JP2014144681A - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】路面の勾配に関わらず、旋回性能と走行性能とを両立させることのできる車両用駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】車両の旋回性能が目標とする旋回性能となるように駆動力を減少させる車両用駆動力制御装置において、目標する旋回性能となるように求められた前記駆動力の減少量を、車両が旋回走行する路面が上り勾配の場合に、路面が平坦路の場合の駆動力の減少量に比較して小さい減少量に制限する制御と、目標する旋回性能となるように求められた駆動力の減少量を、車両が旋回走行する路面が下り勾配の場合に、路面が平坦路の場合の減少量以上に設定する制御との少なくともいずれか一方の制御を行うように構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】車両の旋回性能が目標とする旋回性能となるように駆動力を減少させる車両用駆動力制御装置において、目標する旋回性能となるように求められた前記駆動力の減少量を、車両が旋回走行する路面が上り勾配の場合に、路面が平坦路の場合の駆動力の減少量に比較して小さい減少量に制限する制御と、目標する旋回性能となるように求められた駆動力の減少量を、車両が旋回走行する路面が下り勾配の場合に、路面が平坦路の場合の減少量以上に設定する制御との少なくともいずれか一方の制御を行うように構成されている。
【選択図】図2
Description
この発明は、車両の旋回時の駆動力を制御する装置に関し、特に旋回状態が目標とする状態となるように駆動力を制御する装置に関するものである。
走行している車両の旋回動作は、タイヤの横力に基づいて、車体の重心を通る鉛直軸線を中心として生じるモーメントにより行われる。その横力は、操舵輪の転舵角度だけでなく、路面とタイヤとの間の摩擦係数やタイヤで受け持つ荷重などによって変化する。また、モーメントの大きさは、車体の重心からドライブシャフトまでの距離に応じて異なる。したがって、操舵のアシスト量や操舵輪に掛かる荷重などを適宜に制御することにより、車両の旋回性能を目標とする性能に設定することができる。
車両の旋回性能を向上させるために駆動力を制御するように構成された装置の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された装置は、加減速度を伴って旋回する状態にまで適用できるようにスタビリティファクタの定義式を拡張し、そのスタビリティファクタの目標値を車速や操舵角度などに基づいて求め、ヨーレートセンサや車速センサなどのセンサで得られたデータに基づいて算出される実スタビリティファクタがその目標値に一致するように駆動力を制御するように構成されている。また、その定義式の中には、車両の前後加速度の影響を受ける項が含まれているので、特許文献1に記載された装置では、前後加速度を伴って旋回走行する場合と前後加速度を伴わないで旋回走行する場合とでは、上記の項の補正の有無を異ならせるようにしている。
また、特許文献2には、運転者に違和感を与えることなく旋回走行を行うように車速を制御する装置が記載されている。この特許文献2に記載されている装置は、車速を維持する定速制御中での車速を制御するための装置であって、旋回路に目標地点を設定するとともに、その目標地点での車速を設定し、その目標車速にまで減速する目標車速特性を求め、その目標車速特性に従ってエンジンの出力トルクを制御し、また変速パターンを設定するように構成されている。そして、この特許文献2に記載された装置は、車両の進行方向前方の道路の勾配を取得し、その勾配に基づいて目標車速特性を調整するように構成されている。
上述したように、駆動力によって車両の旋回性能が異なり、また旋回中に車速が意図しない車速になると運転者に違和感を与える場合がある。すなわち、駆動力源が旋回中に出力するトルクによっては、旋回性能が目標とする性能から外れたり、あるいは車速が意図した車速から外れて運転者に違和感を与えたりする可能性がある。より具体的には、上記の特許文献1に記載された装置では、スタビリティファクタの実際値が目標値に追従するように駆動力を制御するが、旋回路が平坦路である場合、および登坂路である場合、ならびに降坂路である場合のいずれにおいても同様に駆動力を制御したとすると、それぞれの場合のロードロードが異なっているために、車速が意図したものとは乖離し、違和感を生じる可能性がある。また反対に、これらいずれの場合であっても旋回中の車速を目標とする所定の範囲内に維持しようとすると、登坂路での旋回時には駆動トルクが不足し、また降坂路では駆動トルクが過剰になって意図した旋回を行えなくなる可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、車両の旋回性能を向上させることができるとともに旋回中の駆動力の過不足感を回避することのできる車両用駆動力制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、車両の旋回性能が目標とする旋回性能となるように駆動力を減少させる車両用駆動力制御装置において、前記目標する旋回性能となるように求められた前記駆動力の減少量を、前記車両が旋回走行する路面が上り勾配の場合に、前記路面が平坦路の場合の前記駆動力の減少量に比較して小さい減少量に制限する制御と、前記目標する旋回性能となるように求められた前記駆動力の減少量を、前記車両が旋回走行する路面が下り勾配の場合に、前記路面が平坦路の場合の減少量以上に設定する制御との少なくともいずれか一方の制御を行うように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記車両の操舵角度が予め定めた判断基準角度以上の場合に、前記路面が上り勾配である場合に前記減少量を制限する制御を禁止するように構成されていることを特徴とする車両用駆動力制御装置である。
この発明の車両用駆動力制御装置によれば、車両が旋回走行する場合、車速や操舵角度などの車両の走行状態に基づいて目標とする旋回性能が求められ、その目標とする旋回性能を達成するように駆動力が減少させられる。その場合、旋回走行する路面が上り勾配であれば、駆動力の減少量が制限される。より具体的には、平坦路で同一の旋回路を旋回走行するとした場合の駆動力の減少量より小さい減少量に制限される。あるいは、旋回走行する路面が下り勾配であれば、駆動力の減少量が平坦路で同一の旋回路を旋回走行するとした場合の駆動力の減少量以上に設定される。したがって、上り勾配の旋回路においては、旋回性能が目標とする性能にまでは達しないものの、動力の低下が抑制されるので、旋回性能の向上と駆動力の維持とを両立させることができる。あるいは下り勾配の旋回路においては、旋回性能を更に向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、操舵角度が大きい場合、たとえ上り勾配の旋回路であっても、駆動力の減少量の制限制御が禁止され、目標とする旋回性能を達成する駆動力の減少が実行されるから、運転者の意図した旋回性能を達成して違和感を防止もしくは抑制することができる。
この発明は、駆動力に応じて車両の旋回性能が変化することを利用して、車両の旋回状態に基づいて駆動力を変化させる駆動力制御装置である。したがって、この発明で対象とする車両は、運転者の加減速操作だけでなく、車速や操舵角などの車両の走行状態に基づいて駆動力が変化し、すなわち運転者の意図に基づかずに、駆動力が変化することがある。この発明は、そのような運転者の意図に基づかない駆動力の変化が違和感とならないように駆動力を制御する構成を備えている。
そこで、先ず、この発明で対象とすることのできる車両について説明すると、この発明で対象とすることのできる車両は、運転者の加減速操作に基づいて駆動力を制御できることに加えて、加減速操作によらずに駆動力を制御できるように構成された車両であり、その駆動力源は内燃機関(エンジン)やモータあるいはこれらのいずれかと自動変速機とを組み合わせた構成のものであってよく、もしくは内燃機関およびモータならびに変速機構を組み合わせたハイブリッド駆動装置などであってもよい。また、駆動力の制御、特に駆動力を減じる制御は、車輪の制動力を制御することにより実行してもよい。
図4にこの発明で対象とすることのできる車両のシステムをブロック図で示してあり、ここに示す車両は、後輪駆動車の例である。なお、この発明は、前輪駆動車や四輪駆動車を対象とする制御装置にも適用できることはもちろんである。図4において、前後の各車輪1には、個別に制御できるブレーキ2がそれぞれ設けられている。これらのブレーキ2は、例えばアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)や車両安定化制御システム(VSC:登録商標)など従来知られているシステムによって制御されるように構成されている。したがって各車輪1のブレーキ2は、駆動力が掛かり過ぎた場合や制動力が大きすぎる場合には、運転者によるペダル操作に拘わらず制動力が増大させられたり、あるいは反対に制動力が低減される。
内燃機関やモータ、さらには変速機などからなる上記の駆動力源3は、デファレンシャル4を介して駆動輪(すなわち後輪)1に連結されている。その駆動力源3はエンジンやモータの出力を変化させることにより、あるいは変速比を変化させることにより駆動力を制御するように構成されている。その駆動力を制御するための制御装置(コントローラ)5が設けられている。このコントローラ5は、マイクロコンピュータを主体にして構成されており、予め記憶してあるデータや外部から入力されるデータを使用して、予め用意されているプログラムに従ってデータを処理し、その結果を制御指令信号として駆動力源3に出力するように構成されている。そして、このコントローラ5には、操舵角センサ6やヨーレートセンサ7あるいはアクセル開度センサ8、さらには加速度センサ(Gセンサ)9が検出した信号が検出値として入力されている。なお、これらのセンサ6,7,8,9は、上記の車両の安定化制御システムなどのシステムを構成しているセンサであって、車両における既存の機器である。
この発明に係る制御装置は、駆動力の制御として、旋回状態(旋回性能)が予め定めた目標旋回状態(目標旋回性能)となるように駆動力を変化させる制御に基づいて駆動力を変化させる制御と、アクセルペダルなどの加減速操作機構を操作することに基づいて駆動力を変化させる制御とを行うように構成されている。その旋回状態の制御は、旋回状態を規定するパラメータ、あるいは旋回状態を示すパラメータの目標値に、車速などの車両の走行状態から求められる実際値が追従もしくは一致するように駆動力を変化させる制御である。その旋回状態を規定もしくは示すパラメータは、スタビリティファクタやヨーレートなどの車両が旋回走行することにより変化するパラメータである。
以下に説明する例は、スタビリティファクタを使用した例であり、したがって車両の旋回状態の制御、もしくは旋回性能の向上のための制御は、スタビリティファクタの実際値が予め定められている目標値に可及的に一致するように駆動力を制御することにより行われる。ここでスタビリティファクタは、車両のホイールベース、操舵角、車速、ヨーレート、タイヤのスティフネスなどに基づいて求めることのできる物理量であって、車両の旋回特性を表す指標である。なお、このスタビリティファクタは、半径が一定の定常円を走行している状態での特性を示すものとして理解することが容易であるが、前後加速度が生じている状態にも拡張することができ、前後加速度が生じている状態まで拡張したスタビリティファクタは、各種の文献によって広く知られている。
ここでスタビリティファクタについて説明すると、走行中の車両のスタビリティファクタは車速や操舵角などの走行状態に基づいて求めることができる。すなわち、いわゆる実スタビリティファクタkhrealは、下記の(1)式で求めることができる。
khreal=(δ/n・L・V・γreal)−1/V2 …(1)
なお、δは操舵角、nはステアリングギヤ比、Lはホイールベース、Vは車速、γrealはヨーレートセンサの検出値である。
khreal=(δ/n・L・V・γreal)−1/V2 …(1)
なお、δは操舵角、nはステアリングギヤ比、Lはホイールベース、Vは車速、γrealはヨーレートセンサの検出値である。
一方、前後加速度が生じている状態まで拡張したスタビリティファクタは、下記の(2)式で表すことができる。
khs=kh0+kh1・Gx +kh2・Gx 2 …(2)
(2)式におけるkh0およびkh1ならびにkh2は設計上の定数であり、Gx は車両の前後加速度である。その前後加速度Gx は車両に作用している前後方向の正または負の駆動力と車体の質量とに基づいて求めることができる。また、駆動力はアクセル開度やその時点の車速などに基づいて求めることができる。したがって、前後加速度が生じている状態まで拡張したスタビリティファクタkhsはアクセル開度や車速などに応じた値となるから、目標スタビリティファクタはアクセル開度(もしくはスロットル開度)で代表することのできる要求駆動量と車速とに応じて、予めマップとして用意しておくことができる。また、駆動力によって前後加速度Gx が変化するから、駆動力を制御することによりスタビリティファクタの実際値を目標値に追従させ、あるいは一致させることができる。
khs=kh0+kh1・Gx +kh2・Gx 2 …(2)
(2)式におけるkh0およびkh1ならびにkh2は設計上の定数であり、Gx は車両の前後加速度である。その前後加速度Gx は車両に作用している前後方向の正または負の駆動力と車体の質量とに基づいて求めることができる。また、駆動力はアクセル開度やその時点の車速などに基づいて求めることができる。したがって、前後加速度が生じている状態まで拡張したスタビリティファクタkhsはアクセル開度や車速などに応じた値となるから、目標スタビリティファクタはアクセル開度(もしくはスロットル開度)で代表することのできる要求駆動量と車速とに応じて、予めマップとして用意しておくことができる。また、駆動力によって前後加速度Gx が変化するから、駆動力を制御することによりスタビリティファクタの実際値を目標値に追従させ、あるいは一致させることができる。
なお、旋回性能を向上させるための駆動力の制御は、上記のようにスタビリティファクタの実際値と目標値とを用いる替わりに、他の制御パラメータを用いて行ってもよい。例えば、実際の旋回状態を示す実際値として、センサによって得られたヨーレートの操舵角に対する変化度合いである実ヨーゲイン(=γreal/δ)を採用し、その目標値として目標ヨーレートの操舵角に対する変化度合いである目標ヨーゲイン、もしくは目標スタビリティファクタから逆算される目標ヨーゲインを採用し、これら実ヨーゲインと目標ヨーゲインとの偏差が小さくなるように駆動力を制御することとしてもよい。
車両が旋回走行する場合、駆動力(駆動トルク)を減少させて操舵輪である前輪に掛かる荷重を増大させることにより、旋回性能もしくは旋回量が増大する。その半面、駆動力を減少させると、加速力が低下し、あるいは減速度が増大する。このような加速力あるいは減速度の変化は、車両が旋回路に進入することに伴って旋回性能を制御することに起因して生じ、運転者の操作に起因するものではないので違和感を生じさせる要因になることがある。そこで、この発明に係る駆動力制御装置は、旋回走行時のロードロードもしくは勾配に基づいて、旋回性能向上制御での駆動力の減少を変化させる制御を実行するように構成されている。
図1はその制御の一例を説明するためのフローチャートであり、このルーチンは前述した制御装置5において所定の短時間毎に繰り返し実行される。このルーチンでは、旋回性能が目標とする性能にするための駆動力(補正駆動力)と運転者(ドライバ)が要求する駆動力とから駆動力の指令値が求められる。具体的には、ヨーレートγおよび操舵角δならびにアクセル開度θが取得される(読み込まれる)(ステップS1,S2,S3)。ここで、これらのデータの取得の順序は特に限定されない。ついで、これらのデータを使用して目標スタビリティファクタkhが演算され(ステップS4)、また実スタビリティファクタkhreal が演算される(ステップS5)。目標スタビリティファクタkh はマップから求めるように構成してもよく、あるいは前述した(2)式によって演算して求めてもよい。また、実スタビリティファクタkhreal は前述した(1)式によって求めることができる。なお、ステップS4とステップS5との制御は、いずれを先に実行してもよく、あるいは同時並行的に実行してもよい。
このようにして求められた目標スタビリティファクタkh と実スタビリティファクタKhreal との差に基づいて補正駆動力が演算される(ステップS6)。エンジンなどの駆動力源3が駆動力を発生して走行している場合、操舵輪である前輪に掛かる荷重が後輪の荷重に対して小さくなるから、前輪で生じる横力が、荷重が小さい分小さくなって旋回性能が低下する。この旋回性能の低下を補うように、あるいは旋回性能を更に向上させるように補正駆動力が求められる。この演算は、補正駆動力マップを予め用意し、そのマップに基づいて補正駆動力を求めることにより行ってもよく、あるいは上記の(2)式の左辺にスタビリティファクタの偏差を代入した方程式をたてて、これを前後加速度Gx について解き、その前後加速度Gx と車体質量とから補正駆動力を求めることとしてもよい。
上記の補正駆動力の演算と相前後して、もしくは並行して運転者(ドライバ)の要求駆動力が演算される(ステップS7)。車両を加速するために必要とする駆動力は、車体の質量や構造などによって異なるから、要求駆動力は駆動要求量であるアクセル開度と車速とに応じた値としてマップとして予め用意しておくことができ、したがってステップS7の制御は、そのマップと、検出されたアクセル開度および車速とに基づいて行うことができる。
そして、ステップS6で求められた補正駆動力とステップS7で求められた要求駆動力とから制限前の駆動力指令値が演算される(ステップS8)。ここで「制限前の駆動力」とは、路面の勾配を加味していない駆動力の意味である。また、車両の駆動力は、エンジンなどの駆動力源3が出力する駆動力によって変化するだけでなく、変速機で設定される変速比によっても変化するから、ステップS8で求められる指令値は、駆動力源3に対する指令値と変速比を制御する指令値とを含んでいてよい。
以上の制御に続いて、もしくは並行して路面勾配が取得される(ステップS9)。ナビゲーションシステムを搭載している車両であれば、自車両の位置を検出するとともにその位置における道路情報(道路データ)から勾配を求めることができる。あるいは、加速度センサ(Gセンサ)を備えている車両であれば、そのセンサ値には路面の勾配に応じた重力加速度が含まれるので、車速や車輪速度の変化率として求められたいわゆる演算加速度とGセンサによるセンサ値との差に基づいて勾配を求めてもよい。さらに、駆動力源3の出力と車両に実際に生じている加速度との差に基づいて勾配を求めてもよい。
こうして求められた走行路面の勾配を使用して制限駆動力が演算される(ステップS10)。目標とする旋回状態とするために駆動力を低減すると、車両を前進させるトルクが低下するので、路面の勾配によっては駆動力の不足感が生じ、あるいは旋回制御の遅れが生じ、これが運転者の違和感となる可能性がある。そこで、路面勾配および操舵角(もしくは操舵角速度)に応じて、運転者が駆動力の変化や応答遅れを感じない制御量(駆動力の低減量)を実験的に求め、マップとして設定しておき、実際の走行時における路面勾配および操舵角(もしくは操舵角速度)とそのマップとに基づいて制限駆動力が求められる。そのマップの一例を図2に示してあり、ここに示すマップは、X軸に路面勾配、これに直交するY軸にトルク制御量(低減量)、これらに垂直なZ軸に操舵角を取った三次元マップであり、路面の下り勾配が大きいほど、また操舵角が大きいほど、トルク制御量が大きく、これとは反対に路面の上り勾配が大きいほど、トルク制御量が小さくなるように設定されている。したがって、このマップに従えば、上り勾配の場合には、勾配が「0」の平坦の場合や下り勾配の場合に比較してトルク制御量が小さい値に制限される。
上記のステップS10で制限駆動力が求められた後には、その制限駆動力と前述したステップS8で求められた制限前駆動力とが比較され、小さい値の駆動力が採択されてその駆動力を達成する指令値が演算される(ステップS11)。そして、その駆動力指令値に応じて駆動力が出力される(ステップS12)。
したがって上記の制御を行うこの発明に係る駆動力制御装置によれば、目標とする旋回状態となるように駆動力を低減する制御を行う場合、その旋回走行を行う路面が下り勾配であれば、制御量(低減量)が平坦路の場合に比較して大きく設定される。そのため、駆動力が相対的に大きく低減されても、重力加速度に基づく下り方向の力が車体に作用するので、減速感が生じるなどの違和感を回避もしくは抑制することができる。また、目標とする旋回性能を達成するための駆動力の低減を大きくは制限しないので、旋回性能を所期の性能とすることができ、あるいは所期の性能に近いものとすることができ、その結果、運転者の意図した旋回走行が可能になって違和感を抱かせるなどの事態を回避もしくは抑制することができる。
これに対して、上り勾配の場合、制御量(低減量)が平坦路の場合に比較して小さく設定される。そのため、車両を減速させる方向に重力加速度に基づく力が作用していても、駆動力を大きくは低減させないので、車速の低下が特には大きくならず、減速感が生じるなどの違和感を回避もしくは抑制することができる。また、目標とする旋回性能を達成するための駆動力の低減を制限することになるとしても、重力加速度に起因する減速方向の力が作用しているので、旋回性能を所期の性能とすることができ、あるいは所期の性能に近いものとすることができ、その結果、運転者の意図した旋回走行が可能になって違和感を抱かせるなどの事態を回避もしくは抑制することができる。
以上説明した制御例によるトルク制御量を図に示すと図3のとおりである。図3の上段に路面状態(勾配)を示してあり、中段に操舵角(ハンドル角)が小さい場合のトルク制御量(駆動力低減量)を示してある。旋回走行する路面が平坦である場合に比較して、下り勾配の場合にはトルク制御量(駆動力低減量)が大きくなる。すなわち、車両の駆動力が、平坦路の場合よりは小さくなるように制御される。これに対して、上り勾配の場合には、平坦路である場合に比較して、トルク制御量(駆動力低減量)が小さくなる。すなわち、車両の駆動力が、平坦路の場合よりは大きくなるように制御される。
上述した制御では、目標とする旋回性能を達成するための駆動力を制限することになる。そのため、目標とする旋回性能を完全には達成できない場合がある。これに対して、操舵角(ハンドル角)が大きい場合には、運転者は積極的に旋回走行することを意図していると考えられるので、上記のように駆動力の制御量を制限すると、運転者の旋回意図を十分には満たさない走行状態となる可能性がある。そこで、この発明の駆動力制御装置は、操舵角についての判断基準角度を設け、検出された操舵角がその判断基準角度以上である場合には、路面勾配に基づく駆動力の制限を禁止するように構成することができる。なお、その判断基準角度は、実験やシミュレーションなどによって予め設定しておくことができる。
このような禁止制御を実行した場合のトルク制御量を図3の下段に記載してあり、旋回走行する路面が上り勾配であっても、トルク制御量(駆動力低減量)は、下り勾配の場合と同様の制御量とされる。この場合、上り勾配での駆動力の低下が大きくなって登坂力が不足することがあるとしても、運転者の意図する旋回走行を行うことができる。
なお、上述した具体例では、走行路面が上り勾配の場合と下り勾配との両方の場合で、駆動力の制御量を平坦路での制御量に対して異ならせるように構成したが、この発明では、上り勾配の場合と下り勾配とのいずれか一方の場合にのみ、駆動力の制御量を平坦路の場合とは異ならせるように構成してもよい。また、上述した図1に示す制御例は、旋回性能をスタビリティファクタで表した例であり、この発明はこの図1に示す制御を行う構成に替えて、ヨーレートで旋回性能を表し、あるいは評価するように構成することができ、その場合には目標ヨーレートに実ヨーレートが追従するように駆動力を制御することになる。
3…駆動力源、 5…コントローラ、 6…操舵角センサ、 7…ヨーレートセンサ、 8…アクセル開度センサ、 9…加速度センサ(Gセンサ)。
Claims (2)
- 車両の旋回性能が目標とする旋回性能となるように駆動力を減少させる車両用駆動力制御装置において、
前記目標する旋回性能となるように求められた前記駆動力の減少量を、前記車両が旋回走行する路面が上り勾配の場合に、前記路面が平坦路の場合の前記駆動力の減少量に比較して小さい減少量に制限する制御と、前記目標する旋回性能となるように求められた前記駆動力の減少量を、前記車両が旋回走行する路面が下り勾配の場合に、前記路面が平坦路の場合の減少量以上に設定する制御との少なくともいずれか一方の制御を行うように構成されていることを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 前記車両の操舵角度が予め定めた判断基準角度以上の場合に、前記路面が上り勾配である場合に前記減少量を制限する制御を禁止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御装置。
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