μmの範囲から選択された、波長を有していてもよい。エミッタの管は、例えば管に区域的または部分的にもちいられた金メッキなどの反射手段を用いて、部分的に覆われていてもよい。このような反射手段は、発せられた放射線を最初に特定の角度の範囲に向けるよう構成されてもよい。例えばエミッタは製品に向けて放射線を好適に発するよう配置されてもよく、こうすることによって、より少ないエネルギーを、ドラムの内部面の製品によって覆われていない部分に放射することが可能である。
放射エミッタは、例えばフリーズドライ乾燥機の動作を制御する、外部の処理制御回路によって制御可能である。例えば、処理を進行させる処理制御回路は、ここで説明される加熱装置の1つまたは複数の実施形態を含む、1つまたは複数の加熱手段を制御するよう構成されていてもよい。処理制御は、具体的には、処理体積部の内部の温度および/または製品の温度等の、検出した処理条件に反応して、放射エミッタの電力供給を継続的に制御し、処理体積部の内部の温度/粒子の温度を最適化することを含んでいてもよい。エミッタは、要求に応じて作動可能である。それは例えば、処理体積内部および/または製品の温度が閾値よりも低下したしたことが検出された場合、および/または処理体積内部の圧力が閾値より上昇したことが検出された場合などである。このことにより、エミッタは、例えば不規則な間隔で、作動されることになるかもしれない。可変(調整可能な)放射をするよう構成された放射エミッタの実施形態は、フリーズドライ加工処理の一部において、放射強度を変化させながら継続的に作動することが可能である。
ある例によると、調節可能なエミッタは、フリーズドライ加工処理が開始されるとすぐに低強度に切替えられる。その後強度(電力)は進行中の昇華に反応して上昇し、安定状態または最大値に達し、乾燥処理が終了するまでより長い時間継続される。フリーズドライ乾燥機およびエミッタの構造次第では、最大放射電力はエミッタの最大電力によってもたらされ得る(すなわち、乾燥時間は、エミッタによって供給される加熱エネルギーによって制限される)か、その他の処理パラメータ、例えば処理体積部から昇華蒸気を取除く性能、によって決定することが可能である。
様々な実施形態によると、加熱装置は、1つまたは複数の放射エミッタを備えており、該1つまたは複数のエミッタのうち少なくとも1つは、単一の作動モジュール(「電源オン」)を有するか、またはその放射強度は、約100ワット(W)、または300W、または500W、または1,000W、または1,500W、または3,000W、またはそれ以上の最大電力の範囲で、継続的に調節可能であってもよい。ある特定の実施形態によると、加熱装置は、最大電力1,500ワット(W)の1つのエミッタを備える。当該加熱装置を凍結乾燥中の唯一の熱源とするフリーズドライ乾燥機は、1バッチ分のバルク製品に6時間の乾燥時間を要してもよい。他の実施形態において、より長いまたは短い乾燥時間も具体的に検討されている。通常、エミッタは、凍結乾燥の開始約5分後に処理制御回路によって150Wの小さい放射強度で作動される。その後、放射強度は処理開始約1時間後、最大電力約1,500Wに達するまで継続的に上昇する。エミッタは最大電力(および/または断続的な電力)で、残りの(5)時間、処理の終了まで放射を継続することが可能である。
本発明による加熱装置の様々な実施形態によると、前記分離器は、前記エミッタの放射がドラム処理体積部に入射するよう、少なくとも部分的に透過性を有していてもよい。例えば分離器は透過性の材料、例えばガラス、石英ガラス、シリカガラス、ガラスセラミックス等、を備えていてもよい。他の透過性の材料を用いることも可能であるが、ガラスが好ましい。それは、例えばガラスは加熱装置の機械的安定性に貢献可能であるということ、および/またはガラスは放射エミッタの作動に伴って発生する高温に耐性を示し得るからである。それに加えて、またはその代わりに、ガラスまたはガラスタイプの材料は、例えばメッシュ状または布状の材料よりも、洗浄および/または滅菌に関して、効果をもたらすからである。
本発明の特定の実施例によると、分離器はエミッタ体積部をドラム内部の処理体積部から分離する。ここで「分離する」とは、エミッタ体積部をドラム処理体積部からまたはドラム体積の外に隔離、除外、分別することとして理解される。ある特定の実施例によると、分離器は管を備え、該管はエミッタを受取りまたは受入れて、該管によって形成されたエミッタ体積部をドラム内部の処理体積部から隔離、除外、分別する。
本発明の様々な実施形態によると、エミッタ体積部は、例えば1つまたは複数の長尺状の形状、例えば管状、をしたエミッタを受入れるのに必要とされるとおり、長尺状の形状であってもよい。長尺状のエミッタ体積部は少なくとも一端が閉じられていてもよい。例えば分離器は、ドラムの前方プレートまたは後方プレートからドラム処理体積部へと突出している管を備えていてもよい。このような管はドラムの内部、すなわちドラム処理体積部に対して完全に閉じられていてもよいが、ドラムの外部に対しては開いていても開いていなくてもよい。本発明の様々な実施形態が検討されており、その実施形態において、エミッタ体積部はドラム処理体積部に対して閉じているが、ドラムの外部に向かって開いている。例えば、例として管状の分離器によって形成された長尺状のエミッタ体積部は、前方プレートおよび後方プレートの両方、またはドラムのフランジに接続可能であり、そこを介してエミッタ体積部の両側がドラムの外部に対して開いていてもよい。
その他の実施形態によると、エミッタ体積部はドラムの内部および/またはドラムの外部に対して閉じられていてもよい。特定の実施形態によると、エミッタ体積部は、密閉によってドラム処理体積部から分離されていてもよく、粒子、その他の固体、液体または気体物質のいずれも、エミッタ体積部からドラム処理体積部に、および/またはドラム処理体積部からエミッタ体積部に入ることがない。なお、エミッタ体積部およびドラム処理体積部を互いから「分離する」ことは、必ずしも「密閉して分離する」ということを意味しているわけではない。例えばエミッタ体積部は、メッシュ、布などの構造によって、処理体積部から分離されていてもよく、この構造は粒子を確実にエミッタから分離させるが、その他の物質を流通させてもよい。
しかし、織物構造のようなメッシュまたは布状の構造は、たとえエミッタの高温に耐えられたとしても、分離器および/または放射エミッタの洗浄に支障をきたすということに注意すべきである。洗浄媒体、汚染物質、蒸気滅菌凝縮物等はメッシュ/布の孔を確実に通過(一方または両方向)する必要があるが、それはこれらの孔が(マイクロメートルサイズの)粒子をドラム処理体積中に留めるのに十分小さい孔でなければならないため、困難であり得る。
単純に閉じられた分離器の構成要素の実施形態、すなわち、メッシュ状構造または生地を用いない、例えばガラス製の構成要素は、粒子だけでなく、その他の固体、液体および/または気体の物質、例えば洗浄媒体、滅菌媒体等を、エミッタから分離または除外することが可能である。エミッタ体積部が密閉によってドラム処理体積部から分離されている場合は、閉鎖状態(滅菌条件および/または封じ込め条件)をドラム処理体積部の中において確立および保持することが可能であり、エミッタ体積部をこのような条件から完全に切り離すことが可能であるということ更に意味している。例えば、ドラム処理体積部においては、フリーズドライ加工中に真空条件が、および/または洗浄/滅菌中には超過圧力条件が適用可能であり、エミッタ体積部においては大気条件が適用可能である。従って特定の実施形態によると、密閉による分離は、処理体積部中の滅菌状態の維持に貢献すること可能であり、処理体積部はドラム処理体積部を含み、更に複数の処理体積部分をドラムの外部に含むことが可能である。
密閉による分離は、ドラム処理体積部における真空条件および超過圧力条件の少なくとも一方を確立するために行われ得る。特にこの点において、分離器はそれに対応して十分な機械的安定性を備えるよう構成される必要がある。このことは例えば管、パネル、薄片または同様の透過性の区域などの、分離器の構成要素の壁厚、および/または構成材料の選択にかかわることかもしれない。エミッタ体積部が「閉じている」と言われる場合、これは、分離器がエミッタをあらゆる方向から取囲んでいるということを意味する。エミッタ体積部が密閉による分離によって(ドラム)処理体積部から完全に切り離されている場合は、エミッタ体積部および処理体積部は、圧力条件だけでなく、温度条件も(および湿度条件等も)独立して制御することが可能である。例えばエミッタ体積部の独立した制御には、エミッタ体積部における空気を冷却し、エミッタの作動によって発生する熱が処理体積部に運ばれるのを最小限に抑えることが含まれる。
加熱装置はドラムに接続されていてもよく、例えば前方プレートおよび後方プレートの一方あるいは両方、あるはドラムのフランジに、例えば同心状に、好ましくは製品に対して同一の距離で取付けられていてもよく、および/または複数の加熱装置/分離器は、対称軸/ドラムの回転軸の周囲に対称的に取付けられていてもよい。その他の実施形態によると、加熱装置はドラムから独立して支持されており、例えばドラム処理体積部中において加熱装置を固定のまたは可変の位置に支持するための支持具が設けられている。該支持具にはドラムの回転支持に関連して設けられた支持具が含まれていてもよく、加熱装置はドラム処理体積部の中に回転可能に保持されるよう構成されている。ある実施形態によると、支持具は、例えばドラムを収容するハウジングチャンバに取付けられている。加熱装置の位置が可変であることによって、加熱装置を選択的な位置に配置し、製品に照射することが可能になる。これには、ドラムの回転方向、回転速度、製品の充填の度合等によって、加熱装置は位置を変える必要があるということが含まれていてもよい。
本発明の様々な実施形態によると、分離器は管、具体的にはガラス管を備えている。ガラス、例えば石英ガラス、シリカガラスなどは、高い透過性を有する、すなわち、処理体積部へのエミッタの放射に対して高い透過率を有するということであり、それは約80%より高い、好ましくは約90%より高い、特に好ましくは約95%より高い透過率であり得る。同時に、ガラスは加熱装置の機械的安定性に貢献することが可能であり、更なる構造的構成要素、例えば管の支持構造、取付具、担持体またはソケットを、省略および/または削減することが可能である。
加熱装置の材料は、少なくとも処理体積部に対向する部分(例えば分離器またはその構成要素)の材料に関しては、処理体積部内で行われる様々な処理計画に対して耐えられる必要があるということに注意すべきである。例えば、加熱装置がドラムの中に恒久的に配置されている場合、例えば分離器の材料は、例えばフリーズドライ加工中の−60℃から、蒸気滅菌中の+125℃までの範囲の温度に耐える必要がある。ガラスまたはガラスタイプの材料はこの点において好ましく、例えば小さな、またはより適切に言えば、ほぼ0に近いくらいの熱膨張率を有するガラスタイプの材料が、約200ケルビン程度の温度差に耐える分離器の構成要素として利用可能である。
圧力関連の要件に関して、加熱装置の構成要素、例えば密閉によって閉じられたエミッタ体積部を形成している分離器、はフリーズドライ加工中の処理体積部側の真空条件に耐えられる必要があり、真空条件とは約10ミリバール(mbar)、または1mbar、または500マイクロバール(μbar)、または1μbarの低い圧力を意味していてもよい。また、例えば蒸気滅菌中の超過圧力にも耐えられる必要があり、超過圧力とは約2bar、3bar、または5barという高い圧力を意味していてもよい。蒸気を用いた滅菌の代わりに過酸化水素を用いた滅菌が行われる場合には、超過圧力は必要ない。
特定の実施形態によると、管は完全に1つの材料、例えばガラス、で作製されていてもよく、それによってエミッタ体積部および処理体積部を互いから密閉するための密閉要件が最小限に抑えられる。他の実施形態において、管または分離器の他の構成要素は、複数の材料から作製されていてもよい。例えば、金属管がガラス材料で作製された1つまたは複数の窓を備えていてもよい。その際、異なる材料が接触する場所において、適切な密閉材料を用いた密閉を行い、例えばドラム処理体積部の閉鎖条件を維持することが必要となるかもしれない。
様々な実施形態によると、分離器の管の1つまたは複数の区域は、円形状または楕円形状の断面または形状を有していてもよい。他の実施形態および/または区域は別の形状を有していてもよく、例えば三角形、四角形、矩形等の形状であってもよい。それに加えて、またはその代わりに、該形状は区分的に湾曲した外周を備えていてもよい。しかし、(わずかに)楕円形状または円形状の管の形状が、管の最適な安定性を提供しているという点に注意すべきである。円形状の外周と実質的に異なった形状は、同様の安定性を得るために壁厚を大きくする必要があるかもしれない。ガラス管の場合には、壁厚を大きくすることは管の伝搬性(透過性)に悪影響を及ぼし、加熱装置の全体の重さを増加させるかもしれない。
管の断面は、壁厚における内周の変化を示していてもよい。ある実施例によると、ガラス管は管の上部でより大きな厚みを、管の下部でより小さな厚みを有している。この実施例は、機械的な安定性を提供すると同時に、処理体積部の中へと下向きに発せられる放射に、すなわち製品への入射に、最適な伝搬性を提供してもよい。
他の実施形態において、加熱装置は更に、少なくとも加熱装置の一部または加熱装置の構成要素を冷却する、具体的には加熱装置のドラム処理体積部に対向している面を冷却する、冷却機構を備えている。例えば冷却機構は、エミッタの作動中、ドラムに対向している管の表面が、例えばフリーズドライ加工される粒子の溶融点より低い温度で維持されるよう、またはドラム内の製品の現在温度の平均温度に維持されるよう、または、フリーズドライ加工処理に最適な温度に維持されるよう、加熱装置のガラス管を冷却するという目的を有していてもよい。特定の実施形態によると、加熱装置のドラム処理体積部に対向する面の温度は、冷却機構に基づいて+30℃、または+10℃、または−10℃、または−40℃、または−60℃となるように、制御されている。処理体積部に対向している面は、製品に関する要件(構成、溶融温度等)どおりの温度まで冷却されてもよい。
冷却機構は、冷却媒体を通気搬送するための冷却体積を含んでいてもよい。冷却体積は、加熱装置の管状またはパイプ状の部分、より具体的には分離器、を含んでいてもよい。例えば冷却体積は、エミッタ体積部を貫いて延出する1つまたは複数の冷却パイプを含むことも可能である。ある実施形態において、第1のパイプは冷却媒体を順方向に搬送するために設けられており、第2パイプは冷却媒体を逆方向に搬送するために設けられている。それに加えて、またその代わりに、U字型のパイプを冷却目的でエミッタ体積部の中に配設することも可能である。
特定の実施形態において、冷却体積部はエミッタ体積部を含むことが可能である。例えば、分離器がエミッタを受入れるまたは取囲むための管を備えている場合、該管の内部は、同時にエミッタの作動熱を除去するために用いられてもよく、それによってエミッタおよび管を冷却してもよい。
様々な実施形態によると、分離器は、エミッタ体積部に加えて、エミッタ体積部およびドラム処理体積部を互いから隔離する隔離体積を含むことも可能である。様々な実施形態によると、隔離体積は受動的な隔離状態をもたらすことが可能である。特定の実施形態において、受動的な隔離体積は、必要とされる隔離特性をもたらすため真空状態になっている、閉鎖体積を含んでいる。他の実施形態によると、隔離体積は能動的な隔離をもたらすことが可能である。この点に関する実施例は、エミッタが存在しない体積を含み、冷却媒体を用いた能動的な冷却にさらされる。すなわち能動的な隔離体積は、エミッタを含まない冷却体積であると考えることができる。
様々な実施形態によると、加熱装置は、エミッタによって発せられる熱を方向づける偏向手段を、分離器の内部に備えている。偏向手段は、例えば耐熱特性を有する屋根状構造の形で設けることが可能であり、それによって、エミッタによって発せられる熱を、好ましくはフリーズドライ加工される材料に向かう方向に反射させる。ここでは、偏向手段は1つのエミッタまたは複数のエミッタを少なくとも部分的に覆っている。例えば、2つのエミッタを分離器の内部に、最良の状態においては隣接する配置で設け、それによって、より統合された熱発生源を提供することが可能である。好ましくは、該2つのエミッタはミラー反転の配置で、すなわち各エミッタが他方のエミッタの鏡像となる配置で設けられている。2つのエミッタがこのように配置されている場合に熱を十分に偏向するには、屋根状の偏向手段の各側面が、対向するエミッタに対して平行に配置されていることが好ましく、それによって偏向手段の2つの側面と2つのエミッタとが実質的に矩形状に配置される。
特定の実施形態によると、分離器は、2つ(あるいはそれ以上の)支管を含む管を備えており、該支管は、少なくともその断面が該管の長さに沿って平行に延出している。ある特定の実施形態において、管は、内部細分壁によってその長さに沿って上方小体積、または上方副管、と下方小体積、または上方副管、とに分離されており、エミッタを例えば下方小体積の中に受入れ可能である。冷却媒体は、例えば順方向に下方小体積へと、逆方向に上方小体積へと搬送可能である(すなわち両方の体積は「冷却体積」である)。別の実施形態または異なる動作モードにおいて、冷却媒体は下方小体積のみを介して搬送され、冷却媒体は上方小体積には流通せず、他の能動的な冷却機構も上方小体積には用いられない。上方小体積はより良い隔離能力を得るため、大気圧であっても、真空(負圧)であっても、または低い圧力条件であってもよい(すなわち下方小体積は「冷却体積」として機能し、上方小体積は「隔離体積」として機能する)。
更に他の実施形態において、内管は、少なくとも部分的に、外管によって取り囲まれていてもよい。例えば、エミッタ体積部は内管によって画定されていてもよく、すなわち放射エミッタは内管に受取られており、隔離体積部は内管と外管との間の空隙として画定されている。例えば、隔離体積部は、内管および外管が同心円状である場合、環状スペースを備えていてもよい。隔離体積部は、ドラムの処理体積部を放射エミッタの高い作動温度から隔離するため、抜気されていてもよい。ある実施形態において、冷却媒体は隔離体積を通って搬送される。
実施形態の組合せが検討されている。例えば隔離体積として機能する内管と外管との間の環状スペースは、上部と下部とに細分化することが可能であり、例えば、冷却媒体を、下部を介して順方向に、上部を介して逆方向に搬送可能である。他の実施形態によると、管、例えばガラス管、は、複数の(キャピラリー)管を有していてもよく、該キャピラリー管は管壁に埋め込まれており、冷却媒体は、1つまたは複数のキャピラリー管に沿って順方向および/または逆方向に搬送され、管の処理体積部に対向する面を冷却する。ガラス管内部のエミッタ体積部は、付加的な冷却機構にさらされていてもいなくてもよい。特定の実施形態において、該付加的な冷却機構は、冷却要件に対応した検出に反応して、好ましくは自動的に、スイッチのオン・オフが切替えられてもよい。
様々な実施形態によると、冷却媒体は空気、窒素および/または概していかなる媒体を含んでいてもよく、作動中のエミッタが高温になる可能性があるという点から、これらは不燃性であることが好ましい。冷却媒体がエミッタに直接接触していない場合、例えば冷却媒体がエミッタ体積部と明確に分かれている冷却体積の一部を介して搬送される場合、冷却媒体が不燃性であることの要件は緩やかであってもよい。それに加えて、またその代わりに、液体の冷却媒体を考慮してもよく、液体の冷却媒体は、例えば冷却体積によってまたは冷却体積に関連して形成された、キャピラリー管を介して搬送されてもよい。
本発明の様々な実施形態によると、加熱装置は更に、エミッタ体積部を少なくとも部分的にその上部において被覆する、1つまたは複数の被覆手段を備えていてもよい。該被覆手段は、処理体積部を実質的に上方(頂部)から下方(底部)へと移動する粒子を偏向させるように機能してもよく、このようにすることによって、落下する粒子が分離器の近辺に向かったり、分離器、例えば分離器のガラス管、に接触したりするのを防いでもよい。特定の実施形態によると、被覆手段は、例えば単一勾配を有する屋根、二重の勾配を有する屋根、またはアーチ状の屋根のうち、少なくとも1つを備えていてもよい。被覆手段は、加熱装置の他の部分、具体的には分離器、から離れて配置されていても、または分離器と直接接触していてもよい。
様々な実施形態によると、加熱装置は、被覆手段を冷却する、例えば具体的には粒子と接触しやすい屋根の上面を冷却する、冷却機構を備えていてもよい。例えばキャピラリー管または配管システムが、被覆手段の屋根状の構造の中に設けられていてもよく、(エミッタ下の作動熱を除去するため)そこを通って冷却媒体を搬送してもよい。
特定の実施形態において、加熱装置は、例えばフリーズドライ加工中や洗浄中等に処理体積部を感知する、少なくとも1つの感知手段を備えている。該感知手段は、1つまたは複数の温度センサ、圧力センサ、湿度センサ等を備えていてもよい。非接触型センサが設けられていてもよい。また、感知手段は、ドラム内部および/または製品のビデオ/視覚的印象を獲得する、1つまたは複数のカメラを備えていてもよい。例えば光学的放射、赤外線および/または紫外線放射および/またはレーザ放射で作動する能動的および/または受動的センサは、分離器がエミッタの放射を透過する限り、エミッタ体積部の中に配置されていてもよい。
様々な実施の形態によると、加熱装置は、ドラム内部の洗浄/滅菌を行うための洗浄/滅菌機器を備えている。洗浄/滅菌機器は、例えばノズルのような、洗浄/滅菌媒体アクセスポイントを備えていてもよい。該アクセスポイントは、滅菌用の蒸気(蒸気滅菌)および/または(好ましくは気体の)過酸化水素を供給するために設けられていてもよい。該アクセスポイントは加熱装置自体、例えば分離器のドラム処理体積部に対向する面、を洗浄/滅菌するために設けられていてもよく、および/またはドラム内部(表面)を洗浄/滅菌するために設けられていてもよい。感知手段および/または洗浄/滅菌機器は、少なくとも部分的に加熱装置に関連して、例えば加熱装置の被覆手段に設けられてもよい。
いくつかの実施形態によると、加熱装置はCiPおよび/またはSiPに適応することが可能である。例えば、加熱装置のドラム処理体積部に対向している面は、それに対応して構成することが可能である。これにはエッジ、裂け目、角度がついた構造、および一般的に洗浄/滅菌媒体が届きにくい構造を最小限にすること、および/または洗浄媒体の、または例えば蒸気滅菌によって生じた復水の、排水または流出の妨げになる構造を最小限に抑えることが含まれていてもよい。
特定の実施形態によると、被覆手段は容易な洗浄/滅菌を行えるように構成されていることが好ましく、それには粒子が被覆手段に付着または集まる構造、またはさもなければ被覆手段によって捕えられてしまうであろう構造を避けることも含まれていてもよく、および/または洗浄および/または滅菌媒体が届きにくい構造を避けることも含まれていてもよい。概して被覆手段は、洗浄/滅菌媒体によって容易に洗浄可能であることが好ましいであろう。例えば、洗浄/滅菌媒体アクセスポイントの数および位置によっては、単一勾配を有する屋根の方が二重の勾配を有する屋根よりも好ましいであろう。
本発明の別の局面によると、上述の目的の1つまたは複数は、フリーズドライ乾燥機の回転ドラムにおいてフリーズドライ加工される粒子を、放射熱を粒子に当てる少なくとも1つの放射エミッタから分離するための分離器によって達成される。該分離器は一端において完全に(一体的に)閉じられ、エミッタを取囲むエミッタ体積部を形成する。該分離器は、エミッタ体積部をドラムの中のドラム処理体積部から分離するよう構成されており、該分離器は、該ドラムの中に配置されている該分離器の前記完全に(一体的に)閉じた端部が自由端となるように、該ドラム処理体積部の中に突出するよう構成されている。
様々な実施形態によると、分離器は円形状の断面を有するガラス管を備えている。特定の実施形態によると、ガラス管の各端部はフランジによって閉じられていてもよい。該フランジは管に取付けられ、ドラム処理体積部と管の中のエミッタ体積部とを互いに対して密閉していてもよい。いくつかの実施例において、フランジは、ガラス管およびフランジの一方または両方に設けられた巻線またはネジ山によって、管に接続されていてもよい。それに加えて、またはその代わりに、接続はフランジを管に接着することによって達成されてもよい。フランジを管に固定するその他の手段を除外しない、特定の実施形態によると、分離器は1つまたは複数の棒を管の中に備え、両方のフランジを管の端部に載置している。
様々な実施形態によると、分離器は少なくとも1つの棒を備える。該棒は、例えば平坦な金属(例えば鋼、ステンレススチール、アルミニウム等)の棒で、管の中に延出し、エミッタを支持している。エミッタと支持棒とを熱的に切り離す1つまたは複数の手段が設けられていてもよい。少なくともフランジの1つは、管の中を搬送される冷却媒体の入口および/または出口を備えていてもよい。エミッタに電力を供給するために、電力供給機器が設けられる。具体的には、フランジの少なくとも1つは、電力がエミッタ体積部へと供給されるように構成されていてもよい。
本発明の更なる局面によると、上述の目的の1つまたは複数は、フリーズドライ加工された粒子のバルク品を製造するための、フリーズドライ乾燥機の壁部によって達成される。特定の実施形態において、フリーズドライ乾燥機は回転ドラム式のフリーズドライ乾燥機である。該壁部は、例えばフリーズドライ乾燥機のハウジングチャンバの前方フランジまたは前方プレートを備え、回転ドラムを収容する。該ハウジングチャンバは、例えば真空チャンバであってもよく、ドラムが真空チャンバに対して開放されていてもよい。特定の実施形態において、該壁部は加熱装置を支持し、フリーズドライ加工される粒子をフリーズドライ乾燥機の回転ドラムにおいて加熱してもよく、該加熱装置は、ここに記載されるいずれの実施形態であってもよい。
本発明の別の局面によると、上記の目的の少なくとも1つは、ここに記載されるいずれかの実施形態による壁部を備える、フリーズドライ乾燥機によって達成される。該フリーズドライ乾燥機は回転ドラムを備えていてもよく、該回転ドラムの内壁は、フリーズドライ加工される粒子を加熱するよう構成されている。これらの実施形態によると、少なくとも2つの加熱機構がフリーズドライ加工中に提供されている。すなわち、それはここに記載される壁部によって支持されている加熱装置および/または回転ドラムの内壁面を介した加熱である。この点において、ドラムの少なくとも一部は、二重壁を備えていてもよい。
フリーズドライ乾燥機の実施形態では、付加的または代替的な手段を使用して、凍結乾燥処理中に粒子を加熱することが検討されている。特定の実施形態によると、放射による加熱および/または壁の加熱に加えて、またはその代わりのオプションとして、マイクロ波による加熱を使用することが可能である。マイクロ波を発生する1つまたは複数のマグネトロンを設けてもよく、該マイクロトロンは導波管、例えば1つまたは複数の金属管、によってドラム内部に連結されていることが好ましい。ある特定の実施形態によると、マグネトロンは、回転ドラムを収容するよう構成されたフリーズドライ乾燥機のハウジングチャンバに関連して設けられている(該ハウジングチャンバは、例えば真空チャンバであってもよい)。1つの導波管が設けられ、マイクロ波をドラムへと案内してもよい。
導波管は、例えば約10cm〜15cmの範囲の直径を有する、固定された金属管を備えていてもよい。好ましくは、該導波管はドラムの前方プレート(または後方プレート)に設けられた開口部、例えば充填/供給開口部、を介してドラムに挿入されている。導波管は、ドラムとの係合を伴う真空チャンバ、または、ドラムとの係合を伴わない真空チャンバ内に、あるいは、ドラムとの係合を伴うハウジングチャンバ、または、ドラムとの係合を伴わないハウジングチャンバ内に、配置されてもよいし、配置可能であってもよい。
本発明の様々な実施形態によると、フリーズドライ乾燥機は、複数の加熱機構を提供するように構成可能であり、そして例えば少なくとも以下の2つの加熱機構を備えていてもよい。それは、1)ここで説明された1つまたは複数の放射エミッタを備える加熱装置、2)ドラムおよび/またはドラムのハウジングチャンバの、1つまたは複数の加熱可能な内壁、および3)1つまたは複数の上述のマイクロ波加熱装置である。複数の加熱機構の1つまたは複数が、具体的な所望の処理計画に従って、処理ごとに必要に応じて使用されてもよい。
[本発明の利点]
本発明の様々な実施形態よって、ここでこれから説明される利点の1つまたは複数が提供される。例えば本発明の実施形態によると、フリーズドライ乾燥機の回転ドラムの中でフリーズドライ加工される粒子を加熱する、加熱装置が設けられ、該加熱装置は、粒子に放射熱を当てる放射エミッタを備える。該加熱装置によって粒子へのエネルギーの伝達が、ドラムの内面を加熱する従来の方法よりも、効率的に行われる(それでもなお、従来の機構は付加的に使用可能であり、または特定の処理計画のための別の加熱オプションとして利用可能である)。
具体的には、従来の技術に従ってドラムの内壁を加熱した場合、壁から粒子へのエネルギー伝達は、粒子の粘着性によって制限されてしまう。粘着性の粒子が壁の温度に達する可能性があるため、壁の最大温度は、例えば融解を避けて、粒子の最大許容温度に制限される。この方法において得られるエネルギー伝達は、多くの処理計画に望ましいエネルギー伝達よりも低く(すなわち、より高いエネルギー伝達が望ましい)、このようなフリーズドライ加工処理の限られた適用性によって、乾燥時間は長くなってしまう。
内壁の加熱は、以下の別の理由からも不十分であり得る。どの時点においてもドラム壁の内面のわずかな部分だけが製品と接触している。従って充填の程度、すなわちバッチサイズによっては、その部分はドラムの主要部分の25%、またはより少なく、例えば10%になり得る。言い換えると、ドラム壁の表面の各領域が加熱されても(他のオプションは事実上、実現可能ではない)、実質的なエネルギー伝達は、該表面が製品に接触しているわずかな時間にしか起こらない。主に球状または回転楕円体の粒子(ペレット)を備える系統に対して、この状況はさらに悪化する。顆粒、薄片、または平坦な表面を有する他の粒子を主に備える系統と比較して、該系統は壁との接触点がより少ない。その結果、主にペレットを備える粒子系統の熱伝達係数は非常に低くなる。概してドラム面の非接触部分に加えられる熱は、粒子に少なくとも直接的には伝達され得ない、すなわち熱伝達を製品に集中させることができない。このことによって、このアプローチは更に非効率的なものとなってしまう。
本発明による放射エミッタを使用することは、少なくとも粘着性の問題を取除くのに役立つ。エミッタが継続的に作動している場合においても、通常粒子への照射が長くなることはない。これはドラムの回転、それに伴う動き、および粒子が継続的に混合されることによるものである。特定の実施形態によると、エミッタは、反射手段等によって、ドラムの1つまたは複数の個別の領域に好適に放射するように構成可能であり、ドラム内で粒子の大多数(バッチ)が位置する部分を、選択的に照射するように(例えば制御可能に)構成可能である。
熱は、最初にこれらの粒子に伝達され、一瞬にしてエミッタに対してバッチの上部層を形成し、該上部層はドラムの回転によって絶えず再構成される。壁に付着している粒子は、照射領域を出入りする可能性があるため、熱には限定的にしかさらされない。従って、この加熱方法を用いることによって、粒子は過加熱にさらされることがなく(粒子が加熱装置に接触する問題は、以下で説明する)、すなわちエネルギーの伝達は、粒子系統全体に均一に分配される。その結果、より多くのエネルギーが製品へと伝達可能であり、それによって乾燥時間を大幅に短縮することが可能である。このような例の1つとして、ドラム内壁の加熱を凍結乾燥中の唯一の加熱機構として使用している従来の構成では、12時間の乾燥時間が必要であったが、本発明による放射エミッタを有する加熱装置を設けることによって、乾燥時間がわずか6時間に、すなわち50%縮小する。
いずれの特定の理論または対処方法に縛られることを望んでいないが、放射エミッタは、ドラム内壁の熱を利用した場合に可能な温度よりも、はるかに高い温度で作動可能であり、それはすなわち、該放射エミッタがはるかに大きなエネルギー伝達の可能性をもたらしている、ということに留意されたい。
本発明による放射エミッタを採用することは、付加的または代替的に、散漫なエネルギー伝達の問題を取除くのに役立つ。エミッタの放射は、単純な反射手段、例えば反射コーティング等、によって製品へと方向づけることが可能であり、それによって、より高いエネルギー伝達効率を伴う集中的な熱伝達をもたらす。また、該熱伝達は粒子の形状に左右されることなく検討されるので、熱は、例えば主に円形状の粒子(例えばペレット)を備える粒子系統を含む、どのような粒子の系統にも効率的に伝達可能である。
1つまたは複数の放射エミッタを、フリーズドライ加工中の処理温度を最適に制御するために使用することは可能であるが、エミッタの高い作動温度の問題がある。例えば、エミッタ自体の作動温度(大気条件)は、約+250℃〜+400℃、またはそれよりも高い温度の範囲であり得る。通常、作動温度は、製品の質の観点から許容可能な温度値よりもはるかに高い。最高作動温度を制限するために放射エミッタの作動を制限することは、それに伴って熱伝達力も制限されてしまうため、好ましい解決法ではない。
本発明の実施形態によると、放射エミッタを有する加熱装置は更に、ドラム内部の粒子をエミッタから分離する分離器を備える。該分離器は、エミッタを取囲むエミッタ体積部を形成する。分離器はエミッタ体積部を(残りの)ドラム処理体積部から分離するよう構成されている。「分離」とは、フリーズドライ加工される粒子をエミッタから(少なくともエミッタの作動中)離れて保持する性能を少なくとも指していると理解されるべきである。本発明の様々な実施形態によると、分離器は、少なくとも作動温度が製品の品質の点から高すぎる場合に、粒子が放射エミッタの作動温度の悪影響にさらされたり、または過剰に悪影響を受けたりするのを防ぐように構成されている。
従って分離器は、エミッタ周辺に障壁を設け、エミッタ体積部を形成することによって、粒子をエミッタ(体積)から分離、隔離、除外および/または分別することが可能である。好適な実施形態において、エミッタの温度は処理体積部に入らないようになっている、および/または粒子に対して隠されている。様々な実施形態によると、分離器は、エミッタ(エミッタ体積部)から処理体積部に向けられるいかなる実質的な熱/エネルギー伝達も、ただしエミッタによって発せられる放射は除外する、防ぐよう構成することが可能である。この点において「いかなる実質的な」エネルギー伝達も防ぐということは、エネルギー伝達が、製品の質を悪化させたりおよび/または製品規格から外したり、規格を下げたりしないというように理解されているという意味である。
本発明の様々な実施形態によると、分離器は粒子の軌道(または少なくとも所望されるごく少量、またはその一部)がエミッタの近辺に移動したり、エミッタに接触したりすることを防ぐための障壁を提供している。例えば、このような軌道はガラス管、および/または被覆手段、例えば屋根等、によって偏向させてもよい。フリーズドライ加工処理中、粒子はドラム体積内を実質的に全方向に複雑な軌道で移動し得るため、概して単純なブラインドまたはカバー、またはシールドでは十分ではないであろう。本発明の好適な実施形態によると、分離器は、エミッタを完全に取囲む架空の面の少なくとも実質的な部分にわたって、粒子バリアを形成している。その実質的な部分は、少なくとも約50%から、または66%、または75%、またはそれ以上の被覆面を含み、好ましくは約80%から、または90%の被覆面を含み、より好ましくは約95%から、または97%、または99%、または100%の被覆面を含む(すなわち、分離器は、ドラム処理体積部の方向に開口部がない状態で、放射エミッタを完全に取り囲んでいる)。
本発明の実施形態は、分離器、または例えばメッシュまたは布製の分離器の構成要素(例えば金属または織物材料、このような材料がエミッタの作動温度や、フリーズドライ加工処理中、洗浄/滅菌処理中の処理条件などの条件に耐えられる限り)を備えるよう検討されている。様々な実施形態によると、メッシュや布の孔は、少なくとも所定の(所望の)サイズよりも大きな粒子がエミッタ体積部に達するのを防ぐのに十分に小さいものである。例えば、粒子の最小サイズは、最終製品における所望の粒子のサイズの範囲に従って、および/またはエミッタ体積部へと失われる製品の質量の許容の割合に従って、設定可能である。この割合は例えば、フリーズドライ加工されるバッチにおける既知の粒子サイズ、およびサイズ範囲に基づいて算出可能である。
その他の実施形態において、分離器は、メッシュまたは布または粒子のサイズと同等な「微視的な」孔を(例えばミリメートルまたはマイクロメートルの範囲の孔)有する同様の構成要素は備えていないが、実質的にいかなるサイズの粒子に対しても不浸透性であり、ガラスやその他の透明な材料等で作製された表面を有する構成要素のみを備えている。このような構成要素には上記のような意味の微視的な孔はないが、粒子サイズよりも大きな「肉眼可能」な孔(例えば、センチメートルの範囲の孔)を備えることが可能である。これらの孔はドラムの内部に向かって、またはドラムの外部に向かって開いていてもよい。例えば、単純な管状の分離器は、一方または両方の端部がドラム処理体積部またはドラムの外部に向かって開いていてもよい。
しかし、1つまたは複数の肉眼可能な孔を備える分離器の構成要素を有する本発明の好適な実施形態は、ドラム処理体積部に対しては完全に閉じており、ドラムの外側の体積に対してのみ開いていてもよい。例えば、管状の(またはコーン型等の)分離器は、その管、コーン等の一端がドラムの中に突出して、その端部が閉じていてもよく、その一方、他端はドラム壁に組立、貼付け、または取付けられ、ドラムの外側に向かって開いている。ドラムを使用する意図の想定によっては、外側の体積は、ドラムの内部と接続した処理体積部を含んでいてもよい。
例えば、ある実施形態において、ドラムは、フリーズドライ加工処理、洗浄/滅菌処理等のための処理体積部を提供または限定するよう構成された、真空チャンバの中に収容されている。この実施形態において、いかなる粒子もドラムの内部から直接エミッタ体積部に入り得ない。しかし粒子は、ドラムを離れ、ドラムの外側の処理体積部分を移動し、エミッタ体積部に届くかもしれない。所望の処理計画によっては、結果として生じる粒子の損失の度合、エミッタの汚染の可能性、(部分的に)融解した粒子による製品の質の低下の可能性は、他の利点、例えば分離器の向上した安定性、構成の単純性等、を考慮すると、許容可能である。
本発明の好適な実施形態によると、エミッタ体積部は、処理体積部がドラムの内部に限定されているか否かにかかわらず、処理体積部に対して(少なくとも上記の巨視的な意味で、好ましくは微視的な意味でも)完全に閉じている。言い換えると、エミッタ体積部はドラム処理体積部、およびそれ以外のドラムの外に位置しているかもしれないいかなる処理体積部分に対しても、完全に閉じられている。例えば、管状の、または、さもなければ長尺状のエミッタ体積部は、1つの自由端がドラム処理体積部に突出していてもよい。その一方で、他端はドラムまたはドラムの外部の支持構造に固定、組立、取付けられている。更に他の実施形態において、完全に閉じているエミッタ体積部は、いかなる意味においてもドラムのいかなる部分、例えばドラム壁、フランジまたはドラムのプレート部分、にも接続(取付、組立、または固定)されていないが、ドラムの外部から支持されており、例えばハウジングチャンバの壁部からドラムの中へと延出している支持アームによって支持されている。
このような構成において、加熱装置は、継続的または一時的に、ドラム処理体積部の中の実質的にどこにでも配置可能である。加熱装置がドラムの内部に対して移動可能に取付けられている場合、本発明の実施例は、処理制御が、フリーズドライ加工処理中、特定の製品の位置に選択的に照射できるように加熱装置の位置決めおよび方向づけを行うことを含むよう、考慮している。このことはエネルギー伝達を更に最適化し、エネルギー消費を最小限にし、乾燥時間を短縮するのに貢献している。
「閉じている」エミッタ体積部とは、エミッタ体積部と処理体積部(ドラム)との間における粒子の移動に関する観点から、閉じているとみなされる。「密閉されている」エミッタ体積部では、粒子の移動が妨げられているだけでなく、固体、気体、または液体のいずれの物質もエミッタ体積部と(ドラム)処理体積部との間で交換され得ない。しかし、エミッタ体積部に関して用いられる「閉じている」および「密閉されている」という語は、放射エミッタへの電力の供給、冷却媒体、洗浄/滅菌媒体等の供給および/または除去を除外していない。
ドラム処理体積部とエミッタ体積部との間に密閉による分離を設けている本発明の実施形態によって、例えば一方でドラム処理体積部の、他方でエミッタ体積部の(および/または隔離体積)の圧力および温度などの熱力学的条件の制御を、別々に行うことが可能になる。処理体積部における熱力学的条件は、ここでは通常「処理条件」と呼ばれる。例えば、ドラム処理体積部内の条件の制御は、フリーズドライ加工処理に必要とされる処理条件の制御のことを指していてもよい。
いくつかの実施形態によると、エミッタ体積部における条件には、例えばフリーズドライ加工中のドラム処理体積部における真空条件とは対照的に、大気圧であるということが含まれていてもよい。エミッタ体積部における条件には更に、エミッタ体積部を冷却することによって得られる、所定の温度の値、範囲または概要が含まれていてもよい。エミッタ体積部の冷却機構は、(ドラム)処理体積部のいかなる冷却または加熱機構からも完全に切り離されていてもよい。その結果、例えば、滅菌されていない冷却媒体を、エミッタ体積部(および/または隔離体積部)の冷却に用いることが可能である。冷却によって、エミッタの作動によって生じる超過温度がドラム処理体積部またはその中の粒子に達することによる影響を防ぐことが可能である。こうすることによって、ドラム処理体積部に対向し、粒子が近辺に向かってきたり接触したりする可能がある、分離器の表面または加熱装置のその他の構成要素の表面に関して、表面温度は、個別の処理計画、粒子の構成等の要件に応じて制御することが可能である。
その結果、本発明の様々な実施形態によって、エミッタの高い作動温度から生じ得る潜在的な悪影響を最小限に抑えることが可能になり、それによって、現在のものより乾燥時間が短いフリーズドライ加工処理に必要とされるとおりに、放射エミッタの潜在的な高エネルギーを投入することが可能になる。言い換えると、本発明の実施形態によると、放射エミッタの高い作動温度による潜在的な悪影響を最小限に抑え、それによってフリーズドライの分野、具体的には回転ドラム式のフリーズドライの分野における、放射エミッタの適用性を実質的に広げるフリーズドライ乾燥機の実施形態/概念が提供される。
本発明の実施形態によって、従来の構成と比較して、乾燥時間が大幅に短縮される。例えば約10%、または20%、または25%、またはそれ以上、好ましくは約33%またはそれ以上、特に好ましくは約50%(従来の乾燥時間の半分)またはそれ以上短縮される。その結果の1つとして、本発明の実施形態によって、フリーズドライ加工処理のためのエネルギー消費量を削減することが可能である。乾燥時間が短いほど、処理時間中に、例えば処理体積部における真空条件、またはコンデンサにおける温度条件等を維持するためのエネルギー消費量が少なくなる。
本発明の様々な実施形態によると、1つまたは複数の放射エミッタを主に用いた加熱装置を含む、回転ドラム式のフリーズドライ乾燥機に、CiP/SiPの規定を含む、統合された設計概念を提供することが可能である。例えば、分離器によるドラム処理体積部とエミッタ体積部との間の密閉による分離が、粒子をエミッタによる悪影響から確実に保護するように設計することが可能である(例えば、分離器は、エミッタからの過剰な熱伝達による部分的または完全な融解を防ぐことが可能である)。このことは、製品の高い品質を確保し、また、例えばドラムの内壁面および/またはドラム処理体積部の中に設けられたその他の機器(例えば感知機器、カメラ、洗浄/滅菌のためのノズル等)に付着した粒子の部分的または完全な溶融によって生じ得る、ドラム処理体積部の汚染/汚濁を最小限に抑えることにも貢献する。この点において、部分的または完全に融解した粒子による放射エミッタ自体の汚濁も、避けることが可能である。従って、いくつかの実施形態において、複雑な洗浄/滅菌機器や処理(例えば手動洗浄)を行って、このような汚れをドラム内部および/または放射エミッタから除去する必要がない。
本発明の実施形態によると、CiP/SiPを行うことを目的とした、加熱装置の、具体的には加熱装置の処理体積部に対向する面の、適切な構成を備える、最適な設計概念を提供することが可能である。例えば、分離器のまたは他の加熱装置の構成要素の管状の構造は、実質的に「円形状」の輪郭を有することが可能である。その一方で、管自体は直線状の管であり得るが、U字型、または、汚染物質が蓄積しやすいことや粒子が付着しやすいこと等の可能性を考慮して、最小限の表面を有するその他のどのような形状のものでもよい。概して本発明の実施形態によると、加熱装置の構成要素、例えば分離器、には、最小限のエッジ領域、隆起、リム領域等が設けられてもよい。ある実施例によると、分離器は、実質的に単一構造、例えば入口、挿入物、凹部、エッジ等のない、直線的な(1つまたは2つの終端要素、例えばフランジを有する)ガラス管を備えていてもよい。
本発明の様々な実施形態によると、例えばCiP/SiPに適した加熱装置は、ドラムの内部の所定の位置に恒久的に配置されてもよい。すなわち、フリーズドライ加工の間だけでなく洗浄/滅菌処理中等も、所定の位置に配置されていてもよい。このことは、フリーズドライ乾燥機の構成を単純化するのに役立つ。その他の実施形態によると、加熱装置は、例えば支持旋回アーム、回転アーム等によってドラムの内部から取外し可能に配置されている。特定の実施形態によると、例えば分離器は、CiP/SiPおよび機械的安定性に最適な形状または外形を有していてもよい。例えば実質的に円形状の断面、または、例えば(好ましくはわずかに)楕円形状の断面などの、ほぼ円形状の断面を有するガラス管を備える分離器によって、最適な機械的安定性を提供することが可能である。またその一方で、管の所要の壁厚を最小限にし、それと同時に(エミッタの放射が製品に入射することに関しての)透過性および(支持を必要とする加熱装置の)重量も最小限にする。
(ドラム)処理体積部とエミッタ体積部との間に密閉による閉鎖をもたらす本発明の実施形態は、GMP(「適正製造基準」)などの規制上の要件に従って、費用のかかるエミッタ体積部の妥当性確認を行うことを避けることも可能である。エミッタ自体、および分離器のエミッタ体積部(または隔離体積部)に含まれるそれ以外のいずれの機器もドラム処理体積部から除外されているため、いかなる妥当性確認の要件の対象とならない。このことは冷却機器、ラジエータを支持するいかなる機器、非接触式の検知機器、例えば温度センサ、湿度センサ、カメラなどの光学センサ、レーザ式のセンサ、いかなる能動または受動センサ機器に関しても、これらのセンサが分離器、例えば分離器の透過性の部分、を介して作動可能である限り、関連していてもよい。センサの作動には、分離器の様々な波長領域、例えば可視光波長、赤外線波長、紫外線波長等、における透過性が必要となり得るが、石英ガラスは、分離器の材料として、所要の波長において適切な透過性を提供し得る。
密閉によって分離されたエミッタ体積部(隔離体積部)には、滅菌の要件、それに対応する洗浄/滅菌に関する要件等の要件が全くないため、該体積中に上述した機器を配置することによって、構成を単純化し、コストを削減することが可能である。実施例によると、エミッタ体積部(または隔離体積部)の内部に感知機器を配置することによって、非接触式の機器に関するコストを削減することが可能となる。特定の実施形態によると、エミッタ体積部の冷却機構は、滅菌されていない冷却媒体、例えば滅菌されていない窒素、または滅菌されていない空気を使用することが可能であり、このことによって、例えば滅菌された窒素または滅菌された空気などの、滅菌冷却媒体を使用する場合と比較して、コストが大幅に減少する。いくつかの実施形態による空冷は、開放冷却システムとして実現可能であり、コストを更に削減する。
本発明の更なる局面および利点が、以下の実施例の説明、および図に示される好適な実施形態から明らかになる。
加熱装置を含む回転ドラム式フリーズドライ乾燥機の実施例の断面図である。
図1のフリーズドライ乾燥機の加熱装置の斜視図である。
図2の加熱装置の構成要素の平面図である。
前出の図の加熱装置の分離器の断面図である。
分離器の構成要素の様々な実施形態の断面図である。
本発明の回転ドラム式フリーズドライ乾燥機の好適な実施形態の断面図である。
図6においてCと印が付された領域の拡大図である。
図6においてJと印が付された領域の拡大図である。
図6の線N−Nに沿った加熱装置の拡大断面図である。
図6の線P−Pに沿った加熱装置の拡大断面図である。
図6の加熱装置の斜視図である。
図6の加熱装置の側面図である。
図6の左側からの図6の加熱装置の平面図である。
[実施例の詳細な説明および好適な実施形態]
図1は、フリーズドライ乾燥機の例100の概略的な断面図であり、該フリーズドライ乾燥機100は、1つの回転支持具106によって支持された回転ドラム102を、ハウジングチャンバ104の中に備える。ハウジングチャンバ104は真空チャンバとして実現されており、開口部108を介してコンデンサと真空ポンプ110とに接続されている。フリーズドライ乾燥機100は粒子、例えば微粒子、好ましくはマイクロペレットを閉鎖条件、すなわち滅菌および/または封じ込め条件、においてフリーズドライ加工を行うように構成されている。
ドラム102は、後方プレート114に開口部112を、前方プレート118に開口部116を備える。開口部116は移送部120を介して粒子をドラム102に供給するよう構成されており、該移送部120は、製品の流れを上流の粒子貯蔵部/コンテナおよび/または粒子生成装置(例えばスプレーチャンバ、造粒塔等)からドラム102へと案内する、内部ガイド管122を備える。
ドラム102は、ドラムの中のドラム処理体積部126と、管122を介してドラム102に供給されフリーズドライ加工中にドラム102によって保持される粒子系統(バッチ)127とを加熱する、加熱装置124を備える。なお、フリーズドライ加工の処理条件を確立する処理体積部(処理容積)は、ドラム内の処理体積部分(ドラム処理体積部)126とドラムの外の処理体積部分130とを備える、真空チャンバ104の内部全体128である。
フリーズドライ加工処理は、例えば効率的なフリーズドライ処理に最適な温度まで、処理体積部(処理容積)128を冷却することによって、それと並行してまたはそれに続いて、真空条件を確立し、ガイド管122を介して粒子127をドラム102へと供給することによって開始することが可能である。このような冷却は、ドラム102および/または真空チャンバ104に関連して設けられた冷却機器を冷却することによって、実現可能である。
フリーズドライ加工中、真空ポンプおよびコンデンサ110は、開口部112,116を介してドラム処理体積部126から昇華蒸気を除去するよう作動する。その昇華蒸気によって、粒子および処理体積部128中の温度は、最適値を下回る。処理制御によって、フリーズドライ加工処理は最適な処理計画に従って進められるが、それには粒子に熱を加え、凍結乾燥に最適な温度レベル/範囲を保持する必要がある。従来の熱を加える機構は、特に、ドラム102の内壁面を加熱するステップを備える。図1〜5Dのように図示され、ここで説明されるフリーズドライ乾燥機100の例では、このような従来の方法を使用することを除外する意図はないが、以下の説明は加熱装置124による粒子132への加熱に重点を置いている。
図2は、加熱装置124の斜視図を更に詳細に示している。図3は、加熱装置124のいくつかの構成要素の概略的な平面図である。なお、図2では移送部120の部分的な断面が示されているが、図3ではガイド管122のみが示されている。図4では加熱装置124の特定の構成要素が断面図で示されている。
加熱装置124は、粒子127(図1参照)に放射熱を当てる放射エミッタ202を備える。加熱装置124は更に、エミッタ202から粒子127を分離する分離器204を備える。分離器204は、ほぼ円筒形のガラス管302を備える。管302の内部に画定されたエミッタ体積部206は、更にフランジ208,210によって区画(限定)されており、ドラム処理体積部126とエミッタ体積部206とを密閉して互いから分離させている。加熱装置124は更に、単一勾配の屋根を順に備える被覆手段212を備え、洗浄/滅菌媒体アクセスノズル216のような、更なる装置を支持している。
加熱装置124は更に、真空チャンバ104の前方プレート134に接続された支持アーム304を備える。パイプ218が、(1)冷却媒体をエミッタ体積部206へと供給するため、(2)該冷却媒体が逆流した後、屋根214を介して加熱装置124から除去するため、および(3)洗浄/滅菌媒体をノズル216へと供給するため、に配設されている。
加熱装置124の詳細な構成に目を向けると、ガラス管302は、作動中にエミッタ202から発せられる放射に対して、最適な透過率を有するガラスで作製可能である。エミッタ202は、約1μm〜2μmの範囲の最大放射率を有する赤外線エミッタであってもよく、ガラス管302は、その波長帯において透過率95%以上を有する石英ガラスで作製可能である。ガラス管302の壁の厚さは、最大透過率と最適な機械的安定性とに準じて選択されることが好ましい。
エミッタ202は、エミッタ体積部206の内部において、管302の中で延出している平坦な棒鋼402によって支持されており、エミッタ202を固定する固定具404は、隔離手段406を介して棒402から熱的に切り離されている。
密閉による分離が確立している限り、例えば処理体積部126(128,130)における滅菌条件が確立あるいは保持されていれば、エミッタ体積部206の中で滅菌条件を確立する必要はない。
管302を有する組立フランジ208,210に、1つのオプションとしてねじ切りを設けることも可能である。それに加えて、あるいはその代わりに、接着剤を用いることが、使用される接触剤またはのりが無害のものである限り、可能である。図に示される例100は、更なる解決策を実現しており、その解決策は前述のオプションの1つあるいは複数と組合せることが可能である。4本の鋼棒220が、管302の内側に管302の長さに沿って延出しており、両方のフランジ208,210を互いに接続させ、フランジ208,210を管302の端部に載置させている(事実上、同一のまたは異なる材料の棒が使用可能である)。
しかし、図1〜4に示された例100は、別の解決策も実現する。4本の鋼棒220が、管302の内側および管302の長さに沿って延出しており、両方のフランジ208,210を互いに接続させ、フランジ208,210を管302の端部に載置させている(ほぼ同一の、または異なる材料の棒が使用可能である)。この「密閉」特性は、どの気体、液体および/または固体物質も、例えば、エミッタ体積部206における大気条件と、ドラム処理体積部126における真空条件と、ドラム処理体積部126における超過圧力条件との圧力差のため、維持されて「漏出しない」特性として理解されている。真空とは、10mbar、または1mbar、あるいは500μbar、あるいは1μbar程度の低い圧力であってもよく、超過圧力とは、1.5bar、または2bar、または3bar、またはそれ以上の高い圧力であってもよい。
用いられるいずれの密閉手段も、圧力だけでなく、処理体積部126側における洗浄などのフリーズドライ加工中の他の条件、およびエミッタ体積部206側における条件、例えばエミッタ202の作動中の条件、にも耐えられる必要がある。また、密閉手段はこれらの条件をそれぞれ封じ込める必要がある。いかなる密閉材料も耐吸収性でなければならず、また例えば温度条件に関しても、例えば約−40℃から−60℃の低温や、処理体積部126側の約+130℃の高温にも耐え、製品が汚濁するリスクを伴う脆化および/または磨耗を避ける必要がある。
粒子127へのエミッタ202の高い作動温度の悪影響を防ぐため、処理体積部126に対向するガラス管302の外面は冷却される。冷却は、エミッタ体積部206を冷却体積として適合させ、滅菌されていない空気や窒素等の冷却媒体を通気搬送することによって達成される。分離器204の所望の障壁または遮蔽特性によっては、該空気は例えば大気温度を有していても、または冷却されていてもよく、その他の(不燃性の)物質が用いられてもよい。冷却媒体は支持アーム304の中を流れ、フランジ210に設けられた入口からエミッタ/冷却体積206へと流入し、フランジ208の出口222を介して体積206を出て、パイプ224、屋根214、複数のパイプ218のうちの1本を通って逆流する。このようにして、エミッタ202の作動中にエミッタ202から熱を取り除く。
図2〜4に示された例において、ガラス管302は円形状の断面を有する単純な直線の管であり、エミッタ体積部206は冷却体積と同一で、その中を冷却媒体は一方向のみに流れる。しかし、その他の構成も考えられ得る。図5Aに断面図で示された別の例500によると、ガラス管502も円形状の外面504を有する。しかし、ガラス管502は、内部分割壁または細分壁506を備え、管502の内部体積を上方小体積または上方副管508と、下方小体積または下方副管510とに細分化している。このような構造によって、高い機械的安定性が得られ(それによって管502の外壁518の壁の厚さを最小限にすることができる)、1本の管の中に2つの小体積が得られ、小体積508および510は互いに接続されていてもいなくてもよい。例えば壁506は、1つあるいは複数の開口部を、管500の一端または両端および/またはその他の位置に有することも可能である。
様々な運用状況が考えられ得る。エミッタ512を下方副管510に設けることが可能である。冷却媒体は、例えば下方副管510を通って、符号514に示されるように、順方向に搬送が可能であり、上部副管508を通って逆方向(符号516)に搬送が可能である。従って、冷却媒体の逆流に必要となり得る機器でなければ、省くことが可能である。このような機器は管502の外側、例えば処理体積部中に配置されなければならず、従ってこのような機器を省くことは有益であり、加熱装置の構造を単純化すること、および/または加熱装置のドラム処理体積部に対向する部分の洗浄/滅菌を単純化することに貢献することが可能である。
他の例によると、上方小体積508は冷却媒体を案内するために用いられなくてもよいが、閉じた体積として構成可能である。該閉じた体積は、例えば抜気して、周囲のドラム処理体積部520に対してエミッタ体積部510を(受動的に)隔離する、隔離体積として機能することが可能である。
ガラス管526の別の例が、図5Bに示されている。内部の小体積または副管528が、外管530によって取り囲まれており、外管530の内部に延出している。管528,530は互いに対して同軸上に配置されている。この例において、エミッタ532は管528の中に配置されている。内管528と外管530との間に画定された環状スペース534は、隔離体積として用いることが可能である。例えば、体積534は、抜気して、周囲のドラム処理体積部536をエミッタ532の高温であり得る作動温度から隔離することが可能である。図5Bに示された例によると、冷却媒体が内管528を介して順方向538に案内される。環状スペース534が単に隔離体積として用いられている限り、冷却媒体は対応する加熱装置の外側を案内される必要がある。別の代替例によると、冷却媒体は体積534を介して逆方向に搬送可能である。
図5Bの例の変形例が破線542で示されており、環状スペース534が(内壁542によって)上方小体積544と下方小体積546とに細分化され得ることを示している。1つの例によると、冷却媒体は、例えば小体積546に沿って順方向に案内され、小体積544に沿って逆方向に案内され得る。小体積538,544および546の1つまたは複数を用い、そこを通って冷却媒体を1つあるいは複数の方向に案内する他の構造も考えられ得る。ある特定の例によると、小体積538は例えば大気圧状態で閉じられていてもよく、その一方で冷却媒体は小体積544および546を介して案内され、管528の壁を介してエミッタ532の作動によって発生する熱流を取除く。
図5Bの構造において、上方および下方環状スペース544および546が同様な回転対称の断面で示されているが、他の例は異なる構造を有していてもよい。例えば、環状スペースは幅に角度変化があってもよい。それに加えて、またはそれに代わって、上方および下方環状スペースは必ずしも対称的に形成されていなくてもよい。更にまた、図5Aおよび5Bでは、細分壁506,542がそれぞれ水平に延出しているが、他の構造も考えられ得る。厳密な水平方向からのずれは、例えば加熱される(バッチ)製品に入射されるエミッタの放射の方向によって選択可能である。
図5Cは別の構造を示しており、この構造において、外周が円形状の断面を有する管552は、様々な壁厚を有する壁554を備える。具体的には、管522の上部556はより大きな厚みを有し、厚みは下部558に向かって小さくなっている。キャピラリー管560が図示されているが、例えばキャピラリー管560を通って、冷却媒体を管552の冷たい上部556へと案内し、それによって熱を取除くように該キャピラリー管560を用いることが可能である。図5Cに示された構造において、冷却媒体は順方向562に管560を通って案内され、逆方向564にエミッタ568を備えるエミッタ体積部566を通って案内される。管/体積部560,566の一方または両方を通って冷却媒体を搬送するための他のオプションも、通常の設計変更の範囲で考えられる。
図5Dには更なる構造が示されている。円形状の外周を有する管582は、エミッタ588を受け入れるエミッタ体積部586を限定する壁584を備える。複数のキャピラリー管590は、壁584の中に埋め込まれている。冷却媒体(例えば冷却液)が1つあるいは複数のキャピラリー管560を通って順方向および/または逆方向に搬送され、エミッタ558の作動熱を取除くことが可能である。それに加えて、またはその代わりに、冷却媒体はエミッタ体積部586を介して搬送されることも可能である。キャピラリー管560が壁554の中に規則的なパターンで配置されている一方、他の構造によると、キャピラリー管は群を成していてもよく、例えば管の壁の上部に配置されていることが好ましい。
ここに示される管の構造は、付加的に反射手段を備えていてもよく、例えばエミッタの放射が好ましく製品に入射されるように向けられる反射層であってもよい。
図2〜4に示された加熱装置124を再度参照すると、屋根214は、分離器204を上部から被覆することを目的としている。このようにすると、ドラム処理体積部126(図1参照)を上方から下方へと移動する粒子を、ガラス管302から離れる方向へと方向転換させることが可能である。屋根214を設けることによって、分離器204に関する冷却要件が、より正確に言えば、ガラス管302のドラム処理体積部に対向する面に許容される最高温度に関する要件が、緩和されてもよい。
屋根214は単一勾配の屋根として実現されているが、それはこのようなタイプおよび同様なタイプのカバーが、CiP/SiPの概念の範囲内の容易な洗浄/滅菌に特に適しているからである。洗浄/滅菌媒体アクセスポイント216は、加熱装置124および回転ドラム102内部の洗浄/滅菌のための洗浄/滅菌媒体を供給するように構成されている。この点から、ノズル216は露出した位置、カバー手段212の上部に配置されている。
カバー手段212は加熱装置124の他の構成要素(例えばガラス管302を含む分離器204)から離れて図示されているが、他の構造によると、カバー手段は、例えばエミッタ体積部を限定するガラス管などの分離器の構成要素と直接接触していてもよい。ある例によると、カバー手段はアーチ型の屋根として形成されていてもよく、任意で屋根を冷却する冷却機構を有していてもよい。このようなカバー手段は、同時にエミッタからの放射を所望の方向に向ける反射手段として機能してもよい。
図1〜4に示された実施例を参照すると、下記の集合体はそれぞれ交換ユニットとして考えられ得る。加熱装置124は、支持アーム304の有無にかかわらず(装着または非装着状態であっても)、または前方プレート134の有無にかかわらず(装着または非装着の状態であっても)、および移送部120の有無にかかわらず(装着非装着の状態であっても)交換ユニットとして考えられ、ガラス管302とフランジ208,210とを含む分離器204は、例えばエミッタ202などの内部機器の有無にかかわらず交換ユニットとして考えられ、および/またはガラス管302はエミッタ202の有無にかかわらず交換ユニットとして考え得る。
下記には、本発明による加熱装置の好適な実施形態が、図6〜9Cに基づいて説明されている。ここでは、上記の加熱装置の実施例の周辺要素、および付加的な構成要素、あるいは類似した構成要素が、以下で説明される本発明による加熱装置の好適な実施形態にも、必要に応じて適用される。よって、このような構成要素の詳細な説明は、冗長性を避けるため省略されている。しかし、適切な箇所においては、実施例からの説明を下記に示されるように好適な実施形態で用いることもあり得る。具体的には、下記に説明されるとおり、加熱装置の好適な実施形態は図1に示されるフリーズドライ乾燥機に適用可能であり、上のそれぞれの箇所において説明されている。
図6は、本発明による加熱装置624の好適な実施形態の(長手軸に沿った)断面図である。この図において、加熱装置624は真空チャンバ104の前方プレート134に取付けられている。図1のパイプ218に類似した配管718が配設されているのは、(1)冷却媒体を冷却供給管718aによってエミッタ体積部706に供給するため、(2)冷却媒体が逆流した後に、冷却媒体を冷却排出管718bを介して除去するため、および任意で(3)1つまたは複数の洗浄/滅菌媒体を、エミッタ体積部706の外側に設けられた任意のノズル(図示なし)にそれぞれ供給するためである。
加熱装置624は更に、粒子127を2つの放射エミッタ702から分離する、分離器704を備える。ドーム型またはビーム型の分離器704は、ほぼ円筒形の長尺状のガラス管で構成され、ガラス管のこのような特定の形状によって、分離器704の高い圧力、滅菌の際の高圧など、に対する安定性が向上されている。分離器704の中に画定されたエミッタ体積部706は更に、分離器704の閉じた自由端704aと支持プレート725とによって画定されており、これらによってドラム処理体積部126およびエミッタ体積部706は、互いから分離されている。加熱装置624は図1〜4の例と同様に、更に任意で洗浄/滅菌媒体アクセスノズル(図示なし)などの機器を有していてもよい。
加熱装置624の詳細な構成に目を向けると、ガラス管は、エミッタ702の作動中に発せられる放射に対して最適な透過率を有するガラスで作製可能である。いくつかの構成によると、各エミッタ702は、約1μm〜2μmの範囲の最大放射率を有する赤外線エミッタであってもよく、分離器704は、その波長帯において透過率95%以上を有する石英ガラスで作製可能である。ガラス管の壁厚は、最大透過率と最適な機械的安定性とに準じて選択されることが好ましい。
図6から分かるように、分離器704、またはその自由端704aといった方が良いかもしれないが、はドラム処理体積部126へと突出しており、分離器704のガラス管の他方の端部、または基端704bは、分離器704がその縦軸を中心に回転可能に保持されるように、マルチソケット構造の中に保持されている。従って、加熱装置624の分離器704の端部704aを処理体積部126の中に取付ける必要がなく、加熱装置624は、処理体積部126の中にカンチレバーのように自由に配置されている。このことによって、フリーズドライ加工処理中に加熱装置624が故障しても、加熱装置624を交換することが可能となる。
好適な実施形態による分離器704の具体的な構造において、分離器704の基端704bは、端面に一体的に設けられたリム状の突起705を備えており、該突起705は、分離器704のガラス管の本体から半径方向外側に突出している。具体的には、図7Bの拡大詳細図からわかるように、分離器704の基端704b、特に分離器の突起705の上流側は、円筒状の隔離スリーブ730に保持されている。該スリーブ730は、少なくとも一部はポリオキシメチレン(POM)で構成されていることが好ましく、分離器704のガラス管とソケット構造の金属要素とが直接接触するのを防ぎ、加熱装置624の様々な構成要素が有するそれぞれ異なる熱膨張率の観点から、加熱装置624の気密性を確保する。隔離スリーブ730は、分離器704のガラス管の外側にシリコン接着剤等で固定され、スリーブ730を分離器704に強固に接着してこれらの構成要素間に気密性を持たせていることが好ましい。更に、隔離スリーブ730は、好ましくはステンレス製の円筒状のブッシング750の中に、スリーブ730と円筒状のブッシング750との間に空隙を有するように配置されている。ここでは、好ましくはシリコンまたはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムで構成された複数の補償Oリング735が、スリーブ730の外縁に設けられた各凹部に配置され、ブッシング750の内周が補償Oリングに接触している。補償Oリング735は、ソケット構造の構成要素間の温度補償を行うのに役立つ。この特定の構造を用いることによって、先行技術から明らかとなっている加熱装置に生じる問題の1つを回避することができる。その問題とはすなわち、加熱装置624の内側と外側、すなわちドラム102の内側との間に起こる周囲条件の不要な交換であり、それはまた漏れとも呼ばれる。これは、従来技術から分かるように、加熱装置の様々な構造要素(金属、ガラス等)の異なる熱膨張率によって、加熱装置の様々な構造要素間で起こる。その一方、好適な実施形態において分離器704のガラス管は、加熱装置624のどの金属製の構成要素からも熱的に分離されており、それによってエミッタ体積部706とドラム処理体積部126との間の漏れを防ぐ性能が向上している。
ブッシング750は、好ましくはステンレス製の、円筒状の外殻760の内側に配置されている。分離器704の閉じた自由端704aに対向する外殻760の開放端は、好ましくはステンレス製のカップ状の蓋770によって閉じられている。ここでは、ブッシング750は蓋770の内側に保持され、蓋770の内周に密着している。自由端704aは、自由端704aがドラム処理体積部126の中に突出可能となるように、蓋770の開口部を介して蓋770を貫通している。ソケット構造を密閉し、それによってドラム処理体積部126の観点からエミッタ体積部706を密閉するため、好ましくはシリコンまたはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムで構成された密封Oリング740aが、蓋770と隔離スリーブ730の端面との間に配置されている。更にソケット構造を密閉するため、好ましくはシリコンまたはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムで構成された密封Oリング740bが、隔離スリーブ730の他方の端面と分離器の突起705との間、および分離器の突起705とディスク状のプレート751との間にそれぞれ配置されている。プレート751は、ステンレススチールで作製され、ブッシング750のカバーとして機能することが好ましく、ブッシング750の蓋770によって閉じられた端部とは反対の、ブッシング750の他方の端部と接触している。用いられるいずれの密閉手段も、圧力だけでなく、処理体積部126側における洗浄などのフリーズドライ加工中の他の条件、およびエミッタ体積部706側における条件、例えばエミッタ702の作動中の条件、にも耐えられる必要がある。また、密閉手段はこれらの条件をそれぞれ封じ込める必要がある。いかなる密閉材料も耐吸収性でなければならず、また例えば温度条件に関して、例えば約−40℃から−60℃の低温や、処理体積部126側の約+130℃の高温にも耐え、製品が汚濁するリスクを伴う脆化および/または磨耗を避ける必要がある。
上述のように特に互いが組合わされたような構造によって、加熱装置624はドラム処理体積部126にさらされた一種の「外郭構造」のようなものを提供している。該外郭構造は基本的に分離器704、蓋770(分離器の閉端部側に設けられた密閉Oリング740aと共に)、外殻760および前方プレート134で構成されている。加熱装置624の残りの部分は、基本的に主な発熱機器が設けられた真空の外郭構造の中に配置されている。これによって加熱装置624はドラム処理体積部126の中に配置および保持されることが可能である。また、エミッタあるいは外郭構造の中に配置されたその他の構成要素が故障した場合に、複数のエミッタ702のうちの1つあるいは全てを交換可能でありながら、フリーズドライ加工中、ドラム102またはハウジングチャンバ104の中の真空を損なうことなく保持することが可能である。加熱装置624のこのような特有の組合せ構造を用いると、エミッタの故障が発生している際に、1つあるいは複数の故障したエミッタを交換することが可能であるにもかかわらず、フリーズドライ加工される製品は、実質的に所望の処理状態を保ちながらドラム102の中に保持される。それによって、処理状態の中断によって廃棄物が発生することを防止する。
好適な実施形態において、プレート751は中央開口部を備える。該開口部には、好ましくはステンレス製の円筒状の搬送スリーブ752の一端が、搬送スリーブ752の外周がプレート751に設けられた開口部の内周、延いては搬送プレート751に接触するよう、取付けられた状態で配置されている。搬送スリーブ752の他端は、好ましくはステンレス製のカバープレート780の開口部の内側に配置されている。該カバープレート780は真空チャンバ104の前方プレート134に取付けられている。高温による分離器704のガラス管の線膨張を補償可能にするため、カバープレート780は、ボルト781および皿ばね782によって前方プレート134に取付けられている。
配管718、すなわちその管および電気供給パイプ790は、搬送スリーブ752の内空を通ってソケット構造の中へと、1つまたは数個の(直列に配置されている)ポット型のアセンブリによって案内されている。該ポット型のアセンブリは、筒状の内殻726と支持プレート725とで構成され、該内殻726は好ましくはPOMまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作製され、ガラス管にいかなる種類の引っかき傷などもつけないようにガラス管を案内し、該支持プレート725は、分離器704の自由端704a側に設けられた内殻726の一端を閉じている。該支持プレート725は、ねじ接続などによって内殻726に取付けられている。ここでは、配管718の管および電気供給パイプ790は、好ましくはステンレス製の支持プレート725に溶接されている。更に、分離器704のガラス管はその内側から、1つまたは数個の上述されたポット型の構造によって保持されている。このような構造を用いることによって、分離器704のガラス管は内殻726と隔離スリーブ730との間に挟持され、突起705は2つ1組の密閉Oリング740bによって軸方向に保持され、該1組の密閉Oリング740bは断熱スリーブ730とプレート751との間に挟持されると共に外側からブッシング750によって半径方向に保持されている。取付けパネル741によってカバープレート780に取付けられている電気供給パイプ790は、カバープレート751、前方プレート134、および分離器704のソケット構造を貫通しており、分離器704の自由端704a側に向けられたパイプ790の自由端が、支持プレート725に取付けられている。ここでは、パイプ790が電気配線をエミッタ702まで案内し、熱ねじ接続791、すなわち、POM製の切断リングまたは圧縮リングを有するセルフカット式のねじを用いた結合接続によって、取付けパネル741に取付けられている。このようなねじ接続を用いることによって、分離器704の縦軸を中心に回転する回転角度を所望の通りに調節し、取付けパネル741によって安定させることが可能である。
ソケット構造の中は、図1,7A,7B,8Aおよび8Bから分かるように、冷媒供給管718aが支持プレート725を貫通し、矩形の冷却ダクト720に接続されている。該ダクト720は、分離器704の内部上流に設けられた2つのエミッタ702に対向する場所、すなわちエミッタ体積部706へと冷却流体を案内するための、冷却開口部721を備える。図8Aおよび8Bに示された詳細から分かるように、矩形のダクト720は、矩形の角が図中において垂直面および水平面と一直線になるよう、分離器704の内部に配置されている。処理体積部126に、延いては分離器704自体に対向する分離器704の内面は、エミッタ702の高い作動温度よる悪影響が粒子127に及ぶことを避けるため、案内される冷却流体によって冷却される。冷却は、エミッタ体積部706を冷却体積として適合させ、滅菌されていない空気や窒素等の冷却媒体を通気搬送することによって達成される。分離器704の所望の障壁または遮蔽特性によっては、該空気は例えば大気温度を有していても、または冷却されていてもよく、その他の(不燃性の)物質が用いられてもよい。冷却媒体は冷媒供給管718aの中をダクト720まで流れ、開口部721を通ってエミッタ体積部706へと解放され、冷媒排出管718bを通って体積706を離れる。このようにしてエミッタ702の作動中にエミッタ702から熱を取除く。
ダクト720の上面に、好ましくはPTFE製の保護屋根710が取付けられている。該屋根710は反射手段としての役割を果たし、2つの独立したレールで構成可能であり、該レールはそれぞれ、図8Aおよび8Bに見られるように、屋根構造の1つの傾斜を形成している。またはその代わりに、該屋根710は1つの構成要素、例えば屈曲プレート等、で構成可能である。屋根710は、屋根710の下方にミラー反転の状態で配置されたエミッタ702を覆い、分離器704の上部をエミッタ702によって発せられる熱から保護または隔離している。よって、エミッタ702によって発せられる熱を、屋根710によって方向づけることが可能である。またエミッタ702は、屋根710と同様にダクト720にも取付けられている。エミッタ702が分離器704のガラス管の中でダクト720、屋根710、分離器704のガラス管、のいずれにも直接接触することなく自由な状態で保持されるよう、各エミッタ702のための取付手段703が設けられている。各エミッタ702の取付手段は基本的に、二連形状のエミッタ702に取付けられたブラケットで構成されており、該ブラケットは、ダクト720の下面に取付けられたフランジにねじで固定されている。
図9Aおよび9Bから分かるように、分離器704、より具体的には分離器704の自由端704aは、上述のとおり、カンチレバーのように回転可能にソケット構造の中に保持されている。ここでもまた図9Cからわかるように、ドラム102の開口部116は、移送部120を介してドラム102に粒子を供給するよう構成されており、該移送部120は、製品の流れを上流の粒子貯蔵部/コンテナおよび/または粒子生成装置(例えばスプレーチャンバ、造粒塔等)からドラム102へと案内する、内部ガイド管122を備える。ガイド管122は前方プレート134に設けられた開口部135を貫通し、ドラム102に粒子127を供給する。
本発明の加熱装置624のこのような構造を用いることによって、処理体積部126にさらされる材料は、分離器704のガラス管のみとなる。よって、複数の材料の組合せが処理体積部126にさらされることがないため、異なる熱膨張率によって生じる漏れの問題がなくなる。更に、単一の材料、すなわち分離器704のガラス管、を用いているため、加熱装置624は隙間のない構造を有し、更に洗浄しやすくなっている。
ここで説明されたような加熱装置は、例えば、滅菌された流動性を有する凍結粒子をバルク品としてフリーズドライ加工するのに、有益に用いることが可能である。本発明の実施形態は、滅菌条件下および/または閉じ込め条件下での製造に関する設計概念において用いられることが可能である。従来の方法を用いるよりもより短い時間で凍結乾燥を行うために必要とされる相当量のエネルギー投入は、放射エミッタを用いる本発明による加熱装置によって供給可能である。処理体積部に接触し、それ故にフリーズドライ加工される粒子に対して潜在的な危険性を示している不要な「ホットスポット」(局所的な過加熱の場所)は、分離器をエミッタ周辺に設けることによって取り除くことが可能である。該分離器は、放射エミッタから粒子を分離するためだけでなく、エミッタの高い作動温度によって生じるどのような温度の「ホットスポット」に対しても、障壁を設けるために用いられることも可能である。
更に、本発明による加熱装置によって提供されるエミッタ体積部(および/または隔離体積部)は、ドラムの中の処理体積部から排除されるように構成可能であるため、例えば困難な洗浄/滅菌条件、汚染、滅菌冷却媒体が必要であることに基づいた複雑な冷却等、のような欠点を避けることが可能である。本発明による加熱装置の実施形態は、コスト効率のよいフリーズドライ乾燥機の構造に特に適している。本発明による加熱装置の実施形態は、フリーズドライ乾燥機の構造の単純化に貢献することが可能である。好適な実施形態によると、ドラムの内壁面を介した加熱は必要でなくなるため、ドラムの構造を単純化できる可能性がある。
本発明による加熱装置を備えるフリーズドライ乾燥機の実施形態は、滅菌、凍結乾燥、均一調整された粒子を、バルク品として生成するのに用いることが可能である。結果として得られる製品は、事実上、液体または流動性のペースト状態のいかなる剤型を含んでいてもよく、このような剤型は従来の(例えば棚形式の)フリーズドライ加工処理にも適している。例えばモノクローナル抗体、タンパク質ベースのAPIs、DNAベースのAPIs、細胞/組織物質、人間および動物のワクチンおよび療薬、低い溶解性/バイオアベイラビリティーを有するAPIs等の経口の固形剤型のためのAPIs、ODTs(経口分散性錠剤)やスティック充填適応型のような速分散性を有する経口の固形剤型、および精製化学製品および食品業界における様々な製品である。概して、適切な流動性材料には、フリーズドライ処理の利益に影響を受けやすい(例えばフリーズドライ加工されると安定性が向上する)組成物が含まれる。
本発明をその好適な実施形態と関連させて説明してきたが、この説明が単に例示を目的としているということは理解されるべきである。
本願は、欧州特許出願EP11008108.0−1266の優先権を主張しており、その内容を網羅するべく、該欧州特許出願の請求項の内容を以下に挙げる。
1.フリーズドライ乾燥機の回転ドラムにおいてフリーズドライ加工される粒子を加熱する加熱装置であって、該装置は、
−該粒子に放射熱を当てる放射エミッタと、
−該エミッタから該粒子を分離する分離器と、を備え、該分離器は、エミッタを取囲むエミッタ体積部を形成し、該分離器はエミッタ体積部を該ドラムの中のドラム処理体積部から分離するよう構成されている、装置。
2.前記分離器は、前記エミッタの放射がドラム処理体積部に入射するよう、少なくとも部分的に透過性である、項目1に記載の加熱装置。
3.前記エミッタ体積部は、密閉されて前記ドラム処理体積部から分離され、該密閉による分離は、前記ドラム処理体積部における真空条件および超過圧力条件の少なくとも一方のために行われている、項目1または2に記載の加熱装置。
4.前記分離器はガラス管を備える、前述の項目のいずれかに記載の加熱装置。
5.前記装置は更に、少なくとも加熱装置の前記ドラム処理体積部に対向する面を冷却するための、冷却機構を備える、前述の項目のいずれかに記載の加熱装置。
6.前記冷却機構は、冷却媒体を通気搬送するための冷却体積を含む、項目5に記載の加熱装置。
7.前記冷却体積はエミッタ体積部を含む、項目6に記載の加熱装置。
8.前記分離器は分離体積を含む、前述の項目のいずれかに記載の加熱装置。
9.前記分離器は、2本以上の支管を有する管を備え、該支管は少なくとも部分的に当該管の長さに沿って平行に延出している、前述の項目のいずれかに記載の加熱装置。
10.前記装置は更に、前記エミッタ体積部の上部を少なくとも部分的に覆う、被覆手段を備える、前述の項目のいずれかに記載の加熱装置。
11.前記装置は更に、前記被覆手段の少なくとも上面を冷却するための冷却機構を備える、項目10に記載の加熱装置。
12.フリーズドライ乾燥機の回転ドラムにおいてフリーズドライ加工される粒子を、該粒子に放射熱を当てる放射エミッタから分離する分離器であって、該分離器はエミッタを取囲むエミッタ体積部を形成し、該分離器は該エミッタ体積部を該ドラムの中のドラム処理体積部から分離するよう構成されている、分離器。
13.前記分離器は、円形状の断面を有するガラス管を備え、該ガラス管の各端部は、ガラス管の中に画定された前記エミッタ体積部を前記ドラム処理体積部に対して密閉している、フランジによって閉じられている、項目12に記載の分離器。
14.フリーズドライ加工される粒子を、バルク品として製造する回転ドラム式フリーズドライ乾燥機の壁部であって、該壁部は、項目1〜11のいずれかに記載の、フリーズドライ乾燥機の回転ドラムにおいてフリーズドライ加工される粒子を加熱する加熱装置を備える、壁部。
15.項目14に記載の壁部を備えるフリーズドライ乾燥機。