[go: up one dir, main page]

JP2014220199A - ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体 - Google Patents

ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体 Download PDF

Info

Publication number
JP2014220199A
JP2014220199A JP2013100495A JP2013100495A JP2014220199A JP 2014220199 A JP2014220199 A JP 2014220199A JP 2013100495 A JP2013100495 A JP 2013100495A JP 2013100495 A JP2013100495 A JP 2013100495A JP 2014220199 A JP2014220199 A JP 2014220199A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
molten salt
ionic liquid
cation
negative electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013100495A
Other languages
English (en)
Inventor
篤史 福永
Atsushi Fukunaga
篤史 福永
稲澤 信二
Shinji Inazawa
信二 稲澤
新田 耕司
Koji Nitta
耕司 新田
将一郎 酒井
Shoichiro Sakai
将一郎 酒井
瑛子 井谷
Eiko Itani
瑛子 井谷
昂真 沼田
Koma Numata
昂真 沼田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2013100495A priority Critical patent/JP2014220199A/ja
Priority to CN201480025769.7A priority patent/CN105190982A/zh
Priority to KR1020157031200A priority patent/KR20160006684A/ko
Priority to US14/890,122 priority patent/US20160111752A1/en
Priority to PCT/JP2014/055397 priority patent/WO2014181571A1/ja
Publication of JP2014220199A publication Critical patent/JP2014220199A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0564Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of organic materials only
    • H01M10/0566Liquid materials
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/054Accumulators with insertion or intercalation of metals other than lithium, e.g. with magnesium or aluminium
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M2300/00Electrolytes
    • H01M2300/0017Non-aqueous electrolytes
    • H01M2300/0025Organic electrolyte
    • H01M2300/0045Room temperature molten salts comprising at least one organic ion
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】保存特性および充放電サイクル特性に優れたナトリウム溶融塩電池を提供する。【解決手段】正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、ナトリウム塩およびナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含む溶融塩電解質と、を含み、イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンとの塩を含み、溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池。【選択図】図5

Description

本発明は、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質を含むナトリウム溶融塩電池に関し、特に溶融塩電解質または溶融塩電解質に含まれるイオン性液体の改良に関する。
近年、電気エネルギーを蓄えることができる高エネルギー密度の電池として、非水電解質二次電池の需要が拡大している。非水電解質二次電池の中でも、難燃性の溶融塩電解質を用いる溶融塩電池は、熱安定性に優れるというメリットがある。特に、ナトリウムイオン伝導性を有する溶融塩電解質を用いるナトリウム溶融塩電池は、安価な原料から製造できるため、次世代二次電池として有望視されている。
溶融塩電解質の主成分としては、有機オニウムカチオンとアニオンとの塩であるイオン性液体が有望である。例えば、特許文献1は、ピロリジニウムカチオンを始めとする様々な有機オニウムカチオン含むイオン性液体を提案している。しかし、イオン性液体の開発は、歴史が浅く、現状では様々な微量成分を不純物として含むイオン性液体が用いられている。また、不純物が溶融塩電池に及ぼす影響については、ほとんど研究が行われておらず、未知の領域となっている。
特開2012−134126号公報
イオン性液体の中でも、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンを含む塩は、耐熱性が高く、かつ低粘度であるため、溶融塩電解質の主成分として有望である。しかし、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンを含むイオン性液体を用いると、ナトリウム溶融塩電池の保存時および充放電サイクルを繰り返す際に、電池内部でガスが発生する。これにより、充放電容量が徐々に減少する。
本発明者らは、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンを含む様々なイオン性液体の不純物を分析するとともに、分析したイオン性液体を含む溶融塩電池の保存特性と充放電サイクル特性を評価した。その結果、イオン性液体には、1−メチルピロリジンが不純物として含まれていることが判明した。また、1−メチルピロリジンの濃度変化に伴って、保存特性と充放電サイクル特性が顕著に変化するという知見を得るに至った。
本発明は、上記知見に基づき達成されたものである。
すなわち、本発明の一局面は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、ナトリウム塩および前記ナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含む溶融塩電解質と、を含み、前記イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンとの塩を含み、前記溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池に関する。
また、本発明の別の局面は、ナトリウム塩および前記ナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含み、前記イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンと、の塩を含み、1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池用溶融塩電解質に関する。
また、本発明の更に別の局面は、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンと、の塩を含み、1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池用イオン性液体に関する。
本発明によれば、ナトリウム溶融塩電池の保存特性および充放電サイクル特性が向上する。
本発明の一実施形態に係る正極の正面図である。 図1のII−II線断面図である。 本発明の一実施形態に係る負極の正面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 本発明の一実施形態に係る溶融塩電池の電池ケースの一部を切り欠いた斜視図である。 図5のVI−VI線断面を概略的に示す縦断面図である。
[発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一局面は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、ナトリウム塩およびナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含む溶融塩電解質と、を含み、イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオン(以下、単にピロリジニウムカチオンとも称する)と、アニオンとの塩を含み、溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池に関する。
溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量を、質量割合で100ppm以下とすることで、イオン性液体を構成するピロリジニウムカチオンの分解に伴うガス発生が顕著に抑制される。これにより、ナトリウム溶融塩電池の保存特性および充放電サイクル特性が向上する。
ピロリジニウムカチオンの中では、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPY)が特に好ましい。MPPYは、耐熱性が高く、かつ粘度の低いイオン性液体を形成するため、溶融塩電解質の主成分として適している。
イオン性液体を構成するアニオンは、ビス(スルフォニル)イミドアニオンであることが好ましい。また、イオン性液体に溶解させるナトリウム塩は、ナトリウムイオンと、ビス(スルフォニル)イミドアニオンとの塩であることが好ましい。アニオンとして、ビス(スルフォニル)イミドアニオンを用いることで、耐熱性が高く、かつイオン伝導性の高い溶融塩電解質を得やすくなる。
正極活物質は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料であればよい。また、負極活物質は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料でもよく、金属ナトリウム、ナトリウム合金(Na−Sn合金など)、ナトリウムと合金化する金属(Snなど)でもよい。
負極活物質は、例えば難黒鉛化性炭素を含む。負極活物質として難黒鉛化性炭素を用いることで、ピロリジニウムカチオンの分解に伴うガス発生が更に効果的に抑制される。
次に、本発明の別の局面は、ナトリウム塩およびナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含み、イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンと、の塩を含み、1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池用溶融塩電解質に関する。上記溶融塩電解質を用いることで、保存特性および充放電サイクル特性に優れた溶融塩電池が得られる。
また、本発明の更に別の局面は、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンと、の塩を含み、1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池用イオン性液体に関する。上記イオン性液体を用いることで、保存特性および充放電サイクル特性に優れた溶融塩電池が得られる。
なお、イオン性液体は、ナトリウム塩との混合物として使用されるため、1−メチルピロリジンの濃度は希釈される。よって、イオン性液体における1−メチルピロリジンの含有量が質量割合で100ppm以下であれば、溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量も100ppm以下となる。
[発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施形態の詳細について説明する。
以下、ナトリウム溶融塩電池の構成要素について詳述する。
[溶融塩電解質]
溶融塩電解質は、ナトリウム塩およびナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含む。ナトリウム塩は、溶融塩電解質の溶質に相当する。イオン性液体は、ナトリウム塩を溶解させる溶媒として機能する。溶融塩電解質は、ナトリウム溶融塩電池の作動温度域で液体であればよい。
溶融塩電解質は、耐熱性が高く、不燃性を有する点にメリットがある。よって、溶融塩電解質は、ナトリウム塩とイオン性液体以外の成分を極力含まないことが望ましい。ただし、耐熱性および不燃性を大きく損なわない量の様々な添加剤を溶融塩電解質に含ませることもできる。耐熱性および不燃性を損なわないように、溶融塩電解質の90質量%以上、更には95質量%以上が、ナトリウム塩とイオン性液体により占められていることが好ましい。
イオン性液体は、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンとの塩を含む。ここで、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンは、通常、1−メチルピロリジンを原料として製造される。例えば、1−メチルピロリジンと、炭素数2〜5のアルキル基を有するハロゲン化アルキル(例えば臭化プロピルや臭化ブチル)との反応により、所望のピロリジニウムカチオンが合成される。以下は、反応式の一例である。ただし、PYはピロリジン環であり、Xはハロゲン原子であり、n=2〜5である。
CH3−PY + Cn2n+1−X ⇒ Br-・[CH3−PY−Cn2n+1+
製造されたピロリジニウムカチオンは、例えば、有機溶媒による洗浄工程などを経て、精製される。しかし、イオン性液体には、相当量の1−メチルピロリジンが不純物として残存する。よって、イオン性液体には、不可避不純物として、1−メチルピロリジンが、例えば、質量割合で500ppm程度以上含まれている。
1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である溶融塩電解質は、上記のように合成された1−メチルピロリジンを含むイオン性液体を、更に高度に精製することで得られる。1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下であるイオン性液体を用いることにより、ナトリウム塩とイオン性液体との混合物である溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量も、質量割合で100ppm以下となる。
合成されたピロリジニウムカチオン(例えばピロリジニウムカチオンとハロゲン化物イオンとの塩)もしくはこれを含むイオン性液体または溶融塩電解質中の1−メチルピロリジンの濃度を低減する方法は、特に限定されない。有効な方法としては、これらの液体を吸着剤で精製する方法や、再結晶によりイオン性液体を精製する方法などを例示できる。
吸着剤としては、活性炭、活性アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブなどを用いることができるが、特に限定されない。
なお、上記吸着剤には、通常、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属が含まれている。従って、吸着剤を通過させたピロリジニウムカチオン、イオン性液体もしくは溶融塩電解質は、リチウム溶融塩電池もしくはリチウムイオン二次電池には、使用することができない。カリウムイオン、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンがイオン性液体に溶出すると、リチウムイオン二次電池の充放電特性が大きく劣化するためである。例えば、ナトリウムおよびカリウムの酸化還元電位はリチウムよりも高いため、リチウムイオンの電池反応が阻害される。一方、ナトリウム溶融塩電池には、元来、ナトリウムイオンが含まれるため、ナトリウム溶融塩電池の充放電特性が劣化することはない。また、ナトリウムの酸化還元電池は、カリウムより高く、カリウムがナトリウム溶融塩電池の充放電特性に大きく影響することはない。
溶融塩電解質またはイオン性液体に含まれる1−メチルピロリジンの濃度は、ガスクロマトグラフィーなどの方法により、測定することができる。
次に、溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量を低減することにより、保存時および充放電サイクルの際に、溶融塩電池内でのガス発生量が低減する現象について考察する。
1−メチルピロリジンが十分に除去されていないイオン性液体を常温で放置すると、数日で、溶融塩電解質の劣化による変色が観測される。劣化した溶融塩電解質を分析すると、ピロリジニウムカチオンの分解生成物が含まれている。一方、1−メチルピロリジンが十分に除去されたイオン性液体では、上記のような溶融塩電解質の劣化による変色は観測されない。このことから、1−メチルピロリジンは、ピロリジニウムカチオンの分解反応を促進していると考えられる。ピロリジニウムカチオンが分解すると、溶融塩電解質の劣化を伴って、分解生成物であるガスが発生する。特に90℃以上の高温では、ピロリジニウムカチオンの分解反応に伴う溶融塩電解質の劣化が激しくなる。
ピロリジニウムカチオンの分解反応の詳細は不明であるが、ピロリジニウムカチオンの分解反応は、溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量が一定量を超えると、含有量によらず継続的に進行する。このことから、1−メチルピロリジンは、ピロリジニウムカチオンの分解反応の触媒として作用していると考えられる。
また、金属ナトリウムの共存下で、ガス発生が顕著になる傾向がある。よって、溶融塩電池内では、分解反応の少なくとも一部は、金属ナトリウムが関与するホフマン(Hofmann)分解反応として進行している可能性がある。
溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量は、100ppm以下であればよい。100ppm程度の含有量であれは、ピロリジニウムカチオンの分解反応は大きく抑制されるため、ガス発生が溶融塩電池の性能を大きく阻害することはない。ただし、1−メチルピロリジンの含有量は、少ないほど好ましい。例えば1−メチルピロリジンの含有量を100ppm以下、更には50ppm以下とすることで、ピロリジニウムカチオンの分解は、更に顕著に抑制される。
イオン性液体を構成するアニオンは、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、イミドアニオンなどの様々なアニオンであり得る。ホウ酸アニオンとしては、テトラフルオロホウ酸アニオンが挙げられ、リン酸アニオンとしては、ヘキサフルオロリン酸アニオンが挙げられ、イミドアニオンとしては、ビス(スルフォニル)イミドアニオンが挙げられるが、これらに限定されない。これらにうちでは、ビス(スルフォニル)イミドアニオンが好ましい。ビス(スルフォニル)イミドアニオンを用いることで、耐熱性が高く、かつイオン伝導性の高い溶融塩電解質を得ることが容易となる。
一方、ビス(スルフォニル)イミドアニオンは、ピロリジニウムカチオンの活性を高めて分解反応を促進する側面を有する。従って、イオン性液体が、ピロリジニウムカチオンとビス(スルフォニル)イミドアニオンとの塩である場合、ガス発生量を低減するには、溶融塩電解質に含まれる1−メチルピロリジンの含有量を低減することが特に重要となる。
イオン性液体に溶解させるナトリウム塩は、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、イミドアニオンなどの様々なアニオンと、ナトリウムイオンとの塩であり得る。ここでも、イミドアニオンとしては、ビス(スルフォニル)イミドアニオンが好ましい。ナトリウムイオンとビス(スルフォニル)イミドアニオンとの塩を用いることで、耐熱性が高く、かつイオン伝導性の高い溶融塩電解質を得ることが容易となる。
溶融塩電解質に含まれるナトリウムイオン濃度(ナトリウム塩が一価の塩であれば、ナトリウム塩濃度と同義)は、溶融塩電解質に含まれるカチオンの2モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることが更に好ましく、8モル%以上であることが特に好ましい。このような溶融塩電解質は、優れたナトリウムイオン伝導性を有し、高レートの電流で充放電を行う場合でも、高容量を達成することが容易となる。また、ナトリウムイオン濃度は、溶融塩電解質に含まれるカチオンの30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることが更に好ましく、15モル%以下であることが特に好ましい。このような溶融塩電解質は、イオン性液体の含有量が多く、低粘度であり、高レートの電流で充放電を行う場合でも、高容量を達成することが容易となる。
上記のナトリウムイオン濃度の好ましい上限と下限は、任意に組み合わせて、好ましい範囲を設定することができる。例えば、ナトリウムイオン濃度の好ましい範囲は、2〜20モル%でもあり得るし、5〜15モル%でもあり得る。
メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンの具体例としては、1−メチル−1−エチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPY+:1-methyl-1-propylpyrrolidinium cation)、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン(MBPY+:1-butyl-1-methylpyrrolidinium cation)、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。これらのうちでは、特に電気化学的安定性が高いことから、MPPY+、MBPY+などが好ましい。
イオン性液体は、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンとアニオンとの塩以外の、有機オニウムカチオンとアニオンとの塩(以下、第二成分とも称する)を含むこともできる。ただし、1−メチルピロリジンの含有量を低減することによるガス発生抑制の効果は、イオン性液体の30質量%以上が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンとアニオンとの塩である場合に顕著となる。従って、本発明は、イオン性液体の30質量%以上、更には50質量%以上が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンとアニオンとの塩である場合に特に有効である。
第二成分を構成する有機オニウムカチオンとしては、上記ピロリジニウムカチオン以外の窒素含有オニウムカチオン;イオウ含有オニウムカチオン;リン含有オニウムカチオンなどが例示できる。これらのうちでは、特に窒素含有オニウムカチオンが好ましく、脂肪族アミン、脂環族アミンや芳香族アミンに由来するカチオン(第4級アンモニウムカチオンなど)の他、上記ピロリジニウムカチオン以外の窒素含有へテロ環を有する有機オニウムカチオン(つまり、環状アミンに由来するカチオン)などが用いられる。
第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン(TEA+:ethyltrimethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA+:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン(テトラC1-10アルキルアンモニウムカチオンなど)などが例示できる。
イオウ含有オニウムカチオンとしては、第3級スルホニウムカチオン、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオンなどのトリアルキルスルホニウムカチオン(例えば、トリC1-10アルキルスルホニウムカチオンなど)などが例示できる。
リン含有オニウムカチオンとしては、第4級ホスホニウムカチオン、例えば、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオンなどのテトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラC1-10アルキルホスホニウムカチオン);トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、ジエチルメチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン、トリヘキシル(メトキシエチル)ホスホニウムカチオンなどのアルキル(アルコキシアルキル)ホスホニウムカチオン(例えば、トリC1-10アルキル(C1-5アルコキシC1-5アルキル)ホスホニウムカチオンなど)などが挙げられる。なお、アルキル(アルコキシアルキル)ホスホニウムカチオンにおいて、リン原子に結合したアルキル基およびアルコキシアルキル基の合計個数は、4個であり、アルコキシアルキル基の個数は、好ましくは1または2個である。
窒素含有ヘテロ環骨格としては、イミダゾリン、イミダゾール、ピリジン、ピペリジンなど、環の構成原子として1または2個の窒素原子を有する5〜8員ヘテロ環;モルホリンなど、環の構成原子として1または2個の窒素原子と他のヘテロ原子(酸素原子、イオウ原子など)とを有する5〜8員ヘテロ環が例示できる。
環の構成原子である窒素原子は、アルキル基などの有機基を置換基として有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの炭素数が1〜10個のアルキル基が例示できる。アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましく、1、2または3であるのが特に好ましい。
ピリジン骨格を有する有機オニウムカチオンの具体例としては、1−メチルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−プロピルピリジニウムカチオンなどの1−アルキルピリジニウムカチオンが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基を有するピリジニウムカチオンが好ましい。
イミダゾリン骨格を有する有機オニウムカチオンの具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI+: 1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI+:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。これらのうち、EMI+、BMI+などのメチル基と炭素数2〜4のアルキル基とを有するイミダゾリウムカチオンが好ましい。
イオン性液体は、ナトリウム以外のアルカリ金属カチオンと、ビス(スルフォニル)イミドアニオンなどのアニオンとの塩を含んでもよい。このようなアルカリ金属カチオンとしては、カリウム、リチウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられる。これらのうちでは、カリウムが好ましい。
第二成分を構成するアニオンとしては、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、イミドアニオンなどの様々なアニオンが挙げられるが、ここでも、ビス(スルフォニル)イミドアニオンが好ましい。
イオン性液体やナトリウム塩のアニオンを構成するビス(スルフォニル)イミドアニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン[(N(SO2F)2 -)]、(フルオロスルフォニル)(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオン[(フルオロスルフォニル)(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドアニオン((FSO2)(CF3SO2)N-)など]、ビス(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオン[ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドアニオン(N(SO2CF32 -)、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミドアニオン(N(SO2252 -)など]などが挙げられる。パーフルオロアルキル基の炭素数は、例えば、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜4、特に1、2または3である。これらのアニオンは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
ビス(スルフォニル)イミドアニオンの中では、特にビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン(FSI-:bis(fluorosulfonyl)imide anion));ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドアニオン(TFSI-:bis(trifluoromethylsulfonyl)imide anion)、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミドアニオン、(フルオロスルフォニル)(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドアニオンなどのビス(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオン(PFSI-:bis(pentafluoroethylsulfonyl)imide anion)などが好ましい。
溶融塩電解質の具体例としては、ナトリウム塩としてナトリウムイオンとFSI-との塩(Na・FSI)を含み、イオン性液体としてMPPY+とFSI-との塩(MPPY・FSI)を含む溶融塩電解質や、ナトリウム塩としてナトリウムイオンとTFSI-との塩(Na・TFSI)を含み、イオン性液体としてMPPY+とTFSI-との塩(MPPY・TFSI)を含む溶融塩電解質などが挙げられる。
溶融塩電解質の融点、粘度およびイオン伝導性のバランスを考慮すると、ナトリウム塩とイオン性液体とのモル比(ナトリウム塩/イオン性液体)は、例えば98/2〜80/20であればよく、95/5〜85/15であることが好ましい。
[正極]
図1は、本発明の一実施形態に係る正極の正面図であり、図2は図1のII−II線断面図である。
ナトリウム溶融塩電池用正極2は、正極集電体2aおよび正極集電体2aに付着した正極活物質層2bを含む。正極活物質層2bは、正極活物質を必須成分として含み、任意成分として導電性炭素材料、結着剤等を含んでもよい。
正極活物質としては、ナトリウム含有金属酸化物を用いることが好ましい。ナトリウム含有金属酸化物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。ナトリウム含有金属酸化物の粒子の平均粒径(体積粒度分布の累積体積50%における粒径D50)は、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。平均粒径D50は、例えば、レーザ回折式の粒度分布測定装置を用いて、レーザ回折散乱法によって測定される値であり、以下も同様である。
ナトリウム含有金属酸化物としては、例えば、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)を用いることができる。亜クロム酸ナトリウムは、CrまたはNaの一部が他元素で置換されていてもよく、例えば、一般式:Na1-x1 xCr1-y2 y2(0≦x≦2/3、0≦y≦0.7、M1およびM2は、それぞれ独立にCrおよびNa以外の金属元素である)で表される化合物であることが好ましい。上記一般式において、xは、0≦x≦0.5を満たすことがより好ましく、M1およびM2は、例えばNi、Co、Mn、FeおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、M1はNaサイト、M2はCrサイトを占める元素である。
ナトリウム含有金属酸化物として、鉄マンガン酸ナトリウム(Na2/3Fe1/3Mn2/32など)を用いることもできる。鉄マンガン酸ナトリウムのFe、MnまたはNaの一部は、他元素で置換されていてもよい。例えば、一般式:Na2/3-x3 xFe1/3-yMn2/3-z4 y+z2(−1/3≦x≦2/3、0≦y≦1/3、0≦z≦1/3、M3およびM4は、それぞれ独立にFe、MnおよびNa以外の金属元素である)で表される化合物であることが好ましい。上記の一般式において、xは、0≦x≦1/3を満たすことがより好ましい。M3は、例えばNi、Co、Mn、FeおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、M4は、Ni、CoおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、M3はNaサイト、M4はFeまたはMnサイトを占める元素である。
また、ナトリウム含有金属酸化物として、Na2FePO4F、NaVPO4F、NaCoPO4、NaNiPO4、NaMnPO4、NaMn1.5Ni0.54、NaMn0.5Ni0.52などを用いることもできる。
正極に含ませる導電性炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。導電性炭素材料は、良好な導電経路を確保しやすいものの、正極活物質に残存する炭酸ナトリウムとの間での副反応の原因となる。しかし、本発明においては、炭酸ナトリウムの残存量を大きく低減しているため、副反応を十分に抑制しつつ、良好な導電性を確保することができる。導電性炭素材料のうちでは、少量使用で十分な導電経路を形成しやすいことから、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックの例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等を挙げることができる。導電性炭素材料の量は、正極活物質100質量部あたり、2〜15質量部が好ましく、3〜8質量部がより好ましい。
結着剤は、正極活物質同士を結合させるとともに、正極活物質を正極集電体に固定する役割を果たす。結着剤としては、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を用いることができる。結着剤の量は、正極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。
正極集電体2aとしては、金属箔、金属繊維製の不織布、金属多孔体シートなどが用いられる。正極集電体を構成する金属としては、正極電位で安定であることから、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましいが、特に限定されない。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウム以外の金属成分(例えばFe、Si、Ni、Mnなど)は0.5質量%以下であることが好ましい。正極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属繊維の不織布や金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。正極集電体2aには、集電用のリード片2cを形成してもよい。リード片2cは、図1に示すように、正極集電体と一体に形成してもよく、別途形成したリード片を溶接などで正極集電体に接続してもよい。
[負極]
図3は、本発明の一実施形態に係る負極の正面図であり、図4は図3のIV−IV線断面図である。
負極3は、負極集電体3aおよび負極集電体3aに付着した負極活物質層3bを含む。負極活物質層3bには、例えば、金属ナトリウム、ナトリウム合金、ナトリウムと合金化する金属を用いることができる。なお、溶融塩電解質に含まれる1−メチルピロリジンの含有量は100ppm以下であるため、金属ナトリウム等の存在下でもピロリジニウムカチオンのホフマン分解は顕著に抑制される。このような負極は、例えば、第1金属により形成された負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部を被覆する第2金属とを含む。ここで、第1金属は、ナトリウムと合金化しない金属であり、第2金属は、ナトリウムと合金化する金属である。
第1金属により形成された負極集電体としては、金属箔、金属繊維製の不織布、金属多孔体シートなどが用いられる。第1金属としては、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金などが好ましい。これらのうち、軽量性に優れる点では、アルミニウムやアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム合金は、例えば、正極集電体として例示したものと同様のアルミニウム合金を用いてもよい。負極集電体となる金属箔の厚さは、例えば10〜50μmであり、金属繊維の不織布や金属多孔体シートの厚さは、例えば100〜600μmである。負極集電体3aには、集電用のリード片3cを形成してもよい。リード片3cは、図3に示すように、負極集電体と一体に形成してもよく、別途形成したリード片を溶接などで負極集電体に接続してもよい。
第2金属としては、亜鉛、亜鉛合金、錫、錫合金、ケイ素、ケイ素合金などを挙げることができる。これらのうち、溶融塩に対する濡れ性が良好である点において、亜鉛や亜鉛合金が好ましい。第2金属により形成された負極活物質層の厚さは、例えば0.05〜1μmが好適である。なお、亜鉛合金または錫合金における亜鉛または錫以外の金属成分(例えばFe、Ni、Si、Mnなど)は0.5質量%以下とすることが好ましい。
好ましい負極の一形態としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金(第1金属)により形成された負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部を被覆する亜鉛、亜鉛合金、錫または錫合金(第2金属)とを具備する負極を例示することができる。このような負極は、高容量であり、長期間に亘って劣化しにくい。
第2金属による負極活物質層は、例えば、第2金属のシートを負極集電体に貼り付けたり、圧着したりすることにより得ることができる。また、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相法により、第2金属をガス化させて負極集電体に付着させてもよく、あるいは、めっき法などの電気化学的方法により、第2金属の微粒子を負極集電体に付着させてもよい。気相法やめっき法によれば、薄く均一な負極活物質層を形成することができる。
また、負極活物質層3bは、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する負極活物質を必須成分として含み、任意成分として結着剤、導電材等を含む合剤層であってもよい。負極に用いる結着剤および導電材としても、正極の構成要素として例示した材料を用いることができる。結着剤の量は、負極活物質100質量部あたり、1〜10質量部が好ましく、3〜5質量部がより好ましい。導電材の量は、負極活物質100質量部あたり、5〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。
電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する負極活物質としては、熱的安定性や電気化学的安定性の観点から、ナトリウム含有チタン化合物、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン:non-graphitizable carbon)等が好ましく用いられる。
ナトリウム含有チタン化合物としては、チタン酸ナトリウムが好ましく、より具体的には、Na2Ti37およびNa4Ti512よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、チタン酸ナトリウムのTiまたはNaの一部を他元素で置換してもよい。例えば、Na2-x5 xTi3-y6 y7(0≦x≦3/2、0≦y≦8/3、M5およびM6は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)や、Na4-x7 xTi5-y8 y12(0≦x≦11/3、0≦y≦14/3、M7およびM8は、それぞれ独立にTiおよびNa以外の金属元素であって、例えばNi、Co、Mn、Fe、AlおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種である)などを用いることもできる。ナトリウム含有チタン化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。ナトリウム含有チタン化合物は、難黒鉛化性炭素と組み合わせて用いてもよい。なお、M5およびM7はNaサイト、M6およびM8はTiサイトを占める元素である。
難黒鉛化性炭素とは、不活性雰囲気中、高温(例えば、3000℃)で加熱しても黒鉛構造が発達しない炭素材料であり、微小な黒鉛の結晶がランダムな方向に配置され、結晶層と結晶層との間にナノオーダーの空隙を有する材料をいう。代表的なアルカリ金属であるナトリウムイオンの直径は、0.95オングストロームであることから、空隙の大きさは、これより十分に大きいことが好ましい。
難黒鉛化性炭素の平均粒径(体積粒度分布の累積体積50%における粒径D50)は、例えば3〜20μmであればよく、5〜15μmであることが、負極における負極活物質の充填性を高め、かつ電解質(溶融塩)との副反応を抑制する観点から望ましい。また、難黒鉛化性炭素の比表面積は、ナトリウムイオンの受け入れ性を確保するとともに、電解質との副反応を抑制する観点から、例えば1〜10m2/gであればよく、3〜8m2/gであることが好ましい。難黒鉛化性炭素は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
炭素材料における黒鉛型結晶構造の発達の程度の指標の1つとして、炭素材料のX線回折(XRD)スペクトルで測定される(002)面の平均面間隔d002が使用されている。一般に、黒鉛に分類される炭素材料の平均面間隔d002は0.337nm未満と小さいが、乱層構造を有する難黒鉛化性炭素の平均面間隔d002は大きく、例えば、0.37nm以上である。難黒鉛化性炭素の平均面間隔d002の上限は、特に制限されないが、平均面間隔d002を、例えば、0.42nm以下とすることができる。難黒鉛化性炭素の平均面間隔d002は、例えば、0.37〜0.42nmであり、0.38〜0.4nmであってもよい。
上記の中でも、負極活物質は、難黒鉛化性炭素やナトリウム含有チタン化合物を含むことが好ましい。合剤層に含ませる負極活物質の80質量%以上、好ましくは100質量%を難黒鉛化性炭素やナトリウム含有チタン化合物とすることで、ピロリジニウムカチオンの分解に伴うガス発生が更に効果的に抑制される。難黒鉛化性炭素やナトリウム含有チタン化合物は、電気化学的にナトリウムイオンを可逆的に吸蔵するとともに放出するため、負極における金属ナトリウムの析出が起りにくい。よって、ピロリジニウムカチオンのホフマン分解反応が更に進行しにくくなると考えられる。
[セパレータ]
正極と負極との間には、セパレータを配置することができる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択すればよいが、溶融塩電解質との副反応を抑制する観点からは、ガラス繊維、シリカ含有ポリオレフィン、フッ素樹脂、アルミナ、ポリフェニレンサルファイト(PPS)などを用いることが好ましい。なかでもガラス繊維の不織布は、安価であり、耐熱性も高い点で好ましい。また、シリカ含有ポリオレフィンやアルミナは、耐熱性に優れる点で好ましい。また、フッ素樹脂やPPSは、耐熱性と耐腐食性の点で好ましい。特にPPSは、溶融塩に含まれるフッ素に対する耐性に優れている。
セパレータの厚さは、10μm〜500μm、更には20〜50μmであることが好ましい。この範囲の厚さであれば、内部短絡を有効に防止でき、かつ電極群に占めるセパレータの容積占有率を低く抑えることができるため、高い容量密度を得ることができるからである。
[電極群]
ナトリウム溶融塩電池は、上記の正極と負極を含む電極群および溶融塩電解質を、電池ケースに収容した状態で用いられる。電極群は、正極と負極とを、これらの間にセパレータを介在させて積層または捲回することにより形成される。このとき、金属製の電池ケースを用いるとともに、正極および負極の一方を電池ケースと導通させることにより、電池ケースの一部を第1外部端子として利用することができる。一方、正極および負極の他方は、電池ケースと絶縁された状態で電池ケース外に導出された第2外部端子と、リード片などを用いて接続される。
次に、本発明の一実施形態に係るナトリウム溶融塩電池の構造について説明する。ただし、本発明に係るナトリウム溶融塩電池の構造は、以下の構造に限定されるものではない。
図5は、電池ケースの一部を切り欠いたナトリウム溶融塩電池100の斜視図であり、図6は、図5におけるVI−VI線断面を概略的に示す縦断面図である。
溶融塩電池100は、積層型の電極群11、電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋部13とで構成されている。溶融塩電池100を組み立てる際には、まず、電極群11が構成され、電池ケース10の容器本体12に挿入される。その後、容器本体12に溶融塩電解質を注液し、電極群11を構成するセパレータ1、正極2および負極3の空隙に溶融塩電解質を含浸させる工程が行われる。あるいは、溶融塩電解質に電極群を含浸し、その後、溶融塩電解質を含んだ状態の電極群を容器本体12に収容してもよい。
蓋部13の一方側寄りには、電池ケース10と導通した状態で蓋部13を貫通する外部正極端子14が設けられ、蓋部13の他方側寄りの位置には、電池ケース10と絶縁された状態で蓋部13を貫通する外部負極端子15が設けられている。蓋部13の中央には、電子ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。
積層型の電極群11は、いずれも矩形のシート状である、複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。図6では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群11内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2cを形成してもよい。複数の正極2の正極リード片2cを束ねるとともに、電池ケース10の蓋部13に設けられた外部正極端子14に接続することにより、複数の正極2が並列に接続される。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3cを形成してもよい。複数の負極3の負極リード片3cを束ねるとともに、電池ケース10の蓋部13に設けられた外部負極端子15に接続することにより、複数の負極3が並列に接続される。正極リード片2cの束と負極リード片3cの束は、互いの接触を避けるように、電極群11の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子14および外部負極端子15は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められ、ナット7を回転することにより蓋部13に対してナット7が固定される。各端子の電池ケース内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋部13の内面に、ワッシャ9を介して固定される。
[実施例]
次に、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
まず、イオン性液体と1−メチルピロリジン含有量との関係を調べた。
(イオン性液体の検討)
《比較例1》
市販の1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス(フルオロスルフォニル)イミド(MPPY・FSI:イオン性液体A1)を準備した。イオン性液体A1の1−メチルピロリジンの含有量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、120ppmであった。
《比較例2》
市販の1−メチル−1−ブチルピロリジニウム・ビス(フルオロスルフォニル)イミド(MBPY・FSI:イオン性液体A2)を準備した。イオン性液体A2の1−メチルピロリジンの含有量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、190ppmであった。
《実施例1〜3》
市販のMPPY・FSI(イオン性液体A1)を、ゼオライト(和光純薬工業(株)製のHS−320)を充填したカラムに通して十分に精製した。ただし、カラムの長さを調整して、イオン性液体に含まれる1−メチルピロリジンの濃度を変化させた。これにより、1−メチルピロリジンの含有量が質量割合で10ppm未満のイオン性液体B1(実施例1)、50ppmのイオン性液体B2(実施例2)および98ppmのイオン性液体B3(実施例3)を調製した。
《実施例4〜6》
市販のMBPY・FSI(イオン性液体A2)を、ゼオライト(和光純薬工業(株)製のHS−320)を充填したカラムに通して十分に精製した。ただし、カラムの長さを調整して、イオン性液体に含まれる1−メチルピロリジンの濃度を変化させた。これにより、1−メチルピロリジンの含有量が質量割合で10ppm未満のイオン性液体B4(実施例4)、50ppmのイオン性液体B5(実施例5)および98ppmのイオン性液体B6(実施例6)を調製した。
[評価1]
実施例1〜6および比較例1、2のイオン性液体を90℃の恒温室内に24時間保存し、保存前後のイオン性液体の変色の度合いを調べた。実施例1〜3および比較例1の結果を表1に示す。実施例4〜6および比較例2の結果を表2に示す。
Figure 2014220199
Figure 2014220199
表1、2の結果より、イオン性液体だけを放置した場合でも、1−メチルピロリジンの含有量が100ppmを超える場合には、ピロリジニウムカチオンの分解が進行することが理解できる。一方、1−メチルピロリジンの含有量を100ppm以下とすることで、ピロリジニウムカチオンの分解が顕著に抑制されることも理解できる。
次に、溶融塩電解質と1−メチルピロリジン含有量との関係を調べた。
(溶融塩電解質の検討)
《比較例3》
ナトリウム・ビス(フルオロスルフォニル)イミド(Na・FSI)と、1−メチルピロリジンを質量割合で120ppm含むMPPY・FSI(イオン性液体A1)とのモル比10:90の混合物からなる溶融塩電解質A1を調製した。
《比較例4》
ナトリウム・ビス(フルオロスルフォニル)イミド(Na・FSI)と、1−メチルピロリジンを質量割合で190ppm含むMBPY・FSI(イオン性液体A2)とのモル比10:90の混合物からなる溶融塩電解質A2を調製した。
《実施例7〜9》
ナトリウム・ビス(フルオロスルフォニル)イミド(Na・FSI)と、1−メチルピロリジンを質量割合で10ppm未満、50ppmmまたは98ppm含むMPPY・FSI(イオン性液体B1、B2またはB3)とのモル比10:90の混合物からなる溶融塩電解質B1(実施例7)、B2(実施例8)およびB3(実施例9)を調製した。
《実施例10〜12》
ナトリウム・ビス(フルオロスルフォニル)イミド(Na・FSI)と、1−メチルピロリジンを質量割合で10ppm未満、50ppmmまたは98ppm含むMBPY・FSI(イオン性液体B4、B5またはB6)とのモル比10:90の混合物からなる溶融塩電解質B4(実施例10)、B5(実施例11)およびB6(実施例12)を調製した。
[評価2]
実施例7〜12および比較例3、4の溶融塩電解質を90℃の恒温室内に24時間保存し、保存前後の溶融塩電解質の変色の度合いを調べた。実施例7〜9および比較例3の結果を表3に示す。実施例10〜12および比較例4の結果を表4に示す。
Figure 2014220199
Figure 2014220199
表3、4の結果より、イオン性液体をナトリウム塩と混合した場合にも、イオン性液体だけを放置した場合と同様の現象がみられることが理解できる。
《比較例5》
(正極の作製)
平均粒径10μmのNaCrO2(正極活物質)85質量部、アセチレンブラック(導電性炭素材料)10質量部およびポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量部を、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、正極ペーストを調製した。得られた正極ペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥させ、圧延し、所定の寸法に裁断して、厚さ80μmの正極活物質層を有する正極を作製した。正極は、直径12mmのコイン型または30mm×60mmの矩形に打ち抜いた。
(負極の作製)
平均粒子径9μm、比表面積6m2/g、真密度1.52g/cm3の難黒鉛化性炭素(負極活物質)92質量%およびポリイミド(結着剤)8質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、負極ペーストを調製した。得られた負極ペーストを、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、厚さ30μmの負極合剤層を有する総厚48μmの負極を作製した。負極は、直径14mmのコイン型または32mm×62mmの矩形に打ち抜いた。
(セパレータ)
厚さ50μm、空隙率90%のポリオレフィン製のセパレータを準備した。セパレータも、直径16mmのコイン型または34mm×64mmの矩形に打ち抜いた。
(コイン型ナトリウム溶融塩電池の作製)
コイン型の正極、負極およびセパレータを、0.3Paの減圧下で、90℃以上で加熱して十分に乾燥させた。その後、浅底の円筒型のSUS/Alクラッド製容器に、コイン型の正極を載置し、その上にコイン型のセパレータを介してコイン型の負極を載置し、所定量の溶融塩電解質A1を容器内に注液した。その後、周縁に絶縁ガスケットを具備する浅底の円筒型のSUS製封口板で、容器の開口を封口した。これにより、容器底面と封口板との間で、正極、セパレータおよび負極からなる電極群に圧力を印加し、部材間の接触を確保した。こうして、設計容量1.5mAhのコイン型ナトリウム溶融塩電池A1を作製した。
(矩形ナトリウム溶融塩電池の作製)
矩形の正極、負極およびセパレータを、0.3Paの減圧下で、90℃以上で加熱して十分に乾燥させた。その後、正極と負極にそれぞれリード片を接続し、正極と負極とをセパレータを介して対向配置し、平坦な電極群を形成した。次に、バリア層としてアルミニウム箔を具備するラミネートフィルムの袋体の容器に、電極群を収容し、所定量の溶融塩電解質A1を容器内に注液した。その後、減圧雰囲気中で、袋体の入口を溶着させて密閉した。ただし、容器の溶着部分からリード片をそれぞれ導出させた。次に、電極群を厚さ方向に加圧し、部材間の接触を確保した。こうして、設計容量24mAhの矩形ナトリウム溶融塩電池A1を作製した。
《実施例13〜15》
溶融塩電解質A1の代わりに、溶融塩電解質B1、B2またはB3を用いたこと以外、比較例5と同様に、コイン型または矩形のナトリウム溶融塩電池B1(実施例13)、B2(実施例14)およびB3(実施例15)をそれぞれ作製した。
《比較例6》
溶融塩電解質A1の代わりに溶融塩電解質A2を用いたこと以外、比較例5と同様に、コイン型または矩形のナトリウム溶融塩電池A2を作製した。
《実施例16〜18》
溶融塩電解質A1の代わりに、溶融塩電解質B4、B5またはB6を用いたこと以外、比較例5と同様に、コイン型または矩形のナトリウム溶融塩電池B4(実施例16)、B5(実施例17)およびB6(実施例18)をそれぞれ作製した。
[評価3]
実施例13〜18および比較例5、6のコイン型ナトリウム溶融塩電池を、恒温室内で90℃になるまで加熱し、温度が安定した状態で、以下の(1)〜(3)の条件を1サイクルとして、100サイクルの充放電を行い、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目または100サイクル目の放電容量の割合(容量維持率)を求めた。
(1)充電電流0.2Cで、充電終止電圧3.5Vまで充電
(2)3.5Vの定電圧で終止電流0.01Cまで充電
(3)放電電流0.2Cで、放電終止電圧2.5Vまで放電
実施例13〜15および比較例5の容量維持率の結果を表5に示す。また、実施例16〜18および比較例6の容量維持率の結果を表6に示す。
Figure 2014220199
Figure 2014220199
表5、6より、溶融塩電解質に含まれる1−メチルピロリジンの含有量が100ppm以下の場合に、容量維持率が大きく向上することが理解できる。
[評価4]
実施例13〜18および比較例5、6の矩形のナトリウム溶融塩電池の充放電を1000サイクル繰り返し、1サイクル目の電池厚みに対する300サイクル目の電池厚みの増加率を求めた。
Figure 2014220199
Figure 2014220199
表7、8より、溶融塩電解質に含まれる1−メチルピロリジンの含有量が100ppm以下の場合に、ガス発生を抑制する顕著な効果が得られることが理解できる。
本発明に係るナトリウム溶融塩電池は、保存特性および充放電サイクル特性に優れることから、長期的な信頼性が求められる用途、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電源として有用である。
1:セパレータ、2:正極、2a:正極集電体、2b:正極活物質層、2c:正極リード片、3:負極、3a:負極集電体、3b:負極活物質層、3c:負極リード片、7:ナット、8:鍔部、9:ワッシャ、10:電池ケース、11:電極群、12:容器本体、13:蓋部、14:外部正極端子、15:外部負極端子、16:安全弁、100:溶融塩電池
第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA+tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA+:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン(テトラC1-10アルキルアンモニウムカチオンなど)などが例示できる。
イミダゾール骨格を有する有機オニウムカチオンの具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI+: 1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI+:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。これらのうち、EMI+、BMI+などのメチル基と炭素数2〜4のアルキル基とを有するイミダゾリウムカチオンが好ましい。
ビス(スルフォニル)イミドアニオンの中では、特にビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン(FSI-:bis(fluorosulfonyl)imide anion));ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドアニオン(TFSI-:bis(trifluoromethylsulfonyl)imide anion)、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミドアニオン、(フルオロスルフォニル)(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドアニオンなどのビス(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオン(PFSI-:bis(perfluoroalkylsulfonyl)imide anion)などが好ましい。
溶融塩電解質の融点、粘度およびイオン伝導性のバランスを考慮すると、ナトリウム塩とイオン性液体とのモル比(ナトリウム塩/イオン性液体)は、例えば982080であればよく、951585であることが好ましい。
ナトリウム含有金属酸化物として、鉄マンガン酸ナトリウム(Na2/3Fe1/3Mn2/32など)を用いることもできる。鉄マンガン酸ナトリウムのFe、MnまたはNaの一部は、他元素で置換されていてもよい。例えば、一般式:Na2/3-x3 xFe1/3-yMn2/3-z4 y+z2≦x2/3、0≦y1/3、0≦z≦1/3、M3およびM4は、それぞれ独立にFe、MnおよびNa以外の金属元素である)で表される化合物であることが好ましい。上記の一般式において、xは、0≦x≦1/3を満たすことがより好ましい。M3は、例えばNi、CoおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、M4は、Ni、CoおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、M3はNaサイト、M4はFeまたはMnサイトを占める元素である。
正極に含ませる導電性炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。導電性炭素材料は、良好な導電経路を確保するために用いられる。導電性炭素材料のうちでは、少量使用で十分な導電経路を形成しやすいことから、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックの例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等を挙げることができる。導電性炭素材料の量は、正極活物質100質量部あたり、2〜15質量部が好ましく、3〜8質量部がより好ましい。
蓋部13の一方側寄りには、電池ケース10と絶縁した状態で蓋部13を貫通する外部正極端子14が設けられ、蓋部13の他方側寄りの位置には、電池ケース10と導通した状態で蓋部13を貫通する外部負極端子15が設けられている。蓋部13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。

Claims (7)

  1. 正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    ナトリウム塩および前記ナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含む溶融塩電解質と、を含み、
    前記イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンとの塩を含み、
    前記溶融塩電解質における1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池。
  2. 前記ピロリジニウムカチオンが、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオンである、請求項1に記載のナトリウム溶融塩電池。
  3. 前記アニオンが、ビス(スルフォニル)イミドアニオンである、請求項1または2に記載のナトリウム溶融塩電池。
  4. 前記ナトリウム塩が、ナトリウムイオンと、ビス(スルフォニル)イミドアニオンと、の塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナトリウム溶融塩電池。
  5. 前記負極活物質が、難黒鉛化性炭素を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナトリウム溶融塩電池。
  6. ナトリウム塩および前記ナトリウム塩を溶解させるイオン性液体を含み、
    前記イオン性液体が、メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンと、の塩を含み、
    1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池用溶融塩電解質。
  7. メチル基および炭素数2〜5のアルキル基を1位に有するピロリジニウムカチオンと、アニオンと、の塩を含み、
    1−メチルピロリジンの含有量が、質量割合で100ppm以下である、ナトリウム溶融塩電池用イオン性液体。
JP2013100495A 2013-05-10 2013-05-10 ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体 Pending JP2014220199A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013100495A JP2014220199A (ja) 2013-05-10 2013-05-10 ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体
CN201480025769.7A CN105190982A (zh) 2013-05-10 2014-03-04 钠熔盐电池和用于其中的熔盐电解质或离子液体
KR1020157031200A KR20160006684A (ko) 2013-05-10 2014-03-04 나트륨 용융염 전지 및 이것에 이용하는 용융염 전해질 또는 이온성 액체
US14/890,122 US20160111752A1 (en) 2013-05-10 2014-03-04 Sodium molten-salt battery and molten-salt electrolyte or ionic liquid used therein
PCT/JP2014/055397 WO2014181571A1 (ja) 2013-05-10 2014-03-04 ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013100495A JP2014220199A (ja) 2013-05-10 2013-05-10 ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014220199A true JP2014220199A (ja) 2014-11-20

Family

ID=51867057

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013100495A Pending JP2014220199A (ja) 2013-05-10 2013-05-10 ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20160111752A1 (ja)
JP (1) JP2014220199A (ja)
KR (1) KR20160006684A (ja)
CN (1) CN105190982A (ja)
WO (1) WO2014181571A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015115221A (ja) * 2013-12-12 2015-06-22 国立大学法人鳥取大学 ナトリウムイオン電池用電解液およびナトリウムイオン電池

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111384360B (zh) * 2018-12-27 2022-02-22 财团法人工业技术研究院 金属离子电池
JP7698471B2 (ja) 2021-05-26 2025-06-25 Tdk株式会社 リチウムイオン二次電池

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007207675A (ja) * 2006-02-03 2007-08-16 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd イオン性液体を用いたリチウム二次電池
JP2008179622A (ja) * 2006-12-25 2008-08-07 Nichicon Corp イオン性化合物
JP2012134126A (ja) * 2010-11-30 2012-07-12 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩電池

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3974508B2 (ja) * 2002-11-29 2007-09-12 本田技研工業株式会社 電気二重層キャパシタ
CA2517248A1 (fr) * 2005-08-29 2007-02-28 Hydro-Quebec Procede de purification d'un electrolyte, electrolyte ainsi obtenu et ses utilisations
JP4158939B2 (ja) * 2006-07-27 2008-10-01 株式会社日本触媒 電解液材料および電解液
JP2011192474A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Sumitomo Electric Ind Ltd 電池用負極材料、電池用負極前駆体材料、及び電池
KR20130083837A (ko) * 2010-05-24 2013-07-23 스미토모덴키고교가부시키가이샤 용융염 전지
JP6065443B2 (ja) * 2012-08-01 2017-01-25 住友電気工業株式会社 耐熱電池およびその充放電方法
US20150229001A1 (en) * 2012-08-21 2015-08-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Molten salt composition and secondary battery using the molten salt composition

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007207675A (ja) * 2006-02-03 2007-08-16 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd イオン性液体を用いたリチウム二次電池
JP2008179622A (ja) * 2006-12-25 2008-08-07 Nichicon Corp イオン性化合物
JP2012134126A (ja) * 2010-11-30 2012-07-12 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015115221A (ja) * 2013-12-12 2015-06-22 国立大学法人鳥取大学 ナトリウムイオン電池用電解液およびナトリウムイオン電池

Also Published As

Publication number Publication date
KR20160006684A (ko) 2016-01-19
US20160111752A1 (en) 2016-04-21
WO2014181571A1 (ja) 2014-11-13
CN105190982A (zh) 2015-12-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2015022792A1 (ja) リチウムイオン二次電池、充放電システムおよび充電方法
US20160126595A1 (en) Molten salt battery
WO2015093208A1 (ja) 溶融塩電池、充放電方法および充放電システム
WO2014171196A1 (ja) 溶融塩電解質及びナトリウム溶融塩電池
CN105027348B (zh) 钠熔融盐电池用正极活性材料、钠熔融盐电池用正极和钠熔融盐电池
JP6252220B2 (ja) ナトリウムイオン二次電池、充放電方法および充放電システム
JP6194633B2 (ja) ナトリウム溶融塩電池
WO2014181571A1 (ja) ナトリウム溶融塩電池およびこれに用いる溶融塩電解質またはイオン性液体
WO2015194372A1 (ja) ナトリウムイオン二次電池
JP2016038945A (ja) 溶融塩電解質および溶融塩電池
JP2015118846A (ja) 溶融塩電池およびその充放電方法
JP2014238935A (ja) ナトリウム溶融塩電池に用いるイオン液体および溶融塩電解質、ナトリウム溶融塩電池、ならびにナトリウム溶融塩電池用溶融塩電解質の製造方法
JP2016038946A (ja) 溶融塩電池およびその製造方法
JP4701923B2 (ja) イオン伝導材料およびその利用
JP2015022907A (ja) ナトリウム溶融塩電池
JP2015046342A (ja) 溶融塩電池の製造方法および溶融塩電池
JP2016076463A (ja) 非水電解質、ナトリウムイオン二次電池、充放電方法および充放電システム
JP2014235912A (ja) ナトリウム溶融塩電池およびその製造方法
JP2015153699A (ja) 蓄電デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161220

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170711