JP2014146515A - 電力用ガス絶縁機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した品質を保持し、かつ安全に保守点検を実施可能な電力用ガス絶縁機器を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、絶縁ガスとしてCO2ガス又はCO2ガスを含む混合ガス1bを充填した密閉容器2と、密閉容器2内に設置した1対の電気接点3,4と、を有し、通電時には電気接点3,4を接触状態に保つことで通電を行い、電流遮断時には電気接点3,4を解離させて絶縁ガス1b中にアーク放電6を発生させ、絶縁ガス1bがアーク放電6により熱ガスとなり、そのアーク放電6を消弧することで電流を遮断するように構成された電力用ガス絶縁機器である。この電力用ガス絶縁機器は、密閉容器2内の前記熱ガス9a2が接触する位置に、O原子を放出する酸素放出部材としてのアブレーション素子14を設置している。
【選択図】図1
【解決手段】実施形態によれば、絶縁ガスとしてCO2ガス又はCO2ガスを含む混合ガス1bを充填した密閉容器2と、密閉容器2内に設置した1対の電気接点3,4と、を有し、通電時には電気接点3,4を接触状態に保つことで通電を行い、電流遮断時には電気接点3,4を解離させて絶縁ガス1b中にアーク放電6を発生させ、絶縁ガス1bがアーク放電6により熱ガスとなり、そのアーク放電6を消弧することで電流を遮断するように構成された電力用ガス絶縁機器である。この電力用ガス絶縁機器は、密閉容器2内の前記熱ガス9a2が接触する位置に、O原子を放出する酸素放出部材としてのアブレーション素子14を設置している。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、六フッ化イオウガス(以下、SF6ガスという。)の代わりにCO2ガスを含む絶縁ガスを用いた電力用ガス絶縁機器に関する。
電力の送配電システム及び変電システムでは、高電圧の絶縁媒体としてSF6ガスを利用したガス絶縁開閉装置、ガス遮断器、ガス断路器、ガス絶縁変圧器、ガス絶縁送電管などの様々なガス絶縁機器が使用されている。これらのガス絶縁機器において、SF6ガスは、高電圧の絶縁媒体として機能させるだけではなく、通電時の発熱を対流により冷却する冷却媒体としても機能させている。また、上記ガス遮断器、ガス断路器などのように電流の開閉を行う機器において、SF6ガスは、開閉動作時に発生するアーク放電を消滅させる消弧媒体としても機能させている。
SF6ガスは、非常に安定した不活性なガスであり、無毒、不燃性である。また、SF6ガスは、電気絶縁性能、放電を消滅させる性能(以下、消弧性能という。)に極めて優れたガスである。そのため、SF6ガスは、送配電機器及び変電機器の高性能化、コンパクト化に大きく貢献している。
このようにSF6ガスは、特に高電圧用の送配電機器及び変電用機器において非常に適したガスといえる。しかしながら、SF6ガスは、高い地球温暖化作用を有することが知られており、近年その使用量の削減が望まれている。具体的には、地球温暖化作用の大きさは、一般に地球温暖化係数、すなわちCO2ガスを1とした場合の相対値により表され、SF6ガスの地球温暖化係数は23,900に及ぶことが知られている。
そのため、送配電機器及び変電用機器における絶縁ガスとしてSF6の代わりにCO2ガスを適用することが提案されている(非特許文献1参照)。このCO2ガスは、地球温暖化作用がSF6ガスに比べて23,900分の1と非常に小さい。そのため、SF6ガスの代わりにCO2ガスを送配電機器及び変電用機器に適用することで、地球温暖化への影響を大幅に抑制することが可能となる。その反面、CO2ガスは、絶縁性能及び消弧性能がSF6ガスに比べると劣る。
しかしながら、CO2ガスは、SF6ガスが電力用ガス絶縁機器に適用される以前に絶縁媒体、消弧媒体として主に使用していた空気に比べると消弧性能は極めて優れており、また絶縁性能も同等かそれ以上であることが知られている。したがって、CO2ガスをSF6ガスの代わりに適用することで、概ね良好な性能を有し、かつ地球温暖化への影響を抑制した環境に優しい送配電機器及び変電用機器を提供することが可能である。
内井、河野、中本、溝口、「消弧媒体としてのCO2ガスの基礎特性と実規模モデル遮断器による熱的遮断性能の検証」、電気学会論文B、124巻、3号、pp.469〜475、2004年発行
ところで、ガス遮断器又はガス断路器などのように、その機能として電流の開閉を行う機器は、その電流開閉動作に伴い必然的に密閉容器内でアーク放電が発生する。
密閉容器内でアーク放電が発生した場合、密閉容器内に充填したガスは、放電過程でプラズマ化し、分子の解離、再結合が生じる。従来、変電機器に使用されているSF6ガスは、非常に安定した分子構造である。そのため、SF6ガスは、放電により一旦分子が解離しても、通常の環境では、そのほとんどが元のSF6分子へと再結合することが知られている。
しかしながら、微量ではあるが解離したS(イオウ)原子やF(フッ素)原子は、ガス中に残留する。その上、従来のガス遮断器の多くは、絶縁ノズルの素材にFで構成されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用している。そのため、絶縁ノズルのアブレーション(材料の表面が蒸発、侵食によって分解する現象)によりFが余計に発生する。この発生したFと密閉容器内に微量に存在する水分の解離によって生成されるH(水素)とが結合し、分解ガスとして有毒であり、かつ金属や絶縁物を侵す可能性のあるフッ化水素HFが発生することが知られている。そのため、現状では、密閉容器内に合成ゼオライトを設置し、この合成ゼオライトを用いて上記HFを選択的に吸着し分離している。
また、絶縁ガスとしてSF6ガスの代わりにCO2ガスを適用しても、上記のような絶縁ノズルを使用する場合、CO2ガス遮断器(CO2GCB)は、図7に示すようにSF6ガス遮断器(SF6GCB)と比較すると、HF発生量は減少するものの、それでもHFは残存することになる。
さらに、アーク放電により解離したCO2は、元のCO2に再結合し難いという課題も生じている。特に、大電流アーク放電の発生に伴いCO2分子は、C(炭素)原子及びO(酸素)原子に解離するものの、発生したOは密閉容器内の例えば銅や鉄などの金属と酸化反応することが考えられ、分解ガスとして有毒ガスであるCOが残存してしまう可能性がある。
仮に、COが残存しているとすると、ガス遮断器などのように電流の開閉を行うCO2ガス絶縁機器の内部点検時に充填ガスを大気開放するとき、点検作業員がCOを吸気する可能性がある。現状では、その対処法として排出場所や排出方向を限定するか、又はガスを回収しなければならず、ガス交換や保守点検の作業効率がSF6ガス遮断器と比較して改善されないという課題が生じている。
また、合成ゼオライトを使用することで、電流の開閉後の充填ガス中に浮遊しているHFに対しては、吸着及び分離することが可能である。しかしながら、金属や絶縁物、アーク接触子などの構成部品の表面近傍に局所的に残留している高濃度のHFは、上記合成ゼオライトでは吸着することができず、金属類を侵食してしまっているという問題点がある。
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、安定した品質を保持し、かつ安全に保守点検を実施可能な電力用ガス絶縁機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る電力用ガス絶縁機器は、絶縁ガスとしてCO2ガス又はCO2ガスを含む混合ガスを充填した密閉容器と、前記密閉容器内に設置した1対の電気接点と、を有し、通電時には前記電気接点を接触状態に保つことで通電を行い、電流遮断時には前記電気接点を解離させて前記絶縁ガス中にアーク放電を発生させ、前記絶縁ガスが前記アーク放電により熱ガスとなり、そのアーク放電を消弧することで電流を遮断するように構成された電力用ガス絶縁機器において、前記密閉容器内の前記熱ガスが接触する位置に、O原子を放出する酸素放出部材を設置したことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、安定した電力用ガス絶縁機器の品質を保持し、かつ安全に保守点検を実施することができる。
以下に、本発明に係る電力用ガス絶縁機器の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
(構 成)
図1は本発明に係る電力用ガス絶縁機器の第1実施形態を示す縦断面図である。図2は図1のアブレーション技術を用いたCOの酸化過程を示す説明図である。図1は電流遮断動作中の状態を示している。本実施形態は、電力用ガス絶縁機器として、高電圧系統において事故電流を遮断するために使用されているパッファ形ガス遮断器に適用した例を示している。図1に示す各部品は、基本的に図1の左右方向に延びる中心軸(図示せず)の周りに軸対称な同軸円筒形状である。
(構 成)
図1は本発明に係る電力用ガス絶縁機器の第1実施形態を示す縦断面図である。図2は図1のアブレーション技術を用いたCOの酸化過程を示す説明図である。図1は電流遮断動作中の状態を示している。本実施形態は、電力用ガス絶縁機器として、高電圧系統において事故電流を遮断するために使用されているパッファ形ガス遮断器に適用した例を示している。図1に示す各部品は、基本的に図1の左右方向に延びる中心軸(図示せず)の周りに軸対称な同軸円筒形状である。
図1に示すように、密閉容器2は、金属又は碍子などから構成され、接地されている。密閉容器2内には、絶縁ガス1bが充填されている。この絶縁ガス1bは、CO2ガス単体、又はCO2ガスを含む混合ガスである。具体的には、この混合ガスは、CO2ガスを主体として例えばメタンガス、窒素ガスなどの環境調和型のガスが混合される。
密閉容器2内には、1対の電気接点としての固定接触部3と可動接触部4が対向して配置されている。可動接触部4は、密閉容器2に対して絶縁支持されて、固定接触部3に対して移動可能である。固定接触部3は、密閉容器2内に絶縁固定され、固定通電部3a、固定アーク接触子3bなどで構成されている。可動接触部4は、絶縁ノズル4a、可動アーク接触子4b、通電接触子4c、及びパッファシリンダ4dが駆動ロッド4eに取り付けられている。
固定接触部3及び可動接触部4を流れる電流は、それぞれ通電導体10と図示しないブッシングを介して外部に引き出される。各通電導体10は、スペーサ11により絶縁支持されると同時に、密閉容器2内のガス空間は、そのスペーサ11により区分される。可動接触部4は、その駆動ロッド4eが図示しない絶縁操作棒を介して駆動装置8内の可動部に連結されている。これにより、駆動装置8を駆動することで、上記絶縁操作棒を介し可動接触部4は固定接触部3に対して軸方向相対移動により接離可能となる。
固定アーク接触子3b及び可動アーク接触子4bは、遮断器投入時では接触導通状態にある。また、電流遮断動作時では、軸方向相対移動により開離するとともに、両アーク接触子3b,4b間にアーク放電6が発生する。そのため、絶縁ノズル4aは、耐アーク性の高い絶縁物であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主体に構成されている。
具体的に、上記電流遮断動作時は、常時固定状態にあるピストン5がパッファシリンダ4dの内部空間を圧縮してパッファシリンダ4d内の圧力を上昇させる。そして、パッファシリンダ4d内に存在する絶縁ガス1bが高圧力のガス流9a1(矢印左方向)となる。このガス流9a1は、絶縁ノズル4aによって整流されて、両アーク接触子3b,4b間に発生したアーク放電6に対して強力に吹き付けられる。
これにより、両アーク接触子3b,4b間に発生した導電性のアーク放電6は、消滅して電流は遮断される。アーク放電6に吹き付けられたガス流9a1は、高温状態となり、固定側熱ガス流9b及び可動側熱ガス流9a2(矢印右方向)として両アーク接触子3b,4b間の空間から遠ざかるように流れ、最終的には密閉容器2内に放散される。
パッファシリンダ4dの圧力上昇は、ピストン5による機械的圧縮だけでなく、アーク放電6からの熱エネルギーを積極的にパッファシリンダ4d内に取り込むことによりもたらされる。本実施形態では、図1に示すように絶縁ノズル4aと可動アーク接触子4bとの間を流れる可動側熱ガス流9a2が連通孔4fを通ってパッファシリンダ4d内に取り込まれ、同部の圧力上昇に寄与する。
本実施形態では、アーク放電6により発生する可動側熱ガス流9a2が接触する部分、例えばピストン5の前面に、構成原子にOを含む酸素放出部材としてのアブレーション素子14が設置されている。このアブレーション素子14は、可動側熱ガス流9a2と接触する面から1nmの範囲において、存在するOの原子数がアーク放電6により発生するCOの分子数とほぼ同程度以上となるように設置されている。
アブレーション素子14は、円環平板状に形成され、ピストン5の前面に埋設されている。アブレーション素子14は、ピストン5にねじ込まれて着脱自在に設けられている。アブレーション素子14は、通常電流遮断動作が10回程度で新規なものと交換可能な厚さに形成されている。
アブレーション素子14の材料としては、例えばポリイミド、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネット、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、GF(Glass Fiber)強化ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、非晶ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ニトロセルロース、ニトログリセリン、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタラート、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
なお、本実施形態では、アブレーション素子14の材料として上記の材料を挙げたが、これ以外に例えば、酸化銅や酸化鉄などの金属であってもよい。
(作 用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
次に、本実施形態の作用を説明する。
前述した通り、CO2ガス中でアーク放電6が生じた場合、本来絶縁ガスとして存在すべきCO2ガスの量が減少し、代わりに分解ガスであるCOが増大するため、内部点検などの充填ガス開放時に人体に危険を及ぼす可能性がある。
しかしながら、本実施形態は、上記のようにアーク放電6により発生する可動側熱ガス流9a2が接触するピストン5の前面に、構成原子にOを含むアブレーション素子14を設置することで、その課題は解消される。
以下に、その理由を図2に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、例えば固定アーク接触子3bを銅(Cu)製とし、可動アーク接触子4bを鉄(Fe)製とする。
通常運転時では、図2の左上図に示すように固定アーク接触子3bと可動アーク接触子4bは、接触導通状態にある。そして、電流遮断動作時は、図2の右上図に示すように軸方向相対移動により開離するとともに、固定アーク接触子3bと可動アーク接触子4bとの間の空間にアーク放電6が発生する。これにより、絶縁ガス1bであるCO2ガスはCとOに解離する。
次いで、図2の右下図に示すようにOは、消弧室に使用している金属類、特に固定アーク接触子3bの銅や可動アーク接触子4bの鉄を酸化させ、CuOやFeOなどの酸化物となる。このため、ガス中にはCOが取り残されることとなる。
そこで、熱ガスである可動側熱ガス流9a2を必ず接触させることが可能なピストン5の前面にアブレーション素子14を設置しておくことで、このアブレーション素子14は、可動側熱ガス流9a2により気化する温度まで加熱されてOを放出する。この発生したOは、アーク放電6により残留したCOと結合し、元の充填ガスであるCO2に戻る。
アブレーション素子14は、可動側熱ガス流9a2と接触する面から1nmという必ず気化する領域に、存在するO原子の数が密閉容器2内で発生するCO分子の数とほぼ同程度以上となるように設置しているため、発生したCOはほとんどCO2に戻ることが可能である。
(効 果)
このように本実施形態によれば、絶縁ガス1bにCO2ガスを適用した環境調和型のガス絶縁開閉機器において、可動側熱ガス流9a2が接触する位置にアブレーション素子14を設置したことにより、機器の保守点検を安全に実施することができ、コンパクト化及び安定した品質の機器を提供することが可能となる。
このように本実施形態によれば、絶縁ガス1bにCO2ガスを適用した環境調和型のガス絶縁開閉機器において、可動側熱ガス流9a2が接触する位置にアブレーション素子14を設置したことにより、機器の保守点検を安全に実施することができ、コンパクト化及び安定した品質の機器を提供することが可能となる。
(第2実施形態)
(構 成)
図3は本発明に係る電力用ガス絶縁機器の第2実施形態を示す縦断面図である。図4は第2実施形態において合成ゼオライトに吸着されたO2ガス分子を示す拡大断面図である。図5は第2実施形態において酸素吸着済の合成ゼオライトによるCOの酸化過程を示す説明図である。
(構 成)
図3は本発明に係る電力用ガス絶縁機器の第2実施形態を示す縦断面図である。図4は第2実施形態において合成ゼオライトに吸着されたO2ガス分子を示す拡大断面図である。図5は第2実施形態において酸素吸着済の合成ゼオライトによるCOの酸化過程を示す説明図である。
なお、以下の実施形態では、前記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付して、前記第1実施形態と異なる構成及び作用のみを説明する。
図3に示すように、密閉容器2内に充填する絶縁ガス1bは、前記第1実施形態と同様にCO2ガス単体、又はCO2ガスを主体とした混合ガスとする。
また、本実施形態は、アーク放電6により発生する熱ガスである固定側熱ガス流9bが接触する位置に、図4のようにあらかじめO2を吸着させておいた酸素放出部材としての合成ゼオライト12が設置されている。
具体的には、密閉容器2内において固定側熱ガス流9bが接触する位置に通気ケース13が設置されている。この通気ケース13内には、あらかじめO2を吸着させた合成ゼオライト12が収納されている。この合成ゼオライト12に吸着させておくO2分子の数は、アーク放電6により発生するCOの数より十分に多いことが望ましい。
(作 用)
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な作用を得ることができる。以下に、その理由を図5に基づいて説明する。
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な作用を得ることができる。以下に、その理由を図5に基づいて説明する。
通常運転時では、前記第1実施形態と同様に図5の左上図に示すように固定アーク接触子3bと可動アーク接触子4bは、接触導通状態にある。そして、電流遮断動作時は、図5の右上図に示すように軸方向相対移動により開離するとともに、固定アーク接触子3bと可動アーク接触子4bとの間の空間にアーク放電6が発生する。これにより、絶縁ガス1bであるCO2ガスはCとOに解離する。
次いで、図5の右下図に示すようにOは、消弧室に使用している金属類、特に固定アーク接触子3bの銅や可動アーク接触子4bの鉄を酸化させ、CuOやFeOなどの酸化物なる。このためガス中にはCOが取り残されることとなる。そこに、熱ガスである固定側熱ガス流9bが必ず接触する位置に、あらかじめO原子を吸着させておいた合成ゼオライト12を設置しておく。
すると、固定側熱ガス流9bが合成ゼオライト12に到達すると、吸着されているO2分子は解離し、多数のO原子をガス中に拡散させる。この拡散したO原子は、アーク放電6により発生したCOと結合し、元の充填ガスであるCO2に戻る。
なお、前記第1実施形態と同様にあらかじめ合成ゼオライト12に吸着させておくO2の数をアーク放電6により発生するCO分子の数より十分に多くなるように設置しているため、発生したCOはほとんどCO2に戻ることが可能である。
(効 果)
このように本実施形態によれば、固定側熱ガス流9bが接触する位置にあらかじめO原子を吸着させておいた合成ゼオライト12を設置しておくことで、前記第1実施形態と同様に、機器の保守点検を安全に実施することができ、コンパクト化及び安定した品質の機器を提供することが可能となる。
このように本実施形態によれば、固定側熱ガス流9bが接触する位置にあらかじめO原子を吸着させておいた合成ゼオライト12を設置しておくことで、前記第1実施形態と同様に、機器の保守点検を安全に実施することができ、コンパクト化及び安定した品質の機器を提供することが可能となる。
(第3実施形態)
(構 成)
図6は本発明に係る電力用ガス絶縁機器の第3実施形態を示す縦断面図である。
(構 成)
図6は本発明に係る電力用ガス絶縁機器の第3実施形態を示す縦断面図である。
図6に示すように、密閉容器2内に充填する絶縁ガス1bは、前記第1実施形態と同様にCO2ガス単体、又はCO2ガスを主体とした混合ガスとする。
また、本実施形態は、従来のガス遮断器で使用している絶縁ノズル4aの代わりに、Oを含む酸素放出部材としてのアブレーションノズル15が設置されている。アブレーションノズル15の素材には、Oが多く含まれるほうが好ましい。
アブレーションノズル15の材料としては、前記第1実施形態と同様に例えばポリイミド、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネット、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、GF(Glass Fiber)強化ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、非晶ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ニトロセルロース、ニトログリセリン、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタラート、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
ところで、アブレーションノズル15は、アーク放電6や熱ガスに晒されるため、融点の低い材料は耐久性の面から使用することができない。上記材料のうち、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステルが使用することができない。
したがって、本実施形態では、熱ガスである可動側熱ガス流9a2がアブレーションノズル15に必ず接触する。このとき、アブレーションノズル15は、可動側熱ガス流9a2により気化する温度まで加熱されてOを放出する。この発生したOは、アーク放電6により残留したCOと結合し、元の充填ガスであるCO2に戻る。
このように本実施形態でも、Oを含むアブレーションノズル15が設置したことにより、前記第1実施形態と同様と同様な効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記各実施形態では、電力用ガス絶縁機器としてパッファ形ガス遮断器を例に挙げて説明したが、これ以外に、例えばガス絶縁変圧器、ガス絶縁断路器などのガス絶縁開閉器、ガス絶縁避雷器、およびガス絶縁送電管などにも適用可能である。
また、上記第1実施形態では、アブレーション素子14をピストン5の前面に設置した例について説明したが、これに限らず、例えばパッファシリンダ4dの内外周面、駆動ロッド4eの内周面、連通孔4fを形成したフランジの内面に設置しても同様の効果が得られる。
1b…絶縁ガス(CO2ガス又はCO2を主体とした混合ガス)、2…密閉容器、3…固定接触部(電気接点)、3a…固定通電部、3b…固定アーク接触子、4…可動接触部(電気接点)、4a…絶縁ノズル、4b…可動アーク接触子、4c…通電接触子、4d…パッファシリンダ、4e…駆動ロッド、4f…連通孔、5…ピストン、6…アーク放電、7…支持絶縁物、8…駆動装置、9a1…ガス流、9a2…可動側熱ガス流、9b…固定側熱ガス流、10…通電導体、11…絶縁スペーサ、12…合成ゼオライト(酸素放出部材)、13…通気ケース、14…アブレーション素子(酸素放出部材)、15…アブレーションノズル(酸素放出部材)
Claims (4)
- 絶縁ガスとしてCO2ガス又はCO2ガスを含む混合ガスを充填した密閉容器と、
前記密閉容器内に設置した1対の電気接点と、を有し、
通電時には前記電気接点を接触状態に保つことで通電を行い、電流遮断時には前記電気接点を解離させて前記絶縁ガス中にアーク放電を発生させ、前記絶縁ガスが前記アーク放電により熱ガスとなり、そのアーク放電を消弧することで電流を遮断するように構成された電力用ガス絶縁機器において、
前記密閉容器内の前記熱ガスが接触する位置に、O原子を放出する酸素放出部材を設置したことを特徴とする電力用ガス絶縁機器。 - 前記酸素放出部材は、O原子を含むアブレーション素子であって、このアブレーション素子を前記熱ガスが発生する範囲内に配置したことを特徴とする請求項1に記載の電力用ガス絶縁機器。
- 前記酸素放出部材は、O2ガスを予め吸着させた合成ゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の電力用ガス絶縁機器。
- 前記電気接点は、
固定接触部と、
前記固定接触部に対して同軸上に対向して接離可能に配置され、前記電流遮断時に前記固定接触部との間に前記アーク放電を発生させる可動接触部と、を有し、
前記可動接触部に前記アーク放電を囲むように配置され、前記アーク放電に前記絶縁ガスを吹き付ける絶縁ノズルを設け、
前記絶縁ノズルを前記酸素放出部材としたことを特徴とする請求項1に記載の電力用ガス絶縁機器。
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JP2013014669A JP2014146515A (ja) | 2013-01-29 | 2013-01-29 | 電力用ガス絶縁機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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