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JP2014155455A - 組換え細胞、並びに、クロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法 - Google Patents

組換え細胞、並びに、クロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法 Download PDF

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JP2014155455A
JP2014155455A JP2013027696A JP2013027696A JP2014155455A JP 2014155455 A JP2014155455 A JP 2014155455A JP 2013027696 A JP2013027696 A JP 2013027696A JP 2013027696 A JP2013027696 A JP 2013027696A JP 2014155455 A JP2014155455 A JP 2014155455A
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coa
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Masahiro Furuya
昌弘 古谷
Shota Uenishi
章太 上西
Koichiro Iwasa
航一郎 岩佐
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】メタノール等からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産するための一連の技術を提供する。
【解決手段】メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタノール等からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産可能な組換え細胞、並びに、当該組換え細胞を用いるクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法に関する。
クロチルアルコール(Crotyl alcohol)及びクロトニルCoA(Crotonyl-CoA)は、合成ゴムのモノマーとして重要なブタジエンの原料となり得る有機化合物であり、特にタイヤ業界において重要な素材である。近年、石油に依存した基幹化学品の生産プロセスから、植物資源等の再生可能資源からの微生物による生産プロセスへの転換技術の開発と実用化が、着実に進んでいる。ブタジエンに関しても微生物によるその生産を達成するための生合成仮説が示されている(特許文献1)。
特許文献1に記載されているクロチルアルコールの生合成仮説経路の例を図1に示す。図1に示すように、クロチルアルコールは、例えば、アセチルCoAを出発物質として生合成可能である。この経路では、まず、アセチルCoAが、アセトアセチルCoA、3−ヒドロキシ酪酸CoAを経て、クロトニルCoAに変換される。各反応を触媒する酵素は、それぞれ、(a)アセトアセチルCoAチオラーゼ(Acetoacetyl-CoA thiolase)、(b)3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素(3-hydroxybutyryl-CoA dehydrogenase)、(c)3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ(3-Hydroxybutyryl-CoA dehydratase)である(図1)。
さらに、クロトニルCoAは、クロトンアルデヒドを経てクロチルアルコールに変換される。各反応を触媒する酵素は、それぞれ、(d)クロトニルCoA還元酵素 (アルデヒド生成型)(Crotonyl-CoA reductase; aldehyde froming)、(e)クロトンアルデヒド還元酵素(Crotonaldehyde reductase; alcohol forming)である(図1)。
クロトニルCoAからクロチルアルコールへ直接変換できる経路もある。この反応は(f)クロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)(Crotonyl-CoA reductase; alcohol forming)が触媒する(図1)。
さらに、クロトニルCoAが、クロトン酸とクロトンアルデヒドを経由してクロチルアルコールに変換される経路もある。各反応を触媒する酵素は、それぞれ、(g)クロトニルCoAハイドロラーゼ(Crotonyl-CoA hydrolase)、(h)クロトン酸還元酵素(Crotonate reductase)、及び(e)クロトンアルデヒド還元酵素である(図1)。
ところで、C1化合物の中でも、メタノールは、天然ガス、及びバイオマスや都市ゴミ等の廃棄物を焼却することにより得られる一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素の混合ガスである合成ガス等から安価に製造される。天然ガスは化石資源の中でも多量に存在し、かつCO2の発生量が比較的少ないことから次世代エネルギー源として注目され、従来の石油から天然ガスへの移行が進んでいる。メタノールは、水に可溶であること等、取り扱いや貯蔵が容易である上、微生物培養の炭素源としても適している。
メチロトローフ(Methylotroph)とは、分子内にC−C結合を有さない炭素化合物、例えばメタン、メタノール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等を唯一の炭素源、エネルギー源として利用するC1化合物資化性微生物の総称名である。メサノトローフ(Methanotroph)、メタン酸化細菌、メタノール資化性細菌、メタノール資化性酵母、メタノール資化性微生物等と呼ばれる微生物は、全てメチロトローフに属するものである。細菌であるメチロトローフには、メタンを資化できるものも多く、これらはしばしばメサノトローフとも呼ばれる。
メチロトローフは、メタノールをホルムアルデヒドに変換後、ホルムアルデヒドをC−C結合を有する有機物に変換する反応を中心代謝とする。図2に示されるように、ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路(RuMP経路)、及びキシルロースモノリン酸経路(XuMP経路)が知られている。細菌に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ細菌)は、セリン回路又はRuMP経路を保有している。一方、酵母に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ酵母)は、XuMP経路を保有している。
また、メチロトローフ細菌は、メタノール要求性の違いから、偏性メチロトローフ(obligate methylotroph)と、他の炭素化合物も利用できる通性メチロトローフ(facultative methylotroph)とに分類される。
国際公開第2011/140171号
再生可能資源からの生産プロセスについて、その従来技術のほとんどは有機物、特に糖、グルセロールもしくは油成分等に依存した、微生物による生産法である。しかし、石油に由来する数多くの基幹化学品の世界的な生産量を賄うには、植物資源等に由来する現状使用可能な糖質、グリセリンや油成分の量では、微生物の炭素源として不足するのは必須である。すなわち、糖質や油成分に依存する微生物による基幹化学品の生産量は、将来に渡っても限定的である。また、このようなプロセスは、食との競合も懸念される。
上記現状に鑑み、本発明は、メタノール等から、ブタジエンの原料となり得るクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産するための一連の技術を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するための本発明の1つの様相は、メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞である。
本発明は、クロトニルCoAを生産可能である組換え細胞に係るものである。
図1に示すように、クロトニルCoAはアセチルCoAから生合成可能である。そして本発明の組換え細胞は、アセチルCoAからクロトニルCoAに至る生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、メチロトローフである宿主細胞に導入されたものであり、宿主細胞内で当該遺伝子が発現する。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である。
本発明の組換え細胞によれば、メチロトローフが本来的に有する「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロトニルCoAを生産(発現)することができる。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
本発明は、クロチルアルコールを生産可能である組換え細胞に係るものである。
図1に示すように、クロチルアルコールは、アセチルCoAからクロトニルCoA及びクロトンアルデヒドを経て生合成可能である。そして本発明の組換え細胞は、アセチルCoAからクロチルアルコールに至る前記生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、メチロトローフである宿主細胞に導入されたものであり、宿主細胞内で当該遺伝子が発現する。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である。
本発明の組換え細胞によれば、メチロトローフが本来的に有する「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAとクロトニルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロチルアルコールを生産(発現)することができる。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
前述のとおり、クロトニルCoAをクロチルアルコールに直接変換できる経路も存在する(図1)。そして本発明の組換え細胞では、アセチルCoAからクロトニルCoAが生合成され、さらにクロトニルCoAがクロチルアルコールに直接変換される生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、メチロトローフである宿主細胞に導入されたものであり、宿主細胞内で当該遺伝子が発現する。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である。
本発明の組換え細胞によっても、メチロトローフが本来的に有する「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAとクロトニルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロチルアルコールを生産(発現)することができる。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
前述のとおり、クロトニルCoAが、クロトン酸とクロトンアルデヒドを経由してクロチルアルコールに変換される経路も存在する(図1)。そして本発明の組換え細胞では、アセチルCoAからクロトニルCoAが生合成され、さらにクロトニルCoAがクロトン酸とクロトンアルデヒドを経由してクロチルアルコールに変換される生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、メチロトローフである宿主細胞に導入されたものであり、宿主細胞内で当該遺伝子が発現する。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である。
本発明の組換え細胞によっても、メチロトローフが本来的に有する「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAとクロトニルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロチルアルコールを生産(発現)することができる。
好ましくは、ホルムアルデヒドの固定化経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路、及びキシロースモノリン酸経路からなる群より選ばれた少なくとも1つのC1炭素同化経路を有する。
好ましくは、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子とがさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する。
かかる構成により、リブロースモノリン酸経路によるホルムアルデヒド固定化能が付与又は増強される。
好ましくは、宿主細胞がメタノール資化性酵母であり、メタノールを脱水素反応によってホルムアルデヒドに変換する酵素をコードする遺伝子がさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する。
一般に、酵母はアルコールに対する耐性が高い。そこで本様相では宿主としてメタノール資化性酵母を採用し、組換え細胞におけるメタノールやクロチルアルコールに対する耐性を高めている。さらに、酵母では一般に、メタノールからホルムアルデヒドへの変換反応をアルコールオキシダーゼが担っている。そのため、当該変換反応には酸素が必要であり、具体的には培養時に激しく通気する必要がある。そこで本様相では「メタノールを脱水素反応によってホルムアルデヒドに変換する酵素」をコードする遺伝子を導入し、酸素に頼ることなくメタノールからホルムアルデヒドへの変換反応が行われるようにしている。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞である。
本発明の組換え細胞は、宿主細胞に「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入され、さらに、アセチルCoAからクロチルアルコールに至る前記生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されている。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である。
すなわち本発明の組換え細胞は、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入されているので、メチロトローフと同様の特性を有している。そして、これらの外来遺伝子によって付与された「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロトニルCoAを生産(発現)することができる。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
本発明の組換え細胞は、宿主細胞に「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入され、さらに、アセチルCoAからクロトニルCoA及びクロトンアルデヒドを経てクロチルアルコールに至る生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されている。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である。
すなわち本発明の組換え細胞も、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入されているので、メチロトローフと同様の特性を有している。そして、これらの外来遺伝子によって付与された「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAとクロトニルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロチルアルコールを生産(発現)することができる。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
本発明の組換え細胞は、宿主細胞に「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入され、さらに、アセチルCoAからクロトニルCoAを経てクロチルアルコールに至る生合成経路で作用する酵素群、すなわち、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されている。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である。
すなわち本発明の組換え細胞も、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入されているので、メチロトローフと同様の特性を有している。そして、これらの外来遺伝子によって付与された「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAとクロトニルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロチルアルコールを生産(発現)することができる。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
本発明の組換え細胞は、宿主細胞に「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入され、さらに、アセチルCoAからクロトニルCoA、クロトン酸、及びクロトンアルデヒドを経てクロチルアルコールに至る生合成経路で作用する酵素群、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されている。そして、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である。
すなわち本発明の組換え細胞も、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子」と「ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子」が導入されているので、メチロトローフと同様の特性を有している。そして、これらの外来遺伝子によって付与された「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎とし、アセチルCoAとクロトニルCoAを経由して、前記したC1化合物からクロチルアルコールを生産(発現)することができる。
好ましくは、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子は、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子及び6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子である。
かかる構成により、リブロースモノリン酸経路によるホルムアルデヒド固定化能が付与される。
好ましくは、ホルムアルデヒドの固定化経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路、及びキシロースモノリン酸経路からなる群より選ばれた少なくとも1つのC1炭素同化経路を有する。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞である。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
同様の課題を解決するための本発明の他の様相は、リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞である。
これらの様相は、例えば、リブロースモノリン酸経路を有する非メチロトローフが宿主細胞である態様に相当するものである。
好ましくは、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子とがさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する。
好ましくは、メタノールをホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子は、メタノールデヒドロゲナーゼ又はアルコールオキシダーゼをコードする遺伝子であり、ギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子は、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子である。
メタノールデヒドロゲナーゼ(Methanol dehydrogenase)とアルコールデヒドロゲナーゼ(Alcohol dehydrogenase)は、いずれもメタノールをホルムアルデヒドに変換する作用を有する。また、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Formaldehyde dehydrogenase)はギ酸をホルムアルデヒドに変換する作用を有する。これらの酵素は、いずれも細菌に属するメチロトローフにおけるメタン代謝酵素の1つである。一方、酵母に属するメチロトローフはメタン酸化活性を有さず、アルコールオキシダーゼ(Alcohol oxidase)の働きによってメタノールをホルムアルデヒドへ変換する作用を有する。酵母もギ酸をホルムアルデヒドへ変換する酵素活性を有する。
好ましくは、メタンをメタノールに変換する機能を付与する遺伝子がさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する。
好ましくは、メタンをメタノールに変換する機能を付与する遺伝子は、メタンモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子である。
メタンモノオキシゲナーゼ(Methane monooxygenase)はメタンをメタノールに変換する作用を有する。メタンモノオキシゲナーゼも、メチロトローフにおけるメタン代謝酵素の1つである。
好ましくは、導入された遺伝子が宿主細胞のゲノムに組み込まれている。
かかる構成により、導入された遺伝子がより安定的に組換え細胞内で保持される。
好ましくは、少なくとも2%(v/v)のメタノールに対する耐性を有する。
かかる構成により、クロトニルCoA又はクロチルアルコールをより大量に生産することができる。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞を、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させるクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法である。
本発明はクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法に係るものである。本発明では、上記した組換え細胞をメタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として培養することにより、当該組換え細胞にクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させる。本発明によれば、メタノール等からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産することができる。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させるクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法である。
本発明では、上記した組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該C1化合物からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させる。本発明によっても、メタノール等からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産することができる。
本発明によれば、組換え細胞を用いてメタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、又はホルムアミドからクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産(発現)することができる。例えば、本発明の組換え細胞をブタジエン生産に応用することができる。
アセチルCoAからクロトニルCoA又はクロチルアルコールに至る代謝経路を表す説明図である。 ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路を表す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明において「遺伝子」という用語は、全て「核酸」あるいは「DNA」という用語に置き換えることができる。
本発明の組換え細胞は、基本的に、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」とを有する宿主細胞に、アセチルCoAからクロトニルCoAに至る生合成経路で作用する酵素群をコードする遺伝子、或いは、アセチルCoAからクロトニルCoAを経てクロチルアルコールに至る生合成経路で作用する酵素群をコードする遺伝子が導入されたものである。
本発明で採用される宿主細胞としては、メチロトローフである宿主細胞と、非メチロトローフを含めた広範囲の宿主細胞の両方がある。
上述したように、メチロトローフとは、分子内にC−C結合を有さない炭素化合物、例えばメタン、メタノール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等を唯一の炭素源、エネルギー源として利用するC1化合物資化性微生物を指す。一般にメチロトローフは、ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路、具体的には、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能(経路)とホルムアルデヒド固定化能(ホルムアルデヒドの固定化経路)とを、本来的に保有している。
ホルムアルデヒドの固定化経路としては、図2に示すセリン経路、リブロースモノリン酸経路(RuMP経路)、キシルロースモノリン酸経路(XuMP経路)が挙げられる。一般に、メチロトローフは、ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路として、セリン経路、RuMP経路、又はXuMP経路を保有している。
ここで、各々のホルムアルデヒド固定化経路(図2)について説明する。
セリン経路によるホルムアルデヒド固定に重要な反応は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(serine hydroxymethyltransferase)によるグリシンと5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸からのセリン生成反応である。5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸は、ホルムアルデヒドとテトラヒドロ葉酸の結合によって生じる。セリン経路では、1分子のホルムアルデヒドから1分子のアセチルCoAが直接生成する。
RuMP経路によるホルムアルデヒド固定に重要な反応は、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(3-hexulose-6-phosphate synthase、以下「HPS」と略記することがある)によるリブロース5リン酸(Ru5P)とホルムアルデヒドからのD−アラビノ3ヘキスロース6リン酸の生成反応と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(6-phosphate-3-hexuloisomerase、以下「PHI」と略記することがある)によるD−アラビノ3ヘキスロース6リン酸からのフルクトース6リン酸(F6P)の生成反応である。
本経路で生成するF6P等は解糖系へも供され、その後アセチルCoAや、グリセルアルデヒド3リン酸(G3P)及びピルビン酸を生成する。F6Pの場合、1分子あたり、2分子のG3Pに変換され、次いで2分子のピルビン酸を経て2分子のアセチルCoAが生成する。
XuMP経路によるホルムアルデヒド固定に重要な反応は、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(dihydroxyacetone synthase)によるキシルロース5リン酸(Xu5P)とホルムアルデヒドからのジヒドロキシアセトン(DHA)及びグリセルアルデヒド3リン酸(G3P)の生成反応である。本経路で生成したG3Pは解糖系にも供され、ピルビン酸とアセチルCoAに変換される。ジヒドロキシアセトンもリン酸化によって解糖系へ供され、G3P、ピルビン酸、及びアセチルCoAへと変換され得る。
本発明の組換え細胞は、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産可能なものである。例えば、メタノールデヒドロゲナーゼやアルコールオキシダーゼを有する組換え細胞の場合には、メタノールをホルムアルデヒドに変換することができる。
また、メタノールデヒドロゲナーゼやアルコールオキシダーゼに加えてメタンモノオキシゲナーゼを有する組換え細胞の場合には、メタンをメタノールに変換し、続いてメタノールをホルムアルデヒドに変換することができる。
さらに、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを有する組換え細胞の場合には、ギ酸をホルムアルデヒドに変換することができる。
一般に、細菌に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ細菌)は、メタンモノオキシゲナーゼとメタノールデヒドロゲナーゼを有しているので、メタン又はメタノールからホルムアルデヒドを合成することができる。また、酵母に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ酵母)は、アルコールオキシダーゼを有しているので、メタノールからホルムアルデヒドを合成することができる。また、メチロトローフはホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを有しており、ギ酸をホルムアルデヒドに変換することができる。
上記メタノールデヒドロゲナーゼには、グラム陰性細菌のメチロトローフに見出されるピロロキノリンキノン(PQQ: pyrroloquinoline quinone)依存型メタノールデヒドロゲナーゼ、グラム陽性細菌のメチロトローフに見出されるNAD(P)依存型メタノールデヒドロゲナーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼ、グラム陽性細菌のメチロトローフに見出されるDMNA(N,N'-dimethyl-4-nitrosoaniline)依存型メタノールオキシドリダクターゼ(Park H. et al., Microbiology 2010, 156, 463-471)が含まれ、酵母でのメタノールからホルムアルデヒドへの変換は、通常、酸素依存型であるアルコールオキシダーゼによって触媒される。
また、アミンオキシダーゼ(amine oxidase)やメチルアミンデヒドロゲナーゼ(methylamine dehydrogenase)を有する組換え細胞の場合には、メチルアミンをホルムアルデヒドに変換することができる。これらの酵素については、一部のメチロトローフやArthrobacter属細菌が有していることが知られている(Anthony C., The Biochemistry of Methylotroph, 1982, Academic Press Inc.)。
またホルムアミドをホルムアルデヒドに変換する酵素が、一部の微生物で見出されている(Anthony C., The Biochemistry of Methylotroph, 1982, Academic Press Inc.)。
そして、ホルムアルデヒドを経由してクロトニルCoA、もしくはクロチルアルコールを生産することができる。
宿主細胞として用いられるメチロトローフの種類としては、特に限定はないが、例えば細菌や酵母に分類されるものを採用することができる。
メチロトローフ細菌としては、例えば、Methylacidphilum属、Methylosinus属、Methylocystis属、Methylobacterium属、Methylocella属、Methylococcus属、Methylomonas属、Methylobacter属、Methylobacillus属、Methylophilus属、Methylotenera属、Methylovorus属、Methylomicrobium属、Methylophaga属、Methylophilaceae属、Methyloversatilis属、Mycobacterium属、Arthrobacter属、Bacillus属、Beggiatoa属、Burkholderia属、Granulibacter属、Hyphomicrobium属、Pseudomonas属、Achromobactor属、Paracoccus属、Crenothrix属、Clonothrix属、Rhodobacter属、Rhodocyclaceae属、Silicibacter属、Thiomicrospira属、Verrucomicrobia属、などに属する細菌が挙げられる。
メチロトローフ酵母としては、例えば、Pichia属、Candida属、Saccharomyces属、Hansenula属、Torulopsis属、Kloeckera属、などに属する酵母が挙げられる。Pichia属酵母の例としては、P. haplophila、P. pastoris、P. trehalophila、P. lindnerii、などが挙げられる。Candida属酵母の例としては、C. parapsilosis、C. methanolica、C. boidinii、C. alcomigas、などが挙げられる。Saccharomyces属酵母の例としては、Saccharomyces metha-nonfoams、などが挙げられる。Hansenula属酵母の例としては、H. wickerhamii、H. capsulata、H. glucozyma、H. henricii、H. minuta、H. nonfermentans、H. philodendra、H. polymorpha、などが挙げられる。Torulopsis属酵母の例としては、T. methanolovescens、T. glabrata、T. nemodendra、T. pinus、T. methanofloat、T. enokii、T. menthanophiles、T. methanosorbosa、T. methanodomercqii、などが挙げられる。
宿主細胞が非メチロトローフである場合には、メタノール等をホルムアルデヒドに変換する経路を有しているとは限らないので、少なくとも「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」を付与する必要がある。さらに、「メタンをメタノールに変換する機能」を付与することが好ましい。これらの機能付与は、上記した酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入することにより、実現することができる。
例えば、メタノールをホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子として、メタノールデヒドロゲナーゼ(例えば、EC1.1.1.244, EC1.1.2.7)をコードする遺伝子やアルコールオキシダーゼ(例えばEC1.13.13)をコードする遺伝子を用いることができる。また、ギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子として、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(例えばEC1.2.1.46)をコードする遺伝子を用いることができる。さらに、メタンをメタノールに変換する機能を付与する遺伝子として、メタンモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子を用いることができる。
また、メタノール資化性を付与するプラスミドが知られている。例えば、Bacillus methanolicusのメタノール資化性は、メタノール代謝に関わる酵素群をコードするプラスミドに依存している(Brautaset T. et al., J. Bacteriology 2004, 186(5), 1229-1238)。このようなプラスミドを近縁の非メチロトローフに導入することで、メタノール資化能を付与することが可能である。さらには、このようなプラスミドを改変することで、様々な非メチロトローフにメタノール資化性を付与することも可能である。
上記のようにして非メチロトローフに対して「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」を付与し、さらに「ホルムアルデヒドの固定化能」を付与することにより、非メチロトローフをメチロトローフと同様に取り扱うことが可能となる。ホルムアルデヒド固定化能の付与は、例えば、上記したセリン経路、RuMP経路、又はXuMP経路で作用する酵素をコードする遺伝子を非メチロトローフに導入することにより、実現することができる。
1つの好ましい実施形態では、宿主細胞がメタノール資化性酵母であり、メタノールを脱水素反応によってホルムアルデヒドに変換する酵素をコードする遺伝子がさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する。例えば、メタノール資化性を備えたPichia属酵母を宿主細胞として用い、さらにメタノールデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することにより、目的の組換え細胞を取得することができる。本実施形態によれば、高アルコール耐性であり、かつ酸素に頼らずにメタノールをホルムアルデヒドに変換できる、クロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産可能な組換え細胞を得ることができる。
RuMP経路を付与する場合を例として、さらに説明する。RuMP経路の付与は、例えば、上記した3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(HPS;例えばEC4.1.2.43)遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(PHI;例えばEC5.3.1.27)遺伝子を導入することにより、実現することができる。すなわち、HPS/PHIによるホルムアルデヒド固定化反応の基質又は生成物である、リブロース5リン酸(Ru5P)とフルクトース6リン酸(F6P)は、ペントースリン酸経路、及びカルビン回路の代謝中間体として全ての生物に普遍的に存在する。したがって、HPS/PHIの導入により、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及び酵母等をはじめとする全ての生物にホルムアルデヒド固定化能を付与することが可能である。
元々RuMP経路を有している宿主細胞に、HPS遺伝子とPHI遺伝子を導入してもよい。これにより、RuMP経路によるホルムアルデヒド固定化能を増強することができる。例えば、枯草菌のように、元々RuMP経路もしくはこれと同質の経路を有する微生物に、例えばメタノールデヒドロゲナーゼ (例えば、EC1.1.1.244, EC1.1.2.7)等のアルコール脱水素酵素、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(HPS;例えばEC4.1.2.43)、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(PHI;例えばEC5.3.1.27)、等の酵素をコードする遺伝子を導入することで、メタノールをホルムアルデヒドに変換する機能(すなわちメタノール資化性)を付与すると共に、ホルムアルデヒド固定化能を増強することができる。
なお、メチロトローフである宿主細胞に、HPS遺伝子とPHI遺伝子を導入してもよい。すなわち、セリン経路、RuMP経路、あるいはXuMP経路を有するメチロトローフへHPS/PHIを導入することで、RuMP経路によるホルムアルデヒド固定化能を増強することができる。その結果、組換え細胞のホルムアルデヒド耐性を高めることができ、結果的にメタノールやギ酸に対する耐性及び資化能を高めることが可能となる。これにより、組換え細胞の培養効率や、クロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産効率を向上させることが可能となる。
一方、セリン経路によるホルムアルデヒド固定化能を付与する場合には、上記したセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(例えばEC2.1.2.1)遺伝子を用いることができる。例えば、非メチロトローフに、メタノールデヒドロゲナーゼ等のアルコール脱水素酵素遺伝子、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-methylenetetrahydrofolate)(CH2=H4F) 合成酵素遺伝子、及びセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ (例えばEC2.1.2.1)遺伝子等を導入することで、メタノール資化性と、セリン経路によるホルムアルデヒド固定化能を付与することが可能となる。
本発明の組換え細胞では、アセチルCoAからクロトニルCoAに至る生合成経路で作用する酵素群(以下、「クロトニルCoA生合成関連酵素(群)」と呼ぶことがある)をコードする遺伝子、或いは、アセチルCoAからクロチルアルコールに至る生合成経路で作用する酵素群(以下、「クロチルアルコール生合成関連酵素(群)」と呼ぶことがある)をコードする遺伝子が導入されている。図1の(a)〜(c)で示される酵素がクロトニルCoA生合成関連酵素に相当する。図1の(a)〜(e)で示される酵素がクロチルアルコール生合成関連酵素に相当する。
1つの様相では、クロトニルCoA生合成関連酵素群として、(a)アセトアセチルCoAチオラーゼ、(b)3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び(c)3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、宿主細胞に導入されている。例えば、これらの酵素群から1又は2以上の酵素を選択し、当該酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入すればよい。
他の様相では、クロチルアルコール生合成関連酵素群として、(a)アセトアセチルCoAチオラーゼ、(b)3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、(c)3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、(d)クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及び(e)クロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、宿主細胞に導入されている。例えば、これらの酵素群から1又は2以上の酵素を選択し、当該酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入すればよい。
さらに他の様相では、クロチルアルコール生合成関連酵素群として、(a)アセトアセチルCoAチオラーゼ、(b)3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、(c)3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及び(f)クロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、宿主細胞に導入されている。例えば、これらの酵素群から1又は2以上の酵素を選択し、当該酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入すればよい。
さらに他の様相では、クロチルアルコール生合成関連酵素群として、(a)アセトアセチルCoAチオラーゼ、(b)3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、(c)3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、(g)クロトニルCoAハイドロラーゼ、(h)クロトン酸還元酵素、及び(e)クロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が、宿主細胞に導入されている。例えば、これらの酵素群から1又は2以上の酵素を選択し、当該酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入すればよい。
これらの酵素(クロトニルCoA生合成関連酵素及びクロチルアルコール生合成関連酵素)としては、組換え細胞内でその酵素活性を発揮できるものであれば特に限定はない。これらの酵素をコードする遺伝子についても同様であり、組換え細胞内で正常に転写・翻訳されるものであれば特に限定はない。宿主細胞由来のものでもよいし、他の由来のものでもよい。
クロトニルCoA生合成関連酵素、クロチルアルコール生合成関連酵素、及びその遺伝子の具体例としては、上記特許文献1に開示されたものが挙げられる。より具体的には、以下の酵素が挙げられる。なお、宿主細胞が以下に示す酵素を元々有する場合、より基質特異性、分子活性及び安定性が優れた、すなわちKcat/Km値等がより高い酵素遺伝子を導入すればよい。この場合、前記酵素遺伝子には、宿主細胞が元々保有する酵素の改変体をコードする遺伝子も含まれる。
(a)アセトアセチルCoAチオラーゼ(Acetoacetyl-CoA thiolase)(アセチルCoAアシルトランスフェラーゼ(Acetyl-CoA acyltransferase)とも呼ばれる。)(例えばEC 2.3.1.9等)
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):P76461 (E. coli-atoB); P45359 (Clostridium acetobutylicum-thlA); P45855 (Bacillus subtilis-mmgA); Q18AR0 (Clostridium difficile-thlA); Q9I2A8 (Pseudomonas aeruginosa-atoB) 等
(b)3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素 (3-hydroxybutyryl-CoA dehydrogenase)(例えばEC 1.1.1.157, 1.1.1.35等)
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):P52041 (Clostridium acetobutylicum-hbd); P45364 (Clostridium difficile-hbd); P77339 (Escherichia coli-fadJ); O53753 (Mycobacterium tuberculosis-fadB2) 等。
(c)3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ(3-hydroxybutyryl-CoA dehydratase)(クロトナーゼ(Crotonase)とも呼ばれる。)(例えば、EC 4.2.1.55等)
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):P52046 (Clostridium acetobutylicum-crt);P45361 (Clostridium difficile-crt); B9J125 (Bacillus cereus-crt) 等。
(d)クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)(Crotonyl-CoA reductase; aldehyde forming)。
本酵素はアシルCoA還元酵素に属する酵素であり、クロトニルCoA還元活性を示すものは酵素分類では、例えばEC 1.2.1.50, 1.2.1.n2, 1.2.1.76等に該当する。
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):P94129 (Acinetobacter baylyi-acr1); P23113 (Photorhabdus luminescens-luxC); P08639 (Vibrio harveyi -luxC); Q97GS8 (Clostridium acetobutylicum-luxC); P38947 (Clostridium kluyveri-sucD)等。
(e)クロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)(Crotonaldehyde reductase; alcohol forming)
本酵素はC2−C14程度のアルコールに作用するアルコール脱水素酵素(例えば、EC 1.1.1.2, 1.1.1.-等)である。
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):Q9F1R1 (Acinetobacter sp.-Alr-A); Q46856 (Escherichia coli-yqhD); Q04944 (Clostridium acetobutylicum-bdhA); Q04945 ((Clostridium acetobutylicum-bdhB)等。
(f)クロトニルCoA還元酵素 (アルコール生成型)
本酵素はクロトニルCoAから直接クロチルアルコールを生成することが可能であり、アシルCoAから相当するアルコールへ変換する酵素群(例えばEC 1.1.1.1, 1.2.1.10等)に属する。
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):Q9ANR5 (Clostridium acetobutylicum-adhE2); D8GU53 (Clostridium ljungdahlii-adhE2); P0A9Q7 (Escherichia coli-adhE)等。
(g)クロトニルCoAハイドロラーゼ (Crotonyl-CoA hydrolase)
本酵素はアシルCoAを相当するカルボン酸に変換する酵素群(例えばEC 3.1.2.4, 3.1.2.1等)に属する。
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):Q5XIE6 (Rattus norvegicus-hibch); Q6NVY1 (Homo sapiens-hibch); A2VDC2 (Xenopus laevis-hibch); P32316 (Saccharomyces cerevisiae-ACH1)等。
(h)クロトン酸還元酵素(Crotonate reductase)
本酵素は、アルデヒド脱水酵素の一種の活性、すなわちクロトンアルデヒド脱水素酵素の逆反応によって、クロトン酸からクロトンアルデヒドを生成するものでもある。本活性は酵素分類上、例えばEC 1.2.1.22、1.2.1.3等に属する。
遺伝子の例(いずれもUniProtKB/Swiss-Prot No.で表示):Q58806 (Methanococcus jannaschii-LDH); P25553 (Escherichia coli-aldA); P12693 (Pseudomonas oleovorans-alkH); Q6RKB1 (Nocardia iowensis-car)等。
なお、導入される「クロトニルCoA生合成関連酵素」の遺伝子の種類(数)は、組換え細胞が「メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能」である限り、少なくとも1つでよい。同様に、導入される「クロチルアルコール生合成関連酵素」の遺伝子の種類(数)は、組換え細胞が「メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能」である限り、少なくとも1つでよい。ただし、2種以上の遺伝子を導入することにより各酵素の活性が増強される場合は、クロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産性が高まることが期待される。基本的に、宿主細胞が保有していないクロトニルCoA生合成関連酵素やクロチルアルコール生合成関連酵素については、当該酵素をコードする遺伝子を外部から導入する。また、宿主細胞が当該酵素を保有しているが、その分子活性が低い場合には、より分子活性等が高い酵素をコードする遺伝子を導入することが好ましい。
「クロトニルCoA生合成関連酵素」と「クロチルアルコール生合成関連酵素」については、天然に存在するものの他、各酵素の改変体でもよい。例えば、各酵素のアミノ酸置換変異体や、各酵素の部分断片であって同様の酵素活性を有するポリペプチドでもよい。
本発明の組換え細胞においては、クロトニルCoA生合成関連酵素やクロチルアルコール生合成関連酵素をコードする遺伝子等に加えて、他の遺伝子がさらに導入されていてもよい。導入する遺伝子としては、例えば、クロチルアルコールを直接的又は間接的にブタジエン又その前駆体に変換する酵素の遺伝子が挙げられる。例えば、上記特許文献1には、クロチルアルコールから2−ブテニル−4−ホスフェート(2-butenyl-4-phosphate)への変換、2−ブテニル−4−ホスフェートから2−ブテニル−4−ジホスフェート(2-butenyl-4-diphosphate)への変換、クロチルアルコールから2−ブテニル−4−ジホスフェートへの変換、並びに、2−ブテニル−4−ジホスフェートからブタジエン(Butadiene)への変換、の各反応を触媒する酵素について記載されている。例えば、本発明の組換え細胞にこれらの酵素遺伝子をさらに導入することにより、クロチルアルコールからブタジエンを合成する機能を付与することが可能となる。その結果、本発明の組換え細胞を、ブタジエンを生産可能なものとすることができる。
さらに導入する遺伝子の別の例としては、上記したメタノールデヒドロゲナーゼ遺伝子、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子、メタンモノオキシダーゼ遺伝子、HPS/PHI遺伝子、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸合成酵素遺伝子、及びセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子、等が挙げられる。
宿主細胞に遺伝子を導入する方法としては特に限定はなく、宿主細胞の種類等によって適宜選択すればよい。例えば、宿主細胞に導入可能でかつ組み込まれた遺伝子を発現可能なベクターを用いることができる。
例えば、宿主細胞が細菌等の原核生物の場合には、当該ベクターとして、宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組み込みが可能で、挿入された上記遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有しているものを用いることができる。例えば、当該ベクターを用いて、プロモーター、リボソーム結合配列、上記遺伝子、および転写終結配列からなる一連の構成を宿主細胞内で構築することが好ましい。
例えば、メチロトローフ細菌の染色体への組み込み方法としては、リブロースモノリン酸経路を有するMethylobacillus flagellatusや、セリン経路を有するMethylobacterium extorquencsで、目的遺伝子の破壊操作によって例が示されている(Chistoserdova L. et al., Microbiology 2000, 146, 233-238; Chistoserdov AY., et al., J. Bacteriol 1994, 176, 4052-4065)。これらは環状DNAを用いたゲノムへの遺伝子導入法であるが、Methylophilus属細菌等では、直鎖状DNAを用いたゲノムへの遺伝子導入法も開発されている(特開2004−229662号公報)。一般に、宿主細胞による分解を受けにくい場合は、直鎖状DNAによるゲノム組換えの方が、環状DNAによるよりも効率的である。また通常、相同組換え法は、inverted-repeat sequence等のように、ゲノム上に多コピー存在する遺伝子を標的することが好ましい。また、ゲノムに多コピー導入する手法としては、相同組換え以外に、トランスポゾンに搭載する方法もある。メチロトローフ細菌へのプラスミドによる遺伝子導入法としては、例えば、広宿主域ベクターであるpAYC32 (Chistoserdov AY., et al., Plasmid 1986, 16, 161-167)、pRP301 (Lane M., et al., Arch. Microbiol. 1986, 144(1), 29-34)、pBBR1、pBHR1 (Antoine R. et al., Molecular Microbiology 1992, 6, 1785-1799)、pCM80 (Marx CJ. et al., Microbiology 2001, 147, 2065-2075)、等がある。
メチロトローフ酵母における遺伝子導入方法としては、主にPichia pastorisで確立されており、pPIC3.5K、pPIC6、pGAPZ、pFLD(インビトロジェン社)等のベクターが市販されている。
Bacillus属細菌への遺伝子導入にできる使用プラスミドとしては、Bacillus subtilisには、pMTLBS72 (Nquyen HD. Et al., Plasmid 2005, 54(3), 241-248)、pHT01(フナコシ社)、pHT43(フナコシ社)等が、Bacillus megateriumには、p3STOP1623hp (フナコシ社)、pSPYocHhp(フナコシ社)等が、Bacillus brevisには、pNI DNA(タカラバイオ社)等がある。
またベクターを用いて複数種の遺伝子を宿主細胞に導入する場合、各遺伝子を1つのベクターに組み込んでもよいし、別々のベクターに組み込んでもよい。さらに1つのベクターに複数の遺伝子を組み込む場合には、各遺伝子を共通のプロモーターの下で発現させてもよいし、別々のプロモーターの下で発現させてもよい。複数種の遺伝子を導入する例としては、宿主細胞がメチロトローフである場合に、「クロトニルCoA生合成関連酵素をコードする遺伝子」や「クロチルアルコール生合成関連酵素をコードする遺伝子」に加えて、HPS/PHI遺伝子を導入する態様が挙げられる。
以上のようにメチロトローフ等で使用できる既知のベクターを示したが、プロモーター、ターミネーター等の転写制御、複製領域等に関わる領域を、目的に応じて改変することができる。改変方法としては各宿主細胞、もしくはその近縁種における天然の他の遺伝子配列に変更してもよく、また人工の遺伝子配列に変更してもよい。
また、以上の遺伝子導入による改変に加え、突然変異、ゲノムシャッフリング等の変異手法をも組み合わせることで、宿主細胞での導入遺伝子の発現量、宿主細胞のクロトニルCoA又はクロチルアルコール排出機能、クロトニルCoA又はクロチルアルコールに対する耐性、等を向上させることにより、クロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産性をさらに向上させることが可能となる。
1つの好ましい実施形態では、組換え細胞が、少なくとも400mMのクロチルアルコールに対する耐性を有する。別の好ましい実施形態では、組換え細胞が、少なくとも2%(v/v)のメタノールに対する耐性を有する。かかる構成により、クロトニルCoAやクロチルアルコールの高生産(高発現)が可能となる。このような特性を有する組換え細胞は、例えば、適宜の変異処理を宿主細胞に施して目的の特性を有する宿主細胞を選抜し、その宿主細胞を用いることにより得ることができる。
本発明のクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法の1つの様相では、上記した組換え細胞を、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させる。炭素原として用いるこれらのC1化合物については、1つのみを用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのC1化合物は、主たる炭素原として用いることが好ましく、唯一の炭素原であることがより好ましい。
なお、偏性メチロトローフの場合は、C1化合物を唯一の炭素源とする合成培地を用いることが基本であるが、これに酵母エキス、コーンスティープリカー、肉エキス等の天然培地やビタミン類を少量加えることによっても菌の増殖は促進される。通性メチロトローフである場合は、菌体増殖ステージでは糖質、脂質等のC1化合物以外の物質を炭素源としてもよく、クロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産ステージで炭素源を上記C1化合物に変更すればよい。微生物の培養法としては、目的に応じて好気、微好気、もしくは嫌気条件で培養可能である。またバッチ培養、流加培養、連続培養のいずれの方法でもよい。
炭素源として例えばメタノールを用いる場合は、通常、細菌の場合は1.0%(v/v)濃度、酵母の場合は3.0%(v/v)濃度以下で用いるが、人為的にこれらに対する耐性を改良した場合は、それ以上の濃度でも培養可能である。
本発明のクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法の別の様相では、上記した組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させる。すなわち、細胞分裂(細胞増殖)を伴うか否かにかかわらず、組換え細胞に前記したC1化合物を接触させて、クロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させることができる。例えば、固定化した組換え細胞に前記したC1化合物を連続的に供給し、クロトニルCoA又はクロチルアルコールを連続的に生産させることができる。
本様相においても、これらのC1化合物については、1つのみを用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
生産されたクロトニルCoAやクロチルアルコールは、細胞内に蓄積されるか、細胞外に放出される。例えば、細胞外に放出されたクロトニルCoA又はクロチルアルコールを回収し、単離精製することにより、純化されたクロトニルCoA又はクロチルアルコールを取得することができる。

Claims (25)

  1. メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞。
  2. メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  3. メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  4. メチロトローフである宿主細胞に、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子が導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  5. ホルムアルデヒドの固定化経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路、及びキシロースモノリン酸経路からなる群より選ばれた少なくとも1つのC1炭素同化経路を有する請求項1〜4のいずれかに記載の組換え細胞。
  6. 3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子とがさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する請求項1〜5のいずれかに記載の組換え細胞。
  7. 宿主細胞がメタノール資化性酵母であり、メタノールを脱水素反応によってホルムアルデヒドに変換する酵素をコードする遺伝子がさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する請求項1〜6のいずれかに記載の組換え細胞。
  8. 宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞。
  9. 宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  10. 宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  11. 宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  12. ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子は、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子及び6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子である請求項8〜11のいずれかに記載の組換え細胞。
  13. ホルムアルデヒドの固定化経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路、及びキシロースモノリン酸経路からなる群より選ばれた少なくとも1つのC1炭素同化経路を有する請求項8〜11のいずれかに記載の組換え細胞。
  14. リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、及び3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼからなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロトニルCoAを生産可能である組換え細胞。
  15. リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoA還元酵素(アルデヒド生成型)、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  16. リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、及びクロトニルCoA還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  17. リブロースモノリン酸経路を有する宿主細胞に、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoA脱水素酵素、3−ヒドロキシ酪酸CoAデハイドラターゼ、クロトニルCoAハイドロラーゼ、クロトン酸還元酵素、及びクロトンアルデヒド還元酵素(アルコール生成型)からなる群より選ばれた少なくとも1つの酵素をコードする遺伝子とが導入されてなり、
    当該遺伝子が前記宿主細胞内で発現し、
    メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物からクロチルアルコールを生産可能である組換え細胞。
  18. 3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子とがさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する請求項8、9、10、11、13、14、15、16、又は17に記載の組換え細胞。
  19. メタノールをホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子は、メタノールデヒドロゲナーゼ又はアルコールオキシダーゼをコードする遺伝子であり、ギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子は、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子である請求項8〜18のいずれかに記載の組換え細胞。
  20. メタンをメタノールに変換する機能を付与する遺伝子がさらに導入され、当該遺伝子が宿主細胞内で発現する請求項8〜19のいずれかに記載の組換え細胞。
  21. メタンをメタノールに変換する機能を付与する遺伝子は、メタンモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子である請求項20に記載の組換え細胞。
  22. 導入された遺伝子が宿主細胞のゲノムに組み込まれている請求項1〜21のいずれかに記載の組換え細胞。
  23. 少なくとも2%(v/v)のメタノールに対する耐性を有する請求項1〜22のいずれかに記載の組換え細胞。
  24. 請求項1〜23のいずれかに記載の組換え細胞を、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として用いて培養し、当該組換え細胞にクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させるクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法。
  25. 請求項1〜23のいずれかに記載の組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からクロトニルCoA又はクロチルアルコールを生産させるクロトニルCoA又はクロチルアルコールの生産方法。
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